説明

セメントプレミックス製品用の粉末状収縮低減剤及びセメントプレミックス製品

【課題】それを袋詰めしたものを積み重ねて保存してもブロッキングせず、またそれを用いて調製したセメントプレミックス製品の練り混ぜ時に空気連行量が過大となるのを防止して得られる硬化体に圧縮強度の低下や乾燥収縮率の増加等が生じるのを防止し、更に例えば消泡剤と組み合わせて長期間保存した場合でも同様にそのようなことが生じるのを防止できるセメントプレミックス製品用の粉末状収縮低減剤及びこれを用いて調製したセメントプレミックス製品を提供する。
【解決手段】セメントプレミックス製品用の粉末状収縮低減剤として特定のポリエーテル混合物を49.5〜65質量%、多孔質シリカ微粉末を34.5〜50質量%及び酸化防止剤を0.001〜0.5質量%(合計100質量%)含有して成るものを用いた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はセメントプレミックス製品用の粉末状収縮低減剤及びセメントプレミックス製品に関する。グラウト充填材、モルタル、セルフレベリング床材等に利用されるセメントプレミックス製品には、ひび割れ防止を目的として粉末状収縮低減剤が使用されている。本発明はかかるセメントプレミックス製品用の粉末状収縮低減剤及びこれを用いて調製したセメントプレミックス製品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、セメントプレミックス製品用の粉末状収縮低減剤として各種が知られている(例えば特許文献1〜4参照)。しかし、従来の粉末状収縮低減剤には、袋詰めしたものを積み重ねて保存すると、粉末状収縮低減剤同士が融着乃至固着してブロッキングするという問題がある。また粉末状収縮低減剤に使用される化合物それ自体の空気連行性が高いため、これを用いて調製したセメントプレミックス製品の練り混ぜ時に空気連行量が過大になり易く、結果として得られる硬化体の圧縮強度が低下し易いという問題がある。更に粉末状収縮低減剤を例えば消泡剤と共に長期間保存すると、酸化劣化して空気連行性が更に高くなり、結果として得られる硬化体の圧縮強度が大きく低下することもあるという問題もある。
【0003】
【特許文献1】特開平2−164754号公報
【特許文献2】特表2001−518871号公報
【特許文献3】特開2005−126268号公報
【特許文献4】特開2006−193416号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、それを袋詰めしたものを積み重ねて保存してもブロッキングせず、またそれを用いて調製したセメントプレミックス製品の練り混ぜ時に空気連行量が過大となるのを防止して得られる硬化体に圧縮強度の低下や乾燥収縮率の増加等が生じるのを防止し、更に例えば消泡剤と組み合わせて長期間保存した場合でも同様にそのようなことが生じるのを防止できるセメントプレミックス製品用の粉末状収縮低減剤及びこれを用いて調製したセメントプレミックス製品を提供する処にある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、前記の課題を解決すべく研究した結果、セメントプレミックス製品用の粉末状収縮低減剤としては、特定の3成分がそれぞれ所定割合から成るものを用いるのが正しく好適であることを見出した。
【0006】
すなわち本発明は、セメントプレミックス製品用の粉末状収縮低減剤であって、下記のA成分、B成分及びC成分からなり、且つ該A成分を49.5〜65質量%、該B成分を34.5〜50質量%及び該C成分を0.001〜0.5質量%(合計100質量%)含有して成ることを特徴とする粉末状収縮低減剤に係る。
【0007】
A成分:下記の化1で示される化合物及び化2で示される化合物から成り、且つ化1で示される化合物を95〜99.9質量%及び化2で示される化合物を0.1〜5質量%(合計100質量%)含有して成るポリエーテル混合物。
【0008】
【化1】

【0009】
【化2】

【0010】
化1及び化2において、
:炭素数3〜5の脂肪族炭化水素基
:炭素数12〜20の脂肪族炭化水素基
:オキシエチレン単位の繰り返し数1〜5の(ポリ)エチレングリコールから全ての水酸基を除いた残基又はオキシエチレン単位とオキシプロピレン単位との双方からなるオキシアルキレン単位の繰り返し数2〜7のポリアルキレングリコールから全ての水酸基を除いた残基
:オキシエチレン単位の繰り返し数4〜10のポリエチレングリコールから全ての水酸基を除いた残基
:オキシプロピレン単位の繰り返し数20〜50のポリプロピレングリコールから全ての水酸基を除いた残基
【0011】
B成分:多孔質シリカ微粉末
【0012】
C成分:酸化防止剤
【0013】
また本発明は、少なくともセメントと粉末状収縮低減剤とを含有するセメントプレミックス製品であって、セメント100質量部当たり、前記の本発明に係る粉末状収縮低減剤を0.5〜10質量部の割合で含有して成ることを特徴とするセメントプレミックス製品に係る。
【0014】
先ず、本発明に係るセメントプレミックス製品用の粉末状収縮低減剤(以下単に本発明の粉末状収縮低減剤という)について説明する。本発明の粉末状収縮低減剤は、A成分、B成分及びC成分の3成分から成るものである。本発明の粉末状収縮低減剤に供するA成分は、化1で示される化合物及び化2で示される化合物から成るポリエーテル混合物である。化1で示される化合物において、化1中のRは、プロピル基、イソプロピル基、ノルマルブチル基、イソブチル基、セカンダリーブチル基、ターシャリブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等の炭素数3〜5の脂肪族炭化水素基である。なかでもRとしては、ノルマルブチル基、イソブチル基、セカンダリーブチル基、ターシャリブチル基等の炭素数4の脂肪族炭化水素基が好ましく、ノルマルブチル基がより好ましい。また化1中のAは、1)エチレングリコールから全ての水酸基を除いた残基、2)オキシエチレン単位の繰り返し数2〜5のポリエチレングリコールから全ての水酸基を除いた残基、3)オキシエチレン単位とオキシプロピレン単位との双方からなるオキシアルキレン単位の繰り返し数2〜7のポリアルキレングリコールから全ての水酸基を除いた残基である。なかでもAとしては、オキシエチレン単位とオキシプロピレン単位との双方からなるオキシアルキレン単位の繰り返し数3〜6のポリアルキレングリコールから全ての水酸基を除いた残基が好ましく、オキシエチレン単位とオキシプロピレン単位との結合様式がブロック状のものがより好ましい。
【0015】
化2で示される化合物において、化2中のRは、1)ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基等の炭素数12〜20の飽和脂肪族炭化水素基、2)8−ヘキサデセニル基、9−オクタデセニル基、10−エイコセニル基等の炭素数12〜20の不飽和脂肪族炭化水素基である。なかでもRとしては不飽和脂肪族炭化水素基が好ましく、9−オクタデセニル基がより好ましい。また化2中のAはオキシエチレン単位の繰り返し数4〜10のポリエチレングリコールから全ての水酸基を除いた残基であるが、オキシエチレン単位の繰り返し数5〜9のポリエチレングリコールから全ての水酸基を除いた残基が好ましい。更に化2中のAはオキシプロピレン単位の繰り返し数20〜50のポリプロピレングリコールから全ての水酸基を除いた残基であるが、オキシプロピレン単位の繰り返し数35〜45のポリプロピレングリコールから全ての水酸基を除いた残基が好ましい。
【0016】
A成分は、以上説明した化1で示される化合物及び化2で示される化合物から成るポリエーテル混合物であって、且つ化1で示される化合物を95〜99.9質量%及び化2で示される化合物を0.1〜5質量%(合計100質量%)含有してなるものであるが、化1で示される化合物を97〜99.7質量%及び化2で示される化合物を0.3〜3質量%(合計100質量%)含有してなるものが好ましい。またかかるポリエーテル混合物は5〜50℃の温度下で液体であるものが好ましい。
【0017】
以上説明した化1で示される化合物及び化2で示される化合物はいずれも公知の方法で合成できる。例えば、化1で示される化合物の場合は、脂肪族アルコールに、アルカリ触媒を用いた加温及び加圧下で、エチレンオキサイド又はエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとを付加重合反応させる方法で合成することができる。また化2で示される化合物の場合は、脂肪族アルコールに、アルカリ触媒を用いた加温及び加圧下で、エチレンオキサイドを付加重合反応させた後、プロピレンオキサイドを付加重合反応させる方法で合成することができる。
【0018】
本発明の粉末状収縮低減剤に供するB成分は多孔質シリカ微粉末である。かかる多孔質シリカ微粉末は、一般に水ガラスを塩酸等の酸で中和し、析出した沈殿物を水洗し、乾燥して粉末状としたもので、SiO・nHOの組成で示される非晶質の珪酸であり、それ自体としては公知のものを使用できるが、なかでも比表面積が50〜450m/gであって、且つ平均粒径が0.1〜500μmの範囲のものが好ましく、更に吸油量(JIS−K5101−13による吸油量)が100ml/100gを超えるものがより好ましい。
【0019】
本発明の粉末状収縮低減剤に供するC成分は酸化防止剤である。かかる酸化防止剤としては、公知のものを利用でき、これには例えば、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、フェノチアジン、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、亞リン酸トリブチル、亞リン酸トリフェニル等が挙げられるが、なかでもハイドロキノン、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソールが好ましい。かかる酸化防止剤により、前記したA成分を長期間保存した場合でもそれが酸化劣化して空気連行性が上昇するのを防止できる。
【0020】
本発明の粉末状収縮低減剤は、以上説明したようなA成分、B成分及びC成分から成り、且つA成分を49.5〜65質量%、B成分を34.5〜50質量%及びC成分を0.001〜0.5質量%(合計100質量%)含有して成るものであるが、A成分を54.8〜63質量%、B成分を36.8〜45質量%及びC成分を0.003〜0.2質量%(合計100質量%)含有して成るものが好ましい。
【0021】
本発明の粉末状収縮低減剤は、公知の方法(例えば特開2004−0491288号公報に記載されているような方法)で調製できるが、C成分として用いる酸化防止剤を予めA成分に所定比率となるよう混合溶解しておいた後、B成分である多孔質シリカ微粉末と混合する方法が好ましい。例えば、攪拌羽根を備えたミキサーを用いて、予めA成分とC成分とを混合したものをB成分と室温で混合して、乾燥や粉砕をすることなく、ブロッキングのない、均一な粉末状収縮低減剤を得ることができる。かかる粉末状収縮低減剤は、これをセメントプレミックス製品に使用する場合の便宜上、その粒径を揃えたものとするのが好ましく、粒径が1〜2000μmの範囲となるよう篩を用いて分級したものとするのが好ましい。
【0022】
次に、本発明に係るセメントプレミックス製品(以下単に本発明のセメントプレミックス製品という)について説明する。本発明のセメントプレミックス製品は、少なくともセメントと以上説明した本発明の粉末状収縮低減剤とを含有して成るものである。セメントとしては、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント等の各種ポルトランドセメントの他に、高炉セメント、フライアッシュセメント、シリカフュームセメント等の各種混合セメント等やアルミナセメントが使用できるが、なかでも施工時間の短縮を必要とする場合には、早強ポルトランドセメントが好ましい。
【0023】
本発明のセメントプレミックス製品において、セメントに対する本発明の粉末状収縮低減剤の配合割合は、セメント100質量部当たり、本発明の粉末状収縮低減剤を0.5〜10質量部となるようにするが、1〜8質量部の割合となるようにするのが好ましい。
【0024】
本発明のセメントプレミックス製品としては、1)セメント、本発明の粉末状収縮低減剤、その他の粉末状添加剤(例えば粉末状セメント分散剤)を配合したグラウト用セメントプレミックス製品、2)セメント、細骨材、本発明の粉末状収縮低減剤、粉末状セメント分散剤を配合したモルタル用又はセルフレベリング床材用セメントプレミックス製品等が挙げられる。
【発明の効果】
【0025】
以上説明した本発明の粉末状収縮低減剤には、それを袋詰めしたものを積み重ねて保存してもブロッキングせず、またそれを用いて調製したセメントプレミックス製品の練り混ぜ時に空気連行量が過大となるのを防止して得られる硬化体に圧縮強度の低下や乾燥収縮率の増加等が生じるのを防止し、更に例えば消泡剤と組み合わせて長期間保存した場合でも同様にそのようなことが生じるのを防止できるという効果がある。
【0026】
以下、本発明の構成及び効果をより具体的にするため、実施例等を挙げるが、本発明が該実施例に限定されるというものではない。なお、以下の実施例等において、別に記載しない限り、%は質量%を、また部は質量部を意味する。
【実施例】
【0027】
試験区分1(A成分のポリエーテル混合物の調製)
・化1で示される化合物(M−1)の合成
ノルマルブチルアルコール74g(1モル)をオートクレーブに仕込み、触媒として水酸化カリウム0.2gを加えた後、オートクレーブ内を窒素置換した。撹拌しながら、反応温度を115〜125℃に保ち、エチレンオキサイド88g(2モル)を圧入して付加反応を行なった。圧入終了後、同温度で1時間熟成した。更に撹拌しながら、反応温度を125〜135℃に保ち、プロピレンオキサイド116g(2モル)を圧入して付加反応を行なった。圧入終了後、同温度で2時間熟成して反応を終了し、生成物を得た。この生成物を吸着材で処理して濾別精製した。これを分析したところ、化1中のRがノルマルブチル基、Aが分子中に合計4個のオキシエチレン単位とオキシプロピレン単位とで構成され且つこれらの単位がブロック状に結合したポリオキシアルキレン基を有するポリアルキレングリコールから全ての水酸基を除いた残基である場合の化1で示される化合物(M−1)であった。
【0028】
・化1で示される化合物(M−2)〜(M−5)及び(m−1)〜(m−3)の合成
化1で示される化合物(M−1)の合成と同様にして、化1で示される化合物(M−2)〜(M−5)及び(m−1)〜(m−3)を合成した。以上で合成した化1で示される化合物(M−1)〜(M−5)及び(m−1)〜(m−3)の内容を表1にまとめて示した。
【0029】
【表1】

【0030】
表1において、
EO:オキシエチレン単位
PO:オキシプロピレン単位
【0031】
・化2で示される化合物(N−1)の合成
オレイルアルコール269g(1モル)をオートクレーブに仕込み、触媒として水酸化カリウム0.7gを加えた後、オートクレーブ内を窒素置換した。撹拌しながら、反応温度を115〜125℃に保ち、エチレンオキサイド264g(6モル)を圧入して付加反応を行なった。圧入終了後、同温度で1時間熟成した。更に撹拌しながら反応温度を125〜135℃に保ち、プロピレンオキサイド2320g(40モル)を圧入して付加反応を行なった。圧入終了後、同温度で2時間熟成して反応を終了し、生成物を得た。この生成物を吸着材で処理して濾別精製した。これを分析したところ、化1中のRが9−オクタデセニル基、Aがオキシエチレン単位の繰り返し数6のポリエチレングリコールから全ての水酸基を除いた残基、Aがオキシプロピレン単位の繰り返し数40のポリプロピレングリコールから全ての水酸基を除いた残基である場合の化2で示される化合物(N−1)であった。
【0032】
・化2で示される化合物(N−2)〜(N−4)及び(n−1)〜(n−4)の合成
化2で示される化合物(N−1)の合成と同様にして、化2で示される化合物(N−2)〜(N−4)及び(n−1)〜(n−4)を合成した。以上で合成した化2で示される化合物(N−1)〜(N−4)及び(n−1)〜(n−4)の内容を表2にまとめて示した。


【0033】
【表2】

【0034】
・A成分のポリエーテル混合物(A−1)〜(A−10)及び(a−1)〜(a−13)の調製
前記で合成した化1で示される化合物(M−1)を99部と前記で合成した化2で示される化合物(N−1)を1部の割合で、室温で撹拌混合してポリエーテル混合物(A−1)を得た。同様にして、ポリエーテル混合物(A−2)〜(A−10)及び(a−1)〜(a−13)を調製した。これらの調製物の内容を表3にまとめて示した。
【0035】
【表3】

【0036】
表3において、
*1:A成分の温度が5〜50℃における状態
m−4:ノルマルブタノール
【0037】
試験区分2(粉末状収縮低減剤の調製)
・実施例1{粉末状収縮低減剤(P−1)の調製}
B成分としての多孔質シリカ微粉末(株式会社トクヤマ社製の商品名トクシールNR、比表面積180m/g、平均粒径85μm)8kgをリボンミキサーに仕込んだ。別に、前記したA成分のポリエーテル混合物(A−1)を11.988kg及びC成分の酸化防止剤としてのハイドロキノン0.012kgを混合しておき、その液状混合物12kgを前記のリボンミキサーに撹拌しながら少しずつ分割添加し、充分に混合した。混合物を篩を用いて分級し、実施例1の粒径1〜500μmの粉末状収縮低減剤(P−1)20kgを得た。
【0038】
・実施例2〜15及び比較例1〜20{粉末状収縮低減剤(P−2)〜(P−15)及び(r−1)〜(r−20)の調製}
実施例1の粉末状収縮低減剤(P−1)の調製と同様にして、実施例2〜15及び比較例1〜20の粉末状収縮低減剤(P−2)〜(P−15)及び(r−1)〜(r−20)の調製をした。以上で調製した各例の粉末状収縮低減剤の組成及び性状(耐ブロッキング性等)を表4にまとめて示した。
































【0039】
【表4】

【0040】
表4において、
A−1〜A−10,a−1〜a−13:試験区分1で調製したポリエーテル混合物
B−1:比表面積180m/g、平均粒径85μmの多孔質シリカ微粉末
B−2:比表面積140m/g、平均粒径75μmの多孔質シリカ微粉末
B−3:比表面積220m/g、平均粒径60μmの多孔質シリカ微粉末
B−4:比表面積110m/g、平均粒径70μmの多孔質シリカ微粉末
C−1:ハイドロキノン
C−2:ジブチルヒドロキシトルエン
C−3:ブチルヒドロキシアニソール
*2:比表面積20m/g、平均粒径0.3μmのシリカフューム微粉末
*3:比表面積0.8m/g、平均粒径2.5μmの炭酸カルシウム微粉末
*4:粉末状にならなかったので、粒径を求めなかった。
*5:振動篩いの篩目開きから求めた値
*6:粉末状収縮低減剤の耐ブロッキング性を以下のように評価した。すなわち、調製した粉末状収縮低減剤100gをビニール小袋に入れて密封し、上から3kgの荷重を負荷して、40℃で7日間放置した後、負荷を取り除いて、外観を観察し、外観が変化しなかったものを○、一部融着乃至固着したものを△、全体に融着乃至固着したものを×とした。
【0041】
試験区分3(経日処理した粉末状収縮低減剤の調製)
試験区分2で調製した粉末状収縮低減剤(P−1)〜(P−15)及び(r−1)〜(r−15)をシャーレに20g採取し、40℃の熱風乾燥器内に30日間放置して、経日処理した粉末状収縮低減剤(P−1)〜(P−15)及び(r−1)〜(r−15)を調製した。
【0042】
試験区分4(収縮低減性セメントプレミックス製品の調製)
5Lのホバートミキサーに早強ポルトランドセメント(密度=3.13g/cm、ブレーン値4350)と、試験区分2で調製した粉末状収縮低減剤又は試験区分3で経日処理した粉末状収縮低減剤とを表5に記載の割合で乾式混合し、セメントプレミックス製品を調製した。内容を表5にまとめて示した。
【0043】
【表5】

【0044】
表5において、
S−1:早強ポルトランドセメント(密度=3.13g/cm、ブレーン値4350)
S−2:普通ポルトランドセメント(密度=3.16g/cm、ブレーン値3250)
(P−1)〜(P−15)及び(r−1)〜(r−15):試験区分2で調製した表4に記載の粉末状収縮低減剤又は試験区分3で経日処理した粉末状収縮低減剤。尚、(r−16)〜(r−20)については、粉末が得られなかったのでセメントプレミックス製品を調製しなかった。
【0045】
試験区分5(セメントペーストの調製と評価)
試験区分4で調製したセメントプレミックス製品2000部、粉末状セメント分散剤(竹本油脂社製のポリカルボン酸系粉末セメント分散剤、商品名チューポールSD−100)7部及び水550部を、20℃の温度下で3分間練り混ぜ、フロー値が250±30mmの範囲のセメントペーストを調製した。調製したセメントペーストの空気量、圧縮強度及び乾燥収縮率を下記のように測定した。結果を表6にまとめて示した。
【0046】
・空気量:JIS−R5201に準拠して測定した。
・圧縮強度:材齢28日において、JIS−R5201に準拠して測定した。
・乾燥収縮率:JIS−A1129に準拠して、20℃×60%RHの条件下で保存した材齢13週の供試体についてコンパレータ法により乾燥収縮ひずみを測定し、乾燥収縮率を求めた。この数値は小さいほど、収縮が小さいことを示す。






























【0047】
【表6】

【0048】
試験区分6(セメントプレミックス製品の調製)
5Lのホバートミキサーに早強ポルトランドセメントと、細骨材(JIS−R5201の標準砂、密度2.64g/cm)と、試験区分2で調製した粉末状収縮低減剤又は試験区分3で経日処理した粉末状収縮低減剤とを表7に記載の割合で乾式混合し、セメントプレミックス製品を調製した。内容を表7にまとめて示した。









【0049】
【表7】

【0050】
表7において、
S−1:早強ポルトランドセメント(密度=3.13g/cm、ブレーン値4350)
S−2:普通ポルトランドセメント(密度=3.16g/cm、ブレーン値3250)
G−1:JIS−R5201の標準砂(密度2.64g/cm
(P−1)〜(P−15)及び(r−1)〜(r−15):試験区分2で調製した粉末状収縮低減剤又は試験区分3で経日処理した粉末状収縮低減剤。
【0051】
試験区分7(モルタルの調製と評価)
試験区分6で調製したセメントプレミックス製品5050部、粉末状セメント分散剤(竹本油脂社製のポリカルボン酸系粉末セメント分散剤、商品名チューポールSD−100)6部及び水500部を加え、20℃の温度下で3分間練り混ぜ、フロー値が220±20mmの範囲のモルタルを調製した。調製したモルタルの空気量、圧縮強度及び乾燥収縮率を試験区分5と同様に測定した。結果を表8にまとめて示した。




【0052】
【表8】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
セメントプレミックス製品用の粉末状収縮低減剤であって、下記のA成分、B成分及びC成分から成り、且つ該A成分を49.5〜65質量%、該B成分を34.5〜50質量%及び該C成分を0.001〜0.5質量%(合計100質量%)含有して成ることを特徴とする粉末状収縮低減剤。
A成分:下記の化1で示される化合物及び化2で示される化合物から成り、且つ化1で示される化合物を95〜99.9質量%及び化2で示される化合物を0.1〜5質量%(合計100質量%)含有して成るポリエーテル混合物。
【化1】

【化2】

(化1及び化2において、
:炭素数3〜5の脂肪族炭化水素基
:炭素数12〜20の脂肪族炭化水素基
:オキシエチレン単位の繰り返し数1〜5の(ポリ)エチレングリコールから全ての水酸基を除いた残基又はオキシエチレン単位とオキシプロピレン単位との双方からなるオキシアルキレン単位の繰り返し数2〜7のポリアルキレングリコールから全ての水酸基を除いた残基)
:オキシエチレン単位の繰り返し数4〜10のポリエチレングリコールから全ての水酸基を除いた残基
:オキシプロピレン単位の繰り返し数20〜50のポリプロピレングリコールから全ての水酸基を除いた残基)
B成分:多孔質シリカ微粉末
C成分:酸化防止剤
【請求項2】
A成分が、5〜50℃の温度下で液体であるポリエーテル混合物である請求項1記載の粉末状収縮低減剤。
【請求項3】
化1で示される化合物が、化1中のRが炭素数4の脂肪族炭化水素基である場合のものである請求項1又は2記載の粉末状収縮低減剤。
【請求項4】
化1で示される化合物が、化1中のAがオキシエチレン単位とオキシプロピレン単位との双方からなるオキシアルキレン単位の繰り返し数3〜6のポリアルキレングリコールから全ての水酸基を除いた残基である場合のものである請求項1〜3のいずれか一つの項記載の粉末状収縮低減剤。
【請求項5】
化2で示される化合物が、化2中のRが9−オクタデセニル基である場合のものである請求項1〜4のいずれか一つの項記載の粉末状収縮低減剤。
【請求項6】
B成分が、比表面積50〜450m/g、平均粒径0.1〜500μmの多孔質シリカ微粉末である請求項1〜5のいずれか一つの項記載の粉末状収縮低減剤。
【請求項7】
C成分が、ハイドロキノン、ジブチルヒドロキシトルエン及びブチルヒドロキシアニソールから選ばれる一つ又は二つ以上の酸化防止剤である請求項1〜6のいずれか一つの項記載の粉末状収縮低減剤。
【請求項8】
粒径1〜2000μmのものである請求項1〜7のいずれか一つの項記載の粉末状収縮低減剤。
【請求項9】
少なくともセメントと粉末状収縮低減剤とを含有するセメントプレミックス製品であって、セメント100質量部当たり、請求項1〜8のいずれか一つの項記載の粉末状収縮低減剤を0.5〜10質量部の割合で含有して成ることを特徴とするセメントプレミックス製品。

【公開番号】特開2009−173515(P2009−173515A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−102033(P2008−102033)
【出願日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【出願人】(000210654)竹本油脂株式会社 (138)
【Fターム(参考)】