説明

セッション管理方法及びサーバ

【課題】利用者が必要としているセッション保持時間を推定し、複数の端末機器間にまたがるセッションを管理する。
【解決手段】複数のクライアント端末からアクセス可能なサーバのセッション管理方法であって、複数のクライアント端末からのアクセスの履歴をアクセス履歴管理データベースに記録し、アクセス履歴管理データベースに基づいて、セッション管理時間を設定し、複数のクライアント端末のうち、アクセスのあった第1のクライアント端末とのセッションを確立し、セッションが確立してから計時を開始し、セッション管理時間が経過したときに、セッションを切断し、セッション管理時間内に第2のクライアント端末からのアクセスがあると、第1のクライアント端末との間で確立されたセッションを第2のクライアント端末との間で継続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はセッション管理方法及びサーバに係り、特に複数の端末機器間にまたがるセッションを管理するセッション管理方法及びサーバに関する。
【背景技術】
【0002】
ウェブサーバ及びクライアントである端末機器は、通常HTTPを用いて通信する。このHTTPは、ページ要求に対して応答を返すだけの、状態を保持しないプロトコルである。
【0003】
したがって、サーバの提供するウェブアプリケーションによっては、サーバ側で、端末機器のページ要求毎に、要求してきた端末機器の識別と、端末機器が送信してきたデータの保持を行う必要がある。そのため、サーバは、端末機器固有の情報を利用して端末機器を識別し、セッション中に端末機器から送信されたデータをメモリ上で保持するというセッション管理機能を持ち、それによって端末機器を識別したデータ保持を行っている。このとき、セッション保持時間内に端末機器からのアプリケーションのページ要求やページ更新がない場合は、セッションを自動的に終了させ、保持しているデータを消去することにより、サーバが過負荷にならないように制御している。
【0004】
このように、セッション管理は、サーバにとって重要な役割を果たすものであり、ユーザの使い勝手を改善するための様々な提案がなされている。
【0005】
例えば、引用文献1には、アクセス経路等のアクセス履歴を活かし、セッション保持時間を算出する技術が記載されている。
【0006】
また、引用例2には、一旦ネットワークが遮断された後に接続が再開した場合に、遮断されたときの状態から再開するための情報としてアクセス履歴を利用する技術が記載されている。
【0007】
さらに、引用例3には、利用者のコンテンツ内での操作情報をアクセス履歴として記録し、使用頻度の高いコンテンツの情報を効率的に端末機器宛に送信する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−141551号公報
【特許文献2】特開平11−265347号公報
【特許文献3】特開2005−78330号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
情報社会の発達に伴い、携帯電話やモバイルPC等、メインとして利用しているPC以外の様々な端末機器を利用する機会が増えている。しかし、サーバへのアクセス中にアクセスする端末機器を変更してしまうと、セッションが遮断されてしまい、セッション保持時間内であっても望みどおりの場所からは再開できず、やり直しが発生してしまう。
【0010】
しかしながら、特許文献1〜3に記載の発明は、いずれも同一端末機器からスムーズにアクセスを再開する方法であり、セッションを異なる端末機器間で保持する技術については言及されていない。また、セッションを異なる端末機器間で保持する場合には、セッションの保持時間を推定することが重要となる。
【0011】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、利用者が必要としているセッション保持時間を推定し、複数の端末機器間にまたがるセッション管理を可能とするセッション管理方法及びサーバを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記目的を達成するために請求項1に記載のセッション管理方法は、ネットワークを介して複数のクライアント端末からアクセス可能なサーバのセッション管理方法であって、前記複数のクライアント端末からのアクセスの履歴をアクセス履歴管理データベースに記録する記録工程と、前記アクセス履歴管理データベースに基づいて、セッション保持時間を設定するセッション保持時間設定工程と、前記複数のクライアント端末のうち、アクセスのあった第1のクライアント端末とのセッションを確立するセッション確立工程と、前記セッションが確立してから計時を開始する計時工程と、前記計時工程の計時結果に基づいて、前記セッション保持時間が経過したときに、前記セッションを切断する切断工程と、前記セッション保持時間内に第2のクライアント端末からのアクセスがあると、前記第1のクライアント端末との間で確立されたセッションを前記第2のクライアント端末との間で継続する継続工程とを備えたことを特徴とする。
【0013】
請求項1に記載の発明によれば、複数のクライアント端末からのアクセスの履歴をアクセス履歴管理データベースに記録し、アクセス履歴管理データベースに基づいてセッション保持時間を設定し、セッション保持時間内に第2のクライアント端末からのアクセスがあると、第1のクライアント端末との間で確立されたセッションを第2のクライアント端末との間で継続するようにしたので、利用者が必要としているセッション保持時間を推定し、複数のクライアント端末間にまたがるセッションを管理することができる。
【0014】
請求項2に示すように請求項1に記載のセッション管理方法において、前記複数のクライアント端末の利用者を利用者情報データベースに記録する利用者登録工程を備え、前記セッション保持時間設定工程は、利用者毎にセッション保持時間を設定することを特徴とする。
【0015】
これにより、適切なセッション保持時間を設定することができる。
【0016】
請求項3に示すように請求項2に記載のセッション管理方法において、前記記録工程は、前記複数のクライアント端末からのアクセス時間を前記アクセス履歴管理データベースに記録し、前記セッション保持時間設定工程は、利用者毎のアクセス時間に基づいて、利用者毎にセッション保持時間を設定することを特徴とする。
【0017】
これにより、適切なセッション保持時間を設定することができる。
【0018】
請求項4に示すように請求項3に記載のセッション管理方法において、前記セッション保持時間設定工程は、利用者毎のアクセス時間の平均値に基づいて、利用者毎にセッション保持時間を設定することを特徴とする。
【0019】
これにより、適切なセッション保持時間を設定することができる。
【0020】
請求項5に示すように請求項3又は4に記載のセッション管理方法において、前記セッション保持時間設定工程は、利用者毎の所定期間内のアクセス時間の平均値に基づいて、利用者毎にセッション保持時間を設定することを特徴とする。
【0021】
これにより、適切なセッション保持時間を設定することができる。
【0022】
請求項6に示すように請求項3から5のいずれかに記載のセッション管理方法において、前記セッション保持時間設定工程は、利用者毎の所定曜日のアクセス時間の平均値に基づいて、利用者毎にセッション保持時間を設定することを特徴とする。
【0023】
これにより、適切なセッション保持時間を設定することができる。
【0024】
請求項7に示すように請求項1から6のいずれかに記載のセッション管理方法において、前記記録工程は、前記複数のクライアント端末のアクセス先毎のアクセス履歴を前記アクセス履歴管理データベースに記録し、前記セッション保持時間設定工程は、アクセス先毎にセッション保持時間を設定することを特徴とする。
【0025】
これにより、適切なセッション保持時間を設定することができる。
【0026】
請求項8に示すように請求項1から7のいずれかに記載のセッション管理方法において、前記継続工程は、前記第1のクライアント端末からのアクセスがない場合に、前記第1のクライアント端末との間で確立されたセッションを前記第2のクライアント端末との間で継続することを特徴とする。
【0027】
これにより、適切に複数のクライアント端末間にまたがるセッションを管理することができる。
【0028】
請求項9に示すように請求項1から8のいずれかに記載のセッション管理方法において、前記継続工程は、前記利用者データベースの登録内容に基づいて、前記第1のクライアント端末との間で確立されたセッションを前記第2のクライアント端末との間で継続することを特徴とする。
【0029】
これにより、端末管理データベースに登録されたクライアント端末間にまたがるセッションだけを継続することができ、セキュリティを強化することができる。
【0030】
請求項10に示すように請求項9に記載のセッション管理方法において、前記端末管理データベースは、クライアント端末毎の所有者情報を備え、前記継続工程は、前記第1のクライアント端末の所有者と前記第2のクライアント端末の所有者が同じである場合に、前記第1のクライアント端末との間で確立されたセッションを前記第2のクライアント端末との間で継続することを特徴とする。
【0031】
これにより、同じ所有者のクライアント端末間にまたがるセッションだけを継続することができ、セキュリティを強化することができる。
【0032】
請求項11に示すように請求項1から10のいずれかに記載のセッション管理方法において、前記アクセス履歴管理データベースに基づいて、前記複数のクライアント端末のクライアント端末毎の利用開始時刻を推定し、前記推定した利用開始時刻に前記クライアント端末から前記サーバへアクセスさせることを特徴とする。
【0033】
これにより、利用者が操作をすることなく、推定した利用開始時刻にサーバへアクセスさせることができる。
【0034】
請求項12に示すように請求項1から11のいずれかに記載のセッション管理方法において、前記記録工程は、前記複数のクライアント端末のアクセス時の位置情報を前記アクセス履歴管理データベースに記録し、前記位置情報に基づいて前記クライアント端末から前記サーバへアクセスさせることを特徴とする。
【0035】
これにより、利用者が操作をすることなく、所望の場所に到着時にサーバへアクセスさせることができる。
【0036】
前記目的を達成するために請求項13に記載のサーバは、ネットワークを介して複数のクライアント端末からアクセス可能なサーバであって、前記複数のクライアント端末からのアクセスの履歴をアクセス履歴管理データベースに記録する記録手段と、前記アクセス履歴管理データベースに基づいて、セッション保持時間を設定するセッション保持時間設定工程と、前記複数のクライアント端末のうちアクセスのあった第1のクライアント端末とのセッションを確立するセッション確立手段と、前記セッションが確立してから計時を開始する計時手段と、前記計時手段の計時結果に基づいて、前記セッション保持時間が経過したときに、前記セッションを切断する切断手段と、前記セッション保持時間内に第2のクライアント端末からのアクセスがあると、前記第1のクライアント端末との間で確立されたセッションを前記第2のクライアント端末との間で継続する継続手段と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0037】
本発明によれば、利用者が必要としているセッション保持時間を推定し、複数の端末機器間にまたがるセッションを管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】セッション管理システムの概略図
【図2】利用者情報管理DBのデータの一例を示す図
【図3】アクセス履歴管理DBのデータの一例を示す図
【図4】セッション管理処理を示すフローチャート
【図5】設定時刻における自動アクセスを説明するための図
【図6】位置情報を利用した自動アクセスを行う場合のアクセス履歴管理DBのデータの一例を示す図
【図7】利用者情報管理DBのデータの一例を示す図
【図8】アクセス履歴管理DBのデータの一例を示す図
【図9】セッション保持時間を推定する処理を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、添付図面に従って本発明に係るセッション管理方法及びサーバの好ましい実施の形態について説明する。
【0040】
<第1の実施形態>
図1は、本発明に係るセッション管理システム10の概略図である。セッション管理システム10は、パーソナルコンピュータ11(以下、PC11とする)、携帯電話12、モバイルPC13、PDA14等の複数のクライアント端末機器、インターネット21、
及びウェブコンテンツサーバ31(以下、サーバ31とする)等から構成される。
【0041】
PC11、モバイルPC13、PDA14は、例えば有線又は無線LAN(Local Area Network)を介してインターネット21に通信可能に接続される。また、携帯電話12は、移動通信事業者のゲートウェイサーバ等を介してインターネット21に接続される。
【0042】
サーバ31は、インターネット21を介して複数のクライアント端末と接続され、各種ウェブコンテンツを提供する。
【0043】
また、サーバ31は、利用者情報管理データベース32(以下、利用者情報管理DB32とする)と、アクセス履歴管理データベース33(以下、アクセス履歴管理DB33とする)を備えており、ウェブコンテンツを利用する利用者毎のクライアント端末の情報とアクセス履歴を管理している。
【0044】
図2は、利用者情報管理DB32に保存された利用者毎の利用者情報データの一例を示す図であり、ここでは利用者Pと利用者Qのデータについて示している。
【0045】
利用者Pは、PC11、携帯電話12、及びモバイルPC13を、サーバ31を利用するためのクライアント端末として予め登録しており、利用者情報管理DB32には、これらのクライアント端末のMACアドレスやユーザエージェント等の機器を特定するための情報が、利用者Pに関連付けて記録されている。
【0046】
また、利用者情報管理DB32には、利用者毎に予め決められたセッション保持時間が記録されており、例えば利用者Pのセッション保持時間は60分となっている。
【0047】
同様に、利用者情報管理DB32には、利用者Qの登録端末機器PDA14のMACアドレスとセッション保持時間が記録されている。
【0048】
次に、アクセス履歴管理DB33について説明する。図3(a)は、アクセス履歴管理DB33に記録された利用者毎のアクセス履歴データの一例を示す図であり、ここでは、利用者Pのアクセス履歴について示している。また、図3(b)は、9月25日における利用者Pの行動を示す図である。サーバ31は、携帯電話12の接続状況を逐次確認し、利用者Pの行動をアクセス履歴管理DB33に記録する。
【0049】
例えば、図3(b)に示すように、利用者Pは、9月25日の7:45に自宅を出て、8:00に最寄り駅に到着し、ここで携帯電話12においてサーバ31にアクセスし、ニュースの閲覧を開始している(アクションA1)。サーバ31は、このアクセスの履歴を、携帯電話12の位置情報と共にアクセス履歴管理DB33に記録する(レコードR1)。携帯電話12の位置情報は、携帯電話12に備えられているGPS機能により取得し、取得した位置情報をサーバ31へ送信する。
【0050】
次に、利用者Pは、8:03に電車に乗り、8:25に地下鉄に乗り換えている(アクションA2)。このため、携帯電話12は電波の届かない場所に移動することになり、サーバ31との接続を保持できなくなっている。サーバ31は、この接続の切断を検出し、切断直前の携帯電話12の位置情報と共にアクセス履歴として記録する(レコードR2)。なお、このときサーバ31と携帯電話12のセッションは切断されないものとする。
【0051】
その後、利用者Pの乗った地下鉄が8:28にある駅に停車したことにより(アクションA3)、再び携帯電話12とサーバ31が接続可能になる。サーバ31は、この再接続を検出し、携帯電話12の位置情報と共にアクセス履歴として記録する(レコードR3)。
【0052】
さらに、利用者Pの乗った地下鉄が8:29にある駅から発車後、利用者Pがニュース閲覧を終了している(アクションA4)。したがって、携帯電話12は、この終了操作を携帯電話12の位置情報と共にアクセス履歴として記録する(レコードR4)。
【0053】
その後、8:45に勤務先に到着した利用者Pは、8:50にPC11を立ち上げ、PC11においてニュース閲覧を開始している(アクションA5)。サーバ31は、このニュース閲覧開始操作を、PC11の位置情報と共にアクセス履歴として記録する(レコードR5)。PC11がGPS機能を有していない場合は、予め住所から算出して入力した位置情報を記録すればよい。
【0054】
また、利用者Pは9:00に始業開始のためにニュース閲覧を終了している。サーバ31は、この終了操作を、PC11の位置情報と共にアクセス履歴として記録する(レコードR6)。
【0055】
このように、サーバ31は、各利用者のアクセス履歴をアクセス履歴管理DB33に記録しておく。
【0056】
図4は、本発明に係るセッション管理処理を示すフローチャートである。ここでは、利用者Pが携帯電話12及びPC11を用いてサーバ31にアクセスする場合について説明する。
【0057】
まず、利用者Pが、携帯電話12を用いてサーバ31が提供するウェブサイトへアクセスする(ステップS21)。アクセスの際は、ユーザ認証のためのユーザ名やパスワードを入力する。
【0058】
サーバ31は、ユーザ名やパスワードからユーザ認証を行うと共に、携帯電話12から端末情報(ユーザエージェント)を取得し(ステップS1)、アクセスの可否を判断する(ステップS2)。アクセス可否判断は、ユーザ認証の他に、利用者情報管理DB32に登録されているクライアント端末であるか、及び同じ利用者(ここでは利用者P)の他の端末(ここではPC11やモバイルPC13)からサーバ31にアクセスされていないか、の2点について判定することにより行う。
【0059】
その結果、ユーザ認証に失敗した場合、利用者情報管理DB32に登録されていない機器からのアクセスである場合、又は同じ利用者が他の端末からアクセスを行っている場合は、アクセス不可と判断し、携帯電話12にアクセスが不可能(接続エラー)である旨を通知する(ステップS22)。
【0060】
これらに該当せず、アクセスが可能の場合は、アクセス履歴管理DB33の、利用者Pにおける携帯電話12の使用開始時間を更新し(ステップS3)、利用者情報管理DB32に記録されている利用者Pのセッション保持時間を読み出し、読み出したセッション保持時間を設定して、携帯電話12とのセッションを確立する(ステップS4)。
【0061】
セッションが確立すると、利用者Pは、携帯電話12においてアクセスしたウェブサイトでの作業を行うことができる(ステップS23)。例えば、サーバ31が業務管理サイトを提供している場合は、サイト内で業務用文書の作成や編集を行うことができ、ショッピングサイトを提供している場合には、注文情報の入力を行うことができる。
【0062】
その後、ウェブサイトでの作業中に、利用者Pと携帯電話12が電波の届かない場所へ移動したり、利用者Pが携帯電話12の電源を切ったりしたことにより、サーバ31との通信が不可能になったとする(ステップS24)。
【0063】
サーバ31は、携帯電話12からのアクセスが無くなったことを検知すると(ステップS5)、ステップS4において設定されたセッション保持時間が経過したか否かを判定する(ステップS6)。
【0064】
設定されたセッション保持時間内である場合にはセッションを保持したまま(ステップS7)、設定されたセッション保持時間が経過している場合にはセッションを切断し、アクセス履歴管理DB33の利用者Pにおける携帯電話12の使用終了時間を更新する(ステップS8)。
【0065】
次に、利用者Pが、PC11を用いてサーバ31が提供するウェブサイトへアクセスしたとする(ステップS31)。
【0066】
サーバ31は、PC11からアクセス端末情報を取得し(ステップS9)、アクセスの可否を判断する(ステップS10)。アクセス可否判断は、ステップS2の場合と同様に行い、アクセスが不可と判断した場合は、PC11に接続エラーである旨を通知する(ステップS32)。
【0067】
アクセス可能の場合は、アクセス履歴管理DB33の利用者PにおけるPC11の使用開始時間を更新し(ステップS11)、現在サーバ31と利用者Pとのセッションが保持されているか否かを判定する(ステップS12)。
【0068】
セッションが保持されている場合は、その状態(ここでは、ステップS23における携帯電話12での作業の最後の状態)からセッションを再開する(ステップS13)。また、セッションが保持されていない場合は、利用者情報管理DB32に記録されている利用者Pのセッション保持時間を読み出し、読み出したセッション保持時間を設定して、PC11とのセッションを確立する(ステップS14)。
【0069】
このようにしてセッションが再開又は確立され、利用者Pは、PC11においてアクセスしたウェブサイトでの作業を行うことができる(ステップS33)。セッションが再開された場合には、前回の作業の続きを行うことが可能である。
【0070】
その後、ウェブブラウザを終了する等により、PC11における作業を終了すると(ステップS34)、サーバ31は、PC11において作業が終了したことを検知し、設定されたセッション保持時間が経過しているか否かを判定する(ステップS15)。
【0071】
設定されたセッション保持時間内である場合にはセッションを保持したまま(ステップS16)、設定されたセッション保持時間が経過している場合にはセッションを切断し、アクセス履歴管理DB33の利用者PにおけるPC11の使用終了時間を更新する(ステップS17)。
【0072】
したがって、利用者Pは、PC11や携帯電話12等の登録されているクライアント端末を用いてサーバ31に再びアクセスした場合に、セッション保持時間内であればセッションが保持されているために、ステップS33においてPC11において行っていた作業を、ステップS34において中断したところから再開することができる。
【0073】
このように、クライアント端末からの接続が遮断された場合であっても、セッション保持時間内であればセッションを保持しておくことで、同じ利用者の他のクライアント端末からのアクセスがあった場合に、接続が遮断されたところからセッションを再開させることができ、利用者は同じ作業を初めから行う必要が無く、利便性の高いシステムを提供することができる。
【0074】
なお、サーバ31がアクセス履歴管理DB33を作成するのではなく、利用者が自己のスケジュールをサーバ31に予め登録し、この登録されたスケジュールに応じてセッション保持時間を決定してもよい。
【0075】
また、サーバ31は、利用者情報管理DB32に登録されている開始時刻を、利用者のクライアント端末に予めインストールされた専用ソフトウェアへ送信しておき、クライアント端末の専用ソフトウェアは、受信した開始時間になるとサーバ31へ自動的にアクセスするように構成してもよい。
【0076】
例えば、図5に示すように、利用者情報管理DB32に、あるウェブサイトの利用者PのPC11における利用開始時刻が8:50、携帯電話12における利用開始時刻が8:00及び8:28として登録されているとする。サーバ31は、PC11に予めインストールされている専用ソフトウェアに利用開始時刻8:50を送信し、携帯電話12に予めインストールされている専用ソフトウェアに利用開始時刻8:00及び8:28を送信する。
【0077】
各クライアント端末の専用ソフトウェアは、サーバ31から送信されてきた利用開始時刻を起動時刻として設定する。
【0078】
その後、起動時刻に到達すると、各クライアント端末の専用ソフトウェアは、サーバ31の該当ウェブサイトへ自動でアクセスする。
【0079】
例えば、携帯電話12の利用開始時刻である8:00になると、携帯電話12はサーバ31へ自動的にアクセスを行い、PC11の利用開始時刻である8:50になると、PC11はサーバ31へ自動的にアクセスを行う。
【0080】
この例では、8:50にPC11がサーバ31の該当ウェブサイトへアクセスしたときに、携帯電話12とサーバ31との接続が継続している場合も考えられる。このような場合には、サーバ31は、先に接続されている携帯電話12との接続を優先し、PC11からのアクセスは受け付けない。PC11は、定期的にアクセスをリトライし、接続が空き状態(すなわち、サーバ31と携帯電話12との接続が終了した状態)になったときにサーバ31への接続が可能となる。
【0081】
このように構成することで、利用者が逐次サーバ31へアクセスを行う必要が無く、開始時刻になればすぐに作業を継続することができる。
【0082】
なお、専用ソフトウェアが自動的にアクセスするウェブサイトは1つに限られず、複数のウェブサイトを登録可能に構成することが好ましい。また、利用開始時刻は、利用者が各クライアント端末の専用ソフトウェアに登録するように構成してもよい。
【0083】
さらに、位置情報を利用することにより、クライアント端末の専用ソフトウェアにウェブサイトへのアクセスを要求するように構成してもよい。例えば、クライアント端末のGPS情報が取得不能となったことを検出し、このことから使用者が地下鉄に乗ったと判断し、地上に出る時間を推定する。
【0084】
サーバ31は、アクセス履歴管理DB33に記録されたアクセス履歴に基づいて、遮断されたクライアント端末が再び接続可能となる時間を推定し、接続可能時間になったら、サーバ31はクライアント端末の専用ソフトウェアに起動要求を出し、クライアント端末は、専用ソフトウェアからサーバ31へアクセスする。
【0085】
また、アクセス履歴管理DB33に基づいて、再接続するクライアント端末と通信が遮断されたクライアント端末とが異なると判断した場合は、サーバ31は、再接続するクライアント端末へ起動用要求を出してもよい。
【0086】
図6は、位置情報を利用して自動的に再接続させる場合のアクセス履歴管理DB33の一例であり、利用者Pの1月5日のアクセス履歴を示した図である。
【0087】
同図に示すように、利用者Pの携帯電話12によりGPS情報を5分おきに取得する。また、サイトへのアクセス開始時、及びアクセス終了時にもGPS情報を取得する。なお、同図において網がけ部分がGPS情報の定期取得による接続を示している。これらのGPS情報は、携帯電話12からサーバ31を介してアクセス履歴管理DB33に随時記録される。
【0088】
この例では、7:48から8:08までは、GPS情報の取得に失敗しており、利用者Pが地下にいることが推測できる。また、7:45における最後のGPS情報Bと、再びGPS情報が取得できるようになった8:10のGPS情報Cから、利用者Pが地下鉄に乗って特定の駅から駅へ移動していたことが推測できる。
【0089】
このような履歴を毎日同様に取得してアクセス履歴管理DB33に記録していくことで、使用者毎の平均的な利用状況が推測可能となる。このアクセス履歴管理DB33に基づいて、所定の時間に携帯電話12の専用ソフトウェアにウェブサイトへのアクセスを要求するようにすればよい。例えば、図6の例では、携帯電話12から取得したGPS情報がCとなった時点でアクセスを要求することで、利用者Pは地下鉄から降りるとすぐにサーバ31のウェブサイトが利用可能となる。
【0090】
このように、アクセス履歴の位置情報を活用することにより、より利便性の高いシステムを提供することができる。
【0091】
<第2の実施形態>
第2の実施形態のセッション管理システムでは、利用者毎にセッション保持時間を推定し、利用者管理DB32に保存する。ここでは、さらに接続先に応じてセッション保持時間を推定する。
【0092】
図7は、利用者情報管理DB32に保存された利用者毎の利用者情報データの一例を示す図であり、ここでは利用者Pの接続先毎のデータについて示している。
【0093】
例えば、社内のポータルサイトであるサイトAについては、サイトAのURL、サイトAを利用するために予め登録されているクライアント端末情報である携帯電話12のユーザエージェントとPC11のMACアドレス、サイトAにおける利用者Pのセッション保持時間、及びサイトAへの最終アクセス日時が記録されている。
【0094】
最終アクセス日時は、利用者PがサイトAにアクセスし、セッションが確立された時刻である。サーバ31は、この時刻と、セッション保持時間とに基づいて、利用者PのサイトAとのセッションを保持させる。すなわち、サーバ31は、利用者Pからのアクセスが無くなった時点で最終アクセス日時からセッション保持時間が経過している場合に、セッションを切断する。
【0095】
この最終アクセス日時は、日別に最後の最終アクセス日時が格納される。例えば、11月13日の例であれば、最初のアクセスが9:01であり、10:01に終了している。これを1回の利用と考え、この間の最終アクセス日時は、通信の遮断や中断にかかわらず更新されることはない。
【0096】
その後、12:00に再びアクセスされたときに、最終アクセス日時が更新され、この日の2度目の利用となる。2度目の利用では、更新された最終アクセス時間である12:00と、セッション保持時間60分とに基づいて、セッションが保持される。すなわち、利用者Pが最終アクセス日時から60分以内にアクセスした場合には続きから開始し、60分を超えた場合にはセッションが保持されていないため、最初からやり直しとなる。
【0097】
このように、最後のアクセス日時を格納することで、1日に複数回利用する場合であっても、適切にセッションの保持が可能となるとともに、後述するようにアクセス履歴から利用可能時間の推定が容易に行うことができる。
【0098】
サイトAと同様に、出張費の旅費精算サイトであるサイトBについても、サイトBのURL、サイトBを利用するために予め登録されているクライアント端末情報である携帯電話12のユーザエージェント、サイトBにおける利用者Pのセッション保持時間、及びサイトBへの最終アクセス日時が記録されている。
【0099】
なお、図7では省略されているが、各サイトにおけるセッション保持時間は、利用をする曜日によって異なる時間が設定されている。
【0100】
次に、アクセス履歴管理DB33について説明する。図8は、アクセス履歴管理DB33に記録された利用者Pの11月1日から11月15日までのアクセス履歴について示した図であり、図8(a)はサイトA、図8(b)はサイトBのアクセス履歴について示している。ここでは期間を限定して表しているが、実際にはアクセス履歴管理DB33には、全ての日のアクセス履歴について記録される。
【0101】
例えば、図8(a)に示すように、サイトAについて、日毎の利用開始時刻と利用終了時刻、そこから算出した利用時間、アクセス端末情報が記録されている。同様に、図8(b)に示すように、サイトBについて、日毎の利用開始時刻と利用終了時刻、そこから算出した利用時間、アクセス端末情報が記録されている。アクセス履歴の取得は、第1の実施形態と同様である。
【0102】
次に、利用者毎、接続先毎、さらに曜日毎のセッション保持時間を推定する処理について、図9を用いて説明する。
【0103】
最初に、アクセス履歴管理DB33のデータに基づいて、セッション保持時間を推定しようとする利用者、接続先の全期間の利用時間の平均値である平均時間Aを算出する(ステップS101)。例えば、アクセス履歴管理DB33のうち、図8(a)に示す利用者PのサイトAの利用時間から、全期間の利用時間を抽出し、その平均時間Aを算出する。なお、サイトを利用する場合のセッション保持時間を推定するものであるから、平均時間Aは、利用をしていない日を除き、利用した日における利用時間の平均値とすることが好ましい。また、1日に複数回利用している場合には、その両方の時間を含めて平均時間Aを算出する。
【0104】
次に、セッション保持時間を推定しようとする利用者、接続先の最近1ヶ月間の利用時間の平均値である平均時間Bを算出する(ステップS102)。
【0105】
さらに、セッション保持時間を推定しようとする利用者、接続先の全期間の曜日別の利用時間の平均値である平均時間C(Csun、Cmon、Ctue、・・・、Csat)を算出する(ステップS103)。
【0106】
なお、平均時間B、平均時間Cについても、利用をしていない日を除いて算出することが好ましい。
【0107】
次に、平均時間Aと平均時間Bとを比較し、どちらが長いかを判断する(ステップS104)。
【0108】
平均時間Aの方が長い場合は、さらに、平均時間Bと平均時間Cとを比較し、どちらが長いかを判断する(ステップS105)。平均時間Cは、セッション保持時間を算出しようとする曜日の時間を用いる。ここで、平均時間Bと平均時間Cのうち、長い方をセッション保持時間とする(ステップS106、S107)。
【0109】
ステップS104において、平均時間Bの方が長い場合は、さらに、平均時間Aと平均時間Cとを比較し、どちらが長いかを判断する(ステップS108)。平均時間Cは、同様に、セッション保持時間を算出しようとする曜日の時間を用いる。ここでも、平均時間Aと平均時間Cのうち、長い方をセッション保持時間とする(ステップS109、S110)。
【0110】
このように推定したセッション保持時間を、利用者情報管理DB32に記録する。この処理を繰り返すことにより、利用者毎、接続先毎、曜日毎のセッション保持時間を推定することができる。
【符号の説明】
【0111】
10…セッション管理システム、11…パーソナルコンピュータ(PC)、12…携帯電話、13…モバイルPC、14…PDA、21…インターネット、31…ウェブコンテンツサーバ、32…利用者情報管理データベース、33…アクセス履歴管理データベース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介して複数のクライアント端末からアクセス可能なサーバのセッション管理方法であって、
前記複数のクライアント端末からのアクセスの履歴をアクセス履歴管理データベースに記録する記録工程と、
前記アクセス履歴管理データベースに基づいて、セッション保持時間を設定するセッション保持時間設定工程と、
前記複数のクライアント端末のうち、アクセスのあった第1のクライアント端末とのセッションを確立するセッション確立工程と、
前記セッションが確立してから計時を開始する計時工程と、
前記計時工程の計時結果に基づいて、前記セッション保持時間が経過したときに、前記セッションを切断する切断工程と、
前記セッション保持時間内に第2のクライアント端末からのアクセスがあると、前記第1のクライアント端末との間で確立されたセッションを前記第2のクライアント端末との間で継続する継続工程と、
を備えたことを特徴とするセッション管理方法。
【請求項2】
前記複数のクライアント端末の利用者を利用者情報データベースに記録する利用者登録工程を備え、
前記セッション保持時間設定工程は、利用者毎にセッション保持時間を設定することを特徴とする請求項1に記載のセッション管理方法。
【請求項3】
前記記録工程は、前記複数のクライアント端末からのアクセス時間を前記アクセス履歴管理データベースに記録し、
前記セッション保持時間設定工程は、利用者毎のアクセス時間に基づいて、利用者毎にセッション保持時間を設定することを特徴とする請求項2に記載のセッション管理方法。
【請求項4】
前記セッション保持時間設定工程は、利用者毎のアクセス時間の平均値に基づいて、利用者毎にセッション保持時間を設定することを特徴とする請求項3に記載のセッション管理方法。
【請求項5】
前記セッション保持時間設定工程は、利用者毎の所定期間内のアクセス時間の平均値に基づいて、利用者毎にセッション保持時間を設定することを特徴とする請求項3又は4に記載のセッション管理方法。
【請求項6】
前記セッション保持時間設定工程は、利用者毎の所定曜日のアクセス時間の平均値に基づいて、利用者毎にセッション保持時間を設定することを特徴とする請求項3から5のいずれかに記載のセッション管理方法。
【請求項7】
前記記録工程は、前記複数のクライアント端末のアクセス先毎のアクセス履歴を前記アクセス履歴管理データベースに記録し、
前記セッション保持時間設定工程は、アクセス先毎にセッション保持時間を設定することを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のセッション管理方法。
【請求項8】
前記継続工程は、前記第1のクライアント端末からのアクセスがない場合に、前記第1のクライアント端末との間で確立されたセッションを前記第2のクライアント端末との間で継続することを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載のセッション管理方法。
【請求項9】
前記継続工程は、前記利用者情報データベースの登録内容に基づいて、前記第1のクライアント端末との間で確立されたセッションを前記第2のクライアント端末との間で継続することを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載のセッション管理方法。
【請求項10】
前記継続工程は、前記第1のクライアント端末の所有者と前記第2のクライアント端末の所有者が同じである場合に、前記第1のクライアント端末との間で確立されたセッションを前記第2のクライアント端末との間で継続することを特徴とする請求項9に記載のセッション管理方法。
【請求項11】
予め登録されたクライアント端末毎の利用開始時刻に前記クライアント端末から前記サーバへアクセスさせることを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載のセッション管理方法。
【請求項12】
前記記録工程は、前記複数のクライアント端末のアクセス時の位置情報を前記アクセス履歴管理データベースに記録し、
前記位置情報に基づいて前記クライアント端末から前記サーバへアクセスさせることを特徴とする請求項1から11のいずれかに記載のセッション管理方法。
【請求項13】
ネットワークを介して複数のクライアント端末からアクセス可能なサーバであって、
前記複数のクライアント端末からのアクセスの履歴をアクセス履歴管理データベースに記録する記録手段と、
前記アクセス履歴管理データベースに基づいて、セッション保持時間を設定するセッション保持時間設定工程と、
前記複数のクライアント端末のうちアクセスのあった第1のクライアント端末とのセッションを確立するセッション確立手段と、
前記セッションが確立してから計時を開始する計時手段と、
前記計時手段の計時結果に基づいて、前記セッション保持時間が経過したときに、前記セッションを切断する切断手段と、
前記セッション保持時間内に第2のクライアント端末からのアクセスがあると、前記第1のクライアント端末との間で確立されたセッションを前記第2のクライアント端末との間で継続する継続手段と、
を備えたことを特徴とするサーバ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−170773(P2011−170773A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−36278(P2010−36278)
【出願日】平成22年2月22日(2010.2.22)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】