説明

セラミック製一体成形浴槽

【課題】従来の陶磁器製品に比べ軽量で断熱性及び耐水性等を有したセラック製浴槽を簡単に低コストで作成する方法の提供。
【解決手段】パーライトやシラスバルーンや石炭灰等の軽量骨材と耐火骨材を含む混和剤とアルミナセメント、水硬性アルミナのいずれか一方またはそれらの混合物からなる水硬性キャスタブルを鋳込み成型して得た硬化体を脱型した後に施釉して焼成したセラミック製浴槽。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、セラミック製浴槽及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、陶器調の模様を有する意匠性に優れた浴槽は特許番号2967256公報に記載されているように、型上に透明または薄く着色したゲルコート材を吹き付けて光沢層を形成し、該光沢層上に着色したゲルコート材を吹き付けて化粧層を形成し、該化粧層上にレジンコンクリート,FRP等よりなる補強層を積層して形成される浴槽に、前記化粧層または光沢層の形成時に、前記型を反転させるとともに、ゲルコート材を部分的に集中吹き付けして該ゲルコート材の一部を型に沿って垂らし、垂れ模様を形成し、この垂れ模様が陶器の釉薬が垂れたような感じとなり、陶器調の模様を有する浴槽とすることが提案されている。
【0003】
しかし本方法においては陶器様の味わいが出てはいるが陶器と比べて耐熱水性,耐薬品性が不十分であって、長期使用の間に樹脂の劣化が起こり、永年耐久寿命の点で問題があり、その性質の違いは明白である。
また特開平10−44115に陶磁器製の大型一体成型水槽の製造方法が開示されているが、その重量はかなり重く実用的には難があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
陶磁器調のあじわいをと耐熱水性、耐薬品性を有し、軽量なセラミック製浴槽を提供する。また複雑なデザインにも低コストで対応を可能にする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上記従来の問題点に鑑み案出したものであって、陶器調の模様を有する意匠性に優れた浴槽の製造方法を提供せんことを目的とし、その要旨は、キャスタブルセメントに発泡混和等を混合した硬化体により浴槽を成型することである。
要求の形状に型を作成しその型にスラリー状にした原料を流し込み養生硬化し、脱型後に施釉し焼成する。
【発明の効果】
【0006】
パーライトやシラスババルーン、石炭灰等の発泡骨材の混合により軽量化し、また釉薬をコーティングし焼成し表面にガラス層を形成するため吸水性の無い、陶器調の模様を有する浴槽とすることができるためデザインの多様化が可能な上陶磁器独特の重厚感と高級感も出すことが可能になる。
【0007】
本発明は、型にキャスタブルセメントを流し込み成型した大型一体成形体に透明または薄く着色した釉薬を吹き付けて焼成しガラス層を形成し、陶器調の高級感を呈し、浴槽の意匠性が極めて向上できる効果を有する。
【0008】
また型にスラリーを流し込む所謂射出成型で成型するため形状に自由度があり、製造する浴槽の寸法形状に適合されるべく小型浴槽から大型浴槽及び異型、変型に至るまであらゆる形状の浴槽の製造が可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
所定量に調合された骨材に水硬性アルミナを加えこれを1としたとき、20wt%〜50wt%の水を加えミキサーで5〜10分攪拌し予め設置された型に流しいれる。
【0010】
そのあとバイブレーター等による振動でスラリーの脱泡を行うと同時に流しいれたスラリーの表面を平坦化する。十分に養生し硬化したのち、型から脱型し成形体をとりだす。
【0011】
さらにスプレー塗布またはディップ等窯業ではよく知られた方法で施釉を行う。その後焼成して浴槽とする。
【実施例1】
【0012】
以下、本発明の実施例を図面に基づき説明する。まず、外型と内型を所定の厚みが得られるように組み合わせて設置して鋳込型とする。
【0013】
軽量断熱キャスタブルは、骨材80重量%と硬化剤20重量%で調合された原料1に対し20重量%の水を添加し、ミキサーで約5〜10分混練し、スラリーとする。次に前期鋳込型にスラリーを流し込む。このとき外型と内型がしっかりと固定されないと型合わせ面からスラリーが流れ出す恐れがある為十分な強度にボルト等で固定されている必要がある。
【0014】
図1は型にスラリーを流し込んだ状態を示す。
気泡が施工されたキャスタブルに残存すると強度低下を発生させ且つ焼成時に水蒸気爆発の恐れが生じるため脱泡させる必要がある。脱泡方法に付いては種々行われている。
【0015】
ここではより効果的に脱泡を行うため、バイブレーター振動により丁寧に短時間に行なう必要がある。それにより焼成時の破裂等の危険を防止する事が可能であり、尚且つキャスタブルの強度をも得られる。
【0016】
成形され硬化した軽量断熱キャスタブルは外型と内型とを脱型し軽量断熱浴槽が成形される。
図2に脱型された状態を示す。
【0017】
成形された軽量断熱浴槽は、含水分を除去する必要があり十分に乾燥する必要がある。乾燥方法は天日及び火力と除湿とあり形状・サイズに合わせた方法を行なう必要がある。本焼成の際に不具合を発生させない為にも必ず充分に乾燥を行い実行する。
【0018】
乾燥された軽量断熱浴槽は、陶器と同じように底部を除き全面に釉薬を塗布する必要があり、それにより陶器と同じような質感を出す事が必要であると同時に、表面に光沢を与える事が出来、更に滑らかとなり且つ浴槽内の清掃が簡便で常に衛生的で安心感が得られる特徴がある。
【0019】
施釉された軽量断熱浴槽は光沢と滑らかさを出すために、本焼成1250℃前後の焼成が必要となる。本焼成された軽量断熱浴槽は陶器と同様な浴槽となり、更に軽量のため従来の陶器浴槽より20%前後軽く更に断熱効果により冷めにくく快適な入浴が得られる。本焼成された軽量断熱浴槽本体は本焼結されることにより従来材質のキャスタブル成型体に比べ3倍強の強度が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0019】
浴槽以外にも大型の水槽や、衛星陶器を製造する方法としても応用可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】浴槽を製造する外型、内型にキャスタブルを流し込んだ状態の断面図である。
【図2】脱型後の浴槽の断面図
【符号の説明】
1 外型
2 内型
3 成形体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
耐火性骨材を45〜90重量%、結合材としてのアルミナセメント、水硬性アルミナのいずれか一方またはそれらの混合物を10〜55重量%混合してなるキャスタブル断熱材からなり、成型後に表面に釉薬をコーティングして焼成する浴槽。
【請求項2】
前記耐火性骨材はシャモット骨材、ムライト骨材及び発泡性骨材から選ばれる1種以上からなることを特徴とする請求項1記載の浴槽。
【請求項3】
前記発泡性骨材がパーライト、シラスバルーン及び石炭灰から選ばれる1種以上からなることを特徴とする請求項1記載の浴槽。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−325890(P2007−325890A)
【公開日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−183872(P2006−183872)
【出願日】平成18年6月7日(2006.6.7)
【出願人】(506228869)
【Fターム(参考)】