説明

セルロースパルプを製造する方法と装置

【課題】 洗浄及び脱水器具での著しいエネルギー節約、漂白薬品節約及び低投資コストでTMP(サーモメカニカルパルプ)、CTMPまたはCMPから上級紙品質のセルロースパルプを製造する。
【解決手段】 離解され、結束繊維を除去されたセルロースが比表面積に従って、好ましくは液体サイクロンにより少なくとも二つの画分、好ましくは三つの画分(10,3,12)に分別されること、更に、この分別が高い比表面積を持つ繊維を分別する工程段階(7)と低い比表面積を持つ繊維を分別する工程段階(2)を含むこと、分別された画分がそれぞれ単独で処理され次いで一緒に集められること、及び分別された繊維画分の一つまたは幾つか(3)が微粉砕装置(5)により処理されることにより分裂され、フィブリル化され、つぶされることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は木部繊維を処理するための繊維発達法及び繊維発達装置に関する。本発明の目的の一つは好ましくはTMP(サーモメニカルパルプ)、CTMPまたはCMPからSC/LWCのような下級印刷用紙、新聞紙品質及び上級紙品質(価値付加級紙)を製造することである。これは洗浄及び脱水器具での著しいエネルギー節約、漂白薬品節約及び低投資コストで実施される。本発明の別の目的はパルプの容認できる品質を保持しながら、低エネルギー入力でTMP,CTMP,CMPまたは他のメカニカルパルプを製造することである。別の目的は本発明による変更された方法及び変更された装置を用いることにより、いずれかのパルプ化法、例えばDIP、クラフトパルプまたはいずれかの他のパルプからの繊維を処理することであり、それにより特にエネルギーを節約しかつパルプ品質を改善することである。別の目的はセルロースパルプの排水性及び脱水を改善することである。
【背景技術】
【0002】
TMP,CTMP,CMPのようなメカニカルパルプ及びこれらの改善された品質を製造するために今日使用される技術は主ラインでの一段階または多段階精製の助けによるものであり、そこではエネルギー消費が既知の問題である。その後多段階の篩分けの助けにより分離がなされ、そこで長い繊維画分が分離される。この画分は単一または多段階HC(高濃度)リファイニングにより処理された後、篩分け段階またはその中間の篩分け段階により処理される。所望によりHC−リファイニングからのリファイニング後のリジェクト品はLC(低濃度)リファイニングで処理されることができる。
【0003】
LC−リファイニングを用いることによる新聞紙からのTMPパルプをSC/LWCパルプに向上させるために、上述による改善された方法は既知である(US6361650B1参照)。そこに記載されたものは、全体の前進するパルプ流をLCリファイニングし、その後流れを分別し、次いでその画分を処理するシステムである。分別はスロット付篩による長さに基づいている。
【0004】
US4731160から過酸化水素により漂白される二つの画分を分離するために液体サイクロンを使用することが既知である(請求項1及び2)。
【0005】
US5133832から長繊維画分を過酸化水素(H)によりかつ短繊維画分を亜ジチオン酸塩(Na)により漂白することが既知である。
【0006】
EP1077281A1からより高品質の下級紙に到達するために繊維(主として再生繊維)を処理するためにHC−リファイニングを使用することが既知である。HC−リファイニングの後、スロット及び液体サイクロン分別がなされる。
【0007】
参考として述べることができる他の文献はWO 03/000982A1,WO 01/20074A1及びWO 2004/003288A1である。
【0008】
先行技術の問題
既知の技術はどのようにして良好な表面特性を持つ紙を得るべきか、同時にエネルギーを節約しつつなお良好な強度特性を持つ紙を得るかを示していない。TMPのようなメカニカルパルプは未処理でより上級紙品質のために使用されることができるが、収率は低く、高いエネルギー入力が必要である。上級紙品質を作るために、今日では硫酸塩パルプ、亜硫酸パルプまたは同様物のようなより高価なケミカルパルプ繊維を使用することができ、それは希望の特性を達成するためにメカニカルパルプと混合される。強化ケミカルパルプは高強度と長繊維を持つ。上述の文献のどれにも、新聞紙品質のメカニカルパルプを改善するため、比表面積で分離された種々の画分のための種々の漂白薬品を改善するため、これに代えて新聞紙品質のパルプをエネルギー、漂白薬品、脱水及び洗浄装置投資の著しい減少で製造するため、アクセプト画分を処理するためのLC−リファイニングの使用及び比表面積(繊維壁厚)の両者を考慮するシステムを開示していない。
【0009】
これは先行技術が紙表面安定性(粗面化)に対して責任のある繊維または繊維画分の効果的処理に関して、種々の画分の選択的処理を可能とする繊維形態学による明確な分離を示していないものとして結論付けられることができる。
【発明の開示】
【0010】
上述の問題を解決するために以下による方法及び装置が提案される。
【0011】
セルロースパルプを製造するための方法であって、離解されたセルロースが結束繊維を除去するために篩分けられ、少なくとも二つの画分(10,11,12)、好ましくは少なくとも三つに分別され、それらの画分がそれぞれ単独で処理され、次いで完全にまたは部分的に一緒に集められる方法において、分別が比表面積に従って、好ましくは液体サイクロンを含む装置(1)によりなされること、及びこの方法が高い比表面積を持つ繊維、好ましくは薄い壁を持つ繊維を分別する工程段階(6,7)を含むこと、及びこの方法が低い比表面積を持つ繊維、好ましくはより厚い繊維壁を持つ繊維を分別する工程段階(2)を含むこと、及び一つまたは幾つかの繊維画分(3,3a)が好ましくはリファイナー、ボールミルまたは同様物のようなある種の粉砕機(5,5a)を含む装置により分裂され、フィブリル化されかつ永久的につぶされるように処理されることを特徴とする。
【0012】
これは表面安定性の問題のために処理を必要とする繊維のみが処理されるという効果を持つ。
【0013】
この方法の別の実施態様によれば次のように実施される。セルロースパルプを製造するための方法であって、離解されたセルロースが結束繊維を除去するために篩分けられ、そして前記パルプが次いで分別され、この分別が比表面積に従って、好ましくは液体サイクロンを含む装置(1)によりなされる方法において、この方法が高い比表面積を持つ繊維、好ましくは薄い壁を持つ繊維を分別する工程段階(7)を含むこと、及びこの方法が低い比表面積を持つ繊維、好ましくはより厚い繊維壁を持つ繊維を分別する工程段階(2)を含み、前記パルプが少なくとも三つの画分(10,3,(3a)12)に分別され、これらの画分がそれぞれ単独で処理され、次いで完全にまたは部分的に一緒に集められること、及び一つまたは幾つかの繊維画分(3,3a)が好ましくは粉砕機、リファイナー、ボールミルまたは同様物のような微粉砕装置(5,5a)を含む装置により分裂され、フィブリル化されかつ永久的につぶされるように処理されることを特徴とする。
【0014】
一実施態様によれば微粉砕装置(5,5a)で処理されたこのまたはこれらの画分(3,3a)は0.3と0.8の間のz値を持つ繊維を含むことができる。
【0015】
この効果は上述のように処理の必要のある繊維のみが処理されることである。これはエネルギー節約及び/または結局はより良好な製品を与える。
【0016】
一実施態様によれば微粉砕装置(5,5a)は考慮中の画分中の繊維が微粉砕装置により作られた繊維壁の割れを通して永久的につぶされるように作動されることができる。
【0017】
この効果は処理の必要のある繊維が繊維の弾性回復に殆ど敏感でなくなること、及び最終製品の表面安定性が特に再湿潤を考慮するとき改善されることである。
【0018】
一実施態様によれば微粉砕装置(5,5a)は0.8−14%の間、好ましくは1−5%の間のパルプ濃度でのリファイニングを含むことができる。
【0019】
一実施態様によれば微粉砕装置(5,5a)は0.8%、0.9%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%のいずれかのパルプ濃度でのリファイニングを含むことができる。
【0020】
一実施態様によれば微粉砕装置(5,5a)は3%−8%のパルプ濃度でのリファイニングを含むことができる。
【0021】
適切な濃度範囲を選ぶことの効果は過剰な繊維切断なしに永久的につぶれた繊維を与える繊維発達を得ることである。
【0022】
一実施態様によれば微粉砕装置(5,5a)は10−800kWh/t、好ましくは100−600kWh/t、更により好ましくは200−500kWh/tのエネルギー入力でのリファイナー作動を含むことができる。
【0023】
適切なエネルギー範囲での作動の効果は分裂、フィブリル化が処理を必要とする繊維の永久的なつぶれを与えるように繊維発達及びつぶれが来入する画分に適応されることである。
【0024】
一実施態様によれば高い比表面積を持つ繊維を含む画分(10)が液体サイクロン段階の底部から出る。
【0025】
液体サイクロンを使用する効果は繊維が比表面積で分離されること及び異なる長さの繊維が同じ画分中に得られることができることである。
【0026】
一実施態様によれば処理されたより低い比表面積及びより厚い壁の繊維を持つ画分(3,3a)が液体サイクロン段階の底部から出る。
【0027】
一実施態様によれば微細物質に富みかつ高い比表面積を持つ繊維を含む画分(10)が非アルカリ性環境で漂白される。
【0028】
この効果は漂白が問題の画分に適応されることができることである。非アルカリ性漂白環境は画分(10)中の不純物により影響を受けるにはあまり敏感でなく、前記不純物は例えば金属イオンを含むことができる。また、非アルカリ性漂白は低コストで実施されることができる。
【0029】
一実施態様によれば画分(10)は9未満のpHで漂白される。
【0030】
一実施態様によれば画分(10)は還元漂白剤で漂白される。
一実施態様によれば画分(10)は亜ジチオン酸塩を含む漂白剤で漂白される。
【0031】
亜ジチオン酸塩を使用する効果は漂白が低コストで実施されること及び亜ジチオン酸塩がそれが繊維を漂白することができる前に破壊されることにあまり敏感でないことである。
【0032】
一実施態様によればより低い比表面積を持つ繊維を持つ画分(3,3a)は酸化漂白により漂白される。
【0033】
より低い比表面積を持つ画分(3,3a)に酸化漂白を使用する効果はこのまたはこれらの画分が酸化漂白剤を破壊する傾向のある上述の不純物を殆ど持たないことである。酸化漂白剤はより効果的であり、従ってこれらの形式の漂白剤によるこの画分(3,3a)の漂白はパルプの白色度に関してより良好である。
【0034】
一実施態様によれば画分(3,3a)は過酸化水素を含む漂白剤により漂白される。
【0035】
一実施態様によれば画分(3,3a)はオゾンを含む漂白剤により漂白される。
【0036】
一実施態様によれば前述の工程段階後に残りかつ最も低い比表面積を持つ画分(12)は砂、樹皮及び他の重い不純物から浄化され、好ましくは装置(15)によりこの画分(12)内の繊維の繊維壁を剥離するように処理され、この装置はリファイナーまたは同様物のようなある種の微粉砕装置を含み、処理後の画分は完全にまたは部分的に工程に、好ましくは脇道に戻される。
【0037】
一実施態様によれば装置(15)は>15%、より好ましくは>14%の濃度でリファイニングする。
【0038】
この効果はパルプの浄化が最終製品内の望ましくない粒子及び不純物を除去するために実施されることである。この画分中には処理後に最終パルプで使用することができる繊維が残っている。これらの繊維を回収することにより繊維収率は改善される。
【0039】
一実施態様によればより低い比表面積、好ましくはより厚い繊維壁を持つ繊維流(3,3a)は処理後に脱水性を改善するために高い比表面積を持つ繊維と微細物質の流れ(10)と完全にまたは部分的に混合される。
【0040】
画分(3,3a)の一部をまたは画分(3,3a)の全部を画分(10)と混合する効果は水を抽出するのがより容易であるであろうことである。画分10は高い比表面積を持つ繊維及び微細物質に富んでおり、この画分は脱水するのが困難である。というのもそれはフィルター及び他の脱水器具を詰まらす傾向があり、たとえ器具が詰まらないとしても脱水は遅いからである。画分10中に脱水するのが容易なより低い比表面積を持つ繊維を含む画分を混合することにより、画分の混和物はまた、改善された脱水性を持つであろう。
【0041】
一実施態様によればより低い比表面積を持つ、好ましくはより厚い繊維壁を持つ繊維流(3,3a)は最終的に望ましい画分の混合物の濃度より高い濃度まで単独で脱水され、従って高い比表面積を持つ、好ましくは薄い壁を持つ繊維と微細物質を持つ画分(10)は部分的に脱水される必要があるのみかまたは全く脱水される必要がない。
【0042】
上述のように画分(3,3a)は脱水が容易である。これはこの画分中に微細繊維含量が少ないため並びにこの画分中に含まれたより低い比表面積を持つ繊維の種々の性質のためである。微細繊維に富んだ画分(10)を脱水することを試みる代わりにこの画分(3,3a)を濃縮脱水することにより、脱水器具のより最適化された使用が得られることができ、これは特に脱水器具を詰まらせる傾向がより低いためである。これは全体的にこの形式の器具のより低い投資を可能とする。
【0043】
一実施態様によれば高い及びより低い比表面積を持つ繊維を含む画分(10,11,11a)は処理後、従来の下級印刷用紙パルプ、新聞紙パルプ、SC、LWC、SCA++パルプ及び他のパルプのための通常の工場におけるより低いエネルギー及び漂白剤の入力により製造されたパルプを持つパルプ流(32)に一緒に集められる。
【0044】
異なるパルプ画分を異なる方法で処理することにより繊維原料のより最適化された使用が得られる。
【0045】
上記の工程での処理の効果は実施された繊維発達が流れ32を製紙機でより脱水しやすくすることである。
【0046】
更に述べると、検討した問題を解決するための装置が開示されている。
【0047】
光散乱、比引張強さ、比引裂強さ、表面粗さ、漂白薬品消費、エネルギー消費のような特性に関して改善された特性を与えるようにセルロースパルプを処理する装置であって、第一液体サイクロン装置(7)、第二液体サイクロン装置(2)、リファイナー(5)及びこれらの間の移動装置を含むものにおいて、セルロースパルプが底部画分(10)と頂部画分(14)に分割する第一液体サイクロン装置(7)に導かれ、頂部画分(14)が別の液体サイクロン装置(2)を介して底部画分(3)に分割され、底部画分(3)が脱水後リファイナーを含む装置(5)により更なる処理を継続され、処理が1−14%の間の濃度でなされることを特徴とする。
【0048】
パルプを処理するための装置での分割に液体サイクロンを使用する効果は繊維形態学がどの繊維が他から分離されるかを決定する重要な因子であることである。これは繊維長が篩を使用するときの分別が基礎を置く因子ではないことを意味する。これは処理のための要求に応じて装置が繊維を分割することができることを意味する。
【0049】
この装置の一実施態様によれば底部画分(10)は非アルカリ性還元漂白剤により漂白される。
【0050】
この効果は漂白が問題の画分に適合されることができることである。非アルカリ性漂白環境は画分(10)内の不純物により影響されることにあまり敏感でなく、前記不純物は例えば金属イオンを含むことができる。また、非アルカリ性漂白はより低いコストで実施されることができる。
【0051】
この装置の一実施態様によれば第二底部画分(11)は酸化漂白剤により漂白される。
【0052】
より低い比表面積を持つ画分(3,3a)で酸化漂白を用いる効果は、このまたはこれらの画分が酸化漂白剤を破壊する傾向のある上述の不純物を極めて少量しか含まず、酸化漂白剤がより効果的であり、従ってこの画分(3,3a)のこれらの形式の漂白剤による漂白が白色度に関してより良好であることである。
【0053】
この装置の一実施態様によれば頂部画分(33)は液体サイクロン装置に続き、底部画分(3a)と頂部画分(33a)に分割され、前記底部画分(3a)は脱水後1−14%の間の濃度でリファイナー(5a)で処理される。
【0054】
この装置の一実施態様によれば底部画分(3a,11a)は酸化漂白剤により漂白される。
【0055】
この装置の一実施態様によれば処理された底部画分(10,11及び/または11a)は改善された性質を持つ共通パルプ流(32)に一緒に集められる。
【0056】
この装置での処理の効果は実施された繊維発達が製紙機での流れ32の脱水をより容易とすることである。
【0057】
この装置の一実施態様によれば頂部画分(33,33a)は頂部画分(12)中に残る砂、樹皮、及び他の重い不純物のような重い不純物を除去する液体サイクロン(8)による浄化に継続される。
【0058】
この発明の一実施態様によれば底部画分は濃度>5%でのリファイニング(15)を含む処理に継続され、この画分は次いでこの装置の入口に通ずる前進パルプ流に戻される。
【0059】
別の実施態様はセルロースパルプを製造かつ脱水する方法として開示され、そこでは離解されたセルロースが結束繊維を除くために篩分けされ、少なくとも三つの画分(10,3,(3a)12)に分別され、この分別が比表面積により、好ましくは液体サイクロンを含む装置(1)によりなされる方法において、前記パルプが少なくとも三つの画分(10,3,12)に分別されること、及びこの方法が高い比表面積を持つ繊維、好ましくは薄い壁を持つ繊維を分別する工程段階(7)を含むこと、及びこの方法がより低い比表面積を持つ繊維、好ましくはより厚い繊維壁を持つ繊維を分別する工程段階(2)を含むこと、より低い比表面積を持つ画分(3,3a)が装置(5)で所定の濃度に脱水されること、及びこの画分(3,3a)が次いで混合流が次の工程段階に導かれる前に少なくとも一つの他の画分(10)と少なくとも部分的に混合されることを特徴とする。
【0060】
この効果は脱水するのが最も容易な繊維が脱水されることができ、次いでそれらが脱水するのがより困難な画分と混合され、かつこれらの画分の合計が脱水されたパルプであることである。
【0061】
この方法の別の実施態様は離解が一つまたは幾つかの段階でのリファイニングを通してなされることを開示する。パルプは大きな粒子を除去するために篩分けられる。前進するパルプ流は次いで比表面積に基づく分別に導かれ、繊維の場合、それは繊維壁厚によることを意味する。最高の比表面積を持つ粒子は最初にえり分けられる。この画分中に薄壁繊維及び微細粒子、いわゆる微細繊維がある。この画分は繊維スプリングバック(表面安定性)、増加した強度、より良い表面粗さ(より良い滑らかさ)等のために更なる処理を必要としないが、工程に継続されることができる。この画分は亜ジチオン酸塩のような非アルカリ性漂白剤で漂白される。残るパルプ流は比表面積でもう一度分別され、ここでより低い比表面積を持つ繊維が最大壁厚及び最低比表面積を持つ繊維からえり分けられる。この画分は次いで繊維長にあまり影響を及ぼすことなく、すなわち繊維長の著しい減少がないように繊維壁に割れ目を作り、繊維をフィブリル化しかつ繊維をつぶすためにLC(低濃度)またはMC(中濃度)リファイニングによる処理に継続される。これは特に最終製品の繊維スプリングバックを防ぐ。次いでこの画分は自己漂白段階で酸化漂白で漂白される。最低の比表面積を持つ残る画分は砂、樹皮及び他の重い不純物のような不純物を除去するために液体サイクロン、例えば液体サイクロンカスケードで、浄化される。厚い繊維壁を持つ残る繊維は例えばHCリファイニングによる処理に継続され、工程に戻されまたは後方に戻される。
【0062】
定義
繊維の一般的なグループ分けは早材、夏材及び晩材に分けられている。この文献では図1によれば四つの異なる繊維形式にグループ分けされている。これらの繊維形式間の差は主として繊維壁厚及びそれから独立した性質、すなわち表面粗さ、比引張強さ、水分誘発繊維スプリングバック等である。この出願に含まれている四つの繊維形式は表1によるz値により特徴付けられ、EEW,LEW,ELW及びLLWと略記されており、それらは初期早材、後期早材、初期晩材及び後期晩材を意味する。これらの繊維形式は比表面積により異なり、定義基準でこれらはz値により記述されることができる。表1参照。z値は次の方法で算出される。

【0063】
製紙工業繊維では、0.3と0.8の間のz値を持つ繊維が、紙が例えば印刷により再湿潤されるとき、紙がカレンダー仕上げされ、再湿潤前に良好な表面性質を持っていたとしても、上昇して粗い表面を作るとき問題が発生する。
【0064】
文献において異なる濃度でのリファイニングが検討されている。リファイニングでの低、中及び高濃度の定義は以下の表中に見ることができる。

【0065】
更に下の実施例2にRm値が述べられており、その定義は入口の質量流量と頂部流量(リジェクト流量)の間の比である。
【0066】
図面の説明
図1は本発明による方法で分別されかつ処理された繊維の種々の形式を開示する。
図2は本発明によるシステムの核心を開示する。
図3は本発明によるシステムの核心の一実施態様を開示する。
図4は本発明によるシステムの核心の一実施態様を開示する。
図5は本発明によるシステムの核心の一実施態様を開示する。
図6は本発明によるシステムの核心の一実施態様を開示する。
図7は本発明による完全な工程の一実施態様を開示する。
図8は実施例1による実験配置を開示する。
図9は実施例2による実験配置を開示する。
図10は実施例2からの結果を開示する。
図11は実施例2からの結果を開示する。
図12は実施例2からの結果を開示する。
図13は実施例2からの結果を開示する。
図14は実施例2からの結果を開示する。
図15は実施例2からの結果を開示する。
図16は請求項28による本発明の一実施態様を開示する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0067】
本発明を実施する最良の様式であると考えられ、図2に開示された本発明の核心の一実施態様によれば、パルプは分別液体サイクロンを持つ液体サイクロン段階7への流れ13に従い、そこで来入流は二つの流れ10及び14に分割される。流れ10は0と0.3の間のz値を持つ繊維(EEW)と微細物質を含む。流れ14は0.3を越えるz値を持つ繊維(LEW,ELW,LLW)を含む。この流れは流れ14を二つの流れ3及び33に分割する分別液体サイクロンを持つ液体サイクロン段階2に継続される。流れ3は0.3と0.8の間のz値を持つ繊維(LEW,ELW)を含む。
【0068】
流れ3は脱水4、及びLCまたは代わりにMCリファイニングを持つリファイナー5での処理に継続される。リファイニング5を離れる流れ11には、フィブリル化され、分裂されかつつぶされた繊維がある。流れ33は0.8を越えるz値を持つ繊維(LLW)及びより重い種類の不純物を含み、流れ33は砂、樹皮及び他の重い不純物を除去浄化するために最適化されたサイクロンカスケード8での浄化に継続される。不純物は工程を離れ、流れ12は他の処理に継続される。流れ10、及び11は脱水、金属の錯結合、漂白等のような適当な処理に継続される。液体サイクロン段階2からの底部画分3をリファイニングすることにより最終紙製品の表面特性による最大問題を与える繊維を処理することができ、その流れに集中することにより完全な来入繊維流13のリファイニングと比べてエネルギーを節約することができる。
【0069】
更に流れ10,11及び12は最適化された最終製品が得られるように適当な方法で別個に処理されることができる。
【0070】
図3に見ることができる第二実施態様によれば、来入パルプ13は流れ10,11,11a及び12に分割される。この場合流れ10は0.3未満のz値を持つ繊維(EEW)及び微細物質を含む。流れ11はリファイナー(MCまたはLC濃度)で処理された0.3−0.6間のz値を持つ繊維(LEW)を含み、流れ11aは0.6−0.8間のz値を持ちかつリファイナー(MCまたはLC濃度)で処理された繊維を含む。そして流れ12は0.8を越えるz値を持つ繊維(LLW)を含む。この場合5及び5aでのリファイニング条件を更に一層正確に適合させることができ、例えばエネルギーの使用が更に一層最適化されるように濃度とリファイニングエネルギーを適合させることができる。
【0071】
図7に示された完全な工程のための一実施態様によれば、予熱されたチップは洗浄され二つのリファイナー段階で離解される(各段階は平行の幾つかのリファイナー及び2段階より多いまたはより少ない段階を含むことができる)。パルプは水により3−4%の濃度に希釈され、レーテンシィ箱に導かれ、そこで繊維はリファインニング工程後のそれらの形状をそれらに回復させるために静止させられる。パルプは次いで1−3%の濃度でスロットまたは穴形式のものである篩を通してポンプ輸送され、これは結束繊維及びより大きな不純物を除去するためになされる。篩からのリジェクト流はリジェクトリファイニングシステムに、例えば移送装置(図示せず)を介して流れ12にまたは直接リジェクトリファイニングシステムの装置(23,24,15,25,26)に供給される。もし洗浄されることが必要な錯結合体のような薬品または他の物質があるなら、パルプは洗浄器22内で洗浄され、離解を完了したパルプ13は本発明による工程1に継続される。
【0072】
液体サイクロン段階7では図1による0.3未満のz値を持つ繊維(EEW)を含む流れ10が通常の形式の液体サイクロン、例えばNoss AM 80F、または適当な形式の他の液体サイクロンからの助けにより分離される。比表面積で分離する幾つかの他の形式の器具を想像することができる。微細物質と一緒に0.3未満のz値を持つ繊維がパルプ流10内に含まれる。この配置では2段階カスケード(カスケードの2段階6)と再循環が示されているが、ここで幾つかの変更を想像することができる。0.3未満のz値を持つ繊維と微細物質が液体サイクロン6,7の底部を出る。パルプ流14には0.3を越えるz値を持つ繊維(LEW,ELW,LLW)が含まれる。次の順序では流れは新しい液体サイクロン段階2に継続される。これからの底部画分3は0.3と0.8の間のz値を持つ繊維(LEW,WLW)を含む。これらの繊維形式は完成製品内に特に繊維スプリングバックを起こすものであり、この完成製品は次に例えば粗さによる問題を作り出す。流れ3は処理、好ましくはLCリファイニング(1−5%)に継続され、その代替法はボールミルであることができ、他のMCリファイニング(5%−14%)または種々の種類のミルに継続され、この処理は繊維長にあまり影響を及ぼすことなく繊維壁に割れ目を誘発し(作り出し)、繊維をフィブリル化しかつ繊維を永久的につぶすためになされる。液体サイクロン段階2からの頂部画分は液体サイクロンカスケード8に継続され、それを砂、樹皮及び他の重い不純物のような重い不純物から浄化する。これらの重い不純物は液体サイクロンの頂部を出、工程を出る。これらの液体サイクロンの底部からの流れ12は非常に厚い繊維壁を持つ0.8を越えるz値を持つ繊維(LLW)を含む。これらの繊維壁はLCリファイニング5により容易に破壊されることができず、従ってそれらは繊維壁を好ましくはHCリファイニングまたは他の剥離処理により剥離し続け、そのようにして繊維壁はより薄くなり、次いでこれらの処理された繊維は工程に戻され、もう一度本発明によるシステム1を通して継続される。流れ10は漂白段階17に継続され、そこで微細物質及び小粒子に耐性がある漂白剤、好ましくは亜ジチオン酸塩、例えば亜ジチオン酸ナトリウム、亜ジチオン酸亜鉛または同様物のような非アルカリ性条件(pH9未満)で使用される漂白剤で漂白する。0.3−0.8の間のz値を持つ繊維(LEW,ELW)を含む流れ11は錯結合剤の添加後に洗浄27及び好ましくは過酸化水素、オゾンまたは他の適当な酸化漂白剤による漂白16に継続される。異なる画分を異なる漂白剤により漂白することにより漂白薬品を節約することができ、ほとんど洗浄する必要がない。酸化漂白剤は例えば微細物質と共に来る重金属(例えばMn,Cr,Fe)に敏感であるが、本発明による工程では微細物質の主要部は流れ10に含まれ、大きな量で酸化漂白剤が使用される漂白段階中に決して継続されない。更なる洗浄28及び29の後に、繊維はディスクフィルター30での脱水に継続される。その後これらの繊維は戻され、流れ10中の繊維と混合される。この画分11をディスクフィルター30で必要より高濃度に脱水させることにより、画分10はより希釈されることができ、そうすることで全体として見て、より容易なパルプの脱水が得られる。画分10は微細物質のより大きな含量のため脱水が困難である。また画分10中に画分11の一部を混合することを想像すると、そうすればもし10自身を脱水することを望むなら脱水することがより容易なパルプを得るであろう。パルプは処理を継続され、製紙機はSC,LWC,SC−A++及びそれらの変形物のような価値付加級紙を製造し続ける。
【0073】
本発明によるシステムは詳細なレベルで幾つかの方式で配置されることができる。本発明の核心は好ましくは液体サイクロンで構成される分別装置であるが、比表面積で分別することができる他の器具から作られることができる。図2,3,4,5及び6に配置の種々の変形を見ることができる。図2はシステムの拡大を開示し、そこでは第一液体サイクロン段階及び/または第二の両者でカスケードを持つことができることを見ることができる。点線はもし希望するならカスケードを持つことができることを示す。図4−6は明確化のために図2に含まれる一部を展開する。図4は第一段階7と第二段階2の両者での単一段階を開示する。図5は如何に第一段階7で単一段階をかつ第二段階2でカスケードを持つシステムを持つかを開示する。図6は如何に第一段階7と第二段階2の両者で液体サイクロンカスケードを持つかを開示する。
【0074】
別の実施態様ではリファイナー5は除去され、液体サイクロン段階(7,2(2a),8)を持つ工程は同じままであり、リファイナーを持つ第二液体サイクロン段階後の繊維を処理する代わりに、この段階を離れる底部画分の容易な脱水が目標である。より効率的なディスクフィルター(4,4a)の使用が得られる。図16参照。上述のように点線はカスケードが任意であることを意味する。
【実施例】
【0075】
実施例1
針葉樹材TMPが新聞紙品質の紙を製造する工場から試料採取された。試料は第二段階リファイナーで取られた。その後パルプは90℃で3時間レーテンシィ処理され、次いで新システムで処理された。質量流量及び種々の繊維画分を表3及び図8に見ることができる。

【0076】
分別を継続されるパルプ中のSommervill結束繊維を0.1%未満に減らす目的のために0.15mmのスロット幅を持つ2段階スロット付き篩での22%のリジェクト比が選ばれた。Sommerville結束繊維の低含量を持つパルプが2段階カスケードからなる第一段階と第二段階(単一段階液体サイクロン)を含む液体サイクロン(Noss AM 80F)により2段階で分別された。この配置は繊維形態学(すなわち繊維断面寸法、比表面積)のため異なるパルプ品質を持つ三つのパルプ画分を製造可能とした。
【0077】
底部1(m4)−0.3未満のz値を持つ繊維(EEW)及び微細物質に富んだ第一段階カスケードからのアクセプト。
底部2(m8)−0.3と0.8の間のz値を持つ繊維(LEW及びELW)に富んだ第二分別段階からのアクセプト。
頂部3(m7)−0.8を越えるz値を持つ厚壁繊維の繊維(LLW)を含む第二分別段階からのリジェクト。
【0078】
底部2(m8)はLC−リファイナー(12″Andritz)で三つの異なるエネルギー水準215,417,504kWh/tで更にリファインされた。異なるパルプのための合計エネルギーは全体として見たパルプに対し73,142及び171kWh/tに相当する。得られた未リファイン及びリファインされたパルプは別個に試験された。また、このシステムのパルプ質量流量分裂による底部1と底部2からパルプ配合物が作られた−47:53%(bl1,bl2,bl3)。異なるパルプ画分及び配合物から手すき紙が作られ、試験された。動的脱水試験、並びに表面粗さ試験が幾つかのパルプ試料で実行された。底部1(m4)及び底部2(m8)及びそれらの配合物が別の系列で亜ジチオン酸塩及びアルカリ性過酸化物(灰汁及び過酸化水素)を用いて漂白された。
【0079】

【0080】

【0081】
種々のパルプ画分及びそれらの配合物の物理的パルプの特性質が表4及び表5に示されている。これから分かるように、底部2画分のLCリファイニングはパルプ強度及びシート平滑度をリファイニングエネルギーの低い合計コストで改善する。従って、底部1(m4)及びリファインされた底部2(m9b−c)の間の配合物から製造された配合物は底部1(m4)と未リファイン底部2(m8)の間の配合物から作られた配合物に比べてより良好な品質を持つ。これはパルプの脱水抵抗の比較的穏やかな増加を伴う。この画分の同じろ水度へのHC−リファイニングにより予想されるものと比べるとそうである。
【0082】
シート厚さ計及び表面粗さの相対変化により測定されるように、水分誘発繊維粗面化変化は配合物1から得られた繊維から製造されたシートのそれと比べて、配合物2から得られたR100 Bauer−McNettから製造されたシートにおいて50%低かった。
【0083】
また、LC−リファイニングはP16/R50 Bauer−McNett画分の引張強さにより測定されるように、底部1と同様な水準への底部2長繊維の結合能力を改善した。これは配合物2及び3の比較的高い長繊維結合能力をもたらした。
【0084】
実施例1によるパルプの漂白
漂白前に全てのパルプはQ−DTPA錯結合段階で処理された。
【0085】
底部2は過酸化水素で漂白され、未漂白底部1と配合され、配合物は次いで亜ジチオン酸塩で漂白された。
【0086】
底部1と底部2の未漂白配合物(配合物1)は一段階で過酸化水素により漂白された。
【0087】
実施例2
新聞紙品質のTMPを製造する工場からのレーテンシィ処理された第二リファイナー段階パルプが結束繊維を除去するために予め決められたリジェクト比で篩分けられ、二段階カスケード液体サイクロンシステムで分別された。リジェクト比は繊維状物質の25%(供給パルプのR100 Bauer−McNett繊維画分の25%)が底部画分、底部1(s6)で終わるように選ばれた。
【0088】
頂部1画分(s4)は更に液体サイクロンシステムで分別され、繊維状物質の25%(最初の液体サイクロン供給物の百分率)を含む底部2(s7)画分と頂部2(s5)をもたらす。同様に、頂部2(s5)が分別され、繊維物質の25%を含む底部3(s8)と上記による繊維物質の少なくとも25%を含む頂部3(s9)をもたらした。
【0089】
得られた底部1,2及び3は更なる実験のために使用された。底部2及び3はLC−リファイナーで300kWh/tでリファインされ、パルプは未リファイン試料と同様な方式で処理された。
【0090】
底部2,3は二つの部分に分割され、それからの一部分は300kWh/tでのLC−リファイニングに継続され、一部分はリファインされなかった。底部1と未リファイン部分を含んだ未リファイン部分は除去された(decrilled)(すなわちP100微細繊維画分はBauer−McNett分別器を用いて除去された)。この繊維画分はTMPパルプ工場での第二段階リファイナーから得られた40%微細繊維(重量)と混合された。60g/m表面重量の手すき紙の2組が作られた。手すき紙の第一組がSCAN規格により試験された。
【0091】
手すき紙の第二組がストリップに切断され、カレンダー加工され、粗面化実験のために使用された。カレンダー加工後、ストリップは無作為的に二つのグループに分割された。第一グループは引張強さ、密度、有孔度、表面粗さ及び光散乱について試験された。カレンダー加工されたストリップの第二グループは25℃で3時間100%湿度に曝され、その後第一グループと同じ試験を受けさせた。
【0092】
図9に実施例2によるセットの表示を見ることができる。表6において対応する流量関係を研究することができる。P100は添加された微細繊維画分であり、それがどのように分配されたかを示す。R100は繊維画分である。底部1(s6)が供給されたパルプ流(s1)内のP100微細物質の略60%を含むことを知ることは興味のあることである。
【0093】

【0094】
図10にはどのように比引張強さが種々の画分で変わるかが開示されている。結合能力は種々の液体サイクロン段階に対し著しく減少し、最後の頂部画分頂部3(s9)において繊維の結合能力は非常に限定されている。
【0095】
図11には引張強さに関するろ水度を見ることができる。わかるとおり、底部1(s6)は底部画分底部2(s7)と同様な強度を持つが、それらは異なるろ水度を持つ。これは底部1(s6)と底部2(s7)の間の微細物質含量の著しい差により説明されることができる。表6参照。
【0096】
底部画分底部2(s7)と底部画分底部3(s8)のLCリファイニングはこれらの強度を増加する。LCリファイニングはパルプのろ水度をある程度減少するが、生成される微細物質の量はろ水度−微細物質関係の回帰傾斜に対応しない。LC−リファイニングは対応する微細物質生成なしに繊維を処理した。
【0097】
底部3(s8)長繊維画分(P16/R50ml/分)の表面粗さはLC−リファイニング後に著しく減少されたが、結合能力は底部2(s7)からの長繊維画分と同じ水準まで増加された。図12参照。底部2(s7)の長繊維画分は粗さを著しく変えることなくLC−リファイニング後の底部1(s6)と同じ水準に結合能力を増加した。
【0098】
表面粗さ及び強度向上の同様な傾向が底部2及び底部3の全パルプの配合物から手すき紙を製造することにより観察された(図14)。合計リジェクト比(表6参照)により混合されたMix s6+raf s7+raf s8として図12,13及び14に見ることができる底部1(s6)、リファインされた底部2(s7)及びリファインされた底部3(s8)から製造されたシートは底部1(s6)と同様の粗さ値を示した。この配合物のろ水度は55mlCSFであった。
【0099】
底部2及び底部3画分は底部1と比べて増大した表面粗さを取得する傾向が高いことを示し、それは再湿潤後のシート厚さ計及び表面粗さの大きな相対的変化に反映されている(図14−15)。
【0100】
増大した表面粗さを取得する繊維の傾向はLCリファイニング後に著しく減少された(図14及び15)。再湿潤後、未リファイン底部2R100繊維画分とTMP微細物質から製造されたカレンダー加工されたシートの厚さ計と表面粗さはそれぞれ7.5%と75%で変化した。これと対照的にリファインされた底部2及び微細物質から作られたカレンダー加工されたシートの厚さ計と表面粗さはそれぞれ1.6と4.4%で変化した。未リファイン底部3はそれぞれ10と55%を与え、対応するリファインされた底部3の変化はそれぞれ1と11%であった(図15)。湿潤シートの性質の相対変化は未リファイン底部画分を含む非湿潤シートの厚さ計と表面粗さに基づいて計算された。
【0101】
上記から本発明によるサイクロン段階は処理される考慮中の繊維により変更されることは理解されるべきである。例えば当業者はシステム1の全てでまたは選択された場所でいわゆるカスケードを破壊または開くことができることは理解されるべきである。特に図にのみ与えられているものは本発明の思考が表すものの変更例であること、及び使用されるサイクロンの数及びそれらの物理的データは処理するように構成されたシステムの構成の繊維に対する適合性の問題であることは注目されるべきである。同じことが本発明によるリファイナーでの考慮中の濃度条件及び液体サイクロン段階に渡る圧力降下に対しても通用する。
【0102】
たとえこの文献が同じ種類の木材の繊維を仮定するものとして見ることができるとしても、請求項に記載の発明はそのように解釈されるべきではない。異なる木材種からの混合繊維もまた、本発明によるシステムにより処理されることができ、かつスプリットアップはそれぞれ繊維の比表面積に従って実施される。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】本発明による方法で分別されかつ処理された繊維の種々の形式を開示する。
【図2】本発明によるシステムの核心を開示する。
【図3】本発明によるシステムの核心の一実施態様を開示する。
【図4】本発明によるシステムの核心の一実施態様を開示する。
【図5】本発明によるシステムの核心の一実施態様を開示する。
【図6】本発明によるシステムの核心の一実施態様を開示する。
【図7】本発明による完全な工程の一実施態様を開示する。
【図8】実施例1による実験配置を開示する。
【図9】実施例2による実験配置を開示する。
【図10】実施例2からの結果を開示する。
【図11】実施例2からの結果を開示する。
【図12】実施例2からの結果を開示する。
【図13】実施例2からの結果を開示する。
【図14】実施例2からの結果を開示する。
【図15】実施例2からの結果を開示する。
【図16】請求項28による本発明の一実施態様を開示する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セルロースパルプを製造する方法であって、離解されたセルロースが結束繊維を除去するために篩分けられ、前記パルプが次いで分別され、分別が好ましくは液体サイクロンを含む装置(1)により、比表面積に従ってなされる方法において、この方法が高い比表面積を持つ繊維、好ましくは薄壁繊維を分別する工程段階(7)を含むこと、及びこの方法がより低い比表面積を持つ繊維、好ましくはより厚い繊維壁を持つ繊維を分別する工程段階(2)を含み、前記パルプが少なくとも三つの画分(10,3,(3a)12)に分別され、これらの画分がそれぞれ単独で処理され、次いで完全にまたは部分的に一緒に集められること、及び一つまたは幾つかの繊維画分(3,3a)が好ましくは粉砕機、リファイナー、ボールミル等のような微粉砕装置(5,5a)を含む装置により分裂され、フィブリル化されかつ永久的につぶされるように処理されることを特徴とする方法。
【請求項2】
微粉砕装置で処理されるこのまたはそれらの画分(3,3a)が0.3と0.8の間のz値を持つ繊維を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
微粉砕装置(5,5a)が考慮中の画分中の繊維が微粉砕装置により作られた繊維壁内の割れを誘発することによって永久的につぶされるように作動されることを特徴とする請求項1−2に記載の方法。
【請求項4】
微粉砕装置(5,5a)が間隔0.8%−14%、好ましくは間隔1−5%のパルプ濃度でのリファイニングを含むことを特徴とする請求項1−3に記載の方法。
【請求項5】
微粉砕装置(5,5a)が10−800kWh/t、好ましくは100−600kWh/t、更に好ましくは200−500kWh/tのエネルギー入力で作動するリファイナーを含むことを特徴とする請求項1−4に記載の方法。
【請求項6】
高い比表面積を持つ繊維を含む画分(10)が液体サイクロン段階の底部から出ることを特徴とする請求項1−5に記載の方法。
【請求項7】
処理されたより低い比表面積及びより厚い壁の繊維を持つ画分(3,3a)が液体サイクロン段階の底部から出ることを特徴とする請求項1−6に記載の方法。
【請求項8】
微細物質に富んだかつ高い比表面積を持つ繊維を含む画分(10)が非アルカリ性環境で漂白されることを特徴とする請求項1−7に記載の方法。
【請求項9】
漂白でのpHが9未満であることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
還元漂白剤が用いられることを特徴とする請求項8−9に記載の方法。
【請求項11】
漂白剤が亜ジチオン酸塩を含むことを特徴とする請求項8−10に記載の方法。
【請求項12】
より低い比表面積を持つ繊維を持つ画分(3,3a)が酸化的漂白により漂白されることを特徴とする請求項1−7に記載の方法。
【請求項13】
漂白剤が過酸化水素を含むことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
漂白剤がオゾンを含むことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項15】
先行工程段階後に残りかつ最も低い比表面積を持つ画分(12)が砂、樹皮及び他の重い不純物から浄化されかつ画分(12)中の繊維の繊維壁を剥離するために好ましくは装置(15)により処理されること、及びこの装置がリファイナーまたは同様物のような微粉砕装置を含むこと及び処理後の画分が完全にまたは部分的に工程に戻され、好ましくは工程の脇道に戻されることを特徴とする請求項1−14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
請求項15に記載の処理のための装置(15)が>15%、より好ましくは>14%濃度でのリファイニングを含むことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
処理後のより低い比表面積を持つ、好ましくはより厚い繊維壁を持つ繊維を持つ繊維流(3,3a)が完全にまたは部分的に高い比表面積を持つ繊維と微細物質の流れ(10)と混合され、脱水性を改善することを特徴とする請求項1−16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
高い比表面積を持つ繊維、好ましくは薄い壁を持つ繊維と微細物質を持つ画分(10)のみが部分的に脱水されるかまたは全く脱水されるか必要がないように、より低い比表面積を持つ、好ましくはより厚い繊維壁を持つ繊維を持つ繊維流(3,3a)が画分の混合物の最終希望濃度より高い濃度まで単独で脱水されることを特徴とする請求項1−16のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
処理後の高い及びより低い比表面積を持つ繊維を含む画分(10,11,11a)が下級印刷紙パルプ、新聞パルプ、SC,LWC,SCA++パルプ及び他のパルプのための通常の工場におけるより低いエネルギー入力及び漂白剤により製造されたパルプを持つパルプ流(32)に一緒に集められることを特徴とする請求項1−18のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
光散乱、比引張強さ、比引裂強さ、表面粗さ、漂白薬品消費、エネルギー消費のような性質に関して改善された性質を与えるようにセルロースパルプを処理する装置であって、第一液体サイクロン装置(6,7)、第二液体サイクロン装置(2)、リファイナー(5)及びこれらの間の移動装置を含むものにおいて、セルロースパルプが底部画分(10)と頂部画分(14)に分割する第一液体サイクロン(7)に導かれ、その頂部画分(14)が別の液体サイクロン(2)を介して底部画分(3)に分割され、その底部画分(3)が脱水後リファイナーを含む装置(5,5a)により更なる処理を継続されること、及び処理が1−14%の間の濃度でなされることを特徴とする装置。
【請求項21】
底部画分(10)が非アルカリ性還元漂白剤で漂白されることを特徴とする請求項20に記載の装置。
【請求項22】
第二底部画分(11)が酸化漂白剤で漂白されることを特徴とする請求項20−21に記載の装置。
【請求項23】
頂部画分(33)が液体サイクロン装置に継続され、かつ底部画分(3a)と頂部画分(33a)に分割され、更に前記底部画分(3a)が脱水後に1−14%の間の濃度でリファイナー(5a)により処理されることを特徴とする請求項20−22に記載の装置。
【請求項24】
底部画分(3a,11a)が酸化漂白剤で漂白されることを特徴とする請求項23に記載の装置。
【請求項25】
処理された底部画分(10,11及び/または11a)が改善された性質を持つ共通パルプ流(32)に一緒に集められることを特徴とする請求項20−23に記載の装置。
【請求項26】
頂部画分(33,33a)が頂部画分(12)中に残る砂、樹皮、及び他の重い不純物のような重い不純物を除去する液体サイクロン(8)による浄化に継続されることを特徴とする請求項20−24に記載の装置。
【請求項27】
底部画分が濃度>5%でのリファイニング(15)を含む処理に継続され、この画分が次いで請求項20に記載の装置に導かれる前進するパルプ流に戻されることを特徴とする請求項26に記載の装置。
【請求項28】
セルロースパルプを製造しかつ脱水する方法であって、離解されたセルロースが結束繊維を除去するために篩分けられ、少なくとも三つの画分(10,3,(3a)12)に分別され、この分別が比表面積に従って、好ましくは液体サイクロンを含む装置(1)によりなされる方法において、前記パルプが少なくとも三つの画分(10,3,(3a)12)に分別されること、及びこの方法が高い比表面積を持つ繊維、好ましくは薄い壁を持つ繊維を分別する工程段階(7)を含むこと、及びこの方法がより低い比表面積を持つ繊維、好ましくはより厚い繊維壁を持つ繊維を分別する工程段階(2)を含むこと、より低い比表面積を持つ画分(3,3a)が所定の濃度に装置(5)内で脱水されること、及びこの画分(3,3a)が次いで少なくとも部分的に少なくとも一つの他の画分(10)と混合され、混合後に混合流が次の工程段階に導かれることを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公表番号】特表2008−513621(P2008−513621A)
【公表日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−532278(P2007−532278)
【出願日】平成17年6月6日(2005.6.6)
【国際出願番号】PCT/SE2005/000859
【国際公開番号】WO2006/033605
【国際公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【出願人】(506405563)ノス アーベー (1)
【Fターム(参考)】