説明

センサー素子、センサーデバイス、力検出装置およびロボット

【課題】3軸方向の力に対する検出能力に大きな差が出ない力検出装置と、その力検出装置を実現するセンサー素子を提供する。
【解決手段】非圧電性および非導電性を有する基板の少なくとも一方の面に圧電性被膜が形成された圧電体と、導電性を有する電極基板と、を有し、前記基板と前記電極基板との間に前記圧電性被膜が配置されるセンサー素子。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサー素子、センサーデバイス、力検出装置およびロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、圧電材料を用いた力センサーとしては特許文献1のものが知られていた。すなわち、特許文献1の図15に示されている、信号電極15を圧電材料である結晶円板16により挟持し、さらに金属カバー円板17によって挟持された測定素子を、複数配置した力センサーが開示されている。なお、特許文献1に開示されている、圧電材料である結晶円板16は、水晶円板を示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平4−231827号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述の特許文献1において開示されている、圧電材料として水晶を用いたセンサーの場合、薄板状に形成された円板では水晶結晶の異方性から、円板面方向に掛かる力による発生する電荷量に対して、円板面に交差する方向に掛かる力による発生する電荷量は極めて少なくなる。この発生する電荷量である検出値の差に対しては、センサーの検出値から力を演算する演算手段に、電荷量の差分を増幅する回路部を備えることで補正している。しかし、センサーの検出値が小さいことにより、増幅回路を用いることで検出誤差までも増幅されることとなり、正確な力検出が困難である、という課題があった。
【0005】
そこで、3軸方向の力に対する検出能力に大きな差を出さず、検出誤差の増幅が抑制される力検出装置と、その力検出装置を実現するセンサー素子を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、少なくとも上述の課題の一つを解決するように、下記の形態または適用例として実現され得る。
【0007】
〔適用例1〕本適用例のセンサー素子は、非圧電性および非導電性を有する基板の少なくとも一方の面に圧電性被膜が形成された圧電体と、導電性を有する電極基板と、を有し、前記基板と前記電極基板との間に前記圧電性被膜が配置されることを特徴とする。
【0008】
本適用例のセンサー素子によれば、電極基板と基板の間に圧電体を配置させることにより、圧電体を圧縮させる方向に掛かる力によって圧電性被膜に容易に電荷を発生させることができる。この電荷量を検出し力として測定する際に、多くの電荷を発生させることができることで、力に演算するための演算手段において検出信号の増幅割合を小さくすることができるため、センサー素子の検出値の誤差の増幅も小さくすることができ、ノイズの少ない、より正確な力検出を可能とするセンサー素子を得ることができる。
【0009】
〔適用例2〕上述の適用例において、前記基板は水晶から形成され、前記圧電性被膜が形成される前記基板の被膜形成面が、前記水晶の電気軸(X軸)と機械軸(Y軸)とを含むことを特徴とする。
【0010】
上述の適用例によれば、高い剛性を備える水晶により基板を形成することによって、検出すべき力を基板で緩衝させること無く、圧電性被膜に検出すべき力が付加され、より正確な力の検出ができるセンサー素子を得ることができる。
【0011】
〔適用例3〕上述の適用例において、前記圧電性被膜がチタン酸ジルコン酸鉛である、ことを特徴とする。
【0012】
上述の適用例によれば、チタン酸ジルコン酸鉛いわゆるPZTによって圧電性被膜を形成することで、付加される力に対して多くの電荷を発生させることができるため、正確な力を検出することができるセンサー素子を得ることができる。
【0013】
〔適用例4〕本適用例のセンサーデバイスは、上述のセンサー素子と、前記電極基板に誘起される電荷量を検出し、前記センサー素子に掛かる力を演算する演算手段と、を含むことを特徴とする。
【0014】
上述の適用例によれば、電極基板と基板の間に圧電体を配置させることにより、圧電体を圧縮させる方向に掛かる力によって圧電性被膜に容易に電荷を発生させることができる。この電荷量を検出し力として測定する際に、多くの電荷を発生させることができることで、力に演算するための演算手段において検出信号の増幅割合を大きくする必要が無いため、センサー素子の検出値の誤差の増幅も小さくすることができるので、正確な力検出を可能とするセンサーデバイスを得ることができる。
【0015】
〔適用例5〕本適用例力検出装置は、上述のセンサー素子と、前記電極基板に誘起される電荷量を検出し、前記センサー素子に掛かる力を演算する演算手段と、を含むことを特徴とする。
【0016】
上述の適用例によれば、多くの電荷量を発生させることができる上述の適用例によるセンサーデバイスでは、電荷量を検出し力として測定する際に、力に演算するための演算手段において検出信号の増幅割合を大きくする必要が無く、センサー素子の検出値の誤差の増幅も小さくすることができる。このセンサーデバイスを力検出装置のデバイスの一つとして用いることで、上述の適用例におけるセンサーデバイスが検出する力と異なる方向の力を検出するセンサーデバイスと組合せた場合であっても、様々な力の方向に対して正確な力の検出を可能とする力検出装置を得ることができる。
【0017】
〔適用例6〕本適用例のロボットは、上述のセンサー素子と、前記電極基板に誘起される電荷量を検出し、前記センサー素子に掛かる力を演算する演算手段と、を備えることを特徴とする。
【0018】
上述の適用例によれば、作動するロボットアームあるいはロボットハンドに対して、所定動作中に起こる障害物への接触の検出、対象物への接触力を、力検出装置により確実に検出し、ロボット制御装置へデータをフィードバックすることで、安全で細かな作業が可能なロボットを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】第1実施形態に係るセンサー素子を示し、(a)は構成要素の配置を示す斜視図、(b)は断面図、(c)は基板結晶軸の説明図。
【図2】第1実施形態に係る圧電体のその他の形態を示す断面図。
【図3】第2実施形態に係るセンサーデバイスを示す概略断面図。
【図4】第3実施形態に係る力検出装置を模式図的に示し、(a)は断面図、(b)は各センサー素子の機能説明図。
【図5】第3実施形態に係る力検出装置を用いた6軸力検出装置を示し、(a)は平面図、(b)は(a)に示すA−A´部の断面図。
【図6】第4実施形態に係るロボットの構成を示す外観図。
【図7】実施例を示す,(a)は電荷量のグラフ、(b)は比較例のセンサーデバイスを示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して、本発明に係る実施形態を説明する。なお、本明細書において圧電性とは、力が加えられと力に応じた表面電荷が現れる性質、すなわち圧電効果を言い、非圧電性とは、力が加えられても表面電荷が現れない、すなわち圧電効果を有しないことを言う。
【0021】
(第1実施形態)
図1は第1実施形態に係るセンサー素子を示す、(a)は構成要素の配置を示す斜視図、(b)は組立断面図、(c)は基板結晶軸の説明図である。図1(a),(b)に示すセンサー素子10は、基板1と、被膜形成面としての基板1の一方の面1a上に形成された圧電性被膜2と、を有する圧電体3と、電極基板4と、が電極基板4を介して基板1の一方の面1a上に形成された圧電性被膜2を対向させて積層配置されている。基板1は、非圧電性と非導電性とを有する材料より形成され、圧電性被膜2は、例えば酸化亜鉛(ZnO)、窒化アルミ(AlN)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)などを、基板1の一方の面1a上に成膜される。成膜方法としては、CDV法、スパッタリング法、ゾルゲル法などが好適に用いられる。
【0022】
図1(b)に示すように、センサー素子10は、圧電体3の圧電性被膜2が電極基板4の基板面側となるように配置し、圧電体3によって電極基板4を挟持する。このように配置、構成されたセンサー素子10に図示方向の圧縮する力Fが付加されると、圧電性被膜2は基板1と電極基板4とによって圧縮される。圧縮によって圧電性被膜2には歪が生じ、この歪によって電荷が発生する。発生した電荷とは逆電位の電荷が電極基板4に励起される。電極基板4に励起された電荷を検出し、後述するが、図示しない回路装置によって圧縮力Fが演算され、計測することができる。
【0023】
従って、圧電性被膜2は図1(b)に示すF方向、すなわち圧縮方向の力による歪によって電荷を発生させる圧電性を備えるものであり、配向性を持たせることができるチタン酸ジルコン酸鉛(以下、PZTという)をゾルゲル法により形成することが好ましい。PZTを圧電性被膜2として基板1に形成することにより、付加される力Fに対して多くの電荷を発生させることができ、正確な力の検出をすることができる。
【0024】
また、基板1は、上述したとおり非圧電性、非導電性を有する材料から形成され、例えば、ガラス、セラミックスなどを用いることができる。本実施形態では圧電性を有する水晶基板を用いこともできる。水晶は所定の結晶軸に合わせて切り出した場合に、図1(b)に示すF方向の力に対して圧電性を有しない、すなわち非圧電性材料と同等の性能を持たせることができ、高い硬さ、剛性も有することから、本実施形態に係るセンサー素子10の基板1として好適に使用できる。図1(c)に基づき、本実施形態に係る基板1に水晶基板を用いた場合の結晶軸の態様について説明する。
【0025】
水晶を基板1の材料とする場合には、図1(c)に示すように、圧電性被膜2を形成する基板1の一方の面1aが、水晶の結晶軸である互いに直交するX軸(電気軸)、Y軸(機械軸)と、X,Y軸双方に直交するZ軸(主軸もしくは光軸)のうち、X軸とY軸によって定義できる平面に沿った平面で構成される、すなわちZカット板といわれる水晶板を用いる。このようにZカット板の水晶板から形成される基板1では、図1(b)に示すF方向の力に対しては非圧電性の性質を有しており、実質的に圧電材料である水晶を用いても非圧電性を有する基板1を得ることができる。もちろん、水晶は非導電性も備えている。また、電極基板4は導電性を備えれば、特に限定はされない。例えばCu、Al、Ti、W、ステンレスなどの金属が好適に用いられる。
【0026】
本実施形態に係るセンサー素子10は、図1(a),(b)に示すように電極基板4を2枚の圧電体3によって挟持する形態に限定されない。図2に示す形態であっても良い。図2(a)は、電極基板4の一方の面側に圧電体3が配置されたセンサー素子11を示す断面図、図2(b)は基板1の両面に圧電性被膜2が形成されている圧電体3Aを備えるセンサー素子12を示す断面図である。図2(a)に示すセンサー素子11は、電極基板4の一方の面側に圧電体3が配置されている。圧電体3の配置は、センサー素子10と同様に、電極基板4と基板1との間に圧電性被膜2が配置されるように、電極基板4の一方の面側に配置される。このように圧電体3が配置されたセンサー素子11であっても、図示方向の圧縮する力Fが付加されることにより圧電性被膜2に電荷が発生し、発生した圧電性被膜2の電荷によって電極基板4には励起された電荷を発生する。
【0027】
また図2(b)に示すセンサー素子12は、基板1の一方の面1aおよび他方の面1bの両面に圧電性被膜2が形成されている圧電体3Aによって、電極基板4を挟持する形態である。このような圧電体3Aでは、一方の面1aだけに圧電性被膜2が形成される圧電体3において必要となる、他方の面1bに圧電性被膜2が形成されないように、例えばマスキング(遮蔽手段)を施したり、他方の面1bに形成された圧電性被膜2を除去したり、という工程、を必要とせず、製造コスト低減を図ることができる。また、圧電体3Aの場合、電極基板4に圧電性被膜2部位を対向させる際の表裏判別が不要となり、コスト低減を図ることができる。なお、図2(b)に示すセンサー素子12は、電極基板4の両面に圧電体3Aを配置したが、これに限定されない。例えば、電極基板4の両面側に配置した圧電体3Aのどちらか一方を、基板1の一方の面1a側に圧電性被膜2が形成された圧電体3(図1参照)としても良い。また図2(a)に示すセンサー素子11に圧電体3Aを用いても良い。
【0028】
第1実施形態に係るセンサー素子10によれば、圧電体3と電極基板4の積層方向に付加される力に対して、圧電性被膜2に多くの電荷を発生させることができるため、力の検出能力、すなわち弱い力から強い力まで幅広い力の領域を検出することが可能となる。また、多くの電荷量を発生させることができることで、検出値を力に演算するための演算手段において検出信号の増幅割合を大きくする必要が無いため、センサー素子10の検出値の誤差の増幅も小さくすることができるので、正確な力検出を可能とするセンサー素子10を得ることができる。
【0029】
(第2実施形態)
図3は、第2実施形態に係るセンサーデバイスを示す概略断面図である。図3に示すように、センサーデバイス100は、センサー素子10が筒状容器30に収納され、基台21,22によって押圧固定され、電極基板4が演算装置40に接続されている。演算装置40には図示しない電極基板4の電荷を変換するQVアンプを備え、接地(グランド:GND)に接続されている。
【0030】
このような構成によってセンサーデバイス100を形成することによって、圧電体3の圧電性被膜2に発生する電荷を検出することができ、電極基板4の両面側に圧電体3を配置することで検出感度を高めることができるため、微小外力に対して高感度で力検出ができるセンサーデバイス100を実現することができる。
【0031】
(第3実施形態)
図4は、第3実施形態に係る力検出装置を模式図的に示し、(a)は断面図、(b)は各センサー素子の機能説明図である。図4(a)に示す力検出装置1000は、第1実施形態に係るセンサー素子10に加えてセンサー素子10の力検出方向と異なる方向の力を検出するセンサー素子10A,10Bを積層して形成される。なお、図4(a)において、センサー素子10A,10B,10が積層される方向(図示上方向)をγ(+)方向とし、γ方向に直交し図示右方向をα(+)方向、図示面に向かう方向をβ(+)方向とする。
【0032】
図4(a)に示す力検出装置1000は、基台210,220の間に筒状容器300の内部にセンサー素子10A,10B,10が積層されている。センサー素子10Aは、圧電体としての水晶のY軸(機械軸)に直交する面で切り出した、いわゆるYカット板の水晶基板1A,1Bにより電極基板4Bを挟持している。積層された水晶基板1A、電極基板4B、水晶基板1Bを挟持するように電極基板4A,4Cが配置されている。電極基板4Bは力が掛り、水晶基板1A,1Bに生じる歪により発生する電荷によって励起される電荷を検出する検出電極であり、電極基板4A,4Cはその電位差を検出するためのグランド電極(以下、GND電極という)である。
【0033】
同様に、センサー素子10Bは、圧電体としてYカット板の水晶基板1C,1Dにより電極基板4Dを挟持している。積層された水晶基板1C、電極基板4D、水晶基板1Dを挟持するように電極基板4C,4Eが配置されている。電極基板4Dは検出電極、電極基板4C,4EはGND電極である。そして、第1実施形態に掛かるセンサー素子10を備える。なお、電極基板4Cはセンサー素子10A,10BのGND電極として共用される。
【0034】
センサー素子10A,10Bにおける圧電体としての水晶基板1A,1B,1C,1Dの配置について、図4(b)を用いて説明する。上述した通りセンサー素子10A,10Bに備える圧電体はYカットの水晶基板1A,1B,1C,1Dである。水晶基板1A,1B,1C,1Dの結晶軸方向は図4(b)に示すように配置され、X軸(電気軸)方向の力により生じる結晶の歪によって電荷を生じる。また、センサー素子10Aとセンサー素子10Bは、同じ構成のセンサー素子であって、力検出装置1000を構成させる際に、センサー素子10A,10Bを相対的にγ軸周りに90度の回転させた方向で組み込まれている。
【0035】
センサー素子10Aは、図示するように力検出装置1000に対してα方向に付加される力を検出する。この力がかかるα方向に、図示するように水晶基板1A,1BのX軸方向を合わせて配置することにより、水晶基板1A,1Bにはα方向の力により生じる基板内の歪によって電荷が発生する。また、センサー素子10Bは、β方向の力を検出する。力がかかるβ方向に、図示するように水晶基板1C,1DのX軸方向を合わせて配置することにより、水晶基板1C,1Dにはα方向の力により生じる基板内の歪によって電荷が発生する。そして、第1実施形態に係るセンサー素子10は、上述した通りγ方向の力を検出する。
【0036】
基台210,220を介して力検出装置1000に外力が加わり、各センサー素子10A,10B,10それぞれに生じた電荷は電極基板4B,4D,4に電荷を励起し、演算装置400に備えるセンサー素子10Aの電荷からα方向の力を演算するα方向演算装置410、センサー素子10Bの電荷からβ方向の力を演算するβ方向演算装置420、センサー素子10の電荷からγ方向の力を演算する第2実施形態に係るセンサーデバイス100に備える演算装置40(図3参照)であるγ方向演算装置40によって得られるα,β,γ方向の力成分から、外力のベクトルデータを図示しない制御装置に出力する。なお、GND電極4A,4C,4E、およびγ方向演算装置は演算装置400に備えるGND(接地)に接続される。
【0037】
上述した通り、本実施形態に係る力検出装置1000は、一方向に圧電体としての水晶基板を備えるセンサー素子10A,10Bと、第1実施形態に係るセンサー素子10と、を積層させることにより、小型の力検出装置を得ることができ、ロボットなどの取り付けスペースが狭小な装置であっても容易に設置が可能となる。
【0038】
図5は、第3実施形態に係る力検出装置1000を用い、トルク検出を可能とする6軸力検出装置2000の概略を示し、(a)は平面図、(b)は(a)に示すA−A´部の断面図である。図5(a),(b)に示すように6軸力検出装置2000は基台211,221によって、力検出装置1000を4個固定した構成となっている。この6軸力検出装置2000の形態とすることによって、配置された4個の力検出装置1000の装置間の距離と、各力検出装置1000によって得られる力と、によりα軸、β軸、およびγ軸の各軸回りのトルクを求めることが可能となる。
【0039】
(第4実施形態)
図6は、第3実施形態に係る力検出装置1000、もしくは6軸力検出装置2000を用いたロボット3000の構成を示す外観図である。ロボット3000は、本体部3100、アーム部3200およびロボットハンド部3300などから構成されている。本体部3100は、例えば床、壁、天井、移動可能な台車の上、などに固定される。アーム部3200は、本体部3100に対して可動の設けられており、本体部3100にはアーム部3200を回転させるための動力を発生させる図示しないアクチュエーターや、アクチュエーターを制御する制御部などが内蔵されている。
【0040】
アーム部3200は、第1フレーム3210、第2フレーム3220、第3フレーム3230、第4フレーム3240および第5フレーム3250から構成されている。第1フレーム3210は、回転屈曲軸を介して本体部3100に回転可能または屈曲可能に接続されている。第2フレーム3220は、回転屈曲軸を介して第1フレーム3210および第3フレーム3230に接続されている。第3フレーム3230は、回転屈曲軸を介して第2フレーム3220および第4フレーム3240に接続されている。第4フレーム3240は、回転屈曲軸を介して第3フレーム3230および第5フレーム3250に接続されている。第5フレーム3250は、回転屈曲軸を介して第4フレーム3240に接続されている。アーム部3200は、制御部の制御によって、各フレーム3210〜3250が各回転屈曲軸を中心に複合的に回転または屈曲し、動作する。
【0041】
アーム部3200の第5フレーム3250のうち、第4フレーム3240との接続部の他方の側には、ロボットハンド部3300が取り付けられている。ロボットハンド部3300は、対象物を把持することが可能なロボットハンド3310と、ロボットハンド3310を回転動作させるモーターを内蔵するロボットハンド接続部3320と、を備え、ロボットハンド接続部3320によって第5フレーム3250に接続されている。
【0042】
ロボットハンド接続部3320には、モーターに加えて第3実施形態に掛かる力検出装置1000または6軸力検出装置2000が内蔵されており、ロボットハンド部3300が制御部の制御によって所定の動作位置まで移動させたとき、障害物への接触、あるいは所定位置を超えての動作命令による対象物との接触、などを力検出装置1000または6軸力検出装置2000によって力として検出し、ロボット3000の制御部へフィードバックして、回避行動を実行させることができる。
【0043】
このようなロボット3000を用いることにより、従来からの位置制御では対処できなかった障害物回避動作、対処物損傷回避動作などを容易に行える、安全で細かな作業が可能なロボットを得ることができる。なお、本実施形態に限定されず、例えば双腕ロボットにも適用することができる。
【実施例】
【0044】
実施例としての実施形態1に係るセンサー素子10における圧電性被膜2の材料種別による電荷量と、比較例としての第1実施形態にかかるセンサー素子10の力方向Fに対して圧電性を有するXカットの水晶によって圧電体3を形成した場合の電荷量と、を図7(a)に示す。このときの圧電体3の大きさは、5mm角の正方形を成し、圧電性被膜の厚みは1μmである。なお、図7(b)は比較例としてのXカットの水晶を圧電体とした場合のセンサー素子10Aを用いたセンサーデバイス100Aを示す概略断面図であり、圧電体1A,1BはXカットの水晶板より形成され、GND電極4A,4Cが電極基板4Bを挟持する圧電体1A,1Bを挟持するように配置されている。
【0045】
図7(a)に示すように、圧電性被膜2を形成した第1実施形態に係るセンサー素子10の場合が、何れの材料を用いても、Xカットの水晶を圧電体として用いる場合に比較して高い電荷量を発生させることができる。Xカットの水晶板を圧電体として用いた場合の力に対する感度を1.0とした場合、AlN、ZnO、PZTそれぞれの感度の比は、
AlN:2.5
ZnO:4.6
PZT:99.5
と、高い感度を有し、特に、PZTにより圧電性被膜2を形成することで高い電荷量を得ることができる。
【符号の説明】
【0046】
1…基板、2…圧電性被膜、3…圧電体、4…電極基板、10…センサー素子。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非圧電性および非導電性を有する基板の少なくとも一方の面に圧電性被膜が形成された圧電体と、
導電性を有する電極基板と、を有し、
前記基板と前記電極基板との間に前記圧電性被膜が配置される、
ことを特徴とするセンサー素子。
【請求項2】
前記基板は水晶から形成され、前記圧電性被膜が形成される前記基板の被膜形成面が、前記水晶の電気軸(X軸)と機械軸(Y軸)とを含む、
ことを特徴とする請求項1に記載のセンサー素子。
【請求項3】
前記圧電性被膜がPZTである、ことを特徴とする請求項1または2に記載のセンサー素子。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載のセンサー素子と、
前記電極基板に誘起される電荷量を検出し、前記センサー素子に掛かる力を演算する演算手段と、を含む、
ことを特徴とするセンサーデバイス。
【請求項5】
請求項1から3のいずれか一項に記載のセンサー素子と、
前記電極基板に誘起される電荷量を検出し、前記センサー素子に掛かる力を演算する演算手段と、を含む、
ことを特徴とする力検出装置。
【請求項6】
請求項1から3のいずれか一項に記載のセンサー素子と、
前記電極基板に誘起される電荷量を検出し、前記センサー素子に掛かる力を演算する演算手段と、を含む、
ことを特徴とするロボット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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