説明

スマートラベル用のモジュールブリッジ

本発明は、キャリア(12)上でチップモジュール(5)の位置決めを行い、チップモジュール(5)の接続素子を、キャリア(12)の上または内部に配置されたアンテナ素子(11)の接続素子(11a、11b)に架橋接続するためのスマートラベル用のモジュールブリッジに関し、複数のモジュールブリッジ(10)がキャリアストリップ(1)上に縦に並んで配置されており、キャリアストリップ(1)は、モジュールブリッジ(10)と、チップモジュール(5)の接続素子を覆い、接続素子の寸法と比較して寸法が増大した接触層(7a、7b)とに割り当てられたチップモジュール(5)を各々が収容するために縦に並んで配置された複数の凹部(2)を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルに従い、キャリア上でチップモジュールの位置決めを行い、チップモジュールの接続素子を、キャリアの上または内部に配置されたアンテナ素子の接続素子と架橋接続するためのスマートラベル用のモジュールブリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
アンテナに加えてRFIDチップ(無線周波数識別チップ)をも含み、好ましくはシリコン製のスマートラベルは、高速かつ大量に生産されている。従来、チップの進歩によりその寸法が益々小型化した結果、アンテナ素子の接続素子との関係において、アンテナ基板上でチップを正確に位置決めすることが使用される素子の観点から益々困難かつ複雑になっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来、RFIDチップは、フリップチップ技術のいわゆるピックアンドプレイス方法によりアンテナ基板に適用されてきた。この場合、高精度のロボットが、シリコンウェハからシリコンチップを取り出して前記チップを180°回転させ、接続素子が配置されたシリコンチップの上部が下を向くようにして、当該チップを上下逆さまの状態でアンテナおよびアンテナ基板に装着する。この方法では、チップの接続素子の寸法が極めて小さいため、アンテナの接続素子に対応する位置に高精度で合わせる必要がある。
【0004】
アンテナと共にアンテナ基板は通常、スマートラベルの生産プロセスにおいて、幅が約500mmある広くて柔軟なウェブに配置されるため、チップをアンテナ基板上に正確に装着するには複雑なロボット設計が必要である。通常、10〜20μmの装着精度が求められる。
【0005】
そのように比較的遠距離で高精度な動作が必要なロボット設計は、一方で精度に誤差がある頻度が高く、他方、アンテナ基板へのチップ装着する動作の速度は大幅に遅い。これに起因して、スマートラベルの製造の間に全体的な生産速度が遅くなり、かつ生産コストが高くなる。
【0006】
個々のモジュールブリッジを、チップモジュールの小さい接続素子とアンテナの接続素子との間の架橋接続として用いることが知られている。そのようなモジュールブリッジは、内側から外側へ延びる接触線を有する。内端はモジュールブリッジに配置されたチップモジュールに接続していて、アンテナの接続素子との接触を確立するために外端が用意されている。
【0007】
モジュールブリッジによりアンテナ基板上にチップモジュールを配置するため、チップモジュールは高精度方法においてモジュールブリッジの空間的に限られた狭い操作領域に予め装着されていて、これらは次いでアンテナ基板またはアンテナの広い操作領域に低精度ながら素早く装着される。この目的に通常用いるモジュールブリッジは高価な樹脂材で製造されており、チップモジュールを予め装着する前に個別に製造される。
【0008】
従って、本発明の目的は、キャリア上でチップモジュールの位置決めを行なうスマートラベル用のモジュールブリッジを提供することであり、当該モジュールブリッジは高速かつ費用対効果に優れた方式で製造でき、異なるキャリアへチップモジュールを高い精度で高速かつ簡単に装着することが可能になる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本目的は、本発明に従い請求項1の特徴により実現される。
【0010】
本発明の基本事項の一つは、キャリア上でチップモジュールの位置決めを行い、チップモジュールの接続素子をキャリア上または内部に配置されたアンテナ素子の接続素子と架橋接続するためのスマートラベル用のモジュールブリッジにおいて、複数のモジュールブリッジがキャリアストリップ上で縦に並んで配置されている。ここで、キャリアストリップは、チップモジュールを各々収容するために縦に並んで配置されている複数の凹部を有している。チップモジュールは、モジュールブリッジおよび接触層に割り当てられている。接触層は、チップモジュールの接続素子の寸法と比較して寸法が大きくなるように構成されており、チップモジュールの接触素子を被覆している。
【0011】
接触層によりキャリアストリップ上に複数のモジュールブリッジ、すなわち、例えば印刷処理等の簡単な方式で予め配置されたチップモジュールを覆って延びるモジュールブリッジを配置する本発明の簡単な構成により、エンドレスストリップ上に大量のモジュールブリッジを高速かつ簡単に製造することができ、製造プロセスにおいて高価な材料費を発生させない。むしろ、使用するキャリアストリップ材料は、費用対効果に優れた樹脂または紙材料であってよく、適当な成形技術、例えば熱可塑性樹脂変形または刻印技術を用いることにより3次元的に成形することができる。この成形技術はまた、キャリアストリップが連続的に移動しているか一時的に停止されている間、装置内で連続的に高速かつ簡単に実行することができる。
【0012】
キャリアストリップ内に凹部を形成することにより、チップモジュールを接続素子が上向きの状態で素早く挿入できるようになり、前記接続素子は好ましくは互いに平行に並ぶ2つのストリップ状の接触層で覆われており、チップモジュール間に断層がある。接触層は、個々のチップモジュールの接触素子よりも表面寸法が大きいので、アンテナ基板として設計されたキャリア上に配置されるアンテナ素子の接触素子上に、そのようなモジュールブリッジをかなりの程度の不正確さをもって装着することができる。その結果、チップモジュールを含むモジュールブリッジを、広い操作領域内のアンテナ基板上に高速かつ簡単に装着できる利点が生じる。
【0013】
チップモジュールが単に凹部に配置されて、単に接触層で覆われているため、モジュールブリッジへのチップモジュールの事前装着と関連して従来は狭い操作領域で要求されていた高精度の手順はもはや、そこまでの精度は必要とされない。モジュールブリッジの設計が簡単なこともまた、これらをキャリアストリップから分離する点で好都合なことがわかる。すなわち、例えばキャリアストリップを長手方向において長手方向に切断する動作により、あるいはキャリアストリップの横方向に残り半ウェブを切断することにより、個々のモジュールブリッジを簡単に素早く露出させることができる。ここで本質的なことは、チップモジュール間で、キャリアストリップと接触層の両方が移送の幅方向に延びる断層を有する点である。
【0014】
好ましい一実施形態によれば、アンテナ素子の接続素子の領域において、個々のモジュールブリッジをキャリアに粘着的に装着するために、接着層が接触層に適用される。接着層は好ましくは、キャリアストリップの長手方向に互いに平行に並んでおり、キャリアストリップと接触層内の断層に一致する断層を有する2つのストリップ状の接着層からなる。
【0015】
あるいは、接触層は自己接着されるよう設計されていてもよい。この目的で、これらは導電性粒子を含有する予めポリマー化されたエポキシ樹脂か、導電性粒子を含有するホットメルト接着剤のいずれかで構成されていてよい。
【0016】
接触層は、キャリアストリップの方向に延びて、チップモジュールの第一の接続辺の第一の接続素子を覆う第一のストリップ状接触層と、キャリアストリップの長手方向に延びて、チップモジュールの第二の接続辺の第二の接続素子を覆う第二のストリップ状接触層とで構成されている。このように、キャリアストリップを移送する間に銀ペーストで印刷することにより、互いと平行に並ぶ2つの接触層を高速に適用することが可能である。その結果、チップモジュールの拡大された接続面が得られる。
【0017】
好ましい一実施形態によれば、チップモジュールは接着剤により凹部内部に配置されているため、キャリアストリップとチップモジュールとの間が耐久的に接続されている。
【0018】
凹部は、配置されるチップモジュールの上面と凹部を囲むキャリアストリップの表面とが同一平面となるように十分な深さを有していることが好ましい。これにより、チップモジュールの上面と、キャリアストリップの表面とを覆って延びている接触層が、平面内で望ましくない段差を生じることなく単一部分として延びることが保証される。
【0019】
凹部は、チップモジュールを収容するために、チップモジュールの外形と相補的に成形されており、その目的は、チップモジュールがキャリアストリップとの最適かつ密着した配置を確実にするためである。このように、適切なツールを用いることにより、キャリアストリップは、事実上あらゆる種類のチップモジュールを内部に配置できるように変形または型打ちすることができる。さらに、成形された凹部の内部へチップモジュールが配置されるにつれて、チップモジュールの自己中心化が生じる。
【0020】
凹部は、いずれの場合においてオプションとして、下側に少なくとも1つの孔が開けられていて、その孔にチップモジュールを配置することができる。接着剤に硬化処理が必要な場合、例えば紫外線により接着剤に直接作用することが可能になるため、そのような孔を開けることに利点がある。
【0021】
さらに好ましい実施形態が従属クレームから得られる。
【0022】
図面とともに以下の説明から利点および好都合な特徴を見出すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
図1a〜1cは各々、本発明によるモジュールブリッジの形成を、平面で順に示す。熱可塑性樹脂変形、刻印処理および/またはパンチ処理に続いて、樹脂および/または紙材料で作られたキャリアストリップ(図1aに示す)は、チップモジュールを収容するために縦に並んで配置された凹部2を有し、前記凹部は多くの場合貫通孔を有している。端部に配置された孔3の列は、移送素子(図示せず)によりキャリアストリップ1を装置内で前方に移動させる機能を果たす。
【0024】
凹部2の間に、キャリアストリップ1内の3つのスロット状の断層4が配置されており、前記断層はキャリアストリップの幅方向に延びて、引き続きモジュールブリッジ複合材からモジュールブリッジを分離するのに好都合である。
【0025】
図1cに、第一および第二の接続辺5a、5bが凹部2に挿入された状態のチップモジュール5を示す。チップモジュールを固定するために、接続辺は図1dの番号6に示すように、凹部2に堆積して配置された接着剤内に挿入されている。この接着剤は、紫外線照射、電子ビーム照射、または熱照射により硬化される。
【0026】
図1eからわかるように、チップモジュール5の第一の接続辺5aを覆って延びる第一のストリップ状の接触層7aが設けられている。第一の接触層7aと平行に、第二の接触層7bが、再びストリップ状にチップモジュールの第二の接続辺を覆って延びる。接触層7a、7bの表面寸法は、チップモジュールの接続素子の寸法より大きい。
【0027】
第一および第二の接触層7a、7bは、キャリアストリップ1の断層に一致する断層4を有する。モジュールブリッジ10が、アンテナ素子の接続素子に、機械的に、任意に、さらに電気的に接続可能とするため、縦に並んで配置されたモジュールブリッジ10は、互いに平行に配置された2つのストリップ状の接着層8a、8bを、再び断層4と共に有する。
【0028】
図2に、本発明によるモジュールブリッジをチップモジュール5と共に概略断面図で示す。本図からわかるように、チップモジュール5はキャリアストリップ1の凹部2の内部に、上側5cが、凹部2を囲むキャリアストリップ1の表面1aと同一平面であるように配置されている。チップモジュール5を固定する粘着剤9a、9bの追加的な部分が存在する。
【0029】
接触層7a、7bは、チップモジュール5の(模式的に示す)接続素子5d、5eおよびキャリアストリップの表面1aを覆って延びる。
【0030】
本発明によるモジュールブリッジのこの設計のため、好都合なことに、モジュールブリッジを曲げても、接続素子5d、5eと、接触層7a、7bとの間の接触が外れることはない。
【0031】
チップモジュールを有する個々のモジュールブリッジのアンテナ素子の接続素子上での位置決めを図3の概略平面図において示す。図3からわかるように、チップモジュール5およびキャリアストリップの一部を含む個々のモジュールブリッジ10がモジュールブリッジ複合材から切り離されて、接着層8a、8bが下向きの状態で、アンテナ11の接続素子11a、11b上に配置されて固定される。アンテナ基板12は、模式的に示されている。
【0032】
出願文書に開示する全ての構成要素および特徴は個々に、また組み合わせても、本発明にとって必須であると理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明によるモジュールブリッジの形成を順に示す説明図である。
【図2】チップモジュールを含むモジュールブリッジの構造を示す概略断面図である。
【図3】アンテナ素子の接続素子上への、チップモジュールを有する本発明に係るモジュールブリッジの位置決めを示す概略平面図である。
【符号の説明】
【0034】
1 キャリアストリップ
1a キャリアストリップの表面
2 凹部
3 孔の列
4 スロット状の断層
5 チップモジュール
5a 第一の接続辺
5b 第二の接続辺
5c チップモジュールの上側
5d、5e チップモジュールの接続素子
6 硬化した接着剤
7a 第一のストリップ状の接触層
7b 第二のストリップ状の接触層
8a 第一のストリップ状の接着層
8b 第二のストリップ状の接着層
9a、9b 接着剤の部分
10 モジュールブリッジ
11 アンテナ素子
11a、11b アンテナ素子の接続素子
12 アンテナ基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリア(12)上でチップモジュール(5)の位置決めを行い、チップモジュール(5)の接続素子をキャリア(12)の上または内部に配置されたアンテナ素子(11)の接続素子(11a、11b)に架橋接続するためのスマートラベル用のモジュールブリッジであって、
複数のモジュールブリッジ(10)が、キャリアストリップ(1)上で、縦に並んで配置されており、
キャリアストリップ(1)が、モジュールブリッジ(10)に割り当てられたチップモジュール(5)を各々収容するため縦に並んで配置された複数の凹部(2)と、接続素子の寸法と比較して寸法が増大したチップモジュール(5)の接続素子を覆う接触層(7a、7b)とを有することを特徴とする、モジュールブリッジ。
【請求項2】
接触層(7a、7b)に、個々のモジュールブリッジ(10)をアンテナ素子(11)の接続素子(11a、11b)の領域内でキャリア(12)に接着して取り付けるための接着層(8a、8b)が適用されていることを特徴とする、請求項1に記載のモジュールブリッジ。
【請求項3】
接触層(7a、7b)が自己接着されるよう設計されていることを特徴とする、請求項1に記載のモジュールブリッジ。
【請求項4】
接触層(7a、7b)が、キャリアストリップの移動方向に延びて、チップモジュール(5)の第一の接続辺(5a)の第一の接続素子を覆う第一のストリップ状の接触層(7a)と、キャリアストリップの長手方向に延びて、チップモジュール(5)の第二の接続辺(5b)の第二の接続素子を覆う第二のストリップ状の接触層(7b)と、で構成されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のモジュールブリッジ。
【請求項5】
第一および第二のストリップ状の接触層(7a、7b)が、チップモジュール(5)の間に断層(4)を有し、前記断層がキャリアストリップの幅方向に延びていることを特徴とする、請求項4に記載のモジュールブリッジ。
【請求項6】
接着層(8a、8b)が、断層(4)を有する2つのストリップ状の接着層(8a、8b)で構成され、前記層がキャリアストリップの長手方向に縦に平行に並んでいることを特徴とする、請求の範囲2〜5のいずれかに記載のモジュールブリッジ。
【請求項7】
チップモジュール(5)が、接着剤(9a、9b)により、凹部(2)の内部に配置されていることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載のモジュールブリッジ。
【請求項8】
凹部(2)は、チップモジュール(5)の上面(5c)と、凹部(2)を囲むキャリアストリップ(1)の表面(1a)とが同一平面になるように、チップモジュール(5)を内部に配置するのに充分な深さを有することを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載のモジュールブリッジ。
【請求項9】
凹部(2)が、内部に収容するチップモジュール(5)の外形と相補的であるように成形されていることを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載のモジュールブリッジ。
【請求項10】
各々の場合に凹部(2)が下側に少なくとも1つの孔を有することを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載のモジュールブリッジ。
【請求項11】
キャリアストリップ(1)が、移送素子を係合するため、自身の端部に孔(3)の列を有することを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載のモジュールブリッジ。
【請求項12】
キャリアストリップ(1)が、変形可能な樹脂および/または紙材料で製造されていることを特徴とする、請求項1〜11のいずれかに記載のモジュールブリッジ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−503634(P2007−503634A)
【公表日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−524314(P2006−524314)
【出願日】平成16年8月24日(2004.8.24)
【国際出願番号】PCT/EP2004/009420
【国際公開番号】WO2005/022455
【国際公開日】平成17年3月10日(2005.3.10)
【出願人】(505412568)ミュールバウアー アーゲー (10)
【Fターム(参考)】