セグメントの形状保持装置
【課題】セグメントを外側から保持するセグメントの形状保持装置において、前列のみならず次列以降のセグメントも保持できるようにし、かつ前列のセグメント保持体は常時、最適位置でセグメントを保持できるようにする。
【解決手段】周方向に配置されたセグメント保持体群を一列としてトンネル方向に縦列的に2列配置14,15とし、前列のセグメント保持体群14は、前記スキンプレート8の内面側に周方向に適宜の間隔をおいてシールド機の軸芯方向に摺動可能にスライド台20を配置し、このスライド台20のシールド機内側の面に前記セグメント保持体12を設け、シールド機を掘進させた後、前記セグメント保持体群14をスライド台20と共に掘進方向に移動させる移動装置を備え、次列のセグメント保持体群15は、前記スキンプレート8に対して固定的に配置された構造とする。
【解決手段】周方向に配置されたセグメント保持体群を一列としてトンネル方向に縦列的に2列配置14,15とし、前列のセグメント保持体群14は、前記スキンプレート8の内面側に周方向に適宜の間隔をおいてシールド機の軸芯方向に摺動可能にスライド台20を配置し、このスライド台20のシールド機内側の面に前記セグメント保持体12を設け、シールド機を掘進させた後、前記セグメント保持体群14をスライド台20と共に掘進方向に移動させる移動装置を備え、次列のセグメント保持体群15は、前記スキンプレート8に対して固定的に配置された構造とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シールド工法において、掘進に伴って組み立てられるセグメントの形状保持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シールド機を用いて地盤中にトンネルを構築するシールド工法では、掘進に伴ってシールド機のスキンプレート内面に周方向に複数のピースからなるセグメントをリング状に組み立て覆工を行うようにしているが、このセグメントの組み立て時に、外部からの土圧や自重によりセグメントに変形が起こり、次のセグメントの組み立て(連結)に支障を来すことが多く、このため前記セグメントの形状を保持するために形状保持装置が使用されている。
【0003】
前記形状保持装置の基本的構造は、シールド機本体から後方に突設された支持フレームに、上下方向に伸縮可能な左右一対の支柱をトンネル方向に移動可能に配設し、かつ前記左右の支柱の上端部に断面形状に沿った上部保持ビームを設けるとともに、下端部に下部保持ビームを設けた構造を成しており(以下、上下拡張型形状保持装置という。)、前記支柱を伸長して上部保持ビームおよび下部保持ビームをセグメント内面に当接させることにより、鉛直土圧や自重によりセグメントに掛かる垂直方向の力を支持してセグメントを適正に組み立てられた状態に保持し変形を防止するものである。
【0004】
しかし、従来の形状保持装置にあっては下記のような問題点があった。
(1)セグメント内に設置される従来のセグメント形状保持装置は、トンネル内空部の多くを占有し、セグメントの搬送、作業員の移動等の障害となり支障を来す場合が多かった。
(2)形状保持装置は、セグメントを組み立てるためのエレクター装置および組立用足場に対する干渉を避けるため、通常は最前列のセグメントよりも1リング後方に位置する前回時に組み立てられたセグメントに設置せざるを得ず、新たにセグメントを組み立てるセグメントに隣接するセグメントは形状保持装置によって保持されていない。その結果、新たに組み立てられるセグメントの組立作業に支障を来すことがある。この傾向は特に自重が嵩む大口径セグメントや土圧の影響が大きい場合に顕著となる。
(3)シールド機のスキンプレートとセグメントとの間には、摩擦低減のため所定の間隙が形成されている。そのため、セグメントが自重によってスキンプレートの内部でずり落ちが生じてしまうことがある。
【0005】
そのため、近年では、上記リング状に組み立てられたセグメントを内側から保持する形状保持装置に代えて、下記特許文献1に記載されるように、リング状に組み立てられたセグメントの外側からセグメントの形状を保持させるようにした形状保持装置が提案されている。該形状保持装置の構造は、シールド機の外殻となるスキンプレートの内面側であってかつ後方側位置に、周方向に適宜の間隔をおいて、トンネル中心側に向かって進退自在または膨縮自在のセグメント保持体、具体的に膨張マットまたはジャッキを複数配設するものである。
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載されるセグメント保持装置の場合は、進退自在または膨縮自在のセグメント保持体をスキンプレートに固定的に取り付けているため、シールド機の掘進に伴ってセグメントの保持位置が移動することになり、保持位置を常時最適位置とすることができないなどの問題があった。
【0007】
このような問題点に鑑み、下記特許文献2では、シールド掘進機の円筒状スキンプレートのテール部内周面に、所要の幅寸法としてある弾性素材製のシート状外側カバーを上記スキンプレートの軸心方向へ相対的に滑動可能に配置し、該外側カバーの内側面に、抜気時に扁平状態になるようにしてある外側チューブを着脱可能に取り付け、且つ該外側チューブの内側面に、抜気時に扁平状態となるようにしてある複数個の内側チューブを着脱可能に取り付けるとともに、外側チューブの長手方向に沿う側端縁部に、長手方向に所要間隔で側方へ突出させた結合部材を設け、該各結合部材に結着したロープを介して外側チューブとともに外側カバー、内側チューブをスキンプレートの軸方向へ移動させるようにしたセグメントの形状保持装置が提案されている。このセグメント形状保持装置によれば、外側カバーがスキンプレートに対して相対的に滑動可能な構造となっているため、セグメントの保持位置を常時最適位置とすることができるようになる。
【特許文献1】特開2003−83000号公報
【特許文献2】特開2005−299270号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献2記載のセグメント形状保持装置は、周方向に一列配置のものであるため、最前列のセグメントを保持すると、次列のセグメントは保持することができない。また、シールド機によっては、推進ジャッキを押し切った状態で最前列のセグメントの約1/2がシールド機外に出ることがあり、浮力を受けることになる。この際、スキンプレートの外部ではセグメントの裏側に裏込材が充填されるため、ある程度全周が拘束された状態にはなるけれども、裏込注入材の初期強度は小さいため、形状保持装置で支持されていない次列のセグメントの浮き上がり(変位)が懸念される。また、大口径セグメントの場合、上下間の水圧差によりセグメントがいびつに変形し、次のセグメントのボルト連結に支障を来す虞がある。更に、セグメント保持体を前側に移動させると、一時的ではあるがセグメントが形状保持装置によって全く保持されていない状態となってしまうなどの問題があった。
【0009】
そこで本発明の主たる課題は、セグメントを外側から保持するセグメントの形状保持装置において、最前列のみならず次列以降のセグメントも保持できるようにするとともに、最前列のセグメント保持体は常時、最適位置でセグメントを保持することができ、更に最前列のセグメント保持体を前側に移動させる際においてもセグメントの保持が行えるようにしたセグメントの形状保持装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するために請求項1に係る本発明として、シールド機の外殻となるスキンプレートの内面側であってかつ後方側位置に、周方向に適宜の間隔をおいて、トンネル中心側に向かって進退自在のセグメント保持体及び/又は膨縮自在のセグメント保持体を複数配設したセグメントの形状保持装置において、
前記セグメント保持体は、周方向に配置されたセグメント保持体群を一列としてトンネル方向に縦列的に複数配列とし、これら複数配列のセグメント保持体群の内、最前列のセグメント保持体群は、前記スキンプレートの内面側に周方向に適宜の間隔をおいてシールド機の軸芯方向に摺動可能にスライド台を配置するとともに、このスライド台のシールド機内側の面に前記セグメント保持体を設け、シールド機を掘進させた後、前記セグメント保持体をスライド台と共に掘進方向に移動させる移動装置を備え、
次列以降のセグメント保持体群は、前記スキンプレートに対して固定的に配置されたことを特徴とするセグメントの形状保持装置が提供される。
【0011】
上記請求項1の本発明は、スキンプレートの周方向に沿って前記セグメント保持体を複数配設し、セグメントの外周側から多点的に支持するようにするものであり、セグメント内部には形状保持装置が存在しないため、トンネル内に十分な空間が確保されるようになる。また、エレクター装置や組立用足場との干渉も一切問題とならないため、組立直後のセグメントを直ぐに支持できるようになる。また、組立直後のセグメントを直ぐに支持できるようになる結果、浮き上がり、水圧差による変形、スキンプレート内における自重によるずり落ち等の問題をすべて解消できるようになる。
【0012】
また、複数配列で設置されたセグメント保持体群の内、最前列のセグメント保持体群は、前記スキンプレートの内面側に周方向に適宜の間隔をおいてシールド機の軸芯方向に摺動可能にスライド台を配置するとともに、このスライド台のシールド機内側の面に前記セグメント保持体を設け、シールド機を掘進させた後、前記セグメント保持体群をスライド台と共に掘進方向に移動させる移動装置を備え、次列以降のセグメント保持体群は、前記スキンプレートに対して固定的に配置された構造とする。従って、最前列のセグメント保持体群は常時、最適位置でセグメントを保持することができ、次列以降のセグメント保持体群は次列以降のセグメントを順に保持し、かつ最前列のセグメント保持体群を移動のために解除し移動させる際にも、前記次列以降のセグメント保持体群がセグメントを保持し続けることが可能となる。
【0013】
請求項2に係る本発明として、前記最前列のセグメント保持体群と、次列以降のセグメント保持体群とは、前記最前列のセグメント保持体群が前列セグメントを保持し得る位置にあるとき、次列以降のセグメント保持体群が順に次列以降のセグメントを保持し得る位置関係にある請求項1記載のセグメントの形状保持装置が提供される。
【0014】
上記請求項2記載の本発明は、最前列のセグメント保持体群と、次列以降のセグメント保持体群との間隔関係を規定したものであって、最前列のセグメント保持体群が前列セグメントを保持し得る位置にあるとき、次列以降のセグメント保持体群が順に次列以降のセグメントを保持し得る位置関係とするのが望ましい。
【0015】
請求項3に係る本発明として、前記移動装置は、前記スライド台にシールド機の前部側方向に延びる延在部分を一体的に備えるとともに、この延在部分にシールド機の内方側に突出する当り材を備えた構造とし、シールド機を掘進させた後、シールドジャッキの収縮時にピストンヘッドの背面側が前記当り材と当接し、前記セグメント保持体をスライド台と共に掘進方向に移動させるようにした装置である請求項1,2いずれかに記載のセグメントの形状保持装置が提供される。
【0016】
上記請求項3記載の本発明は、セグメント保持体の移動装置として、スライド台にシールド機の前部側方向に延びる延在部分を一体的に備えるとともに、この延在部分にシールド機の内方側に突出する当り材を備えた構造とし、シールド機を掘進させた後、シールドジャッキの収縮時にピストンヘッドの背面側が前記当り材と当接し、前記セグメント保持体をスライド台と共に掘進方向に移動させるようにしたものである。この移動装置の場合は、機械的かつ自動的に、かつ全周に亘って配設された各セグメント保持体に夫々、均等な引込み力を与えながら前側に移動させることができ、その移動距離も常に一定となる。
【0017】
請求項4に係る本発明として、前記移動装置は、巻取りリールと、この巻取りリールに巻回されるとともに、先端が前記スライド台に連結された索材とからなる請求項1,2いずれかに記載のセグメントの形状保持装置が提供される。
【0018】
請求項5に係る本発明として、前記移動装置は、離間をおいて配置されたスプロケット又はプーリー間にエンドレスループ状に索材を架け渡し、前記索材をスライド台に連結するとともに、前記スプロケット又はプーリーを駆動させる駆動源を備えた装置である請求項1、2いずれかに記載のセグメントの形状保持装置が提供される。
【0019】
請求項6に係る本発明として、前記移動装置はピストン先端が前記スライド台に連結された伸縮ジャッキである請求項1,2いずれかに記載のセグメントの形状保持装置が提供される。
【0020】
上記請求項4〜6記載の発明は、移動装置例を示したものである。これらの装置の場合、セグメント保持体は、機械的にかつ全周に亘って配設された各セグメント保持体に夫々、均等な引込み力を与えながら前側に移動されるとともに、その移動距離も常に一定とできる。
【0021】
請求項7に係る本発明として、前記セグメント保持体は、液体、気体、油等の流体によってトンネル中心側に向かって進退自在または膨縮自在とされる膨張マットまたはジャッキである請求項1〜6いずれかに記載のセグメントの形状保持装置が提供される。
【0022】
請求項8に係る本発明として、相対的にスキンプレートの周方向上部領域側に前記膨張マットを配置し、相対的に周方向下部領域側にジャッキを配置してある請求項7記載のセグメントの形状保持装置が提供される。
【0023】
請求項9に係る本発明として、前記当り材として可撓性部材を用いることにより、セグメント保持体をスライド台と共に掘進方向に移動させる際、所定値以上の当接力が加わった場合に、前記当り材の変形により前記ピストンヘッドが当り材を乗り越えるようにしてある請求項3記載のセグメントの形状保持装置が提供される。
【0024】
請求項10に係る本発明として、前記当り材はシールド機の内方側に向けて弾発的に支持されることにより、セグメント保持体をスライド台と共に掘進方向に移動させる際、所定値以上の当接力が加わった場合に、前記当り材の没入により前記ピストンヘッドが当り材を乗り越えるようにしてある請求項3記載のセグメントの形状保持装置が提供される。
【0025】
請求項11に係る本発明として、前記スライド台の摺動面及び/又はスキンプレートの摺動面に、摩擦低減処理を施すか、または摩耗低減部材を設けてある請求項1〜10いずれかに記載のセグメントの形状保持装置が提供される。
【発明の効果】
【0026】
以上詳説のとおり本発明によれば、セグメントを外側から保持するセグメントの形状保持装置において、最前列のみならず次列以降のセグメントも保持できるようになるとともに、最前列のセグメント保持体は常時、最適位置でセグメントを保持することができ、更に最前列のセグメント保持体を前側に移動させる際においてもセグメントの保持が行えるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳述する。
図1はシールド機1の縦断面図、図2は図1のII−II線矢視図である。
【0028】
同図に示されるシールド機1は泥水加圧式のものであり、シールド本体2の前端部に設けられた隔壁3とカッタヘッド4との間にはカッタチャンバ5が区画され、このカッタチャンバ5に臨ませて送泥管6と排泥管7とが夫々開口して設けられている。一方、シールド機1の外殻となるスキンプレート8内の後方側には、セグメント組立装置10(エレクター装置)が配設され、掘進に伴ってスキンプレート8内面に周方向に複数のピースからなるセグメント11をリング状に組み立て覆工を行うようになっている。なお、符号9はシールド本体2を推進させるためのシールドジャッキである。
【0029】
前記シールド機1においては、スキンプレート8の内面側であってかつ後方側位置に、周方向に適宜の間隔をおいて、トンネル中心側に向かって進退自在または膨縮自在のセグメント保持体を複数配設するとともに、周方向に配置されたセグメント保持体群を一列としてトンネル方向に縦列的に複数配列、図示例では2列配置(14,15)とし、セグメントを外周から多点支持する形状保持装置が設けられている。なお、本発明に係るセグメント形状保持装置は、前記泥水加圧式に限らず、泥水式、土圧式、泥土圧式等、種々のシールド機に対して適用されるものである。
【0030】
以下、具体的に前記セグメント形状保持装置について詳述すると、
前記セグメント保持体としては、例えば液体、気体、油等の流体によって膨縮自在とされる膨張マット12、16または油圧(または空圧)ジャッキ13、17が使用され、図2に示されるように、リング状に組み立てられたセグメント11を外面側から多点支持し、土圧、自重および水圧による外力によってセグメント11が変形するのを防止するとともに、浮き上がりや自重によるずり落ちを防止するようになっている。
【0031】
この場合、前記セグメント保持体は、同図に示されるように、好ましくは相対的にスキンプレート8の周方向上部領域側に前記膨張マット12,12…を配置し、相対的に周方向下部領域側に油圧ジャッキ13,13…を配置するようにするのが望ましい。ストローク調整によって被支持体の移動が容易に行える油圧ジャッキ13,13…を相対的に下部領域側に配設することにより、前記セグメント11の位置調整が容易に行えるようになる。もちろん、全周方向に前記膨張マット12,12…または油圧ジャッキ13,13…を配設するようにしてもよい。
【0032】
前記セグメント形状保持装置は、図1に示されるように、周方向に配置されたセグメント保持体群を一列としてトンネル方向に縦列的に複数配列とし、これら複数配列のセグメント保持体群14,15の内、前列のセグメント保持体群14は、前記スキンプレート8の内面側に周方向に適宜の間隔をおいてシールド機1の軸芯方向に摺動可能にスライド台20を配置するとともに、このスライド台20のシールド機内側の面に前記セグメント保持体12…、13…を設け、シールド機を掘進させた後、前記セグメント保持体群14をスライド台20と共に掘進方向に移動させる移動装置を備え、次列以降のセグメント保持体群15は、前記スキンプレート8に対して固定的に配置されている。
【0033】
以下、更に具体的に詳述すると、
前記前列のセグメント保持体群14の内、前記膨張マット12、12…は、詳細には図3に示されるように、スキンプレート8の内面側に凹部8aを設け、この凹部8a内にシールド機1の軸芯方向に摺動可能かつ所定の角度範囲で旋回可能とするため両側に遊間8b、8bを有する状態でにスライド台20を配置し、このスライド台20のシールド機内側の面に設けられている。前記遊間8b、8bを持つことにより、シールド機1が曲線掘進中において、スライド台20が旋回することにより膨張マット12に無理な力(捻れ)が掛からず破損を防止できるようになる。
【0034】
前記膨張マット12は、ゴム等からなる風船状に膨張可能な袋体の周縁が固定用金具21によって固定され、液体または気体等の作動流体を供給ホース22を通じて供給または引抜き制御することによってトンネル中心側に向かって膨縮自在となっている。すなわち、作動流体の供給により膨張マット12が膨張しセグメント11の外面に押圧状態で接触することによりセグメント11を保持し、作動流体の引抜きにより膨張マット12が収縮しセグメント11の外面から離間することによりセグメント11の保持が解除される。
【0035】
前記供給ホース22は、膨張マット12の移動に追従可能なように所定長さのものを図示したが、弛みを抑えるためにコイル巻きとし伸縮可能とした供給ホース、或いは2重、3重管等の多重管からなる伸縮自在管を作動油供給管として使用してもよい。
【0036】
前記スライド台20は、シールド機1の前側方向に延びる延在部分23を一体的に備えるとともに、この延在部分23にシールド機の内方側に突出する当り材24を設け、図4に示されるように、シールド機1を掘進させた後、シールドジャッキ9の収縮時にピストンヘッド25の背面側、図示例では当接板25aの上部背面側が前記当り材24と当接し、膨張マット12をスライド台20と共に掘進方向に移動させるようになっている。
【0037】
一方、下側に配置された油圧ジャッキ13も、上記膨張マット12と同様に、図5(A)に示されるように、スキンプレート8の内面側に凹部8aを設け、この凹部8a内にシールド機1の軸芯方向に摺動可能かつ所定の角度範囲で旋回可能とするため両側に遊間8b、8bを有する状態でスライド台20を配置し、このスライド台20のシールド機内側の面に設けられている。前記遊間8b、8bを持つことにより、シールド機が曲線部掘進中において、スライド台20が旋回することにより油圧ジャッキ13に無理な力(捻れ)が掛からず、破損を防止できるようになる。
そして、作動流体の供給または引抜き制御により、ピストンがトンネル中心側に伸長しセグメント11を押圧保持するようになっている。また、前記スライド台20は、シールド機1の前側方向に延びる延在部分23を一体的に備えるとともに、この延在部分23にシールド機の内方側に突出する当り材24を備えており、図5(B)に示されるように、シールド機1を掘進させた後、シールドジャッキ9の収縮時にピストンヘッド25の背面側が前記当り材24と当接し、油圧ジャッキ13をスライド台20と共に掘進方向に移動させるようになっている。
【0038】
次いで、次列のセグメント保持体群15の内、膨張マット16は、図3に示されるように、スキンプレート8の内面側に凹部8bを設け、ゴム等からなる風船状に膨張可能な袋体の周縁部分を固定用金具21によって固定し、スキンプレート8内部に形成された流路26の吐出口を前記膨張マット16の内空部に臨ませ、液体または気体等の作動流体を供給または引き抜きすることによってトンネル中心側に向かって膨張可能となっている。
【0039】
また、油圧ジャッキ17は、図5に示されるように、スキンプレート8の内面側に凹部8bを設け、スキンプレート8内部に形成された流路26より供給される作動油によってピストンがトンネル中心側に伸長しセグメント11を押圧保持するようになっている。
【0040】
前記前列のセグメント保持体群14と、次列のセグメント保持体群15とは、前列のセグメント保持体群14が前列セグメント11を保持し得る位置にあるとき、次列のセグメント保持体群15が次列のセグメント11を保持し得る位置関係にある。図示の例では、前列のセグメント11の前端部を前列のセグメント保持体群14が保持するとき、次列のセグメント保持体群15が次列セグメント11の略中央を保持する位置関係となっている。すなわち、前列セグメント保持体群14と次列セグメント保持体群15との間隔Lは、セグメント幅+αとなっている。
【0041】
以下、具体的にシールド掘進手順に従って、本発明に係るセグメント形状保持装置によるセグメントの保持手順について、図6及び図7に基づいて詳述する。
【0042】
先ず、図6(A)に示されるように、シールドジャッキ9を引き込み、セグメント112との間に空間を空けた状態としたならば、既設セグメント112に連続してセグメント111を組み立てる。この際、前列セグメント保持体群14の膨張マット12は収縮させた状態とする。また、次列セグメント保持体群15の膨張マット16はセグメント112を保持した状態にある。セグメント111の組立が完了したならば、図6(B)に示されるように、シールドジャッキ9のスプレッダ(ピストンヘッド)25を、組立が完了したセグメント111の端面に押し当て、図6(C)に示されるように、作動流体を供給し膨張マット12を膨張させ、セグメント111の外面に押圧状態で押し当てることによりセグメント111を支持する。
【0043】
次いで、図7(D)に示されるように、シールドジャッキ9を伸長させることによりシールド機1を掘進させ、1セグメント幅分の掘削を行う。この際、スライド台20はスキンプレート8に対して摺動可能な構造となっているため、膨張マット12の位置は変わらず、スキンプレート8が前進する。なお、次列のセグメント保持体群15は、セグメント11を保持した状態のまま、スキンプレート8と共に、セグメント111の略中央まで移動する。
【0044】
掘進が完了したならば、図7(E)に示されるように、作動流体を引抜き膨張マット12を収縮させ、セグメント111の保持を解除したならば、図7(F)に示されるように、シールドジャッキ9のピストンを収縮させると、スプレッダ25の当接面25aの上部背面側が当り材24と当接し、膨張マット12をスライド台20と共に掘進方向に移動させる。
【0045】
上記図6(A)〜図7(F)の工程を繰り返すことにより、順次、構築された最前列のセグメント111を支持しながら、掘進作業を行うようにする。
【0046】
前記スライド台20は、シールド機1の掘進時にスキンプレート8の内面との摺接によって摩擦が発生するため、前記スライド台20のスキンプレート側摺動面及び/又はスキンプレート8のスライド台20側摺動面に、摺動を円滑にするための摩擦低減処理を施すか、または摩耗低減部材を設けるようにするのが望ましい。前者の摩擦低減処理としては、例えば摺動面にデンプル状の突起を設け接触面積の低減を図ったり、4フッ化エチレン樹脂などの摩擦低減材をコーティングするなどの方法を挙げることができ、後者の摩擦低減部材として、例えば前記摺動面側に、4フッ化エチレン樹脂塗工板を設けたり、図8に示されるように、前記スライド台20のスキンプレート側の面に多数のベアリング27、27…を設けるなどの方法を挙げることができる。
【0047】
ところで、シールド機1の掘進中に、例えば方向修正などのために一部のシールドジャッキ9、9…を意図的に途中で停止させた場合は、停止したシールドジャッキ9は掘進に伴ってスプレッダ25が当り材24と当接し、当り材24を破損させる事態が発生することになる。このような当り材24の破損を防止するため、所定値以上の当接力が当り材24に加わった場合に、スプレッダ25が当り材24を乗り越える機構とするのが望ましい。その第1態様は、図9に示されるように、前記当り材24としてゴムなどの可撓性部材を用いることにより、セグメント保持体群14をスライド台20と共に掘進方向に移動させる際、所定値以上の当接力が加わった場合に、前記当り材24の変形により前記スプレッダ25が当り材24を乗り越えるようにする。また、その第2態様は、図10に示されるように、前記当り材24をシールド機1の内方側に向けて弾発的に支持することにより、セグメント保持体群14をスライド台20と共に掘進方向に移動させる際、所定値以上の当接力が加わった場合に、前記当り材24の没入により前記スプレッダ25が当り材24を乗り越えるようにする。
【0048】
一方、前記次列のセグメント保持体群15の内、膨張マット16には、図11に示されるように、摩耗防止のため凹部8bの開口面を塞ぐように、弾性伸縮性シート28を設けるようにしてもよい。膨張マット16の作動時には、同図に示されるように、膨張マット16の膨張に伴って前記弾性伸縮性シート28が共に膨らんでセグメント11を押圧保持する。
【0049】
〔他の形態例〕
(1)上記形態例では、周方向に適宜の間隔をおいて、トンネル中心側に向かって進退自在または膨縮自在のセグメント保持体12,13、16,17を複数配設するようにしたが、前記膨張マット12、16の場合には、周方向に連続するように設けてもよい。また、上記例では円形断面トンネルを対象として説明を行ったが、対象となるトンネル断面形状は楕円、馬蹄形等、円形以外の形状であってもよい。
【0050】
(2)上記形態例では、スキンプレート8の内面側に凹部8aを設け、この凹部8a内にセグメント保持体12,13、16,17を設けるようにしたが、スキンプレート8とセグメント11とのクリアランスが許せば、前記凹部8aを設けることなく、スキンプレート8の内面側にセグメント保持体12、13、16,17を設けることもできる。
【0051】
(3)上記形態例では、セグメント保持体群が2列配置の例を採り上げたが、セグメント保持体群は3列以上であってもよい。この場合は、最前列のセグメント保持体群14のみがスキンプレート8に対して相対的に摺動可能とされる。
【0052】
(4)上記形態例では、前列のセグメント保持体群14の移動装置として、前記スライド台20にシールド機の前部側方向に延びる延在部分23を一体的に備えるとともに、この延在部分23にシールド機の内方側に突出する当り材24を備えた構造としたが、他の例としては、例えば図12(A)に示されるように、巻取りリール29と、この巻取りリール29に巻回されるとともに、先端が前記スライド台20に連結された索材(ワイヤ)30とからなる装置としてもよい。この場合、前記巻取りリール29は、索材30の繰出しはラチェット機構によりフリーとし、巻取りのみを動力で行うようにする。また、図12(B)に示されるように、ピストン先端が前記スライド台20に連結された伸縮ジャッキ31としてもよい。この場合は、伸縮ジャッキ31の伸長はフリーとし、収縮のみを制御するようにすればよい。更には、図12(C)に示されるように、離間をおいて配置されたスプロケット又はプーリー32,32間にエンドレスループ状に索材33を架け渡し、前記索材33をスライド台20に連結するとともに、前記スプロケット又はプーリー32,32を駆動させる駆動源34を備えた装置とすることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】シールド機1の縦断面図である。
【図2】図1のII−II線矢視図である。
【図3】セグメント形状保持装置の上部側を示す、(A)は要部縦断面、(B)は(A)のB-B線矢視図である。
【図4】セグメント保持体を成す膨張マット12の移動状態図である。
【図5】セグメント保持体を成す油圧ジャッキ13を示す、(A)はセグメント支持状態図、(B)は移動状態図である。
【図6】本発明に係るセグメント形状保持装置14によるセグメントの保持手順図(その1)である。
【図7】本発明に係るセグメント形状保持装置14によるセグメントの保持手順図(その2)である。
【図8】ベアリング21よりなる摩擦低減部材の配設要領図である。
【図9】スプレッダ25の当り材乗り越え要領図(その1)である。
【図10】スプレッダ25の当り材乗り越え要領図(その2)である。
【図11】膨張マット12、16の変形例を示す要部縦断面図である。
【図12】セグメント保持体群14の移動装置の他例を示す図である。
【符号の説明】
【0054】
1…シールド機、2…シールド本体、3…隔壁、4…カッタヘッド、5…カッタチャンバ、8…スキンプレート、10…エレクター装置、11…セグメント、111…前列セグメント、112…次列セグメント、12・16…膨張マット、13・17…油圧ジャッキ、14・15…セグメント保持体群、20…スライド台、21…固定用金具、22…供給ホース、23…延在部分、24…当り材、25…スプレッダ、27…ベアリング
【技術分野】
【0001】
本発明は、シールド工法において、掘進に伴って組み立てられるセグメントの形状保持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シールド機を用いて地盤中にトンネルを構築するシールド工法では、掘進に伴ってシールド機のスキンプレート内面に周方向に複数のピースからなるセグメントをリング状に組み立て覆工を行うようにしているが、このセグメントの組み立て時に、外部からの土圧や自重によりセグメントに変形が起こり、次のセグメントの組み立て(連結)に支障を来すことが多く、このため前記セグメントの形状を保持するために形状保持装置が使用されている。
【0003】
前記形状保持装置の基本的構造は、シールド機本体から後方に突設された支持フレームに、上下方向に伸縮可能な左右一対の支柱をトンネル方向に移動可能に配設し、かつ前記左右の支柱の上端部に断面形状に沿った上部保持ビームを設けるとともに、下端部に下部保持ビームを設けた構造を成しており(以下、上下拡張型形状保持装置という。)、前記支柱を伸長して上部保持ビームおよび下部保持ビームをセグメント内面に当接させることにより、鉛直土圧や自重によりセグメントに掛かる垂直方向の力を支持してセグメントを適正に組み立てられた状態に保持し変形を防止するものである。
【0004】
しかし、従来の形状保持装置にあっては下記のような問題点があった。
(1)セグメント内に設置される従来のセグメント形状保持装置は、トンネル内空部の多くを占有し、セグメントの搬送、作業員の移動等の障害となり支障を来す場合が多かった。
(2)形状保持装置は、セグメントを組み立てるためのエレクター装置および組立用足場に対する干渉を避けるため、通常は最前列のセグメントよりも1リング後方に位置する前回時に組み立てられたセグメントに設置せざるを得ず、新たにセグメントを組み立てるセグメントに隣接するセグメントは形状保持装置によって保持されていない。その結果、新たに組み立てられるセグメントの組立作業に支障を来すことがある。この傾向は特に自重が嵩む大口径セグメントや土圧の影響が大きい場合に顕著となる。
(3)シールド機のスキンプレートとセグメントとの間には、摩擦低減のため所定の間隙が形成されている。そのため、セグメントが自重によってスキンプレートの内部でずり落ちが生じてしまうことがある。
【0005】
そのため、近年では、上記リング状に組み立てられたセグメントを内側から保持する形状保持装置に代えて、下記特許文献1に記載されるように、リング状に組み立てられたセグメントの外側からセグメントの形状を保持させるようにした形状保持装置が提案されている。該形状保持装置の構造は、シールド機の外殻となるスキンプレートの内面側であってかつ後方側位置に、周方向に適宜の間隔をおいて、トンネル中心側に向かって進退自在または膨縮自在のセグメント保持体、具体的に膨張マットまたはジャッキを複数配設するものである。
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載されるセグメント保持装置の場合は、進退自在または膨縮自在のセグメント保持体をスキンプレートに固定的に取り付けているため、シールド機の掘進に伴ってセグメントの保持位置が移動することになり、保持位置を常時最適位置とすることができないなどの問題があった。
【0007】
このような問題点に鑑み、下記特許文献2では、シールド掘進機の円筒状スキンプレートのテール部内周面に、所要の幅寸法としてある弾性素材製のシート状外側カバーを上記スキンプレートの軸心方向へ相対的に滑動可能に配置し、該外側カバーの内側面に、抜気時に扁平状態になるようにしてある外側チューブを着脱可能に取り付け、且つ該外側チューブの内側面に、抜気時に扁平状態となるようにしてある複数個の内側チューブを着脱可能に取り付けるとともに、外側チューブの長手方向に沿う側端縁部に、長手方向に所要間隔で側方へ突出させた結合部材を設け、該各結合部材に結着したロープを介して外側チューブとともに外側カバー、内側チューブをスキンプレートの軸方向へ移動させるようにしたセグメントの形状保持装置が提案されている。このセグメント形状保持装置によれば、外側カバーがスキンプレートに対して相対的に滑動可能な構造となっているため、セグメントの保持位置を常時最適位置とすることができるようになる。
【特許文献1】特開2003−83000号公報
【特許文献2】特開2005−299270号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献2記載のセグメント形状保持装置は、周方向に一列配置のものであるため、最前列のセグメントを保持すると、次列のセグメントは保持することができない。また、シールド機によっては、推進ジャッキを押し切った状態で最前列のセグメントの約1/2がシールド機外に出ることがあり、浮力を受けることになる。この際、スキンプレートの外部ではセグメントの裏側に裏込材が充填されるため、ある程度全周が拘束された状態にはなるけれども、裏込注入材の初期強度は小さいため、形状保持装置で支持されていない次列のセグメントの浮き上がり(変位)が懸念される。また、大口径セグメントの場合、上下間の水圧差によりセグメントがいびつに変形し、次のセグメントのボルト連結に支障を来す虞がある。更に、セグメント保持体を前側に移動させると、一時的ではあるがセグメントが形状保持装置によって全く保持されていない状態となってしまうなどの問題があった。
【0009】
そこで本発明の主たる課題は、セグメントを外側から保持するセグメントの形状保持装置において、最前列のみならず次列以降のセグメントも保持できるようにするとともに、最前列のセグメント保持体は常時、最適位置でセグメントを保持することができ、更に最前列のセグメント保持体を前側に移動させる際においてもセグメントの保持が行えるようにしたセグメントの形状保持装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するために請求項1に係る本発明として、シールド機の外殻となるスキンプレートの内面側であってかつ後方側位置に、周方向に適宜の間隔をおいて、トンネル中心側に向かって進退自在のセグメント保持体及び/又は膨縮自在のセグメント保持体を複数配設したセグメントの形状保持装置において、
前記セグメント保持体は、周方向に配置されたセグメント保持体群を一列としてトンネル方向に縦列的に複数配列とし、これら複数配列のセグメント保持体群の内、最前列のセグメント保持体群は、前記スキンプレートの内面側に周方向に適宜の間隔をおいてシールド機の軸芯方向に摺動可能にスライド台を配置するとともに、このスライド台のシールド機内側の面に前記セグメント保持体を設け、シールド機を掘進させた後、前記セグメント保持体をスライド台と共に掘進方向に移動させる移動装置を備え、
次列以降のセグメント保持体群は、前記スキンプレートに対して固定的に配置されたことを特徴とするセグメントの形状保持装置が提供される。
【0011】
上記請求項1の本発明は、スキンプレートの周方向に沿って前記セグメント保持体を複数配設し、セグメントの外周側から多点的に支持するようにするものであり、セグメント内部には形状保持装置が存在しないため、トンネル内に十分な空間が確保されるようになる。また、エレクター装置や組立用足場との干渉も一切問題とならないため、組立直後のセグメントを直ぐに支持できるようになる。また、組立直後のセグメントを直ぐに支持できるようになる結果、浮き上がり、水圧差による変形、スキンプレート内における自重によるずり落ち等の問題をすべて解消できるようになる。
【0012】
また、複数配列で設置されたセグメント保持体群の内、最前列のセグメント保持体群は、前記スキンプレートの内面側に周方向に適宜の間隔をおいてシールド機の軸芯方向に摺動可能にスライド台を配置するとともに、このスライド台のシールド機内側の面に前記セグメント保持体を設け、シールド機を掘進させた後、前記セグメント保持体群をスライド台と共に掘進方向に移動させる移動装置を備え、次列以降のセグメント保持体群は、前記スキンプレートに対して固定的に配置された構造とする。従って、最前列のセグメント保持体群は常時、最適位置でセグメントを保持することができ、次列以降のセグメント保持体群は次列以降のセグメントを順に保持し、かつ最前列のセグメント保持体群を移動のために解除し移動させる際にも、前記次列以降のセグメント保持体群がセグメントを保持し続けることが可能となる。
【0013】
請求項2に係る本発明として、前記最前列のセグメント保持体群と、次列以降のセグメント保持体群とは、前記最前列のセグメント保持体群が前列セグメントを保持し得る位置にあるとき、次列以降のセグメント保持体群が順に次列以降のセグメントを保持し得る位置関係にある請求項1記載のセグメントの形状保持装置が提供される。
【0014】
上記請求項2記載の本発明は、最前列のセグメント保持体群と、次列以降のセグメント保持体群との間隔関係を規定したものであって、最前列のセグメント保持体群が前列セグメントを保持し得る位置にあるとき、次列以降のセグメント保持体群が順に次列以降のセグメントを保持し得る位置関係とするのが望ましい。
【0015】
請求項3に係る本発明として、前記移動装置は、前記スライド台にシールド機の前部側方向に延びる延在部分を一体的に備えるとともに、この延在部分にシールド機の内方側に突出する当り材を備えた構造とし、シールド機を掘進させた後、シールドジャッキの収縮時にピストンヘッドの背面側が前記当り材と当接し、前記セグメント保持体をスライド台と共に掘進方向に移動させるようにした装置である請求項1,2いずれかに記載のセグメントの形状保持装置が提供される。
【0016】
上記請求項3記載の本発明は、セグメント保持体の移動装置として、スライド台にシールド機の前部側方向に延びる延在部分を一体的に備えるとともに、この延在部分にシールド機の内方側に突出する当り材を備えた構造とし、シールド機を掘進させた後、シールドジャッキの収縮時にピストンヘッドの背面側が前記当り材と当接し、前記セグメント保持体をスライド台と共に掘進方向に移動させるようにしたものである。この移動装置の場合は、機械的かつ自動的に、かつ全周に亘って配設された各セグメント保持体に夫々、均等な引込み力を与えながら前側に移動させることができ、その移動距離も常に一定となる。
【0017】
請求項4に係る本発明として、前記移動装置は、巻取りリールと、この巻取りリールに巻回されるとともに、先端が前記スライド台に連結された索材とからなる請求項1,2いずれかに記載のセグメントの形状保持装置が提供される。
【0018】
請求項5に係る本発明として、前記移動装置は、離間をおいて配置されたスプロケット又はプーリー間にエンドレスループ状に索材を架け渡し、前記索材をスライド台に連結するとともに、前記スプロケット又はプーリーを駆動させる駆動源を備えた装置である請求項1、2いずれかに記載のセグメントの形状保持装置が提供される。
【0019】
請求項6に係る本発明として、前記移動装置はピストン先端が前記スライド台に連結された伸縮ジャッキである請求項1,2いずれかに記載のセグメントの形状保持装置が提供される。
【0020】
上記請求項4〜6記載の発明は、移動装置例を示したものである。これらの装置の場合、セグメント保持体は、機械的にかつ全周に亘って配設された各セグメント保持体に夫々、均等な引込み力を与えながら前側に移動されるとともに、その移動距離も常に一定とできる。
【0021】
請求項7に係る本発明として、前記セグメント保持体は、液体、気体、油等の流体によってトンネル中心側に向かって進退自在または膨縮自在とされる膨張マットまたはジャッキである請求項1〜6いずれかに記載のセグメントの形状保持装置が提供される。
【0022】
請求項8に係る本発明として、相対的にスキンプレートの周方向上部領域側に前記膨張マットを配置し、相対的に周方向下部領域側にジャッキを配置してある請求項7記載のセグメントの形状保持装置が提供される。
【0023】
請求項9に係る本発明として、前記当り材として可撓性部材を用いることにより、セグメント保持体をスライド台と共に掘進方向に移動させる際、所定値以上の当接力が加わった場合に、前記当り材の変形により前記ピストンヘッドが当り材を乗り越えるようにしてある請求項3記載のセグメントの形状保持装置が提供される。
【0024】
請求項10に係る本発明として、前記当り材はシールド機の内方側に向けて弾発的に支持されることにより、セグメント保持体をスライド台と共に掘進方向に移動させる際、所定値以上の当接力が加わった場合に、前記当り材の没入により前記ピストンヘッドが当り材を乗り越えるようにしてある請求項3記載のセグメントの形状保持装置が提供される。
【0025】
請求項11に係る本発明として、前記スライド台の摺動面及び/又はスキンプレートの摺動面に、摩擦低減処理を施すか、または摩耗低減部材を設けてある請求項1〜10いずれかに記載のセグメントの形状保持装置が提供される。
【発明の効果】
【0026】
以上詳説のとおり本発明によれば、セグメントを外側から保持するセグメントの形状保持装置において、最前列のみならず次列以降のセグメントも保持できるようになるとともに、最前列のセグメント保持体は常時、最適位置でセグメントを保持することができ、更に最前列のセグメント保持体を前側に移動させる際においてもセグメントの保持が行えるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳述する。
図1はシールド機1の縦断面図、図2は図1のII−II線矢視図である。
【0028】
同図に示されるシールド機1は泥水加圧式のものであり、シールド本体2の前端部に設けられた隔壁3とカッタヘッド4との間にはカッタチャンバ5が区画され、このカッタチャンバ5に臨ませて送泥管6と排泥管7とが夫々開口して設けられている。一方、シールド機1の外殻となるスキンプレート8内の後方側には、セグメント組立装置10(エレクター装置)が配設され、掘進に伴ってスキンプレート8内面に周方向に複数のピースからなるセグメント11をリング状に組み立て覆工を行うようになっている。なお、符号9はシールド本体2を推進させるためのシールドジャッキである。
【0029】
前記シールド機1においては、スキンプレート8の内面側であってかつ後方側位置に、周方向に適宜の間隔をおいて、トンネル中心側に向かって進退自在または膨縮自在のセグメント保持体を複数配設するとともに、周方向に配置されたセグメント保持体群を一列としてトンネル方向に縦列的に複数配列、図示例では2列配置(14,15)とし、セグメントを外周から多点支持する形状保持装置が設けられている。なお、本発明に係るセグメント形状保持装置は、前記泥水加圧式に限らず、泥水式、土圧式、泥土圧式等、種々のシールド機に対して適用されるものである。
【0030】
以下、具体的に前記セグメント形状保持装置について詳述すると、
前記セグメント保持体としては、例えば液体、気体、油等の流体によって膨縮自在とされる膨張マット12、16または油圧(または空圧)ジャッキ13、17が使用され、図2に示されるように、リング状に組み立てられたセグメント11を外面側から多点支持し、土圧、自重および水圧による外力によってセグメント11が変形するのを防止するとともに、浮き上がりや自重によるずり落ちを防止するようになっている。
【0031】
この場合、前記セグメント保持体は、同図に示されるように、好ましくは相対的にスキンプレート8の周方向上部領域側に前記膨張マット12,12…を配置し、相対的に周方向下部領域側に油圧ジャッキ13,13…を配置するようにするのが望ましい。ストローク調整によって被支持体の移動が容易に行える油圧ジャッキ13,13…を相対的に下部領域側に配設することにより、前記セグメント11の位置調整が容易に行えるようになる。もちろん、全周方向に前記膨張マット12,12…または油圧ジャッキ13,13…を配設するようにしてもよい。
【0032】
前記セグメント形状保持装置は、図1に示されるように、周方向に配置されたセグメント保持体群を一列としてトンネル方向に縦列的に複数配列とし、これら複数配列のセグメント保持体群14,15の内、前列のセグメント保持体群14は、前記スキンプレート8の内面側に周方向に適宜の間隔をおいてシールド機1の軸芯方向に摺動可能にスライド台20を配置するとともに、このスライド台20のシールド機内側の面に前記セグメント保持体12…、13…を設け、シールド機を掘進させた後、前記セグメント保持体群14をスライド台20と共に掘進方向に移動させる移動装置を備え、次列以降のセグメント保持体群15は、前記スキンプレート8に対して固定的に配置されている。
【0033】
以下、更に具体的に詳述すると、
前記前列のセグメント保持体群14の内、前記膨張マット12、12…は、詳細には図3に示されるように、スキンプレート8の内面側に凹部8aを設け、この凹部8a内にシールド機1の軸芯方向に摺動可能かつ所定の角度範囲で旋回可能とするため両側に遊間8b、8bを有する状態でにスライド台20を配置し、このスライド台20のシールド機内側の面に設けられている。前記遊間8b、8bを持つことにより、シールド機1が曲線掘進中において、スライド台20が旋回することにより膨張マット12に無理な力(捻れ)が掛からず破損を防止できるようになる。
【0034】
前記膨張マット12は、ゴム等からなる風船状に膨張可能な袋体の周縁が固定用金具21によって固定され、液体または気体等の作動流体を供給ホース22を通じて供給または引抜き制御することによってトンネル中心側に向かって膨縮自在となっている。すなわち、作動流体の供給により膨張マット12が膨張しセグメント11の外面に押圧状態で接触することによりセグメント11を保持し、作動流体の引抜きにより膨張マット12が収縮しセグメント11の外面から離間することによりセグメント11の保持が解除される。
【0035】
前記供給ホース22は、膨張マット12の移動に追従可能なように所定長さのものを図示したが、弛みを抑えるためにコイル巻きとし伸縮可能とした供給ホース、或いは2重、3重管等の多重管からなる伸縮自在管を作動油供給管として使用してもよい。
【0036】
前記スライド台20は、シールド機1の前側方向に延びる延在部分23を一体的に備えるとともに、この延在部分23にシールド機の内方側に突出する当り材24を設け、図4に示されるように、シールド機1を掘進させた後、シールドジャッキ9の収縮時にピストンヘッド25の背面側、図示例では当接板25aの上部背面側が前記当り材24と当接し、膨張マット12をスライド台20と共に掘進方向に移動させるようになっている。
【0037】
一方、下側に配置された油圧ジャッキ13も、上記膨張マット12と同様に、図5(A)に示されるように、スキンプレート8の内面側に凹部8aを設け、この凹部8a内にシールド機1の軸芯方向に摺動可能かつ所定の角度範囲で旋回可能とするため両側に遊間8b、8bを有する状態でスライド台20を配置し、このスライド台20のシールド機内側の面に設けられている。前記遊間8b、8bを持つことにより、シールド機が曲線部掘進中において、スライド台20が旋回することにより油圧ジャッキ13に無理な力(捻れ)が掛からず、破損を防止できるようになる。
そして、作動流体の供給または引抜き制御により、ピストンがトンネル中心側に伸長しセグメント11を押圧保持するようになっている。また、前記スライド台20は、シールド機1の前側方向に延びる延在部分23を一体的に備えるとともに、この延在部分23にシールド機の内方側に突出する当り材24を備えており、図5(B)に示されるように、シールド機1を掘進させた後、シールドジャッキ9の収縮時にピストンヘッド25の背面側が前記当り材24と当接し、油圧ジャッキ13をスライド台20と共に掘進方向に移動させるようになっている。
【0038】
次いで、次列のセグメント保持体群15の内、膨張マット16は、図3に示されるように、スキンプレート8の内面側に凹部8bを設け、ゴム等からなる風船状に膨張可能な袋体の周縁部分を固定用金具21によって固定し、スキンプレート8内部に形成された流路26の吐出口を前記膨張マット16の内空部に臨ませ、液体または気体等の作動流体を供給または引き抜きすることによってトンネル中心側に向かって膨張可能となっている。
【0039】
また、油圧ジャッキ17は、図5に示されるように、スキンプレート8の内面側に凹部8bを設け、スキンプレート8内部に形成された流路26より供給される作動油によってピストンがトンネル中心側に伸長しセグメント11を押圧保持するようになっている。
【0040】
前記前列のセグメント保持体群14と、次列のセグメント保持体群15とは、前列のセグメント保持体群14が前列セグメント11を保持し得る位置にあるとき、次列のセグメント保持体群15が次列のセグメント11を保持し得る位置関係にある。図示の例では、前列のセグメント11の前端部を前列のセグメント保持体群14が保持するとき、次列のセグメント保持体群15が次列セグメント11の略中央を保持する位置関係となっている。すなわち、前列セグメント保持体群14と次列セグメント保持体群15との間隔Lは、セグメント幅+αとなっている。
【0041】
以下、具体的にシールド掘進手順に従って、本発明に係るセグメント形状保持装置によるセグメントの保持手順について、図6及び図7に基づいて詳述する。
【0042】
先ず、図6(A)に示されるように、シールドジャッキ9を引き込み、セグメント112との間に空間を空けた状態としたならば、既設セグメント112に連続してセグメント111を組み立てる。この際、前列セグメント保持体群14の膨張マット12は収縮させた状態とする。また、次列セグメント保持体群15の膨張マット16はセグメント112を保持した状態にある。セグメント111の組立が完了したならば、図6(B)に示されるように、シールドジャッキ9のスプレッダ(ピストンヘッド)25を、組立が完了したセグメント111の端面に押し当て、図6(C)に示されるように、作動流体を供給し膨張マット12を膨張させ、セグメント111の外面に押圧状態で押し当てることによりセグメント111を支持する。
【0043】
次いで、図7(D)に示されるように、シールドジャッキ9を伸長させることによりシールド機1を掘進させ、1セグメント幅分の掘削を行う。この際、スライド台20はスキンプレート8に対して摺動可能な構造となっているため、膨張マット12の位置は変わらず、スキンプレート8が前進する。なお、次列のセグメント保持体群15は、セグメント11を保持した状態のまま、スキンプレート8と共に、セグメント111の略中央まで移動する。
【0044】
掘進が完了したならば、図7(E)に示されるように、作動流体を引抜き膨張マット12を収縮させ、セグメント111の保持を解除したならば、図7(F)に示されるように、シールドジャッキ9のピストンを収縮させると、スプレッダ25の当接面25aの上部背面側が当り材24と当接し、膨張マット12をスライド台20と共に掘進方向に移動させる。
【0045】
上記図6(A)〜図7(F)の工程を繰り返すことにより、順次、構築された最前列のセグメント111を支持しながら、掘進作業を行うようにする。
【0046】
前記スライド台20は、シールド機1の掘進時にスキンプレート8の内面との摺接によって摩擦が発生するため、前記スライド台20のスキンプレート側摺動面及び/又はスキンプレート8のスライド台20側摺動面に、摺動を円滑にするための摩擦低減処理を施すか、または摩耗低減部材を設けるようにするのが望ましい。前者の摩擦低減処理としては、例えば摺動面にデンプル状の突起を設け接触面積の低減を図ったり、4フッ化エチレン樹脂などの摩擦低減材をコーティングするなどの方法を挙げることができ、後者の摩擦低減部材として、例えば前記摺動面側に、4フッ化エチレン樹脂塗工板を設けたり、図8に示されるように、前記スライド台20のスキンプレート側の面に多数のベアリング27、27…を設けるなどの方法を挙げることができる。
【0047】
ところで、シールド機1の掘進中に、例えば方向修正などのために一部のシールドジャッキ9、9…を意図的に途中で停止させた場合は、停止したシールドジャッキ9は掘進に伴ってスプレッダ25が当り材24と当接し、当り材24を破損させる事態が発生することになる。このような当り材24の破損を防止するため、所定値以上の当接力が当り材24に加わった場合に、スプレッダ25が当り材24を乗り越える機構とするのが望ましい。その第1態様は、図9に示されるように、前記当り材24としてゴムなどの可撓性部材を用いることにより、セグメント保持体群14をスライド台20と共に掘進方向に移動させる際、所定値以上の当接力が加わった場合に、前記当り材24の変形により前記スプレッダ25が当り材24を乗り越えるようにする。また、その第2態様は、図10に示されるように、前記当り材24をシールド機1の内方側に向けて弾発的に支持することにより、セグメント保持体群14をスライド台20と共に掘進方向に移動させる際、所定値以上の当接力が加わった場合に、前記当り材24の没入により前記スプレッダ25が当り材24を乗り越えるようにする。
【0048】
一方、前記次列のセグメント保持体群15の内、膨張マット16には、図11に示されるように、摩耗防止のため凹部8bの開口面を塞ぐように、弾性伸縮性シート28を設けるようにしてもよい。膨張マット16の作動時には、同図に示されるように、膨張マット16の膨張に伴って前記弾性伸縮性シート28が共に膨らんでセグメント11を押圧保持する。
【0049】
〔他の形態例〕
(1)上記形態例では、周方向に適宜の間隔をおいて、トンネル中心側に向かって進退自在または膨縮自在のセグメント保持体12,13、16,17を複数配設するようにしたが、前記膨張マット12、16の場合には、周方向に連続するように設けてもよい。また、上記例では円形断面トンネルを対象として説明を行ったが、対象となるトンネル断面形状は楕円、馬蹄形等、円形以外の形状であってもよい。
【0050】
(2)上記形態例では、スキンプレート8の内面側に凹部8aを設け、この凹部8a内にセグメント保持体12,13、16,17を設けるようにしたが、スキンプレート8とセグメント11とのクリアランスが許せば、前記凹部8aを設けることなく、スキンプレート8の内面側にセグメント保持体12、13、16,17を設けることもできる。
【0051】
(3)上記形態例では、セグメント保持体群が2列配置の例を採り上げたが、セグメント保持体群は3列以上であってもよい。この場合は、最前列のセグメント保持体群14のみがスキンプレート8に対して相対的に摺動可能とされる。
【0052】
(4)上記形態例では、前列のセグメント保持体群14の移動装置として、前記スライド台20にシールド機の前部側方向に延びる延在部分23を一体的に備えるとともに、この延在部分23にシールド機の内方側に突出する当り材24を備えた構造としたが、他の例としては、例えば図12(A)に示されるように、巻取りリール29と、この巻取りリール29に巻回されるとともに、先端が前記スライド台20に連結された索材(ワイヤ)30とからなる装置としてもよい。この場合、前記巻取りリール29は、索材30の繰出しはラチェット機構によりフリーとし、巻取りのみを動力で行うようにする。また、図12(B)に示されるように、ピストン先端が前記スライド台20に連結された伸縮ジャッキ31としてもよい。この場合は、伸縮ジャッキ31の伸長はフリーとし、収縮のみを制御するようにすればよい。更には、図12(C)に示されるように、離間をおいて配置されたスプロケット又はプーリー32,32間にエンドレスループ状に索材33を架け渡し、前記索材33をスライド台20に連結するとともに、前記スプロケット又はプーリー32,32を駆動させる駆動源34を備えた装置とすることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】シールド機1の縦断面図である。
【図2】図1のII−II線矢視図である。
【図3】セグメント形状保持装置の上部側を示す、(A)は要部縦断面、(B)は(A)のB-B線矢視図である。
【図4】セグメント保持体を成す膨張マット12の移動状態図である。
【図5】セグメント保持体を成す油圧ジャッキ13を示す、(A)はセグメント支持状態図、(B)は移動状態図である。
【図6】本発明に係るセグメント形状保持装置14によるセグメントの保持手順図(その1)である。
【図7】本発明に係るセグメント形状保持装置14によるセグメントの保持手順図(その2)である。
【図8】ベアリング21よりなる摩擦低減部材の配設要領図である。
【図9】スプレッダ25の当り材乗り越え要領図(その1)である。
【図10】スプレッダ25の当り材乗り越え要領図(その2)である。
【図11】膨張マット12、16の変形例を示す要部縦断面図である。
【図12】セグメント保持体群14の移動装置の他例を示す図である。
【符号の説明】
【0054】
1…シールド機、2…シールド本体、3…隔壁、4…カッタヘッド、5…カッタチャンバ、8…スキンプレート、10…エレクター装置、11…セグメント、111…前列セグメント、112…次列セグメント、12・16…膨張マット、13・17…油圧ジャッキ、14・15…セグメント保持体群、20…スライド台、21…固定用金具、22…供給ホース、23…延在部分、24…当り材、25…スプレッダ、27…ベアリング
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シールド機の外殻となるスキンプレートの内面側であってかつ後方側位置に、周方向に適宜の間隔をおいて、トンネル中心側に向かって進退自在のセグメント保持体及び/又は膨縮自在のセグメント保持体を複数配設したセグメントの形状保持装置において、
前記セグメント保持体は、周方向に配置されたセグメント保持体群を一列としてトンネル方向に縦列的に複数配列とし、これら複数配列のセグメント保持体群の内、最前列のセグメント保持体群は、前記スキンプレートの内面側に周方向に適宜の間隔をおいてシールド機の軸芯方向に摺動可能にスライド台を配置するとともに、このスライド台のシールド機内側の面に前記セグメント保持体を設け、シールド機を掘進させた後、前記セグメント保持体群をスライド台と共に掘進方向に移動させる移動装置を備え、
次列以降のセグメント保持体群は、前記スキンプレートに対して固定的に配置されたことを特徴とするセグメントの形状保持装置。
【請求項2】
前記最前列のセグメント保持体群と、次列以降のセグメント保持体群とは、前記最前列のセグメント保持体群が前列セグメントを保持し得る位置にあるとき、次列以降のセグメント保持体群が順に次列以降のセグメントを保持し得る位置関係にある請求項1記載のセグメントの形状保持装置。
【請求項3】
前記移動装置は、前記スライド台にシールド機の前部側方向に延びる延在部分を一体的に備えるとともに、この延在部分にシールド機の内方側に突出する当り材を備えた構造とし、シールド機を掘進させた後、シールドジャッキの収縮時にピストンヘッドの背面側が前記当り材と当接し、前記セグメント保持体をスライド台と共に掘進方向に移動させるようにした装置である請求項1,2いずれかに記載のセグメントの形状保持装置。
【請求項4】
前記移動装置は、巻取りリールと、この巻取りリールに巻回されるとともに、先端が前記スライド台に連結された索材とからなる請求項1,2いずれかに記載のセグメントの形状保持装置。
【請求項5】
前記移動装置は、離間をおいて配置されたスプロケット又はプーリー間にエンドレスループ状に索材を架け渡し、前記索材をスライド台に連結するとともに、前記スプロケット又はプーリーを駆動させる駆動源を備えた装置である請求項1、2いずれかに記載のセグメントの形状保持装置。
【請求項6】
前記移動装置はピストン先端が前記スライド台に連結された伸縮ジャッキである請求項1,2いずれかに記載のセグメントの形状保持装置。
【請求項7】
前記セグメント保持体は、液体、気体、油等の流体によってトンネル中心側に向かって進退自在または膨縮自在とされる膨張マットまたはジャッキである請求項1〜6いずれかに記載のセグメントの形状保持装置。
【請求項8】
相対的にスキンプレートの周方向上部領域側に前記膨張マットを配置し、相対的に周方向下部領域側にジャッキを配置してある請求項7記載のセグメントの形状保持装置。
【請求項9】
前記当り材として可撓性部材を用いることにより、セグメント保持体をスライド台と共に掘進方向に移動させる際、所定値以上の当接力が加わった場合に、前記当り材の変形により前記ピストンヘッドが当り材を乗り越えるようにしてある請求項3記載のセグメントの形状保持装置。
【請求項10】
前記当り材はシールド機の内方側に向けて弾発的に支持されることにより、セグメント保持体をスライド台と共に掘進方向に移動させる際、所定値以上の当接力が加わった場合に、前記当り材の没入により前記ピストンヘッドが当り材を乗り越えるようにしてある請求項3記載のセグメントの形状保持装置。
【請求項11】
前記スライド台の摺動面及び/又はスキンプレートの摺動面に、摩擦低減処理を施すか、または摩耗低減部材を設けてある請求項1〜10いずれかに記載のセグメントの形状保持装置。
【請求項1】
シールド機の外殻となるスキンプレートの内面側であってかつ後方側位置に、周方向に適宜の間隔をおいて、トンネル中心側に向かって進退自在のセグメント保持体及び/又は膨縮自在のセグメント保持体を複数配設したセグメントの形状保持装置において、
前記セグメント保持体は、周方向に配置されたセグメント保持体群を一列としてトンネル方向に縦列的に複数配列とし、これら複数配列のセグメント保持体群の内、最前列のセグメント保持体群は、前記スキンプレートの内面側に周方向に適宜の間隔をおいてシールド機の軸芯方向に摺動可能にスライド台を配置するとともに、このスライド台のシールド機内側の面に前記セグメント保持体を設け、シールド機を掘進させた後、前記セグメント保持体群をスライド台と共に掘進方向に移動させる移動装置を備え、
次列以降のセグメント保持体群は、前記スキンプレートに対して固定的に配置されたことを特徴とするセグメントの形状保持装置。
【請求項2】
前記最前列のセグメント保持体群と、次列以降のセグメント保持体群とは、前記最前列のセグメント保持体群が前列セグメントを保持し得る位置にあるとき、次列以降のセグメント保持体群が順に次列以降のセグメントを保持し得る位置関係にある請求項1記載のセグメントの形状保持装置。
【請求項3】
前記移動装置は、前記スライド台にシールド機の前部側方向に延びる延在部分を一体的に備えるとともに、この延在部分にシールド機の内方側に突出する当り材を備えた構造とし、シールド機を掘進させた後、シールドジャッキの収縮時にピストンヘッドの背面側が前記当り材と当接し、前記セグメント保持体をスライド台と共に掘進方向に移動させるようにした装置である請求項1,2いずれかに記載のセグメントの形状保持装置。
【請求項4】
前記移動装置は、巻取りリールと、この巻取りリールに巻回されるとともに、先端が前記スライド台に連結された索材とからなる請求項1,2いずれかに記載のセグメントの形状保持装置。
【請求項5】
前記移動装置は、離間をおいて配置されたスプロケット又はプーリー間にエンドレスループ状に索材を架け渡し、前記索材をスライド台に連結するとともに、前記スプロケット又はプーリーを駆動させる駆動源を備えた装置である請求項1、2いずれかに記載のセグメントの形状保持装置。
【請求項6】
前記移動装置はピストン先端が前記スライド台に連結された伸縮ジャッキである請求項1,2いずれかに記載のセグメントの形状保持装置。
【請求項7】
前記セグメント保持体は、液体、気体、油等の流体によってトンネル中心側に向かって進退自在または膨縮自在とされる膨張マットまたはジャッキである請求項1〜6いずれかに記載のセグメントの形状保持装置。
【請求項8】
相対的にスキンプレートの周方向上部領域側に前記膨張マットを配置し、相対的に周方向下部領域側にジャッキを配置してある請求項7記載のセグメントの形状保持装置。
【請求項9】
前記当り材として可撓性部材を用いることにより、セグメント保持体をスライド台と共に掘進方向に移動させる際、所定値以上の当接力が加わった場合に、前記当り材の変形により前記ピストンヘッドが当り材を乗り越えるようにしてある請求項3記載のセグメントの形状保持装置。
【請求項10】
前記当り材はシールド機の内方側に向けて弾発的に支持されることにより、セグメント保持体をスライド台と共に掘進方向に移動させる際、所定値以上の当接力が加わった場合に、前記当り材の没入により前記ピストンヘッドが当り材を乗り越えるようにしてある請求項3記載のセグメントの形状保持装置。
【請求項11】
前記スライド台の摺動面及び/又はスキンプレートの摺動面に、摩擦低減処理を施すか、または摩耗低減部材を設けてある請求項1〜10いずれかに記載のセグメントの形状保持装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2008−138480(P2008−138480A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−327991(P2006−327991)
【出願日】平成18年12月5日(2006.12.5)
【出願人】(591108640)
【出願人】(000172813)佐藤工業株式会社 (73)
【出願人】(504158881)東京地下鉄株式会社 (22)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年12月5日(2006.12.5)
【出願人】(591108640)
【出願人】(000172813)佐藤工業株式会社 (73)
【出願人】(504158881)東京地下鉄株式会社 (22)
【Fターム(参考)】
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