センサ情報補完システムおよびセンサ情報補完方法
【課題】複数のセンサを有するシステムにおいて、利用不可能なセンサに関するセンサ情報を短時間に推測する。
【解決手段】複数のセンサから定期的にセンサ情報を取得して蓄積し、各センサについて、センサ情報に関連のある他のセンサを抽出する。アプリケーションプログラムなどからセンサ情報が要求されたときに、そのセンサが利用可能であれば直接センサ情報を取得するが、利用不可能であればそのセンサと関連するセンサのセンサ情報を取得して要求されたセンサ情報を推定する。
【解決手段】複数のセンサから定期的にセンサ情報を取得して蓄積し、各センサについて、センサ情報に関連のある他のセンサを抽出する。アプリケーションプログラムなどからセンサ情報が要求されたときに、そのセンサが利用可能であれば直接センサ情報を取得するが、利用不可能であればそのセンサと関連するセンサのセンサ情報を取得して要求されたセンサ情報を推定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のセンサを有するシステムにおいて、特定のセンサが利用できない場合に他のセンサ情報を用いてそのセンサ情報を推測するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
車両システムには数多くのセンサが用いられており、センサから得られる情報に基づいて種々の処理を行っている。このようなシステムにおいて、一部のセンサが利用できない場合に、利用可能なセンサデータに基づいて欠損データを推測することが行われている。たとえば特許文献1では、蓄積されているデータの中から欠損データに類似するデータを、マンハッタン距離関数を利用して推測している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−215646号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、多くのセンサから構成されるシステムにおいては、補完に必要なセンサデータが多くなり、リアルタイムなセンサデータの収集とデータ推測に相当な時間を要する。したがって、即時応答性が求められるシステムにおいては、上記のような手法による欠損データの補完は適さない。
【0005】
本発明は、複数のセンサを有するシステムにおいて、利用不可能なセンサに関するセンサデータを、短時間に推測可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のセンサ情報補完システムは、複数のセンサとセンサ制御手段と蓄積手段と関連センサ抽出手段とセンサ情報推定手段とセンサ情報取得手段とを備える。センサ制御手段は、複数のセンサからセンサ情報(センサデータ)を取得する機能を有する。蓄積手段には、複数のセンサから定期的に取得されるセンサ情報が蓄積される。関連センサ抽出手段は、蓄積手段に蓄積されたセンサ情報に基づいて、センサ情報に相関があるセンサを抽出する。関連センサ抽出手段は、複数のセンサそれぞれについて、相関のある他のセンサを特定することが好ましい。センサ情報推定手段は、特定のセンサについて、このセンサと相関のある他のセンサのセンサ情報を取得して、この特定のセンサのセンサ情報を推定する機能を有する。センサ情報取得手段は、あるセンサについてセンサ情報の取得が要求されたときに、このセンサが利用可能であればこのセンサからセンサ情報を取得し、このセンサが利用不可能であれば、センサ情報推定手段からこのセンサについて推定されたセンサ情報を取得する。
【0007】
このように本発明のセンサ情報補完システムでは、各センサについて関連性のある他のセンサを抽出し、関連性のあるセンサのセンサ情報に基づいて推定を行うため、推定に必要なデータ量を削減することが出来る。結果的に、推定に必要な時間を短縮できる。また、関連性のないセンサ情報を推定に用いないため精度の良い推定が行えるという利点もある。
【0008】
本発明のセンサ情報補完システムは、1つのノード(ECU(Electronic Control Unit)、コンピュータ)に実装されても良いが、複数のノードから構成されるシステムとし
て実装することもできる。本発明のセンサ情報補完システムを複数のノードに実装する場合の一態様として、それぞれが、少なくとも1つのセンサ、センサ制御手段、蓄積手段、関連センサ抽出手段、センサ情報推定手段、センサ情報取得手段、他ノード連携手段を有する複数のノードからシステムを構成することが考えられる。他ノード連携手段は、他のノードが有するセンサ情報を取得したり、他のノードに対して自ノードのセンサ情報を通知したりする機能部である。各ノードは、自ノードが有するセンサから定期的にセンサ情報を取得し、取得したセンサ情報を他ノード連携手段を介して他のノードへ通知する。こうすることで、各ノードは、自ノードが有するセンサおよび他ノードが有するセンサの全てについて、定期的にセンサ情報を取得して、蓄積手段に蓄積することができる。このようにして関連センサ抽出手段は、あるセンサと関連性のある他のセンサを蓄積されたセンサ情報に基づいて抽出することができる。なお、各ノードの関連センサ抽出手段は、全てのセンサについて関連性のある他のセンサを抽出する必要はなく、自ノードが有するセンサについてのみ関連性のある他のセンサを抽出すれば十分である。センサ情報推定手段は、特定のセンサについてセンサ情報を推定する際に、このセンサと相関のある他のセンサが他ノードの有するセンサである場合には、他ノード連携手段を介してセンサ情報を取得して推定を行うことが好ましい。
【0009】
また、本発明の別の態様として、関連性のあるセンサの抽出と、センサ情報の推定を専用のノードで集中的に行うことも考えられる。すなわち、本発明のセンサ情報補完システムを、少なくとも1つのセンサ、センサ制御手段、センサ情報取得手段、他ノード連携手段を有する複数のノードと、蓄積手段、関連センサ抽出手段、センサ情報推定手段、他ノード連携手段を有する管理ノードとから構成することが考えられる。ここで、センサ制御手段は、自ノードのセンサ情報を取得するとともに、他ノードおよび管理ノードとの間でセンサ情報を送受信する他ノード連携部を含むことが好ましい。複数のノードのそれぞれは定期的に自ノードのセンサ情報を取得して、他ノード連携部を介して管理ノードへ通知する。こうすることで、管理ノードの蓄積手段には、定期的に取得されるセンサ情報が蓄積されることになる。管理ノードは、関連センサ抽出手段によって関連性のあるセンサを抽出するとともに、特定のセンサのセンサ情報を推定する際には、このセンサと関連のあるセンサを有するノードからセンサ情報を取得して推定を行うことが好ましい。
【0010】
なお、本発明のセンサ情報補完システムを複数のノードから構成する場合には、各ノードにおける処理機能の分担は上記以外にも種々考えられる。当業者であれば、本発明の思想から逸脱しない範囲内で種々の変形を容易に行えるであろう。
【0011】
また、本発明の関連センサ抽出手段は、あるセンサと関連する他のセンサを以下のように抽出することができる。まず、対象のセンサについて蓄積されたセンサ情報に基づいて、第1の開始時刻と第1の終了時刻を、その期間内で当該対象のセンサのセンサ情報が単調増加または単調減少となるように決定する。そして、対象のセンサのセンサ情報が、第1の開始時刻での値と同じ値をとる時刻を第2開始時刻候補として、また、第1の終了時刻での値と同じ値をとる時刻を第2終了時刻候補として決定する。そして、第2開始時刻候補と第2終了時刻候補の中から、第1開始時刻と第1終了時刻の間の時間差と同じ時間差をとる第2開始時刻と第2終了時刻を決定する(第2終了時刻−第2開始時刻=第1終了時刻−第1開始時刻)。第2開始時刻と第2終了時刻は、複数の組み合わせを選択しても、1組だけ選択してもかまわない。次に、対象センサ以外のセンサについて、第1開始時刻と第2開始時刻におけるセンサ情報の値が等しく、第1終了時刻と第2終了時刻におけるセンサ情報の値が等しければ、このセンサを対象のセンサとが相関のあるセンサであると判断することができる。さらに、第2開始時刻、第2終了時刻の決定に際して、この期間内のセンサ情報波形が、第1開始時刻と第1終了時刻の間の波形と同じであるという条件も採用することにより精度が上げられる。
【0012】
このようにすれば、比較的簡単な処理で関連性あるセンサを判断できるので、処理負荷を軽減することができる。なお、関連性のあるセンサの抽出方法は上記に限られず、相関係数による手法などその他の種々の手法を採用することができる。
【0013】
本発明は、上記手段の少なくとも一部を含むセンサ情報補完システムとして捉えることができる。また、これらの処理を行うセンサ情報補完方法、さらには、これらの方法をコンピュータにおいて実現するためのプログラムとして捉えることもできる。上記手段および処理の各々は可能な限り互いに組み合わせて本発明を構成することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、複数のセンサを有するシステムにおいて、利用不可能なセンサに関するセンサ情報を短時間に推測できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本実施形態にかかるデータ補完システムの概要を示す図。
【図2】各ノードの機能ブロックを示す図。
【図3】定期的に実行されるセンサ情報収集処理のフローチャート。
【図4】関連のあるセンサを抽出する関連センサ抽出処理のフローチャート。
【図5】センサ情報蓄積部に蓄積されているセンサ情報を模式的に示す図。
【図6】関連するセンサを抽出する具体的な処理のフローチャート。
【図7A】センサ情報が要求された際に行う処理のフローチャート。
【図7B】センサ情報が要求された際に行う処理のフローチャート。
【図8】他ノードからセンサ情報を要求された際の処理のフローチャート。
【図9】変形例にかかるデータ補完システムの概要を示す図。
【図10】変形例に係る一般ノードおよび管理ノードの機能ブロックを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1の実施形態)
[システム概要]
本実施形態にかかるデータ補完システム(センサ情報補完システム)の概要を図1,図2を参照して説明する。図1に示すように本システムは、互いにネットワークに接続された、複数のノード(ECU:Electronic Control Unit)から構成される。各ノードは、
センサに接続されており、センサからセンサ情報を取得可能である。なお、各ノードは自ノードに接続された情報を利用するだけでなく、他ノードに接続されたセンサ情報も取得して処理に利用する。
【0017】
図2は、各ノードの機能ブロックを示す図である。各ノードは、センサ情報取得部1、センサ情報推定部2、関連センサ抽出部3、センサ情報蓄積部4、センサ制御部5、他ノード連携部6を、その機能部として有する。これらの機能部は、補助記憶装置(各種ROMやHDD、SSDなど)に記憶されたプログラムを、プロセッサ(CPU、MPU)が実行することにより実現される。
【0018】
センサ制御部5は、自ノードに接続されたセンサから現在のセンサ情報を取得したり、センサに対して指示を出したりする機能部である。センサ制御部5は、定期的にセンサ情報を取得して、センサ情報蓄積部4に蓄積すると共に他ノード連携部6を介して取得したセンサ情報を他ノードに通知する。また、センサ制御部5は、センサ情報取得部1からの要求に応じて、適宜のタイミングでセンサ情報を取得する。
【0019】
他ノード連携部6は、他ノードとの間でセンサ情報などのやりとりを行う。具体的には、他ノードに対して自ノードに接続されたセンサのセンサ情報を通知したり、他ノードに
接続されたセンサのセンサ情報を要求したりする。また、他ノードから自ノードに接続されたセンサのセンサ情報が要求された場合は、他ノード連携部6はセンサ制御部5からそのセンサのセンサ情報を取得して、要求元のノードへ返信する。
【0020】
センサ情報蓄積部4には、自ノードに接続されたセンサおよび他ノードに接続されたセンサのセンサ情報が蓄積される。自ノードに接続されたセンサについてはセンサ制御部5から、また他ノードに接続されたセンサについては他ノード連携部6を介して、定期的にセンサ情報がセンサ情報蓄積部4に通知される。したがって、本システムにおける全てのセンサについて、定期的にセンサ情報が取得されてセンサ情報蓄積部4に格納される。なお、あるセンサについてのセンサ情報が通知されなくなった場合には、センサ情報蓄積部4は、そのセンサが利用不可能であることを把握できる。
【0021】
関連センサ抽出部3は、センサ情報蓄積部4に蓄積されているセンサ情報に基づいて、あるセンサと関連のある他のセンサを抽出する。関連のある他のセンサは、1つだけであってもかまわないし、2つ以上であってもかまわない。関連があるというのは、互いに相関あるということであり、一方のセンサのセンサ情報が取得できない場合であっても、関連のある他のセンサのセンサ情報から、そのセンサのセンサ情報を推定できるということである。関連のあるセンサは、あるセンサが利用できない(そのセンサからセンサ情報を取得できない)場合に、その利用不可能なセンサのセンサ情報を推定するために用いられる。関連のあるセンサを抽出するための具体的な方法の詳細については後述する。
【0022】
センサ情報取得部1は、アプリケーションプログラムや他ノード連携部6からの要求に応じてセンサ情報を取得する機能部である。センサ情報が要求されたセンサが自ノードに接続されている場合には、センサ制御部5からそのセンサのセンサ情報を取得する。一方、アプリケーションプログラムから要求されたセンサが他ノードに接続されている場合は、他ノード連携部6を介してそのセンサのセンサ情報を取得する。ここで、センサ情報が要求されたセンサ(自ノードが有するセンサ)が正しく動作している場合には、センサ制御部5からセンサ情報を取得することができる。しかしながら、そのセンサが利用不可能である場合には直接にはセンサ情報が取得できない。このような場合には、センサ情報推定部2から推定されたセンサ情報を取得する。
【0023】
センサ情報推定部2は、あるセンサについてのセンサ情報の現在値を、そのセンサと関連性がある他のセンサのセンサ情報に基づいて推定する。自ノードが有するセンサについて、各センサと関連性のあるセンサは関連センサ抽出部3によって判断されている。そこで、センサ情報推定部2は要求されたセンサと関連のある他のセンサのセンサ情報を、センサ制御部5(自ノードに接続されたセンサの場合)および他ノード連携部6(他ノードに接続されたセンサの場合)から取得して、要求されたセンサのセンサ情報を推定する。推定方法の詳細については後述する。
【0024】
[動作]
1.センサ情報収集処理
以下、図3を参照して、定期的に実施するセンサ情報収集処理について説明する。
【0025】
センサ情報収集処理は、インターバルタイマによって定期的に実行される(S302)。ここでシステム全体において同時期にセンサ情報を収集することが好ましい。そのためには、各ノードの間で時刻同期を行う必要が生じるが、NTP(Network Time Protocol
)などの仕組みを利用することで時刻同期が行える。センサ情報収集処理が始まると、センサ情報蓄積部4は、センサ制御部5に対して、センサから情報取得するように依頼する(S304)。ここで、センサ制御部5がセンサからセンサ情報取得を試みるが、応答しないセンサがある場合(S306−YES)には、応答しないセンサを利用不可能なセン
サとして自ノードのセンサ情報取得部1に通知する(S308)。また、応答しないセンサを利用不可能なセンサとして、他ノード連携部6を経由して他ノードへ通知する(S310)。この情報を受け取った他のノードでは、他ノード連携部6がセンサ情報取得部1に通知する。このようにして、センサ情報取得部1はシステム内の全センサについて利用不可能なセンサを把握できる。
【0026】
センサ制御部5がセンサからセンサ情報を取得できた場合(S306−NO)は、取得した情報をセンサ情報蓄積部4に蓄積する(S312)。また、取得した情報を他ノード連携部6を介して他ノードへ通知する(S314)。
【0027】
一方、他ノード連携部6を介して他ノードから情報を受け取った場合(S316−YES)、それがセンサ情報を含むものであれば(S318−YES)、受信したセンサ情報をセンサ情報蓄積部4に蓄積する(S320)。逆に、他ノード連携部6を介して受け取った情報がセンサは利用不可能であるという情報であれば(S318−NO)、そのセンサが利用不可能である旨を自ノードのセンサ情報取得部1に通知する。
【0028】
このようにして、システム内の全センサについてセンサ情報が取得されて、各ノードのセンサ情報蓄積部4内に蓄積される。また、利用不可能なセンサがあった場合にも、各ノードのセンサ情報取得部1はその旨を把握できるようになる。
【0029】
2.関連センサ抽出処理
次に、図4を参照して、関連のあるセンサを抽出する処理について説明する。なお、この処理は定期的に実行されるセンサ情報収集処理に続いて実行されても良いが、より長い間隔で実行されてもかまわない。また、定期的に実行せずに、要求に応じて実行するようにしてもかまわない。
【0030】
関連センサ抽出部3は、自ノードが有するセンサについて、関連する他のセンサを抽出する。自ノードが有するセンサ全てについて関連する他のセンサを求めることが好ましいが、欠損データの推定を行わないセンサがある場合にはそのようなセンサに対しては関連する他のセンサを求める必要はない。
【0031】
まず、関連センサ抽出部3は、自ノードが有するノードの1つについて、センサ情報蓄積部4を参照して、システム内の全センサのセンサ情報に基づいて関連のあるセンサを抽出する(S404)。関連のあるセンサは、1つのみ求めるようにしても良いし、2つ以上求めるようにしても良い。
【0032】
ここで、特定のセンサと関連性のある他のセンサの抽出方法について図5、図6を参照して説明する。ここでは、センサaと関連のあるセンサを抽出する場合を例に説明する。図5は、センサ情報蓄積部4に蓄積されている各センサのセンサ情報を模式的に表す図である。図6は、関連センサ抽出部3が行う処理を示すフローチャートである。
【0033】
まず、関連センサ抽出部3は、センサa(以下、関連性のある他のセンサを求めるセンサを「対象センサ」ともいう)の蓄積情報を参照して、時刻t1(第1開始時刻)およびt2(第1終了時刻)をその間でセンサaの測定値が単調増加または単調減少となるように決定する(S602)。時刻t1,t2の決定は、具体的にはどのように行っても良い。例えば、時刻t1を任意に決定した後に、期間内の測定値単調増加(減少)となるような最大時刻を時刻t2として決定しても良い。ここで、t1とt2の時間間隔(Δt)にはある適当な条件(たとえば、Δtが所定値以上、所定の範囲内の値をとる、などが考えられる)を課すことも好ましい。また別の方法として、Δtを固定した上で、時刻tとt+Δtの間の測定値が単調増加(減少)となるか判断し、そうでなければtをスライドさ
せて単調増加(減少)となるような時刻tを時刻t1と決定し、時刻t+Δtを時刻t2として決定する。
【0034】
次に、対象センサaについて、時刻t1における測定値と同じ測定値をとる時刻を時刻t3(第2開始時刻)の候補として列挙する(S604).同様に、対象センサaについて、時刻t2における測定値と同じ測定値をとる時刻を時刻t4(第2終了時刻)の候補として列挙する(S606)。
【0035】
そして、t3の候補とt4の候補の全組合せの中から、t4−t3=Δt(=t2−t1)となり、かつ、t1〜t2間における測定値波形とt3〜t4間における測定値波形が同じような時刻を、時刻t3,t4として決定する(S608)。このようにして決定されるt1〜t4を図5に示してある。
【0036】
次に、対象センサa以外のセンサについて、以下の3つの条件を満たすセンサを対象センサと関連性があるものと判断する(S610)。第1の条件は、時刻t1と時刻t3における測定値が等しいことであり、第2の条件は、時刻t2と時刻t4における測定値が等しいことであり、第3の条件は、t1〜t2間における測定値波形とt3〜t4間における測定値波形が等しいことである。ここで、t1〜t2間における測定値波形と、t3〜t4間における測定値波形が等しいことは、各期間内でのセンサ情報を比較することで判断できる。なお、t1とt3,t2とt4における測定値が等しいというだけを用いて、期間内の測定値波形が同じであるという条件を採用しなくても同様の効果が得られることが期待できるが、測定波形が同じであることを確認すればより精度が向上する。
【0037】
図5に示すセンサb〜eを参照すると、上記の3つの条件を満たすのはセンサdのみである。したがって、センサaと関連性のあるセンサは、センサdであることが分かる。なお、上記のような決定方法から分かるように、これら2つのセンサは互いに関連があるので、センサdと関連性のあるセンサがセンサaであるとも言える。以上のようにして、ステップS404(図4)における関連調査が完了する。ここではセンサaと関連するセンサが一個のみとして説明したが、複数のセンサが関連すると判断してもかまわない。
【0038】
また、関連性があると判定されたセンサについての蓄積データに対して統計処理を施して、これらのセンサについてのセンサ情報の関係式を求める。すなわち、対象センサのセンサ情報を、このセンサに関連するセンサのセンサ情報から推定できる関係式を求める。このような欠損値推定手法は従来の任意の手法を利用できる。
【0039】
図4の説明に戻る。関連調査の結果から対象のセンサに対して関連のあるセンサ群(1つのこともある)を特定し、センサ情報推定部2に保存する(S406)。また、センサ情報推定部2に保存した情報を、他ノード連携部6を経由して他のノードへ通知する(S408)。
【0040】
1つのセンサについて関連性の調査が終わったら、所有するセンサ中に未調査のセンサがあるか判断し、未調査のものがあればそのセンサについて同様の調査を行う。
【0041】
他のノードから関連するセンサに関する情報を他ノード連携部6を介して受け取った場合(S410−YES)は、その情報をセンサ情報推定部2に保存する(S412)。
【0042】
このようにして、システム内の各ノードは、システム内の全センサについて、そのセンサと関連のあるセンサ群を把握することが可能となる。
【0043】
3.センサ情報取得処理
次に、図7A、図7Bを参照して、アプリケーションプログラムなどからセンサ情報の取得が要求された際に行う処理を説明する。アプリケーションプログラムからセンサ情報取得部1に対してセンサ情報の取得が要求されると、センサ情報取得部1は要求されたセンサが利用可能であるか判断する(S702)。センサ情報取得部1は、上記のセンサ情報収集処理によって各センサが利用可能であるか否かを把握可能である。
【0044】
要求されたセンサが利用可能な場合(S704−YES)は、そのセンサが自ノードの所有するセンサであれば(S706−YES)、自ノードのセンサ制御5にセンサ情報の取得を依頼する(S708)。一方、そのセンサが他ノードの所有するセンサであれば(S706−NO)、他ノード連携部6を介して対象センサを所有する他ノードに対して、センサ情報の取得を依頼する(S710,S712)。他のノードからセンサ情報の取得を要求された場合の処理は図8に示してある。他ノード連携部6が他ノードからセンサ情報の要求を受ける(S802)と、センサ制御部5から要求されたセンサのセンサ情報を取得し(S804)、他ノード連携部6を介して要求元のノードにこのセンサ情報を送信する(S806)。
【0045】
このようにして、センサ情報取得部1は要求されたセンサ情報を取得して、要求元のアプリケーションプログラムへセンサ情報を返答する(S714)。
【0046】
一方、要求されたセンサが利用不可能な場合(S704−NO)は、センサ情報取得部1はセンサ情報推定部2に対して対象センサのセンサ情報を推定するよう依頼する(S716)。センサ情報推定部2は、要求されたセンサのセンサ情報を推定するために必要な他のセンサを特定する(S718)。推定に必要なセンサは、上記関連センサ抽出処理によって対象センサと関連すると判断されたセンサ群のうち、現在利用可能なセンサである。
【0047】
このようにして特定されたセンサが自ノードの所有するセンサであれば(S720−YES)、センサ制御部5へセンサ情報の取得を依頼して、そのセンサのセンサ情報を取得する(S722,S724)。一方、特定されたノードが他ノードの所有するセンサであれば(S720−NO)、他ノード連携部6を経由してそのセンサを所有するノードにセンサ情報の取得を依頼して、そのセンサのセンサ情報を取得する(S726,S728)。
【0048】
センサ情報推定部2は、要求されたセンサと関連するセンサのセンサ情報から、対象センサのセンサ情報を推定する(S730)。対象センサとこれに関連するセンサのセンサ情報についての関係式があれば、その関係式を用いて対象センサのセンサ情報を推定できる。また、センサ情報推定部2が、センサ情報蓄積部4を参照して多重代入法などを用いて、対象センサのセンサ情報の現在値を推定するようにしても良い。
【0049】
センサ情報推定部2は、このようにして推定されたセンサ情報をセンサ情報取得部1へ返答する(S732)。センサ情報取得部1は、この推定値を要求されたセンサのセンサ情報として、要求元のアプリケーションプログラムに返答する(S714)。
【0050】
[本実施形態の効果]
本実施形態においては、それぞれのセンサから定期的にセンサ情報を取得して、これらの情報を元に各センサと関連するセンサ群を絞り込んでいる。そして、あるセンサが利用できずセンサ情報を推定する必要があるときに、全てのセンサ情報を用いずに、関連性のある必要最低限なセンサのセンサ情報から推定している。したがって、センサ情報を推定するために取得する必要のあるセンサ情報が少なくてすむため、推定に必要な時間を短縮できる。さらに、関連性の無いセンサ情報を推定のパラメータとして用いないため、精度
に優れた推定が可能となるという利点もある。
【0051】
(変形例)
上記の説明では、全てのノードが同一の機能を持つものとして説明をしたが、具体的なシステムの構成は上記で説明した例に限る必要はない。たとえば、センサ情報の蓄積や関連センサ抽出、センサ情報推定の処理を専門に行う管理ノードを採用してもかまわない。図9は、この変形例に係るシステム構成図を示す。また、図10はこの変形例に係る管理ノードおよび一般ノードの機能ブロックを示す。
【0052】
この例では、管理ノードが、センサ情報推定部2、関連センサ抽出部3、センサ情報蓄積部4、および他ノード連携部6を有する。一方、一般のノードはセンサ情報取得部1、センサ制御部5、他ノード連携部6を有する。
【0053】
この例では、一般ノードが定期的に自ノードの所有するセンサ情報を取得して、管理ノードへ他ノード連携部6を介して通知する。管理ノードのセンサ情報蓄積部4には、システム内のセンサについて、定期的に取得されるセンサ情報が蓄積される。この蓄積情報に基づいて、管理ノードの関連センサ抽出部3がセンサ間の関連を調査する。
【0054】
一般ノードがアプリケーションプログラムからセンサ情報の取得を要求された場合には、要求されたセンサが自ノードの所有するものであり利用可能であれば、自ノードのセンサ制御部5からそのセンサ情報を取得する。一方、要求されたセンサが利用不可能であれば、管理ノードに対してセンサ情報の推定を依頼する。要求されたセンサが他ノードの所有するものである場合は、管理ノードを介して取得するようにしても良いし、そのセンサを有する他のノードから直接取得するようにしても良い。
【0055】
このようにすれば、管理ノードに計算能力の大きいプロセッサを採用することで高速な処理が実現できる。また、一般ノードが行う処理量はそれほど増えないので、一般ノードに過大な負荷がかかることも避けられる。
【0056】
このような複数のコンピュータが接続されたシステムにおいて、処理の分担を適宜変更して種々の変形例を構成できることは当業者であれば容易に推察できるであろう。例えば、管理ノード自体もセンサを所有し、一般ノードを兼ねるような構成としてもかまわない。また、このような管理ノードを2つ以上採用するような構成も考えられる。また逆に、複数のコンピュータから本システムを構成する必要もなく、1つのコンピュータ内に上記のシステムを構築しても同様の効果が得られることも明らかであろう。
【符号の説明】
【0057】
1 センサ情報取得部
2 センサ情報推定部
3 関連センサ抽出部
4 センサ情報蓄積部
5 センサ制御部
6 他ノード連携部
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のセンサを有するシステムにおいて、特定のセンサが利用できない場合に他のセンサ情報を用いてそのセンサ情報を推測するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
車両システムには数多くのセンサが用いられており、センサから得られる情報に基づいて種々の処理を行っている。このようなシステムにおいて、一部のセンサが利用できない場合に、利用可能なセンサデータに基づいて欠損データを推測することが行われている。たとえば特許文献1では、蓄積されているデータの中から欠損データに類似するデータを、マンハッタン距離関数を利用して推測している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−215646号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、多くのセンサから構成されるシステムにおいては、補完に必要なセンサデータが多くなり、リアルタイムなセンサデータの収集とデータ推測に相当な時間を要する。したがって、即時応答性が求められるシステムにおいては、上記のような手法による欠損データの補完は適さない。
【0005】
本発明は、複数のセンサを有するシステムにおいて、利用不可能なセンサに関するセンサデータを、短時間に推測可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のセンサ情報補完システムは、複数のセンサとセンサ制御手段と蓄積手段と関連センサ抽出手段とセンサ情報推定手段とセンサ情報取得手段とを備える。センサ制御手段は、複数のセンサからセンサ情報(センサデータ)を取得する機能を有する。蓄積手段には、複数のセンサから定期的に取得されるセンサ情報が蓄積される。関連センサ抽出手段は、蓄積手段に蓄積されたセンサ情報に基づいて、センサ情報に相関があるセンサを抽出する。関連センサ抽出手段は、複数のセンサそれぞれについて、相関のある他のセンサを特定することが好ましい。センサ情報推定手段は、特定のセンサについて、このセンサと相関のある他のセンサのセンサ情報を取得して、この特定のセンサのセンサ情報を推定する機能を有する。センサ情報取得手段は、あるセンサについてセンサ情報の取得が要求されたときに、このセンサが利用可能であればこのセンサからセンサ情報を取得し、このセンサが利用不可能であれば、センサ情報推定手段からこのセンサについて推定されたセンサ情報を取得する。
【0007】
このように本発明のセンサ情報補完システムでは、各センサについて関連性のある他のセンサを抽出し、関連性のあるセンサのセンサ情報に基づいて推定を行うため、推定に必要なデータ量を削減することが出来る。結果的に、推定に必要な時間を短縮できる。また、関連性のないセンサ情報を推定に用いないため精度の良い推定が行えるという利点もある。
【0008】
本発明のセンサ情報補完システムは、1つのノード(ECU(Electronic Control Unit)、コンピュータ)に実装されても良いが、複数のノードから構成されるシステムとし
て実装することもできる。本発明のセンサ情報補完システムを複数のノードに実装する場合の一態様として、それぞれが、少なくとも1つのセンサ、センサ制御手段、蓄積手段、関連センサ抽出手段、センサ情報推定手段、センサ情報取得手段、他ノード連携手段を有する複数のノードからシステムを構成することが考えられる。他ノード連携手段は、他のノードが有するセンサ情報を取得したり、他のノードに対して自ノードのセンサ情報を通知したりする機能部である。各ノードは、自ノードが有するセンサから定期的にセンサ情報を取得し、取得したセンサ情報を他ノード連携手段を介して他のノードへ通知する。こうすることで、各ノードは、自ノードが有するセンサおよび他ノードが有するセンサの全てについて、定期的にセンサ情報を取得して、蓄積手段に蓄積することができる。このようにして関連センサ抽出手段は、あるセンサと関連性のある他のセンサを蓄積されたセンサ情報に基づいて抽出することができる。なお、各ノードの関連センサ抽出手段は、全てのセンサについて関連性のある他のセンサを抽出する必要はなく、自ノードが有するセンサについてのみ関連性のある他のセンサを抽出すれば十分である。センサ情報推定手段は、特定のセンサについてセンサ情報を推定する際に、このセンサと相関のある他のセンサが他ノードの有するセンサである場合には、他ノード連携手段を介してセンサ情報を取得して推定を行うことが好ましい。
【0009】
また、本発明の別の態様として、関連性のあるセンサの抽出と、センサ情報の推定を専用のノードで集中的に行うことも考えられる。すなわち、本発明のセンサ情報補完システムを、少なくとも1つのセンサ、センサ制御手段、センサ情報取得手段、他ノード連携手段を有する複数のノードと、蓄積手段、関連センサ抽出手段、センサ情報推定手段、他ノード連携手段を有する管理ノードとから構成することが考えられる。ここで、センサ制御手段は、自ノードのセンサ情報を取得するとともに、他ノードおよび管理ノードとの間でセンサ情報を送受信する他ノード連携部を含むことが好ましい。複数のノードのそれぞれは定期的に自ノードのセンサ情報を取得して、他ノード連携部を介して管理ノードへ通知する。こうすることで、管理ノードの蓄積手段には、定期的に取得されるセンサ情報が蓄積されることになる。管理ノードは、関連センサ抽出手段によって関連性のあるセンサを抽出するとともに、特定のセンサのセンサ情報を推定する際には、このセンサと関連のあるセンサを有するノードからセンサ情報を取得して推定を行うことが好ましい。
【0010】
なお、本発明のセンサ情報補完システムを複数のノードから構成する場合には、各ノードにおける処理機能の分担は上記以外にも種々考えられる。当業者であれば、本発明の思想から逸脱しない範囲内で種々の変形を容易に行えるであろう。
【0011】
また、本発明の関連センサ抽出手段は、あるセンサと関連する他のセンサを以下のように抽出することができる。まず、対象のセンサについて蓄積されたセンサ情報に基づいて、第1の開始時刻と第1の終了時刻を、その期間内で当該対象のセンサのセンサ情報が単調増加または単調減少となるように決定する。そして、対象のセンサのセンサ情報が、第1の開始時刻での値と同じ値をとる時刻を第2開始時刻候補として、また、第1の終了時刻での値と同じ値をとる時刻を第2終了時刻候補として決定する。そして、第2開始時刻候補と第2終了時刻候補の中から、第1開始時刻と第1終了時刻の間の時間差と同じ時間差をとる第2開始時刻と第2終了時刻を決定する(第2終了時刻−第2開始時刻=第1終了時刻−第1開始時刻)。第2開始時刻と第2終了時刻は、複数の組み合わせを選択しても、1組だけ選択してもかまわない。次に、対象センサ以外のセンサについて、第1開始時刻と第2開始時刻におけるセンサ情報の値が等しく、第1終了時刻と第2終了時刻におけるセンサ情報の値が等しければ、このセンサを対象のセンサとが相関のあるセンサであると判断することができる。さらに、第2開始時刻、第2終了時刻の決定に際して、この期間内のセンサ情報波形が、第1開始時刻と第1終了時刻の間の波形と同じであるという条件も採用することにより精度が上げられる。
【0012】
このようにすれば、比較的簡単な処理で関連性あるセンサを判断できるので、処理負荷を軽減することができる。なお、関連性のあるセンサの抽出方法は上記に限られず、相関係数による手法などその他の種々の手法を採用することができる。
【0013】
本発明は、上記手段の少なくとも一部を含むセンサ情報補完システムとして捉えることができる。また、これらの処理を行うセンサ情報補完方法、さらには、これらの方法をコンピュータにおいて実現するためのプログラムとして捉えることもできる。上記手段および処理の各々は可能な限り互いに組み合わせて本発明を構成することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、複数のセンサを有するシステムにおいて、利用不可能なセンサに関するセンサ情報を短時間に推測できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本実施形態にかかるデータ補完システムの概要を示す図。
【図2】各ノードの機能ブロックを示す図。
【図3】定期的に実行されるセンサ情報収集処理のフローチャート。
【図4】関連のあるセンサを抽出する関連センサ抽出処理のフローチャート。
【図5】センサ情報蓄積部に蓄積されているセンサ情報を模式的に示す図。
【図6】関連するセンサを抽出する具体的な処理のフローチャート。
【図7A】センサ情報が要求された際に行う処理のフローチャート。
【図7B】センサ情報が要求された際に行う処理のフローチャート。
【図8】他ノードからセンサ情報を要求された際の処理のフローチャート。
【図9】変形例にかかるデータ補完システムの概要を示す図。
【図10】変形例に係る一般ノードおよび管理ノードの機能ブロックを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1の実施形態)
[システム概要]
本実施形態にかかるデータ補完システム(センサ情報補完システム)の概要を図1,図2を参照して説明する。図1に示すように本システムは、互いにネットワークに接続された、複数のノード(ECU:Electronic Control Unit)から構成される。各ノードは、
センサに接続されており、センサからセンサ情報を取得可能である。なお、各ノードは自ノードに接続された情報を利用するだけでなく、他ノードに接続されたセンサ情報も取得して処理に利用する。
【0017】
図2は、各ノードの機能ブロックを示す図である。各ノードは、センサ情報取得部1、センサ情報推定部2、関連センサ抽出部3、センサ情報蓄積部4、センサ制御部5、他ノード連携部6を、その機能部として有する。これらの機能部は、補助記憶装置(各種ROMやHDD、SSDなど)に記憶されたプログラムを、プロセッサ(CPU、MPU)が実行することにより実現される。
【0018】
センサ制御部5は、自ノードに接続されたセンサから現在のセンサ情報を取得したり、センサに対して指示を出したりする機能部である。センサ制御部5は、定期的にセンサ情報を取得して、センサ情報蓄積部4に蓄積すると共に他ノード連携部6を介して取得したセンサ情報を他ノードに通知する。また、センサ制御部5は、センサ情報取得部1からの要求に応じて、適宜のタイミングでセンサ情報を取得する。
【0019】
他ノード連携部6は、他ノードとの間でセンサ情報などのやりとりを行う。具体的には、他ノードに対して自ノードに接続されたセンサのセンサ情報を通知したり、他ノードに
接続されたセンサのセンサ情報を要求したりする。また、他ノードから自ノードに接続されたセンサのセンサ情報が要求された場合は、他ノード連携部6はセンサ制御部5からそのセンサのセンサ情報を取得して、要求元のノードへ返信する。
【0020】
センサ情報蓄積部4には、自ノードに接続されたセンサおよび他ノードに接続されたセンサのセンサ情報が蓄積される。自ノードに接続されたセンサについてはセンサ制御部5から、また他ノードに接続されたセンサについては他ノード連携部6を介して、定期的にセンサ情報がセンサ情報蓄積部4に通知される。したがって、本システムにおける全てのセンサについて、定期的にセンサ情報が取得されてセンサ情報蓄積部4に格納される。なお、あるセンサについてのセンサ情報が通知されなくなった場合には、センサ情報蓄積部4は、そのセンサが利用不可能であることを把握できる。
【0021】
関連センサ抽出部3は、センサ情報蓄積部4に蓄積されているセンサ情報に基づいて、あるセンサと関連のある他のセンサを抽出する。関連のある他のセンサは、1つだけであってもかまわないし、2つ以上であってもかまわない。関連があるというのは、互いに相関あるということであり、一方のセンサのセンサ情報が取得できない場合であっても、関連のある他のセンサのセンサ情報から、そのセンサのセンサ情報を推定できるということである。関連のあるセンサは、あるセンサが利用できない(そのセンサからセンサ情報を取得できない)場合に、その利用不可能なセンサのセンサ情報を推定するために用いられる。関連のあるセンサを抽出するための具体的な方法の詳細については後述する。
【0022】
センサ情報取得部1は、アプリケーションプログラムや他ノード連携部6からの要求に応じてセンサ情報を取得する機能部である。センサ情報が要求されたセンサが自ノードに接続されている場合には、センサ制御部5からそのセンサのセンサ情報を取得する。一方、アプリケーションプログラムから要求されたセンサが他ノードに接続されている場合は、他ノード連携部6を介してそのセンサのセンサ情報を取得する。ここで、センサ情報が要求されたセンサ(自ノードが有するセンサ)が正しく動作している場合には、センサ制御部5からセンサ情報を取得することができる。しかしながら、そのセンサが利用不可能である場合には直接にはセンサ情報が取得できない。このような場合には、センサ情報推定部2から推定されたセンサ情報を取得する。
【0023】
センサ情報推定部2は、あるセンサについてのセンサ情報の現在値を、そのセンサと関連性がある他のセンサのセンサ情報に基づいて推定する。自ノードが有するセンサについて、各センサと関連性のあるセンサは関連センサ抽出部3によって判断されている。そこで、センサ情報推定部2は要求されたセンサと関連のある他のセンサのセンサ情報を、センサ制御部5(自ノードに接続されたセンサの場合)および他ノード連携部6(他ノードに接続されたセンサの場合)から取得して、要求されたセンサのセンサ情報を推定する。推定方法の詳細については後述する。
【0024】
[動作]
1.センサ情報収集処理
以下、図3を参照して、定期的に実施するセンサ情報収集処理について説明する。
【0025】
センサ情報収集処理は、インターバルタイマによって定期的に実行される(S302)。ここでシステム全体において同時期にセンサ情報を収集することが好ましい。そのためには、各ノードの間で時刻同期を行う必要が生じるが、NTP(Network Time Protocol
)などの仕組みを利用することで時刻同期が行える。センサ情報収集処理が始まると、センサ情報蓄積部4は、センサ制御部5に対して、センサから情報取得するように依頼する(S304)。ここで、センサ制御部5がセンサからセンサ情報取得を試みるが、応答しないセンサがある場合(S306−YES)には、応答しないセンサを利用不可能なセン
サとして自ノードのセンサ情報取得部1に通知する(S308)。また、応答しないセンサを利用不可能なセンサとして、他ノード連携部6を経由して他ノードへ通知する(S310)。この情報を受け取った他のノードでは、他ノード連携部6がセンサ情報取得部1に通知する。このようにして、センサ情報取得部1はシステム内の全センサについて利用不可能なセンサを把握できる。
【0026】
センサ制御部5がセンサからセンサ情報を取得できた場合(S306−NO)は、取得した情報をセンサ情報蓄積部4に蓄積する(S312)。また、取得した情報を他ノード連携部6を介して他ノードへ通知する(S314)。
【0027】
一方、他ノード連携部6を介して他ノードから情報を受け取った場合(S316−YES)、それがセンサ情報を含むものであれば(S318−YES)、受信したセンサ情報をセンサ情報蓄積部4に蓄積する(S320)。逆に、他ノード連携部6を介して受け取った情報がセンサは利用不可能であるという情報であれば(S318−NO)、そのセンサが利用不可能である旨を自ノードのセンサ情報取得部1に通知する。
【0028】
このようにして、システム内の全センサについてセンサ情報が取得されて、各ノードのセンサ情報蓄積部4内に蓄積される。また、利用不可能なセンサがあった場合にも、各ノードのセンサ情報取得部1はその旨を把握できるようになる。
【0029】
2.関連センサ抽出処理
次に、図4を参照して、関連のあるセンサを抽出する処理について説明する。なお、この処理は定期的に実行されるセンサ情報収集処理に続いて実行されても良いが、より長い間隔で実行されてもかまわない。また、定期的に実行せずに、要求に応じて実行するようにしてもかまわない。
【0030】
関連センサ抽出部3は、自ノードが有するセンサについて、関連する他のセンサを抽出する。自ノードが有するセンサ全てについて関連する他のセンサを求めることが好ましいが、欠損データの推定を行わないセンサがある場合にはそのようなセンサに対しては関連する他のセンサを求める必要はない。
【0031】
まず、関連センサ抽出部3は、自ノードが有するノードの1つについて、センサ情報蓄積部4を参照して、システム内の全センサのセンサ情報に基づいて関連のあるセンサを抽出する(S404)。関連のあるセンサは、1つのみ求めるようにしても良いし、2つ以上求めるようにしても良い。
【0032】
ここで、特定のセンサと関連性のある他のセンサの抽出方法について図5、図6を参照して説明する。ここでは、センサaと関連のあるセンサを抽出する場合を例に説明する。図5は、センサ情報蓄積部4に蓄積されている各センサのセンサ情報を模式的に表す図である。図6は、関連センサ抽出部3が行う処理を示すフローチャートである。
【0033】
まず、関連センサ抽出部3は、センサa(以下、関連性のある他のセンサを求めるセンサを「対象センサ」ともいう)の蓄積情報を参照して、時刻t1(第1開始時刻)およびt2(第1終了時刻)をその間でセンサaの測定値が単調増加または単調減少となるように決定する(S602)。時刻t1,t2の決定は、具体的にはどのように行っても良い。例えば、時刻t1を任意に決定した後に、期間内の測定値単調増加(減少)となるような最大時刻を時刻t2として決定しても良い。ここで、t1とt2の時間間隔(Δt)にはある適当な条件(たとえば、Δtが所定値以上、所定の範囲内の値をとる、などが考えられる)を課すことも好ましい。また別の方法として、Δtを固定した上で、時刻tとt+Δtの間の測定値が単調増加(減少)となるか判断し、そうでなければtをスライドさ
せて単調増加(減少)となるような時刻tを時刻t1と決定し、時刻t+Δtを時刻t2として決定する。
【0034】
次に、対象センサaについて、時刻t1における測定値と同じ測定値をとる時刻を時刻t3(第2開始時刻)の候補として列挙する(S604).同様に、対象センサaについて、時刻t2における測定値と同じ測定値をとる時刻を時刻t4(第2終了時刻)の候補として列挙する(S606)。
【0035】
そして、t3の候補とt4の候補の全組合せの中から、t4−t3=Δt(=t2−t1)となり、かつ、t1〜t2間における測定値波形とt3〜t4間における測定値波形が同じような時刻を、時刻t3,t4として決定する(S608)。このようにして決定されるt1〜t4を図5に示してある。
【0036】
次に、対象センサa以外のセンサについて、以下の3つの条件を満たすセンサを対象センサと関連性があるものと判断する(S610)。第1の条件は、時刻t1と時刻t3における測定値が等しいことであり、第2の条件は、時刻t2と時刻t4における測定値が等しいことであり、第3の条件は、t1〜t2間における測定値波形とt3〜t4間における測定値波形が等しいことである。ここで、t1〜t2間における測定値波形と、t3〜t4間における測定値波形が等しいことは、各期間内でのセンサ情報を比較することで判断できる。なお、t1とt3,t2とt4における測定値が等しいというだけを用いて、期間内の測定値波形が同じであるという条件を採用しなくても同様の効果が得られることが期待できるが、測定波形が同じであることを確認すればより精度が向上する。
【0037】
図5に示すセンサb〜eを参照すると、上記の3つの条件を満たすのはセンサdのみである。したがって、センサaと関連性のあるセンサは、センサdであることが分かる。なお、上記のような決定方法から分かるように、これら2つのセンサは互いに関連があるので、センサdと関連性のあるセンサがセンサaであるとも言える。以上のようにして、ステップS404(図4)における関連調査が完了する。ここではセンサaと関連するセンサが一個のみとして説明したが、複数のセンサが関連すると判断してもかまわない。
【0038】
また、関連性があると判定されたセンサについての蓄積データに対して統計処理を施して、これらのセンサについてのセンサ情報の関係式を求める。すなわち、対象センサのセンサ情報を、このセンサに関連するセンサのセンサ情報から推定できる関係式を求める。このような欠損値推定手法は従来の任意の手法を利用できる。
【0039】
図4の説明に戻る。関連調査の結果から対象のセンサに対して関連のあるセンサ群(1つのこともある)を特定し、センサ情報推定部2に保存する(S406)。また、センサ情報推定部2に保存した情報を、他ノード連携部6を経由して他のノードへ通知する(S408)。
【0040】
1つのセンサについて関連性の調査が終わったら、所有するセンサ中に未調査のセンサがあるか判断し、未調査のものがあればそのセンサについて同様の調査を行う。
【0041】
他のノードから関連するセンサに関する情報を他ノード連携部6を介して受け取った場合(S410−YES)は、その情報をセンサ情報推定部2に保存する(S412)。
【0042】
このようにして、システム内の各ノードは、システム内の全センサについて、そのセンサと関連のあるセンサ群を把握することが可能となる。
【0043】
3.センサ情報取得処理
次に、図7A、図7Bを参照して、アプリケーションプログラムなどからセンサ情報の取得が要求された際に行う処理を説明する。アプリケーションプログラムからセンサ情報取得部1に対してセンサ情報の取得が要求されると、センサ情報取得部1は要求されたセンサが利用可能であるか判断する(S702)。センサ情報取得部1は、上記のセンサ情報収集処理によって各センサが利用可能であるか否かを把握可能である。
【0044】
要求されたセンサが利用可能な場合(S704−YES)は、そのセンサが自ノードの所有するセンサであれば(S706−YES)、自ノードのセンサ制御5にセンサ情報の取得を依頼する(S708)。一方、そのセンサが他ノードの所有するセンサであれば(S706−NO)、他ノード連携部6を介して対象センサを所有する他ノードに対して、センサ情報の取得を依頼する(S710,S712)。他のノードからセンサ情報の取得を要求された場合の処理は図8に示してある。他ノード連携部6が他ノードからセンサ情報の要求を受ける(S802)と、センサ制御部5から要求されたセンサのセンサ情報を取得し(S804)、他ノード連携部6を介して要求元のノードにこのセンサ情報を送信する(S806)。
【0045】
このようにして、センサ情報取得部1は要求されたセンサ情報を取得して、要求元のアプリケーションプログラムへセンサ情報を返答する(S714)。
【0046】
一方、要求されたセンサが利用不可能な場合(S704−NO)は、センサ情報取得部1はセンサ情報推定部2に対して対象センサのセンサ情報を推定するよう依頼する(S716)。センサ情報推定部2は、要求されたセンサのセンサ情報を推定するために必要な他のセンサを特定する(S718)。推定に必要なセンサは、上記関連センサ抽出処理によって対象センサと関連すると判断されたセンサ群のうち、現在利用可能なセンサである。
【0047】
このようにして特定されたセンサが自ノードの所有するセンサであれば(S720−YES)、センサ制御部5へセンサ情報の取得を依頼して、そのセンサのセンサ情報を取得する(S722,S724)。一方、特定されたノードが他ノードの所有するセンサであれば(S720−NO)、他ノード連携部6を経由してそのセンサを所有するノードにセンサ情報の取得を依頼して、そのセンサのセンサ情報を取得する(S726,S728)。
【0048】
センサ情報推定部2は、要求されたセンサと関連するセンサのセンサ情報から、対象センサのセンサ情報を推定する(S730)。対象センサとこれに関連するセンサのセンサ情報についての関係式があれば、その関係式を用いて対象センサのセンサ情報を推定できる。また、センサ情報推定部2が、センサ情報蓄積部4を参照して多重代入法などを用いて、対象センサのセンサ情報の現在値を推定するようにしても良い。
【0049】
センサ情報推定部2は、このようにして推定されたセンサ情報をセンサ情報取得部1へ返答する(S732)。センサ情報取得部1は、この推定値を要求されたセンサのセンサ情報として、要求元のアプリケーションプログラムに返答する(S714)。
【0050】
[本実施形態の効果]
本実施形態においては、それぞれのセンサから定期的にセンサ情報を取得して、これらの情報を元に各センサと関連するセンサ群を絞り込んでいる。そして、あるセンサが利用できずセンサ情報を推定する必要があるときに、全てのセンサ情報を用いずに、関連性のある必要最低限なセンサのセンサ情報から推定している。したがって、センサ情報を推定するために取得する必要のあるセンサ情報が少なくてすむため、推定に必要な時間を短縮できる。さらに、関連性の無いセンサ情報を推定のパラメータとして用いないため、精度
に優れた推定が可能となるという利点もある。
【0051】
(変形例)
上記の説明では、全てのノードが同一の機能を持つものとして説明をしたが、具体的なシステムの構成は上記で説明した例に限る必要はない。たとえば、センサ情報の蓄積や関連センサ抽出、センサ情報推定の処理を専門に行う管理ノードを採用してもかまわない。図9は、この変形例に係るシステム構成図を示す。また、図10はこの変形例に係る管理ノードおよび一般ノードの機能ブロックを示す。
【0052】
この例では、管理ノードが、センサ情報推定部2、関連センサ抽出部3、センサ情報蓄積部4、および他ノード連携部6を有する。一方、一般のノードはセンサ情報取得部1、センサ制御部5、他ノード連携部6を有する。
【0053】
この例では、一般ノードが定期的に自ノードの所有するセンサ情報を取得して、管理ノードへ他ノード連携部6を介して通知する。管理ノードのセンサ情報蓄積部4には、システム内のセンサについて、定期的に取得されるセンサ情報が蓄積される。この蓄積情報に基づいて、管理ノードの関連センサ抽出部3がセンサ間の関連を調査する。
【0054】
一般ノードがアプリケーションプログラムからセンサ情報の取得を要求された場合には、要求されたセンサが自ノードの所有するものであり利用可能であれば、自ノードのセンサ制御部5からそのセンサ情報を取得する。一方、要求されたセンサが利用不可能であれば、管理ノードに対してセンサ情報の推定を依頼する。要求されたセンサが他ノードの所有するものである場合は、管理ノードを介して取得するようにしても良いし、そのセンサを有する他のノードから直接取得するようにしても良い。
【0055】
このようにすれば、管理ノードに計算能力の大きいプロセッサを採用することで高速な処理が実現できる。また、一般ノードが行う処理量はそれほど増えないので、一般ノードに過大な負荷がかかることも避けられる。
【0056】
このような複数のコンピュータが接続されたシステムにおいて、処理の分担を適宜変更して種々の変形例を構成できることは当業者であれば容易に推察できるであろう。例えば、管理ノード自体もセンサを所有し、一般ノードを兼ねるような構成としてもかまわない。また、このような管理ノードを2つ以上採用するような構成も考えられる。また逆に、複数のコンピュータから本システムを構成する必要もなく、1つのコンピュータ内に上記のシステムを構築しても同様の効果が得られることも明らかであろう。
【符号の説明】
【0057】
1 センサ情報取得部
2 センサ情報推定部
3 関連センサ抽出部
4 センサ情報蓄積部
5 センサ制御部
6 他ノード連携部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のセンサと、
前記複数のセンサからセンサ情報を取得するセンサ制御手段と、
前記複数のセンサから定期的に取得されるセンサ情報を蓄積する蓄積手段と、
蓄積されたセンサ情報を用いて、各センサについて、センサ情報に相関のある他のセンサを抽出する関連センサ抽出手段と、
対象のセンサについて、当該センサと相関のある他のセンサのセンサ情報を取得して、前記対象のセンサのセンサ情報を推定するセンサ情報推定手段と、
センサ情報の取得が要求された場合に、要求されたセンサからセンサ情報が取得可能であれば取得し、取得不可能であれば前記センサ情報推定手段によって推定された当該要求されたセンサのセンサ情報を取得する、センサ情報取得手段と、
を備えるセンサ情報補完システム。
【請求項2】
各々が、少なくとも1つのセンサ、センサ制御手段、蓄積手段、関連センサ抽出手段、センサ情報推定手段、センサ情報取得手段、他のノードとの間で情報を送受信する他ノード連携手段を有する複数のノードから構成され、
前記他ノード連携手段は、他ノードから当該他ノードが有するセンサの情報を取得し、また、他ノードに対して自ノードが有するセンサのセンサ情報を通知可能であり、自ノードが有するセンサから前記センサ制御手段によって定期的に取得されるセンサ情報を他ノードに通知し、
前記蓄積手段は、自ノードが有するセンサおよび他ノードが有するセンサから定期的に取得されるセンサ情報を蓄積し、
前記センサ情報推定手段は、前記対象のセンサと相関のある他のセンサが、他ノードの有するセンサである場合には、前記他ノード連携手段を介して当該他のセンサのセンサ情報を取得して前記対象のセンサのセンサ情報を推定する、
請求項1に記載のセンサ情報補完システム。
【請求項3】
前記関連センサ抽出手段は、自ノードが有するセンサについて、相関のある他のセンサを抽出する、
請求項2に記載のセンサ情報補完システム。
【請求項4】
各々が、少なくとも1つのセンサ、センサ制御手段、センサ情報取得手段、他のノードとの間で情報を送受信する他ノード連携手段を有する複数の一般ノードと、
蓄積手段、関連センサ抽出手段、センサ情報推定手段、他ノードとの間で情報を送受信する他ノード連携手段を有する管理ノードと、
から構成され、
前記一般ノードの他ノード連携手段は、他の一般ノードまたは管理ノードから他の一般ノードが有するセンサの情報を取得し、また、他の一般ノードまたは管理ノードに対して自ノードが有するセンサのセンサ情報を通知可能であり、
前記複数の一般ノードは、自ノードが有するセンサから定期的にセンサ情報を取得して、他ノード連携手段を介して管理ノードに通知し、
管理ノードのセンサ情報取得手段は、前記対象のセンサと相関のある他のセンサを有するノードからセンサ情報を取得して、前記対象センサのセンサ情報を推定する、
請求項1に記載のセンサ情報補完システム。
【請求項5】
前記関連センサ抽出手段は、
対象のセンサについて蓄積されたセンサ情報に基づいて、第1開始時刻と第1終了時刻を、第1開始時刻と第1終了時刻の間で前記対象のセンサのセンサ情報が単調増加または単調減少となるように決定し、
前記対象のセンサのセンサ情報が、第1開始時刻におけるセンサ情報と同じ値をとる他の時刻である第2開始時刻候補を決定し、
前記対象のセンサのセンサ情報が、第1終了時刻におけるセンサ情報と同じ値をとる他の時刻である第2終了時刻候補を決定し、
前記第2開始時刻候補と前記第2終了時刻候補の中から、第1開始時刻と第1終了時刻の間の時間差と同じ時間差をとる第2開始時刻と第2終了時刻を決定し、
前記対象のセンサ以外のセンサについて、第1開始時刻と第2開始時刻におけるセンサ情報が等しく、第1終了時刻と第2終了時刻におけるセンサ情報が等しければ、当該センサを前記対象のセンサと相関のあるセンサであると判断する、
請求項1〜4のいずれかに記載のセンサ情報補完システム。
【請求項6】
複数のセンサを有するシステムにおいて、あるセンサからセンサ情報が取得不可能な場合に他のセンサのセンサ情報から推定するセンサ情報補完方法であって、
前記複数のセンサから定期的にセンサ情報を取得して蓄積するステップと、
蓄積されたセンサ情報を用いて、各センサについて、センサ情報に相関のある他のセンサを抽出するステップと、
センサ情報の取得が要求された場合に、当該センサと相関のある他のセンサのセンサ情報を取得して、要求されたセンサのセンサ情報を推定するステップと、
を含むセンサ情報補完方法。
【請求項7】
前記抽出ステップでは、
対象のセンサについて蓄積されたセンサ情報に基づいて、第1開始時刻と第1終了時刻を、第1開始時刻と第1終了時刻の間で前記対象のセンサのセンサ情報が単調増加または単調減少となるように決定し、
前記対象のセンサのセンサ情報が、第1開始時刻におけるセンサ情報と同じ値をとる他の時刻である第2開始時刻候補を決定し、
前記対象のセンサのセンサ情報が、第1終了時刻におけるセンサ情報と同じ値をとる他の時刻である第2終了時刻候補を決定し、
前記第2開始時刻候補と前記第2終了時刻候補の中から、第1開始時刻と第1終了時刻の間の時間差と同じ時間差をとる第2開始時刻と第2終了時刻を決定し、
前記対象のセンサ以外のセンサについて、第1開始時刻と第2開始時刻におけるセンサ情報が等しく、第1終了時刻と第2終了時刻におけるセンサ情報が等しければ、当該センサを前記対象のセンサと相関のあるセンサであると判断する、
請求項6に記載のセンサ情報補完方法。
【請求項1】
複数のセンサと、
前記複数のセンサからセンサ情報を取得するセンサ制御手段と、
前記複数のセンサから定期的に取得されるセンサ情報を蓄積する蓄積手段と、
蓄積されたセンサ情報を用いて、各センサについて、センサ情報に相関のある他のセンサを抽出する関連センサ抽出手段と、
対象のセンサについて、当該センサと相関のある他のセンサのセンサ情報を取得して、前記対象のセンサのセンサ情報を推定するセンサ情報推定手段と、
センサ情報の取得が要求された場合に、要求されたセンサからセンサ情報が取得可能であれば取得し、取得不可能であれば前記センサ情報推定手段によって推定された当該要求されたセンサのセンサ情報を取得する、センサ情報取得手段と、
を備えるセンサ情報補完システム。
【請求項2】
各々が、少なくとも1つのセンサ、センサ制御手段、蓄積手段、関連センサ抽出手段、センサ情報推定手段、センサ情報取得手段、他のノードとの間で情報を送受信する他ノード連携手段を有する複数のノードから構成され、
前記他ノード連携手段は、他ノードから当該他ノードが有するセンサの情報を取得し、また、他ノードに対して自ノードが有するセンサのセンサ情報を通知可能であり、自ノードが有するセンサから前記センサ制御手段によって定期的に取得されるセンサ情報を他ノードに通知し、
前記蓄積手段は、自ノードが有するセンサおよび他ノードが有するセンサから定期的に取得されるセンサ情報を蓄積し、
前記センサ情報推定手段は、前記対象のセンサと相関のある他のセンサが、他ノードの有するセンサである場合には、前記他ノード連携手段を介して当該他のセンサのセンサ情報を取得して前記対象のセンサのセンサ情報を推定する、
請求項1に記載のセンサ情報補完システム。
【請求項3】
前記関連センサ抽出手段は、自ノードが有するセンサについて、相関のある他のセンサを抽出する、
請求項2に記載のセンサ情報補完システム。
【請求項4】
各々が、少なくとも1つのセンサ、センサ制御手段、センサ情報取得手段、他のノードとの間で情報を送受信する他ノード連携手段を有する複数の一般ノードと、
蓄積手段、関連センサ抽出手段、センサ情報推定手段、他ノードとの間で情報を送受信する他ノード連携手段を有する管理ノードと、
から構成され、
前記一般ノードの他ノード連携手段は、他の一般ノードまたは管理ノードから他の一般ノードが有するセンサの情報を取得し、また、他の一般ノードまたは管理ノードに対して自ノードが有するセンサのセンサ情報を通知可能であり、
前記複数の一般ノードは、自ノードが有するセンサから定期的にセンサ情報を取得して、他ノード連携手段を介して管理ノードに通知し、
管理ノードのセンサ情報取得手段は、前記対象のセンサと相関のある他のセンサを有するノードからセンサ情報を取得して、前記対象センサのセンサ情報を推定する、
請求項1に記載のセンサ情報補完システム。
【請求項5】
前記関連センサ抽出手段は、
対象のセンサについて蓄積されたセンサ情報に基づいて、第1開始時刻と第1終了時刻を、第1開始時刻と第1終了時刻の間で前記対象のセンサのセンサ情報が単調増加または単調減少となるように決定し、
前記対象のセンサのセンサ情報が、第1開始時刻におけるセンサ情報と同じ値をとる他の時刻である第2開始時刻候補を決定し、
前記対象のセンサのセンサ情報が、第1終了時刻におけるセンサ情報と同じ値をとる他の時刻である第2終了時刻候補を決定し、
前記第2開始時刻候補と前記第2終了時刻候補の中から、第1開始時刻と第1終了時刻の間の時間差と同じ時間差をとる第2開始時刻と第2終了時刻を決定し、
前記対象のセンサ以外のセンサについて、第1開始時刻と第2開始時刻におけるセンサ情報が等しく、第1終了時刻と第2終了時刻におけるセンサ情報が等しければ、当該センサを前記対象のセンサと相関のあるセンサであると判断する、
請求項1〜4のいずれかに記載のセンサ情報補完システム。
【請求項6】
複数のセンサを有するシステムにおいて、あるセンサからセンサ情報が取得不可能な場合に他のセンサのセンサ情報から推定するセンサ情報補完方法であって、
前記複数のセンサから定期的にセンサ情報を取得して蓄積するステップと、
蓄積されたセンサ情報を用いて、各センサについて、センサ情報に相関のある他のセンサを抽出するステップと、
センサ情報の取得が要求された場合に、当該センサと相関のある他のセンサのセンサ情報を取得して、要求されたセンサのセンサ情報を推定するステップと、
を含むセンサ情報補完方法。
【請求項7】
前記抽出ステップでは、
対象のセンサについて蓄積されたセンサ情報に基づいて、第1開始時刻と第1終了時刻を、第1開始時刻と第1終了時刻の間で前記対象のセンサのセンサ情報が単調増加または単調減少となるように決定し、
前記対象のセンサのセンサ情報が、第1開始時刻におけるセンサ情報と同じ値をとる他の時刻である第2開始時刻候補を決定し、
前記対象のセンサのセンサ情報が、第1終了時刻におけるセンサ情報と同じ値をとる他の時刻である第2終了時刻候補を決定し、
前記第2開始時刻候補と前記第2終了時刻候補の中から、第1開始時刻と第1終了時刻の間の時間差と同じ時間差をとる第2開始時刻と第2終了時刻を決定し、
前記対象のセンサ以外のセンサについて、第1開始時刻と第2開始時刻におけるセンサ情報が等しく、第1終了時刻と第2終了時刻におけるセンサ情報が等しければ、当該センサを前記対象のセンサと相関のあるセンサであると判断する、
請求項6に記載のセンサ情報補完方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2012−251777(P2012−251777A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−122229(P2011−122229)
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(502087460)株式会社トヨタIT開発センター (232)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(502087460)株式会社トヨタIT開発センター (232)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]