説明

セルロース系繊維用摩擦堅牢度向上剤およびセルロース系繊維材料の摩擦堅牢度向上加工方法

【課題】 風合を粗硬化させることなく、染色されたセルロース系繊維材料の摩擦堅牢度の向上を可能にする手段を提供する。
【解決手段】 ビニルアミン構造を有する重合体とポリシロキサン化合物とを含むセルロース繊維用摩擦堅牢度向上剤であって、これを用いて染色されたセルロース系繊維材料を後処理する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、染色されたセルロース系繊維用の摩擦堅牢度向上剤並びに染色されたセルロース系繊維材料の摩擦堅牢度向上加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、セルロース系繊維染色物の堅牢度を向上せしめる目的で、染色後のソーピングやポリメチルジアリルアミンなどの各種染料固着剤の使用が検討されてきたが、これらの方法では、洗濯堅牢度や汗堅牢度の向上効果は認められても、摩擦堅牢度の向上にはほとんど効果がないのが現状である。
【0003】
セルロース系繊維染色物の摩擦堅牢度向上方法としては、例えば、特開昭60−209080号公報(特許文献1)に、ポリビニルアルコールのような水溶性高分子体を使用する方法が開示されている。また、特開昭62−78288号公報(特許文献2)には、アミノ変性シリコーンとフェノール性水酸基を有する化合物を使用する方法、特開平7−70937号公報(特許文献3)には、ポリオルガノシロキサンと水溶性セルロースエーテルまたはポリビニルアルコールを使用する方法が開示されている。また、特開平10−168768号公報(特許文献4)には、分子中に第3級アミノ基または第4級アンモニウム塩基を含有するビニル単量体を共重合したビニル系重合体を使用する方法が開示されている。しかしながら、これらの方法は、風合の粗硬化や加工安定性などに問題がある上に、摩擦堅牢度向上効果が必ずしも十分といえるものではなかった。
【0004】
また、特開平5−140874号公報(特許文献5)には、ポリオルガノシロキサン乳化物を染色物に付着した後、低温プラズマ処理する方法が開示されている。しかしながら、この方法は、特殊な装置を必要とするため操作が煩雑になり、製造上一般的とは言い難く、風合いもシリコンライクになるなどの問題を有していた。
【0005】
【特許文献1】特開昭60−209080号公報
【特許文献2】特開昭62−78288号公報
【特許文献3】特開平7−70937号公報
【特許文献4】特開平10−168768号公報
【特許文献5】特開平5−140874号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記の如き従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、風合が粗硬化することなく、染色されたセルロース系繊維材料の摩擦堅牢度の向上を、簡便かつ安定に行うことを可能にするセルロース系繊維用摩擦堅牢度向上剤並びにセルロース系繊維材料の摩擦堅牢度向上加工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、ビニルアミン構造を有する重合体とポリシロキサン化合物とを用いて、染色されたセルロース系繊維材料を後処理することによって、風合を粗硬化させることなく、染色されたセルロース系繊維材料の摩擦堅牢度を、簡便な方法で安定して、向上させることができることを見出し、この知見に基づき本発明を完成させた。
【0008】
すなわち、本発明は、下記一般式(1)
【0009】
【化1】

【0010】
(上式中、Rは水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表す)
で表されるビニルアミド構造単位および下記一般式(2)
【0011】
【化2】

【0012】
で表されるビニルアミン構造単位を含有する重合体および/またはその塩と、ジオルガノポリシロキサン、アミノ変性ポリシロキサン、エポキシ変性ポリシロキサン、水素変性ポリシロキサン、ヒドロキシ変性ポリシロキサンおよびカルボキシル変性ポリシロキサンからなる群から選ばれる少なくとも1種のポリシロキサン化合物とを含むセルロース系繊維用摩擦堅牢度向上剤を提供する。
【0013】
本発明のセルロース系繊維用摩擦堅牢度向上剤においては、前記重合体および/またはその塩は、前記一般式(2)で表されるビニルアミン構造単位を10〜98モル%含有することが好ましい。
【0014】
また、前記重合体および/またはその塩は、下記一般式(3)
【0015】
【化3】

【0016】
(上式中、Rは水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表す)
で表される化合物を単独重合させ、または上記一般式(3)で表される化合物をこれと共重合可能な他のビニル系化合物と共重合させ、得られた化合物を次いで部分加水分解して得られるものであるのが好ましく、この一般式(3)で表される化合物はN−ビニルホルムアミドであるのが好ましい。
【0017】
また、前記重合体および/またはその塩の数平均分子量は、5,000〜200,000であるのが好ましい。
【0018】
さらに、前記重合体および/またはその塩とポリシロキサン化合物との質量比は、10:90〜90:10であるのが好ましい。
【0019】
本発明は、また、セルロース系繊維材料の摩擦堅牢度向上加工方法を提供するものであって、この方法は、上記本発明のセルロース系繊維用摩擦堅牢度向上剤により、染色されたセルロース系繊維材料を後処理することを含む。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、セルロース系繊維材料の風合を粗硬化させず、またその風合を大きく変化させずに、優れた摩擦堅牢度向上効果を達成することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明のセルロース系繊維用摩擦堅牢度向上剤およびセルロース系繊維材料の摩擦堅牢度向上加工方法を、その好適な実施形態に即して、詳細に説明する。
【0022】
まず、セルロース系繊維用摩擦堅牢度向上剤について説明する。すなわち、本発明のセルロース系繊維用摩擦堅牢度向上剤は、前記一般式(1)で表されるビニルアミド構造単位および前記一般式(2)で表されるビニルアミン構造単位を含有する重合体および/またはその塩とポリシロキサン化合物とを含む。
【0023】
前記一般式(1)において、Rは水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表し、この炭素数1〜4のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基およびブチル基が挙げられる。Rは、前記重合体を得る際の重合性や得られた重合体の取り扱い性の観点からは、水素またはメチル基、特に水素であるのが好ましい。
【0024】
前記重合体の塩としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸の塩、蟻酸、酢酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、スルファミン酸、メタンスルホン酸などの有機酸の塩などが挙げられる。
【0025】
前記一般式(3)において、Rは水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表し、この炭素数1〜4のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基およびブチル基が挙げられる。Rは、前記重合体を得る際の重合性や得られた重合体の取り扱い性の観点からは、水素またはメチル基、特に水素であるのが好ましい。前記一般式(3)で表される化合物としては、例えば、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルプロピオンアミド、N−ビニルブチルアミド、N−ビニルイソブチルアミド、N−ビニルペンチルアミドなどが挙げられる。これらのうちでは、N−ビニルホルムアミドが特に好ましい。
【0026】
前記一般式(3)で表される化合物と共重合可能な他のビニル系化合物としては、例えば、(メタ)アクリロニトリル;(メタ)アクリルアミド;N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミドなどのN−置換(メタ)アクリルアミド;(メタ)アクリル酸メチルエステル、(メタ)アクリル酸エチルエステル、(メタ)アクリル酸ブチルエステル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルエステル、(メタ)アクリル酸ラウリルエステル、(メタ)アクリル酸ステアリルエステルなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステル;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテルなどのビニルエーテル;(メタ)アクリル酸;ビニルベンゼンスルホン酸;ジメチルアミノメチル(メタ)アクリル酸エステル、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリル酸エステル、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリル酸エステル、ジエチルアミノメチル(メタ)アクリル酸エステル、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリル酸エステルなどのジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリル酸エステル;ジメチルアミノメチル(メタ)アクリル酸アミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリル酸アミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリル酸アミド、ジエチルアミノメチル(メタ)アクリル酸アミド、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリル酸アミドなどのジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリル酸アミド;アリルアミン、N−メチルアリルアミンなどのアリルアミン;ジアリルアミン、N−メチルジアリルアミンなどのジアリルアミンなどが挙げられる。
【0027】
一般式(3)で表される化合物を単独重合させ、または一般式(3)で表される化合物をこれと共重合可能な他のビニル系化合物と共重合させる方法としては、公知の方法を用いることができる。例えば、フリーラジカル重合法、アニオン重合法、カチオン重合法、UVラジカル重合法、リビングアニオン重合法、リビングカチオン重合法、リビングラジカル重合法等を用いることができ、かつ、モノマーの重合性反応に応じて適宜重合法を選択すればよいが、分子量を容易に制御できる観点からはラジカル重合法を用いるのが好ましい。この場合、重合開始剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ジイソプロピルパージカーボネート、t−ブチルパーベンゾエート、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、クメンヒドロキシパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイドなどの過酸化物、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)2,2'−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩、2,2'−アゾビス−2−アミジノプロパンの塩酸塩および酢酸塩、4,4’−アゾビス−4−シアノ吉相酸のナトリウム塩、アゾビス−ジメチレンイソブチルアミジンの塩酸塩および硫酸塩などのアゾ化合物などを用いることでき、重合体を収率よく得るためにはアゾ化合物が好ましい。これらの重合開始剤の使用量は、単量体に対して、通常0.01〜3質量%であるのが好ましい。
【0028】
重合体の製造は、公知の塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合等の方法によって行うことができる。例えば、重合反応は、一般に不活性ガス中で、通常30〜100℃の温度で行われる。溶液重合としては、通常、単量体濃度5〜60質量%の水やアルコール水溶液で重合する方法、懸濁重合としては、通常、単量体濃度20〜80質量%の水溶液を疎水性の溶媒と分散安定剤を用いて油中水型の分散状態で重合する方法、乳化重合としては、通常、単量体濃度20〜60質量%の水溶液を疎水性の溶媒と乳化剤を用いて水中油型または油中水型の乳化重合で重合する方法が挙げられる。
【0029】
以上のようにして得られた前記一般式(3)で表される化合物の単独重合体または前記一般式(3)の化合物とこれと共重合可能な他のビニル系化合物との共重合体を、重合に引き続いて部分加水分解することにより目的とする重合体を得ることができる。加水分解は、酸性条件または塩基性条件のいずれの条件で行ってもよいが、反応装置の腐食等の観点から塩基性条件で行うのが好ましい。なお、酸性加水分解の場合は加水分解して生成するビニルアミン単位のアミノ基は塩の形になっており、一方塩基性加水分解の場合はアミノ基が遊離の形となるが、この場合には加水分解後に酸を加えて遊離アミンの一部あるいは全部を塩の形に変換してもよい。この場合の酸としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、燐酸などの無機酸、蟻酸、酢酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、スルファミン酸、メタンスルホン酸などの有機酸を使用することができる。
【0030】
酸性加水分解で使用される酸化合物としては、強酸性のものが好ましく、例えば、塩酸、臭素酸、フッ化水素酸、硫酸、硝酸、燐酸などの無機酸、スルファミン酸、メタンスルホン酸等などの有機酸が挙げられ、加水分解物の水に対する溶解性の点からは1価の酸が好ましい。塩基性加水分解に使用される塩基性化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、第4級アンモニウムハイドロオキサイド、アンモニア、低分子一級アミン、二級アミンなどが挙げられる。
【0031】
これらの酸または塩基は、一般式(3)の化合物の単独重合体または一般式(3)の化合物とこれと共重合可能な他のビニル系化合物との共重合体のアミド基に対して、通常0.1〜5倍モルの範囲で、目的とする変性率に応じて適宜使用されるのが好ましい。好適には、反応温度50〜110℃の範囲、反応時間1〜8時間の範囲で実施される。また、加水分解は水溶液状態に限らず、種々の状況で実施でき、水とアルコールとの混合溶媒系、水とヘキサン、トルエンなどとの不均一溶媒系などでもよい。さらに、含水の固体状重合体とガス状の酸とを接触させる方法でもよい。
【0032】
さらに、加水分解の際に、不純物によって起こるゲル化を防止する目的で、任意に、例えば、塩酸ヒドロキシルアミン、硫酸ヒドロキシルアミンなどのゲル化防止剤を加えて加水分解を行ってもよい。一般には、加水分解に際してこのゲル化防止剤による処理を行った後に、加水分解を行うことが特に好ましい。
【0033】
本発明に用いられる重合体および/またはその塩においては、前記一般式(2)で表されるビニルアミン構造単位が10〜98モル%であり、好ましくは40〜90モル%、特に好ましくは50〜70モル%である。前記の下限値未満では摩擦堅牢度向上性が不十分であったり、摩擦堅牢度向上性がばらつくことがあり、一方前記の上限値を超えると摩擦堅牢度向上性が不十分となることがある。
【0034】
また、本発明に用いられる重合体および/またはその塩の数平均分子量は、5,000〜200,000の範囲にあり、前記の下限値未満では摩擦堅牢度向上性が不十分となる傾向にあり、一方前記の上限値を超えると粘度が高くなり、摩擦堅牢度向上のための加工が困難となり、摩擦堅牢度向上性がばらつく傾向にある。数平均分子量は、GPCによりポリエチレングリコール換算で測定することができる。
【0035】
本発明におけるポリシロキサン系化合物は、ジオルガノポリシロキサン、アミノ変性ポリシロキサン、エポキシ変性ポリシロキサン、水素変性ポリシロキサン、ヒドロキシ変性ポリシロキサンおよびカルボキシル変性ポリシロキサンからなる群から選ばれる少なくとも1種のオルガノポリシロキサン化合物である。
【0036】
ジオルガノポリシロキサンとしては、例えば、ポリジメチルシラン、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサンなどが挙げられる。アミノ変性ポリシロキサンとしては、例えば、アミノエチルアミノプロピル変性ジメチルポリシロキサン、アミノプロピル変性ジメチルポリシロキサンなどが挙げられる。エポキシ変性ポリシロキサンとしては、例えば、グリシジル変性ジメチルポリシロキサン、グリシジル変性ジメチルポリシロキサン、シクロヘキシルオキシド変性ジメチルポリシロキサンなどが挙げられる。水素変性ポリシロキサンとしては、例えば、メチルハイドロジェンポリシロキサンなどが挙げられる。ヒドロキシ変性ポリシロキサンとしては、例えば、カルビトール変性ポリシロキサンなどが挙げられる。カルボキシル変性ポリシロキサンとしては、例えば、カルボキシドデカン変性ポリシロキサンなどが挙げられる。
【0037】
上記の化合物のうちでは、ジオルガノポリシロキサン、アミノ変性ポリシロキサン、エポキシ変性ポリシロキサンおよび水素変性ポリシロキサンが好ましい。
【0038】
さらに、これらのポリシロキサン化合物は、溶媒に溶解して使用されてもさしつかえなく、乳化剤を用い、水に乳化せしめたもの、または乳化重合により合成されたものとして使用されてもよい。使用される乳化剤は、アニオン性、カチオン性または非イオン性の乳化剤であってもよく、またはそれらの併用であってもよい。本発明で使用される重合体との相溶性を考慮すると、カチオン性または非イオン性のものが好ましい。また、必要に応じて、酸やアルカリ剤、溶剤などを添加してもよい。
【0039】
また、これらのポリシロキサン化合物は、粘度が20〜300万CSである野が好ましく、30〜100万CSであるのがより好ましい。前記の下限値未満であると摩擦堅牢度向上性が不十分となる傾向があり、一方前記の上限値を超えると溶媒への溶解や乳化が困難となり、摩擦堅牢度向上のための加工が困難となり、摩擦堅牢度向上性がばらつく傾向にある。
【0040】
前記一般式(1)および一般式(2)で表される構造単位を含有する重合体および/またはその塩とポリシロキサン化合物との重量比は、10:90〜90:10であり、摩擦堅牢度向上性の観点からは20:80〜80:20であるのが好ましい。この重量比が前記の範囲外であると、湿潤摩擦堅牢度の向上効果が不十分となる傾向にあり、起毛品や短繊維製品などの摩耗に弱い繊維材料などでは、乾燥摩擦堅牢度の向上効果も不十分となる傾向にある。
【0041】
次に、本発明のセルロース系繊維材料の摩擦堅牢度向上加工方法について説明する。すなわち、本発明の摩擦堅牢度向上加工方法においては、前述した本発明のセルロース系繊維用摩擦堅牢度向上剤により染色されたセルロース系繊維材料を後処理することにより、この繊維材料の摩擦堅牢度を向上させることができる。
【0042】
本発明のセルロース系繊維用摩擦堅牢度向上剤を用いて摩擦堅牢度を向上させることのできるセルロース系繊維材料としては、特に限定されず、例えば、綿、麻またはこれらの2種の繊維からなる糸、トウ、トップ、カセ、織物、編み物、不織布、ロープなどの染色物が挙げられる。さらに、これらのセルロース系繊維と絹、羊毛などの天然繊維、レーヨン、アセテートなどの半合成繊維、ナイロン、アクリル、ポリアミドなどの合成繊維、炭素、ガラス、セラミックス、アスベスト、金属などの無機繊維との混紡、混繊等により得られる糸、トウ、トップ、カセ、織物、編み物、不織布、ロープなどの染色物が挙げられる。
【0043】
これらの繊維材料の染色に用いられる染料としては、反応性染料、直接染料、建染染料などが挙げられる。染色方法としては、浸染、連続染色、捺染などが挙げられる。
【0044】
本発明のセルロース系繊維用摩擦堅牢度向上剤を付与する場合、セルロース系繊維に付着されるセルロース系繊維用摩擦堅牢度向上剤量としては、特に制限されないが、通常はセルロース系繊維に対する付着量が、0.05〜10質量%であるのが好ましく、0.1〜5質量%であるのがより好ましい。前記の下限値未満であると摩擦堅牢度の向上効果が不十分となる傾向にあり、一方前記の上限値を超えると繊維の風合が大きく変化してしまう傾向にある。
【0045】
本発明のセルロース系繊維用摩擦堅牢度向上剤を用いてセルロース系繊維材料に摩擦堅牢度を向上させるための加工方法としては、特に限定はなく、例えば、ディッピング処理、パディング処理、スプレーによる噴霧処理、コーティング処理、プリント処理などによる方法を挙げることができる。また、これらの方法で処理されたセルロース系繊維材料は、自然乾燥や加熱乾燥などの従来周知の方法によって乾燥することができる。
【0046】
また、本発明においては、上記のセルロース系繊維用摩擦堅牢度向上剤とともに、従来から用いられている繊維用加工剤を、摩擦堅牢度向上性を損なわない範囲で用いることもできる。このような繊維用加工剤としては、例えば、柔軟剤、可縫製向上剤、染料固着剤、撥水剤、吸水剤、架橋剤などが挙げられる。
【実施例】
【0047】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに説明するが、本発明はこれらの例によって何らの限定もされるものではない。
【0048】
(1)重合体の製造例
重合体A
反応容器に、水243gを入れ、70℃に昇温し、2,2′−アゾビス−2−アミジノプロパン・2塩酸塩の10質量%水溶液7.1gを添加した。次に、水酸化ナトリウムにてpHを6.5に調整したN−ビニルホルムアミド71gと水36gのモノマー混合液を2時間かけて滴下した。70℃で1時間反応後、さらに2,2′−アゾビス−2−アミジノプロパン・2塩酸塩の10質量%水溶液3.6gを添加して、70℃で3時間反応させた。反応終了後、硫酸ヒドロキシルアミン0.93gを添加し、50℃で1時間混合した。次に、35質量%水酸化ナトリウム水溶液77.6gを加えた後昇温し、80℃で5時間、塩基性加水分解を行った。その後、室温に戻し、35%塩酸41.3gを加えてpHを7.5に調整し、20質量%となるように水を添加して重合体Aの水溶液を得た。得られた重合体についてコロイド滴定および13C−NMRスペクトル測定を行ったところ、ビニルアミン構造単位は57モル%であり、GPC(ポリエチレングリコール換算)による数平均分子量は35,000であった。
【0049】
なお、コロイド滴定は、0.1質量%の濃度に調整した重合体水溶液5.0gを、水で200mlに希釈した後、希塩酸によりpH3に調整し、1/400規定のポリビニル硫酸カリウムを用い、トルイジンブルーを指示薬として滴定して、コロイド当量値を測定した。
【0050】
重合体B
重合体Aの製造例で使用した35質量%水酸化ナトリウム水溶液77.6gおよび35%塩酸41.3gの代わりに、35質量%水酸化ナトリウム水溶液96.9gおよび35%塩酸44.3gを使用した以外は、重合体Aの製造例と同様にして、重合体Bの水溶液を得た。得られた重合体Bは、ビニルアミン構造単位が65モル%であり、数平均分子量が33,000であった。
【0051】
重合体C
重合体Aの製造例で使用した35質量%水酸化ナトリウム水溶液77.6gおよび35%塩酸41.3gの代わりに、35質量%水酸化ナトリウム水溶液109.6gおよび35%塩酸50gを使用した以外は、重合体Aの製造例と同様にして、重合体Cの水溶液を得た。得られた重合体Cは、ビニルアミン構造単位が75モル%であり、数平均分子量が30,000であった。
【0052】
重合体D
重合体Aの製造例で使用した35質量%水酸化ナトリウム水溶液77.6gおよび35%塩酸41.3gの代わりに、35質量%水酸化ナトリウム水溶液129.4gおよび35%塩酸58.6gを使用した以外は、重合体Aの製造例と同様にして、重合体Dの水溶液を得た。得られた重合体Dは、ビニルアミン構造単位が90モル%であり、数平均分子量が29,000であった。
【0053】
重合体E
重合体Aの製造例で使用した35質量%水酸化ナトリウム水溶液77.6gおよび35%塩酸41.3gの代わりに、35質量%水酸化ナトリウム水溶液34.2gおよび35%塩酸20.8gを使用した以外は、重合体Aの製造例と同様にして、重合体Eの水溶液を得た。得られた重合体Eは、ビニルアミン構造単位が21モル%であり、数平均分子量が37,000であった。
【0054】
重合体F
重合体Aの製造例で使用した水243gおよび2,2′−アゾビス−2−アミジノプロパン・2塩酸塩の10質量%水溶液7.1gの代わりに、水235gおよび2,2′−アゾビス−2−アミジノプロパン・2塩酸塩の10質量%水溶液27.1gとともにさらにチオグリコール酸0.36gを使用した以外は、重合体Aの製造例と同様にして、重合体Fの水溶液を得た。得られた重合体Fは、ビニルアミン構造単位が64モル%であり、数平均分子量が6,000であった。
【0055】
重合体G
重合体Aの製造例で使用した水243gの代わりに、水171gを使用した以外は、重合体Aの製造例と同様にして、重合体Gの水溶液を得た。得られた重合体Gは、ビニルアミン構造単位が65モル%であり、数平均分子量が90,000であった。
【0056】
重合体H
重合体Aの製造例で使用した水243gおよび2,2′−アゾビス−2−アミジノプロパン・2塩酸塩の10質量%水溶液7.1gの代わりに、水124gおよび2,2′−アゾビス−2−アミジノプロパン・2塩酸塩の10質量%水溶液5.4gを使用した以外は、重合体Aの製造例と同様にして、重合体Hの水溶液を得た。得られた重合体Hは、ビニルアミン構造単位が66モル%であり、数平均分子量が180,000であった。
【0057】
重合体I
反応容器に、N−ビニルホルムアミド71g、アクリル酸メチルエステル8.7g、ポリエチレングリコール(分子量20、000)29.2g、水155g、硝酸ナトリウム29.2gを入れ、水酸化ナトリウムによりpHを6.5に調整した。反応容器内温を55℃に昇温し、2,2′−アゾビス−2−アミジノプロパン・2塩酸塩0.11gを添加して、60℃で4時間反応後、さらに65℃で1時間反応させた。反応終了後、硫酸ヒドロキシルアミン6.9gを添加し、50℃で1時間混合した。次に、35質量%塩酸72.1gおよびメタノール95gを加えた後、60℃で4時間、加水分解を行った。その後、メタノールと蟻酸メチルを留去させ、20質量%となるように水を添加して重合体Iの水溶液を得た。得られた重合体Iは、ビニルアミン構造単位が61モル%であり、GPCによる数平均分子量が35,000であった。
【0058】
比較用重合体J
反応容器に、ジメチルアミノエチルメタクリル酸エステル塩酸塩15.7g、メタクリル酸メチルエステル31.4g、アクリル酸エチルエステル110g、イソプロピルアルコール188g、アゾイソブチロニトリル0.16g、水47gを仕込み、窒素ガスを吹き込みながら、65℃にて8時間反応させた。反応終了後、20質量%となるように水を添加して比較用重合体Jの水溶液を得た。
(2)試験用染色布の作成
実施例で使用した試験用染色布は、以下の条件にて作成した。
【0059】
試験用染色布I
綿ツイル精練布に、アルギン酸ナトリウム(分子量260,000)27質量部、62質量%ミネラルターペンエマルジョン(日華化学(株)製)20質量部、尿素5質量部、重曹3質量部、Cibacron Red P−BN(チバスペシャリティーケミカル社製)5質量部、水40質量部よりなる色糊によりプリントし、100℃で2分間乾燥した後、130℃で7分間スチーミングした。次に、60℃で5分間湯洗し、オーバーフローにて30分間水洗後脱水し、105℃で2分間乾燥し、試験用染色布Iを得た。
【0060】
試験用染色布II
綿ニット精練布を、浴比1:15でRemazol Brill.Blue RK−N(Dystar社製)5%o.w.f.、ソーダ灰20g/L、芒硝50g/Lを使用し、60℃で1時間染色した。次に、60℃で5分間湯洗し、オーバーフローにて30分間水洗後脱水し、80℃で30分間乾燥し、試験用染色布IIを得た。
【0061】
試験用染色布III
綿/ポリウレタン=95/5(質量比)の未染色織物を、Cibacron Red P−4B(チバスペシャリティーケミカル社製)70g/L、アルギン酸ソーダ0.5g/L、尿素100g/L、ソーダ灰15g/L、メタニトロベンゼンスルホン酸ソーダ5g/Lの染色浴に浸漬した後、マングルで絞り、105℃で3分間乾燥し、160℃で2分間ベーキングを行った。次に、60℃で5分間湯洗し、オーバーフローにて30分間水洗後脱水し、105℃で2分間乾燥し、表面をサンデイングして試験用染色布IIIを得た。
【0062】
実施例1
重合体の製造例で得られた20質量%の重合体A水溶液25gと35質量%エマルジョンのジオルガノポリシロキサン(BY22−893、東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製)5.7gを混合して、摩擦堅牢度向上剤を得た。
【0063】
得られた摩擦堅牢度向上剤30.7gと水969.3gにより処理液を調製し、試験用染色布I〜IIIをこの処理液に浸漬し、マングル処理を行い、150℃で90秒間熱処理を行って、処理布を得た。なお、マングル処理時の絞り率は、試験染色布Iで65%、試験染色布IIで85%、試験染色布IIIで55%であった。
【0064】
実施例2〜9
実施例1で使用した20質量%の重合体A水溶液の代わりに、重合体の製造例で得られた20質量%の重合体B、C、D、E、F、GまたはHの水溶液を使用した以外は、実施例1と同様にして、それぞれ摩擦堅牢度向上剤を得、これを用いてそれぞれ処理布を得た。
【0065】
実施例10
実施例1で使用した20質量%の重合体A水溶液25gおよび35質量%エマルジョンのジオルガノポリシロキサン(BY22−893、東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製)5.7gの代わりに、重合体の製造例で得られた20質量%の重合体B水溶液7.5gおよび35質量%エマルジョンのジオルガノポリシロキサン15.7gを使用した以外は、実施例1と同様にしてそれぞれ摩擦堅牢度向上剤を得た。得られた摩擦堅牢度向上剤23.2gと水976.8gにより処理液を調製し、この処理液を用いた以外は実施例1と同様にしてそれぞれ処理布を得た。
【0066】
実施例11
実施例1で使用した20質量%の重合体A水溶液25gおよび35質量%エマルジョンのジオルガノポリシロキサン(BY22−893、東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製)10gの代わりに、重合体の製造例で得られた20質量%の重合体B水溶液17.5gおよび35質量%エマルジョンのジオルガノポリシロキサン10gを使用した以外は、実施例1と同様にしてそれぞれ摩擦堅牢度向上剤を得た。得られた摩擦堅牢度向上剤27.5gと水972.5gにより処理液を調製し、この処理液を用いた以外は実施例1と同様にしてそれぞれ処理布を得た。
【0067】
実施例12〜16
実施例1で使用した20質量%の重合体A水溶液25gおよび35重量%エマルジョンのジオルガノポリシロキサン5.7gの代わりに、重合体の製造例で得られた20質量%の重合体B水溶液25gおよびアミノ変性ポリシロキサン(SF−8417、東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製)、エポキシ変性ポリシロキサン(SF−8411、東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製)、水素変性ポリシロキサン(BY16−805、東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製)、ヒドロキシ変性ポリシロキサン(SF−8427、東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製)またはカルボキシ変性ポリシロキサン(SF−8418、東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製)をラウリルアルコールのエチレンオキサイド20モル付加物20質量%にて乳化した20質量%エマルジョン10gを使用した以外は、実施例1と同様にしてそれぞれ摩擦堅牢度向上剤を得た。得られた摩擦堅牢度向上剤35gと水965gにより処理液を調製し、これを用いた以外は実施例1と同様にしてそれぞれ処理布を得た。
【0068】
比較例1
重合体の製造例で得られた20質量%の重合体B水溶液35gと水965gにより処理液を調製し、試験用染色布I〜IIIをこの処理液に浸漬し、マングル処理を行い、150℃で90秒間熱処理を行って、処理布を得た。なお、マングル処理時の絞り率は、試験染色布IでI65%、試験染色布IIで85%、試験染色布IIIで55%であった。
【0069】
比較例2〜5
比較例1で使用した20質量%の重合体B水溶液35gと水965gの代わりに、重合体の製造例で得られた20質量%の比較用重合体J水溶液35gと水965g、50重量%ポリジアリルメチルアミン塩酸塩(PAS−M−1、日東紡(株)製)14gと水986g、ポリビニルアルコール(PVA117、クラレ(株)製)7gと水993g、または35質量%エマルジョンのジオルガノポリシロキサン(BY22−893、東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製)20gと水980gを使用して処理液を調製した以外は、比較例1と同様にして処理布を得た。
【0070】
比較例6〜7
実施例1で使用した20質量%の重合体A水溶液の代わりに、50質量%ポリジアリルメチルアミン塩酸塩(PAS−M−1、日東紡(株)製)10gまたはポリビニルアルコール(PVA117、クラレ(株)製)5gを使用した以外は、実施例1と同様にしてそれぞれ摩擦堅牢度向上剤を得た。得られた50質量%ポリジアリルメチルアミン塩酸塩と35質量%エマルジョンのジオルガノポリシロキサンからなる摩擦堅牢度向上剤15.7gと水984.3g、またはポリビニルアルコールと35質量%エマルジョンのジオルガノポリシロキサンからなる摩擦堅牢度向上剤10.7gと水989.3gにより処理液を調製し、これを用いた以外は実施例と同様にしてそれぞれ処理布を得た。
【0071】
得られた処理布について、摩擦堅牢度および風合いを以下の方法により評価した。
【0072】
(a)セルロース系繊維の摩擦堅牢度の評価
JIS L 0849(摩擦試験機II型)に従って、乾燥時と湿潤時の摩擦堅牢度を測定し、汚染用グレースケールにて9段階評価した。
(b)風合の評価
摩擦堅牢度向上剤を処理して得られたセルロース系繊維材料について、触感にて、10:柔らかい〜1:硬いとして10段階評価した。
【0073】
得られた結果を下記の表1に示す。
【0074】
【表1】

【0075】
表1の結果より、本発明のセルロース系繊維用摩擦堅牢度向上剤を用いて処理した染色セルロース系繊維材料は、風合の粗硬化がなく、風合も大きく変化されずに、乾燥・湿潤摩擦堅牢度がともに向上され、起毛品のような摩耗に弱い繊維材料においても、摩擦堅牢度が向上されていることから、本発明のセルロース系繊維用摩擦堅牢度向上剤により、セルロース系繊維材料に対して優れた摩擦堅牢度の向上効果が得られたことを確認することができた。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明は、染色されたセルロース系繊維材料の摩擦堅牢度を向上させることができるので、産業上有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)
【化1】

(上式中、Rは水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表す)
で表されるビニルアミド構造単位および下記一般式(2)
【化2】

で表されるビニルアミン構造単位を含有する重合体および/またはその塩と、ジオルガノポリシロキサン、アミノ変性ポリシロキサン、エポキシ変性ポリシロキサン、水素変性ポリシロキサン、ヒドロキシ変性ポリシロキサンおよびカルボキシル変性ポリシロキサンからなる群から選ばれる少なくとも1種のポリシロキサン化合物とを含むセルロース系繊維用摩擦堅牢度向上剤。
【請求項2】
前記重合体および/またはその塩が前記一般式(2)で表されるビニルアミン構造単位を10〜98モル%含有する、請求項1に記載のセルロース系繊維用摩擦堅牢度向上剤。
【請求項3】
前記重合体および/またはその塩が、下記一般式(3)
【化3】

(上式中、Rは水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表す)
で表される化合物を単独重合させ、または上記一般式(3)で表される化合物をこれと共重合可能な他のビニル系化合物と共重合させ、得られた重合体を次いで部分加水分解して得られるものである、請求項1または2に記載のセルロース系繊維用摩擦堅牢度向上剤。
【請求項4】
前記重合体および/またはその塩と前記ポリシロキサン化合物との質量比が10:90〜90:10である、請求項1〜3のいずれかに記載のセルロース系繊維用摩擦堅牢度向上剤。
【請求項5】
前記一般式(3)で表される化合物がN−ビニルホルムアミドである、請求項3に記載のセルロース系繊維用摩擦堅牢度向上剤。
【請求項6】
前記重合体および/またはその塩が数平均分子量5,000〜200,000である、請求項1〜5のいずれかに記載のセルロース系繊維用摩擦堅牢度向上剤。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載したセルロース系繊維用摩擦堅牢度向上剤により、染色されたセルロース系繊維材料を後処理することを含む摩擦堅牢度向上加工方法。

【公開番号】特開2007−31847(P2007−31847A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−212660(P2005−212660)
【出願日】平成17年7月22日(2005.7.22)
【出願人】(000226161)日華化学株式会社 (208)
【Fターム(参考)】