説明

ソフトウェアのアップデートシステム

【課題】ユーザにソフトウェアのアップデートを促すためのソフトウェアダウンロードシステムを提供する。
【解決手段】家電機器1は、ICカード3の情報を読みとるとともに、ICカード3に家電機器1に関する情報を提供するためのカードインターフェイス(I/F)5と、データの書き込み、データを読み出す制御と書き込む制御とを行う書き込み/読み出し制御部7と、読み出したデータと書き込まれたデータとのデータ処理を行うデータ処理部11と、ポイント情報やソフトウェアに関する情報などの表示を制御する表示制御部15と、全体を制御するCPU17と、表示制御部15により制御された情報を表示する表示部21と、カードの使用日時、ポイントの状況、ソフトウェアに関する状況などの処理履歴を記憶するカード履歴記録部23と、家電機器にダウンロードするデータを保持するダウンロードデータ保持部25と、を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソフトウェアのアップデートシステムに関し、特に、ICカード等の比較的小容量の媒体を利用した機器のソフトウェアのアップデートシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、電子機器においては、ソフトウェアにより動作する方式を取っているものが多い。機器を動作させるためのソフトウェアなどは、更新を行う必要がある場合も多い。いわゆるソフトウェアのバージョンアップである。例えば、メーカ側のサーバからアップデート用のソフトウェアや制御情報を、直接ではなく、別の機器を介して家電機器などにダウンロードさせ、また、家電の現在情報をサーバへ送信する手法が、例えば特許文献1に記載されている。
【0003】
【特許文献1】特開2003−47074号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のシステムでは、メーカ側に大きなサーバが必要になるという問題がある。また、実際には、ユーザがソフトウェアのアップデート処理に煩雑さを感じることも多いため、なかなかアップデート処理が行われないという実情がある。
【0005】
本発明は、ユーザにソフトウェアのアップデートを促すためのソフトウェアダウンロードシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、ソフトを分割してカードへ保存するとともに、カードにはどの機種の、分割したどの部分のソフトまでをダウンロード済みであるかの情報を記録する。店頭でカードを使用する際に、未ダウンロードのデータをカードへ保存する。複数カードで行なう場合には、分割するデータに順位付けを行い、カードによってどのデータからダウンロードするか異なるようにする。
【0007】
また、ICカード等の容量の小さなカードを介して機器のソフトウェアをアップデートする仕組みを提供する。店頭の端末等からユーザの使用するポイントカードに家電機器等のアップデート用ソフトウェアを分割転送し、ユーザがそのカードのポイントの内容等を表示させるために家電機器へ接続する際にソフトウェアを機器に転送する。ユーザがポイントカードを次に使用する際、再びソフトウェアデータをカードに転送することを繰り返す。家族で複数のカードを使用することにより更に効率よくデータ転送を行うこともできる。
【0008】
すなわち、本発明の一観点によれば、分割されたダウンロードデータをデータブロックとしてそれぞれ記憶する記憶領域を有する記憶部と、機器へのインターフェイスと、を有する媒体であって、前記記憶部に、前記ダウンロードデータをインストールする対象機器のIDと、ダウンロードデータのバージョン情報と、今回ダウンロードする前記データブロックのIDと、対象機器にダウンロード済みのデータブロックのIDと、をそれぞれ記憶する領域を有することを特徴とする媒体が提供される。
【0009】
これにより、小容量の媒体であっても、ダウンロードデータを分割して、対象機器に対して順々にダウンロードデータを生成し、ダウンロードを行うことができる。
【0010】
また、分割されたダウンロードデータをデータブロックとしてそれぞれ記憶する記憶領域を有する記憶部と、機器へのインターフェイスと、を有するICカードであって、前記記憶部に、前記ダウンロードデータをインストールする対象機器のIDと、ダウンロードデータのバージョン情報と、今回ダウンロードする前記データブロックのIDと、対象機器にダウンロード済みのデータブロックのIDと、をそれぞれ記憶する領域を有することを特徴とするICカードが提供される。このようなICカードを用いると、ダウンロードデータを分割して取得するとともに、そのデータをインストールする対象機器を特定してすることができるため、小容量のICカードであっても、徐々にダウンロードデータを完成していき、対象機器にインストールすることができる。
【0011】
さらに、割り当てられたデータブロックのうち機前記対象器へムーブ済みのデータブロックIDと、ムーブによって次にダウンロードすべきブロックとなったデータブロックIDと、を前記記憶部に記憶させるのが好ましい。このようにすると、対象機器へのどの分割データを次に取得すれば良いかをICカード自体が知ることになるため、次に、どのデータを取得するかをユーザが知る必要がない。
【0012】
また、複数のICカードのデータブロックを機器へムーブする場合に、ムーブ済みのデータブロックが他のICカードからムーブされないように、ムーブ済みのデータブロックは、破棄されることが好ましい。
【0013】
さらに、ダウンロード対象機器が複数存在する場合には、カード毎のある機器への照会頻度に基づいて、ダウンロードすべきデータブロックをそれぞれの機器について割り当てることが好ましい。
【0014】
上記ICカードが、ポイントカードを兼用していれば、ユーザに対する訴求効果があり、ダウンロードを促進することができる。ポイントの代わりに、来店カードやクーポンカードなど種々のサービスを受けられるカードであっても良い。
【0015】
また、上記に記載の媒体又はICカードとのデータのやり取りを行うインターフェイス部と、該インターフェイス部を介して取得した前記データブロックを結合して1つのダウンロードデータとするダウンロードデータ処理部と、を有することを特徴とする家電機器であっても良い。また、端末装置であっても良い。
【0016】
本発明の他の観点によれば、複数のICカードを媒体とし、ダウンロードデータを提供する第1の端末からダウンロードデータを受け取る第2の端末へのダウンロードデータの転送方法であって、前記ダウンロードデータを複数のデータブロックに分割するステップと、前記複数のICカードのそれぞれの使用頻度と記憶容量とに基づいて、使用頻度が高く記憶容量が大きいICカードにより多くのデータブロックを割り当てるブロックと、前記ICカードを第2の端末に関連付けすることにより、前記データブロックを前記第2の端末に転送するステップと、転送された前記データブロックを結合して1つのダウンロードデータとするステップと、前記ICカードを、第2の端末又はそれと関連付けされた家電機器に関連付けることにより、前記1つのダウンロードデータを転送させるステップと、を有することを特徴とするダウンロードデータの転送方法が提供される。
【0017】
また、前記第2の端末へのダウンロードが完了しないうちに、次の新しいバージョンのソフトウェアがリリースされた場合であって、前記データブロックのうちダウンロード済みの割合に応じて、新しいバージョンのソフトウェアを最初からダウンロードするか、現在行っているダウンロードを優先して完了させるかを判定するようにしても良い。現在行っているダウンロードを優先して完了させた場合には、新しいバージョンとの差分のみを更新するステップをさらに有するようにしても良い。さらに、ダウンロードするソフトウェアのバージョンに優先度を設定し、優先度が高いバージョンには、多くのソフトブロックを割り当てるようにしても良い。これにより、優先度の高いバージョンへのバージョンアップにかかる時間を短縮させることができる。
【0018】
本発明は、上記のステップをコンピュータに実行させるためのプログラム又はそのプログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であっても良い。また、伝送媒体からの取得によっても良い。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、たとえ小さな記憶容量のカードであっても、それを媒体としてソフトウェアのダウンロードが可能となる。また、例えば家族間で複数のカードを使用して行う場合、頻度が上がるのでより、効率的に機器へソフトのダウンロードを行わせることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
一般的には、機器に一旦蓄積してソフトのダウンロードを行う場合、ICカード等の比較的記憶容量の小さなものを利用すると容量不足となる。そこで、発明者は、ICカード等の比較的小容量の媒体を利用し、1つのアップデート用データを何回かに分けて機器に送信することを考えた。
【0021】
例えば、家電機器に、家電機器の量販店などで提供されるポイントカード等のポイント情報の読取り機能や、ポイント情報の表示機能を設けておく。このような家電機器は、例えば、パーソナルコンピュータなどにおいては既に実用化されている(例えば登録商標Felica)。本発明においては、加えて、例えば、量販店側において、ユーザがポイントカードを利用して家電機器を購入した場合には、その家電機器のIDを記憶するとともに、その家電機器のソフトウェアのアップデートのバージョンを記録する領域をポイントカードのメモリ領域に形成しておく。ユーザがポイントカードを利用して買い物又は来店する際に、ダウンロードすべき家電機器毎に家電機器のIDに対応するそれぞれの家電機器におけるソフトウェアのアップデートデータがカードに記録されるような仕組みを作っておく。
【0022】
ユーザがカードを店舗等で使用する際、サーバよりソフトウェアデータの一部をカードにダウンロードされる。ユーザは、量販店からの帰りに、例えば自宅で、ポイントカードを家電機器と接続(非接触カードの読み取りポートなどに翳して)を行うことでポイントを確認すると、その際にカードに保存されたダウンロードソフトが家電機器に送信されるようにする。例えば、無線LAN機能などをそれぞれの家電機器に持たせておけば、家電機器のIDに対応する機器に必要なソフトウェアデータを送ることができる。このような処理を数回繰り返すことにより、たとえ容量の少ないカードであっても、ある程度の容量をもつソフトウェアを適切な家電機器にダウンロードすることができる。
【0023】
以下、上記の考え方に沿って、本発明の実施の形態による家電機器のソフトウェアアップデートシステムについて図面を参照しながら説明を行う。図1及び図2は、本実施の形態によるICカードを利用したソフトウェアダウンロードシステムの一構成例を示す機能ブロック図である。図1は、家電機器(ここでは、例えばカード読みとりインターフェイスを備えたパーソナルコンピュータ(PC)を例にする)の構成を示す図であり、図2は、店頭や店内などにおいてポイントカードなどのICカードにポイントを書き込むとともにソフトウェアを送信する店頭端末の一構成例を示す図である。
【0024】
図1に示すように、本実施の形態による家電機器1は、ICカード3の情報を読みとるとともに、ICカード3に家電機器1に関する情報を提供するためのカードインターフェイス(I/F)5と、データの書き込み、データを読み出す制御と書き込む制御とを行う書込/読出制御部7と、読み出したデータと書き込まれたデータとのデータ処理を行うデータ処理部11と、ポイント情報やソフトウェアに関する情報などの表示を制御する表示制御部15と、全体を制御するCPU17と、表示制御部15により制御された情報を表示する表示部21と、カードの使用日時、ポイントの状況、ソフトウェアに関する状況などの処理履歴を記憶するカード履歴記録部23と、家電機器にダウンロードするデータを保持するダウンロードデータ保持部25と、を有している。尚、ダウンロードデータ保持部25は、比較的小容量であっても良い。さらに、PCなどであれば、有線又は無線のLANなどによる通信部を備えており、他の家電機器との間で通信可能に構成されているのが好ましい。
【0025】
上記構成において、カード3のデータは、書込/読出制御部7により、カードI/F5を介して、家電機器1内に取り込まれる。また、家電機器1内の情報の一部も、書込/読出制御部7により、カードI/Fを介してカード3に送信される。
【0026】
データ処理部では読出したデータより、ダウンロードデータ、ポイント等のユーザに表示させる情報等を抽出する。ダウンロードデータであれば、ダウンロードデータ保持部25へ転送され、ここに保持される。ポイントに関する情報などは、ユーザに報知するために、表示制御部15へ送られた後、表示部21において表示されるように構成されている。
【0027】
また、CPU17は、カード3の使用履歴、読出されたカード3内の情報に基づいて、カードに書き込むべき情報を決定し、書込/読出制御部7に送信する。書込/読出制御部7は、この情報に基づいて、カードI/Fを経由してカード3内の情報を更新する。CPU17は、ダウンロードデータ保持部25に蓄積され、結合されたデータを用いて、家電機器1又はそれと通信部により接続される家電機器などのソフトウェアのアップデートを行う。
【0028】
図2に示すように、店頭におけるシステムBは、カード33(上記カード3と同じカードである場合が多い)と、店頭端末装置31と、ソフトウェアサーバ35と、を有している。店頭端末装置31は、ソフトウェアサーバ35とのインターフェイスを形成する外部I/F41と、カード33とのインターフェイスを形成するカードI/F47と、カードI/F47を介してカード33のデータを読み込んだり書き込んだりする書込/読出制御部45と、データの処理を行うデータ処理部43と、全体を制御するCPU53と、を有している。
【0029】
店頭端末装置31では、ソフトウェア保持部51に、様々な機器のソフトウェアを保持している。ソフトウェアは、各機器ベンダーのソフトウェアサーバ35より、通信回線や、オフラインで提供されるものである。
カード33が店頭端末装置31で使用されると、書込/読出制御部45とカードI/F47とを介して、カード33に記録されている情報を読出し、CPU53へ通知する。CPU53では、カード33のデータに基づいて、ソフトウェア保持部51から、該当するダウンロードデータをデータ処理部43へ転送させる。データ処理部43では、カード33にあわせてダウンロードデータの加工を行い、書込/読出制御部45へ転送する。書込/読出制御部45では、カードI/F47を通じて、ダウンロードデータをカード33へ記録することができる。尚、ポイント等のカード本来の情報の書込/読出もカードI/F47を介して書込/読出制御部45を通じて行われる。
【0030】
上記構成を有するシステムの利用方法について以下に詳細な説明を行う。図3は、ダウンロード手順の一例を示す図である。ある家電機器(イ)におけるVer1.5である1つのダウンロードデータを、例えば#1〜#12までの12のデータに分割する。これにより、1回にICカード内に記憶できる容量制限内のデータとすることができる。また、ユーザ又はその同居家族などが利用しているカードがカードA〜Cまでの3枚のカードであるとする。ここで、カードAは、使用頻度も高く、カード内のメモリ容量も大きいカードである。カードBは、使用頻度が低いがメモリ容量が大きいカードである。カードCは、使用頻度が小さく、メモリ容量も小さいカードであるとする。家電機器1は、各カードA〜Cまでの使用頻度および容量を記憶しておき、カードの使用頻度とカードの記憶容量とに応じて、ダウンロードの対象ブロックをカードに割り当てる。
【0031】
家電機器においてポイント照会をした際に、1)ダウンロードさせるデータの対象機器ID、この場合には機器イ、2)ダウンロード対象となるソフトウェアのバージョン(この場合には、Ver1.5)、3)DL開始ブロックに関する情報(この場合には#1)、4)機器にDLが済んでいるブロック名(この場合にはまだダウンロードしていていないため、無し)のデータをカードに記載する。カードAは使用頻度も高く、かつ、メモリ容量も大きいため、12に分割されたブロックのうちの#1〜#7までが割り当てられている。カードBは、使用頻度が低いため、ブロック#8〜#10までの3ブロックが割り当てられている。カードCは、使用頻度も低く記憶容量も小さいため、ブロック#11及び#12の2つのブロックが割り当てられている。
【0032】
従って、カードBの3)DL開始ブロックは#8、カードCの3)DL開始ブロックは#11となる。図3は初期状態を示しているため、4)機器DL済みブロックは全てのカードで“なし”となっている。
【0033】
上記のように各カード毎に、カードの特性に合わせてブロックを割り当てていくことにより、無駄なくダウンロードを行うことができる。
【0034】
図4は、図3に続く処理の様子を示す図である。図4の左側のカードA〜カードCまでの状態と同様の状態から、カードAがブロック#1−#3まで、カードBがブロック#8をカードにダウンロードしていることを示す図である。すると、機器イに関するVer1.5のデータは、真ん中の図に示すように、ブロック#1〜#3と、ブロック#8と、がカードA〜Cのいずれかに取得されていることになる。その後に、カードAが機器イにポイントを照会すると、ダウンロードデータが機器イにムーブされる(S1、S2)。その後、カードBが機器イにポイント照会すると、ダウンロードデータが機器イにムーブされる(S3、S4)。
【0035】
すると、右図に示すように、カードAが機器イへ#1〜#3のソフトウェアブロックをムーブする。この際、カードAの情報が更新され、次にDLするブロックは、3)に示すように、#4からに変更される。また、カードAの4)に、#1〜#3までのブロックがDL済みであることが記録される。その後、カードBが機器イへ#8のソフトブロックをムーブする。この際、カードBの情報が更新され、次にDLするブロックは3)に示すように#9からになる。また、既に、カードAがDLした#1〜#3までおよびカードBがダウンロードした#8がDL済みであることを記録する。カードCに関しては、ここまでは変化がない。
【0036】
次の手順について図5を参照しながら説明する。図4の右図の状態は、図5の左図の状態にほぼ対応している。ここで、カードBが#9、カードAが#4〜#8、カードCが#11をICカードにダウンロードし、その後に、カードBで機器イにポイント照会を行い、ダウンロードデータをムーブする(S5、S6)。その後、カードAが機器イにおいてポイントを照会し、ダウンロードデータをムーブする(S7、S8)。さらにその後、カードCが機器イにおいてポイントを照会し、ダウンロードデータがムーブする(S9、S10)。
【0037】
すると、カードBが機器イへ#9のソフトブロックをムーブする。また、このとき、カードBの情報が更新される。その後、カードAが機器イへ#4〜#8までのソフトウェアブロックをムーブする。但し、#8は、既に、前回、カードBによりDL済みであるため、このデータは廃棄される。また、カードAの情報が更新され、その後、カードCが機器へ#11のソフトブロックをムーブする。また、カードCの情報が更新される。右図は、それぞれのカードの更新された情報を示す図である。この状態では、機器イに関するソフトウェアデータのうちで、#10と#12のデータがまだ足りない状態であることがわかる。
【0038】
次の手順について、図6を参照しながら説明を行う。図5の右図から続いて、まず、カードAがダウンロード済みでないブロックであるブロック#10、#12を、カードBがブロック#10をカードにダウンロードすると、その後、カードAが機器イにポイント照会を行った際に、ダウンロードデータをムーブする(S11)。その後、カードBが、機器イにポイント照会、ダウンロードデータのムーブを行う(S12)。これにより、機器イのダウンロードデータとしては当初分割されていた12のブロック#1〜12までが揃う。次いで、カードAが機器イへ#10、#12のソフトブロックをムーブする。これにより全ソフトのダウンロードが完成し、機器はバージョンアップを行う。その後、カードBが機器へ#10のソフトブロックをムーブしようとするが、ダウンロード済みであるため破棄される。尚、分割したデータを再結合するための方法としては、例えば、特開平09−101911号公報に記載されている方法を利用可能である。機器への全ソフトのダウンロードが完成したため、カードA、カードBの、次にDLするブロックに関する情報は、ダウンロードをしない旨を表す情報へ更新される。
【0039】
以上のように処理を行うことにより、カードの使用頻度、容量に応じてダウンロードするブロックを割り当てることで、効率よくダウンロードを実行することができる。
【0040】
次に、複数の機器に対するダウンロード処理について説明する。各機器は、その機器で照会されるカード毎の照会頻度を記憶しておき、その照会頻度に基づきダウンロードすべきブロックを割り当てる。例えば、図9(A)〜(C)に示すように、機器イでは、照会頻度がカードA>カードB>カードCであるため、カードAに多くのデータブロック(#1〜)、カードBに中くらいのブロック(#5〜)、カードCに少なく(#6〜)を割り当てる。逆に、機器ロでは、カードC>カードB>カードAであるため、カードCにより多くデータブロックが割り当てられている。図10に示すようなソフトウェアを、カードへダウンロードする際は、カードに記録された使用頻度に基づき、使用頻度の高い機器のソフトからダウンロードを行う。例えば、カードCへソフトウェアをダウンロードする際は、カードCでは機器イの使用頻度が高いため、機器イの#1からダウンロードするようにすれば良い。その他の考え方は、機器が1つの場合と同様である。
【0041】
次に、カードに機器の複数のバージョンのダウンロードを行う処理について説明する。説明した実施の形態に基づきアップデートを行っており、機器へのダウンロードが完了しないうちに、次のバージョンのソフトウェアがリリースされるような場合がある。しかしながら、ほとんどのソフトブロックを機器がダウンロード済みであれば、新しいバージョンのソフトウェアを最初からダウンロードすると、ダウンロード完了まで時間がかかりすぎる。そこで、現在行っているダウンロードを優先して完了した方が良い場合もある。このような場合に対応するため、カードには、複数のソフトウェアバージョンに関する情報を記録する。
【0042】
例えば、図7では、現在行っているダウンロードのバージョン(Ver1.5)は、#7、#12を除いてほとんどダウンロードが終わっている状態を示している。この時点で、新しいダウンロードのバージョン(Ver1.6)がリリースされたとする。カードには第2のDLソフトウェアのバージョン情報、DL開始ブロックの情報、DL済みブロックの情報も記録する。カードへソフトウェアをダウンロードする際、Ver1.5の#7と#12のソフトブロックおよびVer1.6のソフトブロックの一部、例えば#1から#3とをダウンロードする。次に、カードから機器へダウンロードする際、Ver1.5の#7と#12のソフトブロックがムーブされることで、機器は、まずVer1.5へバージョンアップを行うことができる。Ver1.6のソフトブロック#1から#3も合わせてムーブされ、カードは、次からはVer1.6のソフトブロック#4からダウンロード行う。
【0043】
図8は、ダウンロードするソフトウェアのバージョンに優先度を設定した例を示す図である。機器のソフトウェアのバージョンアップの目的は、マイナーな機能改善から、重大な欠陥修正まで様々である。バージョンに優先度を設定し、優先度が高いバージョンには、多くのソフトブロックを割りあてることで、優先度の高いバージョンへのバージョンアップにかかる時間を短縮する。
【0044】
尚、本実施の形態では、ポイント機能を持つICカードの代わりに、非接触型のデータ読みとり機能を有する携帯端末などを利用することも可能である。また、ポイントカードを例にして説明したが、他のクレジットカードなどのICカードなどを利用することもできる。交通機関で用いられているICカードも利用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、ICカードを媒体として、分割されたソフトウェアを機器に対してダウンロードするシステムに利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の一実施の形態による家電機器の一構成例を示す機能ブロック図である。
【図2】図2は、店頭などにおいてポイントカードなどのICカードにポイントを書き込むとともにソフトウェアを送信する店頭端末の一構成例を示す図である。
【図3】ダウンロード手順(1)の一例を示す図である。
【図4】ダウンロード手順(2)の一例を示す図である。
【図5】ダウンロード手順(3)の一例を示す図である。
【図6】ダウンロード手順(4)の一例を示す図である。
【図7】ダウンロード手順(5)の一例を示す図である。
【図8】ダウンロード手順(6)の一例を示す図である。
【図9】ダウンロード手順(7)の一例を示す図である。
【図10】カードへソフトウェアをダウンロードする場合における、機器のソフトからダウンロード順を示す図である。
【符号の説明】
【0047】
1…家電機器、3…ICカード、5…カードインターフェイス(I/F)、7…書き込み/読み出し制御部、11…データ処理部、15…表示制御部、17…CPU、21…表示部、23…カード履歴記録部、25…ダウンロードデータ保持部、31…店頭端末装置、33…カード、35…ソフトウェアサーバ、41…外部I/F、43…データ処理部、45…書き込み/読み出し制御部、47…カードI/F、53…CPU。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分割されたダウンロードデータをデータブロックとしてそれぞれ記憶する記憶領域を有する記憶部と、機器へのインターフェイスと、を有する媒体であって、
前記記憶部に、前記ダウンロードデータをインストールする対象機器のIDと、今回ダウンロードするダウンロードデータのバージョン情報と、今回ダウンロードする前記データブロックのIDと、
対象機器にダウンロード済みのデータブロックのIDと、をそれぞれ記憶する領域を有することを特徴とする媒体。
【請求項2】
分割されたダウンロードデータをデータブロックとしてそれぞれ記憶する記憶領域を有する記憶部と、機器へのインターフェイスと、を有するICカードであって、
前記記憶部に、前記ダウンロードデータをインストールする対象機器のIDと、今回ダウンロードするダウンロードデータのバージョン情報と、今回ダウンロードする前記データブロックのIDと、
対象機器にダウンロード済みのデータブロックのIDと、をそれぞれ記憶する領域を有することを特徴とするICカード。
【請求項3】
さらに、割り当てられたデータブロックのうち前記対象機器へムーブ済みのデータブロックIDと、ムーブによって次にダウンロードすべきブロックとなったデータブロックIDと、を前記記憶部に記憶させることを特徴とする請求項2に記載のICカード。
【請求項4】
複数のICカードのデータブロックを機器へムーブする場合に、ムーブ済みのデータブロックが他のICカードからムーブされないように、ムーブ済みのデータブロックは、破棄されることを特徴とする請求項2又は3に記載のICカード。
【請求項5】
ダウンロード対象機器が複数存在する場合には、カード毎のある機器への照会頻度に基づいて、ダウンロードすべきデータブロックをそれぞれの機器について割り当てることを特徴とする請求項2から4までのいずれか1項に記載のICカード。
【請求項6】
ポイントカードを兼用していることを特徴とする請求項2から5までのいずれか1項に記載のICカード。
【請求項7】
請求項1から6までのいずれか1項に記載の媒体又はICカードとのデータのやり取りを行うインターフェイス部と、
該インターフェイス部を介して取得した前記データブロックを結合して1つのダウンロードデータとするダウンロードデータ処理部と
を有することを特徴とする家電機器。
【請求項8】
請求項1から6までのいずれか1項に記載の媒体又はICカードとのデータのやり取りを行うインターフェイス部と、
機器のダウンロードデータを複数のブロックデータに分割し、該ブロックデータを、前記媒体又はICカードの記憶容量と使用頻度とに基づいて、記憶容量が大きく、使用頻度が高い場合に多くのデータブロックを割り当てる制御を行う端末装置。
【請求項9】
複数のICカードを媒体とし、ダウンロードデータを提供する第1の端末からダウンロードデータを受け取る第2の端末へのダウンロードデータの転送方法であって、
前記ダウンロードデータを複数のデータブロックに分割するステップと、
前記複数のICカードのそれぞれの使用頻度と記憶容量とに基づいて、使用頻度が高く記憶容量が大きいICカードにより多くのデータブロックを割り当てるブロックと、
前記ICカードを第2の端末に関連付けすることにより、前記データブロックを前記第2の端末に転送するステップと、
転送された前記データブロックを結合して1つのダウンロードデータとするステップと、
前記ICカードを、第2の端末又はそれと関連付けされた家電機器に関連付けることにより、前記1つのダウンロードデータを転送させるステップと
を有することを特徴とするダウンロードデータの転送方法。
【請求項10】
前記第2の端末へのダウンロードが完了しないうちに、次の新しいバージョンのソフトウェアがリリースされた場合であって、前記データブロックのうちダウンロード済みの割合に応じて、新しいバージョンのソフトウェアを最初からダウンロードするか、現在行っているダウンロードを優先して完了させるかを判定することを特徴とする請求項9に記載のダウンロードデータの転送方法。
【請求項11】
現在行っているダウンロードを優先して完了させた場合には、新しいバージョンとの差分のみを更新するステップをさらに有することを特徴とする請求項10に記載のダウンロードデータの転送方法。
【請求項12】
さらに、ダウンロードするソフトウェアのバージョンに優先度を設定し、優先度が高いバージョンには、多くのデータブロックを割り当てるステップを有することを特徴とする請求項10に記載のダウンロードデータの転送方法。
【請求項13】
請求項9から12までのいずれか1項に記載のステップをコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項14】
請求項13に記載のプログラムを記憶したコンピュータ読みとり可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−98993(P2009−98993A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−270885(P2007−270885)
【出願日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】