説明

セルロースパルプの処理のための装置、システム、および方法

本発明は、セルロースパルプをいくつかの段にてスクリーニングするための装置(100)であって、同じ器具内の少なくとも2つのスクリーニング手段(4、8)をハウジング(1)によって囲んで備えている装置(100)に関する。装置は、スクリーニング装置へとパルプを投入するための主導入口(11)と、スクリーニング装置からパルプの合格フラクションを出力するための少なくとも1つの排出口(26)と、不合格フラクションを出力するための少なくとも1つの排出口(15、27)とを備えている。さらに装置は、パルプを投入するための主導入口(11)からパルプを受け取る第1のスクリーニングチャンバ(9)と、第1のスクリーニング手段(4)を通過したパルプを受け取る第1の合格分チャンバ(12)と、少なくとも第1の合格分チャンバ(12)からのパルプを、第2のスクリーニング手段(8)によるスクリーニングの前に受け取る第2のスクリーニングチャンバ(16)とを備えており、スクリーニング装置が、少なくとも1つの後続のスクリーニング装置(200、300)からのパルプを第2のスクリーニング手段(8)のみによってスクリーニングすべく投入するための第2のパルプ導入口(17)を備えている。さらに本発明は、少なくとも1つの後続のスクリーニング装置(200、300)からの合格フラクション(A3、A4)が、スクリーニング装置(100)の第2のスクリーニング手段(8)によってスクリーニングされるように第2のパルプ導入口(17)を通って戻されるスクリーニングのためのシステムおよび方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セルロースパルプの処理に関し、特にセルロースパルプのスクリーニング装置ならびにセルロースパルプをスクリーニングするためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば製紙などのさらなる処理に使用されるべきセルロースパルプを作成する場合、いくつかの「標準的」な作業が多くの場合に実行される。化学パルプにおいては、木材チップのリグニンが、木材チップ内の繊維を互いに分解するために、蒸解釜において溶かされる。次いで、蒸解されたパルプが、洗浄およびスクリーニングの装置へと運ばれる。蒸解の際にすべての木材パルプが同程度に良好に蒸解されるわけではなく、結果として得られるパルプには、個別に分離された繊維だけでなく、未蒸解の木材チップの断片、ノット(knot)、およびシャイブ(shive)として知られる繊維束も含まれる。パルプに依然として残るシャイブ、ノット、および他の不純物(例えば、砂、樹皮)は、後のパルプの処理の段階において問題を引き起こす可能性があり、したがって除去されなければならない。沈殿、スクリーニング、および渦による清浄化など、パルプから不純物を分離するために、個別に使用され、または組み合わせにて使用されるいくつかのよく知られている作業が存在する。
【0003】
スクリーニングは、穴またはすき間を有する有孔プレートをパルプ懸濁液の繊維が不純物を残しつつ通過する作業を指す。パルプのうちのプレートを通過する分が、合格フラクション(accept fraction)、または単に合格分(accept)と称される。パルプのうちのプレートの開口を通過しない分が、不合格フラクション(reject fraction)、または単に不合格分(reject)と称される。有孔プレートへと供給されるパルプ分が、投入フラクション(inject fraction)、または単に投入分(inject)と称される。したがって、投入分を、合格分および不合格分へと分割されようとするパルプの流れと言うことができる。有孔プレートの代わりに、分離のためのすき間を、例えば縦長のバーでスクリーンバスケットを形成するなど、他の方法で生成することもできる。
【0004】
パルプ工場には、多くの場合に、プロセスの全体にわたるさまざまな位置に、いくつかのスクリーニングの作業が存在する。例えば、多くの場合に、一次のスクリーニング作業が、パルプの洗浄および脱水に関連して存在し、アフタースクリーニング作業が、パルプの漂白の後に存在する。各々のスクリーニング作業を、いくつかの段にて実行することができ、そのように実行されることが多い。1つの単独のスクリーニング装置では、多くの場合、1段ですべての不純物を分離するためには不充分である。良好なスクリーニングの効率を達成するために、スクリーンを通過しない不純物が確実にスクリーニング装置から取り出されるようにするために、不合格分の流れが充分に大きくなければならない。不合格分の流れが小さすぎる場合、不純物がスクリーニングチャンバに保持され、スクリーンに不必要な摩耗を生じさせる可能性がある。不合格分の流れが特定の大きさでなければならないということは、多数の「良好」な繊維(すなわち、合格分に属すると考えられる繊維)が、有孔プレートまたは縦長のバーの間のすき間を通過するための充分な時間を与えられず、不合格分の一部となることを意味する。スクリーニング段からの合格フラクションが、次の処理作業へと渡される一方で、不合格フラクションは、再度のスクリーニングのために後続のスクリーニング段へと渡される。繊維の損失を最小限にするために、後続のスクリーニング段からの合格分が、先行のスクリーニング段の投入分へと戻される。このようにして、「良好」な繊維の大フラクションが回収される。
【0005】
いくつかの異なる種類のスクリーニング装置が存在する。1つの一般的に使用されているスクリーニング装置は、いわゆるコンビスクリーン(combi−screen)であり、コンビスクリーンとは、2つ以上のスクリーニング段が同じスクリーンハウジングにおいて組み合わせられていることを意味する。そのような装置の例が、欧州特許第1165882号明細書に開示されており、第1のスクリーニング手段が、少なくともフラクション的に第2のスクリーニング手段の内側に位置している。コンビスクリーンは、2つの異なるスクリーニング装置を1つの装置へと組み合わせて、例えば別のノッタ(knotter)を不要とする安価なプロセスをもたらすために開発されている。また、いくつかのスクリーニング段が同じ装置内で組み合わせられている他の種類の多段スクリーンも存在する。例えば、別々のスクリーニング段を、上下に重ねられたスクリーンによって構成することができ、または別々のスクリーニング部へと分割された1つの高いスクリーニングバスケットによって構成することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】欧州特許第1165882号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
コンビスクリーンを使用する場合、コンビスクリーンの後の後続のスクリーニング段からの合格分を、例えばコンビスクリーン内に収容された細かいスクリーンなどの直前のスクリーニング段へと戻すことは、不可能である。後続のスクリーニング段からの合格フラクション(この段階において、いかなる大きな粒子も含んでいない)は、コンビスクリーンへと戻される場合に、コンビスクリーン内の両方のスクリーニング段を再び通過しなければならず、このことは、粗いスクリーンの無用な負荷を意味する。すなわち、粗いスクリーンへと進入するパルプの一部が、すでに大きな不純物についてスクリーニング済みであり、粗いスクリーニング段を必要としない。後続のスクリーニング段からの戻りの流れが、コンビスクリーンへの主たる流れの約15から20%を呈する可能性がある。このことは、コンビスクリーンの手前のポンプを、戻りの流れがポンプの手前に加えられる場合に、より大量の流れを取り扱うように寸法付けなければならないことを意味する。たとえ流れがポンプの後に加えられる場合でも、依然として粗いスクリーンを、より大量の流れを取り扱うことができるように寸法付けなければならない。これらの措置はすべて、プロセスをより高価にする。
【0008】
本発明の全体的な目的は、セルロースパルプのスクリーニングのための優れたシステムおよび装置を提供することにある。具体的な目的は、繊維の損失を最小にすると同時に、全体としての投資コストを最小にするために個別のスクリーニング装置の数を可能なかぎり少なく保つより効率的なスクリーニングの方法を実現することにある。別の目的は、やはり投資コストを最小にするために、スクリーニング手段および関連の設備を過剰な寸法にしなくてもよいスクリーニングシステムおよび装置を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
これらの目的は、添付の特許請求の範囲に従って達成される。
【0010】
要約すると、本発明は、スクリーニング装置ならびにスクリーニングのためのシステムおよび方法であって、繊維フラクションを少なくとも1つの後続のスクリーニング装置から第1のスクリーニング装置へと戻すことができ、第1のスクリーニング装置が、少なくとも2つのスクリーニング段、例えば、粗いスクリーンおよび細かいスクリーンが1つの器具に組み合わせられている装置であり、少なくとも1つの後続のスクリーニング装置から戻される繊維フラクションが、投入分として第1のスクリーニング装置の第2のスクリーニング手段(例えば、細かいスクリーン)に進入し、第1のスクリーニング装置の第2のスクリーニング手段のみによってスクリーニングされるようなスクリーニング装置ならびにスクリーニングのためのシステムおよび方法を提案する。
【0011】
本発明は、セルロースパルプをいくつかの段にてスクリーニングするための装置であって、少なくとも2つのスクリーニング手段を同じ器具内に備えており、スクリーニング手段が、セルロースパルプの特定のフラクションをスクリーンに通過させることができるようにする開口を有している。スクリーニング手段が、ハウジングによって囲まれており、装置が、スクリーニング装置へとパルプを投入するための主導入口と、スクリーニング装置からパルプの合格フラクションを出力するための少なくとも1つの排出口と、不合格フラクションを出力するための少なくとも1つの排出口とをさらに備えている。さらに装置は、パルプを投入するための主導入口からパルプを受け取るように構成された第1のスクリーニングチャンバと、第1のスクリーニング手段を通過したパルプを受け取るように構成された第1の合格分チャンバと、少なくとも第1の合格分チャンバからのパルプを、第2のスクリーニング手段によるスクリーニングの前に受け取るように構成された第2のスクリーニングチャンバとを備えており、スクリーニング装置が、後続のスクリーニング装置からのパルプを第2のスクリーニング手段によってスクリーニングすべく投入するための第2のパルプ導入口をさらに備えている。
【0012】
より具体的には、本発明によれば、第1のスクリーニング装置に主たるパルプ導入口とは別の第2のパルプ導入口が設けられ、第2のパルプ導入口は、この導入口に進入するパルプが第1のスクリーニング手段の合格フラクションと合流して第2のスクリーニング手段へと送られるべき投入分を形成するように構成されているスクリーニング装置ならびにスクリーニングのためのシステムおよび方法が提供される。
【0013】
一実施形態によれば、スクリーニング手段が、同軸に配置され、第1のスクリーニング手段が、少なくともフラクション的に第2のスクリーニング手段の内側に回転可能に配置される。一実施形態によれば、第1および第2のスクリーニング手段の開口のサイズが、それぞれのスクリーニング手段について異なる。
【0014】
他の実施形態によれば、第1のスクリーニング手段が、粗いスクリーンであり、第2のスクリーニング手段が、第1のスクリーニング手段よりも小さい開口を有する細かいスクリーンであり、パルプの投入のための主導入口が、主導入口からのパルプが粗いスクリーンへと送られるように配置されている。
【0015】
第2のパルプ導入口を、スクリーンの下部に配置することができ、例えばスクリーンハウジングのゲーブルを貫いて配置することができる。あるいは、第2のパルプ導入口を、スクリーニング装置の上部に配置することができ、例えばスクリーニング手段を囲むハウジングのカバーを貫いて配置することができる。
【0016】
別の実施形態によれば、第2のパルプ導入チャンバが、第2のパルプ導入口に進入するパルプを受け取るように配置される。第2のパルプ導入口を、動作時に第2のパルプの流れが下方から第2の導入チャンバに進入するように第1のスクリーニング手段の下方に配置することができる。第2の導入チャンバを、周方向に見て、スクリーニング装置の中央に配置された軸受ユニットと第1のスクリーニング手段の内側に囲まれた固定子との間に配置することができる。
【0017】
別の実施形態によれば、第2の導入チャンバおよび第1の合格分チャンバが、互いにつながっている。
【0018】
第2のパルプ導入口を、スクリーニング装置の最大の直径の内側に納まるように配置された接続片で構成することができる。この方法で、余分な配管などがスクリーニング装置から突き出すことを回避することができる。したがって、スクリーニング装置がコンパクトな設計を保つ。
【0019】
さらに本発明は、上述のとおりの第1のスクリーニング装置と、さらに少なくとも1つの後続のスクリーニング装置とを備えており、それぞれのスクリーニング装置が、動作時に少なくとも1つの後続のスクリーニング装置の合格フラクションを第2のパルプ導入口を介して第1のスクリーニング装置へと戻すことができるように構成されているシステムに関する。したがって、異なる後続のスクリーニング装置からのいくつかの合格フラクションを、第1のスクリーニング装置へと戻すことができる。システムのさらなる実施形態によれば、第2のパルプ導入口が、少なくとも1つの後続のスクリーニング装置の合格フラクションを第1のスクリーニング装置の第1のスクリーニング手段の合格フラクションと混合して、第1のスクリーニング装置の第2のスクリーニング手段への投入フラクションを形成できるように配置されている。
【0020】
本発明はまた、上述のシステムを使用してセルロースパルプ懸濁液をスクリーニングするための方法であって、少なくとも1つの後続のスクリーニング装置からの合格フラクションが、第2のパルプ導入口を介して第1のスクリーニング装置の第2のスクリーニング段への投入フラクションとして戻され、後続のスクリーニング装置からの合格フラクションが、第2のスクリーニング手段のみによってスクリーニングされる方法に関する。異なる後続のスクリーニング装置からのいくつかの合格フラクションを戻すことができ、特定の後続のスクリーニング装置からの合格フラクションだけを戻してもよいことを、理解すべきである。方法の実施形態によれば、後続のスクリーニング装置のうちの少なくとも1つのスクリーニング装置の合格フラクションと、第1のスクリーニング装置の第1のスクリーニング段の合格フラクションとが、第2のスクリーニング手段への進入前に混合される。
【0021】
本発明は、本発明のさらなる目的および利点とともに、以下の説明および添付の図面を参照することによって、最もよく理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の典型的な実施形態によるスクリーニング装置の概略の縦断面である。
【図2】図1に示したスクリーニング装置の横断面であり、図1の断面A−Aである。
【図3】スクリーニング装置の別の実施形態の概略の断面を示している。
【図4】図1から図3に示したようなスクリーニング装置を備えるスクリーニングシステムのブロック図を示している。
【図5】図1から図3に示したようなスクリーニング装置を備える別のスクリーニングシステムのブロック図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図面において、類似の構成要素または対応する構成要素は、同じ参照符号によって指し示される。
【0024】
以下の説明は、細かいスクリーンがスクリーニング装置の中心から見て粗いスクリーンの外側に位置している複合型のスクリーニング装置に主として言及するが、教示は、「反対」の装置にも当てはまり、すなわち細かいスクリーンが粗いスクリーンの内側に位置する場合にも当てはまることに、留意すべきである。したがって、粗いスクリーンが細かいスクリーンの外側に位置する反対の装置も、本発明の技術的範囲に包含される。また、教示が、粗いスクリーンおよび細かいスクリーンを同じ装置に組み合わせているそのようなコンビスクリーンのすべての種類、ならびにいくつかのスクリーニング段が同じ装置において実行される他の多段のスクリーンにも当てはまることに、留意すべきである。したがって、教示は、多段のスクリーニング装置が粗いスクリーンを含んでいるか否かにかかわらず、適用可能である。例えば、種々の段のスクリーニング手段が、同じサイズの開口を有する同じ種類のスクリーニング手段であってもよい。また、スクリーニング手段が、同じ直径に位置してもよく、すなわち互いに上下に位置してもよい。
【0025】
図1のスクリーニング装置100は、上部2および下部3を有するスクリーンハウジング1を備えている。ハウジングを、好ましくは加圧することができる。下部3は、フレーム30上に配置されたゲーブル29を終端としている。スクリーンハウジングの内部において、第1のスクリーニング手段4が、軸受ユニット7に収容された回転軸6を中心にして回転できる回転手段5上に配置されている。第1のスクリーニング手段は、円筒形の形状を有しており、一フラクションがスクリーニング装置の下部3に位置している。第1のスクリーニング手段4は、回転手段5とともに回転するように構成されている。第2のスクリーニング手段8が、スクリーニング装置100の上部2に位置している。第2のスクリーニング手段8は、第1のスクリーニング手段4に同軸に配置され、第1のスクリーニング手段4よりも大きい直径を有している。第1のスクリーニング手段4の少なくとも一フラクションが、第2のスクリーニング手段8の少なくとも一フラクションの内側に配置されている。第1および第2のスクリーニング手段を、逆の配置にしてもよい。さらには、第1および第2のスクリーニング手段を同じ直径に配置してもよく、その場合には、一方が他方の内側に配置されるのではなく、互いに上下に配置される。
【0026】
第1のスクリーニングチャンバ9が、周方向の外側の第1の境界面である案内面10と、内側に位置する他方の境界面であるスクリーニング手段4とで形成されている。案内面10は、第1のスクリーニング手段4に同軸に配置された円筒形の手段であって、第1のスクリーニング手段4よりも大きい直径を有しており、スクリーニング手段と案内面との間に空間が形成されている。案内面10は、第1のスクリーニング手段4の大フラクションが案内面によって囲まれるように上方へと延びるように構成されている。この構成は、主たるパルプ導入口11からのパルプの流れを、主として第1のスクリーニング手段4の上部の近傍において第1のスクリーニングチャンバ9に進入するように強いる。第1のスクリーニング手段4からの不合格分が、第1の不合格分排出口15を介してスクリーニング装置の下部から取り出されるため、この方法で、不合格分の流れを助ける下向きの流れが作り出される。
【0027】
動作時、スクリーニングすべきパルプの流れが、主たるパルプ導入口11を通って第1のスクリーニングチャンバ9に進入し、次いでパルプは、第1のスクリーニング手段4に向かって送られる。パルプ導入口は、図示の実施形態においては、スクリーニング装置の真ん中付近であるが、スクリーニング装置の下部3に配置されている。すでに述べたように、パルプは、案内面10ゆえに、第1のスクリーニング手段4の最も上方の位置において第1のスクリーニング手段4に進入するために、上方へと流れるように強いられる。有孔スクリーンプレートの開口のサイズよりも小さいサイズの繊維は、スクリーニング手段4を通過し、第1の合格分チャンバ12に進入する。合格分チャンバは、スクリーニング手段4およびスクリーニング手段4の内側に位置する固定子13によって画定されている。固定子は、動かない部品であり、好ましくは円筒形であり、少なくともIつのパルス手段14を備えている。パルス手段14は、回転スクリーニング手段4の回転時に、第1のスクリーニング手段4を清掃するための圧力パルスを生じさせるように構成されている。スクリーニングは、外側から内側へと行われる。そのようなスクリーニングは、遠心力により、大きくて重たい粒子がスクリーニング手段に密接に接触することが防止されるがゆえに好ましい。この第1のスクリーニング段は、主としてより大きい不純物(例えば、ノット)を分離するという作業を好ましく実行することができ、そのようなスクリーニング段は、ノッタとして一般的に知られている。
【0028】
不合格フラクション、すなわちスクリーンを通過しない粒子は、不合格分排出口15を通って取り出される。この不合格フラクションは、第1のスクリーニング手段が粗いスクリーンである場合には、粗い不合格分とも称される。合格フラクションは、さらに第2のスクリーニングチャンバ16へと送られ、第2のスクリーニング手段8への投入分を形成する。第2のスクリーニング手段8を通過するパルプが、合格分排出口26を通って取り出される一方で、不合格フラクションは、少なくとも1つの不合格分排出口27を通って取り出される。
【0029】
第2のパルプ導入口17が、第2の導入口を通って流れるパルプが第2のスクリーニング手段8へと進入する前に第1のスクリーニング手段4からの合格フラクションと混合されるように配置されている。第2の導入口17に進入するパルプは、第2のスクリーニング手段8からの不合格分をさらにスクリーニングした後続のスクリーニング装置(この図には示されていない)からの合格フラクションで構成される。後続のスクリーニング装置の合格フラクションが、スクリーニング装置100の第1のスクリーニング手段4からの合格フラクションとともに、第2のスクリーニング手段8への投入分を形成する。この方法で、第2のスクリーニング手段8からの不合格フラクションに含まれる「良好な繊維」が、プロセスに沿って移動するパルプの流れへと戻され、繊維の損失が最小にされる。
【0030】
第2の導入口17からのパルプは、第2のパルプ導入チャンバ18に進入する。第2のパルプ導入チャンバ18は、周方向において見て、内側が軸受ユニット7によって画定され、外側が固定子13によって画定されている。第2の導入チャンバ18を、第2の導入口17を軸受ユニットの下方に位置させて、軸受ユニット7の内側に配置することもできる。そのような場合には、パルプを第2のスクリーニングチャンバ16へと運ぶために、少なくとも1つの開口が、軸受ユニットの外壁に設けられる。図3に示されている実施形態においては、第2の導入チャンバ18が、第2のスクリーニングチャンバ16に少なくともフラクション的に一致している。
【0031】
好ましい実施形態においては、第1のスクリーニング手段が、粗いスクリーンであり、第2のスクリーニング手段が、細かいスクリーンである。粗いスクリーンという用語は、主としてノットなどの大きな不純物を分離するように設計されたスクリーンを意味する。典型的には、開口の直径が6から10mm、通常は8から10mmであってもよい。細かいスクリーンという用語は、主として繊維からシャイブを分離するように設計されたスクリーンを意味する。すき間式の細かいスクリーンにおいては、すき間が、0.15から0.60mm、典型的には0.15から0.40mmの範囲であってもよい。すき間または穴を、どのプロセスパラメータを最適化すべきかに応じて使用することができる。
【0032】
図1および図2において、第2の導入口17は、例えばスクリーンハウジング1のゲーブル29の下方など、スクリーニング装置100の下部に位置している。好ましくは、導入口が、スクリーニング装置の最大径の内側に納まるように構成された接続片で構成される。この配置は、スクリーニング装置から突き出す余分な配管がなくなるという利点をもたらす。第2のパルプ導入口17は、導入口を通って流れるパルプが第2の導入チャンバ18へと送り込まれるような方法で配置されている。例えば、第2のパルプ導入口17を、スクリーンハウジング1のゲーブル29の開口28の下方に入口開口19を有するように構成することができる。パルプは、第2の導入チャンバ18から、第2のスクリーニング手段8を通過すべく第2のスクリーニングチャンバ16へと運ばれる。一実施形態においては、第2の導入チャンバ18および第1の合格分チャンバ12が、それぞれの下部において、接続部20を介して互いにつながっており、それぞれの上部において、第2の接続部25を介してつながっている。したがって、第1のスクリーニング装置の第1のスクリーニング段からの合格分の少なくとも一部が、第2の導入チャンバ18へと下方から流入し、第2のスクリーニング装置(図示せず)の後続のスクリーニング段からの合格分と合流することができる。第1の合格分チャンバ12からの合格分の一部は、スクリーニング装置を上方に流れ、第2のスクリーニングチャンバ16に直接進入する。しかしながら、接続部25ゆえに、上方へと進む第1の合格分チャンバ12からの流れは、第2のスクリーニングチャンバ16に進入する前に、第2の導入チャンバ18からの流れと少なくともフラクション的に混ざり合う。第2のパルプ導入口17に進入する流れおよび第1の合格分チャンバ12の流れは、濃度において相違する可能性があるため、第2のスクリーニング手段8への均質な流れを生成するために、流れを第2のスクリーニングチャンバへと進入する前に合流させることが好ましい。
【0033】
図2は、図1に示した実施形態によるスクリーニング装置の断面A−Aを示している。ここでは、第2のパルプ導入口17が、外側の接続フランジ21と、内側の入口開口19とを備える接続片として構成されている。入口開口19が、第2の導入チャンバ18と連通しており、第1の合格分チャンバ12とも連通することができる。図において、入口開口は、主として第1の合格分チャンバ12の直下に位置している。この場合、第1の合格分チャンバ12および第2の導入チャンバ18が、接続部20を介して連通している。したがって、第2のパルプ導入口17を通過する流れは、接続部20を介して第2の導入チャンバ18に進入する。しかしながら、入口開口19を、第2の導入チャンバ18への直接的なアクセスがなされるように配置してもよい。
【0034】
図3は、第2のパルプ導入口17がスクリーンハウジング1のカバー22に位置しているスクリーニング装置を示している。少なくとも1つの後続のスクリーニング装置からの合格分が、スクリーニングハウジング1のカバー22の第2のパルプ導入口17を通って送られ、スクリーニングチャンバ16に進入する。図示の実施形態によれば、接続片23aがカバー内に配置され、第2のパルプ導入口17を通って送られたパルプが、第2のスクリーニングチャンバ16において、回転手段5を通って上方へと流れる第1の合格分チャンバ12からの合格フラクションと混合される。回転手段には、好ましくは、第2のスクリーニング手段8を清掃すべく吸引パルスを生じさせるために、回転パルス手段24が配置される。代案として、カバー22の中央に位置する接続片23bを、第2のパルプ導入口17として使用してもよい。第2のパルプ導入口17の位置は、第2のスクリーニング手段8への均質な流れを生成するために、第1の合格分チャンバ12からの流れとの混合を最適化するように選択されなければならない。
【0035】
図4が、2つの別々のスクリーニング装置を備えるシステムを示すブロック図であり、このシステムにおいて、第1のスクリーニング装置100は、2つのスクリーニング段(第1のスクリーニング段101および第2のスクリーニング段102)を備える複合スクリーニング装置である。パルプは、第1の投入分I1として、第1のスクリーニング装置へと送られる。第1のスクリーニング段101において、パルプが、第1の合格フラクションA1および第1の不合格フラクションR1へと分割される。第1の不合格フラクションR1は、スクリーニング装置から取り出され、別途処理される。第1の合格フラクションA1は、第1のスクリーニング装置100において第2のスクリーニング段102へと送られ、第2のスクリーニング段102において、第2の合格フラクションA2および第2の不合格フラクションR2へと分離される。第2の合格フラクションA2は、処理配管にて次の処理作業へと送られる。システムは、第1のスクリーニング装置100に後続するように配置された第2のスクリーニング装置200をさらに備えており、すなわち第2のスクリーニング段102からの不合格フラクションR2が、第2のスクリーニング装置200へと投入分I3として送られる。第2のスクリーニング装置200は、通常は、第2のスクリーニング段102よりも細かいすき間もしくは穴を有し、またはほぼ同じすき間もしくは穴を有しているスクリーンである。パルプは、第2のスクリーニング装置200において、第3の合格フラクションA3および第3の不合格フラクションR3へと分離される。本発明によれば、第3の合格フラクションA3が、第1のスクリーニング装置100へと戻され、第1の合格フラクションA1とともに第2のスクリーニング段102へと第2の投入分I2(A1+A3)として送られる。
【0036】
図5が、3つの別々のスクリーニング装置を備えるシステムを示すブロック図であり、このシステムにおいては、第1のスクリーニング装置100が、2つのスクリーニング段を備える複合スクリーニング装置である。この実施形態においては、後続の第3のスクリーニング装置300からも合格分を戻すことができる。このスクリーニング装置は、第1のスクリーニング装置100の第1のスクリーニング段101からの不合格フラクションR1をスクリーニングするために使用される。すなわち、不合格フラクションR1が、合格フラクションA4および不合格フラクションR4へと分割される。合格フラクションA4を、図示のとおり、第1のスクリーニング装置100の第2のスクリーニング段102へと戻すことができる。第2のスクリーニング装置200からの合格分A3を除き、第3のスクリーニング装置300からの合格分A4だけを戻すことが可能であるが、より好ましくは合格分A3およびA4の両方が戻され、第1のスクリーニング装置100の第2のスクリーニング段102を通ってスクリーニングされる。
【0037】
本発明を、特定の例示の実施形態を参照して説明したが、本発明が、開示された特徴の同等物ならびに当業者にとって自明な変更および変種も包含することを、強調する。したがって、本発明の技術的範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セルロースパルプをいくつかの段にてスクリーニングするための装置(100)であって、
同じ器具内に位置し、セルロースパルプの特定のフラクションをスクリーニング手段に通過させることができるように開口を有しており、ハウジング(1)によって囲まれている少なくとも2つのスクリーニング手段(4、8)と、
スクリーニング装置へとパルプを投入するための主導入口(11)と、
スクリーニング装置からパルプの合格フラクションを出力するための少なくとも1つの排出口(26)と、
不合格フラクションを出力するための少なくとも1つの排出口(15)とを備え、さらに
パルプを投入するための主導入口(11)からパルプを受け取るように構成された第1のスクリーニングチャンバ(9)と、
第1のスクリーニング手段(4)を通過したパルプを受け取るように構成された第1の合格分チャンバ(12)と、
少なくとも第1の合格分チャンバ(12)からのパルプを、第2のスクリーニング手段(8)によるスクリーニングの前に受け取るように構成された第2のスクリーニングチャンバ(16)とを備えている装置(100)にして、
少なくとも1つの後続のスクリーニング装置(200、300)からのパルプを第2のスクリーニング手段(8)によってスクリーニングすべく投入するための第2のパルプ導入口(17)を備えており、第2のパルプ導入口(17)へと進入するパルプが、後続のスクリーニング装置(200、300)からの合格フラクションであることを特徴とする、装置(100)。
【請求項2】
第1および第2のスクリーニング手段の開口のサイズが、それぞれのスクリーニング手段(4、8)について異なることを特徴とする、請求項1に記載のセルロースパルプをスクリーニングするための装置。
【請求項3】
スクリーニング手段が、同軸に配置され、第1のスクリーニング手段(4)が、少なくともフラクション的に第2のスクリーニング手段(8)の内側に回転可能に配置されていることを特徴とする、請求項1または2に記載のセルロースパルプをスクリーニングするための装置。
【請求項4】
第1のスクリーニング手段(4)が、粗いスクリーンであり、第2のスクリーニング手段(8)が、第1のスクリーニング手段(4)よりも小さい開口を有する細かいスクリーンであり、パルプを投入するための主導入口(11)は、動作時に主導入口からのパルプが粗いスクリーン(4)へと送られるように配置されていることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
第2のパルプ導入口(17)が、動作時に第2のパルプ導入口(17)に進入するパルプの流れが第1のスクリーニング手段(4)からの合格分と合流して第2のスクリーニング手段(8)への投入分が形成されるような方法で配置されていることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
第2のパルプ導入口(17)が、スクリーニング装置(100)の下部に配置されていることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
第2のパルプ導入チャンバ(18)が、第2のパルプ導入口(17)に進入するパルプを受け取るように配置されていることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
第2のパルプ導入口(17)が、動作時に第2のパルプの流れが下方から第2の導入チャンバ(18)に進入するように第1のスクリーニング手段(4)の下方に配置されていることを特徴とする、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
第2の導入チャンバ(18)が、周方向に見て、スクリーニング装置の中央に配置された軸受ユニット(7)と第1のスクリーニング手段(4)の内側に囲まれた固定子(13)との間に配置されていることを特徴とする、請求項7または8に記載の装置。
【請求項10】
第2の導入チャンバ(18)および第1の合格分チャンバ(12)が、互いにつながっていることを特徴とする、請求項7から9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
第2のパルプ導入口(17)が、スクリーニング装置の最大の直径の内側に納まるように配置された接続片で構成されていることを特徴とする、請求項6から10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
第2のパルプ導入口(17)が、スクリーニング装置(100)の上部に配置されていることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
第2のパルプ導入口(17)が、スクリーニング手段(4、8)を囲むハウジング(1)のカバー(22)を貫くように配置されていることを特徴とする、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか一項に記載の第1のスクリーニング装置(100)と、さらに少なくとも1つの後続のスクリーニング装置(200、300)とを備えており、それぞれのスクリーニング装置が、動作時に少なくとも1つの後続のスクリーニング装置(200、300)の合格フラクション(A3、A4)を第2のパルプ導入口(17)を介して第1のスクリーニング装置(100)の第2のスクリーニング段(102)へと戻すことができるように構成されているシステム。
【請求項15】
第2のパルプ導入口(17)が、動作時に少なくとも1つの後続のスクリーニング装置(200、300)の合格フラクション(A3、A4)が第1のスクリーニング装置(100)の第1のスクリーニング手段(4)の合格フラクション(A1)と混合されて第1のスクリーニング装置(100)の第2のスクリーニング手段(8)への投入フラクションが形成されるように配置されていることを特徴とする、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
請求項14に記載のシステムを使用してセルロースパルプ懸濁液をスクリーニングするための方法であって、少なくとも1つの後続のスクリーニング装置からの合格フラクション(A3、A4)が、第2のパルプ導入口(17)を介して第1のスクリーニング装置(100)の第2のスクリーニング段(102)への投入フラクションとして戻され、後続のスクリーニング装置からの合格フラクション(A3)が、第1のスクリーニング装置(100)の第2のスクリーニング手段(8)によってスクリーニングされる方法。
【請求項17】
少なくとも1つの後続のスクリーニング装置(200、300)からの合格フラクション(A3、A4)が、第2のスクリーニング手段(8)によってスクリーニングされる前に、第1のスクリーニング装置(100)の第1のスクリーニング段(101)の合格フラクション(A1)と混合されることを特徴とする、請求項16に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−520948(P2012−520948A)
【公表日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−500741(P2012−500741)
【出願日】平成22年3月9日(2010.3.9)
【国際出願番号】PCT/SE2010/050266
【国際公開番号】WO2010/107369
【国際公開日】平成22年9月23日(2010.9.23)
【出願人】(502217698)メトソ ペーパー インコーポレイテッド (10)
【Fターム(参考)】