説明

センサ装置及び該センサ装置を備えたペダル支持装置

【課題】軸部及び本体部を有するセンサを、二つの立壁部間の距離を最小にした状態で適切に配置し得るセンサ装置、及びこれを備えたペダル装置を提供する。
【解決手段】二つの板部(立壁部)11及び12に、夫々、センサ21及び22の取付部を収容する取付孔11c及び12cが形成され、各取付孔の内径より小でセンサの各軸部21d及び22dの外径(D)より大の幅(G)を有するスリット11s及び12sが形成されている。二つのセンサの軸方向長さの和(=2・Ls)が立壁部間の距離(W)より大で、本体部21a及び22aの軸方向長さの和(=2・La)が距離(W)より小の位置関係にあり、スリットを介して夫々各軸部が挿通され、各取付部が夫々各取付孔に収容された状態で、各本体部が夫々立壁部に固定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサ装置に関し、特に、少なくとも軸部及び本体部を有する二つのセンサを、二つの立壁部間に配置して成るセンサ装置に係る。また、このセンサ装置及びペダルを備え、ペダルの揺動に応じてセンサ装置を駆動するように支持するペダル支持装置に関し、特に、ブレーキペダルの支持に好適なペダル支持装置に係る。
【背景技術】
【0002】
一般的に、車両用ブレーキペダルの支持装置には吊下げ式と立上り式があり、何れもブレーキペダルの踏み込みを検出するストップスイッチが配置される。例えば下記の特許文献1には、吊下げ式のブレーキペダルにおけるペダルの踏み込み検出装置が開示されている。即ち、「ペダルブラケットにペダルのペダルアームを揺動可能に支持し、該ペダルの踏み込み動作を検出するペダルの踏み込み検出装置において、上記ペダルのペダルアームにステーを装着し、ペダルのフルストローク近傍の該ステーの回動軌跡上に検出部を位置させた検出手段を上記ペダルブラケットに配設した」装置が記載されている。
【0003】
更に、ブレーキペダルのストローク(踏込量、操作量)を検出するセンサ装置として、回転角センサを備えたセンサ装置も知られており、例えば、センサ装置とブレーキペダルが取付ブラケットに支持され、ブレーキペダルの揺動に応じてセンサ装置を駆動するように配置される。このようなセンサ装置として、近時は、フェールセーフ等の理由で、二つの回転角センサを備え、これらをブレーキペダルの揺動に応じて駆動し、その操作量を回転角として検出することも提案されている。
【0004】
【特許文献1】特開2001−1785号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記二つの回転角センサを備えたセンサ装置において、例えば各センサは軸部及び本体部を有し、二つの立壁部間に配置されるが、取付空間の制約上、これらの二つの立壁部の間隔はできるだけ小さくことが要請される。しかし、軸部及び本体部を有する一般的な構成の回転角センサの小型化にも自ら制限がある。従って、これらを併設する場合においては、二つの立壁部の間隔を最小とするため、二つのセンサの各本体部の軸方向長さの和が二つの立壁部間の距離より小の位置関係にすると、軸部を含む二つのセンサの軸方向長さの和は二つの立壁部間の距離より大となるので、そのままでは装着できないことになる。これに対処するため、例えば軸部を着脱可能にする等、センサ装置に改良を加えることとすると、汎用のセンサを用いることはできず、コストアップとなる。
【0006】
そこで、本発明は、少なくとも軸部及び本体部を有する汎用のセンサであっても、これらのセンサを、二つの立壁部間の距離を最小にした状態で適切に配置し得るセンサ装置を提供することを課題とする。
【0007】
また、本発明は、上記のセンサ装置及びペダルを備え、ペダルの揺動に応じてセンサ装置を適切に駆動し得るペダル支持装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を達成するため、本発明のセンサ装置は、請求項1に記載のように、少なくとも軸部及び本体部を有する二つのセンサを、二つの立壁部間に配置し、前記二つのセンサの各々の本体部が対向するように前記二つのセンサを夫々前記二つの立壁部に支持して成り、前記二つのセンサの軸方向長さの和が前記二つの立壁部間の距離より大で、前記二つのセンサの各本体部の軸方向長さの和が前記二つの立壁部間の距離より小の位置関係にあるセンサ装置において、前記二つの立壁部に夫々、前記二つのセンサの各本体部の一端部を収容する取付孔を形成すると共に、各取付孔の内径より小で前記二つのセンサの各軸部の外径より大の幅を有し、夫々各取付孔を各立壁部外に連通するスリットを形成して成り、該スリットを介して前記二つのセンサの各軸部を挿通し、前記二つのセンサの各本体部の一端部を夫々前記二つの立壁部の各取付孔に収容した状態で、前記二つのセンサの各本体部を夫々前記二つの立壁部に固定することとしたものである。
【0009】
前記二つのセンサの各本体部を夫々前記二つの立壁部に固定する手段としては、請求項2に記載のように、複数のビスで構成するとよい。更に、請求項3に記載のように、一対の平行の板部を有し平面視コ字状に形成されたブラケットを備えたものとし、該ブラケットの一対の平行の板部が夫々前記二つの立壁部を構成するようにしてもよい。
【0010】
そして、本発明のペダル支持装置は、請求項4に記載のように、前記各センサ装置を備えると共に、前記二つのセンサの各々に連結するリンク機構と、該リンク機構に接続し揺動自在に支持するペダルを備えることとしたものである。そして、請求項5に記載のように、前記センサ装置と前記ペダルを装着する取付ブラケットを備えたものとし、該取付ブラケットに対し前記ペダルを揺動自在に支持することとするとよい。更に、請求項6に記載のように、前記取付ブラケットに支持するスイッチ装置を備えたものとし、該スイッチ装置を前記ペダルの揺動に応じて駆動するように構成してもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明は上述のように構成されているので以下の効果を奏する。即ち、請求項1に記載のように構成されたセンサ装置においては、軸部及び本体部を有する二つのセンサを、その各軸部を二つの立壁部の各スリットを介して挿通し、各本体部の一端部を夫々二つの立壁部の各取付孔に収容した状態で、各本体部を夫々二つの立壁部に固定するように構成されているので、軸部及び本体部を有する汎用のセンサであっても、このセンサを二つ並置し、二つの立壁部間の距離を最小にした状態で適切に配置することができ、小型に形成することができる。
【0012】
更に、請求項2又は3に記載のように構成すれば、部品点数が少なく組み付けも容易であり、安価で小型のセンサ装置を提供することができる。
【0013】
そして、請求項4に記載のように構成されたペダル支持装置においては、二つのセンサを、二つの立壁部間の距離を最小にした状態で適切に配置した小型のセンサ装置を備え、これを適切に駆動することができる。
【0014】
更に、請求項5に記載のように構成すれば、部品点数が少なく組み付けが容易なペダル支持装置を提供することができる。また、請求項6に記載のように構成すれば、更にスイッチ装置も容易且つ適切にペダル支持装置に装着することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の望ましい実施形態を図面を参照して説明する。図1は本発明の一実施形態に係るセンサ装置の組み付け前の状態を示すもので、センサブラケット10に、二つのセンサ21及び22が装着される。本実施形態では、センサ21及び22として、一対の回転角センサが用いられ、これらは、例えば後述するブレーキペダル(図1では省略)のストロークセンサに供される。図1に示すように、本実施形態では、センサ21及び22は、夫々軸部21d及び22dと本体部21a及び22aを有し、本体部21a及び22aは、夫々胴部21b及び22bと取付部21c及び22cから成る。
【0016】
一方、本実施形態のセンサブラケット10は、図1に示すように、一対の平行の板部11及び12とこれらを接続する取付部13が、平面視コ字状に一体的に形成されたもので、板部11及び12が夫々二つの立壁部を構成している。二つの板部(立壁部)11及び12には、夫々、センサ21及び22の各本体部21a及び22aの一端部である取付部21c及び22cを収容する取付孔11c及び12cが形成されている。そして、板部11及び12には夫々スリット11s及び12sが形成されており、これらのスリット11s及び12sには、各取付孔11c及び12cの内径より小でセンサ21及び22の各軸部21d及び22dの外径(D)より大の幅(G)を有し、これらのスリット11s及び12sを介して、夫々各取付孔11c及び12cが各板部(立壁部)11及び12外に連通(図1の上方に開口)するように構成されている。
【0017】
図1に示す各部品の寸法関係は、以下のように設定されている。即ち、二つのセンサ21及び22の軸方向長さ(本実施形態では同一であり、Lsで示す)の和(=2・Ls)が二つの板部(立壁部)11及び12間の距離(W)より大で、センサ21及び22の各本体部21a及び22aの軸方向長さ(本実施形態では同一であり、Laで示す)の和(=2・La)が二つの板部(立壁部)11及び12間の距離(W)より小の位置関係にある(即ち、2・Ls>W、且つ2・La<W)。尚、センサ21及び22の軸方向長さ(Ls)は、本体部21a及び22aの軸方向長さ(La)と軸部21d及び22d(本実施形態では同一であり、Ldで示す)の和(La+Ld)である。
【0018】
而して、スリット11s及び12sを介して夫々センサ21及び22の各軸部21d及び22dが挿通され、センサ21及び22の各取付部21c及び22cが夫々各取付孔11c及び12cに収容された状態で、各本体部21a及び22aが、複数のビス30によって、夫々二つの板部(立壁部)11及び12に固定され、図5乃至図7に示すセンサ装置が構成される。
【0019】
以下、図2乃至図7を参照して、図1に示す各部品の組付手順を説明する。上述の寸法関係では、例えば図1の右前方からセンサ21及び22を板部11及び12間に収容することはできない。従って、先ず、センサ21の軸部21dが一方のスリット11sを介して挿通され、センサ21の取付部21cが取付孔11cに収容された状態で、本体部21aが、複数のビス30によって、板部(立壁部)11に固定されると、センサ21は図2乃至図4に示す装着状態となる。次に、センサ22については、軸部22dが一方のスリット12sを介して挿通される状態が図2乃至図4に示されている。同図から明らかなように、センサ22の胴部22bは、センサ21の胴部21bと板部(立壁部)12との間の空間に容易に収容され、センサ22の取付部22cは取付孔12cに確実に収容される。そして、その状態で、本体部22aが、複数のビス30によって、板部(立壁部)12に固定されると、図5乃至図7に示すように、センサ21及び22は二つの板部(立壁部)11及び12間に適切に収容された状態となる。
【0020】
尚、本実施形態においては、センサ21及び22は同じものが用いられているが、相互に異なる大きさのものを用いることとしてもよい。また、二つの立壁部として、同一の取付孔11c及び12c並びにスリット11s及び12sが形成された板部11及び12が用いられているが、相互に異なる形状の孔を有する板部(図示せず)用いてもよく、あるいは車体凹部の内側壁部(図示せず)が立壁部を構成することとしてもよい。また、スリット11s及び12sは図1乃至図7に示す開口方向とは異なる方向に開口(連通)するように構成してもよい。
【0021】
上記の構成になるセンサ装置は、図8及び図9に示す車両用のブレーキペダル支持装置に装着される。即ち、二つのセンサ21及び22の各々にリンク機構41及び42が連結されており、これらのリンク機構41及び42はブレーキペダル50に接続される。具体的には、図8に示すように、センサブラケット10の取付部13(図1に示す)が取付ブラケット60に溶接等によって固着されており、この取付ブラケット60にブレーキペダル50が揺動自在に支持され、取付ブラケット60は車体の床F等に固定される。尚、取付ブラケット60にはマスタシリンダ100が固定され、マスタシリンダ100はクレビス70を介してブレーキペダル50に連結されている。従って、ブレーキペダル50は、その非作動時にはマスタシリンダ100によって図8に示す状態となるように付勢されている。
【0022】
次に、図8に表れているセンサ22とブレーキペダル50との連結関係を説明すると、センサ22の軸部22dがリンク機構42を介してブレーキペダル50に連結されている。このリンク機構42は、一端に屈曲部42aが形成されたL字状の板部材で構成され、その角部にセンサ22の軸部22dが固定されるプレートリンク42bと、このプレートリンク42bの他端に回動自在に連結され、長さ調整機構を備えたロッド42cを備え、このロッド42cがブレーキペダル50に揺動自在に支持されている。而して、ブレーキペダル50の揺動に応じてセンサ22の軸部22dが回動し、ブレーキペダル50のストローク(踏込量、操作量)が軸部22dの回転変位量に変換されるように構成されている。
【0023】
更に、取付ブラケット60の側面には、ストップランプスイッチを構成するスイッチ装置80が支持されている。即ち、取付ブラケット60の側面にスイッチブラケット90が固定されており、先端のノブ81がリンク機構42の屈曲部42aと対向するようにスイッチ装置80が配置され、スイッチブラケット90の先端部に固定されている。スイッチブラケット90の中間部には、外側に屈曲形成されたクランプ部91が形成されており、このクランプ部91の内側(図9の背面側)にスイッチ装置80のワイヤハーネス(図示せず)が係止される。尚、クランプ部91をスイッチ装置80の外形より大きく形成すると共に図9の正面から視認できない位置に形成すれば、スイッチ装置80への接触を防止するカバーとして機能する。
【0024】
而して、図8に示すブレーキペダル50の非作動時には、スイッチ装置80のノブ81にリンク機構42の屈曲部42aが当接し、ノブ81が押圧され、スイッチ装置80はオフ(開)となるように配置されている。そして、ブレーキペダル50の踏み込み操作に伴う揺動に応じて、プレートリンク42bは反時計方向に回動し、屈曲部42aはノブ81から離脱するとスイッチ装置80はオフ(開)状態からオン(閉)となる。
【0025】
以上のように、立上り式のブレーキペダル支持装置が構成され、図8に示すように、センサ21及び22並びにスイッチ装置80は何れも、ブレーキペダル50の裏側(踏み込み側)で、作動に支障がない位置に配設されている。そして、ブレーキペダル50が踏み込まれると、スイッチ装置80がオフ(開)状態からオン(閉)とされてストップランプ(図示せず)が点灯されると共に、センサ21及び22がブレーキペダル50の踏込量(操作量)に応じて駆動され、ブレーキペダル50のストロークに応じた信号がセンサ21及び22から出力される。この場合において、ブレーキペダル50が最大限まで踏み込まれた状態を図9に示すように、ブレーキペダル50の踏み込み操作の間、ブレーキペダル50がスイッチ装置80並びにセンサ21及び22と干渉することはない。また、図8に示すように、センサ21及び22並びにスイッチ装置80は取付ブラケット60に支持され、車体の床Fから離隔した位置に配置されているので、例えば車体の床F上に水が侵入しても、これに没するおそれはない。尚、上記のブレーキペダル支持装置と同様、前述の構成になるセンサ装置を、アクセルペダル支持装置に適用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の一実施形態に係るセンサ装置の組付前の状態を示す斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るセンサ装置の組付状態を示す斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るセンサ装置の組付状態を示す正面図である。
【図4】本発明の一実施形態に係るセンサ装置の組付状態を示す平面図である。
【図5】本発明の一実施形態に係るセンサ装置の組付後の状態を示す斜視図である。
【図6】本発明の一実施形態に係るセンサ装置の組付後の状態を示す正面図である。
【図7】本発明の一実施形態に係るセンサ装置の組付後の状態を示す平面図である。
【図8】本発明の一実施形態に係るセンサ装置を備えたブレーキペダル支持装置を示す側面図である。
【図9】本発明の一実施形態に係るセンサ装置を備えたブレーキペダル支持装置の踏込状態を示す側面図である。
【符号の説明】
【0027】
10 センサブラケット
11,12 板部(立壁部)
11c,12c 取付孔
11s,12s スリット
13 取付部
21,22 センサ
21a,22a 本体部
21b,22b 胴部
21c,21c 取付部
21d,22d 軸部
41,42 リンク機構
50 ブレーキペダル
60 取付ブラケット
70 クレビス
80 スイッチ装置
90 スイッチブラケット
100 マスタシリンダ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも軸部及び本体部を有する二つのセンサを、二つの立壁部間に配置し、前記二つのセンサの各々の本体部が対向するように前記二つのセンサを夫々前記二つの立壁部に支持して成り、前記二つのセンサの軸方向長さの和が前記二つの立壁部間の距離より大で、前記二つのセンサの各本体部の軸方向長さの和が前記二つの立壁部間の距離より小の位置関係にあるセンサ装置において、前記二つの立壁部に夫々、前記二つのセンサの各本体部の一端部を収容する取付孔を形成すると共に、各取付孔の内径より小で前記二つのセンサの各軸部の外径より大の幅を有し、夫々各取付孔を各立壁部外に連通するスリットを形成して成り、該スリットを介して前記二つのセンサの各軸部を挿通し、前記二つのセンサの各本体部の一端部を夫々前記二つの立壁部の各取付孔に収容した状態で、前記二つのセンサの各本体部を夫々前記二つの立壁部に固定して成ることを特徴とするセンサ装置。
【請求項2】
前記二つのセンサの各本体部を夫々前記二つの立壁部に固定する手段が、複数のビスであることを特徴とする請求項1記載のセンサ装置。
【請求項3】
一対の平行の板部を有し平面視コ字状に形成されたブラケットを備え、該ブラケットの一対の平行の板部が夫々前記二つの立壁部を構成することを特徴とする請求項1記載のセンサ装置。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか一項に記載のセンサ装置を備えると共に、前記二つのセンサの各々に連結するリンク機構と、該リンク機構に接続し揺動自在に支持するペダルを備えたことを特徴とするペダル支持装置。
【請求項5】
前記センサ装置と前記ペダルを装着する取付ブラケットを備え、該取付ブラケットに対し前記ペダルを揺動自在に支持することを特徴とする請求項4記載のペダル支持装置。
【請求項6】
前記取付ブラケットに支持するスイッチ装置を備え、該スイッチ装置を前記ペダルの揺動に応じて駆動するように構成したことを特徴とする請求項5記載のペダル支持装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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