説明

ゼラチン含有局所用組成物

本発明は、医薬または美容活性物質およびゲル化剤を含み、前記ゲル化剤が魚ゼラチンおよび多糖類を含むことを特徴とする局所用医薬組成物または局所用化粧品組成物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、皮膚に適用する医薬組成物または化粧品組成物といった、ゼラチン含有局所用組成物、ならびにそれらの調製および使用に関するものである。
【背景技術】
【0002】
局所外用用に医薬組成物または化粧品組成物を処方する場合、その組成物は、一般に、「活性」成分に加えて、その組成物の保存、適用、および皮膚表面での保持に適した特性を確保する成分も含む。この点から、多くのそのような組成物は、現在、例えば、ゲル化剤として哺乳類ゼラチンを含んでいる。
【0003】
ゼラチンはコラーゲンの誘導体であり、コラーゲンは動物では最も豊富に存在するタンパクである。コラーゲンは、結合組織の主成分であり、水不溶性コラーゲン線維として存在する。その一般的なアミノ酸配列は、Gly−X−Yであり、前記Xはプロリンであることが多く、前記Yはヒドロキシプロリンであることが多い。これらのイミノ酸であるプロリンおよびヒドロキシプロリンの含有量は、種によって異なり、恒温動物(哺乳類など)のコラーゲンは、変温動物(魚類など)のコラーゲンと比べて、これらのイミノ酸の含有量が多い。
【0004】
ゼラチンは、最も一般的には、ウシやブタの骨および皮膚のコラーゲンから、酸またはアルカリ抽出法により製造される。抽出の結果、等電点の異なるAタイプおよびBタイプのゼラチンがそれぞれ得られる。コラーゲン分子は、3本のアルファ鎖から構成される右巻きの三重らせん体である。コラーゲンの規則立体配座である三重らせん体は、アルファ鎖のプロリンおよびヒドロキシプロリン単位によって安定している。コラーゲンという用語は、この三重らせん体にある未修飾分子について用いる。ゼラチンは、コラーゲン分子の末端が失われた抽出コラーゲンである。ゼラチンのゲル化は、不規則アミノ酸セグメント(ランダムコイル)によって相互接続された三重らせん構造(規則立体配座)領域の再生の結果であると考えられている。これらのゲルは熱可逆性であり、ゲル化温度および融解温度のいずれもプロリンおよびヒドロキシプロリンの含有量によって影響される。哺乳類ゼラチンは、これらのイミノ酸を約24%含有し、ゲル化温度および融解温度はそれぞれ約20〜25℃および35〜40℃である。冷水魚種はこの含有量がわずか16〜18%であり、魚ゼラチンは通常8℃以下でゲル化し、12〜14℃で融解する。したがって、未修飾の魚ゼラチンをベースとしたゲルは、冷蔵庫内の温度(0〜5℃)に相当する温度では単に物理的に安定であるにすぎない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ゼラチンは、薬理学、食品および化粧品において、また写真、接着剤、複合材料において、数十年間に渡り使用されてきた。哺乳類ゼラチンの代用品が、特に、成牛の致命的な神経障害であり、新変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(nvCJD)としてヒトにも感染するおそれのあるウシ海綿状脳症(BSE)の突発により、この数十年の間にますます求められるようになっている。また、哺乳類ゼラチンの使用は、宗教的な配慮から制限される。イスラム教徒(ハラール・ハラム)、ユダヤ教徒(コシャー)、ヒンズー教徒のいずれも、哺乳類起源のゼラチンを容認しない。
【0006】
発明者らは、今回、その使用に関して宗教的問題がなく、且つ、nvCJBのリスクのない魚ゼラチンのゲル化性を、多糖類ゲル化剤と同時処方することによって修正し、例えば、皮膚への局所外用に適した組成物を生産し得ることを見出した。よって、例えば、そのような同時処方によって、哺乳類ゼラチンを使用した組成物と同等またはより優れたゲル化特性を有する組成物を生産することが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
したがって、本発明は、一態様において、医薬活性剤または美容活性剤とゲル化剤とを含む局所用医薬組成物または局所用化粧品組成物であって、前記ゲル化剤が魚ゼラチンおよび多糖類を含むことを特徴とする局所用医薬組成物または局所用化粧品組成物を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の組成物は、通常、ゲル、乳液、クリーム、ローション、溶液、分散液などの形態であってもよく、通常、溶媒、着色剤、芳香剤、安定剤、pH調整剤、粘度調整剤、皮膚浸透増強剤(例えば、DMSO)、抗酸化剤、フィラーなどの従来成分をさらに含んでいる。これらの組成物は、イオン導入法などにより、例えば、経皮投与のために、パッチとして適用される場合などには、カプセル封入材、担体などの成分をさらに含んでいてもよい。
【0009】
これらの組成物は、10〜30℃、より好ましくは15〜28℃の範囲にゲル化温度を、20〜42℃、より好ましくは24〜40℃、特に28〜37℃の範囲に融解温度を有する連続水相を含んでいるのが好ましい。
【0010】
本発明の医薬組成物の場合、その医薬活性剤は、適用部位においてまたは経皮吸収後に、所望の治療作用または予防作用、例えば、抗生物質作用、抗炎症作用または鎮痒作用を発揮することのできる医薬物質であればよい。従来の局所用組成物中の局所適用される医薬物質の大半ではないとしてもその多く(例えば、ステロイド剤、非ステロイド性抗炎症剤(NSAID)(例えば、イブプロフェン)、抗真菌剤(例えば、ケトコナゾール)、リチウム化合物(例えば、脂漏性皮膚炎または伝染性軟属腫の治療用)、抗アクネ化合物(例えば、アゼライン酸)、ふけ予防剤(ジンクピリチオンなど)など)は、本発明の組成物に使用できる。本発明の化粧品組成物の場合、その美容活性剤は、例えば、ビタミン、植物油、UV吸収剤、皮膚保湿剤(skin hydrating agent)、クレンジング剤、着色剤、芳香剤など、適用部位においてまたは経皮吸収後に、所望の美容作用を発揮することのできる物質であればよい。ここでも同様に、従来の局所用組成物中の局所適用される美容物質の大半ではないとしてもその多くは、本発明の組成物に使用できる。そのような活性剤は、現在使用されている濃度と同様すなわち同程度の濃度で使用できる。
【0011】
本明細書において使用する多糖類という用語は、ゾル−ゲル転移できる炭水化物の骨格を有する糖類ポリマーのことを指す。
【0012】
本発明による組成物中の多糖類ゲル化剤は、例えば、陸生または海洋動物、植物、藻類など様々な起源に由来するものでよく、合成または天然の多糖類、あるいは天然多糖類の誘導体であってもよい。適した海洋性多糖類の例としては、カラギーナン、アルギン酸塩、寒天およびキトサンが挙げられる。適した植物由来多糖類の例としては、ペクチンが挙げられる。適した微生物由来多糖類の例としては、ジェランおよび硬グルカンが挙げられる。帯電した、例えば静電気的に帯電したおよび/または硫酸化した多糖類の使用は、海洋性多糖類、中でもカラギーナンおよびアルギン酸塩、特にカラギーナンの使用と同様、好ましい。以下、特にカラギーナンを取り上げて本発明をさらに説明する。
【0013】
イオタカラギーナンおよびカッパカラギーナンを含むカラギーナン類は、紅藻類から生産される直鎖硫酸化多糖類のファミリーである。カッパカラギーナンの反復二糖類単位は、β−D−ガラクトース−4−硫酸塩および3,6−アンヒドロ−α−D−ガラクトースであり、一方、イオタカラギーナンの反復二糖類単位は、β−D−ガラクトース−4−硫酸塩および3,6−アンヒドロ−α−D−ガラクトース−2−硫酸塩である。カッパカラギーナンおよびイオタカラギーナンはいずれも食品調製品に使用される。これらのカラギーナンは、安定剤、乳化剤、ゲル化剤、脂肪代替物として使用される。
【0014】
これらのカラギーナンはどちらも、水性環境において塩または低温によって硬化する可逆ゲルを形成する。コイル−らせん転移およびらせん体の凝集によりゲル網目構造が形成される。カッパカラギーナンは、特定の一価カチオンに対する結合部位を有することにより、ゲルが形成され、その剛性率および弾性率はCs+>K+>>Na+>Li+の順に低下する。概して、塩濃度が高くなると、カッパカラギーナンゲルの弾性率は増加し、硬化および融解温度は高くなる。本発明に従ってカッパカラギーナンを使用する場合、水溶性のカリウム、ルビジウムまたはセシウム化合物、特にカリウム化合物、そして特に天然化合物(例えば、塩)は、例えば、100mMまで、さらに、特に50mMまでの濃度での使用が好ましい。塩依存性の立体配座転移はイオタカラギーナンについても認められる。これらの分子もコイル−らせん転移を受け、Ca2+のような多価陽イオンの存在下でらせんが強力に安定化することが知られている。本発明に従ってイオタカラギーナンを使用する場合、水溶性のカルシウム、ストロンチウム、バリウム、鉄またはアルミニウム化合物、中でもカルシウム化合物、特に天然化合物(例えば、塩)は、例えば、100mMまでの濃度での使用が好ましい。
【0015】
本発明に従って使用される多糖類の重量平均分子量は、通常、5kDa〜2MDa、好ましくは10kDa〜1MDa、最も好ましくは100kDa〜900kDa、特に400〜800kDaである。これらの多糖類は通常、0.01〜5重量%、好ましくは0.1〜1.5重量%、特に0.2〜1重量%の濃度で使用される。一価または多価カチオン、通常、第1族または第2族金属イオンが組成物に含まれる場合、概して、2.5〜100mM、特に5〜50mMの範囲の濃度で含まれる。
【0016】
本発明の組成物に使用される魚ゼラチンは、いかなる水生種のコラーゲンから作られたものでもよいが、海水魚、特に冷水魚由来のゼラチンの使用が好ましい。イミノ酸含有量が5〜25重量%の魚ゼラチンが好ましく、イミノ酸含有量が10〜20重量%の魚ゼラチンが特に好ましい。魚ゼラチンの重量平均分子量は、通常10〜250kDa、好ましくは75〜175kDa、特に80〜150kDaの範囲にある。魚ゼラチンは、通常組成物中1〜50重量%、好ましくは2〜15重量%、特に3〜7重量%の濃度で存在する。アンチエージング効果が所望される場合、使用される魚ゼラチンは任意に、例えば、重量平均分子量が10kDa未満の低分子量成分を含んでいてもよい。本発明の組成物中の多糖類に対する魚ゼラチンの重量比は、通常50:1〜5:1、好ましくは40:1〜9:1、特に20:1〜10:1である。
【0017】
本発明の組成物のpHは、好ましくは3〜9、より好ましくは5〜7.5の範囲にある。
【0018】
魚ゼラチンと多糖類とを併用すると、両者の相乗作用により、これらの成分を個別に使用または従来の哺乳類ゼラチンを使用しては得ることのできない、局所適用に合った特性を有する、常温で(これらの成分を個別に使用したときには形成しない濃度で)安定なゲルを形成する組成物となる。
【0019】
上記のように、冷水種由来の魚ゼラチンは、哺乳類ゼラチンよりも、硬化温度(<8℃)および融解温度(14〜15℃未満)がかなり低い。室温(20〜22℃)では、魚ゼラチン分子はランダムコイル立体配座をとる(規則立体配座をとる哺乳類ゼラチン分子とは異なる)。このように、魚ゼラチンは単独では、常温で物理的安定性を有するゲル組成物を作ることはできない。にもかかわらず、ランダムコイル立体配座における魚ゼラチン分子の存在は、規則立体配座における分子と比べ、水結合性が向上していることを意味する。ランダムコイル立体配座は、魚ゼラチンを皮膚水分保護剤として最適に利用できることを意味するため、これは局所用製品にとっては大きな利点である。高分子量ランダムコイル魚ゼラチンは、生体高分子膜として皮膚表面にあるとき、水分を遅滞させ吸収するうえでも、より効率的である。
【0020】
魚ゼラチンを多糖類と混合すると、魚ゼラチンはなおランダムコイル分子として存在するが、系全体としてハイドロゲル内になお水分を保留しつつ皮膚用製品の物理的特性に寄与するゲル化系を設計することができる。そのような系の融解は、多糖類に対する魚ゼラチンの混合比で制御することによって特定の温度に対し調整することができる。これにより、併用したゼラチン−多糖類ゲルの融解を制御でき、人工界面活性剤または脂肪/脂質をさらに添加することなく、高い水分含有量の皮膚用製品を形成することができる。
【0021】
このように多糖類および魚ゼラチンの併用により、皮膚の保湿を持続させる優れた水分保留膜を皮膚表面上に形成する。ランダムコイルゼラチン分子の一部は皮膚内に浸透し、真皮内で分解したI型コラーゲンの一部を置き換える。分子の浸透に関しては、それらの分子は、規則立体配座にあるコラーゲンやゼラチンのような硬く膨張した規則分子として存在するよりも、むしろ柔軟なランダムコイルとして存在することが極めて重要である。哺乳類ゼラチンまたはコラーゲンは、その温度が体内温度よりかなり低く、したがってそのようなゼラチンおよびコラーゲンの融解温度よりもやはり低いため、皮膚表面(28〜32℃)で融解して最適なランダムコイル立体配座をとることはない。
【0022】
本発明の組成物のさらなる利点は、哺乳類ゼラチンとは異なり、魚ゼラチンは、皮膚温度でランダムコイル立体配座をとり、皮膚内に浸透し、皮膚老化を招く内因性マトリックスメタロプロテアーゼに対し、皮膚コラーゲン含有量を増加させることによって、または、皮膚自体のコラーゲンに代替基質を供与することにより、皮膚の柔軟性を改善し得ることである。
【0023】
また別の態様において、本発明は、ヒトの皮膚に化粧品組成物を適用することを含む、ヒトの美容処置の方法であって、前記組成物が、本発明による組成物であることを特徴とする方法を提供する。
【0024】
さらにまた別の態様において、本発明は、ヒトの皮膚に局所投与可能な医薬物質含有薬剤を適用することを含む治療法に使用するための前記薬剤の製造における魚ゼラチンおよび多糖類ゲル化剤の使用を提供する。
【0025】
さらにまた別の態様において、本発明は、ヒトの皮膚に有効量の本発明による医薬組成物を適用することを含むヒトの治療法を提供する。
【0026】
さらに別の態様において、本発明は、その方法が、魚ゼラチン、多糖類ゲル化剤、医薬または美容作用物質、および、任意にかつ好ましくは水を混合することを含み、前記方法が、この混合物を乳化することを任意に含む、本発明による組成物の製造方法を提供する。
【0027】
本発明のこれらの使用、方法および方法は、局所用化粧品および医薬品、特に、哺乳類ゼラチンを含有する局所用組成物の生産および適用における従来の手順を用いて達成することができる。
【0028】
本発明は、1種または数種の多糖類と混合した形で、ランダムコイル立体配座にある、高分子量の魚ゼラチンまたは高分子量および低分子量の魚ゼラチンの混合物を含む、水分含有量の高い最適化皮膚用製剤の製造を可能にする。これは、併用する魚ゼラチン−多糖類系の融解温度を、皮膚の表面温度に対し調整することによって達成される。本発明を使用することにより、皮膚用乳化製剤の融解挙動を脂質相ではなく水相により制御することがはじめて可能となる。これらの製品は皮膚表面に優れた水分保留膜層を与えることにより、皮膚の保湿を持続させる。ランダムコイルゼラチンが皮膚のより深い層に浸透することにより、皮膚の柔軟性が向上する。これらの乳化製品は、多糖類を含有することから室温でクリームとして安定している。最適化されたこれらの物理的特性は、純粋な水性ゲル状態においても、脂質、脂肪、油分の存在下の乳化系においても同様に得られる。そのような製品は、哺乳類ゼラチンでは得ることができない。
【0029】
特に、以下の利点が、本発明を用いて得られる:室温で物理的に安定な、魚ゼラチンをベースとしたゲル剤、および脂質存在下でのそのようなゲルの乳剤を生産することができる;室温安定であり水分含有量の高い皮膚用乳化クリーム製剤を生産することができる;そのようなゲルの融解温度を、生体表面に対し特異的に調整することができる;そのようなゲルのレオロジー的挙動および質感を、皮膚への塗布という観点から最適化することができる;美容用および医薬用皮膚製剤を、環境保全型資源に由来する生体適合性ポリマーから作ることができる;例えば、疾患リスクおよび/または宗教的理由による制約の観点から、皮膚用製剤の使いやすさを向上させることができる;魚コラーゲンおよび多糖類の混合物をベースにした、生体表面で容易に溶解可能な皮膚用製剤を生産することができる;魚コラーゲンおよび多糖類の混合物をベースにした、皮膚吸着および粘着性に関して最適化された皮膚用製剤を生産できる:尚且つ、向上した皮膚湿潤作用(不規則(ランダムコイル)状態のゼラチンを適用することによる)を得ることができる。
【0030】
魚ゼラチンは皮膚内に浸透するため、他の医薬または美容作用物質の皮膚浸透を向上させるために使用することができる。
【0031】
よって、さらに別の態様において、本発明は、医薬活性剤又は美容活性剤と皮膚浸透増強剤とを含む局所用医薬組成物または局所用化粧品組成物であって、前記皮膚浸透増強剤が魚ゼラチンを含むことを特徴とする局所用医薬組成物または局所用化粧品組成物を提供する。
【0032】
さらに別の態様において、本発明は、美容活性剤または医薬活性剤を含有する局所用化粧品組成物または局所用医薬組成物を、ヒトまたはヒト以外の哺乳動物の皮膚に適用することを含む治療法に使用する前記薬剤の製造のための魚ゼラチンの使用を提供する。
【0033】
皮膚浸透増強剤として魚ゼラチンを含有する組成物は、好ましくは、ゲル化作用が得られるような多糖類も含有する。しかしながら、魚ゼラチンはゲル化剤の一成分として以外にも使用することができるため、上記組成物は、例えば、クリーム、ペースト、軟膏、ゲル、乳濁液、分散液、懸濁液、溶液、スプレーなどの、局所適用に適したどのような形態であってもよい。溶液、クリーム、ペースト、およびゲルの使用が特に好ましい。これらの組成物中の活性成分は、例えば、前述のように局所適用が望まれる活性剤であればよい。しかし、この活性成分は、特に好ましくは、鎮痛物質、皮膚科的病気(例えば、アクネ)の治療に適した物質、放射線(例えば、日光)損傷を治すことのできる物質(例えば、グルタチオン)、血流刺激剤(例えば、血管拡張剤)などである。
【0034】
魚ゼラチンが皮膚内へ浸透することにより、皮膚老化の原因となる内因性マトリックスメタロプロテイナーゼに対し、皮膚自体のコラーゲンの代替基質として、皮膚内で魚ゼラチンを利用できるようになる。
【0035】
このように別の態様において、本発明は、ヒト皮膚への適用により、例えば、そのコラーゲン含有量を高めることにより、その柔軟性を向上させる局所用組成物の製造への魚ゼラチンの使用を提供する。
【0036】
さらに別の態様において、本発明は、ヒト皮膚の柔軟性を向上させるためのヒトの処置法であって、有効量の無菌性魚ゼラチン含有組成物を、例えば、クリーム、ペースト、軟膏、ワックス、ゲル、乳濁液、分散液、懸濁液、溶液、またはスプレーの形で、ヒト皮膚に適用することを含む処置法を提供する。
【0037】
これらの組成物は、望ましくは、顔面、頚部、上腕、手、上胸部および下腿の少なくとも1箇所、特に顔面、頚部および上胸部、とりわけ眼の周囲の皮膚に適用する。
【0038】
そのような組成物を形成する際、使用される魚ゼラチン、および、使用されるあらゆる多糖類は、上記のものであってもよい。
【0039】
本発明に従って使用される組成物は、好ましくは、例えば、添付文書、容器ラベルまたは容器包装における、それらの局所適用の説明とともに提供される。これらの組成物は、望ましくは、無菌であり、魚組織を含まず、さらにこれらの組成物は、好ましくは、少なくとも1種の医薬品用または化粧品用のキャリアまたは賦形剤を含んでいる。
【0040】
本発明の組成物を、以下の非限定的実施例およびそれに付随する図面を参照しながらさらに説明する。
【0041】
図1a(基剤となる皮膚クリームの融解および硬化挙動);1b(比率1:1の基剤および水の融解および硬化挙動);1c(比率1:1の基剤および10%(w/v)FGの融解および硬化挙動);1d(0.75(w/v)%CG+15(w/v)%FGとの比率1:1での混合物における基剤の融解および硬化挙動);および1e(比率1:1で混合した0.75%CG+15%FG+20mM KClと基剤の融解および硬化挙動)は、20〜40℃まで加熱し、20℃まで冷却し戻した5種類の組成物についての温度(T)、弾性率(G’)、粘度(η*)、および位相角(δ)の対時間プロットである。
【0042】
図2a(純粋な基剤である皮膚クリームの融解);2b(基剤および水の比率1:1混和物の融解);2c(基剤および10%FGの比率1:1混合物の融解);2d(基剤および0.75%CG+15%FGの比率1:1混合物の融解);ならびに2e(基剤および0.75(w/v)%CG+15(w/v)%FG+20mM KClの比率1:1混合物の融解)は、20〜40℃まで加熱した場合の5種類の組成物についての温度(T)および弾性率(G’)の対時間プロットである。
【0043】
図3a(ずれ応力増加時の純粋基剤皮膚クリームの物理的応答。数個複製)、3c(ずれ応力増加時の1:1の基剤:水の物理的応答。数個複製)、3e(ずれ応力増加時の基剤:10%FG(1:1)の混合系の物理的応答。数個複製)、3g(ずれ応力増加時の基剤:FG/CG/水(1:1)の混合系の物理的応答。数個複製。2=0.5%CG+10%FG、14〜16=0.75%CG+15%FG)および3i(ずれ応力増加時の基剤:FG/CG/20mM KCl/水(1:1)の混合系の物理的応答。数個複製)は、弾性率(G’)の対ずれ応力プロットであり、図3b(ずれ応力増加時の純粋基剤についての位相角の変化)、3d(ずれ応力増加時の基剤:水(1:1)の混合系についての位相角の変化)、3f(ずれ応力増加時の基剤:10%FG(1:1)の混合系についての位相角の変化)、3h(ずれ応力増加時の基剤:FG/CG/水(1:1)の系についての位相角の変化。高いずれ応力では流動なし。2=0.5%CG+10%FG、14〜16=0.75%CG+15%FG)および3j(ずれ応力増加時の基剤:FG/CG/20mM KCl/水(1:1)の系についての位相角の変化。高いずれ応力では流動なし)は、ずれ応力をそれぞれ数倍増加させた、5種類の組成物の位相角(δ)の対ずれ応力プロット(実験番号はプロットの下方に記載)である。
【0044】
図4a(0.5(w/v)%κ−CGおよび10(w/v)%FG水性混合系についての温度に伴う位相角の変化。ゲル化は27℃、融解は40℃で起こる)、4b(0.5(w/v)%κ−CGの小ひずみ振動測定。温度に伴う位相角の変化。ゲル化は13℃、融解は29℃で起こる)、4c(10(w/v)%FGの小ひずみ振動測定。温度に伴う位相角の変化。ゲル化は4℃、融解は13℃で起こる)は、融解後冷却しゲルを形成させた3種類の組成物についての位相角(δ)の対温度プロットである。
【0045】
図5a(4℃に冷却した0.5(w/v)%カッパCGおよび10(w/v)%FGの小ひずみ振動測定。G’無限までの外挿によりG’=3620Paが得られる)、5b(4℃に冷却した0.5(w/v)%κ−CGの小ひずみ振動測定の結果)、5c(4℃に冷却した10(w/v)%FGの小ひずみ振動測定の結果。G’無限までの外挿によりG’=1100Paが得られる)は、20から4℃まで冷却後40℃まで加熱した3種類の組成物についての温度(T)、弾性率(G’)および位相角(δ)のプロットである。
【0046】
図6は、0.5(w/v)%κ−CGおよび10または15(w/v)%FGの混合系について室温におけるヤング率(E)(平均±S.D、n>4)を示すグラフである。
【0047】
図7は、魚ゼラチン濃度の280nmにおける吸光度に対するプロットである。
【0048】
図8は魚ゼラチン濃度の対時間プロットである。
【0049】
全実施例に渡って、以下の材料および方法を使用した。
【0050】
[カラギーナン]
平均分子量が400〜800kDaの範囲にあるカッパカラギーナン(エフエムシーバイオポリマー社(FMC Biopolymer A/S)、ドラメン(Drammen)、ノルウエー)
平均分子量が400〜800kDaの範囲にあるイオタカラギーナン(エフエムシーバイオポリマー社、ドラメン、ノルウエー)。
【0051】
[魚ゼラチン]
魚ゼラチン(FG)試料は、冷水魚種の皮(ノーランド社(Norland Inc.)、米国)から作製し、平均分子量は90〜140kDaの範囲にあった。
【0052】
[乳化モデル系]
モデル基剤は「バイオデルミカ(Biodermica)」デイクリーム(バイオリンク社(BIOlink AS)、サンデフィヨルド(Sandefjord)、ノルウエーおよびフィットゾーン(Fitzone)−ケーエムビー社(KMB GmbH)、ハンブルグ、ドイツ)であった。脂質および水性混合物は、ウルトラスラックス(ultra thurrax)による乳化により作製した。
【0053】
比率およびパーセンテージは、特に記載がない場合、重量により表す。
【実施例1】
【0054】
[実施例1:魚ゼラチンおよびカッパカラギーナンの混和物(1:1)、水、ならびに純粋な魚ゼラチン溶液のそれぞれで乳化させた基剤皮膚クリームの全体的融解および硬化挙動]
図1aは、温度を20から40℃に上昇させ、20℃まで冷却して戻した際の純粋な基剤皮膚クリームの融解および再構成を示す。このクリームの固体特性を反映する弾性率(G’)は、軽度の温度依存性を示し、温度上昇に伴って単調でわずかな低下を示したのち温度低下に伴って比較的急激な増加を示す。この履歴現象はおそらく、脂質成分の融解および再結晶化によるものである。
【0055】
図1bは、基剤クリームを水と1:1に混合した際の挙動を示す。この混合物はクリームというよりもむしろローションタイプの不均一な製品になり、したがって望ましくない挙動を示す。これは、この系の水の効果が不十分であることから安定性を欠くことにつながるためである。水領域が大きいことによるつぶつぶ状(時間とともに完全な相分離が起こることを示唆する)もこの製品において観察された。
【0056】
図1cは、基剤クリームを10%魚ゼラチン水溶液と1:1で混合した際の挙動を示す。この実施例では、純粋クリームの履歴挙動(図1a参照)も認められる。しかしG’は非常に低く、物理的特性に劣ることを示している。
【0057】
図1dは、基剤クリームを、0.75%カッパカラギーナンおよび15%魚ゼラチンを含有する水溶液と1:1で混合した際の挙動を示す。このゲルは、ヒト皮膚上で融解するよう調整されたものである。温度を上昇させると非常に顕著な効果が認められ、温度を低下させると図1aに見られる履歴現象が再び認められる。なめらかなつけ心地のよい製品が得られた。
【0058】
図1eは、基剤クリームを、0.75%カッパカラギーナンおよび15%魚ゼラチンを含有する溶液と、また、20mM KClと、1:1で混合した際の挙動を示す。この混合物は、その物理的構造を皮膚表面でも保持するよう設計されている。この系の冷却後の履歴現象を除き、純粋基剤クリームの図(図1a)と似通った図が現れる。この結果は、この非融解製品における物理的特性が、その多糖類含有量によりかなり大きく支配されていることを示唆している。
【実施例2】
【0059】
[実施例2:魚ゼラチンおよびカッパカラギーナンの混和物(1:1)、水、および純粋な魚ゼラチン溶液のそれぞれで乳化した基剤皮膚クリームの初期融解挙動。皮膚接触挙動]
図2a〜2eは、図1a〜1eの初期相に相当する。ヒト皮膚上で融解するよう調整した試料(図2d)は、皮膚温度(30℃)付近でG’の推移に顕著な急変を示す唯一の試料であることが明確に認められ、これはこの魚ゼラチン−カラギーナンゲルが融解することにより、皮膚上でランダムコイルゼラチンの分配を促すことを示している。その他の試料はすべて、温度低下に伴ってG’は多かれ少なかれ単調な低下を示し、これは脂質相の変化によるクリームの脆弱化を示している。
【実施例3】
【0060】
[実施例3:魚ゼラチンおよびカッパカラギーナンの混和物(1:1)、水、ならびに純粋魚ゼラチン溶液のそれぞれで乳化させた基剤皮膚クリームの応力耐性。20℃における安定性]
図3aおよび3bは、純粋基剤皮膚クリームの物理的応答(G’および位相角δの変化)を示す。このクリームは、20Pa近辺の応力で流動し始める(G’が低下しδが増加する)ことがわかる。このクリームを数回テストした際、直線域にも流動開始時にも変化が観察されないという点から、この系の優れた可逆性も認められる。
【0061】
図3cおよび3dは、基剤と水の1:1混合物と同じ応答を示す。この系は、かなり低い応力で流動し始めること、また、応力サイクルの反復とともに流動誘発に必要な応力が小さくなることが明確に認められ、これは非平衡系であり最適とはいえない製品であることを示唆している。
【0062】
図3eおよび3fは、基剤と魚ゼラチン10%水溶液との1:1混和物の応力挙動を示す。水混和物の場合と同様に、この系も、かなり低い応力で流動を示し、流動を誘発する応力は応力変形サイクルの回数に関して依存性を示す。これは、魚ゼラチン単独では安定した皮膚クリームを得るには不十分であることを示している。
【0063】
図3gおよび3hは、基剤皮膚クリームと、魚ゼラチンおよびカッパカラギーナンの2種類の水性混合物(15%/0.75%および10%/0.50%)との1:1混合物の、応力によって誘発される物理的応答を示す。これらの系は、純水基剤クリームに必要な応力に匹敵する応力まで流動せず、また完全に可逆的な系でもある(すなわち、その物理的応答は、応力変形サイクルの回数に依存しない)ことから、純水および10%魚ゼラチンを添加した場合とは非常に異なることを証明している。さらに、位相角に注目すれば、これらのゲルは、試験した応力体系内では決して液体優勢とはならないことを示している(位相角δは常に45°未満)。これは、このクリームの安定化におけるゲル化多糖類の重要性を反映している。したがって、水分含有量を高めたこの1:1混合物は20℃において純粋基剤クリームよりも安定な製品である。
【0064】
図3iおよび3jは、基剤と魚ゼラチン/カッパカラギーナン混和物との1:1混合物にゲル促進イオンK+を20mM添加した場合の物理的応答を示す。これらの図は、そのようなイオンを添加するとカラギーナン網目構造の安定化が増すため、この系をいっそう安定化させることが可能であることを示している。この系では、位相角は、カリウムイオンを添加しない非流動混合系と比べて、テストした最高の応力でもなお低い。
【実施例4】
【0065】
[実施例4:魚ゼラチンおよびカッパカラギーナンの水性混和物のゲル化および融解温度]
図4aは、0.5%カッパカラギーナンおよび10%魚ゼラチンの混和物のゲル化温度(Tg)および融解温度(Tm)を示しており、図4bおよび4cは、2種類の単一成分(それぞれ0.5%カッパカラギーナン(1b)および10%魚ゼラチン(1c))について同様の数値を示している。これらの結果は、固体優勢系から液体優勢系(δ=45°)への変化およびその逆の変化を反映する小ひずみ振動測定時の位相角(=arctanG’’/G’)の変化として提示している。
【0066】
この混合物は、この2種類の成分のいずれも単独では室温でゲルにならないが、混合系では意外にも哺乳類ゼラチンゲルに近いゲル化温度(〜約27℃)および融解温度(〜約40℃)を示すという意味では、真の相乗作用系であることが明確に認められる。
【実施例5】
【0067】
[実施例5:魚ゼラチンおよびカッパカラギーナンの混合物のゲル強度の推移]
図5aは、0.5%カッパカラギーナンおよび10%魚ゼラチンの混合物のゲル強度(小ひずみ振動測定から得られる動的貯蔵弾性率(G’)として示す)の推移を示す。これに相当する、上記2成分(0.5%カッパカラギーナンおよび10%魚ゼラチン)単独の推移は、それぞれ図5bおよび5cに示す。この2成分のいずれも単独では室温でゲルにならないため、結果はすべて4℃で得たものである(実施例1も参照)。この一連のデータから、上記混合系のG’は上記2成分単独で測定したG’値よりも実質的に高いため、真の相乗作用系が得られることはここでも明らかである。
【実施例6】
【0068】
[実施例6:FG濃度が高い魚ゼラチン/カッパカラギーナン混合ゲルの強度]
図6は、塩を添加することなく10%および15%魚ゼラチンを混合した0.50%カッパカラギーナンのゲル強度(圧縮分析から得たヤング率(E)として示す)を示す。実施例4は、上記2成分のいずれも単独では室温で安定したゲルとはならないが、0.50%カッパカラギーナンおよび10%魚ゼラチンの混和物は安定したゲルとなることを示した。図6は、魚ゼラチンを15%含む場合も、この結果が有効であることを示している。事実、カッパカラギーナンと魚ゼラチンとの比率を1:20から1:30へと変化させたこの混合系のゲル強度に有意な影響はなく、この結果は、この混合系のロバスト性を証明するものである。
【実施例7】
【0069】
平均分子量が55000Daの魚ゼラチンを5重量%までPBSに溶解し、500μLを8つの組織インサート(tissue inserts)に添加する。組織インサート内の膜を、スキンエシック(SkinEthic)(フランス)の17日令の表皮モデルで覆う。
【0070】
1mLのPBSを、24ウェルプレートのウェルに添加する。魚ゼラチン溶液を加えた1つの組織インサートを、マルチウェルプレートの8ウェル内に入れる。この系を30℃でインキュベートし、3時間までは30分ごとに、以後5時間まで1時間ごとに1つの組織インサートを取り出す。ウェル内の溶液を回収し、魚ゼラチン分子が表皮モデルに浸透したことを示すために280nmにおける吸光度を測定する。吸光度値の経時増加は、魚ゼラチン分子が30℃でのインキュベーションにより表皮に浸透することを示す。
【実施例8】
【0071】
平均分子量が120000Daの魚ゼラチンを、5重量%までPBSに溶解する。平均分子量が30000Daの魚ゼラチン低分子量画分を、2.5重量%の濃度まで添加する。この魚ゼラチン溶液500μLを、8つの組織インサートに添加する。これら組織インサート内の膜を、スキンエシック(フランス)の17日令の表皮モデルで覆う。
【0072】
1mLのPBSを、24ウェルプレートのウェルに添加する。魚ゼラチン溶液を加えた1つの組織インサートを、マルチウェルプレートの8ウェル内に入れる。この系を30℃でインキュベートし、3時間までは30分ごとに、以後5時間まで1時間ごとに1つの組織インサートを取り出す。ウェル内の溶液を回収し、魚ゼラチン分子が表皮モデルに浸透したことを示すために280nmにおける吸光度を測定する。吸光度値の経時増加は、魚ゼラチン分子が30℃でのインキュベーションにより表皮に浸透することを示す。
【実施例9】
【0073】
平均分子量30000Daの魚ゼラチンを5重量%までPBSに溶解し、500μLを16の組織インサートに添加した。この組織インサート内の膜をスキンエシック(Nice、フランス)(ロットNo.06022A 0304)の20日令の表皮モデルで覆った。
【0074】
700μLのPBSを24ウェルプレートのウェルに添加した。魚ゼラチン溶液を加えた1つの組織インサートを、マルチウェルプレートの16ウェル内に入れた。この系を静かに揺動させながら30℃でインキュベートし、3時間までは20分ごとに、以後6.5時間まで30分ごとに1つの組織インサートを取り出した。ウェル内の溶液およびインサートを回収し、魚ゼラチン分子がこのバリアを浸透したことを示すために280nmにおける吸光度を表皮モデルの上下で測定した。このバリア下の溶液中での吸光度値の経時増加は、魚ゼラチン分子が30℃でのインキュベーションにより表皮モデルに浸透することを示す。
【0075】
図7は、PBS中の魚ゼラチン(平均Mw=30000Da)濃度とA280値との整合性に関する標準曲線を示す。
【0076】
下記の表4に、280nmにおける吸光度値と表皮モデルインサート下のPBS(700μL)中の魚ゼラチン濃度計算値とを示す。PBSをブランク試料として用いた。魚ゼラチン濃度とA280との整合性を示す上記標準曲線を用いて、魚ゼラチン濃度を時間の関数として計算した。
【0077】
【表1】

【0078】
表1のデータは、バリア下PBS中FG濃度の時間の関数として図8にプロットしてある。
【0079】
この系における平衡時のFGの最大可能濃度は約2.08%と計算される。これは、6.5時間でこのFGの19%が表皮バリアに浸透していることを意味する。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1a】図1aは、温度を20から40℃に上昇させ、20℃まで冷却して戻した際の純粋な基剤皮膚クリームについての温度(T)、弾性率(G’)、粘度(η*)、および位相角(δ)の対時間プロットである。
【図1b】図1bは、温度を20から40℃に上昇させ、20℃まで冷却して戻した際の、基剤クリームを水と1:1に混合したものについての温度(T)、弾性率(G’)、粘度(η*)、および位相角(δ)の対時間プロットである。
【図1c】図1cは、温度を20から40℃に上昇させ、20℃まで冷却して戻した際の、基剤クリームを10%魚ゼラチン水溶液と1:1で混合したものについての温度(T)、弾性率(G’)、粘度(η*)、および位相角(δ)の対時間プロットである。
【図1d】図1dは、温度を20から40℃に上昇させ、20℃まで冷却して戻した際の、基剤クリームを、0.75%カッパカラギーナンおよび15%魚ゼラチンを含有する水溶液と1:1で混合したものについての温度(T)、弾性率(G’)、粘度(η*)、および位相角(δ)の対時間プロットである。
【図1e】図1eは、温度を20から40℃に上昇させ、20℃まで冷却して戻した際の、基剤クリームを、0.75%カッパカラギーナンおよび15%魚ゼラチンを含有する溶液と、また、20mM KClと、1:1で混合したものについての温度(T)、弾性率(G’)、粘度(η*)、および位相角(δ)の対時間プロットである。
【図2a】図2aは、純粋な基剤である皮膚クリームの20〜40℃まで加熱した場合の温度(T)および弾性率(G’)の対時間プロットである。
【図2b】図2bは、基剤および水の比率1:1混和物の20〜40℃まで加熱した場合の温度(T)および弾性率(G’)の対時間プロットである。
【図2c】図2cは、基剤および10%FGの比率1:1混合物の20〜40℃まで加熱した場合の温度(T)および弾性率(G’)の対時間プロットである。
【図2d】図2dは、基剤および0.75%CG+15%FGの比率1:1混合物の20〜40℃まで加熱した場合の温度(T)および弾性率(G’)の対時間プロットである。
【図2e】図2eは、基剤および0.75(w/v)%CG+15(w/v)%FG+20mM KClの比率1:1混合物の20〜40℃まで加熱した場合の温度(T)および弾性率(G’)の対時間プロットである。
【図3a】図3aは、純粋基剤皮膚クリームの物理的応答(G’)を示す。
【図3b】図3bは、純粋基剤皮膚クリームの物理的応答(位相角δの変化)を示す。
【図3c】図3cは、基剤と水の1:1混合物の物理的応答(G’)を示す。
【図3d】図3dは、基剤と水の1:1混合物の物理的応答(位相角δの変化)を示す。
【図3e】図3eは、基剤と魚ゼラチン10%水溶液との1:1混和物の物理的応答(G’)を示す。
【図3f】図3fは、基剤と魚ゼラチン10%水溶液との1:1混和物の物理的応答(位相角δの変化)を示す。
【図3g】図3gは、基剤皮膚クリームと、魚ゼラチンおよびカッパカラギーナンの2種類の水性混合物(15%/0.75%および10%/0.50%)との1:1混合物の、物理的応答(G’)を示す。
【図3h】図3hは、基剤皮膚クリームと、魚ゼラチンおよびカッパカラギーナンの2種類の水性混合物(15%/0.75%および10%/0.50%)との1:1混合物の、物理的応答(位相角δの変化)を示す。
【図3i】図3iは、基剤と魚ゼラチン/カッパカラギーナン混和物との1:1混合物にゲル促進イオンK+を20mM添加した場合の物理的応答(G’)を示す。
【図3j】図3jは、基剤と魚ゼラチン/カッパカラギーナン混和物との1:1混合物にゲル促進イオンK+を20mM添加した場合の物理的応答(位相角δの変化)を示す。
【図4a】図4aは、0.5%カッパカラギーナンおよび10%魚ゼラチンの混和物のゲル化温度(Tg)および融解温度(Tm)を示している。
【図4b】図4aは、0.5%カッパカラギーナン(1b)のゲル化温度(Tg)および融解温度(Tm)を示している。
【図4c】図4cは、10%魚ゼラチン(1c)のゲル化温度(Tg)および融解温度(Tm)を示している。
【図5a】図5aは、0.5%カッパカラギーナンおよび10%魚ゼラチンの混合物のゲル強度(小ひずみ振動測定から得られる動的貯蔵弾性率(G’)として示す)の推移を示す。
【図5b】図5bは、0.5%カッパカラギーナンのゲル強度(小ひずみ振動測定から得られる動的貯蔵弾性率(G’)として示す)の推移を示す。
【図5c】図5cは、10%魚ゼラチンのゲル強度(小ひずみ振動測定から得られる動的貯蔵弾性率(G’)として示す)の推移を示す。
【図6】図6は、0.5(w/v)%カッパカラギーナンおよび10または15(w/v)%FGの混合系について室温におけるヤング率(E)(平均±S.D、n>4)を示すグラフである。
【図7】図7は、魚ゼラチン濃度の280nmにおける吸光度に対するプロットである。
【図8】図8は魚ゼラチン濃度の対時間プロットである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医薬活性剤または美容活性剤とゲル化剤とを含む局所用医薬組成物または局所用化粧品組成物であって、前記ゲル化剤が魚ゼラチンおよび多糖類を含む局所用医薬組成物または局所用化粧品組成物。
【請求項2】
医薬活性剤または美容活性剤と皮膚浸透増強剤とを含む局所用医薬組成物または局所用化粧品組成物であって、前記皮膚浸透増強剤が魚ゼラチンを含む局所用医薬組成物または局所用化粧品組成物。
【請求項3】
ゲル化温度が10〜30℃の範囲にある連続水相を含む、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記ゲル化温度が15〜28℃の範囲にある、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
融解温度が20〜42℃の範囲にある連続水相を含む、前記請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項6】
前記融解温度が24〜40℃の範囲にある、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記融解温度が28〜37℃の範囲にある、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記魚ゼラチンのイミノ酸含有量が5〜25重量%である、前記請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項9】
前記魚ゼラチンの重量平均分子量が10〜250kDaの範囲にある、前記請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項10】
前記魚ゼラチンが前記組成物中に2〜15重量%の濃度で存在する、前記請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項11】
前記組成物が帯電した多糖類含む、前記請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項12】
前記帯電した多糖類がカラギーナンである、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
前記カラギーナンがカッパカラギーナンである、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
前記多糖類の重量平均分子量が10kDa〜1MDaである、請求項11〜13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
前記多糖類が0.1〜1.5重量%の濃度で存在する、請求項11〜14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
多糖類に対する魚ゼラチンの重量比が50:1〜5:1である、請求項11〜15のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
前記組成物のpHが5〜7.5の範囲にある、前記請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項18】
抗生物質、抗炎症剤、鎮痒剤、ステロイド剤、非ステロイド性抗炎症剤、抗真菌剤、および抗アクネ化合物からなる群から選択される医薬活性剤を含む、請求項11〜17のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項19】
美容活性剤として、皮膚保湿剤を含む、請求項11〜17のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項20】
請求項1〜18のいずれか一項に記載の医薬組成物の有効量を、ヒトの皮膚に適用することを含むヒトの治療法。
【請求項21】
ヒトの皮膚に化粧品組成物を適用することを含む、ヒトの美容処置法であって、前記組成物が請求項1〜17および19のいずれか一項に記載の組成物である、美容処置法。
【請求項22】
ヒトの皮膚の柔軟性を向上させるため、前記のヒトの皮膚に有効量の無菌性魚ゼラチン含有組成物を適用することを含む、請求項21に記載のヒトの美容処置法。
【請求項23】
美容活性剤または医薬活性剤を含有する局所用化粧品組成物または局所用医薬組成物を、ヒトまたはヒト以外の哺乳動物の皮膚に適用することを含む治療法に使用する前記薬剤の製造のための、前記請求項のいずれかに記載の魚ゼラチンの使用。
【請求項24】
ヒトの皮膚に局所投与可能な医薬物質含有薬剤を適用することを含む治療法に使用するための前記薬剤の製造における、請求項23に記載の魚ゼラチンおよび多糖類ゲル化剤の使用。
【請求項25】
前記ヒトの皮膚の柔軟性を向上させるため、前記ヒトの皮膚に適用する局所用組成物の製造のための、請求項23に記載の魚ゼラチンの使用。
【請求項26】
請求項1〜19のいずれか一項に記載の組成物の製造方法であって、前記方法が、魚ゼラチン、多糖類ゲル化剤、医薬作用物質または美容作用物質、および、任意にかつ好ましくは水を混合することを含み、前記方法が、この混合物を乳化することを任意に含む、組成物の製造方法。

【図1a】
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【図1b】
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【図1c】
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【図1d】
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【図1e】
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【図2a】
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【図2b】
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【図2c】
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【図2d】
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【図2e】
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【図3a】
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【図3b】
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【図3c】
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【図3d】
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【図3e】
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【図3f】
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【図3g】
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【図3h】
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【図3i】
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【図3j】
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【図4a】
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【図4b】
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【図4c】
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【図5a】
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【図5b】
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【図5c】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2008−540627(P2008−540627A)
【公表日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−511797(P2008−511797)
【出願日】平成18年5月19日(2006.5.19)
【国際出願番号】PCT/GB2006/001874
【国際公開番号】WO2006/123173
【国際公開日】平成18年11月23日(2006.11.23)
【出願人】(507382795)アクア バイオ テクノロジー エーエスエー (1)
【Fターム(参考)】