センサー
本発明は、体液分析用の装置および方法を提供する。実施例にはセンサー角部を試料に接触させることにより試料充填可能なセンサーが含まれる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、米国を除く全ての国での指定のための出願人、米国内企業アボット・ダイアベティス・ケア社と、米国のみでの指定のための出願人、米国市民イー・ワンおよび英国市民スティーブ・スコットとの名義により、2006年11月16日にPCT国際特許出願として出願されようとしており、2005年11月17日に出願された米国特許出願第11/282,001号の優先を主張する。
【背景技術】
【0002】
分析用センサー、例えばテストストリップは、生物学的流体内における検体の存在や濃度を決定するのに広く使用される。このようなセンサーは、例えば糖尿病患者の血糖値を測定するために使用することもできる。
【0003】
検体センサーを使用する際には皮膚に開口部を作り(例えば皮膚の切開により)、この領域から生物学的流体が流れ出るようにする。この生物学的流体の少なくとも一部分がセンサーに接触し、そこで流体内における検体の濃度が定量される。具体的には、皮膚に開口部を作り、絞り出した生物学的流体にセンサーの開口部(例えば試料引込口)を接触して、その流体を、分析が行われるセンサーの試料室に接触させる。試料室は試料引込口と流体連通している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
試料引込口の位置を探して当該引込口を生物学的流体に接触させる作業は、困難なく行えるというわけではなく、例えば、試料体積を減少させるためやテスト時間を短縮するためなどの目的で試料室のサイズが小さくなるにつれて、厄介さを増す問題となる。従来型センサーの試料引込口は、センサーの上部(「上部充填式」)、前端中央部(「前部充填式」)または側面(「側部充填式」)に位置しているため、その位置を探して生物学的流体に接触させることが使用者には困難である。このような装置の使用者が視覚や器用さに問題を有する場合には、上記問題は、例えば糖尿病のような基礎疾患状態から生じるもので、試料引込口の位置を探し、生物学的流体の部位付近に配置することの困難さを更に倍化させる。
【0005】
試料引込口の位置を容易に特定してテストしたい試料を試料引込口に適切に接触させることが出来ないことは、単なるささいな厄介事では済まされず、重大な結果を招く場合がある。例えば、試料引込口の位置を探している間にセンサー表面全体が試料で汚れ、その結果、センサーの取り扱いが困難になる場合がある。
【0006】
試料による汚れによって、試料引込口の位置を容易に特定することが出来ないことに関連するその他の要因によって、その他の重大な結果が生じる可能性もある。例えば、かかる事態によって試料が使い尽くされて、テストに必要な十分な量の試料がなくなる場合がある。試料室に十分な量の試料が存在しない場合、テストを開始できなかったり、間違ったテスト結果が得られてしまう可能性がある。試料室に十分な量の試料がないと、使用者は、当初の切開部位を「搾って」同部位からより多くの試料を得ようと試みるか、または別の部位を新たに切開することが必要となる可能性がある。使用者は、どちらの選択肢も著しい痛みを伴う可能性があることから、テストを差し控えることを選ぶ可能性がある。前述のテストは、重大な健康的意味合いを有する場合があり、例えば、糖尿病患者は、糖尿病を十分に管理するために血糖値を1日に多数回テストすることが望ましい。
【0007】
上記問題点に対処しようとする試みが行われてきた。例えば、前端中央部に円錐形の経路入口のあるテストストリップが開発されたが、問題に十分に対処しておらず、製造プロセスが複雑になる。
【0008】
従って、健康管理上、検体センサーが重要であり続ける間は、使用者が検体含有試料をセンサー試料室に容易に接触させることを可能にするテスト用装置および方法を含め、テストをより容易にする装置および方法に対する関心が存在し続ける。特に関心が寄せられるのは、製造が容易で製造費用対効果が高く、特に視覚や器用さに障害のある使用者にとって使い易い検体センサーおよび検体テスト方法である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、生物学的流体試料内における検体濃度定量のような検体テスト用装置および方法を提供する。本発明の実施例は、コーナー充填式検体センサー、例えばコーナー充填式ブドウ糖センサーを含む。また、センサー試料室とセンサー周囲縁端(センサー試料収容縁端)との距離を最小化するように適合されたセンサーも提供される。
【0010】
本発明の実施例は、交差する2つまたはそれより多い縁端と、縁端交点の付近に配置された試料室入口とを含む検体センサーを含む。ある実施例においてセンサーは、相対する第一と第二の側の縁端と、相対する第三と第四の側の縁端と(例えば四角形状)、当該センサーのいずれか2つの縁端の交点の付近に配置された試料収容口とを含むこともできる。
【0011】
本発明の一態様のセンサーは、光センサーおよび電気化学的センサーを含む。多くの実施例において、センサーは小体積センサーである。小体積センサーとは、体積が約1マイクロリットルまたはそれより少ない試料中の検体濃度を定量するように適合されたセンサーを含む。
【0012】
生物学的流体試料内における検体濃度を定量するための方法も提供され、本方法の実施例には、センサーの角部の付近に設けられた試料流入開口部を検体含有試料に接触させることにより前記試料をコーナー充填式検体センサーに供給するステップと、試料内における検体の濃度を定量するステップとを含む。
【0013】
また、本方法の実施例は、検体センサーの縁端交点を試料に接触させるステップと、試料内における検体の濃度を定量するステップとを含む。
システムおよびキットも提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
理解を容易にするために、同一要素については、実用的な場合には同一参照番号を用いて異なる図に共通して示す。本明細書に示した図は、必ずしも縮尺通りには表されておらず、いくつかの構成要素および特徴は、明瞭になるように誇張表示される。
【0015】
定義
本出願全体を通して、異なる旨の意図が表明されない限り、以下の用語は、指定された特性を指す。
【0016】
2つのものを互いに「関連する」という場合、両者は、一方が他方を指す場合のような、一方が他方に関連することが明白であるようなやり方で提供される。
「生物学的流体」、「生理学的流体」、「体液」またはそれらの変化形は、そこに含有される検体を測定することができる任意の体液、例えば血液、間質液、皮膚液、汗、涙および尿である。「血液」は、全血、及び、血漿や血清のような無細胞血液成分を含む。
【0017】
情報の「伝達」、「伝送」および類似表現とは、好適な伝達経路(例えばプライベートまたはパブリック・ネットワーク、有線、光ファイバー、無線ラジオ、衛星またはその他の手段)を通じて、情報を電気信号または光信号として表したデータを伝えることを指す。伝達または伝送は、互いにローカルまたは遠隔の装置間で行うことができる。
【0018】
「コンピュータ」、「プロセッサ」または「処理ユニット」は互いに交換可能に用いられ、列記したステップを実行するのに必要な構成要素を制御可能なハードウェアまたはハードウェアとソフトウェアの組み合わせを各々が指す。例えば、コンピュータ、プロセッサまたは処理ユニットは、必要な全てのステップの実行に好適にプログラムされた汎用デジタル・マイクロプロセッサ、または、それらステップもしくは同等ステップを実行するハードウェアやハードウェアとソフトウェアの組み合わせを含む。プログラミングは例えば、必要なプログラムコードが収められたコンピュータ可読媒体(携帯メモリ媒体など)から、または遠隔地からの伝達(伝達経路経由など)により、遂行することもできる。
【0019】
「対電極」とは、作用電極と併せて使用する電極を指し、この電極を通過する電気化学的流れは、作用電極を通過する流れと大きさが等しく符号が逆である。「対電極」という用語は、参照電極としても機能する対電極(例えば対/参照電極)を含むことが意図される。ただし、「対電極」が参照電極または対/参照電極を含まないことが説明により規定された場合にはこの限りではない。
【0020】
「電気化学的センサー」または「電気化学的センサーストリップ」およびそれらの変化形とは、電気化学的な酸化反応及び還元反応を介して検体の存在を検知したり、検体の濃度を測定するように構成された装置である。これらの反応は、検体の量または濃度に相関することのできる電気信号に変換される。
【0021】
「電解」とは、電極において直接か、または1つ以上の電子伝達剤(例えば酸化還元媒介剤や酵素)を介して、行われる化合物の電気酸化または電解還元をいう。
「電子伝達剤」とは、酸化還元媒介剤と検体との間、または作用電極と検体との間において電子を運搬する分子である。電子伝達剤は、酸化還元媒介剤と組み合わせて使用することもできる。
【0022】
「対面電極」または「対向電極」とは、作用電極の作用面が対電極の表面に対して実質的に逆向きに配置された状態の、作用電極と対電極との構成を指す。
ものを「転送する」とは、物理的移動によるか既知のその他の方法の利用(可能な場合)によるかを問わず、ある場所から次の場所にものを移す一切のことを意味し、少なくともデータの場合には、データを収めた媒体を物理的に移動させること、または伝達経路(電気的、光学的または無線的経路を含む)通じてデータを伝達することを含む。
【0023】
「指示電極」とは、試料室や測定区域が部分的または全体的に充填されたことを検知する1つ以上の電極を含む。
「層」とは、1つまたはそれより多い層を含む。
【0024】
データ項目は、次のような場合、メモリ内で互いに「リンク」する。すなわち、同じデータ入力(例えばファイル名、ディレクトリ名または検索用語)によって、この項目が(同一ファイル内であるか否かを問わず)検索された場合、または1つ以上のリンク項目の入力によって、1つ以上のその他のリンク項目が検索された場合。
【0025】
「こともできる」とは、任意的であることを指す。
本明細書において「測定区域」とは、試料室の領域であって、試料のうち検体アッセイ中に調べられることになる一部分のみを収容するサイズを有する領域として定義される。
【0026】
「メモリ」または「メモリユニット」とは、プロセッサによる信号としての検索用に情報を記憶することのできる任意の装置を指し、磁気的または光学的装置(ハードディスク、フロッピー(登録商標)ディスク、CDまたはDVDなど)またはソリッドステートメモリ装置(揮発性または不揮発性RAMなど)を含むこともできる。メモリまたはメモリユニットは、同種または異種の2つまたはそれより多い物理的記憶装置を有することもできる(例えばメモリは、多数のハードドライブや多数のソリッドステートメモリ装置のような多数のメモリ装置、またはハードディスクとソリッドステートメモリ装置とのある種の組み合わせを有することもできる)。
【0027】
「不拡散性」、「不浸出性」または「不放出性」化合物とは、検体アッセイの継続期間中に、作用電極の作用面からほぼ拡散しない化合物である。
「拡散性」、「浸出性」または「放出性」化合物とは、検体アッセイの継続期間中に、作用電極の作用面からかなり拡散する化合物である。
【0028】
「平坦電極」または「共面電極」とは、作用電極の作用面が対電極の表面に対して少なくともほぼ平面的になるように配置された状態の、作用電極と対電極との構成を指す。「平坦電極」または「共面電極」は通常、同一基板上に位置する。
【0029】
センサーからの信号データの「読み取り」とは、センサーからの信号データの検知(検知器または計器によるような)を指す。このデータはメモリに(比較的短期間か長期間かを問わず)保存することもできる。
【0030】
何かを「受け取る」とは、物理的なものの引き渡しのような任意の可能な手段により、それを得ることを指す。情報を受け取る場合、情報は、伝送(本明細書に記した種類の伝達経路を通じた電気信号または光信号によるような)の結果としてのデータとして得ることもでき、または情報を収めた何らかのその他の媒体(磁気的、光学的またはソリッドステートメモリ装置など)の読み取りからの電気信号や光信号として得ることもできる。しかしながら、伝達から情報を受け取る場合、情報は、その他の場所(ローカルまたは遠隔)からの当該情報の伝送の結果として受け取られる。
【0031】
「酸化還元媒介剤」とは、検体と作用電極との間において、直接にかまたは電子伝達物質を介して、電子を運搬するための作用物質である。
「参照電極」とは、対電極としても機能する参照電極(例えば対/参照電極)を含む。ただし、「参照電極」が対/参照電極を含まないことが説明により規定された場合には、この限りではない。
【0032】
一方が他方と「遠隔」であるという場合、これは、この2つが少なくとも異なる建物内にあって少なくとも1マイル、10マイルまたは少なくとも100マイル離れていることもできることを指す。異なるものが互いに「ローカル」であるという場合、それらは互いに遠隔であるわけではない(例えば、同じ建物内または建物の同じ室内にあることができる)。
【0033】
「作用電極」とは、酸化還元媒介剤の仲介有りまたは無しで、検体を電気酸化または電気還元する電極を指す。
「作用面」とは、作用電極の一部分であって、不浸出性の酸化還元媒介剤で被覆され試料に曝される部分、または酸化還元媒介剤が拡散性の場合には作用電極のうち試料に曝される部分である。
【0034】
また、本出願全体を通して「覆う」、「下部」、「前」、「後ろ」、「上部」、「上」および「下」のような語が相対的な意味でのみ使用されることも、正しく理解されるべきである。
【0035】
2つまたはそれより多いもの(例えば要素またはプロセス)を選択的な「または(もしくは)(や)」を用いて示す場合、これは、それらのいずれかが別個に存在できること、またはそれらの組み合わせが1つになって存在できることを示す。ただし、ある1つの存在によって必然的に他方または残りのものが排除される場合にはこの限りではない。
【0036】
列記した方法は、列記した順序で、または論理的に可能なその他の順序で実行することができる。単数のものへの言及は、それと同じものが複数存在する可能性を含む。
本発明について説明する前に、本発明が、当然多様であるようなものとして、説明する具体的実施例に限定されないことを理解すべきである。また、本明細書において使用する用語が、具体的実施例を説明する目的に限定されたものであって制限的であるように意図されたものでないことも理解すべきである。と言うのも、本発明の範囲は、添付の請求項によってのみ制限されるためである。
【0037】
数値範囲が規定された場合、文脈により別途明確に規定されない限り、当該範囲の上限と下限との間における、下限の10分の1の単位までの各介在値と、その記載範囲内のその他の記載値または介在値とが本発明の範囲内に含まれることが理解される。これらのより狭い範囲の上限および下限は、当該より狭い範囲内に別個に含まれることもでき、同様に本発明の範囲内に含まれる。ただし、かかる記載範囲において特に除外された限界によって左右される。当該記載範囲が限界の一方または両方を含む場合、当該含まれる限界の一方または両方を除く範囲もまた、本発明内に含まれる。
【0038】
別途定義されない限り、本明細書において使用する全ての技術的および科学的用語は、本発明が属する当該技術分野の当業者によって広く理解された意味と同じ意味を有する。本発明の実施またはテストには、本明細書に説明するものと類似または同等の方法および材料もまた、用いることができるものの、好ましい方法および材料について説明する。本明細書に記す全ての刊行物は、関連性から当該刊行物が引用された方法や材料を開示し説明するために、参照により本明細書に組み込まれる。
【0039】
本明細書および添付の請求項において使用する場合、文脈により別途明確に規定されない限り、単数形が複数の指示物を含むことに留意しなければならない。
本明細書において考察する刊行物は、本出願の出願日よりも前の開示内容に関してのみ提供される。本明細書のいかなる内容も、先行発明の効により本発明がかかる刊行物に先行する権利を有さないことの承認として解釈されるべきではない。さらに、提供される刊行物の日付は実際の刊行日とは異なる可能性があり、別個に確認する必要がある可能性がある。
【0040】
本開示内容を読めば当業者にとって明白になるように、本明細書において説明し例示する個別実施例の各々は、個別の構成要素および特徴を有し、この特徴は、本発明の範囲または趣旨から逸脱することなく、その他の幾つかの実施例の特徴と容易に分離または結合することもできる。
【0041】
装置
上記の通り、本発明の実施例は、コーナー充填式検体センサーを含む。これが意味するものは、センサー角部をある体積の試料に接触させることにより使用者がセンサー試料室(テスト領域)に試料を充填することを可能にするように適合されたセンサーである。上記の通り、センサー角部における試料充填は、端面充填、上部充填または側部充填用に構成された従来型センサーでは不可能である。
【0042】
本発明のセンサーは、多種多様な検体の定量に適合されていることもでき、ブドウ糖は、本明細書において例示目的のためにのみ、主として用いられ、いかなる点でも本発明の範囲の制限を意図するものではない。追加的な検体は、例えばアセチルコリン、アミラーゼ、ビリルビン、コレステロール、絨毛性ゴナドトロピン、クレアチンキナーゼ(例えばCK−MB)、クレアチン、DNA、フラクトサミン、ブドウ糖、グルタミン、成長ホルモン、ホルモン、ケトン、乳酸塩、過酸化物、前立腺特異抗原、プロトロンビン、RNA、甲状腺刺激ホルモンおよびトロポニンを含む。また、例えば抗生物質(例えばゲンタマイシン、バンコマイシンおよび類似物)、ジギトキシン、ジゴキシン、乱用薬物、テオフィリンおよびワルファリンのような薬物の濃度を定量することもできる。
【0043】
センサーは、例示目的のためにのみ、主として電気化学的センサーとして説明され、この説明はいかなる点でも、本発明の範囲の制限を意図するものではない。センサーが電気センサー以外、例えば光センサーであることもできることを理解すべきである。
【0044】
図1Aと、図1Aの部分拡大図である図1Bとに示した通り、センサー10の角部は、皮膚表面のような表面S上に存在する流体試料Fに接触する(例えば図2A、2Bおよび2Cも参照)。試料室30の入口32は、角部を流体試料に接触させることにより試料が入口32を経て試料室30内に引き込まれるように、センサーの角部に、または実質的にその近くに配置される。下記においてより一層詳細に説明する通り、試料室内には、1つ以上の検体定量電極の少なくとも一部分が存在する。この実施例においてセンサー10と表面Sとによって形成される角度αは、約0度から約90度、例えば約30度から約60度の範囲である。
【0045】
本発明の実施例に従えば、試料室の入口、すなわち引込口は、センサー角部の付近に配置される。この配置によって、1つ以上の身体的障害を有する使用者が、センサー角部の位置を見つけるだけで容易に、試料室入口の位置を特定することができるようになる。従って、センサー角部を試料に接触させるだけで、試料室に適切な量の試料を容易に充填することもできる。それに伴って試料は、例えば毛管力により、試料室内に引き込まれる。センサー角部は、丸みを帯びた角部または(例えば、実質的に直角またはその他の角度を有する)角ばった角部であることもでき、くぼみを含むこともできる。
【0046】
ある実施例において試料室入口は、センサー角部にあることもでき、その他の実施例において試料室入口は、センサー角部の、例えばストリップ前縁(試料供給縁端ともいう)のかなり近くに、例えば僅かにずれたかまたは隣接した位置にあることもできる。本センサーにおいて、センサー前縁からの距離は最小限に抑えられ、それによって、センサー前縁の1つ以上の角部を介した試料充填が可能となる。試料室と遠位縁端との距離を最小限に抑えることにより、試料室入口の位置を見つける容易なやり方が使用者にもたらされるだけでなく、また、試料充填時間も、それに伴い全アッセイ時間も短縮される。例えば、センサーを用いて正確なテストを行うためには、最小試料滴(例えば最小試料量)が必要である。それに応じて、試料室入口が角部に隣接する実施例においては、センサー前縁と試料室入口との距離、すなわち、センサー前縁からの角部充填距離が極めて短く、例えば、センサーに接触する試料滴の半径未満である。ある実施例において当該距離(例えば図2、7および8の距離D参照)は約0mmから約2.0mm、例えば約0.01mmから約1.0mmの範囲であることもでき、ある実施例において当該距離は約0.3mmであることもできる。センサー端部(前縁とは反対の縁端)に接続された計器から試料室まで距離は約10mmから約50mm、例えば約30mmから約40mmの範囲であることもできる。
【0047】
ある実施例においては、センサーの複数の角部が、例えば2つ以上の角部が試料室入口を含む。センサーは、ストリップ(一般にテストストリップまたはセンサーストリップと呼ばれる)の形状で、例えばアボット・ダイアベティス・ケア社の「フリースタイル」ストリップに類似した形状で、四辺形(例えば正方形または長方形)であることもできる。本発明のテストストリップは、試料充填用の第一の部分または第一端部と、ストリップと共に使用される計器への電気的結合用の第二の、例えば反対側の部分または第二端部とを有する四角形として説明することもできる。四角形またはそれに類似した形状のセンサーの試料充填端部は、前縁または試料供給縁端(例えば、長軸に対して実質的に横断する縁端)に2つの角部を含む。試料室入口は、前縁の一方の角部の付近に配置されることもでき、または両方の角部の付近に配置されることもできる。例えば、一方または両方の角部が試料室入口を含むこともでき、または試料室入口が一方または両方の角部から僅かにずれる(センサー前端から僅かに後退する)こともできる。多くの実施例においてセンサー、例えばテストストリップは、2つの試料室入口を含み、第一の入口は第一角部の付近に配置され、第二の入口は第二角部の付近に配置され、第二角部は、第一角部の実質的に反対側のセンサー側面にある。試料室は、第一側面から反対の第二側面までセンサーの全幅を横断することもでき、例えば、センサー長軸に対して実質的に横断的で、例えば図1A、1B並びに2Aおよび2Cに示した通りにセンサーの全幅を横断することもできる。試料室は、その開口部の終端がセンサーの各側面に、または1側面だけにあることもできる。
【0048】
ある実施例において試料室は、センサー長軸に対して実質的に平行であることもできる。図2A、2Bおよび2Cは、本発明に従う検体センサーの3つの例示的実施例を示す。図2Aおよび2Cは、試料室30がセンサー長軸に対して実質的に横断的なセンサーを示す。図2Aおよび2Cの実施例において試料室30は、通気のために両側面の縁端まで伸びる。図2Bは、試料室30がセンサー長軸に対して実質的に平行で且つこの実施例においては通気口34を含むセンサーを示す。示した通り、センサー角部を試料に接触させることにより試料Fを各センサーの試料室内に収容することもできる。上記の通り、各センサーの距離Dは、流体試料滴Fの半径未満であることもできる。
【0049】
試料室入口は、センサーの2つまたはそれより多い縁端交点または交点の付近に配置されることもできる。具体的にはセンサーを、その縁端または側面により特徴づけることもできる。縁端は、直線状または非直線状であることもでき、特定の縁端は交差することもできる。試料室入口は、縁端交点をある体積の試料に接触させることにより試料をテストのために試料室内に引き込むように、縁端交点の付近に配置することもできる。
【0050】
本発明の検体センサーは、任意の試料体積内における検体の濃度測定に適合されていることもできるが、小体積試料内における、例えば、体積が約1μL以下の、例えば約0.5μL以下、例えば約0.25μL以下、例えば約0.1μL以下の試料内における、検体の濃度定量に特に有用である。いくつかの実施例において試料体積は、0.05μLほどの小体積、または0.03μLほどの小体積であることもできる。本発明のセンサーは、参照により本明細書に開示内容が組み込まれた米国特許出願第11/225,659号において説明される通りに構成することもでき、この構成では、試料室を全体的または部分的に充填する体積の試料を用いて、正確な検体測定値を得ることもできる。
【0051】
図を参照すると、図3、4、5および6は、本発明のセンサー10の例示的実施例の概略的平面図であり、図7は、図3のセンサー10の透視図である。図3、4、5および6のセンサーは概ね類似したものであるが、図4のセンサーが肩状部4を含み、図5のセンサーが、2本指が収まる凹み36の形状の肩状部4を含み、図6のセンサーが、漸減的に先細になる肩状部4を含む点が異なる。図3、4および6のセンサーの試料室30は、センサー角部C1およびC2並びに前縁17のかなり近くに終端があり、図5のセンサー10の試料室30は、角部C1およびC2に終端がある(図2Cのセンサーも参照、この試料室は角部C1およびC2に終端がある)。
【0052】
図7に最も良く示された通り、センサー10は、第一基板12と、第二基板14と、それらの間に配置されたスペーサ15と、入口32のある試料室30とを含む。下記において説明する通り、センサー10は、少なくとも1つの作用電極と、少なくとも1つの対電極とを含む。センサー10は層状構造で、この具体的実施例においては実質的に四角形であり、すなわち、その長さがその幅よりも長いが、同様にその他の形状、例えば四角形、三角形、不規則形状、複雑形状などであることもできる。
【0053】
センサー10を、縁端または側面17、18、19および20により特徴づけることもできる(四辺形センサーに関して)。第一縁端19とその反対側の第二縁端20とは、センサー軸に対して実質的に平行である。本明細書において遠位縁端、前縁または試料供給縁端もしくは充填縁端もしくは端部と呼ばれる第三縁端17と、本明細書において近位縁端または計器接続縁端もしくは端部と呼ばれる反対側の第四縁端18とは、センサー軸に対して実質的に横断的である。示した通り、縁端19および20と遠位縁端との交差により、2つの遠位角部が区画され、縁端19および20と近位縁端との交差により、2つの近位角部が区画される。具体的には、縁端20と縁端17との交差により第一角部C1が区画され、縁端19と縁端17との交差により第二角部C2が区画され、縁端20と縁端18との交差により第三角部C3が区画され、縁端19と縁端18との交差により第四角部C4を区画される。
【0054】
図7に示されるようなある実施例において試料室30、そしてそれに伴い入口32も、C1やC2の付近の、センサー遠位縁端に非常に近い位置に配置され、より具体的には、センサー角部が試料流体滴に接触して試料が試料室に引き込まれるほど、センサー遠位縁端の十分近くに配置される。示した通り、図7の試料室30は、センサー試料供給縁端17からわずかに後退した位置にある。上記の通り、本テストストリップのこの距離Dは最小限に抑えられる。
【0055】
センサーの寸法は様々であることもできる。ある実施例において本発明のセンサーの全長は、約10mm以上から約50mm以下であることもできる。例えば、全長は約30から45mm、例えば約30から40mmであることもできる。センサーを作る基板の長さは同一かまたは異なることもできる。ある実施例においてセンサーストリップ10の幅は、約1mm以上、約15mm以下であることもできる。例えば、幅は約3から10mmであることもできる。ある実施例においてセンサーは可変幅であることもできる(例えば図4、5および6のセンサー参照)。1つの具体例においてセンサー10は、長さが約30mmで幅が約6mmである。可変幅実施例においてセンサーは、長さが約30mmで幅が約2.5mmから約6mmの範囲、例えば近位端の幅が約6mmで遠位端の幅が約2.5mmであることもできる。基板12と14との厚さは、同一かまたは異なることもでき、変動することもでき、ある実施例において各基板の厚さは、約0.05mm以上で通常は約3mm以下、例えば約0.20mmから約1mmであることもできる。ある実施例において厚さは約0.25mmである。基板12、14の幅や厚さが増すにつれて、基板12および基板14の一方または両方の長さを、より短くすることも、より長くすることもできることを理解すべきである。図8に示した通り、基板やスペーサ層が全て異なる長さ(や幅)であることもできる。
【0056】
コーナー充填式ストリップの使用は、代替部位テスト(指先以外の身体部位から、例えば前腕、脚、腹などからのテスト)のために特に有利である。例えばコーナー充填式センサーは、使用者がセンサー角部を使用者の皮膚に接触させた場合、代替テスト部位(例えば前腕)の近くに静止することもできる。上記の通り、本センサーは有利なことに、電量分析法、電流測定法、電位差測定法、反射率測定法、または当業者が理解するその他の技法を用いて信頼できるテストを行うために、約1マイクロリットル未満のような比較的少量の体液試料しか使用しない。これは、代替部位テストのために重要であり、指部位でテストを行った場合に比べ、代替部位で同じ切開作業を行った場合、通常、より小さい体積の試料しか利用できない。
【0057】
センサー10は通常、電気的計器と共に使用するように構成され、この計器は、PCまたはその他の電子機器に接続可能であることもできる。接続は有線または無線であることもできる。
【0058】
本発明のセンサーは、「一体型装置」内への、すなわち、内部にセンサー、計器のような少なくとも第二の要素、およびランセットまたは類似物のような皮膚穿孔要素、もしくはセンサー、計器のような少なくとも第二の要素、またはランセットまたは類似物のような皮膚穿孔要素のある装置内への包含に特に好適である。いくつかの実施例においてセンサーは、計器とランセットとの両方と一体化することもできる。多数の要素を1つの装置内にまとめると、検体レベルを得るために必要な装置の数が減り、試料採取プロセスが促進される。例えば実施例は、1つ以上の本センサーと、皮膚穿孔要素と、ストリップに供給された試料内における検体の濃度定量用のプロセッサとを含むハウジングを、含むこともできる。複数のセンサーをハウジング内部のカセット内に保持することもでき、使用者によって作動され次第、センサーを1つだけ、少なくともその一部分がハウジングから外に出るように、カセットから使用のために繰り出すこともできる。
【0059】
本センサーの様々な構成要素について、より一層詳細に説明する。
基板
センサー10は第一および第二の基板12、14を有し、各基板は不導電性の不活性基板であり、両基板がセンサーの全体的な形状およびサイズを形成する。基板12、14は、実質的に剛体的または実質的に可撓性であることもできる。ある実施例において、基板12、14は可撓性または変形性である。基板12、14に好適な材料の例はポリエステル、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ナイロンおよびその他の「プラスチック」または重合体を含むが、それらに限定されない。ある実施例において基板材料は「メリネックス」ポリエステルである。また、紙などのようなその他の不導電材料を使用することもできる。
【0060】
スペーサ層
上記の通り、基板12と基板14との間にはスペーサ15が配置される。スペーサ15は、第一基板12と第二基板14とを分離する。スペーサ15は、不活性の不導電層であり通常、基板12、14と少なくとも同程度の可撓性および変形性(または剛性)を有する。ある実施例においてスペーサ15は、接着層または両面接着テープもしくはフィルムである。スペーサ15用に選択する接着剤は、正確な検体測定を妨害する材料の拡散または放出を、防止または最小化するように選択すべきである。
【0061】
スペーサ15の厚さは、試料室の奥行を規定し、毛管容積を有する試料室を区画する寸法にすることもできる。ある実施例においてスペーサ15の厚さは、約0.01mm(10μm)以上で約1mmまたは約0.5mm以下であることもできる。例えば、厚さは約0.02mm(20μm)から約0.2mm(200μm)であることもできる。ある実施例において厚さは約0.05mm(50μm)で、別の実施例では約0.1mm(100μm)であることもできる。
【0062】
スペーサ15の長さは、基板12や基板14の長さよりも短くても長くても良く(例えば図8参照、そのスペーサ15の少なくとも長さは、少なくとも一方の基板よりも短い)、およびスペーサと一方または両方の基板とが長軸に沿ってずれることもできる、もしくはスペーサ15の長さは、基板12や基板14の長さよりも短くても長くても良く(例えば図8参照、そのスペーサ15の少なくとも長さは、少なくとも一方の基板よりも短い)、またはスペーサと一方または両方の基板とが長軸に沿ってずれることもできる。スペーサ15の幅は、基板の幅と同一かまたは異なることもでき、多くの実施例において幅は通常、基板12および基板14の幅と同一である。
【0063】
試料室
上記の通り、本発明に従うセンサーは、分析することになる試料体積を受け取るための試料室30を含み、この試料室は、センサーの1つ以上の交差縁端の付近に配置された1つ以上の試料室入口を含む。試料室30は、試料室30内に試料が提供された場合に試料が作用電極と対電極との両方に電解接触するように構成され、それによって、電極間に電流が流れて検体の電解(電気酸化または電気還元)が行えるようになる。上記の通り、かつ、例えば図7に示した通り、試料室30は部分的には、基板12、基板14およびスペーサ15によって規定される。
【0064】
試料室30は、内部に生物学的流体試料を受け取るために十分な容積を有する。センサー10が小体積センサーの場合のような幾つかの実施例において試料室30は、約1μL以下の、例えば約0.5μL以下、また例えば約0.25μL以下の容積を有する。また、約0.1μL以下の容積も試料室30に好適であり、約0.05μL以下および約0.03μL以下の容積も同様である。試料室30は、分析することになる試料の、毛管力またはその他の表面張力による試料室30内への引き込みを促進する寸法を有する。基板12と14と間にスペーサ15を含む実施例においては、試料室30の厚さは通常、スペーサ15の厚さである。
【0065】
試料室30内には測定区域(示さず)が含まれ、この区域は、試料室の、試料の一部分のみを含む領域であって、この一部分が検体アッセイ中に調べられる。いくつかの実施例において、測定区域の容積は試料室30の容積とほぼ同じである。いくつかの実施例において測定区域は、試料室の100%以下を、例えば90%以下、例えば80%以下、例えば75%以下を占める。ある実施例においては、前述の特許出願第11/225,659号において説明される通り、測定区域は完全に充填するが試料室は部分的に充填しただけで、試料の正確な測定値を得ることもできる。
【0066】
電極
センサーは、作用電極と、少なくとも1つの対電極とを含む。対電極は、対/参照電極であることもできる。多数の対電極が存在する場合、対電極の1つを対電極にし、1つまたはそれ以上を参照電極にすることもできる。図9および10は、2つの例示的な電極構成を示す。
【0067】
作用電極
センサー10の第一基板12および第二基板14の一方には、少なくとも1つの作用電極が配置される。これらの具体的実施例において作用電極22は、例示目的のためにのみ、基板12上に示される。作用電極22は、その一部分が試料室30の領域内に存在し、いくつかの実施例においては、計器への接続用のような、試料室からセンサー端部18まで伸びる導体トレースを含む。
【0068】
作用電極22は、任意の好適な導電材料のような、例えば金、炭素、プラチナ、二酸化ルテニウム、パラジウムまたはその他の不腐食性導電材料のような導電材料の層であることもできる。作用電極22は、2つ以上の導電材料の組み合わせであることもできる。好適な導電性エポキシの例は、ECCOCOAT CT5079−3炭素充填導電性エポキシ系塗膜(マサチューセッツ州ウォーバーンのW.R.グレース・カンパニーから入手可能)である。作用電極22の材料は通常、電気抵抗が比較的小さく、通常、動作中のセンサーの電位範囲にわたって電気化学的に不活性である。
【0069】
作用電極22は、様々な方法により基板12に加えることもできる。作用電極22は、平坦表面または押し出し表面もしくは別途くぼんだ表面に、蒸着もしくは真空蒸着によるように被着するか、または別途、スパッターもしくは印刷するか、あるいは別個の担体もしくはライナーから転写するか、食刻するか、または型成形することもできる。好適な印刷方法はスクリーン印刷、圧電印刷、インクジェット印刷、レーザー印刷、写真平板および塗装を含むが、それらに限定されない。
【0070】
上記の通り、作用電極22の少なくとも一部分は、検体分析のために対電極24と併せて試料室30内に設けられる。
対電極
センサーは、試料室内に配置された少なくとも1つの対電極を含む。図8において対電極24は基板14上に示されて離間対向電極対を有するセンサーを提供し、図9において対電極24は基板12上に存在して共面電極対を有するセンサーを提供する。対電極24は、その一部分が試料室30の領域内に存在し、いくつかの実施例においては、計器への接続用のような、試料室部分からセンサー端部18まで伸びる導体トレースを含む。
【0071】
対電極24は、作用電極22に類似したやり方で構築することもできる。対電極24を作製するために、作用電極22を構築するために利用可能なものと同じ材料および方法を用いることもできるが、また、異なる材料および方法を用いることもできる。対電極24は、Ag/AgClおよび炭素のような、多数の導電材料の混合物を含むこともできる。
【0072】
電極構成
作用電極22と対電極24とは、互いに反対側に向き合って配置され、対面電極を形成することもできる。例えば図9を参照すると、同図では作用電極22は基板12上にあり、対電極24は基板14上にあって対面電極を形成する。それに代わって作用電極22と対電極24とは、同一基板上のように、互いに対して実質的に平面的に配置され、共面電極または平坦電極を形成することもできる。図10を参照すると、作用電極22と対電極24との両方が基板12の表面の一部分を占め、それに伴って共面電極を形成する。
【0073】
指示電極
センサーは、第一基板12や第二基板14上に配置された少なくとも1つの指示電極(示さず)を含むこともできる。指示電極を用いて、試料室30に試料がいつ十分に充填されたかを検知し、測定区域30の部分的充填を防止する。
【0074】
指示電極は、作用電極22や対電極24に類似したやり方で構築することもできる。指示電極に好適な材料および方法は、作用電極22や対電極24に用いたものと同じ材料および方法を含むが、また、異なる材料および方法を用いることもできる。例えば炭素は、指示電極24に使用することもできる材料である。
【0075】
ある実施例において指示電極は、試料室30内に配置され、指示電極と試料室入口との間に、少なくとも作用電極22を配置することもできる。ほとんどの実施例においては対電極24もまた、指示電極と試料室入口との間に配置される。生物学的流体試料が試料室入口32を経て試料室30内に入り次第、作用電極22を通過し、その後、指示電極に接触するように、指示電極はそのような位置に配置される。
【0076】
指示電流に試料が接触し次第、指示電極は、取り付けられた計器への信号源となる。好適な信号は、例えば電圧、電流、抵抗、インピーダンスまたは静電容量を含む。信号は計器や使用者に対して、アッセイを開始するのに十分な試料が測定区域に存在することを表示する。この表示は、視覚標示や聴覚信号や振動信号であることもでき、または計器を、アッセイを自動的に開始するように構成することもできる。
【0077】
化学
酸化還元媒介剤
検体を分析するために、化学物質(センシング化学物質、検体反応化学物質または試薬)が提供される。このセンシング化学物質は、酸化還元媒介剤および第二の電子伝達媒介剤を含むこともできるが、いくつかの事例においては、その一方または他方を単独で使用することもできる。酸化還元媒介剤および第二の電子伝達剤は、その一方または両方が拡散性もしくは浸出性またはそうでないこともできるほど別個に、拡散性もしくは浸出性または不拡散性もしくは不浸出性であることもできる。本明細書における考察目的のためには、「拡散性」という用語は、「拡散性または浸出性」を表すために使用され、「不拡散性」という用語は、「不拡散性または不浸出性」およびそれらの変化形を表すために使用される。酸化還元媒介剤は空気酸化性であることもできる。
【0078】
化学成分の配置は、様々な要因に、例えば化学成分が拡散性であるか否かに、左右される可能性がある。例えば、不拡散性および拡散性、もしくは不拡散性または拡散性の両成分が、作用電極22上に検出層を形成することもできる。それに代わって1つ以上の拡散性成分が、分析することになる試料の導入の前に、試料室30内のいずれかの表面に存在することもできる。別の例として、試料室30内への試料の導入の前に、試料内に1つ以上の拡散性成分を置くこともできる。
【0079】
酸化還元媒介剤が不拡散性の場合、酸化還元媒介剤は、例えば層として、作用電極22上に配置することもできる。酸化還元媒介剤および第二の電子伝達剤を有する1つの実施例において、酸化還元媒介剤および第二の電子伝達剤が共に不浸出性の場合、両成分を、個々の層として作用電極22上に配置するか、または一緒にして単一層として塗布することもできる。
【0080】
酸化還元媒介剤は、拡散性であるか否かを問わず、作用電極22と検体との間における流れを媒介し、電極上での直接的な電気化学反応に適さない分子の電気化学的分析を可能にする。同媒介剤は、電極と検体との間における電子伝達剤として機能する。
【0081】
本発明のセンサーにおいては、任意の好適な化学物質を用いることもできる。例えば、使用することもできる酸化還元媒介剤は、遷移金属化合物または錯体である。好適な遷移金属化合物または錯体の例はオスミウム、ルテニウム、鉄およびコバルトの化合物または錯体を含むが、それらに限定されない。これらの錯体において遷移金属は、1つ以上の配位子に配位結合により結合され、この配位子は通常、一座、二座、三座または四座である。酸化還元媒介剤は、高分子酸化還元媒介剤または酸化還元重合体(例えば、1つ以上の酸化還元種を有する重合体)であることができる。好適な酸化還元媒介剤および酸化還元重合体の例は、例えば米国特許第6,338,790号、第6,605,200号および第6,605,201号に開示される。
【0082】
第二の電子伝達剤
上記の通り、本発明のセンサーは、酸化還元媒介剤と、酸化還元媒介剤および検体との間で電子をやり取りすることのできる第二の電子伝達剤とを含むこともできる。第二の電子伝達剤は、拡散性または不拡散性であることもできる。好適な第二の電子伝達剤の1つの例は、検体の反応を触媒する酵素である。例えば検体がブドウ糖の場合には、ブドウ糖酸化酵素、またはピロロキノリンキノンブドウ糖脱水素酵素(PQQ)のようなブドウ糖脱水素酵素が使用される。その他の検体には、その他の酵素を使用することもできる。これらの酵素は、酸化還元媒介剤を介して検体と電極との間において電子を伝達することにより、検体の電解を触媒する。
【0083】
センサーの製造
上記センサー実施例は、スペーサ15によるような、基板12と14とが離間したサンドイッチ状または層状の構造である。この構造は、任意の好適なやり方で様々な層を積層して1つにすることにより作製するか、または任意の好適な方法を用いて作製することもできる。本発明のセンサーは型成形することもできる。
【0084】
型成形は、少なくとも2つの導電性離間電極(例えばワイヤー)を金型内に配置するステップと、少なくとも1つの試料室開口部がセンサー角部の付近に設けられるように、電極の周囲に絶縁材料製の本体を型成形するステップとを含むこともできる。より具体的には型成形は、型成形の前または後に少なくとも2つの導電性離間電極(例えばワイヤー)を金型内に配置するステップと、1つ以上の化学物質で少なくとも1つの電極を処理して処理電極の電気的特性が、流体試料に接触し次第、変化するようにするステップと、電極の周囲に絶縁材料製の本体を型成形して1つの端部においてセンサー角部の付近に少なくとも1つの試料室開口部が設けられるようにするステップとを含むこともできる。本体は多数個に分けて、例えば、本体部とエンドキャップとを型成形後に互いに取り付けて完成させる2個として型成形するか、または1個として型成形することもできる。
【0085】
方法
また、検体を定量する方法も提供される。通常、センサー角部を生物学的流体試料に接触させることにより、試料がセンサー試料室内に入り、この試料室内で検体レベルが定量される。検体は、本明細書において説明したものを含むがそれらに限定されない。ある実施例において定量されるのは、血液または間質液内におけるブドウ糖レベルである。多くの実施例において生物学的流体源は、例えば切開装置または類似物で患者の皮膚を穿孔した後、患者から引き出される血液滴であり、この装置は、ある実施例における一体型装置内に、本発明のセンサーと共に存在することもできる。
【0086】
従って実施例は、皮膚領域を穿孔して穿孔部位から血液を流出させるステップと、この部位の血液をセンサー角部に接触させ、それによって血液が分析のために試料室内に入ることを可能にするステップとを含む。ある実施例においては毛管力により、試料を試料室内に引き込むこともできる。
【0087】
センサーは通常、試料との接触の前または後に計器に、例えば米国特許第6,924,518号および第6,893,545号において説明される通りの計器に接続される。ある実施例においてコーナー充填式センサーは、センサー角部をテストしたい試料に接触させる前に計器に機能的に接続され、それによってセンサーおよび計器が、より容易に且つより便利に使用できるようになる。また、使い易く便利であるように、多くの実施例において、テストすることになる検体含有体液を得るためのテスト部位(例えば指または代替テスト部位(例えば前腕、腹または類似部位))の皮膚開口部は、センサーを計器に接続した後、作ることもできる。
【0088】
センサーに取り付け可能な計器は、指示電極(存在する場合)からの信号がいつ受け取られるかを監視するようにプログラムされ、よって、指示電極への試料の接触の有無および接触時期を表示することもできる。例えば指示電極が作用電極および測定区域の下流にある(センサー試料充填端部よりもセンサー計器端部の方に最も近い)実施例においては、信号が受け取られた場合、測定区域が十分に充填されたことを保証するに足る量の試料が試料室内に入っている。信号はオン/オフ信号であることもでき、または既存信号の変化(増大または減少)であることもできる。
【0089】
試料源、例えば血液滴へのセンサー角部の接触が済み次第、試料室内の試料は流動しなくなることもでき、静止したままであることもできる。試料室の寸法によって、試料源がない場合は試料が動かないように抑制することもでき、それに伴って試料は、実質的に非流動状態で試料室内に留まることもできる。約5秒以下、例えば3秒以下と短いかまたは30秒以上と長い時間が掛かる分析中、センサーの構造によっては、試料が試料室内で非流動状態であることが望ましい場合がある。
【0090】
本方法の実施例は、任意の体積の試料内における検体濃度を定量するステップを含み、小体積試料内における、例えば約1μL以下の、例えば約0.5μL以下、例えば約0.25μL以下、例えば約0.1μL以下の体積の試料内における検体濃度を定量するステップを含む。いくつかの実施例において方法は、約0.05μLほどの小体積または約0.03μLほどの小体積の試料内における検体濃度を定量するステップを含む。本発明のセンサーは、米国特許出願第11/225,659号において説明される通りに構成することもでき、この構成では、試料室を全体的または部分的に充填する体積の試料を用いて、正確な検体測定値を得ることもできる。
【0091】
本方法の実施例は、生物学的流体試料を内部に受け取るのに十分な特定の容積容量を有する試料室内に、ある体積の生物学的流体を収容するステップを含む。いくつかの実施例において方法は、容積が約1μL以下の、例えば約0.5μL以下、例えば約0.25μL以下、例えば約0.1μL以下、例えば約0.05μL以下、例えば約0.03μL以下の試料室内に、ある体積の試料を収容するステップを含む。試料室は、分析することになる試料の、毛管力またはその他の表面張力による試料室内への引き込みを促進する寸法を有することもできる。
【0092】
検体の定量は、任意の好適な技法を用いて遂行することもできる。例えば、検体アッセイは、電量分析法や電流測定法や電位差測定法や反射率測定法を用いて遂行することもできる。ある実施例において、測定技法はインピーダンス測定法を含む。ある実施例は光度測定法の利用を含むこともできる。計算方法は、センサーと共に使用するように構成された計器およびその他の電子機器の機能となる。計器、電子機器および計算方法に関する詳細は、例えば米国特許第6,338,790号およびその他において説明されている。
【0093】
センサーは、電極22、24に電位を印加してまたは印加せずに操作することもできる。センサーが電気化学的センサーである1つの実施例においては(本発明はまた、光センサーも含む)、電気化学反応は自然発生的に生じることもでき、センサーの作用電極と対電極との間に電位を印加する必要はない。別の実施例においては電位を、センサーの作用電極と対電極との間に印加することもできる。電位は一定または不定であることもでき、電位の大きさは、少なくとも部分的には酸化還元媒介剤によって決まる。上記の通り、センサリング化学物質および電極に関連する通りの電位に関する詳細は、例えば米国特許第6,338,790号およびその他において考察される。
【0094】
ある実施例において検体読み取り結果(処理済みまたは未処理)は、望まれる場合、遠隔地に転送(伝達によるような)され、かかる遠隔地において更なる使用(更なる処理など)のために受け取ることもできる。「遠隔地」という場合、試料評価装置が存在し試料評価が行われる場所以外の場所を指す。例えば遠隔地は、同一市内の別の場所(例えば事務所、検査室など)、異なる市の別の場所、異なる州の別の場所、異なる国の別の場所などであることができる。従って、一方が他方と「遠隔」であるという場合、その意味は、その2つが少なくとも異なる建物内にあって少なくとも1マイル、10マイル、または少なくとも100マイル離れていることもできるということである。情報を「伝達する」とは、好適な伝達経路(例えばプライベートまたはパブリック・ネットワーク)を通じて、情報を電気信号として表したデータを伝送することを指す。ものを「転送する」とは、物理的移動によるかその他の方法(可能な場合)によるかを問わず、ある場所から次の場所にものを移す一切のことを意味し、少なくともデータの場合には、データを収めた媒体を物理的に移動させること、またはデータを伝達することを含む。データは、さらなる評価や使用のために遠隔地に伝送することもできる。データの伝送には、任意の便利な電気通信手段を、例えばファクシミリ、モデム、インターネットなどを用いることもできる。
【0095】
キット
最終的には、本発明の実施用のキットも提供される。本キットは、本明細書において説明した通りの1つ以上のコーナー充填式センサーを含むこともできる。また、実施例は皮膚穿孔要素を、例えば切開装置または類似物を含むこともできる。
【0096】
さらにキットは、コントロール試薬および類似物のような、検体定量アッセイの実行に必要な1つ以上の追加的成分を含むこともできる。このようなものとしてキットは、バイアルまたはボトルのような1つ以上の容器であって各々にアッセイ用の別個の成分が入った容器を含むこともできる。
【0097】
1つ以上のコーナー充填式センサーに加えて、本キットはまた、ブドウ糖アッセイのような検体定量アッセイにコーナー充填式センサーを用いてセンサー角部に流体を接触させるための、指示書を含むこともできる。指示は、紙またはプラスチックなどのような基板に印刷することもできる。従って指示は、キット内に添付文書として、キットまたはその構成要素の容器のラベル表示(例えば包装または副包装に関連するもの)などの中に存在することもできる。その他の実施例において指示は、好適なコンピュータ可読記憶媒体上、例えばCD−ROM、ディスケット等上に存在する電子的記憶データファイルとして存在する。さらにその他の実施例においてはキット内に実際の指示が存在せず、遠隔情報源から例えばインターネット経由で、指示を入手するための手段が提供される。この実施例の例は、指示の閲覧やダウンロードが可能なウェブアドレスを含むキットである。指示の場合と同様に、指示を入手するためのこの手段も、好適な基板上に記録される。
【0098】
本キットの多くの実施例において、キット構成要素はキット封じ込め要素内に包装されて取り扱い易い単一ユニットにされ、キット封じ込め要素、例えば箱または類似構造は、例えば、1つ以上のセンサーと、存在する場合には追加的試薬(例えば対照溶液)とを使用時まで更に保存するために、気密容器であってもなくても良い。
【0099】
上記発明が、センサー角部に試料を接触させることにより試料をセンサー試料室内に収容するための装置および方法を提供することは、上記の結果および考察から明白である。上記発明は幾つかの利点を提供し、かかる利点の一部は上記で説明され、かかる利点は、使い易さおよび製造し易さを含むがそれらに限定されない。このようなものとして本発明は、当該技術分野への重要な寄与を表す。
【0100】
本明細書において引用した全ての刊行物および特許は、各々の個別の刊行物または特許が参照により組み込まれるように特に個別に指示されたかのように、参照により本明細書に組み込まれる。刊行物の引用は、出願日よりも前の開示内容に関するものであり、先行発明の効により本発明がかかる刊行物に先行する権利を有さないことの承認として解釈されるべきではない。
【0101】
本発明について、特定の実施例を参照して説明したが、本発明の真の趣旨および範囲から逸脱することなく様々な変更を行うこともでき、均等物と置き換えることもできることを、当業者は理解すべきである。加えて、特定の状況、材料、組成物、プロセスまたはプロセス段階を本発明の目的、趣旨および範囲に適合させるために多くの修正を行うこともできる。かかる修正は全て、本明細書に添付の特許請求の範囲内に含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1A】本発明に従う検体センサーの例示的実施例の概略図である。
【図1B】図1Aのセンサーの部分拡大図である。
【図2A】本発明に従う検体センサーの例示的実施例の概略図であり、試料室がセンサー前縁に対して実質的に平行なセンサーを示す。
【図2B】本発明に従う検体センサーの例示的実施例の概略図であり、試料室がセンサー前縁に対して実質的に垂直なセンサーを示す。
【図2C】本発明に従う検体センサーの例示的実施例の概略図であり、試料室がセンサー前縁に対して実質的に平行な別のセンサーを示す。
【図3】本発明に従う検体センサーの、実質的に一定幅の例示的実施例の上面概略図である。
【図4】本発明に従う検体センサーの、可変幅の例示的実施例の上面概略図である。
【図5】本発明に従う検体センサーの、可変幅で凹みのある別の例示的実施例の上面概略図である。
【図6】本発明に従う検体センサーの、可変幅の別の例示的実施例の上面概略図である。
【図7】図3の検体センサーの斜視図である。
【図8】本発明に従う検体センサーの例示的実施例の概略図であり、基板およびスペーサ層が全て異なる長さである。
【図9】本発明に従う検体センサーの、離間対向電極対を有する例示的実施例の概略的分解図である。
【図10】本発明に従う検体センサーの、共面電極対を有する例示的実施例の概略的分解図である。
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、米国を除く全ての国での指定のための出願人、米国内企業アボット・ダイアベティス・ケア社と、米国のみでの指定のための出願人、米国市民イー・ワンおよび英国市民スティーブ・スコットとの名義により、2006年11月16日にPCT国際特許出願として出願されようとしており、2005年11月17日に出願された米国特許出願第11/282,001号の優先を主張する。
【背景技術】
【0002】
分析用センサー、例えばテストストリップは、生物学的流体内における検体の存在や濃度を決定するのに広く使用される。このようなセンサーは、例えば糖尿病患者の血糖値を測定するために使用することもできる。
【0003】
検体センサーを使用する際には皮膚に開口部を作り(例えば皮膚の切開により)、この領域から生物学的流体が流れ出るようにする。この生物学的流体の少なくとも一部分がセンサーに接触し、そこで流体内における検体の濃度が定量される。具体的には、皮膚に開口部を作り、絞り出した生物学的流体にセンサーの開口部(例えば試料引込口)を接触して、その流体を、分析が行われるセンサーの試料室に接触させる。試料室は試料引込口と流体連通している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
試料引込口の位置を探して当該引込口を生物学的流体に接触させる作業は、困難なく行えるというわけではなく、例えば、試料体積を減少させるためやテスト時間を短縮するためなどの目的で試料室のサイズが小さくなるにつれて、厄介さを増す問題となる。従来型センサーの試料引込口は、センサーの上部(「上部充填式」)、前端中央部(「前部充填式」)または側面(「側部充填式」)に位置しているため、その位置を探して生物学的流体に接触させることが使用者には困難である。このような装置の使用者が視覚や器用さに問題を有する場合には、上記問題は、例えば糖尿病のような基礎疾患状態から生じるもので、試料引込口の位置を探し、生物学的流体の部位付近に配置することの困難さを更に倍化させる。
【0005】
試料引込口の位置を容易に特定してテストしたい試料を試料引込口に適切に接触させることが出来ないことは、単なるささいな厄介事では済まされず、重大な結果を招く場合がある。例えば、試料引込口の位置を探している間にセンサー表面全体が試料で汚れ、その結果、センサーの取り扱いが困難になる場合がある。
【0006】
試料による汚れによって、試料引込口の位置を容易に特定することが出来ないことに関連するその他の要因によって、その他の重大な結果が生じる可能性もある。例えば、かかる事態によって試料が使い尽くされて、テストに必要な十分な量の試料がなくなる場合がある。試料室に十分な量の試料が存在しない場合、テストを開始できなかったり、間違ったテスト結果が得られてしまう可能性がある。試料室に十分な量の試料がないと、使用者は、当初の切開部位を「搾って」同部位からより多くの試料を得ようと試みるか、または別の部位を新たに切開することが必要となる可能性がある。使用者は、どちらの選択肢も著しい痛みを伴う可能性があることから、テストを差し控えることを選ぶ可能性がある。前述のテストは、重大な健康的意味合いを有する場合があり、例えば、糖尿病患者は、糖尿病を十分に管理するために血糖値を1日に多数回テストすることが望ましい。
【0007】
上記問題点に対処しようとする試みが行われてきた。例えば、前端中央部に円錐形の経路入口のあるテストストリップが開発されたが、問題に十分に対処しておらず、製造プロセスが複雑になる。
【0008】
従って、健康管理上、検体センサーが重要であり続ける間は、使用者が検体含有試料をセンサー試料室に容易に接触させることを可能にするテスト用装置および方法を含め、テストをより容易にする装置および方法に対する関心が存在し続ける。特に関心が寄せられるのは、製造が容易で製造費用対効果が高く、特に視覚や器用さに障害のある使用者にとって使い易い検体センサーおよび検体テスト方法である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、生物学的流体試料内における検体濃度定量のような検体テスト用装置および方法を提供する。本発明の実施例は、コーナー充填式検体センサー、例えばコーナー充填式ブドウ糖センサーを含む。また、センサー試料室とセンサー周囲縁端(センサー試料収容縁端)との距離を最小化するように適合されたセンサーも提供される。
【0010】
本発明の実施例は、交差する2つまたはそれより多い縁端と、縁端交点の付近に配置された試料室入口とを含む検体センサーを含む。ある実施例においてセンサーは、相対する第一と第二の側の縁端と、相対する第三と第四の側の縁端と(例えば四角形状)、当該センサーのいずれか2つの縁端の交点の付近に配置された試料収容口とを含むこともできる。
【0011】
本発明の一態様のセンサーは、光センサーおよび電気化学的センサーを含む。多くの実施例において、センサーは小体積センサーである。小体積センサーとは、体積が約1マイクロリットルまたはそれより少ない試料中の検体濃度を定量するように適合されたセンサーを含む。
【0012】
生物学的流体試料内における検体濃度を定量するための方法も提供され、本方法の実施例には、センサーの角部の付近に設けられた試料流入開口部を検体含有試料に接触させることにより前記試料をコーナー充填式検体センサーに供給するステップと、試料内における検体の濃度を定量するステップとを含む。
【0013】
また、本方法の実施例は、検体センサーの縁端交点を試料に接触させるステップと、試料内における検体の濃度を定量するステップとを含む。
システムおよびキットも提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
理解を容易にするために、同一要素については、実用的な場合には同一参照番号を用いて異なる図に共通して示す。本明細書に示した図は、必ずしも縮尺通りには表されておらず、いくつかの構成要素および特徴は、明瞭になるように誇張表示される。
【0015】
定義
本出願全体を通して、異なる旨の意図が表明されない限り、以下の用語は、指定された特性を指す。
【0016】
2つのものを互いに「関連する」という場合、両者は、一方が他方を指す場合のような、一方が他方に関連することが明白であるようなやり方で提供される。
「生物学的流体」、「生理学的流体」、「体液」またはそれらの変化形は、そこに含有される検体を測定することができる任意の体液、例えば血液、間質液、皮膚液、汗、涙および尿である。「血液」は、全血、及び、血漿や血清のような無細胞血液成分を含む。
【0017】
情報の「伝達」、「伝送」および類似表現とは、好適な伝達経路(例えばプライベートまたはパブリック・ネットワーク、有線、光ファイバー、無線ラジオ、衛星またはその他の手段)を通じて、情報を電気信号または光信号として表したデータを伝えることを指す。伝達または伝送は、互いにローカルまたは遠隔の装置間で行うことができる。
【0018】
「コンピュータ」、「プロセッサ」または「処理ユニット」は互いに交換可能に用いられ、列記したステップを実行するのに必要な構成要素を制御可能なハードウェアまたはハードウェアとソフトウェアの組み合わせを各々が指す。例えば、コンピュータ、プロセッサまたは処理ユニットは、必要な全てのステップの実行に好適にプログラムされた汎用デジタル・マイクロプロセッサ、または、それらステップもしくは同等ステップを実行するハードウェアやハードウェアとソフトウェアの組み合わせを含む。プログラミングは例えば、必要なプログラムコードが収められたコンピュータ可読媒体(携帯メモリ媒体など)から、または遠隔地からの伝達(伝達経路経由など)により、遂行することもできる。
【0019】
「対電極」とは、作用電極と併せて使用する電極を指し、この電極を通過する電気化学的流れは、作用電極を通過する流れと大きさが等しく符号が逆である。「対電極」という用語は、参照電極としても機能する対電極(例えば対/参照電極)を含むことが意図される。ただし、「対電極」が参照電極または対/参照電極を含まないことが説明により規定された場合にはこの限りではない。
【0020】
「電気化学的センサー」または「電気化学的センサーストリップ」およびそれらの変化形とは、電気化学的な酸化反応及び還元反応を介して検体の存在を検知したり、検体の濃度を測定するように構成された装置である。これらの反応は、検体の量または濃度に相関することのできる電気信号に変換される。
【0021】
「電解」とは、電極において直接か、または1つ以上の電子伝達剤(例えば酸化還元媒介剤や酵素)を介して、行われる化合物の電気酸化または電解還元をいう。
「電子伝達剤」とは、酸化還元媒介剤と検体との間、または作用電極と検体との間において電子を運搬する分子である。電子伝達剤は、酸化還元媒介剤と組み合わせて使用することもできる。
【0022】
「対面電極」または「対向電極」とは、作用電極の作用面が対電極の表面に対して実質的に逆向きに配置された状態の、作用電極と対電極との構成を指す。
ものを「転送する」とは、物理的移動によるか既知のその他の方法の利用(可能な場合)によるかを問わず、ある場所から次の場所にものを移す一切のことを意味し、少なくともデータの場合には、データを収めた媒体を物理的に移動させること、または伝達経路(電気的、光学的または無線的経路を含む)通じてデータを伝達することを含む。
【0023】
「指示電極」とは、試料室や測定区域が部分的または全体的に充填されたことを検知する1つ以上の電極を含む。
「層」とは、1つまたはそれより多い層を含む。
【0024】
データ項目は、次のような場合、メモリ内で互いに「リンク」する。すなわち、同じデータ入力(例えばファイル名、ディレクトリ名または検索用語)によって、この項目が(同一ファイル内であるか否かを問わず)検索された場合、または1つ以上のリンク項目の入力によって、1つ以上のその他のリンク項目が検索された場合。
【0025】
「こともできる」とは、任意的であることを指す。
本明細書において「測定区域」とは、試料室の領域であって、試料のうち検体アッセイ中に調べられることになる一部分のみを収容するサイズを有する領域として定義される。
【0026】
「メモリ」または「メモリユニット」とは、プロセッサによる信号としての検索用に情報を記憶することのできる任意の装置を指し、磁気的または光学的装置(ハードディスク、フロッピー(登録商標)ディスク、CDまたはDVDなど)またはソリッドステートメモリ装置(揮発性または不揮発性RAMなど)を含むこともできる。メモリまたはメモリユニットは、同種または異種の2つまたはそれより多い物理的記憶装置を有することもできる(例えばメモリは、多数のハードドライブや多数のソリッドステートメモリ装置のような多数のメモリ装置、またはハードディスクとソリッドステートメモリ装置とのある種の組み合わせを有することもできる)。
【0027】
「不拡散性」、「不浸出性」または「不放出性」化合物とは、検体アッセイの継続期間中に、作用電極の作用面からほぼ拡散しない化合物である。
「拡散性」、「浸出性」または「放出性」化合物とは、検体アッセイの継続期間中に、作用電極の作用面からかなり拡散する化合物である。
【0028】
「平坦電極」または「共面電極」とは、作用電極の作用面が対電極の表面に対して少なくともほぼ平面的になるように配置された状態の、作用電極と対電極との構成を指す。「平坦電極」または「共面電極」は通常、同一基板上に位置する。
【0029】
センサーからの信号データの「読み取り」とは、センサーからの信号データの検知(検知器または計器によるような)を指す。このデータはメモリに(比較的短期間か長期間かを問わず)保存することもできる。
【0030】
何かを「受け取る」とは、物理的なものの引き渡しのような任意の可能な手段により、それを得ることを指す。情報を受け取る場合、情報は、伝送(本明細書に記した種類の伝達経路を通じた電気信号または光信号によるような)の結果としてのデータとして得ることもでき、または情報を収めた何らかのその他の媒体(磁気的、光学的またはソリッドステートメモリ装置など)の読み取りからの電気信号や光信号として得ることもできる。しかしながら、伝達から情報を受け取る場合、情報は、その他の場所(ローカルまたは遠隔)からの当該情報の伝送の結果として受け取られる。
【0031】
「酸化還元媒介剤」とは、検体と作用電極との間において、直接にかまたは電子伝達物質を介して、電子を運搬するための作用物質である。
「参照電極」とは、対電極としても機能する参照電極(例えば対/参照電極)を含む。ただし、「参照電極」が対/参照電極を含まないことが説明により規定された場合には、この限りではない。
【0032】
一方が他方と「遠隔」であるという場合、これは、この2つが少なくとも異なる建物内にあって少なくとも1マイル、10マイルまたは少なくとも100マイル離れていることもできることを指す。異なるものが互いに「ローカル」であるという場合、それらは互いに遠隔であるわけではない(例えば、同じ建物内または建物の同じ室内にあることができる)。
【0033】
「作用電極」とは、酸化還元媒介剤の仲介有りまたは無しで、検体を電気酸化または電気還元する電極を指す。
「作用面」とは、作用電極の一部分であって、不浸出性の酸化還元媒介剤で被覆され試料に曝される部分、または酸化還元媒介剤が拡散性の場合には作用電極のうち試料に曝される部分である。
【0034】
また、本出願全体を通して「覆う」、「下部」、「前」、「後ろ」、「上部」、「上」および「下」のような語が相対的な意味でのみ使用されることも、正しく理解されるべきである。
【0035】
2つまたはそれより多いもの(例えば要素またはプロセス)を選択的な「または(もしくは)(や)」を用いて示す場合、これは、それらのいずれかが別個に存在できること、またはそれらの組み合わせが1つになって存在できることを示す。ただし、ある1つの存在によって必然的に他方または残りのものが排除される場合にはこの限りではない。
【0036】
列記した方法は、列記した順序で、または論理的に可能なその他の順序で実行することができる。単数のものへの言及は、それと同じものが複数存在する可能性を含む。
本発明について説明する前に、本発明が、当然多様であるようなものとして、説明する具体的実施例に限定されないことを理解すべきである。また、本明細書において使用する用語が、具体的実施例を説明する目的に限定されたものであって制限的であるように意図されたものでないことも理解すべきである。と言うのも、本発明の範囲は、添付の請求項によってのみ制限されるためである。
【0037】
数値範囲が規定された場合、文脈により別途明確に規定されない限り、当該範囲の上限と下限との間における、下限の10分の1の単位までの各介在値と、その記載範囲内のその他の記載値または介在値とが本発明の範囲内に含まれることが理解される。これらのより狭い範囲の上限および下限は、当該より狭い範囲内に別個に含まれることもでき、同様に本発明の範囲内に含まれる。ただし、かかる記載範囲において特に除外された限界によって左右される。当該記載範囲が限界の一方または両方を含む場合、当該含まれる限界の一方または両方を除く範囲もまた、本発明内に含まれる。
【0038】
別途定義されない限り、本明細書において使用する全ての技術的および科学的用語は、本発明が属する当該技術分野の当業者によって広く理解された意味と同じ意味を有する。本発明の実施またはテストには、本明細書に説明するものと類似または同等の方法および材料もまた、用いることができるものの、好ましい方法および材料について説明する。本明細書に記す全ての刊行物は、関連性から当該刊行物が引用された方法や材料を開示し説明するために、参照により本明細書に組み込まれる。
【0039】
本明細書および添付の請求項において使用する場合、文脈により別途明確に規定されない限り、単数形が複数の指示物を含むことに留意しなければならない。
本明細書において考察する刊行物は、本出願の出願日よりも前の開示内容に関してのみ提供される。本明細書のいかなる内容も、先行発明の効により本発明がかかる刊行物に先行する権利を有さないことの承認として解釈されるべきではない。さらに、提供される刊行物の日付は実際の刊行日とは異なる可能性があり、別個に確認する必要がある可能性がある。
【0040】
本開示内容を読めば当業者にとって明白になるように、本明細書において説明し例示する個別実施例の各々は、個別の構成要素および特徴を有し、この特徴は、本発明の範囲または趣旨から逸脱することなく、その他の幾つかの実施例の特徴と容易に分離または結合することもできる。
【0041】
装置
上記の通り、本発明の実施例は、コーナー充填式検体センサーを含む。これが意味するものは、センサー角部をある体積の試料に接触させることにより使用者がセンサー試料室(テスト領域)に試料を充填することを可能にするように適合されたセンサーである。上記の通り、センサー角部における試料充填は、端面充填、上部充填または側部充填用に構成された従来型センサーでは不可能である。
【0042】
本発明のセンサーは、多種多様な検体の定量に適合されていることもでき、ブドウ糖は、本明細書において例示目的のためにのみ、主として用いられ、いかなる点でも本発明の範囲の制限を意図するものではない。追加的な検体は、例えばアセチルコリン、アミラーゼ、ビリルビン、コレステロール、絨毛性ゴナドトロピン、クレアチンキナーゼ(例えばCK−MB)、クレアチン、DNA、フラクトサミン、ブドウ糖、グルタミン、成長ホルモン、ホルモン、ケトン、乳酸塩、過酸化物、前立腺特異抗原、プロトロンビン、RNA、甲状腺刺激ホルモンおよびトロポニンを含む。また、例えば抗生物質(例えばゲンタマイシン、バンコマイシンおよび類似物)、ジギトキシン、ジゴキシン、乱用薬物、テオフィリンおよびワルファリンのような薬物の濃度を定量することもできる。
【0043】
センサーは、例示目的のためにのみ、主として電気化学的センサーとして説明され、この説明はいかなる点でも、本発明の範囲の制限を意図するものではない。センサーが電気センサー以外、例えば光センサーであることもできることを理解すべきである。
【0044】
図1Aと、図1Aの部分拡大図である図1Bとに示した通り、センサー10の角部は、皮膚表面のような表面S上に存在する流体試料Fに接触する(例えば図2A、2Bおよび2Cも参照)。試料室30の入口32は、角部を流体試料に接触させることにより試料が入口32を経て試料室30内に引き込まれるように、センサーの角部に、または実質的にその近くに配置される。下記においてより一層詳細に説明する通り、試料室内には、1つ以上の検体定量電極の少なくとも一部分が存在する。この実施例においてセンサー10と表面Sとによって形成される角度αは、約0度から約90度、例えば約30度から約60度の範囲である。
【0045】
本発明の実施例に従えば、試料室の入口、すなわち引込口は、センサー角部の付近に配置される。この配置によって、1つ以上の身体的障害を有する使用者が、センサー角部の位置を見つけるだけで容易に、試料室入口の位置を特定することができるようになる。従って、センサー角部を試料に接触させるだけで、試料室に適切な量の試料を容易に充填することもできる。それに伴って試料は、例えば毛管力により、試料室内に引き込まれる。センサー角部は、丸みを帯びた角部または(例えば、実質的に直角またはその他の角度を有する)角ばった角部であることもでき、くぼみを含むこともできる。
【0046】
ある実施例において試料室入口は、センサー角部にあることもでき、その他の実施例において試料室入口は、センサー角部の、例えばストリップ前縁(試料供給縁端ともいう)のかなり近くに、例えば僅かにずれたかまたは隣接した位置にあることもできる。本センサーにおいて、センサー前縁からの距離は最小限に抑えられ、それによって、センサー前縁の1つ以上の角部を介した試料充填が可能となる。試料室と遠位縁端との距離を最小限に抑えることにより、試料室入口の位置を見つける容易なやり方が使用者にもたらされるだけでなく、また、試料充填時間も、それに伴い全アッセイ時間も短縮される。例えば、センサーを用いて正確なテストを行うためには、最小試料滴(例えば最小試料量)が必要である。それに応じて、試料室入口が角部に隣接する実施例においては、センサー前縁と試料室入口との距離、すなわち、センサー前縁からの角部充填距離が極めて短く、例えば、センサーに接触する試料滴の半径未満である。ある実施例において当該距離(例えば図2、7および8の距離D参照)は約0mmから約2.0mm、例えば約0.01mmから約1.0mmの範囲であることもでき、ある実施例において当該距離は約0.3mmであることもできる。センサー端部(前縁とは反対の縁端)に接続された計器から試料室まで距離は約10mmから約50mm、例えば約30mmから約40mmの範囲であることもできる。
【0047】
ある実施例においては、センサーの複数の角部が、例えば2つ以上の角部が試料室入口を含む。センサーは、ストリップ(一般にテストストリップまたはセンサーストリップと呼ばれる)の形状で、例えばアボット・ダイアベティス・ケア社の「フリースタイル」ストリップに類似した形状で、四辺形(例えば正方形または長方形)であることもできる。本発明のテストストリップは、試料充填用の第一の部分または第一端部と、ストリップと共に使用される計器への電気的結合用の第二の、例えば反対側の部分または第二端部とを有する四角形として説明することもできる。四角形またはそれに類似した形状のセンサーの試料充填端部は、前縁または試料供給縁端(例えば、長軸に対して実質的に横断する縁端)に2つの角部を含む。試料室入口は、前縁の一方の角部の付近に配置されることもでき、または両方の角部の付近に配置されることもできる。例えば、一方または両方の角部が試料室入口を含むこともでき、または試料室入口が一方または両方の角部から僅かにずれる(センサー前端から僅かに後退する)こともできる。多くの実施例においてセンサー、例えばテストストリップは、2つの試料室入口を含み、第一の入口は第一角部の付近に配置され、第二の入口は第二角部の付近に配置され、第二角部は、第一角部の実質的に反対側のセンサー側面にある。試料室は、第一側面から反対の第二側面までセンサーの全幅を横断することもでき、例えば、センサー長軸に対して実質的に横断的で、例えば図1A、1B並びに2Aおよび2Cに示した通りにセンサーの全幅を横断することもできる。試料室は、その開口部の終端がセンサーの各側面に、または1側面だけにあることもできる。
【0048】
ある実施例において試料室は、センサー長軸に対して実質的に平行であることもできる。図2A、2Bおよび2Cは、本発明に従う検体センサーの3つの例示的実施例を示す。図2Aおよび2Cは、試料室30がセンサー長軸に対して実質的に横断的なセンサーを示す。図2Aおよび2Cの実施例において試料室30は、通気のために両側面の縁端まで伸びる。図2Bは、試料室30がセンサー長軸に対して実質的に平行で且つこの実施例においては通気口34を含むセンサーを示す。示した通り、センサー角部を試料に接触させることにより試料Fを各センサーの試料室内に収容することもできる。上記の通り、各センサーの距離Dは、流体試料滴Fの半径未満であることもできる。
【0049】
試料室入口は、センサーの2つまたはそれより多い縁端交点または交点の付近に配置されることもできる。具体的にはセンサーを、その縁端または側面により特徴づけることもできる。縁端は、直線状または非直線状であることもでき、特定の縁端は交差することもできる。試料室入口は、縁端交点をある体積の試料に接触させることにより試料をテストのために試料室内に引き込むように、縁端交点の付近に配置することもできる。
【0050】
本発明の検体センサーは、任意の試料体積内における検体の濃度測定に適合されていることもできるが、小体積試料内における、例えば、体積が約1μL以下の、例えば約0.5μL以下、例えば約0.25μL以下、例えば約0.1μL以下の試料内における、検体の濃度定量に特に有用である。いくつかの実施例において試料体積は、0.05μLほどの小体積、または0.03μLほどの小体積であることもできる。本発明のセンサーは、参照により本明細書に開示内容が組み込まれた米国特許出願第11/225,659号において説明される通りに構成することもでき、この構成では、試料室を全体的または部分的に充填する体積の試料を用いて、正確な検体測定値を得ることもできる。
【0051】
図を参照すると、図3、4、5および6は、本発明のセンサー10の例示的実施例の概略的平面図であり、図7は、図3のセンサー10の透視図である。図3、4、5および6のセンサーは概ね類似したものであるが、図4のセンサーが肩状部4を含み、図5のセンサーが、2本指が収まる凹み36の形状の肩状部4を含み、図6のセンサーが、漸減的に先細になる肩状部4を含む点が異なる。図3、4および6のセンサーの試料室30は、センサー角部C1およびC2並びに前縁17のかなり近くに終端があり、図5のセンサー10の試料室30は、角部C1およびC2に終端がある(図2Cのセンサーも参照、この試料室は角部C1およびC2に終端がある)。
【0052】
図7に最も良く示された通り、センサー10は、第一基板12と、第二基板14と、それらの間に配置されたスペーサ15と、入口32のある試料室30とを含む。下記において説明する通り、センサー10は、少なくとも1つの作用電極と、少なくとも1つの対電極とを含む。センサー10は層状構造で、この具体的実施例においては実質的に四角形であり、すなわち、その長さがその幅よりも長いが、同様にその他の形状、例えば四角形、三角形、不規則形状、複雑形状などであることもできる。
【0053】
センサー10を、縁端または側面17、18、19および20により特徴づけることもできる(四辺形センサーに関して)。第一縁端19とその反対側の第二縁端20とは、センサー軸に対して実質的に平行である。本明細書において遠位縁端、前縁または試料供給縁端もしくは充填縁端もしくは端部と呼ばれる第三縁端17と、本明細書において近位縁端または計器接続縁端もしくは端部と呼ばれる反対側の第四縁端18とは、センサー軸に対して実質的に横断的である。示した通り、縁端19および20と遠位縁端との交差により、2つの遠位角部が区画され、縁端19および20と近位縁端との交差により、2つの近位角部が区画される。具体的には、縁端20と縁端17との交差により第一角部C1が区画され、縁端19と縁端17との交差により第二角部C2が区画され、縁端20と縁端18との交差により第三角部C3が区画され、縁端19と縁端18との交差により第四角部C4を区画される。
【0054】
図7に示されるようなある実施例において試料室30、そしてそれに伴い入口32も、C1やC2の付近の、センサー遠位縁端に非常に近い位置に配置され、より具体的には、センサー角部が試料流体滴に接触して試料が試料室に引き込まれるほど、センサー遠位縁端の十分近くに配置される。示した通り、図7の試料室30は、センサー試料供給縁端17からわずかに後退した位置にある。上記の通り、本テストストリップのこの距離Dは最小限に抑えられる。
【0055】
センサーの寸法は様々であることもできる。ある実施例において本発明のセンサーの全長は、約10mm以上から約50mm以下であることもできる。例えば、全長は約30から45mm、例えば約30から40mmであることもできる。センサーを作る基板の長さは同一かまたは異なることもできる。ある実施例においてセンサーストリップ10の幅は、約1mm以上、約15mm以下であることもできる。例えば、幅は約3から10mmであることもできる。ある実施例においてセンサーは可変幅であることもできる(例えば図4、5および6のセンサー参照)。1つの具体例においてセンサー10は、長さが約30mmで幅が約6mmである。可変幅実施例においてセンサーは、長さが約30mmで幅が約2.5mmから約6mmの範囲、例えば近位端の幅が約6mmで遠位端の幅が約2.5mmであることもできる。基板12と14との厚さは、同一かまたは異なることもでき、変動することもでき、ある実施例において各基板の厚さは、約0.05mm以上で通常は約3mm以下、例えば約0.20mmから約1mmであることもできる。ある実施例において厚さは約0.25mmである。基板12、14の幅や厚さが増すにつれて、基板12および基板14の一方または両方の長さを、より短くすることも、より長くすることもできることを理解すべきである。図8に示した通り、基板やスペーサ層が全て異なる長さ(や幅)であることもできる。
【0056】
コーナー充填式ストリップの使用は、代替部位テスト(指先以外の身体部位から、例えば前腕、脚、腹などからのテスト)のために特に有利である。例えばコーナー充填式センサーは、使用者がセンサー角部を使用者の皮膚に接触させた場合、代替テスト部位(例えば前腕)の近くに静止することもできる。上記の通り、本センサーは有利なことに、電量分析法、電流測定法、電位差測定法、反射率測定法、または当業者が理解するその他の技法を用いて信頼できるテストを行うために、約1マイクロリットル未満のような比較的少量の体液試料しか使用しない。これは、代替部位テストのために重要であり、指部位でテストを行った場合に比べ、代替部位で同じ切開作業を行った場合、通常、より小さい体積の試料しか利用できない。
【0057】
センサー10は通常、電気的計器と共に使用するように構成され、この計器は、PCまたはその他の電子機器に接続可能であることもできる。接続は有線または無線であることもできる。
【0058】
本発明のセンサーは、「一体型装置」内への、すなわち、内部にセンサー、計器のような少なくとも第二の要素、およびランセットまたは類似物のような皮膚穿孔要素、もしくはセンサー、計器のような少なくとも第二の要素、またはランセットまたは類似物のような皮膚穿孔要素のある装置内への包含に特に好適である。いくつかの実施例においてセンサーは、計器とランセットとの両方と一体化することもできる。多数の要素を1つの装置内にまとめると、検体レベルを得るために必要な装置の数が減り、試料採取プロセスが促進される。例えば実施例は、1つ以上の本センサーと、皮膚穿孔要素と、ストリップに供給された試料内における検体の濃度定量用のプロセッサとを含むハウジングを、含むこともできる。複数のセンサーをハウジング内部のカセット内に保持することもでき、使用者によって作動され次第、センサーを1つだけ、少なくともその一部分がハウジングから外に出るように、カセットから使用のために繰り出すこともできる。
【0059】
本センサーの様々な構成要素について、より一層詳細に説明する。
基板
センサー10は第一および第二の基板12、14を有し、各基板は不導電性の不活性基板であり、両基板がセンサーの全体的な形状およびサイズを形成する。基板12、14は、実質的に剛体的または実質的に可撓性であることもできる。ある実施例において、基板12、14は可撓性または変形性である。基板12、14に好適な材料の例はポリエステル、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ナイロンおよびその他の「プラスチック」または重合体を含むが、それらに限定されない。ある実施例において基板材料は「メリネックス」ポリエステルである。また、紙などのようなその他の不導電材料を使用することもできる。
【0060】
スペーサ層
上記の通り、基板12と基板14との間にはスペーサ15が配置される。スペーサ15は、第一基板12と第二基板14とを分離する。スペーサ15は、不活性の不導電層であり通常、基板12、14と少なくとも同程度の可撓性および変形性(または剛性)を有する。ある実施例においてスペーサ15は、接着層または両面接着テープもしくはフィルムである。スペーサ15用に選択する接着剤は、正確な検体測定を妨害する材料の拡散または放出を、防止または最小化するように選択すべきである。
【0061】
スペーサ15の厚さは、試料室の奥行を規定し、毛管容積を有する試料室を区画する寸法にすることもできる。ある実施例においてスペーサ15の厚さは、約0.01mm(10μm)以上で約1mmまたは約0.5mm以下であることもできる。例えば、厚さは約0.02mm(20μm)から約0.2mm(200μm)であることもできる。ある実施例において厚さは約0.05mm(50μm)で、別の実施例では約0.1mm(100μm)であることもできる。
【0062】
スペーサ15の長さは、基板12や基板14の長さよりも短くても長くても良く(例えば図8参照、そのスペーサ15の少なくとも長さは、少なくとも一方の基板よりも短い)、およびスペーサと一方または両方の基板とが長軸に沿ってずれることもできる、もしくはスペーサ15の長さは、基板12や基板14の長さよりも短くても長くても良く(例えば図8参照、そのスペーサ15の少なくとも長さは、少なくとも一方の基板よりも短い)、またはスペーサと一方または両方の基板とが長軸に沿ってずれることもできる。スペーサ15の幅は、基板の幅と同一かまたは異なることもでき、多くの実施例において幅は通常、基板12および基板14の幅と同一である。
【0063】
試料室
上記の通り、本発明に従うセンサーは、分析することになる試料体積を受け取るための試料室30を含み、この試料室は、センサーの1つ以上の交差縁端の付近に配置された1つ以上の試料室入口を含む。試料室30は、試料室30内に試料が提供された場合に試料が作用電極と対電極との両方に電解接触するように構成され、それによって、電極間に電流が流れて検体の電解(電気酸化または電気還元)が行えるようになる。上記の通り、かつ、例えば図7に示した通り、試料室30は部分的には、基板12、基板14およびスペーサ15によって規定される。
【0064】
試料室30は、内部に生物学的流体試料を受け取るために十分な容積を有する。センサー10が小体積センサーの場合のような幾つかの実施例において試料室30は、約1μL以下の、例えば約0.5μL以下、また例えば約0.25μL以下の容積を有する。また、約0.1μL以下の容積も試料室30に好適であり、約0.05μL以下および約0.03μL以下の容積も同様である。試料室30は、分析することになる試料の、毛管力またはその他の表面張力による試料室30内への引き込みを促進する寸法を有する。基板12と14と間にスペーサ15を含む実施例においては、試料室30の厚さは通常、スペーサ15の厚さである。
【0065】
試料室30内には測定区域(示さず)が含まれ、この区域は、試料室の、試料の一部分のみを含む領域であって、この一部分が検体アッセイ中に調べられる。いくつかの実施例において、測定区域の容積は試料室30の容積とほぼ同じである。いくつかの実施例において測定区域は、試料室の100%以下を、例えば90%以下、例えば80%以下、例えば75%以下を占める。ある実施例においては、前述の特許出願第11/225,659号において説明される通り、測定区域は完全に充填するが試料室は部分的に充填しただけで、試料の正確な測定値を得ることもできる。
【0066】
電極
センサーは、作用電極と、少なくとも1つの対電極とを含む。対電極は、対/参照電極であることもできる。多数の対電極が存在する場合、対電極の1つを対電極にし、1つまたはそれ以上を参照電極にすることもできる。図9および10は、2つの例示的な電極構成を示す。
【0067】
作用電極
センサー10の第一基板12および第二基板14の一方には、少なくとも1つの作用電極が配置される。これらの具体的実施例において作用電極22は、例示目的のためにのみ、基板12上に示される。作用電極22は、その一部分が試料室30の領域内に存在し、いくつかの実施例においては、計器への接続用のような、試料室からセンサー端部18まで伸びる導体トレースを含む。
【0068】
作用電極22は、任意の好適な導電材料のような、例えば金、炭素、プラチナ、二酸化ルテニウム、パラジウムまたはその他の不腐食性導電材料のような導電材料の層であることもできる。作用電極22は、2つ以上の導電材料の組み合わせであることもできる。好適な導電性エポキシの例は、ECCOCOAT CT5079−3炭素充填導電性エポキシ系塗膜(マサチューセッツ州ウォーバーンのW.R.グレース・カンパニーから入手可能)である。作用電極22の材料は通常、電気抵抗が比較的小さく、通常、動作中のセンサーの電位範囲にわたって電気化学的に不活性である。
【0069】
作用電極22は、様々な方法により基板12に加えることもできる。作用電極22は、平坦表面または押し出し表面もしくは別途くぼんだ表面に、蒸着もしくは真空蒸着によるように被着するか、または別途、スパッターもしくは印刷するか、あるいは別個の担体もしくはライナーから転写するか、食刻するか、または型成形することもできる。好適な印刷方法はスクリーン印刷、圧電印刷、インクジェット印刷、レーザー印刷、写真平板および塗装を含むが、それらに限定されない。
【0070】
上記の通り、作用電極22の少なくとも一部分は、検体分析のために対電極24と併せて試料室30内に設けられる。
対電極
センサーは、試料室内に配置された少なくとも1つの対電極を含む。図8において対電極24は基板14上に示されて離間対向電極対を有するセンサーを提供し、図9において対電極24は基板12上に存在して共面電極対を有するセンサーを提供する。対電極24は、その一部分が試料室30の領域内に存在し、いくつかの実施例においては、計器への接続用のような、試料室部分からセンサー端部18まで伸びる導体トレースを含む。
【0071】
対電極24は、作用電極22に類似したやり方で構築することもできる。対電極24を作製するために、作用電極22を構築するために利用可能なものと同じ材料および方法を用いることもできるが、また、異なる材料および方法を用いることもできる。対電極24は、Ag/AgClおよび炭素のような、多数の導電材料の混合物を含むこともできる。
【0072】
電極構成
作用電極22と対電極24とは、互いに反対側に向き合って配置され、対面電極を形成することもできる。例えば図9を参照すると、同図では作用電極22は基板12上にあり、対電極24は基板14上にあって対面電極を形成する。それに代わって作用電極22と対電極24とは、同一基板上のように、互いに対して実質的に平面的に配置され、共面電極または平坦電極を形成することもできる。図10を参照すると、作用電極22と対電極24との両方が基板12の表面の一部分を占め、それに伴って共面電極を形成する。
【0073】
指示電極
センサーは、第一基板12や第二基板14上に配置された少なくとも1つの指示電極(示さず)を含むこともできる。指示電極を用いて、試料室30に試料がいつ十分に充填されたかを検知し、測定区域30の部分的充填を防止する。
【0074】
指示電極は、作用電極22や対電極24に類似したやり方で構築することもできる。指示電極に好適な材料および方法は、作用電極22や対電極24に用いたものと同じ材料および方法を含むが、また、異なる材料および方法を用いることもできる。例えば炭素は、指示電極24に使用することもできる材料である。
【0075】
ある実施例において指示電極は、試料室30内に配置され、指示電極と試料室入口との間に、少なくとも作用電極22を配置することもできる。ほとんどの実施例においては対電極24もまた、指示電極と試料室入口との間に配置される。生物学的流体試料が試料室入口32を経て試料室30内に入り次第、作用電極22を通過し、その後、指示電極に接触するように、指示電極はそのような位置に配置される。
【0076】
指示電流に試料が接触し次第、指示電極は、取り付けられた計器への信号源となる。好適な信号は、例えば電圧、電流、抵抗、インピーダンスまたは静電容量を含む。信号は計器や使用者に対して、アッセイを開始するのに十分な試料が測定区域に存在することを表示する。この表示は、視覚標示や聴覚信号や振動信号であることもでき、または計器を、アッセイを自動的に開始するように構成することもできる。
【0077】
化学
酸化還元媒介剤
検体を分析するために、化学物質(センシング化学物質、検体反応化学物質または試薬)が提供される。このセンシング化学物質は、酸化還元媒介剤および第二の電子伝達媒介剤を含むこともできるが、いくつかの事例においては、その一方または他方を単独で使用することもできる。酸化還元媒介剤および第二の電子伝達剤は、その一方または両方が拡散性もしくは浸出性またはそうでないこともできるほど別個に、拡散性もしくは浸出性または不拡散性もしくは不浸出性であることもできる。本明細書における考察目的のためには、「拡散性」という用語は、「拡散性または浸出性」を表すために使用され、「不拡散性」という用語は、「不拡散性または不浸出性」およびそれらの変化形を表すために使用される。酸化還元媒介剤は空気酸化性であることもできる。
【0078】
化学成分の配置は、様々な要因に、例えば化学成分が拡散性であるか否かに、左右される可能性がある。例えば、不拡散性および拡散性、もしくは不拡散性または拡散性の両成分が、作用電極22上に検出層を形成することもできる。それに代わって1つ以上の拡散性成分が、分析することになる試料の導入の前に、試料室30内のいずれかの表面に存在することもできる。別の例として、試料室30内への試料の導入の前に、試料内に1つ以上の拡散性成分を置くこともできる。
【0079】
酸化還元媒介剤が不拡散性の場合、酸化還元媒介剤は、例えば層として、作用電極22上に配置することもできる。酸化還元媒介剤および第二の電子伝達剤を有する1つの実施例において、酸化還元媒介剤および第二の電子伝達剤が共に不浸出性の場合、両成分を、個々の層として作用電極22上に配置するか、または一緒にして単一層として塗布することもできる。
【0080】
酸化還元媒介剤は、拡散性であるか否かを問わず、作用電極22と検体との間における流れを媒介し、電極上での直接的な電気化学反応に適さない分子の電気化学的分析を可能にする。同媒介剤は、電極と検体との間における電子伝達剤として機能する。
【0081】
本発明のセンサーにおいては、任意の好適な化学物質を用いることもできる。例えば、使用することもできる酸化還元媒介剤は、遷移金属化合物または錯体である。好適な遷移金属化合物または錯体の例はオスミウム、ルテニウム、鉄およびコバルトの化合物または錯体を含むが、それらに限定されない。これらの錯体において遷移金属は、1つ以上の配位子に配位結合により結合され、この配位子は通常、一座、二座、三座または四座である。酸化還元媒介剤は、高分子酸化還元媒介剤または酸化還元重合体(例えば、1つ以上の酸化還元種を有する重合体)であることができる。好適な酸化還元媒介剤および酸化還元重合体の例は、例えば米国特許第6,338,790号、第6,605,200号および第6,605,201号に開示される。
【0082】
第二の電子伝達剤
上記の通り、本発明のセンサーは、酸化還元媒介剤と、酸化還元媒介剤および検体との間で電子をやり取りすることのできる第二の電子伝達剤とを含むこともできる。第二の電子伝達剤は、拡散性または不拡散性であることもできる。好適な第二の電子伝達剤の1つの例は、検体の反応を触媒する酵素である。例えば検体がブドウ糖の場合には、ブドウ糖酸化酵素、またはピロロキノリンキノンブドウ糖脱水素酵素(PQQ)のようなブドウ糖脱水素酵素が使用される。その他の検体には、その他の酵素を使用することもできる。これらの酵素は、酸化還元媒介剤を介して検体と電極との間において電子を伝達することにより、検体の電解を触媒する。
【0083】
センサーの製造
上記センサー実施例は、スペーサ15によるような、基板12と14とが離間したサンドイッチ状または層状の構造である。この構造は、任意の好適なやり方で様々な層を積層して1つにすることにより作製するか、または任意の好適な方法を用いて作製することもできる。本発明のセンサーは型成形することもできる。
【0084】
型成形は、少なくとも2つの導電性離間電極(例えばワイヤー)を金型内に配置するステップと、少なくとも1つの試料室開口部がセンサー角部の付近に設けられるように、電極の周囲に絶縁材料製の本体を型成形するステップとを含むこともできる。より具体的には型成形は、型成形の前または後に少なくとも2つの導電性離間電極(例えばワイヤー)を金型内に配置するステップと、1つ以上の化学物質で少なくとも1つの電極を処理して処理電極の電気的特性が、流体試料に接触し次第、変化するようにするステップと、電極の周囲に絶縁材料製の本体を型成形して1つの端部においてセンサー角部の付近に少なくとも1つの試料室開口部が設けられるようにするステップとを含むこともできる。本体は多数個に分けて、例えば、本体部とエンドキャップとを型成形後に互いに取り付けて完成させる2個として型成形するか、または1個として型成形することもできる。
【0085】
方法
また、検体を定量する方法も提供される。通常、センサー角部を生物学的流体試料に接触させることにより、試料がセンサー試料室内に入り、この試料室内で検体レベルが定量される。検体は、本明細書において説明したものを含むがそれらに限定されない。ある実施例において定量されるのは、血液または間質液内におけるブドウ糖レベルである。多くの実施例において生物学的流体源は、例えば切開装置または類似物で患者の皮膚を穿孔した後、患者から引き出される血液滴であり、この装置は、ある実施例における一体型装置内に、本発明のセンサーと共に存在することもできる。
【0086】
従って実施例は、皮膚領域を穿孔して穿孔部位から血液を流出させるステップと、この部位の血液をセンサー角部に接触させ、それによって血液が分析のために試料室内に入ることを可能にするステップとを含む。ある実施例においては毛管力により、試料を試料室内に引き込むこともできる。
【0087】
センサーは通常、試料との接触の前または後に計器に、例えば米国特許第6,924,518号および第6,893,545号において説明される通りの計器に接続される。ある実施例においてコーナー充填式センサーは、センサー角部をテストしたい試料に接触させる前に計器に機能的に接続され、それによってセンサーおよび計器が、より容易に且つより便利に使用できるようになる。また、使い易く便利であるように、多くの実施例において、テストすることになる検体含有体液を得るためのテスト部位(例えば指または代替テスト部位(例えば前腕、腹または類似部位))の皮膚開口部は、センサーを計器に接続した後、作ることもできる。
【0088】
センサーに取り付け可能な計器は、指示電極(存在する場合)からの信号がいつ受け取られるかを監視するようにプログラムされ、よって、指示電極への試料の接触の有無および接触時期を表示することもできる。例えば指示電極が作用電極および測定区域の下流にある(センサー試料充填端部よりもセンサー計器端部の方に最も近い)実施例においては、信号が受け取られた場合、測定区域が十分に充填されたことを保証するに足る量の試料が試料室内に入っている。信号はオン/オフ信号であることもでき、または既存信号の変化(増大または減少)であることもできる。
【0089】
試料源、例えば血液滴へのセンサー角部の接触が済み次第、試料室内の試料は流動しなくなることもでき、静止したままであることもできる。試料室の寸法によって、試料源がない場合は試料が動かないように抑制することもでき、それに伴って試料は、実質的に非流動状態で試料室内に留まることもできる。約5秒以下、例えば3秒以下と短いかまたは30秒以上と長い時間が掛かる分析中、センサーの構造によっては、試料が試料室内で非流動状態であることが望ましい場合がある。
【0090】
本方法の実施例は、任意の体積の試料内における検体濃度を定量するステップを含み、小体積試料内における、例えば約1μL以下の、例えば約0.5μL以下、例えば約0.25μL以下、例えば約0.1μL以下の体積の試料内における検体濃度を定量するステップを含む。いくつかの実施例において方法は、約0.05μLほどの小体積または約0.03μLほどの小体積の試料内における検体濃度を定量するステップを含む。本発明のセンサーは、米国特許出願第11/225,659号において説明される通りに構成することもでき、この構成では、試料室を全体的または部分的に充填する体積の試料を用いて、正確な検体測定値を得ることもできる。
【0091】
本方法の実施例は、生物学的流体試料を内部に受け取るのに十分な特定の容積容量を有する試料室内に、ある体積の生物学的流体を収容するステップを含む。いくつかの実施例において方法は、容積が約1μL以下の、例えば約0.5μL以下、例えば約0.25μL以下、例えば約0.1μL以下、例えば約0.05μL以下、例えば約0.03μL以下の試料室内に、ある体積の試料を収容するステップを含む。試料室は、分析することになる試料の、毛管力またはその他の表面張力による試料室内への引き込みを促進する寸法を有することもできる。
【0092】
検体の定量は、任意の好適な技法を用いて遂行することもできる。例えば、検体アッセイは、電量分析法や電流測定法や電位差測定法や反射率測定法を用いて遂行することもできる。ある実施例において、測定技法はインピーダンス測定法を含む。ある実施例は光度測定法の利用を含むこともできる。計算方法は、センサーと共に使用するように構成された計器およびその他の電子機器の機能となる。計器、電子機器および計算方法に関する詳細は、例えば米国特許第6,338,790号およびその他において説明されている。
【0093】
センサーは、電極22、24に電位を印加してまたは印加せずに操作することもできる。センサーが電気化学的センサーである1つの実施例においては(本発明はまた、光センサーも含む)、電気化学反応は自然発生的に生じることもでき、センサーの作用電極と対電極との間に電位を印加する必要はない。別の実施例においては電位を、センサーの作用電極と対電極との間に印加することもできる。電位は一定または不定であることもでき、電位の大きさは、少なくとも部分的には酸化還元媒介剤によって決まる。上記の通り、センサリング化学物質および電極に関連する通りの電位に関する詳細は、例えば米国特許第6,338,790号およびその他において考察される。
【0094】
ある実施例において検体読み取り結果(処理済みまたは未処理)は、望まれる場合、遠隔地に転送(伝達によるような)され、かかる遠隔地において更なる使用(更なる処理など)のために受け取ることもできる。「遠隔地」という場合、試料評価装置が存在し試料評価が行われる場所以外の場所を指す。例えば遠隔地は、同一市内の別の場所(例えば事務所、検査室など)、異なる市の別の場所、異なる州の別の場所、異なる国の別の場所などであることができる。従って、一方が他方と「遠隔」であるという場合、その意味は、その2つが少なくとも異なる建物内にあって少なくとも1マイル、10マイル、または少なくとも100マイル離れていることもできるということである。情報を「伝達する」とは、好適な伝達経路(例えばプライベートまたはパブリック・ネットワーク)を通じて、情報を電気信号として表したデータを伝送することを指す。ものを「転送する」とは、物理的移動によるかその他の方法(可能な場合)によるかを問わず、ある場所から次の場所にものを移す一切のことを意味し、少なくともデータの場合には、データを収めた媒体を物理的に移動させること、またはデータを伝達することを含む。データは、さらなる評価や使用のために遠隔地に伝送することもできる。データの伝送には、任意の便利な電気通信手段を、例えばファクシミリ、モデム、インターネットなどを用いることもできる。
【0095】
キット
最終的には、本発明の実施用のキットも提供される。本キットは、本明細書において説明した通りの1つ以上のコーナー充填式センサーを含むこともできる。また、実施例は皮膚穿孔要素を、例えば切開装置または類似物を含むこともできる。
【0096】
さらにキットは、コントロール試薬および類似物のような、検体定量アッセイの実行に必要な1つ以上の追加的成分を含むこともできる。このようなものとしてキットは、バイアルまたはボトルのような1つ以上の容器であって各々にアッセイ用の別個の成分が入った容器を含むこともできる。
【0097】
1つ以上のコーナー充填式センサーに加えて、本キットはまた、ブドウ糖アッセイのような検体定量アッセイにコーナー充填式センサーを用いてセンサー角部に流体を接触させるための、指示書を含むこともできる。指示は、紙またはプラスチックなどのような基板に印刷することもできる。従って指示は、キット内に添付文書として、キットまたはその構成要素の容器のラベル表示(例えば包装または副包装に関連するもの)などの中に存在することもできる。その他の実施例において指示は、好適なコンピュータ可読記憶媒体上、例えばCD−ROM、ディスケット等上に存在する電子的記憶データファイルとして存在する。さらにその他の実施例においてはキット内に実際の指示が存在せず、遠隔情報源から例えばインターネット経由で、指示を入手するための手段が提供される。この実施例の例は、指示の閲覧やダウンロードが可能なウェブアドレスを含むキットである。指示の場合と同様に、指示を入手するためのこの手段も、好適な基板上に記録される。
【0098】
本キットの多くの実施例において、キット構成要素はキット封じ込め要素内に包装されて取り扱い易い単一ユニットにされ、キット封じ込め要素、例えば箱または類似構造は、例えば、1つ以上のセンサーと、存在する場合には追加的試薬(例えば対照溶液)とを使用時まで更に保存するために、気密容器であってもなくても良い。
【0099】
上記発明が、センサー角部に試料を接触させることにより試料をセンサー試料室内に収容するための装置および方法を提供することは、上記の結果および考察から明白である。上記発明は幾つかの利点を提供し、かかる利点の一部は上記で説明され、かかる利点は、使い易さおよび製造し易さを含むがそれらに限定されない。このようなものとして本発明は、当該技術分野への重要な寄与を表す。
【0100】
本明細書において引用した全ての刊行物および特許は、各々の個別の刊行物または特許が参照により組み込まれるように特に個別に指示されたかのように、参照により本明細書に組み込まれる。刊行物の引用は、出願日よりも前の開示内容に関するものであり、先行発明の効により本発明がかかる刊行物に先行する権利を有さないことの承認として解釈されるべきではない。
【0101】
本発明について、特定の実施例を参照して説明したが、本発明の真の趣旨および範囲から逸脱することなく様々な変更を行うこともでき、均等物と置き換えることもできることを、当業者は理解すべきである。加えて、特定の状況、材料、組成物、プロセスまたはプロセス段階を本発明の目的、趣旨および範囲に適合させるために多くの修正を行うこともできる。かかる修正は全て、本明細書に添付の特許請求の範囲内に含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1A】本発明に従う検体センサーの例示的実施例の概略図である。
【図1B】図1Aのセンサーの部分拡大図である。
【図2A】本発明に従う検体センサーの例示的実施例の概略図であり、試料室がセンサー前縁に対して実質的に平行なセンサーを示す。
【図2B】本発明に従う検体センサーの例示的実施例の概略図であり、試料室がセンサー前縁に対して実質的に垂直なセンサーを示す。
【図2C】本発明に従う検体センサーの例示的実施例の概略図であり、試料室がセンサー前縁に対して実質的に平行な別のセンサーを示す。
【図3】本発明に従う検体センサーの、実質的に一定幅の例示的実施例の上面概略図である。
【図4】本発明に従う検体センサーの、可変幅の例示的実施例の上面概略図である。
【図5】本発明に従う検体センサーの、可変幅で凹みのある別の例示的実施例の上面概略図である。
【図6】本発明に従う検体センサーの、可変幅の別の例示的実施例の上面概略図である。
【図7】図3の検体センサーの斜視図である。
【図8】本発明に従う検体センサーの例示的実施例の概略図であり、基板およびスペーサ層が全て異なる長さである。
【図9】本発明に従う検体センサーの、離間対向電極対を有する例示的実施例の概略的分解図である。
【図10】本発明に従う検体センサーの、共面電極対を有する例示的実施例の概略的分解図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物学的流体試料内における検体の濃度を定量する検体センサーであって、前記センサーが、
作用電極および対電極と、
生物学的流体を受け取り、前記作用電極と前記対電極の少なくとも一部分を含む試料室とを備え、前記試料室が、前記センサーの角部を前記生物学的流体に接触させることにより、前記生物学的流体を受け取るように適合されていることを特徴とするセンサー。
【請求項2】
前記センサーが、前記試料室内の約1μL以下の試料を用いて前記検体の濃度を定量するように適合されていることを特徴とする請求項1に記載のセンサー。
【請求項3】
前記試料室が、約1μL以下の試料を収容するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至2のいずれか一項に記載のセンサー。
【請求項4】
前記角部が実質的に丸みを帯びていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のセンサー。
【請求項5】
前記角部が実質的に角ばっていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のセンサー。
【請求項6】
生物学的流体試料内における検体濃度を定量する検体センサーであって、
約1μL未満の試料内において検体濃度を定量するように適合されている試料室と、
試料を前記試料室内に収容させる1つ以上の試料室開口部と、
少なくとも1つの角部とを備え、少なくとも1つの前記試料室開口部が、前記センサーの少なくとも1つの角部の付近に配置されていることを特徴とするセンサー。
【請求項7】
前記試料室が、第一および第二の経路開口部を備え、前記第一の試料室開口部が第一のセンサー角部の付近に配置され、前記第二の試料室開口部が第二のセンサー角部の付近に配置されていることを特徴とする請求項6に記載のセンサー。
【請求項8】
前記センサーが実質的に四角形状に形成されていることを特徴とする請求項6乃至7のいずれか一項に記載のセンサー。
【請求項9】
前記センサーがブドウ糖センサーであることを特徴とする請求項6乃至8のいずれか一項に記載のセンサー。
【請求項10】
前記センサーが、前記試料室内の約0.5μL以下の試料を用いて前記検体の濃度を定量するように適合されていることを特徴とする請求項6乃至9のいずれか一項に記載のセンサー。
【請求項11】
前記センサーが、前記試料室内の約0.2μL以下の試料を用いて前記検体濃度を定量するように適合されていることを特徴とする請求項10に記載のセンサー。
【請求項12】
前記センサーが、前記試料室内の約0.1μL以下の試料を用いて前記検体濃度を定量するように適合されていることを特徴とする請求項10に記載のセンサー。
【請求項13】
前記試料室が約1μL以下の試料を収容するように構成されていることを特徴とする請求項6乃至9のいずれか一項に記載のセンサー。
【請求項14】
前記試料室が約0.5μL以下の試料を収容するように構成されていることを特徴とする請求項13に記載のセンサー。
【請求項15】
前記試料室が約0.2μL以下の試料を収容するように構成されていることを特徴とする請求項14に記載のセンサー。
【請求項16】
前記試料室が約0.1μL以下の試料を収容するように構成されていることを特徴とする請求項15に記載のセンサー。
【請求項17】
前記センサーが電気化学的センサーされていることを特徴とする請求項6乃至16のいずれか一項に記載のセンサー。
【請求項18】
前記センサーが光センサーされていることを特徴とする請求項6乃至16のいずれか一項に記載のセンサー。
【請求項19】
前記センサーが、計器に機能的に接続可能な第一縁端と、前記第一縁端に対し実質的に反対側の第二縁端であって、前記1つ以上の試料室開口部を備える前記第二縁端とを備えることを特徴とする請求項6乃至18のいずれか一項に記載のセンサー。
【請求項20】
前記試料室の縁端が前記第二縁端に対して実質的に平行であることを特徴とする請求項19に記載のセンサー。
【請求項21】
試料室縁端と前記第二縁端との距離が約0.01mmから約1.5mmの範囲であることを特徴とする請求項20に記載のセンサー。
【請求項22】
検体センサーであって、
スペーサ層により第二基板と分離され、少なくとも1つの電極を含む第一基板であって、前記第一基板および第二基板が、相対する第一と第二の側の縁端と、相対する第三と第四の側の縁端とを備えるセンサーを形成するものである、前記第一基板と、
前記センサーのいずれか2つの縁端の交点にある試料収容口とを備えることを特徴とするセンサー。
【請求項23】
前記第一の縁端が前記第三および第四の縁端と交差し、前記第二の縁端が前記第三および第四の縁端と交差し、試料収容口が、前記第一の縁端と前記第三の縁端との交点の付近もしくは前記第一の縁端と前記第四の縁端との交点の付近に配置されるか、または試料充填口が、前記第一の縁端と前記第三の縁端との交点および前記第一の縁端と前記第四の縁端との交点に配置されていることを特徴とする請求項22に記載に記載のセンサー。
【請求項24】
生物学的流体試料内における検体濃度を定量する方法であって、前記方法が、
検体センサーを計器に機能的に接続するステップと、
前記センサーを前記計器に接続した後、前記センサーの角部の付近に配置された試料流入開口部を前記試料に接触させることにより、検体含有試料をコーナー充填式検体センサーに供給するステップと、
前記試料内における検体濃度を定量するステップとを備えることを特徴とする方法。
【請求項25】
前記検体濃度が、前記試料室内の約1μL以下の試料を用いて定量されることを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記検体濃度が、前記試料室内の約0.5μL以下の試料を用いて定量されることを特徴とする請求項25に記載の方法。
【請求項27】
ブドウ糖濃度が、前記試料室内の約0.2μL以下の試料を用いて定量されることを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記ブドウ糖濃度が、前記試料室内の約0.1μL以下の試料を用いて定量されることを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記試料室が約1μL以下の試料を収容するサイズであることを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項30】
前記検体濃度が光度測定法を用いて定量されることを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項31】
前記定量するステップが、前記試料室内における電気化学的測定を伴う測定法を含むことを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項32】
前記測定法が電流測定法を含むことを特徴とする請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記測定法が電量分析法を含むことを特徴とする請求項31に記載の方法。
【請求項34】
前記測定法が電位差測定法を含むことを特徴とする請求項31に記載の方法。
【請求項35】
前記測定法がインピーダンス測定を含むことを特徴とする請求項31に記載の方法。
【請求項36】
前記検体がブドウ糖であることを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項37】
試料内における検体濃度を定量する一体型装置であって、システムが、コーナー充填式検体センサーと、前記コーナー充填式検体センサーに供給される試料中の検体濃度を定量するように適合されているプロセッサとを備えるハウジングを備える一体型装置。
【請求項1】
生物学的流体試料内における検体の濃度を定量する検体センサーであって、前記センサーが、
作用電極および対電極と、
生物学的流体を受け取り、前記作用電極と前記対電極の少なくとも一部分を含む試料室とを備え、前記試料室が、前記センサーの角部を前記生物学的流体に接触させることにより、前記生物学的流体を受け取るように適合されていることを特徴とするセンサー。
【請求項2】
前記センサーが、前記試料室内の約1μL以下の試料を用いて前記検体の濃度を定量するように適合されていることを特徴とする請求項1に記載のセンサー。
【請求項3】
前記試料室が、約1μL以下の試料を収容するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至2のいずれか一項に記載のセンサー。
【請求項4】
前記角部が実質的に丸みを帯びていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のセンサー。
【請求項5】
前記角部が実質的に角ばっていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のセンサー。
【請求項6】
生物学的流体試料内における検体濃度を定量する検体センサーであって、
約1μL未満の試料内において検体濃度を定量するように適合されている試料室と、
試料を前記試料室内に収容させる1つ以上の試料室開口部と、
少なくとも1つの角部とを備え、少なくとも1つの前記試料室開口部が、前記センサーの少なくとも1つの角部の付近に配置されていることを特徴とするセンサー。
【請求項7】
前記試料室が、第一および第二の経路開口部を備え、前記第一の試料室開口部が第一のセンサー角部の付近に配置され、前記第二の試料室開口部が第二のセンサー角部の付近に配置されていることを特徴とする請求項6に記載のセンサー。
【請求項8】
前記センサーが実質的に四角形状に形成されていることを特徴とする請求項6乃至7のいずれか一項に記載のセンサー。
【請求項9】
前記センサーがブドウ糖センサーであることを特徴とする請求項6乃至8のいずれか一項に記載のセンサー。
【請求項10】
前記センサーが、前記試料室内の約0.5μL以下の試料を用いて前記検体の濃度を定量するように適合されていることを特徴とする請求項6乃至9のいずれか一項に記載のセンサー。
【請求項11】
前記センサーが、前記試料室内の約0.2μL以下の試料を用いて前記検体濃度を定量するように適合されていることを特徴とする請求項10に記載のセンサー。
【請求項12】
前記センサーが、前記試料室内の約0.1μL以下の試料を用いて前記検体濃度を定量するように適合されていることを特徴とする請求項10に記載のセンサー。
【請求項13】
前記試料室が約1μL以下の試料を収容するように構成されていることを特徴とする請求項6乃至9のいずれか一項に記載のセンサー。
【請求項14】
前記試料室が約0.5μL以下の試料を収容するように構成されていることを特徴とする請求項13に記載のセンサー。
【請求項15】
前記試料室が約0.2μL以下の試料を収容するように構成されていることを特徴とする請求項14に記載のセンサー。
【請求項16】
前記試料室が約0.1μL以下の試料を収容するように構成されていることを特徴とする請求項15に記載のセンサー。
【請求項17】
前記センサーが電気化学的センサーされていることを特徴とする請求項6乃至16のいずれか一項に記載のセンサー。
【請求項18】
前記センサーが光センサーされていることを特徴とする請求項6乃至16のいずれか一項に記載のセンサー。
【請求項19】
前記センサーが、計器に機能的に接続可能な第一縁端と、前記第一縁端に対し実質的に反対側の第二縁端であって、前記1つ以上の試料室開口部を備える前記第二縁端とを備えることを特徴とする請求項6乃至18のいずれか一項に記載のセンサー。
【請求項20】
前記試料室の縁端が前記第二縁端に対して実質的に平行であることを特徴とする請求項19に記載のセンサー。
【請求項21】
試料室縁端と前記第二縁端との距離が約0.01mmから約1.5mmの範囲であることを特徴とする請求項20に記載のセンサー。
【請求項22】
検体センサーであって、
スペーサ層により第二基板と分離され、少なくとも1つの電極を含む第一基板であって、前記第一基板および第二基板が、相対する第一と第二の側の縁端と、相対する第三と第四の側の縁端とを備えるセンサーを形成するものである、前記第一基板と、
前記センサーのいずれか2つの縁端の交点にある試料収容口とを備えることを特徴とするセンサー。
【請求項23】
前記第一の縁端が前記第三および第四の縁端と交差し、前記第二の縁端が前記第三および第四の縁端と交差し、試料収容口が、前記第一の縁端と前記第三の縁端との交点の付近もしくは前記第一の縁端と前記第四の縁端との交点の付近に配置されるか、または試料充填口が、前記第一の縁端と前記第三の縁端との交点および前記第一の縁端と前記第四の縁端との交点に配置されていることを特徴とする請求項22に記載に記載のセンサー。
【請求項24】
生物学的流体試料内における検体濃度を定量する方法であって、前記方法が、
検体センサーを計器に機能的に接続するステップと、
前記センサーを前記計器に接続した後、前記センサーの角部の付近に配置された試料流入開口部を前記試料に接触させることにより、検体含有試料をコーナー充填式検体センサーに供給するステップと、
前記試料内における検体濃度を定量するステップとを備えることを特徴とする方法。
【請求項25】
前記検体濃度が、前記試料室内の約1μL以下の試料を用いて定量されることを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記検体濃度が、前記試料室内の約0.5μL以下の試料を用いて定量されることを特徴とする請求項25に記載の方法。
【請求項27】
ブドウ糖濃度が、前記試料室内の約0.2μL以下の試料を用いて定量されることを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記ブドウ糖濃度が、前記試料室内の約0.1μL以下の試料を用いて定量されることを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記試料室が約1μL以下の試料を収容するサイズであることを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項30】
前記検体濃度が光度測定法を用いて定量されることを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項31】
前記定量するステップが、前記試料室内における電気化学的測定を伴う測定法を含むことを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項32】
前記測定法が電流測定法を含むことを特徴とする請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記測定法が電量分析法を含むことを特徴とする請求項31に記載の方法。
【請求項34】
前記測定法が電位差測定法を含むことを特徴とする請求項31に記載の方法。
【請求項35】
前記測定法がインピーダンス測定を含むことを特徴とする請求項31に記載の方法。
【請求項36】
前記検体がブドウ糖であることを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項37】
試料内における検体濃度を定量する一体型装置であって、システムが、コーナー充填式検体センサーと、前記コーナー充填式検体センサーに供給される試料中の検体濃度を定量するように適合されているプロセッサとを備えるハウジングを備える一体型装置。
【図1A】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公表番号】特表2009−516200(P2009−516200A)
【公表日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−541384(P2008−541384)
【出願日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【国際出願番号】PCT/US2006/044792
【国際公開番号】WO2007/086997
【国際公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【出願人】(500211047)アボット ダイアベティス ケア インコーポレイテッド (43)
【氏名又は名称原語表記】ABBOTT DIABETES CARE INC.
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【国際出願番号】PCT/US2006/044792
【国際公開番号】WO2007/086997
【国際公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【出願人】(500211047)アボット ダイアベティス ケア インコーポレイテッド (43)
【氏名又は名称原語表記】ABBOTT DIABETES CARE INC.
【Fターム(参考)】
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