説明

センタリングマンドレル、装置、および構造を設置するための方法

【課題】構造を位置合わせするための方法および装置を提供する。
【解決手段】1つの有利な実施形態において、装置は先細り部材および複数のセグメントを含む。先細り部材は第1端および第2端を有し、直径は第1端から第2端に増大し、直径は第1の中心を有する。複数のセグメントの各々は内側面および外側面を有し、複数のセグメントは先細り部材を収容することができる先細り通路を規定し、外側面の外径は、第1の中心に対応する第2の中心を有し、複数のセグメントが第2端に移動すると、第2の中心が同じ場所周辺にとどまっている状態で外径が増大する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
背景情報
本開示は概して製造に関し、特に製品を製造するための方法および装置に関する。より詳細には、本開示は、製品を製造する際の組立のための部品を位置合わせするための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
製造は、工具および処理媒体を用いて原材料を完成品に変えるステップを含む。航空機の製造については、エンジン、胴体、翼、油圧装置、および電子システムなどの部品ならびに構造が製造され、かつ組立てられ、航空機を構成する。フラップは、航空機の翼を組立てる際に翼上に設置される部品である。フラップは、固定翼航空機の翼の後端、先端においてヒンジで動く表面であり、翼の係数および抗力を変化させるのに使用し得る。
【0003】
フラップを翼上に設置する際、フラップは支持構造上に設置される。これらの支持構造は通路または内筒を有する取付点を有し、フラップを翼の適所に保持し、かつフラップが回転できるように、フラップの部分がそこに配置される。これらのフラップの取付点は、設置点が互いに位置合わせされるように製造される。フラップの設置中に位置合わせに対して調整が行なわれる場合もある。
【0004】
特定の設計および仕様に依存して、フラップの各取付点の中心点どうしの位置合わせにおける許容誤差が非常に小さい場合がある。たとえば、2つの取付点の間において1000分の5インチという許容誤差を要する場合がある。これらの点の間の距離によって、これらの取付点の位置合わせは困難であり得る。取付点の間に20フィートの距離があるのは珍しいことではない。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
部品を位置合わせするために現在用いられている工具は、たとえばレーザシステムを含む。一方の取付点にレーザ送信器を配置し、他方の取付点にレーザ受信器を配置し得る。レーザ受信器からの読取値は、フラップの2つの取付点の中心点間の位置合わせを示し得る。現在利用可能な工具では、レーザシステムを取付点に取付けるのは困難な場合があり、位置合わせ処理を準備し、行なうのに2人以上の人間が典型的に必要である。
【0006】
種々の有利な実施形態は、構造を位置合わせするための方法および装置を提供する。有利な一実施形態において、装置は先細り部材と複数のセグメントとを含む。先細り部材は第1端および第2端を有し、直系は第1端から第2端に増大し、直径は第1の中心を有する。複数のセグメントの各々は内側面および外側面を有し、複数のセグメントは、先細り部材を収容することができる先細り通路を規定し、外側面の外径は、第1の中心に対応する第2の中心を有し、複数のセグメントが第2端に移動すると、第2の中心が同じ場所周辺にとどまりながら外径が増大する。
【0007】
別の有利な実施形態において、センタリングマンドレルは、先細り軸と、複数の拡張セグメントと、連結システムと、先細り軸に連結された軸受システムと、先細り軸の第2端に取付けられた調整装置とを含む。先細り軸は第1端および第2端を有し、先細り軸は第1端から第2端に増大する第1の直径を有し、第1の直径は第1の中心を有する。複数の拡張セグメントの各々は外側面および内側面を有し、内側面は先細り溝を有し、複数の拡張セグメントの内側面は、先細り軸を収容することができる先細り通路を規定し、複数の
拡張セグメントの外側面は、第1の中心に対応する第2の中心を有する外径を規定する。連結システムは、複数の拡張セグメントを先細り軸の周囲に保持することができる。軸受システムを操作すると複数の拡張セグメントが先細り軸の第2端に向かう方向に移動し、複数の拡張セグメントが第2端に向かって移動すると、第2の中心が同じ場所周辺にありつつ複数の拡張セグメントの外径が増大する。
【0008】
さらに種々の有利な実施形態において、第1の取付点と第2の取付点との間に構造を設置するために一方法が用いられる。レーザ位置決めユニットを有するセンタリングマンドレルが、当該構造のための第1の取付点において通路内に配置される。位置決めユニットは、たとえばレーザセンサまたは送信器を含む。センタリングマンドレルは、第1の取付点において通路に固定される。センタリングマンドレルは第1の中心を有し、通路は第1の中心と位置合わせされた第2の中心を有する。第1の取付点および第2の取付点は、レーザ位置決めシステムによって位置合わせされる。当該構造は、第1の取付点および第2の取付点が位置合わせされた後、第1の取付点および第2の取付点に連結される。
【0009】
特徴、機能および利点は、本開示のさまざまな実施形態において別個に達成することができるかまたは、さらに別の実施形態と組合せ得る。以下の説明および図面を参照すれば、さらなる詳細がわかる。
【0010】
発明の特質と考えられる新規な特徴を添付の請求項に記載する。しかし発明そのもの、ならびに好ましい使用形態、さらなる目的およびその利点は、添付の図面と併せて読まれると、本開示の有利な実施形態の以下の詳細な説明を参照することによって最もよく理解されるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図面をより詳細に参照し、図1に示す航空機の製造および稼働方法と、図2に示す航空機との関連において、開示の実施形態を説明する。まず図1を参照し、航空機の製造および稼働方法を示す図を有利な実施形態に従って図示する。製作準備中、航空機製造および稼働方法100は、図2の航空機200の仕様および設計102と、材料調達104とを含み得る。製作中、図2の航空機200の部品および半組立品製造106と、システム統合108とが行なわれる。その後、図2の航空機200は稼働112に配置されるために、承認および出荷110を通過し得る。顧客によって稼動されている間、図2の航空機200は定期保守および修理114が予定されており、改良、再構成、修繕、および他の保守または修理を含み得る。
【0012】
航空機製造および稼働方法100の処理の各々は、図1のフローチャートの右側のグリッドに「X」で示されるシステムインテグレータ、第三者、および/またはオペレータによって実行または行なわれ得る。これらの例においてオペレータは顧客であり得る。この説明のために、システムインテグレータは、限定はしないが任意の数の航空機製造業者および主要システムの下請業者を含み得る。第三者は、限定はしないが任意の数の販売会社、下請業者、および供給業者を含み得る。オペレータは、航空会社、リース会社、軍事機関、公共団体等であり得る。
【0013】
次に図2を参照し、有利な実施形態が実施され得る航空機の図を示す。この例では、航空機200は、本体206に取付けられた翼202および204を有する。航空機200は、翼に取付けられたエンジン208、翼に取付けられたエンジン210、および尾翼212を含む。航空機200は、フラップ214および216も含む。航空機200は、航空機製造および稼働方法100によって製作される。
【0014】
ここにおいて具体化される装置および方法は、製作ならびに図1の航空機製造および稼
働方法100のいずれか1つ以上の段階において採用し得る。たとえば、部品および半組立品製造106に対応する部品または半組立品は、航空機200の稼動中に製作された部品または半組立品と同様に製作または製造され得る。また、たとえば航空機200の組立を実質的に迅速化するかまたはコストを削減することによって、図1の部品および半組立品製造106ならびにシステム統合108の製造段階中に、1つ以上の装置実施形態、方法実施形態、またはそれらの組合せを利用し得る。同様に、フラップ214および216などの部品を航空機200上に設置する間に、1つ以上の装置実施形態、方法実施形態、またはそれらの組合せを利用し得、これは図2の航空機200の部品および半組立品製造106ならびにシステム統合108の一方の間に生じ得る。
【0015】
種々の有利な実施形態は、現在の位置合わせ装置を用いてフラップまたは翼などの部品のための取付点を位置合わせすることは困難な場合があることを認識する。たとえば、位置合わせ装置は、取付点において通路または軸受に嵌合するように製造されるシリンダの端部上に配置され得る。レーザ送信器は、一方の取付点において通路内に配置されるシリンダに取付けられ得る。レーザはレーザビームを送ることができ、他方の取付点に配置されたセンサによって検出される。どの取付点が調整可能であるかに依存して、1つ以上の取付点の移動または調整を使用して、レーザ送信器およびセンサによって取付点を位置合わせし得る。生じる問題は、取付点における通路または内筒の寸法が、取付点の許容誤差に依存して変動し得る点である。その結果、取付点もしくは場所において通路または軸受内に配置されたシリンダに取付けられたレーザ送信器は、通路または軸受の中心点にない可能性がある。したがって、他の取付点との位置合わせが合わない、または正しくない可能性がある。
【0016】
種々の有利な実施形態は、解決策の1つが、正しい中心点または中心線でもって通路に嵌合する適切な寸法のシリンダにレーザ送信器を取付けるにあたり、さまざまな寸法のシリンダの製造を伴い得ることを認識する。しかしこの種の解決策によれば、複数の工具を有することになり、かつ通路の新しい寸法に直面した場合には工具を製造しなければならなくなる。
【0017】
したがって種々の有利な実施形態は、先細り軸を有し、先細り軸が第1端および第2端を有するセンタリングマンドレルの形態の装置を提供する。先細り軸は、先細り軸の第1端から第2端へ増大する第1の直径を有する。第1の直径は第1の中心を有する。センタリングマンドレルは先細り拡張セグメントも有し、先細り拡張セグメントの各々は外側面および内側面を有する。内側面は先細り溝を有し、先細り拡張セグメントの内側面は、先細り軸を収容することができる先細り通路を規定する。先細り拡張セグメントの外側面は、第1の中心に対応する第2の中心を有する外径を規定する。連結システムが使用され、連結システムは、先細り拡張セグメントを先細り軸の周りに保持することができる。この連結システムは、たとえば限定はしないが、1つ以上の連結ばねであり得る。また、センタリングマンドレルは、先細り軸に連結された軸受システムも含む。
【0018】
軸受システムを操作すると、先細り軸の第2端に向かう方向に先細り拡張セグメントが移動する。この第2端に向かって先細り拡張セグメントが移動することによって、第2の中心が同じ場所周辺にありつつ先細り拡張セグメントの外径が増大する。これらの例では、拡張セグメントの直径が拡張して通路に嵌合すると、センタリングマンドレルが適所に固定されると考えられる。センタリングマンドレルが通路の適所にあり、センタリングマンドレルが通路の中心に位置合わせされるかまたは対応するとき、センタリングマンドレルは適所にある。さらにこれらの例において、センタリングマンドレルは、先細り軸の第2端に取付けられた位置合わせ装置を含む。
【0019】
次に図3を参照し、フラップのための取付構造を示す図を有利な実施形態に従って図示
する。この例では、構造300および302は、取付点304および306を含む。取付点304および306は、フラップが取付けられる箇所である。これらの説明のための例において、構造302が旋回点308について移動可能であるのに対し、構造300は固定されている。構造302の位置に対する調整は、これらの例では、取付点304を取付点306に位置合わせするために行なわれ得る。調整は、これらの例では、調整金属棒310、312、および314によって行なわれる。
【0020】
図示した例では、位置合わせ装置を有するセンタリングマンドレルを取付点304において通路316内に配置し得る。これらの例において、通路316は、フラップの一部分を配置し得る内筒である。これらの例において、センタリングマンドレルはレーザセンサを含む。別のセンタリングマンドレルを、取付点306において通路318内に配置し得る。
【0021】
これらの有利な実施形態において、レーザ送信器は、通路316内に配置されたものと同様のセンタリングマンドレル上に取付けられる。レーザ送信器は、通路318から通路316に取付けられたレーザセンサに向けてビームを送る。この種の位置合わせ処理は、位置合わせ距離が増大すると特に有用である。この例では、取付点304と取付点306との間の距離は20フィートあたりである。
【0022】
次に図4を参照し、センタリングマンドレルを有する取付構造を示す図を有利な実施形態に従って図示する。この例では、センタリングマンドレル400は、構造300の取付点304において通路316内に挿入されている。二次元レーザセンサ402がセンタリングマンドレル400に取付けられ、図3の構造302の取付点306に取付けられたレーザ送信器から光線を受取り得る。
【0023】
これらの例では、センタリングマンドレルは1つだけ必要である。図3の構造302の通路318の寸法が変動してレーザ送信器の配置が困難な場合、別のセンタリングマンドレル、たとえばセンタリングマンドレル400を、それに取付けられるレーザとともに使用してもよい。
【0024】
次に図5を参照し、取付構造におけるセンタリングマンドレルの別の図を有利な実施形態に従って図示する。図に示すように、センタリングマンドレル400は、センタリングマンドレル400を正しい中心点でもって通路316内に位置決めすることができるように調整される。正確な中心点を通路316内に設けるための機構を以下により詳細に説明する。
【0025】
次に図6を参照し、センタリングマンドレルの図を有利な実施形態に従って図示する。センタリングマンドレル600は、取付点304および306の位置合わせを行なうために図3の通路316および318内で使用し得るセンタリングマンドレルの一例である。この例において、センタリングマンドレル600は、先細りアーバ602、ならびにセグメント604、606および608を含む。これらの例において、これらのセグメントは、直径が変化し得る拡張セグメントである。センタリングマンドレル600は、軸受システム609も含む。
【0026】
軸受システム609は、拡張セグメント604、606、および608を先細りアーバ602の端部611に向かって移動させるように操作し得る。拡張セグメント604、606および608を端部611に向かって移動させることによって、これらの拡張セグメントの直径は増大する。センタリングマンドレル600が通路、たとえば図3の通路316に配置された状態でこれらのセグメントが拡張すると、センタリングマンドレルの軸の中心が通路内に中心を置いた状態で、センタリングマンドレル600が適所に「固定」さ
れる。
【0027】
拡張セグメント604、606、および608は、連結システムを用いて先細りアーバ602の周囲の適所に保持される。これらの例において、連結システムはばね612、614、および616の形態を取る。これらの例において、ばね612、614、および616はガータースプリングであり、典型的な巻線型ばねと同様であるが、自身に対する張力または引張力に反作用する。ガータースプリングは、巻き付けられると嵌合し、その環状配向を保持するようにくびれた一端が設計されることによって、それ自身に端から端まで嵌合するように設計される。もちろん、他の種類の連結機構を使用してもよい。たとえば、ガータースプリングの代わりに使用し得る他のばねは、特定の寸法のゴムOリングである。他の実施形態では、個々のセグメントは両端において機械的に捕捉され、複雑な内部ばね機構を要する。
【0028】
種々の部品に用いられる材料の種類は、マンドレルの使用目的に依存して異なり得る。これらの例では、先細りアーバ602における先細り軸、ならびにセグメント604、606、および608はステンレス鋼からなる。残りの部品はアルミニウムからなる。セグメント604、606、および608は、アルミニウムで作成することもできる。
【0029】
次に図7を参照し、センタリングマンドレルの分解図を有利な実施形態に従って図示する。この例では、センタリングマンドレル600を等角投影分解図で示す。先細りアーバ602は、先細り部材702および取付プレート704を含む。図示したように、先細りアーバ602は端部611と反対側に端部708を有する。先細りアーバ602の直径は、先細り部材702が端部708から端部706に延在するにつれて増大する。
【0030】
この例では、先細り部材702は円筒状部材であり、円筒状部材の直径は、一方端から他方端に寸法が小さくなる。先細り部材702の端部706は取付プレート704に取付けられる。これらの例では、先細り部材602はねじを用いて取付プレート704に取付けられる。
【0031】
調整可能なトルク蝶ねじ724、スラストブロック726、スラスト軸受728、およびスラストウォッシャ730は、軸受システム609における部品である。この例において、調整可能なトルク蝶ねじ724はねじ切りされた部分732を有し、先細り部材702の端部708のねじ切りされた通路734に嵌合し得る。さらに、位置合わせ装置、たとえばレーザセンサ736が、先細りアーバ602の取付プレート704の端部611に取付けられる。これらの例において、位置合わせ装置は、特定の実施に依存してレーザ送信器またはレーザセンサであり得る。
【0032】
次に図8を参照し、先細り部材の端部の図を有利な実施形態に従って図示する。この例では、先細り部材702の端部706は、通路800、802、804、および806を含む。さらに、端部706は穴808、810、812、および814も含む。
【0033】
次に図9を参照し、取付プレートの上面図を有利な実施形態に従って図示する。取付プレート704は、穴900、902、904、および906を含む。これらの穴は、先細り部材602を取付プレート704に取付けるための機構の一部として、ねじまたは何らかの他の締付機構を取付プレート704を介して図8の穴808、810、812、および814に通過させるのに使用される。
【0034】
さらに、穴908、910、912、および914は、ねじが通路800、802、804、および816を通って図7のレーザセンサ736を取付プレート704に取付けるのに使用し得る穴を与える。これらの例では、ブラインドホール916、918、920
、および922は、この部品をプレート704に取付ける際にレーザセンサ736のためのコーナ間隙を与える。
【0035】
次に図10を参照し、先細り部材702の側面図を有利な実施形態に従って図示する。
次に図11を参照し、拡張セグメントの上面図を有利な実施形態に従って図示する。この例では、拡張セグメント604、606、および608は、外側面1100、1102、および1104を有する。また、これらの拡張セグメントは内側面1108、1110、および1112を有する。これらの内側面は、通路1114が存在するように配置される。通路1114は先細り通路である。
【0036】
この図示した例では、拡張セグメント604、606、および608の配置は、これらの拡張セグメントの一方端における直径1116と、直径1118とを含む構成を有する。図に見られるように、この配置では、拡張セグメント604、606、および608の一方端から他方端に直径の大きさが減少する。
【0037】
次に図12を参照し、拡張セグメントの断面図を有利な実施形態に従って図示する。この例において、拡張セグメント1200は、図6の拡張セグメント604、606、または608などの拡張セグメントの断面図である。この例では、内側面1202は溝1204を有し、複数の拡張セグメントが図11に図示した構成に組立てられると、先細り通路を構成する。
【0038】
さらに、拡張セグメント1200は溝1206、1208、および1210を含む。これらの溝は、連結機構が種々のセグメントを先細り部材の周囲にともに保持するための場所をもたらすのに使用される。この特定の例では、連結機構は、図6の先細りアーバ602の周囲に配置されると拡張セグメントの通路内に配置されるばねの形態を取る。
【0039】
次に図13を参照し、スラストブロックの上面図を有利な実施形態に従って図示する。この例では、スラストブロック726は穴1300を有し、図7の調整可能なトルク蝶ねじ724を収容するように構成される。
【0040】
次に図14を参照し、スラストブロック726の断面図を有利な実施形態に従って図示する。この断面図は、図13の線1302に沿って得られる。この例では、穴1300は2つの直径、直径1404および直径1402を有する。穴1300の直径は、直径1402に拡張して、係合部分1404を形成する。この部分は軸受システム609の端部708の直線部分に係合し、軸方向の中心線に沿って軸受システム609を誘導するのを補助し、したがって拡張セグメント604、606、および608の一方端に接触して、スラストブロック726が先細り軸602に向かって移動するように調整可能なトルク蝶ねじ724が操作されると、先細り軸602の基部に向かってそれらのセグメントを押付ける。
【0041】
次に図15を参照し、翼のフラップを設置するための処理のフローチャートを有利な実施形態に従って図示する。この例において、図15の処理は、翼のフラップ、たとえば図2の航空機200のための翼フラップ216を設置するのに適用し得る。
【0042】
処理は、レーザ位置決めユニットをセンタリングマンドレルに取付ける(ステップ1500)ことによって開始する。これらの例において、レーザ位置決めユニットは、センタリングマンドレルの一方端に取付けられる二次元レーザセンサである。次にセンタリングマンドレルは、取付点において通路内に配置される(ステップ1502)。これらの例において、通路は、図3および図4の構造300の取付点304のための通路316などの通路である。センタリングマンドレルは、図4のセンタリングマンドレル400と同様の
センタリングマンドレルである。
【0043】
その後、センタリングマンドレルは、通路内の適所に固定される(ステップ1504)。これらの例において、位置合わせ点のための許容誤差が得られるように、センタリングマンドレルの中心点が同じ位置周辺にありつつセンタリングマンドレルの直径が増大するように、センタリングマンドレルの拡張セグメントを移動させることによって、通路内の適所にセンタリングマンドレルが固定される。第2の取付点は、第1の取付点に位置合わせされる(ステップ1506)。この位置合わせは、第2の取付点から送られた光線を用いて行なわれる。2つの取付点において通路が許容できるまたは選択された許容誤差内で正確に位置合わせされるように、第2の取付点の調整または移動が十分であるとき、レーザ送信器を、検出するためのセンサとともに使用するために第2の取付点に配置し得る。これらの例では、通路の位置合わせは、2つの取付点における2つの通路の中心点について行なわれる。
【0044】
次に、センタリングマンドレルを除去する(ステップ1508)。次に翼のフラップのための残りの部品を取付点に設置する(ステップ1510)。その後処理が終了する。
【0045】
したがって、種々の有利な実施形態は、センタリングマンドレルと、取付点を位置合わせするための方法とを提供する。装置は、第1端および第2端を有する先細り部材を有し、第1端から第2端に直径が増大する先細り部材を有する。各々が内側面および外側面を有する複数のセグメントが存在し、セグメントは、先細り部材を収容することができる先細り通路を規定する。先細り通路の一方端に向かってセグメントを移動させると、中心点または中心が同じ場所もしくは周辺にとどまるように複数のセグメントの外径が増大する。
【0046】
2つの取付点、たとえば翼のフラップのための取付点は、種々の実施形態において図示したものなどのセンタリングマンドレルを用いて位置合わせし得る。センタリングマンドレルは、翼のフラップのための第1の取付点において通路内に配置し得る。その後、センタリングマンドレルが軸を持つ中心を有し、軸は中心を通り、通路が第2の軸を有し、センタリングマンドレルに取付けられ得るレーザ位置決め源の周囲に第1の軸があり、第2の取付点の第1の取付点との位置合わせがレーザ位置決め源を用いて行なわれ得るように、センタリングマンドレルを通路内に固定し得る。
【0047】
もちろん、翼のフラップ以外の他の種類の取付構造または取付点を位置合わせするのに種々の例示的な実施形態を適用してもよい。種々の有利な実施形態は、どの種類の構造についても取付点を位置合わせするのに適用し得る。他の構造は、たとえば、工場における工具類および固定具、ならびに貨物室のドアなどのヒンジ配置を含む。種々の実施形態の一部は、さまざまな寸法の穴、または寸法が変動する穴/通路に対処する際に有用である。これらの例におけるセンタリングマンドレルは、径方向の運動範囲内で無限に調整可能である。また、センタリングマンドレルの設計は「拡大縮小可能」であり、さまざまな構成に適するように変更することができる。
【0048】
種々の有利な実施形態の説明を例示および説明の目的で示したが、網羅するものではなく、開示された形態の発明に限定するものでもない。多くの修正および変更が当業者には明らかであろう。さらに、種々の有利な実施形態は、他の有利な実施形態と比較して、種々の利点をもたらし得る。選択される実施形態は、発明の原則、実際の用途を最もよく説明するため、かつ企図される特定の使用に適するさまざまな変更を有するさまざまな実施形態について当業者が発明を理解できるようにするために、選択および説明される。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】有利な実施形態が実施され得る航空機の製造および稼働方法を示す図である。
【図2】有利な実施形態に係る航空機の図である。
【図3】有利な実施形態に係るフラップのための取付構造を示す図である。
【図4】有利な実施形態に係るセンタリングマンドレルを有する取付構造を示す図である。
【図5】有利な実施形態に係る取付構造におけるセンタリングマンドレルの別の図である。
【図6】有利な実施形態に係るセンタリングマンドレルの図である。
【図7】有利な実施形態に係るセンタリングマンドレルの分解図である。
【図8】有利な実施形態に係る先細り部材の端部の図である。
【図9】有利な実施形態に係る取付プレートの上面図である。
【図10】有利な実施形態に係る先細り部材の側面図である。
【図11】有利な実施形態に係る拡張セグメントの上面図である。
【図12】有利な実施形態に係る拡張セグメントの断面図である。
【図13】有利な実施形態に係るスラストブロックの上面図である。
【図14】有利な実施形態に係るスラストブロックの断面図である。
【図15】有利な実施形態に係る翼のフラップを設置するための処理のフローチャートである。
【符号の説明】
【0050】
300 構造、304 取付点、316 通路、400 センタリングマンドレル、402 二次元レーザセンサ402。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
センタリングマンドレルであって、
先細り軸を備え、前記先細り軸は第1端および第2端を有し、先細り軸は第1端から第2端に増大する第1の直径を有し、第1の直径は第1の中心を有し、さらに、
複数の拡張セグメントを備え、複数の拡張セグメントの各々は外側面および内側面を有し、内側面は先細り溝を有し、複数の拡張セグメントの内側面は、先細り軸を収容することができる先細り通路を規定し、複数の拡張セグメントの外側面は、第1の中心に対応する第2の中心を有する外径を規定し、さらに、
複数の拡張セグメントを先細り軸の周囲に保持することができる連結システムと、
先細り軸に連結された軸受システムとを備え、軸受システムを操作すると複数の拡張セグメントが先細り軸の第2端に向かう方向に移動し、複数の拡張セグメントが第2端に向かって移動すると、第2の中心が同じ場所周辺にありつつ複数の拡張セグメントの外径が増大する、センタリングマンドレル。
【請求項2】
先細り軸の第2端に取付けられた調整装置をさらに備える、請求項1に記載のセンタリングマンドレル。
【請求項3】
軸受システムは、
第1端および第2端を有するスラストブロックを含み、第1端から第2端に通路が延在し、第2端は複数の拡張セグメントの第1端に機械的に連結され、さらに、
通路を通ってスラストブロックの第1端から先細り軸の第1端のねじ切りされた通路内に延在する調整可能なねじを含み、調整可能なねじを操作することによって、スラストブロックは、複数の拡張セグメントを先細り軸の第2端に向かって移動させる、請求項1に記載のセンタリングマンドレル。
【請求項4】
調整装置は、レーザ送信器およびレーザセンサのうち一方から選択される、請求項1に記載のセンタリングマンドレル。
【請求項5】
連結システムは、1組の連結ばねである、請求項1に記載のセンタリングマンドレル。
【請求項6】
第1端および第2端を有する先細り部材を備え、直径は第1端から第2端に増大し、直径は第1の中心を有し、さらに、
各々が内側面および外側面を有する複数のセグメントを備え、複数のセグメントは先細り部材を収容することができる先細り通路を規定し、外側面の外径は第1の中心に対応する第2の中心を有し、複数のセグメントが第2端に移動すると、第2の中心が同じ場所またはその周辺にとどまっている状態で外径が増大する、装置。
【請求項7】
複数のセグメントに取付けられ、先細り部材の周囲の適所に複数のセグメントを保持することができる連結システムをさらに備える、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
第1の取付点と第2の取付点との間に構造を設置するための方法であって、前記方法は、
レーザ位置決めユニットを有するセンタリングマンドレルを、前記構造のための第1の取付点において通路内に配置するステップと、
第1の取付点において通路にセンタリングマンドレルを固定するステップとを備え、センタリングマンドレルは第1の中心を有し、通路は第1の中心と位置合わせされた第2の中心を有し、さらに、
第1の取付点および第2の取付点をレーザ位置決めシステムによって位置合わせするステップと、
第1の取付点および第2の取付点が位置合わせされた後、前記構造を第1の取付点および第2の取付点に連結するステップとを備える、方法。
【請求項9】
前記構造は翼のフラップである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
レーザ位置決めユニットはレーザ送信器である、請求項8に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2009−78800(P2009−78800A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−205647(P2008−205647)
【出願日】平成20年8月8日(2008.8.8)
【出願人】(500520743)ザ・ボーイング・カンパニー (773)
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
【Fターム(参考)】