説明

セルロース及びセルロース類似高分子化合物のケイ酸エステル

【課題】OH基を有するポリマーのケイ酸エステル及びその製造方法の提供。
【解決手段】下記式I(式中、OR〜ORのうちの1つ〜4つはそれぞれ独立に、OH基を有するポリマーの該OH基のHがはずれた基を表し、OR〜ORのうちの残りはそのR〜Rがそれぞれ独立に、炭素数1〜20の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基もしくはそれらに官能基が導入された基を示す)で表される化合物により、上記課題を解決する。
【化1】

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セルロースをはじめとするOH基を有するポリマーのケイ酸エステル、換言すると、有機ケイ酸エステルのOH基の一部又は全部が、OH基を有するポリマーで置換された化合物、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
セルロースを化学的に修飾した物質は重要な工業材料である。その代表として、水酸基を酸でエステル化した物質、例えば硝酸セルロース(ニトロセルロース)や酢酸セルロース(アセチルセルロース)がある。エステル化する酸としてはほかにも無数の例があるが、ケイ酸エステルというものはこれまで報告されていない。
他方、ケイ酸を基にした有機化合物には多数のものがあり、高分子のものはケイ素樹脂(シリコーン)やゴム、接着剤などとして利用されている。
したがって、セルロースにケイ酸基を結合させられるならば新しい特性を持つ物質・材料への展開が期待できる。
【0003】
セルロースとケイ酸の複合化技術は多数報告されており、「ケイ酸セルロース」や「セルロースシリケート」という語が特許文献には多数あらわれる。しかしながら、これらはすべてシリカ(二酸化ケイ素、無水ケイ酸)とセルロース系材料を様々なレベルで混和し複合化したものである(例えば特許文献1参照のこと)。
これに対して、セルロースの水酸基をケイ酸基でエステル化する試みがいくつか報告されている。しかしながら、これらにおいては、有機官能基のケイ酸エステル、例えばテトラエチルケイ酸(TEOS。別名テトラエトキシシラン)を用いて、穏和な条件でセルロースと反応させることはできないとされてきた。そのような知見は、例えば非特許文献1に見られる。この文献では、固体セルロースを炭化水素などの有機溶媒に分散させ、大量のケイ酸エステル化試薬を作用させた場合、室温でも加熱してもセルロースとは反応しないことを報告している。同様の記載は 非特許文献2にもあり、乾燥セルロースとSi−ORとの反応は100℃でも起こらない、との記載がある。
【0004】
ケイ酸エステルよりも反応性の高いケイ素化合物、いわゆるシランカップリング剤によるセルロースの修飾の試みは多数行われている。例えば非特許文献3は、固体セルロースにトルエン中でトリアルキルクロロシラン(Si(R)−Cl(式中、Rはアルキル基を示す))を作用させてCell−O−Si(R)を得た。また、非特許文献4は 液体アンモニア中でセルロースに、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)を作用させてセルロースのトリメチルシリル化Cell−O−Si(Me)(式中、Meはメチル基を示す)を行った。しかし、これらは、セルロースのアルキルシリルエーテルであって、エステルではない。また、これらの技術は、揮発性かつ刺激性のケイ素化合物を用いていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第4,324,864号公報。
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】M. Castellano et al., Journal of Colloid and Interface Science 273, 505-511 (2004)。
【非特許文献2】A.Gandini et al., Journal of Polymers and the Environment, Vol. 10, No. 3, 105-114 (2002)。
【非特許文献3】C. Gousse et al., Polymer 43, 2645-2651 (2002)。
【非特許文献4】W. Mormann et al., Macromolecular Symposia 163, 49-57 (2001)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明の目的は、例えばセルロースのケイ酸エステルに代表される、OH基を有するポリマーのケイ酸エステルを提供することにある。なお、OH基を有するポリマーのケイ酸エステルは、換言すると、ケイ酸のOH基の一部が、OH基を有するポリマーで置換された化合物とすることができ、本発明の目的は、該化合物を提供することにある。
【0008】
また、本発明の目的は、上記目的の他に、又は上記目的に加えて、OH基を有するポリマーのケイ酸エステル、換言すると、ケイ酸のOH基の一部が、OH基を有するポリマーで置換された化合物、の製造方法を提供することにある。特に、該製造方法において、穏和な試薬であるケイ酸の多価有機エステル(例えば、上記TEOSなど)を用い、しかも穏和な条件下で、ケイ酸のエステル基と、セルロースなどのOH基を有するポリマーの該OH基との間でのエステル交換反応による製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、以下の発明を見出した。
<1> 下記式I(式中、OR〜ORのうちの1つ〜4つはそれぞれ独立に、OH基を有するポリマーの該OH基のHがはずれた基を表し、OR〜ORのうちの残りはそのR〜Rがそれぞれ独立に、炭素数1〜20、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜5の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基もしくはそれらに官能基が導入された基を示す)で表される化合物。
【0010】
【化1】

【0011】
<2> 上記<1>において、OH基を有するポリマーが、セルロース、アミロース、デンプン、キチン、キトサン、プルラン、デキストラン及びポリビニルアルコールからなる群から選ばれる1種であるのがよい。
<3> 上記<1>又は<2>において、OH基を有するポリマーが、セルロース又はポリビニルアルコールであるのがよい。
<4> 上記<1>〜<3>のいずれかにおいて、OR及びORがセルロース又はポリビニルアルコール由来であるのがよい。また、それ以外、即ちOR及びORがR及びRが、それぞれ独立に炭素数1〜20、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜5の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基もしくはそれらに官能基が導入された基であるのがよい。
【0012】
<5> 上記式I(式中、OR〜ORのうちの1つ〜4つはそれぞれ独立に、OH基を有するポリマーの該OH基のHがはずれた基を表し、OR〜ORのうちの残りはそのR〜Rがそれぞれ独立に、炭素数1〜20、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜5の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基もしくはそれらに官能基が導入された基を示す)で表される化合物の製造方法であって、
a)OH基を有するポリマーを、水を含まない液体に、溶解するか、分散させるか、又は含液ゲル化する工程;
b)a)工程で得られた溶液、分散体又はゲルに、有機ケイ酸エステルを加える工程;及び
c)b)工程で得られた溶液、分散体又はゲルに、触媒共存下で、前記有機ケイ酸エステルを反応させ、該有機ケイ酸エステルと前記OH基を有するポリマーとの間でエステル交換反応をさせる工程;
により、式Iで表される化合物を得る、上記方法。
【0013】
<6> 上記<5>において、OH基を有するポリマーが、セルロース、アミロース、デンプン、キチン、キトサン、プルラン、デキストラン及びポリビニルアルコールからなる群から選ばれる1種であるのがよい。好ましくは、OH基を有するポリマーが、セルロース又はポリビニルアルコールであるのがよい。
<7> 上記<5>又は<6>において、OH基を有するポリマーを溶解又は分散させる、水を含まない液体は、リチウム塩を非プロトン極性液体に溶解した溶液、好ましくは塩化リチウムのN,N-ジメチルアセトアミド(以下、単に「DMAc」と略記する場合がある)溶液又は塩化リチウムのN,N-ジメチルスルホキシド(以下、単に「DMSO」と略記する場合がある)溶液、より好ましくは6〜8重量%、好ましくは8重量%の塩化リチウムのDMAc溶液又は6〜8重量%、好ましくは8重量%の塩化リチウムのDMSO溶液であるのがよい。なお、これらは、水を含まない溶液である。
【0014】
<8> 上記<5>又は<6>において、OH基を有するポリマーの含液ゲルに含まれる、水を含まない液体は、水を含まない非プロトン極性液体、又は水を含まない炭素数1〜4の脂肪族アルコールであるのがよい。非プロトン極性液体として、DMAc、DMSOなどを挙げることができる。炭素数1〜4の脂肪族アルコールとして、メタノール、エタノール又はプロパノールなどを挙げることができる。
<9> 上記<5>〜<8>のいずれかにおいて、触媒がアミン類、好ましくは炭素数1〜10の脂肪族又は芳香族の1級又は2級アミン、より好ましくはエチレンジアミンであるのがよい。
<10> 上記<5>〜<8>のいずれかにおいて、触媒がカルボン酸類、好ましくは酢酸であるのがよい。
【0015】
<11> 上記<5>〜<10>のいずれかのc)工程において、OH基を有するポリマーのOH基と有機ケイ酸エステルとのモル比、(OH基を有するポリマーのOH基)/(有機ケイ酸エステル)が0.5以上であり、式Iで表される化合物のORからORのうち、少なくとも2つがセルロース又はポリビニルアルコール由来であるのがよい。
【0016】
<12> 上記<5>〜<10>のいずれかのc)工程において、OH基を有するポリマーのOH基と有機ケイ酸エステルとのモル比、(OH基を有するポリマーのOH基)/(有機ケイ酸エステル)が0.1以下であり、式Iで表される化合物のORからORのうち1つだけがセルロース由来又はポリビニルアルコール由来であるのがよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明により、例えばセルロースのケイ酸エステルに代表される、OH基を有するポリマーのケイ酸エステル、換言すると、ケイ酸のOH基の一部が、OH基を有するポリマーで置換された化合物、を提供することができる。
また、本発明により、上記効果の他に、又は上記効果に加えて、OH基を有するポリマーのケイ酸エステル、換言すると、ケイ酸のOH基の一部が、OH基を有するポリマーで置換された化合物の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本願に規定する化合物の一形態を示す図である。
【図2】本願に規定する化合物の他の形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を詳細に説明する。
本願は、下記式I(式中、OR〜ORのうちの1つ〜4つはそれぞれ独立に、OH基を有するポリマーの該OH基のHがはずれた基を表し、OR〜ORのうちの残りはそのR〜Rがそれぞれ独立に、炭素数1〜20、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜5の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基もしくはそれらに官能基が導入された基を示す)で表される化合物を提供する。
Si(OR)(OR)(OR)(OR) (I)。
【0020】
上記式Iにおいて、OR〜ORのうちの1つだけがOH基を有するポリマーの該OH基のHがはずれた基を表す場合、該ポリマーのエステル化が、酢酸のエステル化のように、為されていることを示す。
また、OR〜ORのうちの2つがOH基を有するポリマーの該OH基のHがはずれた基を表す場合、該ポリマー1分子中の2箇所がエステル化したことを示すか、及び/又は、該ポリマー2分子がエステル化したことを示す。また、後者、該ポリマー2分子がエステル化したことは、見方を変えると、該ポリマー2分子が「Si」、特に「−O−Si−O−」を介して、架橋していることを示す。
【0021】
さらに、OR〜ORのうちの3つ以上がOH基を有するポリマーの該OH基のHがはずれた基を表す場合、該ポリマー1分子中の3箇所がエステル化したことを示すか、該ポリマー2分子がエステル化し、該2分子中の1分子が2箇所エステル化したことを示すか、及び/又は、該ポリマー3分子がエステル化したことを示す。なお、ポリマーの複数の分子がエステル化した、ということは、上述のように、複数のポリマー分子が「Si」、特に「−O−Si−O−」を介して、架橋していることを示す。
【0022】
本願に規定する化合物について、上記で種々説明したが、該化合物についてその理解を促進するために、概念図をもって説明する。
図1は、本願に規定する化合物の一形態を示す図である。
本願に規定する化合物の一形態1は、OH基を有するポリマー2a、2b、2c及び2d、並びに「−O−Si−O−」の構造を有するサイト4、5及び6を有してなる。
より具体的には、OH基を有するポリマー2aと2dとは、「−O−Si−O−」の構造を有するサイト6を介して架橋してなる。サイト6は、「Si−(OEt)」(ここで、「Et」はエチル基を示す)を有してなる。
また、OH基を有するポリマー2bと2cとは、「−O−Si−O−」の構造を有するサイト4を介して架橋してなり、サイト4は、サイト6と同様に、「Si−(OEt)」を有してなる。
さらに、OH基を有するポリマー2bと2dとは、「−O−Si−O−」の構造を有するサイト5を介して架橋してなり、サイト5は、「Si−OEt」を有してなる。また、サイト5は、ポリマー2bと2箇所で結合する。
【0023】
本願に規定する化合物の一形態1の、特にサイト4に着目する。サイト4は、上記式Iにおいて、OR及びORが、OH基を有するポリマーの該OH基のHがはずれた基、即ちOH基を有するポリマー2bと2cの該OH基のHがはずれた基を示す。また、サイト4において、OR及びORが(OEt)(「Et」はエチル基を示す)を示す。
要するに、図1に示す、本願に規定する化合物の一形態1は、OH基を有するポリマーのケイ酸エステル、換言すると、ケイ酸のOH基の一部が、OH基を有するポリマーで置換された化合物、の一形態を示し、OH基を有するポリマー同士が「−O−Si−O−」の構造を有するサイトを介して架橋する構造を有することを示す。なお、サイト4〜6は、見方によっては、OH基を有するポリマー同士が架橋する架橋点と見ることができる。
【0024】
なお、上述したように、本発明の化合物は、図1に示す一形態以外に、Siの4つの結合価のすべてが、OH基を有するポリマーの該OH基のHがはずれた基と結合した形態、 4つの結合価のうち一つだけがOH基を有するポリマーの該OH基のHがはずれた基と結合した形態(この場合、架橋構造は形成しない)を採ることができる。
【0025】
図2は、本願に規定する化合物についての一形態を示す図である。なお、図2は、図1と同様に、架橋構造を形成するが、該架橋構造についても、種々の形態があることを示す。図2中、(a)及び(b)は、架橋の度合いが低い場合、(c)及び(d)は架橋の度合いが高い場合を示す。また、架橋を構成するOH基を有するポリマーに関して、(a)及び(c)は高濃度である場合、(b)及び(d)は低濃度である場合を示す。なお、図2において、図1のサイトを●で表示しかつ架橋点と略記する。
このように、架橋点の密度がOH基を有するポリマーの濃度と、架橋点となり得るケイ酸エステルの添加量に支配される様式が例示される。また、図2より、ポリマー濃度が高いほど、また架橋点密度、即ちケイ酸エステルの添加量が高いほど硬いゲルが生成することが理解される。
【0026】
本発明の化合物において、OH基を有するポリマーが、セルロース、アミロース、デンプン、キチン、キトサン、プルラン、デキストラン及びポリビニルアルコールからなる群から選ばれる1種であるのがよい。特に、OH基を有するポリマーが、セルロース又はポリビニルアルコールであるのがよい。
【0027】
上述のように、OR〜ORのうちの1つ〜4つがOH基を有するポリマーの該OH基のHがはずれた基を表すが、うち2つがOH基を有するポリマーの該OH基のHがはずれた基であるのがよい。特に、該ポリマーがセルロース又はポリビニルアルコール由来であるのがよい。特に、それら2つは異なる分子であるのがよい。即ち、それら2つは、セルロース2分子又はポリビニルアルコール2分子であるのがよい。換言すると、これら2分子が「−Si−」を介して、特に「−O−Si−O−」を介して架橋する形態を有するのがよい。
【0028】
また、OR〜ORのうちの1つ(例えばOR)がOH基を有するポリマーの該OH基のHがはずれた基を表すのがよい。「1つ」のみがOH基を有するポリマーの該OH基のHがはずれた基を表すことは、該ポリマーのエステル化が、酢酸のエステル化のように、為されていることを示す。このような化合物は、OR〜ORのR〜Rがそれぞれ独立に、炭素数1〜20、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜5の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基もしくはそれらに官能基が導入された基である。これらは、見方によっては、有機ケイ酸エステルの一部がポリマーで置換された化合物であり、本願は該化合物をも提供する。
【0029】
OR〜ORのうち、OH基を有するポリマーの該OH基のHがはずれた基を表すもの以外は、そのR〜Rがそれぞれ独立に、炭素数1〜20、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜5の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基もしくはそれらに官能基が導入された基を示す。
それらに官能基を導入された基の「官能基」として、ハロゲン化物、芳香族基、カルボキシル基などを挙げることができるが、これに限定されない。
【0030】
上記式Iで表される化合物は、次の製造方法により製造することができる。
即ち、
a)OH基を有するポリマーを、水を含まない液体に、溶解するか、分散させるか、又は含液ゲル化する工程;
b)a)工程で得られた溶液、分散体又はゲルに、有機ケイ酸エステルを加える工程;及び
c)b)工程で得られた溶液、分散体又はゲルに、触媒共存下で、有機ケイ酸エステルとOH基を有するポリマーとの間でエステル交換反応をさせる工程;
により、式Iで表される化合物を得ることができる。
ここで、「OH基を有するポリマー」は、上述と同じ定義を有する。
【0031】
a)工程は、OH基を有するポリマーの溶液、分散体、又はゲルを得る工程である。
OH基を有するポリマーの溶液、分散体又はゲルを得る場合、水を含まない液体を用いるのがよい。
「水を含まない液体」とは、液体全体を100重量%とした場合、水を0.5重量%以下で含んでも良いことを意味する。
「水を含まない液体」の「液体」として、OH基を有するポリマーの溶液又は分散体を得る場合、リチウム塩を非プロトン極性液体に溶解した溶液、好ましくは塩化リチウムのDMAc溶液又は塩化リチウムのDMSO溶液、より好ましくは6〜8重量%、好ましくは8重量%の塩化リチウムのDMAc溶液又は6〜8重量%、好ましくは8重量%の塩化リチウムのDMSO溶液であるのがよい。
【0032】
一方、OH基を有するポリマーのゲルを得る場合、ゲルに含まれる液体は、水を含まない非プロトン極性液体、又は水を含まない炭素数1〜4の脂肪族アルコールであるのがよい。非プロトン極性液体として、DMAc、DMSOなどを挙げることができるがこれらに限定されない。炭素数1〜4の脂肪族アルコールとして、メタノール、エタノール又はプロパノールなどを挙げることができるがこれらに限定されない。
a)工程は、「OH基を有するポリマー」が変質することなく「水を含まない液体」に溶解、分散又は含液ゲル化する条件下で行うのがよい。
【0033】
b)工程は、a)工程で得られた溶液、分散体又はゲルに、有機ケイ酸エステルを加える工程である。
ここで、有機ケイ酸エステルは、用いるOH基を有するポリマー、用いる溶媒、などに依存するが、オルトケイ酸エステル、好ましくはオルトケイ酸テトラエチル(Si(OCHCH)又はオルトケイ酸テトラメチル(Si(OCH)であるのがよい。
b)工程は、用いるOH基を有するポリマー、用いる溶媒、用いる有機ケイ酸エステル、などに依存するが、密閉容器中、室温の条件下で行うのがよい。
【0034】
c)工程は、b)工程で得られた溶液、分散体又はゲルに、触媒共存下で、有機ケイ酸エステルを反応させ、該有機ケイ酸エステルとOH基を有するポリマーとの間でエステル交換反応をさせる工程である。
触媒は、用いるOH基を有するポリマー、用いる溶媒、用いる有機ケイ酸エステル、などに依存するが、アミン類又はカルボン酸類であるのがよい。
【0035】
触媒としてアミン類を用いる場合、該アミン類として、炭素数1〜10の脂肪族又は芳香族の1級又は2級アミン、好ましくはエチレンジアミンであるのがよい。
触媒としてカルボン酸類を用いる場合、該カルボン酸類として、酢酸であるのがよい。
【0036】
なお、c)工程において、OH基を有するポリマーのOH基と有機ケイ酸エステルとのモル比、(OH基を有するポリマーのOH基)/(有機ケイ酸エステル)が0.5以上である場合、式Iで表される化合物のORからORのうち、少なくとも2つがOH基を有するポリマーの該OH基のHがはずれた基とするものを形成することができる。特に、OH基を有するポリマーがセルロース又はポリビニルアルコール由来であるものである場合、その傾向が生じる。
【0037】
また、c)工程において、OH基を有するポリマーのOH基と有機ケイ酸エステルとのモル比、(OH基を有するポリマーのOH基)/(有機ケイ酸エステル)が0.1以下である場合、式Iで表される化合物のORからORのうち1つだけがOH基を有するポリマーの該OH基のHがはずれた基とするものを形成することができる。特に、OH基を有するポリマーがセルロース又はポリビニルアルコール由来であるものである場合、その傾向が生じる。
【0038】
上記の方法は、上記工程a)〜c)以外に、種々の工程を適宜含んでもよい。例えば、反応生成物の形状を制御する工程、例えば製膜、紡糸、粒状化などの工程を適宜含んでもよい。
【0039】
本発明の化合物は、あるポリマーとケイ素化合物の特性を併せ持つ材料、あるいはその前駆体として利用することができる。用途として例えば、包装フィルム、塗料、接着剤、分離膜、吸着剤などを挙げることができるが、これらに限定されない。
本発明の化合物のうち、OR〜ORのうちの1つのみが、OH基を有するポリマーの該OH基のHがはずれた基である化合物は、上述のように、架橋構造を持たないので、適当な溶媒に可溶性の線状ポリマーとして利用することができる。
【0040】
また、本発明の化合物が架橋構造を有する場合であっても線状ポリマーの場合であっても、構造中には未反応のケイ酸エステル基Si−O−R(Rは、炭素数1〜20、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜5の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基もしくはそれらに官能基が導入された基を示す)が残存する場合が多いが、これらの基は、水と触媒(塩化水素など)を作用させることにより加水分解させ、次いで縮合させる反応、即ち、いわゆる有機ゾルゲル法の反応に用いることができる。要するに、本発明の化合物は、有機ゾルゲル法の反応の原材料として用いることができる。これにより、従来のゾルゲル法のシリカ源の原料と本発明の化合物とを反応させて、あるポリマーとシリカとの複合材料を形成することもできる。
以下、実施例に基づいて、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は本実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例において、特記しない限り、試薬は和光純薬(株)供給の製品を用いた。
【実施例1】
【0041】
<セルロースとオルトエチルケイ酸エチルとからの化合物A−1の調製>
OH基を有するポリマーとして、ワットマン社製CF11微結晶セルロースを用いた。なお、溶媒などは、脱水処理して用いた。
<<セルロース溶解のための前処理>>
該セルロース5gを、上述のように脱水処理したエチレンジアミンに60分浸漬してセルロース−エチレンジアミン錯体を形成させた。該混合物を圧搾あるいはろ過して付着エチレンジアミンを除去した後、真空乾燥機で室温脱気して過剰エチレンジアミンを気化除去した。このときのエチレンジアミン残留量は対セルロース20重量%であった。
【0042】
<<セルロースの溶解−溶媒:塩化リチウム/DMSO>>
上記で得られたセルロース−エチレンジアミン錯体6gを、該錯体とは別に準備した8重量%塩化リチウム/DMSO溶液94gに投入し、室温で24時間撹拌して透明なセルロース溶液を得た。
<<セルロースとオルトエチルケイ酸エチルとのエステル交換反応>>
上記で得られたセルロース溶液10gにオルトエチルケイ酸エチル(以下、「TEOS」と略記する場合がある)16.7%のジメチルホルムアミド(以下、「DMF」と略記する場合がある)溶液10gを添加して撹拌すると、約5分後に溶液全体がゲル化した。
なお、このゲル化挙動は、セルロースが4官能性のTEOSとのエステル交換によって架橋され、本発明の化合物A−1が調製されたことを示す。
【実施例2】
【0043】
<ポリビニルアルコールとTEOSとからの化合物A−2〜A−4の調製>
OH基を有するポリマーとして、ポリビニルアルコール(以下、「PVA」と略記する場合がある)(和光純薬(株)162-16325、重合度1,000、完全ケン化型)を用いた。
<<PVAの溶解>>
PVA2gを、実施例1で用いたものと同様の8重量%塩化リチウム/DMSO溶液48gに溶解して4重量%溶液とした。
<<PVAとTEOSとのエステル交換反応>>
上記で得られたPVA溶液10gに、エチレンジアミン0.5mlを加え、次いで20重量%TEOSのDMAc溶液0.5g又は1g又は2.0gを添加して撹拌すると、それぞれ3時間/60分/30分の後に溶液全体がゲル化した。このように、TEOSが多いほど架橋が早く進行するので、ゲル化時間は短くなった。
なお、このゲル化挙動は、PVAが4官能性のTEOSとのエステル交換によって架橋され、本発明の化合物A−2〜A−4が調製されたことを示す。
【0044】
(比較例1)
実施例2と同様に、4重量%のPVA溶液10gに、20%TEOSのDMAc溶液0.5g又は1g又は2.0gを添加して撹拌した。ただし、実施例2とは異なり、比較例1では、エチレンジアミンを加えなかった。この場合、エステル交換反応が進行しないため、この系では24時間程度撹拌しても溶液のままであり、粘度上昇も見られなかった。
【実施例3】
【0045】
<デキストランとTEOSとからの化合物A−5〜A−7の調製>
OH基を有するポリマーとして、デキストラン(分子量:60,000)を用いた。
<<デキストランの溶解>>
デキストラン(ファルマシア(株)製デキストランT2000(分子量:約200万))2.5gをDMSO47.5gに溶解して5重量%溶液とした。
<<デキストランとTEOSとのエステル交換反応>>
上記で得られたデキストラン溶液10gにTEOSの20%DMF溶液0.5g又は1g又は2.0gを添加して撹拌すると、それぞれ1時間/30分/10分の後に溶液全体がゲル化した。このように、実施例3においても実施例2と同様に、TEOSが多いほど架橋が早く進行するので、ゲル化時間は短くなった。
なお、このゲル化挙動は、デキストランが4官能性のTEOSとのエステル交換によって架橋され、本発明の化合物A−5〜A−7が調製されたことを示す。
【0046】
(比較例2)
実施例3と同様に、デキストラン溶液10gに、TEOSの20重量%DMF溶液0.5g又は1g又は2.0gを添加して撹拌した。ただし、実施例3とは異なり、比較例2では、エチレンジアミンを加えなかった。この場合、比較例1と同様に、エステル交換反応が進行しないため、この系では24時間程度撹拌しても溶液のままであり、粘度上昇も見られなかった。
【実施例4】
【0047】
<セルロースとTEOSとからの化合物A−8の調製>
実施例1と同様に、OH基を有するポリマーとして、ワットマン社製CF11微結晶セルロースを用いた。ただし、実施例1とは異なり、エチレンジアミンによる<<セルロース溶解のための前処理>>は行わなかった。
【0048】
<<セルロースの溶解−溶媒:塩化リチウム/DMAc>>
8重量%塩化リチウム/ジメチルアセトアミド(DMAc)溶液を準備した。
上記セルロース4gを、8重量%塩化リチウム/DMAc溶液96gに投入し、室温で24時間撹拌して透明なセルロース溶液を得た。
<<セルロースとTEOSとのエステル交換反応>>
上記で得られたセルロース溶液を、実施例1と同様に、TEOSとのエステル交換反応を行い、ゲル化を確認した。
なお、このゲル化挙動は、セルロースが4官能性のTEOSとのエステル交換によって架橋され、本発明の化合物A−8が調製されたことを示す。
【実施例5】
【0049】
実施例1において8重量%塩化リチウム/DMSO溶液中でのセルロースとTEOSの量(濃度)を変えた以外、実施例1と同様に、反応を行った(量(濃度)については表1を参照のこと)。
なお、実施例1は、表1において、セルロース濃度「2.5%」及びTEOS濃度「8.35%」に相当する。
セルロース濃度及びTEOS濃度を変えた場合、「ゲル化せず」(透明溶液のまま、又は白濁、又は沈殿生成)、「ゲル化」(非常に軟らかい、軟らかい、硬い)、又は「二相分離」(セルロース溶液とTEOSとの相溶性不足によるもの)の、挙動変化が見られた。その関係を相図として表1に示す。
【0050】
ここに示される挙動は、セルロースのOH基濃度とTEOS濃度の相互関係により、セルロースのエステル化が酢酸エステル化のような単独エステル化として起こるか、ケイ酸の多重エステル化による架橋を生じるかにより、系の巨視的挙動に質的な差異を生じることを示している。即ち、「ゲル化」において、TEOSは、架橋剤として作用するものと考えられる。
「非常に軟らかいゲル」から「硬いゲル」におよぶゲル性状の変化は、架橋反応前のセルロース溶液のセルロース濃度、及び、架橋剤であるTEOSの相互作用の結果としての、体積当たりの架橋点の数によって支配されるものと考えられる。
「硬いゲル」は、体積当たりの架橋点が多く、図2(c)に示し且つ上述したような、構造を有するものと考えられる。
また、「非常に軟らかいゲル」は、図2(b)に示すような構造を有するものと考えられる。
さらに、「軟らかいゲル」は、図2(a)又は図2(d)に示すような構造を有するものと考えられる。
【0051】
【表1】

【実施例6】
【0052】
実施例5において、(セルロース:TEOS)の組合せを(0.65%:1.40%)、(1%:1.40%)、(2%:1.40%)とした系、及び(セルロース:TEOS)=(1%:0%)としたもの(比較例3)とした系に、意図的に水を添加してその影響を調べた。その結果を表2に示す。水の量(重量%)は、セルロース溶液とそれを加えたTEOSの総量を100重量%と換算した場合の外割の添加重量%である。
表2によると、まず、上記実施例に示されたセルロースの水酸基とTEOSとのエステル交換反応は、水の共存によって阻害されることがわかる。
また、セルロースが0.65重量%以下の場合、水が0.68%以上存在するとゲル化が起こらない。すなわち、この条件では架橋ではなく線状ポリマーとしてのセルロースの修飾が優先し、それよりセルロース濃度が高くTEOS濃度が低いと架橋ゲル化が優先することが分かる。
【0053】
【表2】

【実施例7】
【0054】
<セルロースゲルとTEOSとからの透明フィルムB−1の調製>
<<セルロースゲルの調製>>
OH基を有するポリマーとして、セルロースである「ろ紙パルプ」(アドバンテック(株)製)を用いた。なお、該「ろ紙パルプ」を塩化リチウム−尿素の水溶液に溶解した後、エタノールに浸漬し、シート状セルロースゲルとしたものを用いた。
以下に、シート状セルロースゲルの調製法を記す。
塩化リチウム4.6重量%、尿素15.0重量%の水溶液95gを調製し、冷凍庫で−15℃に冷却した。該水溶液に「ろ紙パルプ」(アドバンテック(株)製)絶乾5gを投入して撹拌し、セルロースを溶解させて5%セルロース溶液を得た。該セルロース溶液をガラス板上に1mm厚に流延し直ちに純エタノールに浸漬してセルロースを凝固させ、十分に水洗して、含水率85重量%のシート状セルロースゲルを得た。
【0055】
<<セルロースゲルとTEOSとのエステル交換反応>>
該含水セルロースゲル5gを、純DMAc 100mlに3回浸漬して、DMAc含有セルロースゲルとした。該セルロースゲルを、TEOSの20%DMAc溶液100mlに浸漬して30分撹拌し、次いで20重量%エチレンジアミン/DMAc溶液5mlを添加して2時間撹拌した。
なお、本実施例の場合、出発物質が固体状のセルロースゲルなので外観上の変化は起こらなかった。該処理を施したセルロースゲルをアセトンで十分に洗浄後乾燥して透明フィルムB−1を得た。該フィルムB−1の乾燥重量は、無処理セルロースフィルムに比して4.0%増加しており、増分はセルロースゲルを構成するフィブリルの表面水酸基に結合したTEOSによる。
【実施例8】
【0056】
<セルロースオルガノゲルとTEOSとの反応>
8重量%塩化リチウムのDMAc溶液に、再生セルロース織布「ベンコット」(旭化成(株)製)を4重量%溶解した。該溶液をガラス板上に1mm厚に流延し、これを純エタノールに浸漬してセルロースを再生ゲル化させ、十分に水洗してセルロースヒドロゲルを得た。
該セルロースヒドロゲルの含有液を水から表3に示すI〜IVの有機溶媒に置換して4種のオルガノゲルを得た。別に、同じ4種の溶媒に20重量%のTEOSと0.5重量%のエチレンジアミンを溶解した溶液を調製し、対応する溶媒の上記オルガノゲルの約1gを浸漬して室温で1時間反応させた。なおゲルと反応液の液比は50倍とした。
その後、各オルガノゲルを各々の溶媒で十分に洗浄し、乾燥して、元のセルロースに対する重量増加率を求めた。なお、元のセルロースヒドロゲルの厚さは十分に均一であるので、元の重量は、同面積の無処理ヒドロゲルを乾燥して決定することができた。これらの結果は、TEOSがセルロースに化学結合したことを示す。
【0057】
【表3】

【実施例9】
【0058】
<触媒活性の試験>
8重量%塩化リチウムのDMAc溶液にワットマンCF11セルロースを溶解し、2重量%セルロース溶液を得た。この溶液10gに、TEOS2.0gと、表4記載のV〜IXの触媒候補物質0.05gを加えて、室温でゲル化挙動を観察した。
その結果を表4に示す。これらの結果より、本反応の触媒としては一級アミンが好適であり、三級アミンとピリジンは適さないこと、及び酢酸も活性を有することが分かる。
【0059】
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式I(式中、OR〜ORのうちの1つ〜4つはそれぞれ独立に、OH基を有するポリマーの該OH基のHがはずれた基を表し、OR〜ORのうちの残りはそのR〜Rがそれぞれ独立に、炭素数1〜20の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基もしくはそれらに官能基が導入された基を示す)で表される化合物。
【化1】

【請求項2】
前記OH基を有するポリマーが、セルロース、アミロース、デンプン、キチン、キトサン、プルラン、デキストラン及びポリビニルアルコールからなる群から選ばれる1種である請求項1記載の化合物。
【請求項3】
前記OH基を有するポリマーがセルロース又はポリビニルアルコールである請求項1又は請求項2記載の化合物。
【請求項4】
前記OR及びORがセルロース又はポリビニルアルコール由来である請求項1〜3のいずれ1項記載の化合物。
【請求項5】
下記式I(式中、OR〜ORのうちの1つ〜4つはそれぞれ独立に、OH基を有するポリマーの該OH基のHがはずれた基を表し、OR〜ORのうちの残りはそのR〜Rがそれぞれ独立に、炭素数1〜20の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基もしくはそれらに官能基が導入された基を示す)で表される化合物の製造方法であって、
a)OH基を有するポリマーを、水を含まない液体に、溶解するか、分散させるか、又は含液ゲル化する工程;
b)a)工程で得られた溶液、分散体又はゲルに、有機ケイ酸エステルを加える工程;及び
c)b)工程で得られた溶液、分散体又はゲルに、触媒共存下で、前記有機ケイ酸エステルを反応させ、該有機ケイ酸エステルと前記OH基を有するポリマーとの間でエステル交換反応をさせる工程;
により、式Iで表される化合物を得る、上記方法。
【化2】

【請求項6】
前記OH基を有するポリマーが、セルロース、アミロース、デンプン、キチン、キトサン、プルラン、デキストラン及びポリビニルアルコールからなる群から選ばれる1種である請求項5記載の方法。
【請求項7】
OH基を有するポリマーを溶解又は分散させる、水を含まない液体は、リチウム塩を非プロトン極性液体に溶解した溶液であり且つ水を含まない溶液である請求項5又は6記載の方法。
【請求項8】
OH基を有するポリマーの含液ゲルに含まれる、水を含まない液体は、水を含まない非プロトン極性液体、又は水を含まない炭素数1〜4の脂肪族アルコールである請求項5又は6記載の方法。
【請求項9】
前記触媒がアミン類又はカルボン酸類である請求項5〜7のいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
前記c)工程において、前記OH基を有するポリマーのOH基と前記有機ケイ酸エステルとのモル比、(OH基を有するポリマーのOH基)/(有機ケイ酸エステル)が0.5以上であり、式Iで表される化合物のORからORのうち、少なくとも2つがセルロース由来である請求項5〜9のいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
前記c)工程において、前記OH基を有するポリマーのOH基と前記有機ケイ酸エステルとのモル比、(OH基を有するポリマーのOH基)/(有機ケイ酸エステル)が0.1以下であり、式Iで表される化合物のORからORのうち1つだけがセルロース由来である請求項5〜9のいずれか1項記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2012−153850(P2012−153850A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−16285(P2011−16285)
【出願日】平成23年1月28日(2011.1.28)
【出願人】(504137912)国立大学法人 東京大学 (1,942)
【Fターム(参考)】