説明

センサ駆動回路、及びそれを用いた物理量センサ

【課題】振動型ジャイロスコープにおいて、センサ素子の検出感度の温度依存性をより広い温度範囲にて好適に補償可能とする。
【解決手段】温度特性f(T)を有する振動子に対して、励振レベルを1/f(T)で変化させる補償を行う。制御回路108は温度電圧生成回路110からf(T)で変化する電圧Vtempを入力され、温度に依存しない基準電流を供給される可変抵抗回路106の抵抗値を制御して電圧降下をVtempに一致させる。可変抵抗回路106と同一構成の可変抵抗回路104は制御回路108の制御信号によりf(T)に応じた抵抗温度特性を与えられる。反転増幅回路102は励振レベルに応じたモニタ電圧を入力され、発振信号を増幅する可変利得増幅回路42のゲインを制御する。反転増幅回路102の反転入力端子には可変抵抗回路104が接続され、1/f(T)に応じて変化する補正電流Icをモニタ電流Imから減じる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動子を振動させて物理量に応じた検出信号を出力するセンサ素子を駆動するセンサ駆動回路、及びそれを用いた物理量センサに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、角速度センサとして圧電振動子等を用いた振動型ジャイロスコープが広く用いられている。振動型ジャイロスコープは振動する物体に加わるコリオリの力から角速度を検出する。コリオリの力が振動物体の速度に比例することから振動型ジャイロスコープの検出感度は原理上、振動子の励振レベルに比例する。また、当該検出感度は温度によって変化することが知られている。この原因の一つとして、周囲温度の変化によって振動子やその周辺回路の感度が変化することが考えられる。
【0003】
図4は従来の振動型ジャイロスコープ2のブロック構成図であり、圧電振動子を用いたセンサ素子4と、センサ素子4を駆動する発振信号を生成する駆動回路6と、センサ素子4からの検出信号から角速度に比例した直流電圧信号を抽出する検出回路8とからなる。温度変化によるセンサ素子4又は検出回路8での検出感度の変化を補償する従来技術として、駆動回路6によるセンサ素子4の励振レベルを温度に応じて変化させることが提案されている(特許文献1)。当該技術では発振ループのAGC(Automatic Gain Control:自動利得制御)アンプ10のゲインを温度補正することで、検出感度の温度に対する直線的な変化を補償する。具体的には、サーミスタ等の感温素子を備えて温度変化を検出すると共に、ゲインを温度変化の一次関数とする。すなわち、検出感度における温度増加に伴い直線的に増加する温度特性に対して、ゲインを直線的に減少させて当該温度特性の補償を図る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平4−278414号公報
【特許文献2】特開2007−292680号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
検出感度が温度変化の一次関数である場合にゲインを一次関数で変化させると、検出感度は温度変化の二次関数となる。そのため、二次関数の極値付近では温度依存性を抑制することが可能であるが、温度変化が大きいと検出感度の温度変化が好適には補償されないという問題があった。
【0006】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、検出感度の温度特性をより広い温度範囲にて好適に補償可能なセンサ駆動回路及び物理量センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るセンサ駆動回路は、振動子を備えたセンサ部と共に帰還型発振回路を構成し、発振信号により前記振動子を励振し駆動するものであって、前記発振回路において前記発振信号を増幅する可変利得増幅部と、前記可変利得増幅部の利得を制御して前記発振信号の振幅をフィードバック制御する振幅制御信号を生成する利得制御部と、を有し、前記利得制御部は、前記発振信号の振幅が前記センサ部の検出感度の温度特性に反比例するように前記振幅制御信号を生成する。
【0008】
他の本発明に係るセンサ駆動回路においては、前記利得制御部は、温度変化に対して前記センサ部の検出感度の温度特性に相当する特性で抵抗値を制御される抵抗回路を用いて前記振幅制御信号を生成する。
【0009】
さらに他の本発明に係るセンサ駆動回路においては、前記利得制御部は、前記抵抗回路を用いて、前記抵抗値の逆数に比例した補正電流を生成する補正電流生成手段と、前記発振信号の振幅に応じたモニタ電流を生成し、当該モニタ電流と前記補正電流とに基づいて前記振幅制御信号を生成する振幅制御信号生成手段と、を有する。
【0010】
他の本発明に係るセンサ駆動回路においては、前記振幅制御信号生成手段は、前記発振信号の振幅に応じたモニタ電圧を入力され前記振幅制御信号を出力する、演算増幅器を用いた反転増幅回路を有し、前記補正電流生成手段は、一方端子を前記演算増幅器の反転入力端子に接続され、他方端子を前記モニタ電圧とは逆極性の基準電圧を与える基準電圧源に接続された前記抵抗回路を有する。
【0011】
上記本発明に係るセンサ駆動回路においては、前記抵抗回路は、その抵抗値を前記センサ部の検出感度の温度特性に応じた直線的な特性で変化させる構成とすることができる。
【0012】
また他の本発明に係るセンサ駆動回路は、前記抵抗回路であって抵抗値を電圧制御可能な構成を有する第1の可変抵抗回路と、前記第1の可変抵抗回路の抵抗値を制御する抵抗制御部と、を有し、前記抵抗制御部は、抵抗値を電圧制御可能であって、共通の抵抗制御電圧での当該抵抗値と前記第1の可変抵抗回路の抵抗値とが一定比となる構成を有し、基準電流源から温度に対し一定に保たれる基準電流が流れる第2の可変抵抗回路と、前記第1及び第2の可変抵抗回路に共通の前記抵抗制御電圧を供給しそれらの抵抗値を制御する制御回路と、温度に対して互いに異なる傾きで直線的に変化する複数の温度電圧を生成する温度電圧生成回路と、前記複数の温度電圧のうち任意の1つを選択でき、前記センサ部の検出感度の温度特性に基づいて選択される特定温度電圧を前記制御回路へ出力する温度電圧選択回路と、を有し、前記制御回路は、前記第2の可変抵抗回路での前記基準電流による電圧降下を前記特定温度電圧に一致させる前記抵抗制御電圧を生成する。
【0013】
別の本発明に係るセンサ駆動回路は、さらに、前記複数の温度電圧と対応させて複数の前記基準電流源を備えた基準電流生成回路と、前記複数の基準電流のうち任意の1つを選択でき、前記特定温度電圧と対応させて選択される前記基準電流を前記第2の可変抵抗回路へ供給する基準電流選択回路と、を有し、前記複数の基準電流源それぞれが出力する前記基準電流は、当該基準電流源に対応する前記温度電圧の所定の温度での値に比例した大きさに設定されている。
【0014】
別の本発明に係るセンサ駆動回路においては、前記温度電圧生成回路は、前記複数の温度電圧の一つとして前記温度に対して一定に保たれる定電圧を生成し、前記基準電流生成回路の前記各基準電流源は、前記定電圧に基づいて前記基準電流を生成する。
【0015】
さらに別の本発明に係るセンサ駆動回路においては、前記温度電圧生成回路は、バンドギャップ基準回路を用いて絶対温度に比例する温度電流を生成する回路と、複数の分圧点を有し、前記温度電流を入力され前記複数の温度電圧を出力する抵抗分割回路と、を有する。
【0016】
本発明に係る物理量センサは、励振状態にて検知対象とする物理量を検出する振動子を備え、前記検出感度が励振レベルに比例すると共に前記温度に対して直線的に変化するセンサ部と、上記センサ駆動回路のいずれかと、前記センサ部が出力する検出信号を信号処理して前記物理量に応じた出力信号を生成する検出回路と、を有する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、検出感度の温度特性をより広い温度範囲にて好適に補償可能となる。例えば、センサ部の検出感度が温度に対して増加する一次関数である場合に、センサ駆動回路の第1の抵抗回路の抵抗も温度に対して増加する一次関数に設定する。これにより、センサ部を励振する発振信号の振幅は抵抗回路の一次関数に反比例して減少する。よって、原理的に当該発振信号の振幅の温度変化によって検出感度の温度変化を相殺して一定に保つことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態に係る振動型ジャイロスコープの概略のブロック構成図である。
【図2】振幅制御電圧生成部、補正電流生成部及び抵抗制御部の構成をより詳細に示した回路図である。
【図3】温度電圧生成回路が生成する複数種類の温度電圧の模式的なグラフである。
【図4】従来の振動型ジャイロスコープのブロック構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態(以下実施形態という)について、図面に基づいて説明する。
【0020】
図1は実施形態に係る物理量センサである振動型のジャイロスコープ20の概略のブロック構成図である。ジャイロスコープ20は、センサ素子22、駆動回路24、及び検出回路26を含んで構成される。
【0021】
センサ素子22は、水晶等の圧電体からなる振動子30、互いに対をなす駆動電極32,34、及び互いに対をなす検出電極36,38からなる。駆動電極32,34は駆動回路24からの発振信号を振動子30に印加して、逆圧電効果により振動子30を励振する。励振された振動子30は角速度が加わるとコリオリ力により振動を生じ、圧電効果により電荷を生じる。検出電極36,38は当該振動により生じた電荷を電流として取り出し、検出回路26へ出力する。
【0022】
駆動回路24は電流電圧変換回路(以下、I/V変換回路)40、可変利得増幅回路42及び利得制御部44を有し、振動子30と共に帰還型発振回路を構成する。駆動回路24は発振信号S1を振動子30の駆動電極32に印加し、振動子30の振動に応じて駆動電極34から流れ出す電流をモニタして、発振信号の振幅をフィードバック制御する。
【0023】
I/V変換回路40は、駆動電極34から流れ出す帰還電流S2を入力され、電流電圧変換を行って可変利得増幅回路42へ帰還電圧信号S3として出力する。可変利得増幅回路42は利得制御部44からの振幅制御電圧S4によって利得Gampを制御され、当該利得でI/V変換回路40からの帰還電圧信号S3を増幅する。
【0024】
利得制御部44は、実効値回路50、振幅制御電圧生成部52、補正電流生成部54及び抵抗制御部56を有する。実効値回路50は帰還電圧信号S3の振幅に応じた直流のモニタ電圧として、帰還電圧信号S3の実効値電圧を生成して出力する。
【0025】
振幅制御電圧生成部52は、発振信号の振幅に応じたモニタ電流を生成し、当該モニタ電流から補正電流を減じて補正モニタ電流を生成し、当該補正モニタ電流に基づいて振幅制御電圧S4を生成する回路であり、その詳細については後述する。
【0026】
補正電流生成部54は抵抗値が温度に対して特定の温度特性で変化する抵抗回路を備え、当該抵抗回路の抵抗値の逆数に比例した補正電流を生成して振幅制御電圧生成部52に供給する。当該抵抗回路は抵抗値を電圧制御可能な可変抵抗回路(第1の可変抵抗回路)である。抵抗制御部56は当該可変抵抗回路の抵抗値を制御する。補正電流生成部54及び抵抗制御部56についてもさらに後述する。
【0027】
検出回路26は、検出増幅回路70、同期検波回路72、増幅回路74及びLPF(Low Pass Filter:低域通過フィルタ)76を有し、センサ素子22が出力する検出信号S5,S6を信号処理して、検出対象とする物理量である角速度に応じた出力信号を生成する。
【0028】
検出増幅回路70は、検出電極36,38に接続され、それらから入力される検出信号S5,S6をそれぞれ電圧値に変換する。また、検出増幅回路70は差動増幅回路を備え、電圧に変換された検出信号S5,S6に対して差動増幅を行う。
【0029】
同期検波回路72は検出増幅回路70からの出力信号S7を入力され、図示しないが駆動回路24の発振信号S1に基づいて同期検波を行い、検波出力S8を生成する。
【0030】
増幅回路74は同期検波回路72の検波出力S8を増幅して出力する。LPF76は増幅回路74の出力信号から高周波成分をカットして、振動子30に印加された角速度に応じた電気信号である角速度出力S9を抽出し出力端子78から出力する。
【0031】
なお、駆動回路24、検出回路26はシリコン基板等を用いた集積回路(Integrated Circuit:IC)として形成することができる。当該ICには、上述した出力端子78の他に、駆動回路24を駆動電極32,34に接続するための端子(又はパッド)80,82及び、検出回路26を検出電極36,38に接続するための端子(又はパッド)84,86が設けられる。また、抵抗制御部56の設定を切り替えるための信号を入力するための制御端子88も設けられる。
【0032】
図2は、振幅制御電圧生成部52、補正電流生成部54及び抵抗制御部56の構成をより詳細に示した回路図である。振幅制御電圧生成部52は演算増幅器100を用いた反転増幅回路102を有する。補正電流生成部54は可変抵抗回路104を有する。抵抗制御部56は可変抵抗回路106(第2の可変抵抗回路)、制御回路108、温度電圧生成回路110、温度電圧選択回路112、基準電流生成回路114及び基準電流選択回路116を有する。
【0033】
反転増幅回路102は、実効値回路50に接続される振幅制御電圧生成部52の入力端子と、演算増幅器100の反転入力端子(−)との間に接続された入力抵抗Riと、演算増幅器100の出力端子と反転入力端子(−)との間に接続された帰還抵抗Rfとを含んで構成される。反転増幅回路102は実効値回路50からモニタ電圧Vmを入力され、出力端子からの出力電圧Voが振幅制御電圧S4として可変利得増幅回路42へ出力される。また、演算増幅器100の非反転入力端子(+)はアナロググランドGND(電位Vg)に接続される。
【0034】
補正電流生成部54の可変抵抗回路104は、その抵抗値であるRv1を電圧制御可能である。可変抵抗回路104の一方端子は演算増幅器100の反転入力端子(−)に接続される。他方端子は、グランド電位Vgを基準としてモニタ電圧Vmとは逆極性の基準電圧Vssを与える基準電圧源に接続される。例えば、モニタ電圧VmをVgに対して正電位とすると、基準電圧Vssは負電位に設定される。つまり、可変抵抗回路104は反転増幅回路102の入力抵抗Riに対して直列に接続される。また基準電圧Vssは温度に非依存である。入力抵抗Riの一方端に印加されるモニタ電圧Vmは他方端の反転入力端子(−)の電位Vgとの電位差に応じた電流Im(モニタ電流)に変換され、当該モニタ電流Imは反転入力端子(−)へ向かって流れる。一方、可変抵抗回路104には反転入力端子(−)から基準電圧源(Vss)へ向かう電流Ic(補正電流)が流れる。すなわち、反転入力端子(−)にて可変抵抗回路104はモニタ電流Imから補正電流Icを減じ、残りの電流(Im−Ic)が帰還抵抗Rfを介して出力端子へ流れる電流If(補正モニタ電流)となる。ちなみに、可変抵抗回路104の抵抗値をRv1と表すと、帰還抵抗Rfは入力抵抗Ri及び可変抵抗Rv1より大きく設定され、モニタ電流Imのほとんどは可変抵抗回路104に流れるように構成される。
【0035】
抵抗制御部56に設けられる可変抵抗回路106は、可変抵抗回路104と同一構成を有しており、その抵抗値Rv2を電圧制御可能である。可変抵抗回路106の一方端は基準電流選択回路116を介して基準電流生成回路114に接続される。可変抵抗回路106の他方端は接地される。なお、本実施形態では、可変抵抗回路104,106は共通の制御電圧に対し同じ抵抗値となる例を示しているが、制御電圧を共通に変化させたときにそれら抵抗値の比が一定に保たれる構成とすることもできる。
【0036】
可変抵抗回路104,106は電圧−電流変換回路(Operational Transconductance Amplifier:OTA)を用いて構成される。可変抵抗回路104,106を構成するOTA120,122は差動入力端子(+)及び(−)への入力電圧Vinに応じた電流Ioutを出力し、トランスコンダクタンスをgmで表すと、
Iout=gm・Vin ・・・(1)
である。OTA120,122はそれぞれ電流出力端子が差動入力端子(+)と短絡されており、差動入力端子間の電圧Vと電流Iとに次式の関係が成り立つ。なお、本実施形態では、OTA120,122は差動入力端子(+)に引き込む向きに電流Iが流れるように構成されている。
I=gm・V
【0037】
すなわち、OTA120,122は差動入力端子(+),(−)を両端とし、抵抗値がトランスコンダクタンスの逆数(1/gm)で与えられる抵抗素子として機能する。また、OTA120,122のgmは制御回路108の出力信号によって変化し、これによりOTA120,122は可変抵抗回路として機能する。
【0038】
制御回路108は演算増幅器124を用いて構成される。演算増幅器124は一方の入力端子に温度電圧生成回路110が生成する複数の温度電圧のうちの1つである特定温度電圧Vtempを入力され、他方の入力端子に可変抵抗回路106の一方端の電位Vvを入力される。また、演算増幅器124の出力端子から出力される電圧(抵抗制御電圧)はOTA122のgmを制御し、演算増幅器124はフィードバック制御により電位Vvを特定温度電圧Vtempに一致させる。基準電流生成回路114から可変抵抗回路106に供給される基準電流をIrefと表すと、可変抵抗回路106の抵抗値Rv2は次式で与えられる。
Rv2=Vtemp/Iref ・・・(2)
【0039】
既に述べたように可変抵抗回路104,106は同一構成であり、また制御回路108は演算増幅器124が出力する抵抗制御電圧によってOTA120のgmもOTA122のgmと共通に制御するので、可変抵抗回路104の抵抗値Rv1は可変抵抗回路106の抵抗値Rv2と同一の値(Rvとする)に設定される。
【0040】
温度電圧生成回路110は、温度Tに対して互いに異なる傾きで直線的に変化するN種類(Nは2以上の自然数である。)の温度電圧Vt(k)(kはN以下の自然数である。)を生成する。例えば、温度電圧生成回路110は、バンドギャップ基準回路を用いて絶対温度に比例する温度電流Itempを生成する温度電流生成回路130と、複数の分圧点を有し、温度電流Itempを入力されN種類の温度電圧Vt(k)を出力する抵抗分割回路132とからなる。
【0041】
温度電流生成回路130は、正電圧電源VddとグランドGNDとの間に形成された2つの電流路を有し、また、抵抗分割回路132と共に第3の電流路を形成する。これら3つの電流路にそれぞれ設けられたMOSトランジスタのゲートは演算増幅器134の出力端子に共通に接続される。第1の電流路には電源Vdd側からMOSトランジスタM1、抵抗素子R1及びpnpトランジスタQ1が直列に配置される。第2の電流路にはMOSトランジスタM2及びpnpトランジスタQ2が直列に配置される。第3の電流路にはMOSトランジスタM3と、抵抗分割回路132を構成する抵抗回路R3及びpnpトランジスタQ3とが直列に配置される。
【0042】
トランジスタQ1〜Q3はそれぞれのベース及びコレクタを接地される。これらトランジスタQ1〜Q3は同じ特性に作られるが、トランジスタQ1のエミッタはトランジスタQ2と比較してK倍(K>1)のサイズを有し、トランジスタQ1,Q2それぞれのベース−エミッタ間電圧Vbe1,Vbe2はVbe1<Vbe2となる。演算増幅器134は抵抗R1での電圧降下とトランジスタQ1のVbe1との和と、トランジスタQ2のVbe2とが等しくなるように、第1及び第2の電流路に流れる電流を制御する。これにより得られる電流は絶対温度Tに比例する。
【0043】
トランジスタM1及びM2とトランジスタM3とはカレントミラー回路を構成し、第3の電流路に流れる電流(温度電流)Itempも絶対温度Tに比例する。温度電流Itempは抵抗分割回路132の抵抗回路R3に入力される。Itempが温度Tに比例することから、抵抗回路R3上の各点から取り出される温度電圧Vt(k)も温度に応じて直線的に変化し、その傾きは第3の電流経路の一方端の電源Vddに近い点ほど大きくなる。トランジスタQ3のベース−エミッタ間電圧は負の温度依存性を有するので、第3の電流経路の他方端に近い点からの温度電圧Vt(k)の傾きは負となる。また、抵抗回路R3には温度電圧の傾きが0になる分圧点が設定され、当該分圧点からN種類の温度電圧Vt(k)の一つとして温度Tに対して一定に保たれる定電圧V0が取り出される。
【0044】
図2に示す温度電圧生成回路110は単純化のため、N=3の場合を示しており、Vt(1)が温度Tに対して正の傾きを有し、Vt(2)が定電圧V0に設定され、またVt(3)が負の傾きに設定されている。図3は、これら温度電圧Vt(k)の模式的なグラフであり、横軸が温度T、縦軸が電圧である。
【0045】
温度電圧選択回路112は、温度電圧生成回路110からのN種類の温度電圧Vt(k)を入力され、それらのうち任意の1つを制御回路108へのVtempとして選択するスイッチ回路である。例えば、温度電圧選択回路112は、制御端子88に入力される信号によって切り替えられるように構成されている。ジャイロスコープ製造者はジャイロスコープ20の出荷時や使用開始時などに測定されるセンサ素子22の検出感度(及び検出回路26)の温度特性に基づいて特定温度電圧Vtempとする温度電圧Vt(k)を選択し、当該選択に基づいて温度電圧選択回路112を切り替える。
【0046】
温度勾配の異なるVtempを設定できるように構成したことにより、(2)式から理解されるように、可変抵抗回路104,106の抵抗値RvをVtempに応じた温度係数で変化させることができる。
【0047】
基準電流生成回路114は、温度電圧Vt(k)と対応させてN種類の基準電流源を備える。各基準電流源はそれぞれ温度Tに対し一定に保たれる基準電流Ir(k)を生成する。例えば、基準電流生成回路114は、温度電圧生成回路110が生成する定電圧V0に基づいて基準電流Ir(k)を生成することにより、基準電流Ir(k)を温度Tに対して一定とすることが可能である。本実施形態の基準電流生成回路114は、MOSトランジスタM4に直列に接続された抵抗R0の電圧降下が定電圧V0に一致するように、演算増幅器140がトランジスタM4のソース−ドレイン間電流を制御する。MOSトランジスタM5〜M7それぞれはトランジスタM4とカレントミラー回路を構成し、トランジスタM4の電流は、各カレントミラー回路のミラー比に応じた電流をトランジスタM5〜M7に生じる。これらトランジスタM5〜M7の電流が基準電流Ir(k)となる。
【0048】
N種類の基準電流源それぞれが出力する基準電流Ir(k)は、当該基準電流源に対応する温度電圧Vt(k)の室温T0での値に比例した大きさに設定されている。具体的には、温度電圧Vt(k)が温度Tの関数であることをVt(k,T)と表すと、図2の構成では、
Ir(1)/Vt(1,T0)=Ir(2)/Vt(2,T0)=Ir(3)/Vt(3,T0) ・・・(3)
となるようにトランジスタM5〜M7が設計される。
【0049】
基準電流選択回路116は、基準電流生成回路114からのN種類の基準電流Ir(k)を入力され、それらのうち任意の1つを可変抵抗回路106へのIrefとして選択するスイッチ回路である。例えば、基準電流選択回路116は温度電圧選択回路112と同様、制御端子88に入力される信号によって切り替えられるように構成される。その際、ユーザは特定温度電圧Vtempとして選択する温度電圧Vt(k)に対応した基準電流Ir(k)をIrefとして選択するように基準電流選択回路116を設定できる。
【0050】
このように特定温度電圧Vtempに対応させて基準電流Irefを設定した場合、(2),(3)式から理解されるように、室温T0での可変抵抗回路104,106の抵抗RvはVtempの選択に依存せず一定値に設定される。例えば、室温T0は25℃とすることができる。なお、抵抗RvがVtempの選択に依らず一定値となる温度T0は、例えばジャイロスコープ20が出荷前に調整される室温とすることができる。なお、温度T0はジャイロスコープ20の使用される温度範囲を代表する温度であればよく、使用環境に応じて室温以外に設定してもよい。
【0051】
本実施形態のジャイロスコープ20は上述の駆動回路24の構成により、センサ素子22の検出感度など検出系が有する温度特性を補償することができる。次に、当該補償がどのように行われるかについて説明する。
【0052】
振幅制御電圧生成部52にて補正電流Icを引かない構成において、発振回路の励振レベルが安定した状態でのモニタ電流をIm0と表す。振幅制御電圧生成部52にて補正電流Icを引く構成では、振幅制御電圧S4を生成する増幅器への実質的な入力信号は補正モニタ電流(Im−Ic)に比例し、振幅制御電圧生成部52はこれをIm0にするようにフィードバック制御を行う。すなわち、当該構成では、モニタ電流Imが(Im0+Ic)である状態で励振レベルが安定する。ここで、補正電流IcがIc≫Im0である場合にはIm≒Icとなり、モニタ電流Imで表される励振レベルは補正電流Icに比例するとみなせる。ちなみに、Ic≫Im0という条件は、増幅器の入力インピーダンスが高ければ成り立ち、特に演算増幅器を用いる場合には好適に成り立つ。
【0053】
補正電流Icは可変抵抗回路104の抵抗値Rvに反比例し、当該抵抗値RvはVtempに応じた温度特性を有する。例えば、センサ素子22の検出感度等が温度Tに対して一次関数f(T)で変化する場合に、Vtempをf(T)に比例する温度特性に設定することにより、Icは温度Tに対して1/f(T)に従って変化する。よって、Im≒Icである場合に振動子30の励振レベルの温度特性g(T)は1/f(T)に従って変化する。ジャイロスコープ20の出力信号の温度特性は、振動子30の励振レベルの制御の特性g(T)と検出系の温度特性f(T)との積で与えられるので、上述の補正電流Icを減じる構成では温度特性f(T)は励振レベルの特性g(T)により相殺され、出力端子78から温度に依存しない角速度出力S9を得ることができる。
【0054】
以上、本発明による温度特性f(T)の補償の原理を概念的に説明した。次に当該原理を図2に示す、演算増幅器100を用いた反転増幅回路をベースとする振幅制御電圧生成部52についてより具体的に説明する。
【0055】
演算増幅器100の非反転入力端子(+)に印加されるグランドGNDの電位を基準に考えると、非反転入力端子(+)及び反転入力端子(−)の電位は0として扱える。実効値回路50から反転増幅回路102の入力抵抗Riに印加されるモニタ電圧Vmにより抵抗Riに流れるモニタ電流Imと、可変抵抗回路104が引く補正電流Icと、演算増幅器100の帰還抵抗Rfに流れる電流Ifとの間には、次の関係式が成り立つ。
Im−Ic=If ・・・(4)
【0056】
(4)式はオームの法則を用いて次式となる。なお、Voは演算増幅器100の出力端子の電位である。
Vm/Ri+Vss/Rv=−Vo/Rf ・・・(5)
【0057】
通常、RfはRi、Rvに比べて十分に大きいことや、上述のようにIcがIm0より十分に大きく設定されることから、(5)式の右辺を0と見なす近似を行うと、
Vm ∝ Rv−1・・・(6)
となる。よって、Rvの温度特性を検出系の温度特性f(T)に合わせれば、Vmで表される振動子30の励振レベルについてf(T)に反比例する温度特性g(T)を与えることができ、ジャイロスコープ20の角速度出力S9における温度依存性を打ち消すことができる。
【0058】
なお、上に概念的に説明した温度特性f(T)の補償の原理は振幅制御電圧生成部52が反転増幅回路以外の構成であっても適用できる。また、当該原理は、温度特性f(T)が温度Tの一次式で表されるものであるか否かには関係なく成り立ち、例えば、二次式などより高次又は複雑な関数形状であってもよい。
【0059】
しかしながら、実際には、ジャイロスコープ20の使用温度範囲では温度特性f(T)を直線的な変化として扱える場合が多い。そこで、本実施形態では、温度特性f(T)が一次関数である場合、又は直線的な変化と見なせる場合に好適な構成として、抵抗値が直線的に変化する抵抗回路を用いて補正電流Icを生成するものを示している。
【0060】
ここで、補正電流生成部54に設ける抵抗回路は、補償対象とする検出系の温度特性f(T)に応じた温度特性を有するものであればよいので、抵抗回路の温度特性は固定であってもよい。例えば、出荷時に温度特性f(T)を測定して、当該特性に合った抵抗素子や抵抗回路を補正電流生成部54に組み込んでもよい。
【0061】
一方、補正電流生成部54の抵抗回路の温度特性を可変にしたり、複数の特性の中から選択可能に構成すれば補償作業が簡単になる。この観点からは、例えば、補正電流生成部54に温度係数が異なる複数の抵抗素子を予め設けておき、それらのいずれかをスイッチ回路で選択する構成とすることが可能である。ちなみに、抵抗の温度係数は多くの金属では正であり、ポリシリコンでは負にすることができる。よって、抵抗を構成する材料を選択することで温度特性が異なる複数の抵抗素子を作ることが可能である。
【0062】
本実施形態では、補正電流生成部54の抵抗回路の温度係数は抵抗回路R3の分圧比や電気回路の回路定数により調整される。この構成では、抵抗材料を選択する構成とは異なり、温度係数を回路設計で設定することができるので温度係数の設定の自由度が高い。よって、補正電流生成部54の抵抗回路の温度特性を温度特性f(T)に一致又はf(T)を好適に近似させることが容易である。また、当該構成は温度依存性がない電圧や抵抗を精度良く作ることができるので、例えば、温度依存性がない基準電流を生成する基準電流生成回路114を構成する上で当該構成は有用である。
【0063】
具体的には、補正電流生成部54の抵抗回路の温度特性は上述したように、温度電圧生成回路110が生成する温度電圧Vt(k)によって与えられる。本実施形態では温度電圧生成回路110はバンドギャップ基準回路を用いて構成しているが、本発明は当該構成には限定されず、温度依存性を有する電圧を生成可能な他の公知の回路を用いて温度電圧生成回路110を構成してもよい。
【0064】
特定温度電圧Vtempが有する所望の温度特性は、基準電流生成回路114及び制御回路108を用いて可変抵抗回路106の抵抗値Rvに転写される。さらに補正電流生成部54の可変抵抗回路104が可変抵抗回路106と同じ抵抗値に制御されることによって、補正電流生成部54はVtempの温度特性に対して反比例する温度特性で変化する補償電流Icを生成する。
【0065】
さて、バンドギャップ基準回路を用いて得られる複数の温度電圧Vt(k)は原理上、絶対零度にて一致し、その他の温度Tでは異なる値となる。そのため、補償電流Icを単純に温度電圧の特性に反比例させる構成は、個々のジャイロスコープ20における検出系の温度特性f(T)を補償できるが、互いに異なる温度電圧Vt(k)を用いて補償した複数のジャイロスコープ20相互間で、補償された検出感度のレベルが互いに相違する。また、経時変化等により或るジャイロスコープ20での温度特性f(T)が変化し、これに対応して補償に使用する温度電圧Vt(k)を切り替えた場合に、切替前後での検出感度にレベル差が生じる。
【0066】
この点に関して、本実施形態では、基準電流生成回路114が特定温度電圧Vtempとして選択する温度電圧Vt(k)に対応して基準電流Ir(k)を変更する。具体的には、本実施形態では(3)式に示すように室温T0でのIr(k)とVt(k,T0)との比がkに依らず一定に設定される。これにより、各kについての可変抵抗回路104,106の抵抗値Rvが室温T0にて同一となり、ひいては補償電流Icも同一の大きさとなるので、異なる温度勾配を有した温度特性f(T)を有する複数のジャイロスコープ20の検出感度を室温T0にて一致させることができる。すなわち、室温T0前後の温度範囲での使用において、ジャイロスコープ20の検出感度のばらつき幅を小さくすることができる。
【0067】
これは特に、検出感度調整を行ったジャイロスコープ20に対して、後から検出感度の温度勾配だけを調整する調整工程において特に有用であり、上に説明した機能により、感度の温度勾配を調整をしても室温下での感度の絶対値は一定に保たれるので、感度調整を再度行う必要がなくなるというメリットを有する。
【0068】
室温T0での感度を一定にするために、基準電流生成回路114は温度Tに依存しない複数の基準電流Ir(k)を生成可能な構成であればよく、上記実施形態の構成に限定されない。例えば、トランジスタM4と共にカレントミラー回路を構成するトランジスタは例えばM5だけとする一方、トランジスタM4に接続する抵抗R0を、異なる抵抗値を有する複数の抵抗素子の中からスイッチで切り替えて選択する回路とすることができる。
【0069】
なお、基準電流を生成する上で、抵抗R0は温度依存性が小さいことが好適であるが、例えば、抵抗R0を抵抗回路R3の抵抗体と共通プロセスで製造して両者の温度依存性を相殺させることにより、好適な基準電流を得ることが可能である。
【0070】
また同様に、振幅制御電圧生成部52を構成する帰還抵抗Rfおよび入力抵抗Riを抵抗R0と同じプロセスで製造することで、それぞれの抵抗体の温度依存性を相殺することができ、高精度な温度補償制御を行うことが可能となる。
【0071】
温度電圧選択回路112で選択される温度電圧Vt(k)と基準電流選択回路116で選択される基準電流Ir(k)とは、室温T0での感度を一定にするように対応関係が定められている。よって、温度電圧選択回路112及び基準電流選択回路116は、制御端子88からの共通の入力信号で両者が連動して切り替わるように構成することができる。それらにより選択されるVt(k)及びIr(k)の組は既に述べたように出荷時等に測定される検出感度の温度特性に応じて決定される。そこで、駆動回路24に不揮発メモリを内蔵し、Vt(k)及びIr(k)の組の設定情報を当該メモリに記憶させ、ジャイロスコープ20の動作時には当該メモリの記憶内容に基づいて温度電圧選択回路112及び基準電流選択回路116を制御する構成としてもよい。
【0072】
なお、上記実施形態の図2では図示及び説明を簡単にするために、温度電圧Vt(k)及び基準電流Ir(k)の数Nが3である例を示したが、Nが大きいほど温度勾配の選択の自由度が高くなり、検出系の温度特性f(k)をより好適に補償可能となる。
【0073】
また、上述の説明では、モニタ電流Imから補正電流Icを引くと述べたが、上述した原理から明らかな範囲で電流の向きを反転させた構成とすることもできる。
【0074】
上述の実施形態は圧電効果により駆動され角速度を検知する振動型ジャイロスコープであったが、本発明は他の駆動方式の振動型ジャイロスコープにも適用することができる。また、本発明に係る物理量センサの検出対象とする物理量は角速度には限定されず、例えば、振動型加速度センサに本発明を適用することもできる。
【符号の説明】
【0075】
20 ジャイロスコープ、22 センサ素子、24 駆動回路、26 検出回路、30 振動子、32,34 駆動電極、36,38 検出電極、40 I/V変換回路、42 可変利得増幅回路、44 利得制御部、56 抵抗制御部、50 実効値回路、52 振幅制御電圧生成部、54 補正電流生成部、70 検出増幅回路、72 同期検波回路、76 LPF、78 出力端子、88 制御端子、100,124,134,140 演算増幅器、102 反転増幅回路、104,106 可変抵抗回路、108 制御回路、110 温度電圧生成回路、112 温度電圧選択回路、114 基準電流生成回路、116 基準電流選択回路、120,122 OTA、130 温度電流生成回路、132 抵抗分割回路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動子を備えたセンサ部と共に帰還型発振回路を構成し、発振信号により前記振動子を励振し駆動するセンサ駆動回路であって、
前記発振回路において前記発振信号を増幅する可変利得増幅部と、
前記可変利得増幅部の利得を制御して前記発振信号の振幅をフィードバック制御する振幅制御信号を生成する利得制御部と、を有し、
前記利得制御部は、前記発振信号の振幅が前記センサ部の検出感度の温度特性に反比例するように前記振幅制御信号を生成すること、
を特徴とするセンサ駆動回路。
【請求項2】
請求項1に記載のセンサ駆動回路において、
前記利得制御部は、温度変化に対して前記センサ部の検出感度の温度特性に相当する特性で抵抗値を制御される抵抗回路を用いて前記振幅制御信号を生成すること、を特徴とするセンサ駆動回路。
【請求項3】
請求項2に記載のセンサ駆動回路において、
前記利得制御部は、
前記抵抗回路を用いて、前記抵抗値の逆数に比例した補正電流を生成する補正電流生成手段と、
前記発振信号の振幅に応じたモニタ電流を生成し、当該モニタ電流と前記補正電流とに基づいて前記振幅制御信号を生成する振幅制御信号生成手段と、
を有することを特徴とするセンサ駆動回路。
【請求項4】
請求項3に記載のセンサ駆動回路において、
前記振幅制御信号生成手段は、前記発振信号の振幅に応じたモニタ電圧を入力され前記振幅制御信号を出力する、演算増幅器を用いた反転増幅回路を有し、
前記補正電流生成手段は、一方端子を前記演算増幅器の反転入力端子に接続され、他方端子を前記モニタ電圧とは逆極性の基準電圧を与える基準電圧源に接続された前記抵抗回路を有すること、
を特徴とするセンサ駆動回路。
【請求項5】
請求項2から請求項4のいずれか1つに記載のセンサ駆動回路において、
前記抵抗回路は、その抵抗値を前記センサ部の検出感度の温度特性に応じた直線的な特性で変化させること、を特徴とするセンサ駆動回路。
【請求項6】
請求項2から請求項5のいずれか1つに記載のセンサ駆動回路において、
前記抵抗回路であって抵抗値を電圧制御可能な構成を有する第1の可変抵抗回路と、
前記第1の可変抵抗回路の抵抗値を制御する抵抗制御部と、を有し、
前記抵抗制御部は、
抵抗値を電圧制御可能であって、共通の抵抗制御電圧での当該抵抗値と前記第1の可変抵抗回路の抵抗値とが一定比となる構成を有し、基準電流源から温度に対し一定に保たれる基準電流が流れる第2の可変抵抗回路と、
前記第1及び第2の可変抵抗回路に共通の前記抵抗制御電圧を供給しそれらの抵抗値を制御する制御回路と、
温度に対して互いに異なる傾きで直線的に変化する複数の温度電圧を生成する温度電圧生成回路と、
前記複数の温度電圧のうち任意の1つを選択でき、前記センサ部の検出感度の温度特性に基づいて選択される特定温度電圧を前記制御回路へ出力する温度電圧選択回路と、
を有し、
前記制御回路は、前記第2の可変抵抗回路での前記基準電流による電圧降下を前記特定温度電圧に一致させる前記抵抗制御電圧を生成すること、
を特徴とするセンサ駆動回路。
【請求項7】
請求項6に記載のセンサ駆動回路において、
前記複数の温度電圧と対応させて複数の前記基準電流源を備えた基準電流生成回路と、
前記複数の基準電流のうち任意の1つを選択でき、前記特定温度電圧と対応させて選択される前記基準電流を前記第2の可変抵抗回路へ供給する基準電流選択回路と、を有し、
前記複数の基準電流源それぞれが出力する前記基準電流は、当該基準電流源に対応する前記温度電圧の所定の温度での値に比例した大きさに設定されていること、
を特徴とするセンサ駆動回路。
【請求項8】
請求項7に記載のセンサ駆動回路において、
前記温度電圧生成回路は、前記複数の温度電圧の一つとして前記温度に対して一定に保たれる定電圧を生成し、
前記基準電流生成回路の前記各基準電流源は、前記定電圧に基づいて前記基準電流を生成すること、
を特徴とするセンサ駆動回路。
【請求項9】
請求項6から請求項8のいずれか1つに記載のセンサ駆動回路において、
前記温度電圧生成回路は、
バンドギャップ基準回路を用いて絶対温度に比例する温度電流を生成する回路と、
複数の分圧点を有し、前記温度電流を入力され前記複数の温度電圧を出力する抵抗分割回路と、
を有することを特徴とするセンサ駆動回路。
【請求項10】
励振状態にて検知対象とする物理量を検出する振動子を備え、前記検出感度が励振レベルに比例すると共に前記温度に対して直線的に変化するセンサ部と、
請求項1から請求項9のいずれか1つに記載のセンサ駆動回路と、
前記センサ部が出力する検出信号を信号処理して前記物理量に応じた出力信号を生成する検出回路と、
を有する物理量センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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