説明

スライド機能付きヒンジリッド型パッケージ

【課題】簡単な構成で、消費者に対するアピール度を向上させることができる斬新な開閉形態を有しており、しかも、被収容物が取り出し易いパッケージを提供する。
【解決手段】パッケージ2は、リッド4を有するインナケース6と、インナケース6をスライド自在に収容するアウタボディ8とを有するスライド機能付きヒンジリッド型パッケージにおいて、アウタボディ8とインナケース6とを係合する係合手段であって、インナケース6がアウタボディ8から押し上げられたとき、リッド4が開く動作を付与するとともにインナケース6のスライド量を規制する係合手段を有し、アウタボディ8は、前壁に開口46を備えており、この開口46からインナケース6が部分的に露出している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒンジリッド型パッケージに関し、より詳しくは、スライド機能付きヒンジリッド型パッケージに関する。
【背景技術】
【0002】
被収容物を収容する包装容器としては、被収容物の性質を考慮し、種々のものが開発されている。被収容物が、例えば、フィルタシガレットやシガレット等のたばこ商品である場合、その包装容器としては、ヒンジリッド型パッケージが多用されている。
ここで、ヒンジリッド型パッケージとしては、例えば、特許文献1に示される紙巻き煙草などのためのヒンジ蓋付きボックスのようなヒンジリッド型パッケージが各種提案されている。
【0003】
従来公知のヒンジリッド型パッケージは、ボックス形状のアウタボディを含み、アウタボディはその上端に開口端を有する。アウタボディはその内部にインナパックを収容し、このインナパックは紙巻き煙草の束と、この煙草の束を包み込む内包材とを有する。
アウタボディの開口端はその後縁にヒンジを介してボックス形状のリッドを有し、リッドはヒンジを中心に回動し、開口端を開閉可能である。
【0004】
ところで、従来公知のヒンジリッド型包装容器は、長年使用されていることから、その開閉形態は消費者にとって馴染みがあるものの、消費者の購買意欲を促進させるアピール度に乏しい。
そこで、ヒンジリッド型パッケージにおいてスライド機構を取り入れ、消費者に対するアピール度の向上を図ったものとして、例えば、特許文献2に示される押し出し口付きたばこ商品パッケージのようなスライド機構付きヒンジリッド型パッケージが提案されている。
【特許文献1】特開平8−58777号公報
【特許文献2】国際公開第2007/065514号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来公知のスライド機構付きヒンジリッド型パッケージにおいて、消費者は、押し出し口から露出したインナパックパートの前面部を指で押しながらインナパックパートを上方へ移動させるので、指が滑ってスライドさせ難い場合がある。また、内部に収容しているたばこ商品の本数が減ってくるとインナパックパートが変形し、スライドさせ難いこともあり、たばこ商品を取り出すのに手間取る場合がある。
【0006】
本発明は、上記の問題を解決するために提案されたものであり、その目的とするところは、簡単な構成で、消費者に対するアピール度を向上させることができる斬新な開閉形態を有しており、しかも、被収容物が取り出し易いパッケージを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1の本発明のスライド機能付きヒンジリッド型パッケージは、上部に開口端を有した直方体状のアウタボディと、前記アウタボディ内にスライド自在に収容され、上端部に開閉可能なヒンジリッドを有するインナケースとを備え、前記アウタボディは、その前壁に形成され、前記インナケースを部分的に露出させる開口を含み、前記インナケースは、前記開口を通じて露出する前壁の内面に補強部材を有していることを特徴とするものである。
【0008】
請求項2の本発明のスライド機能付きヒンジリッド型パッケージは、請求項1に記載のスライド機能付きヒンジリッド型パッケージにおいて、前記アウタボディと前記インナケースとを係合させる係合手段を含み、前記係合手段は、前記インナケースがそのスライドによりアウタボディから押し上げられたとき、前記ヒンジリッドに開動作を付与するとともに前記インナケースのスライド量を規制することを特徴とする。
【0009】
請求項3の本発明のスライド機能付きヒンジリッド型パッケージは、請求項2に記載のスライド機能付きヒンジリッド型パッケージにおいて、前記係合手段は、前記ヒンジリッドの後部にその上端が前記ヒンジリッドの開閉を可能とする第1ヒンジより上方に位置した第2ヒンジを介して連結され、その下端部が前記アウタボディの内面側に折り返された折返し片を有する帯状体と、前記アウタボディ内に設けられ、前記開口端から前記折返し片に向けて延び、前記折返し片と係合可能な延出片とを含むことを特徴とする。
【0010】
請求項4の本発明のスライド機能付きヒンジリッド型パッケージは、請求項1〜3の何れかに記載のスライド機能付きヒンジリッド型パッケージにおいて、前記インナケースは、少なくとも前記開口から露出する前壁の外表面部分に凹凸加工が施されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1乃至請求項4に記載の本発明によれば、アウタボディの開口から露出したインナケースの前壁を押しながら当該インナケースを上方へ移動させることにより、被収容物を保持したインナケースをアウタボディの上部開口端から上方へ突出させることができ、ユニークな開閉形態を有するので消費者へのアピール性の向上が図れる。また、インナケースの前壁の内面に補強部材が配設されていることから、インナケースの剛性が高まり、変形を少なく抑えることができる。これにより、被収容物が減ってもインナケースを良好にスライドさせることができる。
【0012】
請求項2に記載の本発明によれば、インナケースがそのスライドによりアウタボディから押し上げられていく動作にともないヒンジリッドが開いていき、インナケースが所定長さ突出したところでインナケースのスライド量が規制される。これにより、被収容物の取り出しが容易となるとともに、インナケースがアウタボディから抜け落ちることを有効に防止することができる。
【0013】
請求項3に記載の本発明によれば、係合手段を簡便に構成することができる。また、延出片が、アウタボディとインナケースとの間に挟まれており、インナケースと常に接触していることから、インナケースの往復動に対して抵抗となり、インナケースが不所望にアウタボディから突出することを抑制する。
請求項4に記載の本発明によれば、インナケースの外表面部分の凹凸により指が滑ることが抑えられ、インナケースをスライドさせ易くなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明に係るスライド機能付きヒンジリッド型パッケージの実施の形態を図面を参照して説明する。
図1,2は、一実施例のヒンジリッド型パッケージを示す。
このパッケージ2は、リッド4を有するインナケース6と、このインナケース6を収容するアウタボディ8とを備えている。インナケース6は2個のインナパック10を並列に収容可能な大きさを有し、各インナパック10は長さが95mmのスーパーキングサイズのたばこ商品10本を内包材により包み込んだものである。より詳しくは、内包材は、紙と、この紙の表面に蒸着されたアルミニウムの膜とを含む。内包材のアルミニウムの膜はたばこ商品の束を湿気から保護するばかりでなく、たばこ商品の束、すなわち、個々のたばこ商品からの芳香の放出を防止する。内包材には上述したアルミニウム蒸着紙に代えて、積層紙を使用することもでき、この積層紙はその内部に湿気や芳香の通過を防止する遮蔽層を有する。
【0015】
インナケース6は、図3,4に示すように、インナパック10を収容するためのケース本体12を備え、ケース本体12の上部にリッド4が連結されている。更に、インナケース6は、リッド4の後側に帯状体34を備えている。
ケース本体12は、上端部が斜めに切り欠かれた箱体である。より詳しくは、ケース本体12は矩形状の前壁14と、前壁14よりも高さ寸法が短い矩形状をなし、前壁14と対向配置された後壁16と、前壁14と後壁16との両側縁を相互に連結する一対の側壁18と、前壁14、後壁16および側壁18の下端に連結された矩形状の底壁とを備えている。ここで、側壁18の上端縁18aは前壁14の上端と後壁16の上端とを結ぶように傾斜している。そのため、ケース本体12は、上端部に斜めの開口を有している。
【0016】
前壁14は、その上部中央に平面視略矩形状の切欠凹所20を有している。切欠凹所20は、ケース本体12の前面部分を大きく開き、たばこ商品の取り出しを容易にしている。また、前壁14の内面には、前壁14を補強する補強部材としての矩形形状の補強板が接着されており、この補強板は切欠凹所20よりも下方に位置付けられている。
後壁16の上端には第1ヒンジ24が備えられている。第1ヒンジ24は両側壁18,18の上端縁18aの後部間に亘って延び、後壁16とリッド4とを連結している。
【0017】
リッド4は、第1ヒンジ24に連結されている矩形状の後壁26と、後壁26に直交するように連結されている矩形状の天板28と、後壁26と天板28の両側縁を連結する台形状の側壁30とを備えている。リッド4は、第1ヒンジ24を中心に回動可能となっている。なお、リッド4が閉じたとき、リッド4の側壁30の斜辺、すなわち側壁30の傾斜下端縁30aは、前述したケース本体12における側壁18の上端縁18aと互いに合致する。
【0018】
帯状体34は、略矩形状の舌片である。より詳しくは、帯状体34の上端縁は、リッド4の後壁26と天板28の境界中央を第2ヒンジ32としてリッド4に連結されており、帯状帯34はその下端部に折返し片36を有している。この折返し片36は、帯状体34の下端をケース本体12の厚み方向外側かつ上方に向け、癖を付けて折り曲げられている。つまり、インナケースがアウタボディ6内に収容されていると、帯状帯34の折返し片36はアウタボディ6の内面を押圧する方向に付勢されている。
【0019】
なお、この帯状体34は、リッド4の後壁26の一部およびケース本体12の後壁16の一部を利用して得ることができ、このため、図4から明らかなようにU字形状の切込み溝22がリッド4の後壁26から第1ヒンジ24を超え、ケース本体12の後壁16に亘って形成されている。
ここで、インナケース6の外表面にはその全域に亘って凹凸加工が施されている。つまり、インナケース6はその外表面の全面にわたり、凹凸面6aを有している。具体的には、凹凸面6aは、インナケース6の幅方向に延びる多数の突条から形成されており、これら突条はインナケース6の上下方向に均一な間隔を存して設けられている。
【0020】
アウタボディ8は、図1乃至3に示すように、上部に開口端38を有している直方体状の箱体である。より詳しくは、アウタボディ8は矩形状の前壁40と、前壁40と同寸法の矩形状をなし、前壁40と対向配置された後壁42と、前壁40と後壁42との両側縁を相互に連結する矩形状の一対の側壁44と、前壁40、後壁42および側壁44の下端に連結された矩形状の底壁とを備えている。
【0021】
ここで、前壁40の中央には、略矩形状の開口46が設けられており、この開口46から内部に収容されたインナケース6が露出している。
また、前記開口端38にはその後側開口縁に延出片48が設けられている。より詳しくは、この延出片48は、図3に示すように、開口端38の後側開口縁から後壁42に沿い且つアウタボディ8の内部に向かって延び、アウタボディ8の厚み方向内側へ向かうような癖を付けた状態で、後側開口縁に沿って折り曲げられている。つまり、延出片48はアウタボディ8内に配設されたインナケース6を押圧する方向に付勢されている。このため、アウタボディ8内のインナケース6が、開口端38の方向へスライドさせられた際、延出片48は、上述したインナケース6の帯状体34の折返し片36と係合する。また、図3から明らかなように、延出片48の下端中央には、略矩形状の切欠50が形成されている。この切欠50の幅寸法は、上述した帯状体34の折返し片36の幅寸法よりも僅かに大きい。これにより、延出片48は、インナケース6の折返し片36と確実に係合可能となる。以上のように、帯状体34と延出片48とにより係合手段が形成される。
【0022】
パッケージ2は、インナケース6を成形するインナケース用ブランク52と、アウタボディ8を成形するアウタボディ用ブランク54とから形作ることができる。
インナケース用ブランク52は、図5に示されるように、ケース本体12の前壁14となる前壁パネル56を有しており、前壁パネル56の下部には、前述した補強板となる補強板パネル58が連なっている。また、前壁パネル56の両側縁には、ケース本体12の側壁18となる側壁パネル60,60が連なっている。更に、前壁パネル56には、補強板パネル58とは反対側に位置してケース本体12の底壁となる底壁パネル62が連なっている。底壁パネル62には、前壁パネル56とは反対側に位置してケース本体12の後壁16の一部となる後壁パネル64が連なっている。
【0023】
後壁パネル64の両側縁には、側壁パネル60と対するインナサイドフラップ66,66が連なっている。また、この後壁パネル64には、底壁パネル62とは反対側に位置してリッド4の後壁26の一部となる後壁パネル68が第1ヒンジ24となる第1ヒンジライン70を介して連なっている。この後壁パネル68には、後壁パネル64とは反対側に位置してリッド4の天板28の一部となる天板パネル72が連なっている。後壁パネル68の両側縁には、リッド4の側壁30となる側壁パネル74,74がそれぞれ連なっている。これら側壁パネル74には、インナサイドフラップ66とは反対側に位置して天板パネル72と重ね合わされるインナトップフラップ76,76がそれぞれ連なっている。
【0024】
ここで、ブランク52においては、ケース本体12の後壁パネル64からリッド4の後壁パネル68にかけて、U字状の切り込み78(切込み溝22)が入れられている。この切り込み78で囲まれる領域は、前述の帯状体34となる帯状体領域63を形成している。より詳しくは、帯状体領域63は、リッド4の後壁26に対応する箇所に位置するリッド後壁パネル68bを有している。リッド後壁パネル68bは、その上端が第2ヒンジ32となるヒンジ線80を介して天板パネル72に連なっている。このリッド後壁パネル68bには、天板パネル72とは反対側にてケース本体12の後壁16に対応する箇所に位置するケース後壁パネル64bおよび帯状体34の折返し片36となる折返し片パネル64cが順次連なっている。
【0025】
天板パネル72には、後壁パネル68とは反対側に位置してリッド4の天板28の残部となるインナトップフラップ82およびリッド4の後壁26の残部となるインナバックフラップ84が順次連なっている。
また、インナバックフラップ84には、インナトップフラップ82とは反対側に位置してケース本体12の後壁の残部となる後壁パネル86が第1ヒンジ24に対応するヒンジ線88を介して接続されている。
【0026】
次に、アウタボディ用ブランク54は、図6に示されるように、アウタボディ8の前壁40となる前壁パネル90を有しており、前壁パネル90の両側縁にアウタボディ8の側壁44となる側壁パネル92,92が連なっている。
前壁パネル90の上部には、アウタボディ8の底壁となる底壁パネル94が連なっている。底壁パネル94には、前壁パネル90とは反対側に位置してアウタボディ8の後壁42となる後壁パネル96が連なっている。この後壁パネル96の両側縁には、側壁パネル92に対するインナサイドフラップ98,98が連なっている。また、後壁パネル96には、底壁パネル94とは反対側に位置してアウタボディ8の延出片48となる延出片パネル100が連なっている。
【0027】
本実施例の場合、ブランク52,54は紙材からなり、それらの秤量は180〜270g/m、それらの厚みは0.2〜0.5mmである。なお、具体的には、ブランク52,54はカード紙、マニラボール紙等の何れであってもよい。また、インナケース用ブランク52については、その外表面に、インナケース6の幅方向、即ち、そのスライド方向と直交する方向に延びる多数の突条がスライド方向に均一な間隔を存して設けられるべく凹凸加工が施されている。
【0028】
上述したブランク52,54は、図5、6中一点鎖線で示した折り込み線からそれぞれ折り込まれて、インナケース6、アウタボディ8がそれぞれ成形され、この折り込み成形により、図1に示すようなリッド4を閉じた状態のパッケージ2が得られる。
より詳しくは、パッケージ2の折り込み成形を行う際、まず、ブランク52の折り込み成形が行われる。すなわち、補強板パネル58が折り曲げられて前壁パネル56に糊付けされ、そして、帯状体領域63において折返し片パネル64cが折り曲げられとともに、リッド後壁パネル68bがヒンジ線80の部分からケース本体12の外側方向となるブランク52の外表面側へ癖付けて折り曲げられる。ついで、側壁パネル74,74、インナトップフラップ76,76および天板パネル72はそれぞれ折り込みがなされ、インナトップフラップ76が天板パネル72の内面に糊付けされる。更に、インナトップフラップ82、インナバックフラップ84および後壁パネル86がそれぞれ対応する天板パネル72、後壁パネル68および後壁パネル64の内面に向けて折り込まれて糊付けされる。その後、後壁パネル64および後壁パネル68上に後壁パネル86を介して2個のインナパック10が載置され、この状態で、2個のインナパック10に対して、インナサイドフラップ66、底壁パネル62、前壁パネル56および側壁パネル60の折り込みがなされ、これらは相互に糊付けされる。このようにしてインナパック10を備えたインナケース6の中間体が得られる。
【0029】
この後、アウタボディ用ブランク54において、まず、延出片パネル100がアウタボディ8の内側方向となるブランク54の内面側へ折り曲げられる。そして、上述の中間体を後壁パネル96上に載置し、延出片パネル100と中間体の後壁パネル68とを重ね合わせる。この状態で、公知の如く、中間体の回りにブランク54を折り込むとともに、糊付けしていくことで、リッド4を備えたインナケース6がアウタボディ8に囲繞された図1に示すパッケージ2が成形される。
【0030】
このようにしてスライド機能付きヒンジリッド型パッケージにたばこ商品が包装されると、この後、個々のパッケージは、例えば、透明フィルムで外包される。
このパッケージ2を購入した消費者は、まず、外包フィルムを開封し、そしてアウタボディ8の前面に設けられた開口46から露出したインナケース6の前壁14を指で押しながら上方へこすり上げるようにしてインナケース6を押し上げる。これにより、リッド4が開きながらインナケース6に収容されているインナパック10がアウタボディ8から突出してくる。
【0031】
ここで、パッケージ2の動作について、図7を基により詳しく説明する。まず、図7(a)に示すように、当初インナケース6は、アウタボディ8内に収容されており、リッド4は閉じた状態にある。ついで、インナケース6がアウタボディ8内を上方へ移動すると、アウタボディ8における内壁の延出片48にインナケース6における折返し片36が係止される(図7(b))。更に、インナケース6がアウタボディ8内を上方へ移動すると、延出片48と折返し片36が係合していることから、リッド4の後端部が帯状体34により相対的に下方に引き付けられるようにしてリッド4は開いていき、これに伴いインナパック10が露出してくる(図7(c))。更に、インナケース6がアウタボディ8内を上方へ移動すると、リッド4は全開状態となり、それ以上はインナケース6が進まなくなる(図7(d))。つまり、延出片48と折返し片36との係合により、リッド4が開くとともにインナケース6のスライド量は規制される。
【0032】
本実施例においては、アウタボディ8の上端からたばこ商品が取り出しやすい位置でインナケース6のスライドが止められ、かつ、その位置でリッド4が全開するように、延出片48と折返し片36との位置関係および帯状体34の長さが設定されている。
このようにしてアウタボディ8の上端からインナパック10が露出すると、消費者はインナパック10を開封して中からたばこ商品を取り出す。逆に、インナパック10を収納する場合は、アウタボディ8の開口46から露出するインナケース6の前壁14を指で引き下げていくことによりインナケース6はアウタボディ8内へ引き込まれていく。これにより、延出片48と折返し片36との係合は解除されるとともに、リッド4は、アウタボディ8の開口端38にガイドされて閉じていく。最終的にインナケース6がアウタボディ8の底面板に当接したところで、リッド4は完全に閉じた状態となり、パッケージ2を閉じることができる。
【0033】
再度たばこ商品を取り出す際は、上記と同じようにインナケース6を開口46を通してこすり上げればよい。
このように本実施例に係るスライド機能付きヒンジリッド型パッケージ2は、インナケース6をアウタボディ8から突出させていく動作に連動させてリッド4を開くことができるので、消費者に対するアピール度の向上が図れる。また、インナケース6の外表面には凹凸加工が施されているので、消費者が指でインナケース6をこすり上げる際に指の滑りを抑える効果が発揮され、容易にインナケース6をスライドさせることができる。更に、ケース本体12の前壁14の裏側に補強板が配設されているので、ケース本体12の剛性が高まり、変形が有効に抑えられる。そのため、たばこ商品の本数が減った場合でも、インナケース6を良好にスライドさせることができる。
【0034】
また、本実施例に係るパッケージ2は、リッド4を閉じることにより、たばこ商品の鮮度の低下を抑えることができ、しかも消費者がパッケージを購入後、そのパッケージ2内にインナパック10をリフィルとして詰め込むためのたばこ用ケースとして使用する場合の利便性にも優れている。
本発明は上述した一実施例に制約されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、本実施例では、インナケース6の表面の全体に凹凸加工を施したが、この凹凸加工は、少なくもアウタボディ8の開口46に対応する部分に施されていればよい。また、本実施例においては、突条からなる凹凸を設けたが、凹凸の形状はこれに限定されるものではなく、例えば、ドット状の凹凸としても構わない。
【0035】
また、本実施例においては、ケース本体12の前壁14の裏面に前壁14に対応するような矩形状の板を補強部材として貼り付ける態様としたが、この他、例えば、図8において二点鎖線で示すような、板材を断面形状がU字状となるように組み合わせた補強部材102をケース本体12の内側に配設する態様や、図9において二点鎖線で示すような、板材を断面形状がT字状となるように組み合わせた補強部材104をケース本体12内に配設する態様を採用しても構わない。つまり、ケース本体12の剛性を高められるものであれば、補強部材の形状としてはどのような態様でも構わない。なお、図8,9において作図の都合上インナケース6の凹凸面6aは省略している。
【0036】
更に、本実施例においては、スーパーキングサイズのたばこ商品の10本パックを2個収容するタイプについて説明したが、長さが85mm程度のキングサイズのたばこ商品20本を収容するインナパック1個を収容するタイプに適用しても構わない。また、収容できる商品としては、たばこ商品に限定されるものではなく、お菓子などの食品等他の商品であってもよく、本発明のスライド機能付きヒンジリッド型パッケージは、これら商品のパッケージとしても適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】実施例に係るスライド機能付きヒンジリッド型パッケージのリッドを閉じた状態を示す斜視図である。
【図2】実施例に係るスライド機能付きヒンジリッド型パッケージのケースをスライドさせ、リッドを開いた状態を示す斜視図である。
【図3】実施例に係るスライド機能付きヒンジリッド型パッケージの構成を一部を切り欠いて示した分解斜視図である。
【図4】インナケースを後壁側から見た状態を示す斜視図である。
【図5】インナケースを構成するブランクの展開図である。
【図6】アウタボディを構成するブランクの展開図である。
【図7】インナケースのスライド動作を説明するための概略構成図である。
【図8】補強板の別な態様を示す斜視図である。
【図9】補強板の更に別な態様を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0038】
2 パッケージ
4 リッド
6 インナケース
6a 凹凸面
8 アウタボディ
10 インナパック
12 ケース本体
14 前壁
16 後壁
18 側壁
20 切欠凹所
22 切欠凹所
24 第1ヒンジ
26 後壁
28 天板
30 側壁
32 第2ヒンジ
34 帯状体
36 折返し片
38 開口端
40 前壁
42 後壁
44 側壁
46 開口
48 延出片
50 切欠
52 インナケース用ブランク
54 アウタボディ用ブランク
102 補強部材
104 補強部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部に開口端を有した直方体状のアウタボディと、
前記アウタボディ内にスライド自在に収容され、上端部に開閉可能なヒンジリッドを有するインナケースと
を備え、
前記アウタボディは、その前壁に形成され、前記インナケースを部分的に露出させる開口を含み、
前記インナケースは、
前記開口を通じて露出する前壁の内面に補強部材を有している
ことを特徴とするスライド機能付きヒンジリッド型パッケージ。
【請求項2】
前記アウタボディと前記インナケースとを係合させる係合手段を含み、
前記係合手段は、前記インナケースがそのスライドによりアウタボディから押し上げられたとき、前記ヒンジリッドに開動作を付与するとともに前記インナケースのスライド量を規制することを特徴とする請求項1に記載のスライド機能付きヒンジリッド型パッケージ。
【請求項3】
前記係合手段は、
前記ヒンジリッドの後部にその上端が前記ヒンジリッドの開閉を可能とする第1ヒンジより上方に位置した第2ヒンジを介して連結され、その下端部が前記アウタボディの内面側に折り返された折返し片を有する帯状体と、
前記アウタボディ内に設けられ、前記開口端から前記折返し片に向けて延び、前記折返し片と係合可能な延出片と
を含むことを特徴とする請求項2に記載のスライド機能付きヒンジリッド型パッケージ。
【請求項4】
前記インナケースは、少なくとも前記開口から露出する前壁の外表面部分に凹凸加工が施されていることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のスライド機能付きヒンジリッド型パッケージ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−292516(P2009−292516A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−149236(P2008−149236)
【出願日】平成20年6月6日(2008.6.6)
【出願人】(000004569)日本たばこ産業株式会社 (406)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】