説明

タイヤシステム

【課題】タイヤの性能劣化を引き起こさずに、タイヤの物理パラメータを精度良くかつ解像度良く計測する。
【解決手段】タイヤの物理パラメータを計測するシステムは、センサレイヤーと回路レイヤーを含む。センサレイヤーは回路レイヤーと通信可能に結合されている。センサレイヤーはタイヤに埋め込まれた第1の薄膜フィルムとして構成され、タイヤの物理パラメータに関する信号を提供する。回路レイヤーはタイヤに埋め込まれた第2の薄膜フィルムとして構成され、センサレイヤーから提供された信号を処理する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物理パラメータを計測するためのセンサに関し、特に、自動車のタイヤに影響を与える物理パラメータを計測するためのタイヤシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両用のタイヤは通常、使用中に内的および外的な力の影響を受ける。タイヤの性能を評価するためには、タイヤの種々の物理パラメータ(温度、応力、圧力等)を計測することが望ましい。既存のシステムは、タイヤに1つまたは複数のセンサを埋め込んで、タイヤの物理パラメータを測定している。これらの既存システムでは、様々な理由により、十分な空間解像度や精度でパラメータ計測を行うことが困難である。
【0003】
第1に、既存システムではセンサはタイヤの接地面だけに埋め込まれる。その結果、パラメータの計測対象はタイヤのトレッドのみに限定される。これらの計測では、タイヤのその他の部分の情報を得ることができない。
【0004】
第2に、既存システムで使用されるセンサの形状では、タイヤ全体にかかる力を正確に計測することができない(すなわち、センサはタイヤの一部の領域にかかる力しか測定することができない)。例えば、センサのサイズが大きいために、タイヤ内の空間の多くを占めてしまう。その結果、タイヤ全体にかかる力を正確に計測できるだけの十分な数のセンサをタイヤに埋め込むことは不可能である。これらのセンサを必要な数だけ埋め込んだとすると、タイヤの性能が劣化してしまい、車両乗員を危険にさらす可能性がある。
【0005】
第3に、既存システムで使用されるセンサは、大量に用いる場合には多くの電力を必要とする。既存システムでは、タイヤ全体についての正確なパラメータ計測を行うために必要な量のセンサに対して電力を供給可能な適切な電源が存在しない。
【0006】
第4に、ごく少数のセンサだけがタイヤ内に埋め込まれるので、ごく少数のパラメータのみしか計測できない。上記のようなセンサの欠点により、これらのシステムにおける計測は、空間解像度および精度が低いものとなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上述のような従来技術の欠点を克服できる、タイヤの物理パラメータ計測システムおよび方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るシステムは、トレッド(接地部)、ショルダー(トレッドの両端部)、およびサイドウォール(側面)の一部にわたって連続的にタイヤの物理パラメータを計測可能なセンサレイヤーを用いるので、特に有効である。一実施形態では、本発明に係るシステムはセンサレイヤーと回路レイヤーを含む。センサレイヤーは回路レイヤーと通信可能に結合される。センサレイヤーは第1の薄膜フィルムとして構成され、タイヤ内に埋め込まれる。一実施形態では、センサレイヤーは、タイヤのトレッド層、トレッド層とベルトの間、ショルダー、サイドウォールの一部のいずれかまたは複数の部位に埋め込まれる。センサレイヤーはタイヤの物理量に関連する信号を供給する。回路レイヤーは第2の薄膜フィルムとして構成され、タイヤ内に埋め込まれる。回路レイヤーはセンサレイヤーの上(逆であっても良い)に重ねて配置され、したがって回路レイヤーとセンサレイヤーの周囲は少なくとも実質的に一致する。回路レイヤーはセンサレイヤーから供給される信号を
処理する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、タイヤの性能劣化を引き起こすことなく、タイヤの物理パラメータを精度良くかつ空間解像度良く計測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1A】本発明の一実施形態におけるタイヤシステムを説明するブロック図。
【図1B】本発明の一実施形態におけるタイヤシステムを説明するブロック図。
【図1C】本発明の一実施形態におけるタイヤシステムを説明するブロック図。
【図1D】本発明の一実施形態におけるタイヤシステムを説明するブロック図。
【図2A】本発明の一実施形態におけるタイヤの、第2のショルダーから第3のショルダーに至るトレッドの一部についての断面図を示す図。
【図2B】本発明の一実施形態におけるタイヤの、第2のショルダーから第3のショルダーに至るトレッドの一部についての断面図を示す図。
【図2C】本発明の一実施形態における、サイドウォール、ショルダー、およびトレッド部についての断面図を示す図。
【図2D】本発明の一実施形態におけるタイヤの、第2のショルダーから第3のショルダーに至るトレッドの一部についての断面図を示す図。
【図3A】本発明の一実施形態におけるセンサレイヤーを示すブロック図。
【図3B】本発明の一実施形態におけるセンサレイヤーを示すブロック図。
【図4A】本発明の一実施形態における回路レイヤーを示すブロック図。
【図4B】本発明の一実施形態における回路レイヤーを示すブロック図。
【図4C】本発明の一実施形態における回路レイヤーを示すブロック図。
【図4D】本発明の一実施形態における回路レイヤーを示すブロック図。
【図5A】本発明の一実施形態におけるセンサレイヤー状に配置された回路レイヤーを示すブロック図。
【図5B】本発明の一実施形態におけるセンサレイヤー状に配置された回路レイヤーを示すブロック図。
【図6A】本発明の一実施形態における、タイヤの物理パラメータに関連する信号を提供する方法を示すフローチャート。
【図6B】本発明の一実施形態における、タイヤの物理パラメータに関連する信号を提供する方法を示すフローチャート。
【図7A】本発明の一実施形態における、タイヤの物理パラメータに関連する信号を処理する方法を示すフローチャート。
【図7B】本発明の一実施形態における、タイヤの物理パラメータに関連する信号を処理する方法を示すフローチャート。
【図7C】本発明の一実施形態における、タイヤの物理パラメータに関連する信号を処理する方法を示すフローチャート。
【図8A】本発明の一実施形態における、タイヤの物理パラメータに関連する信号を提供および処理する方法を示すフローチャート。
【図8B】本発明の一実施形態における、タイヤの物理パラメータに関連する信号を提供および処理する方法を示すフローチャート。
【図8C】本発明の一実施形態における、タイヤの物理パラメータに関連する信号を提供および処理する方法を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0011】
添付の図面は本発明の複数の実施形態を説明するものであり、実施形態の説明と共に、本発明の原理を説明するために用いられる。以下の説明および添付の図面は本発明を説明するための例示であり、本発明を限定するものではない。図面においては、同様の要素に
は同一の参照符号を付してある。
【0012】
タイヤの物理パラメータ計測システムおよび方法について説明する。以下では、本発明を十分に理解できるように多くの詳細が説明される。しかしながら、これは説明のためのものであり、当業者であればこれらの詳細無しにも本発明を実施できることは明らかであろう。いくつかの例では、本発明を明確にするために、構造および装置がブロック図の形式で示される。例えば、一実施形態ではシステム動作および特定のハードウェアと関連づけられて本発明が説明される。しかしながら、本発明は、データおよび命令を受信可能な任意のタイプのコンピュータ装置および、サービスを提供する任意の周辺機器に適用可能である。
【0013】
本明細書における「一実施形態」または「ある実施形態」等という用語は、その実施形態と関連づけて説明される特定の特徴・構造・性質が少なくとも本発明の一つの実施形態に含まれることを意味する。「一実施形態における」等という用語は本明細書内で複数用いられるが、これらは必ずしも同一の実施形態を示すものとは限らない。
【0014】
以下の詳細な説明の一部は、有形(非一時的)なコンピュータ可読記憶媒体に記憶されたデータビットに対する動作のアルゴリズムおよび記号的表現として提供される。これらのアルゴリズム的な説明および表現は、データ処理技術分野の当業者によって、他の当業者に対して自らの成果の本質を最も効果的に説明するために用いられるものである。なお、本明細書において(また一般に)アルゴリズムとは、所望の結果を得るための論理的な手順を意味する。処理のステップは、物理量を物理的に操作するものである。必ずしも必須ではないが、通常は、これらの量は記憶・伝送・結合・比較およびその他の処理が可能な電気的または磁気的信号の形式を取る。通例にしたがって、これらの信号をビット・値・要素・エレメント・シンボル・キャラクタ・項・数値などとして称することが簡便である
【0015】
なお、これらの用語および類似する用語はいずれも、適切な物理量と関連付いているものであり、これら物理量に対する簡易的なラベルに過ぎないということに留意する必要がある。以下の説明から明らかなように、特に断らない限りは、本明細書において「処理」「計算」「コンピュータ計算(処理)」「判断」「表示」等の用語を用いた説明は、コンピュータシステムや類似の電子的計算装置の動作および処理であって、コンピュータシステムのレジスタやメモリ内の物理的(電子的)量を、他のメモリやレジスタまたは同様の情報ストレージや通信装置、表示装置内の物理量として表される他のデータへ操作および変形する動作および処理を意味する。
【0016】
本発明は本明細書で説明される動作を実行する装置にも関する。この装置は要求される目的のための特別に製造されるものであっても良いし、汎用コンピュータを用いて構成しコンピュータ内に格納されるプログラムによって選択的に実行されたり再構成されたりするものであっても良い。このようなコンピュータプログラムは、コンピュータのシステムバスに接続可能な、例えばフラッシュメモリ、フロッピー(登録商標)ディスク・光ディスク・CD−ROM・MOディスクなど任意のタイプのディスク、読み込み専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、EPROM、EEPROM、磁気カード、光学式カード、電子的命令を格納するために適した任意のタイプの媒体などの、有形(非一時的)のコンピュータ可読記憶媒体に記憶される
【0017】
最後に、本明細書において提示されるアルゴリズムおよび表示は特定のコンピュータや他の装置と本来的に関連するものではない。本明細書における説明にしたがってプログラムを有する種々の汎用システムを用いることができるし、また要求された処理ステップを実行するための特定用途の装置を製作することが適した場合もある。これら種々のシステ
ムに要求される構成は、以下の説明において明らかにされる。さらに、 本発明は、任意の特定のプログラミング言語と関連づけられるものではない。本明細書で説明される本発明の内容を実装するために種々のプログラミング言語を利用できることは明らかであろう。
【0018】
<システム概要>
従来の自動車用タイヤなどのタイヤ100の物理パラメータはタイヤの性能に関する情報を提供するものなので、これらのパラメータをモニタリングすることが好ましい。本明細書において説明される実施形態は、タイヤ100の物理パラメータを計測して、タイヤ100全体に作用する力を正確に測定し記憶するためのシステムおよび方法を提供する。
【0019】
図1Aは、本発明の一実施形態におけるタイヤシステム105を示す図である。タイヤシステム105は、タイヤ100に作用する種々の物理パラメータを計測するように構成される。タイヤシステム105によって計測される物理パラメータの例は、遠心力、加速度、内圧、接地圧、温度、サイドウォール・フラックス(屈曲)、応力、歪みなどを含むが、これらに限定される必要はない。図示される実施形態では、タイヤシステム105は、通信装置124およびデータ処理装置126を含む。図1Aにおいては断面図を用いてタイヤ100が示されている。タイヤ100は、無線チャネル122を介して通信装置124と通信可能に結合されており、通信装置124は信号線134を介してデータ処理装置126と通信可能に結合されている。例えば、タイヤ100は無線チャネル122を介して通信装置124に対してタイヤの物理パラメータに関連する信号を伝送し、そして通信装置124は信号線134を介してデータ処理装置126に対してこの信号を中継する。一実施形態では、無線チャネル122は、無線パーソナル・エリア・ネットワーク(PAN)や無線ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)などの無線接続である。信号線134は、PANやLANなどの有線または無線の接続である。当業者であれば、他の実施形態では無線チャネル122および信号線134はPANおよびLANの任意の組合せであって良いことが理解できるであろう。一実施形態では、無線チャネル122および信号線134を介する通信は双方向的である。
【0020】
タイヤ100はU型の壁面を持つ円柱であり、軸(不図示)を中心に回転可能である。例えば、タイヤ100は本発明にしたがって構成された自動車用タイヤである。タイヤ100は、車輪に対する衝撃を緩和させるためおよび車両性能を向上させるために、リム104に取り付けられる。一実施形態では、タイヤ100は加重(質量)を支えながら移動や運搬を容易にしたり、機械的な仕事を実行したりする。タイヤ100のさらなる例は、ソリッドタイヤ、空気タイヤ、セミ空気タイヤ、エアレスタイヤなどを含む。これらの例のいずれにおいても、タイヤ100は本発明にしたがって構成される。
【0021】
図1Aに示される実施例では、タイヤ100は、ワイヤ102、ケーシング106、第1のショルダー108、第2のショルダー109、第3のショルダー119、サイドウォール110、ベルト112,トレッド114、トレッドレイヤー116、センサレイヤー118、回路レイヤー120を含む。
【0022】
ワイヤ102は、環状形状のワイヤであり、カーカスコードとも称される。ワイヤ102は、タイヤ100の第1のショルダー108に配置され、タイヤ100をリム104に接合する。例えば、ワイヤ102はタイヤ100をリム104に保持する鉄製のワイヤである。一実施形態では、ワイヤ102は銅や真鍮などの特殊な合金によって被覆される。
【0023】
ケーシング106はタイヤ100のU型壁面内に埋め込まれるU型の層であり、カーカスとも称される。ケーシング106はワイヤ102を包み、第1のショルダー108、サイドウォール110,第2のショルダー109、トレッド114および第3のショルダー
119を通って、ワイヤ102と対称な第2のワイヤ(不図示)まで延びる。ケーシング106はタイヤ100の枠組みとして機能する。例えば、ケーシング106は、繊維層またはその他の成型可能な材料の層である。一実施形態では、ケーシング106は衝撃を吸収し空気圧および垂直負荷を支持する。
【0024】
第1のショルダー108は、タイヤ100の内側の端部であり、リム104と接触する。第1のショルダー108は、ビードとも称される。第1のショルダー108はワイヤ102の外側に位置する。ケーシング106は、第1のショルダー108を横断している。例えば、第1のショルダー108は、鉄製のワイヤおよび高強度で低柔軟性のゴムによって形成され、タイヤ100をリム104に保持する。一実施形態では、第1のショルダー108は、リム104が回転した時のリム104に対するタイヤ100の移動を除去するように構成される。
【0025】
第2のショルダー109は、アーチ形状をしたトレッド114の外側の端部であり、トレッド114とサイドウォール110の変わり目である。第2のショルダー109は、トレッド114とサイドウォール110の間で、ケーシング106の外側に位置する。例えば、第2のショルダー109は、従来の自動車タイヤに見られる従来のショルダーである。
【0026】
第3のショルダー119は、アーチ形状をしたトレッド114の外側の端部であり、トレッド114と第2のサイドウォール(不図示)の変わり目である。第3のショルダー119は、トレッド114と第2のサイドウォール(不図示)の間で、ケーシング106の外側に位置する。
【0027】
サイドウォール110は、第1のショルダー108と第2のショルダー109の間の、I型形状のタイヤ100の部分である。サイドウォールはケーシング106の外側に位置する。例えば、サイドウォール110は、自動車タイヤで見られる従来のサイドウォールである。サイドウォール110は、走行中の最もたわむ部分であり、一実施形態では、十分な摩耗耐性や環境耐性を提供するように構成される。例えば、サイドウォール110にリブやトレッドが設けられる。一実施形態では、サイドウォール110は繊維層やコードによって補強されて、さらなる強度や柔軟性が付与される。一実施形態ではコードは鉄製である。
【0028】
トレッド114はタイヤ100のU型壁面の底面部であり、路面と接触する部分である。ケーシング106は、トレッド114を横断している。一実施形態では、トレッド114は溝やパターンが設けられたタイヤの外面部であり、タイヤ100に摩擦を与える。例えば、トレッド114は自動車用タイヤに見られる従来のトレッドである。一実施形態では、トレッド114は弾性部材によって形成され、タイヤ100およびタイヤ100によって運搬される加重(例えば自動車)に摩擦を与える。例えば、トレッド114はゴムやゴム混合合成物から作られる。
【0029】
トレッドレイヤー116は、トレッド114の外表面であり、路面と接触する部分である。トレッドレイヤー116は、ケーシング106から外側にある。例えば、トレッドレイヤー116は、自動車用タイヤのコンタクトパッチである。一実施形態では、トレッドレイヤー116は弾性部材によって形成される。例えば、トレッドレイヤー116は、ゴムまたはゴム混合合成物から作られる。
【0030】
ベルト112はタイヤ100のU型壁の底部に埋め込まれるコードレイヤーである。ベルト112はケーシング106の外側に位置する。ベルト112は、トレッドレイヤー116とケーシング106の間に配置される。ベルト112は、タイヤ100が軸(不図示
)中心に回転することから発生する全てまたは一部の力を吸収する。例えば、ベルト112は、衝撃を和らげ、トレッド114がすり減ってケーシング106がタイヤ100の外側に露出することを防止する。一実施形態では、ベルト112は、ゴム製の層、鉄製コードの層、第2のゴム製の層から構成される。
【0031】
センサレイヤー118はタイヤ100内に構成された第1の薄膜フィルムである。1つまたは複数のセンサがこの薄膜フィルム内に埋め込まれる。一実施形態では、第1の薄膜フィルムレイヤー内に構成されるセンサは、1つまたは複数の有機シリコンまたは単結晶シリコンの薄膜トランジスタやダイオードである。一実施形態では、センサレイヤー118はマイクロマシン(MEMS:Micro-Electro-Mechanical Systems)や半導体部品を含む。別の実施形態では、センサレイヤー118は1つまたは複数の有機シリコンまたは単結晶シリコンの薄膜トランジスタやダイオードとともに、MEMSや半導体部品を含む。
【0032】
一実施形態では、センサレイヤー118はナノメートルからマイクロメートルの範囲の厚さを有する。例えば、センサレイヤー118は100ナノメートルから1000マイクロメートルの範囲の厚さを有する。一実施形態では、センサレイヤー118は1ナノメートルから999ナノメートルの範囲のナノメートルオーダーの厚さを有する。別の実施形態では、センサレイヤー118は1マイクロメートルから1000マイクロメートルの範囲のマイクロメートルオーダーの厚さを有する。
【0033】
センサレイヤー118は、回路レイヤー120と通信可能に結合される。一実施形態では、センサレイヤー118と回路レイヤー120の間の通信は双方向的である。例えば、センサレイヤー118はタイヤ100の物理パラメータに関する信号を生成し、回路レイヤー120に送信する。センサレイヤー118は、回路レイヤー120から制御信号を受信する。一実施形態では、制御信号は回路レイヤー120によって生成される。別の実施形態では、センサレイヤー118と回路レイヤー120の間の通信は有線通信であっても無線通信であっても良い。例えば、センサレイヤー118と回路レイヤー120の間の通信はブルートゥースなどのPAN接続やLAN接続である。
【0034】
上述したように、センサレイヤー118は、タイヤ100の物理パラメータを示すデータや情報を含む信号を回路レイヤー120に対して提供するように構成される。本明細書では、以下この信号を「パラメータ信号」と称する。一実施形態では、センサレイヤー118は、センサレイヤー118の1つまたは複数のセンサを用いてパラメータ信号を生成し、そしてこのパラメータ信号を回路レイヤー120に送信する。
【0035】
一実施形態では、センサレイヤー118は、タイヤ全体に影響する物理パラメータを計測できるように、タイヤ100内に配置される。たとえば、多数のセンサレイヤー118がタイヤ100の全周にわたって配置され、タイヤ全体に影響を与える物理パラメータを計測可能とする。あるいは、1つのセンサレイヤー118がタイヤ100の全周にわたって配置されるが、このセンサレイヤー100に多数のセンサが含まれていることにより、タイヤ100の全体に影響する物理パラメータを計測可能としてもよい。別の実施形態では、センサレイヤー118は、タイヤの70%から100%に影響を与える物理パラメータを計測できるように、タイヤ100内に配置される。センサレイヤー118については、図3Aおよび図3Bを用いて後ほど詳しく説明する。
【0036】
回路レイヤー120は、タイヤ100内に構成された第2の薄膜フィルムレイヤーである。回路レイヤー120は、第2の薄膜フィルムレイヤー内に埋め込まれた1つまたは複数の回路を備える。一実施形態では、回路レイヤー120内に構成された1つまたは複数の回路は、1つまたは複数の有機シリコンまたは単結晶シリコンの薄膜トランジスタやダイオードである。一実施形態では、回路レイヤー120は、以下の(1)、(2)のいず
れかまたは両方を含む。(1)1つまたは複数のマイクロマシン(MEMS)、(2)1つまたは複数の半導体部品。別の実施形態では、回路レイヤー120は以下の(1)〜(5)のいずれかまたは複数を含む。(1)1つまたは複数の有機シリコンまたはアモルファス酸化シリコンまたはアモルファスシリコンまたはナノ結晶シリコンの薄膜トランジスタ、(2)1つまたは複数の単結晶薄膜トランジスタ、(3)1つまたは複数のダイオード、(4)1つまたは複数のMEMS、(5)1つまたは複数の半導体部品。
【0037】
回路レイヤー120は、サブナノメートルからマイクロメートルの範囲の厚さを有する。例えば、回路レイヤー120は100ナノメートルから1000マイクロメートルの範囲の厚さを有する。一実施形態では、回路レイヤー120は1ナノメートルから999ナノメートルの範囲のナノメートルオーダーの厚さを有する。別の実施形態では、回路レイヤー120は1マイクロメートルから1000マイクロメートルの範囲のマイクロメートルオーダーの厚さを有する。
【0038】
回路レイヤー120は、センサレイヤー118と通信可能に結合される。例えば、回路レイヤー120は、センサレイヤー118からパラメータ信号を受信する。回路レイヤー120は、無線チャネル122を介して通信装置124とも通信可能に結合される。例えば、回路レイヤー120は、センサレイヤー118から受信したパラメータ信号を処理し、対応する出力信号を生成して、無線チャネル122を介して通信装置124に出力信号を送信する。一実施形態では、無線チャネル122は無線PANやLAN接続などの無線接続である。回路レイヤー120については、図4A〜図4Dを参照して後ほど詳しく説明する。
【0039】
図1Aに示される実施形態では、センサレイヤー118はトレッドレイヤー116内に埋め込まれ、回路レイヤー120はベルト112とトレッドレイヤー116の間に埋め込まれる。他の実施形態では、センサレイヤー118と回路レイヤー120は、第2のショルダー109やサイドウォール110やトレッド114などタイヤ100の異なる部分に埋め込まれる、これらの実施形態については、図1A〜図1Dおよび図2B〜図2Dを参照して後ほど詳しく説明する。
【0040】
上述した実施形態によると、既存システムでは提供不可能な多くの有益な利点を提供できる。第一に、センサレイヤー118と回路レイヤー120は薄膜として構成されているので、センサレイヤー118や回路レイヤー120として、数百から数千のセンサおよび回路をタイヤ100に埋め込むことができる。また、これにより測定性能を劣化させることもない。例えば、タイヤ100に埋め込まれるセンサレイヤー118は、100個から100万個のセンサを含み、タイヤ100に埋め込まれる回路レイヤー120は100個から100万個のトランジスタを含む。
【0041】
一実施形態では、センサレイヤー118および回路レイヤー120は、トレッド114、第2のショルダー109,サイドウォール110のいずれかまたは複数の箇所に関する様々なパラメータを連続的に測定可能なように構成される。図1Aの実施形態では、1つのみのセンサレイヤー118および回路レイヤー120が描かれているが、当業者であれば複数のセンサレイヤー118および回路レイヤー120がタイヤに埋め込まれることを認識できるだろう。例えば、センサレイヤー118は、成膜、積層、印刷などの一連の処理によって製作され、そしてタイヤ100内に埋め込まれる。センサレイヤー118は、エラストマ層、印刷電極、ポリフッ化ビニリデン−三フッ化エチレン(PVDE−TrFE)層、センサ箔、スペーサ箔、および基板などから構成される。一実施形態では、センサレイヤー118は、有線接続や無線接続を介して、回路レイヤー120と通信可能に結合される。例えば、センサレイヤー118および回路レイヤー120のそれぞれは、アンテナ(例えば、図3Aおよび図3Bの要素316や、図4A〜図4Dの要素404)を有
し、各センサレイヤー118が無線通信チャネル(図3Aおよび図3Bに示される信号線303などの無線チャネル)を介して回路レイヤー120と通信可能に構成される。一実施形態では、アンテナはマイクロスパイラルアンテナである。別の実施形態では、センサレイヤー118および回路レイヤー120はそれぞれ送受信機(図3Aおよび図3Bの要素314や、図4A〜図4Dの要素402)を有し、送受信機を使って互いに通信可能に構成される。当業者であれば、センサレイヤー118と回路レイヤー120の間の通信プロトコルを確立して以下で説明される技術を実装可能なことを理解できるであろう。
【0042】
通信装置124はある装置から別の装置へ信号を中継可能な装置である。例えば、通信装置124は信号の送信と受信に同じ回路を用いる送受信機である。一実施形態では、通信装置124はタイヤ100からパラメータ信号を受信し、データ処理装置126にパラメータ信号を中継する。一実施形態では、通信装置124は、有線あるいは無線接続を介して、タイヤ100やデータ処理装置126と通信する。一実施形態では、タイヤ100とデータ処理装置126の間で複数のパラメータ信号を中継するために、複数の通信装置124がシステム105内で利用される。別の実施形態では、通信装置124はデータ処理装置126を備える。例えば、通信装置124は、タイヤ100と通信するデータ処理装置126のインタフェースである。
【0043】
一実施形態では、通信装置124は、タイヤ100に隣接した固定位置に配置される。例えば、通信装置124は、車輪あるいはその近くに配置される。別の実施形態では、通信装置124は車両に搭載される。例えば、通信装置124は自動車内部に配置される。
【0044】
データ処理装置126はデータを処理可能な装置である。例えば、データ処理装置126は、汎用コンピュータ、電子制御ユニット、車載診断ユニット、マイクロプロセッサ、その他のデータ処理可能な公知なプロセッサベースの電子装置のいずれかである。例示的な実施形態では、データ処理装置126は、プロセッサ128、メモリ130、記憶装置132を含む。一実施形態では、プロセッサ128、メモリ130、および記憶装置132は、互いに通信可能に結合される。例えば、プロセッサ128、メモリ130、および記憶装置132は、ペリフェラルバスを介して通信可能に結合される。
【0045】
プロセッサ128はデータ信号を処理するものであり、複合命令セットコンピュータ(CISC)や縮小命令セットコンピュータ(RISC)アーキテクチャ、あるいはこれらの命令セットを組み合わせて実装したアーキテクチャなど種々の計算アーキテクチャを採用できる。図1Aでは1つのプロセッサのみが示されているが、一実施形態ではデータ処理ユニット126は複数のプロセッサを有しても良い。
【0046】
メモリ130は非一時的(non-transitory)なコンピュータ読み取り可能メモリであり、以下で説明される信号処理を行うためにプロセッサ128によって実行可能なコンピュータコードやルーチンが格納される。
【0047】
記憶装置132は非一時的なコンピュータ読み取り可能メモリであり、プロセッサ128によって実行可能な命令やデータが格納される。一実施形態では、プロセッサ128が、メモリ130に格納されたコードやルーチンをプロセッサが実行して、信号線134経由で通信装置124から受信したパラメータ信号を処理してタイヤ100のパラメータを決定し、決定されたパラメータを示すデータを記憶装置132が記憶する。一実施形態では、信号線134は無線PANやLAN接続などの無線接続である。
【0048】
図1Bから図1Dは、本発明の種々の異なる実施形態にかかるタイヤシステム105を説明する図である。図1Bから図1D内の要素は、図1Aに示される上述の要素と同様の機能を果たすので、これらの説明はここでは繰り返さない。同様の要素には類似の参照符
号を付してある。図1Aと図1Bから図1Dとの相違点について以下で説明する。
【0049】
図1Bに示す実施形態では、センサレイヤー118がベルト112の下の配置されている。センサレイヤー118は、ベルト112とトレッドレイヤー116の間に埋め込まれている。回路レイヤー120は、センサレイヤー118と平行に配置されている。一実施形態では、回路レイヤー120はセンサレイヤー118に重ねて配置される。例えば、回路レイヤー120は、センサレイヤー118の上に置かれる。回路レイヤー120は、電気配線(例えば、図5A〜図5Bにおける信号線502)を介してセンサレイヤー118と通信可能に結合される。別の実施形態では、回路レイヤー120は、ベルト112とセンサレイヤー118の間に埋め込まれる。回路レイヤー120は、PANやLANなどの無線チャネルを介してセンサレイヤー118と通信可能に結合される。
【0050】
図1Cに示す実施形態ではセンサレイヤー118はベルト112の下に配置されており、第2のショルダー109およびサイドウォール110の一部まで延長している。回路レイヤー120は、センサレイヤー118と平行に配置されている。一実施形態では、回路レイヤー120はセンサレイヤー118に重ねて配置される。例えば、回路レイヤー120は、センサレイヤー118の上に置かれる。回路レイヤー120は、電気配線を介してセンサレイヤー118と通信可能に結合される。薄膜構造を採用してセンサレイヤー118および回路レイヤー120をトレッド114から第2のショルダー109およびサイドウォール110まで延長させることで、システム105は、トレッド114、第2のショルダー109およびサイドウォール110に働くタイヤ100のパラメータ(例えば、応力、遠心力など)を計測することができる。
【0051】
図1Dに示す実施形態では、センサレイヤー118と回路レイヤー120の両方がトレッドレイヤー116の内部に埋め込まれる。回路レイヤー120は、センサレイヤー118と平行に配置される。一実施形態では、回路レイヤー120はセンサレイヤー118に重ねて配置される。例えば、回路レイヤー120はセンサレイヤー118の上に置かれる。回路レイヤー120は、電気配線を介してセンサレイヤー118と通信可能に結合される。
【0052】
<トレッド>
図2Aは、本発明の一実施形態にかかるトレッド114の一部断面図を示す。図示された実施形態では、トレッド114は図1Aで示されるタイヤ100に対応する。センサレイヤー118Aおよび118Bは、トレッドレイヤー116Aおよび116B内に埋め込まれる。回路レイヤー120は、ベルト112の下に配置される。一実施形態では、回路レイヤー120は、ベルト112(不図示)とトレッドレイヤー116Aおよび116Bの間に埋め込まれる。回路レイヤー120は、無線チャネル(例えば、図3Aおよび図3Bの信号線303)を介して、センサレイヤー118と通信可能に結合される。
【0053】
図2Bは、本発明の一実施形態にかかるトレッド114の一部断面図を示す。図示された実施形態では、トレッド114は図1Bで示されるタイヤ100に対応する。図示された実施形態では、センサレイヤー118と回路レイヤー120との両方が、ベルト112(不図示)とトレッドレイヤー116Aおよび116Bの間に埋め込まれる。一実施形態では、回路レイヤー120は、センサレイヤー118の上に配置される。例えば、回路レイヤー120は、センサレイヤー118の上に置かれる。一実施形態では、回路レイヤー120は、電気配線(例えば、図5Aおよび図5Bの信号線502)を介して、センサレイヤー118と通信可能に結合される。
【0054】
図2Cは、本発明の一実施形態にかかるサイドウォール110,第2のショルダー109およびトレッド114の一部断面図を示す。図示された実施形態では、サイドウォール
110、第2のショルダー109およびトレッド114は図1Cで示されるタイヤ100に対応する。図示された実施形態では、センサレイヤー118および回路レイヤー120は、トレッド114から第2のショルダー109およびサイドウォール110まで延長している。一実施形態では、回路レイヤー120はセンサレイヤー118の上に配置される。例えば、回路レイヤー120はセンサレイヤー118の上に置かれる。一実施形態では、回路レイヤー120は、電気配線を介してセンサレイヤー118と通信可能に結合される。
【0055】
図2Dは、本発明の別の実施形態にかかるトレッド114の一部断面図を示す。図示された実施形態では、トレッド114は図1Dで示されるタイヤ100に対応する。図示された実施形態では、センサレイヤー118A、118Bと回路レイヤー120A、120Bは、トレッドレイヤー116A、116Bに埋め込まれる。例えば、センサレイヤー118Aおよび回路レイヤー120Aはトレッドレイヤー116A内に埋め込まれ、センサレイヤー118Bおよび回路レイヤー120Bはトレッドレイヤー116B内に埋め込まれる。一実施形態では、回路レイヤー120Aはセンサレイヤー118Aの上に配置され、回路レイヤー120Bはセンサレイヤー118Bの上に配置される。例えば、回路レイヤー120Aはセンサレイヤー118Aの上に置かれ、回路レイヤー120Bはセンサレイヤー118Bの上に置かれる。一実施形態では、回路レイヤー120は電気配線を介してセンサレイヤー118と通信可能に結合される。
【0056】
<センサレイヤーおよび回路レイヤー>
図3Aは、本発明の一実施形態にかかるセンサレイヤー118のブロック図を示す。センサレイヤー118は、信号線303を介して回路レイヤー120と通信可能に結合される。例えば、信号線303は、図4A〜図4Dに示される回路レイヤー120に接続される。一実施形態では、信号線303は有線接続である。別の実施形態では、信号線303は無線接続である。例えば、信号線303は、ブルートゥースなどのPAN接続や、LAN接続などである。一実施形態では、センサレイヤー118は、タイヤ100の力や温度を計測可能に構成される。センサレイヤー118内に設けられたセンサは、タイヤ100の力や温度(センサへの入力301として表現されている)を検出し、力や温度に関連する信号を出力する。例えば、圧力センサはタイヤ100に作用する応力を検出するものであり、応力に応じてセンサ内を流れる電流が変化する。当業者であれば、センサレイヤー118によって測定可能な物理パラメータには、温度、応力、圧力、遠心力などが含まれることを理解できるであろう。一実施形態では、センサレイヤー118は、タイヤ100のパラメータ信号を、信号線303を介して回路レイヤー120に提供する。例えば、センサレイヤーは、タイヤ100のパラメータ信号を生成し、生成した信号を信号線303を介して回路レイヤー120に送信する。
【0057】
図示される実施形態では、センサレイヤー118は、センサモジュール302、通信モジュール314、制御モジュール318、および電源モジュール320を含む。ここで、制御モジュール318は、センサレイヤー118の省略可能な構成であることを示すために、点線の四角形として示してある。センサモジュール302、通信モジュール314、および制御モジュール318は、互いに通信可能に結合されている。一実施形態では、センサモジュール302、通信モジュール314、および制御モジュール318の間の通信は、双方向的である。電源モジュール320もまた、電源チャネル326A〜326Cを介して、センサモジュール302、通信モジュール314、および制御モジュール318と通信可能に結合されている。例えば、電源モジュール320は、第1,第2および第3の電源チャネル326A〜326Cを介して、センサモジュール302、通信モジュール314、および制御モジュール318に電力を供給する。電源チャネルは電力を供給する。一実施形態では、第1、第2および第3の電源チャネル326A、326B、326Cはセンサレイヤー118内の電気配線である。
【0058】
センサモジュール302は、入力301を受け取り、入力301が表す物理パラメータを計測し、物理パラメータを表すパラメータ信号を出力するよう構成される。センサレイヤー118によって出力されるパラメータ信号は、入力301を定量化する。図示される実施形態では、センサモジュール302は、センサ304、第1の増幅器306、第2の増幅器307、アナログ・デジタル変換器308(「AD変換器308」)、デジタル変調器310、および周波数変換器312を含む。センサモジュール302は、通信モジュール314および制御モジュール318と通信可能に結合されている。例えば、センサモジュール302は、通信モジュール314にパラメータ信号を出力し、制御モジュール318から制御信号を受信する。
【0059】
センサ304は、入力301を計測し、計測結果を信号に変換する装置である。センサ304の例として、圧力を検知するセンサ、温度を検知するセンサ、音を検知するセンサ、力を検知するセンサ、光を検知するセンサを挙げられるが、これらに限定されるものではない。一実施形態では、センサ304は、薄膜トランジスタ、MEMSや半導体部品(もしくは、これら2つ以上の組合せ)から構成される。例えば、センサ304は、薄膜トランジスタから構成される圧力センサである。一実施形態では、圧力センサを構成する薄膜トランジスタは、感圧ゴムやアモルファスシリコンなどから作られる。
【0060】
センサモジュール302が1つのみのセンサ304を持つものとして説明したが、当業者であればセンサモジュール302が複数のセンサ304を有しても良いことは理解できるであろう。一実施形態では、複数のセンサ304は、タイヤ100の1つの物理パラメータを測定する同一タイプのセンサとすることができる。例えば、複数のセンサ304は、タイヤ100の圧力を協調して計測するための圧力センサとすることができる。別の実施形態では、複数のセンサ304は、タイヤ100の異なる物理パラメータを計測するための、異なるタイプのセンサとすることができる。例えば、複数のセンサ304は、1つまたは複数の圧力センサと1つまたは複数の温度センサを含み、タイヤ100の圧力と温度を同時に計測可能である。
【0061】
第1の増幅器306および第2の増幅器307は、入力信号を増幅できれば任意のものであって構わない。増幅器306および307の例として、パワーアンプ、真空管アンプ、トランジスタアンプ、オペアンプ、完全差動アンプ、マイクロ波アンプなどを挙げられるが、これらに限定されるものではない。一実施形態では、第1の増幅器306および第2の増幅器307は異なるタイプのものとすることができる。例えば、第1の増幅器306をオペアンプとし、第2の増幅器307をパワーアンプとすることができる。一実施形態では、第1の増幅器306および第2の増幅器307を単一の増幅器306にまとめることができる。例えば、1つの増幅器306が、増幅器306および307の機能を実行する。
【0062】
図示される実施形態では、第1の増幅器306はセンサ304から受信した信号を増幅して、AD変換器308に増幅後の信号を出力する。一実施形態では、第1の増幅器306はアナログ増幅器である。アナログ増幅器はアナログ信号を増幅する増幅器である。
【0063】
図示される実施形態では、第2の増幅器307は周波数変換器312から受信される信号を増幅して、通信モジュール314に対して増幅後の信号を送る。一実施形態では、第2の増幅器307はパワーアンプである。パワーアンプは、増幅処理における電力効率を重視した増幅器である。別の実施形態では、第2の増幅器307は高周波パワーアンプである。
【0064】
AD変換器308は、アナログ信号をデジタル信号に変換可能な装置である。例えば、
AD変換器308は、アナログ電圧または電流を、その大きさに比例したデジタル信号に変換する電子デバイスである。一実施形態では、AD変換器308は、薄膜センサレイヤー118内に埋め込まれた電子回路である。AD変換器308は、増幅器306からの入力アナログ信号をデジタル信号に変換する。デジタル信号はタイヤ100の物理パラメータに関する情報を含む。AD変換器308は、このデジタル信号をデジタル変調器310に出力する。
【0065】
デジタル変調器310は、デジタル信号の変調を実行する装置である。一実施形態では、デジタル変調器310は、変調信号に応じて搬送信号の特性を変化させる電子デバイスである。例えば、デジタル変調器310は、センサレイヤー118内に埋め込まれて、搬送信号の振幅を変調信号に応じて変化させる。図示される実施形態では、変調信号はAD変換器308から受け取るデジタル信号であり、搬送信号はサイン波形や矩形パルス列などの周期的な波形である。
【0066】
一実施形態では、デジタル変調器310は、入力デジタル信号に対してデジタルベースバンド変調または伝送路符号などを適用する。例えば、デジタル変調器310は、ユニポーラ符号、ハミング符号、RZ(Return to Zero)符号、NRZ(Non Return to Zero)符号、マンチェスター符号、AMI(Alternate Mark Inversion)符号などのいずれかを用いてデジタル信号を変調する。
【0067】
別の実施形態では、デジタル変調器310は、デジタル変調技術を用いてデジタル信号を変調する。例えば、デジタル変調器310は、位相変位変調、周波数変位変調、振幅変位変調、オンオフ変調、直角位相振幅変調、連続位相変調、直交周波数分割多重変調、ウェーブレット変調、トレリス符号化変調、拡散スペクトル技術などのいずれかもしくは複数を適用して、デジタル信号を変調する。
【0068】
デジタル変調器310は、変調した信号を周波数変換器312へ出力する。変調された信号には、センサ304によって計測された入力301の物理パラメータを表す情報が含まれる。
【0069】
周波数変換器312は、信号の周波数変換を行う装置である。例えば、周波数変換器312は、第1の周波数を有する第1の信号を、第2の周波数を有する第2の信号に変換する。図示される実施形態では、周波数変換器312は、デジタル変調器310から受け取った変調信号を高周波信号に変換する。高周波信号は、ベースバンド周波数から高周波帯域に周波数が変換された信号である。ここで、ベースバンドは0Hzから周波数変換前の信号が有する最大周波数までの周波数帯域であり、高周波帯域はベースバンドよりも高い周波数の任意の周波数帯域である。周波数変換後の高周波信号は、センサ304によって計測された入力301の物理パラメータを表す情報を含んでいる。高周波信号は増幅器307に入力される。
【0070】
上述したように、周波数変換器312は信号を第2の増幅器307に出力し、第2の増幅器307は通信モジュール314にパラメータ信号を出力する。
【0071】
通信モジュール314は受信信号を送信する装置である。例えば、通信モジュール314は、同一の回路で信号の送受信を行う送受信機である。図示される実施形態では、通信モジュールは、センサレイヤー118が信号線303を介して回路レイヤー120と通信するためのインタフェースである。通信モジュール314は、制御モジュール318およびセンサモジュール302と通信可能に結合されている。通信モジュール314は、センサモジュール302からパラメータ信号を受信し、信号線303を介して回路レイヤー120にパラメータ信号を通信する。一実施形態では、通信モジュール314はアンテナ3
16を含む。
【0072】
アンテナ316は、電磁波を送受信する装置である。例えば、アンテナ316は、スパイラル・アンテナ、ダイポール・アンテナ、パッチアンテナ・マイクロストリップアンテナなどのいずれかである。一実施形態では、アンテナ316は、センサモジュール302からパラメータ信号を受信して、信号線303を介して回路レイヤー120に送信する。別の実施形態では、アンテナ316はまた、制御モジュール318と回路レイヤー120の間で制御信号を交換するための通信インタフェースとして機能する。
【0073】
図3Aでは1つのみのアンテナ316が示されているが、当業者であれば、通信モジュール314に複数のアンテナ316を利用できることを理解できるであろう。
【0074】
制御モジュール318は制御信号を生成する装置である。例えば、制御モジュール318は、マイクロプロセッサや、制御信号列を発行する専用の状態機械シーケンサーである。図示される実施形態では、制御モジュール318はセンサモジュール302および通信モジュール314を制御する。例えば、制御モジュール318は、タイミング信号を生成し、このタイミング信号によってセンサモジュール302と通信モジュール314を同期させる。一実施形態では、制御モジュール318は、センサモジュール302および通信モジュール314と通信可能に結合されている。例えば、制御モジュール318は、センサモジュール302および通信モジュール314に制御信号を送信し、センサモジュール302および通信モジュール314からフィードバック情報を受信する。一実施形態では、制御モジュール318は、通信モジュール314を介して回路レイヤー120との間で制御情報を交換する。
【0075】
電源モジュール320は、他のモジュール302、314、318に電力を供給する装置である。例えば、電源モジュール320は、センサレイヤー118内の従来の電源である。図示される実施形態では、電源モジュール320は、発電部322と安定器324を含む。電源モジュール320は、センサモジュール302、通信モジュール314、制御モジュール318と電源チャネル326A〜326Cを介して結合されている。一実施形態では、電源モジュール320は、センサレイヤー118の全ての部品に電力を供給し、外部電源が不要としている。
【0076】
発電部322は、電力を発生させる装置である。例えば、発電部322は、運動エネルギーを電力に変換することで電力を発生させる発電装置である。一実施形態では、発電部322は、振動・収縮によって電力を発生させる。別の実施形態では、発電部322は、温度差を電力に変換させることで電力を発生させる。このような発電部322を採用することで、自動車の走行(タイヤの回転)に伴って電力を発生することが可能となる。
【0077】
安定器324は、出力を一定の電力レベルに保つ装置である。一実施形態では、安定器324は、出力を低圧に保つ電圧安定器である。例えば、安定器324は直流(DC)電圧安定器である。安定器324は、電源チャネル326A〜326Cを介してセンサレイヤー118の各部品に一定の電力を供給する。
【0078】
一実施形態では、電源モジュール320は、図3Aに示されるセンサレイヤー118の各部品に電力を供給するために用いられる。当業者であれば、他の実施形態では外部電源によって、センサレイヤー118に電力を供給できることを理解できるであろう。例えば、外部小型バッテリーがセンサレイヤー118に電力を供給しても良い。
【0079】
図3Bは、本発明にかかるセンサレイヤー118の他の実施形態のブロック図を示す。図3Bに示す各要素は、上述した図3Aに示す各要素と同様の機能を果たすため、ここで
は説明を繰り返さない。同様の要素には、類似の参照符号を付してある。以下では、図3Aと図3Bの違いについて説明する。
【0080】
図3Bに示す実施形態では、センサモジュール302が、センサ304、アナログ変調器328、周波数変換器312および増幅器307を含んでいる。図3Aに示す実施形態とは異なり、図3Bに示す実施形態では、AD変換器308および増幅器306が含まれていない。図示した実施形態では、増幅器307が、第1の増幅器306、第2の増幅器307、もしくは第1の増幅器306と第2の増幅器307の両方の機能を実現する。
【0081】
アナログ変調器328は、アナログ信号を変調する装置である。例えば、アナログ変調器328は、搬送信号の特性をアナログ信号に応じて変化させる電子回路である。搬送信号は、サイン波形や矩形パルス列などの周期的波形である。一実施形態では、アナログ変調器328は、両側波帯変調、単側波帯変調、残留側波帯変調、直交振幅変調などの振幅変調を適用して、アナログ信号を変調する、別の実施形態では、アナログ変調器328は、周波数変調や位相変調などの角度変調を適用してアナログ信号を変調する。
【0082】
図3Aおよび図3Bに示されるセンサレイヤー118には1つのみのセンサモジュール302、通信モジュール314、制御モジュール318および電源モジュール320が示されているが、当業者であれば、他の実施形態では、センサレイヤー118はこれらのモジュールの少なくともいずれかについて複数備えていてもよいことを理解できるであろう。例えば、一実施形態では、センサレイヤー118は複数のセンサモジュール302、複数の通信モジュール314、複数の制御モジュール318、および複数の電源モジュール320を備える。一実施形態では、これら複数のモジュールが、タイヤ100の異なる物理パラメータを計測するように構成される。例えば、一実施形態では、第1のセンサモジュール302、第1の通信モジュール314、第1の制御モジュール318および第1の電源モジュール320がタイヤ100の圧力に関する第1のパラメータ信号を提供し、第2のセンサモジュール302、第2の通信モジュール314、第2の制御モジュール318および第2の電源モジュール320がタイヤ100の温度に関する第2のパラメータ信号を提供する。別の実施形態では、複数のモジュールがタイヤ100の同一の物理パラメータを計測するように構成される。
【0083】
図4Aは、本発明の一実施形態にかかる回路レイヤー120のブロック図を示す。図示される実施形態では、回路レイヤー120は、通信モジュール402、回路モジュール406、制御モジュール420を含む。これらの各モジュールは、互いに通信可能に結合されている、ここで、制御モジュール420が点線の四角として表されているのは、このモジュールが回路レイヤー120において省略可能な要素であることを示すためである。一実施形態では、回路レイヤー120は、信号線303を介してセンサレイヤー118と通信可能に結合されている。信号線303を介した通信は双方向的である。例えば、回路レイヤー120は、センサレイヤー118から1つまたは複数のパラメータ信号を受信し、受信した信号を信号線303を介してセンサレイヤー118へ送信する。一実施形態では、信号線303は有線接続である。別の実施形態では、信号線303は、無線PANやLAN接続などの無線接続である。回路レイヤー120は、通信装置124とも無線チャネル122を介して通信可能に結合されている。例えば、回路レイヤー120は、通信装置124から信号を受信し、1つまたは複数のパラメータ信号を無線チャネル122を介して通信装置124へ送信する。一実施形態では、無線チャネル122および信号線303は、無線PANやLAN接続の任意の組合せである。
【0084】
通信モジュール402は、パラメータ信号を送受信するためのインタフェースである。例えば、通信モジュール402は、同一の回路によって信号を送受信する送受信機である。図示される実施形態では、通信モジュール402は、回路レイヤー120が信号線30
3を介してセンサレイヤー118と通信し、無線チャネル122を介して通信装置124と通信するためのインタフェースである。一実施形態では、通信モジュール402は1つまたは複数のアンテナ404A、404Bを含む。通信モジュール402は、回路モジュール406および制御モジュール420と通信可能に結合されている。
【0085】
アンテナ404Aおよび404Bは、図3Aに示したアンテナ316と同様の働きをするので、ここでは説明を繰り返さない。一実施形態では、アンテナ404Aは無線チャネル122および信号線303を介して信号を受信し、アンテナ404Bは無線チャネル122および信号線303を介して信号を送信する。別の実施形態では、アンテナ404Aおよび404Bともに信号を送受信する。
【0086】
回路モジュール406は、信号処理を行う装置である。例えば、回路モジュール406は、薄膜回路であり、センサレイヤー118から受信したパラメータ信号を処理する。図示される実施形態では、回路モジュール406は、第3および第4の増幅器408Aおよび408B、1つまたは複数の周波数変換器410Aおよび410B、アナログ・デジタル変換器412(「AD変換器412」)、デジタル復調器414、信号処理プロセッサ416、およびデジタル変調器418を含む。回路モジュール406は通信モジュール402および制御モジュール420と通信可能に結合されている。
【0087】
第3および第4の増幅器408Aおよび408B、周波数変換器410Aおよび410B、AD変換器412、およびデジタル変調器418は、図3Aで説明した増幅器306および307、周波数変換器312、AD変換器308、およびデジタル変調器310と同様の働きをするので、ここでは説明を繰り返さない。しかしながら、一実施形態では、第3の増幅器408Aは高周波増幅器であり、第4の増幅器408Bは高周波パワーアンプである。別の実施形態では、周波数変換器410Aは高周波信号をベースバンド信号へ変換し、周波数変換器410Bはベースバンド信号を高周波信号へ変換する。ここで、ベースバンド信号とは周波数がベースバンドの信号である。当業者であれば、増幅器の数はいくつであっても良いことを理解できるであろう。
【0088】
デジタル復調器 414は、第1の信号を第2の信号から抽出する装置である。例えば、デジタル復調器414は、変調された搬送波信号から変調前の情報を含む信号を抽出する電子回路である。図示される実施形態では、デジタル復調器414は、AD変換器412から受信した信号から、タイヤ100の物理パラメータに関連する情報を抽出する。一実施形態では、デジタル復調器414は、デジタル変調器310と反対の動作をする。別の実施形態では、デジタル復調器414およびデジタル変調器418は、変調および復調を実行可能なモデム(変復調器)に統合される。
【0089】
信号処理プロセッサ416は、信号処理を実行可能な装置である。信号処理の例として、フィルタ処理、スムージング処理、適応フィルタ処理、スペクトル解析、特徴抽出、予想、システム識別、圧縮、復元などを挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態では、信号処理プロセッサ416はデジタルシグナルプロセッサ(DSP)である。例えば、信号処理プロセッサ416は、ASIC(Application-Specific Integrated Circuits)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、デジタル信号処理に最適化されたその他の専用デジタル信号処理プロセッサなどのいずれかのデジタル回路である。信号処理プロセッサ416はデジタル復調器414から受信した信号を処理し、処理結果をデジタル変調器418へ出力する。
【0090】
制御モジュール420は、制御信号を生成する装置である。例えば、制御モジュール420は、コントローラ、マイクロプロセッサ、専用状態機械シーケンサーのいずれかである。図示される実施形態では、制御モジュール420は、回路モジュール406および通
信モジュール402を制御する。例えば、制御モジュール420は、タイミング信号を生成し、このタイミング信号によって回路モジュール406および通信モジュール402を同期する。一実施形態では、制御モジュール420は、回路モジュール406および通信モジュール402と通信可能に結合されている。例えば、制御モジュール420は、制御信号を回路モジュール406および通信モジュール402に送信し、回路モジュール406および通信モジュール402からフィードバック情報を受信する。別の実施形態では、制御モジュール420は、通信モジュール402を介してセンサレイヤー118および通信装置124と制御情報を交換する。
【0091】
図4Bは、本発明の別の実施形態にかかる回路レイヤー120のブロック図を示す。図4Bの各要素は図4Aの各要素と同様の働きをするので、ここでは説明を繰り返さない。同様の要素には類似の参照符号を付してある。しかしながら、図4Aにおけるアンテナ404Aおよび404Bは、図4Bにおいては一つのアンテナ404に統合されている。同様に、第3および第4の増幅器408Aおよび408Bも一つの増幅器408に統合され、周波数変換器410Aおよび410Bも一つの周波数変換器410に統合されている。一実施形態では、デジタル変調器418およびデジタル復調器414は一つのモデムに統合される。
【0092】
図4Cは、本発明の別の実施形態にかかる回路レイヤー120のブロック図を示す。図4Cの各要素は図4Aの各要素と同様の働きをするので、ここでは説明を繰り返さない。同様の要素には類似の参照符号を付してある。しかしながら、図4Cでは、回路モジュール406は、1つまたは複数の第3および第4の増幅器408Aおよび408Bと、一つまたは複数の周波数変換器410Aおよび410B、およびアナログ信号処理プロセッサ422を含む。回路モジュール406は、通信モジュール402からアナログ形式で受信した信号を、デジタル信号に変換することなく処理する。
【0093】
アナログ信号処理プロセッサ422は、アナログ信号を処理する装置である。例えば、アナログ信号処理プロセッサ422は、通信モジュール402から受信したアナログ信号を処理する電子回路である。一実施形態では、アナログ信号処理プロセッサ422は、通信モジュール402からアナログ手段によって受信した信号に対して、フィルタ処理、スムージング処理、適応フィルタ処理、スペクトル解析、特徴抽出、予想、システム識別、圧縮、復元などのうちの1つまたは複数を実行する。
【0094】
図4Dは、本発明の別の実施形態にかかる回路レイヤー120のブロック図を示す。図4Dの各要素は図4Cの各要素と同様の働きをするので、ここでは説明を繰り返さない。同様の要素には類似の参照符号を付してある。しかしながら、図4Cにおけるアンテナ404Aおよび404Bは、図4Dでは一つのアンテナ404に統合されている。同様に、図4Dに示すように、第3および第4の増幅器408Aおよび408Bも一つの増幅器408に統合されており、周波数変換器410Aおよび410Bも一つの周波数変換器410に統合されている。
【0095】
図4Aおよび図4Bは、図3Aに示すセンサレイヤー118の実施形態によって提供されたパラメータ信号を処理する回路レイヤー120を表しており、図4Cおよび図4Dは、図3Bに示すセンサレイヤー118によって提供されたパラメータ信号を処理する回路レイヤー120を表している。
【0096】
電源モジュール320は図4A〜図4Dには示されていないが、当業者であれば回路レイヤー120の各部品に電力を供給するための電源モジュール320を回路レイヤー120が有してもよいことを理解できるであろう。別の実施形態では、回路レイヤー120の各部品に電力を供給するために外部電源が用いられる。例えば、回路レイヤー120に電
力を供給するために外部小型バッテリーが用いられる。また、例えば、センサレイヤーの電源モジュール320から回路レイヤー120に電力が供給されても良い。
【0097】
図4A〜図4Dに示される回路レイヤー120は1つのみの回路モジュール406、1つのみの通信モジュール402、および1つのみの制御モジュール420を含むように示されているが、当業者であれば、回路レイヤー120がこれらのモジュールのそれぞれを複数有しても良いことを理解できるであろう。例えば、回路レイヤー120は、第1および第2の通信モジュール402、第1および第2の回路モジュール406、および第1および第2の制御モジュール420を有しても良い。一実施形態では、これら複数のモジュールは、それぞれがタイヤ100の異なる物理パラメータに関連するパラメータ信号を処理する。例えば、第1の通信モジュール402、第1の回路モジュール406および第1の制御モジュール420がタイヤ100の圧力に関連するパラメータ信号を処理し、第2の通信モジュール402、第2の回路モジュール406および第2の制御モジュール420がタイヤ100の温度に関連するパラメータ信号を処理する。別の実施形態では、これら複数のモジュールは、タイヤ100の同じ物理パラメータに関連するパラメータ信号を処理する。
【0098】
図5Aは、本発明の一実施形態にかかるセンサレイヤー118の上に配置された回路レイヤー120のブロック図を示す。図5Aに示される各要素は、上記で説明した図3Aや図3Bおよび図4Aや図4Bの各要素と同様の働きをするので、ここでは説明を繰り返さない。同様の要素には類似の参照符号を付してある。
【0099】
しかしながら、図5Aに示される実施形態では、回路レイヤー120はセンサレイヤー118の上に配置されている。一実施形態では、回路レイヤー120は、センサレイヤー118の上に直接置かれる。センサレイヤー118は、回路レイヤー120と通信可能に結合されている。例えば、図示される実施形態では、センサレイヤー118は、タイヤ100のパラメータ信号を、信号線502を介して回路レイヤー120へ送り、センサレイヤー118と回路レイヤー120は信号線508を介して制御情報を交換する。一実施形態では、信号線502および508は、層間配線である。
【0100】
一実施形態では、センサレイヤー118は、電力供給チャネル504を介して回路レイヤー120とも結合されている。例えば、センサレイヤー118は、電力供給チャネル504を介して回路レイヤー120へ電力を供給する。一実施形態では、電力供給チャネル504は層間配線である。別の実施形態では、外部電源(小型バッテリー)が、センサレイヤー118および回路レイヤー120の両方に電力を供給するために用いられる。
【0101】
図示される実施形態では、センサレイヤー118はセンサモジュール302および電源モジュール320を含む。センサモジュール302はセンサ304を含む。一実施形態では、センサ304は、タイヤ100から入力301を受信し、入力301に基づいてパラメータ信号を生成し、信号線502を介してパラメータ信号を回路レイヤー120に送る。
【0102】
電源モジュール320は、センサレイヤー118に構成され、電力供給チャネル326Aを介してセンサモジュール302と結合されている。一実施形態では、電源モジュール320は、電力供給チャネル504を介して回路レイヤー120と結合されている。例えば、電源モジュール320は、電力供給チャネル504を介して回路レイヤー120へ電力を供給する。
【0103】
図示される実施形態では、回路レイヤー120は、通信モジュール402、回路モジュール406、および制御モジュール420を含み、これらのモジュールは互いに通信可能
に結合されている、
【0104】
回路レイヤー120に構成された回路モジュール406は、第3および第4の増幅器408Aおよび408B、AD変換器412、信号処理プロセッサ416、デジタル変調器418、および周波数変換器410を含む。回路モジュール406内に構成されたこれらの各要素は、図4Aにおいて説明した各要素と同様の働きをするので、ここでは説明を繰り返さない。
【0105】
回路レイヤー120内に構成された制御モジュール420は、通信モジュール402、回路モジュール406、およびセンサレイヤー118と通信可能に結合されている。一実施形態では、制御モジュール420は、信号線508を介してセンサレイヤー118と制御情報を通信する。一実施形態では、信号線508は双方向通信可能な接続である。例えば、制御モジュール420は、タイミング信号を送信してセンサレイヤー118と同期をとり、センサレイヤー118は、制御モジュール420に確認信号を返信する。別の実施形態では、制御モジュール420は、通信モジュール402を介して通信装置124と制御信号を交換する。
【0106】
図5Bは、本発明の別の実施形態にかかるセンサレイヤー118の上に配置された回路レイヤー120のブロック図を示す。図5Bの各要素は、上述した図5Aの各要素と同様の働きをするので、ここでは説明を繰り返さない。同様の要素には類似の参照符号を付してある。しかしながら、図示される実施形態では、回路レイヤー120はセンサレイヤー118からアナログ形式で受信したパラメータ信号をアナログ形式のまま処理するものであり、したがって、図5Aで説明したAD変換器412、信号処理プロセッサ416、およびデジタル変調器418は、図5Bにおいてはアナログ信号処理プロセッサ422およびアナログ変調器506で置き換えられている。
【0107】
<処理方法>
図6Aは、本発明の一実施形態にかかるタイヤ100のパラメータ信号を提供する方法を説明するフローチャートを示す。図6Aの方法は、図3Aのシステムに対応する。センサ304は、タイヤ100から入力301を受信し、入力301に基づいてパラメータ信号を生成する(602)。生成されたパラメータ信号はアナログ信号である。パラメータ信号は、増幅器306に渡される。増幅器306は、パラメータ信号を増幅し(604)、増幅されたパラメータ信号をAD変換器308へ出力する。AD変換器308は、増幅されたパラメータ信号をデジタル化し(606)、デジタルパラメータ信号を出力として得る。デジタルパラメータ信号は、ステップ602におけるパラメータ信号と同等なものであり、デジタル化されている点が異なるだけである。デジタル変調器310は、デジタルパラメータ信号を変調し(608)、周波数変換器312は、変調されたパラメータ信号を高周波信号へ変換する(610)。増幅器307は、高周波パラメータ信号を増幅し(612)、増幅された信号をアンテナ316へ送る。アンテナ316は、増幅器307から受け取ったパラメータ信号を回路レイヤー120へ送信する。一実施形態では、アンテナ316はスパイラル・アンテナである。
【0108】
図6Bは、本発明の別の実施形態にかかるタイヤ100のパラメータ信号を提供する方法を説明するフローチャートを示す。図6Bの方法は、図3Bのシステムに対応する。センサ304は、入力301を受信して、301パラメータ信号を生成する(602)。生成された信号はアナログ信号であり、タイヤ100の物理パラメータについての情報を含む。アナログ変調器328は、アナログパラメータ信号を変調し(608)、変調されたパラメータ信号を周波数変換器312に出力する。周波数変換器312は、変調されたパラメータ信号を高周波パラメータ信号に変換する(610)。増幅器307は、高周波パラメータ信号を増幅し(612)、増幅されたパラメータ信号をアンテナ316へ送る。
一実施形態では、増幅器307は高周波パワーアンプである。アンテナ316は、増幅されたパラメータ信号を回路レイヤー120へ送信する(614)。一実施形態では、アンテナ316はスパイラル・アンテナである。
【0109】
図7Aおよび7Bは、本発明の一実施形態にかかるタイヤ100のパラメータ信号を処理する方法を説明するフローチャートを示す。図7Aおよび7Bの方法は、図4Aのシステムに対応する。回路レイヤー120内に構成されたアンテナ404Aは、センサレイヤー118からパラメータ信号を受信する(702)。一実施形態では、第3のアンテナ404Aはスパイラル・アンテナである。一実施形態では、受信されたパラメータ信号は高周波パラメータ信号である。第3の増幅器408Aは、受信信号を増幅し(704)、周波数変換器410Aへ増幅された信号を送る。一実施形態では、第3の増幅器408Aは高周波増幅器である。周波数変換器410Aは、増幅された高周波信号をベースバンド信号へ変換する(706)。ベースバンド信号は、タイヤ100の物理パラメータについての情報を含む。一実施形態では、ベースバンド信号はアナログ信号である。AD変換器412は、ベースバンド信号をデジタル信号へデジタル化する(708)。デジタル信号は、タイヤ100の物理パラメータについての情報を含む。デジタル復調器414は、デジタル信号を復調し(710)、復調信号を出力として生成する。信号処理プロセッサ416は、復調信号を処理する(712)。復調信号に対する処理は、フィルタ処理、スムージング処理、適応フィルタ処理、スペクトル解析、特徴抽出、予想、システム識別、圧縮、復元の少なくとも1つが含まれる。一実施形態では、信号処理プロセッサ416はデジタルシグナルプロセッサである。信号処理プロセッサ416は、出力信号を生成し、この出力信号をデジタル変調器418へ転送する。
【0110】
図7Bに移って、デジタル変調器418は、信号処理プロセッサ416の出力信号を変調する(714)。一実施形態では、デジタル復調器414およびデジタル変調器418一つのモデムに統合されている。周波数変換器410Bは、変調信号を高周波信号へ変換する(716)。一実施形態では、周波数変換器410Aおよび410Bは、一つの周波数変換器410に統合されている。第4の増幅器408Bは、高周波信号を増幅し(718)、増幅された信号をアンテナ404Bへ転送する。一実施形態では、第4の増幅器408Bは、高周波パワーアンプである。別の実施形態では、第3および第4の増幅器408Aおよび408Bは一つの増幅器408に統合されている。アンテナ404Bは増幅された信号を通信装置124へ送信する(720)。一実施形態では、アンテナ404Bはスパイラル・アンテナである。別の実施形態では、アンテナ404Aおよび404Bは一つのアンテナ404に統合されている。
【0111】
図7Cは、本発明の一実施形態にかかるタイヤ100のパラメータ信号を処理する方法を説明するフローチャートを示す。図7Cの方法は、図4Cのシステムに対応する。ステップ702〜ステップ706は図7Aにおけるステップ702〜ステップ706と同様の処理なので、ここでは説明を繰り返さない。図7Cのステップ712で、アナログ信号処理プロセッサ422はステップ706から受信した信号を処理し、処理結果をステップ716へ渡す。信号処理には、フィルタ処理、スムージング処理、適応フィルタ処理、スペクトル解析、特徴抽出、予想、システム識別、圧縮、復元の少なくとも1つが含まれる。ステップ716〜ステップ720は、図7Bのステップ716〜ステップ720と同様の処理内容であるので、ここでは説明を繰り返さない。
【0112】
図8Aおよび8Bは、本発明の一実施形態にかかるタイヤ100のパラメータ信号を提供および処理する方法を説明するフローチャートを示す。図8Aおよび8Bの方法は、図5Aのシステムに対応する。図8Aにおいて、センサレイヤー118内に構成されたセンサ304が、タイヤ100の物理パラメータ(例えば、圧力、応力、遠心力、温度など)に関連する入力301を受信し、センサレイヤー118が入力301に基づいてパラメー
タ信号を生成する(802)。センサ304は、パラメータ信号を回路レイヤー120内に構成された増幅器408Aに送る。第3の増幅器408Aは、この信号を増幅し(804)増幅された信号をAD変換器412へ送る。一実施形態では、第3の増幅器408Aはアナログ増幅器である。AD変換器412は、増幅された信号をデジタル信号にデジタル化し(806)、信号処理プロセッサ416がデジタル信号を処理する(808)。一実施形態では、信号処理プロセッサ416はデジタルシグナルプロセッサである。デジタル信号の処理には、フィルタ処理、スムージング処理、適応フィルタ処理、スペクトル解析、特徴抽出、予想、システム識別、圧縮、復元の少なくとも1つが含まれる。デジタル変調器418は、ステップ808における処理結果を変調し(810)、変調信号を生成する。
【0113】
図8Bに移って、周波数変換器410は、変調信号を高周波信号へ変換する(812)。第4の増幅器408Bは高周波信号を増幅する(814)。一実施形態では、第4の増幅器408Bは高周波パワーアンプである。別の実施形態では、第3および第4の増幅器408Aおよび408B一つの増幅器に統合される。第4の増幅器408Bは、増幅された信号をアンテナ404へ送る。一実施形態では、アンテナ404はスパイラル・アンテナである。アンテナ404は増幅された信号を通信装置へ送信する(816)。
【0114】
図8Cは、本発明の一実施形態にかかるタイヤ100のパラメータ信号を提供および処理する方法を説明するフローチャートを示す。図8Cの方法は、図5Bのシステムに対応する。ステップ802〜ステップ804は図8Aにおけるステップ802〜ステップ804と同様の処理なので、ここでは説明を繰り返さない。ステップ808で、アナログ信号処理プロセッサ422は、ステップ804からアナログ形式で受信した信号を処理し、出力信号をアナログ変調器506へ送る。アナログ変調器506は、ステップ808から受信した信号を変調する(810)。ステップ812〜ステップ816は、上述した図8Aおよび図8Bにおけるステップ812〜ステップ816と同様の処理なので、ここでは説明を繰り返さない。
【0115】
上述された本発明の様々な実施形態は、従来技術では提供されない多くの利点をもたらす。例えば、センサレイヤー118および回路レイヤー120は、100ナノメートルから1000マイクロメートルのナノメートルオーダーの厚さを持つので、タイヤ100に複数のセンサレイヤー118および回路レイヤー120をタイヤに埋め込むことができる。複数のセンサレイヤー118および回路レイヤー120は、検知可能な性能劣化を引き起こすことなく、タイヤ100の各部分に作用する物理パラメータを協調的に計測することができる。
【0116】
一実施形態では、回路レイヤー120は、センサレイヤー118と平行に置かれる。回路レイヤー120は、センサレイヤー118の上に重畳される。例えば、回路レイヤー120は、センサレイヤー118の上に配置される。センサレイヤー118は、層間電気配線を介して回路レイヤー120と通信可能に結合される。電気配線を介して通信を行うことで、無線通信のためのアンテナやその他の送受信回路を排除でき、したがってタイヤ100に埋め込む回路の数を減らせるので、電気配線を介する通信は有益である。
【0117】
別の実施形態では、センサレイヤー118は電源モジュール320を含む。電源モジュール320は、センサレイヤー118に電力を供給する。回路レイヤー120はセンサレイヤー118の上に配置される。電源モジュール320もまた、層間電気配線を介して回路レイヤー120に電力を供給する。外部電源を用いず内部の電源モジュールから電力供給を行うことで、数百から数千個のセンサおよびトランジスタがタイヤ100に埋め込まれる場合の電力不足の問題を回避することができる。
【0118】
上記の本発明の各実施形態の説明は、本発明の説明を目的としたものであり、開示された実施形態が本発明の全てではないし、本発明を上記の実施形態に限定するものでもない。本発明は、上記の開示にしたがって、種々の変形が可能である。本発明の範囲は上述の実施形態に限定解釈されるべきではなく、特許請求の範囲にしたがって解釈されるべきである。本発明の技術に詳しいものであれば、本発明はその思想や本質的特徴から離れることなくその他の種々の形態で埋め込むことが可能であることを理解できるであろう。同様に、モジュール・処理・特徴・属性・方法およびその他の本発明の態様に関する名前付けや分割方法は必須なものでものないし重要でもない。また、本発明やその特徴を実装する機構は異なる名前や分割方法や構成を備えていても構わない。さらに、当業者であれば、モジュール・処理・特徴・属性・方法およびその他の本発明の態様は、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェアもしくはこれらの組合せとして実装できることを理解できるであろう。また、本発明をソフトウェアとして実装する場合には、モジュールなどの各要素は、どのような様式で実装されても良い。例えば、スタンドアローンのプログラム、大きなプログラムの一部、異なる複数のプログラム、静的あるいは動的なリンクライブラリー、カーネルローダブルモジュール、デバイスドライバー、その他コンピュータプログラミングの当業者にとって既知な方式として実装することができる。さらに、本発明の実装は特定のプログラミング言語に限定されるものではないし、特定のオペレーティングシステムや環境に限定されるものでもない。以上のように、上記の本発明の説明は限定的なものではなく例示的なものであり、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲にしたがって定められる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤの物理パラメータ計測システムであって、
前記タイヤに埋め込まれる第1の薄膜フィルムとして構成され、前記タイヤの物理パラメータに関する信号を提供するセンサレイヤーと、
前記センサレイヤーと通信可能に結合され、前記タイヤに埋め込まれる第2の薄膜フィルとして構成され、前記センサレイヤーから提供される前記信号を処理する回路レイヤーと、
を含むシステム。
【請求項2】
前記物理パラメータは、遠心力、加速度、内圧、接地圧、温度、サイドウォールの屈曲、応力、歪みの少なくともいずれかである、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記センサレイヤーおよび前記回路レイヤーは、前記タイヤのトレッド、ショルダー、またはサイドウォールの一部、の少なくともいずれかに埋め込まれる、
請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
前記センサレイヤーおよび前記回路レイヤーは、前記タイヤのトレッド、ショルダー、またはサイドウォールの一部、の少なくともいずれかに作用する物理パラメータを連続的に計測する、
請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記回路レイヤーと前記センサレイヤーは無線通信により結合されている、
請求項1〜4のいずれかに記載のシステム。
【請求項6】
前記回路レイヤーは、前記センサレイヤー上に配置され、電気配線によって前記センサレイヤーと通信可能に結合されている、
請求項1〜4のいずれかに記載のシステム。
【請求項7】
前記センサレイヤーは、
前記タイヤの前記物理パラメータに関連する前記信号を生成および出力するセンサモジュールと、
電力供給チャネルを介して前記センサモジュールと結合され、前記電力供給チャネルを介して前記センサモジュールに電力を供給する電源モジュールと、
を含む、
請求項1〜6のいずれかに記載のシステム。
【請求項8】
前記センサレイヤーは、さらに、前記センサモジュールと通信可能に結合され、前記センサモジュールから前記信号を受信し、前記回路レイヤーに当該信号を送信する、第1の通信モジュールを含み、
前記電源モジュールは、第2の電力供給チャネルを介して前記第1の通信モジュールと結合され、前記第2の電力供給チャネルを介して前記第1の通信モジュールに電力を供給する、
請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記回路レイヤーは、さらに、
前記センサレイヤーから提供された前記信号を処理し、前記センサレイヤーから提供された信号に対応する処理済み信号を生成する、回路モジュールと、
前記回路モジュールと通信可能に結合され、前記処理済み信号を外部の通信装置に送信
する、第2の通信モジュールと、
を含む、
請求項1〜8のいずれかに記載のシステム。
【請求項10】
前記第2の通信モジュールは、前記センサレイヤーによって提供された信号を受信し、当該信号を信号処理のために回路モジュールに送信する、
請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
タイヤに埋め込まれた第1および第2の薄膜フィルムを用いて前記タイヤの物理パラメータを計測する方法であって、
前記第1の薄膜フィルムを用いて前記タイヤの物理パラメータに関する第1の信号を生成する工程と、
前記第1の信号を前記第2の薄膜フィルムへ出力する工程と、
前記第2の薄膜フィルムを用いて前記第1の信号を処理して、処理済みの第1の信号を生成する工程と、
前記処理済みの第1の信号を外部装置へ出力する工程と、
を含む方法。
【請求項12】
前記物理パラメータは、遠心力、加速度、内圧、接地圧、温度、サイドウォールの屈曲、応力、歪みの少なくともいずれかである、
請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1および第2の薄膜フィルムは、前記タイヤのトレッド、ショルダー、またはサイドウォールの一部、の少なくともいずれかに埋め込まれる、
請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
前記外部装置は、前記処理済みの第1の信号を受信して、当該信号に基づいて、前記タイヤのトレッド、ショルダー、またはサイドウォールの一部、の少なくともいずれかに作用する物理パラメータを計測する、
請求項11〜13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
前記第1および第2の薄膜フィルムは、前記外部装置と協働して前記物理パラメータを連続的に計測する、
請求項11〜14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
前記第1の信号を前記第2の薄膜フィルムへ出力する工程は、
前記第1の信号を増幅するステップと、
前記第1の信号をデジタル化するステップと、
前記第1の信号を変調するステップと、
前記第1の信号を高周波帯へ変換するステップと、
前記第1の信号を増幅するステップと、
前記第1の信号を前記第2の薄膜フィルムへ送信するステップと、
を含む、
請求項11〜15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
前記第1の信号を前記第2の薄膜フィルムへ出力する工程は、
前記第1の信号を変調するステップと、
前記第1の信号を高周波帯へ変換するステップと、
前記第1の信号を増幅するステップと、
前記第1の信号を前記第2の薄膜フィルムへ送信するステップと、
を含む、
請求項11〜15のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
前記第1の信号を処理して、処理済みの第1の信号を前記外部装置へ出力する工程は、
前記第1の信号を増幅するステップと、
前記第1の信号をベースバンド帯へ変換するステップと、
前記第1の信号をデジタル化するステップと、
前記第1の信号を変調するステップと、
前記第1の信号を処理して、前記処理済みの第1の信号を生成するステップと、
前記処理済みの第1の信号を変調するステップと、
前記処理済みの第1の信号を高周波帯へ変換するステップと、
前記処理済みの第1の信号を増幅するステップと、
前記処理済みの第1の信号を前記外部装置へ送信するステップと、
を含む、
請求項11〜17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
前記第1の信号を処理して、処理済みの第1の信号を前記外部装置へ出力する工程は、
前記第1の信号を増幅するステップと、
前記第1の信号をベースバンド帯へ変換するステップと、
前記第1の信号を処理して、前記処理済みの第1の信号を生成するステップと、
前記処理済みの第1の信号を増幅するステップと、
前記処理済みの第1の信号を前記外部装置へ送信するステップと、
を含む、
請求項11〜17のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
前記第1の信号を処理して、処理済みの第1の信号を前記外部装置へ出力する工程は、
前記第1の信号を増幅するステップと、
前記第1の信号をデジタル化するステップと、
前記第1の信号を処理して、前記処理済みの第1の信号を生成するステップと、
前記処理済みの第1の信号を高周波帯へ変換するステップと、
前記処理済みの第1の信号を増幅するステップと、
前記処理済みの第1の信号を前記外部装置へ送信するステップと、
を含む、
請求項11〜17のいずれかに記載の方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【公開番号】特開2012−240669(P2012−240669A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−250844(P2011−250844)
【出願日】平成23年11月16日(2011.11.16)
【出願人】(502087460)株式会社トヨタIT開発センター (232)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)