説明

セラミック成形体の製造方法

【課題】 スラリー硬化成形体にクラックが生じることを防止できるとともに、導体成形体がスラリー硬化成形体から剥離されることを防止できるセラミック成形体の製造方法を提供すること。
【解決手段】 フィルム18a,17bのうちのフィルム18aの表面に剥離剤を塗布して、剥離剤を介してフィルム18aの表面に導体成形体13bを形成した。つぎに、フィルム18aの表面にプラズマを暴露して露出した剥離剤を除去し、フィルム18a,17bを、表面どうしを対向させて鋳込み型15内に設置した。ついで、鋳込み型15内に、スラリーSを流し込んで硬化させたのちに、成形されたスラリー硬化成形体S3を、フィルム18a,17bとともに、鋳込み型15から取り出した。そして、スラリー硬化成形体S3からフィルム17bを剥離してスラリー硬化成形体S3を乾燥させたのちに乾燥されたスラリー硬化成形体13aからフィルム18aを剥離した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面に導体が埋設形成されたセラミック成形体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
誘電体基板を用いた受動部品等を作製する場合、セラミック粉末と樹脂を含むグリーンシート上に導体パターンを印刷によって形成したものを積層一体化した後に、成形加工し、その後、焼成するようにしている(例えば特許文献1、2参照)。この場合、導体パターンがグリーンシート上において凸形状に形成されるため、グリーンシートを積層する際に、導体パターンの周縁近傍に圧力がかからず、積層した後に、剥がれが生じたり、導体パターンの端部がつぶれてしまい、導体パターンの電気的特性を劣化させたりする。また、これらの問題のために、導体パターンの厚みを厚くできないため、抵抗値を下げるのに限界があり、また、高周波特性の向上にも限界があった。
【0003】
そこで、従来では、上述の欠点を解決するために、樹脂フィルムのような基体やグリーンシート上に、導体ペーストを印刷形成した後、セラミック粉末と樹脂からなるスラリーを塗布し、その後、カチオン性凝固浴に浸漬して前記スラリーをゲル化したグリーンシートにすることで、導体パターンをグリーンシート内に埋設する方法が提案されている(例えば特許文献1〜3参照)。また、他の従来例では、導体パターンの変形を抑制するために、導体ペーストに熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂あるいは紫外線硬化性樹脂を混入させる方法が提案されている(例えば特許文献4参照)。
【特許文献1】特公昭40−19975号公報
【特許文献2】特開平2−58816号公報
【特許文献3】特開2005−1279号公報
【特許文献4】特開平8−167537号公報
【発明の開示】
【0004】
このようなセラミック成形体を製造する際には、一対のフィルムを対向させて鋳込み型内に設置し、そのフィルム間にセラミック成形体成形用のスラリーを流し込んで硬化させることが行われている。そして、成形されたシート状のスラリー硬化成形体は、フィルムとともに鋳込み型から取り出され、一方のフィルムを剥離して乾燥されたのちに他方のフィルムも剥離される。しかしながら、従来のこのような製造方法で、導体成形体が形成されたセラミック成形体を成形する場合には、導体成形体がスラリー硬化成形体に残らずにフィルムとともにスラリー硬化成形体から剥離されてしまうことがある。また、成形されたシート状のスラリー硬化成形体をフィルムとともに鋳込み型から取り出して、一方のフィルムを剥離して乾燥させる際に、スラリー硬化成形体が収縮してクラックが生じることもある。
【0005】
本発明は、前述した問題に対処するためになされたもので、その目的は、スラリー硬化成形体にクラックが生じることを防止できるとともに、導体成形体がスラリー硬化成形体から剥離されることを防止できるセラミック成形体の製造方法を提供することである。
【0006】
前述した目的を達成するため、本発明に係るセラミック成形体の製造方法の構成上の特徴は、表面に剥離剤が塗布されたフィルム状または薄板状の保護基材の表面に導体成形体を形成する導体成形体形成工程と、導体成形体が形成された保護基材の表面における導体成形体が形成された部分以外の部分に塗布された剥離剤を除去する剥離剤除去工程と、保護基材の表面を成形用空間に向けた状態で、保護基材を鋳込み型内に設置する設置工程と、鋳込み型内に樹脂とセラミック粉末と溶剤とが混合されたスラリーを流し込むシート成形工程と、シート成形工程において成形されたシート状の成形体を、保護基材とともに、鋳込み型から取り出す離型工程と、シート状の成形体から保護基材を剥離する保護基材除去工程とを備えたことにある。
【0007】
本発明に係るセラミック成形体の製造方法では、まず、表面に剥離剤が塗布された保護基材を準備して、その表面に導体成形体を形成するようにしている。つぎに、保護基材の表面における導体成形体が形成された部分以外の部分に塗布された剥離剤を除去したのちに、保護基材を成形用空間に向けた状態で鋳込み型内に設置し、その鋳込み型の成形用空間にセラミック成形体成形用のスラリーを流し込んでシート状の成形体を成形するようにしている。そして、成形されたシート状の成形体を保護基材とともに、鋳込み型から取り出したのちに、シート状の成形体から保護基材を剥離するようにしている。
【0008】
これによると、シート状の成形体を保護基材とともに、鋳込み型から取り出したのちにシート状の成形体が乾燥すると、シート状の成形体に収縮が発生するが、シート状の成形体は、保護基材の付着力によって保護基材に強固に支持された状態になる。すなわち、保護基材の表面における剥離剤が除去された部分には付着面が露出して適度な付着力を備えた面になる。このため、シート状の成形体に収縮によるクラックが発生することが防止される。また、導体成形体と保護基材との間には、剥離剤が残っているため、シート状の成形体から保護基材を剥離するときに、保護基材がシート状の成形体から簡単に剥離するようになり、導体成形体が保護基材とともに、シート状の成形体から分離してしまうことを防止できる。
【0009】
これによって、クラックがなく、導体成形体がシート状の成形体から分離されることのないセラミック成形体を得ることができる。この場合、剥離剤としては、剥離性のよい付着剤等を用いることが好ましく、保護基材に導体成形体を付着形成することができるとともに容易に保護基材を導体成形体から剥離できるものを使用する。例えば、公知のシリコーン系やフッ素系の剥離剤を使用することができる。さらに、導体成形体は、熱硬化性樹脂前駆体と、金、銀、銅などの少なくとも1種類以上の金属を主成分として含む導体ペーストを印刷によって形成することが好ましく、この導体ペーストが硬化して導体成形体になる。
【0010】
また、スラリーは、バインダーとしての樹脂と、セラミック粉末と、分散剤と、揮発性の溶剤で構成される。樹脂は、イソシアネート基またはイソチオシアネート基を有するゲル化剤と、水酸基を有する高分子とからなり、水酸基を有する高分子は、ブチラール樹脂、エチルセルロース系高分子、ポリエチレングリコール系高分子またはポリエーテル系高分子で構成される。また、保護基材としては、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムなどのフィルムを用いることが好ましく、PETフィルム等以外にもガラス板や紙などのフィルム状または板状の種々の材料を用いることができる。ただし、保護基材としては、剥離操作をし易くなることから可撓性を備えたものを用いることが好ましい。
【0011】
本発明に係るセラミック成形体の製造方法の他の構成上の特徴は、設置工程において、鋳込み型内に、保護基材に対向して補助フィルムが設置されるとともに、離型工程ののちに、シート状の成形体から補助フィルムを剥離してシート状の成形体を乾燥させることによりシート状の成形体に含まれる溶剤を除去する乾燥工程が行われることにある。
【0012】
この場合、対向して鋳込み型内に設置された保護基材と補助フィルムとの間にセラミック成形体成形用のスラリーを流し込んでシート状の成形体が成形される。そして、成形されたシート状の成形体を保護基材および補助フィルムとともに、鋳込み型から取り出して、補助フィルムを剥離してシート状の成形体を乾燥したのちに、乾燥されたシート状の成形体から保護基材が剥離される。補助フィルムとしては、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムなどのフィルムを用いることが好ましい。
【0013】
本発明に係るセラミック成形体の製造方法のさらに他の構成上の特徴は、保護基材を、前記補助フィルムよりもシート状の成形体に対する付着力が大きなもので構成したことにある。
【0014】
これによると、乾燥工程において剥離される補助フィルムは、シートから容易に剥離することができ、保護基材除去工程において剥離される保護基材は、補助フィルムより大きな付着力でシートに付着した状態を維持する。このため、乾燥工程において乾燥して収縮する際のシート状の成形体にクラックが生じることをより確実に防止することができる。また、シート状の成形体は、乾燥前よりも乾燥後の方がより硬化が進行して強度が強くなっているため、乾燥後のシート状の成形体から付着力の大きな保護基材を剥離してもシート状の成形体に破損は生じにくい。
【0015】
また、保護基材の付着力を大きくしても、保護基材と導体成形体との間には剥離剤が介在しているため、保護基材を剥離する際に、導体成形体がシート状の成形体から分離することはない。なお、本発明においては、補助フィルムにも導体成形体を形成することができ、この場合は、補助フィルムの付着力を小さくすることにより、補助フィルムに剥離剤を塗布したり、補助フィルムの表面における導体成形体のない部分から剥離剤を除去したりする処理は不要になる。また、補助フィルムに導体成形体を形成する場合に、補助フィルムに剥離剤を塗布したり、補助フィルムの表面における導体成形体のない部分から剥離剤を除去したりする処理を行うこともできる。
【0016】
本発明に係るセラミック成形体の製造方法のさらに他の構成上の特徴は、樹脂が熱硬化性樹脂であることにある。これによると、樹脂が加熱より硬化するため、セラミック成形体成形用のスラリーを硬化させるための処理が容易になる。
【0017】
本発明に係るセラミック成形体の製造方法の他の構成上の特徴は、剥離剤除去工程において行われる剥離剤の除去が、導体成形体が形成された保護基材の表面をプラズマ中に暴露することによって行われることにある。
【0018】
剥離剤を除去する方法としては、アセトンなどの溶剤に浸漬したり、剥離剤層をブラストで衝撃して除去したりする方法等があるが、プラズマの照射によると、保護基材における導体成形体が形成された部分、すなわち、保護基材と導体成形体との間だけに剥離剤を残し、他の露出した部分からは剥離剤を除去する処理を正確に行うことができる。この処理は、例えば、導体成形体が形成された保護基材をプラズマ処理装置のチャンバー内に設置してアルゴンガス等の不活性ガスをプラズマで電離させたイオンを衝突させることにより行うことができる。これによると、保護基材に損傷を与えることなく、不要な剥離剤層を除去することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態を図面を用いて説明する。図1は、本実施形態に係る製造方法によって製造されたセラミック成形体を含むセラミック焼結体10を示している。セラミック焼結体10は、4個のセラミック成形体11,12,13,14を積層して構成されている。このうち、セラミック成形体13,14が、本実施形態に係るセラミック成形体の製造方法によって製造されたものである。セラミック成形体11は、粉状のセラミックからなる基材に、架橋することによりゲル化して硬化するポリオールとポリイソシアネートからなるバインダー(熱硬化性樹脂前駆体)と、多塩基酸エステルからなる揮発性の溶剤(分散剤)を混合して構成されるスラリーS(図2(b)参照)を硬化したスラリー硬化成形体から溶剤成分を乾燥により除去したもので構成されている。
【0020】
セラミック成形体12は、セラミック成形体11と同一の材料で形成されたスラリー硬化成形体12aの下面に導体成形体12bを埋没させた状態で形成して構成されており、スラリー硬化成形体12aの下面と導体成形体12bの下面とは同一面上に位置する平滑面に形成されている。セラミック成形体13は、セラミック成形体11と同一の材料で形成されたスラリー硬化成形体13aの上面に導体成形体13bを埋没させた状態で形成して構成されており、スラリー硬化成形体13aの上面と導体成形体13bの上面とは同一面上に位置する平滑面に形成されている。
【0021】
そして、セラミック成形体14は、セラミック成形体11と同一の材料で形成されるスラリー硬化成形体14aの上下両面にそれぞれ導体成形体14b,14cを埋没させた状態で形成して構成されており、スラリー硬化成形体14aの下面と導体成形体14bの下面とは同一面上に位置する平滑面に形成され、スラリー硬化成形体14aの上面と導体成形体14cの上面とは同一面上に位置する平滑面に形成されている。そして、このように構成されたセラミック成形体11,12,13,14を積層したセラミック積層体を焼成することによりセラミック焼結体10が形成される。
【0022】
つぎに、以上にように構成されたセラミック焼結体10を構成する各セラミック成形体11,12,13,14の製造方法について説明する。セラミック成形体11,12,13,14は、図2ないし図5に示した、開閉可能な上下一対の板状金型15a,15bを備えた鋳込み型15と、板状金型15a,15b間に配置される枠状のスペーサ16と、フィルム17a,18aの一方およびフィルム17b,18bの一方からなる一対のフィルムとを用いて成形される。なお、図2および図3に示したフィルム18aで本発明に係る保護基材が構成され、フィルム17b,18bで本発明に係る補助フィルムが構成される。
【0023】
板状金型15a,15bは、平面からなる双方の成形面を所定間隔(セラミック成形体11等の厚みと一対のフィルム17a等の厚みとの和の長さ)だけ隔てて対向して平行に配置されている。板状金型15bは、板状金型15aに対して進退可能になっている。そして、上方に位置する板状金型15bの一方の端部側には、スラリーSを鋳込み型15内に注入するための注入孔15cが板状金型15bの内面から外面にかけて貫通している。スペーサ16としては、高さの異なる複数個のものが準備されており、セラミック成形体11等の厚みに応じて適宜一つが選択される。
【0024】
また、フィルム17a,17b,18a,18bとしては、表面(セラミック成形体11等側に位置する面)が付着面で構成されたPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムが用いられる。そして、フィルム17b,18bとしては、フィルム17a,18aよりもセラミック成形体11等に対する付着力の小さなものを用いた。例えば、フィルム17a,18aとしては、東レ製のHP−2U(品名)を用い、フィルム17b,18bとしては、東レ製のQ1(品名)を用いることができる。
【0025】
また、フィルム18aとしては、フィルム17aと同一のフィルムの表面に、剥離剤を塗布したものを用い、フィルム18bとしては、フィルム17bと同一のフィルムの表面に、剥離剤を塗布したものを用いた。この剥離剤としては、シリコーン系またはフッ素系のものが用いられており、これによって、フィルム18a,18bの表面の付着力は小さくなっている。また、フィルム17a,17b,18a,18bのうちの板状金型15bの内面に沿って設置されるフィルム17bの注入孔15cに対応する部分には、スラリーSを通過させるための通過孔17cを設けておき、フィルム18bの注入孔15cに対応する部分には、スラリーSを通過させるための通過孔18cを設けておく。注入孔15cの直径と通過孔17c,18cの直径とは同じに設定される。
【0026】
そして、セラミック成形体13を成形する場合には、まず、図2(a)に示したように、フィルム18aの表面に、導体成形体13bを形成する。この導体成形体13bの形成は、熱硬化性樹脂前駆体と銅を含む導体ペーストをスクリーン印刷法等を用いて印刷することにより行われ、例えば、渦巻き形状など任意の形状に形成される。この導体ペーストが硬化して導体成形体13bになる。また、導体成形体13bの厚みは、比較的大きくすることができ、セラミック成形体13の厚み0.05mmから4mmに対して15μmから200μm程度にすることができる。つぎに、導体成形体13bが形成されたフィルム18aの表面における露出した部分から剥離剤を除去する処理が行われる。
【0027】
この剥離剤除去処理は、所定のプラズマ処理装置(図示せず)、例えば、サムコ社製のプラズマドライクリーナーPX−1000を用いて行うことができる。この場合、プラズマ処理装置のチャンバー内に、導体成形体13bが形成されたフィルム18aをその表面を露出させた状態で設置して、真空にしたチャンバー内に、アルゴンガスを、流量が50sccmで、ガス圧が300mTorrになるように流し、プラズマ処理装置に1kwの電力を10秒から3分供給した。この時間は、フィルム18aや剥離剤の種類等によって適宜設定される。これによって、チャンバー内に発生したプラズマ中で電離されたアルゴンガスのイオンが、フィルム18aの露出部分に衝突して剥離剤を除去する。この結果、フィルム18aと導体成形体13bとの間だけに剥離剤が残り、フィルム18aの露出部分は剥離剤のない付着性を備えた面になる。
【0028】
つぎに、スラリーSに含まれる各材料、すなわち、セラミック粉体(アルミナ、ジルコニア、チッ化珪素、炭化珪素等からなる)、熱硬化性樹脂前駆体(ポリオール、ポリイソシアネートからなるバインダー)および揮発性の溶剤(多塩基酸エステル)、分散剤をミキサーで混合する。この混合の際に、各材料は、攪拌と多塩基酸エステルの分散性能によって、均一なスラリーSになる。ついで、板状金型15bを、板状金型15aから後退(上方に移動)させた状態で、板状金型15aの成形面(上面)上にフィルム18aを設置する。つぎに、セラミック成形体13の厚み(ここでは、乾燥後の収縮は考慮してなく、成形時の厚み)と同じ高さのスペーサ16を選択して、フィルム18aの周縁部を押えるようにしてスペーサ16をフィルム18aの上面に設置する。
【0029】
そして、注入孔15cと通過孔17cとの位置を合わせた状態で、板状金型15bの成形面(下面)にフィルム17bを設置する。この場合、フィルム17bは離型性のよい塗布剤等を用いて板状金型15bの成形面に仮止めしておく。そして、フィルム17bが設置された板状金型15bを下降させて、フィルム17bの周縁部をスペーサ16の上面に押し付ける。これによって、図2(b)の状態になる。つぎに、スラリーSを注入孔15cから鋳込み型15内に注入する。このスラリーSは、通過孔17c内を通過して、フィルム17bの下部側に落下し、フィルム18aとフィルム17bとの間に充填される。これによって、図2(c)の状態になる。
【0030】
鋳込み型15内に注入されたスラリーSは、ポリオールとポリイソシアネートとが、反応して架橋することによりゲル化していき、それにともなって硬化していく。これによって、フィルム18a,17b間にセラミック成形体13の前駆体であるスラリー硬化成形体S3が形成される。また、スラリーSが固化してスラリー硬化成形体S3になるときに、フィルム18a,17bは、スラリー硬化成形体S3に付着する。つぎに、板状金型15bを、板状金型15aから上昇させて、鋳込み型15を開く。
【0031】
この場合、フィルム17bは、板状金型15bから剥離され、スラリー硬化成形体S3の上面に付着したまま、スラリー硬化成形体S3、フィルム18aおよびスペーサ16とともに、板状金型15aの上面に残る。そして、スラリー硬化成形体S3を、フィルム18a,17bおよびスペーサ16とともに、鋳込み型15内から取り出し、図2(d)に示したように、フィルム17b側を上方に位置させた状態で、所定の場所に置く。つぎに、フィルム17bをスラリー硬化成形体S3から剥離して、スラリー硬化成形体S3の上面を、図2(e)に示したように露出させる。このとき、スラリー硬化成形体S3における通過孔17c内に位置していた部分は除去して、スラリー硬化成形体S3の上面を平滑な面にしておく。
【0032】
これによって、スラリー硬化成形体S3は乾燥され、スラリー硬化成形体S3内に含まれる多塩基酸エステルは揮発してスラリー硬化成形体S3の上面から外部に放出される。そして、多塩基酸エステルの揮発によって、スラリー硬化成形体S3に収縮が発生するが、フィルム18aによって、スラリー硬化成形体S3は強固に支持されているため、収縮によるクラックの発生が防止される。これによって、クラックのないセラミック成形体13が成形される。つぎに、セラミック成形体13からスペーサ16を外し、必要に応じて、セラミック成形体13からフィルム18aを剥離する。
【0033】
このとき、フィルム18aの内面(導体成形体13bが形成された面)における導体成形体13bが位置する部分以外の部分は、予め剥離剤が除去されているため、フィルム18aとスラリー硬化成形体13aとの付着力は、大きくなっている。すなわち、フィルム18aのセラミック成形体13に対する付着力は、フィルム17bのスラリー硬化成形体S3に対する接着力よりも大きいが、セラミック成形体13の強度は、乾燥前のスラリー硬化成形体S3の強度よりも大きくなっているため、フィルム18aは、セラミック成形体13を損傷することなく容易に剥離される。また、フィルム18aと導体成形体13bとの間には、剥離剤層が介在するため、フィルム18aは、導体成形体13bから容易に剥離される。
【0034】
このため、フィルム18aを、セラミック成形体13の一端側から他端側に向かって引っ張ると、フィルム18aは、導体成形体13bをセラミック成形体13内に残したまま、セラミック成形体13から剥離される。これによって、図2(f)に示したセラミック成形体13が得られる。なお、セラミック成形体13に、セラミック成形体14を積層するまで、フィルム18aを、セラミック成形体13に付着させたままにしておくことが好ましい場合もあり、その場合には、ここではフィルム18aの剥離は行わない。
【0035】
セラミック成形体14を成形する場合には、まず、図3(a)に示したように、フィルム18aの表面に、導体成形体14cを形成する。そして、図3(b)に示したように、フィルム18bの表面に、導体成形体14bを形成する。この導体成形体14c,14bの形成は、前述した導体成形体13bの形成と同じ方法で行われる。そして、導体成形体14cが形成されたフィルム18aと導体成形体14bが形成されたフィルム18bとのそれぞれの表面における露出した部分から剥離剤を除去する処理が行われる。この剥離剤除去処理は、前述した導体成形体13bが形成されたフィルム18aの剥離剤除去と同じ方法で行われる。
【0036】
これによって、フィルム18aにおいては、フィルム18aと導体成形体14cとの間だけに剥離剤が残り、フィルム18aの露出部分は剥離剤のない付着性を備えた面になる。また、フィルム18bにおいては、フィルム18bと導体成形体14bとの間だけに剥離剤が残り、フィルム18bの露出部分は剥離剤のない付着性を備えた面になる。つぎに、鋳込み型15を開いて、板状金型15aの成形面上に導体成形体14cが形成されたフィルム18aを設置し、そのフィルム18aの上面にスペーサ16を設置する。そして、注入孔15cと通過孔18cとの位置を合わせ、板状金型15bの成形面に、導体成形体14bが形成されたフィルム18bを設置する。
【0037】
この場合も、フィルム18bは離型性のよい塗布剤等を用いて板状金型15bの成形面に仮止めしておく。そして、板状金型15bを下降させて、フィルム18bの周縁部をスペーサ16の上面に押し付ける。これによって、図3(c)の状態になる。つぎに、スラリーSを注入孔15cから鋳込み型15内に注入する。このスラリーSは、通過孔18c内を通過して、フィルム18bの下部側に落下し、フィルム18aとフィルム18bとの間に充填される。これによって、図3(d)の状態になる。鋳込み型15内に注入されたSスラリーは、ゲル化していき、それにともなって硬化していく。この結果、フィルム18a,18b間にセラミック成形体14の前駆体であるスラリー硬化成形体S4と導体成形体14c,14bとが一体になって形成される。
【0038】
つぎに、鋳込み型15を開いて、内部(上下両面)に導体成形体14c,14bが形成されたスラリー硬化成形体S4を、フィルム18a,18bおよびスペーサ16とともに、鋳込み型15内から取り出して、図3(e)に示したように、フィルム18b側を上方に位置させた状態で、所定の場所に置く。つぎに、フィルム18bをスラリー硬化成形体S4および導体成形体14bから剥離して、スラリー硬化成形体S4および導体成形体14bの上面を図3(f)に示したように、露出させる。このとき、フィルム18bと導体成形体14bとの間には、剥離剤層が介在するため、フィルム18bを、スラリー硬化成形体S4の一端側から他端側に向かって引っ張ると、フィルム18bは、導体成形体14bをスラリー硬化成形体S4内に残したまま、スラリー硬化成形体S4から剥離される。
【0039】
これによって、スラリー硬化成形体S4内に含まれる多塩基酸エステルは揮発してスラリー硬化成形体S4の上面における導体成形体14bが位置していない部分から外部に放出される。そして、スラリー硬化成形体S4内のポリオールとイソシアネートとが、さらに反応していき、それにともなってスラリー硬化成形体S4は、さらに硬化していく。このとき、スラリー硬化成形体S4に収縮が発生するが、スラリー硬化成形体S4は、フィルム18aによって、強固に支持されるため、収縮によるクラックが生じることが防止される。これによって、クラックのないスラリー硬化成形体14aを備えたセラミック成形体14が成形される。
【0040】
つぎに、セラミック成形体14からスペーサ16を外し、必要に応じて、セラミック成形体14からフィルム18aを剥離する。このとき、フィルム18aと導体成形体14cとの間には、剥離剤層が介在するため、フィルム18aは、導体成形体14cから容易に剥離される。このため、フィルム18aを、スラリー硬化成形体14aの一端側から他端側に向かって引っ張ると、フィルム18aは、導体成形体14cをスラリー硬化成形体14a内に残したまま、スラリー硬化成形体14aから剥離される。これによって、図3(g)に示したセラミック成形体14が得られる。なお、このときも、フィルム18aを、セラミック成形体14に付着させたままにしておくことが好ましい場合には、ここではフィルム18aの剥離は行わない。
【0041】
また、参考として、セラミック成形体11,12の製造方法を説明すると、セラミック成形体11の成形は、図4に示した各工程によって行われ、セラミック成形体12の成形は、図5に示した各工程によって行われる。セラミック成形体11を成形する場合には、まず、図4(a)に示したように、板状金型15aの成形面上にフィルム17aを設置し、フィルム17aの上面に所定のスペーサ16を設置する。そして、注入孔15cと通過孔17cとの位置を合わせた状態で、板状金型15bの成形面にフィルム17bを設置して、スラリーSを注入孔15cから鋳込み型15内に注入する。これによって、図4(b)の状態になる。鋳込み型15内に注入されたスラリーSは、ゲル化して硬化していき、フィルム17a,17b間にスラリー硬化成形体S1が形成される。
【0042】
そして、スラリー硬化成形体S1を、フィルム17a,17bおよびスペーサ16とともに、鋳込み型15内から取り出し、図4(c)に示したように、フィルム17b側を上方に位置させた状態で、所定の場所に置く。つぎに、フィルム17bをスラリー硬化成形体S1から剥離して、スラリー硬化成形体S1を乾燥する。そして、乾燥されたセラミック成形体11からスペーサ16を外し、必要に応じて、フィルム17aを剥離する。これによって、図4(e)に示したセラミック成形体11が得られる。
【0043】
また、セラミック成形体12を成形する場合には、まず、図5(a)に示したように、フィルム17bの表面に、導体成形体12bを形成する。つぎに、図5(b)に示したように、鋳込み型15内に、フィルム17a、スペーサ16およびフィルム17bを順次設置する。ついで、スラリーSを注入孔15cから鋳込み型15内に注入して、図5(c)の状態にする。鋳込み型15内に注入されたスラリーSは、ゲル化して硬化していき、フィルム17a,17b間にスラリー硬化成形体S2と導体成形体12bとが一体になって形成される。つぎに、図5(d)に示したように、内部(上面)に導体成形体12bが形成されたスラリー硬化成形体S2を、フィルム17a,17bおよびスペーサ16とともに、鋳込み型15内から取り出す。
【0044】
そして、フィルム17bをスラリー硬化成形体S2および導体成形体12bから剥離して、スラリー硬化成形体S2および導体成形体12bの上面を図5(e)に示したように、露出させる。このとき、フィルム17bの付着力は小さいため、フィルム17bは、スラリー硬化成形体S2および導体成形体12bから容易に剥離される。これによって、スラリー硬化成形体S2は乾燥して、硬化していき、スラリー硬化成形体12aと導体成形体12bとからなるセラミック成形体12が成形される。つぎに、セラミック成形体12からスペーサ16を外し、必要に応じて、フィルム17aを剥離する。これによって、図5(f)に示したセラミック成形体12が得られる。
【0045】
そして、このようにして成形されたセラミック成形体11,12,13,14を順次積層して焼結することにより、セラミック焼結体10が得られる。この場合、フィルム17a,17b,18a,18bがすべて剥離されたセラミック成形体11,12,13,14を積層するよりも、フィルム17aまたはフィルム18aが付着された状態のセラミック成形体11,12,13,14を順次積層していくことが好ましい。この場合、まず、フィルム17aが下面に付着したセラミック成形体11の上面に接着剤を塗布し、フィルム17aが下面に付着したセラミック成形体12を反転させてその下面(反転する前の上面で、導体成形体12bが形成された面)をセラミック成形体11の上面に押し付けて接合させる。ついで、セラミック成形体12からフィルム17aを剥離する。
【0046】
つぎに、セラミック成形体12の上面に接着剤を塗布し、フィルム18aが下面に付着したセラミック成形体13を反転させてその下面(反転する前の上面)をセラミック成形体12の上面に押し付けて接合させる。ついで、セラミック成形体13からフィルム18aを剥離する。つぎに、セラミック成形体13の上面(導体成形体13bが形成された面)に接着剤を塗布し、フィルム18aが下面に付着したセラミック成形体14を反転させてその下面(導体成形体14bが形成された面)をセラミック成形体13の上面に押し付けて接合させる。
【0047】
ついで、セラミック成形体14からフィルム18aを剥離するとともに、セラミック成形体11からフィルム17aを剥離する。そして、このように積層一体化されたセラミック積層成形体を焼結して、セラミック成形体11およびセラミック成形体12,13,14を、それぞれ焼成することによってセラミック焼結体10が得られる。
【0048】
このように、本実施形態に係るセラミック成形体の製造方法では、セラミック成形体13を製造する際には、まず、付着力の大きなフィルム18aの表面に剥離剤を塗布し、その剥離剤の表面に導体成形体13bを形成するようにしている。つぎに、フィルム18aの表面における導体成形体13bが形成された部分以外の部分に塗布された剥離剤を除去したのちに、フィルム18aと付着力の小さなフィルム17bとを対向させて鋳込み型15内に設置し、フィルム18a,17b間にスラリーSを流し込んでスラリー硬化成形体S3を成形するようにしている。そして、成形されたスラリー硬化成形体S3をフィルム18a,17bとともに、鋳込み型15から取り出し、フィルム17bを剥離してスラリー硬化成形体S3を乾燥したのちに、乾燥されたスラリー硬化成形体13aからフィルム18aを剥離するようにしている。
【0049】
これによると、スラリー硬化成形体S3からフィルム17bを剥離して、スラリー硬化成形体S3を乾燥する際に、スラリー硬化成形体S3が収縮するが、スラリー硬化成形体S3は、フィルム18aの付着力によってフィルム18aに強固に支持された状態になる。このため、スラリー硬化成形体S3が収縮してスラリー硬化成形体13aになる際に、クラックが発生することが防止される。また、導体成形体13bとフィルム18aとの間には、剥離剤が残っているため、スラリー硬化成形体13aからフィルム18aを剥離するときに、フィルム18aが導体成形体13bから簡単に剥離する。これによって、導体成形体13bがフィルム18aとともに、スラリー硬化成形体13aから分離してしまうことを防止できる。
【0050】
この結果、クラックがなく、導体成形体13bがスラリー硬化成形体13aから剥離されることのないセラミック成形体13を得ることができる。また、フィルム17bは、付着力が小さいため、スラリー硬化成形体S3から容易に剥離できるが、仮に、フィルム17bの付着力が大きな場合であっても、フィルム17bには導体成形体が形成されてないため、支障は生じない。また、本実施形態に係るセラミック成形体の製造方法では、剥離剤除去工程において行われる剥離剤の除去が、導体成形体13b,14b,14cが形成されたフィルム18a,18bの表面にプラズマを暴露することによって行われている。
【0051】
このプラズマの暴露によると、フィルム18a,18bにおける導体成形体13b,14b,14cが形成された部分だけに剥離剤を残し、他の露出した部分からは剥離剤を除去する処理を正確に行うことができる。また、フィルム18a,18bに損傷を与えることなく、不要な剥離剤層を除去することができる。さらに、フィルム17b,18bの付着力を、フィルム18aの付着力よりも小さくしているため、フィルム17b,18bは、スラリー硬化成形体S3,S4から剥離し易くなり、フィルム18aは、乾燥して収縮するスラリー硬化成形体S3,S4に大きな付着力で付着してスラリー硬化成形体S3,S4にクラックが生じることをより確実に防止できる。
【0052】
また、本発明に係るセラミック成形体成形方法およびセラミック焼結体は、前述した実施形態に限るものでなく、適宜変更して実施することができる。例えば、前述した実施形態では、セラミック成形体14を製造する際に、補助フィルムとして、剥離剤を塗布したフィルム18bを用い、このフィルム18bの表面に導体成形体14bを形成したのちに、プラズマを暴露しているが、このフィルム18bに代えて剥離剤が塗布されていないフィルム17bを用いてもよい。この場合でも、フィルム17bの付着力が小さいため、フィルム17bを、スラリー硬化成形体S4および導体成形体14bから剥離することができる。これによると、フィルム17bに剥離剤を塗布したり、フィルム17bの表面における導体成形体14bのない部分から剥離剤を除去したりする処理が不要になる。
【0053】
また、前述した実施形態では、セラミック焼結体10を携帯電話に内蔵されるインダクタとして用いるようにしているが、これに限らず、フィルター、カプラ、バラン、ディレーライン等の用途に用いることもできる。さらに、フィルム18a,18bから剥離剤を除去する方法としては、フィルム18a,18bにおける剥離剤を除去する部分にアセトン等の液体を塗布したり、その液体中にフィルム18a,18bを浸漬したりする方法を用いることができる。酸性あるいはアルカリ性溶液に浸漬する方法、また、フィルム18a,18bにおける剥離剤を除去する部分にブラストを衝突させる方法やコロナ放電中に暴露する方法、RIE、逆スパッタリング、イオンミリング、紫外線やX線あるいは放射線などの照射による方法、を用いることもできる。さらに、本発明を構成するそれ以外の部分の構成についても本発明の技術的範囲内で適宜変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の一実施形態によって製造されたセラミック成形体を備えたセラミック焼結体の断面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るセラミック成形体の製造工程を示しており、(a)はフィルムの表面に導体成形体を形成した状態を示した断面図、(b)は一対のフィルムを鋳込み型内に配置した状態を示した断面図、(c)は鋳込み型内にスラリーを流し込んだ状態を示した断面図、(d)は鋳込み型から取り出されたスラリー硬化成形体を示した断面図、(e)はスラリー硬化成形体から上方のフィルムを剥離した状態を示した断面図、(f)は下面に導体成形体が形成されたセラミック成形体を示した断面図である。
【図3】他のセラミック成形体の製造工程を示しており、(a)は一方のフィルムの表面に導体成形体を形成した状態を示した断面図、(b)は他方のフィルムの表面に導体成形体を形成した状態を示した断面図、(c)は一対のフィルムを鋳込み型内に配置した状態を示した断面図、(d)は鋳込み型内にスラリーを流し込んだ状態を示した断面図、(e)は鋳込み型から取り出されたスラリー硬化成形体を示した断面図、(f)はスラリー硬化成形体から上方のフィルムを剥離した状態を示した断面図、(g)は上下両面に導体成形体が形成されたセラミック成形体を示した断面図である。
【図4】導体成形体を含まないセラミック成形体の製造工程を示しており、(a)は一対のフィルムを鋳込み型内に配置した状態を示した断面図、(b)は鋳込み型内にスラリーを流し込んだ状態を示した断面図、(c)は鋳込み型から取り出されたスラリー硬化成形体を示した断面図、(d)はスラリー硬化成形体から上方のフィルムを剥離した状態を示した断面図、(e)は導体成形体を含まないセラミック成形体を示した断面図である。
【図5】上面に導体成形体が形成されたセラミック成形体の製造工程を示しており、(a)はフィルムの表面に導体成形体を形成した状態を示した断面図、(b)は一対のフィルムを鋳込み型内に配置した状態を示した断面図、(c)は鋳込み型内にスラリーを流し込んだ状態を示した断面図、(d)は鋳込み型から取り出されたスラリー硬化成形体を示した断面図、(e)はスラリー硬化成形体から上方のフィルムを剥離した状態を示した断面図、(f)は上面に導体成形体が形成されたセラミック成形体を示した断面図である。
【符号の説明】
【0055】
13,14…セラミック成形体、13a,14a,S3,S4…スラリー硬化成形体、13b,14b,14c…導体成形体、15…鋳込み型、17b,18a,18b…フィルム、S…スラリー。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に剥離剤が塗布されたフィルム状または薄板状の保護基材の表面に導体成形体を形成する導体成形体形成工程と、
前記導体成形体が形成された保護基材の表面における前記導体成形体が形成された部分以外の部分に塗布された剥離剤を除去する剥離剤除去工程と、
前記保護基材の表面を成形用空間に向けた状態で、前記保護基材を鋳込み型内に設置する設置工程と、
前記鋳込み型内に樹脂とセラミック粉末と溶剤とが混合されたスラリーを流し込むシート成形工程と、
前記シート成形工程において成形されたシート状の成形体を、前記保護基材とともに、前記鋳込み型から取り出す離型工程と、
前記シート状の成形体から前記保護基材を剥離する保護基材除去工程と
を備えたセラミック成形体の製造方法。
【請求項2】
前記設置工程において、前記鋳込み型内に、前記保護基材に対向して補助フィルムが設置されるとともに、前記離型工程ののちに、前記シート状の成形体から前記補助フィルムを剥離して前記シート状の成形体を乾燥させることにより前記シート状の成形体に含まれる溶剤を除去する乾燥工程が行われる請求項1に記載のセラミック成形体の製造方法。
【請求項3】
前記保護基材を、前記補助フィルムよりも前記シート状の成形体に対する付着力が大きなもので構成した請求項2に記載のセラミック成形体の製造方法。
【請求項4】
前記樹脂が熱硬化性樹脂である請求項1ないし3のうちのいずれか一つに記載のセラミック成形体の製造方法。
【請求項5】
前記剥離剤除去工程において行われる剥離剤の除去が、前記導体成形体が形成された前記保護基材の表面をプラズマ中に暴露することによって行われる請求項1ないし4のうちのいずれか一つに記載のセラミック成形体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−94817(P2010−94817A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−264865(P2008−264865)
【出願日】平成20年10月14日(2008.10.14)
【出願人】(000004064)日本碍子株式会社 (2,325)
【Fターム(参考)】