説明

スライド操作装置

【課題】可動部の角度調整やスライド調整を無段階で角度調整でき、雑音の発生のない静かな作動を行うことが可能なスライド調整装置を提供する。
【解決手段】外力が作用可能な外側部材が連結されると共に軸部材10が貫通して軸部材の軸方向に移動可能な可動部材12と、軸部材に一対が配置され、可動部材の当接によって軸部材に対して傾斜して係合し、当該係合により可動部材の移動をロックするロック部材13,23と、一対のロック部材の間に配置され、ロック部材が傾斜した状態となって可動部材に係合するように付勢する弾性部材14と、軸部材の軸方向に沿った移動操作によって可動部材に当接して同部材12を移動させる操作部材とを備える。外側部材に外力が作用したとき、可動部材がロック部材に当接して可動部材の移動がロックされされ、操作部材への移動操作によって一対のロック部材の傾きを小さくしてロックを解除する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可動ルーバー窓、車両用のセンターコンソールやアームレストなどに用いられるスライド操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
可動ルーバー窓では、室内での操作によってスラットの開閉ができる一方、屋外のスラットに力が加わったときにスラットが開かないことが犯罪防止の観点から好ましい。特許文献1には、このような作動を可能とした従来の可動ルーバー窓の開閉操作装置が記載されている。
【0003】
特許文献1記載の開閉操作装置は、スラットに連結された可動部材と、可動部材を上下方向に移動させる操作部材と、可動部材側に突出して係合するようにばね付勢されてロックを行うロック部材と、操作部材の上下方向への変位をロック部材の変位に変換する斜面と、ロック部材が突出したときにロック部材が入り込むノッチとを有している。この装置では、ロック部材がノッチに入り込んでいるため、屋外でスラットに外力が作用してもスラット1が開閉作動することがないが、室内で操作部材を操作することにより、斜面によってロック部材がノッチに入ったり、出たりするため、スラット1を回転させて角度調整を行うことが可能となっている。
【特許文献1】特開2002−47868号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されている従来の開閉操作装置では、スラットの開閉角度が段階的であるため、細かな角度調整ができない不便さがある。又、スラットの開閉角度を変更する際に、ロック部材がノッチとの係合を繰り返すため、カチ、カチという雑音が発生する。このため、静かな操作ができない問題がある。以上のような問題点は、車両用のセンターコンソールやアームレスト等においても同様に発生しており、これらの部材では、角度調整やスライド調整を無段階で行うのが難しいものとなっている。
【0005】
本発明は、このような従来の問題点を考慮してなされたものであり、可動ルーバー窓やセンターコンソールなどにおける可動部材に対して、その角度調整やスライド調整を無段階で角度調整でき、しかも雑音の発生のない静かな作動を行うことが可能なスライド調整装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明のスライド操作装置は、外力が作用可能な外側部材が連結されると共に軸部材が貫通して軸部材の軸方向に移動可能な可動部材と、前記軸部材が貫通するロック穴を有して軸部材に一対が配置され、前記可動部材の当接によって軸部材に対して傾斜して係合し、当該係合により可動部材の移動をロックするロック部材と、前記一対のロック部材の間に配置され、前記ロック部材が傾斜した状態となって前記可動部材に係合するように付勢する弾性部材と、前記一対のロック部材のそれぞれの一側に外側から当接可能な外側当接部及び一対のロック部材のそれぞれの他側に内側から当接可能な内側当接部を有しており、前記軸部材の軸方向に沿った移動操作によって前記可動部材に当接して同部材を移動させる操作部材とを備え、前記外側部材に外力が作用したとき、前記可動部材がロック部材に当接して可動部材の移動がロックされ、前記操作部材への移動操作によって前記外側当接部が一方のロック部材に当接すると共に内側当接部が他方のロック部材に当接して一対のロック部材の傾きを小さくしてロックを解除することを特徴とする。
【0007】
請求項1記載の発明では、ロック部材が軸部材に対して傾斜することにより、ロック部材が軸部材に係合するため、可動部材の移動がロックされる。この状態に対し、外側部材に外力が作用すると、ロック部材が傾いた状態を維持したロック状態であるため、外側部材からの操作では角度調整やスライド調整ができない。一方、操作部材を移動操作すると、操作部材が一対のロック部材に当接して全てのロック部材の傾きを小さくするる。このため、軸部材への係合が解除され、外側部材の角度調整やスライド調整が可能となる。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のスライド操作装置であって、前記操作部材が前記可動部材に当接する部位における離隔間隔に対し、前記操作部材の前記外側当接部及び内側当接部とロック部材との離隔間隔が小さいことを特徴とする。
【0009】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載のスライド操作装置であって、前記ロック部材が板状に形成されており、横置き状となって軸部材が貫通していることを特徴とする。
【0010】
請求項4記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項記載のスライド操作装置であって、前記ロック部材における前記可動部材との当接部分に、当該当接部分と同じ方向への曲げ加工が施されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ロック部材が軸部材に係合したロック状態に対し、操作部材を移動操作すると、操作部材がロック部材に当接してロック部材の傾きが小さくなる。このため、ロック部材の軸部材への係合が解除され、操作部材による角度調整やスライド調整が可能となる。このような構造では、外側部材を無段階で角度調整でき、しかも雑音の発生のない静かな作動を行うできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
(第1実施形態)
図1〜図7は、本発明の第1実施形態のスライド操作装置を示し、図1はこの実施形態が適用された可動ルーバー窓の正面図、図2は側面図、図3は図1におけるA−A線断面図、図4は図3におけるB−B線断面図、図5は図3におけるC−C線断面図、図6は作動を示す断面図、図7は図6の要部を拡大した断面図である。
【0013】
図1に示すように、可動ルーバー窓は複数のスラット1を有している。それぞれのスラット1は、スラット軸3に回転自在に取り付けられており、スラット軸3はルーバー窓の枠2に固定されている。それぞれのスラット1には、リンク4の一端が取り付けられ、リンク4の他端は連結ピン5によって連結ロッド6に連結されている。連結ロッド6は上下方向に延びており、全てのスラット1の連結ピン5が取り付けられている。従って、連結ロッド6が上下方向に移動することにより全てのスラット1が同時に開閉作動する。
【0014】
上記構造において、連結ロッド6が上下に移動すると、連結ロッド6の動きに同期してスラット1がスラット軸3を中心に回転する。すなわち、図3において、連結ロッド6が上に移動すると、スラット1は時計方向に回転して開いた状態となり、連結ロッド6が下に移動すると、スラット1は反時計方向に回転して閉じた状態となる。この実施形態において、スラット1は外側部材として機能するものであり、スラット軸3,リンク4、連結ピン5、連結ロッド6を介して後述するスライダー12に連結される(図3参照)。
【0015】
図3及び図4に示すように、この実施形態のスライド操作装置7は、ベース9と、軸部材としてのシャフト10と、可動部材としてのスライダー12と、ロック部材としてのロックプレート13及び23と、弾性部材としてのばね14と、操作部材としての操作レバー15と、カバー17とを備えている。スライド操作装置7の全体は、ねじ等の締結具8によって枠2に固定される(図1及び図2参照)。スライド操作装置7は屋内X側に位置するものであり、スラット1は屋外Y側に位置している(図2参照)。
【0016】
ベース9は締結具8によってルーバー窓の枠2に固定される。カバー17は縦長のコ字形となっており、ベース9の外側を覆った状態でベース9と共に締結具8により枠2に固定される。ベース9における連結ロッド6側の面には、スライダー12の上下移動を案内する案内凹部9bと、スライダー12が貫通して連結ロッド6側に延びるための長穴9cとが形成されている。
【0017】
軸部材としてのシャフト10は、所定長さを有して上下方向に延びている。シャフト10は、その上下端部がベース9を貫通し、貫通端に止め輪11を係止させることにより立設状態でベース9に固定される。
【0018】
可動部材としてのスライダー12は、左側にシャフト10が上下方向に貫通し、右側にスラット1が連結される。スラット1が連結されるスライダー12の右側は、スラット1に向かって略水平に延びるアーム部12aとなっている。アーム部12aには、横長の長穴12cが形成されており、長穴12cに一の連結ピン5が貫通して連結されている。従って、スライダー12が上下方向に移動すると、一の連結ピン5を介して連結ロッド6が上下動するため、全てのスラット1が開閉する。
【0019】
スライダー12におけるアーム部12aの反対側は、左側(操作レバー15側)が開口された縦コ字形の箱型形状に形成されており、下側の第1当接片21及び上側の第2当接片22とが一対となって対向している。第1当接片21及び第2当接片22は面対称の形状となっており、それぞれには、外方に向けて傾斜した傾斜面21a、22aと、傾斜面21a、22aの傾斜始端となる頂点21b、22bとが形成されている。シャフト10は第1当接片21及び第2当接片22を貫通するものであり、シャフト10が貫通することにより、スライダー12はシャフト10の軸方向に移動可能となっている。かかる移動は、シャフト10及びベース9の案内凹部9bによってガイドされる。
【0020】
ロック部材としてのロックプレート13,23は、板状となっており、上下で対向するように一対が配置され、下側が第1ロックプレート13、上側が第2ロックプレート23となっている。第1ロックプレート13にはスライダー12の第1当接片21が当接し、第2ロックプレート23には第2当接片22が当接する。それぞれのロックプレート13,23も面対称の形状となっており、それぞれには、シャフト10が貫通するロック穴13a、23aが形成されている。
【0021】
この実施形態において、一対のロックプレート13,23は、横置き状となって配置されている。すなわち、一対のロックプレート13,23は、長辺側が正面に位置し(図4参照)、短辺側が側面に位置するように配置され、この状態でシャフト10が貫通するものである。このように一対のロックプレート13,23を横置きとすることによりスライド操作装置7の全体を薄くすることができ、室内側への突出量を少なくすることができる。
【0022】
ロックプレート13,23のロック穴13a、23aは、シャフト10の径よりの僅かに大きな径となっており、後述するようにロック穴13a、23aの上下端のエッジ部13b、13c及び23b、23cがシャフト10に食い込むことより、スライダー12の移動をロックするようになっている。
【0023】
弾性部材としてのばね14は、一対のロックプレート13,23の間に配置されるものであり、このように配置することにより、それぞれのロックプレート13,23はスライダー12とばね14との間に配置された構造となっている。ばね14は圧縮コイルばねが使用されており、シャフト10が貫通することによりシャフト10に保持されている。ばね14の上下端部は、一対のロックプレート13,23に当接しており、この当接によってロックプレート13,23が当接片21,22の頂点21b、22bに当接するように付勢している。このようなばね14の付勢により、ロックプレート13,23は頂点21b,22bを支点として左端部分が相互に離れる方向へ傾斜する。すなわち、第1ロックプレート13が左下がりに傾斜し、第2ロックプレート23が左上がりに傾斜した状態となる。この傾斜により、ロックプレート13,23のロック穴13a、23aのエッジ部13b、13c及び23b、23cがシャフト10に食い込んで係合することができる。
【0024】
操作部材としての操作レバー15は、スライダー12を挟んでスラット1との反対側に配置される。操作レバー15は操作部15mを有しており、操作部15mがカバー17に上下方向に形成した長穴16aから室内X側に突出している。操作部15mを操作することにより、操作部材15の上下方向への移動操作が可能となっている。
【0025】
操作レバー15における操作部15mとの反対側(スライダー12側)は、図4に示すように略コ字形の枠部15kとなっており、この枠部15kの内部に一対のロックプレート13,23、ばね14、及びスライダー13の当接片21、22が配置されている。図4に示すように、枠部15kの内面には、外側第1当接部15a、外側第2当接部15b、内側第1当接部15c、内側第2当接部15d、スライダー側第1当接部15e及びスライダー側第2当接部15fが形成されている。
【0026】
外側第1当接部15aは、第1ロックプレート13の長辺における一側(図4における左側)の端部(一側端部13e)に対応しており(図4及び図7参照)、外側第2当接部15bは、第2ロックプレート23の長辺における一側(図4における左側)の端部(一側端部23e)に対応している。これらの外側第1当接部15a及び外側第2当接部15bは、枠部15kの左端部をロックプレート13,23の方向に突出させることにより形成されるものであり、外側第1当接部15aは第1ロックプレート13の一側端部13eに外側から当接可能となっており、外側第2当接部15bは第2ロックプレート23の一側端部23eに外側から当接可能となっている。
【0027】
内側第1当接部15cは、第1ロックプレート13の長辺における他側(図4における右側)の端部(他側端部13f)に対応しており、内側第2当接部15dは、第2ロックプレート23の長辺における一側(図4における右側)の端部(他側端部23f)に対応している。これらの内側第1当接部15c及び内側第2当接部15dは、枠部15kにおける縦辺の中間部分に凸部27を形成することにより設けられるものである。凸部27は一対のロックプレート13,23の間に位置するように形成されており、その下端部が内側第1当接部15c、上端部が内側第2当接部15dとなっている。内側第1当接部15cは、第1ロックプレート13の他側端部13fに内側から当接可能となっており、内側第2当接部15dは第2ロックプレート23の他側端部23fに内側から当接可能となっている。
【0028】
スライダー側第1当接部15eはスライダー12の第1当接片21に対応し、スライダー側第2当接部15fはスライダー12第2当接片22に対応している。スライダー側第1当接部15eは、枠部15kの下辺部分に設けられ、スライダー側第2当接部15fは枠部15kの上辺部分に設けられている。スライダー側第1当接部15eはスライダー12の第1当接片21に当接可能となっており、スライダー側第2当接部15fはスライダー12の第2当接片22に当接可能となっている。
【0029】
この実施形態において、外側第1当接部15aと第1ロックプレート13の一側端部13eとの離隔間隔をL1、外側第2当接部15bと第2ロックプレート23の一側端部23eとの離隔間隔をL2、内側第1当接部15cと第1ロックプレート13の他側端部13fとの離隔間隔をL3、内側第2当接部15dと第2ロックプレート23の他側端部23fとの離隔間隔をL4とし、スライダー側第1当接部15eとスライダーの第1当接片21との離隔間隔をL5、スライダー側第2当接部15fと、スライダー12の第2当接片22との離隔間隔をL6とした場合、L1,L2,L3,L4はL5及びL6よりも小さくなるように設定されている。このように設定することにより、操作レバー15が上下方向に移動する際には、操作レバー15はロックプレート13,23に当接し、その後に操作レバー15はスライダー12に当接する。すなわち、操作レバー15が上方に移動するときには、外側第1当接部15aが第1ロックプレート13の一側端部15eに当接すると共に、内側第2当接部15dが第2ロックプレート23の他側端部23fに当接する。その後に、スライダー側第1当接部15eがスライダー12の第1当接片21に当接する。操作レバー15が下方に移動するときには、外側第2当接部15bが第2ロックプレート23の一側端部23eに当接すると共に内側第1当接部15cが第1ロックプレート13の他側端部13fに当接し、その後にスライダー側第2当接部15fがスライダー12の第2当接片22に当接する。
【0030】
この実施形態において、ばね14は、ロックプレート13,23のロック穴13a、23a近辺に当接してロックプレート13,23を付勢している。ばね14がこのような位置を付勢することにより、ロック穴13a,23aのエッジ部13b、13c、23b、23cがシャフト10に食い込んでロックするためのロックプレート13,23の傾斜姿勢及びロックを解除するためのロックプレート13,23の傾斜をなくした解除姿勢を確保でき、ロック及びその解除が確実に可能となる。
【0031】
次に、この実施形態の作動を説明する。
【0032】
図3はスラット1を完全に閉じた状態を示す。この状態でスラット1に手を掛けて開けようとすると、スラット1にはスラット軸3回りの時計方向の回転力が作用し、連結ロッド6には上方向への移動力が作用する。この力は、連結ピン5を介してスライダー12における第1当接片21の頂点21bに対し上方向に作用する。従って、第1ロックプレート13に反時計方向への回転力が作用して第1ロックプレート13が傾斜するため、第1ロックプレート13のエッジ部13b、13cがシャフト10に食い込んで第1ロックプレート13がロックされる。スラット1への力が強くなると、エッジ部13b,13cがシャフト10に食い込む力が強くなってロック力が増大する。その結果、スラット1を屋外から開くことができない。
【0033】
一方、スラット1が開いている状態に対し、スラット1を閉じようとして力を加えると、上述と同様な挙動が第2ロックプレート23に作用する。すなわち、スライダー12における第2当接片22の頂点22bが第2ロックプレート23を傾斜させるため、第2ロックプレート23のエッジ部23b、23cがシャフト10に食い込んで第2ロックプレート23がロックされる。その結果、屋外からはスラット1を閉じることができない。
【0034】
屋内側でスラット1を開く場合には、操作レバー15の操作部15mを把持して操作レバー15を上方向へ移動操作する。図6及び図7は、この操作における作動を示している。操作レバー15を上方へ移動させると、まず同レバー15の外側第1当接部15aが第1ロックプレート13の一側端部13eに当接して上方向に押すため、第1ロックプレート13はスライダー12の第1当接片21における頂点21bを支点にして時計方向に回転する。この回転により、第1ロックプレート13のロック穴13aにおけるエッジ部13b、13cのシャフト10への食い込みが解除され、第1ロックプレート13によるロックが解除される。
【0035】
操作レバー15の上方への移動に伴って、凸部27の内側第2当接部15dが第2ロックプレート23の他側端部23fに当接して上方に押すため、第2ロックプレート23はスライダー12の第2当接片22における頂点22bを支点として反時計方向に回転する。この回転により、第2ロックプレート23のロック穴23aにおけるエッジ部23b、23cのシャフト10への食い込みが解除され、第2ロックプレート23によるロックが解除される。以上の第1ロックプレート13及び第2ロックプレート23の解除は、スライダー側第1当接部15eとスライダー12の第1当接片21との間の隙間(離隔間隔L5)がなくなる前に完了する。
【0036】
さらに、操作レバー15を上方へ移動操作するとスライダー側第1当接部15eがスライダー12の第1当接片21の下面に当接し、スライダー12を上方へ移動させる。このとき、一対のロックプレート13,23はロック解除状態が保持されているため、シャフト10に接触することなくスライダー12と共に上方へ移動する。スライダー12の上方への移動により連結ロッド6が上動するため、スラット1が時計方向に回転してスラット1を開くことができる。
【0037】
屋内側でスラット1を閉じる場合には、操作レバー15の操作部15mを把持して下方向へ移動操作する。これにより、上述した作動が上下で反対に作用する。すなわち、まず外側第2当接部15bが第2ロックプレート23の一側端部23eに当接して第2ロックプレート23を反時計方向に回転させるため、第2ロックプレート23によるロックが解除される。又、内側第1当接部15cが第1ロックプレート13の他側端部13fに当接して第1ロックプレート13を時計方向に回転させるため、第1ロックプレート13におけるロックが解除される。その後、スライダー側第2当接部15fがスライダー12の第2当接片22に当接してスライダー12を下方向に移動させる。これにより、スラット1を閉じることができる。
【0038】
以上のスラット1の開き作動及び閉じ作動のいずれにおいても、操作レバー15の移動操作を中止すると、ばね14の付勢力によって第1ロックプレート13及び第2ロックプレート23がそれぞれスライダー12の頂点21b及び22bを支点として傾き、それぞれのロック穴13a、23aのエッジ部13b、13c及び23b、23cがシャフト10に食い込んでロック状態となる。これにより、スラット1の回転がその角度で停止するため、スラット1の開き角度及び閉じ角度を無段階で調整することができる。又、操作レバー15の上下いずれの移動操作においては、全てのロックプレート13,23がシャフト10に食い込まないため、異音が発生することがなく不快感がなく、しかも静かに操作することができる。
【0039】
(第2実施形態)
図8は、本発明の第2実施形態におけるスライド操作装置7Aを示す。この実施形態のスライド操作装置7Aにおいては、第1ロックプレート13及び第2ロックプレート23に曲げ加工を施すものである。すなわち、第1ロックプレート13におけるスライダー12の第1当接片21の頂点21bに対応した部分に曲げ加工28を施し、第2ロックプレート23におけるスライダー12の第2当接片22の頂点22bに対応した部分に曲げ加工29を施すものである。曲げ加工28、29はそれぞれの当接片21、22の傾斜面21a、22aと同じ方向にロックプレート13,23を曲げるものである。曲げ加工28、29を施すことにより、ロックプレート13,23とスライダー12の当接片21、22とが確実に当接する。このため、ロックプレート13,23が左右にずれることがなく、それぞれのエッジ部13b、13c、23b、23cがシャフト10と接触することがない。これにより、ロック解除を確実に行うことができる。
【0040】
(第3実施形態)
図9及び図10は、本発明の第3実施形態のスライド操作装置7Bを示す。この実施形態では、スライド操作装置7Bを車両のセンターコンソール50に適用したものである。センターコンソール50は、本体51と、本体51に対してスライドするスライド部材52とを備えている。スライド部材52の先端部52aは下方に屈曲されている。
【0041】
スライド操作装置7Bは、本体51の内部に横方向に組み込まれる。スライド操作装置7Bは、横長の操作レバー55(第1実施形態における操作レバー15に相当する)を有しており、操作レバー55の先端部55aが本体部51から引き出されており、スライド部材52の先端部52aに臨んでいる。
【0042】
スライド操作装置7Bは、第1実施形態と同様な構造となっているシャフト10、一対のロックプレート13,23及びスライダー12を有しており、第1実施形態と同様にスライダー12のロック及びロック解除が可能となっている。この実施形態では、操作レバー55の先端部55a及びスライド部材52の先端部52aを握った状態で、左右にスライドさせることによりスライド部材52が横方向にスライドしてセンターコンソール50のスライド調整を行うことができる。又、操作レバー55の先端部55aを離すことにより、一対のロックプレート13,23がシャフト10に食い込むため、その位置でスライドがロックされる。これにより、無段階でのセンターコンソール50のスライド調整を行うことができる。以上の構造は、センターコンソール50だけでなく、車両用アームレストにも同様に適用することができ、これによりアームレストの無段階の長さ調整が可能となる。
【0043】
本発明は、以上の実施形態に限定されることなく種々変形が可能である。例えば、ロックプレートを付勢するばね14としては、複数の皿ばねを重ねて形成しても良い。又、本発明は、可動ルーバー窓、センターコンソール、アームレスト以外の装置に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の第1実施形態が適用される可動ルーバー窓の正面図である。
【図2】可動ルーバー窓の側面図である。
【図3】図1におけるA−A線断面図である。
【図4】図3におけるB−B線断面図である。
【図5】図3におけるC−C線断面図である。
【図6】ロック解除状態の断面図である。
【図7】ロック解除の作動を示す拡大断面図である。
【図8】本発明の第2実施形態のスライド操作装置を示す断面図である。
【図9】本発明の第3実施形態のスライド操作装置を示す断面図である。
【図10】第3実施形態の作動を示す断面図である。
【符号の説明】
【0045】
1 スラット(外側部材)
7a,7b スライド操作装置
10 シャフト(軸部材)
12 スライダー(可動部材)
13 第1ロックプレート(ロック部材)
13a ロック穴
13b、13c エッジ部
14 ばね
15 操作レバー(操作部材)
15a 外側第1当接部(外側当接部)
15b 外側第2当接部(外側当接部)
15c 内側第1当接部(内側当接部)
15d 内側第2当接部(内側当接部)
15e スライダー側第1当接部
15f スライダー側第2当接部
15b ロックプレート側当接部
15c、15d スライダー側当接部
21 第1当接片
21b 頂点
22 第2当接片
22b 頂点
23 第2ロックプレート(ロック部材)
23a ロック穴
23b、23c エッジ部
50 センターコンソール
52 スライド部材(外側部材)
55 操作レバー(操作部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外力が作用可能な外側部材が連結されると共に軸部材が貫通して軸部材の軸方向に移動可能な可動部材と、
前記軸部材が貫通するロック穴を有して軸部材に一対が配置され、前記可動部材の当接によって軸部材に対して傾斜して係合し、当該係合により可動部材の移動をロックするロック部材と、
前記一対のロック部材の間に配置され、前記ロック部材が傾斜した状態となって前記可動部材に係合するように付勢する弾性部材と、
前記一対のロック部材のそれぞれの一側に外側から当接可能な外側当接部及び一対のロック部材のそれぞれの他側に内側から当接可能な内側当接部を有しており、前記軸部材の軸方向に沿った移動操作によって前記可動部材に当接して同部材を移動させる操作部材とを備え、
前記外側部材に外力が作用したとき、前記可動部材がロック部材に当接して可動部材の移動がロックされ、前記操作部材への移動操作によって前記外側当接部が一方のロック部材に当接すると共に内側当接部が他方のロック部材に当接して一対のロック部材の傾きを小さくしてロックを解除することを特徴とするスライド操作装置。
【請求項2】
前記操作部材が前記可動部材に当接する部位における離隔間隔に対し、前記操作部材の前記外側当接部及び内側当接部とロック部材との離隔間隔が小さいことを特徴とする請求項1記載のスライド操作装置。
【請求項3】
前記ロック部材が板状に形成されており、横置き状となって軸部材が貫通していることを特徴とする請求項1又は2記載のスライド操作装置。
【請求項4】
前記ロック部材における前記可動部材との当接部分に、当該当接部分と同じ方向への曲げ加工が施されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載のスライド操作装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−24712(P2010−24712A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−187282(P2008−187282)
【出願日】平成20年7月18日(2008.7.18)
【出願人】(000004640)日本発條株式会社 (1,048)
【Fターム(参考)】