説明

ゼオライト−繊維基質複合体の製造方法

本発明は、(a)繊維基質またはゼオライトと、連結化合物とを反応し、(連結化合物−繊維基質)中間体または(ゼオライト−連結化合物)中間体を製造する段階と、(b)前記(連結化合物−繊維基質)中間体をゼオライトと結合させるか、または前記(ゼオライト−連結化合物)中間体を繊維基質と結合させて(ゼオライト−連結化合物−繊維基質)の複合体を製造するが、前記結合は、超音波処理をして誘導する段階とを含むゼオライト−繊維基質複合体の製造方法に関するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゼオライト−繊維基質複合体の製造方法に関するもので、さらに詳細には、超音波処理を用いて繊維基質上にゼオライト膜を形成する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ゼオライトは、アルカリ及びアルカリ土類金属の珪酸アルミニウム水和物である鉱物の総称を意味するが、3次元細孔(pore)の構造、形状及び大きさにより、さまざまな種類に分類される。ゼオライト骨格において、珪素イオンがアルミニウムイオンで代替された座は、電荷欠損を補償するためにカチオンが構造内に介入して、カチオンが占める空間以外の空間は、一般に水分子で満たされている。ゼオライトを200〜300℃で一定時間加熱すると、カチオンまたは水を放出させて、細孔の中に他の分子を受け入れることができるが、このような過程を通じて、微粒分子に対する大きさの選択(size selectivity)または形状選択(shape selectivity)の機能をすることができ、分子ふるい(molecular sieve)としてよく使用されてきた。
【0003】
また、ゼオライト珪素(Si)とアルミニウム(Al)のその一部または全体を 様々な他の元素で代替させたゼオライト擬似分子ふるい(zeotype molecular sieves)も、産業上、よく活用されている。例えば、カチオンが金属元素で置換されたゼオライト擬似物質は、石油化学産業で原油のクラッキング触媒として使用でき、その他にも、ゼオライト及びゼオライト類似物質は、脱水乾燥剤、吸着剤、気体浄化剤、洗剤添加剤、イオン交換剤、土壌改良剤、センサーの担体などに有用である。
【0004】
このようなゼオライト及びその擬似物質は、一般に微細粉末として存在するが、これらを効果的に活用するために、従来から微細粉末状の分子ふるい粒子をガラス、セラミック、高分子重合体、金属などのような基質表面に付着させる研究が活発になされてきた。
【0005】
最も簡単な方法としては、基質をゼオライト結晶で作った混濁液に浸し、ゼオライト表面と基質の表面との間の物理的引力によりゼオライト粒子を付着させる方法がある(L. C. Boudreau, J. A. Kuck, M. Tsapatsis, J. Membr. Sci., 152:41-59(1999))。この方法は、混濁液からゼオライトを取り出す速度を調節することにより、ゼオライトの分散程度を調節する方法であるため、ゼオライト粒子の均一な単層膜を形成し難く、さらに、基質にゼオライトが単純に物理的に吸着されている状態であるため、その粒子が基質から離脱し易い傾向があった。
【0006】
他の方法としては、基質とゼオライトとを連結するスペーサ(spacer)としてメチルジメトキシシリル基(Me(MeO)2Si-)を両側に有している化合物を利用する方法である(Z. Li, C. Lai, T. E. Mallouk, Inorg. Chem, 28:178-182(1989))。これは、メチルジメトキシシリル基を両端に有する化合物の一方のメチルジメトキシシリル基と基質とを先に共有結合させた後、ゼオライト粒子と混ぜて、他の一方のメチルジメトキシシリル基とゼオライトとの共有結合を誘導する方法である。ゼオライトを単純に混濁液に浸す方法に比べ、付着力は強いが、ゼオライト粒子の方向性を調節することができないばかりか、スペーサ両側のメチルジメトキシシリル基が同時に基質に結合し、却って基質とゼオライトとの結合を邪魔する場合もあり、問題となった。
【0007】
また他の方法は、多段階イオン結合を利用して基質とゼオライトを付着させる方法である(L. C. Boudreau, J. A. Kuck, M. Tsapatsis, J. Membr. Sci., 152, 41-59(1999))。これは、基質表面に共有結合されたアミノプロピル基を塩酸で処理し、アンモニウムイオンにより基質表面に陽電荷を帯びさせて、ナトリウムポリスチレンスルホン酸重合体を処理し、基質表面を、陰電荷を帯びる高分子重合体でコーティングする。このような方法を交互に実施し、イオン結合によるゼオライト薄膜を形成させる方法であるが、これは、6段階以上の複雑な工程を経なければならなく、ゼオライトが多少一定に配列されてはいるものの、その程度が明らかではなく、付着程度が劣る問題があった。
【0008】
その他に、基質にゼオライト粒子の核を生成させた後、これを成長させて基質表面上でゼオライト膜を直接合成させる方法なども提案されたが(J. C. Jansen, D. Kashchiev, A. Erdem-Senatalar, Stud, Surf. Catal., 85:215-250(1994))、ゼオライト合成条件下で変質しない基質を使用しなければならないという限界と、生成されるゼオライト単層膜の厚さを、必要に応じて調節することができないという短所があった。
【0009】
上記の方法の他にも、繊維を基質として使用し、ゼオライト合成ゲル中に入れて、その上でゼオライト薄膜を合成する方法が提案されたが(J. C. Jansen, D. Kashchiev, A. Erdem-Senatalar, Stud. Surf. Catal., 85:215-250(1994))、これは、柔軟な形態の生成物ではないため、曲げるか折った時、ゼオライト薄膜が崩壊されて、繊維から離れる短所がある。
【0010】
最近は、ゼオライト及びその類似物質の粒子大きさをナノ水準に具現できるようになり、尖端新素材として利用しようとする多くの研究がなされてきた(G. A. Ozin, A. Kuperman, A. Stein, Angew. Chem. Int. Ed. Engl. Adv. Mater. 28:359 (1989))。特に、3次元的メモリー素材(G. A. Ozin, A. Stein, G. D. Stucky, J. P. Godber, J. Inclusion Phenom. 6:379(1990))、光エネルギーの集結装置(M. Borja, P. K. Dutta, Nature 362:43(1993)); M. Sykora, J. R. Kincaid, Nature 387:162 (1997)); Y. Kim et al., J. Phys. Chem. 101:2491(1997))、電極補助物質(D. R. Rolison, C. A. Bessel, Acc. Chem. Res. 33:737(2000))、半導体量子点及び量子線(N. Herron et al., J. Am. Chem. Soc. 111:530(1989))、分子回路(T. Bein, P. Enzel, Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 12:1737(1989))、減光装置(G. Grubert, M. Stockenhuber, O. P. Tkachenko, M. Wark, Chem. Mater. 14:2458(2002))、発光体(G. Calzaferri et al., J. Mater. Chem. 12:1(2002))、非線形光学物質(S. D. Cox, T. E. Gier, G. D. Stucky, J. Bierlein, J. Am. Chem. Soc. 110:2986 (1988))、レーザ発光素子(U. Vietze et al., Phys. Rev. Lett. 81:4628(1998))の担体(host)などに対する研究が活発である。
【0011】
本発明者らは、上記で説明した既存の付着方法の問題点を解決して、尖端新素材としての可能性が認められているゼオライト及びその類似物質を効果的に利用できるようにするために、ナノメートルあるいはマイクロメートル大きさの微細なゼオライト粒子を一定な方向に配列して、2次元あるいは3次元の密集構造体(ゼオライト超結晶)に組み立てる技術を開発してきた(A. Kulak, Y. -J. Lee, Y. S. Park, K. B. Yoon, Angew. Chem. Int. Ed. 39:950(2000); S. Y. Choi, Y.-J. Lee, Y. S. Park, K. Ha, K. B. Yoon, J. Am. Chem. Soc. 122:5201(2000); A. Kulak, Y. S. Park, Y.-J. Lee, Y. S. Chun, K. Ha, K. B. Yoon, J. Am. Chem. Soc. 122: 9308(2000); G. S. Lee, Y.-J. Lee, K. Ha, K. B. Yoon, Tetrahedron 56:6965(2000); K. Ha, Y.-J. Lee, H. J. Lee, K. B. Yoon, Adv. Mater. 12:1114 (2000); K. Ha, Y.-J. Lee, D.-Y. Jung, J. H. Lee, K. B. Yoon, Adv. Mater. 12: 1614(2000); G. S. Lee, Y.-J. Lee, K. B. Yoon, J. Am. Chem. Soc. 123:9769 (2001); K. Ha, Y.-J. Lee, Y. S. Chun, Y. S. Park, G. S. Lee, K. B. Yoon, Adv. Mater. 13:594(2001); G. S. Lee, Y.-J. Lee, K. Ha, K. B. Yoon, Adv. Mater. 13:1491(2001); Y. S. Chun, K. Ha, Y.-J. Lee, J. S. Lee, H. S. Kim, Y. S. Park, K. B. Yoon, Chem. Comm. 17:1846(2002); J. S. Park, G. S. Lee, Y.-J. Lee, Y. S. Park, K. B. Yoon, J. Am. Chem. Soc. 124:13366(2002); J. S. Park, Y.-J. Lee, K. B. Yoon, J. Am. Chem. Soc. 126:1934(2004); K. Ha, J. S. Park, K. S. Oh, Y. S. Zhou, Y. S. Chun, Y.-J. Lee, K. B. Yoon, Micropor. Mesopor. Mater. 72:91(2004))。また、本発明者らは、基質に結合されたモノ−またはマルチ−層ゼオライトを含む複合体及びその製造方法を開発した(PCT/KR00/01002)。
【0012】
また、本研究陣は、表面にヒドロキシル基を有するセルロース、綿(cotton)、大麻(hemp)、亜麻(linen)などのような天然繊維を基質として使用し、単純還流法により繊維基質−分子ふるい薄膜の複合体を形成させる方法も、既に特許出願してある(大韓民国特許出願第2001-8926号)。
【0013】
上記の二つの特許は、(1)基質と連結化合物(中間体1)を共有結合させて、分子ふるい粒子と連結化合物(中間体2)とを共有結合させた後、二つの連結化合物末端の官能基を利用して中間体1と中間体2を共有、イオンまたは配位結合させて、基質−分子ふるい膜複合体を形成させる方法、(2)基質または分子ふるい粒子と、連結化合物の一方の末端とを共有結合させて、その連結化合物の他方の末端を基質または分子ふるいと直接結合させて、基質−分子ふるい膜複合体を形成させる方法、(3)中間体1と中間体2との間に中間連結化合物を挿入し、基質と分子ふるい間の長さを調節しながら基質−分子ふるい膜複合体を形成させる方法、(4)上記(1)〜(3)を繰り返し行って、基質に多層の分子ふるい膜を形成する方法などを開示するが、これは、基質−分子ふるい膜複合体を尖端新素材として応用できるように画期的な寄与をしたが、基質と連結化合物、分子ふるい粒子と連結化合物、連結化合物と連結化合物、及び連結化合物と中間連結化合物との間の結合において、単純還流法を使用したため、エネルギー効率と付着速度が低く、付着されたゼオライト粒子間の密集度が劣り、付着されたゼオライトと基質間の結合の強度が弱いという問題があった。また、基質表面の作用基と基質の物性により、それぞれ異なる方法を適用しなければならない単純還流法の限界により、商業的に量産するには問題があった。
【0014】
一方、銀(Ag+)、銅(Cu+,Cu2+)、亜鉛(Zn2+)のようなカチオンは、それ自体または水溶液状態で滅菌性(bactericidal activity)を有すると知られている。また、上述の金属イオンをゼオライトのカチオン座にイオン交換することができて、特に、金属イオンを直接使用することに比べ、耐久性に優れている。実際使用する時には、融点が比較的低い熱可塑性合成高分子を溶融した状態で、これにゼオライトを単純に混合して再び繊維形態に射出して使用している(米国特許第4,525,410号)。この場合は、ゼオライト表面が僅かしか露出されないため、比較的低い滅菌性及び抗菌性を有する。なお、セルロース、綿、大麻、亜麻などのような天然繊維は、溶融して使用することができないため、その使用範囲が制限的である。
【0015】
本明細書全体にかけて多数の特許文献及び論文が参照されて、その引用が表示されている。引用された特許文献及び論文の開示内容は、その全体が本明細書に参照として取り込まれ、本発明の属する技術分野の水準及び本発明の内容がより明確に説明される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明者は、従来技術の問題点を解決するために鋭意研究した結果、ゼオライト−繊維基質複合体を製造するにおいて、超音波処理方法を用いると、時間とエネルギーが節約されると共に、ゼオライト粒子の付着速度、付着強度、付着程度、塗布度(DOC)及び稠密度が向上し、ゼオライト−繊維基質複合体の大量生産が可能になるということを見出し、本発明を完成した。
【0017】
したがって、本発明の目的は、新規なゼオライト−繊維基質複合体の製造方法を提供することにある。
【0018】
本発明のまた他の目的及び利点は、発明の詳細な説明、請求の範囲、及び図面により、さらに明確にされる。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の一様態によると、本発明は、(a)繊維基質またはゼオライトと、連結化合物とを反応し、(連結化合物−繊維基質)中間体または(ゼオライト−連結化合物)中間体を製造する段階と、(b)前記(連結化合物−繊維基質)中間体をゼオライトと結合させるか、または前記(ゼオライト−連結化合物)中間体を繊維基質と結合させて、(ゼオライト−連結化合物−繊維基質)の複合体を製造するが、前記結合は、超音波(sonication)処理をして誘導する段階と、を含むゼオライト−繊維基質複合体の製造方法を提供する。
【0020】
本発明の他の一様態によると、本発明は、(a)繊維基質と連結化合物とを反応し、(連結化合物−繊維基質)中間体を製造する段階と、(b)ゼオライトと連結化合物とを反応し、(ゼオライト−連結化合物)中間体を製造する段階と、(c)前記(連結化合物−繊維基質)中間体及び前記(ゼオライト−連結化合物)中間体を結合させて、(ゼオライト−連結化合物−繊維基質)の複合体を製造するが、前記結合は、超音波処理をして誘導する段階と、を含むゼオライト−繊維基質複合体の製造方法を提供する。
【0021】
本発明のまた他の様態によると、本発明は、(a)繊維基質と連結化合物とを反応し、(連結化合物−繊維基質)中間体を製造する段階と、(b)ゼオライトと連結化合物とを反応し、(ゼオライト−連結化合物)中間体を製造する段階と、(c)前記(連結化合物−繊維基質)中間体の連結化合物の末端と中間連結化合物の一方の末端とを結合させて、前記(ゼオライト−連結化合物)中間体の連結化合物の末端と前記中間連結化合物の他方の末端とを結合させて、(ゼオライト−連結化合物−中間連結化合物−連結化合物−繊維基質)の複合体を製造するが、前記結合は、超音波処理をして誘導する段階と、を含むゼオライト−繊維基質複合体の製造方法を提供する。
【0022】
本発明の他の様態によると、本発明は、繊維基質、連結化合物及びゼオライトの混合物に超音波処理をして、(ゼオライト−連結化合物−繊維基質)の複合体を製造する段階を含むゼオライト−繊維基質複合体の製造方法を提供する。
【0023】
本発明の基本的思想は、繊維基質にゼオライトを結合させるにおいて、従来の単純還流方法の代わりに、超音波処理過程を用いることであり、これは、時間とエネルギーを節約すると同時に、著しく高い付着速度、付着強度、付着程度、塗布度(degree of coverage:DOC、繊維に結合されたゼオライトの最大付着量に対する比率)及び稠密度で、ゼオライト−繊維基質複合体の大量生産が可能になるようにする。
【0024】
本明細書において、用語‘繊維基質’は、当業界に公知された天然繊維及び合成繊維であって、官能基(好ましくは、ヒドロキシル基)を有する全ての繊維を意味し、具体的には、次を含む意味である。
【0025】
1.天然繊維
(1)セルロース系繊維であって、例えば、綿、カポック、ラミー、亜麻、大麻 、黄麻、サイザルアサ、コイア、澱粉(アミロース及びアミロペクチン)、リグニン。
(2)タンパク質系繊維であって、例えば、羊毛、山羊毛、カシミヤ、アルパカ毛、ビキューナ、ラマ、シルク、家蚕絹、及びサク蚕絹。
【0026】
2.合成繊維
(1)半合成繊維であって、アセテート系繊維及びトリアセテート系繊維。
(2)合成繊維の中で、縮合重合型繊維として、例えば、ポリアミド系繊維(ナイロン)、ポリエステル系繊維及びポリウレタン系繊維、付加重合型繊維として、例えば、ポリエチレン系繊維、ポリ塩化ビニル系繊維、ポリ塩化ビニルリデン系繊維、ポリフルオロエチル系繊維、ポリビニルアルコール系繊維、ポリアクリロニトリル系繊維、及びポリプロピレン系繊維。
【0027】
本明細書で用語‘ゼオライト’は、(i)アルカリまたはアルカリ土類金属の珪酸アルミニウム水和物である鉱物の総称だけではなく、(ii)ゼオライトの珪素(Si)とアルミニウム(Al)のその一部または全体をさまざまな他の元素で代替させたゼオライト擬似分子ふるい(zeotype molecular sieve)も含み、最も広い意味では、表面にヒドロキシル基を有するあらゆる多孔性酸化物または硫化物を含む。分子ふるいの骨格を成す原子は、珪素、アルミニウム、ガリウム、ホウ素、リン、酸素、硫黄などの主族元素だけではなく、チタン、バナジウム、ジルコニウム、マンガン、クロム、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛などの様々な遷移金属も可能である。細孔に置換されるカチオン、または壜のなかの船(ship-in-a-bottle)法により合成されるカチオンの種類に係わらず、本発明のゼオライトに含まれる。
【0028】
ゼオライトの好ましい例を挙げると次のようである。
(i)天然及び合成ゼオライト、
(ii)MFI構造を有するゼオライト及び類似物質(ZSM-5、シリカライト-1、TS-1、及び遷移金属が部分的に置換されたメタロ−シリカライト-1など)、
(iii)MEL構造を有するゼオライト及び類似物質(ZSM-11、シリカライト-2、TS-2、及び遷移金属が部分的に置換されたメタロ−シリカライト-2など)、
(iv)ゼオライトA、X、Y、L、β、モルデン沸石、フェリエライト、ETS−4またはETS−10、
(v)メソポーラスシリカ(MCM系列、SBA系列、MSU系列、KIT系列)、
(vi)水熱合成を通じて生成されるゼオライト及びメソポーラスシリカを含む擬似分子ふるい、
(vii)有機−無機複合メソポーラス構造体及び層状物質、
(viii)金属イオンとリガンドが3次元的に結合して、規則的なナノ細孔を形成する有機ゼオライト、有機金属ゼオライトまたは配位化合物ゼオライトと呼ばれるナノ多孔性物質。
【0029】
本明細書において、用語‘連結化合物’は、繊維基質とゼオライトとの間の結合を可能にする、末端に官能基を有する全ての化合物を含む。好ましくは、連結化合物は、下記化学式1〜7で示される化合物である。
[化学式1]
Z−L1−X
[化学式2]
MR’4
[化学式3]
R3Si−L1−Y
[化学式4]
HS−L1−X
[化学式5]
HS−L1−SiR3
[化学式6]
HS−L1−Y
[化学式7]
Z−L2(+)L3(−)−YまたはZ−L3(−)L2(+)−Y
上記式において、Zは、R3Siまたはイソシアネート基(-NCO)であり;ここで、Rは、ハロゲン基、C1〜C4のアルコキシまたはC1〜C4のアルキル基を示し、3つのRの少なくとも1つは、ハロゲン基またはアルコキシ基であり;L1は、置換または非置換されたC1〜C17アルキル、アルアルキルまたはアリル基であって、1つ以上の酸素、窒素または硫黄原子を含むことができ;Xは、ハロゲン基、イソシアネート(-NCO)基、トシル基またはアジド基であり;R’は、Rと同一な意味を示し、4つのR’の少なくとも2つは、ハロゲン基またはアルコキシ基であり;Mは、珪素、チタンまたはジルコニウムであり;Yは、ヒドロキシ基、チオール基、アミン基、アンモニウム基、スルホン基及びこれの塩、カルボキシ酸及びこれの塩、酸無水物、エポキシ基、アルデヒド基、エステル基、アクリル基、イソシアネート基(-NCO)、糖(sugar)残基、二重結合、三重結合、ジエン(diene)、ジイン(diyne)、アルキルフォスフィン、アルキルアミンまたはリガンド交換ができる配位化合物であり、Yは、連結化合物の末端だけではなく、中間に位置することもでき;L2(+)は、1つ以上の酸素、窒素または硫黄原子を含むことができる置換または非置換されたC1〜C17の炭化水素化合物の末端、直鎖または側鎖に陽電荷(+)が少なくとも1つ以上である官能基を示して;L3(−)は、1つ以上の酸素、窒素または硫黄原子を含むことができる置換または非置換されたC1〜C17の炭化水素化合物の末端、直鎖または側鎖に陰電荷(−)が少なくとも1つ以上である官能基を示す。
【0030】
本明細書において、用語‘中間連結化合物(intervening linking compound)’は、(連結化合物−繊維基質)中間体及び(ゼオライト−連結化合物)中間体の間で、二つの連結化合物間の結合を可能にする、末端に官能基を有する全ての化合物を意味する。好ましくは、前記中間連結化合物は、フラーレン(C60、C70)、炭素ナノチューブ、α、ω−ジアルデヒド、ジカルボキシル酸、ジカルボキシル酸無水物、アミン−デンドリマー、ポリエチレンイミン、α、ω−ジアミン、金属ポルフィリン及びM(サリン)で表示される錯化合物(Mは、コバルト、ニッケル、クロム、マンガンまたは鉄であり、サリンは、N,N’−ビス(サリチリデン)エチレンジアミンである)から構成された群から選択される。
【0031】
本明細書において、用語‘超音波処理(sonication)’は、当業界に公知された通常的な周波数範囲の超音波で処理する過程を意味し、好ましくは、10KHz〜100MHzの超音波、より好ましくは、15KHz〜10MHz、さらに好ましくは、20KHz〜10MHz、最も好ましくは、25KHz〜1000KHzの超音波を利用して処理する過程を意味する。超音波処理時間は、様々であるが、好ましくは、30秒〜10分、より好ましくは、1分〜5分、最も好ましくは1〜3分である。超音波処理時の温度は、一般的な化学反応温度の範囲で行うことができて、好ましくは、20〜50℃、より好ましくは、20〜40℃、最も好ましくは、室温である。
【0032】
本発明により最終的に製造されるゼオライト−繊維基質複合体、即ち、繊維基質上にゼオライトが結合された複合体のパターンは、多様にすることができて、代表的なパターンの例を挙げて説明すると、次のようである。
【0033】
第一、(ゼオライト−連結化合物−繊維基質)複合体である。
【0034】
このようなパターンを製造するために、まず、繊維基質またはゼオライトと、連結化合物とを反応し、(連結化合物−繊維基質)中間体または(ゼオライト−連結化合物)中間体を製造する。このような中間体の製造は、一般的な化学反応により進行することができて、この場合、反応メカニズム及び反応条件は、当業者にとって自明である。また、前記中間体の製造は、超音波処理をして進行することもできる。この場合、連結化合物としては、(3−クロロプロピル)トリメトキシシラン、3−(トリエトキシシリル)プロピルイソシアネートなどの化合物を使用することができる。
【0035】
次いで、前記(連結化合物−繊維基質)中間体を含む溶液にゼオライトを添加するか、前記(ゼオライト−連結化合物)中間体を含む溶液に繊維基質を添加した後、超音波処理をして、連結化合物とゼオライト、または連結化合物と繊維基質との間の結合を迅速に誘導し、繊維基質上にゼオライト粒子が迅速に層を形成するようにする。
【0036】
一方、このようなパターンは、繊維基質、連結化合物及びゼオライト粒子を同時に製造装置に入れて、超音波処理をして結合を誘導し製造することもできる。この場合、連結化合物としては、テトラエトキシシラン、四塩化シリコンなどを使用することができる。
【0037】
第二、(ゼオライト−連結化合物−連結化合物−繊維基質)複合体である。
【0038】
このパターンを製造するために、繊維基質と連結化合物とを反応し、(連結化合物−繊維基質)中間体1を製造して、ゼオライトと連結化合物とを反応し、(ゼオライト−連結化合物)中間体2を製造する。この段階における反応は、一般的な化学反応により進行できて、この場合、反応メカニズム及び反応条件は、当業者に自明である。また、前記中間体の製造は、超音波処理をして進行することもできる。このようなパターンに利用される連結化合物は、中間体1の連結化合物と中間体2の連結化合物とがお互い反応できる場合でなければならない。例えば、置換反応(アミノ基と離脱基)、イオン結合(アンモニウム基とカルボキシル基またはその塩)、ディールス・アルダー反応(ジエン基と二重結合)、開環反応(エポキシ基とアミノ基)、エステルまたはアミド形成反応、グリコシド結合などがある。連結化合物セットの具体的な例は、[3−(2,3−エポキシプロポキシ)プロピル]トリメトキシシラン(EPS)と3−アミノプロピルトリエトキシシラン(APS)、(3−クロロプロピル)トリメトキシシラン(CPS)と3−アミノプロピルトリエトキシシラン(APS)などがある。このように製造された中間体1及び中間体2は、超音波処理を通じてお互い結合し、(ゼオライト−連結化合物−連結化合物−繊維基質)複合体を迅速に形成する。
【0039】
第三のパターンは、(ゼオライト−連結化合物−中間連結化合物−連結化合物−繊維基質)複合体である。
【0040】
繊維基質と連結化合物とを結合させて中間体1を形成し、ゼオライト粒子と連結化合物とを結合させて中間体2を形成させる。次いで、中間体1及び2を超音波処理により中間連結化合物と連結させる。中間連結化合物を中間体1または中間体2と先に結合させて、その後、中間体2または中間体1と結合させてもよい。前記連結化合物−中間連結化合物の反応対を例示すると、フラーレンまたは炭素ナノチューブ/アミノ末端基、α、ω−ジアルデヒド、ジカルボキシ酸またはジカルボキシ酸無水物/アミノ末端基、アミン−デンドリマー/エポキシ基とハロゲンのような離脱基、そして、ポリエチレンイミン、ジアミン/エポキシ基とハロゲンのような離脱基などがある。
【0041】
本発明の方法において、ゼオライト−繊維基質複合体を製造するために、実施される超音波処理は、当業界で入手可能な超音波発生装置(sonicator)を利用して実施できるが、好ましくは、本発明者らにより開発されたゼオライト−繊維基質複合体製造装置100を利用する。製造装置は、溶媒1とゼオライト−繊維基質複合体の反応物が入っている反応容器10、溶媒2が入っており且つ反応容器を収容する外部容器20、超音波発生手段30及び温度調節手段40を含む。
【0042】
反応容器10には、溶媒1が入っており、さらに繊維基質、連結化合物、中間連結化合物及びゼオライト粒子などの反応物が入る。溶媒1は、有機溶媒であるトルエン、ヘキサン、ベンゼン、四塩化炭素、オクタン、アルコールなどのようなゼオライト粒子を分散させることのできる溶媒が好ましい。溶媒1を入れる反応容器は、特定形態を有する容器に限らず、丸底フラスコなどの容器を使用する場合は、スタンドなどの固定手段を利用して、溶媒2が入っている外部容器30と連結することができる。
【0043】
繊維基質は、テフロン支持体などの支持体を使用して、反応容器10に入れることが好ましいが、別途の支持体を使用せずに、溶媒1が入っている反応容器10に入れて反応させることもできる。また、繊維基質は、一つずつ反応容器10に入れて分子ふるい粒子などと反応させることができるが、必要に応じては、複数個の繊維基質を重ねて、一遍に反応容器10に入れて製造することもできる。
【0044】
このような装置を利用して、超音波でゼオライト−繊維基質複合体を製造する方法は、A型超音波法とB型超音波法とに区分される。A型超音波法は、連結化合物が結合された一つの繊維基質とゼオライト粒子とが結合するか、連結化合物が結合されたゼオライト粒子が一つの繊維基質と結合するように、一つの繊維基質を反応容器に入れて反応させる方法であり、B型超音波法の場合は、一つ以上の同種または異種の連結化合物と結合された繊維基質と、連結化合物と結合されていない繊維基質とを含む複数個の基質を重ねて反応容器に入れて、連結化合物またはゼオライト粒子と反応させる方法である。前記B型超音波法の場合、重ねられた繊維基質の最も外部の基質が、必ずしも連結化合物が結合されていない基質である必要はなく、B型超音波法は、繊維基質の外部に位置した基質により、より強く振動するようにして、物理的な吸着を著しく減らす効果を誘導するためである。
【0045】
外部容器20には、溶媒2が満たされており、反応容器10をその内部に収容する。溶媒2は、水(H2O)のように、超音波発生手段30から発生する超音波を反応容器10内部の反応物に伝達できる溶媒が好ましく、このように伝達された超音波により繊維基質と連結化合物、ゼオライト粒子と連結化合物、連結化合物と連結化合物、または連結化合物と中間連結化合物との間の結合がなされ、基質−分子ふるい膜複合体が製造される。溶媒2の液面高は、溶媒1の液面高より高くすることが、反応熱の吸収において効果的である。
【0046】
図1dのように、溶媒1が入っている反応容器10を使用せずに、外部容器20で基質と分子ふるい粒子との結合反応を誘導する場合は、溶媒2の代わりに溶媒1を外部容器2に入れることができる。
【0047】
温度調節手段40の一部分である冷却水循環コイル41は、溶媒2に含浸されている。冷却水循環コイル41は、温度調節手段40から出る冷却水をコイルを通じて循環させて、反応容器10から発生する反応熱を吸収し、溶媒2の温度を一定に維持する。
【0048】
超音波発生手段30は、10KHz〜100MHzの超音波を発生させることができる装置であって、超音波の周波数及び出力電力を調節できる手段を含んでいてもよい。超音波発生手段は、溶媒2が入っている外部容器20に超音波を伝達するか、溶媒1に直接超音波を伝達するか、あるいは溶媒2に超音波を伝達して、反応容器10における繊維基質、連結化合物、中間連結化合物及び分子ふるい粒子の結合を誘導する。
【0049】
温度調節手段40は、冷却水発生手段41と冷却水循環コイル42から構成されている。冷却水発生手段41は、冷却水の流出速度を調節できる手段を含むことができ、冷却水発生手段41を通じて流出された冷却水は、冷却水循環コイル42を通じて、反応容器10から発生する熱を吸収し、溶媒2の温度を一定にした後、再び冷却水発生手段41に流入される。冷却水循環コイル42は、図1aのように、溶媒2に含浸されている形態でもよく、反応容器10または外部容器20を囲んでいる形態でもよい。
【0050】
超音波を利用するゼオライト−繊維基質複合体製造装置100の基本構造は、図1aに示して、超音波発生手段30の超音波注入位置を変形させた構造は、図1b及び1cに示した。また、反応容器10を使用せずに、外部容器20のみを利用してゼオライト−繊維基質複合体を製造することもできるが、このように応用された形態の製造装置は、図1dに示した。図1dの場合は、外部容器20に溶媒2の代わりに溶媒1を入れる。
【0051】
上記の超音波を利用するゼオライト−繊維基質複合体製造装置100を使用し、ゼオライト−繊維基質複合体を製造する具体的な実施例は、次のようである。
【0052】
上述の第一のパターンを製造する場合、洗浄、乾燥などの過程を経て不純物を除去した繊維基質を、トルエンなどの有機溶媒が入っている反応容器10に入れて、連結化合物と超音波を利用して結合させる。連結化合物と結合された繊維基質(中間体1)を反応容器から取り出して、トルエンなどの有機溶媒で洗浄した後、窒素気流下で乾燥させる。連結化合物−繊維基質−中間連結化合物の場合のように、中間連結化合物の結合がさらに必要な場合は、上記と同様な過程を経て結合させる。その後、有機溶媒が入っている反応容器10にゼオライト粒子を入れて、ゼオライト粒子の種類により、超音波に5〜15分程度露出させて分散させる。その後、予め製造した連結化合物−繊維基質(中間体1)と分子ふるい粒子とを、超音波を利用して1〜2分間程度結合させると、稠密な構造のゼオライト−繊維基質複合体が製造される。
【0053】
ゼオライト−連結化合物(中間体2)を先に製造する場合も、上記の過程と同様な過程を経て、中間体1と中間体2を製造した後、これらを結合する場合も、上記と類似した方法を利用することができる。
【0054】
本発明で利用される超音波は、好ましくは、15KHz〜100MHzの振動数を有して、繊維基質と連結化合物、ゼオライト粒子と連結化合物、連結化合物と連結化合物、または連結化合物と中間連結化合物との間の共有、イオン、配位または水素結合に係わる分子の反応活性を増加させて、短時間に結合力を向上させる目的で使用する。超音波の範囲が前記範囲を外れると、分子ふるい粒子の結合が良好にならない。また、電力は、適当な範囲内で、周波数に合わせて変化させて使用できる。
【0055】
前記列挙した方法により、繊維基質にまずゼオライト単層膜を形成させて、このゼオライト単層膜と結合できる第2のゼオライト粒子を結合させると、基質に二層膜を形成することができて、このような過程を繰り返して多層膜を製造することができる。
【0056】
本発明の他の様態によると、本発明は、(a)上述の本発明の方法により、繊維基質上にゼオライト単層膜を形成させる段階と、(b)前記単層膜にゼオライトまたは(ゼオライト−連結化合物)中間体を処理し、超音波処理をして単層膜にゼオライトまたは(ゼオライト−連結化合物)中間体を結合させる段階とを含む、ゼオライト−繊維基質多層膜の製造方法を提供する。
【0057】
二層または多層膜を製造するためのゼオライト粒子は、単層膜を形成したゼオライト粒子と同じ種類であるか、異なる種類である。積層パターンは、特定な方法に限定されないが、例えば、(ゼオライト−連結化合物−繊維基質粒子)−(ゼオライト−連結化合物粒子)、(連結化合物−繊維基質)−(連結化合物−ゼオライト粒子−連結化合物)−(ゼオライト−連結化合物粒子)などがある。
【0058】
本発明の好ましい具現例によると、本発明の方法に利用されるゼオライトは、金属イオン、好ましくは、特定機能(例えば、抗生活性、遠赤外線放出など)を発揮する金属イオン、より好ましくは、銀イオン、ソジウムイオン、亜鉛イオンまたは銅イオン、最も好ましくは、銀イオンを内包する。このような金属イオンを内包するゼオライトを利用して製造されたゼオライト−繊維基質複合体は、ゼオライトの固有な機能(例えば、抗生活性、難燃性、抗臭性、吸収性、保温効果)だけではなく、金属イオンにより現れる機能も繊維基質に付与するようになる。特に、銀イオンがゼオライトに内包されたものを利用して製造されたゼオライト−繊維基質複合体は、18時間内に99.9%の抗生活性を示す。
【0059】
金属イオンが内包されたゼオライトは、金属塩溶液にゼオライトを分散させて攪拌した後、ゼオライトを乾燥して得ることができる。金属イオンは、ゼオライト細孔の中に、数ナノメートルに大きさが制限された形態の粒子(量子点)として存在するようになる。
【0060】
本発明の好ましい具現例によると、本発明で利用されるゼオライトは、中性染料、カチオン性染料、発光染料、または特定波長の光に感応する化合物を内包する。このような化合物が細孔内に内包されたゼオライトを利用して製造されたゼオライト−繊維基質複合体は、多様な色相を出す繊維を具現することができて、特定波長の光(例えば、紫外線、可視光線、赤外線、X−線など)に発光する繊維素材を作製することもできる。
【0061】
前記ゼオライトに内包できる中性染料は、特に制限されず、例えば、BP(1,1'-biphenyl)、pTP(p-Terphenyl)、DPH(1,6-diphenyl-1,3,5-hexatriene)、PBOX(phenylbenzoxazol)、MBOXE(1,2-bis-(5-methyl-benzoxazol-2-yl)-ethene)、POPOP(5,5'-diphenyl-2,2'-p-phenylenebis(oxazole))、DMPOPOP(dimethyl-POPOP)、ナフタレン、アントラセン、イソビオラントロン(isoviolanthrone)、ResH、N-エチルカルバゾール、フルオレノン、DCS(4-(4-(dimethylamino)styryl)benzonitrile)、スチルベン、及びアゾベンゼンを含む。
【0062】
前記ゼオライトに内包できるカチオン性染料は、特に制限されず、例えば、プロフラビン+(proflavin+)、ピロニン+(pyronin+)、ピロニンGY+(pyronin GY+)ピロニンB+(pyronin B+)、ピロニンY+(pyronin Y+)+、オキサジン+(oxazine+)、ジメチルバイオローゲン2+(4,4‘-dimethylviologen2+)を含む。
【0063】
前記ゼオライトに内包できる発光染料は、特に制限されず、例えば、三重項励起状態で発光する物質(例えば、2,3,7,8,12,13,17,18- octaethyl-21H,23H-porphine platinum (PtOEP)、fac tris(2-phenylpyridine) iridium (Ir(ppy)3)などがある)及び一重項励起状態で発光する物質(例えば、oxadiazole, distyrylaryl, phenylamine, oxazine, perylene誘導体など)を含む。
【0064】
前記特定波長の光に感応する化合物は、例えば、POPOP(5,5'-diphenyl-2,2'-p-phenylenebis(oxazole))及びDMPOPOP(dimethyl-POPOP)を含む。
【0065】
本発明により、超音波を利用して繊維基質にゼオライト粒子を単層または多層膜形態に付着させる方法を使用すると、単純還流法を使用する場合に比べ、多様な方法で繊維基質とゼオライト粒子とを結合させることができるだけではなく、時間とエネルギーを節約すると共に、著しく高い付着速度、付着強度、付着程度、及び稠密度を有して、ゼオライト−繊維基質複合体の大量生産が可能である。また、本発明により、天然繊維及び合成高分子繊維を基質として使用し、その表面に多孔性ゼオライト粒子を化学的に結合(共有、イオン、配位結合)させて、繊維基質−分子ふるい膜複合体を製造することができる。
【0066】
本発明により製造されたゼオライト−繊維基質複合体は、柔軟性(flexibility)を有するため、効用性及び実用性の側面で有利である。また、複合体は、ゼオライトが有する特性、例えば、抗バクテリア活性、抗臭性、保温作用及び吸収性などをそのまま保持するため、今までゼオライトの特性を利用するに制限的な要素を克服できる新物質として使用できると期待される。また、ゼオライト分子ふるい膜自体の熱的安定性のため、生成されたゼオライト−繊維基質複合体は、優れた熱的安定性を有するため、新しい概念の難燃性繊維素材への活用が可能である。
【0067】
より具体的に、本発明により製造されたゼオライト−繊維基質複合体は、薄いながらも優れた抗菌、脱臭及び吸収力のため、女性向けの衛生用品(例えば、生理用パッド及びタンポン)、おむつ、壁紙、床材、靴及び靴下、寝具類、下着及びその他の衣類などに適用できる。
【0068】
そして、ゼオライト細孔内に様々な染料分子を内包させて、繊維基質上に結合させると、多様な色相を出す繊維を具現することができて、紫外線に発光する染料を利用すると、紫外線を探知して発光する繊維素材を製作することもできる。
【0069】
以下、実施例を通じて本発明をさらに詳細に説明する。これら実施例は本発明をより具体的に説明するためのものであり、本発明の範囲がこれら実施例に限定されないことは、本発明の属する技術分野で通常の知識を有する者にとって自明なことであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0070】
実施例I:ゼオライトの前処理
前述のように、ゼオライトは、骨格内にカチオン座を有している。このようなゼオライトの中でNaYは、カチオンとしてナトリウムイオン(Na+)を含んでいる。100nm平均大きさのゼオライト−Yを「Goo Soo Lee, et al., Adv. Mat., 13:1491(2001)」に記載された方法により製造した。ゼオライトY結晶(1g)を0.1M塩化銀(AgNO3)水溶液によく分散させて、24時間攪拌した。濾過紙で濾過した後、ゼオライトY結晶を蒸留水で洗浄し、室温またはオーブン(120℃)で乾燥した。銀イオンは、ゼオライト細孔の中に、数ナノメートルに大きさが制限された形態の粒子(量子点)として存在するようになる。
【0071】
亜鉛イオン(Zn2+)または銅イオン(Cu+, Cu2+)でイオン交換をする場合は、塩化亜鉛または塩化銅を代わりに使用した。
【0072】
実施例II:3−クロロプロピルトリメトキシシラン(CPS)を利用したゼオライト−繊維基質の製造
実施例1で製造した、銀イオンを含むゼオライト粒子600mgをトルエンの入っている反応容器に入れて、3−クロロプロピルトリメトキシシラン(Aldrich)2mlを加えて2時間加熱した。反応が終わると、3−クロロプロピル基が結合されたゼオライトを濾過して、トルエン及びメタノールでよく洗浄した。得られたゼオライト50mgを50mlの丸いフラスコに入れてトルエン40mlを加えて、超音波発生器で分散させた。数枚のセルロースを丸いフラスコに含浸させて、丸いフラスコを、超音波発生器が取り付けられた超音波水槽(bath)に位置させた。丸いフラスコ内部の溶媒であるトルエン液面が十分浸るように、前記水槽に水を満たして、温度調節装置を利用して水槽の温度を20℃に維持した。超音波(周波数28KHz、電力95W)を利用して、反応を1分間進行した。反応後、ゼオライト粒子が結合したセルロースを取り出して、トルエンで数回洗浄し、最後に30秒間弱い超音波を加えて、セルロースと化学結合されなかったゼオライトを除去した。このようにして製造されたゼオライト−セルロース複合体に対して分析した結果、抗バクテリア活性を有することが究明された。
【0073】
実施例IIに開示された方法は、セルロースの他にも、綿、亜麻、大麻 、麻、シルク、ポリエステル、ポリイミド、ポリプロピレン及びナイロンのような多様な繊維に適用されて、ゼオライト−繊維複合体を製造することができるということは、当業者にとって自明である。
【0074】
図6から分かるように、本実施例で製造されたゼオライト結合繊維基質(ポリエステル)は、炭素(C)、酸素(O)、シリコン(Si)及び銀(Ag)を含む。
【0075】
実施例III:3−トリエトキシシリルプロピルイソシアネートを使用したゼオライト−繊維基質の製造
エタノール内で加熱により洗浄された数枚の綿(cotton)を、トルエンの入っている反応容器に入れて、3−トリエトキシシリルプロピルイソシアネート2mlを反応容器に添加した後、110℃で1時間加熱し、イソシアネート基と綿のヒドロキシル基との間にウレア結合を形成させた。室温に冷やした後、綿をトルエンでよく洗浄した。このようにして得られたトリエトキシシリルプロピル基−結合綿を、実施例Iで製造した、銀イオンを含むゼオライト粒子がよく分散されているトルエン懸濁液に浸して、実施例IIで説明した方法により常温で1分間超音波処理をした。反応後、ゼオライト粒子が結合した綿を取り出して、トルエンで数回洗浄した。このようにして得られたゼオライト−綿複合体に対して分析した結果、抗バクテリア活性を有することが究明された。
【0076】
実施例IIIに開示された方法は、綿の他にも、セルロース、亜麻、大麻 、麻、シルク、ポリエステル、ポリイミド、ポリプロピレン及びナイロンのような多様な繊維に適用されて、ゼオライト−繊維複合体を製造することができるということは、当業者にとって自明である。
【0077】
実施例IV:EPSとAPSを使用したゼオライト−繊維基質の製造
エタノール内で加熱により洗浄された数枚の大麻を、2mM([3−(2,3−エポキシプロポキシ)プロピル]トリメトキシシラン:EPS、Aldrich)が溶解されたトルエン溶液に入れて、110℃で1時間反応した。室温に冷やした後、大麻をトルエンでよく洗浄した。実施例Iで製造した、銀イオンを含むゼオライト粒子600mgを3−アミノプロピルトリエトキシシラン(APS、Aldrich)が溶解されているトルエン溶液に入れて、110℃で一時間反応させた後、室温まで冷やした。アミノプロピル基が結合されたゼオライトをろ過して、よく洗浄した。アミノプロピルが結合されたゼオライト粒子50mgをトルエンに入れて、超音波でよく分散させてゼオライト懸濁液を得た。次いで、ゼオライト懸濁液にEPS−結合大麻を入れて、実施例IIで説明した方法により常温で1分間超音波処理をした。反応後、ゼオライト粒子が結合された大麻を取り出して、トルエンで数回洗浄した。このようにして得られたゼオライト−大麻複合体に対して分析した結果、抗バクテリア活性を有することが究明された。
【0078】
実施例IVに開示された方法は、大麻の他にも、セルロース、綿、亜麻、麻、シルク、ポリエステル、ポリイミド、ポリプロピレン及びナイロンのような多様な繊維に適用されて、ゼオライト−繊維複合体を製造することができるということは、当業者にとって自明である。
【0079】
実施例V:CPSとAPSを使用したゼオライト−繊維基質の製造
エタノール内で加熱により洗浄した数枚の亜麻を、3−アミノプロピルトリエトキシシラン(APS)が溶解されているトルエン溶液に入れて、110℃で1時間反応し、室温まで冷やした後、亜麻をトルエンで洗浄した。実施例I及びIIで言及したように、銀イオンが細孔内に内包された、3−クロロプロピル基が結合されたゼオライト粒子を製造した。得られたゼオライト粒子50mgをトルエンに入れて、超音波を利用してよく分散させて、ゼオライト懸濁液を得た。前記ゼオライト懸濁液に、上記のAPSが結合された亜麻を入れて、実施例IIで説明した方法により常温で1分間超音波処理をした。反応後、ゼオライト粒子が結合された亜麻を取り出して、トルエンで数回洗浄した。このようにして得られたゼオライト−亜麻複合体に対して分析した結果、抗バクテリア活性を有することが究明された。
【0080】
実施例Vに開示された方法は、亜麻の他にも、セルロース、綿、大麻、麻、シルク、ポリエステル、ポリイミド、ポリプロピレン及びナイロンのような多様な繊維に適用されて、ゼオライト−繊維複合体を製造することができるということは、当業者にとって自明である。
【0081】
実施例VI:α、ω−ジアルデヒドを利用したゼオライト−繊維基質の製造
実施例Vで言及したように、3−アミノプロピル基が結合された亜麻を、2mMテレフタルジカルボックスアルデヒド(OHC-C6H4-CHO, Aldrich)及び触媒量の酢酸が溶解されているトルエン溶液に入れて、110℃で3時間反応し、室温まで冷やした後、亜麻をトルエン及びメタノールでよく洗浄した。実施例IVにより3−アミノプロピル基が結合されたゼオライト50mgをトルエンによく分散させて、これに、ホルミル基が結合された亜麻を入れた後、実施例IIで説明した方法により常温で1分間超音波処理をした。反応後、ゼオライト粒子が結合された亜麻を取り出して、トルエンで数回洗浄した。このようにして得られたゼオライト−亜麻複合体に対して分析した結果、抗バクテリア活性を有することが究明された。
【0082】
実施例VIに開示された方法は、亜麻の他にも、セルロース、綿、大麻、麻、シルク、ポリエステル、ポリイミド、ポリプロピレン及びナイロンのような多様な繊維に適用されて、ゼオライト−繊維複合体を製造することができるということは、当業者にとって自明である。
【0083】
実施例VII:アミン−デンドリマーを利用したゼオライト−繊維基質の製造
実施例IVに言及したように、EPSが結合された大麻を2mMデンドリマー(Alrich)が溶解されているメタノール溶液に入れて、65℃で2時間反応し、室温まで冷やした後、大麻をメタノール及び蒸留水でよく洗浄した。実施例Iのゼオライト粒子を2mM([3−(2,3−エポキシプロポキシ)プロピル]トリメトキシシラン:EPS、Aldrich)が溶解されているトルエン溶液に入れて、110℃で2時間反応した。室温に冷やした後、ゼオライトをろ過して、トルエン及びメタノールでよく洗浄した。3−(2,3−エポキシプロポキシ)プロピル基が結合されたゼオライト50mgをトルエンによく分散させて、これに、前記デンドリマーが結合された大麻を入れた後、実施例IIで説明した方法により常温で1分間超音波処理をした。反応後、ゼオライト粒子が結合された大麻を取り出して、トルエンで数回洗浄した。このようにして得られたゼオライト−大麻複合体に対して分析した結果、抗バクテリア活性を有することが究明された。
【0084】
実施例Vに開示された方法は、大麻の他にも、セルロース、綿、亜麻、麻、シルク、ポリエステル、ポリイミド、ポリプロピレン及びナイロンのような多様な繊維に適用されて、ゼオライト−繊維複合体を製造することができるということは、当業者にとって自明である。
【0085】
実施例VIII:ポリエチレンイミンを利用したゼオライト粒子の単層膜製造
数枚の綿を3−クロロプロピルトリメトキシシラン(CPS)が溶解されているトルエン溶液に入れて、110℃で2時間反応し、室温に冷やした後、綿をトルエン及びメタノールでよく洗浄した。CPS処理された綿をポリエチレンイミン(低い分子量、Aldrich)40mgが溶解されているトルエン溶液に入れて、110℃で2時間反応した。室温に冷やした後、綿を取り出して、きれいなトルエン及びメタノールでそれぞれ一時間ずつ加熱しながら洗浄した。実施例IIで言及したように、3−クロロプロピル基が結合されたゼオライトを製造した。3−クロロプロピルが結合されたゼオライト粒子50mgをトルエンによく分散させて、これにポリエチレンイミン処理された綿を入れた後、実施例IIで説明した方法により常温で1分間超音波処理をした。反応後、ゼオライト粒子が結合された綿を取り出して、トルエンで数回洗浄した。このようにして得られたゼオライト−綿複合体に対して分析した結果、抗バクテリア活性を有することが究明された。
【0086】
実施例VIIに開示された方法は、綿の他にも、セルロース、大麻、亜麻、麻、シルク、ポリエステル、ポリイミド、ポリプロピレン及びナイロンのような多様な繊維に適用されて、ゼオライト−繊維複合体を製造することができるということは、当業者にとって自明である。
【0087】
実施例IX:走査型電子顕微鏡(scanning electron microscope)分析
前記実施例により製造されたそれぞれのゼオライト−繊維複合体のSEM写真は、10〜20kVの加速電圧で電界放射SEM(FE-SEM)(Hitachi S-4300)を利用して得た。約15nm厚の白金/パラジウム(8:2の比率)コーティングを試料の上部に施した。図2〜4は、本発明の実施例により製造された複合体のSEM写真である。これらの図面によると、セルロース、亜麻または大麻のようなそれぞれの基質表面にゼオライト粒子が均一に結合されて、これは、本発明のゼオライト−連結化合物−繊維基質複合体の生成を明らかに示す実験結果である。
【0088】
実施例X:抗生活性の調査
試験する微生物の1×108細胞/mlを生理食塩水に懸濁させた。前記微生物懸濁液をコンラディロッド(Conradi rod, 0.1ml)を利用し、培地に分散させた。 真菌類(Eumycetes)に対しては、Sabourand agar mediumを使用して、その他の微生物に対しては、Mueller Hinton culture mediumを使用した。前記実施例II〜IXにより製造されたそれぞれのゼオライト−繊維基質複合体を、8mmの直径を有する円板状(disc)にした。この円板を前記培地に載せた後、37℃で18時間培養した。一方、真菌類の場合、30℃で一週間培養した。前記複合体の抗バクテリア活性により、培地上に形成された抑制域(inhibition zone)を測定した。活性を調査した結果、本発明の複合体は、Eumycetes, Escherichia coli, Pseudomonas aeruginosa, Staphylococcus aureus, Candida albicans及び Aspergillus flavusのような多様な微生物に対して抗生活性を有することが分かった。
【0089】
実施例XI:ゼオライトの前処理
100nm大きさのゼオライト−NaY(600mg)と40mgのピロニンY(pyronin Y)とを丸底フラスコに入れて、水40mlを添加して加熱した。これとは別に、100nm大きさのゼオライト−NaY(600mg)をアンプル型チューブに入れて、真空状態で40℃で6時間加熱し、水分を完全に除去した後、40mgのPOPOP(5,5'-diphenyl-2,2'-p-phenylenebis(oxazole))をアルゴンボックスで添加し、真空をかけた後、アンプル状に製作し、250℃で24時間加熱した。このようなゼオライトをろ過紙でろ過し、蒸留水で十分洗浄して、室温またはオーブン(120℃)で乾燥し、ピロニンYまたはPOPOPが細孔中に内包されたゼオライト−Yを得た。実施例VIIIで述べた方法により、前記ゼオライト−Y粒子を繊維基質上に結合させた(参照:図8)。
【0090】
比較例:単純還流法(公知技術)を利用したゼオライト−繊維基質複合体の製造
50mlの丸底フラスコに、粒子の大きさが100nmのAgY 50mgを入れて、トルエン40mlを加えた。トルエン溶液を超音波で5分間分散させて、連結化合物が結合された繊維基質を入れた後、一定時間(例えば、1時間、1.5時間、2時間、または3時間)還流させて、ゼオライトが結合された繊維基質複合体を製造した。
【0091】
実施例XII:熱分解質量変化の分析
本発明の複合体(実施例VIIIで製造されたゼオライト−繊維基質)及び単純還流法により製造された複合体に対し、窒素大気下で熱分解質量変化分析(thermogravimetric analysis)を行った。熱分解質量変化分析は、100℃から900℃まで分当り20℃の速度で加熱した時、それぞれの温度における質量変化を示す。実験結果、本発明の超音波法を使用した場合(2.05%)が、単純還流法を使用した場合(1.5%)に比べ、多い量の銀ナノゼオライトが繊維基質のより奥まで浸透し結合されていることが分かった(参照:図5)。
【0092】
また、本発明の複合体(1分間の超音波処理により実施例VIIIで製造されたゼオライト−繊維基質)及び2時間の単純還流により製造された複合体に対して、熱分解質量変化分析を行った(図7)。図7によると、綿(bare cotton)(A)、超音波法により製造されたゼオライト−結合繊維(B)、及び単純還流法により製造されたゼオライト−結合繊維(C)は、それぞれ異なる位置で初期質量の20%が損失されることが分かる。この結果は、本発明のゼオライト−繊維複合体は、本来の綿素材及び単純還流法によるゼオライト−結合繊維に比べ、優れた難燃性を有することを意味する。このような結果は、ゼオライトが繊維基質上に、より稠密に結合するためである。
【0093】
以上、本発明の特定な部分を詳細に記述したが、当業界の通常の知識を有する者にとって、このような具体的な記述はただ望ましい具現例に過ぎず、これらに本発明の範囲が限定されないことは明らかである。従って、本発明の実質的な範囲は、添付の請求項とその等価物により定義されると言える。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1a】本発明による超音波を利用するゼオライト−繊維基質複合体製造装置100の基本構造を示し、これは、溶媒1と反応物を含む反応容器10、溶媒2を含み反応容器を収容する外部容器20、超音波発生手段30a、及び温度調節手段40を含む。温度調節手段40は、冷却水発生器41と冷却水循環コイル42とからなる。
【図1b】溶媒1とゼオライト−繊維基質複合体の反応物とを含む反応容器10に直接的に超音波が伝達されるように変形した、超音波を利用するゼオライト−繊維基質複合体製造装置100の構造を示す。
【図1c】溶媒2を含み反応容器を収容する外部容器20に直接的に超音波が伝達されるように変形した、超音波を利用するゼオライト−繊維基質複合体製造装置100の構造を示す。
【図1d】反応容器10を使用せず、ゼオライト−繊維基質複合体を製造する製造装置100の構造を示す。
【図2】実施例VIIIで述べたように、超音波法で1分間反応して製造された銀イオンを含むゼオライトが結合された天然繊維を示す。パネルAとパネルCは、綿(cotton)を、パネルBとDは、ラミーを繊維基質として使用して、パネルCとDは、パネルAとBを拡大した走査電子顕微鏡(Scanning Electronic Microscope、SEM)イメージである。
【図3】実施例VIIIで述べたように、超音波法で1分間反応して製造された銀イオンを含むゼオライトが結合された合成繊維を示す。パネルAとパネルCは、ポリエステルを、パネルBとDは、シルクを繊維基質として使用して、パネルCとDは、パネルAとBのSEMイメージである。
【図4】繊維基質として綿を使用して、単純還流法と本発明の超音波法により製造された銀イオンを含むゼオライトが結合された繊維のSEM写真である。単純還流法により、1時間(A)、1.5時間(B)、2時間(C)、超音波法で1分(D)間反応した。
【図5】単純還流法(2時間反応)と超音波法(1分間反応)により、ゼオライト結合繊維基質(綿)に対する熱分解質量変化実験結果である。パネルAは、ゼオライト結合繊維基質の熱分解質量変化曲線であり、パネルBは、パネルAの500〜700℃区間を拡大して示したものであるが、超音波法を使用した場合(2.05%)が単純還流法を使用した場合(1.5%)より、多い量のナノ銀イオン含有ゼオライトが繊維基質のより奥まで浸透し結合されることを示す。
【図6】実施例IIで述べたように、超音波法により製造されたゼオライト結合繊維基質(ポリエステル)の元素分析結果である。パネルAは、ゼオライト結合繊維基質のSEMイメージであり、パネルBは、パネルAの選択された領域の元素分析結果である。実験結果によると、本発明の超音波方法により製造された銀イオン含有ゼオライトが結合された繊維は、炭素(C)、酸素(O)、シリコン(Si)及び銀(Ag)を含むことが分かる。
【図7】従来の2時間還流または本発明の1分間超音波処理(実施例VIII)により製造されたゼオライト結合繊維基質(綿)に対する熱分解質量変化実験の結果である。綿(A)、超音波法によるゼオライト結合繊維(B)、単純還流法によるゼオライト結合繊維(C)は、それぞれ異なる温度で初期質量の20%が損失されることを示す。この結果は、本発明のゼオライト結合繊維複合体は、本来の綿素材及び単純還流法によるゼオライト結合繊維と比較し、優れた難燃性を有することを意味する。このような結果は、ゼオライトが繊維基質上に、より稠密に結合するためである。
【図8】本発明の超音波方法に従って、実施例XIの方法により製造された様々な染料含有ゼオライトが連結された繊維基質(綿)のデジタル写真である。パネルAは、蛍光燈下で得たデジタル写真であり、パネルBは、紫外線領域である波長365nmの光を照射しながら得たデジタル写真である。何も内包されていないナノゼオライトY(1)、ピロニンY(pyronin Y)が細孔中に内包されたナノゼオライトY(2)、ピロニンYを内包させたナノゼオライトYとPOPOPを内包させたナノゼオライトYとが混ざっているゼオライトY混成体(3)、POPOPを内包させたナノゼオライトY(4)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)繊維基質またはゼオライトと、連結化合物とを反応し、(連結化合物−繊維基質)中間体または(ゼオライト−連結化合物)中間体を製造する段階と、
(b)前記(連結化合物−繊維基質)中間体をゼオライトと結合させるか、または前記(ゼオライト−連結化合物)中間体を繊維基質と結合させて、(ゼオライト−連結化合物−繊維基質)の複合体を製造するが、前記結合は、超音波(sonication)処理をして誘導する段階と、
を含む、ゼオライト−繊維基質複合体の製造方法。
【請求項2】
(a)繊維基質と連結化合物とを反応し、(連結化合物−繊維基質)中間体を製造する段階と、
(b)ゼオライトと連結化合物とを反応し、(ゼオライト−連結化合物)中間体を製造する段階と、
(c)前記(連結化合物−繊維基質)中間体及び前記(ゼオライト−連結化合物)中間体を結合させて、(ゼオライト−連結化合物−繊維基質)の複合体を製造するが、前記結合は、超音波処理をして誘導する段階と、
を含む、ゼオライト−繊維基質複合体の製造方法。
【請求項3】
(a)繊維基質と連結化合物とを反応し、(連結化合物−繊維基質)中間体を製造する段階と、
(b)ゼオライトと連結化合物とを反応し、(ゼオライト−連結化合物)中間体を製造する段階と、
(c)前記(連結化合物−繊維基質)中間体の連結化合物の末端と中間連結化合物の一方の末端とを結合させて、前記(ゼオライト−連結化合物)中間体の連結化合物の末端と前記中間連結化合物の他方の末端とを結合させて、(ゼオライト−連結化合物−中間連結化合物−連結化合物−繊維基質)の複合体を製造するが、前記結合は、超音波処理をして誘導する段階と、
を含む、ゼオライト−繊維基質複合体の製造方法。
【請求項4】
繊維基質、連結化合物及びゼオライトの混合物に超音波処理をして、(ゼオライト−連結化合物−繊維基質)の複合体を製造する段階を含む、ゼオライト−繊維基質複合体の製造方法。
【請求項5】
前記繊維基質は、(i)綿、カポック、ラミー、亜麻、大麻 、黄麻、サイザルアサ、コイア、澱粉(アミロース及びアミロペクチン)、リグニン、羊毛、山羊毛、カシミヤ、アルパカ毛、ビキューナ、ラマ、シルク、家蚕絹、及びサク蚕絹からなる群から選択される天然繊維;または(ii)アセテート系繊維、トリアセテート系繊維、ポリアミド系繊維、ポリエステル系繊維、ポリウレタン系繊維、ポリエチレン系繊維、ポリ塩化ビニル系繊維、ポリ塩化ビニルリデン系繊維、ポリフルオロエチル系繊維、ポリビニルアルコール系繊維、ポリアクリロニトリル系繊維及びポリプロピレン系繊維から構成された群から選択される合成繊維であることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のゼオライト−繊維基質複合体の製造方法。
【請求項6】
前記連結化合物は、次の化学式1〜7の化合物からなる群から選択される化合物であることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のゼオライト−繊維基質複合体の製造方法。
[化学式1]
Z−L1−X
[化学式2]
MR’4
[化学式3]
R3Si−L1−Y
[化学式4]
HS−L1−X
[化学式5]
HS−L1−SiR3
[化学式6]
HS−L1−Y
[化学式7]
Z−L2(+)L3(−)−YまたはZ−L3(−)L2(+)−Y
上記式において、Zは、R3Siまたはイソシアネート基(-NCO)であり;ここで、Rは、ハロゲン基、C1〜C4のアルコキシまたはC1〜C4のアルキル基を示し、3つのRの少なくとも1つは、ハロゲン基またはアルコキシ基であり;L1は、置換または非置換されたC1〜C17アルキル、アルアルキルまたはアリル基であって、1つ以上の酸素、窒素または硫黄原子を含むことができ;Xは、ハロゲン基、イソシアネート(-NCO)基、トシル基またはアジド基であり;R’は、Rと同一な意味を示し、4つのR’の少なくとも2つは、ハロゲン基またはアルコキシ基であり;Mは、珪素、チタンまたはジルコニウムであり;Yは、ヒドロキシ基、チオール基、アミン基、アンモニウム基、スルホン基及びこれの塩、カルボキシ酸及びこれの塩、酸無水物、エポキシ基、アルデヒド基、エステル基、アクリル基、イソシアネート基(-NCO)、糖(sugar)残基、二重結合、三重結合、ジエン(diene)、ジイン(diyne)、アルキルフォスフィン、アルキルアミンまたはリガンド交換ができる配位化合物であり、Yは、連結化合物の末端だけではなく、中間に位置することもでき;L2(+)は、1つ以上の酸素、窒素または硫黄原子を含むことができる置換または非置換されたC1〜C17の炭化水素化合物の末端、直鎖または側鎖に陽電荷(+)が少なくとも1つ以上である官能基を示して;L3(−)は、1つ以上の酸素、窒素または硫黄原子を含むことができる置換または非置換されたC1〜C17の炭化水素化合物の末端、直鎖または側鎖に陰電荷(−)が少なくとも1つ以上である官能基を示す。
【請求項7】
前記中間連結化合物は、フラーレン(C60、C70)、炭素ナノチューブ、α、ω−ジアルデヒド、ジカルボキシル酸、ジカルボキシル酸無水物、アミン−デンドリマー、ポリエチレンイミン、α、ω−ジアミン、金属ポルフィリン及びM(サリン)で表示される錯化合物(Mは、コバルト、ニッケル、クロム、マンガンまたは鉄であり、サリンは、N,N’−ビス(サリチリデン)エチレンジアミンである)から構成された群から選択される化合物であることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のゼオライト−繊維基質複合体の製造方法。
【請求項8】
前記超音波処理は、10KHz〜100MHzの音波を利用して実施されることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のゼオライト−繊維基質複合体の製造方法。
【請求項9】
前記ゼオライトは、 銀イオン、ソジウムイオン、亜鉛イオン、銅イオン、中性染料、カチオン性染料、発光染料、または特定波長の光に感応する化合物を内包することを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のゼオライト−繊維基質複合体の製造方法。
【請求項10】
前記ゼオライトは、
(i)天然及び合成ゼオライトと、
(ii)MFI構造を有するゼオライト及び類似物質と、
(iii)MEL構造を有するゼオライト及び類似物質と、
(iv)ゼオライトA、X、Y、L、β、モルデン沸石、フェリエライト、ETS−4またはETS−10と、
(v)メソポーラスシリカと、
(vi)水熱合成を通じて生成されるゼオライト及び擬似分子ふるいと、
(vii)有機−無機複合メソポーラス構造体及び層状物質と、
(viii)金属イオンとリガンドが3次元的に結合してナノ細孔を形成する有機ゼオライト、有機金属ゼオライトまたは配位化合物ゼオライトと呼ばれるナノ多孔性物質と、
からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のゼオライト−繊維基質複合体の製造方法。
【請求項11】
(a)請求項1乃至4のいずれか一項に記載の方法により、繊維基質上にゼオライト単層膜を形成させる段階と、
(b)前記単層膜にゼオライトまたは(ゼオライト−連結化合物)中間体を処理し、超音波処理をして単層膜にゼオライトまたは(ゼオライト−連結化合物)中間体を結合させる段階と、
を含む、ゼオライト−繊維基質多層膜の製造方法。

【図1a】
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【図1b】
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【図1c】
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【図1d】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2008−518120(P2008−518120A)
【公表日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−538829(P2007−538829)
【出願日】平成17年10月27日(2005.10.27)
【国際出願番号】PCT/KR2005/003594
【国際公開番号】WO2006/046837
【国際公開日】平成18年5月4日(2006.5.4)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(505463456)インダストリー−ユニバーシティ コオペレーション ファウンデーション ソギャン ユニバーシティ (9)
【氏名又は名称原語表記】Industry−University Cooperation Foundation Sogang University
【Fターム(参考)】