スルホンイミド基含有化合物の製造方法
【課題】有機イオン伝導体及びルイス酸触媒等として有用な物質であるスルホンイミド化合物の新規製造法を提供する。
【解決手段】スルホンアミド化合物を、第3級アミン、複素環式アミンである有機塩基化合物、あるいはアルカリ金属またはアルカリ土類金属を成分とする炭酸塩、炭酸水素塩、リン酸塩、水酸化物、酸化物である無機塩基化合物の何れから選ばれる塩基化合物の存在下、スルホン酸無水物と反応させて、スルホンイミド化合物を製造する方法。
【解決手段】スルホンアミド化合物を、第3級アミン、複素環式アミンである有機塩基化合物、あるいはアルカリ金属またはアルカリ土類金属を成分とする炭酸塩、炭酸水素塩、リン酸塩、水酸化物、酸化物である無機塩基化合物の何れから選ばれる塩基化合物の存在下、スルホン酸無水物と反応させて、スルホンイミド化合物を製造する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機イオン伝導体及びルイス酸触媒等として有用な物質であるスルホンイミド化合物の新規製造法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
スルホンイミド化合物は、良好なイオン伝導性、熱安定性、化学的安定性を有することから、リチウムイオン2次電池の電解質として、あるいは、有機合成分野ではルイス酸触媒として有用な物質である。
スルホンイミド化合物の製造方法として、例えば、以下の方法が提案されている。
(1)ペルフルオロアルキルスルホニルフルオリドとトリメチルシリル基含有ペルフルオロアルキルスルホンアミドのアルカリ金属塩を反応させる下記反応式で示される方法(例えば、非特許文献1〜2)
RfSO2F+Rf’SO2N(SiMe3)Na→RfSO2N(Na)SO2Rf’+Me3SiF
【0003】
(2)ペルフルオロアルキルスルホニルハライドとペルフルオロアルキルスルホンアミドを第3級アミン又は複素環式アミンの存在下、反応させる下記反応式で示される方法(例えば、特許文献1参照)
RfSO2X+Rf’SO2NH2+2R1R2R3N→RfSO2N(NHR1R2R3)SO2Rf’+R1R2R3NHX
(3)ペルフルオロアルキルスルホニルハライドとペルフルオロアルキルスルホンアミドをアルカリ金属フッ化物の存在下、反応させる下記反応式で示される方法(例えば、特許文献2参照)
RfSO2X+Rf’SO2NH2+4MF→RfSO2N(M)SO2Rf’+2MFHF+MX
【0004】
しかしながら、(1)は反応工程が多く、ヘキサメチルジシラザンのような高価な化合物を使用しなければならないため、工業的な製造法ではない。また、(1)〜(3)において、スルホンアミド化合物と、沸点が10℃以下の炭素数1〜2のペルフルオロアルキルスルホニルフルオリドが使用されているが、低温冷却装置のついたオートクレーブ中で反応させる必要があり、量産には向かない。
このように、従来のスルホンイミド化合物の製造方法は工業的な製造方法とは言いがたく、工業的に安価でかつ操作性に優れたスルホンイミド化合物の製造方法の出現が望まれていた。
【0005】
【非特許文献1】Inorganic Chemisty 23巻 3720―3723頁(1984年)
【非特許文献2】Inorganic Chemisty 32巻 5007―5010頁(1993年)
【特許文献1】特開平8―81436号公報
【特許文献2】特開2001―288193号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑み、工業的に安価でかつ操作性に優れたスルホンイミド化合物の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは上記問題を解決すべく鋭意研究を行った結果、第3級アミン、複素環式アミンである有機塩基化合物、あるいはアルカリ金属またはアルカリ土類金属を成分とする炭酸塩、炭酸水素塩、リン酸塩、水酸化物、酸化物である無機塩基化合物の何れから選ばれる塩基化合物の存在下、スルホンアミド化合物とスルホン酸無水物を反応させることにより、高収率でスルホンイミド化合物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1]下記一般式(1)
Rf1SO2NH2 ・・・(1)
(Rf1は、炭素数1から12のフッ素化炭化水素基あるいはその置換体を示す。)
で表されるスルホンアミド化合物を、第3級アミン、複素環式アミンである有機塩基化合物、あるいはアルカリ金属またはアルカリ土類金属を成分とする炭酸塩、炭酸水素塩、リン酸塩、水酸化物、酸化物である無機塩基化合物の何れから選ばれる塩基化合物の存在下、下記一般式(2)
(Rf2SO2)2O ・・・(2)
(Rf2は、炭素数1から12のフッ素化炭化水素基あるいはその置換体を示す。)
で表されるスルホン酸無水物と反応させて、下記一般式(3)
Rf1SO2N(M)SO2Rf2 ・・・(3)
(Rf1は上記一般式(1)のRf1と同じであり、Rf2は上記一般式(2)のRf2と同じである。MはMa、Mb1/2、有機アンモニウム基であり、Maはアルカリ金属、Mbはアルカリ土類金属である。)
で表されるスルホンイミド化合物を製造する方法。
[2]上記一般式(1)及び(3)のRf1が炭素数1〜12の水素原子含有フッ素化炭化水素基である上記[1]に記載の方法。
[3]上記一般式(2)及び(3)のRf2が炭素数1〜4のペルフルオロアルキル基である上記[1]又は[2]に記載の方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、オートクレーブを使用することなく、有機イオン伝導体及びルイス酸触媒等として有用な物質であるスルホンイミド化合物を高収率で製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明について詳細に記述する。
本発明は、スルホンアミド化合物を、第3級アミン、複素環式アミンである有機塩基化合物、あるいはアルカリ金属またはアルカリ土類金属を成分とする炭酸塩、炭酸水素塩、リン酸塩、水酸化物、酸化物である無機塩基化合物の何れから選ばれる塩基化合物の存在下、室温より沸点が高いスルホン酸無水物と反応させることにより、高収率でスルホンイミド化合物を製造する方法に関する。
本発明において、下記一般式(1)
Rf1SO2NH2 ・・・(1)
で表されるスルホンアミド化合物が使用される。
Rf1は、炭素数1から12のフッ素化炭化水素基あるいはその置換体を示す。フッ素化炭化水素基の構造は、直鎖構造でも分岐構造でも環状構造でも良く、完全フッ素化あるいは部分フッ素化された炭化水素基も包含される。さらにその置換基として、塩素原子、臭素原子等のハロゲン基を含んでいても良い。
【0011】
Rf1の具体例としては、
【化1】
等が挙げられるが、合成・精製の容易性から、Rf1は、炭素数1〜12の水素原子含有フッ素化炭化水素基が好ましい。
【0012】
本発明において、下記一般式(2)
(Rf2SO2)2O ・・・(2)
で表されるスルホン酸無水物が使用される。
上記一般式(2)において、Rf2は炭素数1から12のフッ素化炭化水素基あるいはその置換体を示す。フッ素化炭化水素基の構造は、直鎖構造でも分岐構造でも環状構造でも良く、完全フッ素化あるいは部分フッ素化された炭化水素基も包含される。さらにその置換基として、塩素原子、臭素原子等のハロゲン基を含んでいても良い。
【0013】
Rf2の具体例としては、
【化2】
等が挙げられるが、スルホン酸無水物の合成・精製の容易性から、Rf2は
【0014】
【化3】
で表される炭素数1〜4のペルフルオロアルキル基が好ましい。
【0015】
下記一般式(1)
Rf1SO2NH2 ・・・(1)
で表されるスルホンアミド化合物は、第3級アミン、複素環式アミンである有機塩基化合物、あるいはアルカリ金属またはアルカリ土類金属を成分とする炭酸塩、炭酸水素塩、リン酸塩、水酸化物、酸化物である無機塩基化合物の何れから選ばれる塩基化合物の存在下、下記一般式(2)
(Rf2SO2)2O ・・・(2)
で表されるスルホン酸無水物と反応させて、下記一般式(3)
Rf1SO2N(M)SO2Rf2 (3)
で表されるスルホンイミド化合物が製造される。
【0016】
上記一般式(3)において、MはMa、Mb1/2、有機アンモニウム基であり、Maはアルカリ金属、Mbはアルカリ土類金属である。上記一般式(3)において、Rf1は上記一般式(1)のRf1と同じであるが、上記一般式(1)と同様の理由により、Rf1は好ましくは炭素数1から12の水素原子含有フッ素化炭化水素基である。また、上記一般式(3)において、Rf2は上記一般式(2)のRf2と同じであるが、上記一般式(2)と同様の理由により、Rf2は好ましくは炭素数1〜4のペルフルオロアルキル基である。
従来のスルホンイミド化合物の製造方法としては、前記に記載したように、スルホンアミド化合物と、沸点が10℃以下の炭素数1〜2のペルフルオロアルキルスルホニルフルオリドが原材料として使用されているが、低温冷却装置のついたオートクレーブ中で反応させる必要があり、量産には向かなかった(例えば、非特許文献1〜2、特許文献1〜2参照)。
【0017】
本発明者らは、常圧下、スルホンアミド化合物からスルホンイミド化合物を高収率で製造できる方法について鋭意検討をした結果、第3級アミン、複素環式アミンである有機塩基化合物、あるいはアルカリ金属またはアルカリ土類金属を成分とする炭酸塩、炭酸水素塩、リン酸塩、水酸化物、酸化物である無機塩基化合物、から選ばれる塩基化合物の存在下、スルホンアミド化合物とスルホン酸無水物を接触、反応させることにより、高収率でスルホンイミド化合物が得られることを見出した。
本発明において、第3級アミン、複素環式アミンである有機塩基化合物、あるいはアルカリ金属またはアルカリ土類金属を成分とする炭酸塩、炭酸水素塩、リン酸塩、水酸化物、酸化物である無機塩基化合物、から選ばれる塩基化合物が使用される。
【0018】
第3級アミン、複素環式アミンである有機塩基化合物の具体例としては、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン等が挙げられ、また、アルカリ金属またはアルカリ土類金属を成分とする炭酸塩、炭酸水素塩、リン酸塩、水酸化物、酸化物である無機塩基化合物の具体例としては、
炭酸塩:Li2CO3 Na2CO3 K2CO3 Cs2CO3 CaCO3 BaCO3
炭酸水素塩:NaHCO3 KHCO3
リン酸塩:Na3PO4 Na2HPO4 CaHPO4
水酸化物:LiOH NaOH KOH CsOH Ca(OH)2 Ba(OH)2
酸化物:Li2O Na2O K2O CaO BaO
等が挙げられるが、好ましくは第3級アミン、アルカリ金属又はアルカリ土類金属を成分とする炭酸塩、酸化物であり、より好ましくは第3級アミン、アルカリ金属を成分とする炭酸塩、酸化物であり、特に好ましくは第3級アミンである。
【0019】
第3級アミン、複素環式アミンである有機塩基化合物、あるいはアルカリ金属またはアルカリ土類金属を成分とする炭酸塩、炭酸水素塩、リン酸塩、水酸化物、酸化物である無機塩基化合物、から選ばれる塩基化合物の使用量は、スルホンアミド化合物1モルに対して、2モルから5モルが好ましく、2.2モルから4.8モルが好ましく、2.5モルから4.5モルがより好ましく、2.8モルから4モルが特に好ましい。
上記一般式(1)で表されるスルホンアミド化合物と、上記一般式(2)で表されるスルホン酸無水物との反応は、通常、溶媒中で行われる。溶媒としては、反応物質に対して不活性な溶媒であれば良く、本発明で使用される溶媒の例としては、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル系溶媒、N,N―ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類、HFC43−10mee、ペルフルオロ−2−ブチルテト
ラヒドロフラン、ペルフルオロトリブチルアミン等の含フッ素系溶媒、クロロホルム、塩化メチレン等の含塩素系溶媒が挙げられる。これらの溶媒は単独または混合して使用できる。
【0020】
上記一般式(2)で表されるスルホン酸無水物の使用量は、上記一般式(1)で表されるスルホンアミド化合物1モルに対して、0.95モルから3モルが好ましく、0.98モルから2.5モルがより好ましく、1モルから2モルが特に好ましい。
反応温度は、通常、−10℃から200℃であるが、好ましくは−5℃から150℃であり、より好ましくは0℃から100℃であり、特に好ましくは10℃から80℃である。
【0021】
反応時間は、通常、0.01時間から96時間であるが、好ましくは0.1時間から72時間、より好ましくは0.2時間から48時間、特に好ましくは0.5時間から24時間である。
反応終了後、反応混合物中の不溶性固体等を濾過により除去後、濾液中の溶媒を減圧留去すれば、上記一般式(3)で表されるスルホンイミド化合物と、下記一般式(4)
Rf2SO3M ・・・(4)
(Rf2は上記一般式(2)のRf2と同じであり、Mは上記一般式(3)のMと同じである)
で表されるスルホン酸塩を含有する残渣が得られる。該残渣は、濃硫酸もしくはイオン交換樹脂で処理後、蒸留操作により、スルホンイミド酸(Rf1SO2NHSO2Rf2)が得られる。
【0022】
また、第3級アミンや複素環式アミンを使用した場合、上記一般式(3)で表されるスルホンイミド化合物と上記一般式(4)で表されるスルホン酸塩を含有する反応混合物を減圧濃縮後、水で洗浄すると、上記一般式(4)で表されるスルホン酸塩は除去され、上記一般式(3)で表されるスルホンイミド化合物が得られる。該スルホンイミド化合物は、さらに、濃硫酸もしくはイオン交換樹脂で処理後、蒸留操作により、スルホンイミド酸(Rf1SO2NHSO2Rf2)が得られる。上記以外のカチオン種の異なるスルホンイミド化合物を製造するには、得られたスルホンイミド酸と、対応する金属を成分とする水酸化物、酸化物、炭酸塩等の化合物と反応させればよい。
【0023】
該水洗浄で除去された上記一般式(4)で表されるスルホン酸塩は、濃硫酸もしくはイオン交換樹脂で処理後、P2O5により、上記一般式(2)で表されるスルホン酸無水物として回収され、再び、上記一般式(1)で表されるスルホンアミド化合物との反応に使用することができる。
上記以外のカチオン種の異なるスルホンイミド化合物を製造するには、得られたスルホンイミド酸と、対応する金属を成分とする水酸化物、酸化物、炭酸塩等の化合物と反応させればよい。
以上のように、本発明は、有機イオン伝導体及びルイス酸触媒等として有用な物質であるスルホンイミド化合物を効率よく製造する技術を提供するものであり、工業的に極めて有用である。
【実施例】
【0024】
以下実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
種々の物性は、次の方法で測定した。
19F−NMRによる分子構造解析
測定装置:JNM−GSX400型核磁気共鳴装置(日本電子株式会社製)
溶媒:重クロロホルム、
基準物質:フレオン−11(CFCl3)
MALDI−TOF/MSによる構造解析
測定装置:AXIMA CFR plus(島津製作所)、
レーザー:窒素レーザー(337nm)
検出器形式:リニアモード
イオン検出:負イオン(Negative mode)
積算回数:500回
マトリックス:α−シアノ−4−ヒドロキシけい皮酸
【0025】
[実施例1]
500mLの3口フラスコに、HCF2CF2SO2NH2(11g、61mmol)、HFC43−10mee(200mL)、(C2H5)3N(18.3g、180mmol)を加え、室温で(CF3SO2)2O(25g、89mmol)を滴下した。滴下後、さらに室温で1時間攪拌させた。反応混合物に水を加えて、水で3回洗浄後、減圧濃縮すると、23.8gの茶褐色液体が得られた。この液体は、19F−NMR(内部標準:C6F6)、MALDI−TOF/MSから、HCF2CF2SO2N(NHEt3)SO2CF3であることがわかった(HCF2CF2SO2NH2を基準とした場合、収率95%)。
19F−NMR:−135.9ppm(1F)、−135.8ppm(1F)、−122.6ppm(2F)、−79.1ppm(3F)
MALDI−TOF/MS:312[M−NHEt3]−
【0026】
[実施例2]
実施例1において、HCF2CF2SO2NH2をCF3SO2NH2(9.1g、61mmol)に変えた以外は同様にして反応を行ったところ、22.8gの茶褐色液体が得られた。この液体は、19F−NMR(内部標準:C6F6)、MALDI−TOF/MSから、CF3SO2N(NHEt3)SO2CF3であることがわかった(CF3SO2NH2を基準とした場合、収率98%)。
19F−NMR:−79.9ppm(6F)
MALDI−TOF/MS:280[M−NHEt3]−
【0027】
[実施例3]
実施例1において、HCF2CF2SO2NH2をCF3CF2SO2NH2(12.1g、61mmol)に変えた以外は同様にして反応を行ったところ、25.0gの茶褐色液体が得られた。この液体は、19F−NMR(内部標準:C6F6)、MALDI−TOF/MSから、CF3CF2SO2N(NHEt3)SO2CF3であることがわかった(CF3CF2SO2NH2を基準とした場合、収率95%)。
19F−NMR:−118.2ppm(2F)、−80.0ppm(3F)、−79.5ppm(3F)、
MALDI−TOF/MS:330[M−NHEt3]−
【0028】
[実施例4]
実施例1において、HCF2CF2SO2NH2をCF3SO2NH2(9.1g、61mmol)に変え、(CF3SO2)2Oを(CF3CF2CF2CF2SO2)2O(39.0g、67mmol)に変えた以外は同様にして反応を行ったところ、30.4gの茶褐色液体が得られた。この液体は、19F−NMR(内部標準:C6F6)、MALDI−TOF/MSから、CF3CF2CF2CF2SO2N(NHEt3)SO2CF3であることがわかった(CF3SO2NH2を基準とした場合、収率94%)。
19F−NMR: −126.3ppm(2F)、−121.4ppm(2F)、−113.6ppm(2F)、−81.5ppm(3F)、−79.7ppm(3F)
MALDI−TOF/MS:430[M−NHEt3]−
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明の製造法で得られるスルホンイミド化合物は、有機イオン伝導体及びルイス酸触媒等として利用できる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機イオン伝導体及びルイス酸触媒等として有用な物質であるスルホンイミド化合物の新規製造法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
スルホンイミド化合物は、良好なイオン伝導性、熱安定性、化学的安定性を有することから、リチウムイオン2次電池の電解質として、あるいは、有機合成分野ではルイス酸触媒として有用な物質である。
スルホンイミド化合物の製造方法として、例えば、以下の方法が提案されている。
(1)ペルフルオロアルキルスルホニルフルオリドとトリメチルシリル基含有ペルフルオロアルキルスルホンアミドのアルカリ金属塩を反応させる下記反応式で示される方法(例えば、非特許文献1〜2)
RfSO2F+Rf’SO2N(SiMe3)Na→RfSO2N(Na)SO2Rf’+Me3SiF
【0003】
(2)ペルフルオロアルキルスルホニルハライドとペルフルオロアルキルスルホンアミドを第3級アミン又は複素環式アミンの存在下、反応させる下記反応式で示される方法(例えば、特許文献1参照)
RfSO2X+Rf’SO2NH2+2R1R2R3N→RfSO2N(NHR1R2R3)SO2Rf’+R1R2R3NHX
(3)ペルフルオロアルキルスルホニルハライドとペルフルオロアルキルスルホンアミドをアルカリ金属フッ化物の存在下、反応させる下記反応式で示される方法(例えば、特許文献2参照)
RfSO2X+Rf’SO2NH2+4MF→RfSO2N(M)SO2Rf’+2MFHF+MX
【0004】
しかしながら、(1)は反応工程が多く、ヘキサメチルジシラザンのような高価な化合物を使用しなければならないため、工業的な製造法ではない。また、(1)〜(3)において、スルホンアミド化合物と、沸点が10℃以下の炭素数1〜2のペルフルオロアルキルスルホニルフルオリドが使用されているが、低温冷却装置のついたオートクレーブ中で反応させる必要があり、量産には向かない。
このように、従来のスルホンイミド化合物の製造方法は工業的な製造方法とは言いがたく、工業的に安価でかつ操作性に優れたスルホンイミド化合物の製造方法の出現が望まれていた。
【0005】
【非特許文献1】Inorganic Chemisty 23巻 3720―3723頁(1984年)
【非特許文献2】Inorganic Chemisty 32巻 5007―5010頁(1993年)
【特許文献1】特開平8―81436号公報
【特許文献2】特開2001―288193号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑み、工業的に安価でかつ操作性に優れたスルホンイミド化合物の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは上記問題を解決すべく鋭意研究を行った結果、第3級アミン、複素環式アミンである有機塩基化合物、あるいはアルカリ金属またはアルカリ土類金属を成分とする炭酸塩、炭酸水素塩、リン酸塩、水酸化物、酸化物である無機塩基化合物の何れから選ばれる塩基化合物の存在下、スルホンアミド化合物とスルホン酸無水物を反応させることにより、高収率でスルホンイミド化合物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1]下記一般式(1)
Rf1SO2NH2 ・・・(1)
(Rf1は、炭素数1から12のフッ素化炭化水素基あるいはその置換体を示す。)
で表されるスルホンアミド化合物を、第3級アミン、複素環式アミンである有機塩基化合物、あるいはアルカリ金属またはアルカリ土類金属を成分とする炭酸塩、炭酸水素塩、リン酸塩、水酸化物、酸化物である無機塩基化合物の何れから選ばれる塩基化合物の存在下、下記一般式(2)
(Rf2SO2)2O ・・・(2)
(Rf2は、炭素数1から12のフッ素化炭化水素基あるいはその置換体を示す。)
で表されるスルホン酸無水物と反応させて、下記一般式(3)
Rf1SO2N(M)SO2Rf2 ・・・(3)
(Rf1は上記一般式(1)のRf1と同じであり、Rf2は上記一般式(2)のRf2と同じである。MはMa、Mb1/2、有機アンモニウム基であり、Maはアルカリ金属、Mbはアルカリ土類金属である。)
で表されるスルホンイミド化合物を製造する方法。
[2]上記一般式(1)及び(3)のRf1が炭素数1〜12の水素原子含有フッ素化炭化水素基である上記[1]に記載の方法。
[3]上記一般式(2)及び(3)のRf2が炭素数1〜4のペルフルオロアルキル基である上記[1]又は[2]に記載の方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、オートクレーブを使用することなく、有機イオン伝導体及びルイス酸触媒等として有用な物質であるスルホンイミド化合物を高収率で製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明について詳細に記述する。
本発明は、スルホンアミド化合物を、第3級アミン、複素環式アミンである有機塩基化合物、あるいはアルカリ金属またはアルカリ土類金属を成分とする炭酸塩、炭酸水素塩、リン酸塩、水酸化物、酸化物である無機塩基化合物の何れから選ばれる塩基化合物の存在下、室温より沸点が高いスルホン酸無水物と反応させることにより、高収率でスルホンイミド化合物を製造する方法に関する。
本発明において、下記一般式(1)
Rf1SO2NH2 ・・・(1)
で表されるスルホンアミド化合物が使用される。
Rf1は、炭素数1から12のフッ素化炭化水素基あるいはその置換体を示す。フッ素化炭化水素基の構造は、直鎖構造でも分岐構造でも環状構造でも良く、完全フッ素化あるいは部分フッ素化された炭化水素基も包含される。さらにその置換基として、塩素原子、臭素原子等のハロゲン基を含んでいても良い。
【0011】
Rf1の具体例としては、
【化1】
等が挙げられるが、合成・精製の容易性から、Rf1は、炭素数1〜12の水素原子含有フッ素化炭化水素基が好ましい。
【0012】
本発明において、下記一般式(2)
(Rf2SO2)2O ・・・(2)
で表されるスルホン酸無水物が使用される。
上記一般式(2)において、Rf2は炭素数1から12のフッ素化炭化水素基あるいはその置換体を示す。フッ素化炭化水素基の構造は、直鎖構造でも分岐構造でも環状構造でも良く、完全フッ素化あるいは部分フッ素化された炭化水素基も包含される。さらにその置換基として、塩素原子、臭素原子等のハロゲン基を含んでいても良い。
【0013】
Rf2の具体例としては、
【化2】
等が挙げられるが、スルホン酸無水物の合成・精製の容易性から、Rf2は
【0014】
【化3】
で表される炭素数1〜4のペルフルオロアルキル基が好ましい。
【0015】
下記一般式(1)
Rf1SO2NH2 ・・・(1)
で表されるスルホンアミド化合物は、第3級アミン、複素環式アミンである有機塩基化合物、あるいはアルカリ金属またはアルカリ土類金属を成分とする炭酸塩、炭酸水素塩、リン酸塩、水酸化物、酸化物である無機塩基化合物の何れから選ばれる塩基化合物の存在下、下記一般式(2)
(Rf2SO2)2O ・・・(2)
で表されるスルホン酸無水物と反応させて、下記一般式(3)
Rf1SO2N(M)SO2Rf2 (3)
で表されるスルホンイミド化合物が製造される。
【0016】
上記一般式(3)において、MはMa、Mb1/2、有機アンモニウム基であり、Maはアルカリ金属、Mbはアルカリ土類金属である。上記一般式(3)において、Rf1は上記一般式(1)のRf1と同じであるが、上記一般式(1)と同様の理由により、Rf1は好ましくは炭素数1から12の水素原子含有フッ素化炭化水素基である。また、上記一般式(3)において、Rf2は上記一般式(2)のRf2と同じであるが、上記一般式(2)と同様の理由により、Rf2は好ましくは炭素数1〜4のペルフルオロアルキル基である。
従来のスルホンイミド化合物の製造方法としては、前記に記載したように、スルホンアミド化合物と、沸点が10℃以下の炭素数1〜2のペルフルオロアルキルスルホニルフルオリドが原材料として使用されているが、低温冷却装置のついたオートクレーブ中で反応させる必要があり、量産には向かなかった(例えば、非特許文献1〜2、特許文献1〜2参照)。
【0017】
本発明者らは、常圧下、スルホンアミド化合物からスルホンイミド化合物を高収率で製造できる方法について鋭意検討をした結果、第3級アミン、複素環式アミンである有機塩基化合物、あるいはアルカリ金属またはアルカリ土類金属を成分とする炭酸塩、炭酸水素塩、リン酸塩、水酸化物、酸化物である無機塩基化合物、から選ばれる塩基化合物の存在下、スルホンアミド化合物とスルホン酸無水物を接触、反応させることにより、高収率でスルホンイミド化合物が得られることを見出した。
本発明において、第3級アミン、複素環式アミンである有機塩基化合物、あるいはアルカリ金属またはアルカリ土類金属を成分とする炭酸塩、炭酸水素塩、リン酸塩、水酸化物、酸化物である無機塩基化合物、から選ばれる塩基化合物が使用される。
【0018】
第3級アミン、複素環式アミンである有機塩基化合物の具体例としては、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン等が挙げられ、また、アルカリ金属またはアルカリ土類金属を成分とする炭酸塩、炭酸水素塩、リン酸塩、水酸化物、酸化物である無機塩基化合物の具体例としては、
炭酸塩:Li2CO3 Na2CO3 K2CO3 Cs2CO3 CaCO3 BaCO3
炭酸水素塩:NaHCO3 KHCO3
リン酸塩:Na3PO4 Na2HPO4 CaHPO4
水酸化物:LiOH NaOH KOH CsOH Ca(OH)2 Ba(OH)2
酸化物:Li2O Na2O K2O CaO BaO
等が挙げられるが、好ましくは第3級アミン、アルカリ金属又はアルカリ土類金属を成分とする炭酸塩、酸化物であり、より好ましくは第3級アミン、アルカリ金属を成分とする炭酸塩、酸化物であり、特に好ましくは第3級アミンである。
【0019】
第3級アミン、複素環式アミンである有機塩基化合物、あるいはアルカリ金属またはアルカリ土類金属を成分とする炭酸塩、炭酸水素塩、リン酸塩、水酸化物、酸化物である無機塩基化合物、から選ばれる塩基化合物の使用量は、スルホンアミド化合物1モルに対して、2モルから5モルが好ましく、2.2モルから4.8モルが好ましく、2.5モルから4.5モルがより好ましく、2.8モルから4モルが特に好ましい。
上記一般式(1)で表されるスルホンアミド化合物と、上記一般式(2)で表されるスルホン酸無水物との反応は、通常、溶媒中で行われる。溶媒としては、反応物質に対して不活性な溶媒であれば良く、本発明で使用される溶媒の例としては、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル系溶媒、N,N―ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類、HFC43−10mee、ペルフルオロ−2−ブチルテト
ラヒドロフラン、ペルフルオロトリブチルアミン等の含フッ素系溶媒、クロロホルム、塩化メチレン等の含塩素系溶媒が挙げられる。これらの溶媒は単独または混合して使用できる。
【0020】
上記一般式(2)で表されるスルホン酸無水物の使用量は、上記一般式(1)で表されるスルホンアミド化合物1モルに対して、0.95モルから3モルが好ましく、0.98モルから2.5モルがより好ましく、1モルから2モルが特に好ましい。
反応温度は、通常、−10℃から200℃であるが、好ましくは−5℃から150℃であり、より好ましくは0℃から100℃であり、特に好ましくは10℃から80℃である。
【0021】
反応時間は、通常、0.01時間から96時間であるが、好ましくは0.1時間から72時間、より好ましくは0.2時間から48時間、特に好ましくは0.5時間から24時間である。
反応終了後、反応混合物中の不溶性固体等を濾過により除去後、濾液中の溶媒を減圧留去すれば、上記一般式(3)で表されるスルホンイミド化合物と、下記一般式(4)
Rf2SO3M ・・・(4)
(Rf2は上記一般式(2)のRf2と同じであり、Mは上記一般式(3)のMと同じである)
で表されるスルホン酸塩を含有する残渣が得られる。該残渣は、濃硫酸もしくはイオン交換樹脂で処理後、蒸留操作により、スルホンイミド酸(Rf1SO2NHSO2Rf2)が得られる。
【0022】
また、第3級アミンや複素環式アミンを使用した場合、上記一般式(3)で表されるスルホンイミド化合物と上記一般式(4)で表されるスルホン酸塩を含有する反応混合物を減圧濃縮後、水で洗浄すると、上記一般式(4)で表されるスルホン酸塩は除去され、上記一般式(3)で表されるスルホンイミド化合物が得られる。該スルホンイミド化合物は、さらに、濃硫酸もしくはイオン交換樹脂で処理後、蒸留操作により、スルホンイミド酸(Rf1SO2NHSO2Rf2)が得られる。上記以外のカチオン種の異なるスルホンイミド化合物を製造するには、得られたスルホンイミド酸と、対応する金属を成分とする水酸化物、酸化物、炭酸塩等の化合物と反応させればよい。
【0023】
該水洗浄で除去された上記一般式(4)で表されるスルホン酸塩は、濃硫酸もしくはイオン交換樹脂で処理後、P2O5により、上記一般式(2)で表されるスルホン酸無水物として回収され、再び、上記一般式(1)で表されるスルホンアミド化合物との反応に使用することができる。
上記以外のカチオン種の異なるスルホンイミド化合物を製造するには、得られたスルホンイミド酸と、対応する金属を成分とする水酸化物、酸化物、炭酸塩等の化合物と反応させればよい。
以上のように、本発明は、有機イオン伝導体及びルイス酸触媒等として有用な物質であるスルホンイミド化合物を効率よく製造する技術を提供するものであり、工業的に極めて有用である。
【実施例】
【0024】
以下実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
種々の物性は、次の方法で測定した。
19F−NMRによる分子構造解析
測定装置:JNM−GSX400型核磁気共鳴装置(日本電子株式会社製)
溶媒:重クロロホルム、
基準物質:フレオン−11(CFCl3)
MALDI−TOF/MSによる構造解析
測定装置:AXIMA CFR plus(島津製作所)、
レーザー:窒素レーザー(337nm)
検出器形式:リニアモード
イオン検出:負イオン(Negative mode)
積算回数:500回
マトリックス:α−シアノ−4−ヒドロキシけい皮酸
【0025】
[実施例1]
500mLの3口フラスコに、HCF2CF2SO2NH2(11g、61mmol)、HFC43−10mee(200mL)、(C2H5)3N(18.3g、180mmol)を加え、室温で(CF3SO2)2O(25g、89mmol)を滴下した。滴下後、さらに室温で1時間攪拌させた。反応混合物に水を加えて、水で3回洗浄後、減圧濃縮すると、23.8gの茶褐色液体が得られた。この液体は、19F−NMR(内部標準:C6F6)、MALDI−TOF/MSから、HCF2CF2SO2N(NHEt3)SO2CF3であることがわかった(HCF2CF2SO2NH2を基準とした場合、収率95%)。
19F−NMR:−135.9ppm(1F)、−135.8ppm(1F)、−122.6ppm(2F)、−79.1ppm(3F)
MALDI−TOF/MS:312[M−NHEt3]−
【0026】
[実施例2]
実施例1において、HCF2CF2SO2NH2をCF3SO2NH2(9.1g、61mmol)に変えた以外は同様にして反応を行ったところ、22.8gの茶褐色液体が得られた。この液体は、19F−NMR(内部標準:C6F6)、MALDI−TOF/MSから、CF3SO2N(NHEt3)SO2CF3であることがわかった(CF3SO2NH2を基準とした場合、収率98%)。
19F−NMR:−79.9ppm(6F)
MALDI−TOF/MS:280[M−NHEt3]−
【0027】
[実施例3]
実施例1において、HCF2CF2SO2NH2をCF3CF2SO2NH2(12.1g、61mmol)に変えた以外は同様にして反応を行ったところ、25.0gの茶褐色液体が得られた。この液体は、19F−NMR(内部標準:C6F6)、MALDI−TOF/MSから、CF3CF2SO2N(NHEt3)SO2CF3であることがわかった(CF3CF2SO2NH2を基準とした場合、収率95%)。
19F−NMR:−118.2ppm(2F)、−80.0ppm(3F)、−79.5ppm(3F)、
MALDI−TOF/MS:330[M−NHEt3]−
【0028】
[実施例4]
実施例1において、HCF2CF2SO2NH2をCF3SO2NH2(9.1g、61mmol)に変え、(CF3SO2)2Oを(CF3CF2CF2CF2SO2)2O(39.0g、67mmol)に変えた以外は同様にして反応を行ったところ、30.4gの茶褐色液体が得られた。この液体は、19F−NMR(内部標準:C6F6)、MALDI−TOF/MSから、CF3CF2CF2CF2SO2N(NHEt3)SO2CF3であることがわかった(CF3SO2NH2を基準とした場合、収率94%)。
19F−NMR: −126.3ppm(2F)、−121.4ppm(2F)、−113.6ppm(2F)、−81.5ppm(3F)、−79.7ppm(3F)
MALDI−TOF/MS:430[M−NHEt3]−
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明の製造法で得られるスルホンイミド化合物は、有機イオン伝導体及びルイス酸触媒等として利用できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)
Rf1SO2NH2 ・・・(1)
(Rf1は、炭素数1から12のフッ素化炭化水素基あるいはその置換体を示す。)
で表されるスルホンアミド化合物を、第3級アミン、複素環式アミンである有機塩基化合物、あるいはアルカリ金属またはアルカリ土類金属を成分とする炭酸塩、炭酸水素塩、リン酸塩、水酸化物、酸化物である無機塩基化合物の何れから選ばれる塩基化合物の存在下、下記一般式(2)
(Rf2SO2)2O ・・・(2)
(Rf2は、炭素数1から12のフッ素化炭化水素基あるいはその置換体を示す。)
で表されるスルホン酸無水物と反応させて、下記一般式(3)
Rf1SO2N(M)SO2Rf2 ・・・(3)
(Rf1は上記一般式(1)のRf1と同じであり、Rf2は上記一般式(2)のRf2と同じである。MはMa、Mb1/2、有機アンモニウム基であり、Maはアルカリ金属、Mbはアルカリ土類金属である。)
で表されるスルホンイミド化合物を製造する方法。
【請求項2】
上記一般式(1)及び(3)のRf1が炭素数1〜12の水素原子含有フッ素化炭化水素基である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
上記一般式(2)及び(3)のRf2が炭素数1〜4のペルフルオロアルキル基である請求項1又は2に記載の方法。
【請求項1】
下記一般式(1)
Rf1SO2NH2 ・・・(1)
(Rf1は、炭素数1から12のフッ素化炭化水素基あるいはその置換体を示す。)
で表されるスルホンアミド化合物を、第3級アミン、複素環式アミンである有機塩基化合物、あるいはアルカリ金属またはアルカリ土類金属を成分とする炭酸塩、炭酸水素塩、リン酸塩、水酸化物、酸化物である無機塩基化合物の何れから選ばれる塩基化合物の存在下、下記一般式(2)
(Rf2SO2)2O ・・・(2)
(Rf2は、炭素数1から12のフッ素化炭化水素基あるいはその置換体を示す。)
で表されるスルホン酸無水物と反応させて、下記一般式(3)
Rf1SO2N(M)SO2Rf2 ・・・(3)
(Rf1は上記一般式(1)のRf1と同じであり、Rf2は上記一般式(2)のRf2と同じである。MはMa、Mb1/2、有機アンモニウム基であり、Maはアルカリ金属、Mbはアルカリ土類金属である。)
で表されるスルホンイミド化合物を製造する方法。
【請求項2】
上記一般式(1)及び(3)のRf1が炭素数1〜12の水素原子含有フッ素化炭化水素基である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
上記一般式(2)及び(3)のRf2が炭素数1〜4のペルフルオロアルキル基である請求項1又は2に記載の方法。
【公開番号】特開2008−222660(P2008−222660A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−65214(P2007−65214)
【出願日】平成19年3月14日(2007.3.14)
【出願人】(000000033)旭化成株式会社 (901)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年3月14日(2007.3.14)
【出願人】(000000033)旭化成株式会社 (901)
【Fターム(参考)】
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