説明

センサ装置及び表示装置

【課題】検出対象物についての検出処理を行う新たなセンサ装置を提供する。
【解決手段】アレイ状に配置された複数の電極を有する電極アレイと;第1の周波数を有する第1の信号を生成し、前記電極アレイを構成する前記複数の電極に前記第1の信号を印加する信号生成部と;前記第1の信号が前記電極アレイを構成する前記複数の電極に印加され、第2の周波数を有する第2の信号が検出対象物に印加される場合において、前記電極アレイを構成する各電極と前記検出対象物の表面との距離を、各電極に印加された前記第1の信号と前記検出対象物に印加された前記第2の信号との干渉波を利用して検出する、または、前記検出対象物の表面の凹凸を、一の電極から出力された前記干渉波と他の電極から出力された前記干渉波とを利用して生成された信号を利用して検出する、検出部と;を備えることを特徴とするセンサ装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサ装置及び表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、様々な種類の近接センサの開発が進んでいる。近接センサは、物体の近接を検出するセンサである。近接センサのセンシング方式は、抵抗被膜方式、赤外線方式、超音波方式、静電容量方式など多岐に渡り、それぞれの方式にメリットとデメリットとがある。近接センサの具体例が、特許文献1や特許文献2に開示されている。
【0003】
静電容量センサは、物体とセンサとの間での静電容量の変化を検出することで、物体とセンサとの近接を検出するセンサである。静電容量センサは、静電容量が検出可能な範囲内であれば、物体とセンサとが接触していなくても、物体の近接を検出できるという特徴を有する。現在、非接触型の近接センサとしては、光学式センサが一般的である。しかしながら、光学式センサには、周囲の明るさの影響を受けてしまうという欠点がある。これに対し、静電容量センサでは通常、周囲の明るさが問題となることはない。
【0004】
静電容量センサは、物体の動きに起因して発生する微小な信号を検出して、物体の近接を検出する。そのため、静電容量センサでは、微小な信号を検出するための良好なS/N比を実現することが重要となる。多くの静電容量センサは、物体に交流信号を与え、静電容量の変化に伴う交流信号の振幅や位相の変化を検出する。この場合、物体の検出精度を高めるには、交流信号の周波数を可変にして静電容量の変化に対して敏感な回路系を実現するか、フィルタリング部にカウンタ等の時系列的な検出ユニットを付加する等の対策が必要となる。しかし、前者の方法では周波数帯の制約を受ける可能性があり、後者の方法では入力信号と出力信号との同期をとるためのタイミング回路が必要となる。
【特許文献1】特許第3505961号公報
【特許文献2】特開2003−43078号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、検出対象物についての検出処理を行う新たなセンサ装置及び表示装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一の実施例は、アレイ状に配置された複数の電極を有する電極アレイと;第1の周波数を有する第1の信号を生成し、前記電極アレイを構成する前記複数の電極に前記第1の信号を印加する信号生成部と;前記第1の信号が前記電極アレイを構成する前記複数の電極に印加され、第2の周波数を有する第2の信号が検出対象物に印加される場合において、前記電極アレイを構成する各電極と前記検出対象物の表面との距離を、各電極に印加された前記第1の信号と前記検出対象物に印加された前記第2の信号との干渉波を利用して検出する、または、前記検出対象物の表面の凹凸を、一の電極から出力された前記干渉波と他の電極から出力された前記干渉波とを利用して生成された信号を利用して検出する、検出部と;を備えることを特徴とするセンサ装置である。
【0007】
本発明の他の実施例は、アレイ状に配置された複数の電極を有する電極アレイと;第1の周波数を有する第1の信号を生成し、前記電極アレイを構成する前記複数の電極に前記第1の信号を印加する信号生成部と;前記第1の信号が前記電極アレイを構成する前記複数の電極に印加され、第2の周波数を有する第2の信号が第1の検出対象物に印加される場合において、前記第2の周波数に基づいて、前記第1の検出対象物を識別し、前記電極アレイを構成する各電極と前記第1の検出対象物の表面との距離を、各電極に印加された前記第1の信号と前記第1の検出対象物に印加された前記第2の信号との干渉波を利用して検出する、または、前記第1の検出対象物の表面の凹凸を、一の電極から出力された前記干渉波と他の電極から出力された前記干渉波とを利用して生成された信号を利用して検出すると共に、前記第1の信号が前記電極アレイを構成する前記複数の電極に印加され、第3の周波数を有する第3の信号が第2の検出対象物に印加される場合において、前記第3の周波数に基づいて、前記第2の検出対象物を識別し、前記電極アレイを構成する各電極と前記第2の検出対象物の表面との距離を、各電極に印加された前記第1の信号と前記第2の検出対象物に印加された前記第3の信号との干渉波を利用して検出する、または、前記第2の検出対象物の表面の凹凸を、一の電極から出力された前記干渉波と他の電極から出力された前記干渉波とを利用して生成された信号を利用して検出する、検出部と;を備えることを特徴とするセンサ装置である。
【0008】
本発明の他の実施例は、アレイ状に配置された複数の電極を有する電極アレイと;第1の周波数を有する第1の信号を生成し、前記電極アレイを構成する前記複数の電極に前記第1の信号を印加する信号生成部と;前記第1の信号が前記電極アレイを構成する前記複数の電極に印加され、第2の周波数を有する第2の信号が検出対象物に印加される場合において、前記電極アレイを構成する各電極と前記検出対象物の表面との距離を、各電極に印加された前記第1の信号と前記検出対象物に印加された前記第2の信号との干渉波を利用して検出する、または、前記検出対象物の表面の凹凸を、一の電極から出力された前記干渉波と他の電極から出力された前記干渉波とを利用して生成された信号を利用して信号する、検出部と;前記検出対象物について検出された前記距離又は前記凹凸を利用して、前記検出対象物の表面の形状を画面に表示する、表示部と;を備えることを特徴とする表示装置である。
【0009】
本発明の他の実施例は、アレイ状に配置された複数の電極を有する電極アレイと;第1の周波数を有する第1の信号を生成し、前記電極アレイを構成する前記複数の電極に前記第1の信号を印加する信号生成部と;前記第1の信号が前記電極アレイを構成する前記複数の電極に印加され、第2の周波数を有する第2の信号が第1の検出対象物に印加される場合において、前記第2の周波数に基づいて、前記第1の検出対象物を識別し、前記電極アレイを構成する各電極と前記第1の検出対象物の表面との距離を、各電極に印加された前記第1の信号と前記第1の検出対象物に印加された前記第2の信号との干渉波を利用して検出する、または、前記第1の検出対象物の表面の凹凸を、一の電極から出力された前記干渉波と他の電極から出力された前記干渉波とを利用して生成された信号を利用して検出すると共に、前記第1の信号が前記電極アレイを構成する前記複数の電極に印加され、第3の周波数を有する第3の信号が第2の検出対象物に印加される場合において、前記第3の周波数に基づいて、前記第2の検出対象物を識別し、前記電極アレイを構成する各電極と前記第2の検出対象物の表面との距離を、各電極に印加された前記第1の信号と前記第2の検出対象物に印加された前記第3の信号との干渉波を利用して検出する、または、前記第2の検出対象物の表面の凹凸を、一の電極から出力された前記干渉波と他の電極から出力された前記干渉波とを利用して生成された信号を利用して検出する、検出部と;前記第1の検出対象物について検出された前記距離又は前記凹凸を利用して、前記第1の検出対象物の表面の形状を画面に表示し、前記第2の検出対象物について検出された前記距離又は前記凹凸を利用して、前記第2の検出対象物の表面の形状を画面に表示する、表示部と;を備えることを特徴とする表示装置である。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、検出対象物についての検出処理を行う新たなセンサ装置及び表示装置を提供することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
(第1実施例)
図1は、第1実施例のセンサ装置101について説明するための図である。図1には、センサ装置101と、検出対象物201とが図示されている。図1のセンサ装置101はここでは、非接触型の近接センサ、詳細には、静電容量センサである。
【0012】
センサ装置101は、電極アレイ111を備えている。電極アレイ111は、アレイ状に配置された複数の電極121を有している。これらの電極121は、ここでは2次元のアレイ状に配置されているが、1次元のアレイ状に配置されていてもよい。
【0013】
センサ装置101には、第1の信号生成部131が設けられている。第1の信号生成部131は、第1の周波数f1を有する第1の交流信号S1を生成する。第1の信号生成部131は、第1の周波数f1を変えることが可能でも不可能でもよいが、ここでは第1の周波数f1を変えることが可能とする。第1の交流信号S1は、電極アレイ111を構成する複数の電極121に印加される。個々の電極121と第1の信号生成部131との間には、抵抗141が配線されている。
【0014】
検出対象物201には、第2の信号生成部211が設けられている。第2の信号生成部211は、第2の周波数f2を有する第2の交流信号S2を生成する。第2の信号生成部211は、第2の周波数f2を変えることが可能でも不可能でもよいが、ここでは第2の周波数f2を変えることが可能とする。第2の交流信号S2は、検出対象物201に印加される。検出対象物201は、図2に示すように、電極221を備えていてもよい。図2には、検出対象物201の表面に設けられた電極221が示されている。第2の交流信号S2は、図1のように、検出対象物201自体に印加してもよいし、図2のように、検出対象物201に設けられた電極221に印加してもよい。以下、図1に戻り説明を続けるが、以下の説明は、図2にも適用可能である。
【0015】
本実施例では、第1の周波数f1と第2の周波数f2は異なる周波数とする。よって、本実施例では、第1の信号S1が各電極121に印加され、第2の信号S2が検出対象物201に印加された場合、各電極121に印加された第1の信号S1と検出対象物201に印加された第2の信号S2との干渉波が発生する。当該干渉波には、第1の周波数f1と第2の周波数f2との差周波f2−f1を周波数とする低周波の包絡成分(うなり)が生じる。
【0016】
センサ装置101では、各電極121に印加された第1の信号S1と検出対象物201に印加された第2の信号S2との干渉波が、各電極121から出力される。各電極121から出力された干渉波は、センサ装置101の検出部151により検出される。各干渉波の波形は、各電極121と検出対象物201の表面との間の静電容量に依存し、当該静電容量の値は、各電極121と検出対象物201の表面との距離に依存する。よって、図1の検出部151は、各電極121と検出対象物201の表面との距離を、各電極121に印加された第1の信号S1と検出対象物201に印加された第2の信号S2との干渉波を利用して検出する。本実施例では、このような検出原理により、非接触型の近接センサが実現されている。
【0017】
図1の検出部151はここでは、各電極121と検出対象物201の表面との距離を、各干渉波の包絡成分を利用して検出する。包絡成分の周波数は、上述のようにf2−f1で与えられる。よって、包絡成分の周波数は、第1の周波数f1及び第2の周波数f2の設定を通じて、任意に設定することが可能である。よって、本実施例では、高周波の交流信号S1及びS2から、低周波の包絡成分を生成することが可能である。本実施例では、このような包絡成分を検出に利用することで、干渉を受けにくく耐ノイズ性に優れた近接センサを実現することができる。干渉波に含まれる包絡成分は例えば、ローパスフィルタにより抽出可能である。
【0018】
本実施例において、第1の信号生成部131は、第1の周波数f1の設定を変えることが可能であり、第2の信号生成部211は、第2の周波数f2の設定を変えることが可能である。このことには、交流信号S1及びS2の周波数の設定自由度が向上させる効果があるのに加えて、干渉波の包絡成分の周波数の設定自由度を向上させる効果がある。
【0019】
図3は、図1のシステムの等価回路を表す。図3には、複数の電極121と検出対象物201により構成される複数のキャパシタが図示されている。各電極121には、第1の周波数f1を有する第1の信号S1が印加される。検出対象物201には、第2の周波数f2を有する第2の信号S2が印加される。f1とf2との比f2/f1は例えば、1±0.05乃至1±0.25程度とする。これにより、高周波の交流信号S1及びS2から低周波の包絡成分が生成される。第1の信号S1の振幅は例えば1V、第1の周波数f1は例えば190kHzとする。第2の信号S2の振幅は例えば1V、第2の周波数f2は例えば200kHzとする。
【0020】
図4は、図1の断面図に相当する。図4には、各電極121と検出対象物201の表面との間の静電容量Cと、各電極121と検出対象物201の表面との距離dとが示されている。図4の各静電容量Cは、図3の各キャパシタの静電容量に相当する。
【0021】
図5は、干渉波の包絡成分について説明するための図である。図5aには干渉波の波形の第1の例が、図5bには干渉波の波形の第2の例が、図5cには干渉波の波形の第3の例が示されている。また、図5A,B,Cにはそれぞれ、図5a,b,cの干渉波の包絡成分が示されている。図5Aでは、包絡成分の節の振幅がX1で図示されている。図5Bでは、包絡成分の節の振幅がX2で図示されている。図5Cでは、包絡成分の節の振幅がX3で図示されている。図5では、X1=0、X2≠0、X3≠0となっている。
【0022】
図5a,b,cの干渉波はそれぞれ、図4に示す距離dが小さい場合、中程度の場合、大きい場合の干渉波の例に相当する。このように、本実施例の干渉波の波形は、距離dに応じて変化する。よって、本実施例では、上述のように、干渉波を利用して距離dを検出することができる。また、図5A,B,Cの包絡成分はそれぞれ、図4に示す距離dが小さい場合、中程度の場合、大きい場合の包絡成分の例に相当する。このように、本実施例の包絡成分の波形は、距離dに応じて変化する。よって、本実施例では、上述のように、包絡成分を利用して距離dを検出することができる。次に示す例では、距離dが、干渉波の包絡成分の振幅を利用して検出される。
【0023】
本実施例では、図5A,B,Cに示すように、包絡成分の節の振幅が、距離dに応じて変化する。よって、本実施例の検出部151は、各電極121と検出対象物201の表面との距離dを、包絡成分の節の振幅を利用して検出することができる。この場合、図5Aのように節の振幅が0になる距離dを、距離測定の基準に設定することが望ましい。これにより、距離測定の精度が良好になる。包絡成分の振幅を検出に利用する場合、節以外の部分の振幅を利用してもよい。
【0024】
本実施例の検出部151は、各電極121から出力された干渉波を検出する代わりに、一の電極121から出力された干渉波と他の電極121から出力された干渉波とから生成された信号を検出してもよい。このような検出処理の例を、図6を参照しつつ説明する。図6において、検出部151は、検出対象物201の表面の凹凸を、一の電極121から出力された干渉波と他の電極121から出力された干渉波とを利用して生成された信号を利用して検出する。
【0025】
検出対象物201の表面の凹凸は例えば、図6のΔdで表される。図6のΔdは、一の電極121における距離dと他の電極121における距離dとの差分に相当する。一の電極121と他の電極121はここでは、互いに隣接する電極同士となっている。上述のように、dは、各電極121の包絡成分の振幅を利用して検出可能なので、Δdは、一の電極121の包絡成分と他の電極121の包絡成分との差分信号の振幅を利用して検出可能である。よって、図6の検出部151は、一の電極121からの干渉波の包絡成分と他の電極121からの干渉波の包絡成分との差分信号を生成し、検出対象物201の表面の凹凸を、当該差分信号の振幅を利用して検出する。図6の検出部151は、複数のローパスフィルタ161と複数の差動増幅器162とを備える。各ローパスフィルタ161は、対応する電極121からの干渉波の包絡成分を抽出する。各差動増幅器162は、一の包絡成分と他の包絡成分との差分信号を生成する。
【0026】
図6の検出処理の変形例を、図7に示す。図7の検出部151は、一の電極121からの干渉波と他の電極121からの干渉波との差分信号を生成し、検出対象物201の表面の凹凸を、差分信号の包絡成分の振幅を利用して検出する。これにより、図6の検出処理を同様の検出処理を実現することができる。図7の検出部151は、複数の差動増幅器171と複数のローパスフィルタ172とを備える。各差動増幅器171は、一の電極121からの干渉波と他の電極121からの干渉波との差分信号を生成する。各ローパスフィルタ172は、対応する差分信号の包絡成分を抽出する。
【0027】
なお、図6や図7の検出処理では、差分Δdを検出するのに、距離dを検出する必要はない。よって、図6や図7の検出処理は例えば、検出対象物201についての凹凸情報は必要であるが、検出対象物201についての距離情報は必要ない場合に有用である。図6の検出部151は、差分信号の振幅を検出する際に、所定の閾値よりも大きな振幅を検出することで、所定の勾配よりも大きな凹凸を検出するようにしてもよい。これにより、検出処理の処理負担が軽減される。同様に、図7の検出部151は、差分信号の包絡成分の振幅を検出する際に、所定の閾値よりも大きな振幅を検出することで、所定の勾配よりも大きな凹凸を検出するようにしてもよい。
【0028】
本実施例のセンサ装置101は、1つの検出対象物201を取り扱うだけでなく、2つ以上の検出対象物201を取り扱うことも可能である。このようなセンサ装置101の例について、図8に基づいて説明する。図8には、センサ装置101と、第1の検出対象物201Aと、第2の検出対象物201Bとが図示されている。図8のセンサ装置101はここでは、非接触型の近接センサ、詳細には、静電容量センサである。
【0029】
図8のセンサ装置101は、図1のセンサ装置101と同様に、電極アレイ111と、検出部151とを備えている。図8のセンサ装置101には、図1のセンサ装置101と同様に、第1の信号生成部131が設けられている。第1の信号生成部131は、第1の周波数f1を有する第1の交流信号S1を生成する。第1の信号生成部131は、第1の周波数f1を変えることが可能でも不能でもよいが、ここでは第1の周波数f1を変えることが可能とする。
【0030】
第1及び第2の検出対象物201A及びBにはそれぞれ、第2及び第3の信号生成部211A及びBが設けられている。第2の信号生成部211Aは、第2の周波数f2を有する第2の交流信号S2を生成する。第3の信号生成部211Bは、第3の周波数f3を有する第3の交流信号S3を生成する。第2の信号生成部211Aは、第2の周波数f2を変えることが可能でも不能でもよいが、ここでは第2の周波数f2を変えることが可能とする。第3の信号生成部211Bは、第3の周波数f3を変えることが可能でも不能でもよいが、ここでは第3の周波数f3を変えることが可能とする。
【0031】
第2及び第3の交流信号S2及びS3はそれぞれ、第1及び第2の検出対象物201A及びBに印加される。第2の交流信号S2は、第1の検出対象物201A自体に印加してもよいし、図2と同様、第1の検出対象物201Aに設けられた電極221に印加してもよい。第3の交流信号S3は、第2の検出対象物201B自体に印加してもよいし、図2と同様、第2の検出対象物201Bに設けられた電極221に印加してもよい。
【0032】
本実施例では、第1の周波数f1と第2の周波数f2は異なる周波数とする。よって、本実施例では、第1の信号S1が各電極121に印加され、第2の信号S2が第1の検出対象物201Aに印加された場合、各電極121に印加された第1の信号S1と第1の検出対象物201Aに印加された第2の信号S2との干渉波が発生する。当該干渉波には、第1の周波数f1と第2の周波数f2との差周波f2−f1を周波数とする低周波の包絡成分(うなり)が生じる。f1とf2との比f2/f1は例えば、1±0.05乃至1±0.25程度とする。
【0033】
本実施例では、第1の周波数f1と第3の周波数f3は異なる周波数とする。よって、本実施例では、第1の信号S1が各電極121に印加され、第3の信号S3が第2の検出対象物201Bに印加された場合、各電極121に印加された第1の信号S1と第2の検出対象物201Bに印加された第3の信号S3との干渉波が発生する。当該干渉波には、第1の周波数f1と第3の周波数f3との差周波f3−f1を周波数とする低周波の包絡成分(うなり)が生じる。f1とf3との比f3/f1は例えば、1±0.05乃至1±0.25程度とする。
【0034】
前者の場合、センサ装置101では、各電極121に印加された第1の信号S1と第1の検出対象物201Aに印加された第2の信号S2との干渉波が、各電極121から出力される。各電極121から出力された干渉波は、検出部151により検出される。検出部151は、各電極121と第1の検出対象物201Aの表面との距離を、各電極121に印加された第1の信号S1と第1の検出対象物201Aに印加された第2の信号S2との干渉波を利用して検出する。なお、検出部151は、第1の検出対象物201Aの表面の凹凸を、一の電極121から出力された干渉波と他の電極121から出力された干渉波とを利用して生成された信号を利用して検出してもよい。
【0035】
後者の場合、センサ装置101では、各電極121に印加された第1の信号S1と第2の検出対象物201Bに印加された第3の信号S3との干渉波が、各電極121から出力される。各電極121から出力された干渉波は、検出部151により検出される。検出部151は、各電極121と第2の検出対象物201Bの表面との距離を、各電極121に印加された第1の信号S1と第2の検出対象物201Bに印加された第3の信号S3との干渉波を利用して検出する。なお、検出部151は、第2の検出対象物201Bの表面の凹凸を、一の電極121から出力された干渉波と他の電極121から出力された干渉波とを利用して生成された信号を利用して検出してもよい。
【0036】
本実施例では更に、第2の周波数f2と第3の周波数f3は異なる周波数とする。そのため、第2の信号S2が第1の検出対象物201Aに印加された場合、検出部151は、第2の周波数f2に基づいて第1の検出対象物201Aを識別することができる。即ち、検出部151は、検出された信号が第1の検出対象物201Aに関する信号であると認識することができる。検出部151は、f2そのものに基づいて第1の検出対象物201Aを識別しても、f2−f1に基づいて第1の検出対象物201Aを識別してもよい。同様に、第3の信号S3が第2の検出対象物201Bに印加された場合、検出部151は、第3の周波数f3に基づいて第2の検出対象物201Bを識別することができる。即ち、検出部151は、検出された信号が第2の検出対象物201Bに関する信号であると認識することができる。検出部151は、f3そのものに基づいて第2の検出対象物201Bを識別しても、f3−f1に基づいて第2の検出対象物201Bを識別してもよい。これにより、検出部151は、第1の検出対象物201Aに関する干渉波と第2の検出対象物201Bに関する干渉波とを区別することができる。
【0037】
図8のセンサ装置101の動作は、図1のセンサ装置101の動作と同様である。図1乃至図7の説明は、図1のセンサ装置101だけでなく、図8のセンサ装置101にも適用可能である。
【0038】
以上、第1実施例について説明したが、続いて、第2実施例について説明する。第2実施例は第1実施例の変形例であり、第2実施例については第1実施例との相違点を中心に説明する。
【0039】
(第2実施例)
図9は、第2実施例の表示装置301について説明するための図である。図9には、図1と同様の検出対象物201と、表示装置301とが図示されている。
【0040】
図9の表示装置301は、図1のセンサ装置101と同様、電極アレイ111と、第1の信号生成部131と、検出部151とを備えている。上述のように、検出部151は、各電極121と検出対象物201の表面との距離、又は検出対象物201の表面の凹凸を検出する。
【0041】
図9の表示装置301は更に、表示部311を備えている。表示部311は、検出対象物201について検出された上記距離又は上記凹凸を利用して、検出対象物201の表面の形状を画面に表示する。こうして、検出部151による検出結果が、ユーザーに対して視覚的に提供される。
【0042】
本実施例では例えば、電極アレイ111を構成する1つの電極121を、表示部311の1つの画素に対応させることができる。本実施例では、図10のように、表示部311の画面上に電極アレイ111を設けてもよい。この場合、電極アレイ111を構成する各電極121は、表示の妨げにならないよう、透明電極とする。
【0043】
表示部311の配線構造の例を、図11に示す。図11の表示部311は、複数の信号線LXと、複数のゲート線LYと、複数の画素電極Pとを備える。信号線LX及びゲート線LYは、格子状の配線構造を構成する配線である。画素電極Pは、表示部311の画素を構成する電極である。本実施例では、信号線LX、ゲート線LY、又は画素電極Pを、電極アレイ111を構成する電極121としてもよい。本実施例では更に、これらのうちの2種類以上を、電極アレイ111を構成する電極121としてもよい。
【0044】
本実施例の表示装置301は、1つの検出対象物201を取り扱うだけでなく、2つ以上の検出対象物201を取り扱うことも可能である。このような表示装置301の例について、図12に基づいて説明する。図12には、図8と同様の第1の検出対象物201Aと、図8と同様の第2の検出対象物201Bと、表示装置301とが図示されている。
【0045】
図12の表示装置301は、図8のセンサ装置101と同様に、電極アレイ111と、第1の信号生成部131と、検出部151とを備えている。上述のように、検出部151は、各電極121と第1の検出対象物201Aの表面との距離、第1の検出対象物201Aの表面の凹凸、各電極121と第2の検出対象物201Bの表面との距離、又は第2の検出対象物201Bの表面の凹凸を検出する。
【0046】
図12の表示装置301は更に、表示部311を備えている。表示部311は、第1の検出対象物201Aについて検出された上記距離又は上記凹凸を利用して、第1の検出対象物201Aの表面の形状を画面に表示する。また、表示部311は、第2の検出対象物201Bについて検出された上記距離又は上記凹凸を利用して、第2の検出対象物201Bの表面の形状を画面に表示する。こうして、検出部151による検出結果が、ユーザーに対して視覚的に提供される。
【0047】
図12の表示装置301の動作は、図9の表示装置301の動作と同様である。図9乃至図11の説明は、図9の表示装置301だけでなく、図12の表示装置301にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】第1実施例のセンサ装置について説明するための図である。
【図2】第1実施例のセンサ装置について説明するための図である。
【図3】図1のシステムの等価回路を表す。
【図4】図1の断面図に相当する。
【図5】干渉波の包絡成分について説明するための図である。
【図6】図1の断面図に相当する。
【図7】図1の断面図に相当する。
【図8】第1実施例のセンサ装置について説明するための図である。
【図9】第2実施例の表示装置について説明するための図である。
【図10】電極アレイ及び表示部について説明するための側面図である。
【図11】電極アレイ及び表示部について説明するための上面図である。
【図12】第2実施例の表示装置について説明するための図である。
【符号の説明】
【0049】
101 センサ装置
111 アレイ電極
121 電極
131 信号生成部
141 抵抗
151 検出部
161 ローパスフィルタ
162 差動増幅器
171 差動増幅器
172 ローパスフィルタ
201 検出対象物
211 信号生成部
221 電極
301 表示装置
311 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アレイ状に配置された複数の電極を有する電極アレイと;
第1の周波数を有する第1の信号を生成し、前記電極アレイを構成する前記複数の電極に前記第1の信号を印加する信号生成部と;
前記第1の信号が前記電極アレイを構成する前記複数の電極に印加され、第2の周波数を有する第2の信号が検出対象物に印加される場合において、
前記電極アレイを構成する各電極と前記検出対象物の表面との距離を、各電極に印加された前記第1の信号と前記検出対象物に印加された前記第2の信号との干渉波を利用して検出する、または、前記検出対象物の表面の凹凸を、一の電極から出力された前記干渉波と他の電極から出力された前記干渉波とを利用して生成された信号を利用して検出する、
検出部と;
を備えることを特徴とするセンサ装置。
【請求項2】
前記第2の信号は、前記検出対象物に設けられた電極に印加される、または、前記検出対象物自体に印加されることを特徴とする請求項1に記載のセンサ装置。
【請求項3】
前記検出部は、前記電極アレイを構成する各電極と前記検出対象物の表面との距離を、前記干渉波の包絡成分の振幅を利用して検出することを特徴とする請求項1又は2に記載のセンサ装置。
【請求項4】
前記検出部は、前記一の電極からの前記干渉波の包絡成分と前記他の電極からの前記干渉波の包絡成分との差分信号を生成し、前記検出対象物の表面の凹凸を、前記差分信号の振幅を利用して検出することを特徴とする請求項1又は2に記載のセンサ装置。
【請求項5】
前記検出部は、前記一の電極からの前記干渉波と前記他の電極からの前記干渉波との差分信号を生成し、前記検出対象物の表面の凹凸を、前記差分信号の包絡成分の振幅を利用して検出することを特徴とする請求項1又は2に記載のセンサ装置。
【請求項6】
前記検出部は、所定の閾値よりも大きな前記振幅を検出することで、所定の勾配よりも大きな前記凹凸を検出することを特徴とする請求項4又は5に記載のセンサ装置。
【請求項7】
前記第1の信号を生成する前記信号生成部は、前記第1の周波数を変えることが可能であり、前記第2の信号を生成する信号生成部は、前記検出対象物に設けられており、前記第2の周波数を変えることが可能であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のセンサ装置。
【請求項8】
アレイ状に配置された複数の電極を有する電極アレイと;
第1の周波数を有する第1の信号を生成し、前記電極アレイを構成する前記複数の電極に前記第1の信号を印加する信号生成部と;
前記第1の信号が前記電極アレイを構成する前記複数の電極に印加され、第2の周波数を有する第2の信号が第1の検出対象物に印加される場合において、
前記第2の周波数に基づいて、前記第1の検出対象物を識別し、
前記電極アレイを構成する各電極と前記第1の検出対象物の表面との距離を、各電極に印加された前記第1の信号と前記第1の検出対象物に印加された前記第2の信号との干渉波を利用して検出する、または、前記第1の検出対象物の表面の凹凸を、一の電極から出力された前記干渉波と他の電極から出力された前記干渉波とを利用して生成された信号を利用して検出すると共に、
前記第1の信号が前記電極アレイを構成する前記複数の電極に印加され、第3の周波数を有する第3の信号が第2の検出対象物に印加される場合において、
前記第3の周波数に基づいて、前記第2の検出対象物を識別し、
前記電極アレイを構成する各電極と前記第2の検出対象物の表面との距離を、各電極に印加された前記第1の信号と前記第2の検出対象物に印加された前記第3の信号との干渉波を利用して検出する、または、前記第2の検出対象物の表面の凹凸を、一の電極から出力された前記干渉波と他の電極から出力された前記干渉波とを利用して生成された信号を利用して検出する、
検出部と;
を備えることを特徴とするセンサ装置。
【請求項9】
アレイ状に配置された複数の電極を有する電極アレイと;
第1の周波数を有する第1の信号を生成し、前記電極アレイを構成する前記複数の電極に前記第1の信号を印加する信号生成部と;
前記第1の信号が前記電極アレイを構成する前記複数の電極に印加され、第2の周波数を有する第2の信号が検出対象物に印加される場合において、
前記電極アレイを構成する各電極と前記検出対象物の表面との距離を、各電極に印加された前記第1の信号と前記検出対象物に印加された前記第2の信号との干渉波を利用して検出する、または、前記検出対象物の表面の凹凸を、一の電極から出力された前記干渉波と他の電極から出力された前記干渉波とを利用して生成された信号を利用して信号する、
検出部と;
前記検出対象物について検出された前記距離又は前記凹凸を利用して、前記検出対象物の表面の形状を画面に表示する、
表示部と;
を備えることを特徴とする表示装置。
【請求項10】
アレイ状に配置された複数の電極を有する電極アレイと;
第1の周波数を有する第1の信号を生成し、前記電極アレイを構成する前記複数の電極に前記第1の信号を印加する信号生成部と;
前記第1の信号が前記電極アレイを構成する前記複数の電極に印加され、第2の周波数を有する第2の信号が第1の検出対象物に印加される場合において、
前記第2の周波数に基づいて、前記第1の検出対象物を識別し、
前記電極アレイを構成する各電極と前記第1の検出対象物の表面との距離を、各電極に印加された前記第1の信号と前記第1の検出対象物に印加された前記第2の信号との干渉波を利用して検出する、または、前記第1の検出対象物の表面の凹凸を、一の電極から出力された前記干渉波と他の電極から出力された前記干渉波とを利用して生成された信号を利用して検出すると共に、
前記第1の信号が前記電極アレイを構成する前記複数の電極に印加され、第3の周波数を有する第3の信号が第2の検出対象物に印加される場合において、
前記第3の周波数に基づいて、前記第2の検出対象物を識別し、
前記電極アレイを構成する各電極と前記第2の検出対象物の表面との距離を、各電極に印加された前記第1の信号と前記第2の検出対象物に印加された前記第3の信号との干渉波を利用して検出する、または、前記第2の検出対象物の表面の凹凸を、一の電極から出力された前記干渉波と他の電極から出力された前記干渉波とを利用して生成された信号を利用して検出する、
検出部と;
前記第1の検出対象物について検出された前記距離又は前記凹凸を利用して、前記第1の検出対象物の表面の形状を画面に表示し、
前記第2の検出対象物について検出された前記距離又は前記凹凸を利用して、前記第2の検出対象物の表面の形状を画面に表示する、
表示部と;
を備えることを特徴とする表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−79897(P2009−79897A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−246992(P2007−246992)
【出願日】平成19年9月25日(2007.9.25)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】