説明

センサ取付構造

【課題】車両用灯具のオートレベリング制御の精度を高める技術を提供する。
【解決手段】センサ取付構造100は、傾斜センサ110を搭載して車両の傾斜角度の情報を生成する基板120を収容するケース130と、ケース130を車両300の所定個所に取り付ける取付部材170と、を備える。ケース130は、基板120が傾斜角度の情報を外部に出力するためのコネクタ122をケース外部に臨ませるための開口部を有し、基板120とケース130は、一方に設けられた突起部138,140が他方に設けられた突起受部124,126に、基板面と交わる方向にて嵌合することにより両者の位置決めがされる構造とされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサ取付構造に関し、特に自動車などの車両に傾斜センサを取り付けるためのセンサ取付構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の傾斜角度に応じて車両用前照灯の光軸位置を自動的に調節して照射方向を変化させるオートレベリング制御が知られている。一般にオートレベリング制御では、車両の傾斜角度を検出するための傾斜センサとして車高センサが用いられ、車高センサにより検出される車両のピッチ角度に基づいて前照灯の光軸位置が調節される。これに対し、特許文献1〜4には、傾斜センサとして加速度センサ(重力センサ)やジャイロセンサを用いてオートレベリング制御を実施する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−085459号公報
【特許文献2】特開2004−314856号公報
【特許文献3】特開2001−341578号公報
【特許文献4】特開2009−126268号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両の傾斜センサとして加速度センサ等を用いた場合、車高センサを用いた場合に比べてオートレベリングシステムをより安価にすることができ、また軽量化を図ることもできる。一方で、傾斜センサとして加速度センサ等を用いた場合であっても、車両に対するセンサの取付誤差等に起因する精度低下を抑制して高精度にオートレベリング制御を実施したいという要求はある。
【0005】
本発明はこうした課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、車両に対する傾斜センサの取付位置精度を高めることで車両用灯具のオートレベリング制御の精度を高める技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様はセンサ取付構造である。当該センサ取付構造は、傾斜センサを搭載して車両の傾斜角度の情報を生成する基板を収容するケースと、ケースを車両の所定個所に取り付ける部材と、を備え、ケースは、基板が前記情報を外部に出力するためのコネクタをケース外部に臨ませるための開口部を有し、基板とケースは、一方に設けられた突起部が他方に設けられた突起受部に、基板面と交わる方向にて嵌合することにより両者の位置決めがされる構造とされることを特徴とする。
【0007】
この態様によれば、車両に対する傾斜センサの取付位置精度を高めることができ、その結果、車両用灯具のオートレベリング制御の精度を高めることができる。
【0008】
本発明の他の態様もまたセンサ取付構造である。当該センサ取付構造は、傾斜センサを搭載して車両の傾斜角度の情報を生成する基板を収容するケースを備え、ケースは、基板が前記情報を外部に出力するためのコネクタをケース外部に臨ませる開口部を有するとともに、車両の所定個所に直接固定されることを特徴とする。
【0009】
この態様によっても、車両に対する傾斜センサの取付位置精度を高めることができ、その結果、車両用灯具のオートレベリング制御の精度を高めることができる。
【0010】
上記態様において、基板とケースは、一方に設けられた突起部が他方に設けられた突起受部に、基板面と交わる方向にて嵌合することにより両者の位置決めがされてもよい。この態様によれば、車両に対する傾斜センサの取付位置精度をより高めることができ、車両用灯具のオートレベリング制御の精度をより高めることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、車両に対する傾斜センサの取付位置精度を高めることで車両用灯具のオートレベリング制御の精度を高める技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施形態1に係るセンサ取付構造により車両に取り付けられる傾斜センサの取付位置を説明するための模式図である。
【図2】前照灯ユニットの概略鉛直断面図である。
【図3】図3(A)は、実施形態1に係るセンサ取付構造の概略分解斜視図である。図3(B)は、ケースの本体部の概略平面図である。
【図4】図4(A)は、基板の収容状態を示す概略平面図である。図4(B)は、実施形態1に係るセンサ取付構造の概略組立完成図である。図4(C)は、変形例に係るセンサ取付構造における基板の収容状態を示す概略平面図である。
【図5】参考例に係るセンサ取付構造の概略分解斜視図である。
【図6】実施形態2に係るセンサ取付構造の概略分解斜視図である。
【図7】実施形態3に係るセンサ取付構造の概略分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0014】
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係るセンサ取付構造により車両に取り付けられる傾斜センサの取付位置を説明するための模式図である。傾斜センサは、レベリングECU1に含まれ、このレベリングECU1は、たとえば車両300のダッシュボード付近に設置される。なお、レベリングECU1あるいは傾斜センサの設置位置は特に限定されず、例えば前照灯ユニット210内に設けられてもよい。
【0015】
レベリングECU1は、たとえば車両300に搭載されたライトスイッチ等からオートレベリング制御の実施を指示する信号を受信すると、オートレベリング制御を開始する。オートレベリング制御において、レベリングECU1は、傾斜センサの出力値から車両のピッチ方向の傾斜角度の変化を導出する。そして、レベリングECU1は、後述するレベリングアクチュエータを制御して、前照灯ユニット210に搭載された灯具ユニットの光軸のピッチ角度を車両姿勢に応じた角度とする。このように、車両姿勢に基づき灯具ユニットのレベリング調整をリアルタイムで行うオートレベリング制御を実施することで、車両姿勢が変化しても前方照射の到達距離を最適に調節することができる。
【0016】
図2は、前照灯ユニットの概略鉛直断面図である。前照灯ユニット210は、左右対称に形成された一対の前照灯ユニットが車両の車幅方向の左右に1つずつ配置された構造である。左右に配置された前照灯ユニットは左右対称の構造を有する点以外は実質的に同一の構成であるため、以下では、右側の前照灯ユニット210Rの構造を説明し、左側の前照灯ユニット210Lの説明は適宜省略する。
【0017】
前照灯ユニット210Rは、車両前方側に開口部を有するランプボディ212と、この開口部を覆う透光カバー214とを有する。ランプボディ212は、その車両後方側に取り外し可能な着脱カバー212aを有する。ランプボディ212と透光カバー214とによって灯室216が形成されている。灯室216には、光を車両前方に照射する灯具ユニット10が収納されている。
【0018】
灯具ユニット10には、灯具ユニット10の上下左右方向の揺動中心となるピボット機構218aを有するランプブラケット218が形成されている。ランプブラケット218は、ランプボディ212に支持されたエイミング調整ネジ220と螺合している。灯具ユニット10の下面には、スイブルアクチュエータ222の回転軸222aが固定されている。スイブルアクチュエータ222は、ユニットブラケット224に固定されている。ユニットブラケット224には、ランプボディ212の外部に配置されたレベリングアクチュエータ226が接続されている。レベリングアクチュエータ226は、例えばロッド226aを矢印M,N方向に伸縮させるモータなどで構成されている。
【0019】
灯具ユニット10は、ロッド226aが矢印M方向に伸長した場合、ピボット機構218aを中心として後傾姿勢となり、ロッド226aが矢印N方向に短縮した場合、ピボット機構218aを中心として前傾姿勢となる。灯具ユニット10の前傾、後傾により、光軸Oのピッチ角度を下方、上方に向けるレベリング調整ができる。また、レベリングアクチュエータ226のロッド226aとユニットブラケット224の接続部分にはエイミングピボット機構(図示せず)が配置されている。エイミング調整ネジ220を回転させることで、灯具ユニット10をエイミングピボット機構を中心に上下左右に旋回させ、光軸Oを上下左右にエイミング調整することができる。
【0020】
灯具ユニット10は、回転シェード12を含むシェード機構18、光源としてのバルブ14、リフレクタ16を内壁に支持する灯具ハウジング17、および投影レンズ20を備える。バルブ14は、例えば、白熱球やハロゲンランプ、放電球、LEDなどが使用可能である。リフレクタ16は、その少なくとも一部が楕円球面状であり、バルブ14から放射された光を反射する。バルブ14からの光およびリフレクタ16で反射した光は、その一部が回転シェード12を経て投影レンズ20へと導かれる。回転シェード12は、回転軸12aを中心に回転可能な円筒部材であり、切欠部と複数のシェードプレート(図示せず)とを備える。切欠部またはシェードプレートのいずれかが光軸O上に移動されて、所定の配光パターンが形成される。投影レンズ20は、前方側表面が凸面で後方側表面が平面の平凸非球面レンズからなり、後方焦点面上に形成される光源像を反転像として灯具前方の仮想鉛直スクリーン上に投影する。なお、灯具ユニット10の構成は特にこれに限定されず、投影レンズ20を持たない反射型の灯具ユニットなどであってもよい。
【0021】
続いて、本実施形態に係るセンサ取付構造について詳細に説明する。図3(A)は、実施形態1に係るセンサ取付構造の概略分解斜視図である。図3(B)は、ケースの本体部の概略平面図である。図4(A)は、基板の収容状態を示す概略平面図である。図4(B)は、実施形態1に係るセンサ取付構造の概略組立完成図である。図4(C)は、変形例に係るセンサ取付構造における基板の収容状態を示す概略平面図である。
【0022】
図3(A)および図3(B)に示すように、本実施形態に係るセンサ取付構造100は、傾斜センサ110が搭載される基板120を収容するケース130と、ケース130を車両300の所定個所に取り付けるための、ブラケット等の取付部材170とを備える。基板120は、傾斜センサ110と、CPU、メモリ等の素子や回路とを実装して、車両300の傾斜角度の情報を生成する。したがって、基板120は、レベリングECU1を構成している。傾斜センサ110としては、加速度センサ(重力センサ)、ジャイロセンサ(角速度センサ、角加速度センサ)、地磁気センサ等を挙げることができる。また、基板120には、生成した情報を外部に出力するためのコネクタ122が搭載されている。さらに、基板120の所定位置には、ケース130に設けられた後述する突起部が嵌合する突起受部124,126が形成されている。
【0023】
本実施形態では、基板120は平面視で四角形であり、基板120の4角のうち隣り合う2角に突起受部124,126が設けられている。また、突起受部124,126が設けられた2角を結ぶ辺側にコネクタ122が設けられている。突起受部124は丸穴であり、突起受部126は突起受部124側に向けて延在する長穴である。突起受部124,126は、たとえばルーター加工により形成される。
【0024】
ケース130は、容器状の本体部132と、本体部132の開口132aを塞ぐ蓋部134とを有する。ケース130は、扁平な直方体形状であり、本体部132の底部がケース130の一方の主表面を構成し、蓋部134がケース130の他方の主表面を構成する。基板120は、開口132aから本体部132内に収容される。本体部132の底部の内側面は、収容された基板120の一方の主表面と対向する。
【0025】
底部内側面の所定位置には、基板120の主表面に当接する台座136が設けられている。本実施形態では、底部内側面の4角に1つずつ台座136が設けられている。また、2つの台座136には、基板120に設けられた突起受部124,126に嵌合する突起部138,140が設けられている。突起部138,140は、本体部132の底部内側面と交わる方向に突出するピンである。
【0026】
本体部132の4つの側壁のうち対向する2つの側壁には、矩形状の開口部を有するランス係合用のフック142が形成されている。また、フック142が形成された側壁と交わる一側壁には、コネクタ122の形状に合わせた切欠部144が形成されている。本体部132は、その底部の外側面に、取付部材170の後述するスライドレールが嵌合するレールガイド146を有する。
【0027】
蓋部134は、4つの側壁のうち対向する2つの側壁に、ランス係合用の矩形状凸部148を有する。また、矩形状凸部148が設けられた2つの側壁と交わる一側壁には、切欠部144に嵌合する凸部150が設けられている。
【0028】
取付部材170は、略平板形状の部材であり、一方の端部側にスライドレール172が設けられている。取付部材170の他方の端部側は、スライドレール172が設けられた面に対して略直角に屈折しており、所定位置に貫通孔174が設けられている。
【0029】
本実施形態に係るセンサ取付構造100において、基板120とケース130は、ケース130に設けられた突起部138,140が基板120に設けられた突起受部124,126に、基板面(基板120の主表面)と交わる方向にて嵌合することにより両者の位置決めがされる構造とされている。具体的には、図4(A)に示すように、基板120が開口132aを介して本体部132内に挿入されると、突起部138が丸穴形状の突起受部124に、基板面と交わる方向で挿通される。これにより、ケース130に対する基板120の前後左右方向(基板面と平行な方向)の位置決めがされる。また、同時に突起部140が長穴形状の突起受部126に、基板面と交わる方向で挿通される。これにより、基板120とケース130の突起部138を回転中心とした相対的な回転が規制される。突起受部126を長穴形状とすることで、突起部138と突起部140の間隔の設計値からのずれを許容することができる。突起部138,140は、基板120の主表面が台座136の座面に当接するまで、突起受部124,126に挿入される。また、コネクタ122は、本体部132の切欠部144に嵌め合わされる。
【0030】
基板120が本体部132に収容された後、図4(B)に示すように、開口132aに蓋部134が嵌め合わされる。本体部132と蓋部134とは、フック142と矩形状凸部148とのランス係合により固定される。また、切欠部144に凸部150が嵌め合わされる。凸部150の下端は、コネクタ122の上面に当接する。切欠部144と凸部150とにより、コネクタ122をケース外部に臨ませるための開口部151が形成されている。コネクタ122は、開口部151からケース外部に露出する。コネクタ122には、基板120と外部機器とを接続するためのハーネス(図示せず)を接続することができる。なお、ケース130は、コネクタ122に外部から嵌合するハーネスを通す構造とされていてもよい。
【0031】
基板120は、突起受部124に突起部138が嵌合することで、基板120の挿通方向(上下方向)の変位が規制されてもよい。あるいは、蓋部134側にも台座を設け、蓋部134を本体部132に嵌め合わせた状態で、本体部132側の台座136と蓋部134側の台座とで基板120を挟み込むことで、基板120の上下方向の変位を規制するようにしてもよい。
【0032】
ケース130は、スライドレール172とレールガイド146とを嵌合させることで、取付部材170に固定される。取付部材170は、貫通孔174と車両300側の連結孔302とが重なるように位置合わせされて、貫通孔174および連結孔302にねじ等の連結具180が螺合されることで、車両300に対して固定される。
【0033】
ここで、参考例に係るセンサ取付構造について説明する。図5は、参考例に係るセンサ取付構造の概略分解斜視図である。図5に示すように、参考例に係るセンサ取付構造500は、基板520を収容するケース530と、ケース530を車両300に取り付けるための取付部材570とを備える。
【0034】
基板520は、突起受部124,126を有しないことを除き、実施形態1に係るセンサ取付構造100の基板120と同様の構造である。ケース530は、容器状の本体部532と、本体部532の開口532aを塞ぐ蓋部534とを有する。ケース530は、扁平な直方体形状であり、本体部532は、ケース530の側壁に対応する面に開口532aを有し、蓋部534がケース530の側壁を構成している。
【0035】
本体部532は、開口532aが設けられた面と交わる方向に延在し、互いに対向する2つの側壁の内側面に、ケース530の主表面と平行に延びる基板ガイド552を有する。また、基板ガイド552が設けられた2つの側壁には、開口532a側にランス係合用のフック542が設けられている。本体部532の外側面には、取付部材570のスライドレール572が嵌合するレールガイド546が設けられている。蓋部534は、本体部532のフック542が設けられた側壁に対応する側壁に、ランス係合用の矩形状凸部548を有する。また、蓋部534は、コネクタ522が挿通される開口部551を有する。
【0036】
基板520は、コネクタ522が設けられた側と反対側の端部から開口532aを介して本体部532の内部に挿入され、基板ガイド552に沿って差し込まれる。基板520とケース530は、基板520の対向する2辺の縁部が基板ガイド552に、基板面と平行な方向にて嵌合することにより両者の位置決めがされる。基板520が本体部532に収容された後、開口532aに蓋部534が嵌め合わされる。本体部532と蓋部534とは、フック542と矩形状凸部548のランス係合により固定される。また、開口部551にコネクタ522が嵌め合わされる。
【0037】
ケース530は、スライドレール572とレールガイド546とを嵌合させることで、取付部材570に固定される。取付部材570は、貫通孔574と車両300側の連結孔302とが重なるように位置合わせされて、貫通孔574および連結孔302にねじ等の連結具580が螺合されることで、車両300に対して固定される。
【0038】
参考例に係るセンサ取付構造500では、基板520の縁部が基板ガイド552で把持されることで、ケース530と基板520の位置決めがされている。すなわち、センサ取付構造500は、線で基板520を支持している。これに対し、本実施形態に係るセンサ取付構造100では、基板120の突起受部124,126に突起部138,140が嵌合することで、ケース130と基板120の位置決めがされている。すなわち、センサ取付構造100は、点で基板120を支持している。したがって、突起部138と突起受部124との間の寸法精度は、基板520と基板ガイド552との間の寸法精度に比べて、高い精度が得られやすい。そのため、本実施形態のセンサ取付構造100によれば、参考例のセンサ取付構造500に比べて、車両300の振動等による基板120の位置ずれの発生(がたつき)を抑制することができる。
【0039】
なお、本実施形態では、ケース130に突起部138,140が設けられ、基板120に突起受部124,126が設けられているが、ケース130に突起受部124,126が設けられ、基板120に突起部138,140が設けられてもよい。
【0040】
以上説明したように、本実施形態に係るセンサ取付構造100では、基板120とケース130は、一方に設けられた突起部138,140が他方に設けられた突起受部124,126に、基板面と交わる方向にて嵌合することにより両者の位置決めがされる構造とされている。これにより、傾斜センサ110を車両300に対して高精度に位置決めすることができるため、車両用灯具のオートレベリング制御の精度を高めることができる。
【0041】
実施形態1に係るセンサ取付構造100には、図4(C)に示す変形を加えることができる。図4(C)に示すように、変形例に係るセンサ取付構造100では、ケース130に設けられた突起部140が、ケース130の側壁から底部内側面に平行な方向に突出する凸部であり、基板120に設けられた突起受部126が、基板120の周縁部の一部が切り欠かれた凹部である。基板120とケース130は、ピン形状の突起部138が丸穴形状の突起受部124に、基板面と交わる方向で挿通される。これにより、ケース130に対する基板120の前後左右方向(基板面と平行な方向)の位置決めがされる。また、同時に凸状の突起部140が凹状の突起受部126に、基板面と交わる方向で嵌合される。これにより、基板120とケース130の突起部138を回転中心とした相対的な回転が規制される。突起受部126の切り欠き深さを突起部140の突出長さよりも深くすることで、突起部138と突起部140の間隔の設計値からのずれを許容することができる。
【0042】
(実施形態2)
実施形態2に係るセンサ取付構造は、ケースが取付部材を介さずに直接車両に固定される構造を有する。以下、本実施形態について説明する。なお、実施形態1と同様の構成については同一の符号を付し、その説明および図示は適宜省略する。
【0043】
図6は、実施形態2に係るセンサ取付構造の概略分解斜視図である。図6に示すように、本実施形態に係るセンサ取付構造100は、傾斜センサ110が搭載される基板120を収容するケース130を備える。ケース130は、容器状の本体部132と、本体部132の開口132aを塞ぐ蓋部134とを有する。ケース130は、扁平な直方体形状であり、本体部132は、容器状でありケース130の側壁に対応する面に開口132aを有し、蓋部134がケース130の側壁を構成している。
【0044】
本体部132は、開口132aが設けられた面と交わる方向に延在し、互いに対向する2つの側壁の内側面に、ケース130の主表面と平行に延びる基板ガイド152を有する。また、基板ガイド152が設けられた2つの側壁には、開口132a側にランス係合用のフック142が設けられている。本体部132は、基板ガイド152が設けられた2つの側壁の外側面に、それぞれ側壁から突出する固定用翼部154を有する。固定用翼部154には、貫通孔154aが形成されている。
【0045】
蓋部134は、本体部132のフック142が設けられた側壁に対応する側壁に、ランス係合用の矩形状凸部148を有する。また、蓋部134は、コネクタ122をケース外部に臨ませる開口部151を有する。
【0046】
本実施形態に係るセンサ取付構造100において、ケース130は、車両300の所定個所に直接固定される。具体的には、基板120は、コネクタ122が設けられた側と反対側の端部から開口132aを介して本体部532の内部に挿入され、基板ガイド152に沿って差し込まれる。基板120とケース130は、対向する2辺の縁部が基板ガイド152に、基板面と平行な方向にて嵌合することにより両者の位置決めがされる。基板120が本体部132に収容された後、開口132aに蓋部134が嵌め合わされる。本体部132と蓋部134とは、フック142と矩形状凸部148のランス係合により固定される。また、開口部151にコネクタ122が嵌め合わされる。
【0047】
ケース130は、固定用翼部154の貫通孔154aと車両300側の連結孔302とが重なるように位置合わせされて、貫通孔154aおよび連結孔302にねじ等の連結具180が螺合されることで、車両300に対して固定される。
【0048】
上述した参考例では、傾斜センサ110は、基板520、ケース530および取付部材570を介して車両300に固定されている。したがって、車両300に対する傾斜センサ110の位置精度には、基板520に対する傾斜センサ110の取付公差、ケース530に対する基板520の取付公差、取付部材570に対するケース530の取付公差、および車両300に対する取付部材570の取付公差が影響する。これに対し、本実施形態に係るセンサ取付構造100では、ケース130を車両300に直接固定している。すなわち、ケース130に取付部材の機能を持たせ、取付部材を省略している。これにより、傾斜センサ110の位置精度を低下させ得る取付公差を減らすことができるため、基板120を車両300に対して高精度に位置決めすることができる。
【0049】
以上説明したように、本実施形態に係るセンサ取付構造100では、ケース130は、コネクタ122をケース外部に臨ませる開口部151を有するとともに、車両300の所定個所に直接固定される。そのため、傾斜センサ110を車両300に対して高精度に位置決めすることができ、ひいては車両用灯具のオートレベリング制御の精度を高めることができる。
【0050】
(実施形態3)
実施形態3に係るセンサ取付構造は、突起部が突起受部に嵌合することで基板とケースの位置決めがされるとともに、ケースが取付部材を介さずに直接車両に固定される構造を有する。以下、本実施形態について説明する。なお、実施形態1または2と同様の構成については同一の符号を付し、その説明および図示は適宜省略する。
【0051】
図7は、実施形態3に係るセンサ取付構造の概略分解斜視図である。図6に示すように、本実施形態に係るセンサ取付構造100は、傾斜センサ110が搭載される基板120を収容するケース130を備える。基板120は、平面視で四角形であり、基板120の4角のうち対角線上に位置する2角に突起受部124,126が設けられている。突起受部124,126は、丸穴である。また、残りの2角には、貫通孔127が設けられている。
【0052】
ケース130は、略平板形状で平面視四角形の本体部132と、本体部132を覆う蓋部134とを有する。本体部132の所定位置には、基板120の主表面に当接する台座136が設けられている。本実施形態では、本体部132の4角に1つずつ台座136が設けられている。また、対角線上に位置する2つの台座136には、基板120に設けられた突起受部124,126に嵌合する突起部138,140が設けられている。突起部138,140は、本体部132の延在方向と交わる方向に突出するピンである。残りの2つの台座136には、貫通孔156が設けられている。
【0053】
本体部132の4辺のうち対向する2辺には、矩形状の開口部を有するランス係合用のフック142が設けられている。本実施形態では、各辺に2つのフック142が設けられている。また、残りの対向する2辺には、固定用翼部154が設けられている。固定用翼部154には、貫通孔154aが形成されている。本実施形態では、1枚の金属板のプレス加工等により、台座136、フック142および固定用翼部154が一体となった本体部132が形成されている。
【0054】
蓋部134は、4つの側壁のうち対向する2つの側壁に、ランス係合用の矩形状凸部148を有する。また、蓋部134は、コネクタ122をケース外部に臨ませる開口部151を有する。
【0055】
本実施形態に係るセンサ取付構造100において、基板120とケース130は、ケース130に設けられた突起部138,140が基板120に設けられた突起受部124,126に、基板面と交わる方向にて嵌合することにより両者の位置決めがされる構造とされている。また、本実施形態に係るセンサ取付構造100において、ケース130は、車両300の所定個所に直接固定される。
【0056】
具体的には、基板面と交わる方向から見て突起受部124,126と突起部138,140とが重なるように、基板120とケース130とが位置合わせされる。そして、突起部138,140が丸穴形状の突起受部124,126に、基板面と交わる方向で挿通される。これにより、ケース130に対する基板120の位置決めがされる。突起部138,140は、基板120の主表面が台座136の座面に当接するまで、突起受部124,126に挿入される。また、突起受部124,126に突起部138,140が挿通された状態で、基板120の貫通孔127と本体部132の貫通孔156とが重なる。重なった貫通孔127,156に、ねじ等の連結具181が螺合され、基板120が本体部132に対して固定される。
【0057】
基板120が本体部132に固定された後、本体部132に蓋部134が嵌め合わされる。本体部132と蓋部134とは、フック142と矩形状凸部148とのランス係合により固定される。また、コネクタ122が蓋部134の開口部151に嵌め合わされる。
【0058】
ケース130は、固定用翼部154の貫通孔154aと車両300側の連結孔302とが重なるように位置合わせされて、貫通孔154aおよび連結孔302にねじ等の連結具180が螺合されることで、車両300に対して固定される。
【0059】
本実施形態に係るセンサ取付構造100では点で基板120を支持しているため、上述した参考例に係るセンサ取付構造500に比べて、基板120の位置ずれ(がたつき)を抑制することができる。また、本実施形態のセンサ取付構造100によれば、傾斜センサ110の位置精度を低下させ得る取付公差を減らすことができる。そのため、傾斜センサ110を車両300に対して高精度に位置決めすることができる。
【0060】
以上説明したように、本実施形態に係るセンサ取付構造100では、基板120とケース130は、一方に設けられた突起部138,140が他方に設けられた突起受部124,126に、基板面と交わる方向にて嵌合することにより両者の位置決めがされる構造とされている。また、ケース130は、車両300の所定個所に直接固定される。これにより、傾斜センサ110を車両300に対してより高精度に位置決めすることができるため、車両用灯具のオートレベリング制御の精度をより高めることができる。
【0061】
本発明は、上述の各実施形態に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて各種の設計変更などの変形を加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施形態も本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0062】
100 センサ取付構造、 110 傾斜センサ、 120 基板、 122 コネクタ、 124,126 突起受部、 130 ケース、 132 本体部、 134 蓋部、 138,140 突起部、 151 開口部、 154 固定用翼部、 300 車両。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
傾斜センサを搭載して車両の傾斜角度の情報を生成する基板を収容するケースと、
前記ケースを車両の所定個所に取り付ける部材と、を備え、
前記ケースは、基板が前記情報を外部に出力するためのコネクタをケース外部に臨ませるための開口部を有し、
基板と前記ケースは、一方に設けられた突起部が他方に設けられた突起受部に、基板面と交わる方向にて嵌合することにより両者の位置決めがされる構造とされることを特徴とするセンサ取付構造。
【請求項2】
傾斜センサを搭載して車両の傾斜角度の情報を生成する基板を収容するケースを備え、
前記ケースは、基板が前記情報を外部に出力するためのコネクタをケース外部に臨ませる開口部を有するとともに、車両の所定個所に直接固定されることを特徴とするセンサ取付構造。
【請求項3】
基板と前記ケースは、一方に設けられた突起部が他方に設けられた突起受部に、基板面と交わる方向にて嵌合することにより両者の位置決めがされる構造とされる請求項2に記載のセンサ取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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