説明

ソーラーコントロール積層体

赤外線吸収性のフタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物、またはリレン化合物と、エチレン酸コポリマーまたはエチレン酸コポリマーのアイオノマーとを含むソーラーコントロール組成物を提供する。本発明のソーラーコントロール組成物を含むソーラーコントロール積層体もさらに提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線の透過を低減する装置の分野に関し、特に赤外線の透過を低減する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ガラス積層製品または「安全ガラス」は、ほぼ1世紀の間社会に貢献している。安全ガラスは、高い耐衝撃性および貫入抵抗性を特徴とし、さらに、破砕されたときのガラスのかけらおよび破片の散乱が最小限となることを特徴とする。これらの積層体は、典型的には、2枚のガラス板またはガラスパネルの間に存在するポリマーフィルムまたはシート中間層のサンドイッチ構造からなる。ガラス板の一方または両方は、ポリカーボネート材料またはポリエステルフィルムのシートなどの、光学的に透明な剛性または非剛性のポリマーシートで置き換えることができる。安全ガラスは、2つ以上の中間層とともに接合された3層以上のガラスおよび/またはポリマーシートを含むようにさらに発展している。
【0003】
自動車のフロントガラス中に一般に使用されている周知の安全ガラス以外に、ガラス積層体は、列車、飛行機、船、およびほとんどあらゆる他の輸送手段に窓として組み込まれている。最近では、設計者が、より多くのガラス面を建造物中に組み込んでいるため、安全ガラスの建築用途も急速に拡大している。
【0004】
社会では、積層ガラス製品に対して、光学的および装飾的性能ならびに安全特性以外のさらなる機能性を要求され続けている。望ましい目標の1つは、ソーラーコントロールグレージングの開発によって自動車または建造物などの構造体内のエネルギー消費を減少させることである。近赤外スペクトルは人間の肉眼によって感知されないため、典型的な方法の1つは、近赤外スペクトルからの太陽エネルギーの一部が構造体に侵入するのを防止するガラス積層体を開発することであった。例えば、可視光スペクトルの透過が減少したり歪んだりすることなく近赤外スペクトルの一部を遮断するソーラーコントロール窓が取り付けられた構造体においては、空調によって消費されるエネルギーを減少させることができる。
【0005】
ガラス積層体のソーラーコントロールは、ガラスまたはポリマー中間層を改質することによって、さらなるソーラーコントロール層を付け加えることによって、あるいはこれらの方法の組み合わせによって実現することができる。ソーラーコントロール積層体ガラスの一形態は、金属化基材フィルム、例えば、導電性アルミニウムまたは銀金属層が堆積したポリエステルフィルムを含む。一般に、金属化フィルムは、適切な波長の光を反射することで、適切なソーラーコントロール特性が得られる。金属化フィルムは、一般に、高真空装置および精密な雰囲気制御システムを必要とする真空蒸着法またはスパッタリング法によって製造される。赤外光に加えて、金属化フィルムは、特定の電波波長も反射するため、ラジオ、テレビ、汎地球測位システム(GPS)、自動料金徴収、キーレスエントリー、通信システム、自動ガレージオープナー、自動現金自動預払機、高周波識別(RFID)、ならびに自動車またはソーラーコントロール積層ガラスによって保護される場合がある他の構造体中に一般に使用される類似のシステムの機能を妨害する。この妨害は、直接的には、金属層が連続であり、したがって導電性となるために生じる。
【0006】
より最近の傾向は、赤外光を反射するのではなく吸収する金属含有ナノ粒子を使用することである。基材の鮮明性および透明性を維持するため、これらの材料は、理想的には約200ナノメートル(nm)未満の公称粒度を有する。これらの材料は導電性フィルムを形成しないので、この種のソーラーコントロールグレージングによって保護された構造体の内部に配置された放射線を透過および受信する装置の動作は妨害されない。しかし、これらのナノ粒子をポリマー中間層中に加える場合、これらの積層体の製造方法が必然的に複雑になる。
【0007】
赤外線吸収性フタロシアニン類およびフタロシアニン系材料は、ポリビニルブチラールを含む場合があるバインダー樹脂と場合により併用される光情報記録媒体中への使用が知られている。当分野の特許の最近の例としては、米国特許第6,057,075号明細書、同第6,197,472号明細書、同第6,576,396号明細書、同第6,197,464号明細書、同第6,207,334号明細書、同第6,238,833号明細書、同第6,376,143号明細書、同第6,465,142号明細書、および同第6,489,072号明細書が挙げられる。
【0008】
バインダー樹脂と場合により併用される光情報記録媒体中の赤外線吸収性材料としては、アルコキシ置換フタロシアニン化合物も使用されている。例えば、米国特許第4,769,307号明細書、同第5,296,162号明細書、同第5,409,634号明細書、同第5,358,833号明細書、同第5,446,142号明細書、同第5,646,273号明細書、同第5,750,229号明細書、同第5,594,128号明細書、同第5,663,326号明細書;および同第6,726,755号明細書;ならびに欧州特許出願公開第0 373 643号明細書を参照されたい。
【0009】
フタロシアニン化合物などの有機赤外線吸収性材料を含む種々のソーラーコントロール装置も周知である。例えば、Avecia Corp.(Wilmington,DE)は、ガラス、プラスチック、およびフィルムコーティングなどのグレージング材料中に組み込むための赤外線吸収剤としての袖手類のフタロシアニン化合物を販売している。フタロシアニンを含有するガラス積層体中間層組成物の例は、米国特許第5,830,568号明細書、同第6,315,848号明細書、同第6,329,061号明細書;および同第6,579,608号明細書;米国特許出願公開第2004/0241458号明細書;および国際公開第2002/070254号パンフレットを参照されたい。
【0010】
赤外線吸収性ナフタロシアニン材料は、バインダー樹脂を含む場合がある光情報記録媒体中への使用も一般に開示されている。例えば、米国特許第4,492,750号明細書、同第4,529,688号明細書、同第4,769,307号明細書、同第4,886,721号明細書、同第5,021,563号明細書、同第4,927,735号明細書、同第4,960,538号明細書、同第5,282,894号明細書、同第5,446,142号明細書、同第5,484,685号明細書、同第6,197,851号明細書、同第6,210,848号明細書、同第6,641,965号明細書、同第5,039,600号明細書。および同第5,229,859号明細書を参照されたい。ポリビニルブチラールを含む場合があるバインダー樹脂中に分散されるある種のナフタロシアニン材料が、当技術分野において知られている。例えば、米国特許第4,766,054号明細書には、ある種のナフタロシアニン染料を含む光記録媒体が記載されている。
【0011】
クアテリレン顔料および染料などのリレン(rylene)顔料および染料も当技術分野において周知である。例えば、米国特許第5,405,962号明細書、同第5,986,099号明細書、同第6,124,458号明細書、同第6,486,319号明細書、同第6,890,377号明細書、および同第6,878,825号明細書;ならびに米国特許出願公開第2004/0049030号明細書および同第2004/0068114号明細書を参照されたい。さらに、クアテリレン染料は、可塑化ポリ(ビニルブチラール)ガラス積層体に混入されている。例えば、米国特許第6,737,159号明細書を参照されたい。
【0012】
しかしながら、フタロシアニン型、ナフタロシアニン型およびリレン型赤外線吸収剤は、色が濃いため、比較的不十分なソーラーコントロール剤であることが多い。言い換えると、多くのフタロシアニンおよびナフタロシアニンは、可視波長の吸収量がかなり多い。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
したがって、赤外線エネルギーの透過を低減し、可視光および高周波の透過がより十分となる新規なソーラーコントロール積層体の提供が依然として望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、赤外線吸収性のフタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物、またはリレン化合物と、エチレン酸コポリマーまたはエチレン酸コポリマーのアイオノマーとを含む、ソーラーコントロール組成物を提供する。
【0015】
本発明は、赤外線吸収性のフタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物、またはリレン化合物と、エチレン酸コポリマーまたはエチレン酸コポリマーのアイオノマーとを含む、ソーラーコントロール積層体をさらに提供する。
【0016】
本発明は、エチレン酸コポリマーまたはエチレン酸コポリマーのアイオノマーと、赤外線吸収性のフタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物、またはリレン化合物の濃縮物とから構成されるソーラーコントロール層を含むソーラーコントロール積層体であって、シミュレーション方法Aを使用して積層体をシミュレートした場合に、可視光透過率のシミュレーション値Tvis-simおよび太陽光透過率のシミュレーション値Tsol-simが、フタロシアニン化合物の場合0.45<Tvis-sim<0.80およびTsol-sim<(0.450(Tvis-sim)+0.22)、ナフタロシアニン化合物の場合0.65<Tvis-sim<0.75およびTsol-sim<(0.472(Tvis-sim)−0.150)、リレン化合物の場合0.65<Tvis-sim<0.75およびTsol-sim<(1.719(Tvis-sim)−0.801)となるような、層厚さ、太陽光透過率、および可視光透過率を有する、ソーラーコントロール積層体をさらに提供する。
【0017】
外部窓を有する構造体の内部への赤外線の透過を低減する方法をさらに提供する。この方法は、本発明のソーラーコントロール積層体を作成するステップと、このソーラーコントロール積層体を構造体の外部窓中に挿入するステップとを含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
特殊な場合に限定されることを除けば、本明細書における定義は、本明細書全体で使用される用語に適用される。
【0019】
本明細書において使用される場合、用語「ソーラーコントロール」は、太陽によって放射されるあらゆる波長の放射線の強度を低下させることを意味する。好ましくは、本発明において、赤外または近赤外波長の強度は低下し、可視波長波長の強度は実質的に変化しない。これらの条件下で、熱の透過が低減し、同時に視覚的透明性は維持され、着色物体の外観は実質的に歪むことはない。
【0020】
本明細書において使用される場合、用語「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸またはメタクリル酸、あるいはアクリル酸とメタクリル酸との混合物を意味する。本明細書において使用される場合、用語「(メタ)アクリレート」は、アクリル酸またはメタクリル酸、あるいはアクリル酸とメタクリル酸との混合物の塩またはエステルを意味する。
【0021】
本明細書において使用される場合、用語「有限量」および「有限値」は0を超える量または値を意味する。
【0022】
本明細書において使用される場合、用語「約」は、量、大きさ、処方、パラメータ、ならびにその他の量および特性が、厳密ではなく、厳密である必要もなく、許容範囲、換算率、丸め、測定誤差など、および当業者に周知の他の要因を反映させて、所望の通りに近似したり、および/または増減させたりすることができることを意味する。一般に、量、大きさ、処方、パラメータ、あるいはその他の量または特性は、そのように明記されていてもされていなくても、「約」または「およそ」となる。
【0023】
本明細書において単独で使用される場合、用語「または」は包含的であり、より具体的には、語句「AまたはB」は「A、B、またはAとBとの両方」を意味する。本明細書において排他的な「または」は、例えば「AまたはBのいずれか」および「AまたはBの一方」などの用語で表される。
【0024】
本明細書において材料、方法、または機械が用語「当業者に周知」、あるいは同義の単語または語句とともに記載される場合、その用語は、本出願の出願時に従来技術である材料、方法、および機械が本明細書の説明に含まれていることを意味する。現在のところ従来技術ではないが、類似の目的で好適であると当技術分野において認識されるようになるであろう材料、方法、および機械も含まれている。
【0025】
特定の場合に限定されない限り、本明細書において使用されるすべてのパーセント値、部、比率などは、重量を基準としている。
【0026】
最後に、特に明記しない限り、本明細書に記載される範囲は、その範囲の端点を含んでいる。さらに、量、濃度、あるいはその他の値またはパラメータが、ある範囲、1つ以上の好ましい範囲、または上位の好ましい値と下位の好ましい値との一覧として与えられる場合、このことを、あらゆる上限値または上位の好ましい値とあらゆる下限値または下位の好ましい値とのあらゆる組から形成されるすべての範囲を、このような組が別々に開示されているかどうかとは無関係に、明確に開示しているものとして理解すべきである。
【0027】
一態様において、本発明は、赤外線吸収性のフタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物、またはリレン化合物と、エチレン酸コポリマーまたはエチレン酸コポリマーのアイオノマーとを含むソーラーコントロール組成物を提供する。
【0028】
本明細書において使用される場合、用語「フタロシアニン化合物」は、フタロシアニンおよびそのイオン、金属フタロシアニン、フタロシアニン誘導体、およびそれらのイオン、ならびに金属化フタロシアニン誘導体を意味する。本明細書において使用される場合、用語「フタロシアニン誘導体」は、フタロシアニン核を有するあらゆる化合物を意味する。言い換えると、フタロシアニン誘導体としては、テトラベンゾ[b,g,l,q]−5,10,15,20−テトラアザポルフィリン部分を含む分子であって、フタロシアニン部分の1位、2位、3位、4位、8位、9位、10位、11位、15位、16位、17位、18位、22位、23位、24位、または25位の炭素原子に結合した周辺水素原子のいずれかの代わりに、任意の数の周辺置換基を有するあらゆる分子が挙げられる。2つ以上の周辺置換基が存在する場合、それらの周辺置換基は同種であっても異種であってもよい。
【0029】
本明細書において使用される場合、用語「ナフタロシアニン化合物」は、ナフタロシアニンおよびそのイオン、金属ナフタロシアニン、ナフタロシアニン誘導体およびそれらのイオン、ならびに金属化ナフタロシアニン誘導体を意味する。本明細書において使用される場合、用語「ナフタロシアニン誘導体」は、ナフタロシアニン核を有するあらゆる化合物を意味する。言い換えると、ナフタロシアニン誘導体としては、テトラナフタロ[b,g,l,q]−5,10,15,20−テトラアザポルフィリン部分を含む分子であって、ナフタロシアニン部分の炭素原子に結合した周辺水素原子のいずれかの代わりに、任意の数の周辺置換基を有するあらゆる分子が挙げられる。2つ以上の周辺置換基が存在する場合、それらの周辺置換基は同種であっても異種であってもよい。
【0030】
本発明において使用される場合、用語「リレン化合物」は、リレン類、ならびにそれらの塩および誘導体を意味する。本明細書において使用される場合、用語「リレン誘導体」は、リレン核を有するあらゆる化合物を意味する。言い換えると、リレン誘導体としては、多環式芳香族炭化水素(PAH)部分を含む分子であって、リレンの周辺水素原子のいずれかの代わりに、任意の数の周辺置換基を有するあらゆる分子が上げられる。2つ以上の周辺置換基が存在する場合、それらは同種であっても異種であってもよい。
【0031】
本発明における使用に好適なフタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物、およびリレン化合物としては、赤外線吸収性のあらゆるフタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物、またはリレン化合物が挙げられる。一部の好適なフタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物、およびリレン化合物は染料として機能することができ、すなわち、それらはソーラーコントロール組成物に対して可溶性となることができる。あるいは、他のものは顔料として機能することができ、すなわち、それらはソーラーコントロール組成物に対して不溶性となることができる。
【0032】
好適なフタロシアニン化合物およびナフタロシアニン化合物は金属化することができ、例えば、ナトリウム、カリウム、およびリチウムなどの一価金属;銅、亜鉛、鉄、コバルト、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、白金、マンガン、スズ、バナジウム、およびカルシウムなどの二価金属;あるいは三価金属、四価金属、またはさらに高い価数を有する金属を使用して金属化することができる。
【0033】
一般に、二価金属を含有するものを除けば、あらゆる金属化フタロシアニン化合物またはナフタロシアニン化合物の電荷は、金属イオンに対して軸方向に配位する場合が多い適切な電荷の陽イオンまたは陰イオンによってバランスがとられる。好適なイオンの例としては、ハロゲン陰イオン、金属イオン、水酸化物陰イオン、酸化物陰イオン(O2-)、アルコキシド陰イオンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。好ましい金属フタロシアニン化合物および金属ナフタロシアニン化合物としては、例えば、DAl3+Cl-、DAl3+Br-、DIn3+Cl-、DIn3+Br-、DIn3+-、DSi4+(Cl-2、DSi4+(Br-2、DSi4+(F-2、DSn4+(Cl-2、DSn4+(Br-2、DSn4+(F-2、DGe4+(Cl-2、DGe4+(Br-2、DGe4+(F-2、DSi4+(OH-2、DSn4+(OH-2、DGe4+(OH-2、DV4+2-、およびDTi4+2-が挙げられ、式中の「D」は、フタロシアニンまたはナフタロシアニンの二価陰イオン、あるいは周辺が置換されたフタロシアニンまたはナフタロシアニンの二価陰イオンを意味する。好ましくは、フタロシアニン化合物の場合、この金属は、銅(II)、ニッケル(II)、あるいは銅(II)とニッケル(II)との混合物を含む。好ましくは、ナフタロシアニン化合物の場合、この金属は、銅(II)、ニッケル(II)、ケイ素(IV)、あるいは銅(II)、ニッケル(II)、およびケイ素(IV)の2種類以上の混合物を含む。
【0034】
最も好ましくは、本発明のフタロシアニン化合物およびナフタロシアニン化合物は金属化されていない。
【0035】
フタロシアニン誘導体およびナフタロシアニン誘導体が好ましい。好ましくは、フタロシアニン誘導体の場合、4つの周辺ベンゾ環のそれぞれの1つの水素原子が、対称または非対称に置換されている。また、好ましくは、フタロシアニン誘導体は、1位、4位、8位、11位、15位、18位、22位、および25位で置換されていてもよく、あるいは16の周辺炭素位置すべてで置換されていてもよい。好ましくは、ナフタロシアニン誘導体の場合、4つの周辺ナフタロ環のそれぞれの1つまたは2つの水素原子が、対称または非対称に置換されている。また、好ましくは、ナフタロシアニン誘導体は、24の周辺炭素位置すべてで置換されていてもよい。
【0036】
フタロシアニン誘導体またはナフタロシアニン誘導体の好適な置換基としては、ハロゲン、アルキル基、アルコキシアルキル基、アルコキシル基、アリールオキシ基、ならびに部分ハロゲン化または過ハロゲン化アルキル基が挙げられる。上記アルキル置換基は、線状であっても分岐していてもよい。好ましいアルキル置換基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ネオペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1,2−ジメチルプロピル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、1,3−ジメチルブチル基、1−イソプロピルプロピル基、1,2−ジメチルブチル基、n−ヘプチル基、1,4−ジメチルペンチル基、2−メチル−1−イソプロピルプロピル基、1−エチル−3−メチルブチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、3−メチル−1−イソプロピルブチル基、2−メチル−1−イソプロピルブチル基、1−t−ブチル−2−メチルプロピル基、n−ノニル基、およびそれらの混合物が挙げられる。アルコキシアルキル置換基の具体例としては、メトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基、プロポキシエチル基、ブトキシエチル基、メトキシエトキシエチル基、エトキシエトキシエチル基、ジメトキシメチル基、ジエトキシメチル基、ジメトキシエチル基、ジエトキシエチル基、およびそれらの混合物が挙げられる。部分ハロゲン化または過ハロゲン化アルキル置換基の具体例としては、クロロメチル基、2,2,2−トリクロロメチル基、トリフルオロメチル基、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロピル基、およびそれらの混合物が挙げられる。アリールオキシ置換基の具体例としては、フェノキシ、4−tert−ブチルフェニルオキシ基、4−クミルフェノキシ基、ナフチルオキシ基、およびそれらの混合物が挙げられる。
【0037】
より好ましくは、本発明のフタロシアニン化合物またはナフタロシアニン化合物は、アルコキシ置換フタロシアニンまたはアルコキシ置換ナフタロシアニンを含む。四置換および八置換アルコキシフタロシアニン化合物または四置換および八置換アルコキシナフタロシアニン化合物が好ましい。好ましいアルコキシル基の例としては、メトキシル、エトキシル、n−プロポキシル、イソプロポキシル、n−ブトキシル、イソブトキシル、sec−ブトキシル、tert−ブトキシル、n−ペントキシル、イソペントキシル、ネオペントキシル、1,2−ジメチルプロポキシル、n−ヘキシルオキシル、イソヘキシルオキシル、ネオヘキシルオキシル、シクロヘキシルオキシル、ヘプチルオキシル、1,3−ジメチルブトキシル、1−イソプロピルプロポキシル、1,2−ジメチルブトキシル、1,4−ジメチルペントキシル、2−メチル−1−イソプロピルプロポキシル、1−エチル−3−メチルブトキシル、2−エチルヘキソキシル、3−メチル−1−イソプロピルブトキシル、2−メチル−1−イソプロピルブトキシル、1−t−ブチル−2−メチルプロポキシル、n−オクチルオキシル、n−ノニルオキシル、n−デシルオキシル、およびそれらの混合物が挙げられる。ブトキシル基が好ましい。
【0038】
好ましいフタロシアニン化合物の具体例としては、アルミニウム1,4,8,11,15,18,22,25−オクタブトキシ−29H,31H−フタロシアニントリエチルシロキシド;銅(II)1,4,8,11,15,18,22,25−オクタブトキシ−29H,31H−フタロシアニン;ニッケル(II)1,4,8,11,15,18,22,25−オクタブトキシ−29H,31H−フタロシアニン;1,4,8,11,15,18,22,25−オクタブトキシ−29H,31H−フタロシアニン;亜鉛1,4,8,11,15,18,22,25−オクタブトキシ−29H,31H−フタロシアニン;銅(II)2,3,9,10,16,17,23,24−オクタキス(オクチルオキシ)−29H,31H−フタロシアニン;2,3,9,10,16,17,23,24−オクタキス(オクチルオキシ)−29H,31H−フタロシアニン;ケイ素2,3,9,10,16,17,23,24−オクタキス(オクチルオキシ)−29H,31H−フタロシアニンジヒドロキシド;亜鉛2,3,9,10,16,17,23,24−オクタキス(オクチルオキシ)−29H,31H−フタロシアニン;およびそれらの混合物が挙げられる。
【0039】
さらにより好ましくは、本発明のフタロシアニン化合物は、n−ブトキシル置換フタロシアニン化合物を含む。この場合も、四置換および八置換アルコキシフタロシアニン化合物が好ましい。好ましいブトキシルフタロシアニン化合物の具体例としては、アルミニウム1,4,8,11,15,18,22,25−オクタブトキシ−29H,31H−フタロシアニントリエチルシロキシド;銅(II)1,4,8,11,15,18,22,25−オクタブトキシ−29H,31H−フタロシアニン;ニッケル(II)1,4,8,11,15,18,22,25−オクタブトキシ−29H,31H−フタロシアニン;1,4,8,11,15,18,22,25−オクタブトキシ−29H,31H−フタロシアニン;亜鉛1,4,8,11,15,18,22,25−オクタブトキシ−29H,31H−フタロシアニン;およびそれらの混合物が挙げられる。
【0040】
好ましいナフタロシアニン化合物の具体例としては、例えば、アルミニウム5,9,14,18,23,27,32,36−オクタブトキシ−2,3−ナフタロシアニントリエチルシロキシド、銅(II)5,9,14,18,23,27,32,36−オクタブトキシ−2,3−ナフタロシアニン、ニッケル(II)5,9,14,18,23,27,32,36−オクタブトキシ−2,3−ナフタロシアニン、5,9,14,18,23,27,32,36−オクタブトキシ−2,3−ナフタロシアニン、亜鉛5,9,14,18,23,27,32,36−オクタブトキシ−2,3−ナフタロシアニン、およびそれらの混合物が挙げられる。
【0041】
好適なリレン化合物は、米国特許第5,405,962号明細書、同第5,986,099号明細書、同第6,124,458号明細書、同第6,486,319号明細書、同第6,737,159号明細書、同第6,878,825号明細書、および同第6,890,377号明細書、ならびにおよび米国特許出願公開第2004/0049030号明細書および同第2004/0068114号明細書に記載されている。
【0042】
好ましいリレン化合物は、置換されておらず、最大16個の置換基を有する。好ましい置換基としては、ハロゲン、アルキル基、アルコキシアルキル基、アルコキシド基、アリールオキシ基、アリールチオ基、ヘタリールオキシ基、ヘタリールチオ基などが挙げられる。アルキル基は分岐している場合もあるし、分岐していない場合もある。置換基は、非置換である場合もあるし、置換基の任意の数の水素原子がハロゲンなどで置換されている場合もある。本発明内で使用できる好適な周辺置換基の具体例は、前述の参考文献に記載されている。
【0043】
より好ましくは、リレン化合物はクアテリレン部分を含む。さらにより好ましくは、リレン化合物は、周辺が置換されたクアテリレン化合物である。リレン化合物のLumogen(商標)IR 765およびLumogen(商標)IR 788は本発明における使用に好適であり、BASF Corporation(Florham Park,NJ)より市販されている。
【0044】
あるいは、好ましいフタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物、およびリレン化合物は、光学的性質の望ましいバランスを示すことによって実験的に同定することもできる。フタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物、またはリレン化合物を含有するフィルム、あるいはそのようなフィルムを含む積層体について、透過スペクトルが求められる。所与のフィルムの透過スペクトルを処理したもの、または所与の積層体の測定透過スペクトルを、後述のシミュレーションプログラムに使用することで、太陽スペクトル中のすべての光の透過率である太陽光透過率(Tsol-sim)、および、処理された透過スペクトルを有する樹脂中間層を含有するシミュレートされるガラス/エチレン酸コポリマーまたはエチレン酸コポリマーのアイオノマー/ガラス積層体に対する人間の肉眼の感度で重み付けした可視光スペクトルにおける光の透過率である可視光透過率(Tvis-sim)が計算される。Tvis-sim、ならびにガラスとエチレン酸コポリマーまたはエチレン酸コポリマーのアイオノマーとのパラメータを使用して、エチレン酸コポリマーまたはエチレン酸コポリマーのアイオノマー中の好ましいフタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物、またはリレン化合物の濃度が計算され、例えば、好ましいフタロシアニン化合物の場合0.45<Tvis-sim<0.80およびTsol-sim<(0.450(Tvis-sim)+0.22)となり、好ましいナフタロシアニン化合物の場合0.65<Tvis-sim<0.75およびTsol-sim<(0.472(Tvis-sim)−0.150)となり、好ましいリレン化合物の場合0.65<Tvis-sim<0.75およびTsol-sim<(1.719(Tvis-sim)−0.801)となる。同じ条件下で、より好ましいフタロシアニン化合物では、Tsol-sim<(0.708(Tvis-sim)+0.003)となり、さらにより好ましいフタロシアニン化合物ではTsol-sim<(0.941(Tvis-sim)−0.193)となる。より好ましいリレン化合物では、Tsol-sim<(1.952(Tvis-sim)−1.008)となり、さらにより好ましいリレン化合物ではTsol-sim<(2.083(Tvis-sim)−1.125)となる。
【0045】
別の分析によって、好ましいフタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物、またはリレン化合物を規定することもできる。例えば、本発明のフタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物、またはリレン化合物、ならびにその計算濃度は、所望するあらゆる可視光透過率が得られるように調整することができる。より具体的には、自動車のフロントガラス用途では、一般に0.75以上の可視光透過率が必要となる。しかし、建築用積層体では、0.50以下などのはるかに低い可視光透過率を有することができる。
【0046】
本発明のソーラーコントロール組成物が、赤外線カットオフフィルターとしての使用が意図されている場合、ソーラーコントロール組成物の全重量を基準として、フタロシアニン化合物の量は、約0.01〜約80重量%の範囲、好ましくは約0.01〜約10重量%の範囲、より好ましくは約0.01〜約5重量%の範囲とすることができ、ナフタロシアニン化合物の量は、約0.01〜約50重量パーセントの範囲;好ましくは約0.01〜約10重量パーセントの範囲;より好ましくは約0.01〜約5重量パーセントの範囲とすることができ、リレン化合物の量は約0.01〜約80重量パーセントの範囲;好ましくは約0.01〜約10重量パーセントの範囲;より好ましくは約0.01〜約5重量パーセントの範囲とすることができる。本発明のソーラーコントロール組成物が、濃縮物としての使用が意図されている場合、ソーラーコントロール組成物の全重量を基準として、フタロシアニン化合物の量は、約30〜約80重量%の範囲、好ましくは約30〜約50重量%の範囲、より好ましくは約35〜約45重量%の範囲とすることができ、ナフタロシアニン化合物の量は、約30〜約50重量パーセントの範囲;より好ましくは約35〜約45重量パーセントの範囲とすることができ、リレン化合物の量は、約30〜約80重量パーセントの範囲;好ましくは約30〜約50重量パーセントの範囲;より好ましくは約35〜約45重量パーセントの範囲とすることができる。
【0047】
本発明のソーラーコントロール組成物および本発明のソーラーコントロール積層体はエチレン酸コポリマーを含む。好適なエチレン酸コポリマーは、約20,000psi(138MPa)〜約100,000psi(690MPa)の間の弾性率を有する。好ましくは、この弾性率は、約25,000psi(173MPa)〜約90,000psi(621MPa)の間であり、より好ましくは約30,000psi(207MPa)〜約80,000psi(207MPa)の間である。
【0048】
好適なエチレン酸コポリマーは、ポリマーの全重量を基準として、約0.1重量パーセント〜約30重量パーセントの1種類以上の共重合した酸コモノマー、好ましくは約10重量パーセント〜約25重量パーセントの共重合した酸コモノマー、より好ましくは約15重量パーセント〜約25重量パーセントの共重合した酸コモノマーを含む。エチレン酸コポリマー中の共重合した酸コモノマーの量は、ガラスへのコポリマーの接着に影響を与える。
【0049】
好ましい酸コモノマーとしては、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、およびモノメチルマレイン酸が挙げられる。より好ましくは、酸コモノマーは(メタ)アクリル酸である。
【0050】
共重合したエチレン酸コポリマーの酸性基は、好ましくは、1種類以上の金属陽イオンで少なくとも部分的に中和してアイオノマーを形成する。本明細書において使用され、文脈上異なる意味で限定されるのでなければ、用語「エチレン酸コポリマー」は、遊離酸形態、完全に中和した形態、または部分的に中和した形態のエチレン酸コポリマーを意味する。
【0051】
この金属陽イオンは、一価、二価、三価、またはさらに高い価数であってよい。好ましい一価イオンとしては、ナトリウム、カリウム、リチウム、銀、水銀、および銅のイオンが挙げられる。好ましい二価イオンとしては、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、銅、カドミウム、水銀、スズ、鉛、鉄、コバルト、ニッケル、および亜鉛のイオンが挙げられる。好ましい三価イオンとしては、アルミニウム、スカンジウム、鉄、およびイットリウムのイオンが挙げられる。さらに高い価数の好ましいイオンとしては、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、タンタル、タングステン、クロム、セリウム、および鉄のイオンが挙げられる。好ましくは、金属陽イオンが四価以上である場合には、米国特許第3,404,134号明細書に記載されるように、ステアレート基、オレエート基、サリチレート基、およびフェノレート基などの錯化剤が含まれる。ナトリウム、リチウム、マグネシウム、亜鉛、アルミニウム、ならびにそれら2種類以上の組み合わせのイオンがより好ましい。ナトリウムイオン、亜鉛イオン、およびナトリウムイオンと亜鉛イオンとの混合物がさらにより好ましい。一般に、ナトリウムイオンは、高い光学的透明度に関連し、亜鉛イオンは、高い耐湿性に関連する。好ましくは、エチレン酸コポリマー中の酸性基の約0〜約100パーセント、より好ましくは約10〜約100パーセント、さらにより好ましくは約20〜約80パーセントが中和されている。
【0052】
本発明のエチレン酸コポリマーは、他の共重合したコモノマーを場合により含むことができる。好ましい共重合したコモノマーとしては、アルキル基が、最大約20個の炭素を含む分岐部分または非分岐部分である(メタ)アクリル酸アルキルが挙げられる。このアルキル基は非置換であってもよいし、1つ以上のヒドロキシル基で置換されていてもよい。好ましいアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−アクリル酸ブチル、tert−ブチル、オクチル、ウンデシル、オクタデシル、ドデシル、2−エチルヘキシル、イソボルニル、ラウリル、2−ヒドロキシアクリル酸エチル、および2−ヒドロキシエチルが挙げられる。他の好ましい共重合したコモノマーとしては、(メタ)アクリル酸グリシジル、ポリ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール)ベヘニルエーテル(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール)4−ノニルフェニルエーテル(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール)フェニルエーテル(メタ)アクリレート、マレイン酸ジアルキル(C1〜C4アルキル)、フマル酸ジアルキル(C1〜C4アルキル)、フマル酸ジメンチル(dimenthyl fumarate)、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、およびそれらの混合物が挙げられる。より好ましい共重合したコモノマーとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸グリシジル、酢酸ビニル、およびそれらの2種類以上の混合物が挙げられるが、それらに限定されるものではない。
【0053】
エチレン酸コポリマーが20,000psi(138Mpa)を超える弾性率を維持する場合、他の共重合したコモノマーは、エチレン酸コポリマーの全重量を基準として、最大約50重量パーセント、より好ましくは最大約25重量パーセント、さらにより好ましくは最大約10重量パーセントの有限量で存在することができる。
【0054】
本発明において使用すると好適なエチレン酸コポリマーは、例えば、米国特許第3,404,134号明細書、同第5,028,674号明細書、同第6,500,888号明細書、および同第6,518,365号明細書に記載されるように重合および中和を行うことができる。再生エチレン酸コポリマーを、未使用材料とともに、または未使用材料の代わりに使用することもできる。
【0055】
本発明のソーラーコントロール組成物は、1種類以上の可塑剤を含むこともできる。分散剤、界面活性剤、キレート剤、カップリング剤、UV吸収剤、ヒンダードアミン光安定剤(HALS)、加工助剤、流動促進剤、潤滑剤、顔料、染料、難燃剤、衝撃改質剤、結晶化度を増加させるための核剤、シリカなどのブロッキング防止剤、熱安定剤、UV安定剤、接着剤、プライマー、架橋剤、硬化剤、pH調整剤、消泡剤、無機赤外線吸収剤、有機赤外線吸収剤、および湿潤剤。これらの添加剤の好適な量、およびポリマー組成物にこれらの添加剤を混入する方法は、当業者が利用可能である。例えば、”Modern Plastics Encyclopedia”,McGraw−Hill,New York,NY 1995を参照されたい。
【0056】
本発明のソーラーコントロール組成物の製造方法は、エチレン酸コポリマーを、フタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物、またはリレン化合物、ならびに場合により他の成分と組み合わせるステップと、組み合わせた成分を混合するステップとを含む。
【0057】
好ましくは、本発明のフタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物、またはリレン化合物は、エチレン酸コポリマー中に分散される。分散は、入手した状態のフタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物、またはリレン化合物を一次粒子まで解凝集させる方法であって、これはあらゆる好適な手段によって行うことができる。フタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物、またはリレン化合物を含有する物品のヘイズ測定などによって示される透明度は、フタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物、またはリレン化合物が十分に解凝集されない場合には低下する。
【0058】
好ましくは、上記分散方法は、高剪断溶融混合法であり、これによって、溶融したエチレン酸コポリマーを、フタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物、またはリレン化合物、ならびに存在する場合には組成物のあらゆる任意選択成分と組み合わせられる。好適な高剪断混合装置は、スタティックミキサー、ラバーミル、Brabenderミキサー、Bussニーダー、一軸スクリュー押出機、二軸スクリュー押出機、ならびに加熱または非加熱の二本ロールミルである。
【0059】
厳密な加工条件は、エチレン酸コポリマーの物理的性質に依存するが、フタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物、またはリレン化合物の量および種類、ならびにエチレン酸コポリマー中に組み込まれる任意選択の他の成分にも依存する。当業者であれば、適切な加工条件および装置を決定することができる。例えば、国際公開第01/00404号パンフレットには、加熱した二本ロールミルを使用してポリマー材料中にナノ粒子を分散させる方法が記載されている。この方法は、エチレン酸コポリマーまたはソーラーコントロール組成物の溶融粘度が高すぎて、スタティックミキサー、ラバーミル、Brabenderミキサー、Bussニーダー、一軸スクリュー押出機、および二軸スクリュー押出機などの他の装置では十分に加工できない場合により好ましい。
【0060】
本発明のソーラーコントロール組成物中のフタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物、またはリレン化合物の量は、解凝集過程の効率に影響する。透明性を最適にするためには、好ましくは粒子は、ほぼナノ粒子である。一般に溶融粘度は、フタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物、またはリレン化合物の量とともに増加する。エチレン酸コポリマー中に含まれるフタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物、またはリレン化合物の量の上限は、選択した分散方法および装置が許容することができる最高溶融粘度によってある程度は決まる。
【0061】
逆に、フタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物、またはリレン化合物の量が少なくて不十分であると、十分に高い溶融粘度が得られない。その結果、剪断応力も低く不十分となり、供給された状態のフタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物、またはリレン化合物は、効率的に一次粒度まで解凝集されない。このため、エチレン酸コポリマーまたはアイオノマー中にフタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物、またはリレン化合物が十分に分散した濃縮物を製造し、さらに続いてニートのエチレン酸コポリマーまたはアイオノマーを濃縮物に加えることが望ましいことがある。このようにして、フタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物、またはリレン化合物の濃度を、太陽放射線の透過の望ましい軽減を得るために必要な量に調整することができる。
【0062】
本発明のエチレン酸コポリマーは、あらゆる混合ステップの前に、乾燥、ならびに粉末化またはペレット化を行うことができる。本発明のエチレン酸コポリマーは、フタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物、またはリレン化合物、ならびに他の任意選択の成分とドライブレンドで混合することができ、これは典型的には「ペレットブレンド」または「粉末ブレンド」と呼ばれ、これらを混合装置に供給することができる。あるいは、本発明のエチレン酸コポリマー、本発明のフタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物、またはリレン化合物、ならびに任意選択の成分は、2つ以上の異なるフィーダから個別に供給することもできる。
【0063】
典型的な押出方法の1つでは、本発明のエチレン酸コポリマー、本発明のフタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物、またはリレン化合物、ならびに任意選択の成分は、押出機の後部または「供給」セクションに供給される。しかし、本発明のエチレン酸コポリマー、本発明のフタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物、またはリレン化合物、ならびに任意選択の成分を、押出機の2つ以上の異なる位置に供給すると好都合となる場合もある。例えば、エチレン酸コポリマーは、押出機の後部セクションに供給することができ、一方、フタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物、またはリレン化合物は、ダイプレート付近の押出機の前部に供給される。押出機温度プロファイルは、加工条件下でエチレン酸コポリマーを溶融可能となることが好ましい。またスクリュー設計は、溶融したエチレン酸コポリマーを、フタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物、またはリレン化合物、ならびに他の任意選択の成分と混合するときに、剪断応力が発生し、それによって熱が発生することが好ましい。好ましくは、エチレン酸コポリマー、あるいはフタロシアニン組成物、ナフタロシアニン組成物、またはリレン組成物の溶融加工温度は、約50℃〜約300℃の範囲内である。
【0064】
本発明の好ましい方法の1つにおいては、比較的多量のフタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物、またはリレン化合物を、比較的少量のマトリックス材料とブレンドすることで、比較的多量のフタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物、またはリレン化合物を有する濃縮物が形成される。この濃縮物を、マトリックス材料と同じ場合も異なる場合もあるエチレン酸コポリマーとブレンドすることで、所望の量の赤外線を効率的に吸収するのに必要な比較的少量のフタロシアニン化合物を有するソーラーコントロール組成物が得られる。濃縮物を形成するための好適であり好ましい加工方法および条件は、ソーラーコントロール組成物の配合方法に関して前述したものとの同じである。ある好ましい方法では、本発明のソーラーコントロール組成物が、製造プロセス中にその場で製造される。例えば、フィルムおよびシートなどの成形品に関して後述する製造プロセス中に、添加剤としてフタロシアニン、ナフタロシアニン、またはリレンの濃縮物を直接加えることができる。
【0065】
フタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物、またはリレン化合物が混入されるマトリックス材料は好ましくはポリマーである。実質的にあらゆるポリマーに対して、マトリックス材料としての有用性を見出すことができる。好ましくは、マトリックス材料は可視光に対して透明である。好ましいポリマーマトリックス材料としては、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン、環状ポリオレフィン、ノルボルネンポリマー、ポリスチレン、シンジオタクチックポリスチレン、スチレン−アクリレートコポリマー、アクリロニトリル−スチレンコポリマー、ポリ(エチレンナフタレート)、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ナイロンなどのポリアミド、ポリ(ウレタン)、アクリル、酢酸セルロース、セルローストリアセテート、塩化ビニルポリマー、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリ(エチレン−コ−酢酸ビニル);エチルアクリルアセテート(ethyl acrylic acetate)(EM);メタクリル酸エチル(EMAC);メタロセン−触媒ポリエチレン;可塑化ポリ(塩化ビニル);ISD樹脂;ポリウレタン;Sekisui Companyなどより市販されている遮音性変性ポリ(塩化ビニル);可塑化ポリ(ビニルブチラール);遮音性変性ポリ(ビニルブチラール);エチレン酸コポリマー;ならびにそれらのコポリマー、およびそれらの組み合わせが挙げられる。マトリックス材料は、未使用材料に加えて、またはその代わりに再生材料を含むことができる。
【0066】
好ましくは、光学的透明性のためには、マトリックス材料は、本発明のエチレン酸コポリマーと同じであるか少なくとも混和性である。しかし、特に高融点のエチレン酸コポリマーと併用する場合に、より低融点のマトリックス材料を使用すると好都合な場合もあることが考慮される。例えば、最終フィルムの透明性は、フィルムの相対的な薄さ、および最終フィルム組成物中の少量のマトリックス材料の影響をあまり受けない。
【0067】
本発明の濃縮物は、ソーラーコントロール組成物中への使用に好適であるとして前述したものなどの1種類以上の任意選択の添加剤を含むことができる。
【0068】
本発明のソーラーコントロール組成物は、約0.0001重量パーセント〜約75重量パーセントのフタロシアニン、ナフタロシアニン、またはリレンの濃縮物と、約99.9999重量パーセント〜約25重量パーセントのエチレン酸コポリマーとを含むことができ;好ましくは、約0.0001重量パーセント〜約40重量パーセントのフタロシアニン、ナフタロシアニン、またはリレンの濃縮物と、約99.9999重量パーセント〜約60重量パーセントのエチレン酸コポリマーとを含むことができ;より好ましくは、約0.0001重量パーセント〜約20重量パーセントのフタロシアニン、ナフタロシアニン、またはリレン濃縮物と、約99.9999重量パーセント〜約80重量パーセントのエチレン酸コポリマーとを含むことができ;およびさらにより好ましくは、約0.0001重量パーセント〜約10重量パーセントのフタロシアニン、ナフタロシアニン、またはリレンの濃縮物と、約99.9999重量パーセント〜約90重量パーセントのエチレン酸コポリマーとを含むことができる。
【0069】
フタロシアニン、ナフタロシアニン、またはリレンの濃縮物からソーラーコントロール組成物を製造する方法は、好ましくは高剪断溶融混合法である。好ましくは、このような方法は、溶融したエチレン酸コポリマー樹脂を、濃縮物、および存在する場合には他の任意選択の成分と高剪断混合することを含む。濃縮物は、あらゆる混合ステップの前に、場合により、乾燥、ならびに粉末化およびペレット化を行うことができる。混合ステップ中、濃縮物は、エチレン酸コポリマーにも好適となるあらゆる方法で取り扱うことができる。
【0070】
好ましくは、マトリックス材料中のフタロシアニン、ナフタロシアニンまたはリレン濃縮物は、後述のフィルムまたはシート形成方法の1つの一部としてエチレン酸コポリマーとブレンドされる。
【0071】
あるいは、本発明のフタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物、またはリレン化合物は、可塑剤または溶媒に、約0.01〜約80重量パーセントの量で加えることもできる。好ましくは、フタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物、またはリレン化合物は、アトリッションミル、サンドミル、ボールミル、振動ミル、ジェットミル、アトマイザー解凝集装置(atomizer deagglomerator)、三本ロールミルなどの装置を使用して方法で解凝集される。これによって得られた懸濁液または分散液は、次に、前述のように、好ましくは高剪断溶融混合法でエチレン酸コポリマーに加えることができる。
【0072】
本発明は、本発明のソーラーコントロール組成物を含む成形品をさらに提供する。本発明の成形品は、好ましくはコーティング、フィルム、多層フィルム、シート、または多層シートである。
【0073】
好ましくは、本発明の成形品はソーラーコントロール層である。このソーラーコントロール層は、コーティング、フィルム、シート、多層フィルム、または多層シートであってよい。フィルムとシートとの違いは厚さであるが、フィルムがシートとなる厚さを定義する工業基準は存在しない。本発明の目的では、フィルムは約10ミル(0.25mm)以下の厚さを有する。好ましくは、フィルムは約0.5ミル(0.012mm)〜約10ミル(0.25mm)の厚さを有する。より好ましくは、フィルムは約1ミル(0.025mm)〜約5ミル(0.13mm)の厚さを有する。自動車用途の場合、フィルムの厚さは、約1ミル(0.025mm)〜約4ミル(0.1mm)の範囲内が好ましくなり得る。本発明の目的では、ポリマーシートは約10ミル(0.25mm)以上の厚さを有する。好ましくは、ポリマーシートは約15ミル(0.38mm)以上の厚さを有する。より好ましくは、シートから製造される積層体の貫入強度の向上に基づき、ポリマーシートは約30ミル(0.75mm)以上の厚さを有する。さらにより好ましくは、シートから製造される積層体の貫入強度のさらなる向上に基づき、ポリマーシートは約50ミル(1.25mm)以上の厚さを有する。現在の環境における多くの最終用途では、さらに厚いポリマーシート中間層が要求される。60ミル(1.50mm)、90ミル(2.25mm)、さらには120ミル(3.00mm)より厚い中間層も、市場で一般的となってきている。これ以上のシートを本発明で使用することもできる。
【0074】
大部分の用途ではほぼ同程度のエネルギー吸収量が望まれ、フィルムはシートよりも薄いため、一般に、本発明のフィルムは、本発明のシートよりも高濃度のフタロシアニン、ナフタロシアニン、またはリレンの粒子を含む。Baerの法則を参照されたい。しかし一般には、フィルム中のフタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物、またはリレン化合物の量は、フィルムの全重量を基準として、約0.001〜約80重量%の範囲、好ましくは約0.01〜約10重量%の範囲、より好ましくは約0.01〜約5重量%の範囲とすることができる。
【0075】
本発明のフィルムおよびシートは、あらゆる好適な方法によって作成することができる。ある好ましい手段については、以下に詳細に説明している。本発明の組成物は、ソーラーコントロール層の製造における中間物として使用することができる。例えば、ソーラーコントロール組成物を濃縮物として樹脂とのペレットブレンドに濃縮物として加えて、ソーラーコントロールシートを形成することができる。本発明のソーラーコントロール層を形成するための本発明の組成物の他の使用は当業者には明らかであろう。
【0076】
薄いフィルムは、例えば、米国特許第4,372,311号明細書に記載されているような浸漬コーティング、米国特許第4,427,614明細書に記載されているような圧縮成形、米国特許第4,880,592明細書に記載されているような溶融押出、米国特許第5,525,281明細書に記載されているようなメルトブロー、またはその他の好適な方法によって形成することができる。ポリマーシートは、押出成形、カレンダー加工、溶液流延、または射出成形などによって形成することができる。当業者であれば、ポリマーの組成、ならびにシートまたはフィルムの形成に使用される方法に基づいて適切なプロセスパラメータを決定することができるであろう。
【0077】
しかし好ましくは、本発明のフィルムは溶液流延または押出成形によって形成され、本発明のソーラーコントロールシートは押出成形によって形成される。フィルムおよびシートなどの長い連続した製品を形成する場合には、押出成形が特に好ましい方法である。
【0078】
押出成形または射出成形などの溶融加工法が使用される場合、本発明のソーラーコントロール組成物の溶融加工温度は、好ましくは約50℃〜約300℃であり、より好ましくは約100℃〜約250℃である。本発明のソーラーコントロール組成物は、一般に優れた熱安定性を特徴とするため、有効溶融粘度を低下させる高温で加工することができる。
【0079】
本発明のシートおよびフィルムは、少なくとも1つの層がフタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物、またはリレン化合物を含む2つ以上の相を有する多層積層体を含む。多層フィルムおよびシート構造は、例えば、同時押出、インフレーションフィルム、浸漬コーティング、溶液コーティング、ブレード、パドル、エアナイフ、印刷、Dahlgren、グラビア印刷、フレキソ印刷、粉末コーティング、吹き付け、または他の技術分野の方法などのあらゆる好適な手段によって形成することができる。個別の層は、熱、接着剤、および/または結合層などによって互いに接合させることができる。好ましくは、多層フィルムは、押出キャスティング法によって製造される。
【0080】
多くのフィルムおよびシート形成方法、特に押出方法は、汎用性を高めるために、さまざまな押出後作業と併用することもできる。このような形成後の作業としては、円形から楕円形への変形、異なる寸法へのフィルムのブロー成形、機械加工、孔開け、延伸または配向、ロール掛け、カレンダー加工、コーティング、エンボス加工、印刷、ビカー軟化点を上昇させるためのEビーム処理などの放射線などが挙げられる。押出後作業と、ポリマー組成物、ポリマー形成方法、ならびにフィルムまたはシートの形成方法との組み合わせは、透明性、収縮、引張強度、破断時伸び、衝撃強度、絶縁耐力および誘電率、引張弾性率、耐薬品性、融点、熱たわみ温度、接着性などの多くの性質に影響を与える。
【0081】
例えば、任意の方法によって形成されたフィルムおよびシートは、任意の好適な方法により形成された後で、機械方向および横方向の一方または両方で延伸することによって、一軸延伸または二軸延伸を行うことができる。
【0082】
好ましくは、接着性を向上させるために、ソーラーコントロール層の片面または両面が処理される。実質的にあらゆる接着剤またはプライマーが、本発明における使用に好適である。接着剤またはプライマーを使用する場合、当業者であれば、ソーラーコントロール層、接着剤、またはプライマーの組成、ならびにコーティング処理に基づいた適切なコーティング厚さおよびプロセスパラメータを決定できるであろう。
【0083】
本発明のソーラーコントロール層は、外部ポリマー層をすりきず、摩耗、および類似の損傷から保護するために、片面または両面の上に紫外線(UV)硬化性樹脂から形成されたハードコート層を有することもできる。あらゆる好適なハードコート配合物を使用することができる。好ましいハードコートの1つが米国特許第4,027,073号明細書に記載されている。
【0084】
本発明のシートおよびフィルムは、平滑な表面を有することができる。しかし好ましくは、積層体中の中間層として使用されるシートは、積層プロセス中に積層体の複数の表面の間から大部分の空気を効率的に除去できるようにするため、少なくとも1つの粗面を有する。
【0085】
本発明のソーラーコントロール層は、フタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物、またはリレン化合物から構成されるコーティングが片面または両面にコーティングされたフィルムまたはシートを含むことができる。このコーティングは、コーティング溶液の適用などによって行うことができる。用語「コーティング溶液」は、1種類以上のポリマー溶液、1種類以上のポリマー前駆体溶液、1種類以上のエマルジョンポリマー、あるいは、1種類以上のポリマー溶液、ポリマー前駆体溶液、またはエマルジョンポリマーの混合物の中に、溶解、分散、または懸濁させたフタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物、またはリレン化合物を含む。
【0086】
コーティング溶液は、バインダーを溶解、部分的に溶解、分散、または懸濁させる1種類以上の溶媒を含むことができる。溶媒または溶媒混合物は、ポリマーの溶解性、結果として得られるコーティング溶液の表面張力、およびコーティング溶液の蒸発速度、使用されるフタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物、またはリレン化合物の極性および表面特性、ならびにあらゆる分散剤および他の添加剤の化学的性質、コーティングの粘度、ならびにコーティングの表面張力とその表面エネルギーのフィルム材料との適合性などの性質を考慮して選択される。溶媒または溶媒混合物は、ポリマーバインダー材料に対して化学的に不活性でもあるべきである。
【0087】
あるいは、溶媒の一部またはすべてを可塑剤で置き換えることもできる。続いて、可塑剤を主成分とするコーティング溶液、懸濁液、または分散液は、溶媒を主成分とするコーティング溶液と同様に処理することができる。
【0088】
コーティングの厚さは、コーティング溶液中の溶媒量にある程度依存し、コーティング溶液中のフタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物、またはリレン化合物の量は、コーティング溶液中のバインダーおよび溶媒の量、ならびにコーティング中に望まれるフタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物、またはリレン化合物の量によって大部分が決定される。
【0089】
コーティング溶液を調製するためには、本発明のフタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物、またはリレン化合物、バインダーポリマー、場合による添加剤、ならびに溶媒を混合することで、フタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物、またはリレン化合物をポリマー溶液全体に均一に分散させる。あるいは、国際公開第01/00404号パンフレットおよび米国特許第5,487,939号明細書などに記載されているように、本発明のポリマー、ならびに本発明のフタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物、またはリレン化合物を互いに混練することによって濃縮物を形成することができ、次にこれを溶媒に加えることができる。コーティング溶液の形成方法とは無関係に、ボールミル粉砕、ロールミル粉砕、サンドグラインダ粉砕、ペイントシェーカ、ニーダー、ディゾルバー、超音波分散機などで粉砕して、フタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物、またはリレン化合物を解凝集させることができる。
【0090】
あるいは、フタロシアニン、ナフタロシアニン、またはリレンを含有するコーティングは、1種類以上の放射線硬化性モノマーおよび/またはオリゴマーを含む化学線硬化性コーティングであってよい。好適な放射線硬化性マトリックス材料は、例えば米国特許第5,504,133号明細書に記載されている。
【0091】
あるいは、フタロシアニン、ナフタロシアニン、またはリレンを含有するコーティングは、米国特許第6,191,884号明細書などに記載される光カチオン硬化性マトリックス材料を含むこともできる。一般に、光カチオン硬化性マトリックス材料は、エポキシド材料および/またはビニルエーテル材料を含む。
【0092】
あるいは、フタロシアニン、ナフタロシアニン、またはリレンを含有するコーティング組成物は、加熱プロセスによって硬化させることもできる。加熱プロセスに基づく効果が望ましい場合、光開始剤の代わりにアゾビスイソブチロニトリルなどの適切なラジカル重合開始剤をコーティング組成物中に混入することが好ましい。好ましい熱硬化性バインダーとしては、例えば、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン変性樹脂、およびそれらの混合物などの熱硬化性樹脂が挙げられる。
【0093】
好ましくは、フタロシアニン、ナフタロシアニン、またはリレンを含有するコーティングのバインダーまたはフィルム形成性材料は有機材料であり、例えばポリマーである。しかし、シロキサンなどの無機材料であってもよい。
【0094】
好ましくは、乾燥または硬化したコーティングの厚さは、10ミル(0.25mm)以下であり、より好ましくは約0.1ミル(0.0025mm)〜約5ミル(0.13mm)の間である。約20ミル(0.50mm)以上の厚さのより厚いコーティングを形成することもできる。
【0095】
本発明のポリマーフィルムまたはシートは、あらゆる好適なコーティング方法によってコーティングすることができる。押出成形が、ポリマーフィルムおよびシートの特に好ましいコーティング方法である。基材上へのコーティングの溶融押出は、例えば、米国特許第5,294,483号明細書、同第5,475,080号明細書、同第5,611,859号明細書、同第5,795,320号明細書、同第6,183,814号明細書、および同第6,197,380号明細書に記載されている。あるいは、ポリマーフィルムまたはシートの上にコーティング溶液を流延し、乾燥させることによってソーラーコントロールフィルムを形成することもできる。一般に溶液流延では、溶融押出よりも安定したコーティング厚さが得られる。
【0096】
あるいは、ポリマーフィルムまたはシートの上にコーティング溶液を流延し、乾燥させることによってソーラーコントロールフィルムを形成することもできる。一般に溶液流延では、溶融押出よりも安定したコーティング厚さが得られる。典型的な方法の1つでは、コーティング溶液を濾過して、ゴミまたは大きな粒子を取り除き、あらかじめ形成された移動するポリマー基材上にスロットダイから流延し、乾燥させ、必要に応じて冷却する。流延直後のコーティング溶液の厚さは、コーティング溶液の溶媒量に依存して、典型的には最終コーティングの5〜10倍の厚さとなる。次にコーティングは、押出コーティングと同様の方法で仕上げを行うことができる。
【0097】
ソーラーコントロール層の好ましい形成方法の1つは転写印刷である。好適な転写印刷方法は、一般に、コート紙またはポリエステルフィルムなどの剥離可能な基材の上にソーラーコントロール組成物をコーティングするステップを含む。乾燥または硬化させた後、そのコーティング、すなわちソーラーコントロール層を、ポリマー基材または剛性シートの表面に接触させた後、その剥離可能な基材から基材上に転写する。必要であれば、剥離可能な基材のコーティングされていない面を加熱して、コーティングの剥離および基材への接着を促進することができる。転写印刷に関する一般的な情報は、欧州特許第0 576 419号明細書に記載されている。
【0098】
本発明は、本発明のソーラーコントロール層を含むソーラーコントロール積層体も提供する。さらに、このソーラーコントロール積層体は、フィルムまたはシートの上にフィルム、シート、またはコーティングであってよい少なくとも1つの追加層を含むことができる。この追加層は、ソーラーコントロール層またはソーラーコントロールフィルムであってよい。追加層がシートである場合、それが剛性または可撓性のシートであってよい。ある好ましい実施形態においては、ソーラーコントロール積層体は、1つ以上の剛性シートと、ソーラーコントロール層と、少なくとも1つの追加層とを含む。フィルムおよびシートは、異なる物理的性質が望ましい場合が多い。例えば、シートには自立性であることが要求される場合があり、フィルムには穿刺または引裂に対してより高い抵抗性が要求される場合がある。したがって、ソーラーコントロール層中としての追加層中、異なる厚さで使用する場合には異なるポリマー樹脂が好ましくなる。
【0099】
追加フィルム層としての使用に好ましいフィルムとしては、延伸および非延伸のポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリウレタンフィルム、およびポリ塩化ビニルフィルムが挙げられる。好ましくは、追加フィルム層は二軸延伸ポリ(エチレンテレフタレート)である。追加シート層としての使用に好ましいシートとしては、ポリビニルブチラール組成物、遮音性ポリビニルアセタール組成物、遮音性ポリビニルブチラール組成物、エチレン酢酸ビニル組成物、熱可塑性ポリウレタン組成物、ポリ塩化ビニルコポリマー組成物、およびエチレン酸コポリマー組成物、ならびにそれらから誘導されるアイオノマーを含むシートが挙げられる。
【0100】
好ましい剛性シートの1つはガラスである。本明細書において使用される場合、用語「ガラス」は、窓ガラス、厚板ガラス、ケイ酸塩ガラス、板ガラス、フロートガラス、色ガラス、ソーラーヒーティングを制御する成分などを含むことができる特殊ガラス、銀などのスパッタ金属がコーティングされたガラス、例えば、アンチモンスズ酸化物(ATO)および/またはインジウムスズ酸化物(ITO)がコーティングされたガラス、Eガラス、Solex(商標)ガラス(PPG Industries(Pittsburgh,PA))、ならびにToroglass(商標)を含んでいる。典型的なガラスの種類の1つは、厚さ90ミルのアニールした板ガラスであり、これは最適な接着を実現するためにガラスのスズ側を中間層の方に向けることが好ましい。あるいは、剛性シートは、例えば、ポリカーボネート、アクリル、ポリアクリレート、環状ポリオレフィン、メタロセン触媒によるポリスチレン、ならびにそれらの混合物または組み合わせなどの剛性ポリマーシートであってよい。好ましくは、剛性シートは可視光に対して透過性である。しかし、ソーラーコントロール積層体において透明性または鮮明性が必要とされない場合には、金属またはセラミックの板を剛性シートとして使用することもできる。
【0101】
追加層は、音響障壁性などのさらなる特性を付与することができるし、有機赤外線吸収剤を含有する機能性コーティングを有することもできる。導電性が欠点とならない用途においては、機能性コーティングがスパッタリングされた金属層であってもよい。
【0102】
好ましいソーラーコントロール積層体は、1つのソーラーコントロール層および1つのポリマーフィルム;1つのソーラーコントロール層および1つのポリマーシート;1つのソーラーコントロール層および2つのポリマーシート;1つのソーラーコントロール層、1つのポリマーフィルム、および1つまたは2つのポリマーシートを含むことができる。
【0103】
本発明の好ましいソーラーコントロール積層体は、以下のような隣接層を含む構造を含む:ポリマーフィルム/ソーラーコントロール層;ポリマーシート/ソーラーコントロール層;剛性シート/ソーラーコントロール層;剛性シート/ポリマーシート/ソーラーコントロール層;第1の剛性シート/ポリマーシート/ソーラーコントロール層/追加ポリマーシート/第2の剛性シート;剛性シート/ポリマーシート/ソーラーコントロール層/追加ポリマーシート/追加フィルム;剛性シート/追加ポリマーシート/追加フィルム/ポリマーシート/ソーラーコントロール層;剛性シート/ポリマーシート/ソーラーコントロール層/第2のポリマーシート/追加フィルム/第3のポリマーシート/第2の剛性シート;および第1の剛性シート/ポリマーシート/ソーラーコントロール層/追加ポリマーシート/第2の剛性シート/第2の追加ポリマーシート/追加フィルム/第3の追加ポリマーシート/第3の剛性シート。上記の各実施形態において、「/」は隣接層を示している。さらに、任意のフィルムまたはシートの第2の層は、そのフィルムまたはシートの第1の層と同じであっても異なっていてもよい。同様に、第3の層も、そのフィルムまたはシートの第1および第2の層と同じであっても異なっていてもよく、以下同様となる。さらに、本発明のある好ましい実施形態においては、隣接層が互いに直接積層され、そのためそれらの層は隣り合っており、より好ましくは境を接している。
【0104】
あらゆる好適な方法を使用して、本発明のソーラーコントロール積層体を製造することができる。ソーラーコントロール積層体中の層の組成によって、ならびに剛性または可撓性のどちらの積層体が望ましいかによって、異なる方法および条件が望ましくなりうることを、当業者は認識している。
【0105】
例えば、ポリマーシートおよびソーラーコントロールフィルムは、ニップロール法において、互いに接合、および/または1つ以上の追加層への接合が可能である。追加層は、本発明のフィルムまたはシートとともに、1つ以上のカレンダーロールニップ中に供給され、その中で2つの層に中程度の圧力が加わり、その結果、弱く接合した積層体が形成される。一般に、接合圧力は、約10psi(0.7kg/cm2)〜約75psi(5.3kg/cm2)の範囲内であり、好ましくは圧力は約25psi(1.8kg/cm2)〜約30psi(2.1kg/cm2)の範囲内である。典型的なライン速度は、分速約5フィート(1.5m)〜約30フィート(9.2m)の範囲内である。このニップロール法は、オーブンまたは加熱したロールなどによって供給される中程度の加熱を使用して行うこともできるし、使用せずに行うこともできる。加熱する場合は、一時的な融着を促進するのに十分な温度、すなわちポリマーシートまたはフィルムの表面が粘着性となるのに十分な温度に、ポリマー表面が達するべきである。本発明の好ましいポリマーフィルムおよびシートに好適な表面温度は、約50℃〜約120℃の範囲内であり、好ましくは表面温度は約65℃である。融着後、積層体を1つ以上の冷却ロール上に通すことで、積層体に十分な強度が得られ、保管のために巻き取った場合に粘着しないようにすることができる。この目的を実現するためには、一般にプロセス水の冷却で十分である。
【0106】
ソーラーコントロール積層体を製造するための別の典型的な手順においては、ポリマーシート/ソーラーコントロールフィルム/ポリマーシート構造を有する中間層などの本発明のソーラーコントロール積層体を含む中間層を、2枚のガラス板の間に配置することで、ガラス/中間層/ガラス予備プレス組立体を形成する。好ましくは、これらのガラス板は、洗浄および乾燥を行ったものである。真空バッグ(例えば米国特許第3,311,517号明細書参照)、真空リング、または約27〜28インチ(689〜711mmHg)の真空を維持することができる別の装置を使用して、予備プレス組立体の層の間から空気を抜き取る。この予備プレス組立体を真空下で封止し、次にオートクレーブに入れて圧力下で加熱する。より好ましくなる順に、オートクレーブ内の温度は約130℃〜約180℃、約120℃〜約160℃、約135℃〜約160℃、または約145℃〜約155℃である。オートクレーブ内の圧力は、好ましくは約200psi(15bar)である。より好ましくなる順に、予備プレス組立体はオートクレーブ内で、約10〜約50分、約20〜約45分、約20〜約40分、または約25〜約35分加熱される。この加熱および加圧のサイクルの後、オートクレーブ内の圧力を維持するための追加のガスを加えることなく、オートクレーブ内の空気を冷却する。約20分の冷却後、過剰の空気圧を放出し、積層体をオートクレーブから取り出す。
【0107】
あるいは、ニップロール法をオートクレーブと組み合わせて使用して、ソーラーコントロール積層体を製造することもできる。このような方法の1つにおいては、ガラス/中間層/ガラス組立体を、オーブン中、約80℃〜約120℃の間、好ましくは約90℃〜約100℃の間で約30分間加熱する。その後、加熱されたガラス/中間層/ガラス組立体を1組のニップロールに通すことで、ガラスと中間層との間の空隙内の空気を排出する。この時点でこの構造体の端部を封止して予備プレス組立体を形成し、これを前述のようにオートクレーブ中で真空下で加工して、ソーラーコントロール積層体を作製することができる。
【0108】
ソーラーコントロール積層体は、オートクレーブを使用しない方法によって製造することもできる。オートクレーブを使用しない好適な方法のいくつかは、米国特許第3,234,062号明細書、同第3,852,136号明細書、同第4,341,576号明細書、同第4,385,951号明細書、同第4,398,979号明細書、同第5,536,347号明細書、同第5,853,516号明細書、同第6,342,116号明細書、同第5,415,909号明細書、米国特許出願公開第2004/0182493号明細書、欧州特許第1 235 683B1号明細書、ならびに国際公開第91/01880号パンフレットおよび国際公開第03/057478A1号パンフレットに記載されている。一般に、オートクレーブを使用しない方法は、予備プレス組立体の加熱と、真空、加圧、またはその両方の使用とを含む。例えば、予備プレス組立体は加熱オーブンおよびニップロールに通すことができる。
【0109】
建築における使用および運搬用車両における使用の場合、好ましいガラス積層体の1つは、2つのガラス層と、両方のガラス層に直接積層された、本発明のソーラーコントロール積層体を含む単一の中間層とを有する。好ましくは、中間層は第2のポリマーシートも含み、各ポリマーシートは一方のガラス層に接触している。これらの用途においては、ガラス積層体は、好ましくは約3mm〜約30mmの全体厚さを有する。中間層は、典型的には約0.38mm〜約4.6mmの厚さを有し、各ガラス層の厚さは通常少なくとも1mmである。ガラス/中間層/ガラス/中間層/ガラスの5層積層体、ガラス/中間層/ガラス/中間層/ガラス/中間層/ガラスの7層積層体、および追加の中間層/ガラスユニットを含む積層体などの多層ソーラーコントロール積層体も好ましい。
【実施例】
【0110】
実施例および比較実験
実施例は、説明のみを目的として提供しており、いかなる方法によっても本発明の範囲の限定を意図するものではない。
【0111】
弾性率
すべての弾性率は、ASTM D 638−03(2003)に準拠して測定される。
【0112】
室温
本明細書において使用される場合、用語「室温」は21℃±5℃の温度を意味する。
【0113】
フタロシアニン化合物の標準溶液
N,N−ジメチルホルムアミド(12.00g±0.02g)とメタノール(4.00g±0.05g)との混合物にフタロシアニン化合物(特に明記しない限りは約2.0mg)を加えた。注記されている場合、この溶液は、メタノールに加えてまたはメタノールの代わりにジクロロメタンを含有した。フタロシアニン化合物が溶解しなくなるまで、上記混合物を室温で撹拌した。固形分が残留した場合には、それらをデカンテーションによって除去した。得られた溶液にポリビニルブチラール(Mowital(商標)B30T、4.00g±0.02g、日本国大阪のKuraray Co.,Ltd.)を加え、ポリビニルブチラールが溶解するまでその溶液を室温で撹拌した。
【0114】
標準安定化溶液
室温において、Tinuvin(商標)571(0.40g、CAS 23328−53−2、Ciba Specialty Chemicals,Basel,Switzerland)、セバシン酸ビス(1−オクチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)(0.40g、CAS 129757−67−1、Ciba Specialty ChemicalsのTinuvin(商標)123)、4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール(0.08g、CAS 140−66−9)、N,N−ジメチルホルムアミド、(120.00g)、およびメタノール(40.00g)を混合することによって、標準安定化溶液を調製した。
【0115】
フタロシアニン(phtalocyanine)含有層、ナフタロシアニン含有層、またはリレン含有層をポリエステルフィルム上に形成するための標準手順
フタロシアニン化合物の標準溶液、あるいはナフタロシアニンまたはリレン化合物の溶液を室温で平衡化させ、未処理の二軸延伸ポリエステルフィルム上に流延した。2つのフィルムの流延を、6インチのGardinerブレードを使用し、第1のフィルムは10ミルのブレード間隙、第2のフィルムは20ミルのブレード間隙で行った。得られた2つのフィルムのドローダウン厚さ(drawdown thickness)をそれぞれ「10ミル」および「20ミル」と記載し、2つのフィルムをそれぞれ「10ミルフィルム」および「20ミルフィルム」と記載する。これら2つの流延フィルムを室温および周囲湿度において終夜乾燥させた後、オーブン中75℃で30分間加熱した後に、ソーラーコントロール特性の試験を行った。注記されている場合、一部のフィルムは、オーブン中での加熱の前または後に、ホットプレート上70℃〜90℃で5または10分間加熱した。
【0116】
標準転写印刷手順
前述の標準手順により作製したコーティング付きポリエステルフィルムのコーティング面を、SentryGlas(登録商標)Plusエチレン/メタクリル酸コポリマーシート(2インチ×2インチ(5.1cm×5.1cm)×厚さ30ミル(0.76mm)、(E.I.du Pont de Nemours & Co.(Wilmington,DE)、以降「DuPont」))の表面に接触させた。あらかじめ100℃に加熱したアイロンを、ポリエステルフィルムのコーティングされていない面上に載せ、手で圧力を加えた。1分後、アイロンを離し、ポリエステル剥離フィルムを剥離して、フタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物、またはリレン化合物を含有する層がコーティングされたSentryGlas(登録商標)Plusシートを得た。
【0117】
積層の標準手順
積層体中のすべての層が同じ大きさに切断され所望する順序に積み重ねられている予備プレス組立体を、真空バッグ中に入れ、90〜100℃で30分間加熱して、予備プレス組立体の層間に含まれるすべての空気を除去する。この予備プレス組立体を、空気オートクレーブ中、200psig(14.3bar)の圧力において135℃で30分間加熱する。次に、追加のガスを加えることなく空気を冷却し、それによってオートクレーブ中の圧力が低下する。20分間の冷却後、空気の温度が約50℃未満になると、過剰の圧力を排気し、積層体をオートクレーブから取り出す。
【0118】
フィルムのソーラーコントロール特性
以下の方法を使用して、シミュレートした積層体に関する太陽光透過率および可視光透過率の値を計算した。Varian Cary 5000 uv/vis/nir分光計を使用して、ポリエチレンテレフタレートフィルム上に支持されたフタロシアニン含有層、ナフタロシアニン含有層またはリレン含有層の透過スペクトルを求めた。この結果得られたスペクトルの1つを処理して、空気との屈折率の不一致による前面および裏面からの反射率を補償し、それによって試料と一致する屈折率を有する2つの材料層の間にフィルムをはさんだ場合に得られるフィルムの透過スペクトルをシミュレートした。次に、補償したスペクトルを中間層材料として、International Glazing Database No.14.0を搭載したLawrence Berkeley National Laboratory’s Opticsソフトウェアパッケージバージョン5.1(Maintenance Pack 2)に入力した。
【0119】
シミュレーション方法A
方法Aでは、(アウトボードライト(outboard lite)からインボードライト(inboard lite)まで)厚さ6mmの一般的な透明ガラス(clear_6.dat)、上記のよう得られた補償された中間層データ、厚さ15ミルのButacite(登録商標)NC010層(15PVB6.dup)、および厚さ3mmの一般的な透明ガラスの3mmのインボードライト(inboard lite)(clear_3.dat)を使用して積層体をシミュレートした。以下の実施例では、スペクトルデータに所与の因数を「乗じた」と記載されている場合、これは、2つ以上のフタロシアニン含有層またはナフタロシアニン含有層を連続して使用してシミュレートした積層体を作製したことを示している。次に、方法W5_NFRC_2003を使用して上記ソフトウェアによって、シミュレートした積層体の透過スペクトルおよび反射スペクトルをシミュレートし、可視光透過率(Tvis-sim)および太陽光透過率(Tsol-sim)を計算する。シミュレートした積層体のスペクトルデータを保存し、続いてLawrence Berkeley National Laboratory’s Window 5.2 Softwareバージョン5.2.12にインポートした。フィルムについて計算したTvis-simおよびTsol-simを表1にまとめている。
【0120】
シミュレーション方法B
シミュレートした積層体が厚さ6mmの一般的な透明ガラス(clear_6.dat)を含まなかったことを除けば、方法Bは方法Aと同じである。フィルムについて計算したTvis-simおよびTsol-simを表1にまとめている。
【0121】
積層体のソーラーコントロール特性
ASTM試験方法E424およびE308、ならびにISO試験方法9050:2003および13837の手順に準拠し、Perkin Elmer Lambda 19分光光度計(PerkinElmer,Inc.,Wellesley,MA)を使用して、スペクトルを求めた。これらの測定値を、すぐ上に記載したように直接使用して、シミュレートした透過率を計算した。積層体について計算したTvis-simおよびTsol-simを表2にまとめている。プラークのTvis-simおよびTsol-simは、この積層体の手順を使用して計算し、表1に記載している。
【0122】
実施例E1
水酸化アルミニウムフタロシアニン(0.0020g、ヒドロキシ(29H,31H−フタロシアニナト)アルミニウム、CAS 18155−23−2、染料含有率約85%)の標準溶液を使用して、コーティング付きポリエステルフィルムを標準手順により作製した。
【0123】
比較実験CE1
ニッケル(II)フタロシアニンテトラスルホン酸四ナトリウム塩(0.0021g、CAS 27835−99−0)の標準溶液を使用して、コーティング付きポリエステルフィルムを標準手順により作製した。
【0124】
実施例E2
水酸化ガリウム(III)フタロシアニン(0.0021g、CAS 63371−84−6、染料含有率約75%)の標準溶液を使用して、コーティング付きポリエステルフィルムを標準手順により作製した。
【0125】
実施例E3
水酸化ガリウム(III)フタロシアニン(0.0080g、CAS 63371−84−6、染料含有率約75%)の標準溶液を使用して、コーティング付きポリエステルフィルムを標準手順により作製した。メタノールの代わりにジクロロメタン(4.00g)を使用し、さらに追加量のジクロロメタン(10.83g)をポリビニルブチラールとともに加えた。
【0126】
実施例E4
亜鉛フタロシアニン(0.0020g、CAS 14320−04−8、染料含有率約97%)の標準溶液を使用して、コーティング付きポリエステルフィルムを標準手順により作製した。10ミルフィルムは、室温で終夜乾燥させた後、ホットプレート上90℃で5分間加熱し、続いてオーブン中75℃で0.50時間加熱した。20ミルフィルムは、オーブン中75℃終夜乾燥させ、続いてホットプレート上80℃で10分間加熱した。
【0127】
比較実験CE2
Mowital(商標)B30Tポリビニルブチラール中のGreen Pigment 7の解凝集させた濃縮物(0.0050g、濃縮物の全重量を基準にして40重量%のGreen Pigment 7)の標準溶液を使用して、コーティング付きポリエステルフィルムを標準手順により作製した。20ミルフィルムは、室温で終夜乾燥させた後、オーブン中75℃で終夜加熱し、続いて80℃で10分間加熱した。
【0128】
比較実験CE3
Mowital(商標)B30Tポリビニルブチラール中のGreen Pigment 7の解凝集させた濃縮物(0.06g、濃縮物の全重量を基準にして40重量%のGreen Pigment 7)の標準溶液を使用して、コーティング付きポリエステルフィルムを標準手順により作製した。しかし、使用したN,N−ジメチルホルムアミド、メタノール、およびMowital(商標)B30Tポリビニルブチラールの量は、それぞれ18.00g、6.00g、および5.9460gであった。フタロシアニン溶液をコーティングする前に、ポリエステルフィルムの火炎処理を行った。
【0129】
比較実験CE4
2つのSentryGlas(登録商標)Plusエチレン/メタクリル酸コポリマーシート、および実施例3の20ミルのコーティング付きポリエステルフィルムを、温度72°Fおよび相対湿度23%で終夜コンディショニングした。順番に、アニールした透明フロートガラス板層、第1のコンディショニングしたSentryGlas(登録商標)Plusシート層、コンディショニングした実施例3のコーティング付きフィルム、第2のコンディショニングしたSentryGlas(登録商標)Plusシート層、および第2のアニールした透明フロートガラス板層(各層の寸法は4インチ×4インチ(10.2cm×10.2cm);ガラス層の厚さ2.5mm;SentryGlas(登録商標)Plusシートの厚さ15ミル(0.38mm))からなるガラス/コンディショニングしたSentryGlas(登録商標)Plusシート/コンディショニングしたコーティング付きフィルム/コンディショニングしたSentryGlas(登録商標)Plusシート/ガラス予備プレス組立体を、標準積層手順により積層した。
【0130】
比較実験CE5
Mowital(商標)B30Tポリビニルブチラール中のBlue Pigment 15:4の解凝集させた濃縮物(0.0050g、濃縮物の全重量を基準にして40重量%のBlue Pigment 15:4)の標準溶液を使用して、コーティング付きポリエステルフィルムを標準手順により作製した。この20ミルフィルムも、オーブン中の加熱の後、ホットプレート上80℃で10分間加熱した。
【0131】
比較実験CE6
Mowital(商標)B30Tポリビニルブチラール中のBlue Pigment 15:4の解凝集させた濃縮物(0.061g、濃縮物の全重量を基準にして40重量%のBlue Pigment 15:4)の標準溶液を使用して、コーティング付きポリエステルフィルムを標準手順により作製した。しかし、使用したN,N−ジメチルホルムアミド、メタノール、およびMowital(商標)B30Tポリビニルブチラールの量は、それぞれ18.01g、6.00g、および5.9457gであった。フタロシアニン溶液をコーティングする前に、ポリエステルフィルムの火炎処理を行った。
【0132】
実施例E5
テトラキス(4−クミルフェノキシ)フタロシアニン(0.0080g、CAS 83484−76−8)の標準溶液を使用して、コーティング付きポリエステルフィルムを標準手順により作製した。メタノールの代わりにジクロロメタン(4.02g)を使用した。フタロシアニン溶液をコーティングする前に、ポリエステルフィルムの火炎処理を行った。
【0133】
実施例E6
マンガン(II)フタロシアニン(0.0202g、CAS 14325−24−7)の標準溶液を使用して、コーティング付きポリエステルフィルムを標準手順により作製した。メタノールの代わりにジクロロメタン(4.02g)を使用した。フタロシアニン溶液をコーティングする前に、ポリエステルフィルムの火炎処理を行った。
【0134】
実施例E7
マンガン(II)フタロシアニン(0.0081g、CAS 14325−24−7)の標準溶液を使用して、コーティング付きポリエステルフィルムを標準手順により作製した。メタノールの代わりにジクロロメタン(4.04g)を使用した。
【0135】
実施例E8
塩化マンガン(III)フタロシアニン(0.0080g、CAS 53432−32−9)の標準溶液を使用して、コーティング付きポリエステルフィルムを標準手順により作製した。
【0136】
実施例E9
塩化アルミニウムフタロシアニン(0.0161g、CAS 14154−42−8)の標準溶液を使用して、コーティング付きポリエステルフィルムを標準手順により作製した。
【0137】
実施例E10
塩化アルミニウムフタロシアニン(0.0081g、CAS 14154−42−8)の標準溶液を使用して、コーティング付きポリエステルフィルムを標準手順により作製した。メタノールの代わりにジクロロメタン(4.03g)を使用した。
【0138】
実施例E11
Pro−jet(商標)800 W(0.0081g、Avecia)の標準溶液を使用して、コーティング付きポリエステルフィルムを標準手順により作製した。
【0139】
実施例E12
Pro−jet(商標)800 NP(0.0081g,Avecia)の標準溶液を使用して、コーティング付きポリエステルフィルムを標準手順により作製した。
【0140】
実施例E13
Excolor(商標)IR−10A(0.0080g、日本国大阪のNippon Shokubai Company)の標準溶液を使用して、コーティング付きポリエステルフィルムを標準手順により作製した。
【0141】
実施例E14
Excolor(商標)IR−12(0.0081g、Nippon Shokubai Company)の標準溶液を使用して、コーティング付きポリエステルフィルムを標準手順により作製した。
【0142】
実施例E15
Excolor(商標)IR−14(0.0081g、Nippon Shokubai Company)の標準溶液を使用して、コーティング付きポリエステルフィルムを標準手順により作製した。
【0143】
実施例E16
Excolor(商標)TX−EX−906B(0.0082g、Nippon Shokubai Company)の標準溶液を使用して、コーティング付きポリエステルフィルムを標準手順により作製した。
【0144】
実施例E17
Excolor(商標)TX−EX−910B(0.0080g、Nippon Shokubai Company)の標準溶液を使用して、コーティング付きポリエステルフィルムを標準手順により作製した。
【0145】
実施例E18
OPM−868(0.0081g、日本国東京のToyo Ink Manufacturing Company)の標準溶液を使用して、コーティング付きポリエステルフィルムを標準手順により作製した。
【0146】
実施例E19
OPM−868(0.0160g、Toyo Ink Manufacturing Company)の溶液の調製を、OPM−868を標準安定化溶液のアリコート(16.0893g)に加えることによって行った。OPM−868が溶解した後、ポリビニルブチラール(3.9823g、Mowital(商標)B30T)を加え、ポリビニルブチラールが溶解するまでその混合物を室温で撹拌した。
【0147】
このOPM−868溶液を使用して、コーティング付きポリエステルフィルムを標準手順により作製した。
【0148】
実施例E20
フタロシアニン溶液をコーティングする前に、ポリエステルフィルムを火炎処理したことを除けば、施例E19に記載の手順を使用してコーティング付きポリエステルフィルムを作製した。
【0149】
実施例E21
OPM−249(0.0080g、Toyo Ink Manufacturing Company)の標準溶液を使用して、コーティング付きポリエステルフィルムを標準手順により作製した。
【0150】
実施例E22
OPM−249(0.0161g、Toyo Ink Manufacturing Company)の溶液の調製を、OPM−868を標準安定化溶液のアリコート(16.0900g)に加えることによって行った。OPM−249が溶解した後、ポリビニルブチラール(3.9823g、Mowital(商標)B30T)を加え、ポリビニルブチラールが溶解するまで混合物を室温で撹拌した。
【0151】
このOPM−249溶液を使用して、コーティング付きポリエステルフィルムを標準手順により作製した。
【0152】
実施例E23
フタロシアニン溶液をコーティングする前に、ポリエステルフィルムを火炎処理したことを除けば、実施例E22に記載の手順を使用してコーティング付きポリエステルフィルムを作製した。
【0153】
実施例E24
SentryGlas(登録商標)Plusエチレン/メタクリル酸コポリマーシート、および実施例23の10ミルのコーティング付きポリエステルフィルムを、相対湿度23%および温度72°Fで終夜コンディショニングした。順番に、アニールした透明フロートガラス板層、コンディショニングしたSentryGlas(登録商標)Plusシート層、そのコーティング面がSentryGlas(登録商標)Plusシートと接触しているコンディショニングした実施例23のコーティング付きフィルム、Teflon(登録商標)フィルム、および第2のアニールした透明フロートガラス板層(各層の寸法は3インチ×3インチ(7.6cm×7.6cm);ガラス層の厚さ3mm;SentryGlas(登録商標)Plusシートの厚さ30ミル(75mm))からなるガラス/コンディショニングしたSentryGlas(登録商標)Plusシート/コンディショニングしたコーティング付きフィルム/Teflon(登録商標)フィルム(DuPont)/ガラス予備プレス組立体を、標準積層手順により積層した。Teflon(登録商標)フィルムおよび第2のガラス層を除去して、ガラス/コンディショニングしたSentryGlas(登録商標)Plus/コンディショニングしたコーティング付きポリエステルフィルム積層体を得た。
【0154】
実施例E25
SentryGlas(登録商標)Plusシート、および実施例23の10ミルのコーティング付きポリエステルフィルムを、実施例E24に記載されるようにコンディショニングし、それらを使用し、実施例E24に記載の手順を使用して、緑色ガラス/コンディショニングしたSentryGlas(登録商標)Plus/コンディショニングしたコーティング付きポリエステルフィルム積層体を作製した。第1のアニールした透明フロートガラス板の代わりにSolex(商標)緑色ガラス板を使用したことだけが異なった。
【0155】
実施例E26
YKR−3080(0.0081g、日本国大阪のYamamoto Chemicals,Inc.)の標準溶液を使用して、コーティング付きポリエステルフィルムを標準手順により作製した。
【0156】
実施例E27
YKR−3080(0.0081g、Yamamoto Chemicals)の標準溶液を使用して、コーティング付きポリエステルフィルムを標準手順により作製した。メタノールの代わりにジクロロメタン(4.03g)を使用した。
【0157】
実施例E28
YKR−3020(0.0079g、Yamamoto Chemicals)の標準溶液を使用して、コーティング付きポリエステルフィルムを標準手順により作製した。
【0158】
実施例E29
YKR−3020(0.0081g、Yamamoto Chemicals)の標準溶液を使用して、コーティング付きポリエステルフィルムを標準手順により作製した。メタノールの代わりにジクロロメタン(4.03g)を使用した。
【0159】
実施例E30
1,4,8,11,15,18,22,25−オクタブトキシ−29H,31H−フタロシアニン(0.0060グラム、CAS 116453−73−7)の標準溶液を使用して、コーティング付きポリエステルフィルムを標準手順により作製した。
【0160】
実施例E31
1,4,8,11,15,18,22,25−オクタブトキシ−29H,31H−フタロシアニン(0.0060グラム、CAS 116453−73−7)の標準溶液を使用して、コーティング付きポリエステルフィルムを標準手順により作製した。しかし、使用したN,N−ジメチルホルムアミド、メタノール、およびMowital(商標)B30Tポリビニルブチラールの量は、それぞれ18.01g、6.00gおよび5.9786gであった。フタロシアニン溶液をコーティングする前に、ポリエステルフィルムを火炎処理した。
【0161】
実施例E32
1,4,8,11,15,18,22,25−オクタブトキシ−29H,31H−フタロシアニン(0.0060グラム、CAS 116453−73−7)の溶液の調製を、上記フタロシアニン化合物を標準安定化溶液のアリコート(16.0888g)に加えることにより行った。フタロシアニン化合物が溶解した後、ポリビニルブチラール(3.9036g、Mowital(商標)B30T)を加え、ポリビニルブチラールが溶解するまで混合物を室温で撹拌した。
【0162】
このフタロシアニン溶液を使用して、コーティング付きポリエステルフィルムを標準手順により作製した。
【0163】
実施例E33
1,4,8,11,15,18,22,25−オクタブトキシ−29H,31H−フタロシアニン(0.0090グラム、CAS 116453−73−7)の溶液の調製を、上記フタロシアニン化合物を標準安定化溶液のアリコート(24.1328g)に加えることにより行った。フタロシアニン化合物が溶解した後、ポリビニルブチラール(5.8557g、Mowital(商標)B30T)を加え、ポリビニルブチラールが溶解するまで混合物を室温で撹拌した。
【0164】
このフタロシアニン溶液を使用して、コーティング付きポリエステルフィルムを標準手順により作製した。フタロシアニン溶液をコーティングする前に、ポリエステルフィルムを火炎処理した。
【0165】
実施例E34
SentryGlas(登録商標)Plusシート、Butacite(登録商標)ポリビニルブチラールシート(DuPont)および実施例E33のコーティング付き20ミルポリエステルフィルムを、温度72°Fおよび相対湿度23%で終夜コンディショニングした。順番に、アニールした透明フロートガラス板層、コンディショニングしたButacite(登録商標)シート層、コンディショニングした実施例E33のコーティング付きポリエステルフィルム、コンディショニングしたSentryGlas(登録商標)Plusシート層、および第2のアニールした透明フロートガラス板層(各層の寸法は2インチ×4インチ(5.6cm×10.2cm);ガラス層の厚さ2.5mm;Butacite(登録商標)シートおよびSentryGlas(登録商標)Plusシートの厚さ15ミル(0.38mm))からなるガラス/コンディショニングしたButacite(登録商標)シート/コンディショニングしたコーティング付きポリエステルフィルム/コンディショニングしたSentryGlas(登録商標)Plusシート/ガラス予備プレス組立体を、標準積層手順により積層した。
【0166】
実施例E35
銅(II)1,4,8,11,15,18,22,25−オクタブトキシ−29H,31H−フタロシアニン(0.0080グラム、CAS 107227−88−3)の標準溶液を使用して、コーティング付きポリエステルフィルムを標準手順により作製した。
【0167】
実施例E36
銅(II)1,4,8,11,15,18,22,25−オクタブトキシ−29H,31H−フタロシアニン(0.0080グラム、CAS 107227−88−3)の溶液の調製を、上記フタロシアニン化合物を標準安定化溶液のアリコート(16.0878g)に加えることによって行った。フタロシアニン化合物が溶解した後、ポリビニルブチラール(3.9877g、Mowital(商標)B30T)を加え、ポリビニルブチラールが溶解するまで混合物を室温で撹拌した。
【0168】
このフタロシアニン溶液を使用して、コーティング付きポリエステルフィルムを標準手順により作製した。
【0169】
実施例E37
銅(II)1,4,8,11,15,18,22,25−オクタブトキシ−29H,31H−フタロシアニン(0.0020g、CAS 107227−88−3)の標準溶液を使用して、コーティング付きポリエステルフィルムを標準手順により作製した。
【0170】
実施例E38
銅(II)1,4,8,11,15,18,22,25−オクタブトキシ−29H,31H−フタロシアニン(0.0020g、CAS 107227−88−3)の標準溶液を使用して、コーティング付きポリエステルフィルムを標準手順により作製した。しかし、使用したN,N−ジメチルホルムアミド、メタノール、およびMowital(商標)B30Tポリビニルブチラールの量は、それぞれ18.01g、6.00g、および5.9780gであった。フタロシアニン溶液をコーティングする前に、ポリエステルフィルムを火炎処理した。
【0171】
実施例E39
2つのSentryGlas(登録商標)Plusシート、および実施例E38のコーティング付き20ミルフィルムを、温度72°Fおよび相対湿度23%で終夜コンディショニングした。順番に、アニールした透明フロートガラス板層、第1のコンディショニングしたSentryGlas(登録商標)Plusシート層、コンディショニングした実施例E38のコーティング付きポリエステルフィルム、第2のコンディショニングしたSentryGlas(登録商標)Plusシート層、および第2のアニールした透明フロートガラス板層(各層の寸法は4インチ×4インチ(10.2cm×10.2cm));ガラス層の厚さ2.5mm;SentryGlas(登録商標)Plusシートの厚さ15ミル(0.38mm))からなるガラス/コンディショニングしたSentryGlas(登録商標)Plusシート/コンディショニングしたコーティング付きポリエステルフィルム/コンディショニングしたSentryGlas(登録商標)Plusシート/ガラス予備プレス組立体を、標準積層手順により積層した。
【0172】
実施例E40
ニッケル(II)1,4,8,11,15,18,22,25−オクタブトキシ−29H,31H−フタロシアニン(0.0020グラム、CAS 155773−71−0)の標準溶液を使用して、コーティング付きポリエステルフィルムを標準手順により作製した。得られたフィルムを室温で終夜乾燥させ、ホットプレート上90℃で10分間加熱し、続いてオーブン中75℃で0.5時間加熱した。
【0173】
実施例E41
ニッケル(II)1,4,8,11,15,18,22,25−オクタブトキシ−29H,31H−フタロシアニン(0.0080グラム、CAS 155773−71−0)の溶液の調製を、上記フタロシアニン化合物を標準安定化溶液のアリコート(16.0090g)に加えることにより行った。フタロシアニン化合物が溶解した後、ポリビニルブチラール(3.9025g、Mowital(商標)B30T)を加え、ポリビニルブチラールが溶解するまで混合物を室温で撹拌した。
【0174】
このフタロシアニン溶液を使用して、コーティング付きポリエステルフィルムを標準手順により作製した。
【0175】
実施例E42
ニッケル(II)1,4,8,11,15,18,22,25−オクタブトキシ−29H,31H−フタロシアニン(0.0020グラム、CAS 155773−71−0)の標準溶液を使用して、コーティング付きポリエステルフィルムを標準手順により作製した。しかし、使用したN,N−ジメチルホルムアミド、メタノール、およびMowital(商標)B30Tポリビニルブチラールの量は、それぞれ18.00g、6.00gおよび5.9785gであった。フタロシアニン溶液をコーティングする前に、ポリエステルフィルムの火炎処理を行った。得られたフィルムを室温で終夜乾燥させ、ホットプレート上90℃で10分間加熱し、続いてオーブン中75℃で0.5時間加熱した。
【0176】
比較実験CE8
SentryGlas(登録商標)Plusシート、および未コーティングのポリ(エチレンテレフタレート)フィルムを、実施例E24に記載されるようにコンディショニングし、それらを使用し、実施例E24に記載の手順を使用して、ガラス/コンディショニングしたSentryGlas(登録商標)Plusシート/コンディショニングした未コーティングのポリエステルフィルム積層体を作製した。
【0177】
実施例E43
SentryGlas(登録商標)Plusシート、および実施例E42のコーティング付きポリエステル20ミルフィルムを、実施例E24に記載されるようにコンディショニングし、それらを使用し、実施例E24に記載の手順を使用して、ガラス/コンディショニングしたSentryGlas(登録商標)Plusシート/コンディショニングしたコーティング付きポリエステルフィルム積層体を作製した。
【0178】
実施例E44
3つのSentryGlas(登録商標)Plusシート、ならびに実施例E33およびE42のコーティング付き10ミルポリエステルフィルムを、温度72°Fおよび相対湿度23%で終夜コンディショニングした。順番に、アニールした透明フロートガラス板層、第1のコンディショニングしたSentryGlas(登録商標)Plusシート層、コンディショニングした実施例E33のコーティング付きポリエステルフィルム、第2のコンディショニングしたSentryGlas(登録商標)Plusシート層、コンディショニングした実施例E42のコーティング付きポリエステルフィルム、第3のコンディショニングしたSentryGlas(登録商標)Plusシート層、および第2のアニールした透明フロートガラス板層(各層の寸法は4インチ×4インチ(10.2cm×10.2cm); ガラス層の厚さ2.5mm;SentryGlas(登録商標)Plusシートの厚さ15ミル(0.38mm))からなるガラス/コンディショニングしたSentryGlas(登録商標)Plusシート/コンディショニングしたコーティング付きポリエステルフィルム/コンディショニングしたSentryGlas(登録商標)Plusシート/コンディショニングしたコーティング付きポリエステルフィルム/コンディショニングしたSentryGlas(登録商標)Plusシート/ガラス予備プレス組立体を、標準積層手順により積層した。
【0179】
比較実験CE9
ポリ(エチレン−コ−メタクリル酸)(50g、19重量%のメタクリル酸、メルトインデックス2.6g/10分)、および銅(II)フタロシアニン(0.01g)を、Brabender Plasti−Corder(商標)PL2000(C. W. Brabender Instruments,Inc.(South Hackensack,NJ))中で混合した。このBrabender Plasti−Corder(商標)PL2000を150℃に予備加熱し、40rpmのスクリュー速度でポリマーを溶融させた。この混合物を150℃で0.5時間混合し、得られた生成物を回収し、冷却し、プレスすることによって、2.5インチ×6インチ(64mm×152mm)の寸法で厚さが1.65mmおよび1.68mmのプラークを作製した。このプレスは、温度150℃および圧力1000psiに設定した。
【0180】
比較実験CE10
順番に、アニールした透明フロートガラス板層、比較実験CE9の厚さ1.65mmのプラーク層、および第2のアニールした透明フロートガラス板層(各層の寸法は2.5インチ×6インチ(6.4cm×15.2cm);ガラス層の厚さ2.5mm)からなるガラス/プラーク/ガラス予備プレス組立体を、標準積層手順により積層した。
【0181】
比較実験CE11
比較実験CE9Aの厚さ1.68mmのプラークを使用し、比較実験CE10に記載の手順を使用して、ガラス/プラーク/ガラス積層体を作製した。
【0182】
実施例E45
ポリ(エチレン−コ−メタクリル酸)(100g、19重量%のメタクリル酸、メルトインデックス2.6g/10分)、および1,4,8,11,15,18,22,25−オクタブトキシ−29H,31H−フタロシアニン(0.01g、CAS 116453−73−7)の混合物を使用し、比較実験CE9の手順によりプラークを作製した。これらのプラークの厚さは1.65mm〜0.84mmの範囲であった。
【0183】
実施例E46
実施例E45の厚さ1.65mmのプラークを使用し、比較実験CE10に記載の手順を使用して、ガラス/プラーク/ガラス積層体を作製した。
【0184】
実施例E47
実施例E45の厚さ1.63mmのプラークを使用し、比較実験CE10に記載の手順を使用して、ガラス/プラーク/ガラス積層体を作製した。
【0185】
実施例E48
実施例E45の厚さ0.94mmのプラークを使用し、比較実験CE10に記載の手順を使用して、ガラス/プラーク/ガラス積層体を作製した。
【0186】
実施例E49
実施例E45の厚さ0.89mmのプラークを使用し、比較実験CE10に記載の手順を使用して、ガラス/プラーク/ガラス積層体を作製した。
【0187】
実施例E50
実施例E45の厚さ0.84mmのプラークを使用し、比較実験CE10に記載の手順を使用して、ガラス/プラーク/ガラス積層体を作製した。
【0188】
実施例E51
実施例E50の積層体を再度作製した。
【0189】
実施例E52
実施例E45の厚さ0.84mmのプラークを使用し、比較実験CE10に記載の手順を使用して、ガラス/プラーク/ガラス積層体を作製した。
【0190】
実施例E53
順番に、Solex(商標)緑色ガラス板層、実施例E45の厚さ0.86mmのプラーク層、二軸延伸ポリ(エチレンテレフタレート)フィルム、Teflon(登録商標)フィルム、およびアニールした透明フロートガラス板層(各層の寸法は2.5インチ×6インチ(6.4cm×15.2cm);緑色ガラス層の厚さ3.1mm;透明ガラス層の厚さ2.5mm)からなる緑色ガラス/プラーク/ポリエステルフィルム/Teflon(登録商標)フィルム/ガラス予備プレス組立体を、標準積層手順により積層した。Teflon(登録商標)フィルムおよび第2のガラス層を除去して、ガラス/プラーク/ポリエステルフィルム積層体を得た。
【0191】
実施例E54
ポリ(エチレン−コ−メタクリル酸)(100g、19重量%のメタクリル酸、メルトインデックス2.6g/10分)、Tinuvin(登録商標)328(0.08g、Ciba Specialty Chemicals)、および1,4,8,11,15,18,22,25−オクタブトキシ−29H,31H−フタロシアニン(0.01g、CAS 116453−73−7)の混合物を使用し、比較実験CE9の手順によりプラークを作製した。Carverメルトプレスを温度130℃に設定したことだけが異なった。得られたプラークの厚さは1.63mm〜0.89mmの範囲であった。
【0192】
実施例E55
実施例54の厚さ0.89mmのプラークを使用し、比較実験CE10に記載の手順を使用して、ガラス/プラーク/ガラス積層体を作製した。
【0193】
実施例E56
実施例E55の積層体を再度作製した。
【0194】
実施例E57
実施例54の厚さ1.68mmのプラークを使用し、比較実験CE10に記載の手順を使用して、ガラス/プラーク/ガラス積層体を作製した。
【0195】
実施例E58
実施例55の積層体を再度作製した。
【0196】
実施例E59
実施例54の厚さ1.55mmのプラークを使用し、比較実験CE10に記載の手順を使用して、ガラス/プラーク/ガラス積層体を作製した。
【0197】
実施例E60
実施例54の厚さ1.63mmのプラークを使用し、比較実験CE10に記載の手順を使用して、ガラス/プラーク/ガラス積層体を作製した。
【0198】
実施例E61
ニッケル(II)1,4,8,11,15,18,22,25−オクタブトキシ−29H,31H−フタロシアニン(0.0120g、CAS 155773−71−0)の標準溶液を使用して、コーティング付きポリエステルフィルムを標準手順により作製した。しかし、使用したN,N−ジメチルホルムアミド、メタノール、およびMowital(商標)B30Tポリビニルブチラールの量は、それぞれ18.00g、6.01g、および5.9841gであった。2つの20ミルのポリエステルフィルムにコーティングした。一方のフィルムは未処理であり、他方はフタロシアニン溶液をコーティングする前に火炎処理した。
【0199】
実施例E62
銅(II)1,4,8,11,15,18,22,25−オクタブトキシ−29H,31H−フタロシアニン(0.0122g、CAS 107227−88−3)の溶液の調製を、上記金属フタロシアニンを標準安定化溶液のアリコート(16.0887g)に加えることにより行った。金属フタロシアニンが溶解した後、ポリビニルブチラール(3.9009g、Mowital(商標)B30T)を加え、ポリビニルブチラールが溶解するまで混合物を室温で撹拌した。
【0200】
この金属フタロシアニン溶液を使用して、コーティング付きポリエステルフィルムを標準手順により作製した。金属フタロシアニン溶液をコーティングする前に、ポリ(アリルアミン)プライマーでポリエステルフィルムをプライマー処理した。
【0201】
実施例E63
ニッケル(II)1,4,8,11,15,18,22,25−オクタブトキシ−29H,31H−フタロシアニン(0.0123g、CAS 155773−71−0)の標準溶液を使用して、コーティング付きポリエステルフィルムを標準手順により作製した。しかし、使用したN,N−ジメチルホルムアミド、メタノール、およびMowital(商標)B30Tポリビニルブチラールの量は、それぞれ18.01g、6.01g、および5.9905gであった。2つの20ミルポリエステルフィルムにコーティングした。一方のフィルムは未処理であり、他方はフタロシアニン溶液をコーティングする前に火炎処理した。フタロシアニン溶液をコーティングする前に、ポリ(アリルアミン)プライマーでポリエステルフィルムをプライマー処理した。
【0202】
実施例E64
2,3−ナフタロシアニン(0.0081グラム、CAS 23627−89−6、染料含有率約95パーセント)の混合物の調製を、上記ナフタロシアニン化合物をジクロロメタン(4.00グラム)に加え、室温で混合することにより行った。N,N−ジメチルホルムアミド(12.00グラム)を混合物に加えた。少量の不溶性物質を除去した。得られた溶液にMowital(商標)B30Tポリビニルブチラール(3.9982グラム)を加え、得られた混合物を、室温で溶液が形成されるまで混合した。
【0203】
このナフタロシアニン溶液を使用して、コーティング付きポリ(エチレンテレフタレート)フィルムを標準手順により作製した。
【0204】
実施例E65
実施例E64のコーティング付き10ミルフィルムを、標準転写印刷手順によりSentryGlas(登録商標)Plusシート上に転写印刷した。
【0205】
転写印刷したSentryGlas(登録商標)PlusシートおよびSentryGlas(登録商標)Plusシートを、温度72°Fおよび相対湿度23%で終夜コンディショニングした。順番に、アニールした透明フロートガラス板層、転写印刷しコンディショニングしたSentryGlas(登録商標)Plusシート層、コンディショニングしたSentryGlas(登録商標)Plusシート層(転写印刷したSentryGlas(登録商標)Plusシートのコーティング面をSentryGlas(登録商標)Plusシートの表面に接触させた)、および第2のアニールした透明フロートガラス板層(各層の寸法は2インチ×2インチ(5.1cm×5.1cm);ガラス層の厚さ2.3mm;SentryGlas(登録商標)Plusシートの厚さ30ミル(0.76mm))からなるガラス/転写印刷しコンディショニングしたSentryGlas(登録商標)Plusシート/コンディショニングしたSentryGlas(登録商標)Plusシート/ガラス予備プレス組立体を、標準積層手順により積層した。
【0206】
実施例E66
2つのSentryGlas(登録商標)Plusシート、および実施例E64で作製したコーティング付き20ミルポリ(エチレンテレフタレート)フィルムを、温度72°Fおよび相対湿度23%で終夜コンディショニングした。順番に、アニールした透明フロートガラス板層、第1のコンディショニングしたSentryGlas(登録商標)Plusシート層、コンディショニングした実施例E64のコーティング付きポリ(エチレンテレフタレート)フィルム、第2のコンディショニングしたSentryGlas(登録商標)Plusシート層および第2のアニールした透明フロートガラス板層(各層の寸法は2インチ×2インチ(5.1cm×5.1cm);ガラス層の厚さ2.3mm;SentryGlas(登録商標)Plusシートの厚さ60ミル(1.52mm))からなるガラス/コンディショニングしたSentryGlas(登録商標)Plusシート/コンディショニングしたコーティング付きポリ(エチレンテレフタレート)フィルム/コンディショニングしたSentryGlas(登録商標)Plusシート/ガラス予備プレス組立体を、標準積層手順により積層した。
【0207】
実施例E67
2,3−ナフタロシアニン(0.0080グラム、CAS 23627−89−6、染料含有率約95パーセント)の混合物の調製を、上記ナフタロシアニン化合物をジクロロメタン(4.02グラム)に加え、室温で混合することにより行った。標準安定化溶液のアリコート(16.0955グラム)を混合物に加えた。少量の不溶性物質を除去した。得られた混合物にMowital(商標)B30Tポリビニルブチラール(3.9287グラム)を加え、得られた混合物を、室温で溶液が形成されるまで混合した。
【0208】
このナフタロシアニン溶液を使用して、コーティング付きポリ(エチレンテレフタレート)を標準手順により作製した。
【0209】
実施例E68
実施例E67のコーティング付き10ミルフィルムを、標準転写印刷手順によりSentryGlas(登録商標)Plusポリビニルブチラールシート上に転写印刷した。転写印刷したSentryGlas(登録商標)Plusシートを、温度72°Fおよび相対湿度23%で終夜コンディショニングした。順番に、アニールした透明フロートガラス板層、転写印刷しコンディショニングしたSentryGlas(登録商標)Plusシート層、および第2のアニールした透明フロートガラス板層(各層の寸法は2インチ×2インチ(5.1cm×5.1cm);ガラス層の厚さ2.3mm;SentryGlas(登録商標)Plusシートの厚さ60ミル(1.52mm)))からなるガラス/転写印刷しコンディショニングしたSentryGlas(登録商標)Plusシート/ガラス予備プレス組立体を、標準積層手順により積層した。
【0210】
実施例E69
SentryGlas(登録商標)Plusシート、および実施例E67のコーティング付き20ミルポリ(エチレンテレフタレート)フィルムを、実施例E24に記載されるようにコンディショニングし、それらを使用し、実施例E24に記載の手順を使用して、ガラス/コンディショニングしたSentryGlas(登録商標)Plusシート/コンディショニングしたコーティング付きポリ(エチレンテレフタレート)フィルム積層体を作製した。各層の寸法が2インチ×2インチ(5.1cm×5.1cm)であり、ガラス層の厚さが2.3mmであり、SentryGlas(登録商標)Plusシートの厚さが60ミル(1.52mm)であったことだけが異なった。
【0211】
実施例E70
ニッケル(II)5,9,14,18,23,27,32,36−オクタブトキシ−2,3−ナフタロシアニン(0.0080グラム、CAS 155773−70−9、染料含有率約98パーセント)の調製を、上記ナフタロシアニン化合物をジクロロメタン(16.00グラム)に加え、室温で混合することによって行った。得られた溶液にMowital(商標)B30Tポリビニルブチラール(3.9929グラム)およびジクロロメタン(5.17グラム)を加えた。フィルム流延の0.50時間前に、溶液に追加量のジクロロメタン(4.15グラム)を加え、得られた溶液を、流延するまで室温で混合した。
【0212】
このナフタロシアニン溶液を使用して、10ミルのコーティング付きポリ(エチレンテレフタレート)フィルムを標準手順により作製した。
【0213】
実施例E71
実施例E70のコーティング付き10ミルのフィルムを、標準転写印刷手順によりSentryGlas(登録商標)Plusポリビニルブチラールシート上に転写印刷した。転写印刷したSentryGlas(登録商標)Plusシート、および未コーティングのポリ(エチレンテレフタレート)フィルムを、実施例E24に記載されるようにコンディショニングし、それらを使用し、実施例E24に記載の手順を使用して、ガラス/転写印刷しコンディショニングしたSentryGlas(登録商標)Plusシート各層の寸法が2インチ×2インチ(5.1cm×5.1cm)であり、ガラス層の厚さが2.3mmであり、SentryGlas(登録商標)Plusシートの厚さが60ミル(1.52mm)であったことだけが異なった。
【0214】
実施例E72
SentryGlas(登録商標)Plusシート、および実施例E70で作製した10ミルのコーティング付きポリ(エチレンテレフタレート)フィルムを、実施例E24に記載されるようにコンディショニングし、それらを使用し、実施例E24に記載の手順を使用して、緑色ガラス/コンディショニングしたButacite(登録商標)/二軸延伸ポリ(エチレンテレフタレート)フィルム積層体を作製した。第1のアニールした透明フロートガラス板Solex(商標)緑色ガラス板を使用し、各層の寸法が2インチ×2インチ(5.1cm×5.1cm)であり、アニールしたフロートガラス層の厚さが2.3mmであり、SentryGlas(登録商標)Plusシートの厚さが60ミル(1.52mm)であったことだけが異なった。
【0215】
実施例E73
ケイ素2,3−ナフタロシアニンビス(トリヘキシルシリルオキシド)(0.0081グラム、CAS 92396−88−8)の混合物の調製を、上記ナフタロシアニン化合物をN,N−ジメチルホルムアミド(12.00グラム)とメタノール(4.00グラム)との混合物に加え、溶解するまで室温で混合することにより行った。少量の不溶性物質を除去した。得られた溶液に、Mowital(商標)B30Tポリビニルブチラール(3.9904グラム)を加え、得られた混合物を、室温で溶液が形成されるまで混合した。
【0216】
このナフタロシアニン化合物溶液を使用して、標準手順により、コーティング付きポリ(エチレンテレフタレート)フィルムを作製した。
【0217】
実施例E74
ケイ素2,3−ナフタロシアニンビス(トリヘキシルシリルオキシド)(0.0080グラム、CAS 92396−88−8)の溶液の調製を、上記ナフタロシアニン化合物をジクロロメタン(4.00グラム)に加え、室温で混合することにより行った。この溶液にN,N−ジメチルホルムアミド(12.01グラム)を加え、室温で混合した。少量の不溶性物質を除去した。得られた溶液にMowital(商標)B30Tポリビニルブチラール(3.9904グラム)を加え、得られた混合物を、室温で溶液が形成されるまで混合した。
【0218】
このナフタロシアニン化合物溶液を使用して、標準手順により、コーティング付きポリ(エチレンテレフタレート)フィルムを作製した。
【0219】
実施例E75
ケイ素2,3−ナフタロシアニンジオクチルオキシド(0.0081グラム、CAS 92941−50−9)の混合物の調製を、上記ナフタロシアニン化合物をN,N−ジメチルホルムアミド(12.01グラム)とメタノール(4.01グラム)との混合物に加え、溶解するまで室温で混合することにより行った。少量の不溶性物質を除去した。得られた溶液Mowital(商標)B30Tポリビニルブチラール(3.9940グラム)を加え、得られた混合物を、室温で溶液が形成されるまで混合した。
【0220】
このナフタロシアニン化合物溶液を使用して、標準手順により、コーティング付きポリ(エチレンテレフタレート)フィルムを作製した。
【0221】
実施例E76
ケイ素2,3−ナフタロシアニンジオクチルオキシド(0.0080グラム、CAS 92941−50−9)の混合物の調製を、上記ナフタロシアニン化合物をジクロロメタン(4.13グラム)に加え、室温で混合することにより行った。この混合物にN,N−ジメチルホルムアミド(12.02グラム)を加え、室温で混合した。少量の不溶性物質を除去した。得られた溶液にMowital(商標)B30Tポリビニルブチラール(3.9976グラム)を加え、得られた混合物を、室温で溶液が形成されるまで混合した。
【0222】
このナフタロシアニン化合物溶液を使用して、標準手順により、コーティング付きポリ(エチレンテレフタレート)フィルムを作製した。
【0223】
実施例E77
Lumogen(登録商標)IR 788(0.0022グラム、BASF Corporation)を、N,N−ジメチルホルムアミド(12.0162グラム)およびメタノール(4.0230グラム)の溶液に加え、Lumogen(登録商標)IR 788が溶解するまで室温で混合することによって、リレン化合物の溶液を調製した。得られた溶液にMowital(商標)B30Tポリビニルブチラール(3.9934グラム)を加え、得られた混合物を、室温で溶液が形成されるまで混合した。
【0224】
このリレン化合物溶液を使用して、標準手順により、コーティング付きポリ(エチレンテレフタレート)フィルムを作製した。
【0225】
実施例E78
Lumogen(登録商標)IR 765(0.0021グラム、BASF Corporation)を16.0898グラムの標準安定化溶液に加え、Lumogen(登録商標)IR 788が溶解するまで室温で混合することによって、リレン化合物の溶液を調製した。得られた溶液にMowital(商標)B30Tポリビニルブチラール(3.9991グラム)を加え、得られた混合物を、室温で溶液が形成されるまで混合した。
【0226】
このリレン化合物溶液を使用して、標準手順により、コーティング付きポリ(エチレンテレフタレート)フィルムを作製した。
【0227】
実施例E79
Lumogen(登録商標)IR 765(0.0011グラム)、およびLumogen(登録商標)IR 788(0.0010グラム)をN,N−ジメチルホルムアミド(12.0042グラム)およびメタノール(4.0266グラム)の溶液に加え、Lumogen(登録商標)IR 765およびLumogen(登録商標)IR 788が溶解するまで室温で混合することによって、リレン化合物の溶液を調製した。得られた溶液にMowital(商標)B30Tポリビニルブチラール(3.9942グラム)を加え、得られた混合物を、室温で溶液が形成されるまで混合した。
【0228】
このリレン化合物溶液を使用して、標準手順により、コーティング付きポリ(エチレンテレフタレート)フィルムを作製した。
【0229】
実施例E80
Lumogen(登録商標)IR 765(0.0021グラム、BASF Corporation)を16.0886グラムの標準安定化溶液に加え、Lumogen(登録商標)IR 788が溶解するまで室温で混合することによって、リレン化合物の溶液を調製した。得られた溶液にMowital(商標)B30Tポリビニルブチラール(3.9939グラム)を加え、得られた混合物を、室温で溶液が形成されるまで混合した。
【0230】
このリレン化合物溶液を使用して、標準手順により、コーティング付きポリ(エチレンテレフタレート)フィルムを作製した。
【0231】
実施例E81
Lumogen(登録商標)IR 765(0.0011グラム)およびLumogen(登録商標)IR 788(0.0012グラム)をN,N−ジメチルホルムアミド(12.0112グラム)およびメタノール(4.0131グラム)の溶液に加え、Lumogen(登録商標)IR 765およびLumogen(登録商標)IR 788が溶解するまで室温で混合することによって、リレン化合物の溶液を調製した。得られた溶液にMowital(商標)B30Tポリビニルブチラール(3.9988グラム)を加え、得られた混合物を、室温で溶液が形成されるまで混合した。
【0232】
このリレン化合物溶液を使用して、標準手順により、コーティング付きポリ(エチレンテレフタレート)フィルムを作製した。
【0233】
実施例E82
Lumogen(登録商標)IR 765(0.0015グラム)、およびLumogen(登録商標)IR 788(0.0013グラム)をN,N−ジメチルホルムアミド(12.0101グラム)およびメタノール(4.0013グラム)の溶液に加え、Lumogen(登録商標)IR 765およびLumogen(登録商標)IR 788が溶解するまで室温で混合することによって、リレン化合物の溶液を調製した。得られた溶液にMowital(商標)B30Tポリビニルブチラール(3.9927グラム)を加え、得られた混合物を、室温で溶液が形成されるまで混合した。
【0234】
このリレン化合物溶液を使用して、標準手順により、コーティング付きポリ(エチレンテレフタレート)フィルムを作製した。
【0235】
表1
フィルムのデータ

【0236】
(表1続き)

【0237】
(表1続き)

*注:記号のない試料番号は、ソーラーコントロール特性をシミュレーション方法Aにより計算したフィルムを示している。記号「(B)」を有する試料番号は、ソーラーコントロール特性をシミュレーション方法Bにより計算したフィルムを意味する。
【0238】
表2
積層体のデータ

*注:「a」は、フィルムドローダウン厚さが10ミルであることを意味し;「b」は、フィルムドローダウン厚さが20ミルであることを意味し、関連性がある場合にはプラーク厚さを括弧内に示している。
【0239】
以上に、本発明の一部の好ましい実施形態を説明し、詳細に例示してきたが、このような実施形態に本発明が限定されることを意図するものではない。特許請求の範囲に記載される本発明の範囲および意図から逸脱せずに種々の変更を行うことができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種類の赤外線吸収性のフタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物、またはリレン化合物と、エチレン酸コポリマーまたはエチレン酸コポリマーのアイオノマーとを含むソーラーコントロール組成物であって、ソーラーコントロール組成物の全重量を基準として、前記少なくとも1種類のフタロシアニン化合物またはリレン化合物の濃度が約0.01〜約80重量%であり、前記少なくとも1種類のナフタロシアニン化合物の濃度が約0.01〜約50重量%である、ソーラーコントロール組成物。
【請求項2】
前記ソーラーコントロール組成物の全重量を基準として、前記少なくとも1種類のフタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物、またはリレン化合物の濃度が約0.01〜約10重量%である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
少なくとも1種類の赤外線吸収性のフタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物、またはリレン化合物と、エチレン酸コポリマーまたはエチレン酸コポリマーのアイオノマーとを含む成形品であって、コーティング、フィルム、多層フィルム、シート、または多層シートの形態である、成形品。
【請求項4】
フタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物、またはリレン化合物と、エチレン酸コポリマーまたはエチレン酸コポリマーのアイオノマーとを含むソーラーコントロール積層体。
【請求項5】
エチレン酸コポリマーまたはエチレン酸コポリマーのアイオノマーと、赤外線吸収性のフタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物、またはリレン化合物の濃縮物とから構成されるソーラーコントロール層を含むソーラーコントロール積層体であって、シミュレーション方法Aを使用して前記積層体をシミュレートした場合に、可視光透過率のシミュレーション値Tvis-simおよび太陽光透過率のシミュレーション値Tsol-simが、フタロシアニン化合物の場合0.45<Tvis-sim<0.80およびTsol-sim<(0.450(Tvis-sim)+0.22)、ナフタロシアニン化合物の場合0.65<Tvis-sim<0.75およびTsol-sim<(0.472(Tvis-sim)−0.150)、リレン化合物の場合0.65<Tvis-sim<0.75およびTsol-sim<(1.719(Tvis-sim)−0.801)となるような、層厚さ、太陽光透過率、および可視光透過率を有する、ソーラーコントロール積層体。
【請求項6】
前記フタロシアニン化合物またはナフタロシアニン化合物が、アルコキシ置換のフタロシアニン化合物またはナフタロシアニン化合物、あるいはブトキシ置換のフタロシアニン化合物またはナフタロシアニン化合物である、請求項5に記載のソーラーコントロール積層体。
【請求項7】
前記リレン化合物が、クアテリレン化合物または置換クアテリレン化合物である、請求項5に記載のソーラーコントロール積層体。
【請求項8】
ポリマーシート/ソーラーコントロール層、剛性シート/ソーラーコントロール層、剛性シート/ポリマーシート/ソーラーコントロール層、第1の剛性シート/ポリマーシート/ソーラーコントロール層/追加ポリマーシート/第2の剛性シート、剛性シート/ポリマーシート/第1のソーラーコントロール層/追加ポリマーシート/追加フィルム、剛性シート/追加ポリマーシート/追加フィルム/ポリマーシート/ソーラーコントロール層、および第1の剛性シート/ポリマーシート/ソーラーコントロール層/追加ポリマーシート/第2の剛性シート/第2の追加ポリマーシート/追加フィルム/第3の追加ポリマーシート/第3の剛性シートからなる群より選択される構造を有し、「/」が隣接層を意味し、前記ソーラーコントロール層がフィルムまたはシートであってよく、フィルムまたはシートの「第2の」層は、そのフィルムまたはシートの第1の層と同種であっても異種であってもよく、「第3の」層は、そのフィルムまたはシートの第1および第2の層と同種であっても異種であってもよい、請求項5に記載のソーラーコントロール積層体。
【請求項9】
外部窓を有する構造体の内部への赤外線の透過を低減する方法であって、
a.請求項8に記載のソーラーコントロール積層体を作成するステップと;
b.前記構造体の前記外部窓に前記ソーラーコントロール積層体を挿入するステップとを含む、方法。
【請求項10】
前記構造物が、建造物または乗り物であり、および前記フタロシアニン化合物またはナフタロシアニン化合物が、アルコキシ置換のフタロシアニン化合物またはナフタロシアニン化合物、あるいはブトキシ置換のフタロシアニン化合物またはナフタロシアニン化合物である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記リレン化合物が、クアテリレン化合物または置換クアテリレン化合物である、請求項9に記載の方法。

【公表番号】特表2009−522416(P2009−522416A)
【公表日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−548778(P2008−548778)
【出願日】平成18年12月29日(2006.12.29)
【国際出願番号】PCT/US2006/049631
【国際公開番号】WO2007/079249
【国際公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】