説明

セリウムイオン含有溶液及び腐食抑制剤

【解決手段】 3価のセリウムイオンと、酸性域で還元作用を有する物質として有機酸又はその塩を含有し、該還元作用を有する物質の濃度がモル比でセリウムイオンの0.001倍以上1未満であることを特徴とする3価のセリウムイオン含有溶液。
【効果】 本発明のセリウムイオン含有溶液及びこれからなる腐食抑制剤は、3価のセリウムイオンがpH2〜7の領域において安定に存在し、セリウム化合物の析出を防止し得るものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工業原料あるいは処理剤として3価のセリウムを含む溶液をpHが中性もしくは弱酸性の領域で取り扱う際に、3価のセリウムが安定に存在し、セリウム化合物の析出を防止できるセリウムイオン含有溶液及び腐食抑制剤に関する。
【背景技術】
【0002】
セリウムの属する希土類元素は、鉱石からの分離精製工程において無機酸塩の水溶液として扱われることが多い。また、分離された希土類元素の各種化合物、例えば酸化物、炭酸塩、塩化物等を製造する工程においても、無機酸塩の水溶液として扱われることが多い。更に、希土類元素を添加する手段として無機酸塩溶液の形で添加する場合も多い。無機酸塩としては、塩化物、硝酸塩や硫酸塩が一般的であり、無機酸を嫌う場合は、酢酸塩などの有機酸塩も用いられている。
【0003】
セリウムは希土類元素の中でも特異な性質を示し、水溶液中では3価と4価の原子価をとる。上記の塩では、通常、塩化セリウムは水溶液中で3価であるが、一方、硫酸セリウムと硝酸セリウムは3価と4価の両方が存在する。3価の硫酸塩水溶液や硝酸塩水溶液で、3価の状態を安定的に保ったまま溶液を取り扱う場合、pHを4以下、好ましくは2以下に保つことが行われている。簡便な方法としては、適量過剰の硝酸や硫酸を存在させる。pH4より塩基性側に行くと、水酸化セリウムなどの固形物が析出しやすくなる。従って、工業的規模でセリウム塩水溶液をpH4以上で扱うには注意が必要である。
【0004】
3価のセリウム無機酸塩を中間体として扱う場合、過剰の酸が存在することにより不都合が発生する場合がある。セリウム塩水溶液に沈澱剤として蓚酸を添加して蓚酸塩としてセリウムを回収する場合、過剰の酸は歩留まりを低下させる。歩留まりの低下を防ぐには、過剰の酸をアンモニア等で中和する操作が新たに必要になる。また、3価のセリウム塩水溶液をセラミックス、例えばアルミナ粉に添加・混合後、焼結してセラミックスを得る場合、過剰の酸は設備の金属部にとって好ましくない。有機酸塩を用いる場合は、過剰の酢酸等による悪臭の発生の問題が伴う場合がある。
【0005】
希土類元素を微量添加する際には、希土類元素塩の希薄溶液の所定量を添加する方法がよく用いられる。しかし、セリウム濃度が薄い領域で使用する場合、水酸化セリウムなどが生成しないpHや濃度にあるセリウム塩溶液を水で希釈していくと、pHが塩基性側に近づき、水酸化セリウムなどが析出することがある。また、相当量のセリウム無機酸塩(固形)を水に溶解して希薄溶液を得る場合も水酸化セリウムなどが析出しやすい。特に水溶液を加熱する場合は、析出を促進させる。
【0006】
セリウムは腐食抑制剤の一種であるカソードインヒビターとしての作用が期待されている。この場合、セリウム塩、例えば塩化物(CeCl3)、硝酸塩(Ce(NO33)、酢酸塩(Ce(CH3COO)3)などの希薄溶液(0.01〜1%)が検討されているが、長期保管の場合、日数が経つにつれて析出の可能性が高くなる。
【0007】
セリウムイオンの安定化については、特開2004−307343号公報(特許文献1)において「3個以上の配位部位を持つ還元性有機酸の3価セリウム塩」の水溶液を用いることを薦めており、還元性有機酸と還元性有機酸以外の有機酸とを含んだセリウム塩でも有効であるとしているが、上記公報の説明(「アスコルビン酸:乳酸をmol比でおよそ1:2〜2.6とするのが、溶解度と溶解安定性を両立させる点から好ましい(0017)」、「還元性も有するアスコルビン酸が水溶液中で配位することにより、3価のセリウムイオンが4価に酸化されることが抑制され(0020)」)旨の記載と実施例からすると、還元性有機酸はセリウムに対して少なくとも1倍モル量(当モル量)が必要と判断される。このように4倍モル量もしくは1倍モル量以上の還元性有機酸を使うことは、経済面と環境面で好ましくない。また、セリウムが使われる工程で酸化還元が絡む場合は、大量の還元性有機酸の存在が阻害要因となる可能性がある。しかも、炭酸セリウムと有機酸を反応させて有機酸塩の水溶液を作ることは、炭酸セリウムと硝酸、塩酸等の安価な酸を反応させて無機酸塩の水溶液を作ることに比べればコスト高となり、工業的には不利である。更には、上記公報にも触れられているように有機酸塩の高濃度の水溶液を作ることはできない。
【0008】
【特許文献1】特開2004−307343号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、かかる諸問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、pH2以上、特にpH4〜7においても3価のセリウムイオンが安定に存在する阻害要因の少ないセリウムイオン含有溶液及び腐食抑制剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、酸性域で還元作用を有する有機酸又はその塩を3価のセリウムイオンに対して0.001以上1未満のモル比で用いれば、3価のセリウムイオンをpH2〜7の領域において十分安定化し得ることを知見し、本発明をなすに至った。
【0011】
従って、本発明は、下記セリウムイオン含有溶液及び腐食抑制剤を提供する。
請求項1:
3価のセリウムイオンと、酸性域で還元作用を有する物質として有機酸又はその塩を含有し、該還元作用を有する物質の濃度がモル比でセリウムイオンの0.001倍以上1未満であることを特徴とする3価のセリウムイオン含有溶液。
請求項2:
溶液のpHが2〜7であることを特徴とする請求項1記載のセリウムイオン含有溶液。
請求項3:
還元作用を有する物質の還元電位が0.3eV以下であることを特徴とする請求項1又は2記載のセリウムイオン含有溶液。
請求項4:
還元作用を有する物質が、L−アスコルビン酸、りんご酸、クエン酸、酒石酸、シュウ酸、グルクロン酸、没食子酸、グリセリン酸、ヒドロキシ酪酸、グリオキシル酸及びこれらの塩から選ばれるものである請求項3記載のセリウムイオン含有溶液。
請求項5:
溶液中のセリウム濃度が0.0001〜2モル/Lであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載のセリウムイオン含有溶液。
請求項6:
溶液がセリウムの無機酸塩の溶液であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載のセリウムイオン含有溶液。
請求項7:
溶液がセリウムの無機酸塩の水溶液であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載のセリウムイオン含有溶液。
請求項8:
3価のセリウムイオンと、酸性域で還元作用を有する物質として有機酸又はその塩を含有する溶液からなり、該還元作用を有する物質の濃度がモル比でセリウムイオンの0.001倍以上1未満であり、かつpHが2〜7であり、かつセリウムの濃度が0.0001〜2モル/Lであることを特徴とする腐食抑制剤。
請求項9:
還元作用を有する物質が、L−アスコルビン酸、りんご酸、クエン酸、酒石酸、シュウ酸、グルクロン酸、没食子酸、グリセリン酸、ヒドロキシ酪酸、グリオキシル酸及びこれらの塩から選ばれるものである請求項8記載の腐食抑制剤。
請求項10:
溶液がセリウムの無機酸塩の溶液であることを特徴とする請求項8又は9記載の腐食抑制剤。
請求項11:
溶液がセリウムの無機酸塩の水溶液であることを特徴とする請求項8又は9記載の腐食抑制剤。
【発明の効果】
【0012】
本発明のセリウムイオン含有溶液及びこれからなる腐食抑制剤は、3価のセリウムイオンがpH2〜7の領域において安定に存在し、セリウム化合物の析出を防止し得るものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明のセリウムイオン含有溶液は、3価のセリウムイオンと酸性域で還元作用する物質として有機酸又はその塩を含有する。
ここで、3価のセリウムイオン含有溶液は、工業的には水溶液のほか、エタノールその他のアルコール等の有機溶媒液でも用いられており、本発明は溶媒の種類に限定されるものではない。
【0014】
酸性域で還元作用を有する物質は多数知られているが、セリウムイオンの溶液中での挙動は複雑であるといわれており、本発明では酸化還元電位が0.3eV以下のものが好適である。具体的には、L−アスコルビン酸、りんご酸、クエン酸、酒石酸、シュウ酸、グルクロン酸、没食子酸、グリセリン酸、ヒドロキシ酪酸、グリオキシル酸などの酸及びその塩が挙げられる。この場合、塩としてはナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、アミン塩等が挙げられ、pH2〜7においてセリウムイオン含有溶液中に溶解し得るものが好ましい。
【0015】
3価のセリウム塩水溶液は、工業的には炭酸セリウムを塩酸や硝酸等の無機酸で溶解することにより得るのがよい。濾過後、溶液として用いるか、又は蒸発乾固して、塩化物や硝酸塩の固体として供することもできる。即ち、これらの無機塩の水溶液は、上記の分解濾液を用いるか、固形物を再度溶解してもよい。固形物をアルコール等の有機溶媒に溶解すれば、無機塩の有機溶媒溶液を容易に得ることができる。本発明は、これらの経路に限定されるものではない。
【0016】
3価のセリウム塩類の溶液では、過剰の酸が多い条件、即ちpHが低い酸性側では、セリウムイオンの近傍を例えば塩素イオンや硝酸イオン等が取り囲んでセリウムイオンをガードしていると考えられ、また過剰のH3+イオンが何がしかの酸化抑制作用を発揮して、pHの低い領域ではセリウムは3価で安定である。しかし、pHが弱酸性領域、例えばpH2以上になると長期保管、希釈、加熱等の扱い時に析出の可能性が高くなる。本発明は、弱酸性から中性のpH2〜7のpH領域において特に有用である。
【0017】
還元作用を有する物質の存在量は、当然、濃度が高いほど3価のセリウムイオンの安定化には有効であるが、多く使うことは経済的にも環境汚染からも問題があり、また、腐食抑制剤の一種であるカソードインヒビターの場合は作用の妨害要因になり得る。従って、還元作用物質は必要最小限の共存量が好ましい。本発明では、pH2〜7の領域でセリウムへの還元作用物質の添加量の下限を鋭意検討した結果、セリウムに対してモル比で0.001倍以上1倍未満、好ましくは0.05倍以上1倍未満で有効性が認められることを確認した。上限としては、セリウム濃度に拘わらず上述した経済面、環境面、妨害作用の程度等を勘案して1倍未満としたが、0.9倍以下、特に0.5倍以下でも本発明の効果を有効に達成し得る。
【0018】
還元作用物質を添加する時期は、セリウム原料、例えば炭酸セリウムの分解時、あるいは分解終了後に行えばよく、また分解液を純水等で数倍〜数十倍に希釈する前後や30〜90℃に加温する前に添加してもよい。セリウム塩を溶解して溶液を調製する場合も、還元作用物質は、セリウムの析出の可能性が高まる前に添加すればよく、本発明は添加時期によって限定されるものではない。
【0019】
セリウムイオンの濃度は、無機酸塩の溶解度が高いことから、2モル/L以上も可能であり、本発明の溶液の適用濃度範囲は有機酸塩に比べ格段に高濃度も可能であるが、セリウムイオン含有溶液中の3価のセリウムイオン濃度は0.0001〜2モル/L、特に0.001〜1モル/Lとすることが好ましい。
【0020】
本発明のセリウムイオン含有溶液は、上記還元作用物質を適量添加することにより、希釈や加温などの処理を実施しても長期間析出しないものであり、腐食抑制剤として使用の際に希釈処理や加温処理を受けても使用可能で、セリウムを微量添加する場合や腐食抑制剤の一種であるカソードインヒビターとして用いる場合に有用である。
本発明による3価のセリウム含有溶液をより確実に長期保管するには、暗所での保管が望ましい。
【実施例】
【0021】
以下、実施例と比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
【0022】
[実施例1]
(1) 炭酸セリウム(CeO2純分で50質量%)を出発原料として用い、606gを計量した。
(2) L−アスコルビン酸(pH5の時、還元電位0.127eV)を0.3g(Ce1モルに対して0.001モル分)を純水0.3リットルに加え、撹拌溶解した。
(3) この液と(1)の炭酸セリウムを混ぜ合わせ、撹拌しながら67%硝酸0.33リットルを少しずつ加えて分解した。
(4) 約2時間後に未溶解分が残る懸濁液の状態となったので、濾紙による吸引濾過を実施した。0.97リットル、pH3.6、Ce濃度が1.7モル/リットルの透明な濾液が回収された。
(5) この液を0.1リットル分取し、純水で1リットルに希釈した液を作製し、80℃,1時間加温した。
(6) 更に(5)の液を0.1リットル分取し、純水で1リットルに希釈した液を作製し、80℃,1時間加温した。
(7) 更に(6)の液を0.1リットル分取し、純水で1リットルに希釈した液を作製し、80℃,1時間加温した。
(8) (4)〜(7)の液について、常温下で保管して析出の有無を確認した。
(9) その結果、2週間経過後もどの液についても析出は確認されなかった。
【0023】
[実施例2]
実施例1の(2)において、L−アスコルビン酸を0.9g(Ce1モルに対して0.003モル分)添加し、他の手順は同じ条件にて経過を観察したが、2週間経過後に析出は確認されなかった。
【0024】
[実施例3]
実施例1の(2)において、L−アスコルビン酸を3g(Ce1モルに対して0.01モル分)添加し、他の手順は同じ条件にて経過を観察したが、2週間経過後に析出は確認されなかった。
【0025】
[実施例4]
実施例1の(2)において、L−アスコルビン酸を30g(Ce1モルに対して0.1モル分)添加し、他の手順は同じ条件にて経過を観察したが、2週間経過後に析出は確認されなかった。
【0026】
[実施例5]
実施例1の(2)において、L−アスコルビン酸を270g(Ce1モルに対して0.9モル分)添加し、他の手順は同じ条件にて経過を観察したが、2週間経過後に析出は確認されなかった。
【0027】
[実施例6]
実施例1の(2)において、クエン酸一水和物を3.6g(Ce1モルに対して0.01モル分)添加し、他の手順は同じ条件にて経過を観察したが、2週間経過後に析出は確認されなかった。
【0028】
[実施例7]
実施例1の(2)において、りんご酸を2.3g(Ce1モルに対して0.01モル分)添加し、他の手順は同じ条件にて経過を観察したが、2週間経過後に析出は確認されなかった。
【0029】
[実施例8]
実施例1の(4)において、濾過前に希硝酸を添加し、pHを2.4に調整した上で、他の手順は同じ条件にて経過を観察したが、2週間経過後に析出は確認されなかった。
【0030】
[実施例9]
実施例1の(4)において、濾過前に炭酸セリウムを添加し、pHを5.4に調整した上で、他の手順は同じ条件にて経過を観察したが、2週間経過後に析出は確認されなかった。
【0031】
[比較例1]
(1) 炭酸セリウム(CeO2純分で50質量%)を出発原料として用いた。
(2) 炭酸セリウムを606g計量し、純水0.3リットルを加え、スラリー状態とした。
(3) この液を撹拌しながら67%硝酸0.33リットルを少しずつ加えて分解した。
(4) 約2時間後に未溶解分が残る懸濁液の状態となったので、濾紙による吸引濾過を実施した。0.95リットル、pH3.8、Ce濃度が1.7モル/リットルの透明な濾液が回収された。
(5) この液を0.1リットル分取し、純水で1リットルに希釈した液を作製し、80℃,1時間加温した。このときのpHは3.8となった。
(6) 更に(5)の液を0.1リットル分取し、純水で1リットルに希釈した液を作製し、80℃,1時間加温した。
(7) 更に(6)の液を0.1リットル分取し、純水で1リットルに希釈した液を作製し、80℃,1時間加温した。
(8)(4)〜(7)の液について常温下で保管して析出の有無を確認した。
(9) その結果、(4),(5)の液については1日後、(6),(7)の液については7日後に容器底に析出物の堆積が確認された。
【0032】
[比較例2]
比較例1の(5)〜(7)において、加温をしない条件で放置したが、1週間後にはやはりすべての液において容器底に析出物の堆積が確認された。
【0033】
以上の結果を表1にまとめて示す。
【0034】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
3価のセリウムイオンと、酸性域で還元作用を有する物質として有機酸又はその塩を含有し、該還元作用を有する物質の濃度がモル比でセリウムイオンの0.001倍以上1未満であることを特徴とする3価のセリウムイオン含有溶液。
【請求項2】
溶液のpHが2〜7であることを特徴とする請求項1記載のセリウムイオン含有溶液。
【請求項3】
還元作用を有する物質の還元電位が0.3eV以下であることを特徴とする請求項1又は2記載のセリウムイオン含有溶液。
【請求項4】
還元作用を有する物質が、L−アスコルビン酸、りんご酸、クエン酸、酒石酸、シュウ酸、グルクロン酸、没食子酸、グリセリン酸、ヒドロキシ酪酸、グリオキシル酸及びこれらの塩から選ばれるものである請求項3記載のセリウムイオン含有溶液。
【請求項5】
溶液中のセリウム濃度が0.0001〜2モル/Lであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載のセリウムイオン含有溶液。
【請求項6】
溶液がセリウムの無機酸塩の溶液であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載のセリウムイオン含有溶液。
【請求項7】
溶液がセリウムの無機酸塩の水溶液であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載のセリウムイオン含有溶液。
【請求項8】
3価のセリウムイオンと、酸性域で還元作用を有する物質として有機酸又はその塩を含有する溶液からなり、該還元作用を有する物質の濃度がモル比でセリウムイオンの0.001倍以上1未満であり、かつpHが2〜7であり、かつセリウムの濃度が0.0001〜2モル/Lであることを特徴とする腐食抑制剤。
【請求項9】
還元作用を有する物質が、L−アスコルビン酸、りんご酸、クエン酸、酒石酸、シュウ酸、グルクロン酸、没食子酸、グリセリン酸、ヒドロキシ酪酸、グリオキシル酸及びこれらの塩から選ばれるものである請求項8記載の腐食抑制剤。
【請求項10】
溶液がセリウムの無機酸塩の溶液であることを特徴とする請求項8又は9記載の腐食抑制剤。
【請求項11】
溶液がセリウムの無機酸塩の水溶液であることを特徴とする請求項8又は9記載の腐食抑制剤。

【公開番号】特開2006−328441(P2006−328441A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−149632(P2005−149632)
【出願日】平成17年5月23日(2005.5.23)
【出願人】(000002060)信越化学工業株式会社 (3,361)
【Fターム(参考)】