説明

セパレータ溶着装置、およびセパレータの溶着方法

【課題】一対のセパレータを溶着するのに要するサイクルタイムを短縮して、セパレータ溶着作業の効率化を図る。
【解決手段】セパレータ溶着装置を適用してなる袋詰電極20の製造装置100は、一対のセパレータ30同士を接合する接合チップ302、303と、一対のセパレータを押さえる押さえ部304とを備える接合ヘッド301を有している。接合ヘッドをセパレータに対して相対的に接近移動させ、押さえ部によってセパレータを押さえた後に、接合チップによって一対のセパレータ同士を接合する。一方、接合ヘッドをセパレータに対して相対的に離反移動させ、接合チップを一対のセパレータから離反させた後に、押さえ部によるセパレータWの押さえを解除する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セパレータ溶着装置、およびセパレータの溶着方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一対のセパレータの間に電極を袋詰してなる袋詰電極が知られている(特許文献1を参照)。
【0003】
特許文献1に記載の技術にあっては、袋詰の際、セパレータ間に正極を配置して、セパレータを押さえ部材で押さえてから、セパレータの外周を溶着部材で熱溶着している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】2007−329111号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の技術にあっては、セパレータの押さえと、熱溶着とがそれぞれ別の工程によって実行されるので、サイクルタイムが大きくなってしまうという問題がある。
【0006】
本発明の目的は、一対のセパレータを溶着するのに要するサイクルタイムを短縮して、セパレータ溶着作業の効率化を図り、もって、電池全体の製造の効率化に寄与し得る、セパレータ溶着装置、およびセパレータの溶着方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための本発明のセパレータ溶着装置は、一対のセパレータを溶着する溶着装置であって、前記一対のセパレータに対して相対的に接近離反移動自在な接合ヘッドと、前記接合ヘッドに取り付けられ前記セパレータ同士を接合する接合チップと、前記接合チップの先端を越える前進位置と前記前進位置から退避する後退位置との間で進退移動自在な、前記セパレータを押さえる押さえ部と、前記接合ヘッドと前記押さえ部との間に設けられ、前記押さえ部を前記前進位置に向けて移動させる付勢力を前記押さえ部に付勢する付勢部材と、を有する接合部を含んでいる。前記接合ヘッドが前記セパレータに対して相対的に接近移動することによって、前記押さえ部が前記セパレータに接触して前記前進位置から前記後退位置まで後退移動し、前記接合チップの前記先端が前記セパレータに接触して接合する。一方、前記接合チップの前記先端が前記セパレータに接触した状態から前記接合ヘッドが前記セパレータに対して相対的に離反移動することによって、前記押さえ部が前記セパレータを押さえたままの状態で、前記接合チップの前記先端が前記セパレータから離反し、前記押さえ部が前記付勢部材の付勢力によって前記後退位置から前記前進位置まで前進移動して前記セパレータから離反する。
【0008】
上記目的を達成するための本発明のセパレータの溶着方法は、一対のセパレータを溶着する溶着方法であって、前記一対のセパレータ同士を接合する接合チップと、前記一対のセパレータを押さえる押さえ部とを備える接合ヘッドを前記セパレータに対して相対的に接近移動させ、前記押さえ部によって前記セパレータを押さえた後に、前記接合チップによって前記一対のセパレータ同士を接合している。一方、前記接合ヘッドを前記セパレータに対して相対的に離反移動させ、前記接合チップを前記一対のセパレータから離反させた後に、前記押さえ部による前記セパレータの押さえを解除している。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、一つの工程内で、接合ヘッドをセパレータに対して相対的に接近移動させるというワンアクションによって、押さえ部によるセパレータの押さえと、接合チップによる接合とを行うことができるので、サイクルタイムを低減することができる。このように、一対のセパレータを溶着するのに要するサイクルタイムを短縮して、セパレータ溶着作業の効率化を図り、もって、電池全体の製造の効率化に寄与することが可能となる。また、押さえ部がセパレータを押さえてから、接合チップによる接合を行っているので、精度よく接合を行うことができる。さらに、接合後は、接合チップがセパレータから離れるまで、押さえ部がセパレータを押さえている。このため、接合チップの先端が接合点から離れるときに、接合したセパレータ同士を引き剥がしてしまう虞がない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1(A)は、袋詰電極の一例を示す図、図1(B)は、電極および一対のセパレータを搬送しながら搬送方向の前端側から順次重ねる様子を模式的に示す斜視図である。
【図2】図2(A)(B)は、図1に2点鎖線によって囲まれた部位2を拡大して示す図であり、一対のセパレータ同士を接合する「前端」の位置の説明に使用する説明図である。
【図3】セパレータ溶着装置を適用してなる袋詰電極の製造装置の要部を示す構成図である。
【図4】袋詰電極の製造装置の制御系を示すブロック図である。
【図5】図5(A)は、第1の接合部を示す平面図、図5(B)は、図5(A)の5B−5B線に沿う断面図、図5(C)は、図5(A)の5C−5C線に沿う断面図であり、セパレータの側方縁同士における前端を接合する1回目の接合動作時の状態を示す図である。
【図6】図6(A)は、第2の接合部を示す平面図、図6(B)は、図6(A)の6B−6B線に沿う断面図である。
【図7】第1の接合部によって、セパレータの側方縁同士を接合する2回目以降の接合動作時の状態を示す図である。
【図8】第1の接合部における押さえ部の形状を拡大して示す断面図である。
【図9】図9(A)は、接合ヘッドがワークに対して接近移動する前の状態を示す図、図9(B)は、接合ヘッドがワークに対して接近移動して押さえ部がワークに接触した状態を示す図である。
【図10】図10(A)は、押さえ部がワークに接触して前進位置から後退位置まで後退移動し、接合チップの先端がワークに接触した状態を示す図、図10(B)は、図10(A)の状態から接合ヘッドがワークに対して離反移動することによって、押さえ部がワークを押さえたままの状態で、接合チップの先端がワークから離反した状態を示す図である。
【図11】図11(A)〜(H)は、第1の接合部における押さえ部の往復移動の動作を模式的に示す図である。
【図12】図12(A)〜(G)は、第1の接合部における1回目の接合動作を模式的に示す図である。
【図13】円柱回転体によって搬送されるワークの搬送速度と、複数回にわたって往復移動する第1の接合部の速度の変化を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付した図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる。
【0012】
なお、図1(A)(B)および図3に示される矢印aは、袋詰電極20を製造するときに電極40および一対のセパレータ30を搬送する搬送方向を示している。図1(A)(B)および図3において図中右側が搬送方向の下流側であり、各部材における「前」といい、図中左側が搬送方向の上流側であり、各部材における「後」という。また、搬送方向と交差する方向に位置するセパレータの縁を「側方縁」といい、搬送方向に位置するセパレータの縁を「前方縁」「後方縁」という。一対のセパレータ30の間に電極40が挟まれた積層体であって、セパレータ30同士の接合が終了する前の積層体を「ワークW」ともいう。
【0013】
図1(A)(B)を参照して、袋詰電極20は、正極または負極の電極40を一対のセパレータ30によって袋状に包装している。本実施形態にあっては、正極を袋詰電極20としている。電極40は、金属箔の両面に活物質を塗布した本体部41と、金属箔の一部から形成され他の部材と電気的に接続するタブ42と、を備えている。セパレータ30は、樹脂材料からなる薄膜であり、電極40の本体部41よりもやや大きい大きさを有している。電極40の本体部41のみを一対のセパレータ30によって挟み込み、電極40のタブ42を外部に臨ませている。重ねられた一対のセパレータ30の側方縁31同士を接合している。また、重ねられた一対のセパレータ30の前方縁32または後方縁33の少なくとも一方の縁同士を接合している。図1(A)に示す例では、重ねられた一対のセパレータ30の後方縁33同士を接合している。側方縁31での接合点50は例えば5点、後方縁33での接合点50は例えば4点である。
【0014】
図2(A)(B)を参照して、本明細書において、セパレータ30同士を接合する「前端51」の位置について説明する。セパレータ30同士を接合する「前端51」は、重ね合わされたセパレータ30のいわゆる口開きを抑え得る観点から自由に設定することができ、例えば、電極40の本体部41に揃う位置(図2(A))や、文字どおりのセパレータ30の角部(図2(B))のほか、活物質の塗布ラインに揃う位置であってもよい。
【0015】
図3を参照して、セパレータ溶着装置を適用してなる袋詰電極20の製造装置100は、概説すると、電極40および一対のセパレータ30を搬送しながら搬送方向の前端51側から順次重ねる搬送部200と、一対のセパレータ30の側方縁31同士を接合する第1の接合部300と、一対のセパレータ30の前方縁32また後方縁33の少なくとも一方の縁同士を接合する第2の接合部400と、を有している。そして、搬送部200によって搬送されながら順次重なる一対のセパレータ30の側方縁31同士を搬送方向の前端51側から第1の接合部300によって順次接合し、搬送部200による搬送を停止した状態で一対のセパレータ30の前方縁32また後方縁33の少なくとも一方の縁同士を第2の接合部400によって接合している。図示例では、第2の接合部400は、一対のセパレータ30の後方縁33同士を接合している。以下、詳述する。
【0016】
搬送部200は、一対のセパレータ30のそれぞれを保持する一対の円柱回転体である積層ドラム210、220と、一対の積層ドラム210、220の上流側に配置された電極搬入部230と、一対の積層ドラム210、220の下流側に配置された複数個の下流側搬送部241、242と、を含んでいる。一対の積層ドラム210、220の間に、ワークWを挟持するニップ部215を形成している。ニップ部215の隙間寸法は、ワークWの厚さによって適宜調整される。電極搬入部230は、所定形状に形成された電極40をニップ部215に接線方向に沿って送り込む。下流側搬送部241、242は、重ねられた電極40および一対のセパレータ30を搬送するために複数設けられている。図示例では2個の下流側搬送部241、242を設けて、下流側搬送部241、242同士の間に第2の接合部400を配置してある。
【0017】
電極搬入部230は、例えば、電極40を吸着して搬送自在な吸着装置231と、吸着装置231によって搬送されてきた電極40を支持する支持ローラ232と、電極40をニップ部215に接線方向に沿って送り込む一対の搬入ローラ233とを有している。吸着装置231は、垂直に下降して電極40を吸着し、電極40の略水平状態を維持したまま上昇した後、搬送方向の下流側に移動する。搬入ローラ233のそれぞれは、吸着装置231によって搬送された電極40に対して接近離反移動自在に設けられ、電極40を挟み込んで回転することによって電極40をニップ部215に接線方向に沿って送り込む。なお、吸着装置231によって吸着する電極40の位置が、搬送方向にずれていたり、搬送方向に対して斜めにずれていたりする場合がある。電極搬入部230では、吸着装置231によって電極40を吸着する前に、これから吸着搬送しようとする電極40の位置ずれをセンサカメラによって予め検出している。吸着装置231は、電極40を吸着した後、電極40の姿勢を適正な姿勢に修正しながら移動する。これによって、電極40を、適正な姿勢の状態において、ニップ部215に搬送する。
【0018】
一対の積層ドラム210、220は、上下方向に対をなして配置され、それぞれが円柱形状を有している。一対の積層ドラム210、220は、搬送方向に直交しながら、所定の隙間を隔てて、回転軸が互いに平行に対向する態様で配置されている。積層ドラム210、220のそれぞれは、周面が、セパレータ30を保持する保持面211、221となっている。積層ドラム210、220は、所定形状に形成されたセパレータ30を周面上に保持しながら搬送する。積層ドラム210、220の保持面211、221における回転軸方向の幅は、セパレータ30の幅よりも狭い。搬送部200は、一対のセパレータ30のそれぞれを、側方縁31のそれぞれが保持面211、221を超えてはみ出た状態で搬送する。
【0019】
積層ドラム210、220の保持面211、221にセパレータ30を保持する手段については特に限定されないが、吸引吸着あるいは静電吸着などを適用することができる。例えば、吸引吸着式にあっては、保持面211、221は、複数の空気吸引孔を有している。これら空気吸引孔から空気を吸引することによって、セパレータ30を保持面211、221に保持する。
【0020】
一対の積層ドラム210、220は、ニップ部215において搬送方向の前方に向けて同方向に回転する。すなわち、上側の積層ドラム210は、図3において反時計回り方向に回転することによって、保持面211に貼り付けられたセパレータ30をニップ部215に向けて搬送する。下側の積層ドラム220は、時計回り方向に回転することによって、保持面221に貼り付けられたセパレータ30をニップ部215に向けて搬送する。一対の積層ドラム210、220は、回転軸に接続された積層ドラム用駆動モータ501によって、同期して回転駆動される。制御部500が、積層ドラム用駆動モータ501の回転制御を行う。
【0021】
電極搬入部230が、積層ドラム210、220の回転と同期して、電極40を略水平状態に搬送してニップ部215に接線方向に沿って送り込む。一方、一対の積層ドラム210、220が、保持面211、221に貼り付けたセパレータ30を回転にしたがってニップ部215に送り込む。これにより、搬送部200は、電極40および一対のセパレータ30を搬送しながら搬送方向の前端51側から順次重ねて積層することができる。
【0022】
セパレータ30は、図示しないセパレータロールから順次繰り出されてくる連続したセパレータ部材34から切り出して形成している。一対の積層ドラム210、220のそれぞれには、セパレータ部材34を積層ドラム210、220との間で挟持するタイミングローラ212、222が配置されている。制御部500が、タイミングローラ212、222の作動を制御し、セパレータ部材34を積層ドラム210、220に送り出すタイミングの制御を行う。上側の積層ドラム210の上方に上側のセパレータカッター213を設け、下側の積層ドラム220の下方に下側のセパレータカッター223を設けている。タイミングローラ212、222がセパレータ部材34を積層ドラム210、220に送り出すと、セパレータ部材34が積層ドラム210、220の保持面211、221に貼り付いて搬送される。セパレータ部材34が所定位置まで搬送されたタイミングでセパレータカッター213、223を作動させることによって、セパレータ部材34から所定形状のセパレータ30が切り出される。
【0023】
2個の下流側搬送部241、242は、例えば、積層ドラム210、220のニップ部215から送り出されるワークWを載置して搬送する第1のコンベア241と、第1のコンベア241の下流側に配置されセパレータ30の側方縁31同士の接合が終了したワークWを載置して搬送する第2のコンベア242から構成される。第1のコンベア241と第2のコンベア242との間に第2の接合部400が配置されている。一対のセパレータ30の後方縁33同士を第2の接合部400によって接合した後においては、第2のコンベア242は、製造された袋詰電極20を、次工程の処理を行うステージに向けて搬送する。第1と第2のコンベア241、242は、例えば吸着コンベアから構成することができる。第1と第2のコンベア241、242の幅は、セパレータ30の幅よりも狭い寸法を有し、後述する第1の接合部300の往復移動と干渉しないようにしている(図6(A)を参照)。第1と第2のコンベア241、242は、ローラに接続されたコンベア用駆動モータ502、503によって、ワークWの搬送に同期して回転駆動される。制御部500が、コンベア用駆動モータ502、503の回転制御を行う。なお、複数の下流側搬送部241、242としてコンベアを使用しているが、吸着ハンドなど他の搬送装置を使用してもよい。
【0024】
第1の接合部300は、重ねられた電極40および一対のセパレータ30を搬送する搬送路、つまりワークWの搬送路を挟んで向かい合って、上下に一対設けてある(図5(B)(C)を参照)。第2の接合部400も、ワークWの搬送路を挟んで向かい合って、上下に一対設けてある。(図6(B)を参照)。対をなすセパレータ30の両面のそれぞれから接合することになるので、片面のみから接合する場合に比べて、均一な接合状態を作り出すことができる。また、セパレータ30の材質、特に、熱的な性質が異なるセパレータ30を適用する場合に、接合条件の最適化のための調整が容易となる。
【0025】
第1と第2の接合部300、400において、重ねられた一対のセパレータ30の縁同士を接合する手段については特に限定されず、熱溶着、圧着、接着または溶接のいずれかの手段を適用することができる。本実施形態にあっては、接合は、熱溶着により行っている。樹脂製のセパレータ30同士を簡単に接合することができるからである。
【0026】
図5および図7を参照して、第1の接合部300は、ワークWに対して相対的に接近離反移動自在な接合ヘッド301を有している。接合ヘッド301には、セパレータ30同士を接合する接合チップ302、303と、ワークWを押さえる押さえ部304とが取り付けられている。押さえ部304は、接合チップ302、303の先端を越える前進位置(図9(A))と、前進位置から後退する後退位置(図10(A))との間で進退移動自在に接合ヘッド301に取り付けられている。接合ヘッド301と押さえ部304との間には、押さえ部304を前進位置に向けて移動させる付勢力を押さえ部304に付勢する付勢部材としてのクランプバネ305を設けている。
【0027】
かかる構成の第1の接合部300は、接合ヘッド301がワークWに対して相対的に接近移動することによって、押さえ部304がワークWに接触して前進位置から後退位置まで後退移動し、接合チップ302、303の先端がワークWに接触して接合する(図9(A)(B)、図10(A)を参照)。
【0028】
一方、接合チップ302、303の先端がワークWに接触した状態から接合ヘッド301がワークWに対して相対的に離反移動することによって、押さえ部304がワークWを押さえたままの状態で、接合チップ302、303の先端がワークWから離反する(図10(A)(B))。押さえ部304は、クランプバネ305の付勢力によって後退位置から前進位置まで前進移動してワークWから離反する。
【0029】
第1の接合部300は、ワークWの搬送方向の後方側の後方位置(図11(A)に符号P1によって示される位置)と、ワークWの搬送方向の前方側の前方位置(図11(C)に符号P2によって示される位置)との間を往復移動する。また、第1の接合部300は、押さえ部304によってワークWを把持する把持位置(図12(B)に符号P3によって示される位置)と、押さえ部304によるワークWの把持を解除する解除位置(図12(A)に符号P4によって示される位置)との間を上下動する。
【0030】
第1の接合部300は、ボールネジやモータなどを備える往復駆動機構504によって、後方位置P1と前方位置P2との間を往復駆動される。また、第1の接合部300は、ボールネジやモータなどを備える第1の上下駆動機構505によって、把持位置と解除位置との間を上下駆動される。制御部500が、往復駆動機構504および第1の上下駆動機構505の作動制御をそれぞれ行う。また、接合チップ302、303は、第1の電力供給装置507(図4を参照)から電力が供給されて発熱する。制御部500が、第1の電力供給装置の制御を行い、接合チップ302、303への通電量や通電時間などを調整して、接合チップ302、303の温度を調整する。
【0031】
第1の接合部300は、一対のセパレータ30の側方縁31同士を接合する第1の接合チップ302と、第1の接合チップ302よりも搬送方向の下流側に位置して一対のセパレータ30の側方縁31同士を接合する少なくとも1つ(図示例では1個)の第2の接合チップ303と、備えている。これら2個の接合チップ302、303においてセパレータ30の側方縁31同士を接合する。接合されたあとのセパレータ30は、図1(A)に示すように、側方縁31に沿って複数(図示例では5点)の接合点50を形成している。
【0032】
1回目の接合については、搬送部200によって搬送されながら順次重なる一対のセパレータ30の側方縁31同士における前端51を、下流側の第2の接合チップ303にまで搬送されてくる前に、上流側の第1の接合チップ302によって接合している(図5(C)を参照)。下流側の第2の接合チップ303は空打ち動作をしている。1回目の接合において前端51の接合が終わった後の、2回目および3回目の接合については、搬送部200によって搬送される一対のセパレータ30の側方縁31同士を、第1接合チップ302および第2接合チップ303の両方によって接合している(図7を参照)。合計3回の接合動作を繰り返し、5点の接合点50を形成している。
【0033】
押さえ部304は、一対のセパレータ30を挟みつつ接合部とともに移動するクランプ部材として機能する。クランプ部材として機能する押さえ部304によって一対のセパレータ30を挟んで接合部を移動させることによって、一対のセパレータ30を搬送することができる。
【0034】
押さえ部304は、セパレータ30の搬送方向の上流側に向かって広がるテーパー部分310を有していることが好ましい(図8を参照)。搬送されてくる電極40やセパレータ30の先端が押さえ部304に衝突して搬送不良が生じることを防止できるからである。押さえ部304のテーパー部分310における曲率半径r1は積層ドラム210、220の周面における曲率半径R1よりも小さく、テーパー部分310の曲率を積層ドラム210、220の周面における曲率よりも大きくしてある。
【0035】
なお、図8中符号Oは、一対の積層ドラム210、220の中心を結ぶ直線を示している。この線上にニップ部215を設定するのが好ましい。
【0036】
押さえ部304は、放熱手段320を有していることが好ましい。接合に伴って押さえ部304に蓄積される熱によって、電極40における活物質などが悪影響を受けることを防止するためである。
【0037】
放熱手段320は、例えば、押さえ部304の形成材料として良熱伝導率材料を用いることによって構成したり、図示するように押さえ部304に接続した放熱フィン321によって構成したりすることができる。押さえ部304を良熱伝導率材料、例えば、アルミなどの材料から形成するだけで、押さえ部304の放熱の効率を簡単に高めることができる。放熱手段320として放熱フィン321を用いることによって、押さえ部304の放熱の効率を一層高めることができる。
【0038】
押さえ部304は、放熱手段320の周囲に熱逃がし用の空間322が形成されていることが好ましい。第1の接合部300が移動することによって空気の流れを生じさせ、放熱手段320から放熱した熱の拡散を図ることによって、押さえ部304の放熱の効率を高めることができるからである。
【0039】
押さえ部304は、第1と第2の接合チップ302、303のそれぞれを囲むように配置され接合チップ302、303を外方に臨ませる開放口323を備える壁部材324から形成することが好ましい(図5(A)を参照)。壁部材324をコの字型に配置することによって、セパレータ30を押さえ付けるという押さえ部304本来の機能を維持したまま、熱を逃がし易くして押さえ部304の放熱性を確保できるからである。
【0040】
図6を参照して、第2の接合部400は、第1の接合部300と同様に、接合ヘッド401と、接合チップ402と、押さえ部404と、付勢部材としてのクランプバネ405と、を有している。第2の接合部400も、接合ヘッド401がワークWに対して相対的に接近移動することによって、押さえ部404がワークWに接触して前進位置から後退位置まで後退移動し、接合チップ402の先端がワークWに接触する。一方、接合チップ402の先端がワークWに接触した状態から接合ヘッド401がワークWに対して相対的に離反移動することによって、押さえ部404がワークWを押さえたままの状態で、接合チップ402の先端がワークWから離反し、押さえ部404が付勢部材405の付勢力によって後退位置から前進位置まで前進移動してワークWから離反する。
【0041】
第2の接合部400は、ワークWの搬送方向には往復移動せず、押さえ部404によってワークWを把持する把持位置と、押さえ部304によるワークWの把持を解除する解除位置との間を上下動するだけである。
【0042】
第2の接合部400は、ボールネジやモータなどを備える第2の上下駆動機構506によって、把持位置と解除位置との間を上下駆動される。制御部500が、第2の上下駆動機構506の作動制御をそれぞれ行う。また、接合チップ402は、第2の電力供給装置508(図4を参照)から電力が供給されて発熱する。制御部500が、第2の電力供給装置の制御を行い、接合チップ402への通電量や通電時間などを調整して、接合チップ402の温度を調整する。
【0043】
第2の接合部400は、複数(図示例では4個)の接合チップ402備えている。これら4個の接合チップ402においてセパレータ30の後方縁33同士を接合する。接合されたあとのセパレータ30は、図1(A)に示すように、後方縁33に沿って複数(図示例では4点)の接合点50を形成している。
【0044】
図4を参照して、袋詰電極20の製造装置100は、各部の制御を司る制御部500を有している。制御部500は、CPU510、制御プログラムなどを記憶したメモリ、操作パネルなどを主体に構成されている。CPU510には、セパレータ30や電極40の搬送位置や姿勢などを検出する各種センサからの信号が入力される。CPU51からは、搬送部200における積層ドラム用駆動モータ501、タイミングローラ212、222、およびコンベア用駆動モータ502、503にこれらの作動を制御する信号が出力される。CPUからは、第1の接合部300における往復駆動機構504、第1の上下駆動機構505、および第1の電力供給装置507にこれらの作動を制御する信号が出力される。また、CPUからは、第2の接合部400における第2の上下駆動機構506、および第2の電力供給装置508にこれらの作動を制御する信号が出力される。
【0045】
図11および図12をも参照しながら、袋詰電極20の製造装置100の作用を説明する。
【0046】
図11(A)〜(H)には、第1の接合部300における押さえ部304の往復移動の動作が模式的に示されている。図12(A)〜(G)には、第1の接合部300における1回目の接合動作が模式的に示されている。
【0047】
第1の接合部300は、後方位置P1と前方位置P2との間を往復移動し(図11(A)(C))、把持位置P3と解除位置P4との間を上下動する(図12(A)(B))。図11において実線矢印は、第1の接合部300の前進移動を示し、破線矢印は、第1の接合部300の後退移動を示している。第1の接合部300は、搬送部200によるセパレータ30の移動に同期して、前進移動する。理解の容易のため、図11(B)〜(H)では、第1の接合部300がセパレータ30を把持して搬送するように示されている。一方、図12においては、第1の接合部300がセパレータ30の搬送に同期して前進移動している状態を示している。
【0048】
まず、図3に示すように、搬送部200によって電極40および一対のセパレータ30を搬送しながら、搬送方向の前端51側から順次重ねる。このとき、搬送部200における電極搬入部230によって、積層ドラム210、220の回転に同期して、電極40を略水平状態で前方に搬送し、積層ドラム210、220のニップ部215に接線方向に沿って送り込む。また、搬送部200における積層ドラム210、220によって、所定形状に切り出されたセパレータ30を積層ドラム210、220の保持面211、221に貼り付け、回転にしたがってニップ部215に向けて搬送する。
【0049】
上下の第1の接合部300は、通常時では上下方向に開いており、解除位置P4に位置する(図12(A))。第1の接合部300は、セパレータ30が搬送されてくると閉じられ、セパレータ30の側方縁31の先端部分を把持する(図11(A)(B))。第1の接合部300は、セパレータ30が上流側の第1の接合チップ302を通過し、下流側の第2の接合チップ303に達する前に、把持位置P3に達し、押さえ部304によってセパレータ30を把持する(図12(A)(B))。
【0050】
第1の接合部300は、セパレータ30を把持したまま、積層ドラム210、220の回転と同期しながら前方位置P2まで前方に移動する(図11(C))。第1の接合部300が後方位置P1から前方位置P2まで移動しながら、上流側の第1の接合チップ302によって一対のセパレータ30の側方縁31同士を接合する(図12(C)(D))。下流側の第2の接合チップ303は空打ち動作をする(図12(C)(D))。
【0051】
1回目の接合が終わると、上下の第1の接合部300は、開いて解除位置P4に戻り、セパレータ30の把持を解除する(図12(E)(F))。第1の接合部300は、後方位置P1まで後方に移動する(図11(D)、図12(G))。
【0052】
第1の接合部300は、再び閉じて把持位置P3に達し、セパレータ30の側方縁31を把持し、積層ドラム210、220の回転と同期しながら前方位置P2まで前方に移動する(図11(E))。第1の接合部300が後方位置P1から前方位置P2まで移動しながら、第1接合チップ302および第2接合チップ303の両方によって一対のセパレータ30の側方縁31同士を接合する。
【0053】
2回目の接合が終わると、上下の第1の接合部300は、開いて解除位置P4に戻り、セパレータ30の把持を解除する。第1の接合部300は、後方位置P1まで後方に移動する(図11(F))。
【0054】
第1の接合部300は、再び閉じて把持位置P3に達し、セパレータ30の側方縁31を把持し、積層ドラム210、220の回転と同期しながら前方位置P2まで前方に移動する(図11(G))。第1の接合部300が後方位置P1から前方位置P2まで移動しながら、第1接合チップ302および第2接合チップ303の両方によって一対のセパレータ30の側方縁31同士を接合する。
【0055】
3回目の接合が終わると、上下の第1の接合部300は、開いて解除位置P4に戻り、セパレータ30の把持を解除する。第1の接合部300は、後方位置P1まで後方に移動する(図11(H))。このように第1の接合部300は合計3回の接合動作を繰り返し、5点の接合点50を形成する。第1の接合部300がセパレータ30の側方縁31を搬送方向の前端51側から複数回にわたって接合することにより、セパレータ30の側方縁31を広範囲にわたって接合することができる。
【0056】
積層ドラム210、220のニップ部215から送り出されたワークWは、第1のコンベア241上に載置されて搬送される。第1の接合部300による接合動作が終了したときには、ワークWの前方は、第2のコンベア242に載置されている。第2のコンベア242によってワークWを搬送し、一対のセパレータ30の後方縁33が第2の接合部400の接合チップ402の位置に達すると、第2のコンベア242によるワークWの搬送を一旦停止する。
【0057】
一対のセパレータ30の搬送を停止した状態で、第2の接合部400は、閉じて把持位置に達し、セパレータ30の後方縁33を把持する。一対のセパレータ30の搬送を停止したまま、4個の接合チップ402によって一対のセパレータ30の後方縁33同士を接合する。第2の接合部400は、1回だけ接合動作を行い、図示例では4点の接合点50を同時に形成する。
【0058】
後方縁33の接合が終わると、上下の第2の接合部400は、開いて解除位置に戻り、セパレータ30の把持を解除する。これにより、ワークWに対するセパレータ30同士の接合が終了し、一対のセパレータ30の側方縁31同士および後端縁同士を接合した袋詰電極20が製造される。第2のコンベア242は、再び駆動され、製造された袋詰電極20を、次工程の処理を行うステージに向けて搬送する。
【0059】
その後、図示しない後の工程において、正極の袋詰電極20と、それと対極の負極の電極40、正極の袋詰電極20とを交互に積層することによって、電池セルを製造する。
【0060】
図13には、積層ドラム210、220によって搬送されるワークWの搬送速度と、複数回にわたって往復移動する第1の接合部300の速度の変化が模式的に示されている。図において、速度は、搬送方向の前方に向けて移動するときをプラスとしている。
【0061】
ニップ部215を通過するワークWは、積層ドラム210、220の回転によって、速度V1で搬送されている。一方、第1の接合部300は、往復駆動機構504によって後方位置P1と前方位置P2との間を往復移動する。図中の時間t1は、第1の接合部300がワークWの搬送とのタイミングを取るために後方位置P1に待機している時間を示し、時間t2は、第1の接合部300が往動を始めて加速している時間を示している。また、時間t3は、ワークWの搬送速度との相対速度差がゼロに近づくように第1の接合部300を移動させている時間を示し、時間t4は、第1の接合部300が復動するために減速している時間を示している。
【0062】
第1の接合部300は、ワークWとともに移動している途中において、重ね合わされたセパレータ30の側方縁31同士を接合している。また、第1の接合部300は、移動しながらの接合を搬送方向の前端51側から複数回(本実施形態では3回)繰り返して行っている。ワークWと第1の接合部300とがほぼ同じ速度で移動していないと、ワークWにシワがよったり、接合不良が生じたりしてしまう。
【0063】
そこで、本実施形態にあっては、一対のセパレータ30の側方縁31同士を接合する第1の接合部300を、ワークWの搬送速度との相対速度差がゼロに近づくように移動させながら行う接合を搬送方向の前端51側から複数回繰り返して行っている。セパレータ30を搬送しながら、順次、前端51側から複数回溶着するので、セパレータ30の口開きを防止しつつ、工程時間を短縮することができる。また、ワークWにシワを生じさせることなく、良好な接合を行うことができる。
【0064】
また、第1の接合部300の移動速度が一定になったときに接合を行うことが好ましい。セパレータ30および第1の接合部300の加速度を揃えること自体が困難であり、セパレータ30および第1の接合部300をともに加速させながら接合を行う場合に比べて、接合のタイミングの調整などが容易になるからである。
【0065】
また、搬送されながら順次重なる一対のセパレータ30の側方縁31同士を第1の接合部300によって順次接合している。これによって、一対のセパレータ30のいわゆる口開きを防止することができ、一対のセパレータ30を電極40に重ねていくときにセパレータ30のめくれやシワが生じることがなく、一対のセパレータ30の側方縁31同士を接合する接合作業が容易となる。
【0066】
また、一対のセパレータ30をクランプ部材としての押さえ部304によって挟みつつ第1の接合部300とともに移動することが好ましい。押さえ部304によってセパレータ30の位置を固定しつつ接合できるので、精度良く接合することができる。
【0067】
本実施形態にあっては、搬送部200、第1の接合部300、および第2の接合部400が上述した構成を有し、さらに制御部500が、搬送部200、第1の接合部300、および第2の接合部400の作動を制御することによって、次に述べるような種々の操作を実現している。
【0068】
すなわち、一対のセパレータ30同士を接合する接合チップ302、303と、一対のセパレータ30の間に電極40が挟まれたワークWを押さえる押さえ部304とを備える接合ヘッド301をワークWに対して相対的に接近移動させ、押さえ部304によってワークWを押さえた後に、接合チップ302、303によって一対のセパレータ30同士を接合する。そして、接合ヘッド301をワークWに対して相対的に離反移動させ、接合チップ302、303を一対のセパレータ30から離反させた後に、押さえ部304によるワークWのクランプを解除している。
【0069】
これによれば、一つの工程内で、接合ヘッド301をワークWに対して相対的に接近移動させるというワンアクションによって、押さえ部304によるワークWの押さえと、接合チップ302、303による接合とを行うことができるので、サイクルタイムを低減することができる。このように、一対のセパレータ30の間に電極40を袋詰するのに要するサイクルタイムを短縮して、袋詰電極20の製造の効率化を図り、もって、電池全体の製造の効率化に寄与することが可能となる。また、押さえ部304がワークWを押さえてから、接合チップ302、303による接合を行っているので、精度よく接合を行うことができる。さらに、接合後は、接合チップ302、303がワークWから離れるまで、押さえ部304がワークWを押さえている。このため、接合チップ302、303の先端が接合点50から離れるときに、接合したセパレータ30同士を引き剥がしてしまう虞がない。なお、第1の接合部300について説明したが、第2の接合部400についても同様の構成を有し、同様の作用効果を奏する。袋詰電極20の製造装置100に適用してなるセパレータ溶着装置についてみれば、一つの工程内で、接合ヘッド301をセパレータ30に対して相対的に接近移動させるというワンアクションによって、押さえ部304によるセパレータ30の押さえと、接合チップ302、303による接合とを行うことができるので、サイクルタイムを低減することができる。このように、一対のセパレータ30を溶着するのに要するサイクルタイムを短縮して、セパレータ溶着作業の効率化を図り、もって、電池全体の製造の効率化に寄与することが可能となる。また、押さえ部304がセパレータ30を押さえてから、接合チップ302、303による接合を行っているので、精度よく接合を行うことができる。さらに、接合後は、接合チップ302、303がセパレータ30から離れるまで、押さえ部304がセパレータ30を押さえている。このため、接合チップ302、303の先端が接合点から離れるときに、接合したセパレータ30同士を引き剥がしてしまう虞がない。
【0070】
押さえ部304は、セパレータ30の搬送方向の上流側に向かって広がるテーパー部分310を有している。これによって、搬送されてくる電極40やセパレータ30の先端が押さえ部304に衝突して搬送不良が生じることを防止できる。
【0071】
一対の第1の接合部300が、重ねられた電極40および一対のセパレータ30を搬送する搬送路、つまりワークWの搬送路を挟んで向かい合って設けられ、一対の第2の接合部400が、ワークWの搬送路を挟んで向かい合って設けられている。これによれば、対をなすセパレータ30の両面のそれぞれから接合することになるので、片面のみから接合する場合に比べて、均一な接合状態を作り出すことができる。また、セパレータ30の材質、特に、熱的な性質が異なるセパレータ30を適用する場合に、接合条件の最適化のための調整が容易となる。
【0072】
接合には、熱溶着を適用している。これによって、樹脂製のセパレータ30同士を簡単に接合することができる。
【0073】
押さえ部304は、放熱手段320を有している。これによって、接合に伴って押さえ部304に蓄積される熱によって、電極40における活物質などが悪影響を受けることを防止できる。
【0074】
放熱手段320は、例えば、押さえ部304の形成材料として良熱伝導率材料を用いることによって構成したり、図示するように押さえ部304に接続した放熱フィン321によって構成したりすることができる。押さえ部304を良熱伝導率材料から形成するだけで、押さえ部304の放熱の効率を簡単に高めることができる。また、放熱手段320として放熱フィン321を用いることによって、押さえ部304の放熱の効率を一層高めることができる。
【0075】
押さえ部304は、放熱手段320の周囲に熱逃がし用の空間322が形成されている。これによって、第1の接合部300が移動することによって空気の流れを生じさせ、放熱手段320から放熱した熱の拡散を図ることによって、押さえ部304の放熱の効率を高めることができる。
【0076】
押さえ部304は、第1と第2の接合チップ302、303のそれぞれを囲むように配置され接合チップ302、303を外方に臨ませる開放口323を備える壁部材か324から形成されている。壁部材か324をコの字型に配置することによって、セパレータ30を押さえ付けるという押さえ部304本来の機能を維持したまま、熱を逃がし易くして押さえ部304の放熱性を確保できる。
【0077】
上述した他にも、本実施形態は以下のような特徴を有している。
【0078】
すなわち、電極40および一対のセパレータ30を搬送しながら搬送方向の前端51側から順次重ねつつ、一対のセパレータ30の側方縁31同士を搬送方向の前端51側から順次接合して電極40を袋詰し、次いで、一対のセパレータ30の搬送を停止した状態で、一対のセパレータ30の後方縁33同士を接合している。
【0079】
これによれば、搬送されながら順次重なる一対のセパレータ30の側方縁31同士を搬送方向の前端51側から第1の接合部300によって順次接合することから、一対のセパレータ30のいわゆる口開きを防止することができる。一対のセパレータ30を電極40に重ねていくときにセパレータ30のめくれやシワが生じることがなく、一対のセパレータ30の側方縁31同士を接合する接合作業が容易となる。また、一対のセパレータ30の後方縁33同士を第2の接合部400によって接合することから、平面視で見て互いに向かい合う2辺のみならず、他の辺においてもセパレータ30同士を接合した状態となる。一対のセパレータ30を電極40に重ねた後においてもセパレータ30のめくれやシワが生じることがなく、めくれやシワを修正する煩雑な作業が生じない。このように、一対のセパレータ30を電極40に重ねていくときや、その後においてもセパレータ30のめくれやシワが生じることを防止して、袋詰電極20の製造の効率化を図り、もって、電池全体の製造の効率化に寄与することが可能となる。
【0080】
ところで、種々の加工工程、組立工程、あるいは検査工程などの多数の工程を経て製品を量産する場合、搬送タクトが定められ、各工程における処理時間を同じにした上で、それぞれの工程において処理したワークを、次工程に移動させている。定められた搬送タクトの制限内において、複数の処理を行うことによって工程の数を減らし、製造の効率化を図ることも、量産化技術にとっては重要な課題となっている。
【0081】
一対のセパレータ30の後方縁33同士の接合を別の工程に行うことも可能であるが、この場合には、工程の数が増えて、トータルの製造時間が長くなってしまう虞があり、製造の効率化の要請に応えることができない。また、袋詰電極20は、一対のセパレータ30の間に電極40を挟みこんだ形態を有し、電極40および一対のセパレータ30を同期して搬送しなければならず、タイミングをとるために搬送および搬送停止が繰り返されている。このようなタイミングをとるための搬送停止時間を利用することによって、定められた搬送タクトの制限内において、搬送部200による搬送を停止した状態で一対のセパレータ30の後方縁33同士を接合することができる。したがって、電極40を一対のセパレータ30内に袋詰する速度を落とすことなく、セパレータ30の側方縁31に加えて、セパレータ30の後方縁33をも接合することが可能となる。
【0082】
下流側搬送部241、242同士の間(第1のコンベア241と第2のコンベア242との間)に第2の接合部400を配置し、重ねられた後の電極40および一対のセパレータ30を搬送する経路の途中において、セパレータ30の後方縁33同士を接合している。これによれば、電極40を一対のセパレータ30内に袋詰する速度を落とすことなく、積層ドラム210、220に重なっていた部分であるセパレータ30の後方縁33を接合することができる。
【0083】
一対のセパレータ30のそれぞれを、側方縁31のそれぞれが保持面211、221を超えてはみ出た状態で搬送している。これによれば、一対のセパレータ30が積層ドラム210、220の保持面211、221から離れる部位つまりニップ部215の側方部位に、第1の接合部300を、積層ドラム210、220に干渉することなく配置することができる。一対のセパレータ30が重ね合わされて保持面211、221から離れた直後に、一対のセパレータ30の側方縁31同士を搬送方向の前端51側から順次接合する接合作業を、行うことができる。これにより、一対のセパレータ30が重ね合わされた搬送方向の前端51は、積層ドラム210、220から離れるとすぐに接合される。一対のセパレータ30の前端51が接合されるときには、一対のセパレータ30の後端側は積層ドラム210、220によって挟持されたまま搬送されている。このため、一対のセパレータ30にシワが生じたり、積層ずれが生じたりすることを抑えて、一対のセパレータ30を接合することができる。したがって、セパレータ30のいわゆる口開きをより効果的に防止することができる。
【0084】
一対のセパレータ30のそれぞれを一対の円柱回転体つまり積層ドラム210、220のそれぞれの表面上に保持して電極40に向けて搬送している。これによれば、一対のセパレータ30を円弧面上に保持して搬送するので、一対のセパレータ30を搬送しながら側方縁31同士を順次重ね合わせることが簡単にできる。
【0085】
一対の第1の接合部300が、重ねられた電極40および一対のセパレータ30を搬送する搬送路を挟んで向かい合って設けられている。また、一対の第2の接合部400も、重ねられた電極40および一対のセパレータ30を搬送する搬送を挟んで向かい合って設けられている。これによれば、対をなすセパレータ30の両面のそれぞれから接合することになるので、片面のみから接合する場合に比べて、均一な接合状態を作り出すことができる。また、セパレータ30の材質、特に、熱的な性質が異なるセパレータ30を適用する場合に、接合条件の最適化のための調整が容易となる。
【0086】
また、電極40および一対のセパレータ30を搬送しながら搬送方向の前端51側から順次重ねつつ、一対のセパレータ30の側方縁31同士における前端51を、2つの接合チップ302、303のうち搬送方向の下流側の第2の接合チップ303にまで搬送されてくる前に、上流側の第1の接合チップ302によって接合している。
【0087】
これによれば、搬送されながら順次重なる一対のセパレータ30の側方縁31同士における前端51を第1の接合部300における上流側の第1の接合チップ302によって接合することから、一対のセパレータ30のいわゆる口開きを防止することができる。一対のセパレータ30を電極40に重ねていくときにセパレータ30のめくれやシワが生じることがなく、一対のセパレータ30の側方縁31同士を接合する接合作業が容易となる。このように、一対のセパレータ30を電極40に重ねていくときにセパレータ30のめくれやシワが生じることを防止して、袋詰電極20の製造の効率化を図り、もって、電池全体の製造の効率化に寄与することが可能となる。
【0088】
前端51の接合が終わった後は、搬送される一対のセパレータ30の側方縁31同士を、複数の接合チップ302、303によって接合している。これによれば、複数の接合チップ302、303によって一対のセパレータ30の側方縁31同士を接合することから、接合時間を短縮することができ、製造の高速化を図ることができる。
【0089】
前端51の接合のときに、上流側の第1の接合チップ302のみを作動させて接合するようにしてもよい。これによれば、前端51の接合のときに、下流側の第2の接合チップ303を作動させなくてよく、下流側の第2の接合チップ303の空打ちを回避することができる。
【0090】
また、一対のセパレータ30の側方縁31同士を接合する接合部を、ワークWの搬送速度との相対速度差がゼロに近づくように移動させながら行う接合を搬送方向の前端51側から複数回繰り返して行っている。
【0091】
これによれば、セパレータ30を搬送しながら、順次、前端51側から複数回溶着するので、セパレータ30の口開きを防止しつつ、工程時間を短縮することができる。また、セパレータ30にシワを生じさせることなく、良好な接合を行うことができる。
【0092】
第1の接合部300の移動速度が一定になったときに接合を行っている。セパレータ30および第1の接合部300の加速度を揃えること自体が困難である。このため、セパレータ30および第1の接合部300をともに加速させながら接合を行う場合に比べて、接合のタイミングの調整などが容易になり、その結果、精度良く接合することができる。
【0093】
(改変例)
第2の接合部400によってセパレータ30の後方縁33を接合する形態を示したが、前方縁32、あるいは前後両方の縁32、33を、第2の接合部400によって接合してもよい。
【0094】
一対の積層ドラム210、220を上下に配置したが、その他の方向に配置してもよい。電極40は積層ドラム210、220の間の接線方向(一対の積層ドラム210、220の中心を結ぶ直線に直交する方向)に沿って搬送される。例えば、積層ドラム210、220を左右に配置した場合には、上方または下方から垂直方向に電極40を搬送すればよい。
セパレータカッター213、223により一枚の連続したセパレータ部材34を積層ドラム210、220の周面に貼り付けた状態で所定形状に切り出すものとしたが、予め所定形状に切り出されたセパレータ30を積層ドラム210、220に貼り付けて搬送してもよい。
【0095】
押さえ部304を接合ヘッド301に取り付けた形態について説明したが、この場合に限定されるものではなく、押さえ部304が接合ヘッド301と一体になっていなくともよい。
【0096】
さらに、本発明のセパレータ溶着装置を、袋詰電極20の製造装置100に適用した実施形態について説明したが、本発明は、この場合に限定されるものではなく、一対のセパレータを溶着する技術として種々の装置に適用したり組み込んだりすることができる。
【符号の説明】
【0097】
20 袋詰電極、
30 セパレータ、
31 側方縁、
32 前方縁、
33 後方縁、
34 前方縁、
40 電極、
50 接合点、
51 前端、
100 セパレータ溶着装置を適用してなる製造装置、
200 搬送部、
210、220 積層ドラム、円柱回転体、
211、221 保持面、
215 ニップ部、
230 電極搬入部、
241、242 下流側搬送部、
300 第1の接合部、接合部、
301 接合ヘッド、
302 第1の接合チップ、上流側の接合チップ、
303 第2の接合チップ、下流側の接合チップ、
304 押さえ部、
305 クランプバネ、付勢部材、
310 テーパー部分、
320 放熱手段、
321 放熱フィン、
322 熱逃がし用の空間、
323 開放口、
324 壁部材、
400 第2の接合部、接合部、
500 制御部、
W ワーク。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対のセパレータを溶着する溶着装置であって、
前記一対のセパレータに対して相対的に接近離反移動自在な接合ヘッドと、
前記接合ヘッドに取り付けられ前記セパレータ同士を接合する接合チップと、
前記接合チップの先端を越える前進位置と前記前進位置から退避する後退位置との間で進退移動自在な、前記セパレータを押さえる押さえ部と、
前記接合ヘッドと前記押さえ部との間に設けられ、前記押さえ部を前記前進位置に向けて移動させる付勢力を前記押さえ部に付勢する付勢部材と、を有する接合部を含み、
前記接合ヘッドが前記セパレータに対して相対的に接近移動することによって、前記押さえ部が前記セパレータに接触して前記前進位置から前記後退位置まで後退移動し、前記接合チップの前記先端が前記セパレータに接触して接合するとともに、
前記接合チップの前記先端が前記セパレータに接触した状態から前記接合ヘッドが前記セパレータに対して相対的に離反移動することによって、前記押さえ部が前記セパレータを押さえたままの状態で、前記接合チップの前記先端が前記セパレータから離反し、前記押さえ部が前記付勢部材の付勢力によって前記後退位置から前記前進位置まで前進移動して前記セパレータから離反する、セパレータ溶着装置。
【請求項2】
前記押さえ部は、前記セパレータの搬送方向の上流側に向かって広がるテーパー部分を有する、請求項1に記載のセパレータ溶着装置。
【請求項3】
一対の前記接合部が、前記一対のセパレータを搬送する搬送路を挟んで向かい合って設けられている、請求項1または請求項2に記載のセパレータ溶着装置。
【請求項4】
前記接合は、熱溶着である、請求項1〜請求項3の何れか1つに記載のセパレータ溶着装置。
【請求項5】
前記押さえ部は、放熱手段を有している、請求項1〜請求項4の何れか1つに記載のセパレータ溶着装置。
【請求項6】
前記放熱手段は、良熱伝導率材料または放熱フィンから構成されている、請求項5に記載のセパレータ溶着装置。
【請求項7】
前記押さえ部は、前記放熱手段の周囲に熱逃がし用の空間が形成されている、請求項5または請求項6に記載のセパレータ溶着装置。
【請求項8】
前記押さえ部は、前記接合チップを囲むように配置され前記接合チップを外方に臨ませる開放口を備える壁部材から形成されている、請求項1〜請求項7の何れか1つに記載のセパレータ溶着装置。
【請求項9】
一対のセパレータを溶着する溶着方法であって、
前記一対のセパレータ同士を接合する接合チップと、前記一対のセパレータを押さえる押さえ部とを備える接合ヘッドを前記セパレータに対して相対的に接近移動させ、前記押さえ部によって前記セパレータを押さえた後に、前記接合チップによって前記一対のセパレータ同士を接合し、
前記接合ヘッドを前記セパレータに対して相対的に離反移動させ、前記接合チップを前記一対のセパレータから離反させた後に、前記押さえ部による前記セパレータの押さえを解除する、セパレータの溶着方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−227127(P2012−227127A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−67823(P2012−67823)
【出願日】平成24年3月23日(2012.3.23)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【出願人】(000141886)株式会社京都製作所 (83)
【Fターム(参考)】