説明

スライス食品位置合わせ装置

【課題】スライス食品の微妙なずれ、特に従来困難であった幅方向のずれを精度よく修正して、所定位置の包装容器に的確に収容することが可能なスライス食品位置合わせ装置を提供すること。
【解決手段】搬送方向に所定間隔をあけて配置された一対の捲回手段12,13に複数本の丸ベルト11を捲回して構成されると共に前側の捲回手段13が幅方向に移動可能に設置された第1搬送手段14と、第1搬送手段14の前部において、第1搬送手段14上の幅方向両側の所定位置を検知し、正常位置から幅方向にずれたスライス食品の幅方向端部を感知する第1センサ16,17と、第1センサ16,17がスライス食品端部を感知した場合、感知した側と逆方向に前側の捲回手段13を移動させる第1制御手段と、を具備する幅方向位置合わせ装置1である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スライス食品を搬送手段へ投入する際に生じる搬送手段上での微妙なずれを修正するスライス食品位置合わせ装置に関し、例えば、ハム原木等の食物原木をスライス装置によりスライスすると同時に搬送手段に投入する際に生じる搬送手段上での幅方向の微妙なずれを修正する位置合わせ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ハム原木をスライス装置を用いてスライスし、スライスハムを製造する場合、1〜2mの柱状のハム原木を用い、一定速度で回転する切断刃に対しハム原木を一定速度で移送供給することにより、先端から順次所定厚さでスライスしてスライスハムを製造することが行われている(例えば、特許文献1参照)。そして、スライス装置の下方所定位置には、切断刃でスライスされて落下するスライスハムを受け取るとともに搬出する排出コンベアが配設され、スライスされたスライスハムを所定枚数毎に集積した後、搬送コンベアに送り出している。搬送コンベアに載置されたスライスハムは、包装ステーションにて、包装容器に収容される。
【0003】
しかしながら、個々の食物原木によって、場合によっては1つの食物原木でもスライス位置によって、スライスされたスライス食品の搬送手段上への投入位置(落下位置)が微妙にずれ、搬送手段により搬送されるスライス食品が、包装ステーションにおける所定位置に配置された包装容器内に正確に収まらないという問題があった。
【0004】
他方、幅方向(左右方向)の位置合わせをすることができる食品の位置合わせ装置として、食品を搬送方向(前後方向)に搬送する左右位置合わせ用搬送手段と、この左右位置合わせ用搬送手段を左右方向に移動可能に支持する左右位置調整手段と、前記食品を検知する非接触式の左側および右側食品検知センサと、前記両食品検知センサを左右方向において互いに接近・離隔可能に支持するセンサ支持手段と、前記センサ支持手段を制御して前記右側および左側食品検知センサを左右両側からいずれか一方の食品検知センサが前記食品を検知するまで前記食品に接近移動させ、その検知後、前記左右位置調整手段を制御して他方の食品検知センサが食品を検知するまで、前記左右位置合わせ用搬送手段全体を、前記一方の食品検知センサの移動方向と同一方向に同一速度でもって移動させる左右位置合わせ制御手段とを備えた装置が提案されている(特許文献2参照)。
【0005】
しかしながら、かかる食品の位置合わせ装置は、幅方向の位置合わせをする際、左右位置合わせ用搬送手段の全体を移動させる構成であると共に、幅方向の位置合わせを行う前に搬送方向の位置合わせを行う必要があり、高速で処理することができないばかりか、装置自体が複雑かつ大掛かりなものになる。さらには、幅方向の位置合わせを行った後に、再び縦方向の位置合わせを行う構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−288983号公報
【特許文献2】特開2003−144055号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、スライス食品の微妙なずれ、特に従来困難であった幅方向のずれを精度よく修正して、所定位置の包装容器に的確に収容することが可能なスライス食品位置合わせ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、搬送手段で搬送されるスライス食品が所定位置に配置された包装容器へ収容される際のスライス食品の幅方向のずれを防止すべく、まず、搬送コンベアの幅方向両側にガイド板を設けることで幅方向のずれを修正することを試みたが、スライスハム等の柔らかい製品の場合、必ずしも正常な位置に導くことができず、また、幅方向のガイド板との接触による抵抗により、スライス食品が後方にずれるという問題に直面した。スライス食品を所定位置の包装容器に収容するには、縦方向のずれの発生も防止する必要があり、ガイド板を採用することは困難であるとの結論に至った。
【0009】
本発明者らは、さらに鋭意研究し、センサによって、スライス食品の正常通過位置の両外側を検知して幅方向にずれたスライス食品が通過した際に該スライス食品(端部)を感知し、幅方向のずれを検出すると共に、伸縮性のある複数の丸ベルトを捲回した移動式捲回手段を用い、かかるずれ方向とは逆方向に前側の捲回手段を移動させてスライス食品の位置を修正することにより、スライス食品を所定位置の包装容器に的確に収容することができることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明は(1)搬送方向に所定間隔をあけて配置された一対の捲回手段に複数本の丸ベルトを捲回して構成されると共に前側の捲回手段が幅方向に移動可能に設置された第1搬送手段と、該第1搬送手段の前部において、第1搬送手段上の幅方向両側の所定位置を検知し、正常位置から幅方向にずれたスライス食品の幅方向端部を感知する第1センサと、該第1センサがスライス食品端部を感知した場合、感知した側と逆方向に前側の捲回手段を移動させる第1制御手段Aと、を具備する幅方向位置合わせ装置を備えたことを特徴とするスライス食品位置合わせ装置や、(2)搬送方向に所定間隔をあけて配置された一対の捲回手段に複数本の丸ベルトを捲回して構成されると共に前側の捲回手段が幅方向に移動可能に設置された第1搬送手段と、該第1搬送手段の前部において、通過するスライス食品の画像を取得するCCDカメラと、該CCDカメラによる画像に基づき、第1搬送手段上の幅方向両側の所定位置からの外側へのずれを計測し、該ずれの大きさに応じてずれが生じた側と逆方向に前側の捲回手段を移動させる第1制御手段Bと、を具備する幅方向位置合わせ装置を備えたことを特徴とするスライス食品位置合わせ装置や、(3)幅方向位置合わせ装置の下流に、搬送方向位置合わせ装置を備え、該搬送方向位置合わせ装置が、第2搬送手段と、該第2搬送手段上の幅方向中心部かつ搬送方向の所定位置を検知し、スライス食品の前端部を感知する第2センサと、該第2センサがスライス食品の前端部を感知することをトリガとして、第2搬送手段の搬送方向端部から一定距離の所定位置にスライス食品が位置するよう第2搬送手段を停止させる第2制御手段と、該第2搬送手段の所定位置に配置されたスライス食品を下流側手段に送り出すよう第2搬送手段を動作させる第3制御手段と、を具備することを特徴とする上記(1)又は(2)記載のスライス食品位置合わせ装置や、(4)幅方向位置合わせ装置及び搬送方向位置合わせ装置を含む一連の装置群が複数並設され、同時に複数のスライス食品を処理することを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載のスライス食品位置合わせ装置や、(5)スライス食品がスライスハムであることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれか記載のスライス食品位置合わせ装置や、(6)食物原木をスライスするスライス装置と、スライスされたスライス食品の位置合わせを行う上記(1)〜(3)のいずれか記載の位置合わせ装置と、位置合わせされたスライス食品を包装容器に投入する容器投入装置と、投入されたスライス食品を包装する包装装置と、を備えたことを特徴とするスライス食品包装体製造機や、(7)スライス装置、位置合わせ装置、容器投入装置及び包装装置を含む一連の装置群が複数並設され、同時に複数本の食物原木を処理することを特徴とする上記(6)に記載の食品包装体製造機や、(8)食物原木がハム原木であることを特徴とする上記(6)又は(7)記載の食品包装体製造機や、(9)食物原木をスライスするスライス工程と、複数本の丸ベルトを一対の捲回手段に捲回して構成された第1搬送手段の前部において、正常位置から幅方向にずれたスライス食品の幅方向端部を第1センサにより感知し、該第1センサが感知した場合に、感知した側と逆方向に前側の捲回手段を移動させて幅方向の位置合わせを行う幅方向位置合わせ工程と、スライス食品を包装容器に収容する包装工程と、を有することを特徴とするスライス食品包装体の製造方法や、(10)食物原木をスライスするスライス工程と、複数本の丸ベルトを一対の捲回手段に捲回して構成された第1搬送手段の前部において、通過するスライス食品の画像をCCDカメラにより取得し、CCDカメラによる画像に基づき、第1搬送手段上の幅方向両側の所定位置からの外側へのずれを計測し、該ずれの大きさに応じてずれが生じた側と逆方向に前側の捲回手段を移動させて幅方向の位置合わせを行う幅方向位置合わせ工程と、スライス食品を包装容器に収容する包装工程と、を有することを特徴とするスライス食品包装体の製造方法や、(11)幅方向位置合わせ工程の後に、搬送方向位置合わせ工程を有し、該搬送方向位置合わせ工程が、第2搬送手段の搬送方向の所定位置においてスライス食品の前端部を第2センサにより感知し、第2センサが感知することをトリガとして、第2搬送手段の搬送方向の所定位置にスライス食品が位置するよう第2搬送手段を停止させ、該第2搬送手段の所定位置に配置されたスライス食品を下流側手段に送り出す工程であることを特徴とする上記(9)又は(10)記載のスライス食品包装体の製造方法や、(12)複数本の食物原木を同時に処理することを特徴とする上記(9)〜(11)のいずれか記載のスライス食品包装体の製造方法や、(13)食物原木がハム原木であることを特徴とする上記(9)〜(12)のいずれか記載のスライス食品包装体の製造方法に関する。
【発明の効果】
【0011】
本発明のスライス食品位置合わせ装置によれば、スライス食品の微妙なずれを修正して所定位置の包装容器に的確に収容することができる。また、本発明のスライス食品位置合わせ装置は、高速処理が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態に係るスライス食品位置合わせ装置の概略説明図である。
【図2】図1に示されるスライス食品位置合わせ装置と組合せ可能なスライス装置の概略平面図である。
【図3】図1に示されるスライス食品位置合わせ装置における幅方向位置合わせ装置の詳細の説明図である。
【図4】図1に示されるスライス食品位置合わせ装置における搬送方向位置合わせ装置の詳細の説明図である。
【図5】図1に示されるスライス食品位置合わせ装置と組合せ可能な容器投入装置の詳細の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明のスライス食品位置合わせ装置としては、搬送方向に所定間隔をあけて配置された一対の捲回手段に複数本の丸ベルトを捲回して構成されると共に前側の捲回手段が幅方向に移動可能に設置された第1搬送手段と、該第1搬送手段の前部において、第1搬送手段上の幅方向両側の所定位置を検知し、正常位置から幅方向にずれたスライス食品の幅方向端部を感知する第1センサと、該第1センサがスライス食品端部を感知した場合、感知した側と逆方向に前側の捲回手段を移動させる第1制御手段Aとを具備する幅方向位置合わせ装置Aを備えた装置であれば特に制限されるものではなく、本発明の装置で処理するスライス食品としては、例えば、スライスハム、スライスベーコン、スライスチーズ、スライス野菜等を挙げることができ、1枚ずつ搬送し処理する態様であってもよいし、複数枚重なった状態で搬送し処理する態様であってもよい。本明細書においては、スライス食品が複数枚重なった状態のものも、便宜上、単にスライス食品という。
【0014】
本発明の位置合わせ装置における第1搬送手段は、例えば、搬送方向の長さ(捲回手段間の距離)が400〜1000mm程度、幅方向の長さ(両側の丸ベルト間の距離)が50〜150mm程度のコンベアあって、複数本の丸ベルト上にスライス食品を載置して搬送する。丸ベルトは、ポリウレタン、シリコン樹脂等の伸縮性のある材質からなり、前側の捲回手段が幅方向に移動することが可能となっている。かかる丸ベルトは、通常3〜10本程度捲回手段に捲回され、スライスハムの場合、中心に1本、外側にそれぞれ2本の計5本設けることが好ましい。前側の捲回手段は、直動モータ、油圧シリンダ等の流体圧シリンダなどの駆動源により幅方向に移動可能となっており、後側の捲回手段は固定されている。
【0015】
本発明の幅方向位置合わせ装置における第1センサは、第1搬送手段の前部において、第1搬送手段上の幅方向両側の所定位置を継続的に検知する手段である。幅方向両側の所定位置とは、スライス食品の正常位置の許容範囲の両端位置であり、例えば、製品標準直径(製品原木型直径)を有するスライス食品の正常中心位置における幅方向両端から外側にそれぞれ距離A離れた位置であって、距離Aとしては、例えば、1〜5mmであり、スライスハムの場合、1.5〜2.5mmであることが好ましい。この第1センサ間の距離は、例えば、後述する包装装置に用いる包装容器の収容部(凹部)の直径と同じ長さに設定することができる。第1センサは、搬送されてくるスライス食品が許容範囲からはみ出ている場合に、スライス食品の幅方向端部を感知し、第1制御手段Aに感知情報を伝達する。
【0016】
本発明の幅方向位置合わせ装置における第1制御手段Aは、第1センサがスライス食品端部を感知した場合、感知した側と逆方向に前側の捲回手段を移動させるよう捲回手段の駆動源を制御するものであり、前側の捲回手段を距離a移動させるよう制御する。距離aとしては、例えば、距離Aの0.2〜0.8倍程度であり、スライスハムの場合、0.5〜2.0mmであることが好ましい。
【0017】
また、本発明の他のスライス食品位置合わせ装置は、搬送方向に所定間隔をあけて配置された一対の捲回手段に複数本の丸ベルトを捲回して構成されると共に前側の捲回手段が幅方向に移動可能に設置された第1搬送手段と、該第1搬送手段の前部において、通過するスライス食品の画像を取得するCCDカメラと、該CCDカメラによる画像に基づき、第1搬送手段上の幅方向両側の所定位置からの外側へのずれを計測し、該ずれの大きさに応じてずれが生じた側と逆方向に前側の捲回手段を移動させる第1制御手段Bとを具備する幅方向位置合わせ装置Bを備えた装置であれば特に制限されるものではなく、幅方向位置合わせ装置Bにおける第1搬送手段は、幅方向位置合わせ装置Aの第1搬送手段と同様の構成である。
【0018】
本発明の装置におけるCCDカメラは、例えば、第1搬送手段の前部の上方から、通過するスライス食品を撮影し、第1制御手段Bに画像情報を伝達する。
【0019】
本発明の装置における第1制御手段Bは、CCDカメラから伝達された画像情報に基づき、第1搬送手段上の幅方向両側の所定位置(上記許容範囲の両端位置)からの外側へのずれを計測し、スライス食品が許容範囲内に収まるよう、ずれが生じた側と逆方向に前側の捲回手段を移動させる。例えば、計測されたずれの大きさから、スライス食品が第1搬送手段の中心位置に移動するための捲回手段の移動距離を演算し、前側の捲回手段を移動させることができる。本発明の装置における前側の捲回手段を駆動する手段としては、個々のスライス食品のずれの大きさに応じて捲回手段を正確に移動させるべく、サーボモータを用いることが好ましい。
【0020】
また、本発明のスライス食品位置合わせ装置は、幅方向位置合わせ装置の下流に、搬送方向位置合わせ装置を備えることが好ましい。搬送方向位置合わせ装置としては、従来公知の手段を用いることができるが、第2搬送手段と、該第2搬送手段上の幅方向中心部かつ搬送方向の所定位置を検知し、スライス食品の前端部を感知する第2センサと、該第2センサがスライス食品の前端部を感知することをトリガとして、第2搬送手段の搬送方向端部から一定距離の所定位置にスライス食品が位置するよう第2搬送手段を停止させる第2制御手段と、該第2搬送手段の所定位置に配置されたスライス食品を下流側手段に送り出すよう第2搬送手段を動作させる第3制御手段とを具備する装置が好ましい。本発明の搬送方向位置合わせ装置による位置合わせは、幅方向の位置合わせ後に行うので、第2搬送手段の幅方向中心部でスライス食品を感知することにより、正確に位置合わせすることができる。
【0021】
第2搬送手段は、平ベルトや丸ベルトを用いたコンベアであり、通常は、搬送方向の長さがスライス食品の0.8〜1.5倍程度の長さである。第2センサは、第2搬送手段上の幅方向中心部かつ搬送方向の所定位置を継続的に検知する手段であり、搬送されてくるスライス食品の前端部を感知する手段である。幅方向位置合わせ装置によりスライス食品の幅方向のずれの修正が行われており、スライス食品が中心に位置しているので、第2センサにより幅方向中心部を検知することにより、確実にスライス食品の最先端部を感知することができ、この感知情報を第2制御手段に伝達する。
【0022】
第2制御手段は、第2センサから伝達される感知情報をトリガとして、第2搬送手段の搬送方向端部から一定距離の所定位置にスライス食品が位置するよう第2搬送手段を停止させる手段であり、例えば、第2センサが感知から所定時間後に第2搬送手段を停止させる。搬送方向位置合わせ装置が複数台並設されている場合には、複数台を同一設定とすることにより、隣り合う複数のスライス食品の搬送方向の位置を合わせることが可能となる。第3制御手段は、第2搬送手段の所定位置に配置されたスライス食品を、下流側手段に送り出すよう第2搬送手段を動作させる手段であり、第2搬送手段の下流には、この第2搬送手段の動作(搬送速度)と同じ動作をする第3搬送手段を設けることができる。かかる第3搬送手段は、複数の第2搬送手段のスライス食品を載置できる幅を有する1つの搬送手段であることが好ましい。
【0023】
本発明のスライス食品包装体製造機としては、ハム原木等の食物原木をスライスするスライス装置と、スライスされたスライス食品の位置合わせを行う上記本発明の位置合わせ装置と、位置合わせされたスライス食品を包装容器に投入する容器投入装置と、投入されたスライス食品を包装する包装装置とを備えていれば特に制限されるものではなく、スライス装置、位置合わせ装置、容器投入装置及び包装装置を含む一連の装置群が複数並設され、同時に複数本の食物原木を処理するスライス食品包装体製造機であることが、製造効率の点から好ましい。従来、このように同時に複数本の食物原木を処理する際には、包装容器への投入のずれを修正すべく、複数の人員を配置する必要があったが、本発明のスライス食品包装体製造機は、位置合わせ装置を備えているので、包装容器への投入のずれがほぼなくなり、高い製造効率を保持しつつ人員を削減することができる。
【0024】
スライス装置は、食物原木を切断してスライス食品を調製する装置であり、例えば、特開2000−288983号公報に記載の装置を用いることができる。容器投入装置は、所定位置に配置された(所定間隔に位置合わせされた)スライス食品を所定位置に配置された包装容器に投入する装置であり、包装装置と同期して動作し、連続して処理できるものが好ましい。包装装置としては、例えば深絞り包装容器を用いて包装する装置であり、上記のように、連続して処理ができるように容器投入装置と同期して動作するものが好ましい。
【0025】
本発明のスライス食品包装体の製造方法としては、ハム原木等の食物原木をスライスするスライス工程と、複数本の丸ベルトを一対の捲回手段に捲回して構成された第1搬送手段の前部において、正常位置から幅方向にずれたスライス食品の幅方向端部を第1センサにより感知し、該第1センサが感知した場合に、感知した側と逆方向に前側の捲回手段を移動させて幅方向の位置合わせを行う幅方向位置合わせ工程と、スライス食品を包装容器に収容する包装工程とを有する方法や、食物原木をスライスするスライス工程と、複数本の丸ベルトを一対の捲回手段に捲回して構成された第1搬送手段の前部において、通過するスライス食品の画像をCCDカメラにより取得し、CCDカメラによる画像に基づき、第1搬送手段上の幅方向両側の所定位置からの外側へのずれを計測し、該ずれの大きさに応じてずれが生じた側と逆方向に前側の捲回手段を移動させて幅方向の位置合わせを行う幅方向位置合わせ工程と、スライス食品を包装容器に収容する包装工程とを有する方法であれば特に制限されるものではなく、幅方向位置合わせ工程の後に搬送方向位置合わせ工程を有することが好ましい。
【0026】
搬送方向位置合わせ工程としては、従来公知の搬送方向の位置合わせ方法を用いることもできるが、第2搬送手段の搬送方向の所定位置においてスライス食品の前端部を第2センサにより感知し、第2センサが感知することをトリガとして、第2搬送手段の搬送方向の所定位置にスライス食品が位置するよう第2搬送手段を停止させ、該第2搬送手段の所定位置に配置されたスライス食品を下流側手段に送り出す工程であることが好ましい。本発明のスライス食品包装体の製造方法は、上記本発明の食品包装体製造機を用いて実施することができ、複数本の食物原木を同時に処理することが可能である。
【0027】
以下、図面を参照しつつ、本発明を一実施形態に基づきより具体的に説明するが、本発明は本実施形態に制限されるものではない。
図1は、本発明の一実施形態に係るスライス食品位置合わせ装置の概略説明図であり、図2は、図1に示されるスライス食品位置合わせ装置と組合せ可能なスライス装置の概略平面図であり、図3は、図1に示されるスライス食品位置合わせ装置における幅方向位置合わせ装置の詳細の説明図であり、図4は、図1に示されるスライス食品位置合わせ装置における搬送方向位置合わせ装置の詳細の説明図であり、図5は、図1に示されるスライス食品位置合わせ装置と組合せ可能な容器投入装置の詳細の説明図である。
【0028】
図1に示すように、本発明のスライス食品位置合わせ装置は、上流側(図面右側)から、幅方向位置合わせ装置1、搬送方向位置合わせ装置2を備えており、かかるスライス食品位置合わせ装置1,2の下流に、容器投入装置3及び包装装置4が設けられている。また、スライス食品位置合わせ装置1,2の上流には、図2に示すスライス装置5が設けられている。これら一連の装置によって本発明のスライス食品包装体製造機が構成され、本実施形態においては、3本のハム原木を同時に処理を行う。
【0029】
以下、上流側の装置から順に説明する。
図2に示すように、スライス装置5は、1つの回転ナイフ51と、3列並設されたハム原木を収容する収容レーンに収容された3本のハム原木を一括して送り出すための一括送り手段52及び一括送り手段52を支持する支持フレーム53と、3本のハム原木を個別に送り出す3つの個別送り手段54とを備えている。また、収容レーンに収容されたハム原木は、個別送り手段54側が上方、回転ナイフ51側が下方になるよう傾斜しており、回転ナイフ51の下方には、スライスされて落下するスライスハムを載置して搬出する搬出手段(搬出コンベア)が設けられており、スライスハムが複数枚重畳的に重なった一塊のスライスハムを搬出するよう間欠的に動作する。
【0030】
図1及び図3に示すように、幅方向位置合わせ装置1は、5本の丸ベルト11を一対のベルトプーリ(捲回手段)12,13に捲回して構成された搬送コンベア(第1搬送手段)14を3列備えている。また、前側(図面左側)のベルトプーリ13は、直動モータ15により幅方向に移動可能に設置されている。かかる搬送コンベア14の前部の幅方向両側の上方には、光電センサ16,17が支持アーム18に支持されており、かかる光電センサ16,17は、搬送コンベア14上の前部の幅方向両側を継続的に検知し、幅方向に位置ずれが生じたスライスハムの通過を感知する。すなわち、幅方向の位置ずれが許容範囲内にあるスライスハムが通過する際には、光電センサ16,17は何も感知しないが、幅方向に位置ずれが生じたスライスハムが通過する場合は、ずれが生じた側の光電センサ16,17がスライスハムの幅方向端部を感知する。
【0031】
この光電センサ16,17の感知情報は、第1制御手段Aに伝達され、第1制御手段Aが直動モータ15を制御して、感知した側と逆方向に前側のベルトプーリ13を移動させる。具体的に、搬送方向に向かって右側の光電センサ16がスライスハムを感知した場合は、前側のベルトプーリ13を左側に移動させ、左側の光電センサ17がスライスハムを感知した場合は、前側のベルトプーリ13を右側に移動させ、スライスハムが許容範囲内に位置するよう修正する。
【0032】
図1及び図4に示すように、搬送方向位置合わせ装置2は、並設された3列のベルトコンベア(第2搬送手段)21及びその下流に設けられた列調整ベルトコンベア(第3搬送手段)22を備えている。ベルトコンベア21には、それぞれ1組のスライスハム(重畳された一塊のスライスハム)が載置され、列調整ベルトコンベア22には、搬送方向に2組、幅方向に3組の計6組のスライスハムが載置される。各ベルトコンベア21の幅方向中心部の搬送方向のやや前側の上方には、光電センサ23が設けられ、かかる光電センサ23は、ベルトコンベア21上の幅方向中心部かつ搬送方向のやや前部を継続的に検知し、搬送されてくるスライスハムの前端部を感知する。
【0033】
この光電センサ23の感知情報は、第2制御手段に伝達され、第2制御手段が、この感知情報をトリガとして、スライスハムがベルトコンベア21上の搬送方向の所定位置に位置するようベルトコンベア21を停止させる。続いて、第3制御手段により、ベルトコンベア21上の搬送方向の所定位置に配置されたスライス食品を、下流の列調整ベルトコンベア22に送り出すようベルトコンベア21を動作させる。このとき、列調整ベルトコンベア22がベルトコンベア21に同期して動作し、列調整ベルトコンベア22上に、搬送方向に2組のスライスハムを整列させる。そして、ベルトコンベア21及び列調整ベルトコンベア22上に計9組のスライスハムが載置されると、9組のスライスハムを一回の動作で容器投入装置3へ送り出す。
【0034】
図1及び図5に示すように、容器投入装置3は、ベルトコンベア(第4搬送手段)31を備え、かかるベルトコンベア31には、搬送方向及び幅方向に整列された3組×3組の計9組のスライスハムが載置される。かかるベルトコンベア31の前端部には、ナイフエッジ(滑り板)32が設けられており、スライスハムの包装容器内への投入を容易にしている。上記のように、ベルトコンベア21及び列調整ベルトコンベア22上に計9組のスライスハムが載置されると、9組のスライスハムが一回の動作で送り出されるが、容器投入装置3のベルトコンベア31も、この一回の動作に同期して動作する。
【0035】
図1に示すように、包装装置4は、直前に熱成形された凹部41を搬送方向及び幅方向に有する包装フィルム42を備え、容器投入装置3のベルトコンベア31と同期して動作する。すなわち、一回の動作で、容器投入装置3上に載置された3組×3組の計9組のスライスハムが、包装装置4の包装容器内に投入される。
【符号の説明】
【0036】
1 幅方向位置合わせ装置
11 丸ベルト
12 後側ベルトプーリ(捲回手段)
13 前側ベルトプーリ(捲回手段)
14 搬送コンベア(第1搬送手段)
15 直動モータ
16 光電センサ(第1センサ)
17 光電センサ(第1センサ)
18 支持アーム
19 駆動ギア
2 搬送方向位置合わせ装置
21 ベルトコンベア(第2搬送手段)
22 列調整ベルトコンベア(第3搬送手段)
23 光電センサ(第2センサ)
24 駆動ギア(第2搬送手段)
25 駆動ギア(第3搬送手段)
3 容器投入装置
31 ベルトコンベア(第4搬送手段)
32 ナイフエッジ(滑り坂)
33 駆動ギア
4 包装装置
41 凹部
42 包装フィルム
5 スライス装置
51 回転ナイフ
52 一括送り手段
53 支持フレーム
54 個別送り手段
A スライスハム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送方向に所定間隔をあけて配置された一対の捲回手段に複数本の丸ベルトを捲回して構成されると共に前側の捲回手段が幅方向に移動可能に設置された第1搬送手段と、
該第1搬送手段の前部において、第1搬送手段上の幅方向両側の所定位置を検知し、正常位置から幅方向にずれたスライス食品の幅方向端部を感知する第1センサと、
該第1センサがスライス食品端部を感知した場合、感知した側と逆方向に前側の捲回手段を移動させる第1制御手段Aと、を具備する幅方向位置合わせ装置
を備えたことを特徴とするスライス食品位置合わせ装置。
【請求項2】
搬送方向に所定間隔をあけて配置された一対の捲回手段に複数本の丸ベルトを捲回して構成されると共に前側の捲回手段が幅方向に移動可能に設置された第1搬送手段と、
該第1搬送手段の前部において、通過するスライス食品の画像を取得するCCDカメラと、
該CCDカメラによる画像に基づき、第1搬送手段上の幅方向両側の所定位置からの外側へのずれを計測し、該ずれの大きさに応じてずれが生じた側と逆方向に前側の捲回手段を移動させる第1制御手段Bと、を具備する幅方向位置合わせ装置
を備えたことを特徴とするスライス食品位置合わせ装置。
【請求項3】
幅方向位置合わせ装置の下流に、搬送方向位置合わせ装置を備え、
該搬送方向位置合わせ装置が、第2搬送手段と、該第2搬送手段上の幅方向中心部かつ搬送方向の所定位置を検知し、スライス食品の前端部を感知する第2センサと、該第2センサがスライス食品の前端部を感知することをトリガとして、第2搬送手段の搬送方向端部から一定距離の所定位置にスライス食品が位置するよう第2搬送手段を停止させる第2制御手段と、該第2搬送手段の所定位置に配置されたスライス食品を下流側手段に送り出すよう第2搬送手段を動作させる第3制御手段と、を具備することを特徴とする請求項1又は2記載のスライス食品位置合わせ装置。
【請求項4】
幅方向位置合わせ装置及び搬送方向位置合わせ装置を含む一連の装置群が複数並設され、同時に複数のスライス食品を処理することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のスライス食品位置合わせ装置。
【請求項5】
スライス食品がスライスハムであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載のスライス食品位置合わせ装置。
【請求項6】
食物原木をスライスするスライス装置と、スライスされたスライス食品の位置合わせを行う請求項1〜3のいずれか記載の位置合わせ装置と、位置合わせされたスライス食品を包装容器に投入する容器投入装置と、投入されたスライス食品を包装する包装装置と、を備えたことを特徴とするスライス食品包装体製造機。
【請求項7】
スライス装置、位置合わせ装置、容器投入装置及び包装装置を含む一連の装置群が複数並設され、同時に複数本の食物原木を処理することを特徴とする請求項6記載の食品包装体製造機。
【請求項8】
食物原木がハム原木であることを特徴とする請求項6又は7記載の食品包装体製造機。
【請求項9】
食物原木をスライスするスライス工程と、
複数本の丸ベルトを一対の捲回手段に捲回して構成された第1搬送手段の前部において、正常位置から幅方向にずれたスライス食品の幅方向端部を第1センサにより感知し、該第1センサが感知した場合に、感知した側と逆方向に前側の捲回手段を移動させて幅方向の位置合わせを行う幅方向位置合わせ工程と、
スライス食品を包装容器に収容する包装工程と、
を有することを特徴とするスライス食品包装体の製造方法。
【請求項10】
食物原木をスライスするスライス工程と、
複数本の丸ベルトを一対の捲回手段に捲回して構成された第1搬送手段の前部において、通過するスライス食品の画像をCCDカメラにより取得し、CCDカメラによる画像に基づき、第1搬送手段上の幅方向両側の所定位置からの外側へのずれを計測し、該ずれの大きさに応じてずれが生じた側と逆方向に前側の捲回手段を移動させて幅方向の位置合わせを行う幅方向位置合わせ工程と、
スライス食品を包装容器に収容する包装工程と、
を有することを特徴とするスライス食品包装体の製造方法。
【請求項11】
幅方向位置合わせ工程の後に、搬送方向位置合わせ工程を有し、
該搬送方向位置合わせ工程が、第2搬送手段の搬送方向の所定位置においてスライス食品の前端部を第2センサにより感知し、第2センサが感知することをトリガとして、第2搬送手段の搬送方向の所定位置にスライス食品が位置するよう第2搬送手段を停止させ、該第2搬送手段の所定位置に配置されたスライス食品を下流側手段に送り出す工程であることを特徴とする請求項9又は10記載のスライス食品包装体の製造方法。
【請求項12】
複数本の食物原木を同時に処理することを特徴とする請求項9〜11のいずれか記載のスライス食品包装体の製造方法。
【請求項13】
食物原木がハム原木であることを特徴とする請求項9〜12のいずれか記載のスライス食品包装体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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