説明

スラグ排出システムおよびスラグ排出システムの運転方法

【課題】より簡単かつ効率的にスラグを排出することができるスラグ排出システムおよびスラグ排出システムの運転方法を提供することを目的とする。
【解決手段】水砕スラグ19を貯蔵するスラグ溜26と、スラグ溜26から排出された水砕スラグ19とスラリー水液体29とを貯留しスラグスラリー41とするスラリータンク40と、スラグスラリー41を搬送するスラグスラリーポンプ43を有するスラグスラリー搬送部28と、スラグスラリー41からスラリー水29を分離し水砕スラグ19を貯留するスラグ貯蔵タンク30と、排出水33を回収してスラリータンク40に供給する回収管62と、前記スラグ溜26に落下又はスラグ溜26から排出される水砕スラグ19のスラグ量を検知する重量計測装置201と、前記スラグ量に応じて、前記スラグスラリーポンプの負荷を変更する制御をする制御手段202とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生成されたスラグを回収し、排出するスラグ排出システムおよびスラグ排出システムの運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
石炭をガス化して得られた石炭ガスによりガスタービンを駆動して発電する技術がある。石炭をガス化するためには、石炭ガス化炉が使用される。石炭をガス化すると、石炭ガス化炉には燃え滓としてスラグが残る。このようなスラグは、石炭ガス化炉から排出される必要がある。スラグは充分に高温であれば流動性を有するため、一般に、石炭ガス化炉の下部に設けられたスラグホールから連続的に排出される。スラグホールの下方には、冷却水を満たしたスラグ排出筒が設けられ、スラグは、冷却水によって冷却されて固化された後、スラグ排出筒から排出される。
【0003】
スラグを排出するシステムとしては、特許文献1、特許文献2、特許文献3に記載されているような装置がある。特許文献1または特許文献2に記載されている装置は、いずれも、固化したスラグをベルトコンベアにより、貯蔵タンク等に搬送している。また、特許文献3に記載の装置は、ハウジング内に配置され、複数のフライトが装着された軸を回転させることで、スラグをコンテナに搬送する機構が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−122319号公報
【特許文献2】特開2003−88832号公報
【特許文献3】特表2003−518157号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、特許文献1から特許文献3に記載されている排出システムは、ベルトコンベアや、スクリューでスラグを搬送する構成である。そのため、コンベアの傾斜角度に限界があったり、コンベア、スクリューを直線上に配置する必要があったりして、装置構成の自由度が低いという問題がある。また、スクレイパや、掻き爪によりスラグを搬送することで、確実に搬送することができるが、1つのスクレイパや、掻き爪による搬送は、搬送量に限界があり、また、搬送が間欠搬送となる。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、より簡単かつ効率的にスラグを排出することができるスラグ排出システムおよびスラグ排出システムの運転方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決する第1の発明は、スラグホッパより供給された水砕スラグを貯蔵するスラグ溜と、前記スラグ溜から排出された水砕スラグとスラリー水とを貯留するスラリータンクと、前記スラリータンク内でスラリー化したスラグスラリーを搬送するスラグスラリーポンプを有するスラグスラリー搬送部と、スラグスラリー搬送部から搬送されたスラグスラリーから、スラリー水を分離・排出し水砕スラグを貯留するスラグ貯蔵タンクと、前記スラグ貯蔵タンクから排出された排出水を回収し、スラリータンクに供給する回収部と、前記スラグ溜に落下又はスラグ溜から排出される水砕スラグのスラグ量を検知する検知装置と、前記スラグ量に応じて、前記スラグスラリーポンプの負荷を変更する制御をする制御手段とを有することを特徴とするスラグ排出システムにある。
【0008】
第2の発明は、第1の発明において、前記スラグ量が所定値以下の場合、水砕スラグのスラグ溜からの排出が完了した際、スラグスラリーポンプの負荷を変更する制御をすることを特徴とするスラグ排出システムにある。
【0009】
第3の発明は、第2の発明において、前記水砕スラグのスラグ溜へのスラグホッパよりの供給が再開された際、スラグスラリーポンプの負荷を通常に変更する制御をすることを特徴とするスラグ排出システムにある。
【0010】
第4の発明は、第1乃至3のいずれか一つの発明において、前記検知装置は、冷却タンクの重量を計測する重量計測装置、又は冷却タンク内に設けられ、水砕スラグを外部へ排出するスラグコンベア上の重量を計測する重量計測装置、又はスラグコンベアから落下するスラグ濃度を検知する濃度計の少なくとも一つであることを特徴とするスラグ排出システムにある。
【0011】
第5の発明は、スラグホッパより供給された水砕スラグを貯蔵するスラグ溜と、前記スラグ溜からスラグコンベアにより排出された水砕スラグとスラリー水とを貯留するスラリータンクと、前記スラリータンク内でスラリー化したスラグスラリーを搬送するスラグスラリーポンプを有するスラグスラリー搬送部と、スラグスラリー搬送部から搬送されたスラグスラリーから、スラリー水を分離・排出し水砕スラグを貯留するスラグ貯蔵タンクと、前記スラグ貯蔵タンクから排出された排出水を回収し、スラリータンクに供給する回収部と、前記スラグ溜に落下又はスラグ溜から排出される水砕スラグのスラグ量を検知する検知装置と、を具備するスラグ排出システムを用い、前記スラグ量に応じて、スラグスラリーポンプの負荷を変更する制御することを特徴とするスラグ排出システムの運転方法にある。
【発明の効果】
【0012】
本発明にかかるスラグ排出システムは、スラグの搬送において、動力低減を図りつつ排出することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、スラグ排出システムの一実施形態の概略構成を示す模式図である。
【図2】図2は、スラグロックホッパからのスラグ排出量と、スラグコンベアのスラグ排出量と、スラグスラリーポンプの負荷と、スラグスラリー濃度との関係を時系列で示すチャートである。
【図3】図3は、スラグ排出システムの動作を説明するフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の発明を実施するための形態(以下、実施形態という)により本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、下記実施形態で開示した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
【0015】
以下に、本発明にかかるスラグ排出システムの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0016】
図1は、スラグ排出システムの一実施形態の概略構成を示す模式図である。まず、図1に示すスラグ排出システム20の周囲に配置されている、ガス化炉12、スラグホッパ14、開閉弁16、搬送車両18について説明する。ガス化炉12は、石炭等の燃焼物質をガス化し、生成したガスを燃焼炉等に供給する。
また、ガス化炉12は、その底部において燃焼物質をガス化した際に生成される溶融スラグ13をスラグホール15からスラグ冷却水17に落下させ、水砕スラグ19とし、その後下部に配置されたスラグホッパ14に貯留する。スラグホッパ14は、ガス化炉12の下部に配置され、ガス化炉12で生成された水砕スラグ19を収集し、水砕スラグ19を貯留する貯留機構である。なお、スラグホッパ14は、鉛直方向下側に向かうに従って径が小さくなる漏斗形状であり、ガス化炉12底部で生成された水砕スラグ19を鉛直方向下側に移動させることで、生成された水砕スラグ19を1箇所に収集する。開閉弁16は、スラグホッパ14の水砕スラグ19の通過経路の鉛直方向下側の端部に配置されている。開閉弁16は、開閉を切り換えることで、スラグホッパ14に貯留されている水砕スラグ19のスラグ排出システム20への排出の開始、停止を切り換える。なお、開閉弁16から排出される水砕スラグ19は、スラグ冷却水17を含む流体である。
ここで、スラグ冷却水17中に落下した溶融スラグ13は急冷されガラス状の水砕スラグ19の粒子となり、その大きさは数ミリから数十ミリ程度である。
【0017】
搬送車両18は、スラグ排出システム20から排出された水砕スラグ19を所定の位置まで運ぶ車両である。搬送車両18としては、トラックを用いることができる。なお、本実施形態では、搬送車両18に排出する構成としたが、本発明はこれに限定されず、種々の対象に排出することができる。
【0018】
次に、スラグ排出システム20について説明する。スラグ排出システム20は、ガス化炉12で生成された溶融スラグ13をスラグ冷却水17中に落下させ、水砕スラグ19とし、スラグホッパ14の開閉弁16から排出された水砕スラグ19を搬送車両18に排出するシステムである。スラグ排出システム20は、スラグロックホッパ22と、スラグ溜26と、スラグ搬送部(スラグスラリー搬送部)28と、スラグ貯蔵タンク30と、排出口32とを有する。
【0019】
スラグロックホッパ22は、水砕スラグ19を一時的に貯留する貯留部であり、開閉弁16の直下に配置されている。スラグロックホッパ22は、開閉弁16から排出された水砕スラグ19を一時的に貯留し、その後、開閉弁22aを介してスラグ冷却部であるスラグ溜26に定期的に供給する。
【0020】
スラグ溜26は、スラグ溜タンク26aと、モータMで駆動するスラグコンベア26bとを有し、スラグロックホッパ22から排出された水砕スラグ19を所定量づつスラグ搬送部28に供給する。スラグコンベア26bは、スラグ溜タンク26a中に落下され、水砕スラグ19を水と共に搬送する搬送機構である。スラグコンベア26bは、その一部がスラグ溜タンク26a内に配置されており、スラグ溜タンク26a内の水砕スラグ19を保持し、移動させて、スラグ搬送部28に排出する。
【0021】
スラグ溜26のスラグ溜タンク26aにはその重量を計測する重量計測装置201が設けられ、水砕スラグ19の排出量をそのつど計測している。
この重量計測装置201の重量信号は、制御手段202に送られ、演算処理される。演算処理された結果、水砕スラグ19重量が所定値以下の場合、すなわち空の状態を判断した場合には、スラグスラリーポンプ43の容量(回転数)を通常負荷(100%負荷運転)から低負荷運転状態になるように、制御する。
スラグ溜26のスラグ溜タンク26aの重量が空でない(再度落下した際)と判断した場合には、通常負荷(100%負荷運転)へと制御する。
この制御を行うことにより、スラグスラリーポンプ43の動力が低減され、システム全体の動力のコストの低減化を図ることができる。
【0022】
スラグ搬送部(スラグスラリー搬送部)28は、スラグ溜26から排出された水砕スラグ19をスラグ貯蔵タンク30にスラリー状として搬送する搬送機構であり、スラリータンク40と、輸送管42と、スラグスラリーポンプ43と、液位調整手段44と、回収管62と、水受け部63a、63bとを有する。スラリータンク40は、スラグ溜26から供給された水砕スラグ19と、スラリー水29とを貯留するタンクである。スラリータンク40は、スラリー水29に水砕スラグ19を分散させた状態で貯留している。輸送管42は、スラリータンク40と、スラグ貯蔵タンク30とを接続する配管である。また、スラグスラリーポンプ43は、輸送管42に介装され、輸送管42に、スラリータンク40内の水砕スラグ19が水分散されたスラグスラリー41がスラグ貯蔵タンク30に流れる流れを形成する。このように、スラグ搬送部28は、スラリータンク40内のスラリー水29に分散された水砕スラグ19をスラグスラリー41にして輸送管42とスラグスラリーポンプ43によりスラグ貯蔵タンク30まで搬送する。
【0023】
次に、液位調整手段44は、スラリータンク40へのスラリー水29の供給を制御し、スラリータンク40の液位を調整する。液位調整手段44は、貯水槽50と、供給配管51と、給水ポンプ52と、循環配管53と、オーバーフロー管54と、開閉弁56と、レベル計58と、液面制御部60と、を有する。貯水槽50は、水を貯留するタンクである。供給配管51は、貯水槽50とスラリータンク40とを接続する配管である。給水ポンプ52は、供給配管51に配置され、供給配管51に、貯水槽50に貯留されているスラリー水29がスラリータンク40に向けて流れる流れを形成する。つまり、給水ポンプ52は、貯水槽50に貯留されている水をスラリータンク40に向けて流す。循環配管53は、供給配管51の給水ポンプ52よりもスラリータンク40側の部分と、貯水槽50とを接続する配管である。次に、オーバーフロー管54は、スラリータンク40の所定の液位の壁面と、貯水槽50とを接続する配管である。オーバーフロー管54は、スラリータンク40の液位が接続している部分を越えたら、スラリータンク40内のスラリー水29が流れ込む向きで配置されている。オーバーフロー管54は、スラリータンク40から排出されたスラリー水29を貯水槽50に排出する。
【0024】
次に、開閉弁56は、供給配管51の循環配管53が設けられている部分よりもスラリータンク40側に配置されており、供給配管51の管路の開閉を切り換える。液位調整手段44は、開閉弁56が開状態となることで、供給配管51を流れるスラリー水29がスラリータンク40に供給され、開閉弁56が閉状態となることで、供給配管51を流れる水がスラリータンク40に供給されない。なお、開閉弁56が閉状態のときは、給水ポンプ52により供給配管51を流れている水は、循環配管53により貯水槽50に戻される。これにより、給水ポンプ52を常に駆動させた状態とすることができ、応答性が高い制御が可能となる。
【0025】
レベル計58は、スラリータンク40のスラリー水29の液位(本実施形態では、水位)を検出するセンサである。なお、レベル計58としては、スラリータンク40に貯留されている水(水とスラグが混合されたスラリー)の液面(水面)の位置を検出できる種々のセンサを用いることができる。
【0026】
液面制御部60は、レベル計58で検出した液位に基づいて、開閉弁56の開閉動作を制御する。つまり、液面制御部60は、レベル計58で検出した液位に基づいて、貯水槽50に貯留されている水をスラリータンク40に供給するか否かを切り換える。なお、液面制御部60による制御動作は、後ほど説明する。また、液面制御部60は、開閉弁56以外にも必要に応じて各部の動作を制御するようにしてもよい。また、液面制御部60に加え、別途各部を制御する制御部を設けてもよい。
【0027】
液体回収部である回収管62は、スラグ貯蔵タンク30から分離・排出される排出水33を回収する管路であり、水受け部63aとスラリータンク40とを接続させ、水受け部63bとスラリータンク40とを接続させる。水受け部63a、63bは、スラグ貯蔵タンク30の水の排出部分の下方に配置されており、スラグ貯蔵タンク30から排出及び分離された排出水33を回収する。水受け部63a、63bは、回収した排出水33を回収管62に流す。なお、水受け部63aは、スラグ貯蔵タンク30の傾斜部分の下方に配置されており、水受け部63bは、スラグ貯蔵タンク30の垂直部分の下方に配置されている。
【0028】
スラグ貯蔵タンク30は、スラグ搬送部28により搬送されたスラグスラリー41を貯蔵するタンクである。スラグ貯蔵タンク30は、本体101と、フィルタ106とを有する。本体101は、中空の塔、本実施形態では、断面(水平方向の面)が四角形となる筒形状であり、鉛直方向下側に、径が徐々に小さくなる端部が設けられている。フィルタ106は、水砕スラグは通過させず、スラリー水は通過させる部材であり、本体101の側面(壁面)に複数、配置されている。複数のフィルタ106は、本体101の1つの面の鉛直方向の各位置に配置されている。なお、フィルタ106としては、スラグは通過できず、水は通過できる径の穴が複数形成された部材を用いることができる。スラグ貯蔵タンク30は、以上のような構成であり、スラグ搬送部28から水砕スラグ及びスラリー水29から構成されるスラグスラリー41が供給されたら、フィルタ106から水のみを排出して排出水33とすると共に、その内部に水砕スラグ19を貯蔵する。
【0029】
排出口32は、スラグ貯蔵タンク30の下方の端部に配置されており、スラグ貯蔵タンク30に貯蔵されている水砕スラグ19の排出の実行、停止を制御する。排出口32から排出された水砕スラグ19は、直下に待機している搬送車両18に排出される。
【0030】
スラグ排出システム20は、以上のような構成であり、ガス化炉12底部で生成された水砕スラグ19をスラグホッパ14で回収し、開閉弁16から排出された水砕スラグ19をスラグロックホッパ22にスラグ冷却水17と共に、一時的に貯留する。スラグ排出システム20は、スラグロックホッパ22に貯留した水砕スラグ19をスラグ溜26のスラグ溜タンク26aに所定時間毎に所定量落下し、スラグ溜タンク26aに設置したスラグコンベア26bでスラリータンク40に落物を搬送する。
【0031】
スラグ排出システム20は、輸送管42とスラグスラリーポンプ43により、スラリータンク40に貯留された水砕スラグ19をスラリー水29によりスラグスラリー41として、スラグ貯蔵タンク30に搬送する。また、スラグ貯蔵タンク30に水砕スラグ19とともに搬送されたスラリー水29は、フィルタ106から排出され、水受け部63a、63bに落下して排出水33となる。水受け部63a、63bに落下した排出水33は、回収管62を介してスラリータンク40に搬送され、再度スラリー水29として再利用される。また、液位調整手段44は、スラリータンク40の液位を一定範囲に維持する。
【0032】
スラグ排出システム20は、上述したスラグの搬送を継続する。スラグ貯蔵タンク30内において、排出水33を分離した水砕スラグ19は、排出口32から搬送車両18に排出され、搬送車両18は、水砕スラグ19を積載し、所定の地点までスラグを搬送する。なお、搬送車両18は、順次、排出口32の直下に移動し、スラグを積載したら、所定の地点まで移動する。このように、搬送車両18は、スラグの搬送を繰り返す。
【0033】
次に図2及び図3を用いて、スラグ排出システム20、特にスラグ溜26及びスラグスラリー搬送部28の動作について説明する。
図2は、スラグロックホッパ22からのスラグ供給量と、スラグコンベア26bのスラグ排出量と、スラグスラリーポンプ43の負荷と、スラグスラリー濃度との関係を時系列で示すチャートである。図2では、スラグ排出Iからスラグ排出IVまで5回の落下の状況を示している。
【0034】
図2に示すように、例えば第1回のスラグ排出Iにおいて、スラグロックホッパ22からの水砕スラグ19の所定の排出(供給)がなされると、スラグコンベア26bが駆動し、スラグのスラグスラリータンク40への水砕スラグ19の排出出がなされる。なお、T1は一定間隔で定期的にスラグロックホッパ22の開閉弁22aを開状態として、の水砕スラグの供給(落下)時間である。
このT1の時間内に水砕スラグ19がスラグロックホッパ22からのスラグ溜26aに供給(落下)される。また、T2は開閉弁22aが閉じている状態である。
本実施例では、この水砕スラグ19のスラリータンク40への排出が、所定時間内に完了すると、スラグスラリータンク40から排出されるスラグスラリー41の量が低減するので、スラグスラリーポンプ43の負荷を通常(100%負荷)から低負荷(例えば50%負荷)に変動して、スラグスラリー41のスラグ貯蔵タンク30への供給量を低減させるようにしている。
【0035】
これにより、所定時間内に水砕スラグ19のスラリータンク40への排出が完了した際に、スラリースラリー水29のみの供給となる。このため、スラグスラリーポンプ43を通常負荷(100%)で駆動させることがなくなり、低負荷(例えば50%)運転とすることで動力が低減され、システム全体の動力のコストダウンを図ることができる。
【0036】
図3は、スラグ排出システムの動作を説明するフロー図である。
スラグ排出システム20の制御手段202は、まず、ステップS11としてスラグ溜26の重量を計測する。制御手段202は、ステップS11で開閉弁22aが開いて、所定量の水砕スラグ17が落下するスラグ重量を計測し、ステップS12として、計測されたスラグ量が所定値以下かを判定する。
【0037】
制御手段202は、ステップS12で判断計測されたスラグ重量が所定値以下(供給量が少ない)である(ステップS12:Yes)と判定したら、ステップS13に進み、スラグコンベア26bによる排出が完了したことを確認したら、現状設定されているスラグスラリーポンプ43を低負荷運転(例えば50%負荷運転)に変更させる。つまり、スラグスラリーポンプ43の回転数を下げ、スラリーの供給量を低減する。その後、制御手段202は、ステップS14に進む。
【0038】
また、制御手段202は、ステップS14で、計測されたスラグ重量が重量値ゼロ以外の信号を検出したら(ステップS15:Yes)、開閉弁22aが開いて水砕スラグ19の供給が再開されたと判断し、ステップS16でスラグスラリーポンプ43を通常負荷運転(100%負荷運転)に変更させる。つまり、スラグスラリーポンプ43の回転数を通常の回転数とし、スラリーの供給量を通常状態に戻す。
【0039】
なお、制御手段202は、ステップS15で、計測されたスラグ重量が所定値以下である(ステップS15:No)と判定したら、ステップS14として、再度スラグ溜26の重量を計測する。
【0040】
制御手段202は、ステップS12で、計測されたスラグ重量が所定値以上(供給量多い)である(ステップS12:No)と判定したら、ステップS17として、通常負荷運転(100%負荷運転)を継続する。つまり、水砕スラグ19の落下量が多いので、スラグスラリーポンプ43の回転数を通常の回転数のままとして、スラリーの供給量を継続する。この場合、図2に示すスラグ排出IIIに示すように、スラグ排出完了の前に次の水砕スラグ19が供給されることとなる。
【0041】
制御手段202は、ステップS18で、終了(処理終了)かを判定する。制御手段202は、ステップS18で、処理終了ではない(No)と判定したらステップS11に進み、上述した処理を繰り返す。他方、制御手段202は、ステップS18で、処理終了である(Yes)と判定したら処理を終了する。
【0042】
スラグ排出システム20は、以上のような構成であり、水砕スラグ19をスラリー水29に混入し、スラリー状にしてスラグ貯蔵タンク30に供給することで、水砕スラグ19をスラグ貯蔵タンク30に搬送することができる。
また、スラグ排出システム20は、スラリー状にして水砕スラグ19を搬送するため、配管の経路の自由度を高くすることができる。つまり、搬送経路が直線状でなくても、また、搬送経路の傾斜角が任意の角度であっても、スラグを搬送することができる。これにより、装置をコンパクトに配置することができる。
【0043】
また、スラグ貯蔵タンク30の側面にフィルタ106を設け、水(液体)を排出する構成とすることで、スラグ貯蔵タンク30から、スラグの搬送に利用した水を効率よく、かつ、簡単に排出することができる。また、スラグ貯蔵タンク30のフィルタ106から排出した水を回収し、スラリータンク40に戻すことで、搬送に使用する水を効率よく利用することができる。また、フィルタ106から一部の水砕スラグ19が排出されてしまった場合も、再びスラグ貯蔵タンク30にスラグスラリー41として供給することができ、水砕スラグ19をより無駄なく、搬送することができる。
【0044】
以上の実施例においては、スラグロックホッパ22から落下する水砕スラグ19の落下の重量を重量計測装置201において、計測していたが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば水砕スラグ19を外部へ排出するスラグコンベア26b上の重量を計測する重量計測装置を用いてその落下重量を計測するようにしてもよい。
または、スラグコンベア26bからスラリータンク40内に落下するスラグ濃度を検知する濃度センサを設けて、水砕スラグ19の排出の有無を確認して、その情報を制御手段202に送り、スラグスラリーポンプ43の回転数を制御して、水のみを供給する際には、スラグスラリーポンプ43の動力を低減して、システム全体の動力のコストダウンを図るようにしている。
【0045】
さらに、スラグ排出システム20は、液位調整手段44によりスラリータンク40の液位(水位)を一定範囲に維持する。これにより、スラリータンク40で保持する水を一定範囲にすることができ、スラリータンク40からスラグ貯蔵タンク30に送るスラリーのスラグの濃度を一定濃度範囲内とすることができる。つまり、スラグ貯蔵タンク30から排出され、スラリータンク40へ回収される水の量が変化しても、スラリータンク40の液位を一定範囲にすることができる。例えば、スラグ貯蔵タンク30のスラグの貯蔵が変化し、液位が変化したことで、スラグ貯蔵タンク30からの水の排出量が変化し、回収する水の量が変化した場合でも、その変動に応じて、液位調整手段44がスラリータンク40への水の供給を調整することで、スラリータンク40の液位を一定範囲に維持することができる。
【0046】
このように、スラグ排出システム20は、スラリー内のスラグの濃度を一定濃度範囲内にできることで、スラグの濃度が高くなり、スラリーを搬送できなくなることを抑制することができる。例えば、スラリー内のスラグの濃度を40%以下に維持することができ、スラリータンク40からスラグ貯蔵タンク30に適切にスラグを搬送することができる。また、スラグ排出システム20は、スラリー内のスラグの濃度を一定濃度範囲内にできることで、スラグを効率よく搬送することができる。つまり、スラリーに含まれるスラグの量が少なくなり、搬送効率が低下することを抑制することができる。なお、スラリー内のスラグの濃度の範囲は、装置の構成や、ポンプの性能等によって種々の値となるため、特に限定されないが、例えば、5%から40%にすることが好ましい。
【0047】
スラグ排出システム20は、スラグ溜26のスラグコンベア26bの駆動を制御することで、スラリータンク40へのスラグの供給を制御してもよい。また、スラリータンク40へのスラグの供給は一定として制御を行ってもよい。
【0048】
また、液位調整手段44は、オーバーフロー管54を設けることで、スラリータンク40の液位をより確実に一定液位以下とすることができる。また、液位調整手段44は、循環配管53を設けることで、給水ポンプ52を常に稼動させた状態とすることができる。これにより、応答性を高くすることができる。なお、液位調整手段44で循環させている水、貯水槽50に貯水している水は、他の用途に使用してもよい。
【0049】
また、本実施形態の液位調整手段44は、液位を一定範囲とするように制御したが、本発明はこれに限定されず、液位が一定以上に維持されるように制御してもよい。つまり、スラリータンク40の液位が一定液位(下限値)よりも低くなったことを検出したら、スラリータンク40に水を供給するようにしてもよい。また、常に水を供給し、上限値を超える水は、オーバーフロー管54で回収するようにしてもよい。つまり、液位をオーバーフロー管54で液体が回収される液位で維持するようにしてもよい。なお、このように、常に水を供給する構成は、水を過剰に供給することになり、エネルギー効率は低下する。
【0050】
なお、本実施形態では、スラグをスラリー状にするための液体として、水を用いたが、液体であればよく、水以外の液体も用いることができる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
以上のように、本発明にかかるスラグ排出システムは、スラグを排出するのに有用であり、特に、燃焼炉で生成されたスラグを冷却し、所定の位置に排出するのに適している。
【符号の説明】
【0052】
12 ガス化炉
13 溶融スラグ
14 スラグホッパ
16 開閉弁
18 搬送車両
19 水砕スラグ
20 スラグ排出システム
22 スラグロックホッパ
26 スラグ溜
26a スラグ溜タンク
26b スラグコンベア
28 スラグ搬送部
30 スラグ貯蔵タンク
32 排出口
40 スラリータンク
41 スラグスラリー
42 輸送管
43 スラグスラリーポンプ
44 液位調整手段
50 貯水槽
51 供給配管
52 給水ポンプ
53 循環配管
54 オーバーフロー管
56 開閉弁
58 レベル計
60 液面制御部
62 回収管
63a、63b 水受け部
101 本体
106 フィルタ
201 重量計測装置
202 制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スラグホッパより供給された水砕スラグを貯蔵するスラグ溜と、
前記スラグ溜から排出された水砕スラグとスラリー水とを貯留するスラリータンクと、
前記スラリータンク内でスラリー化したスラグスラリーを搬送するスラグスラリーポンプを有するスラグスラリー搬送部と、
スラグスラリー搬送部から搬送されたスラグスラリーから、スラリー水を分離・排出し水砕スラグを貯留するスラグ貯蔵タンクと、
前記スラグ貯蔵タンクから排出された排出水を回収し、スラリータンクに供給する回収部と、
前記スラグ溜に落下又はスラグ溜から排出される水砕スラグのスラグ量を検知する検知装置と、
前記スラグ量に応じて、前記スラグスラリーポンプの負荷を変更する制御をする制御手段とを有することを特徴とするスラグ排出システム。
【請求項2】
請求項1において、
前記スラグ量が所定値以下の場合、水砕スラグのスラグ溜からの排出が完了した際、スラグスラリーポンプの負荷を変更する制御をすることを特徴とするスラグ排出システム。
【請求項3】
請求項2において、
前記水砕スラグのスラグ溜へのスラグホッパよりの供給が再開された際、スラグスラリーポンプの負荷を通常に変更する制御をすることを特徴とするスラグ排出システム。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一つにおいて、
前記検知装置は、冷却タンクの重量を計測する重量計測装置、又は冷却タンク内に設けられ、水砕スラグを外部へ排出するスラグコンベア上の重量を計測する重量計測装置、又はスラグコンベアから落下するスラグ濃度を検知する濃度計の少なくとも一つであることを特徴とするスラグ排出システム。
【請求項5】
スラグホッパより供給された水砕スラグを貯蔵するスラグ溜と、
前記スラグ溜からスラグコンベアにより排出された水砕スラグとスラリー水とを貯留するスラリータンクと、
前記スラリータンク内でスラリー化したスラグスラリーを搬送するスラグスラリーポンプを有するスラグスラリー搬送部と、
スラグスラリー搬送部から搬送されたスラグスラリーから、スラリー水を分離・排出し水砕スラグを貯留するスラグ貯蔵タンクと、
前記スラグ貯蔵タンクから排出された排出水を回収し、スラリータンクに供給する回収部と、
前記スラグ溜に落下又はスラグ溜から排出される水砕スラグのスラグ量を検知する検知装置と、を具備するスラグ排出システムを用い、
前記スラグ量に応じて、スラグスラリーポンプの負荷を変更する制御することを特徴とするスラグ排出システムの運転方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−87999(P2012−87999A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−235947(P2010−235947)
【出願日】平成22年10月20日(2010.10.20)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】