センサー素子、力検出装置およびロボット
【課題】力検出装置に用いるセンサー素子の側面に配線層を形成することによって、配線スペースを小さくし小型の力検出装置を提供する。
【解決手段】α軸と、前記α軸に直交するβ軸と、前記α軸と前記β軸とに直交するγ軸とし、圧電基板と電極を、前記γ軸方向に積層して形成されるセンサー素子であって、前記電極の外形部の一部が前記圧電基板の外形部の一部に重なるよう配置される接続部を備え、前記γ軸の方向視において前記接続部が互いに重ならないように配置され、前記圧電基板の外周部の一部に、前記接続部と外部接続部とを電気的に接続する配線と、が形成されているセンサー素子。
【解決手段】α軸と、前記α軸に直交するβ軸と、前記α軸と前記β軸とに直交するγ軸とし、圧電基板と電極を、前記γ軸方向に積層して形成されるセンサー素子であって、前記電極の外形部の一部が前記圧電基板の外形部の一部に重なるよう配置される接続部を備え、前記γ軸の方向視において前記接続部が互いに重ならないように配置され、前記圧電基板の外周部の一部に、前記接続部と外部接続部とを電気的に接続する配線と、が形成されているセンサー素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサー素子、力検出装置およびロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、圧電材料を用いた力センサーとしては特許文献1のものが知られていた。すなわち、特許文献1の図15に示されている、信号電極15を圧電材料である結晶円板16により挟持し、さらに金属カバー円板17によって挟持された測定素子を、複数配置した力センサーが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平4−231827号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述の特許文献1の測定素子では、測定素子に力が掛かり結晶円板に発生した電荷によって励起されて信号電極15に発生する電荷量から力を演算するための演算装置には、信号電極15に電荷取り出しのための配線を接続し、演算装置までその配線を引き回さなければならない。そのために、力検出装置には配線を配置させるためのスペースを確保しなければならず、小型化が困難であった。
【0005】
そこで、力検出装置に用いるセンサー素子の側面に配線層を形成することによって、配線スペースを小さくし、小型の力検出装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、少なくとも上述の課題の一つを解決するように、下記の形態または適用例として実現され得る。
【0007】
〔適用例1〕本適用例のセンサー素子は、空間座標軸として、α軸と、前記α軸に直交するβ軸と、前記α軸と前記β軸とに直交するγ軸と、した場合、前記α軸と前記β軸を含む主面を有する圧電基板と、前記圧電基板の主面側に電極を設け、前記γ軸方向に積層して形成されるセンサー素子であって、前記α軸方向の力を検出する第1圧電基板の一方の主面側に第1電極と他方の主面に第2電極が設けられ、前記β軸方向の力を検出する第2圧電基板の一方の主面に第3電極と他方の主面に第4電極が設けられ、前記γ軸方向の力を検出する第3圧電基板の一方の主面に第5電極と他方の主面に第6電極が設けられ、前記第1電極および前記第2電極は、前記第1電極および前記第2電極の外形部の一部が前記第1圧電基板の前記主面の外形部の一部に重なるよう配置される前記第1電極の第1接続部と前記第2電極の第2接続部を備え、前記第1接続部と前記第2接続部とが、前記γ軸の方向視において互いに重ならないように配置され、前記第3電極および前記第4電極は、前記第3電極および前記第4電極の外形部の一部が前記第2圧電基板の前記主面の外形部の一部に重なるよう配置される前記第3電極の第3接続部と前記第4電極の第4接続部を備え、前記第3接続部と前記第4接続部とが、前記γ軸の方向視において互いに重ならないように配置され、前記第5電極および前記第6電極は、前記第5電極および前記第6電極の外形部の一部が前記第3圧電基板の前記主面の外形部の一部に重なるよう配置される前記第5電極の第5接続部と前記第6電極の第6接続部を備え、前記第5接続部と前記第6接続部とが、前記γ軸の方向視において互いに重ならないように配置され、前記第1,第2,第3圧電基板の外周部の一部に、前記第1接続部と第1外部接続部とを電気的に接続する第1配線と、前記第3接続部と第2外部接続部とを電気的に接続する第2配線と、前記第5接続部と第3外部接続部とを電気的に接続する第3配線と、が形成され、前記第2、第4および第6接続部と、を接続し、且つ第4外部接続部に接続される第4配線が形成されていることを特徴とする。
【0008】
本適用例のセンサー素子によれば、α,β,γ各方向の力を検出する検出電極と接地電極(GDN電極)の一部を、圧電基板の外形部にγ方向の方向視で重なるように配置することによって、検出電極および接地電極から外部接続部までの配線をセンサー素子外周に、例えば導電性を有する塗料の塗布あるいはPVD法、CVD法により被膜を形成することによって、容易に電気的な接続が可能となり、配線コードを配置するための空間(スペース)を確保しなくてもよいため、小型の力検出装置を形成できるセンサー素子を得ることができる。
【0009】
〔適用例2〕上述の適用例において、前記第1〜3圧電基板は、前記γ軸の方向視において突起部を備え、前記第1〜6接続部が前記突起部の外形部の少なくとも一部と重なることを特徴とする。
【0010】
上述の適用例によれば、突起部において第1〜4配線を形成することによって、圧電基板の突起部を除く基板基部の全面に各電極が形成できる、もしくは電極を接触させることができるため、圧電基板が発生する電荷の検出ロスを減少することができる。従って、力検出の精度をより高めることができる。
【0011】
〔適用例3〕上述の適用例において、前記第1〜3圧電基板は、水晶から形成され、前記第1,2圧電基板はYカット基板であり、前記第3圧電基板はXカット基板であることを特徴とする。
【0012】
上述の適用例によれば、水晶は、入手が容易で加工性に優れ、長期的に安定した材料であり、さらに付加された力に対して安定した電荷を発生させることができるため、信頼性に優れた力検出装置を実現するセンサー素子を得ることができる。
【0013】
〔適用例4〕本適用例の力検出装置は、空間座標軸として、α軸と、前記α軸に直交するβ軸と、前記α軸と前記β軸とに直交するγ軸と、した場合、前記α軸と前記β軸を含む主面を有する圧電基板と、前記圧電基板の主面側に電極を設け、前記γ軸方向に積層して形成されるセンサー素子であって、前記α軸方向の力を検出する第1圧電基板の一方の主面側に第1電極と他方の主面に第2電極が設けられ、前記β軸方向の力を検出する第2圧電基板の一方の主面に第3電極と他方の主面に第4電極が設けられ、前記γ軸方向の力を検出する第3圧電基板の一方の主面に第5電極と他方の主面に第6電極が設けられ、前記第1電極および前記第2電極は、前記第1電極および前記第2電極の外形部の一部が前記第1圧電基板の前記主面の外形部の一部に重なるよう配置される前記第1電極の第1接続部と前記第2電極の第2接続部を備え、前記第1接続部と前記第2接続部とが、前記γ軸の方向視において互いに重ならないように配置され、前記第3電極および前記第4電極は、前記第3電極および前記第4電極の外形部の一部が前記第2圧電基板の前記主面の外形部の一部に重なるよう配置される前記第3電極の第3接続部と前記第4電極の第4接続部を備え、前記第3接続部と前記第4接続部とが、前記γ軸の方向視において互いに重ならないように配置され、前記第5電極および前記第6電極は、前記第5電極および前記第6電極の外形部の一部が前記第3圧電基板の前記主面の外形部の一部に重なるよう配置される前記第5電極の第5接続部と前記第6電極の第6接続部を備え、前記第5接続部と前記第6接続部とが、前記γ軸の方向視において互いに重ならないように配置され、前記第1,第2,第3圧電基板の外周部の一部に、前記第1接続部と第1外部接続部とを電気的に接続する第1配線と、前記第3接続部と第2外部接続部とを電気的に接続する第2配線と、前記第5接続部と第3外部接続部とを電気的に接続する第3配線と、が形成され、前記第2、第4および第6接続部と、を接続し、且つ第4外部接続部に接続される第4配線が形成されているセンサー素子と、前記α方向の力を演算する第1演算装置と、前記β方向の力を演算する第2演算装置と、前記γ方向の力を演算する第3演算装置と、を備え、前記第1外部接続部は前記第1演算装置と電気的に接続され、前記第2外部接続部は前記第2演算装置と電気的に接続され、前記第3外部接続部は前記第3演算装置と電気的に接続され、前記第4外部接続部は接地(GND)と電気的に接続されていることを特徴とする。
【0014】
上述の適用例によれば、簡単な構成によって3軸力検出センサーを得ることができる。また、α,β,γ各方向の力を検出する検出電極と接地電極(GDN電極)の一部を、圧電基板の外形部にγ方向の方向視で重なるように配置することによって、検出電極および接地電極から外部接続部までの配線をセンサー素子外周に、例えば導電性を有する塗料の塗布あるいはPVD法、CVD法により被膜を形成することによって、容易に電気的な接続が可能となり、配線コードを配置するための空間(スペース)を確保しなくてもよいため、小型の力検出装置を得ることができる。さらに、本適用例の力検出装置を複数用いることにより、例えばトルク計測も含む6軸力検出装置などを容易に得ることができる。
【0015】
〔適用例5〕上述の適用例において、前記第1〜3圧電基板は、前記γ軸の方向視において突起部を備え、前記第1〜6接続部が前記突起部の外形部の少なくとも一部と重なることを特徴とする。
【0016】
上述の適用例によれば、突起部において第1〜4配線を形成することによって、圧電基板の突起部を除く基板基部の全面に各電極が形成できる、もしくは電極を接触させることができるため、圧電基板が発生する電荷の検出ロスを減少することができる。従って、力検出の精度がより高い力検出装置を得ることができる。
【0017】
〔適用例6〕上述の適用例において、前記第1〜3圧電基板は、水晶から形成され、前記第1,2圧電基板はYカット基板であり、前記第3圧電基板はXカット基板であることを特徴とする。
【0018】
上述の適用例によれば、水晶は、入手が容易で加工性に優れ、長期的に安定した材料であり、さらに付加された力に対して安定した電荷を発生させることができるため、信頼性に優れたセンサー素子を備える力検出装置を得ることができる。
【0019】
〔適用例7〕上述の適用例において、前記センサー素子は、前記センサー素子を収納する収納部を備える収納容器に収納され、前記収納容器は、前記収納部に前記第1,第2,第3,第4外部接続部が延設され、前記センサー素子の前記第1,第2,第3,第4配線と前記第1,第2,第3,第4外部接続部とが電気的に接続されていることを特徴とする。
【0020】
収納容器にセンサー素子を収納させることにより、外的負荷、例えば水分、油分、気体とセンサー素子との接触を阻止し、安定した力検出ができる力検出装置を得ることができる。
【0021】
〔適用例8〕上述の適用例において、前記収納容器は、筒状の収納容器体と、前記収納容器体のどちらか一方の開口部に収納容器基板、他方の開口部に蓋体と、を配置し、前記収納容器体に前記収納容器基板と前記蓋体とを接合して前記収納部が形成され、少なくとも前記収納容器体および前記収納容器基板はセラミックスであることを特徴とする。
【0022】
外部環境に対して侵されにくいセラミックスを収納容器に用いることにより、さらに長期的に安定した力検出ができる力検出装置を得ることができる。
【0023】
〔適用例9〕本適用例のロボットは、空間座標軸として、α軸と、前記α軸に直交するβ軸と、前記α軸と前記β軸とに直交するγ軸と、した場合、前記α軸と前記β軸を含む主面を有する圧電基板と、前記圧電基板の主面側に電極を設け、前記γ軸方向に積層して形成されるセンサー素子であって、前記α軸方向の力を検出する第1圧電基板の一方の主面側に第1電極と他方の主面に第2電極が設けられ、前記β軸方向の力を検出する第2圧電基板の一方の主面に第3電極と他方の主面に第4電極が設けられ、前記γ軸方向の力を検出する第3圧電基板の一方の主面に第5電極と他方の主面に第6電極が設けられ、前記第1電極および前記第2電極は、前記第1電極および前記第2電極の外形部の一部が前記第1圧電基板の前記主面の外形部の一部に重なるよう配置される前記第1電極の第1接続部と前記第2電極の第2接続部を備え、前記第1接続部と前記第2接続部とが、前記γ軸の方向視において互いに重ならないように配置され、前記第3電極および前記第4電極は、前記第3電極および前記第4電極の外形部の一部が前記第2圧電基板の前記主面の外形部の一部に重なるよう配置される前記第3電極の第3接続部と前記第4電極の第4接続部を備え、前記第3接続部と前記第4接続部とが、前記γ軸の方向視において互いに重ならないように配置され、前記第5電極および前記第6電極は、前記第5電極および前記第6電極の外形部の一部が前記第3圧電基板の前記主面の外形部の一部に重なるよう配置される前記第5電極の第5接続部と前記第6電極の第6接続部を備え、前記第5接続部と前記第6接続部とが、前記γ軸の方向視において互いに重ならないように配置され、前記第1,第2,第3圧電基板の外周部の一部に、前記第1接続部と第1外部接続部とを電気的に接続する第1配線と、前記第3接続部と第2外部接続部とを電気的に接続する第2配線と、前記第5接続部と第3外部接続部とを電気的に接続する第3配線と、が形成され、前記第2、第4および第6接続部と、を接続し、且つ第4外部接続部に接続される第4配線が形成されているセンサー素子と、前記α方向の力を演算する第1演算装置と、前記β方向の力を演算する第2演算装置と、前記γ方向の力を演算する第3演算装置と、を備え、前記第1外部接続部は前記第1演算装置と電気的に接続され、前記第2外部接続部は前記第2演算装置と電気的に接続され、前記第3外部接続部は前記第3演算装置と電気的に接続され、前記第4外部接続部は接地(GND)と電気的に接続されている力検出装置を備えることを特徴とする。
【0024】
本適用例によれば、作動するロボットアームあるいはロボットハンドに対して、所定動作中に起こる障害物への接触の検出、対象物への接触力の検出を、力検出装置によって確実に検出し、ロボット制御装置へデータをフィードバックすることで、安全で細かな作業が可能なロボットを得ることができる。
【0025】
〔適用例10〕上述の適用例において、前記第1〜3圧電基板は、前記γ軸の方向視において突起部を備え、前記第1〜6接続部が前記突起部の外形部の少なくとも一部と重なることを特徴とする。
【0026】
上述の適用例によれば、突起部において第1〜4配線を形成することによって、圧電基板の突起部を除く基板基部の全面に各電極が形成できる、もしくは電極を接触させることができるため、圧電基板が発生する電荷の検出ロスを減少することができる。従って、力検出の精度が高い力検出装置を備える信頼性、安全性の高いロボットを得ることができる。
【0027】
〔適用例11〕上述の適用例において、前記第1〜3圧電基板は、水晶から形成され、前記第1,2圧電基板はYカット基板であり、前記第3圧電基板はXカット基板であることを特徴とする。
【0028】
上述の適用例によれば、水晶は、入手が容易で加工性に優れ、長期的に安定した材料であり、さらに付加された力に対して安定した電荷を発生させることができるため、信頼性に優れたセンサー素子を備える力検出装置によって、信頼性、安全性の高いロボットを得ることができる。
【0029】
〔適用例12〕上述の適用例において、前記センサー素子は、前記センサー素子を収納する収納部を備える収納容器に収納され、前記収納容器は、前記収納部に前記第1,第2,第3,第4外部接続部が延設され、前記センサー素子の前記第1,第2,第3,第4配線と前記第1,第2,第3,第4外部接続部とが電気的に接続されていることを特徴とする。
【0030】
上述の適用例によれば、収納容器にセンサー素子を収納することによって、ロボットがセンサー素子に対して劣化などを誘発する水分、油分、ガスなどの存在する環境に設置された場合であっても、センサー素子を外部環境から保護することができるため、センサー素子を収納した力検出装置の信頼性を長期に亘って維持することができ、信頼性、安全性の高いロボットを得ることができる。
【0031】
〔適用例13〕上述の適用例において、前記収納容器は、筒状の収納容器体と、前記収納容器体のどちらか一方の開口部に収納容器基板、他方の開口部に蓋体と、を配置し、前記収納容器体に前記収納容器基板と前記蓋体とを接合して前記収納部が形成され、少なくとも前記収納容器体および前記収納容器基板はセラミックスであることを特徴とする。
【0032】
上述の適用例によれば、より過酷な外部環境に対しても劣化することが少ないセラミックスの収納容器とすることにより、さらに信頼性、安全性の高いロボットを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】第1実施形態に係るセンサー素子の、(a)は断面図、(b)は平面図。
【図2】第1実施形態に係るセンサー素子の配置を示す、(a)は分解斜視図、(b)は水晶基板の結晶軸方向を示す構成図。
【図3】図2(a)に示すセンサー素子の、(a)はα方向の組立断面図、(b)はβ方向の組立断面図。
【図4】第2実施形態に係るセンサー素子の、(a)は圧電基板の平面図、(b)は電極の平面図。
【図5】第2実施形態に係るセンサー素子の配置を示す分解斜視図。
【図6】第3実施形態に係るセンサー素子の断面図。
【図7】センサー素子を構成する圧電基板および電極のその他の形態を示す斜視図および断面図。
【図8】第4実施形態に係る力検出装置を示す構成図。
【図9】第4実施形態に係る力検出装置のその他の形態を示す断面図。
【図10】第4実施形態に係る力検出装置を用いた6軸力検出装置の、(a)は平面図、(b)は断面図。
【図11】第5実施形態に係るロボットを示す外観図。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、図面を参照して、本発明に係る実施形態を説明する。
【0035】
(第1実施形態)
図1は第1実施形態に係るセンサー素子を示す、(a)は断面図、(b)は平面図である。図1(b)に示すP−P´部の断面の図1(a)に示すように、本実施形態に係るセンサー素子100は、図示するγ方向に圧電基板としての水晶基板、すなわち 第1圧電基板としての第1水晶基板11と第2水晶基板12、第2圧電基板としての第3水晶基板13と第4水晶基板14、第3圧電基板としての第5水晶基板15と第6水晶基板16、とが積層されている。また、第1水晶基板11の一方の主面11a側には第1電極としての第1検出電極21と、他方の主面11b側には第2電極としての接地電極(以下、GND電極という)31が設けられ、第2水晶基板12の一方の主面12a側には第1水晶基板11と共用される第1電極としての第1検出電極21と、他方の主面12b側には第2電極としての第2GND電極32が設けられている。
【0036】
第3水晶基板13の一方の主面13a側には第3電極としての第2検出電極22と、他方の主面13b側には第4電極として第2水晶基板12の第2GND電極32が共有されて設けられ、第4水晶基板14の一方の主面14a側には第3水晶基板13と共用される第3電極としての第2検出電極22と、他方の主面14b側には第4電極としての第3GND電極33が設けられている。第5水晶基板15の一方の主面15a側には第5電極としての第3検出電極23と、他方の主面15b側には第6電極として第4水晶基板14の第3GND電極33が共有されて設けられ、第6水晶基板16の一方の主面16a側には第5水晶基板15と共用される第5電極としての第3検出電極23と、他方の主面16b側には第6電極としての第4GND電極34が設けられている。
【0037】
積層された水晶基板11,12,13,14,15,16の外周辺部には、γ方向に延在させて、第1検出電極21と後述する第1外部接続部230aとを電気的に接続する第1配線41と、第2検出電極22と後述する第2外部接続部230bとを電気的に接続する第2配線42と、第3検出電極23と後述する第3外部接続部230cとを電気的に接続する第3配線43と、GND電極31,32,33,34と後述する第4外部接続部230dとを電気的に接続する第4配線44と、が形成されている。なお、外部接続部230a,230b,230c,230dの詳細は後述する。
【0038】
図2(a)は、図1に示すセンサー素子100の配置を説明する分解斜視図であり、図2(a)を用いて水晶基板11,12,13,14,15,16と、検出電極21,22,23とGND電極31,32,33,34と、の配置について説明する。第1水晶基板11の他方の主面11b側に設けられた第1GND電極31は、第1接続部としてのα(−)方向の外形面31aが第1水晶基板11のα(−)方向の外形面11cを含む仮想面Qの位置になるように配置される。仮想面Qは、他の水晶基板12,13,14,15,16のα(−)方向の外形面12c,13c,14c,15c,16cが含まれる仮想面である。そして、他のGND電極32,33,34も第1GND電極31と同様に、α(−)方向の外形面32a,33a,34aが仮想面Qの位置になるように配置される。すなわち、γ方向の方向視において、水晶基板11,12,13,14,15,16の外形面11c,12c,13c,14c,15c,16cと、GND電極31,32,33,34の外形面31a、32a,33a,34aと、が面Qに沿ってγ方向の方向視において重なるように配置されている。
【0039】
第1圧電基板としての第1水晶基板11と第2水晶基板12との間には、第1電極としての第1検出電極21が配置されている。第1検出電極21は、第2電極としてのGND電極31,32が位置を合わせて配置される水晶基板11,12の外形面11c,12c(仮想面Qに沿った面)とは異なる面、本実施形態ではα(+)方向の外形面11d,12dと、第1検出電極21のα(+)方向の外形面21aと、がγ方向の方向視において重なるように配置される。
【0040】
また、第2圧電基板としての第3水晶基板13と第4水晶基板14との間には、第3電極としての第2検出電極22が配置されている。第2検出電極22は、第4電極としてのGND電極32,33が位置を合わせて配置される水晶基板13,14の外形面13c,14c(仮想面Qに沿った面)と、第1検出電極21の外形面21aが配置されるα(+)方向と、は異なる方向の面、本実施形態ではβ(+)方向の外形面13d,14dと、第2検出電極22のα(+)方向の外形面22aと、がγ方向の方向視において重なるように配置される。
【0041】
そして、第3圧電基板としての第5水晶基板15と第6水晶基板16との間には、第5電極としての第3検出電極23が配置されている。第3検出電極23は、第6電極としてのGND電極33,34が位置を合わせて配置される水晶基板15,16の外形面15c,16c(仮想面Qに沿った面)と、第1検出電極21の外形面21aが配置されるα(+)方向と、第2検出電極22の外形面22aが配置されるβ(+)方向と、は異なる面、本実施形態ではβ(−)方向の外形面15d,16dと、第3検出電極23のβ(−)方向の外形面23aと、がγ方向の方向視において重なるように配置される。
【0042】
図3(a)は図2(a)に示すα軸方向の断面模式図、図3(b)は図2(a)に示すβ軸方向の断面模式図である。図3(a)に示すように、水晶基板11,12,13,14,15,16のα(−)方向の外形面11c,12c,13c,14c,15c,16cと、GND電極31,32,33,34のα(−)方向の外形面31a、32a,33a,34aと、が仮想面Qに沿って配置されている。また、これらGND電極31,32,33,34の外形面31a、32a,33a,34aが電気的に接続され第4外部接続部230dに接続される領域まで第4配線44が形成されている。
【0043】
また、図3(a)に示すように、第1水晶基板11と第2水晶基板12のα(+)方向の外形面11d、12dと、第1電極としての第1検出電極21のα(+)方向の外形面21aと、がγ方向の方向視において重なるように配置される。そして、第1検出電極21の外形面21aと電気的に接続され、第1外部接続部230aに接続される領域まで第1配線41が形成されている。
【0044】
図3(b)に示す、図2(a)のβ軸方向断面図には第5水晶基板15と第6水晶基板16のβ(−)方向の外形面15d,16dと、第3電極としての第3検出電極23のβ(−)方向の外形面23aと、がγ方向の方向視において重なるように配置される。そして、第3検出電極23の外形面23aと電気的に接続され、第3外部接続部230cに接続される領域まで第3配線43が形成されている。そして、第3水晶基板13と第4水晶基板14のβ(+)方向の外形面13d,14dと、第2電極としての第2検出電極22のβ(+)方向の外形面22aと、がγ方向の方向視において重なるように配置される。そして、第2検出電極22の外形面22aと電気的に接続され、第2外部接続部230bに接続される領域まで第2配線42が形成されている。
【0045】
図2(b)には、図2(a)に示す水晶基板11,12,13,14,15,16の配置において、各水晶基板の結晶軸方向を示している。ここで、水晶基板の結晶軸のX軸は電気軸、Y軸は機械軸、そしてZ軸は光軸を示している。図2(b)に示すように第1水晶基板11と第2水晶基板12は、いわゆるYカット基板といわれる主面にX軸とZ軸を含む基板により形成され、第1水晶基板11と第2水晶基板12とは互いに各結晶軸方向が逆方向となるように組み合わされている。これによりX軸方向に掛かる力、すなわちα軸方向の力を検出することができる。第3水晶基板13と第4水晶基板14も、Yカット基板を用い、第1水晶基板11と第2水晶基板12の配置に対してγ軸回りに90度回転させた方向に配置され、X軸方向となるβ軸方向の力を検出することができる。また、第5水晶基板15と第6水晶基板16とは、主面にY軸とZ軸を含むXカット基板により形成され、第5水晶基板15と第6水晶基板16とは互いに各結晶軸方向が逆方向となるように組み合わされている。これによりX軸方向に掛かる力、すなわちγ軸方向の力を検出することができる。
【0046】
このように、第1水晶基板11と第2水晶基板12にはα軸方向の力がかかることによって電荷が発生し、第1水晶基板11と第2水晶基板12とにより挟持される第1検出電極21には発生した電荷に応じて電荷が励起され、その励起された電荷量を後述する演算装置によって力を演算する。同様に、第3水晶基板13と第4水晶基板14とにより検出されるβ軸方向の力は第2検出電極22により検出される電荷量によって演算され、第5水晶基板15と第6水晶基板16とにより検出されるγ軸方向の力は第3検出電極23により検出される電荷量によって演算される。
【0047】
上述したように、GND電極31,32,33,34は水晶基板11,12,13,14,15,16の外形面11c,12c,13c,14c,15c,16cの外形面に沿わせて形成した第4配線44によって、容易に接続され、且つ外部接続部230dへ電気的に接続される。第4配線44は、検出電極21,22,23のα(−)方向の外形面は水晶基板11,12,13,14,15,16の外形面11c,12c,13c,14c,15c,16cより内側に離間して形成されるため、検出電極21,22,23との電気的な接触を回避することができる。
【0048】
第1配線41も水晶基板11,12,13,14,15,16のα(+)方向の外形面に沿わせて形成されているが、検出電極22,23のα(+)方向の外形面は水晶基板11,12,13,14,15,16のα(+)方向の外形面より内側に離間して形成される。そのため、検出電極22,23との電気的な接触を回避して外部接続部230aへ接続可能な第1配線41を形成することができる。また、第2配線42も水晶基板13,14,15,16のβ(+)方向の外形面に沿わせて形成されているが、第3検出電極23のβ(+)方向の外形面は水晶基板13,14,15,16のβ(+)方向の外形面より内側に離間して形成される。そのため、第3検出電極23との電気的な接触を回避して外部接続部230bへ接続可能な第2配線42を形成することができる。
【0049】
(第2実施形態)
図4は第2実施形態に係るセンサー素子を示す。第2実施形態に係るセンサー素子110は第1実施形態に係るセンサー素子100と比較して、水晶基板11,12,13,14、検出電極21,22,23、GND電極31,32,33,34の形状が異なり、その他の構成はほぼ同じであるので、同じ構成には同じ符号を付し詳細な説明は省略する。
【0050】
図4(a)は、第2実施形態に係るセンサー素子110を構成する圧電基板としての水晶基板1Aの平面図、図4(b)は第1電極としての検出電極2A、および第2電極としてのGND電極3Aの平面図、を示す。図4(a)に示す水晶基板1Aは、基板基部1Aaと、基板基部1Aaの外形に基板突起部1Abが形成されており、本実施形態では基板突起部1Abは4か所形成されている。
【0051】
図4(b)に示す検出電極2AまたはGND電極3Aは、検出電極基部2AaまたはGND電極基部3Aaと、検出電極基部2AaまたはGND電極基部3Aaの外形に検出電極突起部2AbまたはGND電極突起部3Abが形成されている。検出電極突起部2AbまたはGND電極突起部3Abは、本実施形態では1か所形成されている。図4(a)に示す水晶基板1Aと図4(b)に示す検出電極2AおよびGND電極3Aは、図5に示すように、第1実施形態に係るセンサー素子100と同様に、γ方向に積層されセンサー素子110が形成されている。なお、図5は、第1実施形態に係るセンサー素子100の組立斜視図である図2に相当する、センサー素子110の組立分解斜視図である。
【0052】
図5に示すように、センサー素子110は、水晶基板1Aの形状の基板を図2に示す結晶軸方向に沿って第1水晶基板11A、第2水晶基板12Aと順に第6水晶基板16Aと積層される。GND電極3Aの形状の電極はGND電極突起部3Abの組込方向を、本実施形態ではα(−)方向の線L4に合わせて、第1水晶基板11Aの図示上側に第1GND電極31A、第2水晶基板12Aと第3水晶基板13Aとの間に第2GND電極32A、第4水晶基板14Aと第5水晶基板15Aとの間に第3GND電極33A、そして第6水晶基板16Aの図示下側に第4GND電極34Aと積層される。
【0053】
検出電極2Aは、α,β,γ方向の力を検出する水晶基板1Aに挟まれるように積層され、各々の検出電極突起部2Abの積層方向がγ方向の方向視において重ならないように配置される。すなわち図5に示すように、α方向の力を検出する第1水晶基板11Aと第2水晶基板12Aとの間には第1検出電極21Aが配置され、電極突起部はα(+)方向の線L1に沿って積層される。β方向の力を検出する第3水晶基板13Aと第4水晶基板14Aとの間には第2検出電極22Aが配置され、電極突起部はβ(+)方向の線L2に沿って積層される。γ方向の力を検出する第5水晶基板15Aと第6水晶基板16Aとの間には第3検出電極23Aが配置され、電極突起部はβ(−)方向の線L3に沿って積層される。
【0054】
このように配置され、各電極突起部は配線41,42,43,44によって電気的な接続が行われる。すなわち図5において図示されない第1配線41は、線L1に沿って形成され、第2配線42は線L2,第3配線43は線L3,そして第4配線44は線L4に沿って配線が形成される。この時、図4(b)に示すように、配線41,42,43,44は、検出電極突起部2AbあるいはGND電極突起部3Abの外形部に沿って形成、配置されるが、配線41,42,43,44の端部41a,42a,43a,44aは、電極基部2Aa,3Aaと離間させて隙δを確保して形成される。このように配線41,42,43,44を形成することにより、配線41,42,43,44がγ方向に延設される際の各電極間での短絡を防止する。
【0055】
上述した第1実施形態に係るセンサー素子100、および第2実施形態に係るセンサー素子110において、GND電極および検出電極の形態は、図示されるような板状の電極板の形態に限定されない。例えば、水晶基板の主面上にAu,Ag,Cu,Wなどの導電性金属を蒸着法、スパッタリング法などにより形成された電極膜であっても良い。また、配線41,42,43,44は、例えば導電性ペーストを塗布して形成しても良く、センサー素子100,110の水晶基板と各電極との間を固着させ、配線41,42,43,44の形成領域にAu,Ag,Cu,Wなどの導電性金属を蒸着法、スパッタリング法などにより形成された配線膜であっても良い。
【0056】
(第3実施形態)
図6は第3実施形態に係るセンサー素子の断面図である。第3実施形態に係るセンサー素子120は、第1実施形態に係るセンサー素子100の、α,β,γ方向の力はそれぞれ2枚の圧電基板としての水晶基板、すなわち6枚の水晶基板を用いた形態に対して、α,β,γ方向の力をそれぞれ1枚の水晶基板、すなわち3枚の水晶基板を用いた点で異なる。したがって、第3実施形態に係るセンサー素子120の説明は、第1実施形態に係るセンサー素子100と同じ構成についての説明は省略し、同一の構成には同じ符号を付して説明する。
【0057】
図6に示すセンサー素子120は、第1圧電基板としての第1水晶基板11B、第2圧電基板としての第2水晶基板12B、第3圧電基板としての第3水晶基板13B、とを用い、各水晶基板11B,12B,13Bに対して、次のように電極が配置されている。
【0058】
第1水晶基板11Bには、第1電極としての第1検出電極21Bが第1水晶基板11Bの一方の主面、本実施形態を示す図6では第1水晶基板11Bの図示上側、に配置され、第1水晶基板11Bの他の主面には第2電極としての第1GND電極31Bが配置されている。第2水晶基板12Bの第1水晶基板11B側には、第4電極として第1GND電極31Bが第1水晶基板11Bと共有されて配置され、第1水晶基板11Bと第2水晶基板12Bとにより挟持される。また第2水晶基板12Bの第1水晶基板11B側の敗退側には第3電極としての第2検出電極22Bが配置される。
【0059】
第3水晶基板13Bには、本実施形態の図6の例では、第2水晶基板12B側(図示上側)の主面側に第6電極としての第2GND電極32Bが配置され、他方の主面側(図示下側)には第3検出電極23Bが配置されている。ここで、第2水晶基板12Bの第2検出電極22Bと第3水晶基板13Bの第2GND電極32Bとの間は、第2検出電極22Bと第2GND電極32Bとの電気的な短絡を防止するために非導電性の絶縁部50が配置されている。絶縁部50は非導電性を備え、センサー素子120に掛かる力を緩和する弾性を備えない材料で形成されることが好ましい。例えば、セラミックスなどの非導電性の高剛性材料や、成膜技術により形成される非導電性被膜の例えばSiO2,TiN,Al2O3、などが好適に用いられる。
【0060】
このように構成されるセンサー素子120では、第1水晶基板11Bおよび第2水晶基板12BはYカットの水晶基板から形成され、γ軸周りに90度回転位置をずらせてα方向とβ方向の力を検出することができ、第3水晶基板13BはXカットの水晶基板彼形成されγ方向の力を検出することができる。
【0061】
なお、検出電極およびGND電極の配置は、図6に示す上述の形態に限定されず、少なくとも、電極同士が接触する部位には絶縁部50が配置されれば良い。また、第1実施形態に係るセンサー素子100を構成する、2個の水晶基板を用いて一方向を検出する形態との組合わせであっても良い。
【0062】
上述したセンサー素子100,110,120について、センサー素子100,110,120を構成する圧電基板および電極の平面形状は、上述の形態に限定されず、図7に例示するような形状であっても良い。図7(a)は、円形外形を有する圧電基板10Cと検出電極20CもしくはGND電極30Cの斜視図およびR−R´部の断面図、図7(b)は基板基部10Daが円形外形であり、基板基部10Daの外形に基板突起10Dbを備える圧電基板10Dと、検出電極20DもしくはGND電極30Dの斜視図およびS−S´,−S´´,−S´´´部の断面図、である。図7(a)に示す圧電基板10Cは外形をほぼ円形に形成されている。この圧電基板10Cに組み合わされる検出電極20CもしくはGND電極30Cも外形がほぼ円形に形成されている。この場合、検出電極20CもしくはGND電極30Cの配線によって接続される接続部20Caもしくは30Caは圧電基板10Cの外形と重なるように形成され、その他の部分は図7(a)のR´方向の断面で示すように検出電極20CもしくはGND電極30Cの外形が圧電基板10Cの外形より内側となるように形成されている。
【0063】
図7(b)に示す圧電基板10Dは、ほぼ円形の外形を備える基板基部10Daと、基板基部10Daの外周に基板突起10Dbを備えている。この圧電基板10Dに組み合わされる検出電極20DもしくはGND電極30Dは、基板基部10Daとほぼ同じ形状の検出電極基部20DaもしくはGND電極基部30Daを備え、検出電極基部20DaもしくはGND電極基部30Daの外形部に少なくとも1か所の検出電極突起部20DbもしくはGND電極突起部30Dbを備えている。検出電極突起部20DbもしくはGND電極突起部30Dbは、基板突起10Dbのいずれかと合わせて積層され、検出電極突起部20DbもしくはGND電極突起部30Dbに接続される配線が形成される。配線の接続方法は第2実施形態と同じであるので詳細な説明は省略する。センサー素子として構成される圧電基板および電極は、図7(a),(b)に示す形状にも限定されないが、少なくとも圧電基板の外形の一部に、外形の一部が重なるように形成された電極を有するように形成されれば良い。
【0064】
(第4実施形態)
図8は第4実施形態に係る力検出装置1000を示す概略断面図である。図8に示すように、力検出装置1000は、上述のセンサー素子100,110,120のいずれかであって、本実施形態ではセンサー素子100が、容器200(以下、パッケージ200という)に収納され、パッケージ200に形成された外部接続部230を介して演算装置500に電気的な接続がされている。パッケージ200は、セラミックスにより形成される第1パッケージ基板210と、セラミックスにより形成され枠状に形成された第2パッケージ基板220と、が公知の接合方法によって接合され、形成された収納空間にセンサー素子100を収納し、第2パッケージ基板220の第1パッケージ基板210との接合部とは反対の開口部を、金属製の蓋240によって第2パッケージ基板220の蓋接合面220a部に公知の接合方法によって、好ましくは気密に接合される。
【0065】
このように気密に保持されたパッケージ200の内部にセンサー素子100を収納することによって、外部環境の影響、例えば液体の水あるいは油などのセンサー素子100の収納部への浸入を阻止し、センサー素子100の耐久性を長期に亘って維持させることができる。さらには、第2パッケージ基板220と、第1パッケージ基板210および蓋240の接合部の気密性を高くすることにより、腐食性のガスの浸入、水蒸気の浸入、など基体の浸入を阻止することができ、より長期間に亘ってセンサー素子100の耐久性を維持させることができる。なお、セラミックスのパッケージ200の他に樹脂によりセンサー素子100をモールド(被覆)することでも、センサー素子100を気密に保持することができる。
【0066】
蓋240は、第2パッケージ基板220に接合された状態において、センサー素子100を、センサー素子100の基板および電極の積層方向に所定の圧力で押圧するように、弾性を備える金属によって形成されることが好ましい。例えばステンレス、チタン合金、アルミ合金、など耐食性にも優れた金属であることがなお好ましい。
【0067】
第1パッケージ基板210には、接続電極として外部接続部230が形成されている。外部接続部230は、パッケージ200の内部に収納されたセンサー素子100に形成された配線41,42,43,44と電気的に接続し、演算装置500に接続する接続配線600と電気的に接続されるように形成されている。外部接続部230は第1パッケージ基板210に導電性材料、例えばAu,W,Ag,Cuなどの金属材料の場合はスパッタリング法、蒸着法、あるいはCVDなどの方法によって成膜形成され、導電性ペーストなどの有機材料の場合には印刷、塗布などの方法によって形成される。
【0068】
上述したように蓋240によってセンサー素子100は第1パッケージ基板210に押圧され、センサー素子100に形成された第1配線41は第1外部接続部230aと、第2配線42は第2外部接続部230bと、第3配線43は第3外部接続部230cと、第4配線44は第4外部配線部230dと、接続される。そして、第1配線41に接続された第1検出電極21はα方向演算装置510に、第2配線42に接続された第2検出電極22はβ方向演算装置520に、第3配線43に接続された第3検出電極23はγ方向演算装置530に、第4配線44に接続されたGND電極31,32,33,34はGND540に、接続される(図1〜3参照)。そして、上述の力検出装置1000は、図示しない被検出装置の基台310,320によって挟持され、押圧固定される。演算装置500には検出電極21,22,23の電荷を変換するQVアンプを備え、基台310,320を介して披検出装置に掛かる力を検出、演算する。
【0069】
力検出装置1000を絶縁体であるセラミックスを用いたパッケージ200によって構成することにより、パッケージ200の内部に容易に接続電極としての接続部を形成することができる。さらに、第4実施形態のその他の例として図9に示すパッケージ201のように、第2パッケージ基板221の第1パッケージ基板210接続部に隣接して電極形成部221aと配線41,42,43,44と側面部で接続可能となる電極231を形成することにより、さらに電気的な接続面積を大きくすることができ、接続の信頼性、安定性をより高めることができる。
【0070】
また、本実施形態に係る力検出装置1000は、上述の実施形態に係るセンサー素子100,110,120をパッケージ200もしくはパッケージ201に収納させることにより、取扱がし易く、小型にすることができため、ロボットなどの取り付けスペースが狭小な装置であっても容易に設置が可能となる。
【0071】
図10は、第4実施形態に係る力検出装置1000を用い、トルク検出を可能とする6軸力検出装置2000の概略を示し、(a)は平面図、(b)は(a)に示すT−T´部の断面図である。図10(a),(b)に示すように6軸力検出装置2000は基台311,321によって、力検出装置1000を4個固定した構成となっている。この6軸力検出装置2000の形態とすることによって、配置された4個の力検出装置1000の装置間の距離と、各力検出装置1000によって得られる力と、によりα軸、β軸、およびγ軸の各軸回りのトルクを求めることが可能となる。
【0072】
(第5実施形態)
図11は、第3実施形態に係る力検出装置1000、もしくは6軸力検出装置2000を用いたロボット3000の構成を示す外観図である。ロボット3000は、本体部3100、アーム部3200およびロボットハンド部3300などから構成されている。本体部3100は、例えば床、壁、天井、移動可能な台車の上、などに固定される。アーム部3200は、本体部3100に対して可動に設けられており、本体部3100にはアーム部3200を回転させるための動力を発生させる図示しないアクチュエーターや、アクチュエーターを制御する制御部などが内蔵されている。
【0073】
アーム部3200は、第1フレーム3210、第2フレーム3220、第3フレーム3230、第4フレーム3240および第5フレーム3250から構成されている。第1フレーム3210は、回転屈曲軸を介して本体部3100に回転可能または屈曲可能に接続されている。第2フレーム3220は、回転屈曲軸を介して第1フレーム3210および第3フレーム3230に接続されている。第3フレーム3230は、回転屈曲軸を介して第2フレーム3220および第4フレーム3240に接続されている。第4フレーム3240は、回転屈曲軸を介して第3フレーム3230および第5フレーム3250に接続されている。第5フレーム3250は、回転屈曲軸を介して第4フレーム3240に接続されている。アーム部3200は、制御部の制御によって、各フレーム3210〜3250が各回転屈曲軸を中心に複合的に回転または屈曲し、動作する。
【0074】
アーム部3200の第5フレーム3250のうち、第4フレーム3240との接続部の他方の側には、ロボットハンド部3300が取り付けられている。ロボットハンド部3300は、対象物を把持することが可能なロボットハンド3310と、ロボットハンド3310を回転動作させるモーターを内蔵するロボットハンド接続部3320と、を備え、ロボットハンド接続部3320によって第5フレーム3250に接続されている。
【0075】
ロボットハンド接続部3320には、モーターに加えて第3実施形態に係る力検出装置1000または6軸力検出装置2000が内蔵されており、ロボットハンド部3300が制御部の制御によって所定の動作位置まで移動させたとき、障害物への接触、あるいは所定位置を超えての動作命令による対象物との接触、などを力検出装置1000または6軸力検出装置2000によって力として検出し、ロボット3000の制御部へフィードバックして、回避行動を実行させることができる。
【0076】
このようなロボット3000を用いることにより、従来からの位置制御では対処できなかった障害物回避動作、対象物損傷回避動作などを容易に行える、安全で細かな作業が可能なロボットを得ることができる。なお、本実施形態に限定されず、例えば双腕ロボットにも適用することができる。
【符号の説明】
【0077】
11,12,13,13,14,15,16…圧電基板(水晶基板)、21,22,23…検出電極、31,32,33,34…接地電極(GND電極)、41,42,43,44…配線、100…センサー素子、230…外部接続部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサー素子、力検出装置およびロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、圧電材料を用いた力センサーとしては特許文献1のものが知られていた。すなわち、特許文献1の図15に示されている、信号電極15を圧電材料である結晶円板16により挟持し、さらに金属カバー円板17によって挟持された測定素子を、複数配置した力センサーが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平4−231827号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述の特許文献1の測定素子では、測定素子に力が掛かり結晶円板に発生した電荷によって励起されて信号電極15に発生する電荷量から力を演算するための演算装置には、信号電極15に電荷取り出しのための配線を接続し、演算装置までその配線を引き回さなければならない。そのために、力検出装置には配線を配置させるためのスペースを確保しなければならず、小型化が困難であった。
【0005】
そこで、力検出装置に用いるセンサー素子の側面に配線層を形成することによって、配線スペースを小さくし、小型の力検出装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、少なくとも上述の課題の一つを解決するように、下記の形態または適用例として実現され得る。
【0007】
〔適用例1〕本適用例のセンサー素子は、空間座標軸として、α軸と、前記α軸に直交するβ軸と、前記α軸と前記β軸とに直交するγ軸と、した場合、前記α軸と前記β軸を含む主面を有する圧電基板と、前記圧電基板の主面側に電極を設け、前記γ軸方向に積層して形成されるセンサー素子であって、前記α軸方向の力を検出する第1圧電基板の一方の主面側に第1電極と他方の主面に第2電極が設けられ、前記β軸方向の力を検出する第2圧電基板の一方の主面に第3電極と他方の主面に第4電極が設けられ、前記γ軸方向の力を検出する第3圧電基板の一方の主面に第5電極と他方の主面に第6電極が設けられ、前記第1電極および前記第2電極は、前記第1電極および前記第2電極の外形部の一部が前記第1圧電基板の前記主面の外形部の一部に重なるよう配置される前記第1電極の第1接続部と前記第2電極の第2接続部を備え、前記第1接続部と前記第2接続部とが、前記γ軸の方向視において互いに重ならないように配置され、前記第3電極および前記第4電極は、前記第3電極および前記第4電極の外形部の一部が前記第2圧電基板の前記主面の外形部の一部に重なるよう配置される前記第3電極の第3接続部と前記第4電極の第4接続部を備え、前記第3接続部と前記第4接続部とが、前記γ軸の方向視において互いに重ならないように配置され、前記第5電極および前記第6電極は、前記第5電極および前記第6電極の外形部の一部が前記第3圧電基板の前記主面の外形部の一部に重なるよう配置される前記第5電極の第5接続部と前記第6電極の第6接続部を備え、前記第5接続部と前記第6接続部とが、前記γ軸の方向視において互いに重ならないように配置され、前記第1,第2,第3圧電基板の外周部の一部に、前記第1接続部と第1外部接続部とを電気的に接続する第1配線と、前記第3接続部と第2外部接続部とを電気的に接続する第2配線と、前記第5接続部と第3外部接続部とを電気的に接続する第3配線と、が形成され、前記第2、第4および第6接続部と、を接続し、且つ第4外部接続部に接続される第4配線が形成されていることを特徴とする。
【0008】
本適用例のセンサー素子によれば、α,β,γ各方向の力を検出する検出電極と接地電極(GDN電極)の一部を、圧電基板の外形部にγ方向の方向視で重なるように配置することによって、検出電極および接地電極から外部接続部までの配線をセンサー素子外周に、例えば導電性を有する塗料の塗布あるいはPVD法、CVD法により被膜を形成することによって、容易に電気的な接続が可能となり、配線コードを配置するための空間(スペース)を確保しなくてもよいため、小型の力検出装置を形成できるセンサー素子を得ることができる。
【0009】
〔適用例2〕上述の適用例において、前記第1〜3圧電基板は、前記γ軸の方向視において突起部を備え、前記第1〜6接続部が前記突起部の外形部の少なくとも一部と重なることを特徴とする。
【0010】
上述の適用例によれば、突起部において第1〜4配線を形成することによって、圧電基板の突起部を除く基板基部の全面に各電極が形成できる、もしくは電極を接触させることができるため、圧電基板が発生する電荷の検出ロスを減少することができる。従って、力検出の精度をより高めることができる。
【0011】
〔適用例3〕上述の適用例において、前記第1〜3圧電基板は、水晶から形成され、前記第1,2圧電基板はYカット基板であり、前記第3圧電基板はXカット基板であることを特徴とする。
【0012】
上述の適用例によれば、水晶は、入手が容易で加工性に優れ、長期的に安定した材料であり、さらに付加された力に対して安定した電荷を発生させることができるため、信頼性に優れた力検出装置を実現するセンサー素子を得ることができる。
【0013】
〔適用例4〕本適用例の力検出装置は、空間座標軸として、α軸と、前記α軸に直交するβ軸と、前記α軸と前記β軸とに直交するγ軸と、した場合、前記α軸と前記β軸を含む主面を有する圧電基板と、前記圧電基板の主面側に電極を設け、前記γ軸方向に積層して形成されるセンサー素子であって、前記α軸方向の力を検出する第1圧電基板の一方の主面側に第1電極と他方の主面に第2電極が設けられ、前記β軸方向の力を検出する第2圧電基板の一方の主面に第3電極と他方の主面に第4電極が設けられ、前記γ軸方向の力を検出する第3圧電基板の一方の主面に第5電極と他方の主面に第6電極が設けられ、前記第1電極および前記第2電極は、前記第1電極および前記第2電極の外形部の一部が前記第1圧電基板の前記主面の外形部の一部に重なるよう配置される前記第1電極の第1接続部と前記第2電極の第2接続部を備え、前記第1接続部と前記第2接続部とが、前記γ軸の方向視において互いに重ならないように配置され、前記第3電極および前記第4電極は、前記第3電極および前記第4電極の外形部の一部が前記第2圧電基板の前記主面の外形部の一部に重なるよう配置される前記第3電極の第3接続部と前記第4電極の第4接続部を備え、前記第3接続部と前記第4接続部とが、前記γ軸の方向視において互いに重ならないように配置され、前記第5電極および前記第6電極は、前記第5電極および前記第6電極の外形部の一部が前記第3圧電基板の前記主面の外形部の一部に重なるよう配置される前記第5電極の第5接続部と前記第6電極の第6接続部を備え、前記第5接続部と前記第6接続部とが、前記γ軸の方向視において互いに重ならないように配置され、前記第1,第2,第3圧電基板の外周部の一部に、前記第1接続部と第1外部接続部とを電気的に接続する第1配線と、前記第3接続部と第2外部接続部とを電気的に接続する第2配線と、前記第5接続部と第3外部接続部とを電気的に接続する第3配線と、が形成され、前記第2、第4および第6接続部と、を接続し、且つ第4外部接続部に接続される第4配線が形成されているセンサー素子と、前記α方向の力を演算する第1演算装置と、前記β方向の力を演算する第2演算装置と、前記γ方向の力を演算する第3演算装置と、を備え、前記第1外部接続部は前記第1演算装置と電気的に接続され、前記第2外部接続部は前記第2演算装置と電気的に接続され、前記第3外部接続部は前記第3演算装置と電気的に接続され、前記第4外部接続部は接地(GND)と電気的に接続されていることを特徴とする。
【0014】
上述の適用例によれば、簡単な構成によって3軸力検出センサーを得ることができる。また、α,β,γ各方向の力を検出する検出電極と接地電極(GDN電極)の一部を、圧電基板の外形部にγ方向の方向視で重なるように配置することによって、検出電極および接地電極から外部接続部までの配線をセンサー素子外周に、例えば導電性を有する塗料の塗布あるいはPVD法、CVD法により被膜を形成することによって、容易に電気的な接続が可能となり、配線コードを配置するための空間(スペース)を確保しなくてもよいため、小型の力検出装置を得ることができる。さらに、本適用例の力検出装置を複数用いることにより、例えばトルク計測も含む6軸力検出装置などを容易に得ることができる。
【0015】
〔適用例5〕上述の適用例において、前記第1〜3圧電基板は、前記γ軸の方向視において突起部を備え、前記第1〜6接続部が前記突起部の外形部の少なくとも一部と重なることを特徴とする。
【0016】
上述の適用例によれば、突起部において第1〜4配線を形成することによって、圧電基板の突起部を除く基板基部の全面に各電極が形成できる、もしくは電極を接触させることができるため、圧電基板が発生する電荷の検出ロスを減少することができる。従って、力検出の精度がより高い力検出装置を得ることができる。
【0017】
〔適用例6〕上述の適用例において、前記第1〜3圧電基板は、水晶から形成され、前記第1,2圧電基板はYカット基板であり、前記第3圧電基板はXカット基板であることを特徴とする。
【0018】
上述の適用例によれば、水晶は、入手が容易で加工性に優れ、長期的に安定した材料であり、さらに付加された力に対して安定した電荷を発生させることができるため、信頼性に優れたセンサー素子を備える力検出装置を得ることができる。
【0019】
〔適用例7〕上述の適用例において、前記センサー素子は、前記センサー素子を収納する収納部を備える収納容器に収納され、前記収納容器は、前記収納部に前記第1,第2,第3,第4外部接続部が延設され、前記センサー素子の前記第1,第2,第3,第4配線と前記第1,第2,第3,第4外部接続部とが電気的に接続されていることを特徴とする。
【0020】
収納容器にセンサー素子を収納させることにより、外的負荷、例えば水分、油分、気体とセンサー素子との接触を阻止し、安定した力検出ができる力検出装置を得ることができる。
【0021】
〔適用例8〕上述の適用例において、前記収納容器は、筒状の収納容器体と、前記収納容器体のどちらか一方の開口部に収納容器基板、他方の開口部に蓋体と、を配置し、前記収納容器体に前記収納容器基板と前記蓋体とを接合して前記収納部が形成され、少なくとも前記収納容器体および前記収納容器基板はセラミックスであることを特徴とする。
【0022】
外部環境に対して侵されにくいセラミックスを収納容器に用いることにより、さらに長期的に安定した力検出ができる力検出装置を得ることができる。
【0023】
〔適用例9〕本適用例のロボットは、空間座標軸として、α軸と、前記α軸に直交するβ軸と、前記α軸と前記β軸とに直交するγ軸と、した場合、前記α軸と前記β軸を含む主面を有する圧電基板と、前記圧電基板の主面側に電極を設け、前記γ軸方向に積層して形成されるセンサー素子であって、前記α軸方向の力を検出する第1圧電基板の一方の主面側に第1電極と他方の主面に第2電極が設けられ、前記β軸方向の力を検出する第2圧電基板の一方の主面に第3電極と他方の主面に第4電極が設けられ、前記γ軸方向の力を検出する第3圧電基板の一方の主面に第5電極と他方の主面に第6電極が設けられ、前記第1電極および前記第2電極は、前記第1電極および前記第2電極の外形部の一部が前記第1圧電基板の前記主面の外形部の一部に重なるよう配置される前記第1電極の第1接続部と前記第2電極の第2接続部を備え、前記第1接続部と前記第2接続部とが、前記γ軸の方向視において互いに重ならないように配置され、前記第3電極および前記第4電極は、前記第3電極および前記第4電極の外形部の一部が前記第2圧電基板の前記主面の外形部の一部に重なるよう配置される前記第3電極の第3接続部と前記第4電極の第4接続部を備え、前記第3接続部と前記第4接続部とが、前記γ軸の方向視において互いに重ならないように配置され、前記第5電極および前記第6電極は、前記第5電極および前記第6電極の外形部の一部が前記第3圧電基板の前記主面の外形部の一部に重なるよう配置される前記第5電極の第5接続部と前記第6電極の第6接続部を備え、前記第5接続部と前記第6接続部とが、前記γ軸の方向視において互いに重ならないように配置され、前記第1,第2,第3圧電基板の外周部の一部に、前記第1接続部と第1外部接続部とを電気的に接続する第1配線と、前記第3接続部と第2外部接続部とを電気的に接続する第2配線と、前記第5接続部と第3外部接続部とを電気的に接続する第3配線と、が形成され、前記第2、第4および第6接続部と、を接続し、且つ第4外部接続部に接続される第4配線が形成されているセンサー素子と、前記α方向の力を演算する第1演算装置と、前記β方向の力を演算する第2演算装置と、前記γ方向の力を演算する第3演算装置と、を備え、前記第1外部接続部は前記第1演算装置と電気的に接続され、前記第2外部接続部は前記第2演算装置と電気的に接続され、前記第3外部接続部は前記第3演算装置と電気的に接続され、前記第4外部接続部は接地(GND)と電気的に接続されている力検出装置を備えることを特徴とする。
【0024】
本適用例によれば、作動するロボットアームあるいはロボットハンドに対して、所定動作中に起こる障害物への接触の検出、対象物への接触力の検出を、力検出装置によって確実に検出し、ロボット制御装置へデータをフィードバックすることで、安全で細かな作業が可能なロボットを得ることができる。
【0025】
〔適用例10〕上述の適用例において、前記第1〜3圧電基板は、前記γ軸の方向視において突起部を備え、前記第1〜6接続部が前記突起部の外形部の少なくとも一部と重なることを特徴とする。
【0026】
上述の適用例によれば、突起部において第1〜4配線を形成することによって、圧電基板の突起部を除く基板基部の全面に各電極が形成できる、もしくは電極を接触させることができるため、圧電基板が発生する電荷の検出ロスを減少することができる。従って、力検出の精度が高い力検出装置を備える信頼性、安全性の高いロボットを得ることができる。
【0027】
〔適用例11〕上述の適用例において、前記第1〜3圧電基板は、水晶から形成され、前記第1,2圧電基板はYカット基板であり、前記第3圧電基板はXカット基板であることを特徴とする。
【0028】
上述の適用例によれば、水晶は、入手が容易で加工性に優れ、長期的に安定した材料であり、さらに付加された力に対して安定した電荷を発生させることができるため、信頼性に優れたセンサー素子を備える力検出装置によって、信頼性、安全性の高いロボットを得ることができる。
【0029】
〔適用例12〕上述の適用例において、前記センサー素子は、前記センサー素子を収納する収納部を備える収納容器に収納され、前記収納容器は、前記収納部に前記第1,第2,第3,第4外部接続部が延設され、前記センサー素子の前記第1,第2,第3,第4配線と前記第1,第2,第3,第4外部接続部とが電気的に接続されていることを特徴とする。
【0030】
上述の適用例によれば、収納容器にセンサー素子を収納することによって、ロボットがセンサー素子に対して劣化などを誘発する水分、油分、ガスなどの存在する環境に設置された場合であっても、センサー素子を外部環境から保護することができるため、センサー素子を収納した力検出装置の信頼性を長期に亘って維持することができ、信頼性、安全性の高いロボットを得ることができる。
【0031】
〔適用例13〕上述の適用例において、前記収納容器は、筒状の収納容器体と、前記収納容器体のどちらか一方の開口部に収納容器基板、他方の開口部に蓋体と、を配置し、前記収納容器体に前記収納容器基板と前記蓋体とを接合して前記収納部が形成され、少なくとも前記収納容器体および前記収納容器基板はセラミックスであることを特徴とする。
【0032】
上述の適用例によれば、より過酷な外部環境に対しても劣化することが少ないセラミックスの収納容器とすることにより、さらに信頼性、安全性の高いロボットを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】第1実施形態に係るセンサー素子の、(a)は断面図、(b)は平面図。
【図2】第1実施形態に係るセンサー素子の配置を示す、(a)は分解斜視図、(b)は水晶基板の結晶軸方向を示す構成図。
【図3】図2(a)に示すセンサー素子の、(a)はα方向の組立断面図、(b)はβ方向の組立断面図。
【図4】第2実施形態に係るセンサー素子の、(a)は圧電基板の平面図、(b)は電極の平面図。
【図5】第2実施形態に係るセンサー素子の配置を示す分解斜視図。
【図6】第3実施形態に係るセンサー素子の断面図。
【図7】センサー素子を構成する圧電基板および電極のその他の形態を示す斜視図および断面図。
【図8】第4実施形態に係る力検出装置を示す構成図。
【図9】第4実施形態に係る力検出装置のその他の形態を示す断面図。
【図10】第4実施形態に係る力検出装置を用いた6軸力検出装置の、(a)は平面図、(b)は断面図。
【図11】第5実施形態に係るロボットを示す外観図。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、図面を参照して、本発明に係る実施形態を説明する。
【0035】
(第1実施形態)
図1は第1実施形態に係るセンサー素子を示す、(a)は断面図、(b)は平面図である。図1(b)に示すP−P´部の断面の図1(a)に示すように、本実施形態に係るセンサー素子100は、図示するγ方向に圧電基板としての水晶基板、すなわち 第1圧電基板としての第1水晶基板11と第2水晶基板12、第2圧電基板としての第3水晶基板13と第4水晶基板14、第3圧電基板としての第5水晶基板15と第6水晶基板16、とが積層されている。また、第1水晶基板11の一方の主面11a側には第1電極としての第1検出電極21と、他方の主面11b側には第2電極としての接地電極(以下、GND電極という)31が設けられ、第2水晶基板12の一方の主面12a側には第1水晶基板11と共用される第1電極としての第1検出電極21と、他方の主面12b側には第2電極としての第2GND電極32が設けられている。
【0036】
第3水晶基板13の一方の主面13a側には第3電極としての第2検出電極22と、他方の主面13b側には第4電極として第2水晶基板12の第2GND電極32が共有されて設けられ、第4水晶基板14の一方の主面14a側には第3水晶基板13と共用される第3電極としての第2検出電極22と、他方の主面14b側には第4電極としての第3GND電極33が設けられている。第5水晶基板15の一方の主面15a側には第5電極としての第3検出電極23と、他方の主面15b側には第6電極として第4水晶基板14の第3GND電極33が共有されて設けられ、第6水晶基板16の一方の主面16a側には第5水晶基板15と共用される第5電極としての第3検出電極23と、他方の主面16b側には第6電極としての第4GND電極34が設けられている。
【0037】
積層された水晶基板11,12,13,14,15,16の外周辺部には、γ方向に延在させて、第1検出電極21と後述する第1外部接続部230aとを電気的に接続する第1配線41と、第2検出電極22と後述する第2外部接続部230bとを電気的に接続する第2配線42と、第3検出電極23と後述する第3外部接続部230cとを電気的に接続する第3配線43と、GND電極31,32,33,34と後述する第4外部接続部230dとを電気的に接続する第4配線44と、が形成されている。なお、外部接続部230a,230b,230c,230dの詳細は後述する。
【0038】
図2(a)は、図1に示すセンサー素子100の配置を説明する分解斜視図であり、図2(a)を用いて水晶基板11,12,13,14,15,16と、検出電極21,22,23とGND電極31,32,33,34と、の配置について説明する。第1水晶基板11の他方の主面11b側に設けられた第1GND電極31は、第1接続部としてのα(−)方向の外形面31aが第1水晶基板11のα(−)方向の外形面11cを含む仮想面Qの位置になるように配置される。仮想面Qは、他の水晶基板12,13,14,15,16のα(−)方向の外形面12c,13c,14c,15c,16cが含まれる仮想面である。そして、他のGND電極32,33,34も第1GND電極31と同様に、α(−)方向の外形面32a,33a,34aが仮想面Qの位置になるように配置される。すなわち、γ方向の方向視において、水晶基板11,12,13,14,15,16の外形面11c,12c,13c,14c,15c,16cと、GND電極31,32,33,34の外形面31a、32a,33a,34aと、が面Qに沿ってγ方向の方向視において重なるように配置されている。
【0039】
第1圧電基板としての第1水晶基板11と第2水晶基板12との間には、第1電極としての第1検出電極21が配置されている。第1検出電極21は、第2電極としてのGND電極31,32が位置を合わせて配置される水晶基板11,12の外形面11c,12c(仮想面Qに沿った面)とは異なる面、本実施形態ではα(+)方向の外形面11d,12dと、第1検出電極21のα(+)方向の外形面21aと、がγ方向の方向視において重なるように配置される。
【0040】
また、第2圧電基板としての第3水晶基板13と第4水晶基板14との間には、第3電極としての第2検出電極22が配置されている。第2検出電極22は、第4電極としてのGND電極32,33が位置を合わせて配置される水晶基板13,14の外形面13c,14c(仮想面Qに沿った面)と、第1検出電極21の外形面21aが配置されるα(+)方向と、は異なる方向の面、本実施形態ではβ(+)方向の外形面13d,14dと、第2検出電極22のα(+)方向の外形面22aと、がγ方向の方向視において重なるように配置される。
【0041】
そして、第3圧電基板としての第5水晶基板15と第6水晶基板16との間には、第5電極としての第3検出電極23が配置されている。第3検出電極23は、第6電極としてのGND電極33,34が位置を合わせて配置される水晶基板15,16の外形面15c,16c(仮想面Qに沿った面)と、第1検出電極21の外形面21aが配置されるα(+)方向と、第2検出電極22の外形面22aが配置されるβ(+)方向と、は異なる面、本実施形態ではβ(−)方向の外形面15d,16dと、第3検出電極23のβ(−)方向の外形面23aと、がγ方向の方向視において重なるように配置される。
【0042】
図3(a)は図2(a)に示すα軸方向の断面模式図、図3(b)は図2(a)に示すβ軸方向の断面模式図である。図3(a)に示すように、水晶基板11,12,13,14,15,16のα(−)方向の外形面11c,12c,13c,14c,15c,16cと、GND電極31,32,33,34のα(−)方向の外形面31a、32a,33a,34aと、が仮想面Qに沿って配置されている。また、これらGND電極31,32,33,34の外形面31a、32a,33a,34aが電気的に接続され第4外部接続部230dに接続される領域まで第4配線44が形成されている。
【0043】
また、図3(a)に示すように、第1水晶基板11と第2水晶基板12のα(+)方向の外形面11d、12dと、第1電極としての第1検出電極21のα(+)方向の外形面21aと、がγ方向の方向視において重なるように配置される。そして、第1検出電極21の外形面21aと電気的に接続され、第1外部接続部230aに接続される領域まで第1配線41が形成されている。
【0044】
図3(b)に示す、図2(a)のβ軸方向断面図には第5水晶基板15と第6水晶基板16のβ(−)方向の外形面15d,16dと、第3電極としての第3検出電極23のβ(−)方向の外形面23aと、がγ方向の方向視において重なるように配置される。そして、第3検出電極23の外形面23aと電気的に接続され、第3外部接続部230cに接続される領域まで第3配線43が形成されている。そして、第3水晶基板13と第4水晶基板14のβ(+)方向の外形面13d,14dと、第2電極としての第2検出電極22のβ(+)方向の外形面22aと、がγ方向の方向視において重なるように配置される。そして、第2検出電極22の外形面22aと電気的に接続され、第2外部接続部230bに接続される領域まで第2配線42が形成されている。
【0045】
図2(b)には、図2(a)に示す水晶基板11,12,13,14,15,16の配置において、各水晶基板の結晶軸方向を示している。ここで、水晶基板の結晶軸のX軸は電気軸、Y軸は機械軸、そしてZ軸は光軸を示している。図2(b)に示すように第1水晶基板11と第2水晶基板12は、いわゆるYカット基板といわれる主面にX軸とZ軸を含む基板により形成され、第1水晶基板11と第2水晶基板12とは互いに各結晶軸方向が逆方向となるように組み合わされている。これによりX軸方向に掛かる力、すなわちα軸方向の力を検出することができる。第3水晶基板13と第4水晶基板14も、Yカット基板を用い、第1水晶基板11と第2水晶基板12の配置に対してγ軸回りに90度回転させた方向に配置され、X軸方向となるβ軸方向の力を検出することができる。また、第5水晶基板15と第6水晶基板16とは、主面にY軸とZ軸を含むXカット基板により形成され、第5水晶基板15と第6水晶基板16とは互いに各結晶軸方向が逆方向となるように組み合わされている。これによりX軸方向に掛かる力、すなわちγ軸方向の力を検出することができる。
【0046】
このように、第1水晶基板11と第2水晶基板12にはα軸方向の力がかかることによって電荷が発生し、第1水晶基板11と第2水晶基板12とにより挟持される第1検出電極21には発生した電荷に応じて電荷が励起され、その励起された電荷量を後述する演算装置によって力を演算する。同様に、第3水晶基板13と第4水晶基板14とにより検出されるβ軸方向の力は第2検出電極22により検出される電荷量によって演算され、第5水晶基板15と第6水晶基板16とにより検出されるγ軸方向の力は第3検出電極23により検出される電荷量によって演算される。
【0047】
上述したように、GND電極31,32,33,34は水晶基板11,12,13,14,15,16の外形面11c,12c,13c,14c,15c,16cの外形面に沿わせて形成した第4配線44によって、容易に接続され、且つ外部接続部230dへ電気的に接続される。第4配線44は、検出電極21,22,23のα(−)方向の外形面は水晶基板11,12,13,14,15,16の外形面11c,12c,13c,14c,15c,16cより内側に離間して形成されるため、検出電極21,22,23との電気的な接触を回避することができる。
【0048】
第1配線41も水晶基板11,12,13,14,15,16のα(+)方向の外形面に沿わせて形成されているが、検出電極22,23のα(+)方向の外形面は水晶基板11,12,13,14,15,16のα(+)方向の外形面より内側に離間して形成される。そのため、検出電極22,23との電気的な接触を回避して外部接続部230aへ接続可能な第1配線41を形成することができる。また、第2配線42も水晶基板13,14,15,16のβ(+)方向の外形面に沿わせて形成されているが、第3検出電極23のβ(+)方向の外形面は水晶基板13,14,15,16のβ(+)方向の外形面より内側に離間して形成される。そのため、第3検出電極23との電気的な接触を回避して外部接続部230bへ接続可能な第2配線42を形成することができる。
【0049】
(第2実施形態)
図4は第2実施形態に係るセンサー素子を示す。第2実施形態に係るセンサー素子110は第1実施形態に係るセンサー素子100と比較して、水晶基板11,12,13,14、検出電極21,22,23、GND電極31,32,33,34の形状が異なり、その他の構成はほぼ同じであるので、同じ構成には同じ符号を付し詳細な説明は省略する。
【0050】
図4(a)は、第2実施形態に係るセンサー素子110を構成する圧電基板としての水晶基板1Aの平面図、図4(b)は第1電極としての検出電極2A、および第2電極としてのGND電極3Aの平面図、を示す。図4(a)に示す水晶基板1Aは、基板基部1Aaと、基板基部1Aaの外形に基板突起部1Abが形成されており、本実施形態では基板突起部1Abは4か所形成されている。
【0051】
図4(b)に示す検出電極2AまたはGND電極3Aは、検出電極基部2AaまたはGND電極基部3Aaと、検出電極基部2AaまたはGND電極基部3Aaの外形に検出電極突起部2AbまたはGND電極突起部3Abが形成されている。検出電極突起部2AbまたはGND電極突起部3Abは、本実施形態では1か所形成されている。図4(a)に示す水晶基板1Aと図4(b)に示す検出電極2AおよびGND電極3Aは、図5に示すように、第1実施形態に係るセンサー素子100と同様に、γ方向に積層されセンサー素子110が形成されている。なお、図5は、第1実施形態に係るセンサー素子100の組立斜視図である図2に相当する、センサー素子110の組立分解斜視図である。
【0052】
図5に示すように、センサー素子110は、水晶基板1Aの形状の基板を図2に示す結晶軸方向に沿って第1水晶基板11A、第2水晶基板12Aと順に第6水晶基板16Aと積層される。GND電極3Aの形状の電極はGND電極突起部3Abの組込方向を、本実施形態ではα(−)方向の線L4に合わせて、第1水晶基板11Aの図示上側に第1GND電極31A、第2水晶基板12Aと第3水晶基板13Aとの間に第2GND電極32A、第4水晶基板14Aと第5水晶基板15Aとの間に第3GND電極33A、そして第6水晶基板16Aの図示下側に第4GND電極34Aと積層される。
【0053】
検出電極2Aは、α,β,γ方向の力を検出する水晶基板1Aに挟まれるように積層され、各々の検出電極突起部2Abの積層方向がγ方向の方向視において重ならないように配置される。すなわち図5に示すように、α方向の力を検出する第1水晶基板11Aと第2水晶基板12Aとの間には第1検出電極21Aが配置され、電極突起部はα(+)方向の線L1に沿って積層される。β方向の力を検出する第3水晶基板13Aと第4水晶基板14Aとの間には第2検出電極22Aが配置され、電極突起部はβ(+)方向の線L2に沿って積層される。γ方向の力を検出する第5水晶基板15Aと第6水晶基板16Aとの間には第3検出電極23Aが配置され、電極突起部はβ(−)方向の線L3に沿って積層される。
【0054】
このように配置され、各電極突起部は配線41,42,43,44によって電気的な接続が行われる。すなわち図5において図示されない第1配線41は、線L1に沿って形成され、第2配線42は線L2,第3配線43は線L3,そして第4配線44は線L4に沿って配線が形成される。この時、図4(b)に示すように、配線41,42,43,44は、検出電極突起部2AbあるいはGND電極突起部3Abの外形部に沿って形成、配置されるが、配線41,42,43,44の端部41a,42a,43a,44aは、電極基部2Aa,3Aaと離間させて隙δを確保して形成される。このように配線41,42,43,44を形成することにより、配線41,42,43,44がγ方向に延設される際の各電極間での短絡を防止する。
【0055】
上述した第1実施形態に係るセンサー素子100、および第2実施形態に係るセンサー素子110において、GND電極および検出電極の形態は、図示されるような板状の電極板の形態に限定されない。例えば、水晶基板の主面上にAu,Ag,Cu,Wなどの導電性金属を蒸着法、スパッタリング法などにより形成された電極膜であっても良い。また、配線41,42,43,44は、例えば導電性ペーストを塗布して形成しても良く、センサー素子100,110の水晶基板と各電極との間を固着させ、配線41,42,43,44の形成領域にAu,Ag,Cu,Wなどの導電性金属を蒸着法、スパッタリング法などにより形成された配線膜であっても良い。
【0056】
(第3実施形態)
図6は第3実施形態に係るセンサー素子の断面図である。第3実施形態に係るセンサー素子120は、第1実施形態に係るセンサー素子100の、α,β,γ方向の力はそれぞれ2枚の圧電基板としての水晶基板、すなわち6枚の水晶基板を用いた形態に対して、α,β,γ方向の力をそれぞれ1枚の水晶基板、すなわち3枚の水晶基板を用いた点で異なる。したがって、第3実施形態に係るセンサー素子120の説明は、第1実施形態に係るセンサー素子100と同じ構成についての説明は省略し、同一の構成には同じ符号を付して説明する。
【0057】
図6に示すセンサー素子120は、第1圧電基板としての第1水晶基板11B、第2圧電基板としての第2水晶基板12B、第3圧電基板としての第3水晶基板13B、とを用い、各水晶基板11B,12B,13Bに対して、次のように電極が配置されている。
【0058】
第1水晶基板11Bには、第1電極としての第1検出電極21Bが第1水晶基板11Bの一方の主面、本実施形態を示す図6では第1水晶基板11Bの図示上側、に配置され、第1水晶基板11Bの他の主面には第2電極としての第1GND電極31Bが配置されている。第2水晶基板12Bの第1水晶基板11B側には、第4電極として第1GND電極31Bが第1水晶基板11Bと共有されて配置され、第1水晶基板11Bと第2水晶基板12Bとにより挟持される。また第2水晶基板12Bの第1水晶基板11B側の敗退側には第3電極としての第2検出電極22Bが配置される。
【0059】
第3水晶基板13Bには、本実施形態の図6の例では、第2水晶基板12B側(図示上側)の主面側に第6電極としての第2GND電極32Bが配置され、他方の主面側(図示下側)には第3検出電極23Bが配置されている。ここで、第2水晶基板12Bの第2検出電極22Bと第3水晶基板13Bの第2GND電極32Bとの間は、第2検出電極22Bと第2GND電極32Bとの電気的な短絡を防止するために非導電性の絶縁部50が配置されている。絶縁部50は非導電性を備え、センサー素子120に掛かる力を緩和する弾性を備えない材料で形成されることが好ましい。例えば、セラミックスなどの非導電性の高剛性材料や、成膜技術により形成される非導電性被膜の例えばSiO2,TiN,Al2O3、などが好適に用いられる。
【0060】
このように構成されるセンサー素子120では、第1水晶基板11Bおよび第2水晶基板12BはYカットの水晶基板から形成され、γ軸周りに90度回転位置をずらせてα方向とβ方向の力を検出することができ、第3水晶基板13BはXカットの水晶基板彼形成されγ方向の力を検出することができる。
【0061】
なお、検出電極およびGND電極の配置は、図6に示す上述の形態に限定されず、少なくとも、電極同士が接触する部位には絶縁部50が配置されれば良い。また、第1実施形態に係るセンサー素子100を構成する、2個の水晶基板を用いて一方向を検出する形態との組合わせであっても良い。
【0062】
上述したセンサー素子100,110,120について、センサー素子100,110,120を構成する圧電基板および電極の平面形状は、上述の形態に限定されず、図7に例示するような形状であっても良い。図7(a)は、円形外形を有する圧電基板10Cと検出電極20CもしくはGND電極30Cの斜視図およびR−R´部の断面図、図7(b)は基板基部10Daが円形外形であり、基板基部10Daの外形に基板突起10Dbを備える圧電基板10Dと、検出電極20DもしくはGND電極30Dの斜視図およびS−S´,−S´´,−S´´´部の断面図、である。図7(a)に示す圧電基板10Cは外形をほぼ円形に形成されている。この圧電基板10Cに組み合わされる検出電極20CもしくはGND電極30Cも外形がほぼ円形に形成されている。この場合、検出電極20CもしくはGND電極30Cの配線によって接続される接続部20Caもしくは30Caは圧電基板10Cの外形と重なるように形成され、その他の部分は図7(a)のR´方向の断面で示すように検出電極20CもしくはGND電極30Cの外形が圧電基板10Cの外形より内側となるように形成されている。
【0063】
図7(b)に示す圧電基板10Dは、ほぼ円形の外形を備える基板基部10Daと、基板基部10Daの外周に基板突起10Dbを備えている。この圧電基板10Dに組み合わされる検出電極20DもしくはGND電極30Dは、基板基部10Daとほぼ同じ形状の検出電極基部20DaもしくはGND電極基部30Daを備え、検出電極基部20DaもしくはGND電極基部30Daの外形部に少なくとも1か所の検出電極突起部20DbもしくはGND電極突起部30Dbを備えている。検出電極突起部20DbもしくはGND電極突起部30Dbは、基板突起10Dbのいずれかと合わせて積層され、検出電極突起部20DbもしくはGND電極突起部30Dbに接続される配線が形成される。配線の接続方法は第2実施形態と同じであるので詳細な説明は省略する。センサー素子として構成される圧電基板および電極は、図7(a),(b)に示す形状にも限定されないが、少なくとも圧電基板の外形の一部に、外形の一部が重なるように形成された電極を有するように形成されれば良い。
【0064】
(第4実施形態)
図8は第4実施形態に係る力検出装置1000を示す概略断面図である。図8に示すように、力検出装置1000は、上述のセンサー素子100,110,120のいずれかであって、本実施形態ではセンサー素子100が、容器200(以下、パッケージ200という)に収納され、パッケージ200に形成された外部接続部230を介して演算装置500に電気的な接続がされている。パッケージ200は、セラミックスにより形成される第1パッケージ基板210と、セラミックスにより形成され枠状に形成された第2パッケージ基板220と、が公知の接合方法によって接合され、形成された収納空間にセンサー素子100を収納し、第2パッケージ基板220の第1パッケージ基板210との接合部とは反対の開口部を、金属製の蓋240によって第2パッケージ基板220の蓋接合面220a部に公知の接合方法によって、好ましくは気密に接合される。
【0065】
このように気密に保持されたパッケージ200の内部にセンサー素子100を収納することによって、外部環境の影響、例えば液体の水あるいは油などのセンサー素子100の収納部への浸入を阻止し、センサー素子100の耐久性を長期に亘って維持させることができる。さらには、第2パッケージ基板220と、第1パッケージ基板210および蓋240の接合部の気密性を高くすることにより、腐食性のガスの浸入、水蒸気の浸入、など基体の浸入を阻止することができ、より長期間に亘ってセンサー素子100の耐久性を維持させることができる。なお、セラミックスのパッケージ200の他に樹脂によりセンサー素子100をモールド(被覆)することでも、センサー素子100を気密に保持することができる。
【0066】
蓋240は、第2パッケージ基板220に接合された状態において、センサー素子100を、センサー素子100の基板および電極の積層方向に所定の圧力で押圧するように、弾性を備える金属によって形成されることが好ましい。例えばステンレス、チタン合金、アルミ合金、など耐食性にも優れた金属であることがなお好ましい。
【0067】
第1パッケージ基板210には、接続電極として外部接続部230が形成されている。外部接続部230は、パッケージ200の内部に収納されたセンサー素子100に形成された配線41,42,43,44と電気的に接続し、演算装置500に接続する接続配線600と電気的に接続されるように形成されている。外部接続部230は第1パッケージ基板210に導電性材料、例えばAu,W,Ag,Cuなどの金属材料の場合はスパッタリング法、蒸着法、あるいはCVDなどの方法によって成膜形成され、導電性ペーストなどの有機材料の場合には印刷、塗布などの方法によって形成される。
【0068】
上述したように蓋240によってセンサー素子100は第1パッケージ基板210に押圧され、センサー素子100に形成された第1配線41は第1外部接続部230aと、第2配線42は第2外部接続部230bと、第3配線43は第3外部接続部230cと、第4配線44は第4外部配線部230dと、接続される。そして、第1配線41に接続された第1検出電極21はα方向演算装置510に、第2配線42に接続された第2検出電極22はβ方向演算装置520に、第3配線43に接続された第3検出電極23はγ方向演算装置530に、第4配線44に接続されたGND電極31,32,33,34はGND540に、接続される(図1〜3参照)。そして、上述の力検出装置1000は、図示しない被検出装置の基台310,320によって挟持され、押圧固定される。演算装置500には検出電極21,22,23の電荷を変換するQVアンプを備え、基台310,320を介して披検出装置に掛かる力を検出、演算する。
【0069】
力検出装置1000を絶縁体であるセラミックスを用いたパッケージ200によって構成することにより、パッケージ200の内部に容易に接続電極としての接続部を形成することができる。さらに、第4実施形態のその他の例として図9に示すパッケージ201のように、第2パッケージ基板221の第1パッケージ基板210接続部に隣接して電極形成部221aと配線41,42,43,44と側面部で接続可能となる電極231を形成することにより、さらに電気的な接続面積を大きくすることができ、接続の信頼性、安定性をより高めることができる。
【0070】
また、本実施形態に係る力検出装置1000は、上述の実施形態に係るセンサー素子100,110,120をパッケージ200もしくはパッケージ201に収納させることにより、取扱がし易く、小型にすることができため、ロボットなどの取り付けスペースが狭小な装置であっても容易に設置が可能となる。
【0071】
図10は、第4実施形態に係る力検出装置1000を用い、トルク検出を可能とする6軸力検出装置2000の概略を示し、(a)は平面図、(b)は(a)に示すT−T´部の断面図である。図10(a),(b)に示すように6軸力検出装置2000は基台311,321によって、力検出装置1000を4個固定した構成となっている。この6軸力検出装置2000の形態とすることによって、配置された4個の力検出装置1000の装置間の距離と、各力検出装置1000によって得られる力と、によりα軸、β軸、およびγ軸の各軸回りのトルクを求めることが可能となる。
【0072】
(第5実施形態)
図11は、第3実施形態に係る力検出装置1000、もしくは6軸力検出装置2000を用いたロボット3000の構成を示す外観図である。ロボット3000は、本体部3100、アーム部3200およびロボットハンド部3300などから構成されている。本体部3100は、例えば床、壁、天井、移動可能な台車の上、などに固定される。アーム部3200は、本体部3100に対して可動に設けられており、本体部3100にはアーム部3200を回転させるための動力を発生させる図示しないアクチュエーターや、アクチュエーターを制御する制御部などが内蔵されている。
【0073】
アーム部3200は、第1フレーム3210、第2フレーム3220、第3フレーム3230、第4フレーム3240および第5フレーム3250から構成されている。第1フレーム3210は、回転屈曲軸を介して本体部3100に回転可能または屈曲可能に接続されている。第2フレーム3220は、回転屈曲軸を介して第1フレーム3210および第3フレーム3230に接続されている。第3フレーム3230は、回転屈曲軸を介して第2フレーム3220および第4フレーム3240に接続されている。第4フレーム3240は、回転屈曲軸を介して第3フレーム3230および第5フレーム3250に接続されている。第5フレーム3250は、回転屈曲軸を介して第4フレーム3240に接続されている。アーム部3200は、制御部の制御によって、各フレーム3210〜3250が各回転屈曲軸を中心に複合的に回転または屈曲し、動作する。
【0074】
アーム部3200の第5フレーム3250のうち、第4フレーム3240との接続部の他方の側には、ロボットハンド部3300が取り付けられている。ロボットハンド部3300は、対象物を把持することが可能なロボットハンド3310と、ロボットハンド3310を回転動作させるモーターを内蔵するロボットハンド接続部3320と、を備え、ロボットハンド接続部3320によって第5フレーム3250に接続されている。
【0075】
ロボットハンド接続部3320には、モーターに加えて第3実施形態に係る力検出装置1000または6軸力検出装置2000が内蔵されており、ロボットハンド部3300が制御部の制御によって所定の動作位置まで移動させたとき、障害物への接触、あるいは所定位置を超えての動作命令による対象物との接触、などを力検出装置1000または6軸力検出装置2000によって力として検出し、ロボット3000の制御部へフィードバックして、回避行動を実行させることができる。
【0076】
このようなロボット3000を用いることにより、従来からの位置制御では対処できなかった障害物回避動作、対象物損傷回避動作などを容易に行える、安全で細かな作業が可能なロボットを得ることができる。なお、本実施形態に限定されず、例えば双腕ロボットにも適用することができる。
【符号の説明】
【0077】
11,12,13,13,14,15,16…圧電基板(水晶基板)、21,22,23…検出電極、31,32,33,34…接地電極(GND電極)、41,42,43,44…配線、100…センサー素子、230…外部接続部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空間座標軸として、α軸と、前記α軸に直交するβ軸と、前記α軸と前記β軸とに直交するγ軸と、した場合、
前記α軸と前記β軸を含む主面を有する圧電基板と、前記圧電基板の主面側に電極を設け、前記γ軸方向に積層して形成されるセンサー素子であって、
前記α軸方向の力を検出する第1圧電基板の一方の主面側に第1電極と他方の主面に第2電極が設けられ、前記β軸方向の力を検出する第2圧電基板の一方の主面に第3電極と他方の主面に第4電極が設けられ、前記γ軸方向の力を検出する第3圧電基板の一方の主面に第5電極と他方の主面に第6電極が設けられ、
前記第1電極および前記第2電極は、前記第1電極および前記第2電極の外形部の一部が前記第1圧電基板の前記主面の外形部の一部に重なるよう配置される前記第1電極の第1接続部と前記第2電極の第2接続部を備え、前記第1接続部と前記第2接続部とが、前記γ軸の方向視において互いに重ならないように配置され、
前記第3電極および前記第4電極は、前記第3電極および前記第4電極の外形部の一部が前記第2圧電基板の前記主面の外形部の一部に重なるよう配置される前記第3電極の第3接続部と前記第4電極の第4接続部を備え、前記第3接続部と前記第4接続部とが、前記γ軸の方向視において互いに重ならないように配置され、
前記第5電極および前記第6電極は、前記第5電極および前記第6電極の外形部の一部が前記第3圧電基板の前記主面の外形部の一部に重なるよう配置される前記第5電極の第5接続部と前記第6電極の第6接続部を備え、前記第5接続部と前記第6接続部とが、前記γ軸の方向視において互いに重ならないように配置され、
前記第1,第2,第3圧電基板の外周部の一部に、前記第1接続部と第1外部接続部とを電気的に接続する第1配線と、前記第3接続部と第2外部接続部とを電気的に接続する第2配線と、前記第5接続部と第3外部接続部とを電気的に接続する第3配線と、が形成され、
前記第2、第4および第6接続部と、を接続し、且つ第4外部接続部に接続される第4配線が形成されている、
ことを特徴とするセンサー素子。
【請求項2】
前記第1〜3圧電基板は、前記γ軸の方向視において突起部を備え、前記第1〜6接続部が前記突起部の外形部の少なくとも一部と重なる、
ことを特徴とする請求項1に記載のセンサー素子。
【請求項3】
前記第1〜3圧電基板は、水晶から形成され、
前記第1,2圧電基板はYカット基板であり、前記第3圧電基板はXカット基板である、
ことを特徴とする請求項1または2に記載のセンサー素子。
【請求項4】
空間座標軸として、α軸と、前記α軸に直交するβ軸と、前記α軸と前記β軸とに直交するγ軸と、した場合、
前記α軸と前記β軸を含む主面を有する圧電基板と、前記圧電基板の主面側に電極を設け、前記γ軸方向に積層して形成されるセンサー素子であって、
前記α軸方向の力を検出する第1圧電基板の一方の主面側に第1電極と他方の主面に第2電極が設けられ、前記β軸方向の力を検出する第2圧電基板の一方の主面に第3電極と他方の主面に第4電極が設けられ、前記γ軸方向の力を検出する第3圧電基板の一方の主面に第5電極と他方の主面に第6電極が設けられ、
前記第1電極および前記第2電極は、前記第1電極および前記第2電極の外形部の一部が前記第1圧電基板の前記主面の外形部の一部に重なるよう配置される前記第1電極の第1接続部と前記第2電極の第2接続部を備え、前記第1接続部と前記第2接続部とが、前記γ軸の方向視において互いに重ならないように配置され、
前記第3電極および前記第4電極は、前記第3電極および前記第4電極の外形部の一部が前記第2圧電基板の前記主面の外形部の一部に重なるよう配置される前記第3電極の第3接続部と前記第4電極の第4接続部を備え、前記第3接続部と前記第4接続部とが、前記γ軸の方向視において互いに重ならないように配置され、
前記第5電極および前記第6電極は、前記第5電極および前記第6電極の外形部の一部が前記第3圧電基板の前記主面の外形部の一部に重なるよう配置される前記第5電極の第5接続部と前記第6電極の第6接続部を備え、前記第5接続部と前記第6接続部とが、前記γ軸の方向視において互いに重ならないように配置され、
前記第1,第2,第3圧電基板の外周部の一部に、前記第1接続部と第1外部接続部とを電気的に接続する第1配線と、前記第3接続部と第2外部接続部とを電気的に接続する第2配線と、前記第5接続部と第3外部接続部とを電気的に接続する第3配線と、が形成され、
前記第2、第4および第6接続部と、を接続し、且つ第4外部接続部に接続される第4配線が形成されているセンサー素子と、
前記α方向の力を演算する第1演算装置と、前記β方向の力を演算する第2演算装置と、前記γ方向の力を演算する第3演算装置と、を備え、
前記第1外部接続部は前記第1演算装置と電気的に接続され、前記第2外部接続部は前記第2演算装置と電気的に接続され、前記第3外部接続部は前記第3演算装置と電気的に接続され、前記第4外部接続部は接地(GND)と電気的に接続されている、
ことを特徴とする力検出装置。
【請求項5】
前記第1〜3圧電基板は、前記γ軸の方向視において突起部を備え、前記第1〜6接続部が前記突起部の外形部の少なくとも一部と重なる、
ことを特徴とする請求項4に記載の力検出装置。
【請求項6】
前記第1〜3圧電基板は、水晶から形成され、
前記第1,2圧電基板はYカット基板であり、前記第3圧電基板はXカット基板である、
ことを特徴とする請求項4または5に記載の力検出装置。
【請求項7】
前記センサー素子は、前記センサー素子を収納する収納部を備える収納容器に収納され、
前記収納容器は、前記収納部に前記第1,第2,第3,第4外部接続部が延設され、前記センサー素子の前記第1,第2,第3,第4配線と前記第1,第2,第3,第4外部接続部とが電気的に接続されている、
ことを特徴とする請求項4から6のいずれか一項に記載の力検出装置。
【請求項8】
前記収納容器は、
筒状の収納容器体と、前記収納容器体のどちらか一方の開口部に収納容器基板、他方の開口部に蓋体と、を配置し、
前記収納容器体に前記収納容器基板と前記蓋体とを接合して前記収納部が形成され、
少なくとも前記収納容器体および前記収納容器基板はセラミックスである、
ことを特徴とする請求項7に記載の力検出装置。
【請求項9】
空間座標軸として、α軸と、前記α軸に直交するβ軸と、前記α軸と前記β軸とに直交するγ軸と、した場合、
前記α軸と前記β軸を含む主面を有する圧電基板と、前記圧電基板の主面側に電極を設け、前記γ軸方向に積層して形成されるセンサー素子であって、
前記α軸方向の力を検出する第1圧電基板の一方の主面側に第1電極と他方の主面に第2電極が設けられ、前記β軸方向の力を検出する第2圧電基板の一方の主面に第3電極と他方の主面に第4電極が設けられ、前記γ軸方向の力を検出する第3圧電基板の一方の主面に第5電極と他方の主面に第6電極が設けられ、
前記第1電極および前記第2電極は、前記第1電極および前記第2電極の外形部の一部が前記第1圧電基板の前記主面の外形部の一部に重なるよう配置される前記第1電極の第1接続部と前記第2電極の第2接続部を備え、前記第1接続部と前記第2接続部とが、前記γ軸の方向視において互いに重ならないように配置され、
前記第3電極および前記第4電極は、前記第3電極および前記第4電極の外形部の一部が前記第2圧電基板の前記主面の外形部の一部に重なるよう配置される前記第3電極の第3接続部と前記第4電極の第4接続部を備え、前記第3接続部と前記第4接続部とが、前記γ軸の方向視において互いに重ならないように配置され、
前記第5電極および前記第6電極は、前記第5電極および前記第6電極の外形部の一部が前記第3圧電基板の前記主面の外形部の一部に重なるよう配置される前記第5電極の第5接続部と前記第6電極の第6接続部を備え、前記第5接続部と前記第6接続部とが、前記γ軸の方向視において互いに重ならないように配置され、
前記第1,第2,第3圧電基板の外周部の一部に、前記第1接続部と第1外部接続部とを電気的に接続する第1配線と、前記第3接続部と第2外部接続部とを電気的に接続する第2配線と、前記第5接続部と第3外部接続部とを電気的に接続する第3配線と、が形成され、
前記第2、第4および第6接続部と、を接続し、且つ第4外部接続部に接続される第4配線が形成されているセンサー素子と、
前記α方向の力を演算する第1演算装置と、前記β方向の力を演算する第2演算装置と、前記γ方向の力を演算する第3演算装置と、を備え、
前記第1外部接続部は前記第1演算装置と電気的に接続され、前記第2外部接続部は前記第2演算装置と電気的に接続され、前記第3外部接続部は前記第3演算装置と電気的に接続され、前記第4外部接続部は接地(GND)と電気的に接続されている力検出装置を備える、
ことを特徴とするロボット。
【請求項10】
前記第1〜3圧電基板は、前記γ軸の方向視において突起部を備え、前記第1〜6接続部が前記突起部の外形部の少なくとも一部と重なる、
ことを特徴とする請求項9に記載のロボット。
【請求項11】
前記第1〜3圧電基板は、水晶から形成され、
前記第1,2圧電基板はYカット基板であり、前記第3圧電基板はXカット基板である、
ことを特徴とする請求項9または10に記載のロボット。
【請求項12】
前記センサー素子は、前記センサー素子を収納する収納部を備える収納容器に収納され、
前記収納容器は、前記収納部に前記第1,第2,第3,第4外部接続部が延設され、前記センサー素子の前記第1,第2,第3,第4配線と前記第1,第2,第3,第4外部接続部とが電気的に接続されている、
ことを特徴とする請求項9から11のいずれか一項に記載のロボット。
【請求項13】
前記収納容器は、
筒状の収納容器体と、前記収納容器体のどちらか一方の開口部に収納容器基板、他方の開口部に蓋体と、を配置し、
前記収納容器体に前記収納容器基板と前記蓋体とを接合して前記収納部が形成され、
少なくとも前記収納容器体および前記収納容器基板はセラミックスである、
ことを特徴とする請求項12に記載のロボット。
【請求項1】
空間座標軸として、α軸と、前記α軸に直交するβ軸と、前記α軸と前記β軸とに直交するγ軸と、した場合、
前記α軸と前記β軸を含む主面を有する圧電基板と、前記圧電基板の主面側に電極を設け、前記γ軸方向に積層して形成されるセンサー素子であって、
前記α軸方向の力を検出する第1圧電基板の一方の主面側に第1電極と他方の主面に第2電極が設けられ、前記β軸方向の力を検出する第2圧電基板の一方の主面に第3電極と他方の主面に第4電極が設けられ、前記γ軸方向の力を検出する第3圧電基板の一方の主面に第5電極と他方の主面に第6電極が設けられ、
前記第1電極および前記第2電極は、前記第1電極および前記第2電極の外形部の一部が前記第1圧電基板の前記主面の外形部の一部に重なるよう配置される前記第1電極の第1接続部と前記第2電極の第2接続部を備え、前記第1接続部と前記第2接続部とが、前記γ軸の方向視において互いに重ならないように配置され、
前記第3電極および前記第4電極は、前記第3電極および前記第4電極の外形部の一部が前記第2圧電基板の前記主面の外形部の一部に重なるよう配置される前記第3電極の第3接続部と前記第4電極の第4接続部を備え、前記第3接続部と前記第4接続部とが、前記γ軸の方向視において互いに重ならないように配置され、
前記第5電極および前記第6電極は、前記第5電極および前記第6電極の外形部の一部が前記第3圧電基板の前記主面の外形部の一部に重なるよう配置される前記第5電極の第5接続部と前記第6電極の第6接続部を備え、前記第5接続部と前記第6接続部とが、前記γ軸の方向視において互いに重ならないように配置され、
前記第1,第2,第3圧電基板の外周部の一部に、前記第1接続部と第1外部接続部とを電気的に接続する第1配線と、前記第3接続部と第2外部接続部とを電気的に接続する第2配線と、前記第5接続部と第3外部接続部とを電気的に接続する第3配線と、が形成され、
前記第2、第4および第6接続部と、を接続し、且つ第4外部接続部に接続される第4配線が形成されている、
ことを特徴とするセンサー素子。
【請求項2】
前記第1〜3圧電基板は、前記γ軸の方向視において突起部を備え、前記第1〜6接続部が前記突起部の外形部の少なくとも一部と重なる、
ことを特徴とする請求項1に記載のセンサー素子。
【請求項3】
前記第1〜3圧電基板は、水晶から形成され、
前記第1,2圧電基板はYカット基板であり、前記第3圧電基板はXカット基板である、
ことを特徴とする請求項1または2に記載のセンサー素子。
【請求項4】
空間座標軸として、α軸と、前記α軸に直交するβ軸と、前記α軸と前記β軸とに直交するγ軸と、した場合、
前記α軸と前記β軸を含む主面を有する圧電基板と、前記圧電基板の主面側に電極を設け、前記γ軸方向に積層して形成されるセンサー素子であって、
前記α軸方向の力を検出する第1圧電基板の一方の主面側に第1電極と他方の主面に第2電極が設けられ、前記β軸方向の力を検出する第2圧電基板の一方の主面に第3電極と他方の主面に第4電極が設けられ、前記γ軸方向の力を検出する第3圧電基板の一方の主面に第5電極と他方の主面に第6電極が設けられ、
前記第1電極および前記第2電極は、前記第1電極および前記第2電極の外形部の一部が前記第1圧電基板の前記主面の外形部の一部に重なるよう配置される前記第1電極の第1接続部と前記第2電極の第2接続部を備え、前記第1接続部と前記第2接続部とが、前記γ軸の方向視において互いに重ならないように配置され、
前記第3電極および前記第4電極は、前記第3電極および前記第4電極の外形部の一部が前記第2圧電基板の前記主面の外形部の一部に重なるよう配置される前記第3電極の第3接続部と前記第4電極の第4接続部を備え、前記第3接続部と前記第4接続部とが、前記γ軸の方向視において互いに重ならないように配置され、
前記第5電極および前記第6電極は、前記第5電極および前記第6電極の外形部の一部が前記第3圧電基板の前記主面の外形部の一部に重なるよう配置される前記第5電極の第5接続部と前記第6電極の第6接続部を備え、前記第5接続部と前記第6接続部とが、前記γ軸の方向視において互いに重ならないように配置され、
前記第1,第2,第3圧電基板の外周部の一部に、前記第1接続部と第1外部接続部とを電気的に接続する第1配線と、前記第3接続部と第2外部接続部とを電気的に接続する第2配線と、前記第5接続部と第3外部接続部とを電気的に接続する第3配線と、が形成され、
前記第2、第4および第6接続部と、を接続し、且つ第4外部接続部に接続される第4配線が形成されているセンサー素子と、
前記α方向の力を演算する第1演算装置と、前記β方向の力を演算する第2演算装置と、前記γ方向の力を演算する第3演算装置と、を備え、
前記第1外部接続部は前記第1演算装置と電気的に接続され、前記第2外部接続部は前記第2演算装置と電気的に接続され、前記第3外部接続部は前記第3演算装置と電気的に接続され、前記第4外部接続部は接地(GND)と電気的に接続されている、
ことを特徴とする力検出装置。
【請求項5】
前記第1〜3圧電基板は、前記γ軸の方向視において突起部を備え、前記第1〜6接続部が前記突起部の外形部の少なくとも一部と重なる、
ことを特徴とする請求項4に記載の力検出装置。
【請求項6】
前記第1〜3圧電基板は、水晶から形成され、
前記第1,2圧電基板はYカット基板であり、前記第3圧電基板はXカット基板である、
ことを特徴とする請求項4または5に記載の力検出装置。
【請求項7】
前記センサー素子は、前記センサー素子を収納する収納部を備える収納容器に収納され、
前記収納容器は、前記収納部に前記第1,第2,第3,第4外部接続部が延設され、前記センサー素子の前記第1,第2,第3,第4配線と前記第1,第2,第3,第4外部接続部とが電気的に接続されている、
ことを特徴とする請求項4から6のいずれか一項に記載の力検出装置。
【請求項8】
前記収納容器は、
筒状の収納容器体と、前記収納容器体のどちらか一方の開口部に収納容器基板、他方の開口部に蓋体と、を配置し、
前記収納容器体に前記収納容器基板と前記蓋体とを接合して前記収納部が形成され、
少なくとも前記収納容器体および前記収納容器基板はセラミックスである、
ことを特徴とする請求項7に記載の力検出装置。
【請求項9】
空間座標軸として、α軸と、前記α軸に直交するβ軸と、前記α軸と前記β軸とに直交するγ軸と、した場合、
前記α軸と前記β軸を含む主面を有する圧電基板と、前記圧電基板の主面側に電極を設け、前記γ軸方向に積層して形成されるセンサー素子であって、
前記α軸方向の力を検出する第1圧電基板の一方の主面側に第1電極と他方の主面に第2電極が設けられ、前記β軸方向の力を検出する第2圧電基板の一方の主面に第3電極と他方の主面に第4電極が設けられ、前記γ軸方向の力を検出する第3圧電基板の一方の主面に第5電極と他方の主面に第6電極が設けられ、
前記第1電極および前記第2電極は、前記第1電極および前記第2電極の外形部の一部が前記第1圧電基板の前記主面の外形部の一部に重なるよう配置される前記第1電極の第1接続部と前記第2電極の第2接続部を備え、前記第1接続部と前記第2接続部とが、前記γ軸の方向視において互いに重ならないように配置され、
前記第3電極および前記第4電極は、前記第3電極および前記第4電極の外形部の一部が前記第2圧電基板の前記主面の外形部の一部に重なるよう配置される前記第3電極の第3接続部と前記第4電極の第4接続部を備え、前記第3接続部と前記第4接続部とが、前記γ軸の方向視において互いに重ならないように配置され、
前記第5電極および前記第6電極は、前記第5電極および前記第6電極の外形部の一部が前記第3圧電基板の前記主面の外形部の一部に重なるよう配置される前記第5電極の第5接続部と前記第6電極の第6接続部を備え、前記第5接続部と前記第6接続部とが、前記γ軸の方向視において互いに重ならないように配置され、
前記第1,第2,第3圧電基板の外周部の一部に、前記第1接続部と第1外部接続部とを電気的に接続する第1配線と、前記第3接続部と第2外部接続部とを電気的に接続する第2配線と、前記第5接続部と第3外部接続部とを電気的に接続する第3配線と、が形成され、
前記第2、第4および第6接続部と、を接続し、且つ第4外部接続部に接続される第4配線が形成されているセンサー素子と、
前記α方向の力を演算する第1演算装置と、前記β方向の力を演算する第2演算装置と、前記γ方向の力を演算する第3演算装置と、を備え、
前記第1外部接続部は前記第1演算装置と電気的に接続され、前記第2外部接続部は前記第2演算装置と電気的に接続され、前記第3外部接続部は前記第3演算装置と電気的に接続され、前記第4外部接続部は接地(GND)と電気的に接続されている力検出装置を備える、
ことを特徴とするロボット。
【請求項10】
前記第1〜3圧電基板は、前記γ軸の方向視において突起部を備え、前記第1〜6接続部が前記突起部の外形部の少なくとも一部と重なる、
ことを特徴とする請求項9に記載のロボット。
【請求項11】
前記第1〜3圧電基板は、水晶から形成され、
前記第1,2圧電基板はYカット基板であり、前記第3圧電基板はXカット基板である、
ことを特徴とする請求項9または10に記載のロボット。
【請求項12】
前記センサー素子は、前記センサー素子を収納する収納部を備える収納容器に収納され、
前記収納容器は、前記収納部に前記第1,第2,第3,第4外部接続部が延設され、前記センサー素子の前記第1,第2,第3,第4配線と前記第1,第2,第3,第4外部接続部とが電気的に接続されている、
ことを特徴とする請求項9から11のいずれか一項に記載のロボット。
【請求項13】
前記収納容器は、
筒状の収納容器体と、前記収納容器体のどちらか一方の開口部に収納容器基板、他方の開口部に蓋体と、を配置し、
前記収納容器体に前記収納容器基板と前記蓋体とを接合して前記収納部が形成され、
少なくとも前記収納容器体および前記収納容器基板はセラミックスである、
ことを特徴とする請求項12に記載のロボット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−101020(P2013−101020A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−244212(P2011−244212)
【出願日】平成23年11月8日(2011.11.8)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月8日(2011.11.8)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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