説明

セシウム汚染土壌表面固化方法、セシウム固化・不溶化方法、及びこれらに用いる土壌固化剤、並びにセシウム除去方法及びこれに用いる酸化マグネシウム系吸着剤

【課題】 セシウム汚染に対して効果を有するセシウム汚染土壌表面固化方法、セシウム固化・不溶化方法、及びこれらに用いる土壌固化剤、並びにセシウム除去方法及びこれに用いる酸化マグネシウム系吸着剤を提供すること
【解決手段】 セシウムが飛散した土壌表面に酸化マグネシウムを散布し、土壌表面を固化させる。また、セシウムを含有する土壌に酸化マグネシウムを混合し、セシウムを固化・不溶化させる。また、セシウムを含有する汚染水と酸化マグネシウムを構成物質とする酸化マグネシウム系吸着剤を接触させ、セシウムを吸着させる。この場合、必要に応じて無機化合物及び増粘剤を汚染土壌又は汚染水に添加する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セシウム汚染土壌表面固化方法、セシウム固化・不溶化方法、及びこれらに用いる土壌固化剤、並びにセシウム除去方法及びこれに用いる酸化マグネシウム系吸着剤に関する。
【背景技術】
【0002】
原子力発電所の事故により広範囲に渡って放射性物質が飛散したことを受け、汚染土壌を修復する技術の開発は喫緊の課題である。特に放射性セシウムの固化・不溶化を行う必要がある
【0003】
ここで、鉛やヒ素等による汚染土壌の修復技術としては、セメント系固化剤や各種薬剤を用いた土壌の固化処理・不溶化処理が知られている。しかしながら当該処理技術は、セメント系固化剤に含まれる六価クロムが土壌環境基準を超えて溶出する場合があること、処理後の土壌が高アルカリ雰囲気になることにより汚染物質が再溶出する場合があること等の問題が生じていた。
【0004】
一方、土壌を固化する性質と汚染物質を不溶化する性質とを合わせ持つマグネシウム系固化剤がある(例えば、特許文献1)。所定の方法にて調製した酸化マグネシウムを主成分とするマグネシウム系固化剤は、上述のような六価クロム等の重金属を含まず、低アルカリ領域で固化するという特徴を有する。さらに、鉛・ヒ素・セレン・シアン・フッ素に汚染された土壌に対して不溶効果を発揮する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−334526
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、放射性セシウムの固化・不溶化に酸化マグネシウムを用いた例はない。また、汚染土壌に対する固化・不溶化の機構はその対象となる汚染物質により異なると考えられており、セシウムに汚染された土壌に対するマグネシウム系固化剤の効果や、効果を発揮するための使用量、効果を向上させるための他の物質との配合あるいはその配合比等は不明であった。
【0007】
そこで本発明は、セシウム汚染に対して効果を有するセシウム汚染土壌表面固化方法、セシウム固化・不溶化方法、及びこれらに用いる土壌固化剤、並びにセシウム除去方法及びこれに用いる酸化マグネシウム系吸着剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明のセシウム汚染土壌表面固化方法は、セシウムが飛散した土壌表面に酸化マグネシウムを散布し、土壌表面を固化させることを特徴とする。
【0009】
この場合、前記酸化マグネシウムは、炭酸マグネシウム又は水酸化マグネシウムを600〜900℃の温度で焼成し、比表面積を4000〜20000cm/gに調製したものである方が好ましい。また、前記土壌表面に、前記酸化マグネシウムと共に、鉄塩、アルミニウム塩又は酸性剤から選択された少なくとも1種以上の無機化合物を散布する方が好ましい。また、前記土壌表面に、前記酸化マグネシウムと共に、カルシウム、ゼオライト、カオリン、ベントナイト、珪藻土、スラグ、モンモリナイトから選択された少なくとも1種以上の無機化合物を散布する方が好ましい。また、前記土壌表面に、前記酸化マグネシウムと共に、増粘剤を散布する方が好ましい。更に、前記土壌表面への総散布量に対する前記無機化合物及び/又は前記増粘剤の散布量が1〜50重量%である方が好ましい。
【0010】
また、本発明のセシウム固化・不溶化方法は、セシウムを含有する土壌に酸化マグネシウムを混合し、前記セシウムを固化・不溶化させることを特徴とする。
【0011】
この場合、前記酸化マグネシウムは、炭酸マグネシウム又は水酸化マグネシウムを600〜900℃の温度で焼成し、比表面積を4000〜20000cm/gに調製したものである方が好ましい。また、前記土壌に、前記酸化マグネシウムと共に、鉄塩、アルミニウム塩又は酸性剤から選択された少なくとも1種以上の無機化合物を混合する方が好ましい。また、前記土壌に、前記酸化マグネシウムと共に、カルシウム、ゼオライト、カオリン、ベントナイト、珪藻土、スラグ、モンモリナイトから選択された少なくとも1種以上の無機化合物を混合する方が好ましい。更に、前記土壌への総混合量に対する前記無機化合物の混合量が1〜50重量%である方が好ましい。
【0012】
また、本発明の土壌固化剤は、酸化マグネシウムと、1〜50重量%の無機化合物及び/又は増粘剤とからなることを特徴とする。
【0013】
この場合、前記無機化合物は、少なくとも鉄塩、アルミニウム塩又は酸性剤から選択された1種以上である方が好ましい。また、前記無機化合物は、少なくともカルシウム、ゼオライト、カオリン、ベントナイト、珪藻土、スラグ、モンモリナイトから選択された1種以上である方が好ましい。更に、前記酸化マグネシウムは、炭酸マグネシウム又は水酸化マグネシウムを600〜900℃の温度で焼成し、比表面積を4000〜20000cm/gに調製したものである方が好ましい。
【0014】
また、本発明のセシウム除去方法は、セシウムを含有する汚染水と酸化マグネシウムを構成物質とする酸化マグネシウム系吸着剤を接触させ、前記セシウムを吸着させることを特徴とする。
【0015】
この場合、前記酸化マグネシウムは、炭酸マグネシウム又は水酸化マグネシウムを600〜900℃の温度で焼成し、比表面積を4000〜20000cm/gに調製したものである方が好ましい。また、前記酸化マグネシウム系吸着剤は、前記酸化マグネシウムに対して、鉄塩、アルミニウム塩、酸性剤、ゼオライト又は酸化カルシウムから選択された少なくとも1種以上の無機化合物を混合したものである方が好ましい。更に、前記酸化マグネシウム系吸着剤は、前記無機化合物の混合量が5〜80重量%である方が好ましい。
【0016】
また、本発明の酸化マグネシウム系吸着剤は、酸化マグネシウムと、5〜80重量%の無機化合物とからなり、前記無機化合物は、少なくとも鉄塩、アルミニウム塩、酸性剤、ゼオライト又は酸化カルシウムから選択された1種以上であることを特徴とする。
【0017】
この場合、前記酸化マグネシウムは、炭酸マグネシウム又は水酸化マグネシウムを600〜900℃の温度で焼成し、比表面積を4000〜20000cm/gに調製したものである方が好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明のセシウム汚染土壌表面固化方法及び土壌固化剤を用いることにより、セシウムを土壌に固定することができるので、セシウムが土壌から飛散するのを防止することができる。
【0019】
また、本発明のセシウム固化・不溶化方法及び土壌固化剤を用いることにより、セシウムを土壌に固化すると共に不溶化することができる。
【0020】
また、本発明のセシウム除去方法及び酸化マグネシウム系吸着剤を用いることにより、セシウムを含有する汚染水からセシウムを吸着除去し、汚染水を浄化することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[セシウム汚染土壌表面固化方法]
本発明のセシウム汚染土壌表面固化方法は、セシウムが飛散した土壌表面に酸化マグネシウムを散布し、土壌表面を固化させるものである。
【0022】
酸化マグネシウムとしては、焼成したもの(焼成マグネシウム)を用いることができる。焼成マグネシウムは、焼成温度の違いにより、低温焼成品と高温焼成品とがあるが、本発明の土壌固化剤に用いる酸化マグネシウムは、反応性の観点から低温焼成品(軽焼マグネシア)であることが好ましい。
【0023】
当該焼成マグネシウムは、炭酸マグネシウム又は水酸化マグネシウムを加熱により分解することにより得ることができる。このとき、焼成温度は、600〜900℃であることが好ましい。また、このように焼成された酸化マグネシウムは、粉砕して比表面積が4000〜20000cm/gとなるように調製されることが好ましい。焼成温度及び比表面積がこの範囲内にない場合、セシウムに対する反応性が低下することがあり、セシウム汚染土壌の固化・不溶化に適さないと考えられるためである。
【0024】
また、土壌表面に、酸化マグネシウムと共に、鉄塩、アルミニウム塩又は酸性剤から選択された少なくとも1種以上の無機化合物を散布しても良い。これらは、pH調製剤として働き、土壌表面のpHを適切な範囲に下げることができる。また、酸化マグネシウムと土壌との固化反応速度を促進させることができる。
【0025】
鉄塩としては、例えば、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、塩化第二鉄等を用いることができる。アルミニウム塩としては、例えば、硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム等を用いることができる。酸性剤としては、例えば、硫酸、ホウ酸等の無機酸や、シュウ酸、クエン酸、リンゴ酸、ベンゼンスルホン酸等の有機酸を用いることができる。また、硫酸アンモニウム、ベンゼンスルホン酸アンモニウム等の強酸と弱塩基との塩や、塩化第ニ鉄、塩化マグネシウム、塩化アンモニウム等の酸性塩を用いることもできる。なお、当該pH調整剤として機能する無機化合物は、単独で用いても良いし、2種以上を用いても良い。
【0026】
また、土壌表面に、酸化マグネシウムと共に、カルシウム、ゼオライト、カオリン、ベントナイト、珪藻土、スラグ、モンモリナイトから選択された少なくとも1種以上の無機化合物を散布するようにしても良い。これらは、セシウムを吸着することができる。したがって、セシウムを確実に固定して、セシウムが土壌から飛散するのを防止することができる。
【0027】
更に、土壌表面に、酸化マグネシウムと共に、増粘剤を散布するようにしても良い。増粘剤としては、例えば、ベントナイトやフッ化カルシウム等の無機系増粘剤や、メチルセルロース(MC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリアクリルアマイド、アルギン酸、グアガム、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)等の有機系増粘剤を用いることができる。
【0028】
散布する酸化マグネシウムの量は特に限定されるものではないが、汚染土壌の量に対して、0.5〜50重量%程度を使用すれば良い。また、土壌表面への酸化マグネシウム、無機化合物及び増粘剤の総散布量に対する無機化合物と増粘剤の散布量は、1〜50重量%にするのが良い。
【0029】
また、土壌表面への散布の仕方も特に限定されるものではなく、予め酸化マグネシウム、無機化合物、増粘剤の総てを混合して調製した土壌固化剤を散布しても良いし、酸化マグネシウム、無機化合物、増粘剤をそれぞれ単独で別々に散布しても良い。
【0030】
[セシウム固化・不溶化方法]
本発明のセシウム固化・不溶化方法は、セシウムを含有する土壌に酸化マグネシウムを混合し、セシウムを固化・不溶化させるものである。
【0031】
酸化マグネシウムとしては、焼成したもの(焼成マグネシウム)を用いることができる。焼成マグネシウムは、焼成温度の違いにより、低温焼成品と高温焼成品とがあるが、本発明の土壌固化剤に用いる酸化マグネシウムは、反応性の観点から低温焼成品(軽焼マグネシア)であることが好ましい。
【0032】
当該焼成マグネシウムは、炭酸マグネシウム又は水酸化マグネシウムを加熱により分解することにより得ることができる。このとき、焼成温度は、600〜900℃であることが好ましい。また、このように焼成された酸化マグネシウムは、粉砕して比表面積が4000〜20000cm/gとなるように調製されることが好ましい。焼成温度及び比表面積がこの範囲内にない場合、セシウムに対する反応性が低下することがあり、セシウム汚染土壌の固化・不溶化に適さないと考えられるためである。
【0033】
また、土壌に、酸化マグネシウムと共に、鉄塩、アルミニウム塩又は酸性剤から選択された少なくとも1種以上の無機化合物を混合しても良い。これらは、pH調製剤として働き、土壌のpHを適切な範囲に下げることができる。また、酸化マグネシウムと土壌との固化反応速度を促進させることができる。
【0034】
鉄塩としては、例えば、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、塩化第二鉄等を用いることができる。アルミニウム塩としては、例えば、硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム等を用いることができる。酸性剤としては、例えば、硫酸、ホウ酸等の無機酸や、シュウ酸、クエン酸、リンゴ酸、ベンゼンスルホン酸等の有機酸を用いることができる。また、硫酸アンモニウム、ベンゼンスルホン酸アンモニウム等の強酸と弱塩基との塩や、塩化第ニ鉄、塩化マグネシウム、塩化アンモニウム等の酸性塩を用いることもできる。なお、当該pH調整剤として機能する無機化合物は、単独で用いても良いし、2種以上を用いても良い。
【0035】
また、土壌に、酸化マグネシウムと共に、カルシウム、ゼオライト、カオリン、ベントナイト、珪藻土、スラグ、モンモリナイトから選択された少なくとも1種以上の無機化合物を混合するようにしても良い。これらは、セシウムを吸着することができるので、セシウムを確実に固定して不溶化することができる。
【0036】
混合する酸化マグネシウムの量は特に限定されるものではないが、汚染土壌の量に対して、0.5〜50重量%程度を使用すれば良い。程度を使用すれば良い。また、土壌への酸化マグネシウム及び無機化合物の総混合量に対する無機化合物の混合量は、1〜50重量%にするのが良い。
【0037】
なお、土壌と酸化マグネシウムや無機化合物との混合は、ミキサー等の一般的な混合機を用いれば良い。また、土壌への混合の仕方も特に限定されるものではなく、予め酸化マグネシウムと無機化合物を混合して調製した土壌固化剤を混合しても良いし、酸化マグネシウムと無機化合物をそれぞれ単独で別々に混合しても良い。
【0038】
[セシウム除去方法]
本発明のセシウム除去方法は、セシウムを含有する汚染水と酸化マグネシウムを構成物質とする酸化マグネシウム系吸着剤を接触させ、セシウムを吸着させるものである。
【0039】
酸化マグネシウムとしては、焼成したもの(焼成マグネシウム)を用いることができる。焼成マグネシウムは、焼成温度の違いにより、低温焼成品と高温焼成品とがあるが、本発明の酸化マグネシウム系吸着剤に用いる酸化マグネシウムは、反応性の観点から低温焼成品(軽焼マグネシア)であることが好ましい。
【0040】
当該焼成マグネシウムは、炭酸マグネシウム又は水酸化マグネシウムを加熱により分解することにより得ることができる。このとき、焼成温度は、600〜900℃であることが好ましい。また、このように焼成された酸化マグネシウムは、粉砕して比表面積が4000〜20000cm/gとなるように調製されることが好ましい。焼成温度及び比表面積がこの範囲内にない場合、セシウムに対する反応性が低下することがあり、セシウム汚染水の吸着に適さないと考えられるためである。
【0041】
また、本発明の酸化マグネシウム系吸着剤は、酸化マグネシウムに対して、鉄塩、アルミニウム塩、酸性剤、ゼオライト又は酸化カルシウムから選択された少なくとも1種以上の無機化合物を混合したものであっても良い。これらは、pH調製剤として働き、汚染水のpHを適切な範囲に調節することができる。当該無機化合物の混合量は、5〜80重量%に調製すれば良い。
【0042】
鉄塩としては、例えば、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、塩化第二鉄等を用いることができる。アルミニウム塩としては、例えば、硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム等を用いることができる。酸性剤としては、例えば、硫酸、ホウ酸等の無機酸や、シュウ酸、クエン酸、リンゴ酸、ベンゼンスルホン酸等の有機酸を用いることができる。また、硫酸アンモニウム、ベンゼンスルホン酸アンモニウム等の強酸と弱塩基との塩や、塩化第ニ鉄、塩化マグネシウム、塩化アンモニウム等の酸性塩を用いることもできる。なお、当該pH調整剤として機能する無機化合物は、単独で用いても良いし、2種以上を用いても良い。
【0043】
汚染水に接触させる酸化マグネシウム系吸着剤の量は特に限定されるものではないが、汚染水の量に対して、0.5〜50重量%程度を使用すれば良い。
【0044】
なお、汚染水と酸化マグネシウム系吸着剤とを接触させる方法はどのようなものでも良い。例えば、マグネシウム系吸着剤の粉末を汚染水に添加して撹拌し、当該汚染水に含まれるセシウムを吸着させた後、生成した懸濁物質を沈降分離する。次に得られたスラリーを、フィルタープレス等を用いて脱水し、固形物として回収する。また別の方法としては、酸化マグネシウム系吸着剤を適当な粒度に成型あるいは造粒した後、カラムに充填し、このカラム中に汚染水を通水して接触させ、当該汚染水に含まれるセシウムを吸着させた後回収すれば良い。
【0045】
[実施例1]
次に実施例について説明する。実施例では、セシウムを含む試験用母材に酸化マグネシウム等を用いて不溶化処理を施した場合の不溶化率を測定した。ここで不溶化率とは、次の式により計算したものをいう。

【0046】
また、試験用母材とは、採取したセシウムを含む土壌を風乾し、中小礫、木片等を除き、土塊、団粒を粗砕した後、非金属製の2mmの目のふるいを通過させて得た土壌を十分混合したものである。
【0047】
不溶化処理は、次の方法で行った。
(1)試験用母材に下記4種類の添加物(A)〜(D)をそれぞれ混合し、1週間気中養生させた後、風乾後に粉砕し2mmのふるいを通過させた試料1〜4を調製した。
(A)酸化マグネシウム:50(kg/m
(B)酸化マグネシウム:35(kg/m)、硫酸第一鉄:10(kg/m)、硫酸アルミニウム:3(kg/m
(C)酸化マグネシウム:40(kg/m)、ゼオライト:10(kg/m
(D)酸化マグネシウム:35(kg/m)、硫酸第一鉄:5(kg/m)、ゼオライト:5(kg/m)、ベントナイト:5(kg/m
(2)試料1〜4および試験用母材に、それぞれに含まれる試験用母材の量(単位g)と純水(ml)の重量体積比が10%となるように混合し、かつその混合液が500ml以上となるように調製する。
(3)調製した試料液を常温(おおむね20℃)常圧(おおむね1気圧)で振とう機(あらかじめ振とう回数を毎分約200回に、振とう幅を4cm以上5cm以下に調整したもの)を用いて、6時間連続して振とうする。
(4)(1)から(3)の操作を行って得られた試料液を10分から30分程度静置後、毎分約3,000回転で20分間遠心分離した後の上澄み液を孔径0.45μmのメンブランフィルターでろ過してろ液を取り、定量に必要な量を正確に計り取って、これを検液とする。
(5)各検液の放射能の量を液体シンチレーションカウンターを用いてそれぞれ測定し、上述した不溶化率を計算により求める。その結果を表1に示す。
【0048】
【表1】

【0049】
このように、酸化マグネシウムは高い不溶化率を示し、放射性セシウムを不溶化することができる。また、酸化マグネシウム単体で用いるよりも、硫酸第一鉄、硫酸アルミニウム、ゼオライト、ベントナイトを併用する方が、放射性セシウムの不溶化を向上することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セシウムが飛散した土壌表面に酸化マグネシウムを散布し、土壌表面を固化させることを特徴とするセシウム汚染土壌表面固化方法。
【請求項2】
前記酸化マグネシウムは、炭酸マグネシウム又は水酸化マグネシウムを600〜900℃の温度で焼成し、比表面積を4000〜20000cm/gに調製したものであることを特徴とする請求項1記載のセシウム汚染土壌表面固化方法。
【請求項3】
前記土壌表面に、前記酸化マグネシウムと共に、鉄塩、アルミニウム塩又は酸性剤から選択された少なくとも1種以上の無機化合物を散布することを特徴とする請求項1又は2記載のセシウム汚染土壌表面固化方法。
【請求項4】
前記土壌表面に、前記酸化マグネシウムと共に、カルシウム、ゼオライト、カオリン、ベントナイト、珪藻土、スラグ、モンモリナイトから選択された少なくとも1種以上の無機化合物を散布することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のセシウム汚染土壌表面固化方法。
【請求項5】
前記土壌表面に、前記酸化マグネシウムと共に、増粘剤を散布することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のセシウム汚染土壌表面固化方法。
【請求項6】
前記土壌表面への総散布量に対する前記無機化合物及び/又は前記増粘剤の散布量が1〜50重量%であることを特徴とする請求項3ないし5のいずれかに記載のセシウム汚染土壌表面固化方法。
【請求項7】
セシウムを含有する土壌に酸化マグネシウムを混合し、前記セシウムを固化・不溶化させることを特徴とするセシウム固化・不溶化方法。
【請求項8】
前記酸化マグネシウムは、炭酸マグネシウム又は水酸化マグネシウムを600〜900℃の温度で焼成し、比表面積を4000〜20000cm/gに調製したものであることを特徴とする請求項7記載のセシウム固化・不溶化方法。
【請求項9】
前記土壌に、前記酸化マグネシウムと共に、鉄塩、アルミニウム塩又は酸性剤から選択された少なくとも1種以上の無機化合物を混合することを特徴とする請求項7又は8記載のセシウム固化・不溶化方法。
【請求項10】
前記土壌に、前記酸化マグネシウムと共に、カルシウム、ゼオライト、カオリン、ベントナイト、珪藻土、スラグ、モンモリナイトから選択された少なくとも1種以上の無機化合物を混合することを特徴とする請求項7ないし9のいずれかに記載のセシウム固化・不溶化方法。
【請求項11】
前記土壌への総混合量に対する前記無機化合物の混合量が1〜50重量%であることを特徴とする請求項7ないし10のいずれかに記載のセシウム固化・不溶化方法。
【請求項12】
酸化マグネシウムと、1〜50重量%の無機化合物及び/又は増粘剤とからなることを特徴とする土壌固化剤。
【請求項13】
前記無機化合物は、少なくとも鉄塩、アルミニウム塩又は酸性剤から選択された1種以上であることを特徴とする請求項12記載の土壌固化剤。
【請求項14】
前記無機化合物は、少なくともカルシウム、ゼオライト、カオリン、ベントナイト、珪藻土、スラグ、モンモリナイトから選択された1種以上であることを特徴とする請求項12又は13記載の土壌固化剤。
【請求項15】
前記酸化マグネシウムは、炭酸マグネシウム又は水酸化マグネシウムを600〜900℃の温度で焼成し、比表面積を4000〜20000cm/gに調製したものであることを特徴とする請求項12ないし14のいずれかに記載の土壌固化剤。
【請求項16】
セシウムを含有する汚染水と酸化マグネシウムを構成物質とする酸化マグネシウム系吸着剤を接触させ、前記セシウムを吸着させることを特徴とするセシウム除去方法。
【請求項17】
前記酸化マグネシウムは、炭酸マグネシウム又は水酸化マグネシウムを600〜900℃の温度で焼成し、比表面積を4000〜20000cm/gに調製したものであることを特徴とする請求項16記載のセシウム除去方法。
【請求項18】
前記酸化マグネシウム系吸着剤は、前記酸化マグネシウムに対して、鉄塩、アルミニウム塩、酸性剤、ゼオライト又は酸化カルシウムから選択された少なくとも1種以上の無機化合物を混合したものであることを特徴とする請求項16又は17記載のセシウム除去方法。
【請求項19】
前記酸化マグネシウム系吸着剤は、前記無機化合物の混合量が5〜80重量%であることを特徴とする請求項16ないし18のいずれかに記載のセシウム除去方法。
【請求項20】
酸化マグネシウムと、5〜80重量%の無機化合物とからなり、前記無機化合物は、少なくとも鉄塩、アルミニウム塩、酸性剤、ゼオライト又は酸化カルシウムから選択された1種以上であることを特徴とする酸化マグネシウム系吸着剤。
【請求項21】
前記酸化マグネシウムは、炭酸マグネシウム又は水酸化マグネシウムを600〜900℃の温度で焼成し、比表面積を4000〜20000cm/gに調製したものであることを特徴とする請求項20記載の酸化マグネシウム系吸着剤。

【公開番号】特開2013−88237(P2013−88237A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−227884(P2011−227884)
【出願日】平成23年10月17日(2011.10.17)
【出願人】(504251333)エヌ・ティ・ティジーピー・エコ株式会社 (13)
【出願人】(391060085)株式会社武井工業所 (1)
【出願人】(500518201)松田技研工業株式会社 (10)
【Fターム(参考)】