説明

セグメント搬送装置及びセグメント搬送方法

【課題】エレクタにセグメントの組み立ての待ち時間が生じないセグメント搬送装置及びセグメント搬送方法を提供する。
【解決手段】セグメント6がトンネル軸方向に間隔を隔てて複数載置され、それらセグメント6を先頭のものから順にエレクタ7に供給すべく、各セグメント6をトンネル軸方向前方に移送する送り機構(ローラコンベヤ21)を有するセグメント供給装置18と、セグメント台車15に多段に積載されたセグメント6を、複数持ち上げてトンネル軸方向前方に移送し、セグメント供給装置18に多段状態で吊り降ろす第1ホイスト装置19と、吊り降ろされたセグメント6の内、最下段のセグメント6を除きそれよりも上段のセグメント6を吊り上げ、最下段のセグメント6をセグメント供給装置18の送り機構21によってトンネル軸方向前方に移送することを許容するための第2ホイスト装置20とを備えたもの。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シールド掘進機の後方に構築されたトンネル内を走行するセグメント台車上のセグメントを、シールド掘進機の内部に備えられたエレクタに搬送するためのセグメント搬送装置及びセグメント搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シールド掘進機は、筒状のシールドフレームを有する掘進機本体と、掘進機本体の前部に切羽を切削するために配設されたカッタと、カッタで切削された土砂を掘進機本体の内部に取り込むための排土装置と、セグメントをシールドフレームの内周面に沿ってリング状に組み立てるために掘進機本体の内部に設けられたエレクタと、リング状に組み立てられたセグメントに反力を取って掘進機本体を前進させるためにシールドフレームの内周面にその周方向に間隔を隔てて複数設けられたシールドジャッキとを備えている。
【0003】
かかるシールド掘進機は、シールドジャッキを伸長させてカッタを切羽に押し付けてそのカッタで切羽を切削し、掘削された土砂を排土装置(スクリューコンベヤ等)によって掘進機本体の内部に取り込み、掘進機本体をシールドジャッキの伸長ストロークに応じて前進(掘進)させ、爾後、シールドジャッキを収縮させて既設のセグメントとシールドジャッキとの間にスペースを形成し、そのスペースにエレクタによってセグメントをリング状に組み立て、トンネルを構築するものである。
【0004】
セグメントは、掘進機本体の後方に構築されたトンネル内を走行するセグメント台車に積載されて坑口側から切羽側に搬送され、セグメント台車上からセグメント搬送装置によってエレクタに搬送される。セメント搬送装置として、セグメント台車に積載されたセグメントをホイストで一個ずつ吊り上げて前方に搬送し、エレクタの背後に配置されたセグメント供給装置に吊り降ろすようにしたものが知られている。吊り降ろされたセグメントは、セグメント供給装置に備えられた送り機構によって前方に移送され、エレクタに供給される。
【0005】
詳しくは、ホイストによってセグメント供給装置に吊り降ろされたセグメントは、該セグメント供給装置に内蔵された上記送り機構によって前方に移送され、これによりセグメントが初めに吊り降ろされた箇所にスペースが形成される。そのスペースに上記ホイストによって上記セグメント台車上の次のセグメントが同様して吊り降ろされ、そのセグメントも上記送り機構によって最初のセグメントと共に前方に移送される。かかる手順を繰り返すことで、セグメント供給装置には、セグメントがトンネル軸方向に間隔を隔てて複数載置された状態となる。その後、各セグメントを上記送り機構によってトンネル軸方向前方に移送することで、先頭のセグメントから順にエレクタに供給される。
【0006】
【特許文献1】特開平11−166400号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、エレクタにセグメントを待ち時間なく次々と供給するためには、上記セグメント供給装置に所定数のセグメントを所定間隔を隔てて複数ストレージしておく必要がある。このためには、セグメント供給装置上の各セグメントを上記送り機構によって前方に移送して先頭のセグメントをエレクタに供給する毎に、セグメント供給装置の最後尾に形成されるスペースに、セグメント台車上の次のセグメントを上記ホイストによって移送しなければならない。
【0008】
しかし乍ら、従来、セグメント台車上のセグメントをホイストで一個ずつセグメント供給装置の上記スペースに移送していたため、エレクタによる一個のセグメントの組立時間が上記ホイストによるセグメント台車上の一個のセグメントをセグメント供給装置の上記スペースに移送する時間よりも短い場合等には、エレクタが把持したセグメントを組み立て終わって次のセグメントを把持する態勢となっているにも拘わらず、ホイストによるセグメント台車上の次のセグメントをセグメント供給装置の上記スペースへ移送する工程が完了していない状態となり、セグメント供給装置上の各セグメントを送り機構によって前送りできない。このため、エレクタによるセグメントの組み立てに待ち時間が生じ、高速施行が妨げられていた。
【0009】
そこで、本発明の目的は、セグメント供給装置からセグメントを次々とエレクタに供給でき、エレクタにセグメントの組み立ての待ち時間が生じないセグメント搬送装置及びセグメント搬送方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために第1の発明は、シールド掘進機の後方に構築されたトンネル内を走行し所定位置で停車するセグメント台車上に多段に積載されたセグメントを、シールド掘進機の内部に備えられたエレクタに搬送するためのセグメント搬送装置であって、上記エレクタの背後に配置され、セグメントがトンネル軸方向に間隔を隔てて複数載置され、それらセグメントを先頭のものから順に上記エレクタに供給すべく、各セグメントをトンネル軸方向前方に移送する送り機構を有するセグメント供給装置と、該セグメント供給装置よりもトンネル軸方向後方の所定位置にて停車した上記セグメント台車に多段に積載されたセグメントを、複数持ち上げてトンネル軸方向前方に移送し、上記セグメント供給装置に多段状態で吊り降ろす第1ホイスト装置と、該第1ホイスト装置により上記セグメント供給装置に多段状態で吊り降ろされたセグメントの内、最下段のセグメントを除きそれよりも上段のセグメントを吊り上げる第2ホイスト装置とを備えたことを特徴とするものである。
【0011】
また、第2の発明は、シールド掘進機の後方に構築されたトンネル内を走行し所定位置で停車するセグメント台車上に多段に積載されたセグメントを、シールド掘進機の内部に備えられたエレクタに搬送するセグメント搬送方法であって、上記エレクタの背後に配置され、セグメントがトンネル軸方向に間隔を隔てて複数載置され、それらセグメントを先頭のものから順に上記エレクタに供給すべく、各セグメントをトンネル軸方向前方に移送するセグメント供給装置を備え、上記セグメント台車を上記セグメント供給装置よりもトンネル軸方向後方の所定位置にて停車させる工程、そのセグメント台車に多段に積載されたセグメントを、複数持ち上げてトンネル軸方向前方に移送し、上記セグメント供給装置に多段状態で吊り降ろす工程、上記セグメント供給装置に多段状態で吊り降ろされたセグメントの内、最下段のセグメントを除きそれよりも上段のセグメントを吊り上げる工程、取り残された最下段のセグメントを上記セグメント供給装置によってトンネル軸方向前方に移送し、最下段のセグメントが初めに吊り降ろされた箇所にスペースを形成する工程、上記スペースに、それまで吊り上げられていた上段のセグメントを吊り降ろす工程を有することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、セグメント供給装置からセグメントを次々とエレクタに供給でき、エレクタにセグメントの組み立ての待ち時間が生じない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の好適な実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0014】
図1に示すように、シールド掘進機1は、筒状のシールドフレーム2を有する掘進機本体3と、掘進機本体3の前部に切羽を切削するために配設されたカッタ4と、カッタ4で切削された土砂をシールドフレーム2内に設けられた隔壁5の後方に移送する排土装置(図示せず)と、セグメント6をシールドフレーム2の内周面に沿ってリング状に組み立てるために掘進機本体3の内部に設けられたエレクタ7と、リング状に組み立てられたセグメント6に反力を取って掘進機本体3を前進させるためにシールドフレーム2の内周面にその周方向に間隔を隔てて複数設けられたシールドジャッキ8とを備えている。
【0015】
かかるシールド掘進機1は、シールドジャッキ8を伸長させてカッタ4を切羽に押し付け、カッタ4を掘進方向と平行な軸廻りに回転させる等してそのカッタ4で切羽を切削し、掘削された土砂を排土装置(スクリューコンベヤ等)によって隔壁5の後方に取り込み、掘進機本体3をシールドジャッキ8の伸長ストロークに応じて前進(掘進)させ、爾後、シールドジャッキ8を収縮させて既設のセグメント6とシールドジャッキ8との間にスペースを形成し、そのスペースにエレクタ7によってセグメント6をリング状に組み立て、トンネル9を構築するものである。
【0016】
エレクタ7は、トンネル軸方向に沿って形成されたベースフレーム10に、トンネル軸方向に移動可能且つトンネル軸廻りに回転不能に装着されたスライド部11と、スライド部11にトンネル軸廻りに回転可能に被嵌されたリング状の旋回部12と、旋回部12に設けられ、セグメント6を把持する把持部13とを備えている。ベースフレーム10は、シールドフレーム2に設けられた基部14に固定されている。エレクタ7は、把持部13に把持したセグメント6を、トンネル径方向内方引き込み、スライド部11をトンネル軸方向に適宜移動させ、旋回部12をトンネル軸廻りに適宜回転させることで、所望の組立位置に移動させ、組み立てを行う。
【0017】
エレクタ7に供給されるセグメント6は、掘進機本体3の後方に構築されたトンネル9内をセグメント台車15に多段に積載された状態で、坑口側から切羽側に搬送されて来る。セグメント台車15は、本実施形態では、三両編成となっており、先頭台車15aには、カルバード16(セグメント台車15の走行路となる)が横向に積載され、中間台車15b及び後尾台車15cには、夫々セグメント6が二段重ねて積載されている。セグメント台車15は、図2に示すように、トンネル9の底部に敷設されたカルバート16上を走行する。セグメント台車15上のセグメント6は、以下に説明するセグメント搬送装置17によってエレクタ7まで搬送される。
【0018】
図1に示すように、セグメント搬送装置17は、エレクタ7の背後のトンネル底部に配置されたセグメント供給装置18と、セグメント台車15上のセグメント6を二段積み状態のままセグメント供給装置18に搬送する第1ホイスト装置19と、第1ホイスト装置19によりセグメント供給装置18の上に載せられた二段積み状態のセグメント6の内の上段のセグメント6のみを吊り上げる第2ホイスト装置20とを備えている。
【0019】
セグメント供給装置18は、エレクタ7の背後からトンネル軸方向後方に延出されたローラコンベヤ21を有し、ローラコンベヤに21は、セグメント6が横向で下に凸の状態でトンネル軸方向に間隔を隔てて複数載置される。ローラコンベヤ21を駆動すると、ローラコンベヤ21上の各セグメント6がトンネル軸方向前方に移送され、先頭のセグメント6から順にエレクタ7に供給される。ローラコンベヤ21は、特許請求の範囲の送り機構に相当する。
【0020】
図1、図3に示すように、ローラコンベヤ21は、セグメント6の下面を支持する複数の送りローラ22と、各送りローラ22を軸支する支持フレーム23と、各送りローラ22を連動するチェーン及び駆動モータ(図示せず)と、支持フレーム23の下面に設けられた走行車輪24とを備えている。走行車輪24は、トンネル9の底部に敷設されたインバート25に設けられたレール26上を走行する。インバート25には、第1後続台車27の走行車輪28用のレール59も設けられている。第1後続台車27は、その前端がベースフレーム10の後端に連結され、下端が連結部材29(棹、索など)を介してセグメント供給装置18のローラコンベヤ21に連結され、上端が第1ホイスト装置19のホイストレール30の支持フレーム31に連結されている。
【0021】
第1ホイスト装置19は、図1〜図3に示すように、トンネル9内の上部にて、セグメント供給装置18(ローラコンベヤ21)の上方からセグメント台車15が停車する所定位置の上方まで延出された一対のホイストレール30と、各ホイストレール30を支持する支持フレーム31と、ホイストレール30の上を走行する走行車輪32を有するホイスト台車33と、ホイスト台車33に巻上下ワイヤ34を介して吊下されたセグメント保持部35とを備えている。支持フレーム31は、前端側が第1後続台車27に支持され、後端側が第2後続台車36に支持されている。第2後続台車36は、カルバート16をトンネル幅方向の左右から挟むようにしてトンネル底部にブロック37を介して敷設されたレール38上を走行するものであり、図示しない連結部材(棹、索など)を介して第1後続台車27に連結されている。
【0022】
第1ホイスト装置19のセグメント保持部35は、ホイスト台車33に巻上下ワイヤ34を介して水平に吊下された略長方形板状の基部39と、基部39の四隅から下方に延出された脚部40と、脚部40の下端に脚部40と直交する方向に延出して設けられ脚部40の長手方向(鉛直方向)に沿った軸廻りに回動可能な爪部41とを有する。脚部40は、図2における左右のもの同士の間隔がセグメント6の幅(組付後のトンネル軸方向の寸法)より所定距離広く設定され、図1における左右のもの同士の間隔がセグメント6の長さ(組付後のトンネル周方向の寸法)よりも所定距離狭く設定されている。セグメント6をバランス良く持ち上げるためである。
【0023】
第1ホイスト装置19は、次のようにして、セグメント台車15(中間台車15b又は後尾台車15c)に二段積みされたセグメント6を二段積みのまま持ち上げる。
【0024】
先ず、第1ホイスト装置19のホイスト台車33をセグメント台車15の上方に移動させ、脚部40の爪部41を回動してトンネル軸方向に沿った状態とし、ホイスト台車33から基部39を吊り降ろす。これにより、脚部40がセグメント台車15上のセグメント6の両側部に位置する。次に、脚部40の爪部41を90度回動し、爪部41をセグメント台車15上の下段側のセグメント6の下方に位置させた後、基部39を巻上下ワイヤ34で上方に巻き上げる。これにより、セグメント台車15上に二段積みされたセグメント6が爪部41によって下方から抱き込まれるようにして二段積みのまま持ち上げられる。
【0025】
巻上下ワイヤ34を巻き上げることによる基部39の上昇は、図2に示すように、基部39の上縁がホイスト台車33に形成されたストッパ42に押し当てられるまで継続される。基部39がストッパ42に押し当てられることで、巻上下ワイヤ34に吊下された基部39の揺動が防止される。その後、ホイスト台車33は、ホイストレール30に沿って前進し、図1に示すように、セグメント供給装置18(ローラコンベヤ21)の後部の上方の位置にて停車する。そして、図3に示すように巻上下ワイヤ34を繰り出し、基部39を下降させる。下降の途中でその下降を一時止め、基部39を回転機構(図示せず)により鉛直軸廻りに90度回転させ、基部39に脚部40を介して爪部41で保持されたセグメント6を縦向きから横向とする。なお、回転機構は、ホイスト台車33又は基部39に備えられている。
【0026】
基部39の下降は、基部39に保持されたセグメント6の底面がセグメント供給装置18(ローラコンベヤ21)の送りローラ22に当接されるまで継続される。セグメント6の底面が送りローラ22に当接すると、爪部41がセグメント6の底面から離間するので、爪部41を90度回動して下段側のセグメント6の下方から離脱させる。そして、巻上下ワイヤ34を巻き上げて基部39の上昇させる。こうして、第1ホイスト装置19は、セグメント台車15に二段積みされたセグメント6を、二段積みのまま持ち上げてトンネル軸方向前方に移送し、セグメント供給装置18に二段積みの状態で吊り降ろす。
【0027】
第1ホイスト装置19のホイストレール30を支持する支持フレーム31には、図1、図2に示すように、カルバート16を搬送するためのホイスト43が設けられている。このホイスト43は、支持フレーム31の両側部にトンネル軸方向に沿って延出された一対のホイストレール44と、ホイストレール44上を走行する車輪を有し支持フレーム31に吊り下げられるように形成されたホイスト台車45と、ホイスト台車45に設けられ先頭台車15aに横置きされたカルバート16を巻上下ワイヤを介して把持する把持部とを備えている。
【0028】
このホイスト43は、先頭台車15a上に横置きされたカルバート16を把持部でトンネル軸方向に間隔を隔てて二カ所で吊り上げ、ホイスト台車45を前進させ、所定の組付位置の上方にて一方(前方)の把持部の巻上下ワイヤを弛めることで、カルバート16を縦向きとし、所定の組付位置に組み付ける。
【0029】
また、第2後続台車36用の走行レール38及びその走行レール38を支持するブロック37は、先頭台車15aに載置されており、第2後続台車36の前部に設けられた図示しない別のホイストに把持されてトンネル幅方向の左右に搬送され、所定の組付位置に設置される。
【0030】
次に、第2ホイスト装置20は、図4に示すように、第1ホイスト装置19によりセグメント供給装置18のローラコンベヤ21に二段積みの状態で吊り降ろされたセグメント6の内、下段のセグメント6をそのままとして上段のセグメント6のみを吊り上げ、下段のセグメント6をローラコンベヤ21によってトンネル軸方向前方に移送することを許容するための手段である。
【0031】
第2ホイスト装置20は、図1、図3、図4に示すように、第1後続台車27の後部にトンネル幅方向に間隔を隔てて装着され、トンネル軸方向後方に延出された一対の縦ビーム46と、各縦ビーム46に係合してそれに沿って走行する縦ホイスト台車47と、縦ホイスト台車47同士を接続するようにしてトンネル幅方向に延出された横ビーム48と、横ビーム48に係合してそれに沿って走行する横ホイスト台車49と、横ホイスト台車49に巻上下ワイヤ50を介して吊下された吊りベルト51とを備えている。
【0032】
縦ビーム46同士のトンネル幅方向の間隔は、第1ホイスト装置19によってセグメント供給装置18の後部の上方から下方に搬送されるセグメント6が縦ビーム47と干渉しない間隔に設定され、横ビーム48のトンネル軸方向の移動範囲は、同様に第1ホイスト装置19によってセグメント供給装置18の後部の上方から下方に搬送されるセグメントが横ビーム48と干渉しない範囲に設定されている。
【0033】
横ビーム48は、第1ホイスト装置19によってセグメント6をセグメント供給装置18の後部の上方から下方に搬送する際には、トンネル軸方向の前方又は後方に移動されて邪魔にならないようになっているが、第1ホイスト装置19がセグメント6をセグメント供給装置18の後部に二段積みの状態で吊り降ろした後、そのセグメント6の上方の位置までトンネル軸方向に沿って移動される。
【0034】
その後、図4に示すように、吊りベルト51を二段積み状態のセグメント6の上段のセグメント6のみに巻き掛け、上段のセグメント6のみを吊り上げる。これにより、下段のセグメント6を、セグメント供給装置18のローラコンベヤ21によってトンネル軸方向前方に移送することが許容される。
【0035】
上述したセグメント搬送装置17を用いたセグメント搬送方法について述べる。
【0036】
図1に示すように、セグメント6が二段積みされたセグメント台車15は、坑口側から切羽側に走行し、第2後続台車36の位置で停車する。セグメント台車15の後尾台車15c上のセグメント6は、第1ホイスト装置19によって二段積みのまま持ち上げられ、トンネル軸方向前方に移送され、セグメント供給装置18の後部に二段積みの状態で吊り降ろされる。
【0037】
セグメント供給装置18の後部に吊り降ろされた二段積みのセグメント6は、下段のセグメント6がそのままとされ、上段のセグメント6のみが第2ホイスト装置20によって吊り上げられる。その後、下段のセグメント6は、セグメント供給装置18のローラコンベヤ21によって所定距離トンネル軸方向前方に搬送される。これにより、下段のセグメント6が初めに吊り降ろされた箇所(セグメント供給装置18の後部)にスペースが形成される。
【0038】
このスペースに、第2ホイスト装置20によって吊り上げられていた上段のセグメント6が吊り降ろされる。吊り降ろされた上段のセグメント6は、セグメント供給装置18のローラコンベヤ21によって、先に移送された下段のセグメント6と共に所定距離トンネル軸方向前方に搬送される。これにより、上段のセグメント6が吊り降ろされた箇所(セグメント供給装置18の後部)に再びスペースが形成される。
【0039】
このスペースには、第1ホイスト装置19によって、同様にして、セグメント台車15の中間台車15b上のセグメント6が二段積みのまま移送される。
【0040】
ここで、第1ホイスト装置19は、上述のようにセグメント台車15の後尾台車15c上のセグメント6をセグメント供給装置18の後部に二段積み状態で吊り降ろした後はフリーとなるので、その後直ちにセグメント台車15の中間台車15b上のセグメント6を取りにいき、二個のセグメント6を保持した状態でセグメント供給装置18の後部の上方で待機している。
【0041】
すなわち、第1ホイスト装置19は、セグメント供給装置18の後部にセグメント6を二段積み状態で吊り降ろしてフリーとなった後、第2ホイスト装置20が二段積み状態で吊り降ろされた二つのセグメント6の内の上段のセグメント6を吊り上げ、セグメント供給装置18が残された下段のセグメント6をトンネル軸方向前方に移送し、第2ホイスト装置20が吊り上げていた上段のセグメント6を吊り降ろし、セグメント供給装置18が吊り降ろされた上段のセグメント6をトンネル軸方向前方に移送するまでの時間を利用して、セグメント台車15の中間台車15b上のセグメント6を二段積みのまま持ち上げ、トンネル軸方向前方に移送し、セグメント供給装置18の後部の上方で待機している。
【0042】
よって、セグメント台車15の後尾台車15c上のセグメント6及び中間台車15b上のセグメント6を連続して次々とセグメント供給装置18に移送できる。
【0043】
なお、第2ホイスト装置20の横ビーム48は、トンネルの高さ方向の略中間部に配置され、第1ホイスト装置19のホイストレール30は、トンネルの高さ方向の上部に配置されているので、第1ホイスト装置19により吊下されセグメント供給装置18の後部の上方で待機状態にあるセグメント6が、第2ホイスト装置20の横ビーム48と干渉することはない。
【0044】
また、セグメント台車15の先頭台車15a上のカルバート16は、第1ホイスト装置19のホイストレール30を支持する支持フレーム31に吊り下がるようにして取り付けられたホイスト43によって吊り上げられ、トンネル軸方向前方に移送され、所定の組付位置(既に組み付けられたカルバート16の前の位置)に組み付けられる。
【0045】
カルバート16を搬送するホイスト43は、図2に示すように、第1ホイスト装置19によって搬送されるセグメント6の下方に配設されているので、その搬送中のセグメント6と干渉することはない。よって、ホイスト43によるカルバート16の搬送と、第1ホイスト装置19によるセグメント6の搬送とを、同時に行うことができる。
【0046】
先頭台車15a上のカルバート16をホイスト43によって吊り上げる時期は、後尾台車15c及び中間台車15b上の全てのセグメント6を第1ホイスト装置19によって吊り上げ終わるまでとしている。よって、第1ホイスト装置19によって後尾台車15c上のセグメント6に次いで中間台車15b上のセグメント6が吊り上げられた後は、セグメント台車15(先頭台車15a、中間台車15b、後尾台車15c)は、空荷となり、フリーとなる。
【0047】
フリーとなった空荷のセグメント台車15は、速やかに坑口側に戻り、入れ替わりに、実荷のセグメント台車15が第2後続台車36の位置に進入してくる。そして、同様にして、実荷のセグメント台車15の後尾台車15c及び中間台車15b上のセグメント6が第1ホイスト装置19によって搬送され、セグメント台車15の先頭台車15aのカルバート16がホイスト43によって搬送される。
【0048】
詳しくは、第1ホイスト装置19が中間台車15b上のセグメント6を二段積みのまま吊り上げることでフリーとなった空荷のセグメント台車15は、その後、第1ホイスト装置19が吊り上げたセグメント6をトンネル軸方向前方に移送して二段積みのままセグメント供給装置18の後部に吊り降ろし、第2ホイスト装置20が二段積みのまま吊り降ろされた二つのセグメント6の内の上段のセグメント6を吊り上げ、セグメント供給装置18が残された下段のセグメント6をトンネル軸方向前方に移送し、第2ホイスト装置20が吊り上げていた上段のセグメント6を吊り降ろし、セグメント供給装置18が吊り降ろされた上段のセグメント6をトンネル軸方向前方に移送するまでの間の時間を利用して、実荷のセグメント台車15と入れ替わる。
【0049】
こうして、実荷のセグメント台車15を空荷のセグメント台車15と入れ替えるようにして次々と坑口側から第2後続台車36の位置に進入させることができる。すなわち、第2後続台車36の位置にて空荷となったセグメント台車15を、上述のようにセグメント6の搬送時間を利用して実荷のセグメント台車15と入れ替えることができるので、効率がよい。
【0050】
以上説明したように本実施形態にかかるセグメント搬送装置17及びそれを用いたセグメント搬送方法によれば、第2後続台車36の位置に停車したセグメント供給台車15上のセグメント6を、次々と連続的にセグメント供給装置18に搬送できる。これにより、セグメント供給装置18に常に所定数のセグメント6を所定間隔を隔てて格納(ストレージ)することができる。よって、セグメント供給装置18からセグメント6を次々とエレクタ7に供給でき、エレクタ7に供給されるセグメント6が不足する事態を回避でき、エレクタ7にセグメント6の組み立ての待ち時間が生じない。
【0051】
なお、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲の記載を逸脱しない範囲で様々な変形例が考えられる。
【0052】
例えば、セグメント台車15にセグメント6を二段積みではなく三段積み以上としておき、それらの内の複数(三段以上)を第1ホイスト装置19によって吊り上げてトンネル軸方向前方に移送してセグメント供給装置18の後部に吊り降ろし、第2ホイスト装置20が最下段のセグメント6を除いてそれよりも上段のセグメント6を全て吊り上げ、最下段のセグメント6をセグメント供給装置18のローラコンベヤ21によってトンネル軸方向前方に移送してセグメント供給装置18の後部にスペースを形成し、そのスペースに第2ホイスト装置20が吊り上げていた複数のセグメント6を吊り降ろし、その最下段のセグメント6を除いてそれよりも上段のセグメント6を第2ホイスト装置20が再び吊り上げ、残された最下段のセグメント6をセグメント供給装置18のローラコンベヤ21によってトンネル軸方向前方に移送しという工程を繰り返すようにしてもよい。これにより、セグメント供給装置18の後部に三段以上のセグメント6を載置した場合であっても、それらセグメント6を一つずつトンネル軸方向前方に移送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の一実施形態に係るセグメント搬送装置の概要を示す側面図である。
【図2】図1のII−II線断面図である。
【図3】図1のIII−III線断面図である。
【図4】図3の後の工程を示す断面図である。
【符号の説明】
【0054】
1 シールド掘進機
6 セグメント
7 エレクタ
9 トンネル
15 セグメント台車
17 セグメント搬送装置
18 セグメント供給装置
19 第1ホイスト装置
20 第2ホイスト装置
21 送り機構としてのローラコンベヤ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シールド掘進機の後方に構築されたトンネル内を走行し所定位置で停車するセグメント台車上に多段に積載されたセグメントを、シールド掘進機の内部に備えられたエレクタに搬送するためのセグメント搬送装置であって、
上記エレクタの背後に配置され、セグメントがトンネル軸方向に間隔を隔てて複数載置され、それらセグメントを先頭のものから順に上記エレクタに供給すべく、各セグメントをトンネル軸方向前方に移送する送り機構を有するセグメント供給装置と、
該セグメント供給装置よりもトンネル軸方向後方の所定位置にて停車した上記セグメント台車に多段に積載されたセグメントを、複数持ち上げてトンネル軸方向前方に移送し、上記セグメント供給装置に多段状態で吊り降ろす第1ホイスト装置と、
該第1ホイスト装置により上記セグメント供給装置に多段状態で吊り降ろされたセグメントの内、最下段のセグメントを除きそれよりも上段のセグメントを吊り上げる第2ホイスト装置と
を備えたことを特徴とするセグメント搬送装置。
【請求項2】
シールド掘進機の後方に構築されたトンネル内を走行し所定位置で停車するセグメント台車上に多段に積載されたセグメントを、シールド掘進機の内部に備えられたエレクタに搬送するセグメント搬送方法であって、
上記エレクタの背後に配置され、セグメントがトンネル軸方向に間隔を隔てて複数載置され、それらセグメントを先頭のものから順に上記エレクタに供給すべく、各セグメントをトンネル軸方向前方に移送するセグメント供給装置を備え、
上記セグメント台車を上記セグメント供給装置よりもトンネル軸方向後方の所定位置にて停車させる工程、
そのセグメント台車に多段に積載されたセグメントを、複数持ち上げてトンネル軸方向前方に移送し、上記セグメント供給装置に多段状態で吊り降ろす工程、
上記セグメント供給装置に多段状態で吊り降ろされたセグメントの内、最下段のセグメントを除きそれよりも上段のセグメントを吊り上げる工程、
取り残された最下段のセグメントを上記セグメント供給装置によってトンネル軸方向前方に移送し、最下段のセグメントが初めに吊り降ろされた箇所にスペースを形成する工程、
上記スペースに、それまで吊り上げられていた上段のセグメントを吊り降ろす工程
を有することを特徴とするセグメント搬送方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−240453(P2008−240453A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−85302(P2007−85302)
【出願日】平成19年3月28日(2007.3.28)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【Fターム(参考)】