説明

スリップセンサ

【課題】 スリップの前兆を検知することができるスリップセンサを提供する。
【解決手段】 被接触面(路面25)と接する基体(タイヤ20)の表面に配列されて被接触面と接触する2種類の滑りやすさの異なる凸部(ブロック21,22)と、それら各凸部の変形を検出する変形検出手段(歪ゲージ31)と、その変形検出手段で検出された各凸部の変形から基体と被接触面とのスリップの前兆を判断する手段(受信/処理部36)とを備える。滑りにくいブロック22が摩擦力により変形しており、一方滑りやすいブロック21は滑って変形していない状態をもってスリップの前兆を検知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はスリップ(滑り)の発生を事前に検知することができるスリップセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば自動車のタイヤに代表されるようにスリップが安全上大きな問題となる分野では、スリップが発生したことを検出して、再び摩擦力(グリップ力)を得るための制御を行うことが一般的になりつつある。そこで、重要となるのはスリップの発生を検知することであり、事前に検知できれば制御の選択肢も広がり、安全性が増す。
特許文献1にはタイヤの接地状態を把握して車両の走行状態を制御することが記載されており、この特許文献1ではタイヤの歪や振動状態を検出してタイヤの接地状態を推定するものとなっている。そして、タイヤの歪状態の検出はタイヤの内面に歪ゲージを取り付けることにより、またタイヤの振動状態の検出はタイヤホイールに振動センサを取り付けることにより行うものとなっている。
【特許文献1】特開2002−79815号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述したように、タイヤの歪や振動状態に基づいてタイヤの接地状態を推定する方法では、タイヤの接地状態はあくまで推定にすぎず、よって推定条件と実車の条件とが異なれば誤差が生じ、その点で精度に問題があるものとなっていた。
この発明の目的はこの問題に鑑み、高精度にスリップの前兆を検知することが可能なスリップセンサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
請求項1の発明によれば、被接触面と接する基体の表面に配列されて被接触面と接触する少なくとも2種類の滑りやすさの異なる凸部と、それら各凸部の変形を検出する変形検出手段と、その変形検出手段で検出された各凸部の変形から基体と被接触面とのスリップの前兆を判断する手段とを具備するものとされる。
請求項2の発明では請求項1の発明において、滑りやすさの異なる凸部は被接触面と接触する表面の摩擦係数が互いに異なるものとされる。
請求項3の発明では請求項1の発明において、滑りやすさの異なる凸部は被接触面と接触する表面の形状が互いに異なるものとされる。
【0005】
請求項4の発明によれば、基板表面にその基板と一体形成されて格子状に配列された片持ち梁と、それら各片持ち梁の自由端側表面に形成されて基板表面上に突出して配列され、被接触面と接触する少なくとも2種類の滑りやすさの異なる膜と、各片持ち梁の変形を検出する変形検出手段と、その変形検出手段で検出された各片持ち梁の変形から基板と被接触面とのスリップの前兆を判断する手段とを具備するものとされる。
請求項5の発明では請求項4の発明において、滑りやすさの異なる膜は被接触面と接触する表面の摩擦係数が互いに異なるものとされる。
【0006】
請求項6の発明では請求項4の発明において、滑りやすさの異なる膜は被接触面と接触する表面の面粗さが互いに異なるものとされる。
請求項7の発明では請求項4の発明において、変形検出手段が各片持ち梁の固定端側に形成されたピエゾ抵抗層よりなるものとされる。
【発明の効果】
【0007】
請求項1の発明によれば、被接触面と接触する少なくとも2種類の滑りやすさの異なる凸部を備え、それら凸部の摩擦力による変形からスリップの前兆を判断するものとなっており、よってスリップの前兆を高精度に検知することができる。
また、請求項4の発明によれば、被接触面と接触する少なくとも2種類の滑りやすさの異なる膜をそれぞれ自由端に有する片持ち梁の配列を具備し、摩擦力が膜に作用することによるそれら片持ち梁の変形からスリップの前兆を検出するものとなっており、よってスリップの前兆を高精度に検知することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
まず、図1を参照してこの発明によるスリップセンサの原理を説明する。
図1に示したように、被接触面(スリップ検出対象面)11と対向する基体12の表面に2種類の凸部(突起)13,14を設け、これら凸部13,14が被接触面11と接触するものとする。凸部13と14とは例えば表面の摩擦係数が異なるものであって、凸部13は摩擦係数が小さく、滑りやすい凸部とされ、凸部14は摩擦係数が大きく、滑りにくい凸部とされる。
ここで、基体12と被接触面11との間に加わる上下方向の荷重をW(Wは一定)、基体12にスリップ(滑り)を生じさせる横方向の力をFtとし、凸部13及び14と被接触面11との静止摩擦係数をそれぞれμA,μBとすると、基体12が被接触面11に対し、スリップを始めるまでの間には以下の3つの状態(1)〜(3)が存在する。
【0009】
(1)Ft≦μA・W , Ft≦μB・W
(2)Ft>μA・W , Ft≦μB・W
(3)Ft>μA・W , Ft>μB・W
(1)の状態は横方向の力Ftが小さいため、スリップが発生していない状態であり、この状態では図1Aに示したように凸部13,14は共にスリップせず、摩擦力によって変形している。
(2)の状態は横方向の力Ftが大きくなったため、滑りやすい凸部13が滑り始めた状態であり、この状態では図1Bに示したように滑りやすい凸部13は滑って元の位置(横方向の力Ftが加わっていない時の初期の位置)に戻る。
【0010】
(3)の状態では基体12全体が被接触面11に対してスリップし始める。
この発明では基体12が被接触面11との静止摩擦力を失い、完全にスリップを始めるまでの間に、状態が上記のように(1)→(2)→(3)と変化し、基体12全体がスリップする前の(2)の状態において滑りやすい凸部13が滑りにくい凸部14と異なる挙動を示すことを利用するものであり、つまり2種類の凸部13,14の変形状態を監視することによって、スリップの前兆を検出しようとするものである。
次に、このような原理のスリップセンサを自動車のタイヤに適用する場合について説明する。
【0011】
図2Aはタイヤトレッドに上述したような凸部13,14に対応して滑りやすいブロック21と滑りにくいブロック22とを設けた例を模式的に示したものであり、図中、20はタイヤを示し、25は路面を示す。
図2Bは摩擦係数の大きな路面25′を走行中の状態を示したものであり、この状態ではブロック21,22は共に滑ることなく、摩擦力によって変形している。一方、図2Cは摩擦係数の小さな路面25″を走行中の状態を示したものであり、この状態では滑りにくいブロック22は滑ることなく、図2Bと同様、変形しているものの、滑りやすいブロック21は滑って元の位置・形状に戻り、つまり変形が解消されている。なお、この図2Cの状態はタイヤ全体はスリップしておらず、よってこのようなブロック21,22の変形状態を監視することにより、タイヤ20のスリップを事前に検出することができる。
【0012】
ブロック21,22の変形状態の検出は例えば歪ゲージを各ブロック21,22に配設することによって行うことができる。図3はこの様子を示したものであり、この例ではブロック21,22に歪ゲージを埋設するものとなっている。
歪ゲージ31はこの例では図3(3)に示したように四角柱状をなす柱体32の4つの側面にそれぞれ配置され、この柱体32が各ブロック21,22に図3(2)に示したように埋め込まれる。柱体32の対向する側面に配置されている一対の歪ゲージ31の出力は差動出力として取り出され、4つの歪ゲージ31により各ブロック21,22の直交2軸方向の変形を検出することができるものとなっている。歪ゲージ31には例えば抵抗線歪ゲージが用いられる。なお、柱体32は埋め込まれるブロック21もしくは22と例えば同一材料で形成される。
【0013】
滑りやすいブロック21及び滑りにくいブロック22は共にゴム製とされ、滑りやすいブロック21は例えば硬いゴムとすることにより、一方滑りにくいブロック22は柔らかいゴムとすることにより形成することができる。このようなゴムの硬さの調整は例えばゴムに混ぜるカーボンの量を調整すればよく、カーボンの量を多くすればゴムは硬くなる。
次に、上記のように歪ゲージ31が配設されたブロック21,22を備え、タイヤ20のスリップの前兆を検知するスリップセンサの全体構成について説明する。
図4はタイヤ20を幅方向に切った断面を部分的に示したものであり、滑りやすいブロック21の歪ゲージ31にそれぞれ配線33が施されてそれらが接続され、同様に滑りにくいブロック22の歪ゲージ31にそれぞれ配線34が施されてそれらが接続され、それら配線33,34は送信部35に接続される。
【0014】
送信部35はブロック21,22の各歪ゲージ31からの出力を検出する検出回路と、その検出回路の出力を信号化/送信する回路とを具備するものとされ、この例ではタイヤ20の内面に配置固定されている。一方、受信/処理部36は車体側に設置され、送信部35から送信された信号を受信して処理し、スリップの前兆を判断する。
図5は上記のような構成を有するスリップセンサをブロック図で示したものであり、図5では滑りやすいブロック21に設けられた歪ゲージを31Aとし、滑りにくいブロック22に設けられた歪ゲージを31Bとして示している。
【0015】
センサ/送信部30は各ブロック21,22に設けられた歪ゲージ31A,31Bと、歪ゲージ31Aからの出力を検出する検出回路35Aと、歪ゲージ31Bからの出力を検出する検出回路35Bと、それら検出回路35A,35Bの出力を信号化/送信する信号化/送信回路35Cとによって構成され、検出回路35A,35B及び信号化/送信回路35Cは図4における送信部35内に構成されている。
受信/処理部36は受信/復調回路37と演算回路38と電源供給部39とよりなり、受信/復調回路37は信号化/送信回路35Cから送信された信号を受信して復調し、演算回路38に出力する。
【0016】
演算回路38はブロック21,22毎の出力を平均化すると共に、それらを所定の閾値をもって判定し、ブロック21,22毎の平均化された出力からブロック21,22の変形状態(変形有無)を判断し、ブロック22が変形し、ブロック21が変形していない状態をスリップの前兆と判定して出力する。電源供給部39はセンサ/受信部30に電源を供給するものであり、この例では無線により所要の電力を供給するものとなっている。
なお、滑りやすいブロック21と滑りにくいブロック22とをタイヤトレッドに設け、それらの変形状態からスリップの前兆を判断するためには、極端に言えば(つまり、最小単位として)ブロック21,22を各1個(1組)設けるだけでもよいが、誤差を排除し、正確にスリップの前兆を検知するためには上述した例のように複数組設けるのが好ましい。
【0017】
また、タイヤの接地状態をより高精度に把握するためには、例えば図6A,Bに示したようにタイヤ20の周方向の複数の領域23にそれぞれ複数組のブロック21,22を設けるのが好ましい。図6Aではブロック21,22を設ける領域23を周方向90°ピッチで4箇所とした例を示しており、この領域23はタイヤ20の踏面に対応する領域とされている。
さらに、タイヤ20の接地状態をより詳細に把握するために、例えば図6Cに示したように領域23をタイヤ20の幅方向、中央と左右の3つの領域23C,23L,23Rに分け、各領域毎にブロック21,22の、つまり歪ゲージ31A,31Bの出力を平均化するようにしてもよく、このようにすればタイヤ20の内外の接地状態の差も検知することができる。
【0018】
上述した例ではブロック21,22の変形を検出する手段として歪ゲージ31を用いているが、変形を検出する手段としてはこれに限らず、例えば変位センサ等を用いることも可能である。また、センサ/送信部30に対する電力供給は無線によって行われるものとなっているが、例えばスリップリング等を使用し、有線で供給するようにしてもよい。
以上、この発明によるスリップセンサの一実施例として、タイヤに適用した構成について説明したが、次にこの発明によるスリップセンサの他の実施例として、例えばロボットの手(把持部)等に配置されて用いることができるスリップセンサの構成について説明する。
【0019】
図7Aはロボットの手にスリップセンサが配置された例を示したものであり、図中、41はロボットの手を示し、42は手41に把持された物(物体)を示す。この例ではロボットの指先に小型のスリップセンサ50が取り付けられ、スリップセンサ50はこの例では親指41Aと人差し指41Bの2箇所に取り付けられている。なお、図7Aではスリップセンサ50を簡略化して示している。
スリップセンサ50は方形薄型のブロック状とされ、その表面に格子状に配列された多数のセンサ部61を有するものとされる。これらセンサ部61は図7Bに示したように基板60に形成されており、各センサ部61は基板60と一体形成された片持ち梁62を備えている。基板60はこの例では単結晶シリコン基板とされている。
【0020】
各片持ち梁62の自由端側表面には膜63もしくは64が形成されており、膜63は摩擦係数が小さく、滑りやすい膜とされ、一方、膜64は摩擦係数が大きく、滑りにくい膜とされる。この例ではこれら膜63,64が各片持ち梁62に交互に形成され、つまり膜63を有するセンサ部61と膜64を有するセンサ部61とが交互に配列されたものとなっている。
滑りやすい膜63は例えばニッケルや金等の金属膜とされ、滑りにくい膜64は例えばシリコーンゴム等よりなるものとされる。なお、これら膜63,64は図7Bに示したように基板60の表面上に突出し、相手方被接触面と接触するものとされる。
【0021】
各片持ち梁62の固定端側表面にはピエゾ抵抗層65が形成されている。膜63,64が被接触面と接触し、その摩擦力によって片持ち梁62がたわむ(変形する)と、その応力によってピエゾ抵抗層65の抵抗が変化する。従って、ピエゾ抵抗層65の抵抗変化を検出することによって各片持ち梁62の変形を検出することができ、例えば滑りにくい膜64が形成されている片持ち梁62が変形し、滑りやすい膜63が形成されている片持ち梁62が変形していない状態をもってスリップの前兆を検出することができる。
センサ部61が形成されている基板60は図7Bに示したように回路基板71上に搭載固定されており、この例では回路基板71に各ピエゾ抵抗層65の抵抗検出及びその検出結果を処理してスリップの前兆を判断する機能を有するIC素子72が実装されている。なお、図7Bでは配線の詳細図示は省略している。また、73は保護用の封止樹脂を示す。
【0022】
上記のような構成を有するスリップセンサ50をロボットの指先等の把持する部分に配置すれば、滑りを検出することで被運搬物の落下を防止することができる。また、滑りを検出することでより精密な制御を行うことができ、例えば把持力を制御することにより対象物を傷つけないようできるだけ小さな力でつかむことができる。また、滑る前兆を検出したら把持力を大きくするあるいはもう一方の手を添える等の制御が可能となる。なお、図7Aにおいて、51は各スリップセンサ50からの配線を示し、52は各スリップセンサ50からの信号を処理する演算回路を示す。また、53はロボット制御用のコンピュータを示す。
【0023】
次に、上記のような構成を有するスリップセンサ50のセンサ部61の作製方法について説明する。図8Aは作製方法を工程順に示したものであり、以下各工程(1)〜(7)について説明する。なお、図8Aは1個のセンサ部61について示している。
(1)シリコンウエハ81を用意する。
(2)シリコンウエハ81の一面(裏面)81bに方形枠状のマスク82を形成する。
(3)マスク82から露出している部分をKOH等のエッチング液を用いて異方性エッチングし、凹部83を形成した後、マスク82を除去する。凹部83の底面にはダイアフラム84が形成される。なお、この工程(3)以降の図は工程(2)の図中に示した一点鎖線部分で切った形状として示している。
【0024】
(4)シリコンウエハ81の他面(表面)81aに膜63(64)及びピエゾ抵抗層65を形成する領域を規定するマスク85を形成する。
(5)不純物拡散によりピエゾ抵抗層65を形成し、さらに膜63もしくは64を形成した後、マスク85を除去する。摩擦係数の小さい膜63は例えばニッケルや金等をスパッタリングすることによって形成し、摩擦係数の大きい膜64は例えばシリコーンゴム等を印刷塗布することによって形成する。
(6)片持ち梁62の形状を規定するマスク86を形成する。
【0025】
(7)マスク86から露出している部分をエッチングして片持ち梁62を形成した後、マスク86を除去する。これにより図8Bに示したような構造を有するセンサ部61が完成する。
図7に示したスリップセンサ50ではセンサ部61の片持ち梁62は基板60の表面と同一面内に位置し、被接触面と接触する膜63,64が基板60の表面上に突出した構造となっているが、被接触面とのスリップ状態の検出をより検出しやすくするため、片持ち梁62を図9に示したように若干反り返らした形状としてもよい。
【0026】
図9Aは基板60に片持ち梁62がエッチングによって形成された状態を示したものであり、図中、60Aは単結晶シリコン基板を示し、60Bはポリシリコン膜を示す。
ポリシリコン膜60B上にニッケルや金等の金属膜63′を形成すると、ポリシリコン膜60Bと金属膜63′の熱膨張係数の違いにより図9Bに示したように片持ち梁62に反りが生じる。この状態で金属膜63′は図7Bにおける滑りやすい膜63と対応し、つまり片持ち梁62が反り返えると共に、被接触面と接触する滑りやすい膜が形成されたことになる。
【0027】
図9Cは図9Bの状態に対し、片持ち梁62の先端にシリコーンゴム等よりなる滑りにくい膜64を形成したものであり、この例ではこれら図9B,Cに示したように片持ち梁62が反り返った構造のセンサ部61が形成され、このような構造を採用することにより膜63′,64が被接触面と良好に接触(圧接)すると共に、摩擦力による片持ち梁62の変形がより良好に生じやすいものとなる。
上述した実施例では滑りやすさの異なる凸部(ブロック)や膜をいずれも材質を選定し、表面の摩擦係数が異なるものとしているが、例えば表面の形状や面粗さを変えることによって滑りやすさの異なる凸部や膜を形成することもできる。
【0028】
図10(2)は図10(1)に示したタイヤ20の例えばゴムの硬さを変えることによって形成した滑りやすいブロック21及び滑りにくいブロック22に対し、表面の形状を変えることによって滑りやすさの異なるブロックを形成する例を示したものであり、図10(2)Aに示したブロック21′は角部を丸めることにより滑りやすくしたものであり、図10(2)B,Cに示したブロック22′及び22″は角に鋭角部を設けて滑りにくくしたものである。
一方、図11(2)Aに示した膜64′は図11(1)に示した材質を変えることによって形成した滑りやすい膜63、滑りにくい膜64に対し、表面の面粗さを変えることにより(大きくすることにより)滑りやすい膜63に対して滑りにくい膜64′を形成する例を示したものである。なお、図11(2)Bに示したように角に鋭角部を設けて滑りにくい膜64″とすることもできる。
【0029】
以上、滑りやすさの異なる2種類の凸部(ブロック)や膜を備えるスリップセンサについて説明したが、滑りやすさの異なる凸部や膜は2種類に限らず、例えば3種類以上設けるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】この発明によるスリップセンサの原理を説明するための図。
【図2】この発明をタイヤに適用した場合の滑りやすさの異なるブロック(凸部)の変形状態を説明するための図。
【図3】この発明をタイヤに適用した場合のブロックの変形を検出する手段を説明するための図。
【図4】この発明によるスリップセンサタイヤに適用した実施例を説明するための図。
【図5】図4に示した実施例のブロック図。
【図6】滑りやすさの異なるブロックのタイヤへの配置例を説明するための図。
【図7】ロボットの指先等に配置することができるこの発明によるスリップセンサの実施例を説明するための図。
【図8】図7に示したスリップセンサの作製方法を説明するための図。
【図9】図7に示したスリップセンサにおけるセンサ部の他の構成例を説明するための図。
【図10】図4に示したスリップセンサにおけるブロックの他の構成例を説明するための図。
【図11】図7に示したスリップセンサにおけるセンサ部の膜の他の構成例を説明するための図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被接触面と接する基体の表面に配列されて被接触面と接触する少なくとも2種類の滑りやすさの異なる凸部と、
それら各凸部の変形を検出する変形検出手段と、
その変形検出手段で検出された上記各凸部の変形から上記基体と上記被接触面とのスリップの前兆を判断する手段とを具備することを特徴とするスリップセンサ。
【請求項2】
請求項1記載のスリップセンサにおいて、
上記滑りやすさの異なる凸部は上記被接触面と接触する表面の摩擦係数が互いに異なるものとされていることを特徴とするスリップセンサ。
【請求項3】
請求項1記載のスリップセンサにおいて、
上記滑りやすさの異なる凸部は上記被接触面と接触する表面の形状が互いに異なるものとされていることを特徴とするスリップセンサ。
【請求項4】
基板表面に、その基板と一体形成されて格子状に配列された片持ち梁と、
それら各片持ち梁の自由端側表面に形成されて上記基板表面上に突出して配列され、被接触面と接触する少なくとも2種類の滑りやすさの異なる膜と、
上記各片持ち梁の変形を検出する変形検出手段と、
その変形検出手段で検出された上記各片持ち梁の変形から上記基板と上記被接触面とのスリップの前兆を判断する手段とを具備することを特徴とするスリップセンサ。
【請求項5】
請求項4記載のスリップセンサにおいて、
上記滑りやすさの異なる膜は上記被接触面と接触する表面の摩擦係数が互いに異なるものとされていることを特徴とするスリップセンサ。
【請求項6】
請求項4記載のスリップセンサにおいて、
上記滑りやすさの異なる膜は上記被接触面と接触する表面の面粗さが互いに異なるものとされていることを特徴とするスリップセンサ。
【請求項7】
請求項4記載のスリップセンサにおいて、
上記変形検出手段が上記各片持ち梁の固定端側に形成されたピエゾ抵抗層よりなることを特徴とするスリップセンサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−133086(P2006−133086A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−322728(P2004−322728)
【出願日】平成16年11月5日(2004.11.5)
【出願人】(000231073)日本航空電子工業株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】