説明

スライド操作スイッチ

【課題】スライド操作スイッチについて構造を簡素化し且つ薄型化する。
【解決手段】スライド操作スイッチ1の操作部材3には摺動電極6を設ける。また固定部材2には、操作部材3の側方移動による摺動電極6との接触位置の変化に応じて抵抗値が変化するX座標可変抵抗体4及びY座標可変抵抗体5を設ける。そして、操作部材3を側方へスライド操作させると、両可変抵抗体4,5により出力電圧値が変化することで座標入力を行える。このように固定部材2、操作部材3及び摺動電極6と2種の可変抵抗体4,5から構成されており、部品点数が少ない簡素な構造を実現できる。さらに側方移動位置の入力を平面的な構成の摺動電極6と可変抵抗体4,5との摺動接点で行っているため薄型化を実現できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話、PDA等の携帯情報端末や、リモコン、AV機器、ゲーム機等の各種電子機器に用いられるスライド操作スイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
各種電子機器は年々多機能化し、スイッチによる入力操作においても、単一の機能選択にとどまらず、表示画面の切替えやカーソルなどの移動操作が行われるようになっている。すなわち、単なる押圧操作に限らず、平面内の360度全方向への多方向入力操作が行われるようになってきている。
【0003】
多方向入力操作を行うスイッチには、例えばスティック操作タイプ、タッチパッド操作タイプ、スライド操作タイプがある。これらのうち、スライド操作タイプのスイッチは入力操作し易いという利点があり、多くの電子機器に搭載されている(特許文献1)。
【特許文献1】特開2001−202198号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、携帯情報端末やAV機器等の各種電子機器は小型化が進み、市場からは搭載するスイッチに対する構造の簡素化・薄型化が強く要請される。特許文献1のスライド操作スイッチは、多くの部品を備えている機械的構成のものである。具体的には、基板の表面に形成される抵抗回路、基板に固定するケース、ケースに装着したスライド式の操作体、操作体のスライド操作に伴ってX方向及びY方向へ直線的に移動する上下一組の移動体、移動体の各一側部に取り付けられ基板表面の抵抗回路と摺接する一組の接触子、移動体を原点位置に自動復帰させる一組のコイルスプリング等を備えており、部品点数が多く、構造が複雑である。さらに付け加えると、立体的に構成された部品を組み込んでおり、スイッチ全体の嵩が大きく、スイッチを薄型化することが困難である。また、スライド操作に伴うコイルスプリングの伸縮によって、このバネ定数が次第に小さくなる。すると移動体への付勢力が弱まることから、移動体が原点位置に自動復帰しなくなる恐れがある。
【0005】
以上のような従来技術を背景としてなされたのが本発明である。すなわち本発明は、構造が簡素で薄型のスライド操作スイッチの提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成すべく本発明は以下のように構成される。
【0007】
すなわち、本発明は、固定部材と、固定部材の面方向に沿って側方移動可能な操作部材と、を備えるスライド操作スイッチについて、固定部材又は操作部材の何れか一方に摺動電極を設けるとともに、前記何れか他方に操作部材の側方移動による該摺動電極との接触位置の変化に応じて抵抗値が変化するX座標可変抵抗体及びY座標可変抵抗体を設けたことを特徴とするスライド操作スイッチを提供する。
【0008】
本発明では、固定部材又は操作部材の何れか一方に摺動電極を設けるとともに、前記何れか他方に操作部材の側方移動による該摺動電極との接触位置の変化に応じて抵抗値が変化するX座標可変抵抗体及びY座標可変抵抗体を設けている。そして、操作部材の側方移動操作に伴う両可変抵抗体により検出される物理値の変化、例えば出力電圧値を検出させ、側方移動位置を算出し、座標入力を行うものである。このように固定部材、操作部材及びこれらに付属する摺動電極と2種の可変抵抗体から構成されており、部品点数が少なく、簡素な構造を実現できる。さらに側方移動位置の入力を平面的な構成の摺動電極と可変抵抗体との摺動接点で行っているため、薄型化を実現できる。
【0009】
本発明は前記スライド操作スイッチについて、固定部材と操作部材が絶縁性シートでなるものある。
【0010】
本発明によれば、固定部材と操作部材を絶縁性シートで形成しているため、薄型化と軽量化を実現できる。絶縁性シートとしては、シリコーンゴム等の熱硬化性エラストマー、熱可塑性エラストマーといったゴム状弾性体でなる弾性シートや樹脂フィルムを使用することができる。
【0011】
本発明は前記スライド操作スイッチについて、可変抵抗体を平面視で矩形状とするものである。
【0012】
本発明によれば、可変抵抗体を平面視で矩形状に形成しているため、可変抵抗体と摺動電極との接点の移動量に伴って可変抵抗体の抵抗値が比例的に変化する。よって操作部材の移動量に伴う直線的な座標入力が簡単に制御できる。
【0013】
本発明は前記スライド操作スイッチについて、可変抵抗体を平面視で円弧状とするものである。
【0014】
本発明によれば、可変抵抗体を平面視で円弧状に形成しているため、可変抵抗体と摺動電極との摺動接点が可変抵抗体の端部に近づくと、可変抵抗体の抵抗値の変化量が曲線的・アナログ的に変化する。よって操作部材の移動量に伴い座標移動の速度が加速するような座標入力が簡単に制御できる。
【0015】
本発明は前記スライド操作スイッチについて、操作部材に側方移動する操作部材を原点復帰させる弾性シートを設けたものである。
【0016】
本発明によれば、操作部材に側方移動する操作部材を原点復帰させる弾性シートを設けているため、側方移動させた操作部材への操作を解除するだけで、変形した弾性シートの反撥力によって操作部材を原点位置に自動的に復帰させることができる。
【0017】
本発明は前記スライド操作スイッチについて、原点位置にある操作部材の下方に操作部材の押圧操作により入力される接点スイッチを設けたものである。
【0018】
本発明では、原点位置にある操作部材の下方に操作部材の押圧操作により入力される接点スイッチを併設しているため、操作部材によって側方移動操作による座標入力と押圧操作による入力とを行うことができる。具体的には、側方移動操作により画面上の項目を選択し、操作部材の押圧操作により当該項目の選択を決定するような操作を行える。この場合の接点スイッチは、固定部材における操作部材との対向面に設けることができる。また接点スイッチは、固定部材の裏面側に基板を設け、該基板に設けることができる。
【0019】
本発明は前記スライド操作スイッチについて、X座標可変抵抗体とY座標可変抵抗体を線状体にて形成し、接点スイッチの外方位置に設けたものである。
【0020】
本発明では、X座標可変抵抗体とY座標可変抵抗体を線状体にて形成し、接点スイッチの外方位置に設けているため、操作部材の押圧操作により確定入力等を行うための接点スイッチを原点位置にある操作部材の下側に配置することができる。
【0021】
以上の本発明による摺動電極の具体的形態は、例えば以下のように構成することができる。
【0022】
その第1は、X座標可変抵抗体とY座標可変抵抗体とに対して各々直交状態で接触する2直線として摺動電極を形成するものである。これによれば、直線状の摺動電極が斜めに各可変抵抗体と接触する場合と、直線状の摺動電極が直交して各可変抵抗体と接触する場合とを比較すると、各可変抵抗体に対する摺動電極の接触幅は、前者が大きく後者が小さくなる。したがって、第1の形態によれば、各可変抵抗体について摺動電極の有効移動長を長く取ることが可能であり、座標入力の範囲を大きく設定することができる。
【0023】
第2に、摺動電極を平面視で円形、多角形などの環状部と該環状部の周上における異なる2点からそれぞれ外方に伸びる直線とするものである。これによれば、摺動電極の環状部内に接点スイッチを設けたりその押圧領域を設けることができる。
【0024】
また、以上の本発明は、さらに次のように構成することができる。
【0025】
前記本発明のスライド操作スイッチについては、固定部材と操作部材との間に、操作部材の滑り摩擦の小さい摺動体を備えるものとして構成できる。これによれば、操作部材を側方移動する際に摺動体との摩擦抵抗が少なくスムースな移動ができる。よって操作者は軽い力で側方移動操作できるようになる。
【0026】
前記本発明のスライド操作スイッチについては、固定部材又は操作部材の少なくとも何れか一方が、低摩擦体でなるものとして構成できる。これによれば、操作部材を側方移動する際に固定部材との摩擦抵抗が小さくスムースな移動ができる。よって操作者は軽い力で側方移動操作できるようになる。低摩擦体は、摩擦係数が小さい素材で形成されたものや表面光沢が低いものである。摩擦係数が小さい素材は、例えば、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリアセタール系樹脂、高分子量ポリエチレン樹脂が挙げられる。表面光沢が低いものは、例えば60度光沢系で14以下のものである。
【発明の効果】
【0027】
本発明のスライド操作スイッチによれば、固定部材、操作部材、摺動電極、2種の可変抵抗体から構成されており、部品点数が少なく、簡素な構成によって、スライド操作による多方向入力を実現することができる。さらに側方移動位置の入力を平面的な構成の摺動電極と可変抵抗体との摺動接点で行っているため、薄型化を実現することができる。さらに、構成部材が少なく、製造が簡単なため、廉価なスライド操作スイッチを実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態の例について図面を参照しつつ説明する。なお、各実施形態で共通する構成については、同一符号を付して重複説明を省略する。
【0029】
第1実施形態〔図1〜図5〕
第1実施形態のスライド操作スイッチ1は、固定部材2と操作部材3とを備えている。固定部材2にはX座標可変抵抗体4とY座標可変抵抗体5が設けてあり、操作部材3には摺動電極6を設けている。
【0030】
スライド操作スイッチ1は、X座標可変抵抗体4及びY座標可変抵抗体5と、摺動電極6が対向するように、固定部材2と操作部材3とを重ね合わせたものである。そして、操作部材3は、摺動電極6が両可変抵抗体4,5と常に接触する範囲内で、固定部材2の表面上を側方移動するようにしてある。
【0031】
固定部材2は、ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム、ポリカーボネート樹脂フィルム、ポリブチレンテレフタレート樹脂フィルム、これらのアロエ樹脂フィルム等の絶縁性シートで形成されている。この固定部材2の表面には、X軸方向に沿わせて平面視矩形・直線状のX座標可変抵抗体4が、またY軸方向に沿わせて平面視矩形・直線状のY座標可変抵抗体5が設けてある。そして、それぞれの配線は別配線としてあり、X座標可変抵抗体4には配線7,8を繋ぎ、Y座標可変抵抗体5には配線9,10を繋いである。以上のようなX座標可変抵抗体4とY座標可変抵抗体5は、カーボンブラックを配合した抵抗体用インクを固定部材2に印刷して形成することができる。また配線7〜10は、カーボンブラックを配合した導電性インクをスクリーン印刷して形成することができる。導電性インクは、バインダーとなる高分子に金属やカーボンブラック等の導電性物質を多く添加したものであり、抵抗体用インクは、導電性インクに比べ導電性物質の添加量が少ないものである。
【0032】
操作部材3は、固定部材2と同様の絶縁性シートで形成されている。この操作部材3の裏面には摺動電極6が設けてある。摺動電極6は、平面視で直交する2直線からなるL字形の一体物としてある。この電極6は、銀フィラーを配合した導電性インクをスクリーン印刷して形成することができる。
【0033】
ここで、操作部材3の側方移動に伴う位置検出の方法を、一例を挙げて説明する。
【0034】
X座標を検出する際は、図3で示すように、電源を配線7,8に接続し、X座標可変抵抗体4の長手方向で電圧分布を発生させる。これによりX座標可変抵抗体4の長手方向における摺動電極6との接触位置での電圧が一意に決定され、この電圧信号は、摺動電極6、Y座標可変抵抗体5を経由して、配線9,10を通じて検出される。Y座標を検出する際は、電源を配線9,10に接続し、Y座標可変抵抗体5の長手方向で電圧分布を発生させる。これによりY座標可変抵抗体5の長手方向における摺動電極6との接触位置での電圧が一意に決定され、この電圧信号は、摺動電極6、X座標可変抵抗体4を経由して、配線7,8を通じて検出される。このようにしてX方向、Y方向の各移動方向及び各移動量(X座標,Y座標)を検出する。
【0035】
両可変抵抗体5,6の電圧と位置検出の原理について、X座標可変抵抗体4を例としてさらに説明する。なおこの説明はY座標可変抵抗体5も同じである。X座標可変抵抗体4は、図4で示すように、電源電圧VCCからX座標可変抵抗体4を通って接地線Gに接続されている。このX座標可変抵抗体4に接触する摺動電極6の位置によって、X座標可変抵抗体4の出力電圧Vの大きさが変化する。この変化量を利用して、側方移動の位置検出を行い座標入力がなされる。図5に、本実施形態におけるX座標の移動量(スライド量)と出力電圧値について測定結果を示す。この場合、移動量に対して出力電圧値がリニアに変化する。このため移動量に対応した座標入力を正確に制御できる。
【0036】
次に、本実施形態の作用・効果を説明する。
【0037】
スライド操作スイッチ1は、固定部材2、操作部材3、X座標可変抵抗体4、Y座標可変抵抗体5、摺動電極6から構成されており、部品点数が少なく、簡素な構成であるため、スライド操作による多方向入力を実現することができる。
【0038】
さらに本実施形態は、絶縁シートでなる固定部材2には平面的な構成のX座標可変抵抗体4とY座標可変抵抗体5が設けてあり、絶縁シートでなる操作部材3には平面的な構成の摺動電極6を設けている。このため薄型で軽量なものとなり、携帯機器のより一層の薄型性や軽量性を実現することができる。
【0039】
X座標可変抵抗体4及びY座標可変抵抗体5は、平面視で矩形の線状体に形成したものである。このため、両可変抵抗体4,5と摺動電極6との摺動接点の移動量に伴って両可変抵抗体4,5の抵抗値が比例的に変化する(図5)。よって、操作部材の移動量に伴う直線的な座標入力が簡単に制御できる。
【0040】
摺動電極6は、平面視で直交する2直線からなる一体物としてある。このため摺動電極6が、X座標可変抵抗体4とY座標可変抵抗体5に対して斜めに接触するのではなく、接触幅が最も小さくなる直交状態で接触することになり、両可変抵抗体4,5における摺動電極6の有効移動長を長くとることができる。よって、座標入力の範囲を大きく設定できる。
【0041】
第1実施形態の変形例〔図6〜図8〕
最後に、第1実施形態の変形例を説明する。
【0042】
第1変形例は、図6で示すように、X座標可変抵抗体11及びY座標可変抵抗体12を平面視で矩形の面状体に形成したものである。このため接触面積が大きくなり確実に摺動電極6を接触させることができる。また、接触面積が大きいため摺動電極6を小さくすることができ、よって操作部材3を小型化することができる利点がある。なお、第1変形例では、配線と繋がる可変抵抗体11,12の短辺に、それらの短辺よりも若干長い可変抵抗体電極11a,12aを設けている。このため矩形で面状体の可変抵抗体11,12の角部分においても確実に電圧をかけることができるようになっている。
【0043】
第2変形例は、図7で示すように、X座標可変抵抗体13及びY座標可変抵抗体14を平面視で円弧状に形成したものである。これによれば、両可変抵抗体13,14と摺動電極6(図示略)との摺動接点が、両可変抵抗体13,14の端部に近づくと、両可変抵抗体13,14の抵抗値の変化量が曲線的に変化する。この現象を図8を用いてX座標可変抵抗体13を例として説明する。なおY座標可変抵抗体14も同じである。図8はX座標可変抵抗体13の中央部から右端部までの拡大図である。摺動電極6をX方向へ直線的に等速移動させた場合の移動量を5区間(a〜e)に等分し、矢示してある。X座標可変抵抗体13の各区画の円弧長は、中央部aから右端部eに移るに従い次第に長くなる。つまり、各区間の抵抗値の変化量は、中央部aから右端部eに移るに従い次第に大きくなる。よって、操作部材が原点位置から離れるに従い座標移動の速度が加速するような座標入力を行うことができる。
【0044】
第2実施形態〔図9〜図11〕
第2実施形態のスライド操作スイッチ15が、第1実施形態のスライド操作スイッチ1と異なるのは、操作部材16の構成と、スペーサ17、基板18を備える構成とした点である。操作部材16には摺動電極19を設け、基板18には接点スイッチ20を設けている。固定部材2の構成は第1実施形態と同じである。
【0045】
スライド操作スイッチ15は、X座標可変抵抗体4及びY座標可変抵抗体5と、摺動電極19が対向するようにして、スペーサ17を挟んで固定部材2と操作部材16とを重ね合わせたものである。そして、操作部材16は、摺動電極19が両可変抵抗体4,5と常に接触する範囲内で、固定部材2の表面上を側方移動するようにしてある。固定部材2の操作部材16と対向する面との反対面には、接点スイッチ20を設けた基板18が設置してある。
【0046】
操作部材16は、シリコーンゴムで形成されている。この操作部材16は、円柱状の基部16aの上端に外方に広がる円環状の薄肉部16bが形成され、該薄肉部16bの外方には薄肉部16bの肉厚よりやや厚肉の脚部16cが設けてある。この脚部16cの裏面にはスペーサ17が固着している。基部16aの表面には、円柱状の突起16dが設けられており、この突起16dは基部16aと同軸で基部16aの径より小径に形成してある。基部16aの裏面には、基板18に向かって円柱状の押し子部16eが設けられており、この押し子部16eは基部16aと同軸で基部16aの径より小径に形成してある。押し子部16eの先端は、固定部材2の表面と接している。さらに押し子部16eを囲むように、円環状の樹脂フィルム21に形成された摺動電極19を設けてある。摺動電極19は、平面視で円形の環状部19aと、その環状部19aの周上に異なる2点からそれぞれ外方に伸びる線状部19b,19cとで形成されている。この摺動電極19は、樹脂フィルム21に金属蒸着して形成することができる。
【0047】
スペーサ17は、硬質樹脂で、四角形の環状に形成されている。スペーサ17の肉厚は、X座標可変抵抗体4及びY座標可変抵抗体5と摺動電極19が接触する厚みに形成してある。
【0048】
基板18は、樹脂で平板に形成されている。基板18の表面には、操作部材16の基部16aの原点位置の下方に、金属皿バネによる接点スイッチ20が設けてある。
【0049】
次に、第2実施形態の作用・効果を説明するが、第2実施形態に固有のものだけを説明し、第1実施形態と共通の説明は省略する。
【0050】
操作部材16には、円環状の薄肉部16bが設けてある。薄肉部16bはシリコーンゴムでなるため、側方移動させた基部16aの操作を解除すると、変形した薄肉部16bの反撥力によって基部16aを原点位置に自動的に復帰させることができる。
【0051】
スライド操作スイッチ15は、原点位置にある基部16aの下方に接点スイッチ20を設けている。この接点スイッチ20は、突起16dの押圧操作に伴い、押し子部16eによって押圧され、入力するものである。このため、側方移動操作による座標入力と押圧操作による入力の両入力を行うことができる。
【0052】
また、X座標可変抵抗体4とY座標可変抵抗体5を直線の線状体にて形成し、接点スイッチ20の外方位置に設けているため、原点位置にある接点スイッチ20の押圧操作を繰り返しても、両可変抵抗体4,5に押圧荷重がかかりにくく、両可変抵抗体4,5を破損し難くできる。
【0053】
摺動電極19が、平面視で円形の環状部19aと、線状部19b,19cとで形成されているため、この環状部19aの内側に押し子部16eと接点スイッチ20を設けることができる。よって、接点スイッチ20の押圧操作を繰り返しても、摺動電極19に押圧荷重がかかりにくく、破損し難くできる。
【0054】
操作部材16は、低摩擦体であるシリコーンゴムで形成されている。このため、基部16aを側方移動する際、押し子部16eの先端と固定部材2の表面との摩擦抵抗が小さくスムースな移動ができる。よって操作者は軽い力で側方移動操作できるようになる。なお、本実施形態では、操作部材16を弾性と低摩擦性の両特性を兼ね備えるシリコーンゴムでなるものとしているが、これ以外のゴム状弾性体を用いて操作部材16を形成し、固定部材2と接する操作部材16の先端に低摩擦体でなる層を設けても同様の効果を実現できる。
【0055】
第2実施形態の変形例〔図12〕
最後に、第2実施形態の変形例を説明する。
【0056】
第2実施形態の変形例は、脚部16cを厚肉にし、X座標可変抵抗体4及びY座標可変抵抗体5と摺動電極19が接触するようにして、固定部材2に固着するものである。これによれば、スペーサ17の使用廃止により構造をさらに簡素化することができる。
【0057】
第3実施形態〔図13〜図15〕
第3実施形態のスライド操作スイッチ22が、第1実施形態のスライド操作スイッチ1と異なるのは、操作部材23の構成と操作体24、摺動体25、基板18を備える点である。操作部材23には摺動電極19を設け、基板18には第2実施形態と同様の接点スイッチ20を設けている。残余の構成は第1実施形態と同じである。
【0058】
スライド操作スイッチ22は、X座標可変抵抗体4及びY座標可変抵抗体5と、摺動電極19が対向するようにして、摺動体25を挟んで固定部材2と操作部材23とを重ね合わせたものである。そして、操作部材23は、摺動電極19が両可変抵抗体4,5と常に接触する範囲内で、固定部材2の表面上を側方移動するようにしてある。操作部材23の固定部材2と対向する面との反対面には、薄肉部24aを設けた操作体24が固着してある。固定部材2の操作部材23と対向する面との反対面には、接点スイッチ20を設けた基板18が設置してある。
【0059】
操作部材23は、固定部材2と同様の絶縁性シートで形成されている。この操作部材23には、肉厚を貫通する孔23aが形成され、この孔23aには操作体24の押し子部24bが貫入している。操作部材23の表面には、孔23aの縁部分に操作体24の基部24cが固着してある。操作部材23の裏面には、孔23aの外周に摺動電極19が設けてある。この摺動電極19は、銀フィラーを配合した導電性インクをスクリーン印刷して形成することができる。
【0060】
操作体24は、シリコーンゴムで形成されている。その操作体24は、円柱状の基部24cの側面に外方に広がる薄肉部24aが形成されている。この薄肉部24aは、外縁部分がスライド操作スイッチ21の周囲にある部材(図示略)に固定されている。基部24cの裏面には、基板18に向かって円柱状の押し子部24bが設けられており、この押し子部24bは基部24cと同軸で基部24cの径より小径に形成してある。押し子部24bの先端は、操作部材23の孔23aに貫入し、固定部材2の表面に接している。
【0061】
摺動体25は、球状粒子を含有する絶縁性の層として備えてある。この摺動体25は、固定部材2の表面にスクリーン印刷して形成され、表面は球状粒子が僅かに露出し、2μm〜3μm程度の高低差がある微細な凹凸面になっている。
【0062】
次に、第3実施形態の作用・効果を説明するが、第3実施形態に固有のものだけを説明し、第1実施形態と共通の説明は省略する。
【0063】
操作体24には、薄肉部24aが設けてある。薄肉部24aはシリコーンゴムでなるため、側方移動させた基部24c及びそれと固着している操作部材23の操作を解除すると、変形した薄肉部24aの反撥力によって基部24c及び操作部材23を原点位置に自動的に復帰させることができる。
【0064】
スライド操作スイッチ21は、原点位置にある基部24cの下方に接点スイッチ20を設けている。この接点スイッチ20は、基部24cの押圧操作に伴い、押し子部24bによって押圧され、入力するものである。このため、側方移動操作による座標入力と押圧操作による入力の両入力を行うことができる。
【0065】
また、X座標可変抵抗体4とY座標可変抵抗体5を直線の線状体にて形成し、接点スイッチ20の外方位置に設けているため、原点位置にある接点スイッチ20の押圧操作を繰り返しても、両可変抵抗体4,5に押圧荷重がかかりにくく、両可変抵抗体4,5を破損し難くできる。
【0066】
摺動電極19が、平面視で円形の環状部19aと、線状部19b,19cとで形成されているため、その環状部19aの内側に押し子部23bと接点スイッチ20を設けることができる。よって、接点スイッチ20の押圧操作を繰り返しても、摺動電極19に押圧荷重がかかりにくく、破損し難くできる。
【0067】
摺動体25は、表面の微細な凹凸面によって、操作部材23との滑り摩擦を小さくしている。このため、操作部材23を側方移動する際に摺動体25との摩擦抵抗が少なくスムースな移動ができる。よって操作者は軽い力で側方移動操作できるようになる。
【0068】
第3実施形態の変形例〔図16〕
最後に、第3実施形態の変形例を説明する。
【0069】
第3実施形態の変形例は、接点スイッチ20を固定部材2の表面に配置している。この接点スイッチ20は、操作部材23の原点位置に配置され、これに伴い押し子部は、押し子部24bより短く形成されている。これによれば、基板18を無くすことができ、薄型化できる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】第1実施形態のスライド操作スイッチを模式的に示す説明図。
【図2】第1実施形態のスライド操作スイッチの側方移動説明図。
【図3】第1実施形態のスライド操作スイッチの回路説明図。
【図4】第1実施形態のスライド操作スイッチの一軸回路説明図。
【図5】第1実施形態のスライド操作スイッチの一軸回路測定図。
【図6】第1実施形態のスライド操作スイッチにおける第1変形例の平面図。
【図7】第1実施形態のスライド操作スイッチにおける第2変形例の平面図。
【図8】円弧状の可変抵抗体の拡大説明図。
【図9】第2実施形態のスライド操作スイッチを模式的に示す説明図。
【図10】第2実施形態のスライド操作スイッチを示す上面図。
【図11】図10のSA−SA線断面図。
【図12】第2実施形態のスライド操作スイッチにおける変形例の断面図。
【図13】第3実施形態のスライド操作スイッチを模式的に示す説明図。
【図14】第3実施形態のスライド操作スイッチを示す上面図。
【図15】図14のSB−SB線断面図。
【図16】第3実施形態のスライド操作スイッチにおける変形例の断面図。
【符号の説明】
【0071】
1 スライド操作スイッチ(第1実施形態)
2 固定部材
3 操作部材
4 X座標可変抵抗体
5 Y座標可変抵抗体
6 摺動電極
7 配線
8 配線
9 配線
10 配線
11 X座標可変抵抗体
11a 可変抵抗体電極
12 Y座標可変抵抗体
12a 可変抵抗体電極
13 X座標可変抵抗体
14 Y座標可変抵抗体
15 スライド操作スイッチ(第2実施形態)
16 操作部材
16a 基部
16b 薄肉部
16c 脚部
16d 突起
16e 押し子部
17 スペーサ
18 基板
19 摺動電極
19a 環状部
19b 線状部
19c 線状部
20 接点スイッチ
21 樹脂フィルム
22 スライド操作スイッチ(第3実施形態)
23 操作部材
23a 孔
24 操作体
24a 薄肉部
24b 押し子部
24c 基部
25 摺動体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定部材と、固定部材の面方向に沿って側方移動可能な操作部材と、を備えるスライド操作スイッチにおいて、
固定部材又は操作部材の何れか一方に摺動電極を設けるとともに、前記何れか他方に操作部材の側方移動による該摺動電極との接触位置の変化に応じて抵抗値が変化するX座標可変抵抗体及びY座標可変抵抗体を設けたことを特徴とするスライド操作スイッチ。
【請求項2】
固定部材と操作部材が絶縁性シートである請求項1記載のスライド操作スイッチ。
【請求項3】
X座標可変抵抗体及びY座標可変抵抗体が平面視で矩形状とするものである請求項1又は請求項2記載のスライド操作スイッチ。
【請求項4】
X座標可変抵抗体及びY座標可変抵抗体が平面視で円弧状とするものである請求項1又は請求項2記載のスライド操作スイッチ。
【請求項5】
操作部材に側方移動する操作部材を原点復帰させる弾性シートを設けた請求項1〜請求項4記載のスライド操作スイッチ。
【請求項6】
原点位置にある操作部材の下方に操作部材の押圧操作により入力される接点スイッチを設けた請求項1〜請求項5何れか1項記載のスライド操作スイッチ。
【請求項7】
X座標可変抵抗体とY座標可変抵抗体を線状体にて形成し、接点スイッチの外方位置に設けた請求項6記載のスライド操作スイッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2007−95387(P2007−95387A)
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−280773(P2005−280773)
【出願日】平成17年9月27日(2005.9.27)
【出願人】(000237020)ポリマテック株式会社 (234)
【Fターム(参考)】