説明

セラミックス接合体およびその製造方法

【課題】半導体製造装置用部材などに好適なセラミックス接合体およびその製造方法に関し、簡単な接合手法によって得られ、高強度に接合されたセラミックス接合体、およびその製造方法の提供。
【解決手段】金属ケイ素を含むセラミックス焼結体からなる第1の被接合体と、セラミックス焼結体からなる第2の被接合体と、が接合層を介して接合され、接合層は金属ケイ素を主成分とするセラミックス接合体であり、その製造方法は、接合面を有し、金属ケイ素を含むセラミックス焼結体からなる第1の被接合体と、接合面を有し、セラミックス焼結体からなる第2の被接合体を準備する工程と、第1の被接合体の接合面と第2の被接合体の接合面との間に熱可塑性樹脂薄膜を配置して第1の被接合体と第2の被接合体とを重ね合わせる工程と、重ね合わされた接合面同士が押圧された状態を維持しつつ、不活性雰囲気下において所定温度で熱処理する工程と、を具備してなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セラミックスの接合方法およびその製造方法に係り、特に半導体製造装置用部材などに好適なセラミックス接合体およびその製造方法に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
セラミックスは、金属やプラスチックなどと比較して耐熱性や耐蝕性、耐摩耗性が高く、高温、腐食環境などの過酷な条件下でも使用できる材料である。中でも、炭化ケイ素セラミックスは、高剛性、高熱伝導性、低熱膨張性などの優れた特性を有することから、高温構造部材や半導体製造装置用部材として利用されている。
このように、セラミックスは過酷な環境下で使用可能な有用な材料であるが、複雑な形状、あるいは大型部材を一体成型で作製することは難しく、比較的小さなセラミックス成形体やセラミックス焼結体を接合させることで複雑な形状や大型部材を作製することが求められている。
【0003】
従来、SiCセラミックス焼結体がカーボンを介して拡散接合されたセラミックス複合部材が知られている。また、有機物を介してセラミックス部材の接合面同士を互いに接触させて有機物の分解温度以上で、且つ非酸化雰囲気中で加熱するセラミックス複合部材の製造方法が知られている。(例えば、特許文献1参照)
炭素の拡散を利用した上記接合方法の場合、接合層厚みを全体で均一且つ所望の厚さに制御することが困難であるという問題があった。
【0004】
また、従来、炭化ケイ素基反応焼結体からなる複数の部品ユニットを、炭化ケイ素結晶粒と炭化ケイ素結晶粒の隙間にネットワーク状に連続して存在するシリコン相とから構成される接合層を介して接合してなる炭化ケイ素基接合部材が知られている。この炭化ケイ素基接合部材は、複数の部品ユニットに対応する成形体を有機系接着剤で接着した予備接合体を不活性ガス雰囲気中にて1400℃以上の温度に加熱し、加熱状態を維持した成形体および接合層に溶融したシリコンを含浸して作製されるものである。(例えば、特許文献2参照。)
しかし、この場合は接合工程で溶融したシリコンを含有させるために外部からケイ素を添加する必要があり、接合手法が煩雑であること、及び、外部から添加したケイ素を接合層全体に一様に含有させ、接合層全体を均質にすることが困難であるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭60−127270号公報
【特許文献2】特開2005−22905号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記問題を解決するためになされたもので、外部から金属ケイ素を添加することなく、被接合体から浸透してくる程度の微量な金属ケイ素のみにより接合層を形成するという簡単な接合手法によって得られ、高強度に接合されたセラミックス接合体、およびその製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明の一実施形態は、金属ケイ素を含むセラミックス焼結体からなる第1の被接合体と、セラミックス焼結体からなる第2の被接合体と、が接合層を介して接合され、接合層は金属ケイ素を主成分とすることを特徴とするセラミックス接合体である。本発明のセラミックス接合体によれば、簡単な接合手法によって得られ、高強度に接合されたセラミックス接合体を提供することが可能となる。
尚、「金属ケイ素を含むセラミックス焼結体」とは、セラミックス焼結体を構成する金属ケイ素とセラミックスとが混合物である、いわゆるコンポジット状態であることをさす。金属ケイ素元素を含む化合物で構成されるセラミックス焼結体ではない。
【0008】
本発明の好ましい態様によれば、第2の被接合体が金属ケイ素を含むセラミックス焼結体からなる。また、第1の被接合体および第2の被接合体とが同一のセラミックス焼結体であることも好ましい。
【0009】
また本発明の他の実施形態によれば、セラミックス接合体の製造方法であって、接合面を有し、金属ケイ素を含むセラミックス焼結体からなる第1の被接合体を準備する工程と、接合面を有し、セラミックス焼結体からなる第2の被接合体を準備する工程と、第1の被接合体の接合面と第2の被接合体の接合面との間に熱可塑性樹脂薄膜を配置して第1の被接合体と第2の被接合体とを重ね合わせる工程と、前記熱可塑性樹脂薄膜を介して重ね合わされた第1の被接合体と第2の被接合体とを、接合面同士が押圧された状態を維持しつつ、不活性雰囲気下において所定温度で熱処理する工程と、を具備してなることを特徴とする。本発明のセラミックス接合体の製造方法によれば、熱可塑性樹脂薄膜の厚さによって初期の接合層厚さを制御することができるため、塗布ムラのような厚さのばらつきを生じることなく、均一且つ所望の接合層厚さに制御することが可能となる。
【0010】
本発明の好ましい態様によれば、前記所定温度は、前記第1の被接合体に含まれた状態における金属ケイ素の融点よりも高く、且つ、前記第1の被接合体に含まれた状態における金属ケイ素の蒸発温度よりも低い温度である。
かかる温度であれば、熱処理中において第1の被接合体に含まれた金属ケイ素が適当な粘度を有する液体となるため、炭化した熱可塑性樹脂薄膜への金属ケイ素の移動が促進され、接合面全体に渡る接合層の形成を短時間で行うことができる。
【0011】
金属ケイ素の融点や蒸発温度は、一般に、金属ケイ素の状態によって異なる。即ち、セラミックス焼結体に含まれた状態における金属ケイ素の融点は、単体の結晶である状態における融点よりも一般に低くなる。また、セラミックス焼結体の種類によっても異なるものとなる。
このため、被接合体であるセラミックス焼結体の種類、及び金属ケイ素の含浸状態に応じて、適切な熱処理温度を予め実験により測定しておき、当該温度にて熱処理を行うことで、接合層を短時間で形成させることができる。
【0012】
本発明の好ましい態様によれば、前記熱可塑性樹脂薄膜がセロファンからなる薄膜である。セロファンは熱処理によりち密質な炭素素材となることから、外部から金属ケイ素を添加することなく、被接合体から浸透してくる程度の微量な金属ケイ素のみにより接合層を形成することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、簡単な接合手法によって得られる高強度に接合されたセラミックス接合体、およびその製造方法を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の接合層断面を示す電子顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に本発明のセラミックス接合体およびその製造方法について詳細に説明する。
本発明のセラミックス接合体は、金属ケイ素を含むセラミックス焼結体からなる第1の被接合体と、セラミックス焼結体からなる第2の被接合体と、が接合層を介して接合され、接合層は金属ケイ素を主成分とすることを特徴とするセラミックス接合体である。また、本発明のセラミックス接合体の製造方法は、接合面を有し、金属ケイ素を含むセラミックス焼結体からなる第1の被接合体を準備する工程と、接合面を有し、セラミックス焼結体からなる第2の被接合体を準備する工程と、第1の被接合体の接合面と第2の被接合体の接合面との間に熱可塑性樹脂薄膜を配置して第1の被接合体と第2の被接合体とを重ね合わせる工程と、熱可塑性樹脂薄膜を介して重ね合わされた第1の被接合体と第2の被接合体とを、接合面同士が押圧された状態を維持しつつ、不活性雰囲気下において所定温度で熱処理する工程と、を具備してなるセラミックス接合体の製造方法である。
【0016】
(被接合体)
セラミックス接合体を構成する被接合体のうち第1の被接合体には、金属ケイ素を含有させることができる種々のセラミックスを用いることが可能である。中でも、金属ケイ素を含有する炭化ケイ素セラミックス、金属ケイ素を含有する炭化ホウ素セラミックス、金属ケイ素を含有し炭化ケイ素および炭化ホウ素を含むセラミックス複合体などがあげられる。第2の被接合体には、前記した第1の被接合体に用いることができるセラミックスのほかに、金属ケイ素を含有しない種々のセラミックスも用いることが可能である。
接合体を介して接合される2つの被接合体は、少なくとも一方が金属シリコンを含有するセラミックスであればいいが、2つの被接合体の双方が金属シリコンを含有するセラミックスである場合は、それぞれの被接合体と接合層との密着性が高くなるのでより好ましい。
【0017】
(接合層)
接合層は、第1の被接合体と第2の被接合体との間に介在し両者を接合する層である。熱処理工程において、第1の被接合体と第2の被接合体との間に介在していた熱可塑性樹脂薄膜が炭化した後、そこへいずれかの被接合体から金属ケイ素が浸透し炭素と反応することで、金属ケイ素を含有する炭化ケイ素の層となる。
【0018】
(熱可塑性樹脂薄膜)
熱可塑性樹脂薄膜としては、炭素を含む種々の樹脂を用いることが可能である。特に、加熱後に収縮し、ち密質な連続した炭素となるものが好ましく、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリフッ化ビニルデン樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリブチルアクリレート樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂などの熱可塑性樹脂薄膜があげられる。また、接合層の厚みを調整しやすいという点で薄膜状に成形しやすいものが好ましく、例えば、セロファン樹脂やポリイミド樹脂を好適に用いることができる。
また、熱可塑性樹脂薄膜は熱処理後に1〜200μmに熱収縮するものが接合強度を高くする点で好ましく、1〜50μmに収縮するものがさらに好ましい。
【0019】
(接合面)
接合時、突き合わせる面の形状に制限はなく、平面突き合わせ、嵌め合わせなどの方法が可能である。熱可塑性樹脂薄膜を介する接合であることから平面突き合わせが簡便で好ましい。
【0020】
(接合面粗度)
接合面の面粗度に関しては制限がないが、熱可塑性樹脂薄膜の熱収縮によって隙間ができない程度が好ましく、Ra=3μm以下が好ましく、より好ましくはRa=0.5μm以下が良い。
【0021】
(炭化処理工程)
第1の被接合体の接合面と第2の被接合体の接合面との間に熱可塑性樹脂薄膜を配置して第1の被接合体と第2の被接合体とを重ね合わせる工程と、熱可塑性樹脂薄膜を介して重ね合わされた第1の被接合体と第2の被接合体とを、接合面同士が押圧された状態を維持しつつ、不活性雰囲気下において所定温度で熱処理する工程と、の間に、接合加熱時に接合層となる熱可塑性樹脂薄膜を炭化する工程を有することが好ましい。熱可塑性樹脂薄膜を炭化する工程における熱処理の温度は、400〜900℃の範囲において、用いる熱可塑性樹脂薄膜に応じて適宜選定できる。保持時間は熱可塑性樹脂薄膜の種類、大きさに応じて適宜選定することができる。
【0022】
(接合処理工程)
接合処理に要する温度は、第1の被接合体に含まれた状態における金属ケイ素の融点よりも高く、且つ、前記第1の被接合体に含まれた状態における金属ケイ素の蒸発温度よりも低い温度範囲で適宜選定できる。本発明の被接合体は接合処理の際にすでに金属ケイ素を含有する被接合体であり、被接合体の金属ケイ素の移動により金属ケイ素を主成分とする接合層を形成する。本実施形態においては、第1の非接合体に含まれる金属ケイ素は1100℃以上の温度で融解することが分かっており、且つ、1700℃を超えると金属ケイ素の蒸発が無視できなくなる。このため、熱処理の温度としては1200〜1500℃が好ましく、金属ケイ素単体の状態における融点(1412℃)よりも低い温度で熱処理できる1300〜1400℃がさらに好ましい。
接合処理工程においては、熱処理の行う際の圧力を0.1〜200MPaの範囲で適宜選定できる。少なくとも熱可塑性樹脂薄膜の収縮変形により被接合体が剥離しない程度の圧力が必要であり、被接合体同士を重ね合わせた成形体全体を加圧しても良いし、接合面が押圧されるようにジグでクランプして熱処理を行ってもよい。
接合処理工程は適宜の不活性雰囲気下で行われればよく、真空、アルゴン雰囲気もしくは窒素雰囲気などが挙げられる。好ましくはアルゴン雰囲気である。なお、アルゴンと窒素の混合ガスでも接合可能である。
【実施例】
【0023】
(実施例1)
第1の被接合体および第2の被接合体として金属ケイ素および炭化硼素および炭化ケイ素を含有するセラミックス焼成体を準備した。熱可塑性樹脂薄膜として、厚み35μmのセロファンを準備した。
金属ケイ素および炭化硼素および炭化ケイ素を含有するセラミックス焼成体は以下の方法により作製した。
平均粒径が0.6μmの炭化ケイ素粉末30重量部と平均粒径が25μmの炭化硼素粉末70重量部、平均粒径が55nmのカーボンブラック粉末10重量部を炭化ケイ素粉末、炭化硼素粉末、カーボンブラック粉末に対して0.1〜1重量部の分散剤を添加した純水中に入れ分散させ、アンモニア水等でpHを8〜9.5に調整して500CP未満の低粘度のスラリーを作製した。このスラリーをポットミル等で数時間混合した後バインダーを炭化ケイ素粉末、炭化硼素粉末、カーボン粉末に対して1〜2重量部添加し混合、その後脱泡し石膏板の上に内径80mmのアクリルパイプを置きスラリーを鋳込み、厚み10mm程度の成形体を作製した。成形体は自然乾燥、100〜150℃の乾燥の後、1×10−4〜1×10−3torrの減圧下において温度600℃で2h保持し脱脂を行い、温度1700℃で1h保持することで仮焼を行う。仮焼を行った後、温度1500℃に加熱し30min保持し、成形体中に溶融したシリコンを含浸させることにより反応焼結体を製造した。
得られた金属ケイ素および炭化硼素および炭化ケイ素を含有するセラミックス焼成体を20mm角、厚み6mmに切り出し、接合面がRa=0.2μmとなるように研削加工し、2つの被接合体を作製した。
2つの被接合体の接合面に厚み35μmのセロハンを挟み込み、炭素ジグで固定し、20x40x6mmの形状とした。
固定した試料を炭素炉で1気圧のアルゴン雰囲気中1400℃で熱処理を行った。1400℃まで昇温(昇温速度は300度/1時間とした)する途中では600℃で1時間保持し、セロファンを炭化させた。
接合層を含むセラミックス複合体の電子顕微鏡写真を図1に示す。被接合体1同士が金属ケイ素を主成分とする接合層2を介して接合され、被接合体1が炭化硼素部3および炭化ケイ素部4からなるセラミックス接合体であることが観察された。得られた接合体の接合層厚みは約16μmであった。
加熱後の試料を3x4x40mmのテストピースに加工し、3点曲げ(JISR1601)を行った結果、接合体は接合面で破断し、130MPaの強度を得た。
【0024】
(実施例2)
第1の被接合体および第2の被接合体として金属ケイ素および炭化硼素および炭化ケイ素を含有するセラミックス焼成体を準備した。熱可塑性樹脂薄膜として、厚み35μmのセロファンを準備した。
金属ケイ素および炭化硼素および炭化ケイ素を含有するセラミックス焼成体は実施例1と同様の方法により作製し、接合用試料も同様の形状を準備した。
2つの被接合体の接合面に厚み35μmのセロハンを挟み込み、炭素ジグで固定し、20x40x6mmの形状とした。
固定した試料を炭素炉で1気圧のアルゴン雰囲気中1300℃で熱処理を行った。1300℃まで昇温(昇温速度は300度/1時間とした)する途中では600℃で1時間保持し、セロファンを炭化させた。
【0025】
(実施例3)
第1の被接合体および第2の被接合体として金属ケイ素および炭化硼素および炭化ケイ素を含有するセラミックス焼成体を準備した。熱可塑性樹脂薄膜として、厚み35μmのセロファンを準備した。
金属ケイ素および炭化硼素および炭化ケイ素を含有するセラミックス焼成体は実施例1と同様の方法により作製し、接合用試料も同様の形状を準備した。
2つの被接合体の接合面に厚み35μmのセロハンを挟み込み、炭素ジグで固定し、20x40x6mmの形状とした。
固定した試料を炭素炉で1気圧のアルゴン雰囲気中1500℃で熱処理を行った。1500℃まで昇温(昇温速度は300度/1時間とした)する途中では600℃で1時間保持し、セロファンを炭化させた。
【0026】
(実施例4)
第1の被接合体および第2の被接合体として金属ケイ素および炭化硼素および炭化ケイ素を含有するセラミックス焼成体を準備した。熱可塑性樹脂薄膜として、厚み35μmのセロファンを準備した。
金属ケイ素および炭化硼素および炭化ケイ素を含有するセラミックス焼成体は実施例1と同様の方法により作製し、接合用試料も同様の形状を準備した。
2つの被接合体の接合面に厚み35μmのセロハンを挟み込み、炭素ジグで固定し、20x40x6mmの形状とした。
固定した試料を炭素炉で1気圧のアルゴン雰囲気中1600℃で熱処理を行った。1600℃まで昇温(昇温速度は300度/1時間とした)する途中では600℃で1時間保持し、セロファンを炭化させた。
【0027】
(実施例5)
第1の被接合体および第2の被接合体として金属ケイ素および炭化硼素および炭化ケイ素を含有するセラミックス焼成体を準備した。熱可塑性樹脂薄膜として、厚み35μmのセロファンを準備した。
金属ケイ素および炭化硼素および炭化ケイ素を含有するセラミックス焼成体は実施例1と同様の方法により作製し、接合用試料も同様の形状を準備した。
2つの被接合体の接合面に厚み35μmのセロハンを挟み込み、炭素ジグで固定し、20x40x6mmの形状とした。
固定した試料を炭素炉で1気圧の窒素雰囲気中1400℃で熱処理を行った。1400℃まで昇温(昇温速度は300度/1時間とした)する途中では600℃で1時間保持し、セロファンを炭化させた。
【0028】
(実施例6)
第1の被接合体および第2の被接合体として金属ケイ素および炭化硼素および炭化ケイ素を含有するセラミックス焼成体を準備した。熱可塑性樹脂薄膜として、厚み35μmのセロファンを準備した。
金属ケイ素および炭化硼素および炭化ケイ素を含有するセラミックス焼成体は実施例1と同様の方法により作製し、接合用試料も同様の形状を準備した。
2つの被接合体の接合面に厚み35μmのセロハンを挟み込み、炭素ジグで固定し、20x40x6mmの形状とした。
固定した試料を炭素炉で真空中1300℃で熱処理を行った。1300℃まで昇温(昇温速度は300度/1時間とした)する途中では600℃で1時間保持し、セロファンを炭化させた。
【0029】
(実施例7)
第1の被接合体および第2の被接合体として金属ケイ素および炭化硼素および炭化ケイ素を含有するセラミックス焼成体を準備した。熱可塑性樹脂薄膜として、厚み35μmのセロファンを準備した。
金属ケイ素および炭化硼素および炭化ケイ素を含有するセラミックス焼成体は実施例1と同様の方法により作製し、接合用試料も同様の形状を準備した。
2つの被接合体の接合面に厚み35μmのセロハンを挟み込み、炭素ジグで固定し、20x40x6mmの形状とした。
固定した試料を炭素炉で真空中1400℃で熱処理を行った。1400℃まで昇温(昇温速度は300度/1時間とした)する途中では600℃で1時間保持し、セロファンを炭化させた。
【0030】
(実施例8)
第1の被接合体および第2の被接合体として金属ケイ素および炭化硼素および炭化ケイ素を含有するセラミックス焼成体を準備した。熱可塑性樹脂薄膜として、厚み20μmのセロファンを準備した。
金属ケイ素および炭化硼素および炭化ケイ素を含有するセラミックス焼成体は実施例1と同様の方法により作製し、接合用試料も同様の形状を準備した。
2つの被接合体の接合面に厚み20μmのセロハンを挟み込み、炭素ジグで固定し、20x40x6mmの形状とした。
固定した試料を炭素炉で1気圧のアルゴン雰囲気中1300℃で熱処理を行った。1300℃まで昇温(昇温速度は300度/1時間とした)する途中では600℃で1時間保持し、セロファンを炭化させた。
【0031】
(実施例9)
第1の被接合体および第2の被接合体として金属ケイ素および炭化硼素および炭化ケイ素を含有するセラミックス焼成体を準備した。熱可塑性樹脂薄膜として、厚み20μmのセロファンを準備した。
金属ケイ素および炭化硼素および炭化ケイ素を含有するセラミックス焼成体は実施例1と同様の方法により作製し、接合用試料も同様の形状を準備した。
2つの被接合体の接合面に厚み20μmのセロハンを挟み込み、炭素ジグで固定し、20x40x6mmの形状とした。
固定した試料を炭素炉で1気圧のアルゴン雰囲気中1400℃で熱処理を行った。1400℃まで昇温(昇温速度は300度/1時間とした)する途中では600℃で1時間保持し、セロファンを炭化させた。
【0032】
(実施例10)
第1の被接合体および第2の被接合体として金属ケイ素および炭化硼素および炭化ケイ素を含有するセラミックス焼成体を準備した。熱可塑性樹脂薄膜として、厚み20μmのセロファンを準備した。
金属ケイ素および炭化硼素および炭化ケイ素を含有するセラミックス焼成体は実施例1と同様の方法により作製し、接合用試料も同様の形状を準備した。
2つの被接合体の接合面に厚み20μmのセロハンを挟み込み、炭素ジグで固定し、20x40x6mmの形状とした。
固定した試料を炭素炉で1気圧のアルゴン雰囲気中1500℃で熱処理を行った。1500℃まで昇温(昇温速度は300度/1時間とした)する途中では600℃で1時間保持し、セロファンを炭化させた。
【0033】
(実施例11)
第1の被接合体および第2の被接合体として金属ケイ素および炭化硼素および炭化ケイ素を含有するセラミックス焼成体を準備した。熱可塑性樹脂薄膜として、厚み20μmのセロファンを準備した。
金属ケイ素および炭化硼素および炭化ケイ素を含有するセラミックス焼成体は実施例1と同様の方法により作製し、接合用試料も同様の形状を準備した。
2つの被接合体の接合面に厚み20μmのセロハンを挟み込み、炭素ジグで固定し、20x40x6mmの形状とした。
固定した試料を炭素炉で1気圧のアルゴン雰囲気中1600℃で熱処理を行った。1600℃まで昇温(昇温速度は300度/1時間とした)する途中では600℃で1時間保持し、セロファンを炭化させた。
【0034】
(実施例12)
第1の被接合体および第2の被接合体として金属ケイ素および炭化硼素および炭化ケイ素を含有するセラミックス焼成体を準備した。熱可塑性樹脂薄膜として、厚み20μmのセロファンを準備した。
金属ケイ素および炭化硼素および炭化ケイ素を含有するセラミックス焼成体は実施例1と同様の方法により作製し、接合用試料も同様の形状を準備した。
2つの被接合体の接合面に厚み20μmのセロハンを挟み込み、炭素ジグで固定し、20x40x6mmの形状とした。
固定した試料を炭素炉で1気圧の窒素雰囲気中1500℃で熱処理を行った。1500℃まで昇温(昇温速度は300度/1時間とした)する途中では600℃で1時間保持し、セロファンを炭化させた。
【0035】
(実施例13)
第1の被接合体および第2の被接合体として金属ケイ素および炭化硼素および炭化ケイ素を含有するセラミックス焼成体を準備した。熱可塑性樹脂薄膜として、厚み20μmのセロファンを準備した。
金属ケイ素および炭化硼素および炭化ケイ素を含有するセラミックス焼成体は実施例1と同様の方法により作製し、接合用試料も同様の形状を準備した。
2つの被接合体の接合面に厚み20μmのセロハンを挟み込み、炭素ジグで固定し、20x40x6mmの形状とした。
固定した試料を炭素炉で真空中1300℃で熱処理を行った。1300℃まで昇温(昇温速度は300度/1時間とした)する途中では600℃で1時間保持し、セロファンを炭化させた。
【0036】
(実施例14)
第1の被接合体および第2の被接合体として金属ケイ素および炭化硼素および炭化ケイ素を含有するセラミックス焼成体を準備した。熱可塑性樹脂薄膜として、厚み20μmのセロファンを準備した。
金属ケイ素および炭化硼素および炭化ケイ素を含有するセラミックス焼成体は実施例1と同様の方法により作製し、接合用試料も同様の形状を準備した。
2つの被接合体の接合面に厚み20μmのセロハンを挟み込み、炭素ジグで固定し、20x40x6mmの形状とした。
固定した試料を炭素炉で真空中1400℃で熱処理を行った。1400℃まで昇温(昇温速度は300度/1時間とした)する途中では600℃で1時間保持し、セロファンを炭化させた。
【0037】
以上の実施例において接合した試料は、それぞれ実施例1に記載と同一の方法、すなわち、加熱後の試料を3x4x40mmのテストピースに加工し、3点曲げ(JISR1601)を行い破断することで強度の測定を行った。
その測定結果を表1に示す。
【0038】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
セラミックス接合体であって、
金属ケイ素を含むセラミックス焼結体からなる第1の被接合体と、セラミックス焼結体からなる第2の被接合体と、が接合層を介して接合され、
前記接合層は金属ケイ素を主成分とすることを特徴とするセラミックス接合体。
【請求項2】
前記第2の被接合体が金属ケイ素を含むセラミックス焼結体からなることを特徴とする請求項1に記載のセラミックス接合体。
【請求項3】
前記第1の被接合体および前記第2の被接合体とが同一のセラミックス焼結体であることを特徴とする請求項1または2に記載のセラミックス接合体。
【請求項4】
前記第1の被接合体および前記第2の被接合体とが、金属ケイ素および炭化ケイ素を含むセラミックス焼結体であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のセラミックス接合体。
【請求項5】
前記第1の被接合体および前記第2の被接合体とが、金属ケイ素および炭化ケイ素および炭化硼素を含むセラミックス焼結体であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のセラミックス接合体。
【請求項6】
セラミックス接合体の製造方法であって、
接合面を有し、金属ケイ素を含むセラミックス焼結体からなる第1の被接合体を準備する工程と、
接合面を有し、セラミックス焼結体からなる第2の被接合体を準備する工程と、
第1の被接合体の接合面と第2の被接合体の接合面との間に熱可塑性樹脂薄膜を配置して第1の被接合体と第2の被接合体とを重ね合わせる工程と、
前記熱可塑性樹脂薄膜を介して重ね合わされた第1の被接合体と第2の被接合体とを、接合面同士が押圧された状態を維持しつつ、不活性雰囲気下において所定温度で熱処理する工程と、を具備してなることを特徴とするセラミックス接合体の製造方法。
【請求項7】
前記所定温度は、前記第1の被接合体に含まれた状態における金属ケイ素の融点よりも高く、且つ、前記第1の被接合体に含まれた状態における金属ケイ素の蒸発温度よりも低い温度であることを特徴とする、請求項6に記載のセラミックス接合体の製造方法。
【請求項8】
前記熱可塑性樹脂薄膜がセロファンからなる薄膜であることを特徴とする請求項6〜7に記載のセラミックス接合体の製造方法。

【図1】
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