説明

ゼオライト膜、分離膜モジュール及びその製造方法

【課題】アルミナ等の多孔質基板上へ形成したゼオライト膜、分離膜モジュール、その製造方法、及び用途を提供する。
【解決手段】多孔質基板上に作製されたゼオライトの多結晶薄膜であって、その結晶構造が、チャバザイトであるゼオライト膜、予めゼオライト結晶を付着させた多孔質基板の支持体を、アルミノシリケート水溶液中で加熱するゼオライト膜の製造方法、及び複数本の管状分離膜を結束した分離膜モジュールであって、結束部材に接着剤により複数本の管状膜を接続して結束したこと、管状分離膜が、多孔質管とゼオライトの複合膜であること、を特徴とする分離膜モジュール。
【効果】気体、及び液体の分離・濃縮、分離機能と触媒反応機能一体化したメンブレンリアクターとして使用できるゼオライト膜、分離膜モジュール、その合成法及び用途を提供できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゼオライト膜、その合成法及び用途に関するものであり、更に詳しくは、ゼオライト膜、分離膜モジュール、その製造方法、及び用途に関するものである。本発明は、複数本の管状分離膜を結束した分離膜モジュールおよびその製造方法に関するものであり、複数本の管状分離膜を結束することで、透過に有効な膜面積を増大できるので、処理量が増大し、混合溶液、混合蒸気、混合気体を分離でき、加えて、反応器と分離器が一体となった膜型反応器としても利用できるものである。
【0002】
本発明は、優れた耐環境性、透過性、選択性を有する分離膜としての用途を有し、混合溶液、混合蒸気、混合気体を分離できるとともに、また、反応器と分離器が一体となった膜型反応器として利用することができるゼオライト膜、分離膜モジュール、その製造方法、及び用途に関する新技術・新製品を提供するものである。
【背景技術】
【0003】
一般に、ゼオライトは、結晶性無機化合物であるので、耐熱性、及び化学的安定性に優れており、様々な分野で利用されている。このゼオライトの骨格構造は、Siを中心としたSiO四面体と、SiがAlに置換されたAlO四面体であり、TO四面体(Tは、Si、又はAl)が、O原子を共有した(TOである。
【0004】
この四面体が、4個、5個、6個、8個、10個、又は12個(n=4、5、6、8、10、12)連結して形成される4員環、5員環、6員環、8員環、10員環、12員環を有している。4員環、5員環、6員環、8員環、10員環、及び12員環の結晶学的直径は、それぞれ、0.16nm、0.15nm、0.28nm、0.43nm、0.63nm、及び0.80nmである。
【0005】
ゼオライトは、そのミクロ孔が規則的に配列した構造をとっているので、ミクロ孔に由来した分子ふるい機能を示し、加えて、比表面積が大きいので、吸着剤、触媒等に利用されている。また、骨格を構成するSiの酸化数は、4価であるのに対して、Alの酸化数は、3価である。この電気的な不和を補い、結晶構造全体の電荷を0価とするために、ゼオライトは、アルカリ金属イオン及び/又はアルカリ土類金属イオンを含んでいる。この金属イオンは、容易に置換することができるので、ゼオライトは、イオン交換剤、土壌改質剤等にも利用されている。
【0006】
ゼオライトは、可塑性に乏しいので、焼結等の加熱処理によって、薄膜に成形することができない。ゼオライトを薄膜に成形するには、アルミニウム源、シリカ源、アルカリ源、アミン類等を含む水溶液を調製し、この水溶液を、オートクレーブ等の圧力容器内で、加熱(水熱処理)する。それにより、自立した多結晶薄膜にすることができる。この場合、圧力容器内に、基板を加えて、水熱処理することで、基板上に、多結晶薄膜を作製することができる。加えて、基板上に、予め、目的とするゼオライトの結晶を付着させて、水熱処理すれば、より短時間で、目的とするゼオライトの多結晶薄膜を基板上に形成することができる。
【0007】
これまでに、MFI、LTA、FAU、MOR、OFF、DDR、CHA等の骨格構造を持つゼオライトが、多結晶薄膜として製造されている。これらのなかでも、LTA型ゼオライトに属するA型ゼオライトの薄膜は、優れた透過性と分離性を有するゼオライト膜である。このA型ゼオライト膜は、アルコール水溶液から水を選択的に除去し、アルコールを濃縮する技術として、既に実用化されている(特許文献1)。
【0008】
このA型ゼオライトは、骨格を構成するSiとAlのモル比(Si/Al比)が1であるので、酸性水溶液、及び高温水蒸気中では、骨格中のAlが脱離してしまう。そのため、耐環境性が不充分であり、特に、酸性水溶液の分離に使用することは困難であった。そこで、T型、MOR型、MER型、PHI型等のゼオライト膜(例えば、特許文献2)による分離・濃縮が提案されている。しかしながら、これらのゼオライト膜には、その透過性及び/又は分離性が、A型ゼオライト膜と比べ、1/10程度しかないという問題がある。
【0009】
そこで、本発明者らは、膜素材として、チャバザイト(CHA)に着目した。このチャバザイトのミクロ孔は、出入口が8員環によって構成され、その内部は、球状の空間を有している。このミクロ孔の形状は、A型ゼオライトと類似しており、A型ゼオライト膜と同等の脱水性能が期待できると考えられる。一方、チャバザイトの骨格を構成するSiとAlの比は、1−5にできるので、A型ゼオライト膜と比べ、高い耐酸性が期待できると考えられる。
【0010】
CHA型の骨格構造を有するチャバザイト型ゼオライト膜は、Nobleら(例えば、非特許文献1)、及び井上ら(非特許文献2)によって報告されている。Nobleらは、有機鋳型剤を含む合成水溶液を使用して、CHA型ゼオライト膜を調製している。このNobleらのCHA型ゼオライト膜の調製法には、水酸化N,N,Ntrimethyl−1−adamantammoniumという非常に特殊な有機鋳型剤が必要であり、その改良が求められる。
【0011】
また、井上らは、支持体に付着させたCHA型ゼオライトの結晶を、マーリノアイト(MER)が優先的に成長する合成水溶液を用いて成長させて、CHA型ゼオライト膜を調製した。しかし、井上らの方法で調製したゼオライト膜は、CHAとMERの複合層であり(非特許文献3)、更に、単一層のゼオライト膜の合成が求められる。
【0012】
一方、分離膜を利用した分離法は、省エネルギーな分離技術であり、分離層の素材によって、高分子膜と無機膜とに分類できる。有機溶媒を高濃度に含む混合溶液もしくは混合蒸気を分離する場合、高分子膜は、膨潤・固化するので、利用できない。また、高分子膜は、100℃以上で連続的かつ長期的に利用することも困難である。一方、無機膜は、高分子膜と比べて、耐薬品性、耐熱性に優れており、有機溶媒を高濃度に含む混合溶液、混合蒸気、もしくは混合気体を分離できるだけでなく、100℃以上でも安定に連続的かつ長期的に利用できる。
【0013】
一般的に、無機膜は、支持基材の表面に分離膜を形成することにより製造される。支持基材には、孔径が0.1〜10μm程度で、空隙率が10〜60%程度の多孔質なアルミナ、ムライト、ジルコニア、SUS等の金属もしくは金属酸化物が利用される。分離層には、無孔質なパラジウム(特許文献3)、ペロブスカイト化合物(特許文献4)等の金属および金属酸化物や、多孔質なシリカ(特許文献5)、アルミナ(特許文献6)、分子篩炭素(特許文献7)、ゼオライト(特許文献8)等で形成される。特に、ゼオライト膜は、水の選択的除去に有望であり、NaA型ゼオライト膜を利用した分離技術が開発されている(特許文献9)。
【0014】
しかし、単一の管状もしくは板状の分離膜は、分離処理に有効な膜面積が限定されるので、透過性、分離性だけでなく、耐薬品性、耐熱性等の優れた分離膜であっても、工業的に利用することは困難である。そのため、複数の分離膜を備えた分離膜モジュールの開発が不可欠である。特に、ゼオライト膜の場合、高温のアルカリ水溶液中で薄膜を形成すること、および膜素材であるゼオライトの耐熱性等の問題から、複数の分離膜を連結するとともに、連結部からの漏れを防止するためには、非常に複雑な操作が必要であった(特許文献10)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特許第3431973号公報
【特許文献2】特開2000−42387号公報
【特許文献3】特許3373006号
【特許文献4】特開2008−246451号公報
【特許文献5】特開2005−305425号公報
【特許文献6】特開2002−219318号公報
【特許文献7】特開2009−34614号公報
【特許文献8】特許3431973号
【特許文献9】特開2006−263561号公報
【特許文献10】特許3871501号
【非特許文献】
【0016】
【非特許文献1】Chem.Mater.14(2002)3458
【非特許文献2】Ind.Eng.Chem.Res.,46(2007)3743−3750
【非特許文献3】長瀬ら、Clay Sci.,12 Suppl.2(2006)100−105
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
このような状況の中で、本発明者らは、上記従来技術に鑑みて、CHA型等のゼオライト膜の製造方法について鋭意検討した結果、上記従来技術の課題を解決できるCHA型等のゼオライト膜の開発に成功し、そして、より具体的には、多孔質支持基板に、予めCHA等の結晶粉末を付着させた後、その基板を、例えば、ストロンチウムを含むゼオライト成長水溶液とともに耐圧容器中で水熱処理することで、多孔質支持体上に、比較的簡単に、ブロック状のCHA等の結晶だけが連結した多結晶薄膜を得ることに成功し、更に、単位容積当たりの有効面積を極めて大きくできる管状の分離膜を複数本結束させる接着法および封止法について検討し、分離膜モジュールおよび封止機能の優れた分離膜モジュールの製造方法を開発することに成功し、本発明を完成するに至った。
【0018】
本発明は、CHA型等のゼオライトだけで構成されたゼオライト膜を、有機鋳型剤を含まない合成水溶液を使用して製造した、優れた透過性、分離性、及び耐環境性を有するゼオライト膜を提供することを目的とするものである。また、本発明は、CHA型等のゼオライトだけで構成されたゼオライト膜を、有機鋳型剤を含まない合成水溶液を使用して製造することを特徴とするCHA型ゼオライト膜の製造方法、及びその用途を提供することを目的とするものである。更に、本発明は、従来、複雑な操作が必要であった分離膜の連結および封止を、簡便かつ確実に実施できる接着法および封止法を開発し、分離膜モジュールおよびその製造方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記課題を解決するための本発明は、以下の技術的手段から構成される。
(1)多孔質基板上に作製されたゼオライトの多結晶薄膜であって、その結晶構造が、チャバザイトであることを特徴とするチャバザイト型ゼオライト膜。
(2)ゼオライトが、乾燥基準で、SiO:52〜77mol%、Al:11〜22mol%、KO:6〜20mol%、及びSrO:0〜9mol%のゼオライトである、前記(1)に記載のゼオライト膜。
(3)多孔質基板が、多孔質な金属及び/又は金属酸化物である、前記(1)又は(2)に記載のゼオライト膜。
(4)多孔質基板の材料が、アルミナ、ムライト、ジルコニア、又はSUSである、前記(1)から(3)のいずれかに記載のゼオライト膜。
(5)予めゼオライト結晶を付着させた多孔質基板の支持体を、アルミノシリケート水溶液中で加熱するゼオライト膜の製造方法であって、
多孔質基板の支持体に付着させるゼオライト結晶の構造が、チャバザイト(CHA)であることを特徴とするチャバザイト型ゼオライト膜の製造方法。
(6)アルミノシリケート水溶液が、Alが1molに対して、Siを1〜17.5mol、アルカリ金属、及びアルカリ土類金属に由来する水酸化物イオンを0.5〜16mol、水を65〜1800mol含んでいる、前記(5)に記載のゼオライト膜の製造方法。
(7)アルミノシリケート水溶液が、Siを1.5mol%、Alを0.25mol%、Kを1.5mol%、Srを0.12mol%含む水溶液である、前記(5)に記載のゼオライト膜の製造方法。
(8)前記(1)から(4)のいずれかに記載のゼオライト膜からなることを特徴とする分離膜。
(9)複数本の管状分離膜を結束した分離膜モジュールであって、結束部材に接着剤により複数本の管状膜を接続して結束したこと、管状分離膜が、多孔質管とゼオライトの複合膜であること、を特徴とする分離膜モジュール。
(10)ゼオライトが、チャバザイト型ゼオライトである、前記(9)に記載の分離膜モジュール。
(11)前記(9)に記載の分離膜モジュールを製造する方法であって、複数の管状分離膜の一端もしくは両端を、接着剤により、結束部材に接続することを特徴とする分離膜モジュールの製造方法。
【0020】
次に、本発明について更に詳細に説明する。
本発明は、チャバザイト型ゼオライト膜であって、多孔質基板上に作製されたゼオライトの多結晶薄膜であり、その結晶構造が、チャバザイトであることを特徴とするものである。本発明では、ゼオライトが、乾燥基準で、SiO:75mol%、Al:12mol%、KO:11mol%、及びSrO:2mol%のゼオライトであること、を好ましい実施の態様としている。
【0021】
また、本発明は、上記チャバザイト型ゼオライト膜の製造方法であって、予めゼオライト結晶を付着させた多孔質基板の支持体を、アルミノシリケート水溶液中で加熱するゼオライト膜の製造方法であり、多孔質基板の支持体に付着させるゼオライト結晶の構造が、チャバザイト(CHA)であることを特徴とするものである。
【0022】
本発明では、アルミノシリケート水溶液が、Alが1molに対して、Siを1〜17.5mol、アルカリ金属、及びアルカリ土類金属に由来する水酸化物イオンを0.5〜16mol、水を65〜1800mol含んでいること、を好ましい実施の態様としている。更に、本発明は、上記チャバザイト型ゼオライト膜からなる分離膜の点に特徴を有するものである。
【0023】
本発明においては、水熱処理により、前述の多孔質な支持体に、多結晶なゼオライト層を製造する。このとき、多孔質な支持体に付着させたCHAの結晶を、ゼオライトの製造水溶液である成長水溶液中で成長させ、多孔質な支持体上に、多結晶なCHA型ゼオライトの連続薄膜を形成する。なお、本明細書において、数値範囲の記載は、両端値のみならず、その中に含まれる全ての任意の中間値を含むものである。
【0024】
本発明における多孔質支持体とは、アルミナ、ムライト、ジルコニア、ステンレススチール、又はアルミニウムを代表とする、金属、金属酸化物、あるいは合金等の多孔質支持体である。本発明で用いる多孔質支持体としては、好ましくは平均細孔径が0.1〜10ミクロンを有する支持体であり、例えば、NOK製α−アルミナ管、ノリタケカンパニーリミテッド製アルミナ管及びジルコニア管、ニッカトー製PM管及びF基板、等が例示される。これらの多孔質支持体の基材は、例えば、アセトン、アルコール、及び水で、それぞれ1〜10分程度超音波で洗浄し、40〜150℃で、1時間以上、乾燥させる。
【0025】
本発明において、多孔質支持体には、結晶成長の核となるCHA型ゼオライトの結晶粉末を付着させておく。このCHA型ゼオライトの結晶粉末には、例えば、Y型ゼオライトの構造転換法(文献:H.Robson編、Verified Synthesis of Zeolitic Materials,2nd Edition,Elsevier,p.123−124)、又はアルミノシリケート水溶液の水熱処理(文献:A.A.Belhekarら,Zeolites,1995年、15巻、p.535−539)によって製造した、結晶粉末を利用することができる。
【0026】
また、この結晶粉末は、多孔質支持体に付着していれば良く、そのためには、多孔質支持体に、CHA型ゼオライト結晶粉末を擦り込む方法、CHA型ゼオライト結晶粉末の分散溶液に、多孔質支持体を含浸させた後に、多孔質支持体を乾燥させる方法、等を用いることができる。
【0027】
本発明において、支持体に付着させたCHA型ゼオライト結晶の成長には、好適には、アルミノシリケート水溶液が用いられる。このアルミナシリケート水溶液は、Alが1molに対して、Siを1〜17.5mol、アルカリ金属、及びアルカリ土類金属に由来した水酸化物イオンを0.5〜16mol、水を65〜1800mol含んでいれば良く、好適には、アルミノシリケート水溶液が、Siを1.5mol%、Alを0.25mol%、Kを1.5mol%、Srを0.12mol%含む水溶液である。
【0028】
Si源としては、例えば、市販のコロイダルシリカ、シリカ粉末、アルコキシド、等を利用することができる。また、アルミニウム源としては、例えば、アルミニウム、アルミナ、ベーマイト、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、塩酸アルミニウム、等の適当なアルミニウム源を使用することができる。
【0029】
また、アルカリ金属源には、LiOH、NaOH、KOH、RbOH、CsOH等のアルカリ金属の水酸化物の他、塩化物、硝酸化物、硫酸化物等を利用することができる。また、アルカリ土類金属源には、Sr(OH)等の水酸化物の他、塩化物、硝酸化物、硫酸化物、等を利用することができる。
【0030】
このアルミノシリケート水溶液、及び結晶粉末を付着させた多孔質支持体を、オートクレーブ等の圧力容器に移し、90〜200℃で、3時間以上加熱することにより、多孔質支持体上に、CHA型ゼオライトの多結晶層を製造することができる。本発明により、有機鋳型剤を用いることなく、ブロック状のCHA型ゼオライト結晶により構成された多結晶薄膜を多孔質支持体に合成することができる。
【0031】
本発明によれば、耐薬品性に優れた親水性ゼオライト膜を合成することが可能であり、工業的な液体、及びガス分離プロセス等に採用することが可能なゼオライト膜を、簡便に、かつ短期間で製造することが可能である。
【0032】
本発明は、従来、複雑な操作が必要であった分離膜の連結及び封止を、簡便かつ確実に実施できる接着法及び封止法を開発し、分離膜モジュール及びその製造方法を提供するものである。本発明では、(1)連結部に複数の貫通孔を有した結束部材を使用し、(2)管状膜との接合部には、耐薬品性、耐熱性、接着性、封止性の優れた接着剤を使用すること、を特徴としている。
【0033】
本発明において、分離膜は、多孔質な支持基材の表面に形成されたパラジウム、ペロブスカイト化合物、シリカ、アルミナ、ゼオライト、分子篩炭素等の、透過性と分離性を有する分離層によって構成された分離膜であればよい。
【0034】
本発明において、結束部は、アルミナ、ジルコニア、ムライト、SUS等の金属もしくは金属酸化物もしくはPTFE等のフッ素樹脂等の無孔質部材であって、管状分離膜を固定するための複数の貫通孔を有した部材であればよい。
【0035】
先端部には、無孔質なアルミナ、ムライト、ジルコニア、SUS等のタンマン管を、下記の接着・封止法により各管状膜に接続してもよいし、上記結束部材もしくは複数の非貫通孔を有した結束部材により一括して接続してもよい。
【0036】
本発明において、接着・封止には、耐薬品性、耐熱性、接着性及び封止性を有した単一もしくは複数の接着剤を利用する。接着剤としては、例えば、Varian社製Torr Seal、National Engineering社製Copaltite、信越化学工業社製KE3417等がある。また、接着剤で充分な固定強度が得られない場合には、フッ素樹脂製の熱収縮チューブを使用することができる。熱収縮チューブには、例えば、フロン工業社製FEP熱収縮チューブ等が利用できる。
【0037】
本発明は、優れた耐環境性、透過性、選択性を有する分離膜としての用途を有し、混合溶液、混合蒸気、混合気体を分離できるとともに、また、反応器と分離器が一体となった膜型反応器として利用することができるゼオライト膜、分離モジュール、その製造方法、及び用途を提供するものとして有用である。
【発明の効果】
【0038】
本発明により、次のような効果が奏される。
(1)有機鋳型剤を用いることなく、ブロック状のCHA型ゼオライト結晶により構成された多結晶薄膜を多孔質支持体に合成することができる。
(2)本発明によれば、耐薬品性に優れた親水性ゼオライト膜を合成することが可能であり、工業的な液体、及びガス分離プロセス等に採用することが可能なゼオライト膜を、簡便に、かつ短期間で製造することが可能である。
(3)本発明のゼオライト膜は、化学工業において、分離と触媒作用を持ち合わせたメンブレンリアクターとしても応用可能である。
(4)複数の管状分離膜を比較的低い温度での熱処理によって結束できるので、簡便かつ確実に処理面積を増大させることができ、実際の化学プロセスに必要な処理能力を有する分離膜モジュールを簡便かつ確実に製造し、提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】チャバザイト膜の走査型電子顕微鏡写真(右:表面、左:破断面)を示す。
【図2】ゼオライト膜のX線回折パターン(上:ゼオライト膜、中:チャバザイト粉末、下:α−アルミナ支持体)を示す。
【図3】管状分離膜3本連結用部材の概要図を示す。
【図4】管状ゼオライト膜3本モジュールを示す。
【発明を実施するための形態】
【0040】
次に、本発明を実施例に基いて具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
【0041】
(実施例1)
(1)CHA型ゼオライト粉末の製造
蒸留水217.45gに、水酸化カリウム(和光純薬工業製)15.75gを溶解させ、更に、Y型ゼオライト粉末(東ソー製、HSZ−330HUA)25.00gを加え、室温で、1時間撹拌した。この溶液を、オートクレーブ(内容積150mL)に移し、95℃で、100時間加熱した。加熱終了後、水浴中で5分間冷却し、オートクレーブ中の固形物を濾過により回収した。
【0042】
更に、回収物について、蒸留水による洗浄と、濾過を繰返し、濾液のpHが10以下になるまで洗浄した。最後に、回収物を110℃で、一晩乾燥させ、21.68gの粉末を得た。回収粉末のX線回折(XRD)パターンは、CHA型ゼオライトの回折パターンと同一であった。また、回収粉末の組成を、エネルギー分散X線(EDX)により分析したところ、回収粉末のモル組成は、Si/Al=2.4であった。
【0043】
(2)成長水溶液の調製
ビーカーに、蒸留水42.73gを秤量し、水酸化カリウム3.47g及び50%硝酸アルミニウム水溶液6.56gを溶解させた(水溶液A)。別のビーカーに、10%硝酸ストロンチウム水溶液9.28g及びコロイダルシリカ(触媒化成工業製、Cataloid SI−30)10.38gを秤量し、撹拌して、スラリー溶液とした(溶液B)。上記溶液Bに、上記溶液Aを加え、室温で、6時間撹拌し、成長水溶液を調製した。成長水溶液のモル組成は、6.0SiO:1Al(NO:6.0KOH:0.50Sr(NO:390HOとした。
【0044】
(3)ゼオライト膜の合成
支持体には、多孔質α−アルミナ管(外径2.0mm、内径1.6mm、長さ30mm、空隙率39%、平均細孔径150nm)からなる支持管を使用した。この支持管の外表面に、実施例1で製造したCHA型ゼオライト粉末を擦り込んで、種結晶を付着させた。
【0045】
テフロン(登録商標)ジャケット付ステンレス容器(内容積30mL)内に、テフロン(登録商標)製スタンドを用いて、種結晶を付着させた支持管3本を、垂直に設置し、上記成長水溶液20gを加え、容器を密閉した。このステンレス容器を、140℃のオーブン内で、21時間加熱(水熱処理)した。加熱終了後、水浴中で、10分間冷却し、支持管を回収した。回収した支持管は、蒸留水で洗浄し、室温で、一晩乾燥させた。
【0046】
水熱処理後の支持体の性状を、走査型電子顕微鏡(SEM)により観察した。図1に、SEMによる観察結果を示す。水熱処理後の支持体表面は、一辺が2〜4μmのブロック状の結晶で覆われていた。一方、支持体の断面を観察したところ、支持体上に、厚みが2〜3μmの層が、また、支持体内部に、厚みが約4μmの層が、それぞれ形成されていた。
【0047】
支持体上に形成された層の組成を、EDXAで分析したところ、乾燥基準のモル組成で、SiO/Al=6.4、(KO+SrO)/Al=1.1、KO/(KO+SrO)=0.85であった。これは、重量基準に換算すると、SiO:65wt%、Al:17wt%、KO:15wt%、SrO:3wt%である。
【0048】
水熱処理後の支持体のX線回折(XRD)パターンを測定した。図2に、支持体のXRDパターンを示す。その結果、水熱処理後の支持体には、支持体のα−アルミナに由来するピークの他に、CHA型ゼオライトに由来する回折ピークが得られた。このことから、支持体上に形成された多結晶層は、CHA型ゼオライトの多結晶層であると同定した。
【0049】
(4)ゼオライト膜の透過性及び分離性
ゼオライト膜の透過性及び分離性は、40℃の72wt%エタノール水溶液に対する浸透気化試験により評価した。測定には、特願2007−301070又は文献(Hasegawaら、Separation and Purification Technology、2008年、58巻、386−392)に記載の浸透気化試験装置を使用した。このゼオライト膜の片端を接着剤(Varian社製、Torr Seal)を用いて封止し、このゼオライト膜の他端は、ステンレス管に接続して、測定に使用した。その結果、透過流束は、1.04kgm−2−1、分離係数α(HO/EtOH)は、160,000であった。
【0050】
(実施例2)
水熱処理時間を、15時間とした以外は、実施例1と同様の手順で、ゼオライト膜を調製し、浸透気化試験を行った。その結果、透過流束は、1.09kgm−2−1、分離係数α(HO/EtOH)は、110,000以上であった。
【0051】
(実施例3)
水熱処理時間を、18時間とした以外は、実施例1と同様の手順で、ゼオライト膜を調製し、浸透気化試験を行った。その結果、透過流束は、1.07kgm−2−1、分離係数α(HO/EtOH)は、80,000であった。
【0052】
水溶液のエタノール濃度0〜99.5wt%、溶液温度30〜75℃として、このゼオライト膜の浸透気化試験を実施した。表1に、水熱処理時間18時間で調製したチャバザイト膜の浸透気化性能を示す。その結果、得られたゼオライト膜は、既に実用化されているNaA型ゼオライト膜(比較例1及び比較例3)、及びT型ゼオライト膜(比較例2)と比べると、同等もしくはそれ以上の性能を有していることが分かる。尚、比較例1は、特許第3667384号公報のゼオライト膜、比較例2は、特許第3686262号公報のゼオライト膜、比較例3は、特開2006−341205号公報のゼオライト膜を、それぞれ示す。
【0053】
【表1】

【0054】
尚、水熱処理時間を、24時間とした以外は、実施例1と同様の手順で、ゼオライト膜を調製し、浸透気化試験を行った。その結果、透過流束は、1.28kgm−2−1、分離係数α(HO/EtOH)は、180,000であった。
【0055】
(実施例4)
(1)分離膜の製造
分離膜として、チャバザイト型ゼオライトの薄膜を、2次成長法により調製した。2次成長法とは、支持基材に付着させた結晶粉末を成長水溶液中で成長させ、基材表面にゼオライト薄膜を形成する方法である。
【0056】
三角フラスコに、35.86gの蒸留水に秤量し、水酸化カリウム7.78g、50wt%の硝酸アルミニウム水溶液14.74gを溶解させた(溶液A)。ビーカーに、蒸留水29.99gを秤量し、撹拌しながら、10wt%の硝酸ストロンチウム水溶液20.80g、コロイダルシリカ(触媒化成品工業、SI−30)23.24gを加えた(溶液B)。
【0057】
溶液Bを撹拌しながら、溶液Bに溶液A及び蒸留水30.08gを加え、モル組成でSiO:Al(NO:KOH:Sr(NO:HO=6:1:6:0.5:390の水溶液を調製した(質量基準では、SiO:4.3wt%、Al(NO:4.5wt%、KOH:4.8wt%、Sr(NO:1.3wt%、HO:85wt%)。この溶液は、室温で5時間撹拌し、成長水溶液とした。
【0058】
支持基材には、多孔質なα−アルミナ管を使用した。アルミナ管の外径は2.0mm、内径は1.6mm、長さは220mm、空隙率は約40%、平均細孔径は0.15μmであった。アルミナ管の外表面に、前記の結晶粉末を擦り込んで、均一に付着させた。
【0059】
円筒型の圧力容器(内容積30mL)に、前記の成長水溶液30gの秤量し、上記のアルミナ管を加えて密閉した。圧力容器は、140℃のオーブン内に水平に静置し、20時間加熱した。次に、水浴中で10分間冷却し、アルミナ管を容器から取り出し、蒸留水による洗浄、及び温室での乾燥を経て、管状のチャバザイト型ゼオライト膜を得た。同様の手順で、計5本の管状ゼオライト膜を調製した。
【0060】
(2)分離膜モジュールの製造
図3に示す無孔質なアルミナ部材を連結部材として使用した。前記の管状ゼオライト膜の一端に、接着剤(National Engineering Products製Copaltite)を塗布し、連結部材の貫通孔に挿入した。管状ゼオライト膜の他端にも上記接着剤を塗布し、ムライト製タンマン管(ニッカトー製HB管)を接続した。同様の手順で、計3本の管状ゼオライト膜を連結部に結束し、110℃のオーブン内で5時間乾燥させた(図2)。
【0061】
(3)分離試験
分離試験は、浸透気化試験装置により実施した。その詳細は、次の通りである。前記の分離膜モジュールを、40℃の72wt%エタノール水溶液中に浸し、管内部をロータリーポンプにより排気した。また、管内部には内部標準として、ヘリウムを分速1mLで供給した。排気ライン中の成分組成を、質量分析装置により分析することで、分離膜の透過性と分離性を評価した。その結果、分離膜モジュールの透過流束は1.21kg/(m・h)、分離係数は46,000であった。
【0062】
表2に比較するように、本発明の分離膜モジュールは、単一の管状チャバザイト型ゼオライト膜と同等の処理能力を有しており、本発明の分離膜モジュール並びにその製造方法の妥当性が検証できた。
【0063】
【表2】

【0064】
(実施例5)
蒸留水16.41g、水酸化カリウム1.48g、50wt%硝酸アルミニウム水溶液3.51g、10wt%硝酸ストロンチウム水溶液3.85g、及びコロイダルシリカ5.55gを混合して、成長水溶液を調製した以外は、実施例1と同様の手順で、ゼオライトを調製した。
【0065】
SEMにより、支持体の外表面を観察し、CHA型ゼオライトの多結晶層が形成できていることが確認できた。そこで、実施例1と同様の条件で、浸透気化試験を実施した。その結果、透過流束は0.85 kg m−2−1、分離係数α(HO/EtOH)は42であった。
【0066】
また、EDXAにより、支持体上に形成されたゼオライト層の組成を分析したところ、SiO/Al=6.5、(KO+SrO)/Al=1.0、KO/(KO+SrO)=0.79であった。
【0067】
(実施例6)
蒸留水25.68g、水酸化カリウム1.11g、50wt%硝酸アルミニウム水溶液0.86g、10wt%硝酸ストロンチウム水溶液4.73g、及びコロイダルシリカ1.38gを混合して、成長水溶液を調製した以外は、実施例1と同様の手順で、ゼオライトを調製した。
【0068】
SEMにより、支持体の外表面を観察し、CHA型ゼオライトの多結晶層が形成できていることが確認できた。実施例1と同様の条件で、浸透気化試験を実施した。その結果、透過流束は0.66kg m−2h−1、分離係数α(HO/EtOH)は100,000以上であった。
【0069】
また、EDXAにより、支持体上に形成されたゼオライト層の組成を分析したところ、SiO/Al=4.2、(KO+SrO)/Al=1.0、KO/(KO+SrO)=0.62であった。
【0070】
(実施例7)
蒸留水26.29g、水酸化カリウム1.09g、50wt%硝酸アルミニウム水溶液0.73g、10wt%硝酸ストロンチウム水溶液4.78g、及びコロイダルシリカ1.16gを混合して、成長水溶液を調製した以外は、実施例1と同様の手順で、ゼオライトを調製した。
【0071】
SEMにより、支持体の外表面を観察し、CHA型ゼオライトの多結晶層が形成できていることが確認できた。そこで、実施例1と同様の条件で、浸透気化試験を実施した。その結果、透過流束は18.24kg m−2−1、分離係数α(HO/EtOH)は2であった。
【0072】
また、EDXAにより、支持体上に形成されたゼオライト層の組成を分析したところ、SiO/Al=3.4、(KO+SrO)/Al=1.0、KO/(KO+SrO)=0.74であった。
【0073】
(実施例8)
蒸留水2.78g、水酸化カリウム3.88g、50wt%硝酸アルミニウム水溶液2.37g、10wt%硝酸ストロンチウム水溶液17.39g、及びコロイダルシリカ3.74gを混合して、成長水溶液を調製した以外は、実施例1と同様の手順で、ゼオライトを調製した。
【0074】
SEMにより、支持体の外表面を観察し、CHA型ゼオライトの多結晶層が形成できていることが確認できた。そこで、実施例1と同様の条件で、浸透気化試験を実施した。その結果、透過流束は0.58kg m−2−1、分離係数α(HO/EtOH)は30であった。
【0075】
また、EDXAにより、支持体上に形成されたゼオライト層の組成を分析したところ、SiO/Al=3.8、(KO+SrO)/Al=1.3、KO/(KO+SrO)=0.93であった。
【0076】
(実施例9)
蒸留水11.52g、水酸化カリウム2.45g、50wt%硝酸アルミニウム水溶液2.58g、10wt%硝酸ストロンチウム水溶液9.46g、及びコロイダルシリカ4.07gを混合して、成長水溶液を調製した以外は、実施例1と同様の手順で、ゼオライトを調製した。
【0077】
SEMにより、支持体の外表面を観察し、CHA型ゼオライトの多結晶層が形成できていることが確認できた。そこで、実施例1と同様の条件で、浸透気化試験を実施した。その結果、透過流束は0.86kg m−2−1、分離係数α(HO/EtOH)は14,000であった。
【0078】
また、EDXAにより、支持体上に形成されたゼオライト層の組成を分析したところ、SiO/Al=5.3、(KO+SrO)/Al=1.4、KO/(KO+SrO)=0.89であった。
【0079】
(実施例10)
蒸留水19.26g、水酸化カリウム1.30g、50wt%硝酸アルミニウム水溶液2.84g、10wt%硝酸ストロンチウム水溶液2.96g、及びコロイダルシリカ4.44gを混合して、成長水溶液を調製した以外は、実施例1と同様の手順で、ゼオライトを調製した。
【0080】
SEMにより、支持体の外表面を観察し、CHA型ゼオライトの多結晶層が形成できていることが確認できた。そこで、実施例1と同様の条件で、浸透気化試験を実施した。その結果、透過流束は1.06kg m−2−1、分離係数α(HO/EtOH)は2,400であった。
【0081】
また、EDXAにより、支持体上に形成されたゼオライト層の組成を分析したところ、SiO/Al=7.1、(KO+SrO)/Al=1.0、KO/(KO+SrO)=0.82であった。
【0082】
(実施例11)
蒸留水21.30g、水酸化カリウム1.20g、50wt%硝酸アルミニウム水溶液2.98g、10wt%硝酸ストロンチウム水溶液2.18g、及びコロイダルシリカ4.72gを混合して、成長水溶液を調製した以外は、実施例1と同様の手順で、ゼオライトを調製した。
【0083】
SEMにより、支持体の外表面を観察し、CHA型ゼオライトの多結晶層が形成できていることが確認できた。そこで、実施例1と同様の条件で、浸透気化試験を実施した。その結果、透過流束は0.57kg m−2−1、分離係数α(HO/EtOH)は54であった。
【0084】
また、EDXAにより、支持体上に形成されたゼオライト層の組成を分析したところ、SiO/Al=7.1、(KO+SrO)/Al=1.0、KO/(KO+SrO)=0.49であった。
【0085】
(実施例12)
蒸留水20.87g、水酸化カリウム1.45g、50wt%硝酸アルミニウム水溶液2.74g、10wt%硝酸ストロンチウム水溶液0.59g、及びコロイダルシリカ4.33gを混合して、成長水溶液を調製した以外は、実施例1と同様の手順でゼオライトを調製した。
【0086】
SEMにより、支持体の外表面を観察したところ、CHA型ゼオライトの多結晶層は形成できていなかった。
【0087】
(実施例13)
蒸留水20.30g、水酸化カリウム1.45g、50wt%硝酸アルミニウム水溶液2.78g、10wt%硝酸ストロンチウム水溶液1.17g、及びコロイダルシリカ4.50gを混合して、成長水溶液を調製した以外は、実施例1と同様の手順で、ゼオライトを調製した。
【0088】
SEMにより、支持体の外表面を観察し、CHA型ゼオライトの多結晶層が形成できていることが確認できた。そこで、実施例1と同様の条件で、浸透気化試験を実施した。その結果、透過流束は0.42kg m−2−1、分離係数α(HO/EtOH)は1,200であった。
【0089】
また、EDXAにより、支持体上に形成されたゼオライト層の組成を分析したところ、SiO/Al=6.5、(KO+SrO)/Al=1.0、KO/(KO+SrO)=0.85であった。
【0090】
(実施例14)
蒸留水11.63g、水酸化カリウム1.36g、50wt%硝酸アルミニウム水溶液2.58g、10wt%硝酸ストロンチウム水溶液9.27g、及びコロイダルシリカ4.05gを混合して、成長水溶液を調製した以外は、実施例1と同様の手順で、ゼオライトを調製した。
【0091】
SEMにより、支持体の外表面を観察し、CHA型ゼオライトの多結晶層が形成できていることが確認できた。そこで、実施例1と同様の条件で、浸透気化試験を実施した。その結果、透過流束は0.97kg m−2h−1、分離係数α(HO/EtOH)は19,000であった。
【0092】
また、EDXAにより、支持体上に形成されたゼオライト層の組成を分析したところ、SiO/Al=5.0、(KO+SrO)/Al=1.0、KO/(KO+SrO)=0.84であった。
【0093】
(実施例15)
蒸留水11.42g、水酸化カリウム1.39g、50wt%硝酸アルミニウム水溶液2.64g、10wt%硝酸ストロンチウム水溶液10.04g、及びコロイダルシリカ4.15gを混合して、成長水溶液を調製した以外は、実施例1と同様の手順でゼオライトを調製した。
【0094】
SEMにより、支持体の外表面を観察し、CHA型ゼオライトの多結晶層が形成できていることが確認できた。そこで、実施例1と同様の条件で、浸透気化試験を実施した。その結果、透過流束は2.10kg m−2−1、分離係数α(HO/EtOH)は3であった。
【0095】
また、EDXAにより、支持体上に形成されたゼオライト層の組成を分析したところ、SiO/Al=4.1、(KO+SrO)/Al=1.0、KO/(KO+SrO)=0.67であった。
【0096】
(実施例16)
蒸留水8.13g、水酸化カリウム3.75g、50wt%硝酸アルミニウム水溶液12.16g、10wt%硝酸ストロンチウム水溶液2.89g、及びコロイダルシリカ3.20gを混合して、成長水溶液を調製した以外は、実施例1と同様の手順で、ゼオライトを調製した。
【0097】
SEMにより、支持体の外表面を観察し、CHA型ゼオライトの多結晶層が形成できていることが確認できた。そこで、実施例1と同様の条件で、浸透気化試験を実施した。その結果、透過流束は0.19kg m−2−1、分離係数α(HO/EtOH)は6,000であった。
【0098】
また、EDXAにより、支持体上に形成されたゼオライト層の組成を分析したところ、SiO/Al=2.4、(KO+SrO)/Al=1.0、KO/(KO+SrO)=0.66であった。
【0099】
(実施例17)
蒸留水18.69g、水酸化カリウム1.30g、50wt%硝酸アルミニウム水溶液2.12g、10wt%硝酸ストロンチウム水溶液3.96g、及びコロイダルシリカ4.44gを混合して、成長水溶液を調製した以外は、実施例1と同様の手順で、ゼオライトを調製した。
【0100】
SEMにより、支持体の外表面を観察し、CHA型ゼオライトの多結晶層が形成できていることが確認できた。そこで、実施例1と同様の条件で、浸透気化試験を実施した。その結果、透過流束は1.09kg m−2−1、分離係数α(HO/EtOH)は2,800であった。
【0101】
また、EDXAにより、支持体上に形成されたゼオライト層の組成を分析したところ、SiO/Al=6.8、(KO+SrO)/Al=1.0、KO/(KO+SrO)=1.0であった。
【0102】
(実施例18)
蒸留水19.47g、水酸化カリウム1.01g、50wt%硝酸アルミニウム水溶液0.99g、10wt%硝酸ストロンチウム水溶液4.03g、及びコロイダルシリカ4.50gを混合して成長水溶液を調製した以外は、実施例1と同様の手順で、ゼオライトを調製した。
【0103】
SEMにより、支持体の外表面を観察し、CHA型ゼオライトの多結晶層が形成できていることが確認できた。そこで、実施例1と同様の条件で、浸透気化試験を実施した。その結果、透過流束は11.68kg m−2−1、分離係数α(HO/EtOH)は2であった。
【0104】
また、EDXAにより、支持体上に形成されたゼオライト層の組成を分析したところ、SiO/Al=5.2、(KO+SrO)/Al=1.0、KO/(KO+SrO)=0.71であった。
【0105】
実施例1及び実施例5〜18の結果から、モル組成がSiO/Al=2〜35、HO/SiO=50〜300、HO/(SrO+KO)=50〜500、SrO/(KO+SrO)=0.10〜0.90の成長水溶液を利用することで、SiO/Al=1.2〜3.6、(KO+SrO)/Al=1.0〜1.4、KO/(KO+SrO)=0.49〜1.0のCHA型ゼオライト層を形成できることが分かった。
【0106】
更に好ましくは、SiO/Al=2〜16、HO/SiO=65〜250、HO/(SrO+KO)=50〜350、SrO/(KO+SrO)=0.10〜0.85の成長水溶液を利用することで、優れた水選択透過性を有するCHA型ゼオライト層を形成できた。表3に、成長水溶液の組成がCHA型ゼオライト膜の形成及び脱水性能に及ぼす影響を示す。
【0107】
【表3】

【0108】
(実施例19)
蒸留水148.15g、水酸化カリウム12.03g、50wt%硝酸アルミニウム水溶液22.88g、10wt%硝酸ストロンチウム水溶液32.15g、及びコロイダルシリカ35.90gを混合して、成長水溶液を調製し、水熱処理を90℃で20時間とした以外は、実施例1と同様の手順で、ゼオライトを調製した。
【0109】
SEMにより、支持体の外表面を観察し、CHA型ゼオライトの多結晶層が形成できていることが確認できた。そこで、実施例1と同様の条件で、浸透気化試験を実施した。その結果、透過流束は1.30kg m−2−1、分離係数α(HO/EtOH)は41,000であった。
【0110】
(実施例20)
水熱処理を100℃とした以外は、実施例19と同様の手順で、ゼオライトを調製した。SEMにより、支持体の外表面を観察し、CHA型ゼオライトの多結晶層が形成できていることが確認できた。
【0111】
そこで、実施例1と同様の条件で、浸透気化試験を実施した。その結果、透過流束は1.43kg m−2−1、分離係数α(HO/EtOH)は54,000であった。
【0112】
(実施例21)
水熱処理を110℃とした以外は、実施例19と同様の手順で、ゼオライトを調製した。SEMにより、支持体の外表面を観察し、CHA型ゼオライトの多結晶層が形成できていることが確認できた。
【0113】
そこで、実施例1と同様の条件で、浸透気化試験を実施した。その結果、透過流束は1.45kg m−2−1、分離係数α(HO/EtOH)は8,000であった。
【0114】
(実施例22)
水熱処理を120℃とした以外は、実施例19と同様の手順で、ゼオライトを調製した。SEMにより、支持体の外表面を観察し、CHA型ゼオライトの多結晶層が形成できていることが確認できた。
【0115】
そこで、実施例1と同様の条件で、浸透気化試験を実施した。その結果、透過流束は1.23kg m−2−1、分離係数α(HO/EtOH)は100,000以上であった。
【0116】
(実施例23)
水熱処理を130℃とした以外は、実施例19と同様の手順で、ゼオライトを調製した。SEMにより、支持体の外表面を観察し、CHA型ゼオライトの多結晶層が形成できていることが確認できた。
【0117】
そこで、実施例1と同様の条件で、浸透気化試験を実施した。その結果、透過流束は1.49kg m−2−1、分離係数α(HO/EtOH)は100,000以上であった。
【0118】
(実施例24)
蒸留水49.88g、水酸化カリウム4.05g、50wt%硝酸アルミニウム水溶液7.68g、10wt%硝酸ストロンチウム水溶液10.81g、及びコロイダルシリカ12.10gを混合して、成長水溶液を調製し、水熱処理を170℃で11時間とした以外は、実施例1と同様の手順で、ゼオライトを調製した。
【0119】
SEMにより、支持体の外表面を観察し、CHA型ゼオライトの多結晶層が形成できていることが確認できた。そこで、実施例1と同様の条件で、浸透気化試験を実施した。その結果、透過流束は1.31kg m−2h−1、分離係数α(HO/EtOH)は4,000であった。
【0120】
(実施例25)
水熱処理を180℃とした以外は、実施例24と同様の手順で、ゼオライトを調製した。SEMにより、支持体の外表面を観察し、CHA型ゼオライトの多結晶層が形成できていることが確認できた。
【0121】
そこで、実施例1と同様の条件で、浸透気化試験を実施した。その結果、透過流束は1.27kg m−2h−1、分離係数α(HO/EtOH)は4,400であった。
【0122】
(実施例26)
水熱処理を190℃とした以外は、実施例24と同様の手順で、ゼオライトを調製した。SEMにより、支持体の外表面を観察し、CHA型ゼオライトの多結晶層が形成できていることが確認できた。
【0123】
そこで、実施例1と同様の条件で、浸透気化試験を実施した。その結果、透過流束は1.29kg m−2h−1、分離係数α(HO/EtOH)は7,900であった。
【0124】
(実施例27)
水熱処理を200℃で4時間とした以外は、実施例24と同様の手順で、ゼオライトを調製した。SEMにより、支持体の外表面を観察し、CHA型ゼオライトの多結晶層が形成できていることが確認できた。
【0125】
そこで、実施例1と同様の条件で、浸透気化試験を実施した。その結果、透過流束は0.31kg m−2−1、分離係数α(HO/EtOH)は9,400であった。
【0126】
(実施例28)
水熱処理を120℃で63時間とした以外は、実施例19と同様の手順で、ゼオライトを調製した。SEMにより、支持体の外表面を観察し、CHA型ゼオライトの多結晶層が形成できていることが確認できた。
【0127】
そこで、実施例1と同様の条件で、浸透気化試験を実施した。その結果、透過流束は1.29kg m−2−1、分離係数α(HO/EtOH)は100,000以上であった。
【0128】
実施例1及び実施例19〜28の結果から、温度90〜200℃、時間4〜63時間の成長条件で、CHA型ゼオライト層を形成できることが分かった。表4に、水熱処理温度及び時間がCHA型ゼオライト膜の形成及び脱水性能に及ぼす影響を示す。
【0129】
【表4】

【0130】
(実施例29)
硝酸ストロンチウムに替えて、硝酸マグネシウムでCHA型ゼオライト膜の形成の可否を確認するため、蒸留水12.15g、水酸化カリウム1.03g、50wt%硝酸アルミニウム水溶液1.98g、10wt%硝酸マグネシウム水溶液3.32g、及びコロイダルシリカ3.09gを混合して、成長水溶液を調製した以外は、実施例1と同様の手順で、ゼオライトを調製した。
【0131】
SEMにより、支持体の外表面を観察し、CHA型ゼオライトの多結晶層が形成できていることが確認できなかった。
【0132】
(実施例30)
硝酸ストロンチウムに替えて、硝酸カルシウムでCHA型ゼオライト膜の形成の可否を確認するため、蒸留水13.62g、水酸化カリウム1.13g、50wt%硝酸アルミニウム水溶液2.13g、10wt%硝酸カルシウム水溶液3.38g、及びコロイダルシリカ3.39gを混合して、成長水溶液を調製した以外は、実施例1と同様の手順で、ゼオライトを調製した。
【0133】
SEMにより、支持体の外表面を観察し、CHA型ゼオライトの多結晶層が形成できていることが確認できなかった。
【0134】
(実施例31)
硝酸ストロンチウムに替えて、硝酸バリウムでCHA型ゼオライト膜の形成の可否を確認するため、蒸留水12.46g、水酸化カリウム1.03g、50wt%硝酸アルミニウム水溶液1.95g、飽和硝酸バリウム水溶液3.41g、及びコロイダルシリカ3.07gを混合して、成長水溶液を調製した以外は、実施例1と同様の手順で、ゼオライトを調製した。
【0135】
SEMにより、支持体の外表面を観察し、CHA型ゼオライトの多結晶層が形成できていることが確認できなかった。
【0136】
実施例1及び実施例29〜31の結果から、アルカリ土類金属の中でも、ストロンチウムだけが、CHA型ゼオライト層の形成に有効であることが分かった。
【0137】
(実施例32)
支持体に擦り込んだゼオライト結晶の効果を調査するため、NaY型ゼオライト(東ソー、HSZ−320NAA)を支持体に擦り込んで、2次成長に使用した。
【0138】
成長水溶液は、蒸留水50.80g、水酸化カリウム4.12g、50wt%硝酸アルミニウム水溶液7.79g、10wt%硝酸ストロンチウム水溶液11.02g、及びコロイダルシリカ12.31gを混合して調製した。それ以外は、実施例1と同様の手順で、ゼオライトを調製した。
【0139】
SEMにより、支持体の外表面を観察し、CHA型ゼオライトの多結晶層が形成できていることが確認できなかった。
【0140】
(実施例33)
支持体に擦り込んだゼオライト結晶の効果を調査するため、HY型ゼオライト(東ソー、HSZ−330HUA)を支持体に擦り込んで、2次成長に使用した以外は、実施例32と同様の手順で、ゼオライトを調製した。
【0141】
SEMにより、支持体の外表面を観察し、CHA型ゼオライトの多結晶層が形成できていることが確認できなかった。
【0142】
(実施例34)
支持体に擦り込んだゼオライト結晶の効果を調査するため、アモルファスシリケートを支持体に擦り込んで、2次成長に使用した以外は、実施例32と同様の手順で、ゼオライトを調製した。アモルファスシリケートは、下記の手順により調製した。
【0143】
蒸留水72.39gに水酸化カリウム5.21gを溶解させた水溶液に、HY型ゼオライト(東ソー、HSZ−330HUA)8.41gを加え、室温で1時間撹拌した。オートクレーブを用いて、このスラリー溶液を95℃で20時間加熱し、HY型ゼオライトの結晶構造を破壊し、アモルファスシリケートとした。最後に、ろ過、洗浄、及び乾燥を行い、アモルファスシリケートの粉末を得た。
【0144】
SEMにより、支持体の外表面を観察し、CHA型ゼオライトの多結晶層が形成できていることが確認できなかった。
【0145】
(実施例35)
支持体に擦り込んだゼオライト結晶の効果を調査するため、KFI型ゼオライトを支持体に擦り込んで、2次成長に使用した以外は、実施例32と同様の手順で、ゼオライトを調製した。KFI型ゼオライトの結晶粉末は、下記の手順によって調製した。
【0146】
蒸留水11.00gに水酸化カリウム3.00gを溶解させ、更に水酸化アルミニウム1.57gを加え、プラスチック容器を用いて、125℃で4時間加熱して、透明溶液とし、室温まで冷却した。
【0147】
蒸留水18.63gに18−クラウン−6エーテル2.70g及び硝酸ストンチウム0.22gを溶解させ、コロイダルシリカ(触媒化成工業、Cataloid SI−40)15.00gを加えた。シリカ源溶液にアルミ源溶液を加え、室温で30分間撹拌した後、オートクレーブを用いて、150℃で120時間加熱し、KFI型ゼオライト粉末を合成した。最後に、ろ過、洗浄及び乾燥を行い、KFI型ゼオライトの結晶粉末を得た。
【0148】
SEMにより、支持体の外表面を観察し、CHA型ゼオライトの多結晶層が形成できていることが確認できた。
【0149】
実施例1及び実施例32〜35の結果から、支持体に付着させる結晶としては、CHA型ゼオライト以外に、KFI型ゼオライトが有効であることが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0150】
以上詳述したように、本発明は、ゼオライト膜、分離型モジュール、その製造方法及び用途に係るものであり、本発明により、有機鋳型剤を用いることなく、ブロック状のCHA型等のゼオライト結晶により構成された多結晶薄膜を多孔質支持体に合成することができる。本発明によれば、耐薬品性に優れた親水性ゼオライト膜を合成することが可能であり、工業的な液体及びガス分離プロセス等に採用され得るゼオライト膜を簡便に、かつ、短期間で製造することが可能である。本発明のゼオライト膜は、石油化学工業において、分離と触媒作用を持ち合わせたメンブレンリアクターとしても応用可能である。本発明は、優れた耐環境性、透過性、選択性を有する分離膜としての用途を有し、混合溶液、混合蒸気、混合気体を分離できるとともに、また、反応器と分離器が一体となった膜型反応器として利用することができるゼオライト膜、分離型モジュール、その製造方法、及び用途に関する新技術・新製品を提供するものとして有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多孔質基板上に作製されたゼオライトの多結晶薄膜であって、その結晶構造が、チャバザイトであることを特徴とするチャバザイト型ゼオライト膜。
【請求項2】
ゼオライトが、乾燥基準で、SiO:52〜77mol%、Al:11〜22mol%、KO:6〜20mol%、及びSrO:0〜9mol%のゼオライトである、請求項1に記載のゼオライト膜。
【請求項3】
多孔質基板が、多孔質な金属及び/又は金属酸化物である、請求項1又は2に記載のゼオライト膜。
【請求項4】
多孔質基板の材料が、アルミナ、ムライト、ジルコニア、又はSUSである、請求項1から3のいずれかに記載のゼオライト膜。
【請求項5】
予めゼオライト結晶を付着させた多孔質基板の支持体を、アルミノシリケート水溶液中で加熱するゼオライト膜の製造方法であって、
多孔質基板の支持体に付着させるゼオライト結晶の構造が、チャバザイト(CHA)であることを特徴とするチャバザイト型ゼオライト膜の製造方法。
【請求項6】
アルミノシリケート水溶液が、Alが1molに対して、Siを1〜17.5mol、アルカリ金属、及びアルカリ土類金属に由来する水酸化物イオンを0.5〜16mol、水を65〜1800mol含んでいる、請求項5に記載のゼオライト膜の製造方法。
【請求項7】
アルミノシリケート水溶液が、Siを1.5mol%、Alを0.25mol%、Kを1.5mol%、Srを0.12mol%含む水溶液である、請求項5に記載のゼオライト膜の製造方法。
【請求項8】
請求項1から4のいずれかに記載のゼオライト膜からなることを特徴とする分離膜。
【請求項9】
複数本の管状分離膜を結束した分離膜モジュールであって、結束部材に接着剤により複数本の管状膜を接続して結束したこと、管状分離膜が、多孔質管とゼオライトの複合膜であること、を特徴とする分離膜モジュール。
【請求項10】
ゼオライトが、チャバザイト型ゼオライトである、請求項9に記載の分離膜モジュール。
【請求項11】
請求項9に記載の分離膜モジュールを製造する方法であって、複数の管状分離膜の一端もしくは両端を、接着剤により、結束部材に接続することを特徴とする分離膜モジュールの製造方法。

【図2】
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【図1】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−16123(P2011−16123A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−56780(P2010−56780)
【出願日】平成22年3月12日(2010.3.12)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【Fターム(参考)】