説明

スリッタの巻取装置

【課題】ウエブ材料のスリット後、そのウエブ材料を巻取ロール2に巻き取るスリッタの巻取装置において、大きいトルクで巻取ロール2を回転させることが要求されたとき、それに的確に対処する。
【解決手段】固定モータ5が巻取アーム1に固定され、巻取ロール2に連結され、固定モータ5によって巻取ロール2が回転する。さらに、可動モータ6がガイドレールに沿って移動し、連結手段9,10,12によって可動モータ6と巻取ロール2が連結される。したがって、固定モータ5および可動モータ6によって同一のロール2を回転させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、紙、プラスチックフィルムなどのウエブ材料のスリット後、そのウエブ材料を巻取ロールに巻き取るスリッタの巻取装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
紙、プラスチックフィルムなどのウエブ材料をスリットするスリッタでは、ウエブ材料のスリット後、そのウエブ材料が巻取ロールに巻き取られる。普通、複数の巻取アームが間隔を置いて配列され、巻取アームに巻取ロールが支持され、駆動モータによって巻取ロールが回転し、ウエブ材料が巻き取られることは周知のとおりである。たとえば、特開平9−86733号公報(特許文献1)に記載されているものがそれである。
【0003】
ところで、この場合、駆動モータによって巻取ロールを回転させ、ウエブ材料を巻き取るとき、その所要トルクは常時一定ではない。たとえば、ウエブ材料のスリット後、それが巻取ロールに巻き取られるが、スリット幅は常時一定ではなく、種々に変更される。さらに、ウエブ材料に種々の材質のものが使用される。このため、ウエブ材料のスリット幅および材質によって所要トルクが異なるが、これまで、特に、大きいトルクで巻取ロールを回転させることが要求されたとき、それに的確に対処することができないという問題があった。
【0004】
したがって、この発明は、ウエブ材料のスリット後、そのウエブ材料を巻取ロールに巻き取るスリッタの巻取装置において、大きいトルクで巻取ロールを回転させることが要求されたとき、それに的確に対処することを目的としてなされたものである。
【特許文献1】特開平9−86733号公報
【発明の開示】
【0005】
この発明によれば、複数の巻取アームが間隔を置いて配列され、巻取アームに巻取ロールが支持される。さらに、固定モータが巻取アームに固定され、巻取ロールに連結され、固定モータによって巻取ロールが回転する。さらに、可動モータがガイドレールと組み合わされ、ガイドレールは巻取アームの配列方向にのび、可動モータはガイドレールに沿って移動する。そして、可動モータが巻取アームに対応する位置にあるとき、連結手段によって可動モータと巻取ロールが連結される。したがって、大きいトルクで巻取ロールを回転させることが要求されたとき、固定モータおよび可動モータによって同一のロールを回転させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、この発明の実施例を説明する。
【0007】
図1はこの発明にかかる装置を示す。この装置はスリッタの巻取装置である。したがって、特開平9−86733号公報の装置と同様、図2に示すように、前後両側の巻取位置において、複数の巻取アーム1が間隔を置いて配列されている。さらに、隣接対の巻取アーム1間において、巻取アーム1に巻取ロール2が支持され、ウエブ材料のスリット後、そのウエブ材料が前後両側の巻取位置に振り分けられ、巻取ロール2に巻き取られる。
【0008】
さらに、この装置では、巻取アーム1にチャック3が設けられており、隣接対の巻取アーム1間において、それぞれコア4が配置され、その両端がチャック3に固定される。さらに、駆動モータ5,6によってチャック3およびコア4が回転し、ウエブ材料がコア4に巻き取られ、これによって巻取ロール2が形成される。したがって、駆動モータ5,6によって巻取ロール2が回転し、ウエブ材料が巻き取られるものである。
【0009】
さらに、ウエブ材料のスリット後、それが巻取ロール2に巻き取られるが、スリット幅は常時一定ではなく、種々に変更される。したがって、この装置では、巻取アーム1をガイドレール7に沿って移動させ、その間隔をスリット幅に対応させることができる。その後、隣接対の巻取アーム1間において、それぞれコア4を配置し、その両端をチャック3に固定することができ、ウエブ材料を巻取ロール2に巻き取ることができる。巻取ロール2はスリット幅に対応する長さをもつ。
【0010】
さらに、この装置では、駆動モータに固定モータ5および可動モータ6が使用されており、固定モータ5が巻取アーム1に固定され、巻取ロール2に連結される。さらに、可動モータ6がガイドレール8と組み合わされ、ガイドレール8は巻取アーム1の配列方向にのび、可動モータ6はガイドレール8に支持され、ガイドレール8に沿って移動する。したがって、可動モータ6が巻取アーム1の配列方向に移動するものである。そして、可動モータ6が巻取アーム1に対応する位置にあるとき、連結手段によって可動モータ6と巻取ロール2が連結される。
【0011】
たとえば、最も外側の対の巻取アーム1を除き、他の対の巻取アーム1のうち、一方のアーム1に固定モータ5が固定され、連結手段によって固定モータ5と巻取ロール2が連結される。さらに、最も外側の対の巻取アーム1のうち、一方のアーム1に可動モータ6が関係し、可動モータ6が一方のアーム1に対応する位置に配置され、連結手段によって可動モータ6と巻取ロール2が連結される。
【0012】
この実施例では、前側の巻取位置において、計4対の巻取アーム1が間隔を置いて配列され、第1対の巻取アーム1のうち、一方のアーム1に可動モータ6が関係し、可動モータ6が一方のアーム1に対応する位置に配置されており、連結手段によって可動モータ6と巻取ロール2が連結される。さらに、第2対の巻取アーム1のうち、一方のアーム1に固定モータ5が固定されており、連結手段によって固定モータ5と巻取ロール2が連結される。さらに、第3対の巻取アーム1のうち、一方のアーム1に固定モータ5が固定されており、連結手段によって固定モータ5と巻取ロール2が連結される。さらに、第4対の巻取アーム1のうち、一方のアーム1に可動モータ6が関係し、可動モータ6が一方のアーム1に対応する位置に配置されており、連結手段によって可動モータ6と巻取ロール2が連結される。
【0013】
さらに、後側の巻取位置において、計5対の巻取アーム1が間隔を置いて配列され、前側の巻取位置と同様、第1対の巻取アーム1のうち、一方のアーム1に可動モータ6が関係し、可動モータ6が一方のアーム1に対応する位置に配置されており、連結手段によって可動モータ6と巻取ロール2が連結される。さらに、前側の巻取位置と同様、第2対の巻取アーム1のうち、一方のアーム1に固定モータ5が固定され、第3対の巻取アーム1のうち、一方のアーム1に固定モータ5が固定されており、連結手段によって固定モータ5と巻取ロール2が連結される。さらに、第4対の巻取アーム1のうち、一方のアーム1に固定モータ5が固定されており、連結手段によって固定モータ5と巻取ロール2が連結され、第5対の巻取アーム1のうち、一方のアーム1に可動モータ6が関係し、可動モータ6が一方のアーム1に対応する位置に配置されており、連結手段によって可動モータ6と巻取ロール2が連結される。
【0014】
したがって、この装置は計5台の固定モータ5を有し、計4台の可動モータ6を有するものである。さらに、この実施例では、連結手段にギヤ9およびベルト10が使用され、各巻取アーム1にギヤ9およびベルト10が設けられており、固定モータ5がギヤ9、ベルト10およびチャック3に連結されている。したがって、固定モータ5が巻取ロール2に連結される。
【0015】
さらに、この実施例では、可動モータ6がキャリジ11に取り付けられ、キャリジ11がガイドレール8に支持されている。したがって、可動モータ6およびキャリジ11がガイドレール8に支持され、ガイドレール8に沿って移動するものである。さらに、連結手段にギヤ12が使用され、これがキャリジ11に取り付けられ、可動モータ6がギヤ12に連結されている。さらに、ギヤ12がギヤ9にかみ合わされ、可動モータ6がギヤ9、ベルト10およびチャック3に連結されている。したがって、可動モータ6が巻取ロール2に連結される。
【0016】
したがって、この装置の場合、最も外側の対の巻取アーム1を除き、他の対の巻取アーム1間において、固定モータ5によって巻取ロール2を回転させ、ウエブ材料を巻き取ることができる。最も外側の対の巻取アーム1間において、可動モータ6によって巻取ロール2を回転させ、ウエブ材料を巻き取ることもできる。
【0017】
さらに、大きいトルクで巻取ロール2を回転させることが要求されたとき、それに的確に対処することができる。大きいトルクで巻取ロール2を回転させるには、可動モータ6およびキャリジ11をガイドレール8に沿って移動させ、巻取アーム1の配列方向に移動させる。そして、可動モータ6を適宜のアーム1の位置に配置する。たとえば、図3に示すように、最も外側の対の巻取アーム1ではなく、他の対の巻取アーム1のうち、一方または他方のアーム1に可動モータ6を関係させ、可動モータ6を一方または他方のアーム1に対応する位置に配置すればよい。一方または他方のアーム1に対応する位置に配置すると、その位置において、ギヤ12をギヤ9にかみ合わせることができる。したがって、可動モータ6をギヤ9、ベルト10およびチャック3に連結することができ、巻取ロール2に連結することができる。
【0018】
したがって、その後、他の対の巻取アーム1間において、固定モータ5および可動モータ6によって同一のロール2を回転させ、大きいトルクで巻取ロール2を回転させることができる。しかも、可動モータ6をガイドレール8に沿って移動させ、他の対の巻取ロール2のうち、一方または他方のアーム1に対応する位置において、可動モータ6を巻取ロール2に連結することは容易である。したがって、大きいトルクで巻取ロール2を回転させることが要求されたとき、それに的確に対処することができるものである。
【0019】
図4は他の実施例を示す。この実施例では、前側の巻取位置において、第1対の巻取アーム1のうち、両方のアーム1に可動モータ6が関係し、可動モータ6が両方のアーム1に対応する位置に配置されている。さらに、各位置において、ギヤ12がギヤ9にかみ合わされており、可動モータ6がギヤ9、ベルト10およびチャック3に連結されている。さらに、第2対の巻取アーム1のうち、両方のアーム1に固定モータ5が固定され、第3対の巻取アーム1のうち、両方のアーム1に固定モータ5が固定され、固定モータ5がギヤ9、ベルト10およびチャック3に連結されている。さらに、第4対の巻取アーム1のうち、両方のアーム1に可動モータ6が関係し、可動モータ6が両方のアーム1に対応する位置に配置されている。さらに、各位置において、ギヤ12がギヤ9にかみ合わされ、可動モータ6がギヤ9、ベルト10およびチャック3に連結されている。
【0020】
さらに、後側の巻取位置において、第1対の巻取アーム1のうち、両方のアーム1に可動モータ6が関係し、可動モータ6が両方のアーム1に対応する位置に配置されている。さらに、各位置において、ギヤ12がギヤ9にかみ合わされ、可動モータ6がギヤ9、ベルト10およびチャック3に連結されている。さらに、第2対の巻取アーム1のうち、両方のアーム1に固定モータ5が固定され、第3対の巻取アーム1のうち、両方のアーム1に固定モータ5が固定され、固定モータ5がギヤ9、ベルト10およびチャック3に連結されている。第4対の巻取アーム1については、一方のアーム1に固定モータ5が固定され、他方のアーム1に可動モータ6が関係し、可動モータ6が他方のアーム1に対応する位置に配置されている。さらに、固定モータ5がギヤ9、ベルト10およびチャック3に連結されており、ギヤ12がギヤ9にかみ合わされ、可動モータ6がギヤ9、ベルト10およびチャック3に連結されている。さらに、第5対の巻取アーム1のうち、両方のアーム1に可動モータ6が関係し、可動モータ6が両方のアーム1に対応する位置に配置されている。さらに、各位置において、ギヤ12がギヤ9にかみ合わされ、可動モータ6がギヤ9、ベルト10およびチャック3に連結されている。
【0021】
したがって、図4の装置は計9台の固定モータ5を有し、計9台の可動モータ6を有する。そして、隣接対の巻取アーム1間において、固定モータ5または可動モータ6によって巻取ロール2を回転させ、ウエブ材料を巻き取ることができる。
【0022】
さらに、大きいトルクで巻取ロール2を回転させることが要求されたとき、可動モータ6をガイドレール8に沿って移動させる。そして、図5に示すように、可動モータ6を適宜のアーム1の位置に配置すると、その位置において、ギヤ12をギヤ9にかみ合わせ、可動モータ6をギヤ9、ベルト10およびチャック3に連結することができ、巻取ロール2に連結することができる。その後、固定モータ5および可動モータ6によって同一のロール2を回転させ、大きいトルクで巻取ロール2を回転させることができる。
【0023】
他の実施例において、固定モータ5および可動モータ6を種々に増減し、それと巻取アーム1を種々に組み合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】この発明の実施例を示す側面図である。
【図2】図1の固定モータ、可動モータおよび巻取アームの関係を示す説明図である。
【図3】図2の可動モータを移動させた状態を示す説明図である。
【図4】他の実施例を示す説明図である。
【図5】図4の可動モータを移動させた状態を示す説明図である。
【符号の説明】
【0025】
1 巻取アーム
2 巻取ロール
5 固定モータ
6 可動モータ
8 ガイドレール
9,12 ギヤ
10 ベルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウエブ材料のスリット後、そのウエブ材料を巻取ロールに巻き取るスリッタの巻取装置であって、
間隔を置いて配列され、前記巻取ロールを支持する複数の巻取アームと、
前記巻取アームに固定され、前記巻取ロールに連結され、前記巻取ロールを回転させる固定モータと、
前記巻取アームの配列方向にのびるガイドレールと、
前記ガイドレールに沿って移動する可動モータと、
前記可動モータが前記巻取アームに対応する位置にあるとき、前記可動モータと巻取ロールを連結する連結手段とからなり、
大きいトルクで前記巻取ロールを回転させることが要求されたとき、前記固定モータおよび可動モータによって同一のロールを回転させるようにしたことを特徴とするスリッタの巻取装置

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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