説明

センサーコンタクトレンズ、眼圧の非侵入的なモニタリングのためのシステム、および眼圧を測定するための方法

本発明は、基部に平行な切頭面を有する、切頭されたコンタクトレンズ(1)と、中央に設置され、切頭された領域の周縁部に取り付けられ、圧力の変化に対して感度を有し、生体適合性を有し、透明であって、接触電極(3)を有する高分子ナノ複合材料(2)とを備えていること、およびIOPの測定データを外部システムに伝送するための手段をさらに備えていることを特徴とする。本発明は、i)上記センサーコンタクトレンズを眼に設置して、眼圧を決定し、ii)外側電極間に直流値を供給し、iii)内側電極間のΔVを測定し、iv)得られた値が、比抵抗の変化で表された、上記高分子ナノ複合材料の線形応答の外側にあるかどうかを特定する、上記レンズを用いてIOPを測定するための方法にも関する。本発明は、このレンズを備えた遠隔測定システムにも関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔技術分野〕
本発明は、非侵入的な手法を使って、眼圧(intraocular pressure; IOP)をモニタリングするためのセンサーコンタクトレンズ、およびこのようなセンサーコンタクトレンズを使って眼圧を測定するための方法に関する。
【0002】
特に、本発明は、眼圧を連続的および非侵入的に直接測定する透明な高分子ナノ複合材料を、中心領域に備えたセンサーコンタクトレンズに関する。
【0003】
本発明は、上記センサーコンタクトレンズを備えた、眼圧をモニタリングするための遠隔測定システムにも関する。
【0004】
〔背景技術〕
緑内障は、眼圧(IOP)の増加に起因する眼の病気である。眼圧の増加によって、視神経にゆっくりと回復不能な損傷が発生する。IOPは一日の間に何度も変動するので、この損傷は初期に検出することが非常に難しく、制御することも難しい。したがって、緑内障は、本産業分野において視力障害または盲目の第2位の原因である。
【0005】
診断および制御はIOPを測定することによって行われる。最もよく使用される測定方法はゴールドマン圧平眼圧測定である。
【0006】
このような状況の中、米国特許第6,994,672号明細書および米国特許第7,169,106号明細書(両特許とも特許権者および発明者は同一)には、上記手法に基づいて眼圧を測定するためのデバイスが開示されている。どちらの特許も、特定の一回の測定、またはある時間毎に実施する複数回の測定を利用するので、非連続的である。米国特許第7,169,106号明細書を取り上げて具体的に考察すれば、該特許は、内側の表面の一部にセンサーが接着されたコンタクトレンズを開示している。このセンサーの表面は、眼の表面の一部に接触する。接触表面は外側の領域および内側の領域を有している。内側の領域は、インピーダンス部材として形成されており、内側の領域が、外側の圧平要因からその表面に加えられる圧力が原因となって形状を変化させると、その形状の変化に伴ってインピーダンスが変化するようになっている。
【0007】
さらに、国際特許出願公開第2003/001991号明細書では、シリコーンレンズの外側の領域に挿入されたポリイミド基板上に設けられた、マイクロ加工型歪みゲージに基づいてセンサーレンズが開発されている。このIOP測定システムは、例えば、シリコーンで形成されたコンタクトレンズと、このコンタクトレンズに取り付けられた有効歪みゲージとを備え、該有効張力ゲージが円弧形状を有し、コンタクトレンズの外側の領域とコンタクトレンズのC中心の周囲とに配置されていることを特徴とする。
【0008】
上記コンタクトレンズは、眼の球面の歪みをIOPの変化に相関させ、したがって、IOPが、間接的にヒトの眼の角膜の湾曲(一般的に半径が7.8mm)の変化(約3μm)の面から測定されることになる。また、この測定システムおよびその精度は、眼球運動、まばたき、およびレンズの動きによって左右される。このことは、ノイズ、およびノイズと同じく測定精度に影響し、かつ、ノイズよりも制御し難い角膜の厚さや強剛性、乱視などの諸因子を除去するためには、信号のフィルタリングが必要であることを暗示している。
【0009】
上記国際特許出願において使用された物質が、ポリイミドシリコーン、つまり、眼の液面と問題を起こす疎水性の物質であることは、注目に値する。
【0010】
したがって、現在までに開示されたシステムは、IOPの変化だけを測定するものであって、絶対圧センサーと見なし得る直接測定用センサーを利用していない。
【0011】
したがって、先行技術には、直接および連続的なIOP測定を非侵入的に行い、かつ、現在までに開示された手法の短所を解消するセンサーコンタクトレンズのようなデバイスが開示されていない。
【0012】
〔発明の概要〕
第1の態様では、本発明は、圧力の変化に対して感度を有し、生体適合性を有し、透明な高分子ナノ複合材料を備え、眼圧(IOP)を直接および連続的にモニタリングするための非侵入的なセンサーコンタクトレンズに関する。
【0013】
第2の態様では、本発明は、本発明の第1の態様に係るセンサーコンタクトレンズを使って、眼圧(IOP)を測定するための方法に関する。
【0014】
第3の態様では、本発明は、上記センサーコンタクトレンズを備えた、眼圧をモニタリングするための遠隔測定システムにさらに関する。
【0015】
〔発明の詳細な説明〕
本発明の第1の態様は、
基部に平行な切頭面を有する、切頭されたコンタクトレンズ(1)と、
中央に設置され、切頭された領域の周縁部に取り付けられ、圧力の変化に対して感度を有し、生体適合性を有し、透明であって、接触電極(3)を有する高分子ナノ複合材料(2)とを備えていること、および、
IOPの測定データを外部システムに伝送するための手段をさらに備えていることを特徴とする、例えばポリメタクリル酸メチル製のセンサーコンタクトレンズを、眼圧(IOP)をモニタリングするために提供する。
【0016】
IOPの測定データを伝送するための上記手段は、ワイヤー4、または集積回路5およびアンテナ6のいずれかを備え、アンテナ6は、切頭されたレンズ1の中に配置されても、高分子ナノ複合材料2との結合部材として配置されてもかまわない。このアンテナは、白金、金、または高分子ナノ複合材料で形成されてもかまわない。
【0017】
一方で、上記接触電極3は、常時電力を上記高分子ナノ複合材料に供給する2つの外側電極と、その差分電圧を測定する2つの内側電極とを含んでいる。
【0018】
高分子ナノ複合材料2は、ポリマーマトリックスに密接に接続された有機導電性物質の層で被覆されたポリマーマトリックス(基部基板)から得られたものである。この導電性の層は、電荷輸送性の塩を基にして、分子性の導体のメッシュ状/格子状の結晶によって形成される。
【0019】
好適には、上記高分子ナノ複合材料を使用することによって、比抵抗の変化で表した眼圧(IOP)が変化する間に線形応答が可能になる。
【0020】
上記高分子ナノ複合材料は、圧力の変化に対して感度を有し、生体適合性を有し、透明であって、特に、
i)有機分子または有機巨大分子であって、塩または導電性複合体を形成することができる電子供与体または電子受容体であるが、ドーピングされなければ導電性を有しない分子Aと、分子または巨大分子である該分子Aに対して作用して塩または導電性複合体を形成することができる電子受容体またはドナー化合物であるドーパントDとを備えた、少なくとも1つの塩または導電性複合体からなる有機導電性物質の層と、
ii)上記有機物質の層i)と密接に接触している基部基板またはポリマーマトリックスであって、該基部基板が上記有機物質の層i)に対して活性を有しない、基部基板またはポリマーマトリックスとから得られる。
【0021】
このような分子または巨大分子Aは、アセンの誘導体、コロネンの誘導体、テトラチアフルバレンの誘導体、またはテトラシアノキノジメタンの誘導体、好ましくはビス(エチレンチオ)テトラチアフルバレン(bis (ethylenthio) tetrathiafulvalene; BET−TTF)またはビス(エチレンジチオ)テトラチアフルバレン(bis (ethylenedithio) tetrathiafulvalene; BEDT−TTF)から選択される。上記ドーパントDは、ハロゲン種であり、好適にはヨウ素、臭素、または臭化ヨウ素から選択された種である。
【0022】
好ましくは、上記塩は、(BET−TTF)、(BET−TTF)Br・3HO、(BET−TTF)Ix Br3−x 、および(BET−TTF)Ix Br3−x から選択される。ここで、BET−TTFはビス(エチレンチオ)テトラチアフルバレンである。また、BEDT−TTFはビス(エチレンジチオ)テトラチアフルバレンであり、好ましくは(BET−TTF)Br・3HOである。さらに、有機物質製の導電性の層に対して活性を有しない上記基部基板は、非導電性有機ポリマー、好ましくは熱可塑性ポリマーまたはエラストマー、より好ましくはポリカーボネート、ポリアミド、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレン、またはポリプロピレンから選択される。
【0023】
圧力センサーに応用する場合、繰り返し機械的に加えられる負荷に対して高い耐性を有し、負荷が加えられても破損し難い基板が好ましい。また、この応用例の場合、上記基板は、低い耐熱係数を有する圧力抵抗が高い物質(好ましくは、有機層として(BET−TTF)Br・3HO)からなり、圧力、歪み、または応力の変化に対して感度を有する有機層を備えていることが好ましい。
【0024】
高分子ナノ複合材料2の作製をより良く理解するために、スペイン特許出願公開第P200602887号明細書の内容を参照してここに引用する。
【0025】
好適には、本発明の第1の態様に係るセンサーコンタクトレンズは、長期間に亘って圧力値を非侵入的に直接測定してもよい。また、使用される高分子ナノ複合材料2は、角膜の厚さに関連する先行技術の欠点を回避する。
【0026】
また、好適には、高分子ナノ複合材料2は圧力センサーとして作用するだけではなく、その組成によって、その表面上に集積型遠隔測定回路構成を設計し、信号を抽出することを可能にする。こうすることによって、使い易いセンサーコンタクトレンズを提供することができるようになり、また、可能な限り最も生理学的な方法で、IOPをモニタリングすることが可能になる。
【0027】
したがって、熱転写(thermo printing)法を利用して、電子回路を、高分子ナノ複合材料2の表面上に直接設計してもよい。熱化学転写(thermo−chemical printing)法をより良く理解するために、国際特許出願公開第2007/014975号明細書の内容を参照してここに引用する。
【0028】
本発明に係るセンサーコンタクトレンズが、ヒトまたは動物の眼の眼圧の直接測定システムを提供し、現在までに開示された手法の短所を解消することは注目に値する。
【0029】
特に、本発明の第1の態様によれば、眼圧は、高分子ナノ複合材料全体の変形に直接転換され、したがって、その抵抗を変化させ、その結果、眼圧の変化を直接測定する。高分子ナノ複合材料2は、そのヤング率のために、周りを囲む切頭されたコンタクトレンズ1と比較して、圧力の変化に対して感度が非常に高く、したがって、より変形し易い。さらに、この高分子ナノ複合材料は、全体が有機物からなり、したがって、廃棄し易い。
【0030】
本発明の第1の態様に係るセンサーコンタクトレンズは、眼の眼圧の測定に必要な圧力の範囲内(10mmHg〜21mmHg)では、圧力に対して線形応答を示し、かつ、高感度である。
【0031】
本発明の第2の態様は、本発明の第1の態様に係るセンサーコンタクトレンズを用いて眼圧(IOP)を測定するための方法に関する。この方法は、
i)上記センサーコンタクトレンズを眼に設置して、眼圧を決定するステップと、
ii)外側の接触電極間に直流値を供給するステップと、
iii)内側の接触電極間の差分電圧ΔVを測定するステップと、
iv)得られた値が、上記高分子ナノ複合材料の抵抗と圧力との間の、比抵抗の変化で表された線形応答から外れているかどうかを特定するステップとを含んでいる。
【0032】
本発明の好適な実施形態では、上記レンズの高分子ナノ複合材料2は、ポリカーボネート製の基部基板上の分子性の導体であって、図3に規定する下記の線形応性を与える(BET)Ix Br3−x である。
【0033】
外側の接触電極間の直流値は、通常10μA〜100μAである。
【0034】
ステップiv)で得られた値が、本発明に従って規定される高分子ナノ複合材料の線形応答性を越えているかどうかの特定は、受信ユニット(receiver unit; RU)7に遠隔測定伝送し、さらに無線周波数(RF)またはワイヤーを介して、PCまたはPDA(personal device assistant)8に送信することによって実施される。
【0035】
本発明の第2の態様によれば、眼圧を測定する上記方法のステップiv)は、緑内障として知られている疾患の存在を決定するために必須のステップであり、このステップはヒトまたは動物の体外で実施される。
【0036】
本発明は、第3の態様において、センサーコンタクトレンズを備える遠隔測定システムにさらに関する。このシステムは、このシステムが、
請求項1〜8のいずれか一項に記載のセンサーコンタクトレンズと、
データを処理、保存、および可視化するために、情報を、無線周波数(RF)またはワイヤーを介して、PC型またはPDA型のデータ処理ユニット(8)に送信する、データを受信するための受信ユニット(7)とを備えていることを特徴とする。
【0037】
〔発明を実施するための形態〕
以下に記載の例としての実施形態では、眼圧(IOP)を非侵入的にモニタリングするシステム、およびヒトまたは動物における使用方法を説明する。
【0038】
非侵入的にIOPをモニタリングするためのシステムを実施する目的は、連続モニタリングを例えば24時間行って、一日の内に発生し、時間次第で(概日性の周期で)または薬物療法の効果が原因となって非常に目立つことがある、圧力の変化を評価することを可能にすることである。これらの変動を検出して具体的な測定値を得ることは、難しいかまたは不可能である。このセンサーを用いたモニタリングは、非常に精度がよく、かつ、従来知られている他のシステムと生理学的に区別される。本システムが対象とするヒトは、主に緑内障にかかり易く、上記の変動が非常に重要な意味を持ち得る人々である。
【0039】
〔IOP測定システムの説明〕
本実施例では、以下の構成を備えたIOPモニタリングシステムを使用する。
【0040】
すなわち、上記IOPモニタリングシステムは、図1に示すワイヤーを有するセンサーコンタクトレンズモデルからなる、非侵入的にIOPを測定するためのセンサーコンタクトレンズと、直径6mmの周縁部が残るように基部に平行にカットされ、この周縁部に直径0.3mmの4つの金電極(1mm間隔で配置)を担持する透明な有機高分子ナノ複合材料が取り付けられている標準的な接眼レンズとを含む。この電極は、ワイヤーを介して測定システムに接続される。
【0041】
センサーの材料の強度を測定するための、4本のワイヤーを有するデバイス(例えば、Agilent社の34970A型multimeter source meter、Keithley社の2400型source meter、Keithley社の2601型source meterなど)を使用した。2つの外側電極(I+およびI−)間に10μA〜100μAの電流(DC)を流して、内側電極(V+およびV−)間の電圧の差を測定する。
【0042】
得られた値は、圧力の変化(mmHg)に対する抵抗値のバラツキ(Ω)を示している。これらの値を、ポリカーボネート製の基部基板上の分子性の導体である(BET−TTF)Ix Br3−x 中の高分子ナノ複合材料について、図3に示す抵抗値・圧力相関表にしたがって、圧力値に関連付ける。
【0043】
〔方法の説明〕
〔較正〕
本システムは相対的圧力値をモニタリングするので、眼に装着する前に、標準的な機器(ゴールドマン圧平眼圧計)を使ってIOPを測定し、これを基準値とする。
【0044】
〔取り扱いおよび測定〕
つぎに、通常の接眼レンズと同様にして、本センサーコンタクトレンズを装着する。本実施例では、ワイヤーモデルを使用するので、目蓋の開閉の邪魔にならないよう、ワイヤーを眼の外側の縁まで配線する際には注意しなければならない。
【0045】
ワイヤーを、高分子ナノ複合材料2から計測器まで配線する。データは24時間記録する。このデータをPCに転送して保存、フィルタリング、および分析する。
〔値の計算〕
最後にデータを、記録しておいた初期絶対値を用いて較正した24時間グラフに表示する。
【0046】
IOPの正常値は、概日リズムのために一日を通じて変動する。IOP値は10mmHg〜21mmHgである。ベースライン値を越えたピーク値または増加があれば、視神経に対する外傷が避けられるように、患者の治療法を変えなければならない。
【0047】
本センサーレンズは透明なので、モニタリング中、患者の視覚は正常なままである。
【0048】
上述の遠隔測定(図2参照)を組み込んだモデルでは、ヒトは日常の生活を続けることができ、IOPを測定する対象となる人の通常の生理的条件が、IOP測定になお一層良好に反映される。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】図1は、切頭されたコンタクトレンズ1と高分子ナノ複合材料(2)とを備えた、眼圧を連続的および非侵入的にモニタリングするための本発明に係るセンサーコンタクトレンズを示している。コンタクトレンズ1の切頭面は、このコンタクトレンズの基部に平行である。高分子ナノ複合材料(2)は中央に設置され、切頭された領域の周縁部に取り付けられている。上記材料は接触電極3を有し、切頭されたコンタクトレンズ1は、IOPの測定データを外部システム(図示せず)に伝送するための手段4を有している。この実施形態では、伝送手段はワイヤーである。
【図2】図2は、本発明の遠隔測定システムの一実施形態を示している。該システムにおいて、遠隔測定による伝送手段は、集積回路5およびアンテナ6を有している。この図2は、本発明の第1の態様に係るセンサーコンタクトレンズの構成を概略的に示しており、アンテナ6を介して受信ユニット(receiving unit; RU)7に上記データを送信する集積回路5に、有機ナノ複合材料2が接続されている。このユニットは、後述する図4に示すように、眼鏡などの支持部の上に配置されてもかまわない。また、このユニット(RU)は集積回路に対して電力を提供し、また、PC型またはPDA(personal device assistant)型のデータ処理ユニット8に記憶された情報を、無線周波数(radio frequency; RF)またはワイヤーを介して送信する。このユニットは、データを処理、保存、および可視化することを可能にする。
【図3】図3は、眼圧(IOP)が変化する際の、本発明の第1の態様に係る視覚センサーレンズの一実施形態の応答を、ポリカーボネート製の基礎支持部上の高分子ナノ複合材料である(BET−TTF)Ix Br3−x における比抵抗の変化の面から示している。
【図4】図4は、眼球上に設置された本発明のセンサーコンタクトレンズの一実施形態、および遠隔測定部材が眼鏡のフレームに組み込まれたシステムの作動図を示している。参照記号の意味は上述の通りである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基部に平行な切頭面を有する、切頭されたコンタクトレンズ(1)と、
中央に配置され、切頭された領域の周縁部に取り付けられ、圧力の変化に対して応答性を有し、生体適合性を有し、透明であって、接触電極(3)を有する高分子ナノ複合材料(2)とを備えていること、および、
IOPの測定データを外部システムに伝送する手段をさらに備えていることを特徴とする、眼圧(IOP)を非侵入的にモニタリングするためのセンサーコンタクトレンズ。
【請求項2】
上記高分子ナノ複合材料が、
i)有機分子または有機巨大分子であって、塩または導電性複合体を形成することができる電子供与体または電子受容体であるが、ドーピングされなければ導電性を有しない分子Aと、分子または巨大分子である該分子Aに対して作用して塩または導電性複合体を形成することができる電子受容体またはドナー化合物であるドーパントDとを備えた、少なくとも1つの塩または導電性複合体で形成された有機物質の層と、
ii)上記有機物質の層i)と密接に接触している基部基板またはポリマーマトリックスであって、該基部基板が上記有機物質の層i)に対して活性を有しない、基部基板またはポリマーマトリックスとから得られたものである、請求項1に記載のセンサーコンタクトレンズ。
【請求項3】
上記高分子ナノ複合材料(2)が、ポリカーボネート製の高分子マトリックス上の(BET−TTF)Ix Br3−x に基づいている、請求項1または2に記載のセンサーコンタクトレンズ。
【請求項4】
上記切頭されたコンタクトレンズ(1)がポリメタクリル酸メチルで形成された、請求項1に記載のセンサーコンタクトレンズ。
【請求項5】
IOPの測定データを伝達する上記の手段が、ワイヤー(4)または、集積回路(5)およびアンテナ(6)を備えている、請求項1に記載のセンサーコンタクトレンズ。
【請求項6】
上記アンテナ(6)が切頭されたコンタクトレンズ(1)の中に配置されている、請求項1および5に記載のセンサーコンタクトレンズ。
【請求項7】
上記アンテナ(6)が、白金、金、または上記高分子ナノ複合材料で形成された、請求項6に記載のセンサーコンタクトレンズ。
【請求項8】
上記接触電極(3)が、直流を供給するための2つの外側電極および差分電圧を測定するための2つの内側電極である、請求項1に記載のセンサーコンタクトレンズ。
【請求項9】
i)請求項1〜8のいずれか1項に記載のセンサーコンタクトレンズを眼に設置して、眼圧を決定するステップと、
ii)外側の接触電極間に直流値を供給するステップと、
iii)内側の接触電極間の差分電圧ΔVを測定するステップと、
iv)得られた値が、上記高分子ナノ複合材料の抵抗と圧力との間の、比抵抗の変化で表された線形応答からはずれているかどうかを特定するステップとを備えている、上記センサーコンタクトレンズを用いて眼圧(IOP)を測定するための方法。
【請求項10】
上記高分子ナノ複合材料が、ポリカーボネート製の基部基板上の分子性の導体である(BET−TTF)Ix Br3−x に基づいており、
図3で規定された線形応答が得られる、請求項9に記載の眼圧(IOP)を測定するための方法。
【請求項11】
請求項1〜8のいずれか1項に記載のセンサーコンタクトレンズと、
データを処理、保存、および可視化するために、情報を、無線周波数(RF)またはワイヤーを介して、PC型またはPDA(8)型のデータ処理ユニットに送信するデータ受信ユニット(7)とを備えていることを特徴とする、眼圧をモニタリングするためのシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2011−521759(P2011−521759A)
【公表日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−512160(P2011−512160)
【出願日】平成21年6月5日(2009.6.5)
【国際出願番号】PCT/ES2009/070205
【国際公開番号】WO2009/147277
【国際公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【出願人】(593005895)コンセホ・スペリオール・デ・インベスティガシオネス・シエンティフィカス (67)
【氏名又は名称原語表記】CONSEJO SUPERIOR DE INVESTIGACIONES CIENTIFICAS
【出願人】(510264545)ウニヴェルシダッド デ ヴァリャドリード (3)
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSIDAD DE VALLADOLID
【住所又は居所原語表記】Plaza de Santa Cruz,8,47002 Valladolid,SPAIN
【出願人】(510322018)
【氏名又は名称原語表記】INSTITUCIO CATALANA DE RECERCA I ESTUDIS
【住所又は居所原語表記】Passeig Lluis Companys,23,E−08010 Barcelona,Spain
【出願人】(510321376)ウニベルシダッド アウトノマ デ バルセロナ (1)
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSIDAD AUTONOMA DE BARCELONA
【住所又は居所原語表記】Campus de Bellaterra,s/n,E−08193 Cerdanyola del Valles,(Barcelona),Spain
【出願人】(510322029)
【氏名又は名称原語表記】CIBER−BBN
【住所又は居所原語表記】C/Maria de Luna,11,E−50018 Zaragoza,Spain
【Fターム(参考)】