説明

セル高さ調整器具および床ずれ抑制寝具

【課題】低コストで臥床者の体圧を分散可能で、臥床者に応じてセルの高さを簡単に調整可能なセル高さ調整器具を提供することを課題とする。
【解決手段】セル高さ調整器具2は、臥床者Mを下側から支持し、流体を流入させることにより膨張する複数のセル300を有するセルユニット30を備えるマットレス3の、一部のセル300に環装される筒部20を備え、セル300の膨張を筒部20が規制することにより、筒部20が環装されたセル300の上面の高さを、筒部20が環装されないセル300の上面の高さよりも、低く設定することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マットレスのセルに取り付けられ、セルの高さを調整するセル高さ調整器具および床ずれ抑制寝具に関する。
【背景技術】
【0002】
臥床者がベッドのマットレスに寝る際、肩、背中、腰、臀部、踵部など(以下、適宜、「突出部」と総称する。)は、下側に突出している。これに対して、マットレスの上面は、略平面状を呈している。このため、臥床者の体と、マットレスと、の間に隙間が発生してしまう。したがって、体の突出部に、体圧が集中してしまう。体圧集中は、床ずれの原因となる。
【0003】
この点に鑑み、特許文献1には、二種類のエアセルを備えるマットが開示されている。同文献記載のマットによると、マットのうち、臥床者の体の床ずれ発生の多い箇所に接触する部分には、扁平角筒状のエアセルが配置されている。これに対して、臥床者の体の床ずれ発生の少ない箇所に接触する部分には、円筒状のエアセルが配置されている。このため、床ずれ発生の多い箇所に体圧が集中するのを、抑制することができる。
【0004】
また、特許文献2には、マット本体の厚さが一定でないマットが開示されている。同文献記載のマットによると、マット本体のうち、臥床者の背中に接触する部分の厚さが、臥床者の臀部に接触する部分の厚さよりも、厚く設定されている。このため、臀部に体圧が集中するのを、抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−28740号公報
【特許文献2】特開2002−119382号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1のマットの場合、専用の二種類のエアセルが必要になる。このため、導入コストが高くなる。また、臥床者の体格や寝姿(仰向け、うつ伏せ、横寝など)などによっては、臥床者の体の突出部と、扁平角筒状のエアセルが配置されている領域と、が対応しない場合がある。
【0007】
また、特許文献2のマットの場合、マット本体の厚さを緻密に作り込む必要がある。このため、特許文献1のマット同様に、導入コストが高くなる。また、臥床者の体格や寝姿などによっては、臥床者の体の突出部と、マット本体の厚さが薄い領域と、が対応しない場合がある。
【0008】
本発明のセル高さ調整器具および床ずれ抑制寝具は、上記課題に鑑みて完成されたものである。本発明は、低コストで臥床者の体圧を分散可能で、臥床者に応じてセルの高さを簡単に調整可能なセル高さ調整器具および床ずれ抑制寝具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)上記課題を解決するため、本発明のセル高さ調整器具は、臥床者を下側から支持し、流体を流入させることにより膨張する複数のセルを有するセルユニットを備えるマットレスの、一部の該セルに環装される筒部を備え、該セルの膨張を該筒部が規制することにより、該筒部が環装された該セルの上面の高さを、該筒部が環装されない該セルの上面の高さよりも、低く設定することを特徴とする。
【0010】
セル高さ調整器具は、膨張可能なセルに取り付けられる。セル高さ調整器具が取り付けられているセルは、セル高さ調整器具が取り付けられていないセルと比較して、膨張しにくい。このため、セル高さ調整器具が取り付けられているセルの方が、セル高さ調整器具が取り付けられていないセルよりも、上面の高さが低くなる。したがって、マットレスの上面に、複数のセルの並置方向に沿って、凹凸が形成される。当該凹凸のうち、凹部を、臥床者の体の突出部に、対応させることにより、臥床者の体の突出部に体圧が集中するのを抑制することができる。
【0011】
このように、本発明のセル高さ調整器具を用いると、臥床者の体の突出部に対応するセルにセル高さ調整器具を取り付けるだけで、簡単に、また低コストに、臥床者の体圧を分散させることができる。
【0012】
また、本発明のセル高さ調整器具を用いると、臥床者の体格や寝姿などに応じて突出部の位置が変わる場合であっても、当該突出部に対応するセルにセル高さ調整器具を取り付けるだけで、臥床者の体圧を分散させることができる。なお、マットレスの上面に形成される凹部を、体の突出部のみならず、他の所望の部位に、対応させてもよい。また、既存のマットレスに本発明のセル高さ調整器具を取り付けるだけで、当該マットレスに、臥床者の体圧を分散させる機能を付与することができる。このため、汎用性が高い。
【0013】
(2)好ましくは、上記(1)の構成において、前記筒部は、帯状の展開状態と、前記セルに巻装される筒状の巻装状態と、に切り替え可能な帯部であり、該巻装状態において該セルの膨張を該帯部が規制することにより、該帯部が巻装された該セルの上面の高さを、該帯部が巻装されない該セルの上面の高さよりも、低く設定する構成とする方がよい。
【0014】
本構成によると、セルに対する帯部の巻装長(周長)を調整することにより、セルの上面の高さを調整することができる。具体的には、帯部の周長を短くすると、セルの上面の高さを低くすることができる。反対に、帯部の周長を長くすると、セルの上面の高さを高くすることができる。
【0015】
(3)好ましくは、上記(2)の構成において、さらに、前記帯部に配置され、前記巻装状態における該帯部の周長を表示する目盛部を備える構成とする方がよい。本構成によると、セルの高さを調整する作業者が目盛部を確認することにより、セルを膨張させる前の状態であっても、膨張後のセルの上面の高さを、ある程度想定することができる。
【0016】
また、セルの周長は、セル高さ調整器具が取り付けられていないセルの上面の高さの目安になる。このため、セルを膨張させる前の状態であっても、セルの周長と目盛部(帯部の周長)とから、膨張後のおける、セル高さ調整器具が取り付けられていないセルの上面と、セル高さ調整器具が取り付けられているセルの上面と、の高低差を想定することができる。
【0017】
(4)好ましくは、上記(2)または(3)の構成において、さらに、前記帯部に配置され、前記巻装状態を保持する係合部を備える構成とする方がよい。本構成によると、簡単に、セルの上面を所望の高さに保持することができる。
【0018】
(5)好ましくは、上記(1)ないし(4)のいずれかの構成において、前記筒部は、単一の前記セルに巻装される構成とする方がよい。本構成によると、単一のセル単位でセルの上面の高さを調整することができる。このため、マットレスの上面に、緻密な凹凸を形成することができる。また、臥床者の体の突出部が小さい場合であっても、簡単にマットレスの凹部を対応させることができる。
【0019】
(6)好ましくは、上記(1)ないし(4)のいずれかの構成において、前記筒部は、複数の前記セルを括って巻装される構成とする方がよい。本構成によると、複数のセル単位でセルの上面の高さを調整することができる。このため、マットレスの上面に、大まかな凹凸を形成することができる。また、臥床者の体の突出部が大きい場合であっても、簡単にマットレスの凹部を対応させることができる。
【0020】
(7)好ましくは、上記(1)ないし(6)のいずれかの構成において、前記セルのうち前記筒部が環装された領域は、該筒部の周方向に対して直交する筒軸方向に沿って、高さが一定でない構成とする方がよい。
【0021】
本構成によると、複数のセルの並置方向のみならず、セルの筒軸方向においても、マットレスの上面に凹凸が形成される。このため、セルの筒軸方向においても、凹凸のうち、凹部を、臥床者の体の突出部に、対応させることにより、臥床者の体の突出部に体圧が集中するのを抑制することができる。
【0022】
(7−1)好ましくは、上記(7)の構成において、前記臥床者は、複数の前記セルの並置方向に沿って寝ており、該並置方向と前記筒軸方向とは直交しており、該セルのうち前記筒部が環装された領域は、該筒軸方向両端から該筒軸方向中央に向かって尖る、双テーパ状を呈している構成とする方がよい。
【0023】
臥床者の胴部の断面形状は、楕円形を呈している。このため、本構成によると、筒部が環装されたセルの効果により、胴部を、包み込むように、広い面積で支持しやすい。したがって、体圧を分散させやすい。
【0024】
(8)上記課題を解決するため、本発明の床ずれ抑制寝具は、上記(1)ないし(7)のいずれかの構成のセル高さ調整器具と、臥床者を下側から支持し、流体を流入させることにより膨張する複数のセルを有するセルユニットを備えるマットレスと、を備え、該セル高さ調整器具の筒部は、一部の該セルに環装され、該セルの膨張を該筒部が規制することにより、該筒部が環装された該セルの上面の高さを、該筒部が環装されない該セルの上面の高さよりも、低く設定することを特徴とする。
【0025】
セル高さ調整器具は、膨張可能なセルに取り付けられる。セル高さ調整器具が取り付けられているセルは、セル高さ調整器具が取り付けられていないセルと比較して、膨張しにくい。このため、セル高さ調整器具が取り付けられているセルの方が、セル高さ調整器具が取り付けられていないセルよりも、上面の高さが低くなる。したがって、マットレスの上面に、複数のセルの並置方向に沿って、凹凸が形成される。当該凹凸のうち、凹部を、臥床者の体の突出部に、対応させることにより、臥床者の体の突出部に体圧が集中するのを抑制することができる。
【0026】
このように、本発明の床ずれ抑制寝具を用いると、臥床者の体の突出部に対応するセルにセル高さ調整器具を取り付けるだけで、簡単に、また低コストに、臥床者の体圧を分散させることができる。
【0027】
また、本発明の床ずれ抑制寝具を用いると、臥床者の体格や寝姿などに応じて突出部の位置が変わる場合であっても、当該突出部に対応するセルにセル高さ調整器具を取り付けるだけで、臥床者の体圧を分散させることができる。なお、マットレスの上面に形成される凹部を、体の突出部のみならず、他の所望の部位に、対応させてもよい。
また、既存のマットレスに本発明のセル高さ調整器具を取り付けるだけで、当該マットレスに、臥床者の体圧を分散させる機能を付与することができる。このため、汎用性が高い。
【0028】
(8−1)好ましくは、上記(8)の構成において、前記マットレスは、前記セルユニットの、上側および下側のうち、少なくとも一方に配置され、ポリマーを含み前記臥床者の体圧により弾性的に変形可能なセンサ薄膜と、該センサ薄膜に直接あるいは間接的に接続される複数の電極と、複数の該電極間に形成される複数の検出部と、を有し、複数の該検出部に加わる該体圧を電気量として検出可能なシート状のセンサを備え、該電気量を基に該臥床者の体圧分布を算出し、該マットレスにおける該体圧が集中する領域に、前記筒部が環装された前記セルを配置する構成とする方がよい。
【0029】
ここで、「直接あるいは間接的に」とは、電極とセンサ薄膜とが接合されているかいないかによらず電極がセンサ薄膜に直接接続されている場合と、電極とセンサ薄膜との間に少なくとも一つの別の層(例えば電極保護層など)が介装されている場合と、を含む。
【0030】
本構成によると、センサを用いて得られた体圧分布から、マットレスにおける体圧が集中する領域を、特定することができる。このため、より確実に臥床者の体圧を分散させることができる。特に、セルの高さを調整する作業者に、臥床者が、自身の意思を伝えにくい場合に、本構成は有効である。
【0031】
また、センサ薄膜は、臥床者の体圧により弾性的に変形可能である。このため、センサは、柔軟であり、伸縮性を有している。したがって、センサが、臥床者の体に沿って変形しやすい。よって、センサが、臥床者の近く、例えばセルユニットの上側に配置されている場合であっても、臥床者は、硬さ、ごわつきなどの違和感を感じにくい。また、センサは、臥床者の体の動きに対しても、追従して変形しやすい。このため、体圧分布の検出精度が高い。
【0032】
(8−2)好ましくは、上記(8−1)の構成において、前記センサにおいて、複数の前記電極は、前記センサ薄膜の上側に配置される帯状の上側電極と、該センサ薄膜の下側に配置される帯状の下側電極と、からなり、複数の前記検出部は、該上側電極と該下側電極とが、上側または下側から見て、交差することにより形成され、前記体圧により該検出部の静電容量が変化する構成とする方がよい。本構成によると、検出部の静電容量の変化を基に、臥床者の体圧分布を算出することができる。
【0033】
(8−3)好ましくは、上記(8−2)の構成において、前記上側電極および前記下側電極は、ポリマーと、該ポリマーに充填される導電性フィラーと、を含んで形成される構成とする方がよい。
【0034】
本構成によると、上側電極、下側電極が、センサ薄膜と共に伸縮することができる。したがって、センサ薄膜の伸縮を、上側電極、下側電極が規制するおそれは小さい。また、センサ全体の伸縮性がより大きくなる。このため、センサが、臥床者の体に沿って変形しやすい。また、センサが、臥床者の体の動きに対しても、追従して変形しやすい。
【発明の効果】
【0035】
本発明によると、低コストで臥床者の体圧を分散可能で、臥床者に応じてセルの高さを簡単に調整可能なセル高さ調整器具および床ずれ抑制寝具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】第一実施形態の床ずれ抑制寝具が配置されたベッドの分解斜視図である。
【図2】同ベッドの前後方向断面図である。
【図3】同床ずれ抑制寝具のマットレスのセルユニットの上面図である。
【図4】同床ずれ抑制寝具のマットレスのセンサの透過上面図である。
【図5】図4のV−V断面図である。
【図6】図2の枠VI内部分の拡大図である。
【図7】第一実施形態のセル高さ調整器具が取り付けられたエアセルの斜視図である。
【図8】同セル高さ調整器具とエアセルとの分解斜視図である。
【図9】同セル高さ調整器具が取り付けられたエアセルの下面図である。
【図10】図9の円X内部分の拡大図である。
【図11】第二実施形態のセル高さ調整器具の巻装状態における上面図である。
【図12】第三実施形態のセル高さ調整器具が取り付けられた3個のエアセルの斜視図である。
【図13】第四実施形態の床ずれ抑制寝具のマットレスのセンサの断面図である。
【図14】第五実施形態の床ずれ抑制寝具のマットレスのセンサの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明のセル高さ調整器具および床ずれ抑制寝具の実施の形態について説明する。
【0038】
<<第一実施形態>>
<床ずれ抑制寝具の配置および構成>
まず、本実施形態の床ずれ抑制寝具の配置および構成について説明する。図1に、本実施形態の床ずれ抑制寝具が配置されたベッドの分解斜視図を示す。図2に、同ベッドの前後方向断面図を示す。図1、図2に示すように、ベッド9は、床ずれ抑制寝具1と、ベッド本体90と、クッションマット91と、を備えている。
【0039】
床ずれ抑制寝具1は、ベッド本体90の床板900の上面に配置されている。クッションマット91は、マットレス3の上面に配置されている。クッションマット91は、ポリエチレンテレフタレートなどの三次元立体編物(旭化成せんい(株)製「フュージョン(登録商標)」)製であって、長方形板状を呈している。臥床者Mは、クッションマット91の上面に寝ている。床ずれ抑制寝具1は、合計5個のセル高さ調整器具2と、マットレス3と、を備えている。
【0040】
[マットレス3]
マットレス3は、セルユニット30と、体圧調整部と、制御部と、センサ33と、カバー34と、を備えている。
【0041】
(セルユニット30、カバー34)
図3に、本実施形態の床ずれ抑制寝具のマットレスのセルユニットの上面図を示す。図1〜図3に示すように、セルユニット30は、前後方向に長い長方形板状を呈している。セルユニット30は、合計24個のエアセル300を備えている。エアセル300は、本発明の「セル」の概念に含まれる。エアセル300は、各々、ウレタンフィルム製であって、左右方向に長い角筒袋状を呈している。エアセル300は、前後方向に連なっている。エアセル300は、柔軟である。エアセル300と、後述する体圧調整部と、の間では、空気の給排が行われる。空気は、本発明の「流体」の概念に含まれる。カバー34は、ウレタンフィルム製であって、前後方向に長い長方形袋状を呈している。カバー34には、セルユニット30が収容されている。
【0042】
(体圧調整部31)
体圧調整部31は、合計24組の給排ユニット310を備えている。24組の給排ユニット310は、24個のエアセル300に接続されている。なお、図3においては、給排ユニット310を一組だけ示す。
【0043】
24組の給排ユニット310は、各々、ポンプ310aと、給排切替バルブ310bと、圧力計310cと、メインホース310dと、排気ホース310eと、を備えている。メインホース310dは、ポンプ310aとエアセル300とを接続している。メインホース310dの途中には、給排切替バルブ310bと、圧力計310cと、が配置されている。給排切替バルブ310bはポンプ310a側に、圧力計310cはエアセル300側に、それぞれ配置されている。排気ホース310eは、給排切替バルブ310bに接続されている。給排切替バルブ310bを切り替えることにより、メインホース310dと排気ホース310eとを、連結、遮断することができる。
【0044】
(センサ33)
図1、図2に示すように、センサ33は、カバー34の上面に配置されている。図4に、本実施形態の床ずれ抑制寝具のマットレスのセンサの透過上面図を示す。図5に、図4のV−V断面図を示す。なお、図4においては、上側絶縁被覆層331を省略して示す。また、下側電極01Y〜16Y、下側配線01y〜16yを細線で示す。また、検出部A0101〜A1616にハッチングを施して示す。また、図5においては、上側配線01x〜16x、下側配線01y〜16y、上側配線用コネクタ333、下側配線用コネクタ334を省略して示す。
【0045】
図4、図5に示すように、センサ33は、センサ薄膜330と、上側電極01X〜16Xと、下側電極01Y〜16Yと、検出部A0101〜A1616と、上側配線01x〜16xと、下側配線01y〜16yと、上側絶縁被覆層331と、下側絶縁被覆層332と、上側配線用コネクタ333と、下側配線用コネクタ334と、を備えている。なお、検出部の符号「A○○△△」中、上二桁の「○○」は、上側電極01X〜16Xに対応している。下二桁の「△△」は、下側電極01Y〜16Yに対応している。センサ33の切断時伸びは、300%である。
【0046】
センサ薄膜330は、ウレタンゴム製であって、シート状を呈している。ウレタンゴムは、「ポリマー」の概念に含まれる。センサ薄膜330は、前後方向に長い長方形膜状を呈している。
【0047】
上側電極01X〜16Xは、センサ薄膜330の上面に、合計16本配置されている。上側電極01X〜16Xは、各々、アクリルゴムと、導電性カーボンブラックと、を含んで形成されている。アクリルゴムは、「ポリマー」の概念に含まれる。導電性カーボンブラックは、「導電性フィラー」の概念に含まれる。上側電極01X〜16Xは、各々、帯状を呈している。上側電極01X〜16Xは、各々、左右方向に延在している。上側電極01X〜16Xは、前後方向に、所定間隔毎に離間して、互いに略平行になるように、配置されている。
【0048】
上側配線01x〜16xは、センサ薄膜330の上面に、合計16本配置されている。上側配線01x〜16xは、各々、アクリルゴムと、銀粉と、を含んで形成されている。上側配線01x〜16xは、各々、線状を呈している。上側配線用コネクタ333は、センサ薄膜330の右前隅に配置されている。上側配線01x〜16xは、各々、上側電極01X〜16Xの右端と、上側配線用コネクタ333と、を接続している。
【0049】
上側絶縁被覆層331は、センサ薄膜330の上側に配置されている。上側絶縁被覆層331は、アクリルゴムを含んで形成されている。上側絶縁被覆層331は、シート状を呈している。上側絶縁被覆層331は、センサ薄膜330、上側電極01X〜16X、上側配線01x〜16xを、上側から覆っている。
【0050】
下側電極01Y〜16Yは、センサ薄膜330の下面に、合計16本配置されている。下側電極01Y〜16Yは、各々、アクリルゴムと、導電性カーボンブラックと、を含んで形成されている。アクリルゴムは、「ポリマー」の概念に含まれる。導電性カーボンブラックは、「導電性フィラー」の概念に含まれる。下側電極01Y〜16Yは、各々、帯状を呈している。下側電極01Y〜16Yは、各々、前後方向に延在している。下側電極01Y〜16Yは、左右方向に、所定間隔毎に離間して、互いに略平行になるように、配置されている。
【0051】
下側配線01y〜16yは、センサ薄膜330の下面に、合計16本配置されている。下側配線01y〜16yは、各々、アクリルゴムと、銀粉と、を含んで形成されている。下側配線01y〜16yは、各々、線状を呈している。下側配線用コネクタ334は、センサ薄膜330の右後隅に配置されている。下側配線01y〜16yは、各々、下側電極01Y〜16Yの後端と、下側配線用コネクタ334と、を接続している。
【0052】
下側絶縁被覆層332は、センサ薄膜330の下側に配置されている。下側絶縁被覆層332は、アクリルゴムを含んで形成されている。下側絶縁被覆層332は、シート状を呈している。下側絶縁被覆層332は、センサ薄膜330、下側電極01Y〜16Y、下側配線01y〜16yを、下側から覆っている。
【0053】
検出部A0101〜A1616は、図4にハッチングで示すように、上側電極01X〜16Xと、下側電極01Y〜16Yと、が上側または下側から見て、交差する部分(重複する部分)に配置されている。検出部A0101〜A1616は、各々、上側電極01X〜16Xの一部と、下側電極01Y〜16Yの一部と、センサ薄膜330の一部と、を備えている。検出部A0101〜A1616は、合計256個(=16個×16個)配置されている。検出部A0101〜A1616は、センサ33の略全面に亘って配置されている。
【0054】
(制御部32)
制御部32は、電源回路320と、CPU(Central Processing Unit)321と、RAM(Random Access Memory)322と、ROM(Read Only Memory)323と、駆動回路324と、を備えている。
【0055】
電源回路320は、検出部A0101〜A1616に、正弦波状の交流電圧を印加する。交流電圧は、検出部A0101〜A1616に、走査的に順番に印加される。ROM323には、予め、検出部A0101〜A1616における静電容量と体圧(荷重)との対応を示すマップが、格納されている。RAM322には、上側配線用コネクタ333、下側配線用コネクタ334から入力されるインピーダンス、位相が、一時的に格納される。CPU321は、RAM322に格納されたインピーダンス、位相を基に、検出部A0101〜A1616の静電容量を抽出する。そして、静電容量から、センサ33における体圧分布を算出する。
【0056】
図3に示すように、駆動回路324は、体圧調整部31の給排ユニット310の、ポンプ310aと、給排切替バルブ310bと、に接続されている。また、制御部32には、体圧調整部31の給排ユニット310の圧力計310cから、圧力が電気信号として入力される。
【0057】
[セル高さ調整器具2]
図2、図3に示すように、臥床者Mの臀部と背中(肩甲骨付近)とは、下側に突出している。このため、臀部と背中とには、臥床者Mの体圧が集中しやすい。合計5個のセル高さ調整器具2は、24個のエアセル300のうち、臀部の下側に配置された3個のエアセル300と、背中の下側に配置された2個のエアセル300と、に取り付けられている。
【0058】
図6に、図2の枠VI内部分の拡大図を示す。図7に、本実施形態のセル高さ調整器具が取り付けられたエアセルの斜視図を示す。図8に、同セル高さ調整器具とエアセルとの分解斜視図を示す。図9に、同セル高さ調整器具が取り付けられたエアセルの下面図を示す。図10に、図9の円X内部分の拡大図を示す。
【0059】
なお、図8においては、帯部20を透過して示す。また、下向係合部22bにハッチングを施して示す。また、図6、図7、図9、図10に示す状態は、本発明の「巻装状態」に相当する。図8に示す状態は、本発明の「展開状態」に相当する。
【0060】
図6〜図8に示すように、セル高さ調整器具2は、帯部20と目盛部21と係合部22とを備えている。帯部20は、ポリウレタン製であって、長方形帯状を呈している。図7に示すように、巻装状態において、帯部20は、エアセル300の両端以外の部分の外周面に巻装されている。
【0061】
係合部22は、上向係合部22aと下向係合部22bとを備えている。上向係合部22a、下向係合部22bは、マジックテープ(登録商標)である。図8に示すように、展開状態において、上向係合部22aは、帯部20の前縁20a付近の上面に配置されている。また、下向係合部22bは、帯部20の後縁20b付近の下面に配置されている。図6に示すように、巻装状態において、帯部20の巻回端、および係合部22は、エアセル300の下側に配置されている。上向係合部22aは、下向係合部22bの下側に、回り込んでいる。上向係合部22aと下向係合部22bとは、係脱可能に係合している。
【0062】
図8に示すように、展開状態において、目盛部21は、帯部20の下面に配置されている。図9、図10に示すように、巻装状態において、目盛部21は、帯部20の前縁20aにより、径方向外側から、部分的に覆われている。ここで、目盛部21のうち、前縁20aが重なる位置は、巻装状態における帯部20の周長を示している。すなわち、目盛部21と前縁20aとの位置関係から、巻装状態における帯部20の周長を認識することができる。
【0063】
<体圧分散方法>
次に、本実施形態の床ずれ抑制寝具を用いた体圧分散方法について説明する。体圧分散方法は、体圧分布算出工程と、セル高さ調整器具取付工程と、セル膨張工程と、を有している。
【0064】
[体圧分布算出工程]
本工程においては、まず、クッションマット91の上面に臥床者Mが寝ていない状態で、全てのエアセル300を同様に膨張させる。具体的には、図3に示すように、全ての給排ユニット310を駆動する。すなわち、まず、メインホース310dを介して、ポンプ310aとエアセル300とを連結する。続いて、制御部32の駆動回路324により、ポンプ310aを駆動する。そして、エアセル300内に空気を供給する。制御部32には、圧力計310cを介して、エアセル300の内圧が入力される。エアセル300の内圧が所定圧力に達したら、制御部32はポンプ310aを停止する。このようにして、全てのエアセル300の内圧を、略一定にする。並びに、全てのエアセル300の上面の高さを、略一定にする。言い換えると、クッションマット91の上面をフラットな状態にする。
【0065】
次に、クッションマット91の上面に臥床者Mを寝させる。それから、センサ33の検出部A0101〜A1616の静電容量を基に、制御部32が臥床者Mの体圧分布を算出する。本工程により、臥床者Mの臀部と背中とに体圧が集中していることが判る。
【0066】
それから、全てのエアセル300を同様に収縮させる。具体的には、図3に示すように、全ての給排ユニット310を駆動する。すなわち、制御部32の駆動回路324により、給排切替バルブ310bを切り替える。そして、メインホース310dと排気ホース310eとを連結する。連結により、エアセル300内の空気は、メインホース310dと排気ホース310eとを介して、外部に排気される。このため、全てのエアセル300が収縮する。
【0067】
[セル高さ調整器具取付工程]
本工程においては、臀部下の3個のエアセル300と、背中下の2個のエアセル300と、にセル高さ調整器具2を取り付ける。具体的には、図8、図7に示すように、まず、セル高さ調整器具2の帯部20を、収縮した状態のエアセル300に環装する。次に、目盛部21と前縁20aとの位置関係を目安に、巻装状態における帯部20の周長を設定する。それから、設定された周長を保持したまま、係合部22の上向係合部22aと下向係合部22bとを係合させる。本工程により、巻装状態における、セル高さ調整器具2が取り付けられているエアセル300の上面の高さを想定することができる。また、巻装状態における、セル高さ調整器具2が取り付けられているエアセル300の上面と、セル高さ調整器具2が取り付けられていないエアセル300の上面と、の高低差を想定することができる。
【0068】
[セル膨張工程]
本工程においては、体圧分布算出工程同様に、クッションマット91の上面に臥床者Mが寝ていない状態で、全てのエアセル300に空気を送り込む。そして、全てのエアセル300を膨張させる。ここで、セル高さ調整器具2が取り付けられていないエアセル300は、体圧分布算出工程同様の周長まで、膨張する。これに対して、セル高さ調整器具2が取り付けられているエアセル300は、セル高さ調整器具2により、膨張が抑制される。このため、帯部20の周長までしか、膨張することができない。このため、セル高さ調整器具2が取り付けられているエアセル300の上面と、セル高さ調整器具2が取り付けられていないエアセル300の上面と、の間に高低差が発生する。したがって、図2に示すように、クッションマット91の上面に凹凸が形成される。具体的には、クッションマット91の上面のうち、臥床者Mの臀部と背中とに対応する領域が、下側に没入する。
【0069】
この状態で、臥床者Mをクッションマット91に寝かせると、臥床者Mの下面が、広い面積でクッションマット91に支持される。このため、臀部、背中に体圧が集中するのを抑制することができる。すなわち、臥床者Mの体圧を分散させることができる。
【0070】
なお、臥床者Mの下面の凹凸と、クッションマット91の上面の凹凸と、がフィットしない場合は、フィットするまで、セル高さ調整器具取付工程(帯部20の周長を調整する)と、セル膨張工程と、を繰り返す。
【0071】
<作用効果>
次に、本実施形態のセル高さ調整器具および床ずれ抑制寝具の作用効果について説明する。本実施形態のセル高さ調整器具2は、膨張可能なエアセル300に取り付けられる。セル高さ調整器具2が取り付けられているエアセル300は、セル高さ調整器具2が取り付けられていないエアセル300と比較して、膨張しにくい。このため、セル高さ調整器具2が取り付けられているエアセル300の方が、セル高さ調整器具2が取り付けられていないエアセル300よりも、上面の高さが低くなる。したがって、クッションマット91の上面に、複数のエアセル300の並置方向(前後方向)に沿って、凹凸が形成される。当該凹凸のうち、凹部を、臥床者Mの体の突出部(臀部、背中)に、対応させることにより、臥床者Mの体の突出部に体圧が集中するのを抑制することができる。
【0072】
このように、本実施形態のセル高さ調整器具2を用いると、臥床者Mの体の突出部に対応するエアセル300にセル高さ調整器具2を取り付けるだけで、簡単に、また低コストに、臥床者Mの体圧を分散させることができる。
【0073】
また、本実施形態のセル高さ調整器具2を用いると、臥床者Mの体格や寝姿などに応じて突出部の位置が変わる場合であっても、当該突出部に対応するエアセル300にセル高さ調整器具2を取り付けるだけで、臥床者Mの体圧を分散させることができる。なお、クッションマット91の上面に形成される凹部を、体の突出部のみならず、他の所望の部位に、対応させてもよい。
【0074】
また、既存のマットレス3に本実施形態のセル高さ調整器具2を取り付けるだけで、当該マットレス3に、臥床者Mの体圧を分散させる機能を付与することができる。このため、汎用性が高い。
【0075】
また、本実施形態のセル高さ調整器具2によると、エアセル300に帯部20を環装することにより、セル高さ調整器具2を取り付けることができる。すなわち、エアセル300に対するセル高さ調整器具2の取付作業が簡単になる。また、エアセル300に対する帯部20の巻装長(周長)を調整することにより、エアセル300の上面の高さを調整することができる。具体的には、帯部20の周長を短くすると、エアセル300の上面の高さを低くすることができる。反対に、帯部20の周長を長くすると、エアセル300の上面の高さを高くすることができる。
【0076】
また、本実施形態のセル高さ調整器具2によると、エアセル300の高さを調整する作業者が目盛部21を確認することにより、エアセル300を膨張させる前の状態であっても、膨張後のエアセル300の上面の高さを、ある程度想定することができる。
【0077】
また、エアセル300の周長は、セル高さ調整器具2が取り付けられていないエアセル300の上面の高さの目安になる。このため、エアセル300を膨張させる前の状態であっても、エアセル300の周長と目盛部21(帯部20の周長)とから、膨張後における、セル高さ調整器具2が取り付けられていないエアセル300の上面と、セル高さ調整器具2が取り付けられているエアセル300の上面と、の高低差を想定することができる。また、本実施形態のセル高さ調整器具2は、巻装状態を保持する係合部22を備えている。このため、簡単に、エアセル300の上面を所望の高さに保持することができる。
【0078】
また、本実施形態のセル高さ調整器具2によると、帯部20は、単一のエアセル300に巻装されている。このため、単一のエアセル300単位で、エアセル300の上面の高さを調整することができる。したがって、クッションマット91の上面に、緻密な凹凸を形成することができる。また、臥床者Mの体の突出部が小さい場合であっても、簡単にクッションマット91の凹部を対応させることができる。
【0079】
また、本実施形態のセル高さ調整器具2によると、帯部20の巻回端は、エアセル300の下側に配置されている。このため、隣接するエアセル300の動きを、巻回端が規制するおそれがない。
【0080】
また、本実施形態の床ずれ抑制寝具1によると、センサ33を用いて得られた体圧分布から、クッションマット91における体圧が集中する領域を、特定することができる。このため、より確実に臥床者Mの体圧を分散させることができる。特に、エアセル300の高さを調整する作業者に、臥床者が、自身の意思を伝えにくい場合に、本実施形態の床ずれ抑制寝具1は有効である。
【0081】
また、センサ33のセンサ薄膜330は、ウレタンゴム製である。このため、センサ33は、柔軟であり、伸縮性を有している。したがって、センサ33が、臥床者Mの体に沿って変形しやすい。よって、臥床者Mは、硬さ、ごわつきなどの違和感を感じにくい。また、センサ33は、臥床者Mの体の動きに対しても、追従して変形しやすい。このため、体圧分布の検出精度が高い。
【0082】
また、センサ33の上側電極01X〜16X、下側電極01Y〜16Yは、アクリルゴムを含んでいる。このため、上側電極01X〜16X、下側電極01Y〜16Yが、センサ薄膜330と共に伸縮することができる。したがって、センサ薄膜330の伸縮を、上側電極01X〜16X、下側電極01Y〜16Yが規制するおそれは小さい。また、センサ33全体の伸縮性がより大きくなる。このため、センサ33が、臥床者Mの体に沿って変形しやすい。また、センサ33が、臥床者Mの体の動きに対しても、追従して変形しやすい。また、本実施形態の床ずれ抑制寝具1によると、センサ33の静電容量の変化から体圧分布を算出することができる。
【0083】
また、センサ33の上側絶縁被覆層331、下側絶縁被覆層332は、アクリルゴムを含んでいる。このため、上側絶縁被覆層331が上側電極01X〜16Xと共に伸縮することができる。並びに、下側絶縁被覆層332が下側電極01Y〜16Yと共に伸縮することができる。このため、上側電極01X〜16X、下側電極01Y〜16Yの伸縮を上側絶縁被覆層331、下側絶縁被覆層332が規制するおそれは小さい。また、センサ33全体の伸縮性がより大きくなる。このため、センサ33が、臥床者Mの体に沿って変形しやすい。また、センサ33が、臥床者Mの体の動きに対しても、追従して変形しやすい。
【0084】
また、上側電極01X〜16X、下側電極01Y〜16Yは、共に帯状である。並びに、検出部A0101〜A1616は、上側電極01X〜16Xと下側電極01Y〜16Yとの交差部分を利用して配置されている。このため、電極数および配線数が少なくて済む。すなわち、検出部A0101〜A1616は、センサ33に、合計256個配置されている。ここで、検出部A0101〜A1616毎に電極を配置すると、上側電極が256個、下側電極が256個、それぞれ必要になる。これに対して、本実施形態のセンサ33によると、256個の検出部A0101〜A1616を確保するのに、上側電極01X〜16X、下側電極01Y〜16Yを合計32本(=16本+16本)配置するだけで済む。このため、電極および配線の配置数が少なくなる。加えて、上側電極01X〜16X、下側電極01Y〜16Yの本数、配置などを変更するだけで、検出部A0101〜A1616の数、配置密度などを調整することができる。したがって、エアセル300の数や大きさに応じて、所望のセンサ33を容易に構成することができる。
【0085】
また、エアセル300の内圧調整には、空気が用いられている。このため、内圧調整に液体(水など)を使用する場合と比較して、セルユニット30の重量が軽くなる。また、センサ33の上面には、クッションマット91が配置されている。言い換えると、臥床者Mとセンサ33との間に、クッションマット91が介装されている。クッションマット91は通気性に優れている。このため、センサ33と臥床者Mとの間に湿気がこもりにくい。その結果、床ずれを抑制することができ、寝心地も向上する。
【0086】
<<第二実施形態>>
本実施形態の床ずれ抑制寝具と、第一実施形態の床ずれ抑制寝具と、の相違点は、巻装状態において、エアセルのうち帯部が環装された領域が、筒軸方向(左右方向)両端から筒軸方向中央に向かって尖る、双テーパ状を呈している点である。ここでは、相違点についてのみ説明する。
【0087】
図11に、本実施形態のセル高さ調整器具の巻装状態における上面図を示す。なお、図8と対応する部位については同じ符号で示す。また、展開状態を細線で示す。また、帯部20を透過して示す。
【0088】
図11に示すように、展開状態において、帯部20の前縁20aは、筒軸方向中央が後方に凹む、曲線状を呈している。また、展開状態において、帯部20の後縁20bは、左右方向中央が前方に凹む、曲線状を呈している。
【0089】
巻装状態においては、このような形状の帯部20が、エアセル300に取り付けられる。巻装状態において、エアセル300のうち帯部20が環装された領域は、筒軸方向両端から筒軸方向中央に向かって尖る、双テーパ状(砂時計状)を呈している。筒軸方向両端から筒軸方向中央に向かって、エアセル300の上面の高さは、徐々に低くなっている。
【0090】
本実施形態の床ずれ抑制寝具と、第一実施形態の床ずれ抑制寝具と、は構成が共通する部分に関しては、同様の作用効果を有している。また、臥床者の胴部の断面形状は、楕円形を呈している。このため、本実施形態のセル高さ調整器具2によると、クッションマットのうち帯部20が環装されたエアセル300に対応する領域が、胴部を、包み込むように、広い面積で支持しやすい。したがって、体圧を分散させやすい。
【0091】
<<第三実施形態>>
本実施形態の床ずれ抑制寝具と、第一実施形態の床ずれ抑制寝具と、の相違点は、巻装状態において、単一の帯部が3個のエアセルを括っている点である。ここでは、相違点についてのみ説明する。
【0092】
図12に、本実施形態のセル高さ調整器具が取り付けられた3個のエアセルの斜視図を示す。なお、図7と対応する部位については同じ符号で示す。図12に示すように、セル高さ調整器具2は、3個のエアセル300に取り付けられている。すなわち、帯部20は、3個のエアセル300を括っている。
【0093】
本実施形態の床ずれ抑制寝具と、第一実施形態の床ずれ抑制寝具と、は構成が共通する部分に関しては、同様の作用効果を有している。また、本実施形態のセル高さ調整器具2によると、複数のエアセル300単位でエアセル300の上面の高さを調整することができる。このため、クッションマットの上面に、大まかな凹凸を形成することができる。また、臥床者の体の突出部が大きい場合であっても、簡単にクッションマットの凹部を対応させることができる。
【0094】
<<第四実施形態>>
本実施形態の床ずれ抑制寝具と、第一実施形態の床ずれ抑制寝具と、の相違点は、センサの構成だけである。ここでは相違点について説明する。図13に、本実施形態の床ずれ抑制寝具のマットレスのセンサの断面図を示す。なお、図5と対応する部位については同じ符号で示す。
【0095】
図13に示すように、センサ33は、上側電極保護層335と、上側基板336と、下側電極保護層337と、下側基板338と、を備えている。上側基板336は、シリコーンゴム製であって、前後方向に長い長方形フィルム状を呈している。上側電極01X〜16X、上側配線は、上側基板336の下面に配置されている。上側電極保護層335は、シリコーンゴム製である。上側電極保護層335は、上側電極01X〜16X、上側配線を下側から覆っている。下側基板338は、シリコーンゴム製であって、前後方向に長い長方形フィルム状を呈している。下側電極09Y、下側配線は、下側基板338の上面に配置されている。下側電極保護層337は、シリコーンゴム製である。下側電極保護層337は、下側電極09Y、下側配線を上側から覆っている。センサ薄膜330は、ウレタンフォーム製である。
【0096】
本実施形態の床ずれ抑制寝具と、第一実施形態の床ずれ抑制寝具と、は構成が共通する部分に関しては、同様の作用効果を有している。また、本実施形態の床ずれ抑制寝具のマットレスのように、上側電極01X〜16Xとセンサ薄膜330との間に上側電極保護層335が、下側電極09Yとセンサ薄膜330との間に下側電極保護層337が、それぞれ介装されていても、言い換えると、センサ薄膜330に、上側電極01X〜16Xと、下側電極09Yと、が「間接的に」接続されていてもよい。本実施形態の床ずれ抑制寝具のマットレスによると、センサ薄膜330に電極、配線を配置しにくい場合(例えばセンサ薄膜330が発泡体製の場合)であっても、上側基板336、下側基板338に電極、配線を配置することができる。
【0097】
<<第五実施形態>>
本実施形態の床ずれ抑制寝具と第一実施形態の床ずれ抑制寝具との相違点は、センサの構成が異なる点である。ここでは相違点についてのみ説明する。図14に、本実施形態の床ずれ抑制寝具のマットレスのセンサの上面図を示す。図14に示すように、センサ35は、センサ薄膜350と、基板351と、コネクタ352と、電極01a〜16a、01b〜16b、01c〜16c、01d〜16dと、配線353と、を備えている。
【0098】
基板351は、エラストマー製であって、長方形板状を呈している。基板351は、弾性変形可能である。センサ薄膜350は、基板351の上面に配置されている。センサ薄膜350は、導電性フィラーが配合されたエチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体(EPDM)製であって、長方形膜状を呈している。センサ薄膜350における導電性フィラーの含有割合は、センサ薄膜350の体積を100vol%とした場合の約45vol%である。無荷重状態において、センサ薄膜350は、高い導電性を有する。一方、荷重が加わりセンサ薄膜350が変形すると、導電性フィラー同士の接触状態が変化する。これにより、三次元的な導電パスが崩壊し、センサ薄膜350の電気抵抗は増加する。つまり、センサ薄膜350の電気抵抗は、弾性変形量が増加するのに従って増加する。コネクタ352は、正方形板状を呈している。コネクタ352は、基板351の上面の右後隅に配置されている。
【0099】
電極01a〜16aは、センサ薄膜350の左辺に、所定間隔ずつ離間して並んでいる。電極01b〜16bは、センサ薄膜350の右辺に、所定間隔ずつ離間して並んでいる。電極01a〜16aと電極01b〜16bとは、図14に一点鎖線で示すように、各々、左右方向に対向している。
【0100】
電極01c〜16cは、センサ薄膜350の後辺に、所定間隔ずつ離間して並んでいる。電極01d〜16dは、センサ薄膜350の前辺に、所定間隔ずつ離間して並んでいる。電極01c〜16cと電極01d〜16dとは、図14に一点鎖線で示すように、各々、前後方向に対向している。これら一点鎖線の交点(合計256=16×16)が、検出部である。電極01a〜16a、01b〜16b、01c〜16c、01d〜16dと、コネクタ352とは、各々、配線353により接続されている。
【0101】
制御部36は、電源回路360と、CPU361と、RAM362と、ROM363と、駆動回路364と、を備えている。制御部36は、コネクタ352と電気的に接続されている。ROM363には、予め、検出部における電気抵抗と体圧(荷重)との対応を示すマップが、格納されている。電源回路360は検出部に直流電圧を印加する。直流電圧は、合計256点の検出部に、走査的に順番に印加される。各検出部の電気抵抗は、RAM362に一時的に格納される。CPU361は、RAM362に格納された電気抵抗から、センサ薄膜350の荷重分布を算出する。駆動回路364は、前出図3を援用して示すように、体圧調整部31の給排ユニット310の、ポンプ310aと給排切替バルブ310bとに接続されている。また、制御部36には、給排ユニット310の圧力計310cから、圧力が電気信号として入力される。
【0102】
本実施形態の床ずれ抑制寝具と、第一実施形態の床ずれ抑制寝具と、は構成が共通する部分に関しては、同様の作用効果を有している。また、本実施形態の床ずれ抑制寝具のマットレスによると、センサ35の電気抵抗の変化から体圧分布を算出することができる。
【0103】
<<その他>>
以上、本発明のセル高さ調整器具および床ずれ抑制寝具の実施の形態について説明した。しかしながら、実施の形態は上記形態に特に限定されるものではない。当業者が行いうる種々の変形的形態、改良的形態で実施することも可能である。
【0104】
例えば、セル膨張工程後は、床ずれ抑制寝具1のマットレス3からセンサ33、35を撤去してもよい。また、センサ33、35を用いずに、臥床者Mの嗜好により、セル高さ調整器具2を取り付けるエアセル300を選択してもよい。
【0105】
セル高さ調整器具2の係合部22の種類は特に限定しない。ボタン、ジッパー、ベルトを利用してもよい。また、係合爪と、当該係合爪が係止される被係合部と、を用いてもよい。また、単一のエアセル300に、複数のセル高さ調整器具2を配置してもよい。この際、複数のセル高さ調整器具2の周長が異なっていてもよい。こうすると、単一のエアセル300の上面に、凹凸を形成することができる。第三実施形態においては、単一の帯部20により3個のエアセル300をまとめて括ったが、単一の帯部20により括るエアセル300の数は、特に限定しない。
【0106】
帯部20の材質は特に限定しない。例えば、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリアミドなどの樹脂、ウレタン系、オレフィン系、スチレン系、アミド系、エステル系、塩化ビニル系などの熱可塑性エラストマー、およびウレタンゴム、ブチルゴム、シリコーンゴムなどのゴム、さらにポリエステル、ポリアミドなどの布や不織布などであってもよい。また、エアセル300と同じ材料でもよい。また、エアセル300の動きを規制しないように、摩擦係数が低い材料の方がよい。また、エアセル300の膨張を規制しやすいように、ヤング率が高い材料の方がよい。また、帯部20の巻回数により、エアセル300の膨張に対する規制力を調整してもよい。また、上向係合部22aが展開状態における帯部20の上面全面に配置されていてもよい(図8参照)。また、下向係合部22bが展開状態における帯部20の下面全面に配置されていてもよい(図8参照)。また、帯部20の左右方向長さ、肉厚は特に限定しない。また、帯部20の代わりに、巻回端のない筒部を配置してもよい。共通の筒部を有する複数のセル高さ調整器具2を複数のエアセル300に取り付けることにより、複数のエアセル300の上面の高さを、簡単に、揃えることができる。
【0107】
また、センサ33、35の構成、形状、大きさなどは、特に限定しない。また、センサ33、35から出力される電気量についても、電圧、電気抵抗、静電容量などのいずれであってもよい。電源回路320、360が検出部に印加する電圧は、交流であっても直流であってもよい。また、電圧の波形は、正弦波状であっても、矩形波状であってもよい。
【0108】
また、センサ33、35において、センサ薄膜330、350のポリマーの種類は、特に限定しない。例えば、第一〜第四実施形態の静電容量型のセンサ33では、伸縮の繰り返しに対する耐久性、および静電容量を大きくするという観点から、伸び、強度、および比誘電率が大きいエラストマーを用いることが望ましい。例えば、シリコーンゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム、アクリルゴム、エピクロロヒドリンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、ウレタンゴム、天然ゴム、イソプレンゴム、およびこれらの発泡体や、ウレタンフォームなどが好適である。
【0109】
また、センサ薄膜330は、エラストマー以外の他のポリマー製、例えば伸縮性を有する布製であってもよい。この場合、センサ薄膜330に荷重が加わると、布を構成する繊維間の隙間が潰されて、布の厚さは小さくなる。つまり、センサ薄膜330の厚さが小さくなる。これにより、上側電極01X〜16Xと下側電極01Y〜16Yとの間の距離は小さくなる。その結果、上側電極01X〜16Xと下側電極01Y〜16Yとの間の静電容量(検出部A0101〜A1616の静電容量)が大きくなり、荷重が検出される。
【0110】
布は、伸縮性を有するものであれば、織布、編み布、不織布のいずれであってもよい。布を使用することにより、伸縮柔軟性に優れたセンサ薄膜330を、比較的低コストに実現することができる。また、布を構成する繊維間には隙間がある。このため、小さな荷重で押圧された場合でも、隙間が潰れることにより、布の厚さは変化しやすい。したがって、センサ薄膜330は、高い検出感度を有し、応答性に優れる。センサ薄膜330は、単層であっても、複層であってもよい。複層の場合、異なる材質の誘電層を用いてもよい。
【0111】
また、第五実施形態の抵抗変化型のセンサ35では、導電性フィラーとの相溶性などを考慮して、シリコーンゴム、エチレン−プロピレン共重合ゴム、天然ゴム、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム、アクリルゴムなどが好適である。なお、第五実施形態では、センサ薄膜350の電気抵抗は、弾性変形量(荷重)が増加するのに従って増加した。しかし、荷重が増加するのに従って、電気抵抗が低下するようなセンサ薄膜350を使用してもよい。センサ薄膜350の電気抵抗の挙動については、母材のエラストマーの種類、導電性フィラーの種類および配合量などにより、調整することができる。
【0112】
また、上側基板336、下側基板338の材質は、特に限定しない。絶縁性を有する樹脂、エラストマーを用いればよい。例えば、ポリアミド、ポリエチレン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、アクリルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、エチレンプロピレン共重合体ゴム、天然ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、エピクロルヒドリンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、塩素化ポリエチレンゴム、ブチルゴムを用いてもよい。なお、電極、配線は、上側基板336、下側基板338に印刷してもよい。
【0113】
第一〜第四実施形態のセンサ33においては、電極および配線を、エラストマーを含んで形成した。この場合、電極および配線が伸縮するため、センサ薄膜330と一体となって変形することができる、という利点がある。
【0114】
電極および配線に用いられるポリマーの材質は特に限定しない。ポリマーは、シリコーンゴム、エチレン−プロピレン共重合ゴム、天然ゴム、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム、アクリルゴム、エピクロロヒドリンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、ウレタンゴムなどのエラストマーであってもよい。また、ポリマーは、ポリエステル、エポキシなどの樹脂であってもよい。こうすると、電極の伸縮性が高くなる。このため、電極とセンサ薄膜330とが一体的に屈曲、伸縮しやすい。
【0115】
電極および配線に用いられる導電性フィラーの材質は特に限定しない。導電性フィラーは、炭素材料および金属から選ばれる一種以上からなるものであってもよい。金属としては、導電性の高い銀、銅等が好適である。よって、導電性フィラーとして、銀、銅等の微粒子、あるいは表面に銀等のめっきを施した微粒子を使用することができる。また、炭素材料は、導電性が良好で、比較的安価である。このため、炭素材料からなる導電性フィラーを用いると、センサ33、35の製造コストを低減することができる。炭素材料としては、例えば、導電性カーボンブラック、カーボンナノチューブ、カーボンナノチューブの誘導体、グラファイト、導電性炭素繊維などが挙げられる。特に、導電性カーボンブラック、グラファイト、導電性炭素繊維は、導電性が良好で、比較的安価である。このため、これらの材料を用いると、センサ33、35延いては床ずれ抑制寝具1の製造コストを削減することができる。また、電極、配線を、金属材料や、有機繊維の表面に金属めっきを施した材料などで形成してもよい。
【0116】
また、いずれの実施形態においても、電極の数、配置場所については、特に限定しない。例えば、第一〜第四実施形態のセンサ33において、帯状の上側電極01X〜16X、下側電極01Y〜16Yの数、幅、長さについては、適宜決定すればよい。例えば、幅が大きいものと小さいものとを混合して、配置してもよい。また、上側電極01X〜16X、下側電極01Y〜16Yの配置形態を変えることにより、検出部A0101〜A1616の数、配置を調整すればよい。
【0117】
上記実施形態では、一層のセンサ33、35により、体圧分布を検出した。しかし、二層以上のセンサ33、35を使用して、体圧分布を検出してもよい。例えば、検出部が密に配置されているセンサ33、35と、検出部が疎に配置されているセンサ33、35と、別々に準備して、床ずれが生じやすい部位には前者を配置して、それ以外の部位には後者を配置してもよい。
【0118】
上記実施形態では、センサ33、35を、カバー6の上面に配置した。しかし、センサ33、35を、カバー6の下側に配置してもよい。また、センサ33、35を、カバー6の内部に配置してもよい。センサ33、35とカバー6とは、全体的に接着されていても、されていなくてもよい。センサ33、35をカバー6の上面に配置する場合には、センサ33、35がエアセル300の動きに追従しやすいように、センサ33、35の全体を接着しない方が望ましい。この場合、例えば、センサ33、35の外縁の複数個所をカバー6に固定することにより、センサ33、35のずれを抑制することができる。
【0119】
上記実施形態では、センサ33、35の上面に、クッションマット91を配置した。クッションマット91の材質は、通気性、クッション性を有するものであれば、特に限定しない。上記実施形態の他、例えば、東洋紡績(株)製の「ブレスエアー(登録商標)」、ウレタンフォームなどを用いたマットを使用してもよい。なお、クッションマット91を配置しなくてもよい。
【0120】
また、クッションマット91の上面を覆うように、さらにカバーを配置してもよい。これにより、クッションマット91、マットレス3が汚れるのを抑制することができる。また、意匠性も向上する。この場合、カバーは通気性を有することが望ましい。
【0121】
上記実施形態では、エアセル300の内圧調整に空気を用いたが、窒素など他の気体、水、オイル、ジェルなどの液体を用いてもよい。また、エアセル300の配置数、形状、寸法などは特に限定しない。エアセル300と検出部A0101〜A1616とを、上下方向に対向して配置してもよい。また、ポンプ310aの代わりに、コンプレッサーやブロワなど、別の送風装置を配置してもよい。
【符号の説明】
【0122】
1:床ずれ抑制寝具、2:セル高さ調整器具、3:マットレス、6:カバー、9:ベッド。
20:帯部、20a:前縁、20b:後縁、21:目盛部、22:係合部、22a:上向係合部、22b:下向係合部、30:セルユニット、31:体圧調整部、32:制御部、33:センサ、34:カバー、35:センサ、36:制御部、90:ベッド本体、91:クッションマット。
300:エアセル(セル)、310:給排ユニット、310a:ポンプ、310b:給排切替バルブ、310c:圧力計、310d:メインホース、310e:排気ホース、320:電源回路、321:CPU、322:RAM、323:ROM、324:駆動回路、330:センサ薄膜、331:上側絶縁被覆層、332:下側絶縁被覆層、333:上側配線用コネクタ、334:下側配線用コネクタ、335:上側電極保護層、336:上側基板、337:下側電極保護層、338:下側基板、350:センサ薄膜、351:基板、352:コネクタ、353:配線、360:電源回路、361:CPU、362:RAM、363:ROM、364:駆動回路、900:床板。
01X〜16X:上側電極、01Y〜16Y:下側電極、01a〜16a:電極、01b〜16b:電極、01c〜16c:電極、01d〜16d:電極、01x〜16x:上側配線、01y〜16y:下側配線、A0101〜A1616:検出部、M:臥床者。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
臥床者を下側から支持し、流体を流入させることにより膨張する複数のセルを有するセルユニットを備えるマットレスの、一部の該セルに環装される筒部を備え、
該セルの膨張を該筒部が規制することにより、該筒部が環装された該セルの上面の高さを、該筒部が環装されない該セルの上面の高さよりも、低く設定するセル高さ調整器具。
【請求項2】
前記筒部は、帯状の展開状態と、前記セルに巻装される筒状の巻装状態と、に切り替え可能な帯部であり、
該巻装状態において該セルの膨張を該帯部が規制することにより、該帯部が巻装された該セルの上面の高さを、該帯部が巻装されない該セルの上面の高さよりも、低く設定する請求項1に記載のセル高さ調整器具。
【請求項3】
さらに、前記帯部に配置され、前記巻装状態における該帯部の周長を表示する目盛部を備える請求項2に記載のセル高さ調整器具。
【請求項4】
さらに、前記帯部に配置され、前記巻装状態を保持する係合部を備える請求項2または請求項3に記載のセル高さ調整器具。
【請求項5】
前記筒部は、単一の前記セルに巻装される請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のセル高さ調整器具。
【請求項6】
前記筒部は、複数の前記セルを括って巻装される請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のセル高さ調整器具。
【請求項7】
前記セルのうち前記筒部が環装された領域は、該筒部の周方向に対して直交する筒軸方向に沿って、高さが一定でない請求項1ないし請求項6のいずれかに記載のセル高さ調整器具。
【請求項8】
請求項1ないし請求項7のいずれかに記載のセル高さ調整器具と、
臥床者を下側から支持し、流体を流入させることにより膨張する複数のセルを有するセルユニットを備えるマットレスと、
を備え、
該セル高さ調整器具の筒部は、一部の該セルに環装され、
該セルの膨張を該筒部が規制することにより、該筒部が環装された該セルの上面の高さを、該筒部が環装されない該セルの上面の高さよりも、低く設定する床ずれ抑制寝具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−66025(P2012−66025A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−215655(P2010−215655)
【出願日】平成22年9月27日(2010.9.27)
【出願人】(000219602)東海ゴム工業株式会社 (1,983)
【出願人】(504145342)国立大学法人九州大学 (960)
【Fターム(参考)】