説明

センサバイアスを打ち消す慣性測定システム及び方法

【課題】固定のバイアスオフセットが打ち消される新規で且つ改良されたシステム及び方法を提供する。
【解決手段】ジャイロスコープがその入力軸に垂直な軸の周りで周期的にディザを受け、ジャイロスコープからの信号を遅延して、ディザ周期の半分だけジャイロスコープ信号より遅れる遅延信号を発生し、そしてその遅延信号と、ジャイロスコープからの信号とを合成して、バイアスが打ち消された出力信号を発生する慣性測定システム及び方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、慣性測定に係り、より詳細には、速度センサ又はジャイロスコープの固定バイアスオフセットが打ち消される慣性測定システム及び方法に係る。
【0002】
関連出願のクロスレファレンス:米国特許出願第11/072,064号、現在の米国特許第7,191,636号、の一部継続出願。
【背景技術】
【0003】
角速度センサ又はジャイロスコープ(ジャイロ)は、入力軸の周りに回転が存在しない場合に非ゼロ出力を示す。この非ゼロ出力は、バイアスと称され、慣性測定に著しいエラーを生じさせることがある。エラーの大きさは、使用するセンサ又はジャイロスコープの形式に依存する。オフセットエラーに厳格な制限のある用途では、残留オフセットエラーが非常に低い高価なセンサを一般に使用しなければならないが、これらのセンサは、多くの場合、比較的大きくて重たいものである。
【0004】
これまで、オフセットエラーは、一定の回転を付与することで排除されている。例えば、ジャイロスコープや加速度計のような水平慣性計器が、垂直軸の周りでカルーセル式に回転されている。しかしながら、一定の回転を付与することは、常に可能ではなく、又、常に望まれるものでもない。
【0005】
リングレーザジャイロでは、良く知られた周波数ロックイン作用によって生じるエラーは、入力軸の周りでセンサにディザを生じさせることにより最小にされる。しかしながら、センサをその入力軸の周りで回転させることは、検出されるべきもの以外の角速度入力を与えるので、望ましくない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
又、従来の慣性システムでは、時間に伴うオフセット及び温度のようなファクタによるオフセットの変化を予想するために、複雑なモデルに依存することも必要である。これらのモデルは、幾つかの用途においては極めて有用であるが、モデルより高い精度レベルにオフセットを打ち消すことがしばしば必要である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一般的に、本発明の目的は、固定のバイアスオフセットが打ち消される新規で且つ改良されたシステム及び方法を提供することである。
【0008】
本発明の別の目的は、従来の制約及び欠点を克服する上記特徴のシステム及び方法を提供することである。
【0009】
これら及び他の目的は、本発明によれば、ジャイロスコープがその入力軸に垂直な軸の周りで周期的にディザを受け、ジャイロスコープからの信号を遅延して、ディザ周期の半分だけジャイロスコープ信号より遅れる遅延信号を発生し、そしてその遅延信号と、ジャイロスコープからの信号とを合成して、バイアスが打ち消された出力信号を発生する慣性測定システム及び方法を提供することにより達成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1に示すように、このシステムは、取り付けベース11と、該ベース上の変調器12に取り付けられた2つの角速度センサ即ちジャイロスコープGx及びGyとを備え、センサの入力軸は、名目上、ベースのx軸及びy軸に整列される。変調器は、センサを、センサの入力軸及びベースに垂直なz軸の周りで回転させる。回転は、その性質上、振動又はディザであり、周波数が数Hzないし数百Hz程度で、振幅が数ミリラジアンないし数十度程度である。センサ13は、変調器の位置を監視し、そして変調器及び速度センサの瞬時角度変位に対応する信号を発生する。以下に詳細に述べるように、この信号は、システムが、ジャイロの出力信号の処理に関して変調の作用を復調又は除去できるようにする。
【0011】
変調器は、振動する機械的撓み部又はスプリング、検流計、ボイスコイルアクチュエータ、圧電アクチュエータ、モーター、又はマイクロ電気機械(MEMS)ベースの構造体を含む適当な既知の設計のものでよい。変調の振幅は、ジャイロ出力信号を充分に分析するに足る大きさでなければならず、又、周波数は、測定されるべき回転より高くなければならない。更に、変調器は、センサ軸の平面において安定した運動を与えねばならない。この運動は、正弦波又は方形波のような簡単な周期的波形、或いはより複雑な運動を含む適当な形式のものでよい。
【0012】
又、変調センサ13も、コイル及び磁石、光学的センサ、又はエンコーダのような従来設計のものでよい。
【0013】
変調器が回転すると、速度センサ即ちジャイロの入力軸がベースの固定軸に対して回転させられ、所与の時間におけるセンサ軸とベースの軸の間の整列の差が変調器の瞬時角度位置に等しくなる。センサを入力軸の周りで回転し、従って、角速度入力をセンサに付与する従来の装置とは異なり、変調器は、入力軸それ自体を回転し、スプリアスな速度入力が生じない。入力軸の方向は、比較的迅速な振動性運動を伴うディザのように変化され、外部から付与される他の角度入力が存在しないときに、センサ軸の回転で回転速度信号が発生することはない。
【0014】
図2において、速度センサ即ちジャイロの入力軸x’、y’が、ベースの固定基準軸x、yに対して角度θmだけ回転されて示されている。z軸は、図の紙面に対して垂直であり、外部の回転速度Ωが、y軸の周りで、ベースを含む全システムに付与される。
【0015】
広帯域巾の用途の場合、変調器は、典型的に2−50ミリラジアン程度の振幅及び20−500Hz程度の周波数で、z軸の周りを振動し、より高い振動周波数が、典型的に、より小さな振動振幅に関連される。ジャイロコンパスのような狭帯域巾の用途の場合に、大きな振動振幅を伴う低速変調、例えば、1Hz未満の周波数における10度以上の振幅が使用される。センサ13は、θmの瞬時値を検出し、そしてジャイロからの出力信号を処理するのに使用される信号を発生する。この信号は、システムが速度センサGx及びGyの経時変化入力軸を補償できるようにし、そしてジャイロ出力を復調するのに使用される。
【0016】
速度センサ即ちジャイロは、入力軸の変調周波数で測定するために適当な帯域巾を有していなければならず、又、ジャイロ変調信号を充分に分析できるように変調周波数付近の周波数レンジにおいてノイズが充分に低くなければならない。
【0017】
復調の前に、各速度センサ即ちジャイロの出力は、センサの固定オフセット及び外部付与の角速度の組み合せより成る。変調は、付与される角速度には影響するが、固定オフセットには影響しないので、システムは、それらの間を区別することができる。
【0018】
2つの信号が入力軸の変調により異なる仕方で影響される状態で、比較的簡単な信号処理を使用して、2つの信号を分離し、ジャイロオフセットエラー又はバイアスの典型的な影響が実質的にないジャイロ出力を発生することができる。軸の瞬時方向に対応する変調センサからの信号を、処理回路において入力軸復調器に関連して使用して、機械的変調の影響が除去される。
【0019】
経時変化変調角度θmは、一定角度θ0と、例えば、角周波数ωにおいて時間tで正弦波的に変化する変調振幅mとの和として書き表すことができる。従って、θm=θ0+m sin(ωt)。外部から付与される回転ΩによるジャイロGxの出力信号Sxは、次のように表わされる。
Sx=Ω sin(θm)=Ω sin[θ0+m sin(ωt)]
角度の和のサインに対して三角法の恒等式を使用し、mの二次以下の項を保持して、バイアスオフセットBxを追加すると、次のような関係が得られる。
Sx=Ω[sin(θ0)(1−(1/2)m2 sin2(ωt))+cos(θ0)m sin(ωt)]+Bx
【0020】
固定オフセットBxは変調されず、そして同期復調が周波数f=ω/2πにおいてSxに対して実行される場合には、Ωm cos(θ0)に比例する項だけが残される。mの値は、変調器のピックオフ信号から分かるので、ジャイロGxの入力軸の周りに外部から付与される回転の成分であるΩ cos(θ0)の値が決定される。外部から付与される回転Ωの大きさも分かる場合には、方向角度θ0も決定される。固定バイアスオフセットBxは、x軸に沿った回転の成分及び付与される回転に対する方向の角度の両方について、これらの計算に関して洗い落とされ即ち打ち消される。
【0021】
同様の分析がジャイロGy及び出力信号Syにも適用される。外部から付与される回転の成分は、Gyについても計算され、そしてこの付与される回転の値が分かる場合には、入力回転に対するGyの方向角度を決定することができる。ジャイロGyの固定バイアスByも、ジャイロGxに対する固定バイアスと同様に、この方法により打ち消される。
【0022】
2つのジャイロからの復調された出力で、付与される回転Ω及び方向角度θ0の両方の値を決定することができる。2つのジャイロの復調された出力信号をSxd及びSydとすれば、Sxd∝Ω cos(θ0)そしてSyd∝−Ω sin(θ0)であるから、
Sxd2+Dyd2 ∝ Ω2、及び
Syd/Sxd ∝−tan(θ0
となる。
【0023】
図2では、外部の回転がy軸の周りに付与されて示されているが、この方法は、変調器の平面内の軸の周りに付与される回転、又は平面以外の軸の周りでの回転の平面内成分に対して有効である。このとき、角度θ0は、付与される回転の軸からジャイロGyの入力軸までの角度として、或いは回転軸からジャイロGxの入力軸までの角度の余角として解釈される。
【0024】
図3に示すように、変調器12は、自動利得制御(AGC)回路を含む信号ジェネレータ16により駆動される。変調センサ13の出力は、コンディショニング回路17において処理され、そしてこのコンディショニング回路は、信号ジェネレータのAGC回路へフィードバック信号を与えて、変調の振幅を一定レベルに維持する。図2の場合と同様に、外部から付与される回転Ωは、2つのジャイロの入力軸の平面内における軸に対するものである。
【0025】
2つのジャイロの出力は、一対の復調器18、18の入力に印加され、そして信号コンディショニング回路17の出力は、2つの復調器に位相基準として印加される。復調器の出力は、信号Sxd及びSydであり、ここから、付与された回転Ω及び方向角度θ0の値が決定される。
【0026】
出力信号Sx及びSyは、アナログ信号処理回路(図示せず)へ供給されて、外部付与回転Ωに対応するアナログ出力信号を与えるか、又はデジタル形態に変換されて、エラーのフィルタリング、補償のためにデジタルで処理され、そして出力することもできる。或いは又、ジャイロ及び信号コンディショニング回路は、デジタル出力を与えることができ、そして復調器18、19は、デジタルでもよい。
【0027】
図4の実施形態は、図3の実施形態に類似しているが、単一のジャイロGyのみが使用され、そして信号処理回路17が2つの周波数規準出力を与える。これら出力の1つは、周波数がω/2πであり、図3の実施形態において復調器に印加される基準信号と等価である。これは、復調器18の基準入力に印加される。他の基準出力は、周波数がω/πであり、復調器19の基準入力に印加される。ジャイロGyの出力は、両復調器の信号入力に印加される。
【0028】
復調器18は、図3の実施形態と同様に動作して、出力信号Sy1dを発生し、これは、変調振幅mに直線的に比例するmΩ sin(θ0)に比例する。復調器19は、変調器の周波数の2倍で動作して、ジャイロGyの出力を信号Sy2dへ変換し、これは、m2Ω cos(θ0)、即ち変調振幅mの二次に比例する。2つの復調器からの信号は、付与される回転Ω及び方向角度θ0の値を決定するように組み合せて使用することができる。というのは、mが信号ジェネレータ16により制御され、それ故、既知だからである。
【0029】
望ましい場合には、図4の実施形態は、個別の変調器にジャイロを取り付け、そして各ジャイロの出力を、図4と同様に、処理回路で処理することにより、複数のジャイロへと拡張することができる。
【0030】
又、速度センサ素子を機械的撓み部、等に取り付けることにより、変調器をジャイロ自身の設計に組み込むこともできる。ジャイロ及び撓み部は、次いで、ジャイロの輪郭内にパッケージされる。従って、図5の実施形態では、石英の音叉21の形態の速度センサが、コイルスプリング22の形態の変調器に取り付けられ、音叉の感知軸はy軸に平行であり、且つ変調器はz軸に平行な軸の周りで振動する。
【0031】
又、変調器は、センサ構造体の一体的部分とすることもでき、これは、マイクロ電気機械的(MEMS)技術を使用して、石英又はシリコンウェハから製造されるもののような非常に小さなジャイロ感知素子に対して特に適している。従って、このような装置は、著しいコストやサイズ増加を伴わずに高い精度が要求される用途に適している。
【0032】
本発明は、地球の角速度を使用して北を決定するジャイロコンパス用途に使用するのに特に適している。このような用途では、外部から付与される回転が、単に地球の自転であり、そして角度θ0を決定すると、システムが北を見つけることができる。システムが局所的に水平であるか、又はシステムの傾斜が加速度計の使用により分かる場合には、局所的に水平なシステムの水平面においてジャイロにより測定された地球の速度成分から緯度を決定することもできる。変調振幅の作用に対する調整は、システムの校正において行うことができる。又、本発明は、動的ナビゲーションのような他の慣性用途にも有用である。
【0033】
変調器は、その平面に垂直な軸の周りで回転する平面構造体であるとして図示して説明したが、1つ以上のセンサ入力軸の回転を生じてそれらの軸の方向の振動を生じる限り、他の仕方で実施することもできる。
【0034】
以上に述べた実施形態では、測定されるべき信号をバイアスとは逆に変調する変調動作によりジャイロの固定バイアスの打ち消しが可能にされるが、実際の打ち消しは、復調プロセスにより遂行される。又、整流又は復調の前に経時変化(ac)信号の固定バイアスを打ち消すこともできる。以下に詳細に述べるように、これは、時間遅延された(ディザ変調周期の半分)ジャイロ出力を現在ジャイロ出力から減算して、復調の前にacレベルでバイアスを打ち消すことにより行なわれる。この技術は、ジャイロコンパス中の地球の速度測定のように静的角速度を測定すべき場合、又はディザ周波数がシステム帯域巾要求より相当に高い場合に特に適用できる。
【0035】
図6は、2つの低ノイズジャイロスコープを伴う水平2軸角速度測定ユニットを示す。各ジャイロは、ある量の一定バイアスを出力し得るが、角度ノイズは比較的低い(≦10-3 deg/√hr)。
【0036】
2軸速度測定ユニットは、その局所的垂直(ダウン)軸に対し、Aラジアンの振幅及びfヘルツの周波数で変調され又はディザ作用される。システムへの唯一の角速度入力は、地球の速度である。
【0037】
次いで、x及びyジャイロにより測定された角速度は、次のように表わされる。

但し、Ω=地球の速度、
L=緯度、
ω=2πf
i=i−ジャイロの一定バイアス(i=x又はy)
i=i−ジャイロゼロ−平均ノイズ(i=x又はy)
そして局所的水平基準フレームは、北、東、ダウンであると仮定する。
【0038】
式(1)における項の時間平均は、次の通りである。

【0039】
ゼロ平均ジャイロノイズは、平均化時間Tにわたって無視できるようになると仮定すれば、次のようになる。

【0040】
次いで、次のように定められる。

【0041】
更に、次のようになる。

【0042】
式(3)及び(4)から、次のようになる。

【0043】
従って、式(3)及び(4)におけるサイン項の否定は、サイン項におけるπラジアン(180度)の位相シフトに等しい。次いで、x及びyジャイロに対する差の速度項を次のように定義することができる。

ここで、時間遅延された信号(遅延=変調周期の半分)は、

に置き換えられる。
【0044】
式(6)に示すように、固定バイアスは、復調の前にac信号から除去され、バイアスのない差の項

を発生する。バイアス打ち消しのこの動作は、自己干渉的に行われ、即ちそのπ位相シフト(遅延)値と現在値との差をとることにより行なわれる。
【0045】
当該信号は、πラジアンの位相シフトを含ませることにより符号が反転されるが、固定バイアスは、(定義により)一定である。それ故、遅延された信号と、現在信号との差をとることにより、当該信号の2倍を得、固定バイアスが打ち消される。というのは、ディザにより影響を受けないからである。この方法は、測定されるべき信号が一定である(地球の速度のように)か、又はディザの周期の半分に比してゆっくり変化する場合に最も適している。
【0046】
式(3)ないし(6)から、次のようになる。

【0047】
これは、sin(A sin ωt)で乗算することにより整流されて、次のようになる。

【0048】
従って、次のようになる。

【0049】
式(9)に対してDC成分を取り上げると、次のようになる。

【0050】
比をとると、

次のようになる。

これは、2つのジャイロの平面(ディザ変調の平面)における角度的回転の成分に対するヘディング角度である。式(2)及び(12)から、次のように、一定のジャイロバイアスを計算し、従って、校正することができる。

【0051】
以上の説明において、信号を整流(復調)するのに使用される信号は、時間での実際の変調角度のサインである:sin (A sinωt)。これは、図3−4の実施形態を参照して説明したように、簡単な第1又は第2調波の復調を使用するものとは異なる。むしろ、整流プロセスのこの洗練化は、全ての次数を同時に含む。
【0052】
これは、図3の実施形態と同じ構成のジャイロGx、Gy及び変調器16を有する図6の実施形態において明らかである。しかしながら、この実施形態では、2つのジャイロからの信号が時間遅延回路26、27を通過され、この回路は、変調周期の半分だけ信号を遅延させる。変調器からの信号は、インバータ28、29にも印加され、そして遅延回路及びインバータからの出力信号は、加算回路31、32の入力に印加される。加算回路の出力は、整流器/復調器33、34の入力に印加され、そして信号コンディショニング回路17は、整流信号「sin (A sinωt)」を2つの復調器の各々に与える。復調器33は、ジャイロGyに対する加算信号と「sin (A sinωt)」とを乗算し、そして復調器34は、ジャイロGxに対する加算信号と「sin (A sinωt)」とを乗算する。これら復調器の時間平均化出力は、ジャイロコンパスに必要とされる水平の平面における地球の速度の望ましい成分を与える。
【0053】
必要に応じて、図6の実施形態のジャイロを個別の変調器に配置し、3つの全自由度の速度感知システムを得るように必要に応じて方向付けできる個々のジャイロを構成することができる。
【0054】
本発明は、多数の重要な特徴及び効果を有する。バイアスオフセットの影響を排除することにより、比較的サイズが小さいが、比較的大きなバイアスオフセットのために使用が妨げられる低廉な速度センサ又はジャイロを使用することが可能となる。小さなセンサは、小さな変調器と共に使用するのに適しており、これは、精度の改善されたコンパクトで且つ比較的安価なシステムを提供する。固定のバイアスオフセットは、スプリアスな回転速度信号を発生せずに排除され又は打ち消され、又、システムは、オフセット補償モデルにおいて残留エラーの打消しも与えることができる。
【0055】
以上のことから、新規で且つ改良された慣性測定システム及び方法が提供されたことが明らかであろう。現在好ましい幾つかの実施形態のみを詳細に説明したが、当業者であれば、特許請求の範囲に定められた本発明の範囲から逸脱せずに幾つかの変更や修正がなされ得ることが明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明による速度センサシステムの一実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1の実施形態の上面図である。
【図3】本発明によりセンサからの信号を処理する手段を伴う図1の実施形態のブロック図である。
【図4】本発明による速度センサシステムの別の実施形態のブロック図である。
【図5】本発明による速度センサシステムの別の実施形態の、若干概略的な上面図である。
【図6】本発明による速度センサシステムの別の実施形態のブロック図である。
【符号の説明】
【0057】
11:取り付けベース
12:変調器
13:変調センサ
16:信号ジェネレータ
17:コンディショニング回路
18、19:復調器
21:音叉
22:コイルスプリング
26、27:時間遅延回路
31、32:加算回路
33、34:整流器/復調器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力軸の周りの回転の速度に対応する信号を発生するジャイロスコープのバイアスを打ち消すためのシステムにおいて、前記入力軸に垂直な軸の周りで前記ジャイロスコープに周期的にディザを与える手段と、そのディザ周期の半分だけジャイロスコープ信号より遅れる遅延信号を発生するようにジャイロスコープ信号を遅延させる手段と、前記遅延信号を、前記ジャイロスコープからの信号と合成して、バイアスが打ち消された出力信号を発生する手段と、を備えたシステム。
【請求項2】
信号を合成する前記手段は、一方の信号から他方の信号を減算する手段を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
信号を合成する前記手段は、前記ジャイロスコープ信号を反転するための手段と、この反転信号及び前記遅延信号を一緒に加算して前記出力信号を発生する手段と、を含む請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記出力信号を復調するための手段を更に備えた、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
ジャイロスコープに周期的にディザを与える前記手段は、回転の速度より実質的に高い周波数で前記ジャイロスコープにディザを与えるための手段を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
入力軸の周りの回転の速度に対応する信号を各々発生する複数のジャイロスコープと、前記入力軸に垂直な軸の周りで前記ジャイロスコープの各々に周期的にディザを与える手段と、そのディザ周期の半分だけジャイロスコープ信号より遅れる遅延信号を発生するように前記ジャイロスコープの各々からの信号を遅延させる手段と、前記遅延信号を、それに対応するジャイロスコープからの信号と合成して、バイアスが打ち消された出力信号を発生する手段と、を備えた請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記ジャイロスコープの入力軸は、互いに垂直である、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記ジャイロスコープの入力軸は、共通平面内にある、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
入力軸の周りの回転速度に対応する信号を発生するジャイロスコープのバイアスを打ち消す方法において、前記入力軸に垂直な軸の周りで前記ジャイロスコープに周期的にディザを与えるステップと、そのディザ周期の半分だけジャイロスコープ信号より遅れる遅延信号を発生するようにジャイロスコープ信号を遅延させるステップと、前記遅延信号を、前記ジャイロスコープからの信号と合成して、バイアスが打ち消された出力信号を発生するステップと、を備えた方法。
【請求項10】
前記信号は、一方の信号を他方の信号から減算することにより合成される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記信号は、前記ジャイロスコープ信号を反転し、そしてその反転信号と前記遅延信号とを一緒に加算して前記出力信号を発生することにより、合成される、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記出力信号を復調するステップを更に備えた、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
回転速度より実質的に高い周波数で前記ジャイロスコープにディザを与える、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
入力軸に垂直な軸の周りで複数のジャイロスコープの各々に周期的にディザを与えるステップと、そのディザ周期の半分だけジャイロスコープ信号より遅れる遅延信号を発生するように前記ジャイロスコープの各々からの信号を遅延させるステップと、前記遅延信号を、それに対応するジャイロスコープからの信号と合成し、バイアスが打ち消された出力信号を発生するステップと、を備えた請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記ジャイロスコープの入力軸は、互いに垂直である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記ジャイロスコープの入力軸は、共通平面内にある、請求項14に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−233095(P2008−233095A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−107276(P2008−107276)
【出願日】平成20年3月19日(2008.3.19)
【出願人】(507296861)カスタム センサーズ アンド テクノロジーズ インコーポレイテッド (10)
【Fターム(参考)】