説明

スリーブ穴埋用粘着シート

【課題】有機溶剤型粘着剤の代わりに水性粘着剤を使用しても接着力が低下して剥離することのない粘着剤層を積層したスリーブ穴埋用粘着シートを提供する。
【解決手段】金属箔からなる層の片面に発泡樹脂層が積層され、当該発泡樹脂層の上面にアクリル酸エステル単量体及び/又はメタアクリル酸エステル単量体90〜99重量%と官能基を有する単量体1〜10重量%とを乳化重合したガラス転移点−65℃〜−30℃のアクリル系共重合体エマルジョン100重量部に対して粘着付与樹脂を3〜25重量部加えてなる水性エマルジョン型粘着剤層が積層され、当該水性エマルジョン型粘着剤層の上面に離型紙が積層されてなるスリーブ穴埋用粘着シート。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物の配管工事のために開けたスリーブ穴の穴埋め補修工事に使用するスリーブ穴埋用粘着シートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
周知の通り、従来のスリーブ穴埋用粘着シートは、略中央部に配管を通す接着用の穴が設けられ、アルミニウムシート層とこのアルミニウムシート層の上面に接着剤層を介して積層した発泡ポリエチレン層とこの発泡ポリエチレン層の上面に粘着剤層を介して積層した離型紙層とから構成され、前記中央の穴を中心として描かれる同心円の円弧まで放射状に形成された切込線と該切込線の内の一本を粘着シートの縁まで延長して形成した分離線とが設けられて、当該切込線を切り離して穴の径を広げることにより脚片が形成されるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
そして、スリーブ穴の穴埋め補修工事では、前記従来の粘着シートのスリーブ穴に上・下階を貫通するガス、水道或いは電気等の配管を通した後、該配管の外径に合わせて粘着シートの切込線を切り離して穴の径を広げ、分離線により粘着シートを2分して離型紙層を剥がした後、配管に粘着シートの広げた穴を通し、スラブの下面に接着すると共に、粘着シートの広げられた脚片を配管の側部に接着する。この後、スリーブ穴と配管との間の隙間にモルタルを流し込み、モルタルが固まった後も、粘着シートをスラブの下面に貼った状態にしている。
【0004】
また、金属箔からなる層の片面に発泡樹脂層が積層され、この発泡樹脂層の上面に該発泡樹脂層の上面を平坦にして補強するフィルム層が積層され、このフィルム層の上面に粘着剤層が積層され、この粘着剤層の上面に離型紙が積層されてなるスリーブ穴埋用粘着シートが提案されている(特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】実開平6−61944号公報
【特許文献2】特開平10−60396号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記従来の粘着シートはスリーブ穴の穴埋め補修工事において、固まる前の膨潤なモルタルがスリーブ穴の隙間から粘着シートの粘着剤層に浸透するので、粘着剤層の接着力が低下しないように有機溶剤型粘着剤が使用されているが、当該粘着剤ではシックハウス等の環境汚染が問題となっていた。また、有機溶剤型粘着剤に代わる水性粘着剤を使用した粘着シートの開発もなされているが、モルタルから染み出す水分によって粘着剤の接着力が低下して穴埋めされたモルタルを粘着シートが支え切れず、スラブ下面から剥離してしまうという問題点があった。
【0007】
そこで、本発明は、有機溶剤型粘着剤の代わりに水性粘着剤を使用しても接着力が低下して剥離することのない粘着剤層を積層したスリーブ穴埋用粘着シートを得ることを技術的課題としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記技術的課題は、次の通りの本発明によって解決できる。
【0009】
即ち、本発明に係るスリーブ穴埋用粘着シートは、金属箔からなる層の片面に発泡樹脂層が積層され、当該発泡樹脂層の上面にアクリル酸エステル単量体及び/又はメタアクリル酸エステル単量体90〜99重量%と官能基を有する単量体1〜10重量%とを乳化重合したガラス転移点−65℃〜−30℃のアクリル系共重合体エマルジョン100重量部に対して粘着付与樹脂を3〜25重量部加えてなる水性エマルジョン型粘着剤層が積層され、当該水性エマルジョン型粘着剤層の上面に離型紙が積層されてなるものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、有機溶剤型粘着剤に代えて水性エマルジョン型粘着剤を積層したので、水分が浸透しても接着力が低下せず、しかも、環境保全に貢献でき、かつ、火災の危険がないスリーブ穴埋用粘着シートを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
【0012】
実施の形態1.
【0013】
図1は本実施の形態に係るスリーブ穴埋用粘着シートの平面図、図2は図1に示すスリーブ穴埋用粘着シートの部分縦断面図であり、これらの図において、1は、略中央部に配管を通す接着用の穴2が設けられ、金属箔層3と、該金属箔層3の上面に接着剤層4を介して積層した発泡樹脂層5と、該発泡樹脂層5の上面に粘着剤層6を介して積層した離型紙層7とから構成されたスリーブ穴埋用粘着シート(以下、「粘着シート」ともいう。)である。当該粘着シート1には、前記中央の穴2を中心として描かれる同心円の円弧8まで放射状に形成された切込線9と該切込線9の内の一本を粘着シート1の縁まで延長して形成した分離線10とが設けられ、当該切込線9を切り離して穴2の径を円弧8まで広げることにより、配管の側部に接着する脚片が形成されるようになっている
【0014】
前記金属箔層3は、発泡樹脂層5を補強して荷重応力を分散する目的で使用されるが、可撓性、裁断加工性に優れた金属箔が好ましく、該金属箔は単体で使用してもよく、布、不織布或いはグラマクロスで裏打ちしたものを使用してもよい。特に、軟質アルミニウム箔は前記特性に優れ、軽量でコストもかからず好適である。アルミニウム箔を使用する場合は、厚さ30〜80μmとすればよく、30μm未満では補強効果、応力分散効果が不十分であり、80μmを超えれば剛性が大きすぎて作業性が悪く、コスト的にも好ましくない。
【0015】
前記発泡樹脂層5には、難燃処理を施したポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂を採用すればよく、発泡樹脂層5の厚さは0.5〜3mmとすれば十分で、0.5mm未満では粘着シート1に強度が得られず、あまり好ましくない。
【0016】
前記発泡樹脂層5は金属箔層3の片面に接着剤層4を介して積層されるが、積層する方法としては接着剤を用いる場合と、発泡樹脂層5の片面(接着面)を熱や火炎により溶融させて接着する方法とがあるが、後者の場合は溶融した発泡樹脂層5の一部が接着剤層4となる。
【0017】
前記粘着剤層6の粘着剤には、アクリル酸エステル単量体及び/又はメタアクリル酸エステル単量体90〜99重量%と官能基を有する単量体1〜10重量%とを乳化重合したガラス転移点−65℃〜−30℃のアクリル系共重合体エマルジョン100重量部に対して粘着付与樹脂を3〜25重量部加えてなる水性エマルジョン型粘着剤を使用する。
【0018】
前記アクリル系共重合体エマルジョンの主成分となる(メタ)アクリル酸エステル単量体としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等を使用することができ、好ましくは、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートである。これらを1種単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。アクリル酸エステル単量体及び/又はメタアクリル酸エステル単量体の使用量は前記主成分中に90重量%未満では、粘着剤の耐光性、耐熱性が不十分となり、99重量%を超えれば水性エマルジョンの貯蔵安定性、機械的安定性が損なわれるので、主成分中90〜99重量%としなければならない。
【0019】
前記官能基を有する単量体(官能基モノマー)としては、例えば、アミド基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、酸無水物基、エポキシ基、オキサゾリン基、マレイミド基、エーテル基等を有するモノマーを使用することができ、好ましくは、アミド基を有する(メタ)アクリルアミド、カルボキシル基を有する(メタ)アクリル酸、イタコン酸、ヒドロキシル基を有する2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、エポキシ基を有するグリシジルメタアクリレート、その他の官能基を有するモノマーとして、(ポリ)アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート化合物のエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレートである。これらを1種単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。官能基を有する単量体の使用量は前記主成分中に1重量%未満では、粘着性が不十分となり、機械的安定性が劣る。また、10重量%を超えて使用しても高コストとなってこのコストに見合う粘着性能(剥離強度)が得られないので、主成分中1〜10重量%としなければならない。
【0020】
アクリル系共重合体エマルジョンは、前記アクリル酸エステル単量体及び/又はメタアクリル酸エステル単量体と官能基を有する単量体とを乳化重合して得られるが、必要に応じて、酢酸ビニル、(メタ)アクリロニトリル、塩化ビニル、スチレン等の他のモノマーを共重合成分として使用してもよい。アクリル系共重合体エマルジョンの乳化重合は従来の方法を採用すればよく、例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド等のノニオン系、アニオン系、或いはカチオン系乳化剤、過硫酸塩、アゾビスイソチロニトリル、過酸化物等の重合開始剤、ブチルメルカブタン、ドデシルメルカブタン、イソプロピルアルコール等の分子量調整剤、その他、必要に応じて泡消剤、増粘剤、防腐剤等の添加剤と共に、水系媒体中に乳化分散させて不活性雰囲気中で共重合させればよい。
【0021】
また、乳化重合時のモノマー混合物の添加方法としては、例えば、モノマー混合物をそのままで、或いは、あらかじめ水系媒体中に乳化剤と共に乳化分散したプレエマルジョンとして、一括添加するか、又は、モノマー混合物或いはプレエマルジョンの一部若しくは全量を連続的又は間欠的に添加する方法を用いれば良く、あらかじめモノマー混合物の一部から製造した共重合エマルジョンをシードにしたシード乳化重合法を採用してもよい。乳化重合条件は、例えば、全単量体成分100重量部に対し、水100〜900重量部を使用し、乳化剤、重合開始剤、その他、必要に応じて分子量調整剤、キレート化剤、電解質、pH調整剤等を適量使用して10〜90℃、好ましくは40〜80℃の重合温度で通常3〜15時間重合すればよい。
【0022】
前記乳化重合により得られるアクリル系共重合体エマルジョンのガラス転移点(Tg)は−65℃未満では、粘着剤の軟化点が低く不十分であり、−30℃を超えれば、剥離強度が不十分となるので、ガラス転移点−65℃〜−30℃としなければならない。なお、ガラス転移点は(メタ)アクリル酸エステル、官能基モノマーの種類、量等により容易に調整することができる。ここで、アクリル系共重合体エマルジョンのガラス転移点(Tg)は、理学電気株式会社製の示差走査熱量分析計(DSC)を用い、次の条件で測定した値である。即ち、アクリル系共重合体エマルジョンの約5g(固形分換算)をガラス板に薄く引き伸ばし25℃で7日間乾燥させ、ポリマーフィルムを得る。得られた乾燥フィルムのガラス転移点を条件:昇温速度:20℃/分,雰囲気:チッ素,サンプル量:20mgで測定する。
【0023】
前記粘着付与樹脂は、ロジン系粘着付与樹脂を使用すればよく、具体的には、ロジンエステル、ロジン変性フェノール、水素化ロジン、重合ロジン等を採用すればよい。当該粘着付与樹脂の配合量はアクリル系共重合体エマルジョン100重量部に対して3重量部未満では、粘着剤の軟化点が低く不十分となり、25重量部を超えれば、粘着剤の剥離強度が弱く不十分となるので、3〜25重量部でなければならない。なお、ロジン系粘着付与樹脂は単独使用の外、2種以上を混合して使用してもよい。
【0024】
そして、スリーブ穴の穴埋め補修工事では、前記粘着シート1のスリーブ穴2に配管を通した後、該配管の外径に合わせて粘着シート1の切込線9を切り離して穴の径を円弧8まで広げ、分離線10により粘着シート1を2分して離型紙層7を剥がした後、配管に粘着シート1の広げた穴を通してスラブ下面に接着すると共に、粘着シート1の広げられた脚片を配管の側部に接着する。この後、スリーブ穴と配管との間の隙間にモルタルを流し込む。
【0025】
本実施の形態では、粘着シート1の粘着剤層6に特定量配合の水性エマルジョン型粘着剤を使用したので、スリーブ穴の穴埋め補修工事において、粘着剤層の接着力が低下せず、低温粘着性も良好で、粘着シート1がスラブ下面から剥離することはない。
【実施例】
【0026】
実施例1〜8,比較例1〜5:金属箔としてJIS4160に適合する1N30の厚さ50μmの軟質アルミニウム箔、接着剤として市販のSKダイン(商品名:BS-HS:型番:綜研化学株式会社製)、坪量110g/m2の離型紙を使用した。発泡樹脂層として市販のハイエチレンS(商品名:EF-3002G :型番:日立化成工業株式会社)2mm厚を使用した。
【0027】
また、(メタ)アクリル酸エステル単量体として2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA)、n−ブチルアクリレート(n-BA)、メチルメタクリレート(MMA)及びヒドロキシメタクリレート(HEMA)を使用し、官能基を有する単量体としてアクリル酸及びメタクリル酸を使用した。
【0028】
また、粘着付与樹脂として、荒川化学工業株式会社製の軟化点160℃のロジンエステル系エマルジョン樹脂(商品名:E-650)、軟化点160℃のノントルエンタイプのロジンエステル系エマルジョン樹脂(商品名:E-865NT)、軟化点75℃のロジンエステル系エマルジョン樹脂(商品名:E-710)及び軟化点100℃のロジンエステル系エマルジョン樹脂(商品名:E-720)を使用した。
【0029】
水性エマルジョン型粘着剤は、表1に示す単量体組成にて反応容器に脱イオン水を40重量部、乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.2重量部、重合開始剤として過硫酸ナトリウム0.6重量部を仕込み、60℃として窒素ガスにて置換した後、表1に示す単量体組成100重量部を脱イオン水50重量部とドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.6重量部を混合し、プレエマルジョンを調製した。このプレエマルジョンを80℃に昇温した反応容器に4時間かけて連続的に滴下し、攪拌下で乳化重合し、プレエマルジョン滴下終了後、さらに2時間攪拌を続け、乳化重合を完結した。そして、各アクリル系エマルジョンA〜Hを調製し、さらに、表2及び表3に示す配合割合にて粘着剤の調製を行った。次に、アクリル共重合体エマルジョンA〜Hを100重量部(固形分換算)に対し、表2及び表3に示す粘着付与樹脂を配合し、ウレタン系増粘剤を用いて11000mPa・s±300mPa・sの粘度に調製した。次いで、これらの水性エマルジョン型粘着剤を乾燥後の塗工量が75g/m2になるように、離型紙上にアプリケータで塗工し、100℃×5分間換乾燥した。この後、ポリエチレン系フォーム発泡体に転写し、室温で2日間養生して粘着加工供試体とした。
【0030】
【表1】

【0031】
【表2】

【0032】
【表3】

【0033】
なお、表1中、PEGDMAは架橋剤ポリエチレングリコールジメタクリレートを示す。
【0034】
また、表2及び表3中、各水性エマルジョン型粘着剤の軟化点(℃)は、幅25mm×長さ50mmのシート面に当該各粘着剤を塗布して該塗布面の25mm×25mmの面積にポリプロピレン製板を貼り付けて5kgゴムローラで圧着して24時間放置後、自動昇温付きオープン中にて500gの分銅をポリプロピレン製板の下端に付けて吊し、40℃で30分間保持した後に3℃/5分の割合で昇温して貼り付けているポリプロピレン製板が落下したときの温度を測定した。軟化点は55℃以上を良好とし、55℃未満を不十分とした。剥離強度(N/25mm)は、幅25mm、長さ180mmの供試体を用いてポリプロピレン(PP)樹脂板に張り付け、2kgのローラーで1往復後圧着させた。そして、23℃×65%湿度の条件下で20分間静置し、300mm/分の引張速度で90°剥離強度をJISZ 0237に準拠して測定した。4N/25mm以上が良好で、4N/25mm未満が不十分とした。分銅タックは前記粘着加工した供試体を水平な場所に23℃×65%湿度条件下で、底面積1cm2、重さ10gの分銅を3秒間静置後、分銅を垂直方向に引張り、分銅タックを測定した。0.3kg/cm2以上を良好とし、0.3kg/cm2未満を不十分とした。
【0035】
表2及び表3によれば、実施例1〜8の各水性エマルジョン型粘着剤は、軟化点、剥離強度及び分銅タックの測定値がいずれも高い値を示しており、粘着性能が優れていることが確認できる。
【0036】
続いて、軟質アルミニウム箔の片面にSKダインをウエット状態で120g/m2(乾燥後の重量50g/m2)塗布し、溶剤乾燥後に、軟質アルミニウム箔のSKダイン塗布面とイエチレンS面とを貼り合わせ、軟質アルミニウム箔(金属箔層)とハイエチレンS(発泡樹脂層)とからなる積層体10枚を得、離型紙の離型面に表2及び表3に示す各水性エマルジョン型粘着剤をウエット状態で143g/m2(乾燥後の重量60g/m2)塗布し、溶剤乾燥後に、離型紙の粘着剤塗布面と、前記各積層体のハイエチレンS面とを貼り合わせて、軟質アルミニウム箔(金属箔層)とSKダイン層(接着剤層)とハイエチレンS(発泡樹脂層)と水性エマルジョン型粘着剤層と離型紙層とからなる各粘着シート(実施例1〜8,比較例1〜5)を得た。
【0037】
その後、配管外径寸法20mmの粘着シートとするために、縦横200×200mmの正方形に裁断して、図1に示すように、小丸に切り抜いた中央から20mmを越える同じ長さの放射状切込線を8本形成し、その1本をシート端縁まで伸ばして分離線とした。
【0038】
スリーブ穴に外径寸法20mmの配管を通した後、配管の外径に合わせて、粘着シートの切込線及び分離線を切り離して中央の小丸から穴の径を広げた後、離型紙を剥がして配管に通してスラブ下面に接着すると共に、粘着シートの広げられた脚片を配管の側部に接着した。その後、スリーブ穴と配管との間の隙間にモルタルを流し込み、モルタルが固まるのを待った。
【0039】
粘着シートがスラブの下面から剥がれているか否かを観察した結果、実施例1〜8の粘着シートにおいては低温粘着性が良好で剥離していなかったが、比較例1〜5においてはいずれもモルタルから染み出す水分によって接着力が低下し、剥離部分が目立った。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明によれば、特定量のアクリル酸エステル単量体及び/又はメタアクリル酸エステル単量体、官能基を有する単量体及び粘着付与樹脂からなる水性エマルジョン型粘着剤を使用したから、水分が浸透しても接着力が低下せず、しかも、環境保全に貢献して、火災の危険がないスリーブ穴埋用粘着シートを提供することができる。
【0041】
従って、本発明の産業上利用性は非常に高いといえる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本実施の形態に係るスリーブ穴埋用粘着シートの平面図である。
【図2】図1に示すスリーブ穴埋用粘着シートの部分縦断面図である。
【符号の説明】
【0043】
1 スリーブ穴埋用粘着シート(粘着シート)
2 穴
3 金属箔層
4 接着剤層
5 発泡樹脂層
6 粘着剤層
7 離型紙層
8 円弧
9 切込線
10 分離線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属箔からなる層の片面に発泡樹脂層が積層され、当該発泡樹脂層の上面にアクリル酸エステル単量体及び/又はメタアクリル酸エステル単量体90〜99重量%と官能基を有する単量体1〜10重量%とを乳化重合したガラス転移点−65℃〜−30℃のアクリル系共重合体エマルジョン100重量部に対して粘着付与樹脂を3〜25重量部加えてなる水性エマルジョン型粘着剤層が積層され、当該粘着剤層の上面に離型紙が積層されてなるスリーブ穴埋用粘着シート。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−35632(P2009−35632A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−201091(P2007−201091)
【出願日】平成19年8月1日(2007.8.1)
【出願人】(596135467)ブリヂストン東海化成株式会社 (1)
【出願人】(305013770)日本紙通商株式会社 (1)
【出願人】(000231626)日本製箔株式会社 (49)
【出願人】(000230397)株式会社イーテック (49)
【Fターム(参考)】