説明

センサ保持装置

【課題】 センサを被検出体に対して軽く接触させた状態で保持し、センサを被検出体上において容易に移動させることができるセンサ保持装置を提供する。
【解決手段】 センサ保持装置10において、垂直な回動軸心Cまわりに回動可能に設けられた回動部材46に第1リンク機構48が設けられ、その第1リンク機構48の第1可動リンク48bに設けられた第2リンク機構50の第2可動リンク50bに超音波プローブ(センサ)12が支持されていることから、その超音波プローブ12は、三次元空間のいずれの位置へも容易に移動することができる。また、第1コイルスプリング49によって第1可動リンク48bに負荷される荷重に抗する方向成分の推力を発生させられ、第2コイルスプリング51によって第2可動リンク50bに負荷される荷重に抗する方向成分の推力を発生させられることから、生体14に対して軽く接触させた状態で保持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、三次元空間内の所定の位置においてセンサを被検出体に軽く接触させる状態で保持するためのセンサ保持装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
たとえば、皮膚に軽く接触して皮膚下の画像を検出するための超音波センサ、皮膚に軽く接触して光電脈波を検出するための光電センサ、動脈真上の皮膚に軽く接触して血管内の圧脈波を検出するための圧脈波センサなどのように、所定の位置においてセンサを被検出体に軽く接触させる状態で保持することが要請されている。
【0003】
上記の要請に対して、たとえば特許文献1に記載されているように、生体の皮膚上の特定の位置に対してセンサを接触状態で保持するセンサ保持装置が提案されている。しかし、この特許文献1に記載されているセンサ保持装置は、腕に巻き着けられたベルトによってセンサを保持して皮膚に押圧するものであるため、接触圧力が強すぎて血管の断面形状が変形するという欠点があった。また、検出部位を探すためにセンサを皮膚上において容易に移動させることができなかった。
【0004】
これに対し、たとえば特許文献2に記載されているように、ベルトを用いないでセンサを保持し、生体の皮膚上の特定の位置に対してセンサを非接触状態で保持するセンサ保持装置が提案されている。これによれば、センサを皮膚に対して軽く接触させた状態で保持することが可能となる。
【特許文献1】特開2000−254105号公報
【特許文献2】特開平1−155828号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献2に記載されているセンサ保持装置を用いれば、センサを皮膚に対して軽く接触させた状態で保持することが可能かもしれないが、そのセンサを保持するアームの動きの自由度が1方向であることから、検出部位を探すためにセンサを皮膚上において容易に移動させることができなかった。
【0006】
本発明は以上の事情を背景として為されたもので、その目的とするところは、センサを被検出体に対して軽く接触させた状態で保持することができ、しかも検出部位を探すためにセンサを被検出体上において容易に移動させることができるセンサ保持装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための請求項1に係る発明の要旨とするところは、三次元空間内の所定の位置においてセンサを被検出体に軽く接触させる状態で保持するためのセンサ保持装置であって、(a) 基台と、(b) その基台に対して垂直な回動軸心まわりに回動可能に設けられた回動部材と、(c) 1対の第1固定リンクおよび第1可動リンクと、4辺形を構成するようにその1対の第1固定リンクおよび第1可動リンクの両端部にそれぞれ回動可能に連結された1対の第1回動リンクとを備え、その第1可動リンクが前記回動軸心を含む面内で移動するようにその第1固定リンクが前記回動部材に固定された第1リンク機構と、(d) 1対の第2回動リンクと、4辺形を構成するようにその第2回動リンクの両端部にそれぞれ回動可能に連結された1対の第2固定リンクおよび第2可動リンクとを備え、その第2可動リンクが前記回動軸心を含む面内で移動するようにその第2固定リンクが前記第1可動リンクに固定され、前記センサをその第2可動リンクにより支持する第2リンク機構と、(e) 前記第1リンク機構に設けられ、前記第1可動リンクに負荷される荷重に抗する方向成分の推力を発生させる第1付勢装置と、(f) 前記第2リンク機構に設けられ、前記第2可動リンクに負荷される荷重に抗する方向成分の推力を発生させる第2付勢装置とを、含むことを特徴とする。
【0008】
また、請求項2に係る発明は、三次元空間内の所定の位置においてセンサを被検出体に軽く接触させる状態で保持するためのセンサ保持装置であって、(a) 基台と、(b) その基台に対して垂直な方向に移動可能に設けられた上下方向移動部材と、(c) その上下方向移動部材の荷重を相殺する方向の推力をその上下方向移動部材に付与する荷重平衡装置と、(d) 前記センサを支持する先端部と前記基台に対して垂直な回動軸心まわりに回動可能となるように前記上下方向移動部材の先端部に取り付けられた基端部とを備え、長手寸法が可変の伸縮アームとを、含むことを特徴とする。
【0009】
また、請求項3に係る発明は、三次元空間内の所定の位置においてセンサを被検出体に軽く接触させる状態で保持するためのセンサ保持装置であって、(a) 基台と、(b) その基台に対して垂直な回動軸心まわりに回動可能に取り付けられた基端アーム部と、その基端アーム部に対して長手方向の相対移動可能に取り付けられた先端アーム部とを備えた長手寸法が可変の伸縮アームと、(c) 1対の回動リンクと、4辺形を構成するようにその回動リンクの両端部にそれぞれ回動可能に連結された1対の固定リンクおよび可動リンクとを備え、その可動リンクが前記回動軸心を含む面内で移動するようにその固定リンクが前記先端アーム部に取り付けられて前記センサをその可動リンクにより支持するリンク機構と、(d) そのリンク機構に設けられて前記可動リンクに負荷される荷重に抗する方向成分の推力を発生させる付勢装置とを、含むことを特徴とする。
【0010】
また、請求項4に係る発明は、上記請求項1乃至3のいずれかに係る発明において、前記センサは、回曲自在な自在継手を介して前記伸縮アームの先端部に連結されたものであることを特徴とする。
【0011】
また、請求項5に係る発明は、上記請求項4に係る発明において、操作体の非操作によって前記自在継手の回曲を常時固定し、その操作体の操作にしたがってその回曲の固定を解放するストッパ装置を備えたものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
前記請求項1に係る発明のセンサ保持装置によれば、基台に対して垂直な回動軸心まわりに回動可能に設けられた回動部材に第1リンク機構が設けられ、その第1リンク機構の第1可動リンクに設けられた第2リンク機構の第2可動リンクにセンサが支持されていることから、そのセンサは、三次元空間のいずれの位置へも容易に移動することができる。また、第1付勢装置によって第1可動リンクに負荷される荷重に抗する方向成分の推力を発生させられ、第2付勢装置によって第2可動リンクに負荷される荷重に抗する方向成分の推力を発生させられることから、その第2可動リンクに支持されたセンサは、その荷重が大幅に軽減されるので、被検出体に対して軽く接触させた状態で保持される。したがって、センサを被検出体に対して軽く接触させた状態で保持することができ、しかも検出部位を探すためにセンサを被検出体上において容易に移動させることができるセンサ保持装置が得られる。
【0013】
また、請求項2に係る発明のセンサ保持装置によれば、基台に対して垂直な方向に移動可能に設けられた上下方向移動部材と、その上下方向移動部材の荷重を相殺する方向の推力をその上下方向移動部材に付与する荷重平衡装置と、前記センサを支持する先端部、前記基台に対して垂直な回動軸心まわりに回動可能となるように前記上下方向移動部材の先端部に取り付けられた基端部とを備え、長手寸法が可変の伸縮アームとを、含んで構成されることから、そのセンサは三次元空間のいずれの位置へも容易に移動することができる。また、荷重平衡装置によって上下方向移動部材の荷重を相殺する方向の推力がその上下方向移動部材に付与されることから、上記伸縮アームの先端部に取り付けられたセンサはその荷重が大幅に軽減されるので、被検出体に対して軽く接触させた状態で保持される。したがって、センサを被検出体に対して軽く接触させた状態で保持することができ、しかも検出部位を探すためにセンサを被検出体上において容易に移動させることができるセンサ保持装置が得られる。
【0014】
また、請求項3に係る発明のセンサ保持装置によれば、基台に対して垂直な回動軸心まわりに回動可能に取り付けられた基端アーム部と、その基端アーム部に対して長手方向の相対移動可能に取り付けられた先端アーム部とを備えた長手寸法が可変の伸縮アームと、1対の回動リンクと、4辺形を構成するようにその回動リンクの両端部にそれぞれ回動可能に連結された1対の固定リンクおよび可動リンクとを備え、その可動リンクが前記回動軸心を含む面内で移動するようにその固定リンクが前記先端アーム部に取り付けられて、前記センサをその可動リンクにより支持するリンク機構と、そのリンク機構に設けられて前記可動リンクに負荷される荷重に抗する方向成分の推力を発生させる付勢装置とを、含んで構成されることから、そのセンサは三次元空間のいずれの位置へも容易に移動することができる。また、付勢装置によって可動リンクに負荷される荷重を相殺する方向の推力がその可動リンクに付与されることから、上記可動リンクに取り付けられたセンサは、その荷重が大幅に軽減されるので、被検出体に対して軽く接触させた状態で保持される。したがって、センサを被検出体に対して軽く接触させた状態で保持することができ、しかも検出部位を探すためにセンサを被検出体上において容易に移動させることができるセンサ保持装置が得られる。
【0015】
また、請求項4に係る発明のセンサ保持装置によれば、前記センサは、回曲自在な自在継手を介して前記第2可動リンクに連結されたものであるので、生体の皮膚等の被検出体の表面に対向する姿勢の自由度が高められる。
【0016】
また、請求項5に係る発明のセンサ保持装置によれば、操作体の非操作によって前記自在継手の回曲が常時固定され、その操作体が操作されることによってその固定を解放するストッパ装置が備えられていることから、操作体が操作されることによってセンサの被検出体の表面に対向する姿勢が容易に変更され、その操作体の非操作によりセンサの最適な姿勢が保持される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の好適な実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。図1は、本発明の一実施例のセンサ保持装置10に保持された超音波プローブ(超音波探触子)12を用いて被検出体である生体14の上腕16の皮膚18の上からその皮膚18直下に位置する血管20の横断面画像(短軸画像)或いは縦断面画像(長軸画像)を測定する血管画像測定装置22を説明する正面図である。
【0018】
上記超音波プローブ12は、生体情報を検出するためのセンサとして機能するものであって、たとえば圧電セラミックスから構成された多数個の超音波振動子が一列に配列されることにより構成された1列または互いに平行な2列の超音波アレイを含む先端部24が、3軸位置決め機構26を介してプローブ本体28に備えられている。
【0019】
超音波画像測定装置22は、所謂マイクロコンピュータから構成された電子制御装置32と、モニタ画面表示装置34と、キーボード36と、超音波駆動制御回路38とを備えており、電子制御装置32は、超音波駆動制御回路38から駆動信号を供給して超音波プローブ12の先端部24にある超音波アレイから超音波を放射させ、その先端部24の超音波アレイにより検知された超音波反射信号を受けてその超音波反射信号の処理を行うことによって、皮膚18下の超音波画像を発生させ、モニタ画面表示装置34に表示させる。また、電子制御装置32は、血管20の横断面画像(短軸画像)を生成させるに際しては、上記超音波アレイを血管20に対して直交する位置となるように3軸位置決め機構26を駆動することによりに位置決めさせ、血管20の縦断面画像(長軸画像)を生成させるに際しては、上記超音波アレイを血管20に対して平行となるように3軸位置決め機構26に位置決めさせる。
【0020】
上記超音波駆動制御回路38は、電子制御装置32からの指令に従って、上記超音波アレイを構成する一列に配列された多数個の超音波振動子のうち、その端から、一定数の超音波振動子群毎に所定の位相差を付与しつつ10MHz程度の周波数で同時駆動するビームフォーミング駆動することにより超音波振動子の配列方向において収束性の超音波ビームを血管20に向かって順次放射させ、その放射毎の反射波を受信して電子制御装置32へ入力させる。また、上記超音波アレイの放射面には、その超音波振動子の配列方向に直交する方向に超音波ビームを収束させるための音響レンズが設けられている。
【0021】
電子制御装置32は、上記反射波に基づいて画像を合成し、皮膚18下における血管20の横断面画像(短軸画像)を生成させ、或いは血管20の縦断面画像(長軸画像)を生成させて、モニタ画面表示装置34に表示させる。また、その画像から、血管20の径或いは内皮径(内膜径)が算出される。また、血管内皮機能を評価するために、虚血反応性充血後のFMD(血流依存性血管拡張反応)を表す血管径の変化率(%)[=100×(dmax −d)/d](但し、dは安静時の血管径、dmax は阻血解放後の最大血管径)を算出する。
【0022】
上記超音波プローブ12は、三次元空間内の所望の位置すなわち所定の位置において被検出体である生体14の上腕16の皮膚18の上からその皮膚18直下に位置する血管20を変形させない程度に軽く接触させる状態でセンサ保持装置10に所望の姿勢で保持されるようになっている。上記超音波プローブ12の先端部24の端面と皮膚18との間には、通常、超音波の減衰、境界面における反射や散乱を抑制して超音波画像を明瞭とするためのよく知られたゼリー等のカップリング剤が介在させられる。このゼリーは、たとえば寒天等の高い割合で水を含むゲル状の吸水性高分子であって、空気よりは固有インピーダンス(=音速×密度)が十分に高く大きく超音波送受信信号の減衰を抑制するものである。また、そのゼリーに換えて、水を樹脂製袋内に閉じ込めた水袋、オリーブ油、グリセリン等が用いられ得る。
【0023】
上記センサ保持装置10は、机、台座等に位置固定に設けられ、垂直な回動軸心C方向に形成された嵌合穴40を備えた基台42と、その嵌合穴40内に相対回転可能に嵌合された嵌合軸44を備え、基台42に対して垂直な回動軸心Cまわりに回動可能に設けられた回動部材46と、その回動部材46に固定された第1固定リンク48aとして含む4つのリンク48a乃至48dから成る第1リンク機構48と、第1リンク機構48の先端部に固定された第2固定リンク50aとして含む4つのリンク50a乃至50dから成る第2リンク機構50と、この第2リンク機構50の先端部において固定されて超音波プローブ12を回曲自在に連結してそれを支持する自在継手52と、操作レバー54の非操作によって前記自在継手52の回曲を常時固定し、操作レバー54の操作にしたがって常時固定されていた回曲を許容すなわち回曲の固定を解放するストッパ装置56とを備えている。
【0024】
上記第1リンク機構48は、互いに平行な1対の第1固定リンク48aおよび第1可動リンク48bと、平行4辺形を構成するようにそれら1対の第1固定リンク48aおよび第1可動リンク48bの両端部にそれぞれ回動可能に連結された互いに平行な1対の第1回動リンク48cおよび48dとを備え、その第1可動リンク48bが前記回動軸心Cを含む面内で移動するように第1固定リンク48aが前記回動部材46に固定されている。そして、この第1リンク機構48には、上記第1可動リンク48bに負荷される荷重に抗する方向成分の推力を発生させる第1付勢装置として機能する第1コイルスプリング49が設けられている。この第1コイルスプリング49は、第1回動リンク48cと第1固定リンク48aとの連結点と、第1回動リンク48dと第1可動リンク48bとの連結点との間に張設されており、この第1コイルスプリング49により発生させられている第1可動リンク48bを上方へ引き上げる方向のモーメントと、第1可動リンク48bに負荷される荷重により発生させられている第1可動リンク48bを下方へ引き下げる方向のモーメントとが略相殺されるようになっている。
【0025】
上記第2リンク機構50は、互いに平行な1対の第2回動リンク50cおよび50dと、平行4辺形を構成するようにそれら一対の第2回動リンク50cおよび50dの両端部にそれぞれ回動可能に連結された1対の第2固定リンク50aおよび第2可動リンク50bとを備え、その第2可動リンク50bが前記回動軸心Cを含む面内で移動するようにその第2固定リンク50aが第1可動リンク48bに略直交する姿勢で固定されている。そして、この第2リンク機構50には、第2可動リンク50bに負荷される荷重に抗する方向成分の推力を発生させる第2付勢装置として機能する第2コイルスプリング51が設けられている。この第2コイルスプリング51は、第2回動リンク50cと第2固定リンク50aとの連結点と、第2回動リンク50dと第1可動リンク50bとの連結点との間に張設されており、この第2コイルスプリング51により発生させられている第2可動リンク50bを上方へ引き上げる方向のモーメントと、第2可動リンク50bに負荷される荷重により発生させられている第2可動リンク50bを下方へ引き下げる方向のモーメントとが略相殺されるようになっている。このような第1コイルスプリング49および第2コイルスプリング51の相殺作用により、超音波プローブ12が三次元空間内の所望の位置に停止するか或いはゆっくりと下降する程度に保持され、血管20を変形させない程度で超音波プローブ12の先端部24がゼリー等のカップリング剤を介して面接触状態で軽く密着させられるようになっている。
【0026】
上記自在継手52は、図2に拡大して示すように、基端部が第2可動リンク50bに固定され且つ球状に形成された先端部58を備えた第1連結部材52aと、その第1連結部材52aの球状の先端部58が摺動可能に嵌め入れられた嵌合穴60を備え、その球状の先端部58の球心Bまわりに相対回曲可能に連結された第2連結部材52bとを備え、超音波プローブ12が所望の姿勢で保持されるようになっている。
【0027】
前記ストッパ装置56は、第2連結部材52bに設けられた一対の案内穴62、64によって球状の先端部54に対して接近離隔可能に案内された操作レバー54と、その操作レバー54を球状の先端部58に対して押圧する押圧スプリング66とを備え、常時は、操作レバー54の非操作状態ではその操作レバー54が押圧スプリング66によって球状の先端部58に対して押圧されることにより前記自在継手52の回曲が阻止されて常時固定されるが、その操作レバー54が押圧スプリング66の付勢力に抗して操作されることによりその操作レバー54が球状の先端部58から離隔されると、前記自在継手52の固定が解放され、その回曲が許容されるようになっている。図1の1点鎖線は、超音波プローブ12が上昇させられた状態を示している。
【0028】
上述のように、本実施例のセンサ保持装置10によれば、基台42に対して垂直な回動軸心Cまわりに回動可能に設けられた回動部材46に第1リンク機構48が設けられ、その第1リンク機構48の第1可動リンク48bに設けられた第2リンク機構50の第2可動リンク50bに超音波プローブ(センサ)12が支持されていることから、その超音波プローブ12は、三次元空間のいずれの位置へも容易に移動することができる。また、第1コイルスプリング(第1付勢装置)49によって第1可動リンク48bに負荷される荷重に抗する方向成分の推力を発生させられ、第2コイルスプリング(第2付勢装置)51によって第2可動リンク50bに負荷される荷重に抗する方向成分の推力を発生させられることから、その第2可動リンク50bに支持された超音波プローブ12は、その荷重が大幅に軽減されるので、生体(被検出体)14に対して軽く接触させた状態で保持される。したがって、超音波プローブ12を生体14に対して軽く接触させた状態で保持することができ、しかも検出部位を探すために超音波プローブ12を生体14上において容易に移動させることができるセンサ保持装置10が得られる。
【0029】
また、本実施例のセンサ保持装置10によれば、超音波プローブ(センサ)12は、回曲自在な自在継手52を介して第2可動リンク50bに連結されたものであるので、生体14の皮膚18等の被検出体の表面に対向する姿勢の自由度が高められる。
【0030】
また、本実施例のセンサ保持装置10によれば、操作レバー(操作体)54の非操作によって自在継手52の回曲を常時固定し、その操作レバー54が操作されることによってその固定を解放するストッパ装置56が備えられていることから、操作レバー54が操作されることによって超音波プローブ(センサ)12の生体14の皮膚18(被検出体の表面)に対向する姿勢が容易に変更され、その操作レバー54の非操作により超音波プローブ12の最適な姿勢が常時保持される。
【0031】
次に、本発明の他の実施例を説明する。なお、以下の説明において実施例相互に共通する部分には同一の符号を付して説明を省略する。
【0032】
図3は、本発明の他の実施例のセンサ保持装置70に保持された超音波プローブ12を用いて被検出体である生体14の上腕16の皮膚18の上からその皮膚18直下に位置する血管20の横断面画像(短軸画像)或いは縦断面画像(長軸画像)を測定する血管画像測定装置22を説明する正面図である。本実施例においては、センサ保持装置70が前述のセンサ保持装置10と相違しているので、以下、その相違点を中心に説明する。
【0033】
本実施例においても、超音波プローブ12は、三次元空間内の所望の位置すなわち所定の位置において被検出体である生体14の上腕16の皮膚18の上からその皮膚18直下に位置する血管20を変形させない程度に軽く接触させる状態でセンサ保持装置70に所望の姿勢で保持されるようになっている。
【0034】
上記センサ保持装置70は、垂直軸心C方向に案内穴72が形成された基台74と、その基台74の案内穴72に摺動可能に嵌合されることによりその基台74に対して垂直な方向に移動可能に設けられた上下方向移動部材76と、その上下方向移動部材76の荷重を相殺する方向の推力をその上下方向移動部材76に付与する荷重平衡装置78と、超音波プローブ12を自在継手52およびストッパ装置56を介して支持する先端アーム部80と前記基台74に対して垂直な回動軸心Cまわりに回動可能となるように前記上下方向移動部材76の上端部に取り付けられた基端アーム部82とを備え、長手寸法が可変の伸縮アーム84とを備えている。
【0035】
上記伸縮アーム84において、先端アーム部80は、その基端部において基端アーム部82の長手方向に沿って所定の移動抵抗を以て移動させられるスライド装置86を備え、全長が伸縮可能とされている。
【0036】
上記荷重平衡装置78は、位置固定の支持軸88によって回転可能に支持されたプーリ90と、そのプーリ90に巻き掛けられ、一端部が上下方向移動部材76の下端部に連結され、他端部が錘92に連結されたケーブル94とを備えている。上記錘92の荷重は、上下方向移動部材76、伸縮アーム84、超音波プローブ12、自在継手52、およびストッパ装置56を加えた荷重と略同等に設定されており、伸縮アーム84の先端部80に支持された超音波プローブ12が三次元空間内の所望の位置に停止するか或いはゆっくりと下降するように、保持され、血管20を変形させない程度で超音波プローブ12の先端部24がゼリー等のカップリング剤を介して面接触状態で軽く密着させられるようになっている。図3の1点鎖線は、伸縮アーム84に支持された超音波プローブ12が上昇させられた状態を示している。
【0037】
本実施例のセンサ保持装置70によれば、基台74に対して垂直な方向に移動可能に設けられた上下方向移動部材76と、その上下方向移動部材76の荷重を相殺する方向の推力をその上下方向移動部材76に付与する荷重平衡装置78と、超音波プローブ12を支持する先端アーム部80と前記基台74に対して垂直な回動軸心Cまわりに回動可能となるように上下方向移動部材76の先端部に取り付けられた基端アーム部82とを備え、長手寸法が可変の伸縮アーム84とを、含んで構成されることから、その超音波プローブ12は三次元空間のいずれの位置へも容易に移動することができる。また、荷重平衡装置78によって上下方向移動部材76の荷重を相殺する方向の推力がその上下方向移動部材76に付与されるので、上記伸縮アーム84の先端部に取り付けられた超音波プローブ12は、その荷重が大幅に軽減されるので、被検出体である生体に対して軽く接触させた状態で保持される。したがって、超音波プローブ12を生体14に対して軽く接触させた状態で保持することができ、しかも検出部位を探すために超音波プローブ12を生体14上において容易に移動させることができるセンサ保持装置70が得られる。
【0038】
また、本実施例のセンサ保持装置70においても、超音波プローブ(センサ)12は、回曲自在な自在継手52を介して第2可動リンク50aに連結されたものであるので、生体14の皮膚18等の被検出体の表面に対向する姿勢の自由度が高められる。
【0039】
また、本実施例のセンサ保持装置70においても、操作レバー(操作体)54の非操作によって自在継手52の回曲を常時固定し、その操作レバー54が操作されることによってその固定を解放するストッパ装置56が備えられていることから、操作レバー54が操作されることによって超音波プローブ(センサ)12の生体14の皮膚18(被検出体の表面)に対向する姿勢が容易に変更され、その操作レバー54の非操作により超音波プローブ12の最適な姿勢が常時保持される。
【0040】
図4は、本発明の他の実施例のセンサ保持装置96を示している。センサ保持装置96は、柱状の基台98の先端部において基端アーム部82が垂直軸心Cまわりに回動可能に取り付けられた伸縮アーム84と、この伸縮アーム84の先端アーム部80に固定リンク50aが取り付けられた第2リンク機構50とから構成されている。
【0041】
本実施例のセンサ保持装置96によれば、基台98に対して垂直な回動軸心Cまわりに回動可能に取り付けられた基端アーム部82と、その基端アーム部82に対して長手方向の相対移動可能に取り付けられた先端アーム部80とを備えた長手寸法が可変の伸縮アーム84と、1対の第2回動リンク50c、50dと、4辺形を構成するようにその第2回動リンク50c、50dの両端部にそれぞれ回動可能に連結された1対の第2固定リンク50aおよび第2可動リンク50bとを備え、その第2可動リンク50bが回動軸心Cを含む面内で移動するようにその第2固定リンク50aが先端アーム部80に取り付けられ、超音波プローブ12を支持する第2リンク機構50と、(d) その第2リンク機構50に設けられて第2可動リンク50bに負荷される荷重に抗する方向成分の推力を発生させる第2コイルスプリング51とを、含んで構成されることから、その超音波プローブ12は三次元空間のいずれの位置へも容易に移動することができる。また、第2コイルスプリング51によって第2可動リンク50bに負荷される荷重を相殺する方向の推力がその第2可動リンク50bに付与されるので、上記第2可動リンク50bに取り付けられた超音波プローブ12は、その荷重が大幅に軽減されるので、生体14に対して軽く接触させた状態で保持される。したがって、超音波プローブ12を生体14に対して軽く接触させた状態で保持することができ、しかも検出部位を探すために超音波プローブ12を被検出体上において容易に移動させることができるセンサ保持装置96が得られる。
【0042】
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はその他の態様においても適用され得る。
【0043】
たとえば、前述の図1の実施例において、第1コイルスプリング49および第2コイルスプリングは、合成ゴム等の弾性体であってもよいし、空気室が負圧とされた空気シリンダ等であっても差し支えない。
【0044】
また、前述の図1の実施例において、超音波プローブ12は自在継手52を介して第2リンク機構50の第2可動リンク50bに設けられていたが、その自在継手52は必ずしも設けられていなくてもよい。
【0045】
また、前述の実施例において、自在継手52の回曲を常時固定するためのストッパ装置56が設けられていたが、自在継手52が一定の回曲抵抗を以て回曲させられる場合は必ずしも設けられていなくてもよい。
【0046】
また、前述の図3のセンサ保持装置70において、伸縮アーム84は基端アーム部82の長手方向に沿って移動させられる先端アーム部80を備えた2段構成であったが、3段構成であってもよい。
【0047】
また、前述の図3の実施例において、伸縮アーム84が上下方向移動部材76に対して回動軸心Cまわりに回動可能に設けられていたが、伸縮アーム84が上下方向移動部材76に固定され、その上下方向移動部材76が回動軸心Cまわりに回動可能に設けられていてもよい。
【0048】
また、前述の図1或いは図3の実施例において、生体14の皮膚18に超音波プローブ12が軽く接触するように当てられていたが、生体14内の被検出体たとえば臓器であってよい。
【0049】
また、前述の実施例の基台42、74、98は、その高さ形状等において種々の変形が加えられ得る。
【0050】
なお、上述したのは、あくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の一実施例のセンサ保持装置を含む血管画像測定装置を説明する図である。
【図2】図1の実施例において、センサ保持装置の先端部の構成を拡大して説明する図である。
【図3】本発明の他の実施例のセンサ保持装置を含む血管画像測定装置を説明する図であって、図1に相当する図である。
【図4】本発明の他の実施例のセンサ保持装置を含む血管画像測定装置を説明する図であって、図1に相当する図である。
【符号の説明】
【0052】
10、70、96:センサ保持装置
12:超音波プローブ(センサ)
14:生体(被検出体)
18:皮膚
20:血管
48:第1リンク機構
48a:第1固定リンク
48b:第1可動リンク
48c、48d:第1回動リンク
49:第1コイルスプリング(第1付勢装置)
50:第2リンク機構
50a:第2固定リンク
50b:第2可動リンク
50c、50d:第2回動リンク
51:第2コイルスプリング(第2付勢装置)
52:自在継手
54:操作レバー(操作体)
56:ストッパ装置
74:基台
76:上下方向移動部材
78:荷重平行装置
84:伸縮アーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
三次元空間内の所定の位置においてセンサを被検出体に軽く接触させる状態で保持するためのセンサ保持装置であって、
基台と、
該基台に対して垂直な回動軸心まわりに回動可能に設けられた回動部材と、
1対の第1固定リンクおよび第1可動リンクと、4辺形を構成するように該1対の第1固定リンクおよび第1可動リンクの両端部にそれぞれ回動可能に連結された1対の第1回動リンクとを備え、該第1可動リンクが前記回動軸心を含む面内で移動するように該第1固定リンクが前記回動部材に固定された第1リンク機構と、
1対の第2回動リンクと、4辺形を構成するように該第2回動リンクの両端部にそれぞれ回動可能に連結された1対の第2固定リンクおよび第2可動リンクとを備え、該第2可動リンクが前記回動軸心を含む面内で移動するように該第2固定リンクが前記第1可動リンクに固定され、前記センサを該第2可動リンクにより支持する第2リンク機構と、
前記第1リンク機構に設けられ、前記第1可動リンクに負荷される荷重に抗する方向成分の推力を発生させる第1付勢装置と、
前記第2リンク機構に設けられ、前記第2可動リンクに負荷される荷重に抗する方向成分の推力を発生させる第2付勢装置と
を、含むことを特徴とするセンサ保持装置。
【請求項2】
三次元空間内の所定の位置においてセンサを被検出体に軽く接触させる状態で保持するためのセンサ保持装置であって、
基台と、
該基台に対して垂直な方向に移動可能に設けられた上下方向移動部材と、
該上下方向移動部材の荷重を相殺する方向の推力を該上下方向移動部材に付与する荷重平衡装置と、
前記センサを支持する先端部と前記基台に対して垂直な回動軸心まわりに回動可能となるように前記上下方向移動部材の先端部に取り付けられた基端部とを備え、長手寸法が可変の伸縮アームと
を、含むことを特徴とするセンサ保持装置。
【請求項3】
三次元空間内の所定の位置においてセンサを被検出体に軽く接触させる状態で保持するためのセンサ保持装置であって、
基台と、
該基台に対して垂直な回動軸心まわりに回動可能に取り付けられた基端アーム部と、該基端アーム部に対して長手方向の相対移動可能に取り付けられた先端アーム部とを備えた長手寸法が可変の伸縮アームと、
1対の回動リンクと、4辺形を構成するように該回動リンクの両端部にそれぞれ回動可能に連結された1対の固定リンクおよび可動リンクとを備え、該可動リンクが前記回動軸心を含む面内で移動するように該固定リンクが前記先端アーム部に取り付けられて前記センサを該可動リンクにより支持するリンク機構と、
該リンク機構に設けられて前記可動リンクに負荷される荷重に抗する方向成分の推力を発生させる付勢装置と
を、含むことを特徴とするセンサ保持装置。
【請求項4】
前記センサは、回曲自在な自在継手を介して前記伸縮アームの先端部に連結されたものである請求項1乃至3のいずれかのセンサ保持装置。
【請求項5】
操作体の非操作によって前記自在継手の回曲を常時固定し、該操作体の操作にしたがって該回曲の固定を解放するストッパ装置を備えたものである請求項4のセンサ保持装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−54448(P2007−54448A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−245169(P2005−245169)
【出願日】平成17年8月26日(2005.8.26)
【出願人】(304008175)株式会社ユネクス (16)
【Fターム(参考)】