スープ類小分け供給装置
【課題】具が略同時期に食器内へと供給されることを防止し、よって具に含まれたスープ液の跳ね上がりを防止することができる具入りスープ類供給装置を提供すること。
【解決手段】具入りスープ類が収容される容器4の底面41bが略円弧状とされ、常時は容器内に位置するレードル5が駆動機構によって容器4内に収容された具入りスープ類を一定量で小分けしつつすくい上げるように底面41bに沿って変位され、レードル5が容器4内の具入りスープ類をすくい上げる際に略一定比率で具とスープ液とに分離されるように液体通過仕切り壁51によりレードル5内が開口側と底面側とで区画され、レードル5の液体通過仕切り壁51よりも開口部5a寄りの底面に形成された凸部5dにより分離された具の一部が引っ掛かりつつ変位終端部で駆動機構部により反転下向きとされたレードル5から食器22内へと具入りスープ類が供給される。
【解決手段】具入りスープ類が収容される容器4の底面41bが略円弧状とされ、常時は容器内に位置するレードル5が駆動機構によって容器4内に収容された具入りスープ類を一定量で小分けしつつすくい上げるように底面41bに沿って変位され、レードル5が容器4内の具入りスープ類をすくい上げる際に略一定比率で具とスープ液とに分離されるように液体通過仕切り壁51によりレードル5内が開口側と底面側とで区画され、レードル5の液体通過仕切り壁51よりも開口部5a寄りの底面に形成された凸部5dにより分離された具の一部が引っ掛かりつつ変位終端部で駆動機構部により反転下向きとされたレードル5から食器22内へと具入りスープ類が供給される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スープ液、カレー、味噌汁などの具入りスープ類を、具の量を略一定量としつつ小分けしてカップ等の食器に供給する具入りスープ類小分け供給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、ファミリーレストランや所謂ファーストフード(例えば、ハンバーガー、フライドチキン、ドーナッツ等)店或いは軽食付の喫茶店といった外食産業、コンビニエンスストア、ホテルなどでは、予め別の場所で調理したスープ液、カレー、味噌汁などの具入りスープ類を比較的大きな寸胴鍋といった容器に投入すると共に必要に応じて容器を加熱(保温を含む)しておき、店員や利用者がおたまなどで容器内の具を攪拌しながら小分けし(すくい上げ)、カップやスープ液皿といった所定の食器(紙コップといった使い捨て容器等を含む)に供給していた。
【0003】
しかしながら、このような小分け作業は煩雑であるとともに、具とスープ類を一定の比率で供給することは困難であった。そのため、容器内の具入りスープ類をある程度の量にまで小分け供給してしまうと、それ以降は具無しのスープ液となってしまう(具の種類やスープ液の粘性等によって程度は異なる)といった問題点が生じていた。
【0004】
そこで、このような問題点を解決するための手段として、本出願人は、先に特許文献1を提案している。
【0005】
この特許文献1に記載の技術は、底面を円弧状とした容器内に具入りスープ類を収容すると共に、常時はその容器内に位置している小分け容器としてのレードルを設けている。そして、駆動機構部によりレードルを容器の底面に沿って摺動変位させ、容器内に収容された具入りスープ類の一部を一定量で小分けすると同時に略一定比率で具とスープ液とに分離しつつすくい上げる。さらに、吐出口にてレードルを反転下向きとして、レードル内の具入りスープ類をカップやスープ皿といった食器に提供するものである。
【0006】
これにより、例えば、容器内に収容された1800ccの具入りスープ類がレードルにより180ccづつに小分けされると共に、具とスープ液とがレードル内で一定の比率(例えば、2:8)に分離される。これにより、10杯分の具入りスープ類が毎回略一定量で小分けされると同時に、具とスープ液とを一定の比率で供給することができる。
【0007】
【特許文献1】特開2001−278391号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上記のように構成された具入りスープ類小分け供給装置にあっては、レードルにより1杯分に小分けした具入りスープ類は、その小分け時には具とスープ液とが分離しているものの、厳密には完全に分離されているものではない。
【0009】
従来のレードル構造は、図11に示すようにレードル50の中腹に仕切り板52を設けている。仕切り板52には、供給されるスープ類の具の大きさに応じた複数の開口52aが形成されている。容器内のスープ類をすくい上げ、図11に示すように供給口55を上方に向けた状態に変位した際には、仕切り板52を境にレードル50内でスープ類が上液53と下液54に二分される。下液54は開口52aを通過して仕切り板52よりも下側に溜まったスープ液であり、上液53は開口52aを通過することができない具とスープ液が混在した状態である。
【0010】
このとき、下液54は開口52aを通過できない具が混在しないスープ液になるが、上液53は具とスープ液の混在状態であり、その具とスープ液の比率は容器内のスープ類における比率とほぼ等しくなる。そのため、容器内に残存するスープ類における具の比率が少なくなってきた場合には、上液53に含まれる具の量も減ってくるという問題が生じていた。
【0011】
また、上液53には具のみでなくスープ液も多量に含まれていることから、レードル50を反転させ供給口55を下側に向けたときに、具に含まれたスープ液が勢い良く流れ出し、跳ね易いという問題が生じていた。
【0012】
さらに、従来の具入りスープ類小分け供給装置にあっては、駆動機構部によりレードルを容器の底面に沿って摺動変位させているため、レードルと容器が擦れる音が発生するだけでなく、容器の底面が磨耗により傷み易かった。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題を解決するため、請求項1に記載の具入りスープ類小分け供給装置は、具入りスープ類が収容されると共に底面が略円弧状とされた容器と、前記容器内に収容された具入りスープ類を一定量で小分けしつつすくい上げるように前記底面に沿って変位するレードルと、該レードル内をその開口側と非開口側との間で区画すると共に前記レードルが前記容器内の具入りスープ類をすくい上げる際に具とスープ液とに分離する液体通過仕切り壁と、前記レードルを変位させると共に吐出口にて前記レードルを反転下向きとして前記レードル内の具入りスープ類を食器内へと供給する駆動機構部とを備えた具入りスープ類小分け供給装置において、前記レードルの前記液体通過仕切り壁よりも開口寄りに、前記具入りスープ類の流れに対して抵抗となる抵抗部を設けたことを要旨とする。
【0014】
請求項2に記載の具入りスープ類小分け供給装置は、具入りスープ類が収容されると共に底面が略円弧状とされた容器と、前記容器内に収容された具入りスープ類を一定量で小分けしつつすくい上げるように前記底面に沿って変位するレードルと、該レードル内をその開口側と非開口側との間で区画すると共に前記レードルが前記容器内の具入りスープ類をすくい上げる際に具とスープ液とに分離する液体通過仕切り壁と、前記レードルを変位させると共に吐出口にて前記レードルを反転下向きとして前記レードル内の具入りスープ類を食器内へと供給する駆動機構部とを備えた具入りスープ類小分け供給装置において、前記レードルの前記液体通過仕切り壁よりも開口寄りの天井又は側壁に余剰スープ液排出口を設けたことを要旨とする。
【0015】
請求項3に記載の具入りスープ類小分け供給装置は、前記余剰スープ液排出口が、前記液体通過仕切り壁に形成されたスープ液通過用の開口よりも上方に位置していることを要旨とする。
【0016】
請求項4に記載の具入りスープ類小分け供給装置は、具入りスープ類が収容されると共に底面が略円弧状とされた容器と、前記容器内に収容された具入りスープ類を一定量で小分けしつつすくい上げるように前記底面に沿って変位するレードルと、該レードル内をその開口側と非開口側との間で区画すると共に前記レードルが前記容器内の具入りスープ類をすくい上げる際に具とスープ液とに分離する液体通過仕切り壁と、前記レードルを変位させると共に吐出口にて前記レードルを反転下向きとして前記レードル内の具入りスープ類を食器内へと供給する駆動機構部とを備えた具入りスープ類小分け供給装置において、前記レードルが、前記容器の底面を摺らずに変位することを要旨とする。
【0017】
請求項5に記載の具入りスープ類小分け供給装置は、具入りスープ類が収容されると共に底面が略円弧状とされた容器と、前記容器内に収容された具入りスープ類を一定量で小分けしつつすくい上げるように前記底面に沿って変位するレードルと、該レードル内をその開口側と非開口側との間で区画すると共に前記レードルが前記容器内の具入りスープ類をすくい上げる際に具とスープ液とに分離する液体通過仕切り壁と、前記レードルを変位させると共に吐出口にて前記レードルを反転下向きとして前記レードル内の具入りスープ類を食器内へと供給する駆動機構部とを備えた具入りスープ類小分け供給装置において、前記レードルによってスープ類を供給した回数をカウントするカウンタを設けたことを要旨とする。
【0018】
請求項6に記載の具入りスープ類小分け供給装置は、具入りスープ類が収容されると共に底面が略円弧状とされた容器と、前記容器内に収容された具入りスープ類を一定量で小分けしつつすくい上げるように前記底面に沿って変位するレードルと、該レードル内をその開口側と非開口側との間で区画すると共に前記レードルが前記容器内の具入りスープ類をすくい上げる際に具とスープ液とに分離する液体通過仕切り壁と、前記レードルを変位させると共に吐出口にて前記レードルを反転下向きとして前記レードル内の具入りスープ類を食器内へと供給する駆動機構部とを備えた具入りスープ類小分け供給装置において、前記容器内のスープ類の残量に応じて、前記レードルの変位の範囲を変化させることを要旨とする。
【0019】
請求項7に記載の具入りスープ類小分け供給装置は、具入りスープ類が収容されると共に底面が略円弧状とされた容器と、前記容器内に収容された具入りスープ類を一定量で小分けしつつすくい上げるように前記底面に沿って変位するレードルと、該レードル内をその開口側と非開口側との間で区画すると共に前記レードルが前記容器内の具入りスープ類をすくい上げる際に具とスープ液とに分離する液体通過仕切り壁と、前記レードルを変位させると共に吐出口にて前記レードルを反転下向きとして前記レードル内の具入りスープ類を食器内へと供給する駆動機構部とを備えた具入りスープ類小分け供給装置において、前記容器内のスープ類を加熱するヒータを有し、該ヒータは前記容器内のスープ類の残量に応じて段階的に切れることを要旨とする。
【0020】
請求項8に記載の具入りスープ類小分け供給装置は、具入りスープ類が収容されると共に底面が略円弧状とされた容器と、前記容器内に収容された具入りスープ類を一定量で小分けしつつすくい上げるように前記底面に沿って変位するレードルと、該レードル内をその開口側と非開口側との間で区画すると共に前記レードルが前記容器内の具入りスープ類をすくい上げる際に具とスープ液とに分離する液体通過仕切り壁と、前記レードルを変位させると共に吐出口にて前記レードルを反転下向きとして前記レードル内の具入りスープ類を食器内へと供給する駆動機構部とを備えた具入りスープ類小分け供給装置において、前記容器が供給装置内に装着されているか否かを検出するセンサを設けたことを要旨とする。
【0021】
請求項9に記載の具入りスープ類小分け供給装置は、具入りスープ類が収容されると共に底面が略円弧状とされた容器と、前記容器内に収容された具入りスープ類を一定量で小分けしつつすくい上げるように前記底面に沿って変位するレードルと、該レードル内をその開口側と非開口側との間で区画すると共に前記レードルが前記容器内の具入りスープ類をすくい上げる際に具とスープ液とに分離する液体通過仕切り壁と、前記レードルを変位させると共に吐出口にて前記レードルを反転下向きとして前記レードル内の具入りスープ類を食器内へと供給する駆動機構部とを備えた具入りスープ類小分け供給装置において、前記容器は前記レードルが押し当てられることにより開閉する扉を有しており、前記レードルには、前記扉に接触するための突起を設けていることを要旨とする。
【発明の効果】
【0022】
本願の請求項1に記載の具入りスープ類小分け供給装置によれば、レードルの液体通過仕切り壁よりも開口寄りに、具入りスープ類の流れに対して抵抗となる抵抗部を設けたことにより、レードルからのスープ類の供給速度を減速させ、スープ液の跳ね上がりを防止することができる。
【0023】
請求項2に記載の具入りスープ類小分け供給装置によれば、レードルの液体通過仕切り壁よりも開口寄りの天井又は側壁に余剰スープ液排出口を設けたことにより、具内へのスープ液の混入を少なくすることができ、食器へと具を供給した際に具に含まれたスープ液の跳ね上がりを防止することができるうえ、具とスープ液の比率をより一層厳密な比率に分離することができる。
【0024】
請求項3に記載の具入りスープ類小分け供給装置によれば、余剰スープ液排出口が、液体通過仕切り壁に形成されたスープ液通過用の開口よりも上方に位置していることにより、レードルを反転下向きにしてスープ類を供給する際に、液体通過仕切り壁に形成されたスープ液通過用の開口を通過するスープ液が余剰スープ液排出口から漏れることを防止することができる。
【0025】
請求項4に記載の具入りスープ類小分け供給装置によれば、レードルが、容器の底面を摺らずに変位することにより、レードルと容器が擦れる音の発生を防ぎ、容器の底面が磨耗により傷むことを防止することができる。
【0026】
請求項5に記載の具入りスープ類小分け供給装置によれば、レードルによってスープ類を供給した回数をカウントするカウンタを設けたことにより、容器内のスープ類の残量を検出することができる。
【0027】
請求項6に記載の具入りスープ類小分け供給装置によれば、容器内のスープ類の残量に応じて、レードルの変位の範囲を変化させることにより、レードルがスープ液面から上昇することによりレードル内に余分な空気が侵入することを防止できる。
【0028】
請求項7に記載の具入りスープ類小分け供給装置によれば、容器内のスープ類を加熱するヒータを有し、このヒータが容器内のスープ類の残量に応じて段階的に切れることにより、スープ液面近傍における容器へのスープ類の焦げ付きと空焚きを防止することができる。
【0029】
請求項8に記載の具入りスープ類小分け供給装置によれば、容器が供給装置内に装着されているか否かを検出するセンサを設けたことにより、容器が装置内に装着されていない場合に、誤ってヒータに電源が入ることを防ぐことができる。
【0030】
請求項9に記載の具入りスープ類小分け供給装置によれば、容器はレードルが押し当てられることにより開閉する扉を有し、レードルには、この扉に接触するための突起を設けていることにより、突起の先端のみが扉の裏面に当接することで扉の裏面に対するレードルの当接面積を最小限とし、レードルの開口端全縁に付着した具入りスープ類が扉の裏面等に付着するのを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
次に、本発明の具入りスープ類小分け供給装置を図面に基づいて説明する。
【0032】
図1は一部を破断した本発明の具入りスープ類小分け供給装置の斜視図、図2(A)はレードルの斜視図、図2(B)はレードルの縦断面図、図3(A)〜図3(C)はレードルの具入りスープ類供給時の最終工程付近を時系列で説明するためのレードルの縦断面図、図4はレードルの具入りスープ類供給時の全体工程を時系列で示した説明図、図5は本発明の具入りスープ類小分け供給装置の平断面図、図6は本発明の具入りスープ類小分け供給装置の正面方向の縦断面図、図7は本発明の具入りスープ類小分け供給装置の側面方向の縦断面図、図8は本発明の具入りスープ類小分け供給装置の正面図、図9は本発明の具入りスープ類小分け供給装置の斜視図である。
【0033】
図8及び図9において、本発明の具入りスープ類小分け供給装置1は、大別してベース2と本体カバー3とを備えている。
【0034】
図7に示すように、ベース2の上面には食器載置部21が設けられている。この食器載置部21には、具入りスープの種類に応じた食器22が載置される。食器載置部21にはスリットが設けられており、食器22を取り出す際などに食器22からこぼれたスープ類は、スリットを抜けて食器載置部21の下に垂れ落ちるようになっている。また、食器載置部21の下には、スリットから垂れ落ちたスープ液等を受ける受け皿23が設けられている。この食器載置部21と受け皿23は固着して設けても良いが、取り外し可能とすることによりメンテナンスが容易になる。
【0035】
さらに、ベース2の前面は一端に設けられた蝶番24を介して回動可能となっており、これにより受け皿23の交換や清掃が容易な構造となっている。また、本体カバー3には、食器載置部21の上空に位置する側面に、食器載置部21に食器22が載置されたか否かを検知する食器センサ31が取り付けられている。
【0036】
図8に示すように本体カバー3の正面には、具入りスープ類の小分け動作を開始させるスイッチボタン32と、具入りスープ類の温度条件などを設定する設定パネル33が設けられている。また、本体カバー3の正面内側には、具入りスープ類を吐出させた場合の飛散を防止するために、筒状の飛散防止ガイド34が設けられている。さらに、本体カバー3の前面は蝶番37を介して開閉可能となっている。この開閉は、シリンダーキー38に図示を略すキーを差し込むことでロックが解除され可能となる。
【0037】
設定パネル33は、表示部33aと操作部33bを備えている。例えば、表示部33aには具入りスープ類の温度や小分け回数(又は残回数)などを表示することができる。これらの各種の条件は、操作部33bから入力することにより設定を行うことができる。表示部33aには、液晶表示や電光表示等、周知の種々の表示方法を用いることができる。
【0038】
尚、自動販売機として利用する場合には、本体カバー3に自販機ユニット35を設けることができる。この自販機ユニット35は、例えば、硬貨専用機の場合、硬貨投入口35a、返却ボタン35b、硬貨返却口35c等が設けられる。そして、硬貨が投入されない限りスープ類の抽出が行われないように設定しておくことにより、サービスエリアやコンビニエンスストアなどにおいて、客がセルフサービスでスープの購入を行うことができる。
【0039】
図7に示すように、本体カバー3の上部には開閉可能な上蓋36が設けられており、上蓋36を開くことによって、本体カバー3を取り外すことなく本体カバー3の内部を見ることができる。また、本体カバー3の後部内側にはクランク状の押さえバネ39が設けられている。
【0040】
一方、本体カバー3の内部には、図1に示すように、具入りスープ類を収容する容器4が設けられている。また、本体カバー3内には、容器4内に配置されて容器4内に収容された具入りスープ類を小分けするためのレードル5を容器4の底面に沿って変位させるリンク機構部6が設けられている。このリンク機構部6は、本体カバー3の内部に配置されたモータ7の駆動が、回動ベルト10を介して回動軸8に伝達されて駆動する。
【0041】
容器4は、例えば、ステンレス製の容器であり、溶接或いはプレス加工により成形される。図6に示すように、この容器4は鍋部41と蓋部42に分割されている。鍋部41の側面下部41aは上方に向けて拡開傾斜した傾斜面となっており、その底面41bはレードル5の幅と略同じかやや広幅になっている。また、側面から見た鍋部41の底面形状は円弧状になっている。鍋部41の側面下部41aには、容器4の外側からヒータ23が接触している。ヒータ23は板ばね27に設けられた断熱部材28により、側面下部41aに付勢されている。なお、ヒータ23の温度設定は前述の操作部33bから行うことができ、スープ類の温度を一定に保つためのヒータ23のオン/オフの制御は、不図示の制御部により行われる。
【0042】
また、図7に示すように、鍋部41の底面41bには容器4内の温度を測定するための温度センサ25が当接している。温度センサ25の下には、接触・非接触を検知するセンサ25bを設けている。鍋部41が装着されていない状態では、温度センサ25は板ばね25aによりセンサ25bと離れた状態で保持され、センサ25bにより鍋部41が装着されていないことが検出される。また、鍋部41が装着されている状態では、鍋部41の重みにより板ばね25aに抗して温度センサ25が下降してセンサ25bに接触する。その結果、センサ25bにより鍋部41が装着されていることが検出される。装置の安全面から、センサ25bにより鍋部41が装着されていないことが検出された場合には、ヒータ23が自動的に切れるように制御する。
【0043】
センサ25bは重量センサでも良く、その場合、測定される重量によって鍋部41の有無を検出する。また、重量センサによれば、鍋部41内のスープ類の残量を測定することができ、その残量に基づいてヒータ23のオン/オフを自動制御することにより、スープ類の焦げ付きを防止することができる。この重量センサとしては、ロードセル等を用いることができる。
【0044】
図1に示すように、鍋部41の側面上部41cにはピン43が複数並んで設けられている。このピン43には、具入りスープ類を保冷するための保冷材を収納する保冷材収納ボックス44を引っかけて取り付けることができる。冷製スープ類の場合には、ヒータ23を切って、この保冷材収納ボックス44に保冷材を収納しておくことにより、鍋部41内のスープ類を保冷することができる。
【0045】
鍋部41の側面上部41cには、取手45と、水平に突出したフランジ46が設けられている。このフランジ46には、大径穴と小径長穴が連続した平面視略ダルマ形状の係合穴46aが設けられている。図6に示すように、ベース2に起立して設けられた固定台26には、上方に向けて伸びる突起片26aを設けている。そして、図5に示すように、鍋部41を載置して突起片26aの先端を係合穴46aの大径穴に挿入した後、鍋部41を後方にスライドさせることにより、突起片26aの環状溝(図示せず)を係合穴46aの小径長穴に係止させる。
【0046】
蓋部42は、鍋部41に被せる際に後端を押さえバネ39の下に挿入することにより、蓋部42の後端が押さえバネ39により鍋部41の方向に付勢される。その状態で蓋部42を鍋部41に嵌合させることにより、蓋部42が鍋部41の上に固定される。蓋部42と鍋部41とは気密性良く嵌合するため、容器4内のスープ類は極めて高い保温状態を維持することができる。
【0047】
さらに、図7に示すように、鍋部41の正面上部にはやや上向き傾斜されたツバ部41dが突出形成されている。レードル5から食器22へと具入りスープ類を供給する際にレードル5の底面に付着したスープ液が垂れ落ちる場合があるが、このツバ部41dを設けることにより、垂れ落ちたスープ液はツバ部41dが受け取り、そのままツバ部41dを伝ってまた鍋部41内へと戻される。このようにツバ部41dを設けることにより、スープ液が鍋部41の外に垂れ落ちることを防止することができる。ツバ部41dは、水平に対して10〜45°の傾斜を持たせて設けることが好ましい。
【0048】
蓋部42は前後に二分割され蝶番によって連結されており、その一方の回動蓋42aを
開放することで容器4内への具入りスープ液の継ぎ足し等が可能となっている。また、その他方の固定蓋42bの上面には取手47が設けられている。さらに、蓋部42の正面には、レードル5内に収容された具入りスープ類を吐出させる吐出口41eが設けられている。この吐出口41eには蝶番によって2枚の扉48が観音開き可能に取り付けられており、各扉48は蝶番に設けられたコイルバネによって常時(非吐出し時)は閉じられている。スープ類の吐出しの際には、扉48の裏面にレードル5が突き当たり、扉48がレードル5によって内側から押し開かれて、左右に開いて開放される。また、観音開き扉48の一方の内側縁部は他方の内側縁部に重なって配置されており、これにより容器4内と外気との密閉度が確保され、保温性の確保と同時に容器4内の具入りスープ類の匂い漏れを防止している。更に、鍋部41には、レードル5を所定の位置で停止させた状態で反転下向きとするように回動させるフック49が取り付けられている。
【0049】
図2に示すようにレードル5は、正面方向からの縦断面形状が矩形をなし、底面は鍋部41の底面形状に対応した円弧状をなす。レードル5の正面にはスープ類が入るための開口部5aを有し、背面は非開口部5gで閉じられている。開口部5aの開口端下部には、左右に分かれて2本の突起5bが設けられている。この突起5bは、その先端のみが扉48の裏面に当接することで扉48の裏面に対するレードル5の当接面積を最小限とし、その他の開口部5aの開口端全縁に付着した具入りスープ類が扉48の裏面等に付着するのを防止する。
【0050】
レードル5の内部は液体通過仕切り壁51によって前後に区画されている。レードル5の側壁には、液体通過仕切り壁51よりも開口部5a側に位置して切り起こし等によって側壁の一部を開口させた余剰スープ液排出口5cが形成されている。この余剰スープ液排出口5cは、レードル5の側壁若しくは天井に形成することができる。特に、余剰スープ液排出口5cは、液体通過仕切り壁51に形成されたスープ液通過用の開口51aよりも上方に位置していることが好ましい。
【0051】
また、開口部5a寄りの底面には内方(上方)に向けて波状に突出された堰き止め用の凸部5dが形成されている。尚、この凸部5dの形状は、上述した波状のものを複数設けたもののほか、円柱形状のものを縦横若しくは千鳥状に突出配置したり、凹形状にしたりすることもできる。その形状や数、底面からの突出量といった条件は具入りスープ類の種類(例えば、具の量や種類、スープ液の粘性など)に応じての変更は適宜自由である。すなわち、凸形状や凹形状だけでなく、スープ類の吐出し時に開口部5aを流れる流体に対して抵抗となり、流速を弱めるための抵抗部であればよく、レードル5の底面に設けたものである必要もない。凸部5dのようにレードル5の一部を変形させたものでも、レードル5とは別の部材をレードル内に取り付けたものであってもよい。
【0052】
液体通過仕切り壁51は、例えば、ステンレス製の薄板を所定形状に形成したものであり、具は通さずにスープ液のみを通すことができるようにスープ液通過用の開口51a(穴、スリット、メッシュなど)が複数設けられている。開口51aの数や大きさは、供給するスープ類に含まれる具の大きさやスープ液の粘性に応じて適宜設定して使用すればよい。例えば、大きな具を含むスープ類の場合には開口51aを大きく設定し、小さな具しか含まないスープ類の場合には開口51aを小さく設定する。また、粘性が高いスープ液の場合には開口51aの数を多くし、粘性が低いスープ液の場合には開口51aの数は少なくする。
【0053】
開口51aの配置は偏在させていても良く、液体通過仕切り壁51の中腹よりも上にのみ設けても良い。このように中腹よりも上にのみ配置することにより、レードル5が反転下向きになってレードル5内のスープ類を食器に供給する際に、液体通過仕切り壁51の前側の具が供給されるタイミングよりも、液体通過仕切り壁51の後ろ側のスープ液が供給されるタイミングを遅らせることができ、スープ液が跳ねるのを防止することができる。
【0054】
液体通過仕切り壁51の上端部には略S字状に屈曲された操作挟持部51bが形成されており、これによりレードル5の上面部5eを挟持すると共にその着脱操作を簡単に行うことができる。このS字の奥行き長さを調節することにより、レードル5の内部における液体通過仕切り壁51の位置を変更することができ、これにより具入りスープ類の具とスープ液との比率を任意に変えることができる。
【0055】
また、図2(A)に示すように、レードル5の側面にはフック49に係止される係止突起5fが突出して設けられている。係止突起5fはフック49に係止した際にフック49内で回動するため、抵抗が少ない円柱側面形状を有することが望ましい。
【0056】
図1に示すようにリンク機構部6は、回動軸8に一端が取り付けられた駆動アーム61と、この駆動アーム61の他端(自由端)に関節部62を介して回動可能に保持された従動アーム63と、従動アーム63の先端に保持されてレードル5を回動自在に保持する保持軸64と、を備えている。駆動アーム61はメンテナンスが容易なように回動軸8に着脱可能に取り付けられており、鍋部41を掃除するときには取り外すことができる。
【0057】
また、従動アーム63と駆動アーム61との連結部分である関節部62には弦巻バネ65が内蔵され、従動アーム63と駆動アーム61とを一定の状態に維持している。即ち、関節部62に力が加わると関節が伸張してレードル5の反転を許容し、この反転が終了すると関節が収縮して元の状態に戻る。図7に示すように、従動アーム63の関節寄りにはピン66が突出して設けられており、このピン66に駆動アーム61が当接することにより、関節部62を支点とする従動アーム63と駆動アーム61とでなす角度(収縮方向の角度)を規制することができる。ピン66は従動アーム63の長手方向に沿って所定の範囲内で所望の位置に固定することが可能であり、関節部62を支点とする従動アーム63と駆動アーム61とでなす角度を調整することができる。好ましくは、レードル5の底面と容器4の底面41bとの間に若干の隙を設けるように調整し、レードル5が変位している際に底面41bに摺れることを防止する。尚、レードル5は、保持軸64に着脱自在であり、料理や食器に応じて収容部の容量の異なるレードル5を選択することができる。
【0058】
図1に示すようにモータ7はモータ軸71を備え、モータ軸71の回転は、モータ軸71から回動軸8に渡って掛けられたベルト(或いはチェーン)10によって回動軸8に伝達される。モータ軸71には、レードル5の円弧運動を制御するための不図示のレードル位置制御機構が設けられている。尚、このレードル位置制御機構の構造並びに機能は特許文献1に記載のものと実質的に同一であるので、ここではその説明を省略する。
【0059】
上記の構成において、まず、蓋部42を取り外して鍋部41に具入りスープ類を入れた後、鍋部41を固定台26に固定して、再び鍋部41の上に蓋部42を被せる。ヒータ23は、予め設定された保温条件で温度制御を行う。具体的には、例えば、ヒータ23を250℃に加熱し、具入りスープ類の温度が100℃となった場合に、ヒータ23の温度を130℃に下げ、その後は具入りスープ類の温度が80℃を保つようにオン/オフ制御する。尚、具入りスープ類の温度は、設定パネル33に表示させるようにしてもよい。
【0060】
また、ヒータ23を上下方向で複数に分割(機能的を含む)し、容器4内の具入りスープ類の液位に応じて段階的にオン/オフ制御することも可能である。このように、スープ類の液位に応じて上方から下方に向けて段階的にヒータ23をオフすることにより、容器4内のスープ類の液面近傍における鍋部内壁への焦げ付きを防止することができる。特に、牛乳を含むスープ類のように液面に被膜が発生して、焦げ付きが起き易いスープ類を保温する場合に顕著な効果を奏する。このとき、固定台26の内側に断熱部材28やヒータ23を配置することにより、より保温効果を向上させている。
【0061】
次に、所望する容量のレードル5に、具とスープ液の比率に応じた液体通過仕切り壁51を取り付けて容器4内に配置させる。次に、容器4の容量およびレードル5の容量から小分け回数を設定し、設定パネル33に入力する。この際、レードル5の吐出時間も設定することができる。即ち、カレーなどの流動性の悪い料理については吐出時間を長く設定することができる。
【0062】
この状態で、スイッチボタン32による小分け動作命令を待つ。このときレードル5は、容器4内のスープ類の攪拌動作を行う。具体的には、不図示の制御部に内蔵されたタイマーによって所定の時間間隔ごとにモータ7を駆動させ、レードル5の待機位置(図4の実線位置)から後方へと変位した後、再び待機位置を経由して前方へと変位し、再び待機位置に復帰する。そして、これらの動作を必要に応じて繰り返すことにより、鍋部41内を攪拌し、ヒータ23の熱による焦げ付きを防止する。
【0063】
次に、食器載置部21に食器22を配置し、食器22が置かれていることを食器センサ31により感知した状態でスイッチボタン32が押されると、小分け動作が開始する。食器センサ31によって食器22の存在が検出されない状態では、スイッチボタン32を押しても小分け動作は開始しない。このように食器センサ31を設けることにより、食器22が配置されていない状態でうっかりスイッチボタン32を押してしまった場合に、スープ類が吐出されるのを防止することができる。また、スイッチボタン32は、所定の時間(例えば、2秒間)以上押した状態を維持しなければ小分け動作が開始されないように設定されており、子供などが誤って接触した場合等にスープ類が吐出されるのを防止している。
【0064】
小分け動作は、図4の実線で示す待機位置(初期位置)からレードル5が一旦後退し(図4の丸付き数字1)、再び待機位置を経由し(図4の丸付き数字2)、そのまま上方へと円弧運動でせり上がる(図4の丸付き数字3)。このときの前進動作で容器4内の具入りスープ類が攪拌され、その一部が開口部5aからレードル5内へと小分け収容される。レードル5内に開口部5aから収容される具入りスープ類は、液体通過仕切り壁51によって具とスープ液とに所定の比率で分離される。
【0065】
この状態からさらにレードル5が上昇して係止突起5fがフック49の端部に突き当たると(図4の丸付き数字4)、係止突起5fを支点としてレードル5が反転を開始する(図4の丸付き数字5)。その過程においてレードル5の先端に位置する突起5bが扉48を回動させて吐出口41eを開放し、レードル5内に収容した具入りスープ類を食器22に吐出する。
【0066】
この小分け動作は不図示の制御部によりカウントされ、その値は設定パネル33に表示されると共に上述したレードル5の攪拌のための揺動範囲を決定する液位計を兼ねている。すなわち、カウント数が増えるにつれて容器4内のスープ類の残量が減り、液位が低下していることを意味しており、液位が低下してきた場合には、後退変位量(図4の丸付き数字1)を徐々に小さくして行く。このように後退変位量をスープ類の液位に応じて変化させることにより、レードル5が必要以上に後退変位してレードル5内に空気が侵入することを防止し、より均等な小分け作業を実現している。更に、例えば、設定回数−5回のように、予め設定された小分け回数に近くなると、ランプの点滅やブザー等により、スープ類の追加補充を促すように報知がなされる。このスープ液位は、前述の重量センサによって検出することも可能であり、または、容器4にスープ液位を検出するためのセンサを別途設けて検出しても良い。
【0067】
ところで、上述したレードル5の前進に伴って容器4内の具入りスープ類の一部を開口部5aからレードル5内へと小分け収容する際、図11に示すような従来のレードル構造では、液体通過仕切り壁51よりも開口部5a側に収容される具には、具単体と具単体の間といった部分に多量のスープ液が残存する。その結果、具の種類によっては(例えば、スープ液中に浮遊しやすいとき卵や細かく刻んだ野菜類)、その残存したスープ液によって具が押し戻されてレードル5内に収容されずにあふれ出てしまうといった不具合が生じる。
【0068】
しかしながら、本願のレードル5は余剰スープ液排出口5cを設けているため、液体通過仕切り壁51よりも開口部5a側に収容されたスープ液は、図10(B)の破線矢印で示すようにレードル5の側壁に形成された切り起こし状の余剰スープ液排出口5cからレードル外へ吐出される。そのため、レードル5内に収容されたスープ液によって具が押し戻されることなく、液体通過仕切り壁51よりも前方に効率よく具を収容することができる。この余剰スープ液排出口5cの大きさは、スープ類に含まれる具が排出されることが無いように、具の大きさに応じて適宜設計すれば良い。
【0069】
図3(A)〜(C)は、図4の丸付き数字5の動作を分解して示した図である。図3(A)の破線矢印で示すように、容器4内の具入りスープ類からレードル5が露出した際には、具に含まれたスープ液が余剰スープ液排出口5cから排出され、液体通過仕切り壁51を境に具とスープ液とが効率よく分離される。
【0070】
液体通過仕切り壁51には開口51aが形成されていることから、図3(A)に示した上向き状態から、図3(B)に示した略水平状態へと回転した時点で液体通過仕切り壁51の開口51aからスープ液が徐々に具側へと流れ出て、具とスープ液が一緒になって食器22へと供給される。具は凸部5dの抵抗により一度に全部が食器22内に供給されることはなく、徐々に供給されるため、スープ類の跳ね上がりを抑制することができる。開口51aの位置を上方に形成することにより、図3(B)に示した略水平状態へと回転した時点では、液体通過仕切り壁51の開口51aからスープ液が具側へと流れ出ないようにすることもできる。
【0071】
そして、レードル5が図3(C)に示した所定の反転下向き位置に達すると、主として液体通過仕切り壁51の内側に位置していたスープ液が食器22内へと供給されることとなる。このときスープ液もゆっくりと液体通過仕切り壁51を通過していくため、最初にスープ液をあまり含んでいない具がその重みによって食器22内に供給され、後から液体通過仕切り壁51を通過して出てくるスープ液がレードル5内に残存する具を洗い流すように食器22に供給される。
【0072】
上述した一連の反転動作、特に、具が食器22内へと吐出されるまではごく僅かの時間内に起こる動作であり、レードル5内に収容されたスープ液が食器22への供給量に大きな変化を及ぼすほど余剰スープ液排出口5cから吐出されることはない。特に、本実施の形態のように、余剰スープ液排出口5cを液体通過仕切り壁51の開口51aよりも上方に形成することにより、余剰スープ液排出口5cからスープ液が吐出されるのを防ぐことができる。
【0073】
その後、スープ類の吐出を終えたレードル5は、同様の軌道を通って容器4内のスープ類の中へと後退する。このとき、レードル5は開口部5aを上に向けた状態でスープ類の中へと沈むため、レードル5内の空気が効率よく排出されて、スープ類は開口部5aからレードル5内へと侵入する。
【0074】
上記の実施例では、1台の具入りスープ類小分け供給装置1を配置した状態で説明したが、特許文献1に示すように2台を隣接して設置することも可能である。
【0075】
上述の通り、本発明の具入りスープ類小分け供給装置によれば、抵抗部によって具の供給速度を低減させているため、具が一度に食器内へと供給されることもなくなり、具に含まれたスープ液の跳ね上がりを防止することができる。
【0076】
また、レードルの液体通過仕切り壁よりも開口寄りの側面に余剰スープ液排出口を設けていることにより、具内へのスープ液の混入を少なくすることができ、具とスープ液の比率をより一層厳密な比率に分離することができる。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】一部を破断した本発明の具入りスープ類小分け供給装置の斜視図である。
【図2】(A)はレードルの斜視図、(B)はレードルの縦断面図である。
【図3】(A)乃至(C)はレードルの具入りスープ類供給時の最終工程付近を時系列で説明するためのレードルの縦断面図である。
【図4】レードルの具入りスープ類供給時の全体工程を時系列で示した説明図である。
【図5】本発明の具入りスープ類小分け供給装置の平断面図である。
【図6】本発明の具入りスープ類小分け供給装置の正面方向の縦断面図である。
【図7】本発明の具入りスープ類小分け供給装置の側面方向の縦断面図である。
【図8】本発明の具入りスープ類小分け供給装置の正面図である。
【図9】本発明の具入りスープ類小分け供給装置の斜視図である。
【図10】レードルの具入りスープ類供給時の工程を時系列で示した説明図である。
【図11】従来のレードルの縦断面図である。
【符号の説明】
【0078】
1…具入りスープ類小分け供給装置、2…ベース、3…本体カバー、4…容器、5…レードル、5a…開口部、5b…突起、5c…余剰スープ液排出口、5d…凸部、5e…上面部、5f…係止突起、6…リンク機構部、7…モータ、8…回動軸、10…ベルト、21…食器載置部、22…食器、23…ヒータ、24…蝶番、25…温度センサ、25a…板ばね、25b…センサ、26…固定台、26a…突起片、27…板バネ、28…断熱部材、31…食器センサ、32…スイッチボタン、33…設定パネル、33a…表示部、33b…操作部、34…飛散防止ガイド、35…自販機ユニット、35a…硬貨投入口、35b…返却ボタン、35c…硬貨返却、36…上蓋、37…蝶番、38…シリンダーキー
、39…押さえバネ、41…鍋部、41a…側面下部、41b…底面、41c…側面上部、41d…庇、41e…吐出口、42…蓋部、42a…回動蓋、42b…固定蓋、43…ピン、44…保冷材収納ボックス、45…取手、46…フランジ、46a…係合穴、47…取手、48…扉、49…フック、51…液体通過仕切り壁、51a…開口、51b…操作挟持部、61…駆動アーム、62…関節部、63…従動アーム、64…保持軸、65…弦巻バネ、66…ピン、71…モータ軸。
【技術分野】
【0001】
本発明は、スープ液、カレー、味噌汁などの具入りスープ類を、具の量を略一定量としつつ小分けしてカップ等の食器に供給する具入りスープ類小分け供給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、ファミリーレストランや所謂ファーストフード(例えば、ハンバーガー、フライドチキン、ドーナッツ等)店或いは軽食付の喫茶店といった外食産業、コンビニエンスストア、ホテルなどでは、予め別の場所で調理したスープ液、カレー、味噌汁などの具入りスープ類を比較的大きな寸胴鍋といった容器に投入すると共に必要に応じて容器を加熱(保温を含む)しておき、店員や利用者がおたまなどで容器内の具を攪拌しながら小分けし(すくい上げ)、カップやスープ液皿といった所定の食器(紙コップといった使い捨て容器等を含む)に供給していた。
【0003】
しかしながら、このような小分け作業は煩雑であるとともに、具とスープ類を一定の比率で供給することは困難であった。そのため、容器内の具入りスープ類をある程度の量にまで小分け供給してしまうと、それ以降は具無しのスープ液となってしまう(具の種類やスープ液の粘性等によって程度は異なる)といった問題点が生じていた。
【0004】
そこで、このような問題点を解決するための手段として、本出願人は、先に特許文献1を提案している。
【0005】
この特許文献1に記載の技術は、底面を円弧状とした容器内に具入りスープ類を収容すると共に、常時はその容器内に位置している小分け容器としてのレードルを設けている。そして、駆動機構部によりレードルを容器の底面に沿って摺動変位させ、容器内に収容された具入りスープ類の一部を一定量で小分けすると同時に略一定比率で具とスープ液とに分離しつつすくい上げる。さらに、吐出口にてレードルを反転下向きとして、レードル内の具入りスープ類をカップやスープ皿といった食器に提供するものである。
【0006】
これにより、例えば、容器内に収容された1800ccの具入りスープ類がレードルにより180ccづつに小分けされると共に、具とスープ液とがレードル内で一定の比率(例えば、2:8)に分離される。これにより、10杯分の具入りスープ類が毎回略一定量で小分けされると同時に、具とスープ液とを一定の比率で供給することができる。
【0007】
【特許文献1】特開2001−278391号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上記のように構成された具入りスープ類小分け供給装置にあっては、レードルにより1杯分に小分けした具入りスープ類は、その小分け時には具とスープ液とが分離しているものの、厳密には完全に分離されているものではない。
【0009】
従来のレードル構造は、図11に示すようにレードル50の中腹に仕切り板52を設けている。仕切り板52には、供給されるスープ類の具の大きさに応じた複数の開口52aが形成されている。容器内のスープ類をすくい上げ、図11に示すように供給口55を上方に向けた状態に変位した際には、仕切り板52を境にレードル50内でスープ類が上液53と下液54に二分される。下液54は開口52aを通過して仕切り板52よりも下側に溜まったスープ液であり、上液53は開口52aを通過することができない具とスープ液が混在した状態である。
【0010】
このとき、下液54は開口52aを通過できない具が混在しないスープ液になるが、上液53は具とスープ液の混在状態であり、その具とスープ液の比率は容器内のスープ類における比率とほぼ等しくなる。そのため、容器内に残存するスープ類における具の比率が少なくなってきた場合には、上液53に含まれる具の量も減ってくるという問題が生じていた。
【0011】
また、上液53には具のみでなくスープ液も多量に含まれていることから、レードル50を反転させ供給口55を下側に向けたときに、具に含まれたスープ液が勢い良く流れ出し、跳ね易いという問題が生じていた。
【0012】
さらに、従来の具入りスープ類小分け供給装置にあっては、駆動機構部によりレードルを容器の底面に沿って摺動変位させているため、レードルと容器が擦れる音が発生するだけでなく、容器の底面が磨耗により傷み易かった。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題を解決するため、請求項1に記載の具入りスープ類小分け供給装置は、具入りスープ類が収容されると共に底面が略円弧状とされた容器と、前記容器内に収容された具入りスープ類を一定量で小分けしつつすくい上げるように前記底面に沿って変位するレードルと、該レードル内をその開口側と非開口側との間で区画すると共に前記レードルが前記容器内の具入りスープ類をすくい上げる際に具とスープ液とに分離する液体通過仕切り壁と、前記レードルを変位させると共に吐出口にて前記レードルを反転下向きとして前記レードル内の具入りスープ類を食器内へと供給する駆動機構部とを備えた具入りスープ類小分け供給装置において、前記レードルの前記液体通過仕切り壁よりも開口寄りに、前記具入りスープ類の流れに対して抵抗となる抵抗部を設けたことを要旨とする。
【0014】
請求項2に記載の具入りスープ類小分け供給装置は、具入りスープ類が収容されると共に底面が略円弧状とされた容器と、前記容器内に収容された具入りスープ類を一定量で小分けしつつすくい上げるように前記底面に沿って変位するレードルと、該レードル内をその開口側と非開口側との間で区画すると共に前記レードルが前記容器内の具入りスープ類をすくい上げる際に具とスープ液とに分離する液体通過仕切り壁と、前記レードルを変位させると共に吐出口にて前記レードルを反転下向きとして前記レードル内の具入りスープ類を食器内へと供給する駆動機構部とを備えた具入りスープ類小分け供給装置において、前記レードルの前記液体通過仕切り壁よりも開口寄りの天井又は側壁に余剰スープ液排出口を設けたことを要旨とする。
【0015】
請求項3に記載の具入りスープ類小分け供給装置は、前記余剰スープ液排出口が、前記液体通過仕切り壁に形成されたスープ液通過用の開口よりも上方に位置していることを要旨とする。
【0016】
請求項4に記載の具入りスープ類小分け供給装置は、具入りスープ類が収容されると共に底面が略円弧状とされた容器と、前記容器内に収容された具入りスープ類を一定量で小分けしつつすくい上げるように前記底面に沿って変位するレードルと、該レードル内をその開口側と非開口側との間で区画すると共に前記レードルが前記容器内の具入りスープ類をすくい上げる際に具とスープ液とに分離する液体通過仕切り壁と、前記レードルを変位させると共に吐出口にて前記レードルを反転下向きとして前記レードル内の具入りスープ類を食器内へと供給する駆動機構部とを備えた具入りスープ類小分け供給装置において、前記レードルが、前記容器の底面を摺らずに変位することを要旨とする。
【0017】
請求項5に記載の具入りスープ類小分け供給装置は、具入りスープ類が収容されると共に底面が略円弧状とされた容器と、前記容器内に収容された具入りスープ類を一定量で小分けしつつすくい上げるように前記底面に沿って変位するレードルと、該レードル内をその開口側と非開口側との間で区画すると共に前記レードルが前記容器内の具入りスープ類をすくい上げる際に具とスープ液とに分離する液体通過仕切り壁と、前記レードルを変位させると共に吐出口にて前記レードルを反転下向きとして前記レードル内の具入りスープ類を食器内へと供給する駆動機構部とを備えた具入りスープ類小分け供給装置において、前記レードルによってスープ類を供給した回数をカウントするカウンタを設けたことを要旨とする。
【0018】
請求項6に記載の具入りスープ類小分け供給装置は、具入りスープ類が収容されると共に底面が略円弧状とされた容器と、前記容器内に収容された具入りスープ類を一定量で小分けしつつすくい上げるように前記底面に沿って変位するレードルと、該レードル内をその開口側と非開口側との間で区画すると共に前記レードルが前記容器内の具入りスープ類をすくい上げる際に具とスープ液とに分離する液体通過仕切り壁と、前記レードルを変位させると共に吐出口にて前記レードルを反転下向きとして前記レードル内の具入りスープ類を食器内へと供給する駆動機構部とを備えた具入りスープ類小分け供給装置において、前記容器内のスープ類の残量に応じて、前記レードルの変位の範囲を変化させることを要旨とする。
【0019】
請求項7に記載の具入りスープ類小分け供給装置は、具入りスープ類が収容されると共に底面が略円弧状とされた容器と、前記容器内に収容された具入りスープ類を一定量で小分けしつつすくい上げるように前記底面に沿って変位するレードルと、該レードル内をその開口側と非開口側との間で区画すると共に前記レードルが前記容器内の具入りスープ類をすくい上げる際に具とスープ液とに分離する液体通過仕切り壁と、前記レードルを変位させると共に吐出口にて前記レードルを反転下向きとして前記レードル内の具入りスープ類を食器内へと供給する駆動機構部とを備えた具入りスープ類小分け供給装置において、前記容器内のスープ類を加熱するヒータを有し、該ヒータは前記容器内のスープ類の残量に応じて段階的に切れることを要旨とする。
【0020】
請求項8に記載の具入りスープ類小分け供給装置は、具入りスープ類が収容されると共に底面が略円弧状とされた容器と、前記容器内に収容された具入りスープ類を一定量で小分けしつつすくい上げるように前記底面に沿って変位するレードルと、該レードル内をその開口側と非開口側との間で区画すると共に前記レードルが前記容器内の具入りスープ類をすくい上げる際に具とスープ液とに分離する液体通過仕切り壁と、前記レードルを変位させると共に吐出口にて前記レードルを反転下向きとして前記レードル内の具入りスープ類を食器内へと供給する駆動機構部とを備えた具入りスープ類小分け供給装置において、前記容器が供給装置内に装着されているか否かを検出するセンサを設けたことを要旨とする。
【0021】
請求項9に記載の具入りスープ類小分け供給装置は、具入りスープ類が収容されると共に底面が略円弧状とされた容器と、前記容器内に収容された具入りスープ類を一定量で小分けしつつすくい上げるように前記底面に沿って変位するレードルと、該レードル内をその開口側と非開口側との間で区画すると共に前記レードルが前記容器内の具入りスープ類をすくい上げる際に具とスープ液とに分離する液体通過仕切り壁と、前記レードルを変位させると共に吐出口にて前記レードルを反転下向きとして前記レードル内の具入りスープ類を食器内へと供給する駆動機構部とを備えた具入りスープ類小分け供給装置において、前記容器は前記レードルが押し当てられることにより開閉する扉を有しており、前記レードルには、前記扉に接触するための突起を設けていることを要旨とする。
【発明の効果】
【0022】
本願の請求項1に記載の具入りスープ類小分け供給装置によれば、レードルの液体通過仕切り壁よりも開口寄りに、具入りスープ類の流れに対して抵抗となる抵抗部を設けたことにより、レードルからのスープ類の供給速度を減速させ、スープ液の跳ね上がりを防止することができる。
【0023】
請求項2に記載の具入りスープ類小分け供給装置によれば、レードルの液体通過仕切り壁よりも開口寄りの天井又は側壁に余剰スープ液排出口を設けたことにより、具内へのスープ液の混入を少なくすることができ、食器へと具を供給した際に具に含まれたスープ液の跳ね上がりを防止することができるうえ、具とスープ液の比率をより一層厳密な比率に分離することができる。
【0024】
請求項3に記載の具入りスープ類小分け供給装置によれば、余剰スープ液排出口が、液体通過仕切り壁に形成されたスープ液通過用の開口よりも上方に位置していることにより、レードルを反転下向きにしてスープ類を供給する際に、液体通過仕切り壁に形成されたスープ液通過用の開口を通過するスープ液が余剰スープ液排出口から漏れることを防止することができる。
【0025】
請求項4に記載の具入りスープ類小分け供給装置によれば、レードルが、容器の底面を摺らずに変位することにより、レードルと容器が擦れる音の発生を防ぎ、容器の底面が磨耗により傷むことを防止することができる。
【0026】
請求項5に記載の具入りスープ類小分け供給装置によれば、レードルによってスープ類を供給した回数をカウントするカウンタを設けたことにより、容器内のスープ類の残量を検出することができる。
【0027】
請求項6に記載の具入りスープ類小分け供給装置によれば、容器内のスープ類の残量に応じて、レードルの変位の範囲を変化させることにより、レードルがスープ液面から上昇することによりレードル内に余分な空気が侵入することを防止できる。
【0028】
請求項7に記載の具入りスープ類小分け供給装置によれば、容器内のスープ類を加熱するヒータを有し、このヒータが容器内のスープ類の残量に応じて段階的に切れることにより、スープ液面近傍における容器へのスープ類の焦げ付きと空焚きを防止することができる。
【0029】
請求項8に記載の具入りスープ類小分け供給装置によれば、容器が供給装置内に装着されているか否かを検出するセンサを設けたことにより、容器が装置内に装着されていない場合に、誤ってヒータに電源が入ることを防ぐことができる。
【0030】
請求項9に記載の具入りスープ類小分け供給装置によれば、容器はレードルが押し当てられることにより開閉する扉を有し、レードルには、この扉に接触するための突起を設けていることにより、突起の先端のみが扉の裏面に当接することで扉の裏面に対するレードルの当接面積を最小限とし、レードルの開口端全縁に付着した具入りスープ類が扉の裏面等に付着するのを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
次に、本発明の具入りスープ類小分け供給装置を図面に基づいて説明する。
【0032】
図1は一部を破断した本発明の具入りスープ類小分け供給装置の斜視図、図2(A)はレードルの斜視図、図2(B)はレードルの縦断面図、図3(A)〜図3(C)はレードルの具入りスープ類供給時の最終工程付近を時系列で説明するためのレードルの縦断面図、図4はレードルの具入りスープ類供給時の全体工程を時系列で示した説明図、図5は本発明の具入りスープ類小分け供給装置の平断面図、図6は本発明の具入りスープ類小分け供給装置の正面方向の縦断面図、図7は本発明の具入りスープ類小分け供給装置の側面方向の縦断面図、図8は本発明の具入りスープ類小分け供給装置の正面図、図9は本発明の具入りスープ類小分け供給装置の斜視図である。
【0033】
図8及び図9において、本発明の具入りスープ類小分け供給装置1は、大別してベース2と本体カバー3とを備えている。
【0034】
図7に示すように、ベース2の上面には食器載置部21が設けられている。この食器載置部21には、具入りスープの種類に応じた食器22が載置される。食器載置部21にはスリットが設けられており、食器22を取り出す際などに食器22からこぼれたスープ類は、スリットを抜けて食器載置部21の下に垂れ落ちるようになっている。また、食器載置部21の下には、スリットから垂れ落ちたスープ液等を受ける受け皿23が設けられている。この食器載置部21と受け皿23は固着して設けても良いが、取り外し可能とすることによりメンテナンスが容易になる。
【0035】
さらに、ベース2の前面は一端に設けられた蝶番24を介して回動可能となっており、これにより受け皿23の交換や清掃が容易な構造となっている。また、本体カバー3には、食器載置部21の上空に位置する側面に、食器載置部21に食器22が載置されたか否かを検知する食器センサ31が取り付けられている。
【0036】
図8に示すように本体カバー3の正面には、具入りスープ類の小分け動作を開始させるスイッチボタン32と、具入りスープ類の温度条件などを設定する設定パネル33が設けられている。また、本体カバー3の正面内側には、具入りスープ類を吐出させた場合の飛散を防止するために、筒状の飛散防止ガイド34が設けられている。さらに、本体カバー3の前面は蝶番37を介して開閉可能となっている。この開閉は、シリンダーキー38に図示を略すキーを差し込むことでロックが解除され可能となる。
【0037】
設定パネル33は、表示部33aと操作部33bを備えている。例えば、表示部33aには具入りスープ類の温度や小分け回数(又は残回数)などを表示することができる。これらの各種の条件は、操作部33bから入力することにより設定を行うことができる。表示部33aには、液晶表示や電光表示等、周知の種々の表示方法を用いることができる。
【0038】
尚、自動販売機として利用する場合には、本体カバー3に自販機ユニット35を設けることができる。この自販機ユニット35は、例えば、硬貨専用機の場合、硬貨投入口35a、返却ボタン35b、硬貨返却口35c等が設けられる。そして、硬貨が投入されない限りスープ類の抽出が行われないように設定しておくことにより、サービスエリアやコンビニエンスストアなどにおいて、客がセルフサービスでスープの購入を行うことができる。
【0039】
図7に示すように、本体カバー3の上部には開閉可能な上蓋36が設けられており、上蓋36を開くことによって、本体カバー3を取り外すことなく本体カバー3の内部を見ることができる。また、本体カバー3の後部内側にはクランク状の押さえバネ39が設けられている。
【0040】
一方、本体カバー3の内部には、図1に示すように、具入りスープ類を収容する容器4が設けられている。また、本体カバー3内には、容器4内に配置されて容器4内に収容された具入りスープ類を小分けするためのレードル5を容器4の底面に沿って変位させるリンク機構部6が設けられている。このリンク機構部6は、本体カバー3の内部に配置されたモータ7の駆動が、回動ベルト10を介して回動軸8に伝達されて駆動する。
【0041】
容器4は、例えば、ステンレス製の容器であり、溶接或いはプレス加工により成形される。図6に示すように、この容器4は鍋部41と蓋部42に分割されている。鍋部41の側面下部41aは上方に向けて拡開傾斜した傾斜面となっており、その底面41bはレードル5の幅と略同じかやや広幅になっている。また、側面から見た鍋部41の底面形状は円弧状になっている。鍋部41の側面下部41aには、容器4の外側からヒータ23が接触している。ヒータ23は板ばね27に設けられた断熱部材28により、側面下部41aに付勢されている。なお、ヒータ23の温度設定は前述の操作部33bから行うことができ、スープ類の温度を一定に保つためのヒータ23のオン/オフの制御は、不図示の制御部により行われる。
【0042】
また、図7に示すように、鍋部41の底面41bには容器4内の温度を測定するための温度センサ25が当接している。温度センサ25の下には、接触・非接触を検知するセンサ25bを設けている。鍋部41が装着されていない状態では、温度センサ25は板ばね25aによりセンサ25bと離れた状態で保持され、センサ25bにより鍋部41が装着されていないことが検出される。また、鍋部41が装着されている状態では、鍋部41の重みにより板ばね25aに抗して温度センサ25が下降してセンサ25bに接触する。その結果、センサ25bにより鍋部41が装着されていることが検出される。装置の安全面から、センサ25bにより鍋部41が装着されていないことが検出された場合には、ヒータ23が自動的に切れるように制御する。
【0043】
センサ25bは重量センサでも良く、その場合、測定される重量によって鍋部41の有無を検出する。また、重量センサによれば、鍋部41内のスープ類の残量を測定することができ、その残量に基づいてヒータ23のオン/オフを自動制御することにより、スープ類の焦げ付きを防止することができる。この重量センサとしては、ロードセル等を用いることができる。
【0044】
図1に示すように、鍋部41の側面上部41cにはピン43が複数並んで設けられている。このピン43には、具入りスープ類を保冷するための保冷材を収納する保冷材収納ボックス44を引っかけて取り付けることができる。冷製スープ類の場合には、ヒータ23を切って、この保冷材収納ボックス44に保冷材を収納しておくことにより、鍋部41内のスープ類を保冷することができる。
【0045】
鍋部41の側面上部41cには、取手45と、水平に突出したフランジ46が設けられている。このフランジ46には、大径穴と小径長穴が連続した平面視略ダルマ形状の係合穴46aが設けられている。図6に示すように、ベース2に起立して設けられた固定台26には、上方に向けて伸びる突起片26aを設けている。そして、図5に示すように、鍋部41を載置して突起片26aの先端を係合穴46aの大径穴に挿入した後、鍋部41を後方にスライドさせることにより、突起片26aの環状溝(図示せず)を係合穴46aの小径長穴に係止させる。
【0046】
蓋部42は、鍋部41に被せる際に後端を押さえバネ39の下に挿入することにより、蓋部42の後端が押さえバネ39により鍋部41の方向に付勢される。その状態で蓋部42を鍋部41に嵌合させることにより、蓋部42が鍋部41の上に固定される。蓋部42と鍋部41とは気密性良く嵌合するため、容器4内のスープ類は極めて高い保温状態を維持することができる。
【0047】
さらに、図7に示すように、鍋部41の正面上部にはやや上向き傾斜されたツバ部41dが突出形成されている。レードル5から食器22へと具入りスープ類を供給する際にレードル5の底面に付着したスープ液が垂れ落ちる場合があるが、このツバ部41dを設けることにより、垂れ落ちたスープ液はツバ部41dが受け取り、そのままツバ部41dを伝ってまた鍋部41内へと戻される。このようにツバ部41dを設けることにより、スープ液が鍋部41の外に垂れ落ちることを防止することができる。ツバ部41dは、水平に対して10〜45°の傾斜を持たせて設けることが好ましい。
【0048】
蓋部42は前後に二分割され蝶番によって連結されており、その一方の回動蓋42aを
開放することで容器4内への具入りスープ液の継ぎ足し等が可能となっている。また、その他方の固定蓋42bの上面には取手47が設けられている。さらに、蓋部42の正面には、レードル5内に収容された具入りスープ類を吐出させる吐出口41eが設けられている。この吐出口41eには蝶番によって2枚の扉48が観音開き可能に取り付けられており、各扉48は蝶番に設けられたコイルバネによって常時(非吐出し時)は閉じられている。スープ類の吐出しの際には、扉48の裏面にレードル5が突き当たり、扉48がレードル5によって内側から押し開かれて、左右に開いて開放される。また、観音開き扉48の一方の内側縁部は他方の内側縁部に重なって配置されており、これにより容器4内と外気との密閉度が確保され、保温性の確保と同時に容器4内の具入りスープ類の匂い漏れを防止している。更に、鍋部41には、レードル5を所定の位置で停止させた状態で反転下向きとするように回動させるフック49が取り付けられている。
【0049】
図2に示すようにレードル5は、正面方向からの縦断面形状が矩形をなし、底面は鍋部41の底面形状に対応した円弧状をなす。レードル5の正面にはスープ類が入るための開口部5aを有し、背面は非開口部5gで閉じられている。開口部5aの開口端下部には、左右に分かれて2本の突起5bが設けられている。この突起5bは、その先端のみが扉48の裏面に当接することで扉48の裏面に対するレードル5の当接面積を最小限とし、その他の開口部5aの開口端全縁に付着した具入りスープ類が扉48の裏面等に付着するのを防止する。
【0050】
レードル5の内部は液体通過仕切り壁51によって前後に区画されている。レードル5の側壁には、液体通過仕切り壁51よりも開口部5a側に位置して切り起こし等によって側壁の一部を開口させた余剰スープ液排出口5cが形成されている。この余剰スープ液排出口5cは、レードル5の側壁若しくは天井に形成することができる。特に、余剰スープ液排出口5cは、液体通過仕切り壁51に形成されたスープ液通過用の開口51aよりも上方に位置していることが好ましい。
【0051】
また、開口部5a寄りの底面には内方(上方)に向けて波状に突出された堰き止め用の凸部5dが形成されている。尚、この凸部5dの形状は、上述した波状のものを複数設けたもののほか、円柱形状のものを縦横若しくは千鳥状に突出配置したり、凹形状にしたりすることもできる。その形状や数、底面からの突出量といった条件は具入りスープ類の種類(例えば、具の量や種類、スープ液の粘性など)に応じての変更は適宜自由である。すなわち、凸形状や凹形状だけでなく、スープ類の吐出し時に開口部5aを流れる流体に対して抵抗となり、流速を弱めるための抵抗部であればよく、レードル5の底面に設けたものである必要もない。凸部5dのようにレードル5の一部を変形させたものでも、レードル5とは別の部材をレードル内に取り付けたものであってもよい。
【0052】
液体通過仕切り壁51は、例えば、ステンレス製の薄板を所定形状に形成したものであり、具は通さずにスープ液のみを通すことができるようにスープ液通過用の開口51a(穴、スリット、メッシュなど)が複数設けられている。開口51aの数や大きさは、供給するスープ類に含まれる具の大きさやスープ液の粘性に応じて適宜設定して使用すればよい。例えば、大きな具を含むスープ類の場合には開口51aを大きく設定し、小さな具しか含まないスープ類の場合には開口51aを小さく設定する。また、粘性が高いスープ液の場合には開口51aの数を多くし、粘性が低いスープ液の場合には開口51aの数は少なくする。
【0053】
開口51aの配置は偏在させていても良く、液体通過仕切り壁51の中腹よりも上にのみ設けても良い。このように中腹よりも上にのみ配置することにより、レードル5が反転下向きになってレードル5内のスープ類を食器に供給する際に、液体通過仕切り壁51の前側の具が供給されるタイミングよりも、液体通過仕切り壁51の後ろ側のスープ液が供給されるタイミングを遅らせることができ、スープ液が跳ねるのを防止することができる。
【0054】
液体通過仕切り壁51の上端部には略S字状に屈曲された操作挟持部51bが形成されており、これによりレードル5の上面部5eを挟持すると共にその着脱操作を簡単に行うことができる。このS字の奥行き長さを調節することにより、レードル5の内部における液体通過仕切り壁51の位置を変更することができ、これにより具入りスープ類の具とスープ液との比率を任意に変えることができる。
【0055】
また、図2(A)に示すように、レードル5の側面にはフック49に係止される係止突起5fが突出して設けられている。係止突起5fはフック49に係止した際にフック49内で回動するため、抵抗が少ない円柱側面形状を有することが望ましい。
【0056】
図1に示すようにリンク機構部6は、回動軸8に一端が取り付けられた駆動アーム61と、この駆動アーム61の他端(自由端)に関節部62を介して回動可能に保持された従動アーム63と、従動アーム63の先端に保持されてレードル5を回動自在に保持する保持軸64と、を備えている。駆動アーム61はメンテナンスが容易なように回動軸8に着脱可能に取り付けられており、鍋部41を掃除するときには取り外すことができる。
【0057】
また、従動アーム63と駆動アーム61との連結部分である関節部62には弦巻バネ65が内蔵され、従動アーム63と駆動アーム61とを一定の状態に維持している。即ち、関節部62に力が加わると関節が伸張してレードル5の反転を許容し、この反転が終了すると関節が収縮して元の状態に戻る。図7に示すように、従動アーム63の関節寄りにはピン66が突出して設けられており、このピン66に駆動アーム61が当接することにより、関節部62を支点とする従動アーム63と駆動アーム61とでなす角度(収縮方向の角度)を規制することができる。ピン66は従動アーム63の長手方向に沿って所定の範囲内で所望の位置に固定することが可能であり、関節部62を支点とする従動アーム63と駆動アーム61とでなす角度を調整することができる。好ましくは、レードル5の底面と容器4の底面41bとの間に若干の隙を設けるように調整し、レードル5が変位している際に底面41bに摺れることを防止する。尚、レードル5は、保持軸64に着脱自在であり、料理や食器に応じて収容部の容量の異なるレードル5を選択することができる。
【0058】
図1に示すようにモータ7はモータ軸71を備え、モータ軸71の回転は、モータ軸71から回動軸8に渡って掛けられたベルト(或いはチェーン)10によって回動軸8に伝達される。モータ軸71には、レードル5の円弧運動を制御するための不図示のレードル位置制御機構が設けられている。尚、このレードル位置制御機構の構造並びに機能は特許文献1に記載のものと実質的に同一であるので、ここではその説明を省略する。
【0059】
上記の構成において、まず、蓋部42を取り外して鍋部41に具入りスープ類を入れた後、鍋部41を固定台26に固定して、再び鍋部41の上に蓋部42を被せる。ヒータ23は、予め設定された保温条件で温度制御を行う。具体的には、例えば、ヒータ23を250℃に加熱し、具入りスープ類の温度が100℃となった場合に、ヒータ23の温度を130℃に下げ、その後は具入りスープ類の温度が80℃を保つようにオン/オフ制御する。尚、具入りスープ類の温度は、設定パネル33に表示させるようにしてもよい。
【0060】
また、ヒータ23を上下方向で複数に分割(機能的を含む)し、容器4内の具入りスープ類の液位に応じて段階的にオン/オフ制御することも可能である。このように、スープ類の液位に応じて上方から下方に向けて段階的にヒータ23をオフすることにより、容器4内のスープ類の液面近傍における鍋部内壁への焦げ付きを防止することができる。特に、牛乳を含むスープ類のように液面に被膜が発生して、焦げ付きが起き易いスープ類を保温する場合に顕著な効果を奏する。このとき、固定台26の内側に断熱部材28やヒータ23を配置することにより、より保温効果を向上させている。
【0061】
次に、所望する容量のレードル5に、具とスープ液の比率に応じた液体通過仕切り壁51を取り付けて容器4内に配置させる。次に、容器4の容量およびレードル5の容量から小分け回数を設定し、設定パネル33に入力する。この際、レードル5の吐出時間も設定することができる。即ち、カレーなどの流動性の悪い料理については吐出時間を長く設定することができる。
【0062】
この状態で、スイッチボタン32による小分け動作命令を待つ。このときレードル5は、容器4内のスープ類の攪拌動作を行う。具体的には、不図示の制御部に内蔵されたタイマーによって所定の時間間隔ごとにモータ7を駆動させ、レードル5の待機位置(図4の実線位置)から後方へと変位した後、再び待機位置を経由して前方へと変位し、再び待機位置に復帰する。そして、これらの動作を必要に応じて繰り返すことにより、鍋部41内を攪拌し、ヒータ23の熱による焦げ付きを防止する。
【0063】
次に、食器載置部21に食器22を配置し、食器22が置かれていることを食器センサ31により感知した状態でスイッチボタン32が押されると、小分け動作が開始する。食器センサ31によって食器22の存在が検出されない状態では、スイッチボタン32を押しても小分け動作は開始しない。このように食器センサ31を設けることにより、食器22が配置されていない状態でうっかりスイッチボタン32を押してしまった場合に、スープ類が吐出されるのを防止することができる。また、スイッチボタン32は、所定の時間(例えば、2秒間)以上押した状態を維持しなければ小分け動作が開始されないように設定されており、子供などが誤って接触した場合等にスープ類が吐出されるのを防止している。
【0064】
小分け動作は、図4の実線で示す待機位置(初期位置)からレードル5が一旦後退し(図4の丸付き数字1)、再び待機位置を経由し(図4の丸付き数字2)、そのまま上方へと円弧運動でせり上がる(図4の丸付き数字3)。このときの前進動作で容器4内の具入りスープ類が攪拌され、その一部が開口部5aからレードル5内へと小分け収容される。レードル5内に開口部5aから収容される具入りスープ類は、液体通過仕切り壁51によって具とスープ液とに所定の比率で分離される。
【0065】
この状態からさらにレードル5が上昇して係止突起5fがフック49の端部に突き当たると(図4の丸付き数字4)、係止突起5fを支点としてレードル5が反転を開始する(図4の丸付き数字5)。その過程においてレードル5の先端に位置する突起5bが扉48を回動させて吐出口41eを開放し、レードル5内に収容した具入りスープ類を食器22に吐出する。
【0066】
この小分け動作は不図示の制御部によりカウントされ、その値は設定パネル33に表示されると共に上述したレードル5の攪拌のための揺動範囲を決定する液位計を兼ねている。すなわち、カウント数が増えるにつれて容器4内のスープ類の残量が減り、液位が低下していることを意味しており、液位が低下してきた場合には、後退変位量(図4の丸付き数字1)を徐々に小さくして行く。このように後退変位量をスープ類の液位に応じて変化させることにより、レードル5が必要以上に後退変位してレードル5内に空気が侵入することを防止し、より均等な小分け作業を実現している。更に、例えば、設定回数−5回のように、予め設定された小分け回数に近くなると、ランプの点滅やブザー等により、スープ類の追加補充を促すように報知がなされる。このスープ液位は、前述の重量センサによって検出することも可能であり、または、容器4にスープ液位を検出するためのセンサを別途設けて検出しても良い。
【0067】
ところで、上述したレードル5の前進に伴って容器4内の具入りスープ類の一部を開口部5aからレードル5内へと小分け収容する際、図11に示すような従来のレードル構造では、液体通過仕切り壁51よりも開口部5a側に収容される具には、具単体と具単体の間といった部分に多量のスープ液が残存する。その結果、具の種類によっては(例えば、スープ液中に浮遊しやすいとき卵や細かく刻んだ野菜類)、その残存したスープ液によって具が押し戻されてレードル5内に収容されずにあふれ出てしまうといった不具合が生じる。
【0068】
しかしながら、本願のレードル5は余剰スープ液排出口5cを設けているため、液体通過仕切り壁51よりも開口部5a側に収容されたスープ液は、図10(B)の破線矢印で示すようにレードル5の側壁に形成された切り起こし状の余剰スープ液排出口5cからレードル外へ吐出される。そのため、レードル5内に収容されたスープ液によって具が押し戻されることなく、液体通過仕切り壁51よりも前方に効率よく具を収容することができる。この余剰スープ液排出口5cの大きさは、スープ類に含まれる具が排出されることが無いように、具の大きさに応じて適宜設計すれば良い。
【0069】
図3(A)〜(C)は、図4の丸付き数字5の動作を分解して示した図である。図3(A)の破線矢印で示すように、容器4内の具入りスープ類からレードル5が露出した際には、具に含まれたスープ液が余剰スープ液排出口5cから排出され、液体通過仕切り壁51を境に具とスープ液とが効率よく分離される。
【0070】
液体通過仕切り壁51には開口51aが形成されていることから、図3(A)に示した上向き状態から、図3(B)に示した略水平状態へと回転した時点で液体通過仕切り壁51の開口51aからスープ液が徐々に具側へと流れ出て、具とスープ液が一緒になって食器22へと供給される。具は凸部5dの抵抗により一度に全部が食器22内に供給されることはなく、徐々に供給されるため、スープ類の跳ね上がりを抑制することができる。開口51aの位置を上方に形成することにより、図3(B)に示した略水平状態へと回転した時点では、液体通過仕切り壁51の開口51aからスープ液が具側へと流れ出ないようにすることもできる。
【0071】
そして、レードル5が図3(C)に示した所定の反転下向き位置に達すると、主として液体通過仕切り壁51の内側に位置していたスープ液が食器22内へと供給されることとなる。このときスープ液もゆっくりと液体通過仕切り壁51を通過していくため、最初にスープ液をあまり含んでいない具がその重みによって食器22内に供給され、後から液体通過仕切り壁51を通過して出てくるスープ液がレードル5内に残存する具を洗い流すように食器22に供給される。
【0072】
上述した一連の反転動作、特に、具が食器22内へと吐出されるまではごく僅かの時間内に起こる動作であり、レードル5内に収容されたスープ液が食器22への供給量に大きな変化を及ぼすほど余剰スープ液排出口5cから吐出されることはない。特に、本実施の形態のように、余剰スープ液排出口5cを液体通過仕切り壁51の開口51aよりも上方に形成することにより、余剰スープ液排出口5cからスープ液が吐出されるのを防ぐことができる。
【0073】
その後、スープ類の吐出を終えたレードル5は、同様の軌道を通って容器4内のスープ類の中へと後退する。このとき、レードル5は開口部5aを上に向けた状態でスープ類の中へと沈むため、レードル5内の空気が効率よく排出されて、スープ類は開口部5aからレードル5内へと侵入する。
【0074】
上記の実施例では、1台の具入りスープ類小分け供給装置1を配置した状態で説明したが、特許文献1に示すように2台を隣接して設置することも可能である。
【0075】
上述の通り、本発明の具入りスープ類小分け供給装置によれば、抵抗部によって具の供給速度を低減させているため、具が一度に食器内へと供給されることもなくなり、具に含まれたスープ液の跳ね上がりを防止することができる。
【0076】
また、レードルの液体通過仕切り壁よりも開口寄りの側面に余剰スープ液排出口を設けていることにより、具内へのスープ液の混入を少なくすることができ、具とスープ液の比率をより一層厳密な比率に分離することができる。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】一部を破断した本発明の具入りスープ類小分け供給装置の斜視図である。
【図2】(A)はレードルの斜視図、(B)はレードルの縦断面図である。
【図3】(A)乃至(C)はレードルの具入りスープ類供給時の最終工程付近を時系列で説明するためのレードルの縦断面図である。
【図4】レードルの具入りスープ類供給時の全体工程を時系列で示した説明図である。
【図5】本発明の具入りスープ類小分け供給装置の平断面図である。
【図6】本発明の具入りスープ類小分け供給装置の正面方向の縦断面図である。
【図7】本発明の具入りスープ類小分け供給装置の側面方向の縦断面図である。
【図8】本発明の具入りスープ類小分け供給装置の正面図である。
【図9】本発明の具入りスープ類小分け供給装置の斜視図である。
【図10】レードルの具入りスープ類供給時の工程を時系列で示した説明図である。
【図11】従来のレードルの縦断面図である。
【符号の説明】
【0078】
1…具入りスープ類小分け供給装置、2…ベース、3…本体カバー、4…容器、5…レードル、5a…開口部、5b…突起、5c…余剰スープ液排出口、5d…凸部、5e…上面部、5f…係止突起、6…リンク機構部、7…モータ、8…回動軸、10…ベルト、21…食器載置部、22…食器、23…ヒータ、24…蝶番、25…温度センサ、25a…板ばね、25b…センサ、26…固定台、26a…突起片、27…板バネ、28…断熱部材、31…食器センサ、32…スイッチボタン、33…設定パネル、33a…表示部、33b…操作部、34…飛散防止ガイド、35…自販機ユニット、35a…硬貨投入口、35b…返却ボタン、35c…硬貨返却、36…上蓋、37…蝶番、38…シリンダーキー
、39…押さえバネ、41…鍋部、41a…側面下部、41b…底面、41c…側面上部、41d…庇、41e…吐出口、42…蓋部、42a…回動蓋、42b…固定蓋、43…ピン、44…保冷材収納ボックス、45…取手、46…フランジ、46a…係合穴、47…取手、48…扉、49…フック、51…液体通過仕切り壁、51a…開口、51b…操作挟持部、61…駆動アーム、62…関節部、63…従動アーム、64…保持軸、65…弦巻バネ、66…ピン、71…モータ軸。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
具入りスープ類を収容し、かつ装着自在なる容器と、前記容器の内面に沿って変位し、具入りスープ類をすくい上げるレードルと、すくい上げた具入りスープ類を食器内に供給するように前記レードルを変位させる駆動機構部とを備えた具入りスープ類小分け供給装置において、
前記食器内の具入りスープ類を加熱保温するヒータと、前記レードルによる前記供給の回数をカウントするカウンタとを有し、
前記カウンタによるカウントにより前記食器内の具入りスープ類の残量を検知し、この残量検知に応じて具入りスープ類の焦げ付きと空焚きを防ぐために前記ヒータをオン・オフすることを特徴とする具入りスープ類小分け供給装置。
【請求項2】
請求項1記載の具入りスープ類小分け供給装置において、
前記残量検知に応じてランプやブザーを含む報知手段により報知をすることを特徴とする具入りスープ類小分け供給装置。
【請求項1】
具入りスープ類を収容し、かつ装着自在なる容器と、前記容器の内面に沿って変位し、具入りスープ類をすくい上げるレードルと、すくい上げた具入りスープ類を食器内に供給するように前記レードルを変位させる駆動機構部とを備えた具入りスープ類小分け供給装置において、
前記食器内の具入りスープ類を加熱保温するヒータと、前記レードルによる前記供給の回数をカウントするカウンタとを有し、
前記カウンタによるカウントにより前記食器内の具入りスープ類の残量を検知し、この残量検知に応じて具入りスープ類の焦げ付きと空焚きを防ぐために前記ヒータをオン・オフすることを特徴とする具入りスープ類小分け供給装置。
【請求項2】
請求項1記載の具入りスープ類小分け供給装置において、
前記残量検知に応じてランプやブザーを含む報知手段により報知をすることを特徴とする具入りスープ類小分け供給装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−212035(P2006−212035A)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−72203(P2006−72203)
【出願日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【分割の表示】特願2003−361025(P2003−361025)の分割
【原出願日】平成15年10月21日(2003.10.21)
【出願人】(503387156)有限会社新永技研 (2)
【出願人】(500333567)株式会社亀屋工業所 (28)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【分割の表示】特願2003−361025(P2003−361025)の分割
【原出願日】平成15年10月21日(2003.10.21)
【出願人】(503387156)有限会社新永技研 (2)
【出願人】(500333567)株式会社亀屋工業所 (28)
【Fターム(参考)】
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