説明

センサ

【課題】生体内に挿入されたセンサが挿入針の抜去時に生体外へ取り出されてしまうことを防止し、生体内に確実に留置しておく。
【解決手段】埋め込み式センサ10は、センサ本体12と、該センサ本体12の内部に収納される検出部14と、前記センサ本体12の側面に設けられた抜け止め手段16とを備え、前記センサ本体12の側面には、前記抜け止め手段16として機能する少なくとも一つ以上の突起部22a、22bが形成される。この突起部22a、22bは、センサ本体12の先端から基端側に向かって広がるV字状に形成され、該先端から基端側に向かって徐々に高さが高くなるように形成される。また、突起部22a、22bは、生体S内で所定時間経過後、その硬度が低下する材料から形成されているため、前記埋め込み式センサ10の生体S内への挿入時には抜け止め機能を営み、所定時間経過後には抜け止め機能が解除される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体内に埋め込まれアナライトの検出を行うセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、被験者(使用者)の生体内にセンサを留置あるいは埋め込み、該センサによって被験者の血液又は体液中のアナライト、例えば血液中の血糖値などの検出が行われている。このセンサは、例えば、皮膚を穿刺する挿入針を有した挿入装置に装填され、該センサの装填された挿入針を被験者に対して穿刺し、生体内において前記センサを所望の位置に留置あるいは埋め込み、その後挿入芯のみを生体外へと抜去することで、前記センサのみを所望部位に留置する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4065575号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述したようなセンサは、挿入針を介して生体内に留置された後、前記挿入針を生体外へと抜く際に該挿入針と共に前記生体外へと取り出されてしまうことがある。そのため、センサを再び生体内に挿入したり、あるいは新たなセンサを使用しなければならなくなることとなり、その作業が煩雑であると共に、被験者に対する負担も増大してしまうこととなる。
【0005】
本発明は、前記の課題を考慮してなされたものであり、挿入針の抜去時において生体外へ抜き出されることを防止し、生体内に確実に留置しておくことが可能なセンサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記の目的を達成するために、本発明は、挿入針に装填され、該挿入針を用いて生体内に挿入されアナライトの検出を行うセンサにおいて、
センサ本体と、
前記センサ本体に設けられ、前記アナライトの検出を行う検出部と、
前記センサ本体に設けられ、前記生体内において、前記センサ本体を該生体内へと挿入する際の挿入方向と反対方向への移動を規制する抜け止め手段と、
を備え、
前記抜け止め手段は、前記生体内において時間経過と共に硬度の低下する材料又は生分解性材料から形成されることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、生体内に挿入されアナライトの検出を行うセンサにおいて、検出部の収納されたセンサ本体には、挿入針を用いて前記センサ本体を生体内に挿入する際の挿入方向と反対方向への移動を規制する抜け止め手段が設けられる。そして、挿入針に装填されたセンサを生体内に挿入してから該挿入針を生体外へと取り出す際、抜け止め手段によって前記センサ本体が生体内で確実に保持され、前記挿入針と共に生体外へと取り出されてしまうことが防止される。
【0008】
また、生分解性材料は、その組成や製造方法により、生体内で分解される時間を調整できるので、センサを挿入した時には抜けに抗するが、センサ使用後の抜去時や、使用中に不具合が生じた場合に、分解されあるいは軟化されることにより容易にセンサを抜去することができる。
【0009】
その結果、挿入針のみが生体外へと取り出されるため、該挿入針と共にセンサが取り出されてしまった場合の再挿入作業が不要となり、しかも、再挿入作業時を行う場合に懸念される被験者に対する負担増加も回避することができ、生体内に留置されたセンサで確実且つ効率的にアナライトを検出することが可能となる。また、抜け止め手段を、生体内で時間経過と共に軟化する材料又は生分解性材料から形成することにより、センサを生体内に挿入して所定時間経過した後に、抜け止め手段の硬度低下に伴って抜け止め機能が低下するため、例えば、センサに不具合が生じた場合にも、容易且つ確実に前記センサを生体外へと取り出すことができる。ここでの硬度低下とは材料が変形しやすくなったことを意味する。
【0010】
さらに、抜け止め手段は、センサ本体の側面から突出した突起部からなり、該突起部を、挿入方向とは反対方向に向かって徐々に高さが高くなるように形成するとよい。
【0011】
さらにまた、抜け止め手段は、センサ本体の側面から突出した突起部からなり、該突起部を、挿入方向とは反対方向に向かって徐々に幅広状となるように形成するとよい。
【0012】
またさらに、抜け止め手段の材質は、生体に安全なショ糖、ゼラチン、又は、生体適合性を有した水溶性高分子とするとよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、以下の効果が得られる。
【0014】
すなわち、挿入針に装填されたセンサを生体内に挿入して該挿入針を生体外へと取り出す際、抜け止め手段によって前記センサ本体が生体内で確実に保持され、前記挿入針と共に生体外へと取り出されることが防止されると共に、前記抜け止め手段が、生体内で時間経過と共に軟化する材料又は生分解性材料から形成されているため、センサを生体内に挿入して所定時間経過した後には、抜け止め機能の低下したセンサを容易に生体外へと取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る埋め込み式センサの外観斜視図である。
【図2】図1のII−II線に沿った断面図である。
【図3】図1に示す埋め込み式センサの側面図である。
【図4】図1に示す埋め込み式センサの平面図である。
【図5】図1の埋め込み式センサ及び該埋め込み式センサを生体内に挿入するための挿入装置を示す構成図である。
【図6】図6Aは、図5に示される埋め込み式センサが挿入針と共に生体内に挿入された状態を示し、図6Bは、前記挿入針が抜去され前記埋め込み式センサが留置された状態を示し、図6Cは、前記埋め込み式センサの突起部が溶解した状態を示す説明図である。
【図7】図7Aは、本発明の第2の実施の形態に係る埋め込み式センサの縦断面図であり、図7Bは、図7Aに示す埋め込み式センサの側面図である。
【図8】図8Aは、本発明の第3の実施の形態に係る埋め込み式センサの縦断面図であり、図8Bは、図8Aに示す埋め込み式センサの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に係るセンサについて好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら以下詳細に説明する。
【0017】
図1において、参照符号10は、本発明の第1の実施の形態に係る埋め込み式センサを示す。
【0018】
この埋め込み式センサ10は、図1〜図5に示されるように、筒状のセンサ本体12と、該センサ本体12の内部に収納される検出部14と、データ処理、発信等を行う電気機器部15と、前記センサ本体12の側面に設けられた抜け止め手段16とを含む。なお、図1において、センサ本体12の左側、すなわち、生体S(図5参照)に埋め込み式センサ10が挿入される際の挿入方向側(矢印A方向)を「先端」側、前記センサ本体12の右側(矢印B方向)を「基端」側と呼び、他の各図についても同様とする。
【0019】
センサ本体12は、断面略矩形状に形成され、その内部に軸方向(矢印A、B方向)に沿って貫通した収納部18を有する。そして、収納部18には、アナライトを検出する検出部、例えば、血液等の体液中に含まれるグルコース、尿酸、コレステロール、たんぱく質、ミネラルなどの成分のほかpHや微生物、酵素などを検出可能な検出部14が設けられ、例えば、配線と樹脂製材料からなる封止体20によって前記検出部14が収納部18内において固定される。
【0020】
電気機器部15は、検出部14と電気的な手段(例えば、リード線)等で接続されており、前記検出部14で得た信号を処理、又は、図示しないレシーバーへの発信等を行う。
【0021】
抜け止め手段16は、例えば、センサ本体12の軸方向(矢印A、B方向)に対して直交する方向にある側面に設けられ、該側面から突出した少なくとも一つ以上の突起部22a、22bからなる。この突起部22a、22bは、例えば、センサ本体12の先端から基端側(矢印B方向)に向かって広がるV字状に形成されると共に、該先端から基端側(矢印B方向)に向かって徐々に高さが高くなるように形成される。
【0022】
換言すれば、突起部22a、22bは、埋め込み式センサ10の挿入方向(矢印A方向)とは反対方向(矢印B方向)となる基端側に向かって徐々に高さが高くなり、且つ、徐々に拡幅したV字状に形成される。なお、一方の突起部22aと他方の突起部22bとは、センサ本体12の軸方向(矢印A、B方向)に沿って互いに所定間隔離間して配置されている。
【0023】
そして、突起部22a、22bの基端側(矢印B方向)となる端面が、生体S内(図5参照)にセンサ本体12が挿入された際の抜け止め作用を担う係止面24として機能する。係止面24は、センサ本体12の軸方向(矢印A、B方向)に対して略直交するように形成される。
【0024】
また、突起部22a、22bは、図2及び図3に示されるように、センサ本体12の先端側又は基端側から見て、該センサ本体12の側面から離間する方向に向かって先細状となる断面三角形状に形成される。すなわち、突起部22a、22bを構成する2つの壁部25a、25bが、先端側から基端側に互いに離間する方向(幅方向)に向かってセンサ本体12の側面方向側へと傾斜している。
【0025】
また、突起部22a、22bは、例えば、ポリアクリルアミド等の生体適合性の高い材料から形成される。上述した材料は、乾燥状態では硬度が高く、係止作用を発揮することができると共に、体内において水分を含むと徐々に軟化して、所定時間(例えば、数分程度)経つと体外へ抜けるようになる。また、ショ糖、カラメル等の生体Sに対して安全な材料などを用い、所定硬度で形成された突起部22a、22bは、体内の水分を含むと徐々に溶解され、所定時間で完全に溶解されるように形成される。
【0026】
なお、突起部22a、22bは、ゼラチン等の温度変化によって硬度の変化する材料で形成するようにしてもよい。これにより、突起部22a、22bは、生体S外において所定の硬度を有し、生体S内に挿入された際には体温によって加温されて徐々に硬度が低下することとなる。
【0027】
次に、上述した埋め込み式センサ10を生体S内に挿入するためのセンサ挿入装置26の挿入針28について、図1及び図5を参照しながら簡単に説明する。この挿入針28は、断面矩形状に形成され、その一側面が開口した開口溝30を有した断面U字状に形成される。また、挿入針28は、その基端側に設けられた取っ手32と一体になっており、これにより挿入操作を行うことができる。そして、開口溝30に突起部22a、22bが挿通されるように挿入針28の先端から埋め込み式センサ10が挿入される。この際、突起部22a、22bは、開口溝30の外部に突出した状態となる(図2参照)。また、挿入装置26が挿入針28に挿入されたとき、互いに固定される。
【0028】
本発明の第1の実施の形態に係る埋め込み式センサ10は、基本的には以上のように構成されるものであり、次に前記埋め込み式センサ10を生体S内に挿入する場合について、図5、図6A〜図6Cを参照しながら説明する。
【0029】
先ず、センサ挿入装置26における挿入針28の先端に対して埋め込み式センサ10を挿入し、該挿入針28を埋め込み式センサ10を留置させるべく被験者に正対させる。そして、図6Aに示されるように、挿入針28を被験者の皮膚に所定の角度で穿刺し、埋め込み式センサ10を留置すべき位置まで生体S内へと挿入する。
【0030】
次に、埋め込み式センサ10が生体S内における所望位置まで挿入されたことを確認した後、挿入針28を生体S外へと引き抜く。この際、埋め込み式センサ10は、少なくとも一つ以上の突起部22a、22bが生体Sの組織に対して食い込み、挿入針28の引き抜き方向(矢印B方向)に係止されているため、埋め込み式センサ10が前記挿入針28と共に生体S外へと取り出されることがなく、前記所望位置に留置された状態で保持される(図6B参照)。詳細には、埋め込み式センサ10が生体S外へと引き抜かれる方向(矢印B方向)へと引っ張られた場合、突起部22a、22bの係止面24が該引き抜く方向と直交するように形成されているため、生体Sの組織に対して好適に係合され、前記埋め込み式センサ10の移動が阻止される。
【0031】
なお、挿入針28を取り出す際、埋め込み式センサ10の突起部22a、22bが開口溝30に挿通されているため、該挿入針28を移動させる際に接触することがない。
【0032】
そして、生体S内に留置された埋め込み式センサ10の検出部14では、血液中に含まれる所望のアナライト濃度、例えば、グルコース濃度が検出され、その検出結果が検出信号として電気機器部15へと出力される。
【0033】
また、生体S内に留置された埋め込み式センサ10は、図6Cに示されるように、時間経過と共に突起部22a、22bが生体S内の水分等を吸収することによって徐々に軟化し、その硬度が低下していく。そして、所定時間が経過した後、突起部22a、22bの係止面24が溶解し、生体S内の組織に対する係止状態が解除される。これにより、埋め込み式センサ10を生体S外へと引き抜いて取り出すことが可能となる。なお、突起部22a、22bが軟化した状態においても、埋め込み式センサ10が生体S内において自在に移動してしまうことはなく、前記生体Sの組織内で保持されている。
【0034】
以上のように、第1の実施の形態では、生体S内に埋め込んで血糖値の検出を行う埋め込み式センサ10において、検出部14の収納されたセンサ本体12の側面に少なくとも一つ以上の突起部22a、22bを設け、該突起部22a、22bを、埋め込み式センサ10の先端から基端側(矢印B方向)に向かって徐々に高さが高くなり、且つ、徐々に拡幅する形状とすることにより、挿入針28と共に埋め込み式センサ10を生体S内に挿入した後に該挿入針28のみを離脱させる際、突起部22a、22bが前記生体S内の組織に対して引っ掛かり、前記挿入針28と共に生体S外へと取り出されてしまうことが防止される。
【0035】
そのため、埋め込み式センサ10を生体S内の所望位置に留置した状態で維持し、所望のアナライト濃度等を検出することが可能となる。
【0036】
また、埋め込み式センサ10に設けられた突起部22a、22bは、例えば、ショ糖、カラメル等の生体Sに対して安全な材料や、ポリアクリルアミド等の生体適合性の高い材料で形成されるため、時間経過と共に生体S内の水分等を吸収して徐々に軟化し、その硬度を低下させていくことができるため、前記突起部22a、22bによる生体S外への抜け止め機能が解除される。そのため、例えば、埋め込み式センサ10に不具合等が生じた場合には、所定時間経過して突起部22a、22bの硬度が低下した後に、前記埋め込み式センサ10を容易且つ確実に生体S外へと取り出すことが可能である。
【0037】
さらに、突起部22a、22bは、埋め込み式センサ10の生体Sへの挿入方向(矢印A方向)に向かって先細、且つ、高さが低く形成されているため、前記埋め込み式センサ10を前記生体Sへと挿入する際の抵抗が少なく、被験者に対する負担も小さく好適である。
【0038】
さらにまた、突起部22a、22bには、埋め込み式センサ10の挿入方向(矢印A方向)と反対側となる基端側(矢印B方向)の端面に係止面24を設け、該係止面24を前記挿入方向、すなわち、センサ本体12の軸方向(矢印A、B方向)と略直交するように形成しているため、前記埋め込み式センサ10が前記反対方向に引っ張られた場合に、該係止面24を生体S内の組織に対して好適に係止させることができ、確実に留置させておくことが可能である。
【0039】
次に、第2の実施の形態に係る埋め込み式センサ50を図7A及び図7Bに示す。なお、上述した第1の実施の形態に係る埋め込み式センサ10と同一の構成要素には同一の参照符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0040】
この第2の実施の形態に係る埋め込み式センサ50では、図7A及び図7Bに示されるように、ベース部52及び円環部54からなるセンサ本体56を備え、前記ベース部52の内部に形成された収納部58に検出部60が配置される。また、ベース部52の下面には、該下面から突出した少なくとも一つ以上の突起部を備える。例えば、この突起部を22a、22bとし、上述した第1の実施の形態に係る埋め込み式センサ10と同様に、センサ本体56の先端から基端側(矢印B方向)に向かって向かって広がるV字状に形成されると共に、該先端から基端側(矢印B方向)に向かって徐々に高さが高くなるように形成される。
【0041】
一方、埋め込み式センサ50を生体S内に挿入するためのセンサ挿入装置62の挿入針64は、断面半円状に形成され、その内部にセンサ本体56の円環部54が挿入され保持される。なお、センサ本体56のベース部52は、挿入針64の先端に埋め込み式センサ50が装填された際、そのベース部52が前記挿入針64の外部に露呈した状態となる。
【0042】
そして、挿入針64と共に埋め込み式センサ50を生体S内における所望位置へと挿入した後、前記挿入針64を生体S外へと引き抜く際、少なくとも一つ以上の突起部22a、22bが生体Sの組織に対して食い込んで挿入針64の引き抜き方向(矢印B方向)への移動が規制される。その結果、埋め込み式センサ50が、挿入針64と共に生体S外へと取り出されることがなく、前記所望位置に留置された状態で保持される。一方、生体S内に留置された埋め込み式センサ50では、その突起部22a、22bが時間の経過と共に生体S内の水分等を吸収することによって徐々に軟化し、その硬度が低下していくため、前記突起部22a、22bによる組織に対する係止状態が解除され、埋め込み式センサ50を生体S外へと取り出すことが可能となる。
【0043】
次に、第3の実施の形態に係る埋め込み式センサ100を図8A及び図8Bに示す。なお、上述した第1及び第2の実施の形態に係る埋め込み式センサ10、50と同一の構成要素には同一の参照符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0044】
この第3の実施の形態に係る埋め込み式センサ100では、図8A及び図8Bに示されるように、断面略長方形状のセンサ本体102を備え、前記センサ本体102の内部に検出部104が収納される。また、センサ本体102の上面には、該上面から突出した少なくとも一つ以上の突起部22a、22bを備える。この突起部22a、22bは、上述した第1及び第2の実施の形態に係る埋め込み式センサ10、50と同様に、センサ本体102の先端から基端側(矢印B方向)に向かって向かって広がるV字状に形成されると共に、該先端から基端側(矢印B方向)に向かって徐々に高さが高くなるように形成される。
【0045】
一方、埋め込み式センサ100を生体S内に挿入するためのセンサ挿入装置106の挿入針108は、断面U字状に形成され、その内部にセンサ本体102が挿入され保持される。なお、センサ本体102は、突起部22a、22bが挿入針108の開口部110側となるように収納され、該突起部22a、22bは、該開口部110から外部に突出するように配置される。
【0046】
そして、挿入針108と共に埋め込み式センサ100を生体S内における所望位置へと挿入した後、前記挿入針108を生体S外へと引き抜く際、少なくとも一つ以上の突起部22a、22bが生体Sの組織に対して食い込んで挿入針108の引き抜き方向(矢印B方向)への移動が規制される。その結果、埋め込み式センサ100が、挿入針108と共に生体S外へと取り出されることがなく、前記所望位置に留置された状態で保持される。
【0047】
また、突起部22a、22bは、挿入針108の開口部110に挿通されているため、該挿入針108を移動させる際に接触することがない。一方、生体S内に留置された埋め込み式センサ100では、その突起部22a、22bが時間の経過と共に生体S内の水分等を吸収することによって徐々に軟化し、その硬度が低下していくため、前記突起部22a、22bによる組織に対する係止状態が解除され、埋め込み式センサ100を生体S外へと取り出すことが可能となる。
【0048】
なお、上述した第1〜第3の実施の形態に係る埋め込み式センサ10、50、100では、突起部22a、22bが、前記埋め込み式センサ10、50、100の挿入方向とは反対方向に向かって徐々に高く、且つ、幅広状となるように形成される場合について説明しているが、これに限定されるのものではなく、例えば、前記埋め込み式センサ10、50、100の挿入方向とは反対方向に高さが高くなるか、又は、幅広状となるように形成されていれば、特にその形状には限定されるものではない。
【0049】
また、上述した第1及び第2の実施の形態に係る埋め込み式センサ10、50、100では、突起部22a、22bが2つ設けられていたが、これに限定されるものではなく、少なくとも1つあれば足りるが、例えば、3つ以上設けられていても良いことは言うまでもない。
【0050】
さらに、上述した埋め込み式センサ10、50、100は、生体S内に完全に挿入されるものに限定されることなく、少なくとも検出部14、60、104が前記生体S内に挿入されていれば、他の部位は生体外に露呈する構成としてもよい。
【0051】
なお、本発明に係るセンサは、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【符号の説明】
【0052】
10、50、100…埋め込み式センサ
12、56、102…センサ本体 14、60、104…検出部
16…抜け止め手段 18、58…収納部
22a、22b…突起部 24…係止面
26、62、106…センサ挿入装置 28、64、108…挿入針
30…開口溝 110…開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
挿入針に装填され、該挿入針を用いて生体内に挿入され生体中のアナライトの検出を行うセンサにおいて、
センサ本体と、
前記センサ本体に設けられ、前記アナライトの検出を行う検出部と、
前記センサ本体に設けられ、前記生体内において、前記センサ本体を該生体内へと挿入する際の挿入方向と反対方向への移動を規制する抜け止め手段と、
を備え、
前記抜け止め手段は、前記生体内において時間経過と共に硬度の低下する材料又は生分解性材料から形成されることを特徴とするセンサ。
【請求項2】
請求項1記載のセンサにおいて、
前記抜け止め手段は、前記センサ本体の側面から突出した突起部からなり、該突起部は、前記挿入方向とは反対方向に向かって徐々に高さが高くなるように形成されることを特徴とするセンサ。
【請求項3】
請求項1又は2記載のセンサにおいて、
前記抜け止め手段は、前記センサ本体の側面から突出した突起部からなり、該突起部は、前記挿入方向とは反対方向に向かって徐々に幅広状となるように形成されることを特徴とするセンサ。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のセンサにおいて、
前記抜け止め手段の材質は、前記生体に安全なショ糖、ゼラチン、又は、生体適合性を有した水溶性高分子であることを特徴とするセンサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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