セキュリティが強化された身分証明用文書
【課題】セキュリティが強化され、複製抑止力を備えながら、他の照合認証技術と較べて簡便かつ安価な解決策を提供する身分証明用文書(10)を提供する。
【解決手段】一実施態様において、文書上の特定データまたは情報に基づく多層多軸回折光学変化画像素子(DOVID)を文書が備える。この結果、本DOVIDは、文書(10)特有のデータかまたは情報と直接関連する。本DOVIDのセキュリティ機能は、人間の眼によって確認可能であり、信憑性を確認するのに高度な技術を必要としない。さらに、本セキュリティ機能は、改竄の検出性が強化されている。
【解決手段】一実施態様において、文書上の特定データまたは情報に基づく多層多軸回折光学変化画像素子(DOVID)を文書が備える。この結果、本DOVIDは、文書(10)特有のデータかまたは情報と直接関連する。本DOVIDのセキュリティ機能は、人間の眼によって確認可能であり、信憑性を確認するのに高度な技術を必要としない。さらに、本セキュリティ機能は、改竄の検出性が強化されている。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の引用】
【0001】
本出願は、2004年6月3日に出願された米国特許出願第10/860,178号「セキュリティが強化された身分証明用文書」に対する優先権を主張して2005年6月1日にデータカード・コーポレイション名義でPCT国際出願として出願するものであり、当該出願の内容は引用することによりここに組み込まれているものとする。
【技術分野】
【0002】
本発明は、身分証明用文書とその製造および身分証明用文書の製造における回折光学変化画像素子(DOVID)技術の使用に関する。
【背景技術】
【0003】
回折光学変化画像素子(以降DOVID)は、光の干渉技術に基づいた回折画像である。DOVIDの一種がホログラムであり、透視次元数が複数保持される。一般的な名称として、「ホログラム」という語は、DOVIDの総称的な用語と通常置き換えられる。DOVIDの別の形式が格子画像であり、唯一つの透視次元数が保持される。
【0004】
DOVIDはこれまで、機密文書の複製を防止する様々な用途に用いられている。DOVIDは最初、クレジットカードの保護の用途等として使用されていた。その後、数種類の回折画像技術が開発され、偽造文書を製造するのがますます困難となっている。
【0005】
全てのDOVIDは、様々な角度に僅かに傾けると見え方が変化する反射像を示す。この特有の性質により、従来の印刷法およびコンピュータを用いたグラフィックハードウエアおよびソフトウエア処理によってDOVID画像のコピーや偽造を行うことができない。
【0006】
クレジットカード等の身分証明用文書のような機密文書の複製を保護するために使用される現在のDOVID技術は、文書に存在する実際の情報とは関係のない一般的なDOVIDに依拠している。また、DOVID材料は、当初合法的に入手されていたが、その後違法にまたは問題のある状況の下で販売または流通するようになり、現在使用されているDOVID材料は、このようなグレーマーケットでますます入手されるようになりつつある。この結果、従来からの一般的なDOVIDは、安全とはほど遠くなりつつある。
【0007】
DOVID技術をより有効に利用したパスポート、運転免許証、クレジットカード、身分証明書等の身分証明用文書等を含むセキュリティが強化された文書、およびこのような文書の製造に関連する方法の改善が必要である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、セキュリティが強化され、複製抑止力を備えながら、他の照合認証技術と較べて簡便かつ安価な解決策を提供する改善された身分証明用文書および身分証明用文書の改善された製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、一実施態様において、セキュリティ保護対象の文書上の特定データまたは情報と一体化したDOVID技術形式のセキュリティ機能を利用する。この結果、このセキュリティ機能は文書特有のデータかまたは情報と直接関連することとなる。このセキュリティ機能は、人間の眼によって確認可能であり、信憑性を確認するのに高度な技術を必要としない。さらに、このセキュリティ機能は、改竄の検出性が強化されている。
【0010】
本発明の思想は、文書のセキュリティ(例えば、改竄検出、照合、認証等)が懸念され、文書の無許可複製が望ましくない任意の文書に使用可能であろう。本発明の思想により恩恵がもたらされるであろう文書の例としては、身分証明書、運転免許証、クレジットカード等のカード類やパスポートが含まれる。
【0011】
本発明の一実施態様において、複数の回折軸を有する多層DOVIDにより文書が形成される。DOVID層の数は、セキュリティの要求基準に応じて変えることができるが、少なくとも2層DOVID層とすることが好ましい。このDOVIDは、文書上の画像または文字の上にこのような画像または文字と正確に位置合わせして形成可能である。このDOVIDは、その下に形成する画像や文字に特有、およびそれに基づくものである。その結果、このDOVIDは、その下に形成される文書に特有であり、ゆえに偽造の可能性が減少し、文書完全性の確認し易さが増すことになる。
【0012】
本発明の一つの側面において、身分証明用文書は、前記身分証明用文書の対象所有者に関する情報がその上に提供される文書表面を有し、前記文書表面上に回折光学変化画像素子を備え、前記画像素子は、前記文書表面上の前記情報の少なくとも一部に基づく。
【0013】
本発明の別の側面において、身分証明用文書は、前記身分証明用文書の対象所有者に関する情報がその上に提供される文書表面と、前記文書表面上の多層回折光学変化画像素子とを備え、前記回折光学変化画像素子は、複数の回折軸を有し、前記文書表面上に形成される。
【0014】
本発明のさらに別の側面において、身分証明用文書は、その上に情報が提供される文書表面と、前記文書表面上の回折光学変化画像素子とを備え、前記回折光学変化画像素子は、前記情報が前記身分証明用文書上に形成された後に作成され、前記情報の少なくとも一部に基づく。
【0015】
本発明のさらに別の側面において、身分証明用文書の製造方法は、対象文書所有者に関する情報を含む情報を備えた文書表面がその上に形成された身分証明用文書を提供する工程と、前記情報の少なくとも一部に少なくとも部分的に基づいて前記文書表面上に回折光学変化画像素子を形成する工程とを備える。
【0016】
本発明の思想、そこから得られる利点および目的をより理解するために、以下、本発明の好ましい実施態様を記載する図面および関連する説明を参照する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の思想を利用可能な身分証明用文書を図1に示す。この文書は、カード10として図示されており、例えば、身分証明書、運転免許証、クレジットカード等である。以下カードである文書に関連して発明思想を記載するが、文書のセキュリティ(例えば、改竄検出、照合、認証等)が懸念され、文書の無許可複製が望ましくないパスポート等の任意の文書において発明思想が利用可能であることを理解されたい。
【0018】
カード10は、カード表面12を有し、その上にこの身分証明用文書の対象所有者に関する一つ以上の写真画像14および文字16等の情報およびロゴ画像18等の身分証明用文書の対象所有者とは関連しない情報を含む様々な情報が存在する。画像14は一般的には対象カード所有者の画像であり、文字16には、カード所有者の名前や住所等の対象カード所有者に関する情報、雇い主等のカード発行者に関する情報、カード番号等が含まれる。ロゴ画像18は、カード類によく見られるようなロゴ画像であり、例えば企業ロゴ、カードを発行した主体のロゴ等である。カード10は、一つ以上の画像14、文字16およびロゴ画像18と他のデータとを様々に組み合わせたものを含むことができる。さらにカード10は、先述のような種類の一つ以上の情報に加えてまたはそれとは別に、カード所有者の一つ以上の指紋やカード所有者を一義的に同定するランダムな情報等の対象カード所有者に関するその他の種類の情報も含むことができる。
【0019】
画像14、文字16およびロゴ画像18は、染料昇華等の適切なカード印刷技術を用いてカード表面12上に印刷可能である。画像14とロゴ画像18とは、イエロー・マゼンタ・シアン(YMC)染料昇華印刷による多色画像であることが多く、一方文字16は、一般的に染料昇華印刷による黒色である。カード表面上に多色および単色染料昇華印刷を行う設備は、ミネソタ州、ミネトンカのデータカード・コーポレイションより入手可能である。
【0020】
以下、カード表面12上にYMC印刷された画像14に関連して本発明の思想をさらに説明する。ただし、ここに記載の発明思想は、文字16およびロゴ画像18にも同様に適用可能である。
【0021】
以下により詳細に記載するように、本発明は、画像14の要求に合わせてそれに特有のDOVIDセキュリティ機能を提供する。一実施態様において、このセキュリティ機能は、画像14上に位置合わせされた状態で形成される。このDOVIDセキュリティ機能は、画像14上に形成された多層多軸回折機能であることが好ましい。DOVIDセキュリティ機能の各層は、画像14上に印刷された回折格子形状のDOVID材料の層を備える。この結果、異なる方向から画像14を見ると、裸眼で見た画像14の見かけが変化することとなる。
【0022】
DOVIDセキュリティ機能が形成された画像14は、通常の白色光で目に見える画像である白色光画像であり、方向が変わっても色は変わらない。
【0023】
次に図2には、染料昇華印刷された写真画像14の例が示されている。図2からは色々な色がわからないが、画像14は、実際にはYMC多色画像であることを理解されたい。
【0024】
DOVIDセキュリティ機能を作製するために、図2の画像14上でセグメンテーション処理が行われ、画像14は画素濃度に基づいて所定数のセグメントに分割される。各セグメントは、ある範囲の画素濃度をカバーする。例えば、1のセグメントが0〜84の画素濃度を有し、第2のセグメントが85から169の画素濃度を有し、第3のセグメントが170から255の画素濃度を有する。セグメンテーションを行うために、画像14を印刷するのに使用されるデータを処理して、画像14の様々な画素を表すデータを派生的な画素濃度を基に適当なセグメントに配置して、別々のデータ集合を形成する。累進的なx、y座標系において派生画素を個々に調べる一点処理によってセグメンテーションを行っても、または参照表を用いて行ってもよい。
【0025】
例えば、所望セグメント数が3である場合には、セグメント1のデータ集合は、セグメント1に付与された濃度幅、例えば0〜84に該当する濃度の画素となるデータを含む。同様に、セグメント2のデータ集合は、セグメント2に付与された濃度幅、例えば85〜169に該当する濃度の画素となるデータを含み、セグメント3のデータ集合は、セグメント3に付与された濃度幅、例えば170〜255に該当する濃度の画素となるデータを含む。
【0026】
図3A〜Cは、図2の画像上でのセグメンテーション処理例のデータ集合をプリントアウトしたものを示す図である。図3Aは、セグメント1と称される画素の値がより低い3分の1のデータ集合をプリントアウトしたもの20を示す。図3Bは、セグメント2と称される画素の値が中位の3分の1のデータ集合をプリントアウトしたもの22を示す。図3Cは、セグメント3と称される画素の値がより高い3分の1のデータ集合をプリントアウトしたもの24を示す。等しいセグメント(1/3、1/3、1/3)となるようなセグメンテーションを説明したが、セグメンテーションを等しくする必要はなく、例えばヒストグラム分析等の技術を用いてもよいことを認識されたい。
【0027】
セグメンテーションが終了すると、各セグメントに関して回折格子の形状でDOVID材料層を印刷することによりDOVIDセキュリティ機能が作製される。各DOVID層の格子は、他のDOVID層とは異なる角度で配置される。このDOVID格子層の形成用に適した材料は、米国特許出願公開第10/605,139号明細書に開示され、ニュージャージー州西ブランズウィックのアイ・ティー・ダブリュー・ホロパック(ITW Holopak)により製造される。
【0028】
図6に示すように、DOVIDセキュリティ機能を作成する際、まず工程30においてカード表面12上に画像14を最初に印刷する。次に、工程32において、画像14の印刷に使用したデータを処理する。工程34において、選択された範囲の画像濃度値を有するセグメントを選択し、次に工程36において、画像データに起因する画素を適当なセグメントに割り当ててデータ集合を作成することにより画像データを分割する。
【0029】
画像データが区分されたら次に、多層多軸DOVIDを画像上に形成可能である。本発明を説明しやすくするために、図3Aのプリントアウト20/セグメント1を用いて第1の角度の回折格子を備えた第1のDOVID層を作製し、図3Bのプリントアウト22/セグメント2を用いて第2の角度の回折格子を備えた第2のDOVID層を作製し、図3Cのプリントアウト24/セグメント3を用いて第3の角度の回折格子を備えた第3のDOVID層を作製するものとする。
【0030】
第1のDOVID層を形成するには、セグメント1からのデータをプリンタに送り、画像14上に画像と位置合わせされた第1の格子角度の回折格子としてDOVID材料を印刷する。得られる第1のDOVID層は、図3Aに示した画像を再現したものとなる。第2のDOVID層は、セグメント2からのデータをプリンタに送り、第1のDOVID層上であって画像14上に画像と位置合わせされた第2の格子角度の回折格子としてDOVID材料を印刷することにより第1のDOVID層上に形成する。得られる第2のDOVID層は、図3Bに示した画像を再現したものとなる。第3のDOVID層は、セグメント3からのデータをプリンタに送り、第2のDOVID層上であって画像14上に画像と位置合わせされた第3の格子角度の回折格子としてDOVID材料を印刷することにより第2のDOVID層上に形成する。得られる第3のDOVID層は、図3Cに示した画像を再現したものとなる。
【0031】
この結果、通常の画像14と、画像14を再現しそれと位置合わせされているが、DOVIDの特性を備えた同時に作成された3軸DOVID画像とをさらに含むカードが得られる。各DOVID層は、互いのDOVID層を無効にしないように他のDOVID層の格子軸とは異なる軸を有する回折格子により形成される。したがって、図3A〜Cに示した画像が画像14上に形成され、カードの方向を変えるとこれらの画像が見られる。本DOVIDは、従来のように多くのカードに適用される汎用の予め形成された素子ではない。むしろ、本DOVIDは、各カード専用に作成されたものであり、カード上の情報の少なくとも一部に少なくとも部分的に基づくものである。ゆえに本DOVIDは、「カード特有」またはより一般的には「文書特有」と呼ぶことができる。カード表面上の情報に基づくDOVIDとは、印刷された情報を用いて形成されたまたは印刷された情報を作製するのに使用されたデータを用いて形成されたことを意味する。
【0032】
3つのセグメントおよび派生的な3つのDOVID層を使用することについて説明してきたが、本発明のDOVIDセキュリティ技術は、2層以上のDOVID層を用いて実施することが可能である。さらに、単純なホログラフィー効果が望ましい場合は、画像14上に単層を形成してもよい。
【0033】
カード上のDOVIDおよび情報を保護するために、DOVIDを形成した後に保護上塗り層をカード表面12上に塗布してもよい。
【0034】
多色画像14のセグメンテーションの例についてここまで説明してきた。ただし、白黒画像によるDOVIDセキュリティ機能を作製するために、白黒画像(またはカード上のその他の情報)上でセグメンテーションを使用してもよい。本発明の思想に係るDOVIDセキュリティ機能を作製するための白黒画像のセグメンテーションの例を、図4A〜Dを参照しながら以下に説明する。説明に際し、分割対象の画像は、多色YMC画像ではなく白黒画像であると仮定する。
【0035】
まず、ラプラシアン、ソーベル、プレウィット等の輪郭抽出アルゴリズムにより元になるラスター画像を処理する。これにより、図4Aに示すような画像データが作成される。元になるラスター画像をさらに閾値処理し、適当な白黒画像を作成する。全ての白色画素は、1のDOVID層を作成するのに使用される1のセグメントに割り当てられる。全ての黒色画素は、第2のDOVID層を作成するのに使用される第2のセグメントに割り当てられる。輪郭抽出処理からの画素情報(図4A)は、第3のDOVID層を作成するのに使用される第3のセグメントに割り当てられる。DOVIDが知覚情報量を最大限維持できるようにするために、輪郭データ(図4A)を、黒色画像から減算すると、図4Bに含まれる画像情報となる。さらに、白色閾値データを含む画像データを反転させてネガ像とする。次に、反転白色画像データから輪郭情報(図4A)を減算すると、図4Cに含まれる画像情報が得られる。
【0036】
本処理をさらに説明するために、黒色画素には1の値が割り当てられ、白色画素には0の値が割り当てられると仮定する。図4Aの画像が、閾値黒色画像データから減算される場合、図4Aでも黒色であるこのデータの対応する画素は白色に変わる(即ち、1−1)。画像内の対応する画素が白色である場合には、黒色画素を減算すると、負の値になるであろう(0−1)。正の値の画素のみが印刷され、図示された画像において黒色として表される。
【0037】
図4A〜Cにおいて、ある画素が黒色である場合、文書上では白色光画像の一部か多層DOVID層の一部のいずれかとして印刷される。図4DにプリンタリボンのKすなわちブラックパネルにより印刷され、図4A〜Cの画像がその上に形成される画像を示す。この画像は、白色光画像の画素を構成し、確立されたディザ法を実践することにより作成される。図4A〜4CはそれぞれDOVIDの一つの層を形成し、先に述べたように各層は異なる回折格子軸を有する。
【0038】
ここに記載したDOVIDセキュリティ機能は、カード10のその他の任意の情報上に製造可能である。さらに、DOVID層は、情報からずらしてもよく、またはずらした部分と位置合わせした部分とを組み合わせてもよい。図3A〜Cに関して先に説明した通りに作成したが、画像14からずれているDOVID50を図5に示す。
【0039】
ここに記載したDOVIDセキュリティ技術のさらなる実施例を図1に示す。文字16の少なくとも一部に少なくとも部分的に基づくDOVIDが、カード10の表面12を横切る複数列40として作製されている。図1に示す実施例において、各列40は、カードの略全長に延伸しており、各列は、カードの略全縦幅に沿って互いに一定の間隔を置いて配置されているが、その他の構成も可能である。DOVIDが基づく文字は例えば、カード所有者の名前である。一つのバージョンにおいて、カード所有者の名前全体をDOVIDとして再現してもよく、各列40において名前を繰り返し、カードの背景を形成する。
【0040】
別の実施例において、ロゴ画像18の少なくとも一部に少なくとも部分的に基づくDOVIDが、カード10の表面12を横切る複数列42として作製されている。図1に示す実施例において、各列42は、カードの略全長に延伸しており、各列は、カードの略全縦幅に沿って互いに一定の間隔を置いて配置されているが、その他の構成も可能である。一つのバージョンにおいて、ロゴ画像全体をDOVIDとして再現してもよく、各列42においてDOVIDロゴを繰り返し、カードの背景を形成する。
【0041】
ここに記載された技術および思想は、DOVIDの最終(すなわち一番上の)層上でマイクロプリントを利用することによりさらに向上させることが可能である。
【0042】
以上のような明細書、実施例およびデータにより、本発明の技術に関する製造とその使用および本発明の思想が記載される。本発明の趣旨および範囲を逸脱することなく本発明の技術および思想に関する多くの実施態様が可能であり、本発明は添付のクレームをもって示される。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】図1は、本発明に係るDOVID技術を採用するのに適したカード形式を示す図である。
【図2】図2は、カードに印刷可能な画像の例を示す図である。
【図3A】図3Aは、図2の画像から作成される画素セグメントの像を示す図である。
【図3B】図3Bは、図2の画像から作成される画素セグメントの像を示す図である。
【図3C】図3Cは、図2の画像から作成される画素セグメントの像を示す図である。
【図4A】図4Aは、2レベルセグメンテーション処理を表す画像を示す図である。
【図4B】図4Bは、2レベルセグメンテーション処理を表す画像を示す図である。
【図4C】図4Cは、2レベルセグメンテーション処理を表す画像を示す図である。
【図4D】図4Dは、2レベルセグメンテーション処理を表す画像を示す図である。
【図5】図5は、本発明に係るオフセットDOVIDを備えたカードを示す図である。
【図6】図6は、安全なカードを作成するための方法の各工程を示すフローチャートである。
【関連出願の引用】
【0001】
本出願は、2004年6月3日に出願された米国特許出願第10/860,178号「セキュリティが強化された身分証明用文書」に対する優先権を主張して2005年6月1日にデータカード・コーポレイション名義でPCT国際出願として出願するものであり、当該出願の内容は引用することによりここに組み込まれているものとする。
【技術分野】
【0002】
本発明は、身分証明用文書とその製造および身分証明用文書の製造における回折光学変化画像素子(DOVID)技術の使用に関する。
【背景技術】
【0003】
回折光学変化画像素子(以降DOVID)は、光の干渉技術に基づいた回折画像である。DOVIDの一種がホログラムであり、透視次元数が複数保持される。一般的な名称として、「ホログラム」という語は、DOVIDの総称的な用語と通常置き換えられる。DOVIDの別の形式が格子画像であり、唯一つの透視次元数が保持される。
【0004】
DOVIDはこれまで、機密文書の複製を防止する様々な用途に用いられている。DOVIDは最初、クレジットカードの保護の用途等として使用されていた。その後、数種類の回折画像技術が開発され、偽造文書を製造するのがますます困難となっている。
【0005】
全てのDOVIDは、様々な角度に僅かに傾けると見え方が変化する反射像を示す。この特有の性質により、従来の印刷法およびコンピュータを用いたグラフィックハードウエアおよびソフトウエア処理によってDOVID画像のコピーや偽造を行うことができない。
【0006】
クレジットカード等の身分証明用文書のような機密文書の複製を保護するために使用される現在のDOVID技術は、文書に存在する実際の情報とは関係のない一般的なDOVIDに依拠している。また、DOVID材料は、当初合法的に入手されていたが、その後違法にまたは問題のある状況の下で販売または流通するようになり、現在使用されているDOVID材料は、このようなグレーマーケットでますます入手されるようになりつつある。この結果、従来からの一般的なDOVIDは、安全とはほど遠くなりつつある。
【0007】
DOVID技術をより有効に利用したパスポート、運転免許証、クレジットカード、身分証明書等の身分証明用文書等を含むセキュリティが強化された文書、およびこのような文書の製造に関連する方法の改善が必要である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、セキュリティが強化され、複製抑止力を備えながら、他の照合認証技術と較べて簡便かつ安価な解決策を提供する改善された身分証明用文書および身分証明用文書の改善された製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、一実施態様において、セキュリティ保護対象の文書上の特定データまたは情報と一体化したDOVID技術形式のセキュリティ機能を利用する。この結果、このセキュリティ機能は文書特有のデータかまたは情報と直接関連することとなる。このセキュリティ機能は、人間の眼によって確認可能であり、信憑性を確認するのに高度な技術を必要としない。さらに、このセキュリティ機能は、改竄の検出性が強化されている。
【0010】
本発明の思想は、文書のセキュリティ(例えば、改竄検出、照合、認証等)が懸念され、文書の無許可複製が望ましくない任意の文書に使用可能であろう。本発明の思想により恩恵がもたらされるであろう文書の例としては、身分証明書、運転免許証、クレジットカード等のカード類やパスポートが含まれる。
【0011】
本発明の一実施態様において、複数の回折軸を有する多層DOVIDにより文書が形成される。DOVID層の数は、セキュリティの要求基準に応じて変えることができるが、少なくとも2層DOVID層とすることが好ましい。このDOVIDは、文書上の画像または文字の上にこのような画像または文字と正確に位置合わせして形成可能である。このDOVIDは、その下に形成する画像や文字に特有、およびそれに基づくものである。その結果、このDOVIDは、その下に形成される文書に特有であり、ゆえに偽造の可能性が減少し、文書完全性の確認し易さが増すことになる。
【0012】
本発明の一つの側面において、身分証明用文書は、前記身分証明用文書の対象所有者に関する情報がその上に提供される文書表面を有し、前記文書表面上に回折光学変化画像素子を備え、前記画像素子は、前記文書表面上の前記情報の少なくとも一部に基づく。
【0013】
本発明の別の側面において、身分証明用文書は、前記身分証明用文書の対象所有者に関する情報がその上に提供される文書表面と、前記文書表面上の多層回折光学変化画像素子とを備え、前記回折光学変化画像素子は、複数の回折軸を有し、前記文書表面上に形成される。
【0014】
本発明のさらに別の側面において、身分証明用文書は、その上に情報が提供される文書表面と、前記文書表面上の回折光学変化画像素子とを備え、前記回折光学変化画像素子は、前記情報が前記身分証明用文書上に形成された後に作成され、前記情報の少なくとも一部に基づく。
【0015】
本発明のさらに別の側面において、身分証明用文書の製造方法は、対象文書所有者に関する情報を含む情報を備えた文書表面がその上に形成された身分証明用文書を提供する工程と、前記情報の少なくとも一部に少なくとも部分的に基づいて前記文書表面上に回折光学変化画像素子を形成する工程とを備える。
【0016】
本発明の思想、そこから得られる利点および目的をより理解するために、以下、本発明の好ましい実施態様を記載する図面および関連する説明を参照する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の思想を利用可能な身分証明用文書を図1に示す。この文書は、カード10として図示されており、例えば、身分証明書、運転免許証、クレジットカード等である。以下カードである文書に関連して発明思想を記載するが、文書のセキュリティ(例えば、改竄検出、照合、認証等)が懸念され、文書の無許可複製が望ましくないパスポート等の任意の文書において発明思想が利用可能であることを理解されたい。
【0018】
カード10は、カード表面12を有し、その上にこの身分証明用文書の対象所有者に関する一つ以上の写真画像14および文字16等の情報およびロゴ画像18等の身分証明用文書の対象所有者とは関連しない情報を含む様々な情報が存在する。画像14は一般的には対象カード所有者の画像であり、文字16には、カード所有者の名前や住所等の対象カード所有者に関する情報、雇い主等のカード発行者に関する情報、カード番号等が含まれる。ロゴ画像18は、カード類によく見られるようなロゴ画像であり、例えば企業ロゴ、カードを発行した主体のロゴ等である。カード10は、一つ以上の画像14、文字16およびロゴ画像18と他のデータとを様々に組み合わせたものを含むことができる。さらにカード10は、先述のような種類の一つ以上の情報に加えてまたはそれとは別に、カード所有者の一つ以上の指紋やカード所有者を一義的に同定するランダムな情報等の対象カード所有者に関するその他の種類の情報も含むことができる。
【0019】
画像14、文字16およびロゴ画像18は、染料昇華等の適切なカード印刷技術を用いてカード表面12上に印刷可能である。画像14とロゴ画像18とは、イエロー・マゼンタ・シアン(YMC)染料昇華印刷による多色画像であることが多く、一方文字16は、一般的に染料昇華印刷による黒色である。カード表面上に多色および単色染料昇華印刷を行う設備は、ミネソタ州、ミネトンカのデータカード・コーポレイションより入手可能である。
【0020】
以下、カード表面12上にYMC印刷された画像14に関連して本発明の思想をさらに説明する。ただし、ここに記載の発明思想は、文字16およびロゴ画像18にも同様に適用可能である。
【0021】
以下により詳細に記載するように、本発明は、画像14の要求に合わせてそれに特有のDOVIDセキュリティ機能を提供する。一実施態様において、このセキュリティ機能は、画像14上に位置合わせされた状態で形成される。このDOVIDセキュリティ機能は、画像14上に形成された多層多軸回折機能であることが好ましい。DOVIDセキュリティ機能の各層は、画像14上に印刷された回折格子形状のDOVID材料の層を備える。この結果、異なる方向から画像14を見ると、裸眼で見た画像14の見かけが変化することとなる。
【0022】
DOVIDセキュリティ機能が形成された画像14は、通常の白色光で目に見える画像である白色光画像であり、方向が変わっても色は変わらない。
【0023】
次に図2には、染料昇華印刷された写真画像14の例が示されている。図2からは色々な色がわからないが、画像14は、実際にはYMC多色画像であることを理解されたい。
【0024】
DOVIDセキュリティ機能を作製するために、図2の画像14上でセグメンテーション処理が行われ、画像14は画素濃度に基づいて所定数のセグメントに分割される。各セグメントは、ある範囲の画素濃度をカバーする。例えば、1のセグメントが0〜84の画素濃度を有し、第2のセグメントが85から169の画素濃度を有し、第3のセグメントが170から255の画素濃度を有する。セグメンテーションを行うために、画像14を印刷するのに使用されるデータを処理して、画像14の様々な画素を表すデータを派生的な画素濃度を基に適当なセグメントに配置して、別々のデータ集合を形成する。累進的なx、y座標系において派生画素を個々に調べる一点処理によってセグメンテーションを行っても、または参照表を用いて行ってもよい。
【0025】
例えば、所望セグメント数が3である場合には、セグメント1のデータ集合は、セグメント1に付与された濃度幅、例えば0〜84に該当する濃度の画素となるデータを含む。同様に、セグメント2のデータ集合は、セグメント2に付与された濃度幅、例えば85〜169に該当する濃度の画素となるデータを含み、セグメント3のデータ集合は、セグメント3に付与された濃度幅、例えば170〜255に該当する濃度の画素となるデータを含む。
【0026】
図3A〜Cは、図2の画像上でのセグメンテーション処理例のデータ集合をプリントアウトしたものを示す図である。図3Aは、セグメント1と称される画素の値がより低い3分の1のデータ集合をプリントアウトしたもの20を示す。図3Bは、セグメント2と称される画素の値が中位の3分の1のデータ集合をプリントアウトしたもの22を示す。図3Cは、セグメント3と称される画素の値がより高い3分の1のデータ集合をプリントアウトしたもの24を示す。等しいセグメント(1/3、1/3、1/3)となるようなセグメンテーションを説明したが、セグメンテーションを等しくする必要はなく、例えばヒストグラム分析等の技術を用いてもよいことを認識されたい。
【0027】
セグメンテーションが終了すると、各セグメントに関して回折格子の形状でDOVID材料層を印刷することによりDOVIDセキュリティ機能が作製される。各DOVID層の格子は、他のDOVID層とは異なる角度で配置される。このDOVID格子層の形成用に適した材料は、米国特許出願公開第10/605,139号明細書に開示され、ニュージャージー州西ブランズウィックのアイ・ティー・ダブリュー・ホロパック(ITW Holopak)により製造される。
【0028】
図6に示すように、DOVIDセキュリティ機能を作成する際、まず工程30においてカード表面12上に画像14を最初に印刷する。次に、工程32において、画像14の印刷に使用したデータを処理する。工程34において、選択された範囲の画像濃度値を有するセグメントを選択し、次に工程36において、画像データに起因する画素を適当なセグメントに割り当ててデータ集合を作成することにより画像データを分割する。
【0029】
画像データが区分されたら次に、多層多軸DOVIDを画像上に形成可能である。本発明を説明しやすくするために、図3Aのプリントアウト20/セグメント1を用いて第1の角度の回折格子を備えた第1のDOVID層を作製し、図3Bのプリントアウト22/セグメント2を用いて第2の角度の回折格子を備えた第2のDOVID層を作製し、図3Cのプリントアウト24/セグメント3を用いて第3の角度の回折格子を備えた第3のDOVID層を作製するものとする。
【0030】
第1のDOVID層を形成するには、セグメント1からのデータをプリンタに送り、画像14上に画像と位置合わせされた第1の格子角度の回折格子としてDOVID材料を印刷する。得られる第1のDOVID層は、図3Aに示した画像を再現したものとなる。第2のDOVID層は、セグメント2からのデータをプリンタに送り、第1のDOVID層上であって画像14上に画像と位置合わせされた第2の格子角度の回折格子としてDOVID材料を印刷することにより第1のDOVID層上に形成する。得られる第2のDOVID層は、図3Bに示した画像を再現したものとなる。第3のDOVID層は、セグメント3からのデータをプリンタに送り、第2のDOVID層上であって画像14上に画像と位置合わせされた第3の格子角度の回折格子としてDOVID材料を印刷することにより第2のDOVID層上に形成する。得られる第3のDOVID層は、図3Cに示した画像を再現したものとなる。
【0031】
この結果、通常の画像14と、画像14を再現しそれと位置合わせされているが、DOVIDの特性を備えた同時に作成された3軸DOVID画像とをさらに含むカードが得られる。各DOVID層は、互いのDOVID層を無効にしないように他のDOVID層の格子軸とは異なる軸を有する回折格子により形成される。したがって、図3A〜Cに示した画像が画像14上に形成され、カードの方向を変えるとこれらの画像が見られる。本DOVIDは、従来のように多くのカードに適用される汎用の予め形成された素子ではない。むしろ、本DOVIDは、各カード専用に作成されたものであり、カード上の情報の少なくとも一部に少なくとも部分的に基づくものである。ゆえに本DOVIDは、「カード特有」またはより一般的には「文書特有」と呼ぶことができる。カード表面上の情報に基づくDOVIDとは、印刷された情報を用いて形成されたまたは印刷された情報を作製するのに使用されたデータを用いて形成されたことを意味する。
【0032】
3つのセグメントおよび派生的な3つのDOVID層を使用することについて説明してきたが、本発明のDOVIDセキュリティ技術は、2層以上のDOVID層を用いて実施することが可能である。さらに、単純なホログラフィー効果が望ましい場合は、画像14上に単層を形成してもよい。
【0033】
カード上のDOVIDおよび情報を保護するために、DOVIDを形成した後に保護上塗り層をカード表面12上に塗布してもよい。
【0034】
多色画像14のセグメンテーションの例についてここまで説明してきた。ただし、白黒画像によるDOVIDセキュリティ機能を作製するために、白黒画像(またはカード上のその他の情報)上でセグメンテーションを使用してもよい。本発明の思想に係るDOVIDセキュリティ機能を作製するための白黒画像のセグメンテーションの例を、図4A〜Dを参照しながら以下に説明する。説明に際し、分割対象の画像は、多色YMC画像ではなく白黒画像であると仮定する。
【0035】
まず、ラプラシアン、ソーベル、プレウィット等の輪郭抽出アルゴリズムにより元になるラスター画像を処理する。これにより、図4Aに示すような画像データが作成される。元になるラスター画像をさらに閾値処理し、適当な白黒画像を作成する。全ての白色画素は、1のDOVID層を作成するのに使用される1のセグメントに割り当てられる。全ての黒色画素は、第2のDOVID層を作成するのに使用される第2のセグメントに割り当てられる。輪郭抽出処理からの画素情報(図4A)は、第3のDOVID層を作成するのに使用される第3のセグメントに割り当てられる。DOVIDが知覚情報量を最大限維持できるようにするために、輪郭データ(図4A)を、黒色画像から減算すると、図4Bに含まれる画像情報となる。さらに、白色閾値データを含む画像データを反転させてネガ像とする。次に、反転白色画像データから輪郭情報(図4A)を減算すると、図4Cに含まれる画像情報が得られる。
【0036】
本処理をさらに説明するために、黒色画素には1の値が割り当てられ、白色画素には0の値が割り当てられると仮定する。図4Aの画像が、閾値黒色画像データから減算される場合、図4Aでも黒色であるこのデータの対応する画素は白色に変わる(即ち、1−1)。画像内の対応する画素が白色である場合には、黒色画素を減算すると、負の値になるであろう(0−1)。正の値の画素のみが印刷され、図示された画像において黒色として表される。
【0037】
図4A〜Cにおいて、ある画素が黒色である場合、文書上では白色光画像の一部か多層DOVID層の一部のいずれかとして印刷される。図4DにプリンタリボンのKすなわちブラックパネルにより印刷され、図4A〜Cの画像がその上に形成される画像を示す。この画像は、白色光画像の画素を構成し、確立されたディザ法を実践することにより作成される。図4A〜4CはそれぞれDOVIDの一つの層を形成し、先に述べたように各層は異なる回折格子軸を有する。
【0038】
ここに記載したDOVIDセキュリティ機能は、カード10のその他の任意の情報上に製造可能である。さらに、DOVID層は、情報からずらしてもよく、またはずらした部分と位置合わせした部分とを組み合わせてもよい。図3A〜Cに関して先に説明した通りに作成したが、画像14からずれているDOVID50を図5に示す。
【0039】
ここに記載したDOVIDセキュリティ技術のさらなる実施例を図1に示す。文字16の少なくとも一部に少なくとも部分的に基づくDOVIDが、カード10の表面12を横切る複数列40として作製されている。図1に示す実施例において、各列40は、カードの略全長に延伸しており、各列は、カードの略全縦幅に沿って互いに一定の間隔を置いて配置されているが、その他の構成も可能である。DOVIDが基づく文字は例えば、カード所有者の名前である。一つのバージョンにおいて、カード所有者の名前全体をDOVIDとして再現してもよく、各列40において名前を繰り返し、カードの背景を形成する。
【0040】
別の実施例において、ロゴ画像18の少なくとも一部に少なくとも部分的に基づくDOVIDが、カード10の表面12を横切る複数列42として作製されている。図1に示す実施例において、各列42は、カードの略全長に延伸しており、各列は、カードの略全縦幅に沿って互いに一定の間隔を置いて配置されているが、その他の構成も可能である。一つのバージョンにおいて、ロゴ画像全体をDOVIDとして再現してもよく、各列42においてDOVIDロゴを繰り返し、カードの背景を形成する。
【0041】
ここに記載された技術および思想は、DOVIDの最終(すなわち一番上の)層上でマイクロプリントを利用することによりさらに向上させることが可能である。
【0042】
以上のような明細書、実施例およびデータにより、本発明の技術に関する製造とその使用および本発明の思想が記載される。本発明の趣旨および範囲を逸脱することなく本発明の技術および思想に関する多くの実施態様が可能であり、本発明は添付のクレームをもって示される。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】図1は、本発明に係るDOVID技術を採用するのに適したカード形式を示す図である。
【図2】図2は、カードに印刷可能な画像の例を示す図である。
【図3A】図3Aは、図2の画像から作成される画素セグメントの像を示す図である。
【図3B】図3Bは、図2の画像から作成される画素セグメントの像を示す図である。
【図3C】図3Cは、図2の画像から作成される画素セグメントの像を示す図である。
【図4A】図4Aは、2レベルセグメンテーション処理を表す画像を示す図である。
【図4B】図4Bは、2レベルセグメンテーション処理を表す画像を示す図である。
【図4C】図4Cは、2レベルセグメンテーション処理を表す画像を示す図である。
【図4D】図4Dは、2レベルセグメンテーション処理を表す画像を示す図である。
【図5】図5は、本発明に係るオフセットDOVIDを備えたカードを示す図である。
【図6】図6は、安全なカードを作成するための方法の各工程を示すフローチャートである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象所有者に関する情報がその上に提供される文書表面と、前記文書表面上の回折光学変化画像素子とを備える身分証明用文書であって、前記画像素子は、前記文書表面上の前記情報の少なくとも一部に基づくことを特徴とする身分証明用文書。
【請求項2】
前記画像素子が前記情報の少なくとも一部に重ね合わせられている、請求項1に記載の身分証明用文書。
【請求項3】
前記情報が画像を備え、前記回折光学変化画像素子が前記画像の少なくとも一部に重ね合わせられている、請求項1に記載の身分証明用文書。
【請求項4】
前記文書表面がカードの表面を含む、請求項1に記載の身分証明用文書。
【請求項5】
前記画像素子が複数の回折軸を有する多層画像素子である、請求項1に記載の身分証明用文書。
【請求項6】
前記回折光学変化画像素子の各層が他のどの層の回折軸とも異なる回折軸を有する、請求項5に記載の身分証明用文書。
【請求項7】
前記回折光学変化画像素子の各層が画素セグメンテーション処理の結果として生じる、請求項5に記載の身分証明用文書。
【請求項8】
前記回折光学変化画像素子がそれが基づく前記情報の一部と位置合わせして配置される、請求項3に記載の身分証明用文書。
【請求項9】
前記画像素子が前記文書表面上に印刷された材料を含む、請求項1に記載の身分証明用文書。
【請求項10】
前記層が最上層を含み、前記最上層がマイクロプリントにより構成される、請求項5に記載の身分証明用文書。
【請求項11】
前記文書表面上であって前記画像素子上にさらに上塗り層を備える、請求項1に記載の身分証明用文書。
【請求項12】
前記回折光学変化画像素子がそれが基づく前記情報からずれた位置にある、請求項1に記載の身分証明用文書。
【請求項13】
対象所有者に関する情報がその上に提供される文書表面と、前記文書表面上に多層回折光学変化画像素子とを備える身分証明用文書であって、前記回折光学変化画像素子は、複数の回折軸を有し、前記文書表面上に形成されることを特徴とする身分証明用文書。
【請求項14】
前記情報が画像または文字の少なくとも一つを備え、前記画像素子が前記画像または前記文字の少なくとも一部に重ね合わされている、請求項13に記載の身分証明用文書。
【請求項15】
前記文書表面が画像を備え、前記回折光学変化画像素子が前記画像の少なくとも一部に重ね合わせられている、請求項13に記載の身分証明用文書。
【請求項16】
前記文書表面がカードの表面を含む、請求項13に記載の身分証明用文書。
【請求項17】
前記回折光学変化画像素子の各層が他のどの層の回折軸とも異なる回折軸を有する、請求項13に記載の身分証明用文書。
【請求項18】
前記回折光学変化画像素子の各層が画素セグメンテーション処理の結果として生じる、請求項13に記載の身分証明用文書。
【請求項19】
前記回折光学変化画像素子が前記文書表面上の前記画像と位置合わせして配置される、請求項15に記載の身分証明用文書。
【請求項20】
前記画像素子が前記文書表面上に印刷された材料を含む、請求項13に記載の身分証明用文書。
【請求項21】
前記層が最上層を含み、前記最上層がマイクロプリントにより構成される、請求項13に記載の身分証明用文書。
【請求項22】
前記文書表面上であって前記画像素子上にさらに上塗り層を備える、請求項13に記載の身分証明用文書。
【請求項23】
前記回折光学変化画像素子が前記文書表面上の前記情報の少なくとも一部に基づき、前記回折光学変化画像素子がそれが基づく前記情報からずれた位置にある、請求項13に記載の身分証明用文書。
【請求項24】
その上に情報が印刷された文書表面と、前記文書表面上の回折光学変化画像素子とを備える身分証明用文書であって、前記回折光学変化画像素子は、前記情報が前記身分証明用文書上に印刷された後に作成され、前記情報の少なくとも一部に基づくことを特徴とする身分証明用文書。
【請求項25】
前記情報が画像または文字の少なくとも一つを備え、前記画像素子が前記画像または前記文字の少なくとも一部に重ね合わされている、請求項24に記載の身分証明用文書。
【請求項26】
前記文書表面が画像を備え、前記回折光学変化画像素子が前記画像の少なくとも一部に重ね合わせられている、請求項24に記載の身分証明用文書。
【請求項27】
前記文書表面がカードの表面を含む、請求項24に記載の身分証明用文書。
【請求項28】
前記画像素子が複数の回折軸を有する多層画像素子である、請求項24に記載の身分証明用文書。
【請求項29】
前記回折光学変化画像素子の各層が他のどの層の回折軸とも異なる回折軸を有する、請求項28に記載の身分証明用文書。
【請求項30】
前記回折光学変化画像素子の各層が画素セグメンテーション処理の結果として生じる、請求項28に記載の身分証明用文書。
【請求項31】
前記回折光学変化画像素子が前記文書表面上の前記画像と位置合わせして配置される、請求項26に記載の身分証明用文書。
【請求項32】
前記画像素子が前記文書表面上に印刷された材料を含む、請求項24に記載の身分証明用文書。
【請求項33】
前記層が最上層を含み、前記最上層がマイクロプリントにより構成される、請求項28に記載の身分証明用文書。
【請求項34】
前記文書表面上であって前記画像素子上にさらに上塗り層を備える、請求項24に記載の身分証明用文書。
【請求項35】
前記回折光学変化画像素子がそれが基づく前記情報からずれた位置にある、請求項24に記載の身分証明用文書。
【請求項36】
対象文書所有者に関する情報を含む情報を備えた文書表面がその上に形成された身分証明用文書を提供する工程と、前記情報の少なくとも一部に少なくとも部分的に基づいて前記文書表面上に回折光学変化画像素子を形成する工程とを備える身分証明用文書の製造方法。
【請求項37】
前記画像素子が前記文書表面上の前記対象文書所有者に関する前記情報の少なくとも一部に少なくとも部分的に基づく、請求項36に記載の製造方法。
【請求項38】
前記画像素子が基づく前記情報を複数の画素セグメントに分割する工程と、各画素セグメントに回折格子層を、他のどの回折格子層の回折軸とも異なる回折軸を有するように形成する工程とを備える、請求項37に記載の製造方法。
【請求項39】
分割済みの前記情報上に前記格子層を形成する工程を備える、請求項38に記載の製造方法。
【請求項40】
前記文書表面上に前記回折光学変化画像素子を印刷する工程を備える、請求項36に記載の製造方法。
【請求項41】
前記文書上で分割される前記情報を印刷する工程を備え、各回折格子層を形成する工程が各回折格子層を印刷する工程を含む、請求項38に記載の製造方法。
【請求項42】
各回折格子層が分割済みの前記印刷された情報と位置合わせされるよう各回折格子層を印刷する工程を備える、請求項41に記載の製造方法。
【請求項43】
身分証明書を提供する工程がカードを提供する工程を含む、請求項36に記載の製造方法。
【請求項44】
各画素セグメントが分割済みの前記情報のある範囲の画素濃度を有する、請求項38に記載の製造方法。
【請求項45】
格子層の最上層上にマイクロプリントを施す工程をさらに備える、請求項38に記載の製造方法。
【請求項46】
前記回折光学変化画像素子を前記文書表面上の前記回折光学変化画像素子が基づく前記情報からずれた位置に形成する工程を備える、請求項36に記載の製造方法。
【請求項1】
対象所有者に関する情報がその上に提供される文書表面と、前記文書表面上の回折光学変化画像素子とを備える身分証明用文書であって、前記画像素子は、前記文書表面上の前記情報の少なくとも一部に基づくことを特徴とする身分証明用文書。
【請求項2】
前記画像素子が前記情報の少なくとも一部に重ね合わせられている、請求項1に記載の身分証明用文書。
【請求項3】
前記情報が画像を備え、前記回折光学変化画像素子が前記画像の少なくとも一部に重ね合わせられている、請求項1に記載の身分証明用文書。
【請求項4】
前記文書表面がカードの表面を含む、請求項1に記載の身分証明用文書。
【請求項5】
前記画像素子が複数の回折軸を有する多層画像素子である、請求項1に記載の身分証明用文書。
【請求項6】
前記回折光学変化画像素子の各層が他のどの層の回折軸とも異なる回折軸を有する、請求項5に記載の身分証明用文書。
【請求項7】
前記回折光学変化画像素子の各層が画素セグメンテーション処理の結果として生じる、請求項5に記載の身分証明用文書。
【請求項8】
前記回折光学変化画像素子がそれが基づく前記情報の一部と位置合わせして配置される、請求項3に記載の身分証明用文書。
【請求項9】
前記画像素子が前記文書表面上に印刷された材料を含む、請求項1に記載の身分証明用文書。
【請求項10】
前記層が最上層を含み、前記最上層がマイクロプリントにより構成される、請求項5に記載の身分証明用文書。
【請求項11】
前記文書表面上であって前記画像素子上にさらに上塗り層を備える、請求項1に記載の身分証明用文書。
【請求項12】
前記回折光学変化画像素子がそれが基づく前記情報からずれた位置にある、請求項1に記載の身分証明用文書。
【請求項13】
対象所有者に関する情報がその上に提供される文書表面と、前記文書表面上に多層回折光学変化画像素子とを備える身分証明用文書であって、前記回折光学変化画像素子は、複数の回折軸を有し、前記文書表面上に形成されることを特徴とする身分証明用文書。
【請求項14】
前記情報が画像または文字の少なくとも一つを備え、前記画像素子が前記画像または前記文字の少なくとも一部に重ね合わされている、請求項13に記載の身分証明用文書。
【請求項15】
前記文書表面が画像を備え、前記回折光学変化画像素子が前記画像の少なくとも一部に重ね合わせられている、請求項13に記載の身分証明用文書。
【請求項16】
前記文書表面がカードの表面を含む、請求項13に記載の身分証明用文書。
【請求項17】
前記回折光学変化画像素子の各層が他のどの層の回折軸とも異なる回折軸を有する、請求項13に記載の身分証明用文書。
【請求項18】
前記回折光学変化画像素子の各層が画素セグメンテーション処理の結果として生じる、請求項13に記載の身分証明用文書。
【請求項19】
前記回折光学変化画像素子が前記文書表面上の前記画像と位置合わせして配置される、請求項15に記載の身分証明用文書。
【請求項20】
前記画像素子が前記文書表面上に印刷された材料を含む、請求項13に記載の身分証明用文書。
【請求項21】
前記層が最上層を含み、前記最上層がマイクロプリントにより構成される、請求項13に記載の身分証明用文書。
【請求項22】
前記文書表面上であって前記画像素子上にさらに上塗り層を備える、請求項13に記載の身分証明用文書。
【請求項23】
前記回折光学変化画像素子が前記文書表面上の前記情報の少なくとも一部に基づき、前記回折光学変化画像素子がそれが基づく前記情報からずれた位置にある、請求項13に記載の身分証明用文書。
【請求項24】
その上に情報が印刷された文書表面と、前記文書表面上の回折光学変化画像素子とを備える身分証明用文書であって、前記回折光学変化画像素子は、前記情報が前記身分証明用文書上に印刷された後に作成され、前記情報の少なくとも一部に基づくことを特徴とする身分証明用文書。
【請求項25】
前記情報が画像または文字の少なくとも一つを備え、前記画像素子が前記画像または前記文字の少なくとも一部に重ね合わされている、請求項24に記載の身分証明用文書。
【請求項26】
前記文書表面が画像を備え、前記回折光学変化画像素子が前記画像の少なくとも一部に重ね合わせられている、請求項24に記載の身分証明用文書。
【請求項27】
前記文書表面がカードの表面を含む、請求項24に記載の身分証明用文書。
【請求項28】
前記画像素子が複数の回折軸を有する多層画像素子である、請求項24に記載の身分証明用文書。
【請求項29】
前記回折光学変化画像素子の各層が他のどの層の回折軸とも異なる回折軸を有する、請求項28に記載の身分証明用文書。
【請求項30】
前記回折光学変化画像素子の各層が画素セグメンテーション処理の結果として生じる、請求項28に記載の身分証明用文書。
【請求項31】
前記回折光学変化画像素子が前記文書表面上の前記画像と位置合わせして配置される、請求項26に記載の身分証明用文書。
【請求項32】
前記画像素子が前記文書表面上に印刷された材料を含む、請求項24に記載の身分証明用文書。
【請求項33】
前記層が最上層を含み、前記最上層がマイクロプリントにより構成される、請求項28に記載の身分証明用文書。
【請求項34】
前記文書表面上であって前記画像素子上にさらに上塗り層を備える、請求項24に記載の身分証明用文書。
【請求項35】
前記回折光学変化画像素子がそれが基づく前記情報からずれた位置にある、請求項24に記載の身分証明用文書。
【請求項36】
対象文書所有者に関する情報を含む情報を備えた文書表面がその上に形成された身分証明用文書を提供する工程と、前記情報の少なくとも一部に少なくとも部分的に基づいて前記文書表面上に回折光学変化画像素子を形成する工程とを備える身分証明用文書の製造方法。
【請求項37】
前記画像素子が前記文書表面上の前記対象文書所有者に関する前記情報の少なくとも一部に少なくとも部分的に基づく、請求項36に記載の製造方法。
【請求項38】
前記画像素子が基づく前記情報を複数の画素セグメントに分割する工程と、各画素セグメントに回折格子層を、他のどの回折格子層の回折軸とも異なる回折軸を有するように形成する工程とを備える、請求項37に記載の製造方法。
【請求項39】
分割済みの前記情報上に前記格子層を形成する工程を備える、請求項38に記載の製造方法。
【請求項40】
前記文書表面上に前記回折光学変化画像素子を印刷する工程を備える、請求項36に記載の製造方法。
【請求項41】
前記文書上で分割される前記情報を印刷する工程を備え、各回折格子層を形成する工程が各回折格子層を印刷する工程を含む、請求項38に記載の製造方法。
【請求項42】
各回折格子層が分割済みの前記印刷された情報と位置合わせされるよう各回折格子層を印刷する工程を備える、請求項41に記載の製造方法。
【請求項43】
身分証明書を提供する工程がカードを提供する工程を含む、請求項36に記載の製造方法。
【請求項44】
各画素セグメントが分割済みの前記情報のある範囲の画素濃度を有する、請求項38に記載の製造方法。
【請求項45】
格子層の最上層上にマイクロプリントを施す工程をさらに備える、請求項38に記載の製造方法。
【請求項46】
前記回折光学変化画像素子を前記文書表面上の前記回折光学変化画像素子が基づく前記情報からずれた位置に形成する工程を備える、請求項36に記載の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図5】
【図6】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図5】
【図6】
【公表番号】特表2008−501553(P2008−501553A)
【公表日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−515494(P2007−515494)
【出願日】平成17年6月1日(2005.6.1)
【国際出願番号】PCT/US2005/019105
【国際公開番号】WO2005/120859
【国際公開日】平成17年12月22日(2005.12.22)
【出願人】(504012756)データカード・コーポレイシヨン (15)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年6月1日(2005.6.1)
【国際出願番号】PCT/US2005/019105
【国際公開番号】WO2005/120859
【国際公開日】平成17年12月22日(2005.12.22)
【出願人】(504012756)データカード・コーポレイシヨン (15)
【Fターム(参考)】
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