説明

タイヤ空気圧低下検出装置、方法及びプログラム

【課題】減圧の程度が異なる減圧輪が混在する場合でも、減圧を検出することができるタイヤ空気圧低下検出装置を提供する。
【解決手段】タイヤの回転情報を検出する回転情報検出手段1と、検出された回転情報からタイヤの回転速度を算出する回転速度算出手段と、タイヤの回転情報から当該タイヤの共振周波数を推定する共振周波数推定手段と、タイヤの回転速度の相対比較により求められる減圧判定値と共振周波数推定手段により推定される共振周波数とを用いてタイヤ空気圧の低下を判定する判定手段とを備える。判定手段は、タイヤ空気圧の低下を判定するに際し、共振周波数が第1閾値を所定回数超え警報を発する第1判定値を100とした場合、第1判定値の百分率換算値が10以上100未満に達したとき、減圧判定値と比較される第2閾値を1%以上90%以下小さくし、当該減圧判定値が、小さくされた閾値を超えたときタイヤの減圧を判定するよう構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はタイヤ空気圧低下検出装置、方法及びプログラムに関する。さらに詳しくは、走行中の車両に装着されたタイヤの回転情報を利用して当該タイヤの空気圧低下を検出する装置、方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の安全走行を確保するために、従来、車両に装着されたタイヤの空気圧低下を検出し、運転者に警報を出して適切な処置を促すタイヤ空気圧警報装置(Tire Pressure Monitoring System;TPMS)が種々提案されている。
【0003】
従来の警報装置は、直接検知型と間接検知型の2つに分類することができる。直接検知型は、タイヤホイール内部に圧力センサを組み込むことでタイヤの空気圧を直接計測するものである。空気圧の低下を高精度に検出することができる一方で、専用のホイールが必要になることや実環境での耐故障性能に問題があるなど、技術的、コスト的な課題を残している。
【0004】
一方、間接検知型はタイヤの回転情報から空気圧を推定する方法であり、動荷重半径(Dynamic Loaded Radius;DLR)方式と、共振周波数(Resonance Frequency Method;RFM)方式に細分類することができる。
【0005】
DLR方式は、減圧したタイヤが走行時につぶれることで動荷重半径が小さくなり、その結果正常圧のタイヤよりも速く回転する現象を利用し、4つのタイヤの回転速度を比較することで圧力低下を検出する方式である(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
他方、RFM方式は、減圧によって車輪速信号の周波数特性が変化することを利用して正常圧との差異を検出する方式である。DLR方式と異なり、あらかじめ保持しておいた各輪の正常値との絶対比較であるため、4輪同時減圧にも対応でき、より良い間接検知方式として注目されている(例えば、特許文献2参照)。RFM方式では、車輪速信号の周波数解析により求められる共振周波数に着目し、初期化時に推定した基準周波数よりも当該共振周波数が相対的に低いと判断される場合に警報を出している。
【0007】
ところで、現状において、法規に適合する間接式TPMSは、1輪減圧・3輪正規圧(車両に装着された4つのタイヤのうち、1つのタイヤが減圧しており、残りの3つのタイヤが正規圧である場合)、2輪減圧(同レベルの減圧)・2輪正規圧、3輪減圧(同レベルの減圧)・1輪正規圧、4輪減圧(同レベルの減圧)を検出することができる。検出レベルは、市場での使い勝手を考慮して、例えば10%減圧状態での警報は避け、法で規定されている要件(北米:25%減圧、欧州:20%減圧)を満たすように設定されている。
【0008】
前述した種々の減圧パターンのうち、1輪減圧・3輪正規圧、対角2輪減圧・2輪正規圧、及び3輪減圧(同レベルの減圧)・1輪正規圧は、対角2輪同士のDLRを比較することで検出することができる。後軸2輪減圧(同レベルの減圧)・前軸2輪正規圧は、同軸2輪同士のDLRを比較することで検出することができる。同側(右側又は左側)2輪減圧(同レベルの減圧)・2輪正規圧は、同側2輪同士のDLRを比較することで検出することができる。また、前軸2輪減圧(同レベルの減圧)・後軸2輪正規圧、4輪減圧(同レベルの減圧)は、RFM方式で検出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開昭63−305011号公報
【特許文献2】特開2009−274639号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、前述した種々の減圧輪の組合せは、減圧の程度がいずれの減圧輪でも同じであることを前提にした理論上のものであり、現実には、減圧の程度が異なるため、無数の減圧輪の組合せが存在する。従来の間接式TPMSでは、RFM方式及びDLR方式の2つのモジュールが存在しており、このうちRFM方式は、1輪ずつの減圧検出が可能であるが、タイヤ荷重が小さいタイヤについては共振周波数が見つけにくく、タイヤ荷重が小さい場合の後軸輪の減圧検出精度があまり高くないため(ほとんどの車両ではエンジンが車体前部に搭載されているので、乗車人員・積載重量が小さい場合には後軸輪のタイヤ荷重は小さい)、前軸2輪の減圧検出にしか利用されていないことが多い。また、DLR方式では、4輪の車輪速の相対比較を行っているため、車輪速の差が小さい状態での減圧検出を行うことができない。
【0011】
例えば、無数の減圧輪の組合せのうち、前軸のうち少なくとも1輪が20%減圧で、後軸2輪がともに10%減圧している場合を想定する。この場合、DLR方式では、いずれの組合せ(対角2輪、同軸2輪、同側2輪)を用いた比較でも、相対比較であるため、ほぼ10%減圧(20%−10%=10%)以下の状態であり、検出することができない。一方、RFM方式では、前軸2輪を1輪ずつ独立してモニタリングしているため、減圧を検出することができる。
【0012】
ところが、例えば、前軸2輪がともに10%減圧し、後軸1輪が10%減圧、他の1輪が20%減圧している場合は検出することができない。すなわち、前軸2輪をモニタリングしているRFM方式では、当該前軸の減圧レベルが10%(検出レベル未満)であるため、減圧を検出しない。一方、DLR方式も、車輪速の相対比較であり、ほぼ10%減圧(20%−10%=10%)以下の状態であるため、検出することができない。
【0013】
このように、従来のシステムでは、減圧の程度が異なる減圧輪が混在する複合減圧の場合、20%減圧タイヤが存在していても、減圧検出しない場合があった。
【0014】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、減圧の程度が異なる減圧輪が混在する複合減圧の場合においても、当該減圧を検出することができるタイヤ空気圧低下検出装置、方法及びプログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
(1)本発明の第1の観点に係るタイヤ空気圧低下検出装置(以下、単に「検出装置」ともいう)は、車両に装着されたタイヤの共振周波数、及び、前記タイヤの回転速度の相対比較値に基づいてタイヤ空気圧の低下を検出する装置であって、
前記タイヤの回転情報を検出する回転情報検出手段と、
この回転情報検出手段により検出された回転情報からタイヤの回転速度を算出する回転速度算出手段と、
前記タイヤの回転情報から当該タイヤの共振周波数を推定する共振周波数推定手段と、
前記タイヤの回転速度の相対比較により求められる減圧判定値と前記共振周波数推定手段により推定される共振周波数とを用いてタイヤ空気圧の低下を判定する判定手段と
を備えており、
前記判定手段は、前記共振周波数に基づきタイヤ空気圧の低下を判定するに際し、当該共振周波数が第1閾値を所定回数超えて警報を発する第1判定値を100とした場合に、前記第1判定値の百分率換算値が10以上100未満に達したとき、前記減圧判定値と比較される第2閾値を1%以上90%以下小さくし、当該減圧判定値が、小さくされた閾値を超えたときにタイヤの減圧を判定するように構成されていることを特徴としている。
【0016】
(2)前記(1)の検出装置において、前記判定手段は、前記第1判定値の百分率換算値が70以上90未満に達したとき、前記減圧判定値と比較される第2閾値を1%以上50%以下小さくし、当該減圧判定値が、小さくされた閾値を超えたときにタイヤの減圧を判定するように構成されていてもよい。
【0017】
(3)本発明の第2の観点に係る検出装置は、車両に装着されたタイヤの共振周波数、及び、前記タイヤの回転速度の相対比較値に基づいてタイヤ空気圧の低下を検出する装置であって、
前記タイヤの回転情報を検出する回転情報検出手段と、
この回転情報検出手段により検出された回転情報からタイヤの回転速度を算出する回転速度算出手段と、
前記タイヤの回転情報から当該タイヤの共振周波数を推定する共振周波数推定手段と、
前記タイヤの回転速度の相対比較により求められる減圧判定値と前記共振周波数推定手段により推定される共振周波数とを用いてタイヤ空気圧の低下を判定する判定手段と
を備えており、
前記判定手段は、前記共振周波数に基づきタイヤ空気圧の低下を判定するに際し、当該共振周波数が第1閾値を所定回数超えて警報を発する第1判定値を100とした場合に、前記第1判定値の百分率換算値が10以上100未満に達したとき、前記減圧判定値が第2閾値を所定回数超えて警報を発する第2判定値を100とした場合の当該第2判定値の百分率換算値が10以上100未満に達したときにタイヤの減圧を判定するように構成されていることを特徴としている。
【0018】
(4)前記(3)の検出装置において、前記判定手段は、前記第1判定値の百分率換算値が70以上90未満に達したとき、前記第2判定値の百分率換算値が50以上100未満に達したときにタイヤの減圧を判定するように構成されていてもよい。
【0019】
(5)本発明の第3の観点に係るタイヤ空気圧低下検出方法(以下、単に「検出方法」ともいう)は、車両に装着されたタイヤの共振周波数、及び、前記タイヤの回転速度の相対比較値に基づいてタイヤ空気圧の低下を検出する方法であって、
前記タイヤの回転情報を検出する回転情報検出工程と、
この回転情報検出工程において検出された回転情報からタイヤの回転速度を算出する回転速度算出工程と、
前記タイヤの回転情報から当該タイヤの共振周波数を推定する共振周波数推定工程と、
前記タイヤの回転速度の相対比較により求められる減圧判定値と前記共振周波数推定手段により推定される共振周波数とを用いてタイヤ空気圧の低下を判定する判定工程と
を含んでおり、
前記判定工程は、前記共振周波数に基づきタイヤ空気圧の低下を判定するに際し、当該共振周波数が第1閾値を所定回数超えて警報を発する第1判定値を100とした場合に、前記第1判定値の百分率換算値が10以上100未満に達したとき、前記減圧判定値と比較される第2閾値を1%以上90%以下小さくし、当該減圧判定値が、小さくされた閾値を超えたときにタイヤの減圧を判定することを特徴としている。
【0020】
(6)前記(5)の検出方法において、前記判定工程は、前記第1判定値の百分率換算値が70以上90未満に達したとき、前記減圧判定値と比較される第2閾値を1%以上50%以下小さくし、当該減圧判定値が、小さくされた閾値を超えたときにタイヤの減圧を判定してもよい。
【0021】
(7)本発明の第4の観点に係る検出方法は、車両に装着されたタイヤの共振周波数、及び、前記タイヤの回転速度の相対比較値に基づいてタイヤ空気圧の低下を検出する方法であって、
前記タイヤの回転情報を検出する回転情報検出工程と、
この回転情報検出工程において検出された回転情報からタイヤの回転速度を算出する回転速度算出工程と、
前記タイヤの回転情報から当該タイヤの共振周波数を推定する共振周波数推定工程と、
前記タイヤの回転速度の相対比較により求められる減圧判定値と前記共振周波数推定手段により推定される共振周波数とを用いてタイヤ空気圧の低下を判定する判定工程と
を含んでおり、
前記判定工程は、前記共振周波数に基づきタイヤ空気圧の低下を判定するに際し、当該共振周波数が第1閾値を所定回数超えて警報を発する第1判定値を100とした場合に、前記第1判定値の百分率換算値が10以上100未満に達したとき、前記減圧判定値が第2閾値を所定回数超えて警報を発する第2判定値を100とした場合の当該第2判定値の百分率換算値が10以上100未満に達したときにタイヤの減圧を判定することを特徴としている。
【0022】
(8)前記(7)の検出方法において、前記判定工程は、前記第1判定値の百分率換算値が70以上90未満に達したとき、前記第2判定値の百分率換算値が50以上100未満に達したときにタイヤの減圧を判定してもよい。
【0023】
(9)本発明の第5の観点に係るタイヤ空気圧低下検出プログラム(以下、単に「プログラム」ともいう)は、車両に装着されたタイヤの共振周波数、及び、前記タイヤの回転速度の相対比較値に基づいてタイヤ空気圧の低下を検出するためにコンピュータを、
前記タイヤの回転情報を検出する回転情報検出手段により得られる回転情報からタイヤの回転速度を算出する回転速度算出手段、
前記タイヤの回転情報から当該タイヤの共振周波数を推定する共振周波数推定手段、及び
前記タイヤの回転速度の相対比較により求められる減圧判定値と前記共振周波数推定手段により推定される共振周波数とを用いてタイヤ空気圧の低下を判定する判定手段
として機能させ、
前記判定手段は、前記共振周波数に基づきタイヤ空気圧の低下を判定するに際し、当該共振周波数が第1閾値を所定回数超えて警報を発する第1判定値を100とした場合に、前記第1判定値の百分率換算値が10以上100未満に達したとき、前記減圧判定値と比較される第2閾値を1%以上90%以下小さくし、当該減圧判定値が、小さくされた閾値を超えたときにタイヤの減圧を判定するように構成されていることを特徴としている。
【0024】
(10)前記(9)のプログラムにおいて、前記判定手段は、前記第1判定値の百分率換算値が70以上90未満に達したとき、前記減圧判定値と比較される第2閾値を1%以上50%以下小さくし、当該減圧判定値が、小さくされた閾値を超えたときにタイヤの減圧を判定するように構成されていてもよい。
【0025】
(11)本発明の第6の観点に係るプログラムは、車両に装着されたタイヤの共振周波数、及び、前記タイヤの回転速度の相対比較値に基づいてタイヤ空気圧の低下を検出するためにコンピュータを、
前記タイヤの回転情報を検出する回転情報検出手段により得られる回転情報からタイヤの回転速度を算出する回転速度算出手段、
前記タイヤの回転情報から当該タイヤの共振周波数を推定する共振周波数推定手段、及び
前記タイヤの回転速度の相対比較により求められる減圧判定値と前記共振周波数推定手段により推定される共振周波数とを用いてタイヤ空気圧の低下を判定する判定手段
として機能させ、
前記判定手段は、前記共振周波数に基づきタイヤ空気圧の低下を判定するに際し、当該共振周波数が第1閾値を所定回数超えて警報を発する第1判定値を100とした場合に、前記第1判定値の百分率換算値が10以上100未満に達したとき、前記減圧判定値が第2閾値を所定回数超えて警報を発する第2判定値を100とした場合の当該第2判定値の百分率換算値が10以上100未満に達したときにタイヤの減圧を判定するように構成されていることを特徴としている。
【0026】
(12)前記(11)のコンピュータにおいて、前記判定手段は、前記第1判定値の百分率換算値が70以上90未満に達したとき、前記第2判定値の百分率換算値が50以上100未満に達したときにタイヤの減圧を判定するように構成されていてもよい。
【発明の効果】
【0027】
本発明の検出装置、方法及びプログラムによれば、圧の程度が異なる減圧輪が混在する複合減圧の場合においても、当該減圧を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の検出装置の一実施の形態を示すブロック図である。
【図2】図1に示される検出装置の電気的構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の検出装置、方法及びプログラムの実施の形態を詳細に説明する。図1は、本発明の一実施の形態に係る検出装置を示すブロック図であり、図2は、図1に示される検出装置の電気的構成を示すブロック図である。
【0030】
図1に示されるように、本発明の一実施の形態に係る検出装置は、4輪車両に備えられた4つのタイヤの左前輪(FL)、右前輪(FR)、左後輪(RL)及び右後輪(RR)の回転速度を検出するため、各タイヤに関連して設けられた通常の車輪速度検出手段(回転情報検出手段)1を備えている。
【0031】
前記車輪速度検出手段1としては、電磁ピックアップなどを用いて回転パルスを発生させてパルスの数から回転角速度及び車輪速度を測定するための車輪速センサ又はダイナモのように回転を利用して発電を行い、この電圧から回転角速度及び車輪速度を測定するためのものを含む角速度センサなどを用いることができる。前記車輪速度検出手段1の出力は、ABSなどのコンピュータである制御ユニット2に与えられる。この制御ユニット2には、ドライバーによって操作することができる初期化ボタン3、タイヤの内圧低下をドライバーに知らせる警報器4が接続されている。
【0032】
制御ユニット2は、図2に示されるように、外部装置との信号の受け渡しに必要なI/Oインターフェース2aと、演算処理の中枢として機能するCPU2bと、このCPU2bの制御動作プログラムが格納されたROM2cと、前記CPU2bが制御動作を行う際にデータなどが一時的に書き込まれたり、その書き込まれたデータが読み出されたりするRAM2dとから構成されている。
【0033】
前記車輪速度検出手段1では、タイヤの回転数に対応したパルス信号(以下、「車輪速パルス」ともいう)が出力される。また、CPU2bでは、車輪速度検出手段1から出力された車輪速パルスに基づいて、所定のサンプリング周期ΔT(ms)、例えばΔT=40ms毎に各タイヤの回転情報である回転角速度Fiが算出される。
【0034】
本実施の形態に係る検出装置は、前記車輪速度検出手段1と、この車輪速度検出手段1により検出された回転情報からタイヤの回転速度を算出する回転速度算出手段と、前記タイヤの回転情報から当該タイヤの共振周波数を推定する共振周波数推定手段と、前記タイヤの回転速度の相対比較により求められる減圧判定値と前記共振周波数推定手段により推定される共振周波数とを用いてタイヤ空気圧の低下を判定する判定手段とから構成されている。そして、前記判定手段は、(1)前記共振周波数に基づきタイヤ空気圧の低下を判定するに際し、当該共振周波数が第1閾値を所定回数超えて警報を発する第1判定値を100とした場合に、前記第1判定値の百分率換算値が10以上100未満に達したとき、前記減圧判定値と比較される第2閾値を1%以上90%以下小さくし、当該減圧判定値が、小さくされた閾値を超えたときにタイヤの減圧を判定するか、又は、(2)前記共振周波数に基づきタイヤ空気圧の低下を判定するに際し、当該共振周波数が第1閾値を所定回数超えて警報を発する第1判定値を100とした場合に、前記第1判定値の百分率換算値が10以上100未満に達したとき、前記減圧判定値が第2閾値を所定回数超えて警報を発する第2判定値を100とした場合の当該第2判定値の百分率換算値が10以上100未満に達したときにタイヤの減圧を判定するように構成されている。
【0035】
また、本実施の形態に係るプログラムは、前記制御ユニット2にインストールされており、当該制御ユニット2を、回転速度算出手段、共振周波数推定手段及び判定手段として機能させる。
【0036】
ところで、同一車両に装着されるタイヤは必ずしもすべて同じサイズであるとは限らず、また、同一サイズであっても、タイヤは規格内でのばらつき(初期差異)が含まれて製造されるため、各タイヤの有効転がり半径(一回転により進んだ距離を2πで割った値)は、すべてのタイヤがたとえ正規内圧であっても、同一とは限らない。そのため、各タイヤの回転角速度Fiはばらつくことになる。そこで、例えば正常圧での各タイヤ間の回転角速度Fiのバラツキを予め補正しておく必要がある。この補正は一般に初期化又は初期設定と呼ばれており、定期メンテなどにおいて車両のタイヤが正常圧にされたときに、例えば、以下に示す方法により行われる。この方法では、つぎに示される初期補正係数K1、K2、K3が算出される。
K1=F1/F2 ・・・(1)
K2=F3/F4 ・・・(2)
K3=(F1+K1×F2)/(F2+K2×F4) ・・・(3)
【0037】
初期化後の走行時には、この算出された初期補正係数K1、K2、K3を用いて式(4)〜(7)に示されるように新たな回転角速度F1を求めるようにしている。
F1=F1 ・・・(4)
F1=K1×F2 ・・・(5)
F1=K3×F3 ・・・(6)
F1=K2×K3×F4 ・・・(7)
【0038】
ここで、初期補正係数K1は、前左右タイヤ間の初期差異による有効ころがり半径の差を補正するための係数である。初期補正係数K2は、後左右タイヤ間の初期差異による有効ころがり半径の差を補正するための係数である。初期補正係数K3は、前左タイヤと後左タイヤとのあいだの初期差異による有効ころがり半径の差を補正するための係数である。そして、前記F1に基づき、各車輪のタイヤの車輪速度Viを算出する。
【0039】
本実施の形態では、タイヤ空気圧の低下を判定するに際し、車両に装着されたタイヤの共振周波数を利用するRFM方式とタイヤの回転速度の相対比較値を利用するDLR方式を併用している。各方式は、いずれも従来から用いられている方式を適宜採用することでき、本発明において特に限定されるものではない。
【0040】
〔DLR方式〕
例えば、DLR方式として以下の方法を用いることができる。
このDLR方式では、タイヤ空気圧の低下を判定するために、つぎの3つの判定値DEL1、DEL2及びDEL3を用いる。
【0041】
(1)判定値DEL1として、つぎの式(8)に示されるように、2組の対角線上にある車輪対について、一方の対の車輪タイヤの車輪速度の平均から他方の対の車輪タイヤの車輪速度の平均を引算して求めた差を4輪タイヤの平均車輪速度で割った値の比率を用いる。
DEL1={(V1+V4)/2−(V2+V3)/2}/(Vmean)×100(%)・・・・・・(8)
ここで、V1〜V4は、それぞれ左前輪タイヤ、右前輪タイヤ、左後輪タイヤ及び右後輪タイヤの車輪速度であり、Vmeanは、(V1+V2+V3+V4)/4である。
【0042】
(2)判定値DEL2として、つぎの式(9)に示されるように、前輪タイヤの車輪速度の平均と後輪タイヤの車輪速度の平均との差を4輪の平均車輪速度で割った値の比率を用いる。
DEL2={(V1+V2)/2−(V3+V4)/2}/(Vmean)×100(%)・・・・・・(9)
【0043】
(3)DEL3として、つぎの式(10)に示されるように、右側車輪タイヤの車輪速度の平均と左側車輪タイヤの車輪速度の平均との差を4輪の平均車輪速度で割った値の比率を用いる。
DEL3={(V1+V3)/2−(V2+V4)/2}/(Vmean)×100(%)・・・・・・(10)
【0044】
そして、前記判定値DEL1〜DEL3と、予め実験走行などにより求められ、制御ユニット2のROM2cに記憶されている所定の閾値とをそれぞれ比較し、前記判定値DEL1〜DEL3がそれぞれの閾値よりも大きければタイヤ空気圧が低下していると判断し、警報器4によりドライバーに警報を発する。
【0045】
〔RFM方式〕
一方、RFM方式としては、例えば、前記特許文献2に記載されている以下の方法を用いることができる。
この方法では、車輪の回転信号を時系列信号として、一旦、高次(3次以上の整数)の線形モデルとしてパラメータを時系列推定し、ついで推定された各パラメータと、出力信号である車輪回転の時系列信号とから未知の入力信号を推定し、さらに推定された入力信号と前記出力信号を利用して、線形モデルをシステム同定し直している。
【0046】
具体的には、以下の手順によりタイヤの共振周波数を求める。
(1)まず、車輪速度検出手段により、車輪の回転信号を検出する。
(2)ついで、前記車輪の回転信号を所定のサンプリング周期にしたがってリサンプリングすることで、車輪速信号の時系列データを得る。サンプリング周期は、着目しているタイヤのねじり方向の共振周波数が数十Hz付近に現れることから、それ以上のサンプリング周期とする必要がある。
【0047】
(3)次に、得られた車輪速度を微分して、車輪加速度とする。車輪速度データを時系列データとして、時系列解析することもできるが、車輪加速度データのほうが車輪速度データよりも変化が少ないことから、演算精度を上げる点からは、車輪速度データを時系列データとするのが好ましい。
【0048】
(4)ついで、演算された車輪の回転加速度データを時系列データとして、時系列解析を行う。
まず、第1工程において、回転加速度データを時系列信号として、以下の式(11)のn次(nは3以上の整数)の線形モデルとして、時系列推定手段により各パラメータを時系列推定する。時系列推定は、コンピュータリソースなどを考慮すると、逐次最小二乗法を用いて行うのが好ましい。
【0049】
【数1】

【0050】
ここに、y(k)は車輪回転加速度の時系列信号、nはモデル次数(3以上の整数)、aは各パラメータ、w(k)は外乱である。
【0051】
(5)ついで、第2工程において、第1工程で推定された各パラメータと出力信号である車輪回転加速度の時系列信号y(k)から、入力信号推定手段により入力を推定する。
具体的に、第1工程における時系列推定では、システムへの入力は外乱w(k)として定義されており、この外乱w(k)はタイヤが路面から受けるホワイトノイズ的な力であると仮定している。かかる外乱w(k)、すなわち入力信号を、第1工程で推定された各パラメータと、車輪回転加速度の時系列信号とから、以下の式(12)に従って推定する。
【0052】
【数2】

【0053】
(6)ついで、第3工程において、第2工程で推定された入力信号w(k)と、出力信号である車輪回転加速度の時系列信号y(k)とから、パラメータ同定手段により2次のモデルのパラメータを同定する。このときの伝達関数G(z)は、以下の式(13)で表すことができる。
【0054】
【数3】

【0055】
ここで、z−1は1サンプル遅延である。
なお、2次に低次元化する際に、特にタイヤの共振周波数に着目するために、入力信号及び出力信号に対して、所定の通過帯域幅をもったフィルタ手段によるフィルタリング処理を施した後に、システム同定を行うのが好ましい。
【0056】
(7)次に、2次に低次元化したモデルのパラメータから、共振周波数推定手段により共振周波数を推定する。共振特性を、連続時間2次系モデル式(14)に近似させると、共振周波数は、以下の式(15)で表される。
【0057】
【数4】

【0058】
【数5】

【0059】
ここで、ωは固有振動数、ζは減衰係数、ωは共振周波数である。
【0060】
なお、共振周波数の推定(検出)方法は、前述したものに限定されるものではなく、公知の方法を適宜採用することができる。
本実施の形態では、従来、独立して動作させていたDLR方式及びRFM方式の装置を互いに関連させて動作させている。
減圧の判定は、DLR方式、RFM方式ともに判定値、警報閾値及び警報判定値を用いて行われる。DLR方式の判定値は、対角2輪、同軸2輪、同側2輪同士の比較に基づいており、RFM方式の判定値は共振周波数である。
【0061】
これらの判定値と警報閾値とを比較し、判定値が警報閾値を超えたときに警報判定値をカウントアップ・ダウンさせる。そして、警報判定値で警報すべきか否かの判断を行う。
判定値が警報閾値を超えたときに直ちに警報を発すると誤報となる頻度が高くなり、システムの信頼性を損なう可能性があるため、警報判定値を導入している。
【0062】
なお、警報時間の短縮、精度向上のために複数の警報閾値を設け、警報閾値毎に重み付けをしたカウントアップ・ダウン量を設定することも可能である。
判定値及び警報判定値は、通常、正規圧と減圧状態間の値を示す。その程度は、検出レベルのチューニング状態に左右される。
【0063】
なお、本明細書において、第1閾値とはRFM方式における前記「警報閾値」のことであり、第1判定値とはRFM方式における前記「警報判定値」のことである。また、第2閾値とはDLR方式における前記「警報閾値」のことであり、第2判定値とはDLR方式における前記「警報判定値」のことである。算出された共振周波数及び減圧判定値は、所定の単位時間(例えば、1秒)ごとに平均化処理されるなどして、それぞれの閾値と比較される。そして、閾値を超えると、警報判定値が1つカウントアップされ、一方、次の所定の単位時間において閾値未満であると、警報判定値が1つカウントダウンされる。このようにして、所定のカウント数に達すると、タイヤが減圧していると判断し、警報を発する。
【0064】
本発明では、正規圧と検出すべき減圧状態の間に、前記判定値及び警報判定値があることを利用しており、前述した複合減圧のような複雑な減圧輪の組合せであっても、所定の減圧を検出することができる。
【0065】
具体的に、RFM方式における警報判定値を100とした場合に、当該警報判定値の百分率換算値が10以上100未満に達したとき、前記DLR方式における減圧判定値と比較される閾値を1%以上90%以下小さくし、当該減圧判定値が、小さくされた閾値を超えたときにタイヤの減圧を判定する。例えば、RFM方式における警報判定値の百分率換算値が50に達したときにDLR方式における閾値を1/2にすることで、複雑な減圧輪の組合せでも減圧の検出が可能となる。なお、検出精度を向上させつつ誤報の可能性を小さくするという点からは、前記RFM方式における警報判定値の百分率換算値が70以上90未満に達したとき、前記DLR方式における閾値を小さくすることが好ましい。
【0066】
また、同様に、RFM方式における警報判定値を100とした場合に、当該警報判定値の百分率換算値が10以上100未満に達したとき、前記DLR方式における警報判定値を100とした場合の当該警報判定値の百分率換算値が10以上100未満に達したときにタイヤの減圧を判定する。例えば、RFM方式における警報判定値の百分率換算値が50に達したときに、DLR方式における警報判定値の百分率換算値が50に達したときにタイヤの減圧を判定するにすることで、複雑な減圧輪の組合せでも減圧の検出が可能となる。
【0067】
なお、変更する判定値の閾値及び警報判定値のレベルは、車両ごと及び/又はタイヤごとの検出レベルに依存するため、前記説明ではDLR方式における減圧判定値を1%以上90%以下小さくするとしたが、市場での使い勝手を考慮すると、好ましくは1%以上50%以下小さくすることが望ましい。また、DLR方式における警報判定値については、その百分率換算値が10以上100未満に達したときに減圧を判定するとしたが、同じく市場での使い勝手を考慮すると、好ましくは50以上100未満に達したときに減圧検出と判断することが望ましい。
【0068】
〔実施例及び比較例〕
次に実施例に基づいて本発明の検出方法を説明するが、本発明はもとよりかかる実施例にのみ限定されるものではない。
<実施例1〜8>
FWD(Front Wheel Drive)車にタイヤサイズ16インチのオールシーズンタイヤを装着して、テストコースの周回路を走行した。所定の車両設定圧になるようにタイヤ空気圧を調圧した後、約80kphで約20分間走行して初期化を行った。
ついで、前輪2輪を10%減圧、左後輪を20%減圧、右後輪を10%減圧の状態にし、約80kphで20分間走行した。RFM方式における警報判定値及びDLR方式における警報判定値をそれぞれ表1に示されるように設定し、減圧検出の性能を確認した。結果を表1に示す。なお、表1におけるRFM方式における警報判定値及びDLR方式における警報判定値は、各方式単独で警報する際の警報判定値を100としたときの警報判定値の百分率換算値を示す。
【0069】
<比較例>
RFM方式における警報判定値及びDLR方式における警報判定値をそれぞれ100のままにし、RFM方式及びDLR方式を単独で動作させた以外は実施例1と同様にして減圧検出の性能を確認した。結果を表1に示す。
【0070】
【表1】

【符号の説明】
【0071】
1 車輪速度検出手段
2 制御ユニット
2a インターフェース
2b CPU
2c ROM
2d RAM
3 初期化ボタン
4 警報器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に装着されたタイヤの共振周波数、及び、前記タイヤの回転速度の相対比較値に基づいてタイヤ空気圧の低下を検出する装置であって、
前記タイヤの回転情報を検出する回転情報検出手段と、
この回転情報検出手段により検出された回転情報からタイヤの回転速度を算出する回転速度算出手段と、
前記タイヤの回転情報から当該タイヤの共振周波数を推定する共振周波数推定手段と、
前記タイヤの回転速度の相対比較により求められる減圧判定値と前記共振周波数推定手段により推定される共振周波数とを用いてタイヤ空気圧の低下を判定する判定手段と
を備えており、
前記判定手段は、前記共振周波数に基づきタイヤ空気圧の低下を判定するに際し、当該共振周波数が第1閾値を所定回数超えて警報を発する第1判定値を100とした場合に、前記第1判定値の百分率換算値が10以上100未満に達したとき、前記減圧判定値と比較される第2閾値を1%以上90%以下小さくし、当該減圧判定値が、小さくされた閾値を超えたときにタイヤの減圧を判定するように構成されていることを特徴とする、タイヤ空気圧低下検出装置。
【請求項2】
前記判定手段は、前記第1判定値の百分率換算値が70以上90未満に達したとき、前記減圧判定値と比較される第2閾値を1%以上50%以下小さくし、当該減圧判定値が、小さくされた閾値を超えたときにタイヤの減圧を判定するように構成されている、請求項1に記載のタイヤ空気圧低下検出装置。
【請求項3】
車両に装着されたタイヤの共振周波数、及び、前記タイヤの回転速度の相対比較値に基づいてタイヤ空気圧の低下を検出する装置であって、
前記タイヤの回転情報を検出する回転情報検出手段と、
この回転情報検出手段により検出された回転情報からタイヤの回転速度を算出する回転速度算出手段と、
前記タイヤの回転情報から当該タイヤの共振周波数を推定する共振周波数推定手段と、
前記タイヤの回転速度の相対比較により求められる減圧判定値と前記共振周波数推定手段により推定される共振周波数とを用いてタイヤ空気圧の低下を判定する判定手段と
を備えており、
前記判定手段は、前記共振周波数に基づきタイヤ空気圧の低下を判定するに際し、当該共振周波数が第1閾値を所定回数超えて警報を発する第1判定値を100とした場合に、前記第1判定値の百分率換算値が10以上100未満に達したとき、前記減圧判定値が第2閾値を所定回数超えて警報を発する第2判定値を100とした場合の当該第2判定値の百分率換算値が10以上100未満に達したときにタイヤの減圧を判定するように構成されていることを特徴とする、タイヤ空気圧低下検出装置。
【請求項4】
前記判定手段は、前記第1判定値の百分率換算値が70以上90未満に達したとき、前記第2判定値の百分率換算値が50以上100未満に達したときにタイヤの減圧を判定するように構成されている、請求項3に記載のタイヤ空気圧低下検出装置。
【請求項5】
車両に装着されたタイヤの共振周波数、及び、前記タイヤの回転速度の相対比較値に基づいてタイヤ空気圧の低下を検出する方法であって、
前記タイヤの回転情報を検出する回転情報検出工程と、
この回転情報検出工程において検出された回転情報からタイヤの回転速度を算出する回転速度算出工程と、
前記タイヤの回転情報から当該タイヤの共振周波数を推定する共振周波数推定工程と、
前記タイヤの回転速度の相対比較により求められる減圧判定値と前記共振周波数推定手段により推定される共振周波数とを用いてタイヤ空気圧の低下を判定する判定工程と
を含んでおり、
前記判定工程は、前記共振周波数に基づきタイヤ空気圧の低下を判定するに際し、当該共振周波数が第1閾値を所定回数超えて警報を発する第1判定値を100とした場合に、前記第1判定値の百分率換算値が10以上100未満に達したとき、前記減圧判定値と比較される第2閾値を1%以上90%以下小さくし、当該減圧判定値が、小さくされた閾値を超えたときにタイヤの減圧を判定することを特徴とする、タイヤ空気圧低下検出方法。
【請求項6】
前記判定工程は、前記第1判定値の百分率換算値が70以上90未満に達したとき、前記減圧判定値と比較される第2閾値を1%以上50%以下小さくし、当該減圧判定値が、小さくされた閾値を超えたときにタイヤの減圧を判定する、請求項5に記載のタイヤ空気圧低下検出方法。
【請求項7】
車両に装着されたタイヤの共振周波数、及び、前記タイヤの回転速度の相対比較値に基づいてタイヤ空気圧の低下を検出する方法であって、
前記タイヤの回転情報を検出する回転情報検出工程と、
この回転情報検出工程において検出された回転情報からタイヤの回転速度を算出する回転速度算出工程と、
前記タイヤの回転情報から当該タイヤの共振周波数を推定する共振周波数推定工程と、
前記タイヤの回転速度の相対比較により求められる減圧判定値と前記共振周波数推定手段により推定される共振周波数とを用いてタイヤ空気圧の低下を判定する判定工程と
を含んでおり、
前記判定工程は、前記共振周波数に基づきタイヤ空気圧の低下を判定するに際し、当該共振周波数が第1閾値を所定回数超えて警報を発する第1判定値を100とした場合に、前記第1判定値の百分率換算値が10以上100未満に達したとき、前記減圧判定値が第2閾値を所定回数超えて警報を発する第2判定値を100とした場合の当該第2判定値の百分率換算値が10以上100未満に達したときにタイヤの減圧を判定することを特徴とする、タイヤ空気圧低下検出方法。
【請求項8】
前記判定工程は、前記第1判定値の百分率換算値が70以上90未満に達したとき、前記第2判定値の百分率換算値が50以上100未満に達したときにタイヤの減圧を判定する、請求項7に記載のタイヤ空気圧低下検出方法。
【請求項9】
車両に装着されたタイヤの共振周波数、及び、前記タイヤの回転速度の相対比較値に基づいてタイヤ空気圧の低下を検出するためにコンピュータを、
前記タイヤの回転情報を検出する回転情報検出手段により得られる回転情報からタイヤの回転速度を算出する回転速度算出手段、
前記タイヤの回転情報から当該タイヤの共振周波数を推定する共振周波数推定手段、及び
前記タイヤの回転速度の相対比較により求められる減圧判定値と前記共振周波数推定手段により推定される共振周波数とを用いてタイヤ空気圧の低下を判定する判定手段
として機能させ、
前記判定手段は、前記共振周波数に基づきタイヤ空気圧の低下を判定するに際し、当該共振周波数が第1閾値を所定回数超えて警報を発する第1判定値を100とした場合に、前記第1判定値の百分率換算値が10以上100未満に達したとき、前記減圧判定値と比較される第2閾値を1%以上90%以下小さくし、当該減圧判定値が、小さくされた閾値を超えたときにタイヤの減圧を判定するように構成されていることを特徴とする、タイヤ空気圧低下検出プログラム。
【請求項10】
前記判定手段は、前記第1判定値の百分率換算値が70以上90未満に達したとき、前記減圧判定値と比較される第2閾値を1%以上50%以下小さくし、当該減圧判定値が、小さくされた閾値を超えたときにタイヤの減圧を判定するように構成されている、請求項9に記載のタイヤ空気圧低下検出プログラム。
【請求項11】
車両に装着されたタイヤの共振周波数、及び、前記タイヤの回転速度の相対比較値に基づいてタイヤ空気圧の低下を検出するためにコンピュータを、
前記タイヤの回転情報を検出する回転情報検出手段により得られる回転情報からタイヤの回転速度を算出する回転速度算出手段、
前記タイヤの回転情報から当該タイヤの共振周波数を推定する共振周波数推定手段、及び
前記タイヤの回転速度の相対比較により求められる減圧判定値と前記共振周波数推定手段により推定される共振周波数とを用いてタイヤ空気圧の低下を判定する判定手段
として機能させ、
前記判定手段は、前記共振周波数に基づきタイヤ空気圧の低下を判定するに際し、当該共振周波数が第1閾値を所定回数超えて警報を発する第1判定値を100とした場合に、前記第1判定値の百分率換算値が10以上100未満に達したとき、前記減圧判定値が第2閾値を所定回数超えて警報を発する第2判定値を100とした場合の当該第2判定値の百分率換算値が10以上100未満に達したときにタイヤの減圧を判定するように構成されていることを特徴とする、タイヤ空気圧低下検出プログラム。
【請求項12】
前記判定手段は、前記第1判定値の百分率換算値が70以上90未満に達したとき、前記第2判定値の百分率換算値が50以上100未満に達したときにタイヤの減圧を判定するように構成されている、請求項11に記載のタイヤ空気圧低下検出プログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2012−250630(P2012−250630A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−125086(P2011−125086)
【出願日】平成23年6月3日(2011.6.3)
【出願人】(000183233)住友ゴム工業株式会社 (3,458)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】