セルロース繊維及び合成繊維を含む繊維構造体を作製する方法
繊維構造体(10)及び繊維構造体(10)を作製する方法であって、その方法は:溝のパターンを有する形成部材(13)上に第一の複数の繊維(101)を提供する工程であって、第一の複数の繊維の少なくとも一部が溝内に配置されるように第一の複数の繊維(101)が提供される工程と;第二の複数の繊維(102)を第一の複数の繊維(101)の上に提供し、第二の複数の繊維(102)が第一の複数の繊維(101)に隣接して配置されるようにする工程と;第一の複数及び第二の複数の繊維を含む単一繊維構造体を形成する工程とを含むものであり、少なくとも第一の複数の繊維(101)又は第二の複数の繊維(102)は合成繊維を含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セルロース繊維と合成繊維を組み合わせて含む繊維構造体に関するものであり、より具体的には、概ねランダムに分配されたセルロース繊維と非ランダムパターンで分配された合成繊維とを有する、又は非ランダムパターンで分配されたセルロース繊維と概ねランダムに配置された合成繊維とを有する繊維構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
紙ウェブなどの繊維構造体は、当該技術分野において周知であり、今日、紙タオル、トイレットペーパー、フェイシャルティシュ、ナプキン、拭取り布など用に普通に使用されている。典型的なティシュペーパーは、ほとんどの場合セルロース繊維から、多くは木材系からなる。セルロース繊維の種類は広範囲であるにもかかわらず、そのような繊維は、一般に乾燥弾性率が高く、また直径が相対的に大きいので、その曲げ剛性が所望より大きくなることがある。更に、セルロース繊維は、乾燥時に相対的に高い剛性を有して製品の柔軟性に悪影響を及ぼすことがあり、湿潤時に低い剛性を有して得られる製品の吸収性を低下させることがある。
【0003】
ウェブを形成するために、典型的な使い捨て紙製品中の繊維は、化学的相互作用によって相互に結合されており、その結合は、セルロース分子のヒドロキシル基間に自然に生じる水素結合だけであることが多い。より大きな一時的又は永久的な湿潤強度を望む場合には、増強添加物を使用することができる。これらの添加物は通常、セルロースと共有結合反応するか、又は既存の水素結合の周りに保護的な分子被膜を形成するかのいずれかによって作用する。しかしながら、添加物は、相対的に堅い及び非弾性的な結合も作り出して、製品の柔軟及び吸収特性に悪影響を及ぼすことがある。
【0004】
セルロース繊維と共に合成繊維を使用することによって、先に説明した限界の幾つかを乗り越えるのを助けることが可能である。合成ポリマーは、非常に小さな繊維直径を含む種々多様な特性の繊維に形成可能である。更に、そのような繊維は、セルロース繊維より低い弾性率であり得る。したがって、繊維は、非常に低い曲げ剛性を有するように作製可能であり、これによって良好な製品の柔軟性が助長される。更に、合成繊維の機能的断面を、望むように微小工作(micro-engineered)することができる。合成繊維は濡れた時に弾性率を維持するようにも設計可能であるので、そのような繊維で作製されたウェブは、吸収作業中にぺしゃんこになるのに対して抵抗性がある。それ故に、ティッシュ製品において熱結合された合成繊維を使用することにより、(柔軟性及び湿潤強度に関しては良好である)水抵抗性の高強度結合により接合された(柔軟性に関しては良好である)高可撓性繊維の強固な網状構造が生じる。しかしながら、合成繊維は、セルロース繊維と比較すると相対的に高価であり得る。したがって、繊維がもたらす望ましい効果を得るのに必要な、又は最も有効であるように繊維を選択的に配置するのに必要な量だけの合成繊維を含むことが望ましい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、セルロース繊維及び合成繊維を組み合わせて含む改善された繊維構造体と、そのような繊維構造体を作製するための方法とを提供することが有利である。得られるウェブのある所望の部分内に集中された合成繊維又はセルロース繊維を有する製品と、そのような繊維のそのような非ランダム配置を可能にする方法とを提供することも有利である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
従来技術に関連する問題点に対処するために、我々は、概ね非ランダムなパターンで配置された複数の合成繊維と、概ねランダムに配置された複数のセルロース繊維とを有する単一繊維構造体、並びにそのような構造体を作製する方法を発明した。その方法は、溝のパターンを有する形成部材上に複数の合成繊維を提供して、合成繊維の少なくとも一部が溝内に配置されるようにする工程と、複数のセルロース繊維を合成繊維上に提供して、セルロース繊維が合成繊維に隣接して配置されるようにする工程と、合成繊維及びセルロース繊維を含む単一繊維構造体を形成する工程とを含むことができる。
【0007】
代替実施形態では、概ね非ランダムなパターンで配置された複数のセルロース繊維と、概ねランダムに配置された複数の合成繊維とを有する、ウェブが提供される。そのようなウェブを作製する方法は、溝のパターンを有する形成部材上に複数のセルロース繊維を提供して、セルロース繊維の少なくとも一部が溝内に配置されるようにする工程と、複数の合成繊維をセルロース繊維上に提供して、合成繊維がセルロース繊維に隣接して配置されるようにする工程と、合成繊維とセルロース繊維とから単一繊維構造体を形成する工程とを含むことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本明細書で使用する時、次の用語は、次に示す意味を有する。
【0009】
「単一繊維構造体」は、相互に絡み合い又は他の方法で結合して、ある所定の微視的形状特性、物理的特性、及び美的特性を有するシート製品を形成する、複数の繊維を含む構造体である。繊維は、セルロース及び/又は合成繊維であってもよく、単一繊維構造体内で積層又は異なる配置であってもよい。
【0010】
「マイクロ形状」又はその変形は、繊維構造体の全体的な(すなわち「巨視的な」)形状と違って、その全体構成に関連しない構造体の相対的に小さな(すなわち、「微視的な」)細部(details)、例えば表面テクスチャなどを指す。例えば、本発明の成型部材においては、流体透過性区域及び流体不透過性区域の組み合わせが、成型部材のマイクロ形状を構成する。「巨視的な」又は「巨視的に」を含む用語は、X−Y表面などの二次元構成に置かれる時を考慮した場合、構造体又はその一部の「マクロ形状」又は全体的な形状について言う。例えば、巨視的なレベルでは、繊維構造体は、それが平坦な表面上に配置される時、平坦なシートを含む。しかしながら、微視的なレベルでは、繊維構造体は、異なる高さを形成する複数のマイクロ領域、例えば、第一の高さを有する網状領域と、枠組領域の全体にわたって分散され、且つその枠組領域から外側に向かって延在し、第二の高さを形成する複数の繊維「ピロー」とを含むことができる。
【0011】
「坪量」は、繊維構造体の(典型的には平方メートル単位で測定される)単位面積の(グラム単位で測定される)重量であり、この単位面積は、繊維構造体の平面に取られる。坪量が測定される単位面積の大きさ及び形状は、異なる坪量を有する領域の相対的及び絶対的な大きさ及び形状に左右される。坪量は、以下の試験方法の節に記述されるように測定される。
【0012】
「キャリパー」は、試料の巨視的な厚さである。キャリパーは、異なる(differential)領域の高さ(それら領域の微視的な特徴である)とは区別されるべきである。最も典型的には、キャリパーは、平方センチメートル当り95グラム(g/cm2)の負荷が均一にかかった状態で測定される。キャリパーは、以下の試験方法の節に記述されるように測定される。
【0013】
「密度」は、ある領域の(繊維構造体の平面に垂直に取った)厚さに対する坪量の比である。かさ密度は、適当な単位変換が組み込まれたキャリパーで除した試料の坪量である。本明細書で使用されるかさ密度は、立方センチメートル当りのグラム(g/cm3)単位を有する。
【0014】
「機械方向」(又は「MD」)は、製造装置を介して作製されている繊維構造体の流れに平行な方向である。「機械横方向」(又は「CD」)は、機械方向に垂直な方向である。
【0015】
「X」、「Y」及び「Z」は、デカルト座標の従来型の系を示し、互いに垂直な座標「X」及び「Y」は、参照X−Y平面を画定し、「Z」は、X−Y平面に直交するものを画定する。例えば成型部材などの構成要素が湾曲するか、ないしは別の方法で脱平面化する(deplane)する時、X−Y平面は当該構成要素の形状に従う。
【0016】
「実質的に連続的な」領域(区域/網状組織/枠組)は、その内部において、ある1つのものが、線の長さ全体にわたって内部全体に延びる中断されていない線により、任意の2点をつなぐことができる区域を指す。つまり、実質的に連続的な領域又はパターンは、X−Y平面に平行な全ての方向に実質的な「連続性」を有し、その領域の縁部でのみ終端される。用語「実質的に」は、「連続的な」に関連して、絶対的な連続性が考慮されるが、絶対的な連続性から僅かにずれたものも、設計され、意図されるような繊維構造体又は成型部材の性能に顕著な影響を及ぼさない限り許容できることを示すように意図する。
【0017】
「実質的に半連続的な」領域(区域/網状組織/枠組)は、全ての、しかし少なくとも1つのX−Y平面に平行な方向に「連続性」を有する区域であってもよいが、その内部で、ある1つのものが、線の長さの全体にわたってその区域内全体に延びる中断されていない線により、2点のあらゆる組をつなぐことができない区域を指す。もちろん、そのような連続性からの僅かなずれは、それらのずれが構造体又は成型部材の性能に顕著な影響を及ぼさない限り許容し得る。
【0018】
「不連続的な」領域(又はパターン)は、隔離された、互いに分離した区域を指し、これらの区域は、X−Y平面に平行な全ての方向において不連続的である。
【0019】
「再分配」は、本発明の単一繊維構造内に含まれる複数の繊維の少なくとも一部が、それらの当初のウェブ内位置、状態、及び/又は形状を、少なくとも部分的に溶融、移動、収縮、及び/又は他の方法で変化させることを意味する。
【0020】
「共接合繊維」は、少なくとも部分的にそれぞれ個々の繊維特性を保持したまま、溶融、接着、包装、化学的若しくは機械的結合により互いに融着又は接着された、ないしは別の方法で共に接合された2つ以上の繊維を意味する。
【0021】
単一繊維構造体を作製するための本発明のプロセスは、一般的には、概ね非ランダムなパターンで配置された複数の合成繊維101と、概ねランダムに配置された複数のセルロース繊維102とを有する(例えば、図9及び図10に示されるような)、ウェブを形成する点から説明される。しかしながら、上記のように、本発明の方法及び装置は、概ね非ランダムなパターンで配置された複数のセルロース繊維102と概ねランダムに配置された複数の合成繊維101と有するウェブ(例えば、図9Aに示されるような)、並びにセルロース繊維102及び合成繊維101が互いに異なる非ランダムなパターンで配置されたウェブを形成するのにも好適である。合成繊維101が非ランダムに配置される実施形態においては、その方法は、複数の合成繊維101を形成部材の上に提供して、合成繊維101が少なくとも所定の領域又は溝の中に配置されるようにする工程と;合成繊維101を含む形成部材の上に複数のセルロース繊維102を概ねランダムに提供する工程と;ランダムに配置されたセルロース繊維102及び非ランダムに配置された合成繊維101を含む単一繊維構造体を形成する工程とを含むことができる。しかしながら、合成繊維101が概ねランダムに配置される実施形態においては、その方法は、複数のセルロース繊維102を形成部材の上に提供して、セルロース繊維102が少なくとも所定の領域又は溝の中に配置されるようにする工程と;セルロース繊維102を含む形成部材の上に複数の合成繊維101を概ねランダムに提供する工程と;ランダムに配置された合成繊維101及び非ランダムに配置されたセルロース繊維102を含む単一繊維構造体を形成する工程とを含むことができる。
【0022】
図1には、本発明の連続プロセスの1つの代表的な実施形態が示され、ヘッドボックス12からのセルロース繊維及び合成繊維の水混合物又は水性スラリー11が、形成部材13上に堆積されて初期ウェブ10を形成する。この特定の実施形態では、形成部材13は、ロール13a、13b、及び13cにより支持されて、これらの回りを矢印Aの方向へ連続的に走行する。この特定の実施形態では、ウェブは、非ランダムに配置された少なくとも幾つかの合成繊維101を有して形成される。そのようなものであるので、合成繊維101は、セルロース繊維102の堆積の前に、形成部材13上に直接堆積されてもよい。ある実施形態では、2つ以上のヘッドボックス12が使用可能であり、及び/又は合成繊維101が形成部材13上に堆積され、次に異なる形成部材に転移されて、そこでセルロース繊維102が次に堆積されてもよい。別の方法としては、合成繊維101は、別のタイプの繊維とほぼ同時に形成部材13上に堆積される幾つかの層の1つとすることもできる。いずれの場合においても、合成繊維101が非ランダムに配置される予定の実施形態では、合成繊維101は、形成部材13中に存在する(例えば図7、8に示される)溝53などの所定の領域の中へ合成繊維101の少なくとも一部が向くような方法で堆積されるべきである。セルロース繊維の少なくとも一部を非ランダムに配置されて有するウェブが望まれる場合は、上記技法のいかなるものの使用可能である。
【0023】
本発明の一実施形態では、合成繊維101は、形成部材13の溝53内に優勢的に配置されるように提供される。すなわち、合成繊維101の半分を超える、ウェブ10が形成される時に、溝53内に配置される。別の実施形態では、合成繊維101の少なくとも約60%、約75%、約80%、又は実質的に全てが、ウェブ10が形成される時に、溝53内に配置されることが望ましい。更に加えて、得られたウェブ100は、あるパーセントの合成繊維101を1つ以上の層内に配置されて含むことが望ましい。例えば、最初に又は形成部材13の最も近くに配置された繊維により形成された層は、約55%を超える、約60%を超える、又は約75%を超える合成繊維101の濃度を有することが望ましい。(ウェブ製品の層中の特定タイプの繊維のパーセントを測定するのに好適な方法が、米国特許第5,178,729号(ブルースジェンダ(Bruce Janda)、1993年1月12日発行)で開示されている。)更に、ある実施形態では、セルロース繊維102が、合成繊維101により形成された層に隣接する少なくとも1つの層内に優勢的に配置されるように提供されることが望ましい。別の実施形態では、セルロース繊維102の少なくともあるパーセント、例えば約55%を超える、約60%を超える、又は約75%を超える、ウェブ100の少なくとも1つの層内に配置されることが望ましい。セルロース繊維102の少なくとも1つの層は、概ねランダムに配置されてもよい。このようにして、得られたウェブ100は、概ねランダムに分配されたセルロース繊維102の1つ以上の層に結合された非ランダムパターンの合成繊維101を備えることができる(例えば図9及び図10)。更に、異なる坪量のマイクロ領域を有する繊維構造体が形成可能である。
【0024】
セルロース繊維101が非ランダムに配置される予定の本発明の実施形態においては、セルロース繊維102は、形成部材13の溝53内に優勢的に配置されるように提供可能である。すなわち、セルロース繊維102の半分を超える、ウェブ10が形成される時に、溝53内に配置される。別の実施形態では、セルロース繊維102の少なくとも約60%、約75%、約80%、又は実質的に全てが、ウェブ10が形成される時に、溝53内に配置されることが望ましい。更に加えて、得られたウェブ100は、あるパーセントのセルロース繊維102を1つ以上の層内に配置されて含むことが望ましい。例えば、最初に又は形成部材13の最も近くに配置された繊維により形成された層は、約55%を超える、約60%を超える、又は約75%を超えるセルロース繊維102の濃度を有することが望ましい。更に、ある実施形態では、合成繊維101が、セルロース繊維102により形成された層に隣接する少なくとも1つの層中に優勢的に配置されるように提供されることが望ましい。別の実施形態では、合成繊維101の少なくともあるパーセント、例えば約55%を超える、約60%を超える、又は約75%を超えるような、ウェブ100の少なくとも1つの層内に配置されることが望ましい。合成繊維101の少なくとも1つの層は、概ねランダムに配置されてもよい。このようにして、得られたウェブ100は、概ねランダムに分配された合成繊維101の1つ以上の層に結合された非ランダムパターンのセルロース繊維102を備えることができる(例えば図9A)。更に、上述のように、異なる坪量のマイクロ領域を有する繊維構造体が形成可能である。
【0025】
形成部材13は、いかなる好適な構造であってもよく、通常は少なくとも部分的に流体透過性である。例えば、形成部材13は、例えば図2〜図6に示されるように、複数の流体透過性区域54と複数の流体不透過性区域55とを有することができる。流体透過性区域又は開口54は、ウェブ側51から裏側52まで形成部材13の厚さHを貫いて延びることができる。ある実施形態では、開口を有する流体透過性区域54の幾つかは、米国特許第5,972,813号(ポラト(Polat)ら、1999年10月26日発行)に記載されているように、「ブラインド」、すなわち「閉じられて」いてもよい。流体透過性区域54は、開いていようと、ブラインドすなわち閉じられていようと、溝53を形成し、この中へ繊維が向かうことができる。複数の流体透過性区域54と複数の流体不透過性区域55の少なくとも1つは通常、成型部材50全体にわたってパターンを形成する。そのようなパターンは、ランダムパターン又は非ランダムパターンを含むことができ、実質的に連続(例えば図2)、実質的に半連続(例えば図4)、分離性(例えば図5)、又はこれらの任意の組み合わせとすることができる。
【0026】
形成部材13は、いかなる好適な厚さHを有してもよく、実際に、厚さHは、所望により形成部材13全体にわたって変化して作製可能である。更に、溝53は、いかなる形状又は異なる形状の組み合わせであってもよく、いかなる深さDを有してもよく、深さDは、形成部材13全体にわたって変化可能である。溝53はまた、いかなる所望の容積をも有することができる。溝53の深さD及び容積は、合成繊維101又はセルロース繊維102の所望の濃度が確実に溝53内に配置されるのを助けるために、望むように変化可能である。ある実施形態では、溝53の深さDは、約254μm未満、又は約127μm未満であることが望ましい。更に、形成部材13上に堆積される合成繊維101又はセルロース繊維102の量は、合成繊維101及び/又はセルロース繊維102の所望の比又はパーセントが特定の深さD又は容積の溝53内に確実に配置されるように、変化可能である。例えば、ある実施形態では、ウェブ製造プロセス中にセルロース繊維102が溝53内に実質上配置されないように、溝53を実質的に満たすのに充分な合成繊維101を提供することが望ましいが、別の実施形態では少なくとも一部のセルロース繊維102も溝53の中へ向かうことができるように、溝53の一部を満たすのに充分なだけの合成繊維101を提供することが望ましい。別の実施形態では、ウェブ製造プロセス中に合成繊維101が溝53内に実質上配置されないように、溝53を実質的に満たすのに充分なセルロース繊維102を提供することが望ましいが、別の実施形態では少なくとも一部の合成繊維101も溝53の中へ向かうことができるように、溝53の一部だけを満たすのに充分なセルロース繊維102を提供することが望ましい。
【0027】
幾つかの代表的な形成部材13は、流体透過性の補強要素70とこれから延びて複数の溝53を形成するパターン又は枠組60とを含む、図2〜図8に示されるような構造を有することができる。図5及び図6に示されるような1つの実施形態では、形成部材13は、補強要素70に結合された又はこれと一体になった、複数の分離性突出部61を有することができる。補強要素70は、一般に、一体性、安定性、及び耐久性を提供又は促進するように働く。補強要素70は、流体透過性又は部分的に流体透過性とすることができ、様々な実施形態及び織りパターンを有することができ、及び様々な材料、例えば複数の織り合わせ糸(ジャガードタイプ及び類似織りパターンを含む)、フェルト、プラスチック若しくは他の合成材料、網、複数の穴を有するプレート、又は任意のこれらの組み合わせなどを含むことができる。好適な補強要素70の例が、米国特許第5,496,624号(ステルジェス(Stelljes)ら、1996年3月5日発行)、第5,500,277号(トロクハン(Trokhan)ら、1996年3月19日発行)、及び第5,566,724号(トロクハン(Trokhan)ら、1996年10月22日発行)に記載されている。別の方法としては、ジャガードタイプの織成などを含む補強要素70を用いることができる。ベルトの例は、米国特許第5,429,686号(チウ(Chiu)ら、1995年7月4日発行)、第5,672,248号(ウェント(Wendt)ら、1997年9月30日発行)、第5,746,887号(ウェント(Wendt)ら、1998年5月5日発行)、及び第6,017,417号(ウェント(Wendt)ら、2000年1月25日発行)に見出すことができる。更に、ジャガード織りパターンの様々なデザインが、形成部材13として使用可能である。
【0028】
代表的で好適な枠組要素60及び枠組60を補強要素70に適用する方法が、例えば米国特許第4,514,345号(ジョンソン(Johnson)、1985年4月30日発行)、第4,528,239号(トロクハン(Trokhann)、1985年7月9日発行)、第4,529,480号(トロクハン(Trokhann)、1985年7月16日発行)、第4,637,859号(トロクハン(Trokhann)、1987年1月20日発行)、第5,334,289号(トロクハン(Trokhann)、1994年8月2日発行)、第5,500,277号(トロクハン(Trokhann)ら、1996年3月19日発行)、第5,514,523号(トロクハン(Trokhann)ら、1996年5月7日発行)、第5,628,876号(エイヤース(Ayers)ら、1997年5月13日発行)、第5,804,036号(ファン(Phan)ら、1998年9月8日発行)、第5,906,710号(トロクハン(Trokhann)、1999年5月25日発行)、第6,039,839号(トロクハン(Trokhann)ら、2000年3月21日発行)、第6,110,324号(トロクハン(Trokhann)ら、2000年8月29日発行)、第6,117,270号(トロクハン(Trokhann)、2000年9月12日発行)、第6,171,447B1号(トロクハン(Trokhann)、2001年1月9日発行)、及び第6,193,847B1号(トロクハン(Trokhann)、2001年2月27日発行)により教示される。更に、図6に示すように、枠組60は、枠組要素60を貫いて延びる1つ又は開口又は穴58を含むことができる。そのような穴58は、溝53とは異なっており、並びにこれを使用することにより、スラリー又はウェブからの脱水を助ける、及び/又は枠組60上に堆積された繊維が溝53の中へ完全に移動するのを防止する助けをすることができる。
【0029】
あるいは、形成部材13は、合成繊維101がその中へ向くことができる溝53の幾つかのパターンを含めて繊維を受け取るのに好適ないずれか他の構造を含んでもよく、これには、すき網、複合ベルト、及び/又はフェルトなどが挙げられるが、これらに限定されない。いずれの場合も、そのパターンは、上記のように分離性若しくは実質的に分離性であってもよく、連続的若しくは実質的に連続的であってもよく、又は半連続的若しくは実質的に半連続的であってもよい。本発明の方法と共に使用するのに一般に好適なある種の代表的な形成部材13は、米国特許第5,245,025号、第5,277,761号、第5,443,691号、第5,503,715号、第5,527,428号、第5,534,326号、第5,614,061号、及び第5,654,076号に記載される形成部材を含む。
【0030】
形成部材13がプレスフェルトを含む場合、米国特許第5,580,423号(アンプルスキー(Ampulski)ら、1996年12月3日発行)、第5,609,725号(ファン(Phan)、1997年3月11日発行)、第5,629,052号(トロクハン(Trokhan)ら、1997年5月13日発行)、第5,637,194号(アンプルスキー(Ampulski)ら、1997年6月10日発行)、第5,674,663号(マクファーランド(McFarland)ら、1997年10月7日発行)、第5,693,187号(アンプルスキー(Ampulski)ら、1997年12月2日発行)、第5,709,775号(トロクハン(Trokhan)ら、1998年1月20日発行)、第5,776,307号(アンプルスキー(Ampulski)ら、1998年7月7日発行)、第5,795,440号(アンプルスキー(Ampulski)ら、1998年8月18日発行)、第5,814,190号(ファン(Phan)、1998年9月29日発行)、第5,817,377号(トロクハン(Trokhan)ら、1998年10月6日発行)、第5,846,379号(アンプルスキー(Ampulski)ら、1998年12月8日発行)、第5,855,739号(アンプルスキー(Ampulski)ら、1999年1月5日発行)、及び第5,861,082号(アンプルスキー(Ampulski)ら、1999年1月19日発行)などの教示により作製することができる。代替実施形態では、形成部材13は、米国特許第5,569,358号(キャメロン(Cameron)、1996年10月29日発行)の教示又はいずれか他の好適な構造によりプレスフェルトとして実施可能である。形成部材13として使用するのに好適な他の構造は、任意の成型部材50に関連して以降において説明される。
【0031】
形成部材13の下側に配置された真空装置14などの真空機器を使用して、形成部材13上に配置されたスラリーに流体差圧をかけて、初期ウェブ10の少なくとも部分脱水を促進することができる。この流体差圧は、所望の繊維例えば合成繊維101が形成部材13の溝53の中へ向かうように助けることもできる。ウェブ10の脱水及び/又は繊維が形成部材13の溝53の中へ向かうのを助けるために、真空装置14に加えて又はその代替として、他の既知の方法を使用してもよい。
【0032】
望む場合には、形成部材13上に形成された初期ウェブ10は、形成部材13からフェルト又は成型部材などの他の構造体へ転移可能である。成型部材は、構造的な要素であって、初期ウェブの支持体として、並びに繊維構造体に所望の微視的形状を形成又は「成型」するための形成ユニットとして使用可能である。成型部材は、上部に生成される構造体に微視的な三次元パターンを付与する能力を有するいかなる構成要素を含んでもよく、この成型部材は、固定板、ベルト、(ジャガードタイプなどの織布パターンを含む)織布、バンド、ロールを具備する単層構造体及び多層構造体を制限なく包含する。
【0033】
図1に示される代表的な実施形態では、成型部材50は流体透過性であり、真空シュー15が、形成部材13上に配置された初期ウェブ10を引き離して成型部材50に付着させるのに充分な真空圧をかける。図1の成型部材50は、ロール50a、50b、50c、及び50dにより支持されて、これらの回りを矢印Bの方向へ走行するベルトを含む。成型部材50は、ウェブに接触する側151と、このウェブに接触する側151に対向する裏側152とを有する。
【0034】
成型部材50は、いかなる好適な形態をもとることができ、いかなる好適な材料でも作製可能である。成型部材50は、いかなる構造を含んでもよく、形成部材13に関連して本明細書で説明した方法のいずれかによって作製されてもよいが、成型部材50は、そのような構造及び方法に限定されない。例えば、成型部材50は、例えば図13、図14に示されるような、補強要素170に結合された樹脂枠組160を含む。更に、様々なデザインのジャガード織パターンが、成型部材50、及び/又は加圧表面210として使用可能である。望む場合には、成型部材50は、プレスフェルトであってもこれを含んでもよい。本発明と共に使用するのに好適なプレスフェルトには、形成部材13に関連して本明細書で説明したものが含まれるが、これらに限定されない。
【0035】
ある実施形態では、成型部材50は、例えば図13、図14に示されるように、複数の流体透過性区域154と複数の流体不透過性区域155とを有することができる。流体透過性区域又は開口154は、ウェブ側151から裏側152まで成型部材50の厚さH1を貫いて延びる。形成部材13に関連して上記したように、成型部材の厚さ1Hは、いかなる所望の厚さにもすることができる。更に、溝153の深さD1及び容積は、望むように変化可能である。更に、開口を含む流体透過性区域154の1つ以上は、形成部材13に関連して上述のように、「ブラインド」すなわち「閉じられて」いてもよい。複数の流体透過性区域154及び複数の流体不透過性区域155の少なくとも1つは通常、成型部材50の全体にわたって非ランダム反復パターンを形成する。そのようなパターンは、ランダムパターン又は非ランダムパターンを含むことができ、実質的に連続的、実質的に半連続的、分離性、又はこれらの任意の組み合わせを含むことができる。成型部材50中の開口154と位置が一致する補強要素170の部分は、単一繊維性構造体100の作製プロセス中に成型部材50の流体透過性区域に撓み込む繊維に対して支持を提供することができる。補強要素は、作製中のウェブの繊維が成型部材50を通り抜けるのを防ぐ助けをすることができ、これにより、得られる構造体100中にピンホールが発生するのを低減する。
【0036】
ある実施形態では、成型部材50は、米国特許第6,576,090号(トロクハン(Trokhan)ら、2003年6月10日発行)により教示されるように、複数のベース部分から延びる複数の懸垂部分を含むことができる。そのような実施形態では、懸垂部分は、補強要素170から持ち上げられ、懸垂部分と補強要素170の間に空隙を形成し、その空隙において、初期ウェブ10の繊維は偏向され、繊維構造体100の片持ち部分を形成することができる。懸垂部分を有する成型部材50は、少なくとも2つの層により形成され、対面関係で共に接合された多層構造体を含んでもよい。接合された層は、一方の層の開口が他方の枠組の一部と(成型部材50の一般表面に対して垂直な方向に)重なるように位置付けさる可能性がある。複数の懸垂部分を具備する成型部材50の別の実施形態は、透明領域と、不透明領域とを含むマスクを通して、感光性樹脂又は他の硬化性材料の層を差別的に硬化することを含むプロセスにより作製され得る。不透明領域は、異なる不透明性を有する領域、例えば、相対的に高い不透明性を有する領域(透明ではないもの)と、相対的に低い部分的な不透明性(幾らか透明である)を有する領域とを含む。
【0037】
初期ウェブ10が成型部材50のウェブに接触する側151上に配置されると、ウェブ10は、少なくとも部分的に、成型部材50の三次元パターンに適合する。更に、初期ウェブ10のセルロース繊維及び/又は合成繊維を成型部材50の三次元パターンに適合させて、成型ウェブ(図1では「20」として示されている)となるようにする、又はそれを促すべく、様々な手段を利用することができる。(本明細書では、参照番号「10」と「20」、並びに用語「初期ウェブ」と「成型ウェブ」は互換的に使用可能であることを理解すべきである。)1つの方法は、複数の繊維に流体圧力差を付与することを含む。例えば、図1に示すように、成型部材50の裏側152に配置された真空装置16及び/又は17を、成型部材50、ひいては上部に配置された複数の繊維に真空圧を印加するために配置することができる。真空装置16及び17それぞれの真空圧により生じた流体圧力差ΔP1及び/又はΔP2の影響の下、初期ウェブ10の一部は、成型部材50の溝153内に偏向され、その三次元パターンに適合し得る。
【0038】
ウェブ10の一部を成型部材50の溝153内に偏向することにより、成型部材50の溝153内に形成される結果として生じたピロー150の密度を成型ウェブ20の残部の密度に比べて低下させることができる。開口内に撓まない領域168は、後に、例えば図1に示される乾燥ドラム200の表面210とロール50cの間に形成される加圧ニップ内などの、加圧表面218と成型部材50の間で(図11例示)ウェブ20が型押しされることにより、圧痕が付けられてもよい。圧痕形成される場合、領域168の密度は、ピロー150の密度に対して更により大きいことがある。
【0039】
繊維構造体100のマイクロ領域(高及び低密度)は、2つの異なる高さで配置されるものと考えられる。本明細書で使用する時、領域の高さは、参照平面(すなわち、X−Y平面)からのその距離を指す。参照平面を水平なものとして視覚化することができ、参照平面からの高さ距離は垂直である(すなわち、Z方向)。構造体100の特定のマイクロ領域の高さは、当該技術分野において周知であるような用途に適する任意の非接触型測定装置を用いて測定してもよい。本発明による繊維構造体100は、圧痕形成領域168が参照平面と接触した状態で、参照平面上に置くことができる。ピロー150は、参照平面から垂直に離れるように延在する。複数のピロー150は、対称的なピロー、非対照的なピロー、又はこれらの組み合わせを含み得る。
【0040】
マイクロ領域の異なる高さは、深さ又は高さが異なる三次元パターンを有する成型部材50によって形成することもできる。異なる深さ/高さを有するこのような三次元パターンは、成型部材50の予め選択された一部をやすりにかけ、それらの高さを低くすることによって作製することができる。別の方法としては、深さ/高さが異なる凹部/凸部を有する三次元マスクを使用して、異なる高さを有する対応する枠組160を形成することができる。高さが異なる表面を形成する他の従来技法もまた、上述の用途に使用することができる。成型部材を形成するために本明細書で説明した技法は、形成部材13の形成にも適用可能であることを理解すべきである。
【0041】
成型部材50を貫通して幾つかのフィラメント又はその一部を押し入れ、故に、結果として生じた繊維構造体にいわゆるピンホールの形成を招き得る真空装置16及び/若しくは17、並びに/又は真空ピックアップシュー15によって、作製中の繊維構造体に流体圧力差を急激に付与することから生じ得る負の効果を改善するために、成型部材50の裏側152を、微視的な表面の凹凸を形成すべく「非平坦化」することができる。そのような表面の凹凸は、成型部材50の裏側52と製紙機器の表面(例えば、真空装置の表面など)の間に真空シールが形成されるのを妨げて、それらの間に「漏れ」を創出する助けをするので、通風乾燥プロセスにおける真空圧適用のある種の望ましくない結果を緩和することができる。そのような漏れを創り出す他の方法が、米国特許第5,718,806号、第5,741,402号、第5,744,007号、第5,776,311号、及び第5,885,421号に開示されている。
【0042】
漏れは、米国特許第5,624,790号、米国特許第5,554,467号、米国特許第5,529,664号、米国特許第5,514,523号及び米国特許第5,334,289号に記載されるような、いわゆる「光透過差技法」を用いて創出され得る。成型部材50は、不透明な一部を有する補強要素に感光性樹脂のコーティングを適用し、次いで透明領域及び不透明領域を有するマスクを通して、また補強要素も通して、そのコーティングを活性化波長の光に曝露することにより作製され得る。裏側表面の凹凸を創り出す別の方法は、米国特許第5,364,504号、米国特許第5,260,171号及び米国特許第5,098,522号に記載されているような非平坦化されたフォーミング表面又は非平坦化されたバリアフィルムの使用を含む。成型部材50は、補強要素が非平坦化表面上を移動する間に、補強要素上にくまなく感光性樹脂をキャストし、次いで、透明領域及び不透明領域を有するマスクを通してそのコーティングを活性化波長の光に曝露することによって作製可能である。このパラグラフ及び前のパラグラフで説明した方法及び構造は、形成部材13の構造及び形成にも適用可能であることを理解すべきである。
【0043】
本発明のプロセスはまた、初期ウェブ10(又は成型されるウェブ20)が、成型部材50と共に移動するエンドレスバンドを構成する可撓性の材料シートで覆われて、その結果、初期ウェブ10が、成型部材50と可撓性材料シートの間に一定期間挟まれるという工程を含んでもよい。可撓性材料シートは、成型部材50の空気透過性よりも低い空気透過性を有し得、幾つかの実施形態においては空気不透過性であり得る。成型部材50を通して流体圧力差を可撓性シートに付与することにより、可撓性シートの少なくとも一部が、成型部材50の三次元パターンに向かって、場合によってはその中へ偏向され、それにより、成型部材50上に配置されたウェブ20の一部が押入されて、成型部材50の三次元パターンと密接に適合する。米国特許第5,893,965号に、可撓性材料シートを使用するプロセス及び設備の1つの配置が記載されている。
【0044】
流体圧力差に加えて、又はそれに換えて、機械的圧力は、本発明の繊維構造体100上での微視的な三次元パターンの形成を促進するために使用することができる。かかる機械的圧力は、例えば、ロールの表面又はバンドの表面を含む任意の好適な加圧用表面218により創出され得る。加圧用表面218は平滑であり得るか、又はそれ自体の三次元パターンを有し得る。後者の例では、加圧用表面218をエンボス加工装置として使用することができ、これにより、成型部材50の三次元パターンと連携して、又はそれとは独立して、作製中の繊維構造体100内に凸部及び/又は凹部の独特なマイクロパターンを形成する。更に、例えば柔軟材及びインクなどの様々な添加剤を作製中の繊維構造体に堆積させるために、加圧用表面を使用することができる。様々な他の添加剤を作製中の繊維構造体に直接又は間接的に堆積させるために、例えば、インクロール又はスプレー装置又はシャワーなどの様々な従来技法を使用してもよい。
【0045】
ある実施形態では、本発明の繊維構造体100を作製時に短縮させるのが望ましいことがある。例えば、成型部材50は、形成部材13の線速度より遅い線速度を有するように構成してもよい。形成部材13から成型部材50への転移点におけるそのような速度差を使用して、「微小収縮」を達成することができる。米国特許第4,440,597号に、湿式微小収縮の詳細な一例が記載されている。そのような湿潤マイクロ収縮は、低繊維濃度を有するウェブを任意の第一部材(例えば、有孔フォーミング部材など)から、第一部材よりも遅い速度で動く任意の第二部材(例えば、目の荒い織布など)へと移送することを含むことができる。第一の部材と第二の部材の間の速度差は、繊維構造体100の所望の最終特性に従って変化可能である。微小収縮を達成するための方法を記載する他の特許には、例えば米国特許第5,830,321号、第6,361,654号、及び第6,171,442号が含まれる。
【0046】
繊維構造体100は、追加的に又は代替として、形成された後及び/又は実質的に乾燥した後で短縮されてもよい。例えば、短縮は、例えば図1に示すように乾燥ドラム200の表面210などの剛直表面から構造体100をクレーピングすることによって達成することができる。この及び他の形態のクレーピングは、当該技術分野において既知である。米国特許第4,919,756号(ソーダイ(Sawdai)、1992年4月24日発行)に、ウェブをクレーピングするのに好適な1つの方法が記載されている。もちろん、クレープのない(例えばクレープ加工されない)及び/又は他の方法で短縮された繊維構造体100は、クレープはないが他の方法で短縮された繊維構造体100であるとして、本発明の範囲内と意図されている。
【0047】
ある実施形態では、合成繊維101の少なくとも一部は、少なくとも部分的に溶融又は軟化されるのが好ましいことがある。合成繊維101が少なくとも部分的に溶融又は軟化されると、それらは、セルロース繊維102であれ、他の合成繊維101であれ、隣接する繊維と共接合可能になることがある。繊維の共接合は、機械的な共接合及び化学的な共接合を含むことができる。化学的な共接合は、少なくとも2つの隣接する繊維が、個々の共接合繊維のアイデンティティが共接合区域にて実質的に失われるように分子レベルで共に接合される時に起こる。繊維の機械的な共接合は、1つの繊維が隣接する繊維の形状に単に適合する時に起こり、共接合繊維間に化学的相互作用はない。図12は、機械的共接合の1つの実施形態を示し、繊維111は、隣接する合成繊維112により物理的に取り込まれている。繊維111は合成繊維又はセルロース繊維であり得る。図12に示す例において、合成繊維112は、コア112a及びシース、又はシェル、112bを含む2成分構造体を含み、コア112aの溶融温度は、シース112bの溶融温度よりも大きく、故に、加熱すると、シース112bのみが溶融し、一方コア112aはその完全性を保持する。しかしながら、異なるタイプの二構成成分繊維及び/又は三を超える構成成分を含む多構成成分繊維が、単一構成成分繊維が可能であるように、本発明において使用可能であることを理解すべきである。
【0048】
ある実施形態では、ウェブ100が形成された後で、ウェブ100内の合成繊維101の少なくとも一部を再分配するのが望ましいことがある。そのような再分配は、ウェブ100が成型部材50上に配置されている間に、又はプロセス中の異なる時及び/又は場所で、生じることができる。例えば、加熱装置90、乾燥用表面210、及び/又は乾燥ドラムのフード(例えば、ヤンキーの乾燥フード80など)を使用して、形成された後のウェブ100を加熱し、合成繊維101の少なくとも一部を再分配することができる。理論に束縛されるものではないが、合成繊維101は、充分に高い温度を掛けられた後で、2つの現象の内の少なくとも1つの影響の下で、移動することができると考えられている。合成繊維101を溶融するのに充分な程温度が高い場合、結果として生じる液体ポリマーは、表面張力に起因して自らの表面積/質量を最小にし、あまり熱の影響を受けない繊維部分の端部で球体のような形状を形成する傾向を有する。一方、温度が溶融点よりも低い場合、残留応力が高い繊維は、応力が繊維の縮み又はコイル化により緩和される点まで軟化する。これは、ポリマー分子が典型的には非線形にコイル化した状態でいることを好むために起こると考えられている。それらの製造中に非常に延伸され、次いで冷却された繊維は、準安定性形状に延伸されたポリマー分子からなる。その後の加熱により、繊維は、自由エネルギーが最小のコイル化状態に戻る。
【0049】
再分配は、いずれの番号の工程で達成されてもよい。例えば、合成繊維101は、繊維ウェブ100が成型部材50上に配置されている間に、例えばウェブ100のピロー部を通して熱ガスを吹かされ、その結果、合成繊維101が第一のパターンにより再分配されることにより、最初の再分配を受けることができる。次いで、ウェブ100を別の成型部材50に移送することができ、合成繊維101は第二のパターンに従って更に再分配され得る。
【0050】
ウェブ100における合成繊維101の加熱は、成型部材50の流体透過性区域154に対応する複数のマイクロ領域を加熱することにより達成され得る。例えば、加熱装置90からの熱ガスは、ウェブ100を通って押入され得る。熱エネルギー源として、プレドライヤーも使用可能である。いずれの場合にも、プロセスに応じて、熱ガスの流れの方向を、図1に示す方向に対して反転することができ、故に熱ガスは成型部材50を通ってウェブを貫通する。次いで、成型部材50の流体透過性区域154に配置されるウェブのピロー部分150は、主に熱ガスによって影響される。ウェブ100の残部は、成型部材50により熱ガスから遮蔽される。その結果、合成繊維101は、ウェブ10のピロー部分150で優勢的に軟化又は溶融する。更に、この領域は、合成繊維101の溶融又は軟化に起因する繊維の共接合が最も生じやすい場所である。
【0051】
合成繊維101の再分配は繊維101の幾つかの少なくとも一部の上を熱ガスが通過することにより影響を受けたものとして上では説明したが、繊維101を加熱するためのいかなる好適な手段も実施することができる。例えば、熱流体、並びにマイクロ波、無線波、超音波エネルギー、レーザー又は他の光エネルギー、加熱ベルト又はロール、熱ピン、磁気エネルギー、あるいはこれら又は加熱のための他の既知の手段の任意の組み合わせを使用してもよい。更に、合成繊維101の再分配は一般的に繊維101を加熱することにより影響を受けたものとして言及したが、再分配はまた、ウェブ10の一部を冷却することの結果として生じてもよい。加熱の場合と同様に、合成繊維101の冷却は、繊維101の形状変化及び/又はウェブの残りに関してそれ自体の方向替えを引き起し得る。更にまた、合成繊維は、再分配物質との反応に起因して再分配されてもよい。例えば、合成繊維101は、合成繊維101を軟化又は他の方法で操作して、ウェブ10内のその形状、向き、又は位置に何らかの変化の影響を及ぼすような化学組成物の対象となってもよい。更にまた、再分配は、機械的手段及び/又は磁気、静電気などの他の手段により影響されることが可能である。それ故に、本明細書に記述するような合成繊維101の再分配は、合成繊維101の熱再分配だけに限定されると考えるべきではなく、むしろウェブ10内の合成繊維101のいずれかの部分を再分配(例えば、形状、向き、又は位置の変更)するための全ての既知の手段を包含すると考えるべきである。更に、再分配を合成繊維101の点から説明したが、セルロース繊維102も、あるいは代替として、セルロース繊維の形状及び/又は向きに影響を及ぼすことが知られている手段により、再分配可能であることを理解すべきである。
【0052】
合成繊維101が本明細書で説明される方法及び手段により再分配されてもよいが、ウェブを生産するプロセスは、セルロース繊維102のランダム分配が合成繊維101を再分配するために使用される手段により著しい影響を及ぼされないように選定可能である。したがって、結果として得られる繊維構造体100は、再分配されていてもいなくても、繊維構造体全体にわたってランダムに分配された複数のセルロース繊維102と、繊維構造体全体にわたって非ランダムパターンで分配された複数の合成繊維101とを含む。図10は繊維構造体100の1つの実施形態を概略的に示し、セルロース繊維102は、構造体の全体にわたってランダムに分配され、合成繊維101は、非ランダム反復パターンで分配される。
【0053】
合成繊維101は、例えば、ポリオレフィン類、ポリエステル類、ポリアミド類、ポリヒドロキシアルカノエート類、多糖類、及び任意のこれらの組み合わせからなる群から選択される、いずれかの材料とすることができる。より具体的には、合成繊維101の材料は、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(ブチレンテレフタレート)、ポリ(1,4−シクロへキシレンジメチレンテレフタレート)、イソフタル酸コポリマー類、エチレングリコールコポリマー類、ポリカプロラクトン、ポリ(ヒドロキシエーテルエステル)、ポリ(ヒドロキシエーテルアミド)、ポリエステルアミド、ポリ(乳酸)、ポリヒドロキシブチラート、デンプン、セルロース、グリコーゲン、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択することができる。更に、合成繊維101は、単一構成成分(すなわち、単一の合成材料又は繊維全体を組み立てる混合物)、二構成成分(すなわち、繊維は領域群に分割され、領域群は2つの異なる合成材料若しくはその混合物を含む)、又は多構成成分繊維(すなわち、繊維は領域群に分割され、領域群は2つ以上の異なる合成材料若しくはその混合物を含む)、又はそれらの任意の組み合わせとすることができる。また、合成繊維101のいずれか又は全ては、繊維のいずれかの所望の特性を変化させるために、本発明のプロセスの前、その間、又は後で処理されてもよい。例えば、ある実施形態では、合成繊維101は、より親水性、より湿潤性などにするために、抄紙プロセスの前又はその間に処理することが望ましい。
【0054】
本発明のウェブ100の作製方法はまた、他のいずれかの所望の工程を含んでもよい。例えば、その方法は、ウェブをロール上に巻き取る、ウェブをカレンダー加工する、ウェブをエンボス加工する、ウェブに穿孔する、ウェブに印刷する、及び/又はウェブを1つ以上の他のウェブ又は材料に接合して多プライ構造体を形成するなどの、コンバーティング工程を含んでもよい。エンボス加工を記載する幾つかの代表的特許には、米国特許第3,414,459号、第3,556,907号、第5,294,475号、及び第6,030,690号が挙げられる。更に加えて、その方法は、軟化、強化、及び/又は他の処理を製品の表面に又はウェブの形成時に加えるなどの、ウェブ100の特性に追加又は増強する1つ以上の工程を含んでもよい。更に、ウェブ100は、ウェブに有益な特性をもたらすために、例えば、米国特許第3,879,257号に記載されるようなラテックスなど、又は他の物質、又は樹脂を備えてもよい。
【0055】
上記のように、本明細書に記述する方法及び装置は、ウェブ100の少なくとも一部中に、セルロース繊維102が概ね非ランダムに分配され、また合成繊維101が概ねランダムに分配された、ウェブ100を形成するためにも使用可能である(例えば図9A)。そのようなものであるから、方法の工程及び方法中で使用される種々の設備に関して本明細書で説明した変形形態の全ては、そのような代替ウェブ実施形態にも適用されることを理解すべきであり、同様に本明細書で説明した代替及び任意の工程も適用されることを理解すべきである。
【0056】
本発明の繊維構造体100を用いて様々な製品を作製することができる。例えば、結果として生じた製品は、空気、油及び水用フィルタ;掃除機用フィルタ;炉用フィルタ;フェイスマスク;コーヒーフィルタ、ティー又はコーヒーバッグ;断熱材及び遮音材;おむつ、女性用パッド及び失禁物品などの一回使用型衛生製品用の不織布;微小繊維又は通気性布地のような吸水性及び着用の柔軟性のための織物布地;粉塵の回収及び除去のための静電的に帯電した構造ウェブ;補強材、及び包装紙、筆記用紙、新聞印刷用紙、ダンボールのような硬質紙用ウェブ、並びにトイレットペーパー、紙タオル、ナプキン及びフェイシャルティッシュなどの紙のティッシュ等級用ウェブ;外科用カーテン、創傷包帯、包帯及び皮膚貼付剤のような医療用途での使用を見出し得る。繊維構造体100はまた、特定用途のための臭い吸収剤、シロアリ忌避剤、殺虫剤、殺鼠剤などを包含してもよい。結果として生じた製品は、水及び油を吸収し、油若しくは水こぼしの清掃、又は農業若しくは園芸用途のための制御された水保持及び放出での使用を見出すことができる。
【0057】
(試験方法)
キャリパーは、前述の組み込まれた特許により作製される多重密度ティシュに固有の絶対平面からの微小偏差には考慮せずに、次の手順により測定される。
【0058】
ティシュペーパーは、キャリパー測定の前に少なくとも2時間、21〜24℃(71°〜75°F)及び48〜52%相対湿度で事前調湿される。トイレットペーパー又は他のロール製品のキャリパーが測定される場合は、まずロールの外側から15〜20枚取り外して廃棄する。フェイシャルティシュ又は他の箱入り製品のキャリパーが測定される場合は、試料はパッケージの中心近くから取り出す。試料を選定して、次に更に15分間調湿する。
【0059】
キャリパーは、ペンシルバニア州フィラデルフィア(Philadelphia,Pennsylvania)のスィングアルバート・インスツルメント社(Thwing-Albert Instrument Company)から入手可能な、低荷重スィングアルバート・プロゲージ(Thwing-Albert Progage)マイクロメーター・モデル89−2012を使用して測定される。マイクロメーターは、5.08cm(2.0インチ)直径の押し足及び6.35cm(2.5インチ)直径の支持アンビルを使用して、6.45cm2(1平方センチ)当り15グラムの圧力で試料に荷重をかける。マイクロメーターは、0〜0.1016cm(0〜0.0400インチ)の測定能力範囲を有する。ティシュの飾り領域、穿孔、縁効果などは、可能ならば避けるべきである。
【0060】
坪量は、次の手順により測定される。
【0061】
ティシュ試料は、上述のようにして選定されて、21〜24℃(71°〜75°F)及び48〜52%湿度で最小限2時間調湿される。清潔で、穴、引裂き、しわ、折曲げ、及びその他の欠陥が無い、12枚の仕上り製品シートを注意深く選定する。明瞭にするために、仕上り製品シートは、試験される特定の仕上り製品が有するプライ数を含むべきである。したがって、1プライ製品の試料の組は12の1プライシートを含み、2プライ製品の試料の組は12の2プライシートを含み、以下同様である。サンプルの組を、6つの仕上り製品シートをそれぞれが含むように、2つの積重ねに分ける。6つの仕上り製品シートの積重ねを、打抜き型の上に置く。型は、8.89cm×8.89cm(3.5インチ×3.5インチ)寸法の正方形であって、切断の後で型から試料を取り出すのを容易にするために、正方形の中に柔軟なポリウレタンゴムを有してもよい。6つの仕上り製品シートは、型、及び好適な圧力のプレートカッター、例えばスィングアルバート(Thwing-Albert)アルファ・ハイドロリックプレッシャ・サンプルカッター(Alfa Hydraulic Pressure Sample Cutter)モデル240−7Aなどを使用して、切断される。6つの仕上り製品シートの第二の組も、同じ方法で切断される。切断された仕上り製品シートの2つの積重ねは、12の仕上り製品シートの積重ねと合わされて、21〜24℃(71°〜75°F)及び48〜52%湿度で少なくとも更に15分間調湿される。
【0062】
上の説明のように切断された12の仕上り製品シートの積重ねは、次に、少なくとも0.0001グラムの感量を有する校正済みの化学てんびんで計量される。てんびんは、試料が調湿されたのと同一の部屋で保持される。好適なてんびんには、サートリアス・インスツルメント社(Sartorius Instrument Company)により製造されるモデルA200Sがある。
【0063】
この試料についての3,000平方フィート当りポンドの単位の坪量は、次の換算式を使用して簡単に計算される:
【0064】
【数1】
この試料についての3,000平方フィート当りポンドの単位の坪量は、次の換算式を使用して簡単に計算される:
坪量(lb/3,000ft2)=12プライパッドの重量(g)×6.48
本明細書で使用される密度の単位は、立方センチメートル当りのグラム(g/cc)である。g/ccのこれらの密度単位にとっては、坪量も平方センチメートル当りのグラムの単位で表わすのが便利であろう。この換算を行うために、次の式が使用可能である:
坪量(g/cm2)=12プライパッドの重量(g)/948.4
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明のプロセスの実施形態の側面図。
【図2】実質的に連続的な枠組を有する形成部材の実施形態の平面図。
【図3】代表的な形成部材を表示する断面図。
【図4】実質的に半連続的な枠組を有する形成部材の実施形態の平面図。
【図5】隔離されたパターンの枠組を有する形成部材の実施形態の平面図。
【図6】代表的な形成部材を表示する断面図。
【図7】形成部材内に形成された溝の中へ分配された代表的な合成繊維を示す断面図。
【図8】本発明の単一繊維構造体を示す断面図であり、セルロース繊維が合成繊維を含む形成部材上にランダムに分配されている。
【図9】本発明の単一繊維構造体の断面図であり、セルロース繊維が概ねランダムに分配されており、合成繊維が概ね非ランダムに分配されている。
【図9A】本発明の単一繊維構造体の断面図であり、合成繊維が概ねランダムに分配されており、セルロース繊維が概ね非ランダムに分配されている。
【図10】本発明の単一繊維構造体の実施形態の平面図。
【図11】加圧表面と成型部材の間の本発明の単一繊維構造体の断面図。
【図12】他の繊維と共接合した二構成成分合成繊維の断面図。
【図13】実質的に連続的なパターンの枠組を有する成型部材の実施形態の平面図。
【図14】図13の線14−14に沿って見る断面図。
【技術分野】
【0001】
本発明は、セルロース繊維と合成繊維を組み合わせて含む繊維構造体に関するものであり、より具体的には、概ねランダムに分配されたセルロース繊維と非ランダムパターンで分配された合成繊維とを有する、又は非ランダムパターンで分配されたセルロース繊維と概ねランダムに配置された合成繊維とを有する繊維構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
紙ウェブなどの繊維構造体は、当該技術分野において周知であり、今日、紙タオル、トイレットペーパー、フェイシャルティシュ、ナプキン、拭取り布など用に普通に使用されている。典型的なティシュペーパーは、ほとんどの場合セルロース繊維から、多くは木材系からなる。セルロース繊維の種類は広範囲であるにもかかわらず、そのような繊維は、一般に乾燥弾性率が高く、また直径が相対的に大きいので、その曲げ剛性が所望より大きくなることがある。更に、セルロース繊維は、乾燥時に相対的に高い剛性を有して製品の柔軟性に悪影響を及ぼすことがあり、湿潤時に低い剛性を有して得られる製品の吸収性を低下させることがある。
【0003】
ウェブを形成するために、典型的な使い捨て紙製品中の繊維は、化学的相互作用によって相互に結合されており、その結合は、セルロース分子のヒドロキシル基間に自然に生じる水素結合だけであることが多い。より大きな一時的又は永久的な湿潤強度を望む場合には、増強添加物を使用することができる。これらの添加物は通常、セルロースと共有結合反応するか、又は既存の水素結合の周りに保護的な分子被膜を形成するかのいずれかによって作用する。しかしながら、添加物は、相対的に堅い及び非弾性的な結合も作り出して、製品の柔軟及び吸収特性に悪影響を及ぼすことがある。
【0004】
セルロース繊維と共に合成繊維を使用することによって、先に説明した限界の幾つかを乗り越えるのを助けることが可能である。合成ポリマーは、非常に小さな繊維直径を含む種々多様な特性の繊維に形成可能である。更に、そのような繊維は、セルロース繊維より低い弾性率であり得る。したがって、繊維は、非常に低い曲げ剛性を有するように作製可能であり、これによって良好な製品の柔軟性が助長される。更に、合成繊維の機能的断面を、望むように微小工作(micro-engineered)することができる。合成繊維は濡れた時に弾性率を維持するようにも設計可能であるので、そのような繊維で作製されたウェブは、吸収作業中にぺしゃんこになるのに対して抵抗性がある。それ故に、ティッシュ製品において熱結合された合成繊維を使用することにより、(柔軟性及び湿潤強度に関しては良好である)水抵抗性の高強度結合により接合された(柔軟性に関しては良好である)高可撓性繊維の強固な網状構造が生じる。しかしながら、合成繊維は、セルロース繊維と比較すると相対的に高価であり得る。したがって、繊維がもたらす望ましい効果を得るのに必要な、又は最も有効であるように繊維を選択的に配置するのに必要な量だけの合成繊維を含むことが望ましい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、セルロース繊維及び合成繊維を組み合わせて含む改善された繊維構造体と、そのような繊維構造体を作製するための方法とを提供することが有利である。得られるウェブのある所望の部分内に集中された合成繊維又はセルロース繊維を有する製品と、そのような繊維のそのような非ランダム配置を可能にする方法とを提供することも有利である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
従来技術に関連する問題点に対処するために、我々は、概ね非ランダムなパターンで配置された複数の合成繊維と、概ねランダムに配置された複数のセルロース繊維とを有する単一繊維構造体、並びにそのような構造体を作製する方法を発明した。その方法は、溝のパターンを有する形成部材上に複数の合成繊維を提供して、合成繊維の少なくとも一部が溝内に配置されるようにする工程と、複数のセルロース繊維を合成繊維上に提供して、セルロース繊維が合成繊維に隣接して配置されるようにする工程と、合成繊維及びセルロース繊維を含む単一繊維構造体を形成する工程とを含むことができる。
【0007】
代替実施形態では、概ね非ランダムなパターンで配置された複数のセルロース繊維と、概ねランダムに配置された複数の合成繊維とを有する、ウェブが提供される。そのようなウェブを作製する方法は、溝のパターンを有する形成部材上に複数のセルロース繊維を提供して、セルロース繊維の少なくとも一部が溝内に配置されるようにする工程と、複数の合成繊維をセルロース繊維上に提供して、合成繊維がセルロース繊維に隣接して配置されるようにする工程と、合成繊維とセルロース繊維とから単一繊維構造体を形成する工程とを含むことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本明細書で使用する時、次の用語は、次に示す意味を有する。
【0009】
「単一繊維構造体」は、相互に絡み合い又は他の方法で結合して、ある所定の微視的形状特性、物理的特性、及び美的特性を有するシート製品を形成する、複数の繊維を含む構造体である。繊維は、セルロース及び/又は合成繊維であってもよく、単一繊維構造体内で積層又は異なる配置であってもよい。
【0010】
「マイクロ形状」又はその変形は、繊維構造体の全体的な(すなわち「巨視的な」)形状と違って、その全体構成に関連しない構造体の相対的に小さな(すなわち、「微視的な」)細部(details)、例えば表面テクスチャなどを指す。例えば、本発明の成型部材においては、流体透過性区域及び流体不透過性区域の組み合わせが、成型部材のマイクロ形状を構成する。「巨視的な」又は「巨視的に」を含む用語は、X−Y表面などの二次元構成に置かれる時を考慮した場合、構造体又はその一部の「マクロ形状」又は全体的な形状について言う。例えば、巨視的なレベルでは、繊維構造体は、それが平坦な表面上に配置される時、平坦なシートを含む。しかしながら、微視的なレベルでは、繊維構造体は、異なる高さを形成する複数のマイクロ領域、例えば、第一の高さを有する網状領域と、枠組領域の全体にわたって分散され、且つその枠組領域から外側に向かって延在し、第二の高さを形成する複数の繊維「ピロー」とを含むことができる。
【0011】
「坪量」は、繊維構造体の(典型的には平方メートル単位で測定される)単位面積の(グラム単位で測定される)重量であり、この単位面積は、繊維構造体の平面に取られる。坪量が測定される単位面積の大きさ及び形状は、異なる坪量を有する領域の相対的及び絶対的な大きさ及び形状に左右される。坪量は、以下の試験方法の節に記述されるように測定される。
【0012】
「キャリパー」は、試料の巨視的な厚さである。キャリパーは、異なる(differential)領域の高さ(それら領域の微視的な特徴である)とは区別されるべきである。最も典型的には、キャリパーは、平方センチメートル当り95グラム(g/cm2)の負荷が均一にかかった状態で測定される。キャリパーは、以下の試験方法の節に記述されるように測定される。
【0013】
「密度」は、ある領域の(繊維構造体の平面に垂直に取った)厚さに対する坪量の比である。かさ密度は、適当な単位変換が組み込まれたキャリパーで除した試料の坪量である。本明細書で使用されるかさ密度は、立方センチメートル当りのグラム(g/cm3)単位を有する。
【0014】
「機械方向」(又は「MD」)は、製造装置を介して作製されている繊維構造体の流れに平行な方向である。「機械横方向」(又は「CD」)は、機械方向に垂直な方向である。
【0015】
「X」、「Y」及び「Z」は、デカルト座標の従来型の系を示し、互いに垂直な座標「X」及び「Y」は、参照X−Y平面を画定し、「Z」は、X−Y平面に直交するものを画定する。例えば成型部材などの構成要素が湾曲するか、ないしは別の方法で脱平面化する(deplane)する時、X−Y平面は当該構成要素の形状に従う。
【0016】
「実質的に連続的な」領域(区域/網状組織/枠組)は、その内部において、ある1つのものが、線の長さ全体にわたって内部全体に延びる中断されていない線により、任意の2点をつなぐことができる区域を指す。つまり、実質的に連続的な領域又はパターンは、X−Y平面に平行な全ての方向に実質的な「連続性」を有し、その領域の縁部でのみ終端される。用語「実質的に」は、「連続的な」に関連して、絶対的な連続性が考慮されるが、絶対的な連続性から僅かにずれたものも、設計され、意図されるような繊維構造体又は成型部材の性能に顕著な影響を及ぼさない限り許容できることを示すように意図する。
【0017】
「実質的に半連続的な」領域(区域/網状組織/枠組)は、全ての、しかし少なくとも1つのX−Y平面に平行な方向に「連続性」を有する区域であってもよいが、その内部で、ある1つのものが、線の長さの全体にわたってその区域内全体に延びる中断されていない線により、2点のあらゆる組をつなぐことができない区域を指す。もちろん、そのような連続性からの僅かなずれは、それらのずれが構造体又は成型部材の性能に顕著な影響を及ぼさない限り許容し得る。
【0018】
「不連続的な」領域(又はパターン)は、隔離された、互いに分離した区域を指し、これらの区域は、X−Y平面に平行な全ての方向において不連続的である。
【0019】
「再分配」は、本発明の単一繊維構造内に含まれる複数の繊維の少なくとも一部が、それらの当初のウェブ内位置、状態、及び/又は形状を、少なくとも部分的に溶融、移動、収縮、及び/又は他の方法で変化させることを意味する。
【0020】
「共接合繊維」は、少なくとも部分的にそれぞれ個々の繊維特性を保持したまま、溶融、接着、包装、化学的若しくは機械的結合により互いに融着又は接着された、ないしは別の方法で共に接合された2つ以上の繊維を意味する。
【0021】
単一繊維構造体を作製するための本発明のプロセスは、一般的には、概ね非ランダムなパターンで配置された複数の合成繊維101と、概ねランダムに配置された複数のセルロース繊維102とを有する(例えば、図9及び図10に示されるような)、ウェブを形成する点から説明される。しかしながら、上記のように、本発明の方法及び装置は、概ね非ランダムなパターンで配置された複数のセルロース繊維102と概ねランダムに配置された複数の合成繊維101と有するウェブ(例えば、図9Aに示されるような)、並びにセルロース繊維102及び合成繊維101が互いに異なる非ランダムなパターンで配置されたウェブを形成するのにも好適である。合成繊維101が非ランダムに配置される実施形態においては、その方法は、複数の合成繊維101を形成部材の上に提供して、合成繊維101が少なくとも所定の領域又は溝の中に配置されるようにする工程と;合成繊維101を含む形成部材の上に複数のセルロース繊維102を概ねランダムに提供する工程と;ランダムに配置されたセルロース繊維102及び非ランダムに配置された合成繊維101を含む単一繊維構造体を形成する工程とを含むことができる。しかしながら、合成繊維101が概ねランダムに配置される実施形態においては、その方法は、複数のセルロース繊維102を形成部材の上に提供して、セルロース繊維102が少なくとも所定の領域又は溝の中に配置されるようにする工程と;セルロース繊維102を含む形成部材の上に複数の合成繊維101を概ねランダムに提供する工程と;ランダムに配置された合成繊維101及び非ランダムに配置されたセルロース繊維102を含む単一繊維構造体を形成する工程とを含むことができる。
【0022】
図1には、本発明の連続プロセスの1つの代表的な実施形態が示され、ヘッドボックス12からのセルロース繊維及び合成繊維の水混合物又は水性スラリー11が、形成部材13上に堆積されて初期ウェブ10を形成する。この特定の実施形態では、形成部材13は、ロール13a、13b、及び13cにより支持されて、これらの回りを矢印Aの方向へ連続的に走行する。この特定の実施形態では、ウェブは、非ランダムに配置された少なくとも幾つかの合成繊維101を有して形成される。そのようなものであるので、合成繊維101は、セルロース繊維102の堆積の前に、形成部材13上に直接堆積されてもよい。ある実施形態では、2つ以上のヘッドボックス12が使用可能であり、及び/又は合成繊維101が形成部材13上に堆積され、次に異なる形成部材に転移されて、そこでセルロース繊維102が次に堆積されてもよい。別の方法としては、合成繊維101は、別のタイプの繊維とほぼ同時に形成部材13上に堆積される幾つかの層の1つとすることもできる。いずれの場合においても、合成繊維101が非ランダムに配置される予定の実施形態では、合成繊維101は、形成部材13中に存在する(例えば図7、8に示される)溝53などの所定の領域の中へ合成繊維101の少なくとも一部が向くような方法で堆積されるべきである。セルロース繊維の少なくとも一部を非ランダムに配置されて有するウェブが望まれる場合は、上記技法のいかなるものの使用可能である。
【0023】
本発明の一実施形態では、合成繊維101は、形成部材13の溝53内に優勢的に配置されるように提供される。すなわち、合成繊維101の半分を超える、ウェブ10が形成される時に、溝53内に配置される。別の実施形態では、合成繊維101の少なくとも約60%、約75%、約80%、又は実質的に全てが、ウェブ10が形成される時に、溝53内に配置されることが望ましい。更に加えて、得られたウェブ100は、あるパーセントの合成繊維101を1つ以上の層内に配置されて含むことが望ましい。例えば、最初に又は形成部材13の最も近くに配置された繊維により形成された層は、約55%を超える、約60%を超える、又は約75%を超える合成繊維101の濃度を有することが望ましい。(ウェブ製品の層中の特定タイプの繊維のパーセントを測定するのに好適な方法が、米国特許第5,178,729号(ブルースジェンダ(Bruce Janda)、1993年1月12日発行)で開示されている。)更に、ある実施形態では、セルロース繊維102が、合成繊維101により形成された層に隣接する少なくとも1つの層内に優勢的に配置されるように提供されることが望ましい。別の実施形態では、セルロース繊維102の少なくともあるパーセント、例えば約55%を超える、約60%を超える、又は約75%を超える、ウェブ100の少なくとも1つの層内に配置されることが望ましい。セルロース繊維102の少なくとも1つの層は、概ねランダムに配置されてもよい。このようにして、得られたウェブ100は、概ねランダムに分配されたセルロース繊維102の1つ以上の層に結合された非ランダムパターンの合成繊維101を備えることができる(例えば図9及び図10)。更に、異なる坪量のマイクロ領域を有する繊維構造体が形成可能である。
【0024】
セルロース繊維101が非ランダムに配置される予定の本発明の実施形態においては、セルロース繊維102は、形成部材13の溝53内に優勢的に配置されるように提供可能である。すなわち、セルロース繊維102の半分を超える、ウェブ10が形成される時に、溝53内に配置される。別の実施形態では、セルロース繊維102の少なくとも約60%、約75%、約80%、又は実質的に全てが、ウェブ10が形成される時に、溝53内に配置されることが望ましい。更に加えて、得られたウェブ100は、あるパーセントのセルロース繊維102を1つ以上の層内に配置されて含むことが望ましい。例えば、最初に又は形成部材13の最も近くに配置された繊維により形成された層は、約55%を超える、約60%を超える、又は約75%を超えるセルロース繊維102の濃度を有することが望ましい。更に、ある実施形態では、合成繊維101が、セルロース繊維102により形成された層に隣接する少なくとも1つの層中に優勢的に配置されるように提供されることが望ましい。別の実施形態では、合成繊維101の少なくともあるパーセント、例えば約55%を超える、約60%を超える、又は約75%を超えるような、ウェブ100の少なくとも1つの層内に配置されることが望ましい。合成繊維101の少なくとも1つの層は、概ねランダムに配置されてもよい。このようにして、得られたウェブ100は、概ねランダムに分配された合成繊維101の1つ以上の層に結合された非ランダムパターンのセルロース繊維102を備えることができる(例えば図9A)。更に、上述のように、異なる坪量のマイクロ領域を有する繊維構造体が形成可能である。
【0025】
形成部材13は、いかなる好適な構造であってもよく、通常は少なくとも部分的に流体透過性である。例えば、形成部材13は、例えば図2〜図6に示されるように、複数の流体透過性区域54と複数の流体不透過性区域55とを有することができる。流体透過性区域又は開口54は、ウェブ側51から裏側52まで形成部材13の厚さHを貫いて延びることができる。ある実施形態では、開口を有する流体透過性区域54の幾つかは、米国特許第5,972,813号(ポラト(Polat)ら、1999年10月26日発行)に記載されているように、「ブラインド」、すなわち「閉じられて」いてもよい。流体透過性区域54は、開いていようと、ブラインドすなわち閉じられていようと、溝53を形成し、この中へ繊維が向かうことができる。複数の流体透過性区域54と複数の流体不透過性区域55の少なくとも1つは通常、成型部材50全体にわたってパターンを形成する。そのようなパターンは、ランダムパターン又は非ランダムパターンを含むことができ、実質的に連続(例えば図2)、実質的に半連続(例えば図4)、分離性(例えば図5)、又はこれらの任意の組み合わせとすることができる。
【0026】
形成部材13は、いかなる好適な厚さHを有してもよく、実際に、厚さHは、所望により形成部材13全体にわたって変化して作製可能である。更に、溝53は、いかなる形状又は異なる形状の組み合わせであってもよく、いかなる深さDを有してもよく、深さDは、形成部材13全体にわたって変化可能である。溝53はまた、いかなる所望の容積をも有することができる。溝53の深さD及び容積は、合成繊維101又はセルロース繊維102の所望の濃度が確実に溝53内に配置されるのを助けるために、望むように変化可能である。ある実施形態では、溝53の深さDは、約254μm未満、又は約127μm未満であることが望ましい。更に、形成部材13上に堆積される合成繊維101又はセルロース繊維102の量は、合成繊維101及び/又はセルロース繊維102の所望の比又はパーセントが特定の深さD又は容積の溝53内に確実に配置されるように、変化可能である。例えば、ある実施形態では、ウェブ製造プロセス中にセルロース繊維102が溝53内に実質上配置されないように、溝53を実質的に満たすのに充分な合成繊維101を提供することが望ましいが、別の実施形態では少なくとも一部のセルロース繊維102も溝53の中へ向かうことができるように、溝53の一部を満たすのに充分なだけの合成繊維101を提供することが望ましい。別の実施形態では、ウェブ製造プロセス中に合成繊維101が溝53内に実質上配置されないように、溝53を実質的に満たすのに充分なセルロース繊維102を提供することが望ましいが、別の実施形態では少なくとも一部の合成繊維101も溝53の中へ向かうことができるように、溝53の一部だけを満たすのに充分なセルロース繊維102を提供することが望ましい。
【0027】
幾つかの代表的な形成部材13は、流体透過性の補強要素70とこれから延びて複数の溝53を形成するパターン又は枠組60とを含む、図2〜図8に示されるような構造を有することができる。図5及び図6に示されるような1つの実施形態では、形成部材13は、補強要素70に結合された又はこれと一体になった、複数の分離性突出部61を有することができる。補強要素70は、一般に、一体性、安定性、及び耐久性を提供又は促進するように働く。補強要素70は、流体透過性又は部分的に流体透過性とすることができ、様々な実施形態及び織りパターンを有することができ、及び様々な材料、例えば複数の織り合わせ糸(ジャガードタイプ及び類似織りパターンを含む)、フェルト、プラスチック若しくは他の合成材料、網、複数の穴を有するプレート、又は任意のこれらの組み合わせなどを含むことができる。好適な補強要素70の例が、米国特許第5,496,624号(ステルジェス(Stelljes)ら、1996年3月5日発行)、第5,500,277号(トロクハン(Trokhan)ら、1996年3月19日発行)、及び第5,566,724号(トロクハン(Trokhan)ら、1996年10月22日発行)に記載されている。別の方法としては、ジャガードタイプの織成などを含む補強要素70を用いることができる。ベルトの例は、米国特許第5,429,686号(チウ(Chiu)ら、1995年7月4日発行)、第5,672,248号(ウェント(Wendt)ら、1997年9月30日発行)、第5,746,887号(ウェント(Wendt)ら、1998年5月5日発行)、及び第6,017,417号(ウェント(Wendt)ら、2000年1月25日発行)に見出すことができる。更に、ジャガード織りパターンの様々なデザインが、形成部材13として使用可能である。
【0028】
代表的で好適な枠組要素60及び枠組60を補強要素70に適用する方法が、例えば米国特許第4,514,345号(ジョンソン(Johnson)、1985年4月30日発行)、第4,528,239号(トロクハン(Trokhann)、1985年7月9日発行)、第4,529,480号(トロクハン(Trokhann)、1985年7月16日発行)、第4,637,859号(トロクハン(Trokhann)、1987年1月20日発行)、第5,334,289号(トロクハン(Trokhann)、1994年8月2日発行)、第5,500,277号(トロクハン(Trokhann)ら、1996年3月19日発行)、第5,514,523号(トロクハン(Trokhann)ら、1996年5月7日発行)、第5,628,876号(エイヤース(Ayers)ら、1997年5月13日発行)、第5,804,036号(ファン(Phan)ら、1998年9月8日発行)、第5,906,710号(トロクハン(Trokhann)、1999年5月25日発行)、第6,039,839号(トロクハン(Trokhann)ら、2000年3月21日発行)、第6,110,324号(トロクハン(Trokhann)ら、2000年8月29日発行)、第6,117,270号(トロクハン(Trokhann)、2000年9月12日発行)、第6,171,447B1号(トロクハン(Trokhann)、2001年1月9日発行)、及び第6,193,847B1号(トロクハン(Trokhann)、2001年2月27日発行)により教示される。更に、図6に示すように、枠組60は、枠組要素60を貫いて延びる1つ又は開口又は穴58を含むことができる。そのような穴58は、溝53とは異なっており、並びにこれを使用することにより、スラリー又はウェブからの脱水を助ける、及び/又は枠組60上に堆積された繊維が溝53の中へ完全に移動するのを防止する助けをすることができる。
【0029】
あるいは、形成部材13は、合成繊維101がその中へ向くことができる溝53の幾つかのパターンを含めて繊維を受け取るのに好適ないずれか他の構造を含んでもよく、これには、すき網、複合ベルト、及び/又はフェルトなどが挙げられるが、これらに限定されない。いずれの場合も、そのパターンは、上記のように分離性若しくは実質的に分離性であってもよく、連続的若しくは実質的に連続的であってもよく、又は半連続的若しくは実質的に半連続的であってもよい。本発明の方法と共に使用するのに一般に好適なある種の代表的な形成部材13は、米国特許第5,245,025号、第5,277,761号、第5,443,691号、第5,503,715号、第5,527,428号、第5,534,326号、第5,614,061号、及び第5,654,076号に記載される形成部材を含む。
【0030】
形成部材13がプレスフェルトを含む場合、米国特許第5,580,423号(アンプルスキー(Ampulski)ら、1996年12月3日発行)、第5,609,725号(ファン(Phan)、1997年3月11日発行)、第5,629,052号(トロクハン(Trokhan)ら、1997年5月13日発行)、第5,637,194号(アンプルスキー(Ampulski)ら、1997年6月10日発行)、第5,674,663号(マクファーランド(McFarland)ら、1997年10月7日発行)、第5,693,187号(アンプルスキー(Ampulski)ら、1997年12月2日発行)、第5,709,775号(トロクハン(Trokhan)ら、1998年1月20日発行)、第5,776,307号(アンプルスキー(Ampulski)ら、1998年7月7日発行)、第5,795,440号(アンプルスキー(Ampulski)ら、1998年8月18日発行)、第5,814,190号(ファン(Phan)、1998年9月29日発行)、第5,817,377号(トロクハン(Trokhan)ら、1998年10月6日発行)、第5,846,379号(アンプルスキー(Ampulski)ら、1998年12月8日発行)、第5,855,739号(アンプルスキー(Ampulski)ら、1999年1月5日発行)、及び第5,861,082号(アンプルスキー(Ampulski)ら、1999年1月19日発行)などの教示により作製することができる。代替実施形態では、形成部材13は、米国特許第5,569,358号(キャメロン(Cameron)、1996年10月29日発行)の教示又はいずれか他の好適な構造によりプレスフェルトとして実施可能である。形成部材13として使用するのに好適な他の構造は、任意の成型部材50に関連して以降において説明される。
【0031】
形成部材13の下側に配置された真空装置14などの真空機器を使用して、形成部材13上に配置されたスラリーに流体差圧をかけて、初期ウェブ10の少なくとも部分脱水を促進することができる。この流体差圧は、所望の繊維例えば合成繊維101が形成部材13の溝53の中へ向かうように助けることもできる。ウェブ10の脱水及び/又は繊維が形成部材13の溝53の中へ向かうのを助けるために、真空装置14に加えて又はその代替として、他の既知の方法を使用してもよい。
【0032】
望む場合には、形成部材13上に形成された初期ウェブ10は、形成部材13からフェルト又は成型部材などの他の構造体へ転移可能である。成型部材は、構造的な要素であって、初期ウェブの支持体として、並びに繊維構造体に所望の微視的形状を形成又は「成型」するための形成ユニットとして使用可能である。成型部材は、上部に生成される構造体に微視的な三次元パターンを付与する能力を有するいかなる構成要素を含んでもよく、この成型部材は、固定板、ベルト、(ジャガードタイプなどの織布パターンを含む)織布、バンド、ロールを具備する単層構造体及び多層構造体を制限なく包含する。
【0033】
図1に示される代表的な実施形態では、成型部材50は流体透過性であり、真空シュー15が、形成部材13上に配置された初期ウェブ10を引き離して成型部材50に付着させるのに充分な真空圧をかける。図1の成型部材50は、ロール50a、50b、50c、及び50dにより支持されて、これらの回りを矢印Bの方向へ走行するベルトを含む。成型部材50は、ウェブに接触する側151と、このウェブに接触する側151に対向する裏側152とを有する。
【0034】
成型部材50は、いかなる好適な形態をもとることができ、いかなる好適な材料でも作製可能である。成型部材50は、いかなる構造を含んでもよく、形成部材13に関連して本明細書で説明した方法のいずれかによって作製されてもよいが、成型部材50は、そのような構造及び方法に限定されない。例えば、成型部材50は、例えば図13、図14に示されるような、補強要素170に結合された樹脂枠組160を含む。更に、様々なデザインのジャガード織パターンが、成型部材50、及び/又は加圧表面210として使用可能である。望む場合には、成型部材50は、プレスフェルトであってもこれを含んでもよい。本発明と共に使用するのに好適なプレスフェルトには、形成部材13に関連して本明細書で説明したものが含まれるが、これらに限定されない。
【0035】
ある実施形態では、成型部材50は、例えば図13、図14に示されるように、複数の流体透過性区域154と複数の流体不透過性区域155とを有することができる。流体透過性区域又は開口154は、ウェブ側151から裏側152まで成型部材50の厚さH1を貫いて延びる。形成部材13に関連して上記したように、成型部材の厚さ1Hは、いかなる所望の厚さにもすることができる。更に、溝153の深さD1及び容積は、望むように変化可能である。更に、開口を含む流体透過性区域154の1つ以上は、形成部材13に関連して上述のように、「ブラインド」すなわち「閉じられて」いてもよい。複数の流体透過性区域154及び複数の流体不透過性区域155の少なくとも1つは通常、成型部材50の全体にわたって非ランダム反復パターンを形成する。そのようなパターンは、ランダムパターン又は非ランダムパターンを含むことができ、実質的に連続的、実質的に半連続的、分離性、又はこれらの任意の組み合わせを含むことができる。成型部材50中の開口154と位置が一致する補強要素170の部分は、単一繊維性構造体100の作製プロセス中に成型部材50の流体透過性区域に撓み込む繊維に対して支持を提供することができる。補強要素は、作製中のウェブの繊維が成型部材50を通り抜けるのを防ぐ助けをすることができ、これにより、得られる構造体100中にピンホールが発生するのを低減する。
【0036】
ある実施形態では、成型部材50は、米国特許第6,576,090号(トロクハン(Trokhan)ら、2003年6月10日発行)により教示されるように、複数のベース部分から延びる複数の懸垂部分を含むことができる。そのような実施形態では、懸垂部分は、補強要素170から持ち上げられ、懸垂部分と補強要素170の間に空隙を形成し、その空隙において、初期ウェブ10の繊維は偏向され、繊維構造体100の片持ち部分を形成することができる。懸垂部分を有する成型部材50は、少なくとも2つの層により形成され、対面関係で共に接合された多層構造体を含んでもよい。接合された層は、一方の層の開口が他方の枠組の一部と(成型部材50の一般表面に対して垂直な方向に)重なるように位置付けさる可能性がある。複数の懸垂部分を具備する成型部材50の別の実施形態は、透明領域と、不透明領域とを含むマスクを通して、感光性樹脂又は他の硬化性材料の層を差別的に硬化することを含むプロセスにより作製され得る。不透明領域は、異なる不透明性を有する領域、例えば、相対的に高い不透明性を有する領域(透明ではないもの)と、相対的に低い部分的な不透明性(幾らか透明である)を有する領域とを含む。
【0037】
初期ウェブ10が成型部材50のウェブに接触する側151上に配置されると、ウェブ10は、少なくとも部分的に、成型部材50の三次元パターンに適合する。更に、初期ウェブ10のセルロース繊維及び/又は合成繊維を成型部材50の三次元パターンに適合させて、成型ウェブ(図1では「20」として示されている)となるようにする、又はそれを促すべく、様々な手段を利用することができる。(本明細書では、参照番号「10」と「20」、並びに用語「初期ウェブ」と「成型ウェブ」は互換的に使用可能であることを理解すべきである。)1つの方法は、複数の繊維に流体圧力差を付与することを含む。例えば、図1に示すように、成型部材50の裏側152に配置された真空装置16及び/又は17を、成型部材50、ひいては上部に配置された複数の繊維に真空圧を印加するために配置することができる。真空装置16及び17それぞれの真空圧により生じた流体圧力差ΔP1及び/又はΔP2の影響の下、初期ウェブ10の一部は、成型部材50の溝153内に偏向され、その三次元パターンに適合し得る。
【0038】
ウェブ10の一部を成型部材50の溝153内に偏向することにより、成型部材50の溝153内に形成される結果として生じたピロー150の密度を成型ウェブ20の残部の密度に比べて低下させることができる。開口内に撓まない領域168は、後に、例えば図1に示される乾燥ドラム200の表面210とロール50cの間に形成される加圧ニップ内などの、加圧表面218と成型部材50の間で(図11例示)ウェブ20が型押しされることにより、圧痕が付けられてもよい。圧痕形成される場合、領域168の密度は、ピロー150の密度に対して更により大きいことがある。
【0039】
繊維構造体100のマイクロ領域(高及び低密度)は、2つの異なる高さで配置されるものと考えられる。本明細書で使用する時、領域の高さは、参照平面(すなわち、X−Y平面)からのその距離を指す。参照平面を水平なものとして視覚化することができ、参照平面からの高さ距離は垂直である(すなわち、Z方向)。構造体100の特定のマイクロ領域の高さは、当該技術分野において周知であるような用途に適する任意の非接触型測定装置を用いて測定してもよい。本発明による繊維構造体100は、圧痕形成領域168が参照平面と接触した状態で、参照平面上に置くことができる。ピロー150は、参照平面から垂直に離れるように延在する。複数のピロー150は、対称的なピロー、非対照的なピロー、又はこれらの組み合わせを含み得る。
【0040】
マイクロ領域の異なる高さは、深さ又は高さが異なる三次元パターンを有する成型部材50によって形成することもできる。異なる深さ/高さを有するこのような三次元パターンは、成型部材50の予め選択された一部をやすりにかけ、それらの高さを低くすることによって作製することができる。別の方法としては、深さ/高さが異なる凹部/凸部を有する三次元マスクを使用して、異なる高さを有する対応する枠組160を形成することができる。高さが異なる表面を形成する他の従来技法もまた、上述の用途に使用することができる。成型部材を形成するために本明細書で説明した技法は、形成部材13の形成にも適用可能であることを理解すべきである。
【0041】
成型部材50を貫通して幾つかのフィラメント又はその一部を押し入れ、故に、結果として生じた繊維構造体にいわゆるピンホールの形成を招き得る真空装置16及び/若しくは17、並びに/又は真空ピックアップシュー15によって、作製中の繊維構造体に流体圧力差を急激に付与することから生じ得る負の効果を改善するために、成型部材50の裏側152を、微視的な表面の凹凸を形成すべく「非平坦化」することができる。そのような表面の凹凸は、成型部材50の裏側52と製紙機器の表面(例えば、真空装置の表面など)の間に真空シールが形成されるのを妨げて、それらの間に「漏れ」を創出する助けをするので、通風乾燥プロセスにおける真空圧適用のある種の望ましくない結果を緩和することができる。そのような漏れを創り出す他の方法が、米国特許第5,718,806号、第5,741,402号、第5,744,007号、第5,776,311号、及び第5,885,421号に開示されている。
【0042】
漏れは、米国特許第5,624,790号、米国特許第5,554,467号、米国特許第5,529,664号、米国特許第5,514,523号及び米国特許第5,334,289号に記載されるような、いわゆる「光透過差技法」を用いて創出され得る。成型部材50は、不透明な一部を有する補強要素に感光性樹脂のコーティングを適用し、次いで透明領域及び不透明領域を有するマスクを通して、また補強要素も通して、そのコーティングを活性化波長の光に曝露することにより作製され得る。裏側表面の凹凸を創り出す別の方法は、米国特許第5,364,504号、米国特許第5,260,171号及び米国特許第5,098,522号に記載されているような非平坦化されたフォーミング表面又は非平坦化されたバリアフィルムの使用を含む。成型部材50は、補強要素が非平坦化表面上を移動する間に、補強要素上にくまなく感光性樹脂をキャストし、次いで、透明領域及び不透明領域を有するマスクを通してそのコーティングを活性化波長の光に曝露することによって作製可能である。このパラグラフ及び前のパラグラフで説明した方法及び構造は、形成部材13の構造及び形成にも適用可能であることを理解すべきである。
【0043】
本発明のプロセスはまた、初期ウェブ10(又は成型されるウェブ20)が、成型部材50と共に移動するエンドレスバンドを構成する可撓性の材料シートで覆われて、その結果、初期ウェブ10が、成型部材50と可撓性材料シートの間に一定期間挟まれるという工程を含んでもよい。可撓性材料シートは、成型部材50の空気透過性よりも低い空気透過性を有し得、幾つかの実施形態においては空気不透過性であり得る。成型部材50を通して流体圧力差を可撓性シートに付与することにより、可撓性シートの少なくとも一部が、成型部材50の三次元パターンに向かって、場合によってはその中へ偏向され、それにより、成型部材50上に配置されたウェブ20の一部が押入されて、成型部材50の三次元パターンと密接に適合する。米国特許第5,893,965号に、可撓性材料シートを使用するプロセス及び設備の1つの配置が記載されている。
【0044】
流体圧力差に加えて、又はそれに換えて、機械的圧力は、本発明の繊維構造体100上での微視的な三次元パターンの形成を促進するために使用することができる。かかる機械的圧力は、例えば、ロールの表面又はバンドの表面を含む任意の好適な加圧用表面218により創出され得る。加圧用表面218は平滑であり得るか、又はそれ自体の三次元パターンを有し得る。後者の例では、加圧用表面218をエンボス加工装置として使用することができ、これにより、成型部材50の三次元パターンと連携して、又はそれとは独立して、作製中の繊維構造体100内に凸部及び/又は凹部の独特なマイクロパターンを形成する。更に、例えば柔軟材及びインクなどの様々な添加剤を作製中の繊維構造体に堆積させるために、加圧用表面を使用することができる。様々な他の添加剤を作製中の繊維構造体に直接又は間接的に堆積させるために、例えば、インクロール又はスプレー装置又はシャワーなどの様々な従来技法を使用してもよい。
【0045】
ある実施形態では、本発明の繊維構造体100を作製時に短縮させるのが望ましいことがある。例えば、成型部材50は、形成部材13の線速度より遅い線速度を有するように構成してもよい。形成部材13から成型部材50への転移点におけるそのような速度差を使用して、「微小収縮」を達成することができる。米国特許第4,440,597号に、湿式微小収縮の詳細な一例が記載されている。そのような湿潤マイクロ収縮は、低繊維濃度を有するウェブを任意の第一部材(例えば、有孔フォーミング部材など)から、第一部材よりも遅い速度で動く任意の第二部材(例えば、目の荒い織布など)へと移送することを含むことができる。第一の部材と第二の部材の間の速度差は、繊維構造体100の所望の最終特性に従って変化可能である。微小収縮を達成するための方法を記載する他の特許には、例えば米国特許第5,830,321号、第6,361,654号、及び第6,171,442号が含まれる。
【0046】
繊維構造体100は、追加的に又は代替として、形成された後及び/又は実質的に乾燥した後で短縮されてもよい。例えば、短縮は、例えば図1に示すように乾燥ドラム200の表面210などの剛直表面から構造体100をクレーピングすることによって達成することができる。この及び他の形態のクレーピングは、当該技術分野において既知である。米国特許第4,919,756号(ソーダイ(Sawdai)、1992年4月24日発行)に、ウェブをクレーピングするのに好適な1つの方法が記載されている。もちろん、クレープのない(例えばクレープ加工されない)及び/又は他の方法で短縮された繊維構造体100は、クレープはないが他の方法で短縮された繊維構造体100であるとして、本発明の範囲内と意図されている。
【0047】
ある実施形態では、合成繊維101の少なくとも一部は、少なくとも部分的に溶融又は軟化されるのが好ましいことがある。合成繊維101が少なくとも部分的に溶融又は軟化されると、それらは、セルロース繊維102であれ、他の合成繊維101であれ、隣接する繊維と共接合可能になることがある。繊維の共接合は、機械的な共接合及び化学的な共接合を含むことができる。化学的な共接合は、少なくとも2つの隣接する繊維が、個々の共接合繊維のアイデンティティが共接合区域にて実質的に失われるように分子レベルで共に接合される時に起こる。繊維の機械的な共接合は、1つの繊維が隣接する繊維の形状に単に適合する時に起こり、共接合繊維間に化学的相互作用はない。図12は、機械的共接合の1つの実施形態を示し、繊維111は、隣接する合成繊維112により物理的に取り込まれている。繊維111は合成繊維又はセルロース繊維であり得る。図12に示す例において、合成繊維112は、コア112a及びシース、又はシェル、112bを含む2成分構造体を含み、コア112aの溶融温度は、シース112bの溶融温度よりも大きく、故に、加熱すると、シース112bのみが溶融し、一方コア112aはその完全性を保持する。しかしながら、異なるタイプの二構成成分繊維及び/又は三を超える構成成分を含む多構成成分繊維が、単一構成成分繊維が可能であるように、本発明において使用可能であることを理解すべきである。
【0048】
ある実施形態では、ウェブ100が形成された後で、ウェブ100内の合成繊維101の少なくとも一部を再分配するのが望ましいことがある。そのような再分配は、ウェブ100が成型部材50上に配置されている間に、又はプロセス中の異なる時及び/又は場所で、生じることができる。例えば、加熱装置90、乾燥用表面210、及び/又は乾燥ドラムのフード(例えば、ヤンキーの乾燥フード80など)を使用して、形成された後のウェブ100を加熱し、合成繊維101の少なくとも一部を再分配することができる。理論に束縛されるものではないが、合成繊維101は、充分に高い温度を掛けられた後で、2つの現象の内の少なくとも1つの影響の下で、移動することができると考えられている。合成繊維101を溶融するのに充分な程温度が高い場合、結果として生じる液体ポリマーは、表面張力に起因して自らの表面積/質量を最小にし、あまり熱の影響を受けない繊維部分の端部で球体のような形状を形成する傾向を有する。一方、温度が溶融点よりも低い場合、残留応力が高い繊維は、応力が繊維の縮み又はコイル化により緩和される点まで軟化する。これは、ポリマー分子が典型的には非線形にコイル化した状態でいることを好むために起こると考えられている。それらの製造中に非常に延伸され、次いで冷却された繊維は、準安定性形状に延伸されたポリマー分子からなる。その後の加熱により、繊維は、自由エネルギーが最小のコイル化状態に戻る。
【0049】
再分配は、いずれの番号の工程で達成されてもよい。例えば、合成繊維101は、繊維ウェブ100が成型部材50上に配置されている間に、例えばウェブ100のピロー部を通して熱ガスを吹かされ、その結果、合成繊維101が第一のパターンにより再分配されることにより、最初の再分配を受けることができる。次いで、ウェブ100を別の成型部材50に移送することができ、合成繊維101は第二のパターンに従って更に再分配され得る。
【0050】
ウェブ100における合成繊維101の加熱は、成型部材50の流体透過性区域154に対応する複数のマイクロ領域を加熱することにより達成され得る。例えば、加熱装置90からの熱ガスは、ウェブ100を通って押入され得る。熱エネルギー源として、プレドライヤーも使用可能である。いずれの場合にも、プロセスに応じて、熱ガスの流れの方向を、図1に示す方向に対して反転することができ、故に熱ガスは成型部材50を通ってウェブを貫通する。次いで、成型部材50の流体透過性区域154に配置されるウェブのピロー部分150は、主に熱ガスによって影響される。ウェブ100の残部は、成型部材50により熱ガスから遮蔽される。その結果、合成繊維101は、ウェブ10のピロー部分150で優勢的に軟化又は溶融する。更に、この領域は、合成繊維101の溶融又は軟化に起因する繊維の共接合が最も生じやすい場所である。
【0051】
合成繊維101の再分配は繊維101の幾つかの少なくとも一部の上を熱ガスが通過することにより影響を受けたものとして上では説明したが、繊維101を加熱するためのいかなる好適な手段も実施することができる。例えば、熱流体、並びにマイクロ波、無線波、超音波エネルギー、レーザー又は他の光エネルギー、加熱ベルト又はロール、熱ピン、磁気エネルギー、あるいはこれら又は加熱のための他の既知の手段の任意の組み合わせを使用してもよい。更に、合成繊維101の再分配は一般的に繊維101を加熱することにより影響を受けたものとして言及したが、再分配はまた、ウェブ10の一部を冷却することの結果として生じてもよい。加熱の場合と同様に、合成繊維101の冷却は、繊維101の形状変化及び/又はウェブの残りに関してそれ自体の方向替えを引き起し得る。更にまた、合成繊維は、再分配物質との反応に起因して再分配されてもよい。例えば、合成繊維101は、合成繊維101を軟化又は他の方法で操作して、ウェブ10内のその形状、向き、又は位置に何らかの変化の影響を及ぼすような化学組成物の対象となってもよい。更にまた、再分配は、機械的手段及び/又は磁気、静電気などの他の手段により影響されることが可能である。それ故に、本明細書に記述するような合成繊維101の再分配は、合成繊維101の熱再分配だけに限定されると考えるべきではなく、むしろウェブ10内の合成繊維101のいずれかの部分を再分配(例えば、形状、向き、又は位置の変更)するための全ての既知の手段を包含すると考えるべきである。更に、再分配を合成繊維101の点から説明したが、セルロース繊維102も、あるいは代替として、セルロース繊維の形状及び/又は向きに影響を及ぼすことが知られている手段により、再分配可能であることを理解すべきである。
【0052】
合成繊維101が本明細書で説明される方法及び手段により再分配されてもよいが、ウェブを生産するプロセスは、セルロース繊維102のランダム分配が合成繊維101を再分配するために使用される手段により著しい影響を及ぼされないように選定可能である。したがって、結果として得られる繊維構造体100は、再分配されていてもいなくても、繊維構造体全体にわたってランダムに分配された複数のセルロース繊維102と、繊維構造体全体にわたって非ランダムパターンで分配された複数の合成繊維101とを含む。図10は繊維構造体100の1つの実施形態を概略的に示し、セルロース繊維102は、構造体の全体にわたってランダムに分配され、合成繊維101は、非ランダム反復パターンで分配される。
【0053】
合成繊維101は、例えば、ポリオレフィン類、ポリエステル類、ポリアミド類、ポリヒドロキシアルカノエート類、多糖類、及び任意のこれらの組み合わせからなる群から選択される、いずれかの材料とすることができる。より具体的には、合成繊維101の材料は、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(ブチレンテレフタレート)、ポリ(1,4−シクロへキシレンジメチレンテレフタレート)、イソフタル酸コポリマー類、エチレングリコールコポリマー類、ポリカプロラクトン、ポリ(ヒドロキシエーテルエステル)、ポリ(ヒドロキシエーテルアミド)、ポリエステルアミド、ポリ(乳酸)、ポリヒドロキシブチラート、デンプン、セルロース、グリコーゲン、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択することができる。更に、合成繊維101は、単一構成成分(すなわち、単一の合成材料又は繊維全体を組み立てる混合物)、二構成成分(すなわち、繊維は領域群に分割され、領域群は2つの異なる合成材料若しくはその混合物を含む)、又は多構成成分繊維(すなわち、繊維は領域群に分割され、領域群は2つ以上の異なる合成材料若しくはその混合物を含む)、又はそれらの任意の組み合わせとすることができる。また、合成繊維101のいずれか又は全ては、繊維のいずれかの所望の特性を変化させるために、本発明のプロセスの前、その間、又は後で処理されてもよい。例えば、ある実施形態では、合成繊維101は、より親水性、より湿潤性などにするために、抄紙プロセスの前又はその間に処理することが望ましい。
【0054】
本発明のウェブ100の作製方法はまた、他のいずれかの所望の工程を含んでもよい。例えば、その方法は、ウェブをロール上に巻き取る、ウェブをカレンダー加工する、ウェブをエンボス加工する、ウェブに穿孔する、ウェブに印刷する、及び/又はウェブを1つ以上の他のウェブ又は材料に接合して多プライ構造体を形成するなどの、コンバーティング工程を含んでもよい。エンボス加工を記載する幾つかの代表的特許には、米国特許第3,414,459号、第3,556,907号、第5,294,475号、及び第6,030,690号が挙げられる。更に加えて、その方法は、軟化、強化、及び/又は他の処理を製品の表面に又はウェブの形成時に加えるなどの、ウェブ100の特性に追加又は増強する1つ以上の工程を含んでもよい。更に、ウェブ100は、ウェブに有益な特性をもたらすために、例えば、米国特許第3,879,257号に記載されるようなラテックスなど、又は他の物質、又は樹脂を備えてもよい。
【0055】
上記のように、本明細書に記述する方法及び装置は、ウェブ100の少なくとも一部中に、セルロース繊維102が概ね非ランダムに分配され、また合成繊維101が概ねランダムに分配された、ウェブ100を形成するためにも使用可能である(例えば図9A)。そのようなものであるから、方法の工程及び方法中で使用される種々の設備に関して本明細書で説明した変形形態の全ては、そのような代替ウェブ実施形態にも適用されることを理解すべきであり、同様に本明細書で説明した代替及び任意の工程も適用されることを理解すべきである。
【0056】
本発明の繊維構造体100を用いて様々な製品を作製することができる。例えば、結果として生じた製品は、空気、油及び水用フィルタ;掃除機用フィルタ;炉用フィルタ;フェイスマスク;コーヒーフィルタ、ティー又はコーヒーバッグ;断熱材及び遮音材;おむつ、女性用パッド及び失禁物品などの一回使用型衛生製品用の不織布;微小繊維又は通気性布地のような吸水性及び着用の柔軟性のための織物布地;粉塵の回収及び除去のための静電的に帯電した構造ウェブ;補強材、及び包装紙、筆記用紙、新聞印刷用紙、ダンボールのような硬質紙用ウェブ、並びにトイレットペーパー、紙タオル、ナプキン及びフェイシャルティッシュなどの紙のティッシュ等級用ウェブ;外科用カーテン、創傷包帯、包帯及び皮膚貼付剤のような医療用途での使用を見出し得る。繊維構造体100はまた、特定用途のための臭い吸収剤、シロアリ忌避剤、殺虫剤、殺鼠剤などを包含してもよい。結果として生じた製品は、水及び油を吸収し、油若しくは水こぼしの清掃、又は農業若しくは園芸用途のための制御された水保持及び放出での使用を見出すことができる。
【0057】
(試験方法)
キャリパーは、前述の組み込まれた特許により作製される多重密度ティシュに固有の絶対平面からの微小偏差には考慮せずに、次の手順により測定される。
【0058】
ティシュペーパーは、キャリパー測定の前に少なくとも2時間、21〜24℃(71°〜75°F)及び48〜52%相対湿度で事前調湿される。トイレットペーパー又は他のロール製品のキャリパーが測定される場合は、まずロールの外側から15〜20枚取り外して廃棄する。フェイシャルティシュ又は他の箱入り製品のキャリパーが測定される場合は、試料はパッケージの中心近くから取り出す。試料を選定して、次に更に15分間調湿する。
【0059】
キャリパーは、ペンシルバニア州フィラデルフィア(Philadelphia,Pennsylvania)のスィングアルバート・インスツルメント社(Thwing-Albert Instrument Company)から入手可能な、低荷重スィングアルバート・プロゲージ(Thwing-Albert Progage)マイクロメーター・モデル89−2012を使用して測定される。マイクロメーターは、5.08cm(2.0インチ)直径の押し足及び6.35cm(2.5インチ)直径の支持アンビルを使用して、6.45cm2(1平方センチ)当り15グラムの圧力で試料に荷重をかける。マイクロメーターは、0〜0.1016cm(0〜0.0400インチ)の測定能力範囲を有する。ティシュの飾り領域、穿孔、縁効果などは、可能ならば避けるべきである。
【0060】
坪量は、次の手順により測定される。
【0061】
ティシュ試料は、上述のようにして選定されて、21〜24℃(71°〜75°F)及び48〜52%湿度で最小限2時間調湿される。清潔で、穴、引裂き、しわ、折曲げ、及びその他の欠陥が無い、12枚の仕上り製品シートを注意深く選定する。明瞭にするために、仕上り製品シートは、試験される特定の仕上り製品が有するプライ数を含むべきである。したがって、1プライ製品の試料の組は12の1プライシートを含み、2プライ製品の試料の組は12の2プライシートを含み、以下同様である。サンプルの組を、6つの仕上り製品シートをそれぞれが含むように、2つの積重ねに分ける。6つの仕上り製品シートの積重ねを、打抜き型の上に置く。型は、8.89cm×8.89cm(3.5インチ×3.5インチ)寸法の正方形であって、切断の後で型から試料を取り出すのを容易にするために、正方形の中に柔軟なポリウレタンゴムを有してもよい。6つの仕上り製品シートは、型、及び好適な圧力のプレートカッター、例えばスィングアルバート(Thwing-Albert)アルファ・ハイドロリックプレッシャ・サンプルカッター(Alfa Hydraulic Pressure Sample Cutter)モデル240−7Aなどを使用して、切断される。6つの仕上り製品シートの第二の組も、同じ方法で切断される。切断された仕上り製品シートの2つの積重ねは、12の仕上り製品シートの積重ねと合わされて、21〜24℃(71°〜75°F)及び48〜52%湿度で少なくとも更に15分間調湿される。
【0062】
上の説明のように切断された12の仕上り製品シートの積重ねは、次に、少なくとも0.0001グラムの感量を有する校正済みの化学てんびんで計量される。てんびんは、試料が調湿されたのと同一の部屋で保持される。好適なてんびんには、サートリアス・インスツルメント社(Sartorius Instrument Company)により製造されるモデルA200Sがある。
【0063】
この試料についての3,000平方フィート当りポンドの単位の坪量は、次の換算式を使用して簡単に計算される:
【0064】
【数1】
この試料についての3,000平方フィート当りポンドの単位の坪量は、次の換算式を使用して簡単に計算される:
坪量(lb/3,000ft2)=12プライパッドの重量(g)×6.48
本明細書で使用される密度の単位は、立方センチメートル当りのグラム(g/cc)である。g/ccのこれらの密度単位にとっては、坪量も平方センチメートル当りのグラムの単位で表わすのが便利であろう。この換算を行うために、次の式が使用可能である:
坪量(g/cm2)=12プライパッドの重量(g)/948.4
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明のプロセスの実施形態の側面図。
【図2】実質的に連続的な枠組を有する形成部材の実施形態の平面図。
【図3】代表的な形成部材を表示する断面図。
【図4】実質的に半連続的な枠組を有する形成部材の実施形態の平面図。
【図5】隔離されたパターンの枠組を有する形成部材の実施形態の平面図。
【図6】代表的な形成部材を表示する断面図。
【図7】形成部材内に形成された溝の中へ分配された代表的な合成繊維を示す断面図。
【図8】本発明の単一繊維構造体を示す断面図であり、セルロース繊維が合成繊維を含む形成部材上にランダムに分配されている。
【図9】本発明の単一繊維構造体の断面図であり、セルロース繊維が概ねランダムに分配されており、合成繊維が概ね非ランダムに分配されている。
【図9A】本発明の単一繊維構造体の断面図であり、合成繊維が概ねランダムに分配されており、セルロース繊維が概ね非ランダムに分配されている。
【図10】本発明の単一繊維構造体の実施形態の平面図。
【図11】加圧表面と成型部材の間の本発明の単一繊維構造体の断面図。
【図12】他の繊維と共接合した二構成成分合成繊維の断面図。
【図13】実質的に連続的なパターンの枠組を有する成型部材の実施形態の平面図。
【図14】図13の線14−14に沿って見る断面図。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
溝のパターンを有する形成部材上に第一の複数の繊維を準備する工程と、前記第一の複数の繊維が、前記繊維の少なくとも一部が前記溝内に配置されるように準備され;
第二の複数の繊維が前記第一の複数の繊維に隣接して配置されるように、前記第一の複数の繊維の上に前記第二の複数の繊維を準備する工程と;
前記第一の複数の繊維及び前記第二の複数の繊維を含む単一繊維構造体を形成する工程と、ここで少なくとも前記第一の複数の繊維又は前記第二の複数の繊維が、合成繊維を含み;を含む単一繊維構造体の製造方法。
【請求項2】
前記第一の複数の繊維が、前記第二の複数の繊維より前に、前記形成部材上に準備される、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記第一の複数の繊維の少なくとも一部が、相互に、又は前記第二の複数の繊維の少なくとも一部と共接合する、請求項1又は2のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項4】
前記第一の複数の繊維が、前記単一繊維構造体の形成中に、前記溝内に優勢的に配置される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項5】
前記第一の複数の繊維が、前記単一繊維構造体内で非ランダムパターンを形成する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項6】
前記第二の複数の繊維が、前記単一繊維構造体の少なくとも1つの層内で概ねランダムに分配される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項7】
第一の複数の繊維及び第二の複数の繊維を準備する前記工程が:
第二の複数の繊維と層をなす第一の複数の繊維を含む水性スラリーを準備する工程と;
前記水性スラリーを形成部材上に堆積させる工程と;
前記スラリーを部分的に脱水して、初期ウェブの1つ以上の層全体にわたってランダムに分配された前記第二の複数の繊維と、前記形成部材上の前記溝内に少なくとも部分的に分配された前記第一の複数の繊維とを含む前記初期繊維ウェブを形成する工程と;を含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項8】
前記形成部材が第一の速度で移動しており、且つ前記製造方法が:
前記第一の速度より遅い第二の速度の第二の部材を準備する工程と;
前記初期ウェブを微小収縮させるように前記初期ウェブを前記形成部材から前記第二の部材へ転移する工程と;を含む、請求項7に記載の製造方法。
【請求項9】
複数の流体透過性区域と複数の流体不透過性区域とを含む成型部材を準備する工程と;
前記単一繊維構造体を上部に受ける乾燥用表面を準備する工程と;
前記単一繊維構造体を前記成型部材の上に配置する工程と;
前記単一繊維構造体を前記乾燥表面へ転移する工程と;
前記単一繊維構造体中の前記繊維の少なくとも一部の再分配を引き起すために充分な温度まで前記単一繊維構造体を加熱する工程と;を含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項10】
前記成型部材と加圧表面の間で前記複数の繊維を型押しして、前記単一繊維構造体の一部を濃密化する工程を含む、請求項9に記載の製造方法。
【請求項11】
成型部材を準備する前記工程が、連続的なパターン、半連続的なパターン、隔離されたパターン、又はこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、パターン付き型枠を含む成型部材を準備することを含む、請求項10に記載の製造方法。
【請求項12】
前記第一の複数の繊維が合成繊維を含み、且つ前記第二の複数の繊維がセルロース繊維を含む、請求項1〜11のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項13】
前記合成繊維の少なくとも一部を再分配して、前記複数の合成繊維の少なくとも一部が前記溝のパターンにより形成されるパターンとは異なるパターンで分配された単一繊維構造体を形成する工程を含む、請求項12に記載の製造方法。
【請求項14】
前記合成繊維を再分配する前記工程が、前記合成繊維の一部の少なくとも一部分を加熱、冷却、機械的操作、及び/又は化学的操作することを含む、請求項13に記載の製造方法。
【請求項15】
複数の合成繊維を含む第一の水性スラリーを準備する工程と;
複数のセルロース繊維を含む第二の水性スラリーを準備する工程と;
前記第一及び第二の水性スラリーを溝のパターンを有する流体透過性の形成部材上に堆積させる工程と;
前記堆積された第一及び第二のスラリーを部分的に脱水して、繊維ウェブの少なくとも1つの層の全体にわたってランダムに分配された複数のセルロース繊維と、前記溝内に少なくとも部分的に非ランダムに分配された複数の合成繊維とを含む繊維ウェブを形成する工程と;
前記成型部材上に配置された前記繊維ウェブに流体差圧を付与することにより前記繊維ウェブを前記溝のパターンによって成型する工程と、ここで前記成型部材上に配置された前記繊維ウェブが、前記成型部材の複数の流体透過性区域に対応する第一の複数のマイクロ領域と、前記成型部材の複数の流体不透過性区域に対応する第二の複数のマイクロ領域とを含み、;
前記繊維ウェブを前記成型部材から乾燥用表面へ転移することにより、前記複数の合成繊維の少なくとも一部が予め定められたパターンで配置され且つ前記複数のセルロース繊維が前記繊維構造体の少なくとも1つの層の全体にわたって概ねランダムに分配されたままである、前記単一繊維構造体を形成する工程と;を含む製造方法。
【請求項16】
前記繊維ウェブ内の前記合成繊維の少なくとも一部の再分配を引き起すために充分な温度まで前記繊維ウェブを加熱することにより、前記複数の合成繊維の一部が再分配される一方前記複数のセルロース繊維が前記繊維構造体の少なくとも1つ層の全体にわたって概ねランダムに分配されたままである、前記単一繊維構造体を形成する工程を含む、請求項15に記載の単一繊維構造体の製造方法。
【請求項17】
前記繊維ウェブを加熱する前記工程が、前記繊維ウェブが前記成型部材及び/又は前記乾燥用表面上に配置されている時に生じる、請求項15〜16のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項18】
前記単一繊維構造体が、クレープ加工される、クレープ加工されない、及び/又はエンボス加工される、請求項1〜17のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項19】
前記単一繊維構造体が、別個の単一構造体と組み合わされて、多プライ・ウェブを形成する、請求項1〜18のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項20】
前記単一繊維構造体の少なくとも1つの表面の少なくとも一部にラテックスを付与する工程を含む、請求項1〜19のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項1】
溝のパターンを有する形成部材上に第一の複数の繊維を準備する工程と、前記第一の複数の繊維が、前記繊維の少なくとも一部が前記溝内に配置されるように準備され;
第二の複数の繊維が前記第一の複数の繊維に隣接して配置されるように、前記第一の複数の繊維の上に前記第二の複数の繊維を準備する工程と;
前記第一の複数の繊維及び前記第二の複数の繊維を含む単一繊維構造体を形成する工程と、ここで少なくとも前記第一の複数の繊維又は前記第二の複数の繊維が、合成繊維を含み;を含む単一繊維構造体の製造方法。
【請求項2】
前記第一の複数の繊維が、前記第二の複数の繊維より前に、前記形成部材上に準備される、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記第一の複数の繊維の少なくとも一部が、相互に、又は前記第二の複数の繊維の少なくとも一部と共接合する、請求項1又は2のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項4】
前記第一の複数の繊維が、前記単一繊維構造体の形成中に、前記溝内に優勢的に配置される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項5】
前記第一の複数の繊維が、前記単一繊維構造体内で非ランダムパターンを形成する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項6】
前記第二の複数の繊維が、前記単一繊維構造体の少なくとも1つの層内で概ねランダムに分配される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項7】
第一の複数の繊維及び第二の複数の繊維を準備する前記工程が:
第二の複数の繊維と層をなす第一の複数の繊維を含む水性スラリーを準備する工程と;
前記水性スラリーを形成部材上に堆積させる工程と;
前記スラリーを部分的に脱水して、初期ウェブの1つ以上の層全体にわたってランダムに分配された前記第二の複数の繊維と、前記形成部材上の前記溝内に少なくとも部分的に分配された前記第一の複数の繊維とを含む前記初期繊維ウェブを形成する工程と;を含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項8】
前記形成部材が第一の速度で移動しており、且つ前記製造方法が:
前記第一の速度より遅い第二の速度の第二の部材を準備する工程と;
前記初期ウェブを微小収縮させるように前記初期ウェブを前記形成部材から前記第二の部材へ転移する工程と;を含む、請求項7に記載の製造方法。
【請求項9】
複数の流体透過性区域と複数の流体不透過性区域とを含む成型部材を準備する工程と;
前記単一繊維構造体を上部に受ける乾燥用表面を準備する工程と;
前記単一繊維構造体を前記成型部材の上に配置する工程と;
前記単一繊維構造体を前記乾燥表面へ転移する工程と;
前記単一繊維構造体中の前記繊維の少なくとも一部の再分配を引き起すために充分な温度まで前記単一繊維構造体を加熱する工程と;を含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項10】
前記成型部材と加圧表面の間で前記複数の繊維を型押しして、前記単一繊維構造体の一部を濃密化する工程を含む、請求項9に記載の製造方法。
【請求項11】
成型部材を準備する前記工程が、連続的なパターン、半連続的なパターン、隔離されたパターン、又はこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、パターン付き型枠を含む成型部材を準備することを含む、請求項10に記載の製造方法。
【請求項12】
前記第一の複数の繊維が合成繊維を含み、且つ前記第二の複数の繊維がセルロース繊維を含む、請求項1〜11のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項13】
前記合成繊維の少なくとも一部を再分配して、前記複数の合成繊維の少なくとも一部が前記溝のパターンにより形成されるパターンとは異なるパターンで分配された単一繊維構造体を形成する工程を含む、請求項12に記載の製造方法。
【請求項14】
前記合成繊維を再分配する前記工程が、前記合成繊維の一部の少なくとも一部分を加熱、冷却、機械的操作、及び/又は化学的操作することを含む、請求項13に記載の製造方法。
【請求項15】
複数の合成繊維を含む第一の水性スラリーを準備する工程と;
複数のセルロース繊維を含む第二の水性スラリーを準備する工程と;
前記第一及び第二の水性スラリーを溝のパターンを有する流体透過性の形成部材上に堆積させる工程と;
前記堆積された第一及び第二のスラリーを部分的に脱水して、繊維ウェブの少なくとも1つの層の全体にわたってランダムに分配された複数のセルロース繊維と、前記溝内に少なくとも部分的に非ランダムに分配された複数の合成繊維とを含む繊維ウェブを形成する工程と;
前記成型部材上に配置された前記繊維ウェブに流体差圧を付与することにより前記繊維ウェブを前記溝のパターンによって成型する工程と、ここで前記成型部材上に配置された前記繊維ウェブが、前記成型部材の複数の流体透過性区域に対応する第一の複数のマイクロ領域と、前記成型部材の複数の流体不透過性区域に対応する第二の複数のマイクロ領域とを含み、;
前記繊維ウェブを前記成型部材から乾燥用表面へ転移することにより、前記複数の合成繊維の少なくとも一部が予め定められたパターンで配置され且つ前記複数のセルロース繊維が前記繊維構造体の少なくとも1つの層の全体にわたって概ねランダムに分配されたままである、前記単一繊維構造体を形成する工程と;を含む製造方法。
【請求項16】
前記繊維ウェブ内の前記合成繊維の少なくとも一部の再分配を引き起すために充分な温度まで前記繊維ウェブを加熱することにより、前記複数の合成繊維の一部が再分配される一方前記複数のセルロース繊維が前記繊維構造体の少なくとも1つ層の全体にわたって概ねランダムに分配されたままである、前記単一繊維構造体を形成する工程を含む、請求項15に記載の単一繊維構造体の製造方法。
【請求項17】
前記繊維ウェブを加熱する前記工程が、前記繊維ウェブが前記成型部材及び/又は前記乾燥用表面上に配置されている時に生じる、請求項15〜16のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項18】
前記単一繊維構造体が、クレープ加工される、クレープ加工されない、及び/又はエンボス加工される、請求項1〜17のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項19】
前記単一繊維構造体が、別個の単一構造体と組み合わされて、多プライ・ウェブを形成する、請求項1〜18のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項20】
前記単一繊維構造体の少なくとも1つの表面の少なくとも一部にラテックスを付与する工程を含む、請求項1〜19のいずれか一項に記載の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公表番号】特表2006−514176(P2006−514176A)
【公表日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−518379(P2005−518379)
【出願日】平成16年2月4日(2004.2.4)
【国際出願番号】PCT/US2004/003337
【国際公開番号】WO2004/072373
【国際公開日】平成16年8月26日(2004.8.26)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年2月4日(2004.2.4)
【国際出願番号】PCT/US2004/003337
【国際公開番号】WO2004/072373
【国際公開日】平成16年8月26日(2004.8.26)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】
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