説明

ソーラー型タイルパネル

【課題】種々の外観面とすることができ、意匠性に富んだソーラー型タイルパネルを提供する。
【解決手段】ソーラー型タイルパネル1は、基板の前面に発電タイル2とノーマルタイル3とを備えている。基板は、最裏側の母板4と、該母板4に対し接着剤5によって貼着された配線基板6とからなる。ノーマルタイル3は、全体として陶磁器質のものである。発電タイル2は、陶磁器質のタイル本体10と、該タイル本体10の前面に設けられた太陽電池11と、1対の端子線12,13と、タイル本体10の4側端面及び太陽電池11の両面を覆う封止材14と、タイル本体10の前面側を覆う透明な強化ガラス製カバープレート15とからなる。黒色の発電タイル2の列と、美麗なノーマルタイル3の列とが交互に現われた外観を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数枚のタイルを基板に貼り付けて一体化させたタイルパネルに係り、特にタイルの一部に太陽電池付きの発電タイルを用いたソーラー型タイルパネルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
タイルパネルは、周知の通り、複数枚のタイルを基板の前面に設けたものである。このタイルパネルのタイルとして、太陽電池を有した発電タイルを用いた発電タイルパネルが特許文献1(特開昭62−185953)に記載されている。特許文献1の発電タイルは、施釉タイルの施釉面に太陽電池層を設け、この太陽電池層を透明保護膜で覆ったものである。特許文献1のタイルパネルは、枡目状型枠に複数枚の発電タイルを嵌め込み、シーリング材を目地部に充填し、その後、コンクリートを流し込んで硬化させることにより製造される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭62−185953
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の発電タイルパネルにあっては、すべてのタイルが発電タイルとなっている。一般に太陽電池は黒色であるため、発電タイルパネルは全体として黒色調となり、美感に乏しいものとなる。
【0005】
本発明は、種々の外観面とすることができ、意匠性に富んだソーラー型タイルパネルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1のソーラー型タイルパネルは、複数枚のタイルが基板の前面に設けられ、目地に目地材が充填されたタイルパネルにおいて、該タイルとして、陶磁器質のノーマルタイルと、タイル本体の前面に太陽電池が設けられた発電タイルとが設けられていることを特徴とするものである。
【0007】
請求項2のソーラー型タイルパネルは、請求項1において、複数枚の発電タイルが一列に配列された発電タイルの列と、非黒色の複数枚のノーマルタイルが一列に配列されたノーマルタイルの列とが設けられていることを特徴とするものである。
【0008】
請求項3のソーラー型タイルパネルは、請求項1又は2において、前記基板は、裏面側の母板と、前面側の配線基板とを有しており、該配線基板の裏面に、太陽電池の正極が接続される導電性正極パターンと、太陽電池の負極が接続される導電性負極パターンとが設けられており、前記発電タイルからは、太陽電池の正極に導通した正極端子線と、太陽電池の負極に導通した負極端子線とが延出しており、各端子線は配線基板に設けられた小孔を通って各パターンに接続されていることを特徴とするものである。
【0009】
請求項4のソーラー型タイルパネルは、請求項3において、1対の正極パターンと負極パターンとに対し、太陽電池と並列にバイパスダイオードが接続されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明のソーラー型タイルパネルにあっては、太陽電池を有した発電タイルと、太陽電池が設けられていないノーマルタイルとが基板前面に設けられているので、ノーマルタイルの意匠を生かして種々の外観面とすることができ、意匠性に優れる。
【0011】
本発明において、複数枚の発電タイルを一列に配列した発電タイルの列と、非黒色の複数枚のノーマルタイルを一列に配列したノーマルタイルの列とを設けることにより、発電タイルが一直線の帯状部を形成したものとなり、黒色帯状部と非黒色帯状部とを有した独得の意匠面となる。また、発電タイルを一列に配列した場合、各発電タイルを直列に接続することが容易となる。
【0012】
配線基板の裏面に正極パターンと負極パターンを設け、基板に設けた小孔に太陽電池の端子線を通して各パターンに接続することにより、太陽電池と各パターンとを容易に接続することができる。この場合、1対の正極パターンと負極パターンとに対し、太陽電池と並列にバイパスダイオードを接続することにより、一部の太陽電池に光が当らなかったり故障が生じたりしたときでも、当該太陽電池に直列に接続された他の太陽電池の発電出力を取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施の形態に係るソーラー型タイルパネルの正面図である。
【図2】図1のソーラー型タイルパネルの配線基板の裏面図である。
【図3】ソーラー型タイルパネルの等価回路図である。
【図4】発電タイルの斜視図である。
【図5】図4のV−V線断面図である。
【図6】図1のVI−VI線拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図1〜6を参照して実施の形態に係るソーラー型タイルパネルについて説明する。
【0015】
このソーラー型タイルパネル1は、基板の前面に複数枚の発電タイル2と複数枚のノーマルタイル3とを備えている。この実施の形態では、ソーラー型タイルパネル1の基板は、図6の通り、最裏側の母板4と、該母板4に対し接着剤5によって貼着された配線基板6とからなる。発電タイル2とノーマルタイル3との間、発電タイル2同士の間及びノーマルタイル3同士の間のすべての目地に目地材が充填されている。
【0016】
この実施の形態では、目地材は基板側の樹脂目地7と、前面側の通常目地8とからなる。樹脂目地7は、枡目枠状であり、予め配線基板6に接着剤によって接着されている。発電タイル2及びノーマルタイル3を該樹脂目地7に嵌合させるようにして配線基板6にタイル用接着剤で接着した後、各タイル同士の間に樹脂混練モルタル等の通常目地8を充填し、硬化させる。
【0017】
ノーマルタイル3は、全体として陶磁器質のものである。前面に施釉が施されていてもよく、施されていなくてもよい。ノーマルタイル3の前面は非黒色となっている。
【0018】
発電タイル2は、図4,5の通り、陶磁器質のタイル本体10と、該タイル本体10の前面に、両面を封止材14でサンドイッチされて設けられた太陽電池11と、一端が太陽電池11に連なり、他端がタイル本体10の側端面を封止材14と挟んで、タイル本体10の後方へ延在した一対の負極端子線12及び正極端子線13と、さらにタイル本体10の4側端面を囲む封止材14と、タイル本体10の前面側を覆う透明な強化ガラス製カバープレート15とからなる。太陽電池11は、タイル本体10の前面の周縁を除いて全域に設けられている。この太陽電池11は黒色の外観を有している。
【0019】
配線基板6の裏面には、図2,3の通り、正極パターン22,24,26,28,31,33,35,37及び負極パターン21,23,25,27,32,34,37が設けられている。
【0020】
パターン21〜28は配線基板6の一半側に配置され、パターン31〜38は配線基板6の他半側に配置されている。パターン21〜28及びパターン31〜38は互いに平行である。パターン21,28,31,38が配線基板6の両端側に位置している。該パターン21,28間及びパターン31,38間にパターン22〜27及びパターン32〜37が配列されている。パターン21,22間、23,24間、25,26間、27,28間、31,32間、33,34間、35,36間、37,38間の間隔はタイル2,3の長辺の長さと略等しくなっている。パターン22〜27及び32〜37は、タイル2,3の短辺同士の間の目地部の裏側に臨むように配列されている。パターン21,31、パターン22,32、パターン23,33、パターン24,34、パターン25,35、パターン26,36、パターン27,37、パターン28,38はそれぞれ一直線上に位置している。正極パターン22、負極パターン23が導通パターン40で導通され、同様に正極パターン24,26,28,37,35,33と負極パターン25,27,38,36,34,32とがそれぞれ導通パターン41,42,43,46,45,44で導通されている。
【0021】
配線基板6の前面側において、正極パターン21,22間に2枚の発電タイル2及び2枚のノーマルタイル3が、各タイル2,3の長手方向がパターン21からパターン22へ向う方向となるように配置されている。なお、この実施の形態では、発電タイル2とノーマルタイル3とが、パターン21,22の延在方向において交互に配置されている。同様に、配線基板6の前面側には、パターン23,24間、25,26間、27,28間、31,32間、33,34間、35,36間、37,38間にも発電タイル2とノーマルタイル3とが2枚ずつ配置されている。
【0022】
発電タイル2は、パターン21から28へ向う方向に、また、パターン31からパターン38に向う方向に各々の長手方向を指向させて一直線状に連なって配列されている。この実施の形態では、4枚の発電タイル2が一直線状の列をなし、4枚のノーマルタイル3が一直線状の列をなしている。そして、発電タイル2の列と、ノーマルタイル3の列とが、タイル2,3の短手方向において交互に配列されている。
【0023】
配線基板6には、図2,6の通り、厚み方向に小孔50が各パターン21〜28,31〜38を貫くように設けられている。この実施の形態では、小孔50は、各パターン21〜28,31〜38に等間隔に4個ずつ設けられている。各小孔50は配線基板6の前面側の各タイル2,3の短辺の中央部に位置している。
【0024】
各タイル2,3は、各々の裏面が接着剤によって配線基板6の前面に接着されている。各発電タイル2の端子線12,13は、図6の通り、小孔50を通って配線基板6の裏側へ通され、正極端子線13は正極パターン22,24,26,28,31,33,35又は37に接続され、負極端子線12は負極パターン21,23,25,27,32,34,36又は38にハンダ51によって接続されている。これにより、図3の通り、1対の正極パターン21と負極パターン22間に2個の太陽電池11が並列に接続され、その他の1対のパターン23,24間、25,26間、27,28間、31,32間、33,34間、35,36間、37,38間にそれぞれ2個の太陽電池11が並列に接続される。また、この実施の形態では、対をなす正極パターンと負極パターンとの間に、太陽電池11と並列にバイパスダイオード60が接続されている。ダイオード60は、正極が正極パターンに接続され、負極が負極パターンに接続されている。このダイオードはツェナーダイオードであってもよい。
【0025】
このように構成されたソーラー型タイルパネル1は、図1の通り、黒色の発電タイル2の列と、非黒色の美麗なノーマルタイル3の列とが交互に現われた外観を有する。このソーラー型タイルパネル1の外観は、発電タイルのみを配列した従来のソーラー型タイルパネルに比べて意匠性に優れており、建物の美観が向上する。特に、この実施の形態では、黒色の発電タイル2の列が一直線状に延在しているので、このソーラー型タイルパネル1を建物壁面に複数枚設置し、左右に隣接するソーラー型タイルパネル1の発電タイルの列を一直線状に揃えることにより、建物壁面に左右に長い黒色発電タイルの列と、それとは別色のノーマルタイルの列とが左右に長く連なり、且つ上下に1段ずつ黒色発電タイルの列とノーマルタイルの列とが現われるという独得の美観が得られる。なお、発電タイルの列及びノーマルタイルの列が縦張り調に上下に連なるように、ソーラー型タイルパネル1を第1図とは90°向きを変えて壁面に施工してもよい。また、列毎に分ける場合だけでなく市松模様などにしてもよい。
【0026】
この実施の形態で用いている配線基板6にあっては、各正極パターン及び負極パターンに4個ずつ小孔50が貫設されている。そのため、第1図以外のパターンとすることができ、例えば、上側2段に発電タイルを配置し、下側2段にノーマルタイルを配置するというタイルパターンを形成することができる。また、いずれか1段のみノーマルタイルとし、他の3段については発電タイルを配置するというパターンも形成可能であり、逆にいずれか1段のみ発電タイルとし、他の3段についてはノーマルタイルを配置するパターンも可能である。
【0027】
なお、このソーラー型タイルパネル1は、太陽電池11を合計8個直列に接続した出力電圧を有する。2個の太陽電池11が並列に設けられているので、出力電力が大きい。また、太陽電池と並列にダイオード60を設けているので、一部の太陽電池が日陰になったり故障した場合であっても、日陰になったか又は故障した太陽電池を迂回して電流が流れるので、ソーラー型タイルパネルの発電出力が安定する。
【0028】
上記実施の形態は本発明の一例であり、本発明は図示以外の態様とされてもよい。例えば1対の正極パターンと負極パターンとの間のタイルの数は4個に限定されるものではない。また、1枚のソーラー型タイルパネルの合計のタイル枚数も図示以外とされてもよいことは明らかである。
【符号の説明】
【0029】
1 ソーラー型タイルパネル
2 発電タイル
3 ノーマルタイル
4 母板
5 接着剤
6 配線基板
7 樹脂目地
8 通常目地
10 タイル本体
11 太陽電池
12,13 端子線
14 封止材
15 カバープレート
21,23,25,27,32,34,36,38 負極パターン
22,24,26,28,31,33,35,37 正極パターン
50 小孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚のタイルが基板の前面に設けられ、目地に目地材が充填されたタイルパネルにおいて、
該タイルとして、陶磁器質のノーマルタイルと、タイル本体の前面に太陽電池が設けられた発電タイルとが設けられていることを特徴とするソーラー型タイルパネル。
【請求項2】
請求項1において、複数枚の発電タイルが一列に配列された発電タイルの列と、非黒色の複数枚のノーマルタイルが一列に配列されたノーマルタイルの列とが設けられていることを特徴とするソーラー型タイルパネル。
【請求項3】
請求項1又は2において、前記基板は、裏面側の母板と、前面側の配線基板とを有しており、
該配線基板の裏面に、太陽電池の正極が接続される導電性正極パターンと、太陽電池の負極が接続される導電性負極パターンとが設けられており、
前記発電タイルからは、太陽電池の正極に導通した正極端子線と、太陽電池の負極に導通した負極端子線とが延出しており、
各端子線は配線基板に設けられた小孔を通って各パターンに接続されていることを特徴とするソーラー型タイルパネル。
【請求項4】
請求項3において、1対の正極パターンと負極パターンとに対し、太陽電池と並列にバイパスダイオードが接続されていることを特徴とするソーラー型タイルパネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−202018(P2012−202018A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−64371(P2011−64371)
【出願日】平成23年3月23日(2011.3.23)
【出願人】(302045705)株式会社LIXIL (949)
【Fターム(参考)】