説明

ソフトフォーカス撮影システム

【課題】 簡易な撮影機構で良好なソフトフォーカス撮影を可能にする。
【解決手段】撮影モード切替え板45はゾーンプレート部45aを備えている。撮影モード切替え板45は、切替えリング47が回転すると、連動ピン47bによりゾーンプレート部45aが撮影レンズ5の光軸上の位置と撮影レンズ5の光路外の位置との間を移動する。ゾーンプレート部45aは、被写体光を回折させ、被写体像に輪郭をソフトに描写するソフトフォーカス効果を与える。ゾーンプレート部45aは光軸上に位置する時は露光時間が長くなり、ゾーンプレート部45aにより遮られる被写体光の不足分が補われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソフトフォーカス撮影の可能なソフトフォーカス撮影システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ソフトフォーカス撮影をするための手段としては、レンズの収差を利用したソフトフォーカスレンズを使用するもの、表面又は内部に光拡散性の特性を持たせたフィルタを使用するもの、光の回折を利用するゾーンプレートを使用するもの等が知られている。
【0003】
レンズの収差を利用したものは、球面収差をアンダー又はオーバーにすることで画面全体に被写体の輪郭が拡散したソフトな描写のソフトフォーカス効果を出すもので、イマゴン(商品名:ローデンシュトック社製)や、タンバール(商品名:ライツ社製)などが従来知られている。イマゴンは、中央の開口とその周辺の円形開口とからなる絞りを複数種類有しており、絞りを切り替えることでソフト効果の調節を行うことができる。また、タンバールは、通常レンズと同じ絞りを有しているが、レンズの光軸付近を通る光を遮り、Fナンバーを変化させることでソフト効果を調節することができる。また、レンズ系の一部の間隔を変化させることで球面収差を自由に調節し、絞り値に影響を受けずにソフト効果が得られるソフトフォーカスレンズが知られている(特許文献1参照)。
【0004】
光拡散性フィルタを使用するものは、表面に微小な凹凸を有する透光性部材から構成された光拡散性フィルタを撮影光路中に挿入することで所望のソフト効果を得る(特許文献2,3参照)。ソフト効果の大きさは、透光性部材の凹凸の大きさや密度によって決めることができる。
【0005】
ゾーンプレートを使用するものは、ピンホールカメラと同様に、レンズを使用することなく、微小開口を通過した光線の回折により像を作る。ピンホールカメラは、開口の面積が小さい(Fナンバーが大きい)ために像が暗く、十分な光量を確保するためには長時間露光を必要とする。ゾーンプレートは、中心のピンホールとこの周辺に同心円状に複数の開口とが設けられており、同心円状の開口で生じる光の回折作用によって強いソフト効果を得ることができる。ゾーンプレートでは、中央の開口がピンホールカメラと同じ開口であり、輪帯の開口は、中央部の開口面積とほぼ同じ面積をそれぞれもつため、輪帯の開口の数を増加させることによりピンホールカメラと比較して露光量を増加させることができる。例えば、中央の開口と、その周辺に4本の開口部を持たせた場合には2.3EV、8本の開口部を持たせた場合には3.2EV改善する。
【特許文献1】特開平10−68879号公報
【特許文献2】特開平7−209697号公報
【特許文献3】特開平10−232461号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、球面収差を利用するソフトフォーカスレンズは、球面収差を大きくする必要性から、これを1台のカメラに内蔵させるには通常撮影用のレンズとソフトフォーカスレンズの2種類が必要となり、カメラのコストが増加する。また、一定量のソフト効果を得るためには、Fナンバーの大きい暗いレンズほど大きな球面収差が必要となる。このため、周知のレンズ付きフイルムのようにFナンバーの大きいパンフォーカスレンズを使用する撮影システムでは、球面収差と解像力の両方を確保することが困難である。同様に、光拡散性フィルタを使用するものでは、Fナンバーの小さい明るいレンズを使用すると良好なソフト効果が得られるが、暗いレンズでは解像力の確保が困難である。ゾーンプレート方式は、ピンホールカメラと同様にゾーンプレートが結像作用を担うため、像の明るさを確保するためにピンホールとその周辺の開口径を大きくする必要があるが、開口径の増加に伴い、ソフト効果が増強され過ぎてしまう欠点がある。
【0007】
本発明は、上記問題点を考慮してなされたもので、暗いレンズを備えた小型のカメラに内蔵できるソフトフォーカス撮影が可能なソフトフォーカス撮影システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明のソフトフォーカス撮影システムは、撮影レンズの光軸上に位置するピンホールと、このピンホールの周りに同心円状の複数の開口とを有するゾーンプレートを備えたことを特徴とする。
【0009】
前記ゾーンプレートは、撮影レンズの光軸上の位置と外部の位置とに移動することを特徴とする。
【0010】
前記ゾーンプレートが前記外部の位置から前記撮影レンズの光軸上の位置に移動した際にシャッタスピードが低速側に切替えられることを特徴とする。
【0011】
前記ゾーンプレートは0.5mm以下の厚みを有することを特徴とする。
【0012】
写真フイルムの感度がISO800以上、撮影レンズのFナンバーがF5.6より暗いことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、撮影レンズとゾーンプレートを併用することにより、撮影レンズにより得られる解像力と、ゾーンプレートによる回折光とにより、被写体の輪郭を拡散させたソフトな撮影描写が得られる撮影システムを実現できる。特に、パンフォーカス性の確保が必要なFナンバーが大きい暗い撮影レンズであっても、ソフト撮影効果が得られる。すなわち、ゾーンプレートのみを使用するソフトフォーカス撮影では、中心部のピンホールを大きくした時に、ソフト効果の増大と同時に像のボケが大きくなることから、良好な画質が得られる中心部のピンホール径の選択範囲が比較的狭くなる。これに対し、本発明は、ゾーンプレートにレンズを併用することで像のシャープネスを確保できるから、ゾーンプレートのバリエーション(中心部のピンホール径及び輪帯の線幅の選択範囲)が広がり、ソフト効果の調整範囲を広くすることができる。
【0014】
ゾーンプレートを撮影レンズの光軸上の位置と、光路の外側の位置とに出し入れできるようにすることで、1つの撮影光学系のみを用いて通常撮影とソフト撮影を行うことができるため、安価な撮影装置に好適である。
【0015】
ゾーンプレートにより被写体光の一部が遮られることになるため、シャッタスピードを低速にすることで光量不足を補い、適正露光を確保することができる。
【0016】
ゾーンプレートの厚さを0.5mm以下とすることにより、撮影光路からゾーンプレートを出し入れすることに伴うピント位置の変動が抑えられ、ピントの固定されたパンフォーカスカメラに好適な撮影システムが実現できる。特に、物体側の第1レンズがメニスカスレンズで像面彎曲を補正し、像面側の第2レンズによって結像作用を得る2枚構成の撮影レンズでは、第1レンズと第2レンズの間の位置でゾーンプレートを出し入れすることによるピント位置の変動を効果的に抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1において、本発明を実施したレンズ付きフイルムユニット2は、その前面に、被写体光を結像させる撮影レンズ5と、撮影範囲を確認するためのファインダ6と、夜間の撮影時等に被写体光を補うストロボ光を発するストロボ発光部7が設けられている。上面には、撮影操作として押下操作されるシャッタボタン9,撮影枚数をカウントするカウンタ表示部10,ストロボ撮影のための充電が終了したときに点灯するシグナル部11が設けられている。
【0018】
また、背面には、撮影後のフイルム巻き上げに用いられる巻上げノブ12の一部が露呈されている。レンズ付きフイルムユニット2の前面には、通常撮影を行う通常モードとソフトフォーカス撮影を行うソフト撮影モードを切替えるためのモード切替えスイッチ15と、ストロボ撮影を行う際にストロボ回路を充電するために操作されるストロボスイッチ16とが設けられている。モード切替えスイッチ15は、上下方向にスライド操作することにより撮影モードを切替えることができ、下方向に操作した時は通常撮影、上方向に操作したときはソフト撮影を行うことができる。ストロボスイッチ16は、上方向に操作したときにストロボ回路の充電処理が開始され、これが終了するとシグナル部11が点灯し、シャッタボタン9の押下操作に連動してストロボ光が発光する。
【0019】
図2において、レンズ付きフイルムユニット2は、135タイプのパトローネ22とパトローネ22から引き出された写真フイルム23が装填される本体基部24と、本体基部24の背面を覆うことで写真フイルム23を光密に収納する後カバー25と、本体基部24の前面側に取り付けられる外装用の前カバー26とを備える。写真フイルム23には、ISO感度800以上の高感度写真フイルムが使用され、撮影レンズ5のFナンバーが小さく暗いレンズを使用した場合でも、手ぶれの生じないシャッタスピードで適切な露光が得られるようにしている。
【0020】
本体基部24には、ストロボユニット27が取り付けられる。ストロボユニット27は、複数の回路素子が取り付けられたプリント基板30、ストロボ発光管とリフレクタ等を備えたストロボ発光部7、シャッタの作動によってオンされるシンクロスイッチ31、ストロボスイッチ16の操作によってオンされる充電スイッチ32、及び電源となる内蔵電池33等を備えている。
【0021】
本体基部24は、シャッタチャージ機構、フイルム巻止め機構、フイルムカウント機構、シャッタ速度切替え機構を備えている。巻上げノブ12をフイルム巻き上げ方向に回転した時、写真フイルム23の巻上げ量に応じてスプロケット(図示なし)が回転する。スプロケットの回転は、シャッタチャージ機構、フイルム巻止め機構、フイルムカウント機構に伝達される。フイルム巻上げ量が撮影コマの1コマ分の長さに達すると、シャッタチャージ機構にシャッタを作動させる力が蓄えられる。また、フイルム巻止め機構により巻上げノブ12の回転がロックされ、フイルムカウント機構により撮影枚数の表示度数が1進む。
【0022】
図3において、シャッタ駆動レバー35は、シャッタチャージが完了した状態でシャッタボタン9が押下されたとき、シャッタチャージ機構に蓄えられた力が解放されることにより、チャージ位置からレリーズ位置に向けて回転する。シャッタ羽根36は、バネ37により露光開口38を閉じる閉じ位置に付勢されている。シャッタ駆動レバー35は、シャッタ羽根36を蹴飛ばし、露光開口38を開放する。シャッタ羽根36の作動完了後には、フイルム巻止め機構のロックが解除され、次のコマのフイルム巻上げを行うことができるようになる。
【0023】
露光開口38の前方には、シャッタカバー40が設けられている。シャッタカバー40には、撮影レンズ5とフレア防止板41とスペーサー板42が取り付けられるレンズ取り付け枠43が設けられている。撮影レンズ5は、凸メニスカスの形状の前レンズ5aと、両凸形状の後レンズ5bとから構成されている。撮影レンズ5は、シャッタカバー40の前面に取り付けられるレンズ押さえ44によりその前方から押さえられ、レンズ取り付け枠43の内部で保持される。撮影レンズ5には、FナンバーがF8より大きいレンズが使用されている。これは、レンズ付きフイルムユニット2に、撮影時のピント調節が不要なパンフォーカス性をもたせるためであり、ファインダ6によって撮影範囲を確認した後はシャッタボタン9を押下する操作のみで簡単に写真撮影が行えるようにするためである。
【0024】
スペーサー板42は、V字状に形成された撮影モード切替え板45の出し入れを行う空間を確保するために設けられている。撮影モード切替え板45は、ソフトフォーカス撮影を行うためのゾーンプレート部45aを有している。ゾーンプレート部45aは、撮影モード切替え板45が回動することにより、撮影レンズ5の光軸5aと重なる位置と撮影光路の外側の位置とに移動する。
【0025】
レンズ取り付け枠43の外周面上には、シャッタ速度及び撮影モードの切替えを行う切替えリング47が設けられている。切替えリング47は、モード切替えスイッチ15と連結されており、モード切替えスイッチ15をスライド操作したときに、これに連動して回転する。切替えリング47は、レンズ押さえ44によりレンズ取り付け枠43から外れないように押さえられる。切替えリング47に掛けられたバネ48は、モード切替えスイッチ15が下方向に操作された際に切替えリング47が元の位置に戻るための力を与える。
【0026】
切替えリング47には、シャッタカバー40の上部に取り付けられるストップレバー49の一端部49aを挟持する一対の挟持ピン47aと、撮影モード切替え板45を動かすための連動ピン47bが設けられている。ストップレバー49は、切替えリング47が回転した時に一端部49aが左右方向に移動して、シャッタカバー40の上部で回動する。ストップレバーの他端部49bは、通常撮影モードではシンクロスイッチ31の下方に入り込み、ソフト撮影モードではシンクロスイッチ31の下方の位置から退避する。
【0027】
図4において、モード切替えスイッチ15が上方向に操作されていない状態では、ストップレバー49の他端部49bがシンクロスイッチ31の下に位置している。このときにシャッタ羽根36が作動すると、シャッタ羽根36の上端部がシンクロスイッチ31の一対の金属片を接触させたときに、シャッタ羽根36の動きがストップレバー49の他端部49bによって遮られ、シャッタ羽根36はそれ以上開放できなくなる。
【0028】
モード切替えスイッチ15が上方向に操作されると、切替えリング47は図中反時計方向に回動する。切替えリング47が反時計方向に回動すると、挟持ピン47aがストップレバー49の一端部49aを図中左方向に移動させる。これによりストップレバー49が回動し、ストップレバー49の他端部49bはシンクロスイッチ31の下から退避する。このときにシャッタ羽根36が作動すると、シャッタ羽根36の上端部がシンクロスイッチ31の一対の金属片を接触させた後、シャッタ羽根36はさらに回動する。
【0029】
ストップレバー49によってシャッタ羽根36の動きが遮られる場合は、シャッタ羽根36の回動する角度は小さく、ストップレバー49によってシャッタ羽根36の動きが遮られない場合は、シャッタ羽根36の回動する角度が大きくなる。従って、モード切替えスイッチ15が上方向に操作されていない時は露光時間が短く、高速のシャッタ速度となり、モード切替えスイッチ15が上方向に操作されている時は露光時間が長く、低速のシャッタ速度となる。
【0030】
なお、ストロボ発光部7は、ストロボスイッチ16が操作され、ストロボ回路の充電が完了している状態でシンクロスイッチ31がオンするとストロボ光を発光するが、ストロボスイッチ16が操作されていない状態では、シンクロスイッチ31がオンしても、ストロボ光を発光しない。
【0031】
図5において、撮影モード切替え板45は、モード切替えスイッチ15が上方向に操作されると、切替えリング47の反時計回りの回転により、ゾーンプレート部45aが撮影レンズ5の光路の外に退避した位置から、撮影レンズ5の光軸5aと重なる位置に回動する。撮影モード切替え板45は、切替えリング47の連動ピン47bに係合するカム穴45bを有している。切替えリング47の回転により連動ピン47bが光軸の回りを移動すると撮影モード切替え板45が回動し、ゾーンプレート部45aがレンズ取り付け枠43の内外に移動する。
【0032】
図6において、撮影モード切替え板45は、厚さが例えば0.2mmの無色の透明フイルムからなる。ゾーンプレート部45aは、透明フイルムの上に形成された遮光性の高い印刷層により、透明部と不透明部とからなる複数の輪帯を有している。各輪帯の直径D(mm)は、係数C、可視光の波長λ(mm)、ゾーンプレートの焦点距離f(mm)、輪帯の番号をNとしたときに以下の条件式で表される。
D・N=C・(f・N・λ)1/2
なお、Nが奇数の時は不透明部(暗線)の内径、Nが偶数の時は不透明部の外径を表す。
【0033】
上記条件式を満たすゾーンプレートは、各輪帯の面積が中央の円の面積と同じになる。すなわち、透明部と不透明部の面積は同じになるので、ゾーンプレート部45aが光路上に位置する場合と光路外に位置する場合とでは、光量比が2分の1倍となる。ゾーンプレート部45aによる光量の減少分は、シャッタ速度を低速に切替えて露光時間を長くすることで補うことができる。また、係数Cは、2.0を基準とし、ゾーンプレートのみを使用する撮影では画質調整のために係数Cは1.6〜2.2の間で調整される。同様に、撮影レンズ5と併用されるゾーンプレート部45aの場合においても、係数Cが1.6〜2.2の間の複数種類のサンプルを用いて撮影画質を判定したところ、全てのサンプルでソフト効果が確認された。特に、係数が小さくなるほどソフト効果が高まることが確認された。
【0034】
次にレンズ付きフイルムユニットの作用について説明する。撮影を行う際には、巻上げノブ12がロックされるまでフイルムの巻上げ操作を行う。巻上げノブ12がロックされると、シャッタチャージが完了し、撮影可能な状態となる。撮影者は、通常撮影とソフト撮影のどちらを行うかを選択し、ソフト撮影を行う場合は、モード切替えスイッチ15を操作する。
【0035】
モード切替えスイッチ15を上方向に操作すると、これに連動して切替えリング47が回転する。ストップレバー49の他端部49bは、シンクロスイッチ31の下から退避し、撮影モード切替え板45のゾーンプレート部45aは撮影レンズ5の光路上の位置に移動する。シャッタボタン9を押下すると、シャッタ羽根36が作動する。シャッタ羽根36は、シンクロスイッチ31の一対の金属片を接触させた後、一対の金属片をさらに変形させて回動し、ゾーンプレート部45aが撮影レンズ5の光路外に位置するときよりも露光開口38を長い時間開放する。
【0036】
撮影レンズ5に入射した被写体光は、前レンズ5aを透過し、ゾーンプレート部45aを通過する際に回折し、後レンズ5bを透過して写真フイルム23に到達する。被写体光の一部の光は、ゾーンプレート部45aにより撮影レンズ5の理想的な像点からずれた位置に到達し、被写体の輪郭を拡散させたソフト効果のある撮影画像を形成する。
【0037】
なお、本発明は上記実施形態に限らず、適宜の変更が可能である。例えば、上記実施形態は、本発明をレンズ付きフイルムユニットに適用した例であるが、写真フイルムの交換が可能な一般的なカメラ、CCDイメージセンサを備えた撮像装置に本発明を適用することもできる。また、ゾーンプレート部45aのように、中心部の円形の開口と、これに対して同心円状の輪帯の開口とを有するゾーンプレートのみならず、図9に示す撮影モード切替え板55のように、輪帯を複数の円形の開口によって構成したゾーンプレート部55aを有していても同様なソフト撮影効果を得ることができる。また、撮影モード切替え板45は、手動のスイッチ操作によって撮影レンズの光軸上の位置と光路外の位置とにゾーンプレートを移動させるようにしているが、ソレノイド等の駆動源を用いてゾーンプレートを移動させてもよい。
【0038】
また、上記実施形態では、撮影レンズ5の後方側にゾーンプレート部55aを設け、ソーンプレート部55aが撮影レンズ5の絞りを兼用するようにしているが、ゾーンプレート部55aを撮影レンズ5の前方側に設けた場合には、撮影レンズ5の後方側に通常の絞りを設けてもよい。上記実施形態とは異なり、シャッタスピードを切り替えられないカメラでは、ゾーンプレートによる露光量の低下を抑えるため、シャッタスピードを遅く露光時間を長めに設定し、ゾーンプレートを併用しない通常撮影時には絞り穴の小さい小絞りを使用し、ゾーンプレートを使用したソフトフォーカス撮影を行う際には絞り穴の大きい大絞りを使用した撮影が行えるように絞り板を移動自在に設けることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】レンズ付きフイルムユニットの外観斜視図である。
【図2】レンズ付きフイルムユニットの分解斜視図である。
【図3】シャッタ羽根及び撮影レンズ周辺の分解斜視図である。
【図4】通常撮影モードにおけるシャッタ羽根の作動状態を示す平面図である。
【図5】ソフト撮影モードにおけるシャッタ羽根の作動状態を示す平面図である。
【図6】通常撮影モードにおけるゾーンプレート部の位置を示す平面図である。
【図7】ソフト撮影モードにおけるゾーンプレート部の位置を示す平面図である。
【図8】ゾーンプレート部の拡大図である。
【図9】他の実施形態のゾーンプレート部の拡大図である。
【符号の説明】
【0040】
2 レンズ付きフイルムユニット
5 撮影レンズ
9 シャッタボタン
15 モード切替えスイッチ
23 写真フイルム
35 シャッタ駆動レバー
36 シャッタ羽根
37 バネ
38 露光開口
40 シャッタカバー
41 フレア防止板
42 スペーサー板
43 レンズ取り付け枠
44 レンズ押さえ
45 撮影モード切替え板
45a ゾーンプレート部
47 切替えリング
47a 挟持ピン
47b 連動ピン
48 バネ
49 ストップレバー


【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影レンズの光軸上に位置するピンホールと、このピンホールの周りに同心円状の複数の開口とを有するゾーンプレートを備えたことを特徴とするソフトフォーカス撮影システム。
【請求項2】
前記ゾーンプレートは、撮影レンズの光軸上の位置と外部の位置とに移動することを特徴とする請求項1記載のソフトフォーカス撮影システム。
【請求項3】
前記ゾーンプレートが前記外部の位置から前記撮影レンズの光軸上の位置に移動した際にシャッタスピードが低速側に切替えられることを特徴とする請求項2記載のソフトフォーカス撮影システム。
【請求項4】
前記ゾーンプレートは0.5mm以下の厚みを有することを特徴とする請求項2又は3に記載のソフトフォーカス撮影システム。
【請求項5】
写真フイルムの感度がISO800以上、撮影レンズのFナンバーがF5.6より暗いことを特徴とする請求項2ないし4のいずれか1つに記載のソフトフォーカス撮影システム。
【請求項6】
前記ゾーンプレートは、前記撮影レンズの後方側に設けられていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記載のソフトフォーカス撮影システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−72132(P2007−72132A)
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−258419(P2005−258419)
【出願日】平成17年9月6日(2005.9.6)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】